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特許7590342欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/30 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
G01N29/30
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021562900
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2020137425
(87)【国際公開番号】W WO2021244008
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】202010507968.9
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519383452
【氏名又は名称】中国航発商用航空発動機有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】AECC COMMERCIAL AIRCRAFT ENGINE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.3998, South Lianhua Road, Minhang District, Shanghai 200241, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 愛 華
(72)【発明者】
【氏名】李 向 前
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0028661(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0059518(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2769834(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第111208195(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法であって、
第1のプレート(1)および第2のプレート(2)を設けるステップと、
前記第1のプレート(1)の上面に接着剤を塗布して接着剤層(3)を形成するステップと、
前記接着剤層(3)の少なくとも一部の領域を一度目に加熱硬化させるステップと、
前記接着剤層(3)の上に前記第2のプレート(2)を配置するステップと、
前記接着剤層(3)を二度目に加熱硬化させて接着構造テストブロックを形成するステップとを備える、方法。
【請求項2】
前記少なくとも一部の領域は、間隔を置いて前記接着剤層(3)の上に分散している複数の事前に設定された領域ブロック(32)を備え、前記接着剤層(3)の少なくとも一部の領域を一度目に加熱硬化させるステップは、前記接着剤層(3)の前記複数の事前に設定された領域ブロック(32)を単独で加熱硬化させるステップを備える、請求項1に記載の欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法。
【請求項3】
前記接着剤層(3)の前記複数の事前に設定された領域ブロック(32)を単独で加熱硬化させるステップの前に、欠陥の事前に設定された位置および事前に設定された面積に従って、前記複数の事前に設定された領域ブロック(32)の位置および面積を決定するステップをさらに備える、請求項2に記載の欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法。
【請求項4】
前記接着剤層(3)の前記複数の事前に設定された領域ブロック(32)を単独で加熱硬化させるステップは事前硬化装置(5)によって行われ、前記事前硬化装置(5)は、加熱プレート(51)と、前記加熱プレート(51)の上に可動に配置された複数の加熱カラム(52)とを備え、前記複数の加熱カラム(52)の位置は、前記接着剤層(3)の上の前記複数の事前に設定された領域ブロック(32)の位置に対応するように調整される、請求項2に記載の欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法。
【請求項5】
前記第1のプレート(1)の上面に接着剤を塗布して接着剤層を形成するステップは、前記第1のプレート(1)の前記上面の端部に近い領域に前記接着剤を塗布して、前記第1のプレート(1)の端部に前記第2のプレート(2)を重ねるステップを備える、請求項1に記載の欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法。
【請求項6】
前記接着剤に対して昇温レオロジー特性試験を行って前記接着剤のレオロジー曲線を得るステップと、前記レオロジー曲線に従って、前記一度目に加熱硬化させるステップの温度および前記二度目に加熱硬化させるステップの温度を選択するステップとをさらに備える、請求項1に記載の欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法。
【請求項7】
前記第1のプレート(1)の上面に接着剤を塗布するステップは、前記第1のプレート(1)の前記上面の全領域に前記接着剤を塗布して、前記第1のプレート(1)の前記上面を前記接着剤層(3)で覆うステップを備え、前記少なくとも一部の領域は、前記接着剤層(3)の全領域を備え、前記製造方法はさらに、前記接着剤層(3)の全領域を一度目に加熱硬化させるステップの前に、前記接着剤層(3)の上に前記第2のプレート(2)を貼り付けてから前記接着剤層(3)を一度目に加熱硬化させるステップと、前記接着剤層(3)の全領域を一度目に加熱硬化させるステップの後に、前記第1のプレート(1)および前記第2のプレート(2)を前記接着剤層(3)の中央から分離し、分離した前記第1のプレート(1)と前記第2のプレート(2)とを重ね合わせてから前記接着剤層(3)を二度目に加熱硬化させるステップとを備える、請求項1に記載の欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法。
【請求項8】
前記接着剤層(3)を一度目に加熱硬化させるステップおよび二度目に加熱硬化させるステップは両方ともオートクレーブによって行われ、前記接着剤層(3)を一度目に加熱硬化させるステップおよび二度目に加熱硬化させるステップの温度は同じであり、前記接着剤層(3)を一度目に加熱硬化させるステップおよび二度目に加熱硬化させるステップの加熱時間は異なる、請求項7に記載の欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法。
【請求項9】
前記接着剤層(3)に亀裂(33)を生じさせるステップをさらに備える、請求項1に記載の欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法。
【請求項10】
前記接着剤は接着剤膜であり、前記接着剤膜を前記第1のプレート(1)の前記上面に塗布して前記接着剤層(3)を形成する、請求項1に記載の欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法。
【請求項11】
複合材料からなる前記第1のプレート(1)および前記第2のプレート(2)が設けられ、前記第1のプレート(1)の前記複合材料と前記第2のプレート(2)の前記複合材料とは、同じであるか、または異なる、請求項1に記載の欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法。
【請求項12】
欠陥を有する前記テストブロックを得た後、前記テストブロックを超音波走査して欠陥情報を求めるステップをさらに備える、請求項1に記載の欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2020年6月5日に出願された中国特許出願第202010507968.9号に基づくとともにその優先権を主張し、その全内容を本明細書に引用により援用する。
【背景技術】
【0002】
技術分野
本開示は、非破壊検出の分野に関し、特に、欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法に関する。
【0003】
背景
民間航空の急速な発展に伴い、航空機の構造材料を、低密度、高強度、高靭性、耐高温性、および耐腐食性を目指して開発することが要求されている。従来の民間航空構造では、多数のリベットで部品を接続して形成しなければならない部品もある。小型の航空機は通常、数万個のリベットを含んでいるため、航空機の重量が大きくなることが避けられない。リベット打ちの代わりに結合構造が民間航空機構造に広く適用されつつあるが、結合構造の製造プロセスにおいて、亀裂、空隙/穴、剥離、弱接着(weak bond)などの各種欠陥が発生することは避けられない。
【0004】
キッシングボンド(kiss-bonds)は、結合構造における欠陥の種類であり、結合構造における2つの表面が密着している、すなわち2つの表面が接着していない欠陥を指し、キッシングボンドは構造負荷容量の低下につながる。また、キッシングボンドと同様の欠陥は弱接着であり、すなわち2つの表面が不完全に接着されている。何らかの構造的連続性が原因で、弱接着の方が評価が困難な場合がある。キッシングボンドおよび弱接着欠陥は、モノリシックの、サンドイッチ状の、接着または修復された複合材料において生じ得るものであり、これらは製造プロセスにおいて発生する場合があり、不十分な損傷または修復によって生じる場合もある。使用時の負荷条件下で構造強度が低下して欠陥が潜在的に成長する(すなわち、弱接着/キッシングボンドから剥離にまで成長する)ので、欠陥の種類を検出および評価することは特に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
欠陥を調べるためには、欠陥を有する比較テストブロックをまず作らなければならない。しかしながら、テストブロックの製造は困難であるため、キッシングボンドおよび弱接着を有するテストブロックを制御可能に製造して内部欠陥を検出することが非常に重要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
本開示は、欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法であって、
第1のプレートおよび第2のプレートを設けるステップと、
第1のプレートの上面に接着剤を塗布して接着剤層を形成するステップと、
接着剤層の少なくとも一部の領域を一度目に加熱硬化させるステップと、
接着剤層の上に第2のプレートを配置するステップと、
接着剤層を二度目に加熱硬化させて接着構造テストブロックを形成するステップとを含む方法を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態において、少なくとも一部の領域は、間隔を置いて接着剤層の上に分散している複数の事前に設定された領域ブロックを含み、接着剤層の少なくとも一部の領域を一度目に加熱硬化させるステップは、接着剤層の複数の事前に設定された領域ブロックを単独で加熱硬化させるステップを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、上記方法はさらに、接着剤層の複数の事前に設定された領域ブロックを単独で加熱硬化させるステップの前に、欠陥の事前に設定された位置および事前に設定された面積に従って、複数の事前に設定された領域ブロックの位置および面積を決定するステップを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、接着剤層の複数の事前に設定された領域ブロックを単独で加熱硬化させるステップは事前硬化装置によって行われ、事前硬化装置は、加熱プレートと、加熱プレートの上に可動に配置された複数の加熱カラムとを含み、複数の加熱カラムの位置は、接着剤層の上の複数の事前に設定された領域ブロックに対応するように調整される。
【0010】
いくつかの実施形態において、第1のプレートの上面に接着剤を塗布して接着剤層を形成するステップは、第1のプレートの上面の端部に近い領域に接着剤を塗布して、第1のプレートの端部に第2のプレートを重ねるステップを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、上記方法はさらに、接着剤に対して昇温レオロジー特性試験を行って接着剤のレオロジー曲線を得るステップと、レオロジー曲線に従って、一度目に加熱硬化させるステップの温度および二度目に加熱硬化させるステップの温度を選択するステップとを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、第1のプレートの上面に接着剤を塗布して接着剤層を形成するステップは、第1のプレートの上面の全領域に接着剤を塗布して、第1のプレートの上面を接着剤で覆うステップを含む。少なくとも一部の領域は、接着剤層の全領域を含む。上記製造方法はさらに、接着剤層の全領域を一度目に加熱硬化させるステップの前に、接着剤層の上に第2のプレートを貼り付けてから接着剤層を一度目に加熱硬化させるステップと、接着剤層の全領域を一度目に加熱硬化させるステップの後に、第1のプレートおよび第2のプレートを接着剤層の中央から分離し、分離した第1のプレートと第2のプレートとを重ね合わせ、接着剤層を二度目に加熱硬化させるステップとを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、接着剤層を一度目に加熱硬化させるステップおよび二度目に加熱硬化させるステップは両方ともオートクレーブによって行われ、接着剤層を一度目に加熱硬化させるステップおよび二度目に加熱硬化させるステップの温度は同じであり、接着剤層(3)を一度目に加熱硬化させるステップおよび二度目に加熱硬化させるステップの加熱時間は異なる。
【0014】
いくつかの実施形態において、上記方法はさらに、接着剤層に亀裂を生じさせるステップを含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、接着剤は接着剤膜であり、接着剤膜で第1のプレートの上面を被覆して接着剤層を形成する。
【0016】
いくつかの実施形態において、複合材料からなる第1のプレートおよび第2のプレートが設けられ、第1のプレートの複合材料と第2のプレートの複合材料とは、同じであるか、または異なる。
【0017】
いくつかの実施形態において、テストブロックを得た後、テストブロックを超音波走査して欠陥情報を求める。
【0018】
本開示によって提供される技術的解決策に基づいて、欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法は、第1のプレートおよび第2のプレートを設けるステップと、第1のプレートの上面に接着剤を塗布して接着剤層を形成するステップと、接着剤層の少なくとも一部の領域を一度目に加熱硬化させるステップと、接着剤層の上に第2のプレートを配置するステップと、接着剤層を二度目に加熱硬化させて結合構造テストブロックを形成するステップとを含む。本開示によれば、接着剤層の少なくとも一部の領域が一度目に加熱硬化されて化学反応が起こり、その結果、少なくとも一部の領域が欠陥を形成し、この欠陥の制御可能な製造が実現する。欠陥を有するテストブロックに対して機械的な検出を行って、実際の欠陥製品をシミュレートする。さらに、本開示によって提供される方法によれば、接着剤層の全領域における少なくとも一部の領域の割合を制御することによって、接着強度の異なる弱接着欠陥およびキッシングボンド欠陥をシミュレートする。
【0019】
本開示の他の特徴および利点は、以下の添付の図面を参照する本開示の例示的な実施形態の詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0020】
本開示の実施形態または先行技術における技術的解決策をより明確に説明するために、実施形態または先行技術の説明に必要な添付の図面を以下に簡単に説明する。以下に説明する添付の図面における添付の図面は、本開示において記録されるいくつかの実施形態を示していることは明らかであり、当業者はこれらの添付の図面から他の図面を依然として導き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の一実施形態に係る欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法のステップの概略図である。
図2】本開示の一実施形態に係る接着剤膜のレオロジー曲線の図である。
図3】本開示の一実施形態によって使用される事前硬化装置の構造概略図である。
図4】本開示の一実施形態によって製造される弱接着欠陥を有するテストブロックの処理ステップの概略図であり、事前硬化装置によって接着剤層に対して一度目の加熱硬化を行うステップを示す図である。
図5】本開示の一実施形態によって製造される弱接着欠陥を有するテストブロックの処理ステップの概略図であり、第1のプレートに第2のプレートを重ねるステップを示す図である。
図6】本開示の一実施形態によって製造される弱接着欠陥を有するテストブロックの処理ステップの概略図であり、図5の接着剤層の拡大構造図である。
図7】本開示の一実施形態によって製造される弱接着欠陥を有するテストブロックの処理ステップの概略図であり、二度目の加熱硬化の後に形成された欠陥を有するテストブロックの構造概略図である。
図8】本開示の一実施形態によって製造されるキッシングボンド欠陥を有するテストブロックの処理ステップの概略図であり、第1のプレート、接着剤層、および第2のプレートを重ね合わせるステップを示す図である。
図9】本開示の一実施形態によって製造されるキッシングボンド欠陥を有するテストブロックの処理ステップの概略図であり、一度目の加熱硬化を受ける中間結合構造の第1のプレートと第2のプレートとを分離するステップを示す図である。
図10】本開示の一実施形態によって製造されるキッシングボンド欠陥を有するテストブロックの処理ステップの概略図であり、二度目の加熱硬化の後に形成された欠陥を有するテストブロックの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
本開示の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、本開示によって提供される結合構造欠陥テストブロックの製造方法について、実施形態を通して、添付の図面を参照して、以下に詳細にさらに説明する。本明細書に記載される具体的な実施形態は、本開示を限定するためのものではなく、本開示を説明するためのものにすぎないことが理解されねばならない。
【0023】
図1に示されるように、本開示の一実施形態に係る欠陥を有する接着構造テストブロックの製造方法は、
ステップ101:第1のプレート1および第2のプレート2を設けるステップと、
ステップ102:第1のプレート1の上面に接着剤を塗布して接着剤層3を形成するステップと、
ステップ103:接着剤層3の少なくとも一部の領域を一度目に加熱硬化させるステップと、
ステップ104:接着剤層3の上に第2のプレート2を配置するステップと、
ステップ105:接着剤層3を二度目に加熱硬化させて接着構造テストブロックを形成するステップとを含む。
【0024】
本開示の実施形態によれば、接着剤層3の少なくとも一部の領域が一度目に加熱硬化されて化学反応が起こり、その結果、少なくとも一部の領域が欠陥を形成し、この欠陥の制御可能な製造が実現する。欠陥を有するテストブロックに対して機械的な検出を行って、実際の欠陥製品をシミュレートする。さらに、本開示によって提供される製造方法によれば、接着剤層の全領域における少なくとも一部の領域の割合を制御することによって、接着強度の異なる弱接着欠陥をシミュレートする。
【0025】
なお、上記ステップの間で他のステップが行われてもよい。
図6を参照して、図6は、一度目の加熱硬化の後の接着剤層3の構造図であり、31は非硬化領域であり、32は硬化領域である。結合構造欠陥テストブロックを製造する前に、製造すべき欠陥を有するテストブロックの欠陥の事前に設定された位置および事前に設定された面積をまず決定する。本実施形態の方法はさらに、接着剤層の複数の事前に設定された領域ブロックを単独で加熱するステップの前に、欠陥の事前に設定された位置および事前に設定された面積に従って、複数の事前に設定された領域ブロックの位置および面積を決定するステップを含む。すなわち、事前に設定された領域ブロックは硬化領域である。
【0026】
一実施形態では、本開示の実施形態は、弱接着欠陥テストブロックの製造方法を提供する。図4に示されるように、本実施形態の少なくとも一部の領域は、間隔を置いて接着剤層3の上に分散している複数の事前に設定された領域ブロックを含み、接着剤層3の少なくとも一部の領域を一度目に加熱硬化させるステップは、接着剤層3の複数の事前に設定された領域ブロックを独立して加熱するステップを含む。
【0027】
具体的には、本実施形態では、接着剤層3の複数の事前に設定された領域は、図3に示される事前硬化装置5によって独立して加熱される。事前硬化装置5は、加熱プレート51と、加熱プレート51の上に可動に配置された複数の加熱カラム52とを含み、複数の加熱カラム52の位置は、接着剤層3の上の複数の事前に設定された領域に対応するように調整される。
【0028】
さまざまな欠陥の大きさおよび位置を有するテストブロックの製造に好適であるように、本実施形態の事前硬化装置5は位置決め溝53をさらに含み、加熱カラム52は位置決め溝53の中に配置され、位置決め溝53の位置を調整して各加熱カラム52の位置を変える。
【0029】
図4に示されるように、複数の加熱カラム52が接着剤層3に当接して、接着剤層3の複数の事前に設定された領域を一度目に加熱硬化させ、一度目の加熱硬化の後の接着剤層3が図6に示されている。
【0030】
図7に示されるように、第1のプレート1の上面に接着剤を塗布して接着剤層3を形成するステップは、第1のプレート1の上面の端部に近い領域に接着剤層3を形成して、第1のプレートに第2のプレート2を重ねるステップを含む。
【0031】
図2に示されるように、本実施形態の方法はさらに、接着剤に対して昇温レオロジー特性試験を行って接着剤のレオロジー曲線を得るステップと、レオロジー曲線に従って、一度目に加熱硬化させるステップの温度および二度目に加熱硬化させるステップの温度を選択するステップとを含む。
【0032】
具体的には、一度目に加熱硬化させるステップの温度は、二度目に加熱硬化させるステップの温度よりも低い。
【0033】
弱接着欠陥を有するテストブロックの製造方法について、具体的な実施形態を参照して以下に詳細に説明する。
【0034】
まず、第1のプレート1、第2のプレート2、および接着剤膜の材料を選択する。本実施形態では、第1のプレート1の複合材料と第2のプレート2の複合材料とは同じであり、CYCOM X850であり、接着剤膜の材料はPL7000である。
【0035】
この接着剤膜に対して、レオメーターによる昇温レオロジー特性試験を行う。この試験では、平行プレートクランプを使用し、接着剤膜を室温で直径25mmのウェハにして、3枚の接着剤膜を重ね合わせて圧縮して試験サンプルを準備し、図2に示されるような接着剤膜のレオロジー曲線が得られる。
【0036】
図4に示されるように、第1のプレート1を貼り付け、第1のプレート1の表面に接着剤膜を貼り付ける。
【0037】
事前硬化装置5の加熱カラム51は、設計された弱接着欠陥の事前に設定された位置および事前に設定された面積に従って調整され、接着剤膜の上面に接続される。具体的には、本実施形態では、50本の針状の加熱カラムが配置され、各加熱カラム51は直径0.2mmの円形である。
【0038】
事前硬化装置5によって接着剤膜を部分的に事前に硬化させ、接着剤膜上の加熱カラム51と接触する接着剤膜の加熱速度は2~3℃/分であり、硬化温度は100℃±10℃であり、時間は30分である。
【0039】
図5に示されるように、事前硬化装置5を取り外し、第2のプレート2で接着剤膜を被覆することを完了すると、単一重なり結合構造が得られる。
【0040】
貼り付けた単一重なり結合構造の上に、剥離可能な布、絶縁膜、通気フェルト、および均圧プレート補助材料を順次配置し、テストブロックを真空バッグで包装し、硬化のためにオートクレーブに入れる。硬化温度は180℃であり、保温を120分間行い、硬化圧力は0.7Mpaである。
【0041】
離型を行って、図7に示されるような部分的な弱接着を有する単一重なりテストブロックが得られる。
【0042】
テストブロックを超音波走査して、欠陥信号が得られる。機械加工を行って、規格を満たす単一重なりテストブロックが得られる。
【0043】
単一重なりテストブロックに対して、機械的特性試験を行う。
別の実施形態では、本開示は、キッシングボンド欠陥を有するテストブロックの製造方法を提供する。図8に示されるように、接着剤層3は第1のプレート1の上面を覆う。少なくとも一部の領域は、接着剤層3の全領域を含む。この製造方法はさらに、接着剤層3の全領域を一度目に加熱硬化させるステップの前に、第2のプレート2を接着剤層3に貼り付けてから接着剤層3を一度目に加熱硬化させるステップと、接着剤層3の全領域を一度目に加熱硬化させるステップの後に、図9に示されるように、第1のプレート1および第2のプレート2を接着剤層3の中央から分離し、分離した第1の結合1と第2のプレート2とを重ね合わせ(図10は、分離された第1のプレート1と第2のプレート2とが重ね合わされることを示す)、結合構造体全体を加熱硬化させて接着剤層3を二度目に加熱硬化させるステップとを含む。
【0044】
図9に示されるように、第1のプレート1および第2のプレート2は接着剤層3の中央から分離され、このとき、第1のプレート1の上面には接着剤層分割体3aが配置され、第2のプレート2の下面には接着剤層分割体3bが配置される。
【0045】
本実施形態では、一度目の加熱硬化および二度目の加熱硬化は両方とも、加熱硬化のためにオートクレーブを採用し、一度目の加熱硬化および二度目の加熱硬化は、温度が同じで加熱時間が異なる。
【0046】
上記実施形態では、欠陥の設定要件に従って接着剤層3に亀裂が事前に設定されてもよい。
【0047】
接着剤層3の形成を容易にするために、本実施形態の接着剤は接着剤膜であり、この接着剤膜を第1のプレートの上面に塗布して接着剤層3を形成する。
【0048】
本実施形態の製造方法は、複合材料からなる第1のプレート1および第2のプレート2を設け、第1のプレート1の複合材料と第2のプレート2の複合材料とは、同じであるか、または異なる。
【0049】
テストブロックを得た後、テストブロックを超音波走査して欠陥情報を求める。
キッシングボンド欠陥を有するテストブロックの製造方法について、具体的な実施形態を参照して以下に詳細に説明する。
【0050】
まず、第1のプレート1、第2のプレート2、および接着剤膜を準備する。本実施形態では、第1のプレート1の複合材料と第2のプレート2の複合材料とは同じであり、CYCOM 970/PWC T300 3K ST(CCF)であり、接着剤膜の材料はPL7000である。
【0051】
図8に示されるように、接着剤膜に亀裂33が事前に設定されており、第1のプレート1、接着剤膜、および第2のプレート2を順次貼り付けて中間結合構造を形成し、中間結合構造の上に、剥離可能な布、絶縁膜、通気フェルト、および均圧プレート補助材料を順次配置し、中間結合構造を真空バッグで包装し、一度目の加熱硬化のためにオートクレーブに入れる。硬化温度は177℃±10℃であり、保温を120分間行い、硬化圧力は0.7Mpaである。
【0052】
図9に示されるように、第1のプレート1および第2のプレート2は外力によって分離され、第1のプレート1および第2のプレート2は接着剤層3の中央から分離される。
【0053】
図10図10は、接着剤層を示していないが接着剤層を含む)に示されるように、分離された第1のプレート1と第2のプレート2とを重ね合わせて二度目に加熱硬化させる。硬化温度は177℃±10℃であり、保温を60分間行い、硬化圧力は0.7Mpaである。そして離型を行って、事前の亀裂およびキッシングボンド欠陥を含むテストブロックが得られる。
【0054】
なお、ある構成要素が別の構成要素に「固定される」と言う場合、その構成要素は別の構成要素の上に直接配置されてもよく、または中間の構成要素が存在してもよい。ある構成要素が別の構成要素に「接続される」とみなす場合、その構成要素は別の構成要素に直接接続されてもよく、または中間の構成要素が同時に存在してもよい。反対に、構成要素が別の構成要素の「上に直接」あると言う場合は、中間の構成要素は存在しない。本明細書において使用する「垂直」、「水平」、「左」、および「右」という語、ならびに同様の表現は、例示のためにすぎない。
【0055】
本開示の説明において、「第1の」および「第2の」という語は便宜的なものにすぎず、相対的な重要性を意味または暗示するものと理解されるべきではない。
【0056】
一方、本明細書において引用する「上」、「下」、「左」、「右」、「中央」、および「1つ」などの語は、説明を明確にするために好都合であるにすぎず、本開示の実施可能範囲を限定するために使用しているわけではない。相対的な関係の変更または調整は、技術的内容が実質的に変更されない本開示の実施可能範囲とみなされるべきである。
【0057】
上記実施形態は本開示のいくつかの実施形態を例示しているにすぎず、その説明は、より具体的かつ詳細であるが、本開示の特許範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本開示の概念から逸脱することなくいくつかの変形および改良が当業者によってなされ得るが、そのような変形および改良は本開示の保護範囲に含まれるべきであることが指摘される。したがって、本開示の特許の保護範囲は添付の請求項によって決まるものとする。
図1
図2
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図8
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図10