(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】ゲスト退出を抑止するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A63G 31/02 20060101AFI20241119BHJP
A63G 7/00 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
A63G31/02
A63G7/00
(21)【出願番号】P 2021569206
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(86)【国際出願番号】 US2020033647
(87)【国際公開番号】W WO2020236840
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-04-24
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】スヴァーゼンスキ デイヴィッド トーマス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス マーク アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ドワイヤー ジェラルド トーマス
【審査官】田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-185338(JP,A)
【文献】特開平06-292768(JP,A)
【文献】特開平06-154423(JP,A)
【文献】米国特許第05758582(US,A)
【文献】国際公開第1999/005006(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 1/00-33/00
B60R 22/00-22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い本体と、
前記細長い本体の第1の端部に配置されたハンドル部分と、
前記細長い本体の第2の端部に配置されて、エンクロージャの部材に係止されるように構成されたラッチ機構と、
前記細長い本体の長さに沿って前記細長い本体の前記第1及び第2の端部間に配置されて、前記ラッチ機構を作動させるように構成された作動機構と、
前記細長い本体の長さに沿って前記細長い本体の前記第1及び第2の端部間に配置されて、前記細長い本体の第1の位置を前記エンクロージャに対して固定するように構成された位置決め機構と、
を備え、前記細長い本体は、該細長い本体の前記第1の位置が前記位置決め機構を介して前記エンクロージャに対して固定された時に
位置決め機構から延びるように構成される、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ラッチ機構は、前記エンクロージャの前記部材に係止されるように構成されたフックを含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ラッチ機構はバネ付勢され、前記作動機構は、前記ラッチ機構の前記バネ付勢に対抗することによって前記ラッチ機構を開くように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記作動機構は、ケーブルの第1の端部において前記ケーブルに物理的に結合されたケーブル引き寄せ部を含み、前記ケーブルは、該ケーブルの第2の端部において前記ラッチ機構に物理的に結合される、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記細長い本体は、該細長い本体の前記第1の位置が前記位置決め機構を介して前記エンクロージャに対して固定された時に
位置決め機構から延びるように構成された実質的に線形の延長アームと、前記細長い本体の第1の屈曲部において前記延長アームに接続された実質的に線形のハンドルアームと、前記細長い本体の第2の屈曲部において前記延長アームに接続された実質的に線形のラッチアームとを含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の屈曲部は、実質的に90度の屈曲部を含む、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
ハンドルアームは、前記ラッチアームに対して実質的に垂直である、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記延長アームは、該延長アームが
位置決め機構から延びている時に前記エンクロージャの表面に当接して前記細長い本体の第2の位置を前記エンクロージャに対して固定するように構成された停止機構を含む、
請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記位置決め機構は、前記エンクロージャの曲線状エッジに噛み合うように構成された1又は2以上の柔軟な支持体を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記エンクロージャは、遊園地乗り物の車両を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
1又は2以上の乗客を収容するように構成された車両であって、該車両からの前記1又は2以上の乗客の退出を抑止するように構成された固定部材を含む、車両と、
前記車両の前記固定部材に係止されるように構成された退出抑止装置と、
を備えた退出抑止システムであって、前記退出抑止装置は、
細長い本体と、
前記細長い本体の第1の端部に配置されたハンドル部分と、
前記細長い本体の第2の端部に配置されて、前記車両の前記固定部材に係止されるように構成されたラッチ機構と、
前記細長い本体の長さに沿って前記細長い本体の前記第1及び第2の端部間に配置されて、前記ラッチ機構を作動させるように構成された作動機構と、
前記細長い本体の長さに沿って前記細長い本体の前記第1及び第2の端部間に配置されて、前記細長い本体の第1の位置を前記車両に対して固定するように構成された位置決め機構と、
を含み、前記細長い本体は、該細長い本体の前記第1の位置が前記位置決め機構を介して前記車両に対して固定された時に
位置決め機構から延びるように構成される、
ことを特徴とする退出抑止システム。
【請求項12】
前記ラッチ機構は、前記車両の前記固定部材に係止されるように構成されたフックを含む、
請求項11に記載の退出抑止システム。
【請求項13】
前記ラッチ機構はバネ付勢され、前記作動機構は、前記ラッチ機構の前記バネ付勢に対抗することによって前記ラッチ機構を開くように構成される、
請求項11に記載の退出抑止システム。
【請求項14】
前記作動機構は、ケーブルの第1の端部において前記ケーブルに物理的に結合されたケーブル引き寄せ部を含み、前記ケーブルは、該ケーブルの第2の端部において前記ラッチ機構に物理的に結合される、
請求項11に記載の退出抑止システム。
【請求項15】
前記細長い本体は、該細長い本体の前記第1の位置が前記位置決め機構を介して前記車両に対して固定された時に
位置決め機構から延びるように構成された実質的に線形の延長アームと、前記細長い本体の第1の屈曲部において前記延長アームに接続された実質的に線形のハンドルアームと、前記細長い本体の第2の屈曲部において前記延長アームに接続された実質的に線形のラッチアームとを含む、
請求項11に記載の退出抑止システム。
【請求項16】
前記第1及び第2の屈曲部は、実質的に90度の屈曲部を含む、
請求項15に記載の退出抑止システム。
【請求項17】
ハンドルアームは、前記ラッチアームに対して実質的に垂直である、
請求項16に記載の退出抑止システム。
【請求項18】
前記延長アームは、該延長アームが
位置決め機構から延びている時に前記車両の表面に当接して前記細長い本体の第2の位置を前記車両に対して固定するように構成された停止機構を含む、
請求項15に記載の退出抑止システム。
【請求項19】
前記位置決め機構は、前記車両の曲線状エッジに噛み合うように構成された1又は2以上の柔軟な支持体を含む、
請求項11に記載の退出抑止システム。
【請求項20】
実質的に線形のハンドルアームと、
実質的に90度の第1の屈曲部を介して前記ハンドルアームに接続された実質的に線形の延長アームと、
実質的に90度の第2の屈曲部を介して前記延長アームに接続された実質的に線形のラッチアームと、
ケーブルの第1の端部において前記ケーブルに物理的に結合されたケーブル引き寄せ部と、
を備えた装置であって、
前記延長アームは、該延長アームの長手方向軸に沿って延びるように構成されるとともに、
車両の曲線状エッジに噛み合って前記延長アームの第1の位置を前記車両に対して固定するように構成された1又は2以上の柔軟な支持体と、
前記延長アームが
該延長アームの長手方向に延びている時に前記車両の表面に当接して前記延長アームの第2の位置を前記車両に対して固定するように構成されたストッパプレートと、
を含み、
前記ラッチアームは、前記ハンドルアームに対して実質的に垂直であるとともに、前記ラッチアームの前記第2の屈曲部とは反対側の端部に配置されて前記車両の固定部材に係止されるように構成されたバネ付勢式フックを含み、
前記ケーブルは、該ケーブルの第2の端部において前記バネ付勢式フックに物理的に結合され、前記ケーブル引き寄せ部は、前記バネ付勢式フックのバネ付勢に対抗することによって前記バネ付勢式フックを開くように構成される、
ことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2019年5月23日に出願された「ゲスト退出を抑止するためのシステム及び方法(Systems and Methods for Deterring Guest Evacuations)」という名称の米国仮特許出願第62/851960号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、この文献はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般に遊園地の分野に関する。具体的には、本開示の実施形態は、乗り物車両などの遊園地アトラクションからの早計なゲスト退出を抑止するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、遊園地乗り物車両が乗り物経路に沿った周回を完了した後などの遊園地アトラクションの未使用時間帯に、アトラクションを使用しているゲストが、特定のアトラクションに関連する一定の手続きが行われる前にアトラクションから降りようと試みることがある。このようなことをすれば、ゲストが正しい位置でアトラクションから降りられなくなり、例えばこれによってそのゲスト自身及び遊園地の他のゲストに関連する運搬上の問題が生じる恐れがある。従って、より秩序正しいアトラクションからの退出を促す必要がある。
【0004】
本節は、以下で説明及び/又は特許請求する本技術の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介するためのものである。本考察は、読者に背景事情を示して本開示の様々な態様のより良い理解を促す上で役立つと考えられる。従って、これらの記載は、先行技術を認めるものとしてではなく、上記の観点から読むべきものであると理解されたい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、当初の特許請求の範囲の主題と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、特許請求する主題の範囲を限定するものではなく、むしろ本主題の可能な形態の概要を示すものにすぎない。実際には、本主題は、以下に示す実施形態と類似し得る又は異なり得る様々な形態を含むことができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、装置が細長い本体を含む。装置は、細長い本体の第1の端部に配置されたハンドル部分も含む。装置は、細長い本体の第2の端部に配置されたラッチ機構をさらに含む。ラッチ機構は、エンクロージャの部材に係止されるように構成される。また、装置は、細長い本体の長さに沿って細長い本体の第1及び第2の端部間に配置された作動機構を含む。作動機構は、ラッチ機構を作動させるように構成される。装置は、細長い本体の長さに沿って細長い本体の第1及び第2の端部間に配置された位置決め機構も含む。位置決め機構は、細長い本体の第1の位置をエンクロージャに対して固定するように構成される。細長い本体は、細長い本体の第1の位置が位置決め機構を介してエンクロージャに対して固定された時にエンクロージャに対して延びるように構成される。
【0007】
また、いくつかの実施形態では、退出抑止システムが、1又は2以上の乗客を収容するように構成された車両を含む。車両は、車両からの1又は2以上の乗客の退出を抑止するように構成された部材を含む。退出抑止システムは、車両の部材に係止されるように構成された退出抑止装置も含む。退出抑止装置は、細長い本体を含む。退出抑止装置は、細長い本体の第1の端部に配置されたハンドル部分も含む。退出抑止装置は、細長い本体の第2の端部に配置されたラッチ機構をさらに含む。ラッチ機構は、車両の部材に係止されるように構成される。また、退出抑止装置は、細長い本体の長さに沿って細長い本体の第1及び第2の端部間に配置された作動機構を含む。作動機構は、ラッチ機構を作動させるように構成される。退出抑止装置は、細長い本体の長さに沿って細長い本体の第1及び第2の端部間に配置された位置決め機構も含む。位置決め機構は、細長い本体の第1の位置を車両に対して固定するように構成される。細長い本体は、細長い本体の第1の位置が位置決め機構を介して車両に対して固定された時に車両に対して延びるように構成される。
【0008】
また、いくつかの実施形態では、装置が、実質的に線形のハンドルアームを含む。装置は、実質的に90度の第1の屈曲部を介してハンドルアームに接続された実質的に線形の延長アームも含む。延長アームは、延長アームの長手方向軸に沿って延びるように構成される。また、延長アームは、車両の曲線エッジ(contoured edges)に噛み合って延長アームの第1の位置を車両に対して固定するように構成された1又は2以上の柔軟な支持体(compliant supports)を含む。延長アームは、延長アームが車両に対して延びている時に車両の表面に当接して延長アームの第2の位置を車両に対して固定するように構成されたストッパプレートも含む。装置は、実質的に90度の第2の屈曲部を介して延長アームに接続された実質的に線形のラッチアームをさらに含む。ラッチアームは、ハンドルアームに対して実質的に垂直である。ラッチアームは、ラッチアームの第2の屈曲部とは反対側の端部に配置されたバネ付勢式フックを含む。バネ付勢式フックは、車両の部材に係止されるように構成される。また、装置は、ケーブルの第1の端部においてケーブルに物理的に結合されたケーブルを含む。ケーブルは、ケーブルの第2の端部においてバネ付勢式フックに物理的に結合される。ケーブル引き寄せ部(cable pull)は、バネ付勢式フックのバネ付勢に対抗することによってバネ付勢式フックを開くように構成される。
【0009】
本開示の様々な態様に関連して、上述した特徴の様々な改善を行うこともできる。また、これらの様々な態様にさらなる特徴を組み込むこともできる。これらの改善及びさらなる特徴は、個別に又はあらゆる組み合わせで存在することができる。
【0010】
全体を通じて同じ要素を同じ記号で示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態によるゲスト退出抑止システムの斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態による
図1のゲスト退出抑止装置の斜視図である。
【
図3】本開示の実施形態による
図2のゲスト退出抑止装置の上面図である。
【
図4】本開示の実施形態による
図2のゲスト退出抑止装置の側面図である。
【
図5】本開示の実施形態による、
図2のゲスト退出抑止装置のラッチ機構及びラッチアームの一部の上面図である。
【
図6】本開示の実施形態による、
図2のゲスト退出抑止装置のラッチ機構及びラッチアームの一部の側面図である。
【
図7】本開示の実施形態による、
図2のゲスト退出抑止装置の柔軟な支持体の斜視図である。
【
図8】本開示の実施形態による、乗り物車両の曲線状の表面に噛み合ってゲスト退出抑止装置の第1の位置を乗り物車両に対して固定するゲスト退出抑止装置の2つの柔軟な支持体を示す図である。
【
図9】本開示の実施形態による、乗り物車両に関連する固定部材に係止された後のゲスト退出抑止装置のラッチ機構を示す図である。
【
図10】本開示の実施形態による、ラッチ機構のラッチを作動させて乗り物車両の固定部材の解放を促すために使用するゲスト退出抑止装置の作動機構を示す図である。
【
図11】本開示の実施形態によるゲスト退出抑止装置の標識を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の1又は2以上の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するために、本明細書では実施の特徴を全て説明していない場合もある。あらゆる工学又は設計プロジェクトにおいて見られるようなあらゆるこのような実施の開発においては、実施によって異なり得るシステム関連及びビジネス関連の制約の順守などの開発者の個別の目的を達成するために、数多くの実施固有の決定を行わなければならないと理解されたい。さらに、このような開発努力は複雑で時間が掛かる場合もあるが、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては設計、製作及び製造という日常的な取り組みであると理解されたい。さらに、本発明において平行及び垂直などの特定の用語を使用する限り、これらの用語は、厳密な数学的定義からの逸脱を可能にし、例えば製造上の不完全性及び関連する許容誤差に関連する逸脱を認めるものであると理解されたい。
【0013】
本開示の様々な実施形態の要素を紹介する場合、「a」、「an」及び「the」といった冠詞は、これらの要素が1つ又は2つ以上存在することを意味するものとする。「備える(comprising)」、「含む(including)」及び「有する(having)」という用語は、包括的なものとして意図されており、列記する要素以外のさらなる要素が存在し得ることを意味する。また、本開示の「1つの実施形態」又は「ある実施形態」についての言及は、記載する特徴も含むさらなる実施形態の存在を排除するものとして解釈されるように意図するものではないと理解されたい。
【0014】
本開示は、ゲストが不適切な時点で及び/又は不適切な方向に遊園地アトラクションから退出しようと試みるのを防ぐように構成されたゲスト退出抑止システムを提供する。具体的には、本明細書で説明する実施形態は、特定の遊園地乗り物車両からの適切なゲスト退出を促す形で乗り物車両と物理的に相互作用するように構成されたゲスト退出抑止装置を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書で説明するゲスト退出抑止装置が、遊園地乗り物車両の固定部材又はその他の部分に係止される(例えば、1又は2以上のゲストの乗り物車両からの退出を促す)ように構成されたラッチ機構を有するラッチアームと、ゲスト退出抑止装置の第1の位置を乗り物車両に対して固定するように構成された位置決め機構と、ゲスト退出抑止装置の位置決め機構が第1の位置を乗り物車両に対して固定した時点でラッチ機構を乗り物車両に向けて延ばすように構成された延長アームと、延長アームが延びた後に乗り物車両の表面に当接してラッチ機構が乗り物車両に対して正しく位置することを確実にするように構成された停止機構と、ラッチ機構を開く(例えば、乗り物車両の固定部材を解放する)ように構成された作動機構とを含む。本明細書でさらに詳細に説明しているように、ゲスト退出抑止装置のこれらの特徴は、遊園地乗り物車両からの適切なゲスト退出を確実にすることができる一連の再現可能なステップを促す。
【0015】
開示する実施形態は、一般に遊園地乗り物車両の文脈で説明するが、本明細書で説明するゲスト退出抑止システム及び装置は他の文脈で使用することもできると理解されたい。例えば、本明細書で説明するゲスト退出抑止システム及び装置は、内部で遊園地ゲストが立つこと又は座ることができる構造を含む他の遊園地アトラクションと共に使用することができる。実際に、本明細書で説明するゲスト退出抑止システム及び装置は、他の用途(すなわち、遊園地以外の用途)に拡張することもできる。従って、本明細書で説明するゲスト退出抑止システム及び装置の特定の構造(例えば、材料、形状、サイズなど)は、所望の用途に従って実装することができる。
【0016】
図1は、ゲスト退出抑止システム10の斜視図である。具体的には、
図1に示すように、いくつかの実施形態では、ゲスト退出抑止システム10が、乗り物車両14に乗車しているゲストが適切な時点で乗り物車両14から降りることを確実にするように乗り物車両14と物理的に相互作用するよう構成されたゲスト退出抑止装置12を含む。例えば、本明細書でさらに詳細に説明しているように、ゲスト退出抑止装置12は、乗り物車両14と物理的に相互作用して、例えば乗り物車両14のドアをロック解除して、ゲストが乗り物車両14から退出し、その後に乗り物車両14から離れることを可能にするように構成することができる。
【0017】
図2は、
図1のゲスト退出抑止装置12の斜視図である。図示のように、いくつかの実施形態では、ゲスト退出抑止装置12が細長い本体16を含むことができ、細長い本体16の第1の端部20にはハンドル18が配置され、細長い本体16の第2の端部24(すなわち、第1の端部20の反対側)にはラッチ機構22が配置される。いくつかの実施形態では、細長い本体16を、比較的小さな直径(例えば、1インチ又は25ミリメートル直径)を有するアルミニウム管などの中空管状部材とすることができる。しかしながら、細長い本体16の他の実施形態は、異なる材料及びサイズなどを利用することもできると理解されたい。
【0018】
本明細書でさらに詳細に説明しているように、いくつかの実施形態では、ラッチ機構22が、
図1に示す乗り物車両14などの遊園地乗り物車両の固定部材に対して係止及び解放されるように構成されたバネ付勢式ラッチ付きのフックを含むことができる。しかしながら、ラッチ機構22の他の実施形態は、遊園地乗り物車両の固定部材に対して係止及び解放される異なる実装を利用することもできると理解されたい。本明細書でさらに詳細に説明しているように、いくつかの実施形態では、ラッチ機構22を、ラッチ機構22が遊園地乗り物車両の固定部材に対して適所に来た時に遊園地乗り物車両の固定部材に自動的に係止されるように構成することができる。その後、ラッチ機構22は、本明細書でさらに詳細に説明しているように遊園地乗り物車両の固定部材を解放することができる。また、本明細書で説明するラッチ機構22の設計は、ゲストが遊園地乗り物車両の固定部材からゲスト退出抑止装置12を偶発的に払い落とす(knocking)ことも防ぐと理解されたい。
【0019】
やはり
図2に示すように、いくつかの実施形態では、ゲスト退出抑止装置12が、細長い本体16の長さに沿って細長い本体16の第1の端部20と第2の端部24との間に配置された作動機構26を含むことができる。一般に、作動機構26は、ラッチ機構22を作動させて、例えば遊園地乗り物車両の固定部材を解放するように構成される。本明細書でさらに詳細に説明しているように、いくつかの実施形態では、作動機構26が、ケーブル30に物理的に結合されたケーブル引き寄せ部28を含むことができ、ケーブル30は、細長い本体16の内部容積を通じてケーブル引き寄せ部28からラッチ機構22に延びる。具体的には、いくつかの実施形態では、本明細書でさらに詳細に説明しているように、ケーブル30がその第1の端部32においてケーブル引き寄せ部28に物理的に結合され、第2の端部34においてラッチ機構22に物理的に結合される。いくつかの実施形態では、作動機構26を、ラッチ機構22のバネ付勢に対抗することによってラッチ機構22を開くように構成することができる。しかしながら、作動機構26の他の実施形態は、(例えば、ケーブル30を操作するように構成されたハンドル/レバーの組み合わせなどの)ラッチ機構22を作動させる異なる実装を利用することもできると理解されたい。
【0020】
やはり
図2に示すように、いくつかの実施形態では、ゲスト退出抑止装置12が、細長い本体16の長さに沿って細長い本体16の第1の端部20と第2の端部24との間に配置された位置決め機構36を含むこともできる。一般に、位置決め機構36は、細長い本体16の第1の位置を遊園地乗り物車両に対して固定するように構成される。本明細書でさらに詳細に説明しているように、いくつかの実施形態では、位置決め機構36が、乗り物車両の曲線エッジに噛み合って細長い本体16の第1の位置を乗り物車両に対して固定するように構成された1又は2以上の柔軟な支持体38(例えば、ゴム又はその他のエラストマ支持体)を含むことができる。しかしながら、位置決め機構36の他の実施形態は、細長い本体16の第1の位置を遊園地乗り物車両に対して固定する異なる実装を利用することもできると理解されたい。
【0021】
本明細書でさらに詳細に説明しているように、いくつかの実施形態では、細長い本体16を、細長い本体16の第1の位置が位置決め機構36を介して乗り物車両に対して固定されている時に遊園地乗り物車両に対して(例えば、矢印40で示すように)延びるように構成することができる。具体的には、やはり本明細書でさらに詳細に説明しているように、いくつかの実施形態では、細長い本体16が、細長い本体16の第1の位置が位置決め機構36を介して乗り物車両に対して固定された時に遊園地乗り物車両に対して(例えば、矢印40で示すように)延びるように構成された実質的に線形の延長アーム42と、細長い本体16の第1の屈曲部46において延長アーム42に接続された実質的に線形のハンドルアーム44と、細長い本体16の第2の屈曲部50において延長アーム42に接続された実質的に線形のラッチアーム48とを含むことができる。本明細書で使用する「実質的に線形」という用語は、ある特徴(例えば、細長い本体16の様々なアーム42、44、48)がその特徴の終点に対して線形からのほんのわずかな変動内(例えば、5度以内、4度以内、3度以内、2度以内、1度以内又はそれよりも線形)で特徴の長さに沿って線形であること表すように意図される。
【0022】
本明細書でさらに詳細に説明しているように、いくつかの実施形態では、細長い本体16の第1及び第2の屈曲部46、50を、例えばハンドルアーム44及びラッチアーム48がいずれも延長アーム42に対して実質的に垂直であるように実質的に90度の屈曲部とすることができる。実際に、いくつかの実施形態では、ハンドルアーム44及びラッチアーム48を互いに実質的に直角とすることで、延長アーム42の長手方向軸52を中心とするゲスト退出抑止装置12の回転によってゲスト退出抑止装置12が遊園地乗り物車両の固定部材と物理的に相互作用する目的で容易に操作されるようにすることもできる。本明細書に使用する「実質的に垂直」という用語は、ある特徴(例えば、細長い本体16の様々なアーム42、44、48)がその特徴の終点に対して垂直からのほんのわずかな変動内(例えば、5度以内、4度以内、3度以内、2度以内、1度以内又はそれよりも線形)で互いに垂直であることを表すように意図される。同様に、「実質的に90度」という用語は、ある角度(例えば、第1及び第2の屈曲部46、50の角度)が87度~93度であること、88度~92度であること、89度~91度であること、又はそれよりも90度に近いことを表すように意図される。
【0023】
やはり
図2に示すように、いくつかの実施形態では、ゲスト退出抑止装置12が、細長い本体16の長さに沿って細長い本体16の第1の端部20と第2の端部24との間に配置された停止機構54を含むこともできる。一般に、停止機構54は、延長アーム42が遊園地乗り物車両に対して延びている時に遊園地乗り物車両の表面に当接して細長い本体16の第2の位置を遊園地乗り物車両に対して固定するように構成される。本明細書でさらに詳細に説明しているように、いくつかの実施形態では、停止機構54が、延長アーム42が遊園地乗り物車両に対して延びている時に遊園地乗り物車両の表面に当接して細長い本体16の第2の位置を遊園地乗り物車両に対して固定するように構成された金属ストッパプレートを含むことができる。しかしながら、停止機構54の他の実施形態は、細長い本体16の第2の位置を遊園地乗り物車両に対して固定する異なる実装を利用することもできると理解されたい。
【0024】
やはり
図2に示すように、いくつかの実施形態では、ゲスト退出抑止装置12が、遊園地乗り物車両のゲストにその時点で及び/又はゲスト退出抑止装置12の方向に遊園地乗り物車両から退出しようと試みるべきではないことを通知する、例えば世界共通語の立ち入り禁止標識などの標識56を含むこともできる。例えば、
図11にゲスト退出抑止装置12の標識56を示す。いくつかの実施形態では、ゲスト退出抑止装置12のラッチ機構22が遊園地乗り物車両の固定部材に係合している場合(すなわち、ゲストが遊園地乗り物車両から正しく退出できる場合)、例えば遊園地乗り物車両の内部の視界から標識56の向きに少なくとも部分的に起因して標識56を隠すこともできると理解されたい。
【0025】
図3は、
図2のゲスト退出抑止装置12の上面図である。また、
図4は、
図2のゲスト退出抑止装置12の側面図である。図示のように、いくつかの実施形態では、作動機構26のケーブル引き寄せ部28、1又は2以上の柔軟な支持体38及び停止機構54が、ゲスト退出抑止装置12の第1の屈曲部46と第2の屈曲部50との間に延長アーム42の長さに沿って連続して配置される。
【0026】
図5は、
図2のゲスト退出抑止装置12のラッチ機構22、及びラッチアーム48の一部の上面図である。また、
図6は、
図2のゲスト退出抑止装置12のラッチ機構22、及びラッチアーム48の一部の側面図である。
図6に示すように、いくつかの実施形態では、ラッチ機構22が、メインフック部分58と、ヒンジ点62においてメインフック部分58に物理的に結合されるラッチ60とを含む。
図5及び
図6に示すように、いくつかの実施形態では、メインフック部分58を1又は2以上の結合プレート64によってラッチアーム48に物理的に結合することができる。具体的には、
図5に示すように、いくつかの実施形態では、メインフック部分58及びラッチアーム48の両側に配置された2つの結合プレート64を介してメインフック部分58をラッチアーム48に物理的に結合することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、ラッチ60をばね付勢することによって、ラッチ60がメインフック部分58に対して閉位置に付勢される一方で、特定の物体(例えば、遊園地乗り物車両の固定部材)がラッチ60を部分的に開いた位置に押し込んでメインフック部分58によって定められる空間66内に入り込み(すなわち、ラッチ機構22が物体に係止され)、その後にメインフック部分58によって定められる空間66内に物体が入り込んだ時点で閉位置に戻ることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、メインフック部分58によって定められる空間66内から物体を解放するために、本明細書で説明する作動機構26によってラッチ60を部分的に開いた位置に作動させることができる。具体的には、
図6に示すように、いくつかの実施形態では、ラッチ60にケーブル30を物理的に結合して、本明細書で説明する作動機構26がラッチ60のバネ付勢の性質に対抗して、例えばラッチ機構22によって係止されていた特定の物体(例えば、遊園地乗り物車両の固定部材)を解放することを可能にすることができる。
図6に示すように、いくつかの実施形態では、ラッチアーム48が、ラッチアーム48の内部容積72内からケーブル30が通過してラッチアーム48の外部でケーブル30がラッチ60に物理的に結合することを促す、ラッチアーム48の壁70を貫通する小開口部68を含むことができる。
【0028】
図7は、
図2のゲスト退出抑止装置12の柔軟な支持体38の斜視図である。図示のように、いくつかの実施形態では、柔軟な支持体38が、ゲスト退出抑止装置12の細長い本体16(例えば、具体的には延長アーム42)が内部に収まるように柔軟な支持体38の本体部分76全体を貫通する開口部74を含む。図示のように、いくつかの実施形態では、柔軟な支持体38の本体部分76が、ゲスト退出抑止装置12の細長い本体16(例えば、具体的には延長アーム42)が開口部74に挿入されることを容易にする、本体部分76を貫通して開口部74と実質的に平行に延びるスリット78を含むことができる。具体的には、柔軟な支持体38の柔軟性は、延長アーム42を開口部74に挿入できるように比較的容易に操作することができると理解されたい。
【0029】
やはり
図7に示すように、いくつかの実施形態では、柔軟な支持体38が、柔軟な支持体38の本体部分76から延びる脚部82などの特定の位置決め機構80を含むことができる。位置決め機構80は、例えば乗り物車両の特定の曲線エッジに噛み合って(例えば、当接して)ゲスト退出抑止装置12の第1の位置を乗り物車両に対して固定するように特別に設計することができる。例えば、
図8に、ゲスト退出抑止装置12の2つの柔軟な支持体38が乗り物車両14の曲線状の表面84に噛み合ってゲスト退出抑止装置12の第1の位置を乗り物車両14に対して固定している様子を示す。
【0030】
本明細書でさらに詳細に説明しているように、いくつかの実施形態では、ゲスト退出抑止装置12のラッチ機構22が、ラッチ機構22のラッチ60のバネ付勢の性質に少なくとも部分的に起因して特定の物体に係止されるように構成される。例えば、
図9に、乗り物車両14に関連する固定部材86に係止された後のゲスト退出抑止装置12のラッチ機構22を示す。本明細書でさらに詳細に説明しているように、ラッチ機構22のラッチ60は、乗り物車両14の固定部材86をラッチ機構22から解放するように(例えば、作動機構26によって)作動することができる。例えば、
図10に、ラッチ機構22のラッチ60を作動させて乗り物車両14の固定部材86の解放を促すために使用できる(例えば、図示の実施形態ではケーブル引き寄せ部28である)作動機構26を示す。
【0031】
本明細書で説明するように、ゲスト退出抑止装置12は、例えば乗り物車両14と物理的に相互作用して、ゲストが不適切な時点で及び/又は不適切な方向に乗り物車両14から退出しようと試みるのを防ぐように構成される。例えば、動作時には、オペレータが、ラッチアーム48が地面に対して90度の角度になるような向きにハンドル18においてゲスト退出抑止装置12を保持することができる。次に、オペレータは、ゲスト退出抑止装置12の1又は2以上の柔軟な支持体38が乗り物車両に接して正しく着座するまでゲスト退出抑止装置12を乗り物車両14の曲線表面84上に下げ始める(すなわち、ゲスト退出抑止装置12の第1の所定の位置を乗り物車両に対して固定し始める)ことができる(例えば、
図10を参照)。次に、オペレータは、停止機構54が乗り物車両の別の表面に接触するまで矢印40で示すようにゲスト退出抑止装置12の延長アーム42を延ばす(すなわち、ゲスト退出抑止装置12の第2の所定の位置を乗り物車両に対して固定する)ことができる。ゲスト退出抑止装置12の1又は2以上の柔軟な支持体38及び停止機構54がそれぞれの所定の位置に来ると、オペレータは、ハンドル18を使用して、例えばラッチ機構22のバネ付勢されたラッチ60が乗り物車両14の固定部材86を捕捉する(例えば、
図9を参照)までラッチアーム48が反時計回り方向に約90度(例えば、80度~100度、85度~95度、88度~92度など)回転するように、矢印88によって示すように延長アーム42の長手方向軸52を中心にゲスト退出抑止装置12を回転させることができる。この時点でゲストは乗り物車両から退出することができ、オペレータは、その後に作動機構26を使用してラッチ機構22のラッチ60を開いて乗り物車両14の固定部材86を解放することができる。その後、オペレータは、この手順を逆の順序で実行して乗り物車両14からゲスト退出抑止装置12を取り外すことができる。
【0032】
ここで再び
図1を参照すると、いくつかの実施形態では、乗り物車両14が、乗り物車両14の片側に配置されたドア90と、乗り物車両14の反対側に配置された間隙、ドア92又は同等のものとを含むことができる。本明細書でさらに詳細に説明しているように、ゲスト退出抑止装置12は、乗り物車両14の退出中又は通常運転中に、例えば別様に直感的な見た目の経路(otherwise intuitive-looking path)(例えば、ドア92)を通じてゲストが好ましくない方法で乗り物車両14から退出するのを防ぐように構成される。特に、
図1に示すように、ゲスト退出抑止装置12は、ゲストがこのような経路を介して乗り物車両14から退出するのを阻止するように構成することができる。また、本明細書でさらに詳細に説明しているように、ゲスト退出抑止装置12上の標識56は、ゲストにこのような経路を取らないように警告することができる。
【0033】
本明細書では、いくつかの特徴のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正及び変更が思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本開示の実際の趣旨に該当する全てのこのような修正及び変更を含むものであると理解されたい。
【0034】
本明細書に示して特許請求する技術は、本技術分野を確実に改善する、従って抽象的なもの、無形のもの又は純粋に理論的なものではない実際的性質の有形物及び具体例を参照し、これらに適用される。さらに、本明細書の最後に添付するいずれかの請求項が、「...[機能]を[実行]する手段」又は「...[機能]を[実行]するステップ」として指定されている1又は2以上の要素を含む場合、このような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈すべきである。一方で、他のいずれかの形で指定された要素を含むあらゆる請求項については、このような要素を米国特許法112条(f)に従って解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0035】
12 ゲスト退出抑止装置
16 細長い本体
18 ハンドル
20 細長い本体の第1の端部
22 ラッチ機構
24 細長い本体の第2の端部
26 作動機構
28 ケーブル引き寄せ部
30 ケーブル
32 ケーブルの第1の端部
34 ケーブルの第2の端部
36 位置決め機構
38 柔軟な支持体
40 横方向
42 延長アーム
44 ハンドルアーム
46 細長い本体の第1の屈曲部
48 ラッチアーム
50 細長い本体の第2の屈曲部
52 延長アームの長手方向軸
54 停止機構
56 標識
60 ラッチ
88 回転方向