(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】ジャイロスコープおよびオプティカルフローセンサスケールの較正
(51)【国際特許分類】
G01C 21/28 20060101AFI20241119BHJP
G01C 19/00 20130101ALI20241119BHJP
B25J 19/02 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G01C21/28
G01C19/00 Z
B25J19/02
(21)【出願番号】P 2021577607
(86)(22)【出願日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 US2020039513
(87)【国際公開番号】W WO2020264089
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-04-24
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520330641
【氏名又は名称】シーバ・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・チャールズ・カールソン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エー・クック
(72)【発明者】
【氏名】ジャンルエ・ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ユン・リ
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-20289(JP,A)
【文献】特開2016-76248(JP,A)
【文献】国際公開第2016/187757(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/28
G01C 19/00
B25J 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャイロスコープによって
表面において動作するロボットの物理運動を検知するステップと、
オプティカルフロー(OF)セン
サおよび/またはカメ
ラによって、
前記表面上の1つまたは複数の反射性基準マークを検知することにより、1つまたは複数の画像信号を
生成するステップ
であって、前記1つまたは複数の画像信号は情報を含む、ステップと、
前記検知された物理運動および前記情報に基づいて、
前記ジャイロスコープおよび前記OFセンサの各々のセンサ較正パラメータの推定を導出するステップと
を含
み、
前記情報が、前記1つまたは複数の画像信号の各フレームにおいてそれぞれの画像の関数を含み、
前記関数が画質および/または画像輝度に関連するものである、方法。
【請求項2】
前記情報および/またはセンサ較正パラメータの前記推定に基づいて前記ジャイロスコープを較正するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ジャイロスコープを較正するステップが、
前記情報と前記検知された物理運動との間の関係を識別するステップと、
前記識別された関係に基づいて、前記ジャイロスコープのスケール
係数を較正するステップと
を含む、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記ロボットの前記物理運動が、定位置回転および/または360度を超える回転である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ロボットの前記物理運動が、任意の表面、または未知の表面パターンを有する表面において検知される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数の
画像信号が周期信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記情報に基づいて、
前記表面に対する前記ロボットの角運動を推定するステップと、
前記推定された角運動に基づいて前記ジャイロスコープのスケール
係数を較正するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記OFセンサおよび/またはカメラにおいて、既知のロボットジオメトリに基づいて角速度を直線速度に関連付けるステップと、
前記OFセンサおよび/またはカメラの変位スケールを計算するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
表面において動作するロボットの物理運動を検知するように構成されたジャイロスコープと、
前記表面上の1つまたは複数の反射性基準マークを検知することにより、1つまたは複数の画像信号を生成するように構成されたオプティカルフロー(OF)センサおよび/またはカメラ
であって、前記1つまたは複数の画像信号は情報を含む、OFセンサおよび/またはカメラと、
前記検知された物理運動および前記情報に基づいて、
前記ジャイロスコープおよび前記OFセンサの各々のセンサ較正パラメータの推定を導出するように構成されたプロセッサと
を備え
、
前記情報が、前記1つまたは複数の画像信号の各フレームにおいてそれぞれの画像の関数を含み、
前記関数が画質および/または画像輝度に関連するものである、システム。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記情報および/またはセンサ較正パラメータの前記推定に基づいて前記ジャイロスコープを較正するようにさらに構成されている、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサが、
前記情報と前記検知された物理運動との間の関係を識別するステップと、
前記識別された関係に基づいて、前記ジャイロスコープのスケール
係数を較正するステップと
によって前記ジャイロスコープを較正するようにさらに構成されている、請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ロボットの前記物理運動が、定位置回転および/または360度を超える回転である、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記ロボットの前記物理運動が、任意の表面、または未知の表面パターンを有する表面において検知される、請求項
9に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つまたは複数の
画像信号が周期信号である、請求項
9に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサが、
前記情報に基づいて、
前記表面に対する前記ロボットの角運動を推定して、
前記推定された角運動に基づいて前記ジャイロスコープのスケール
係数を較正する
ようにさらに構成されている、請求項
9に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサが、
前記OFセンサおよび/またはカメラにおいて、既知のロボットジオメトリに基づいて角速度を直線速度に関連付けて、
前記OFセンサおよび/またはカメラの変位スケールを計算する
ようにさらに構成されている、請求項
9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年6月28日出願の「Methods and Apparatus for Mutual Gyroscope Scale and Optical Flow Sensor Scale Calibration Through Optical Flow Image Quality Metadata」という名称の米国特許仮出願第62/868,591号に関し、その優先権を主張するものであり、その開示は参照によってここで組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
特に携帯電話、モバイルデバイス、デジタルカメラ、全地球測位システム(GPS)ユニット、ラップトップコンピュータおよびパームトップコンピュータ、自動車、ロボット掃除機などの電子デバイスについては、機能を強化するために、センサ(たとえば運動センサ)を含むことがますます普及し、広範囲にわたっている。たとえば、センサは、角速度を測定するジャイロスコープ、直線加速度を測定する加速度計、および/または画像特徴の経時的変位を測定するオプティカルフロー(OF)センサを含み得る。
【0003】
表面ロボティクスにおける多くの用途では、高品質のオドメトリ測定をうまくやりこなす必要がある。いくつかの例では、一般的なロボットプラットホームは、1)慣性測定(たとえば角速度を測定するためのジャイロスコープ、および/または直線加速度を測定するための加速度計)、2)グラウンドに対する直線運動予測(たとえば、ホイール回転を直線距離に変換するホイールエンコーダ、および/またはグラウンド表面における可視ポイントの相対運動を報告するオプティカルフロー(OF)センサ)、3)環境における障害物に対する距離予測(たとえば光検知測距(LIDAR)、赤外線近接、超音波)、ならびに/あるいは4)環境における障害物に対する接触検知(たとえばバンパスイッチ)といった、感知品質の1つもしくは複数、または任意の組合せを含み得る。
【0004】
消費者ロボット(たとえば平面ロボット、ロボット掃除機すなわちRVC)などのロボットシステムは、ナビゲーションおよび同時の位置確認とマッピング(SLAM)のために1つまたは複数の慣性測定ユニット(IMU)(またはIMUセンサ)および1つまたは複数のOFセンサを含み得る。1つまたは複数の加速度計およびジャイロスコープ(たとえばMEMSジャイロスコープ)を含有し得るIMUがもたらす直線加速度および角速度の測定結果は、何かの初期配向に対する配向(方向)を取得するために使用され得る。OFセンサは、グラウンド表面に対するセンサの直線速度の測定結果をもたらす。いくつかの例では、OFセンサは、画像特徴の経時的変位を測定し得る。たとえば、OFセンサは、サンプリングされる都度、連続したサンプル画像の間で移動した特徴画素の平均数を表す2次元(2D)変位ベクトルを報告し得る。場合によっては、OFセンサは、x軸およびy軸において、2つのサンプリングポイント間の変位を測定してよい。
【0005】
消費者ロボットは、スケーリングされたジャイロスコープの測定結果を積分することによって方向予測を取得し得る。ジャイロスコープスケールは、たとえば老化の影響によって部品の寿命が変化する可能性がある。OFセンサは、画質データ(ならびに表面に対する直線運動)をもたらし得る。
【0006】
ロボットシステムについては、ロボットシステムの高精度動作を達成するには正確な較正が重要であるため、センサ較正パラメータを取得してセンサを較正することが必須である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、スケール較正のための方法は、ジャイロスコープによってロボットの物理運動を検知するステップと、オプティカルフロー(OF)センサ(および/またはカメラ)によって、情報を含む1つまたは複数の画像信号を検知し、検知された物理運動および情報に基づいて、センサ較正パラメータの予測を導出するステップとを含む。
【0009】
別の実施形態によれば、スケール較正用のシステムは、ロボットの物理運動を検知するように構成されたジャイロスコープと、情報を含む1つまたは複数の画像信号を生成するように構成されたオプティカルフロー(OF)センサおよび/またはカメラと、検知された物理運動および情報に基づいて、センサ較正パラメータの予測を導出するように構成されたプロセッサとを含む。
【0010】
一実施形態によれば、ロボット上に配設されたジャイロスコープを較正するための方法は、較正表面上にロボットを配置するステップと、較正表面上でロボットを回転させるステップと、ジャイロスコープを使用してロボットの第1の方向を判定するステップと、画像センサを使用してロボットの第2の方向を判定するステップと、第1の方向および第2の方向に基づいてジャイロスコープを較正するステップとを含む。
【0011】
一実施形態によれば、ロボット上に配設されたジャイロスコープを較正するためのシステムは、較正面と、較正面上に配設されたロボットと、ロボット上に配設されたジャイロスコープと、ロボット上に配設された画像センサと、ジャイロスコープよって生成されたデータを使用してロボットの第1の方向を生成し、画像センサによって生成されたデータを使用してロボット第2の方向を生成するためのプロセッサであって、第1の方向および第2の方向を使用してジャイロスコープ用の較正パラメータを生成するようにさらに構成されているプロセッサとを含む。
【0012】
一実施形態によれば、ロボット上に配設されたジャイロスコープを較正するための方法は、ドッキングステーションにロボットをドッキングさせるステップであって、ロボットが、ジャイロスコープからの情報に基づいて第1の方向を得る、ステップと、ロボットを回転させてドッキングステーションから離れさせるステップと、ドッキングステーションにロボットを再度ドッキングさせるステップであって、ロボットが、ジャイロスコープからの情報に基づいて第2の方向を得る、ステップと、第1の方向と第2の方向との間の差に基づいてジャイロスコープを較正するステップとを含む。
【0013】
添付図面に関連して例として与えられる以下の詳細な説明から、より詳細な理解が得られるであろう。説明における図は例である。そのため、図および詳細な説明は、限定するものと見なされるべきではなく、他の同様に有効な例が可能であり、有望である。さらに、図における類似の参照数字は類似の要素を指示する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】1つまたは複数の実施形態による、記号参照を有する例示的ロボットシステムにおけるセンサの物理的配置の図である。
【
図2】1つまたは複数の実施形態による、オプティカルフロースケール感度の一例を示す図表である。
【
図3A】1つまたは複数の実施形態による、柔らかい表面上で動作するオプティカルフローセンサの一例を示す図表である。
【
図3B】1つまたは複数の実施形態による、硬い表面上で動作するオプティカルフローセンサの一例を示す図表である。
【
図4】1つまたは複数の実施形態による、表面周期較正パターンの一例を示す図表である。
【
図5】1つまたは複数の実施形態による、中央画素における、一般的な視野にわたる運動に関する異なる輝度の一例を示すグラフである。
【
図6】1つまたは複数の実施形態による、視野平均にわたって保存されたピーク信号周波数の一例を示すグラフを含む図である。
【
図7】1つまたは複数の実施形態による、測定された信号およびピーク周波数におけるジャイロスコープスケール誤差の影響の一例を示すグラフを含む図である。
【
図8】1つまたは複数の実施形態による、周波数検知アルゴリズムによるジャイロスケール較正の一例のブロック図である。
【
図9A】自然木の木目を有する例示的表面の図である。
【
図9B】1つまたは複数の実施形態による、(たとえば
図9Aの)自然木の木目を有する表面において動作するオプティカルフローセンサの角度/方向の位置の関数として検知された平均強度の一例を示すグラフである。
【
図10】1つまたは複数の実施形態による、(たとえばスケール誤差のない)木材表面上の円運動に関する全体的な自己相関結果の一例を示すグラフである。
【
図11A】1つまたは複数の実施形態による、周期検知手法用の工学的パターンの一例を示す図表である。
【
図11B】1つまたは複数の実施形態による、(たとえば
図11Aの)工学的パターンを有する表面において動作するオプティカルフローセンサの角度/方向の位置の関数として検知された平均強度の一例を示すグラフである。
【
図12】1つまたは複数の実施形態による、グローバルアライメントバーによってピーク周波数が損なわれることのない、工学的表面上の運動の自己相関およびDFTの一例を示すグラフを含む図である。
【
図13】1つまたは複数の実施形態による、運動によって誘起された変化が、基礎をなす信号に蓄積しないときの自己相関の状況を含む、非円形性によって導入された誤差のCDFの一例を示すグラフである。
【
図14】1つまたは複数の実施形態による、画質の自己相関を使用する、ジャイロスコープスケールの較正アルゴリズムの一例のブロック図である。
【
図15】1つまたは複数の実施形態による、基準マークベースの角距離検知のための例示の物理的配置を示すブロック図である。
【
図16A】1つまたは複数の実施形態による、例示的マーク検知メカニズムを示すブロック図である。
【
図16B】1つまたは複数の実施形態による、例示的マーク検知メカニズムを示すブロック図である。
【
図17】1つまたは複数の実施形態による、基準マークの配向とセンサの配向との間の関係の一例を示す図表である。
【
図18】1つまたは複数の実施形態による、回転の中心がロボットの中心にはない円運動の一例を示す図表である。
【
図19】説明された実施形態に関連して使用され得るロボットのブロック図表現である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の以下の詳細な説明は添付図面を参照する。別々の図面における同一の参照番号は、同一の要素または類似の要素を識別する。また、以下の詳細な説明は本発明を限定するものではない。その代わりに、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0016】
前述のように、ロボット電気掃除機などのロボットシステムは、1つまたは複数の加速度計を含むIMUおよび/またはジャイロスコープを有し得て、ロボットの制御に用いる方向情報をもたらす。ロボットは、画像特徴の変位を経時的に測定するOFセンサなどの他のセンサを含むかまたは内蔵し得る。平面ロボットシステムは、すべてのセンサからのデータにアクセスできるプロセッサなどのコントローラをも有し得、したがって、ロボットの運動ならびに位置状態および/または配向状態を計算することができる。たとえば、ホイールエンコーダとカメラとの両方が動きを示さず、すべてのモータがアイドル状態であれば、コントローラは、ロボットが静止していると合理的に想定し得る。
【0017】
加えて、ロボットは、任意の軸のまわりの回転および/または任意の方向の並進、ならびに/あるいはロボットの他の部品(たとえばロボットの本体に対して移動するメカニカルアーム)に対するロボットの部品の回転および並進を含む任意数のやり方でロボットを移動させるためのモータを含み得る。コントローラは、モータを制御することによってロボットの運動を指導するようにも適合され得る。
【0018】
様々な実施形態において、OFセンサおよびIMUは同一のロボット上にあってよく、したがって、両者の角速度は全体的に同一であるはずであり、それらの運動パラメータは、他方を使用して一方を較正することができ得るように関連付けられ得る。たとえば、OFセンサおよびIMUは、同一の剛体(たとえば平面ロボットシステム)上にあり得、OFセンサの運動量とIMUの運動量(たとえば両者の速度)は、剛体の式によって関連付けられ得る。一例では、ロボットのコントローラ(または他の処理デバイス)は、OFセンサの較正を改善するために、IMUまたはIMUのセンサならびに/あるいは他のセンサおよび構成要素(たとえばカメラ、ホイールエンコーダ)からのデータを使用し得る。別の例では、コントローラ(または他の処理デバイス)は、ロボットシステムのIMU(たとえばIMUのジャイロスケール)を較正するためにOFセンサからのデータを使用し得る。たとえば、OFセンサ精度が十分に優れていれば、ロボットシステムのジャイロスコープスケールを較正するためにOFセンサが使用されてよい。
【0019】
センサシステムの説明
図1は、ロボットシステムにおけるセンサの物理的配置に関する例示の図である。
図1の図は、様々な量と参照フレームとを互いに関連付けるために使用される表記法を要約するものである。
【0020】
表記法
【0021】
【0022】
は、ポイントAにおける参照Bのフレームにおいて測定されたベクトル
【0023】
【0024】
を指定するものである。ロボットフレームはRで指定されている。RからIMU(I)へのベクトルの回転およびオプティカルフロー(O)フレームは、方向余弦マトリクスRR→IおよびRR→Oによって、たとえば次式のようにそれぞれ表される。
【0025】
【0026】
ロボットのZ軸は、ロボットが運転するグラウンド表面に対して垂直であると定義する。場合によっては、正確なセンサ動作のために、オプティカルフローセンサのZ軸もグラウンドに対して垂直でなければならない。ロボット中心に対するIMUの変位およびオプティカルフローのセンサの変位は、それぞれ
【0027】
【0028】
、
【0029】
【0030】
によって表される。
【0031】
剛体想定の下では、全体的なフレームにおける角速度はすべてのポイントで同一である。運動がX-Y面に拘束される共通ケースについては、角速度
【0032】
【0033】
のx成分および/またはy成分は無視され得、すなわち
【0034】
【0035】
であり、また
【0036】
【0037】
という特性は、これらのフレームのZ軸が(たとえば地表フレームのZ軸に)すべて整列する場合には、参照フレームに無関係であり得ることが留意される。簡単さのために、ωは、角速度ベクトル
【0038】
【0039】
または角速度ωの両方を表し、どちらを表しているかは状況から推測され得る。いくつかの例では、量は、絶対的な地表フレーム項で表され得る。いくつかの例では、(たとえば測定に関する)量は、グローバル座標フレームにおける線形位置または初期配向の影響を受けない。
【0040】
ジャイロスコープの誤差原因
様々な実施形態において、平面運動の場合には、真の角速度ωは次式の関係によってジャイロスコープ測定値xに関連付けられ得、
【0041】
【0042】
ωzro(k)は温度kにおけるゼロ速度オフセット(ZRO)であり、デバイスの静止状態で感知されて報告された角速度である。より具体的には、静止したジャイロスコープ(たとえばMEMSジャイロスコープ)は、一般的には非ゼロの角速度(ZRO、これは誤差である)を報告し、ZROは一般的にはセンサ温度の関数として変化する。
【0043】
一般に、3軸ジャイロスコープ測定は、センサ出力を物理運動に対して正確に関連付けるために、スケール、直交軸スキュー、および回転パラメータの較正が必要である。平面運動を想定すると、意味のあるデータを有するのは1つの軸(Z)のみであり、これらの較正項は単一のスケール値αに吸収され得る。実際には、多くの消費者表面ロボットが、コスト低減または精度改善の理由から1軸ジャイロスコープを使用する。
【0044】
様々な実施形態において、ωzro(k)が測定され、特徴付けられ、かつ/または補正され得るが、考慮に入れるべき誤差原因は他にもいくつかある。たとえば、誤差原因の1つにはセンサの老化の影響がある。より詳細には、ジャイロスコープスケールは、冷熱サイクルによる機械的ストレスの累積によって経時変化する可能性がある。場合によっては、現在の商業用等級のMEMSジャイロスコープには、およそ1%の一般的な老化の影響がある。
【0045】
センサの非線形性誤差は、ジャイロスコープの測定が角速度に対して直線的に関連付けられるという想定が成り立たないとき導入され得る別の誤差原因である。一般に、現在の商用MEMSジャイロスコープについては、非線形性の影響は小さいので、実用のためには簡単な線形スケールで十分であり得る。
【0046】
MEMSジャイロスコープに関する別の全般的な懸念に、直線加速度に対する感度がある(たとえば、直線加速度は、角速度出力のバイアスにおける変化の原因となる)。しかしながら、平面運動の場合には、直線加速度に対する実際の寄与が最大なのは重力であり、大抵の平面運動のシナリオにおいて、通常の環境下では重力に対する配向は変化せず、また現在の商用MEMSジャイロスコープでは直線加速度の影響は比較的小さい。それゆえに、直線加速度に対する感度が、ジャイロスコープの読取り値における著しい誤差を引き起こす可能性は低い。
【0047】
このような理由で、本明細書で論じられる様々な実施形態は、現場に配置したロボットにおいて、(誤差の他の原因とは対照的に)老化によって誘起されるスケール変化の抑制に的を絞ることにする。場合によっては、簡単さのために、上記の式は、ZROが測定されてジャイロスコープの測定値から除去されており、しかも公称スケールのいくつかの範囲は既知であると想定する(たとえば、各部品のスケール値の平均、最大および/または最小を製造業者が提供する)。
【0048】
オプティカルフローのスケール感度
オプティカルフローセンサは、画像検知器に投影された表面フィーチャの相対運動を検知することによって動作する。画像検知器またはセンサチップは、たとえば画像センサチップを取り付けたロボットの検知された視覚動作に関連した測定結果を出力するためのオプティカルフローアルゴリズムを実行するプロセッサに接続され得る。
図2は、焦点距離が一定のセンサに関して、画像センサ(上部)と感知表面(下部)との間の距離が、単一の追跡ポイントの観測された運動に影響を及ぼす様子を図解で示すものである。
【0049】
オプティカルフローセンサは、一般的には(たとえば追跡する表面を固定レンズの焦点に保つように)いくらかの公称高さに設置されているが、硬い表面と柔らかい表面との間を移動するとき、または(たとえば積荷の重さが変化することによって)ロボットのサスペンションが変化するとき、異なる有効表面高さが出現する可能性がある。
図3Aおよび
図3Bを参照して、灰色の矩形はロボットのホイールの真横向きの表示を表し、三角形はオプティカルフローセンサの公称の視野範囲を示す。
図3Aおよび
図3Bは、それぞれ、柔らかい表面(たとえばカーペット)と硬い表面(たとえばタイル)との間でOFセンサの視野範囲が変化し得る様子を示すものである。
【0050】
関連する手法
位置測定またはセンサ較正を実行するために、空間的に変化する信号が使用され得る。ロボットシステムは、OF画質データを使用してIMUを較正し得る。以前に測定されたRFまたは磁気「指紋」との相関によるデバイスの局所化は、数十年にわたる文献において周知である。新規の、または改善された手法は、以前に観測された信号に類似の信号特性を識別することによってセンサの局所化を試行するのではなく、信号の既知の空間的特徴を利用することに的を絞るものである。いくつかの例では、信号を特別の軌跡に関連付ける拘束運動(たとえば平面上の回転)の利点があるが、空間における自由運動の場合には実用的ではないであろう。
【0051】
いくつかの現在の実装形態では、磁力計測定によるジャイロスコープスケールの較正が使用される。この手法における基本的仮説は、デバイスが(たとえば360°回転されて)同一の方向を複数回向くとき、較正されていない地磁界の水平成分に再現性があるということである。この方法を実行するために使用される基礎的な磁界は、実際には、表面結合のロボット動作に対して優れた性能を与えるほど十分には安定していない可能性がある。構成材料(たとえば配線、金属製補強材)およびロボット自体(たとえば回転しているモータ)の影響によって、経時変化する磁場環境またはこの手法の効果を制限するのに十分な変位が生成される可能性がある。
【0052】
表面画質測定によるジャイロスコープのスケール推定
いくつかの例では、標準的なオプティカルフローセンサは、経時的な位置変化ばかりでなく、種々の画質メトリクスをも出力し得る。これらは、一般的には、照明源を調整するため、または位置出力はどれだけ信頼することができるか大まかに測定するために使用される。報告される値には、最低の画素輝度、最高の画素輝度、平均の画素輝度、「表面品質」(一般的には視野内の追跡可能なポイントの数の代用)、および/または画像センサ利得のうちの1つまたは複数が含まれ得る。
【0053】
これらの画質信号は、オプティカルフローセンサが表面上を移動するので変化する。位置と画質との間の関係が既知であれば、これは、接続されたジャイロスコープの運動を推定するために利用され得る。ジャイロスコープの真の運動が予測されれば、ジャイロスコープを較正することが可能になる。円運動の場合には、ロボットシステムは、空間領域において繰り返すパターンの周波数、デバイスのすべての回転について1回繰り返すパターンの周期、または離散基準マークの位置のいずれかを検知することによってジャイロスコープスケールを推定してよい。ジャイロスコープスケールの推定は、以下でより詳細に説明する。
【0054】
上記で開示された手法の例示的実施形態は、車輪付きロボットを適所で回転させながらOFセンサの画質出力およびジャイロスコープの角速度出力を取り込み、次いで、このデータを組み合わせて/比較して、ジャイロスコープの挙動を特徴付けるものである。
【0055】
工学的表面上のパターンの周波数検知
一実施形態では、ロボットシステムのデバイスが、(たとえばOFセンサによって検知可能な基準マーカを伴う)工学的較正面の上部において回転され得る(またはそのように構成されている)場合には、ロボットシステムは、ジャイロスコープで導出された方向(積分されたジャイロスコープ出力)と、較正面に関連して予期された信号特性との間の観測された対応を、較正のために使用し得る。
図4はそのような工学的較正面の1つを示し、オプティカルフローセンサから見えるポイントの輝度が、そのポイントの検知された輝度に対応する。たとえば、
図4では中央から53本の帯が放射状に広がっている。OFセンサが、このパターン上で中心合わせされる円を通って移動するとき、OFセンサの中心画素の輝度は、パターンに対するその角度位置によって規定される。回転の中心(CoR)をパターンの中心において回転するロボットについては、OFセンサの任意の非ゼロ半径において観測された輝度は、360°当たり53サイクルの周波数を伴う空間領域において三角パターンを示すことになる。輝度が、中心から外に向かって放射状に広がる各ラインに沿って一定であるため、このことが成立する。OFセンサの視野にわたる平均の輝度は、これを平滑化したバージョンであり得る。
図5には、このパターンに関する理想的な輝度対位置の関数、ならびに例示的OFセンサによって報告されたいくつかの一般的な画質メトリック(たとえば最低の画素輝度、最高の画素輝度、その視野にわたる平均の画素輝度)が示されている。
【0056】
様々な実施形態において、感知表面の平均輝度を使用すると、様々なピッチ検知アルゴリズムに適する信号が生成される。本明細書で説明された手法は、特定の画質メトリックまたはピッチ検知方法に限定されない。いくつかの例では、同一または類似の結果を達成するために、「視野にわたる平均輝度」および/または離散フーリエ変換(DFT)技法を使用する代わりに、別のピッチ検知技術または画質メトリックが使用され得る。
【0057】
一例では、
図6は、単一画素における元の信号と、空間領域において、10cmの半径で表面上を移動する1cmの方形窓における平均画素値(上部)と、同一の信号のDFT出力のサブセットであって、周波数領域においてピーク周波数が指示されたもの(下部)との間の関係を明示するものである。ジャイロスコープとOFセンサとが剛体に取り付けられて、剛体がパターン中心のまわりの円において移動していれば、ジャイロスコープの出力信号を積分すると、一定の角度オフセットを法とするパターンに対するOFセンサの方向(たとえばジャイロスコープとOFセンサとの間の方向)および未知の初期の方向をもたらすはずある。この解析には、包含されているセンサ間の、またはセンサと回転の中心との間の、初期配向または真の変位が既知である必要はない。一実施形態では、ロボットシステムは、画質信号にDFTを実行して、ジャイロスコープで導出された方向の領域において、ジャイロスコープ角度位置に対する画質信号の優位周波数を取得する。この計算は、初期の方向の影響を受けないことに留意されたい。次いで、ロボットシステムは、そこから、OFセンサから取得された(たとえば既知の)真のパターン周波数に対して正確に対応する、ジャイロスコープで導出された方向のスケール値を計算し得る。たとえば、DFTによって、ジャイロスコープが測定した360°の回転に対応するOF出力の優位周波数が、予期された53ではなく52であるという結果がもたらされた場合には、ジャイロスコープ出力を53/52(すなわち1.10923)だけスケーリングすれば、移動した角距離に伴う誤差を蓄積しない、正確な全体の方向をもたらすことになる。
【0058】
図6は、
図4に示されたパターンの上を移動したときの、位置領域および周波数領域におけるOF輝度のメタデータ出力を示す。そこで、ジャイロスコープを使用して検知された角度位置は、この場合、真の角度位置である。53サイクル/回転におけるピークは、OFセンサが1回転するごとに53のピークがカウントされることを指示する。
図7は、
図4のパターンの測定を繰り返し、
図6のものと類似の輝度のメタデータ出力を生成するが、角度位置がグラウンドトゥルース角度位置ではない系列を加算するものであり、ジャイロスコープから取得された角度位置はスケール誤差を有する。これは52サイクル/回転にピークをもたらす。予期されたサイクル/回転が先験的に既知(53)であるので、システムは、相違がジャイロスコープスケール誤差によるものであると判定することができる。
【0059】
より具体的には、
図7の上側のグラフは、スケーリングされていないジャイロスコープ信号(破線)と、表面パターン/OF信号に対する実際の方向(たとえばスケール誤差対真の方向を用いて測定されたもの)との間の関係を示す。
図7の下側のグラフは、スケール補正前のDFT出力(破線、スケール誤差を伴って測定されたもの)、およびスケール補正の後のDFT出力(実線、真の方向)を示す。
【0060】
場合によっては、この手法にはいくつかの関連する前提条件があり得る。たとえば、
・オプティカルフローセンサは表面パターンの中心のまわりで回転する必要がある。
○回転の中心と表面パターンの中心とは同一ポイントである必要がある。そうでなければ、表面パターンの周波数が位置によって変化してしまう。
○車輪付きロボットについては、既知のポイントのまわりで(任意の初期の方向で)回転し始める必要があり、かつ/または
○車輪付きロボットについては、回転の全体にわたって円運動を維持する必要がある。
・表面パターンは既知の信号特性を生成する必要がある。
○値の範囲は必ずしも既知である必要はないが、空間領域における周波数の変化は先験的に既知でなければならない。
○表面は、オプティカルフローセンサが測定可能な特性(たとえば表面の反射率)における意味のある変化をもたらすように設計される必要がある。
○オプティカルフローセンサが、出力信号に影響を及ぼす自動利得制御を使用する場合には、最善の結果を得るように自動利得制御を補償するべきである。
・ジャイロスコープの測定結果は、試験運動のコースにわたって積分されたときには、安定した方向予測を生成することができなければならない。
○試験の間中、スケールが一定である必要がある。
○温度によって導入されたジャイロスコープ出力のオフセット(たとえばZRO)は、積分に先立って信号から確実に除去され得る。
・ピッチ検知方法の選択には、いくつかの本質的な制限があり得る。
○DFTの周波数分解能は、たとえばデータ持続時間の逆数を用いてスケーリングされ、必要な精度を有する結果を得るためには長い測定が必要となり得る。
【0061】
図8には一実施形態によるスケール較正が表されている。ステップ800において、ロボットは、たとえば
図4に示された表面などの較正面上で中心合わせされる。次いで、ステップ802では、ロボットが適所において回転され、ロボットの回転中に、ジャイロスコープおよびオプティカルフローセンサが、時間に対してそれぞれ角速度および画質を取り込む。次に、ステップ804において、公称のスケール係数c
nominalを掛けた角速度ωが積分されて、ジャイロスコープで導出されたロボットの初期の方向が取得される。次いで、ステップ806において、較正されていない方向グリッドに対して対応する画質値が補間され、その結果が、ステップ808において離散フーリエ変換されて、優位周波数に対応するf
peak値が取得される。これによって、ステップ810に示されるようにc
corrected=c
nominal*[f
peak/f
pattern]を計算することにより、較正された、または補正されたスケール係数を計算することができ、なおここで、f
patternは先験的に既知である。スケーリングされた出力が所定の公差値の範囲内であれば(ステップ812)、補正されたスケール係数が、ジャイロスコープの出力補正用に保存され得(ステップ814)、処理は終結し得る。スケーリングされた出力が許容差の範囲内でなければブロック816に進み、センサを再較正するか否かを決定することができる。
【0062】
図8を参照しながら上記で説明された技術は、たとえば工場(たとえば較正パターンを与えることができ、優れた円運動を得るのに必要な表面組織を実現することができ、かつ/またはロボットを特定の位置に配置してからその較正を開始することができるところ)における車輪付きロボットの最終的な較正において実際に使用するのに適している。この技術には、組立て前にセンサを個々に較正するやり方に対していくつかの利点がある。たとえば、この技術は、製造プロセスにおいて何らかのストレスが生じた後にセンサ特性を測定することができ、オプティカルフローセンサが期待範囲内の画質値を報告している(たとえばレンズ組立体の欠陥がなく、その障害もない)ことを検証することができ、かつ/またはロボットの円運動する能力を検証するために使用され得る。
【0063】
この処理によって、ジャイロスコープの信頼できるスケール較正が得られなければ、上記の項目のうち1つに障害があって、このロボットに関連する製造の問題が示唆されていることになる。
【0064】
オプティカルフロー利得の補償
可能な最善の位置追跡のために、OFセンサは、ある種の自動利得制御(たとえば画像が暗いときには露光時間を長くすること、および/または画像が明るいときに露光時間を短くすること)を実施してよい。ピッチ検知のために使用される信号がこれの影響を受ける場合には、利得設定を基に、前もって信号を調整するように注意するべきである。
【0065】
これを達成するための例示的アルゴリズムが、以下に擬似コードとして示される。
【0066】
【0067】
上記コードの高レベルでは、利得設定および関心のある信号が記録されて、利得設定における変化と対応する信号値における平均変化とのマップを作成するのに使用され得る。最もよく観測されたゲイン値に隣接したデータのセクションを、最も一般的な利得設定下で観測されたおおよその測定範囲にマッピングするために、オフセットが繰り返し与えられてよい。すべてのデータが同一のおおよその利得設定を得るまで、この処理が繰り返されてよい。遷移の両側において、基礎をなす信号は必ずしも同一ではないが、この処理/プロシージャは、そうしないと利得制御の存在下で生じる信号における大きなジャンプの影響を軽減し得る。
【0068】
任意表面上の画質周期検知
周波数検知手法は、既知の空間周波数を有する信号を検知することと、完ぺきに近い円で移動することとに頼るものであった。この概念は、任意の表面において使用するように一般化され得る。詳細には、少数の厳しくない制約条件が満たされる場合には、センサが、ほぼ円形の同一の軌道を通って複数回回転することができれば、1回転当たり1サイクルの周波数を有する繰返しパターンが検知され得る。たとえば、信号は、1回転の間に十分に変化する空間的変動を有すること、および/または検知される画質メトリックは円運動からの小さな逸脱によって激烈に変化することのない十分な空間コヒーレンスを有することが必要とされ得る。
【0069】
一実施形態では、本明細書で説明された手法は、円形軌道にわたって表面(たとえば自然木表面)の輝度を考慮に入れる。たとえば、
図9Aは、自然木木目の一例を示し、
図9Bは、そのような表面の上でOFセンサを円運動させたときの角度位置の関数として検知された平均輝度のグラフを示す。パターンが繰り返す角距離は名目上360°(垂直な破線)であり、360°とジャイロスコープ出力を積分することによって得られる角距離との間の比は、ジャイロスコープに関する正確なスケール係数をもたらすはずである。
【0070】
一例では、信号の周期は、1)複数の回転にわたって、推定された角度位置および対応する信号を記録して、2)得られた系列の自己相関を実行することにより、効率的に抽出され得る。自己相関の最大値に対応するシフトは、ジャイロスコープで導出された方向の角度位置領域における信号周期(たとえば360°の回転)である。
【0071】
図10は、(たとえばスケール誤差のない)真のデバイス方向を使用して、自然木表面の上のほぼ完全な円運動に関する単一の自己相関の一例を示す2つのグラフを含む。グラフの下部における各ラベルは、ピーク間で測定された長さ(度)、この周期に関する誤差、およびそのポイントに対するすべてのデータにわたる平均の周期誤差を示す。360°ごとに相関ピークが生じているが、それらの間により小さいピークが見られることに留意されたい。これらはパターンの180°シフトに対応し、自然木木目の両側の組織の類似性を強調するものである。極大値のうちのいくつか(たとえば360度シフトに対応しない極大値)は、真の360°相関よりもよく関連付けられ得、したがって、不正確な回転に対するエイリアシングの可能性を最小化するかまたは除去するために、各ピークを求める探索領域を制限するように、最小値および最大値のスケール値が使用されてよい。真のスケールが公称スケールのx%以内にあることが分かっていれば、真のピーク間の周期は、ジャイロスコープの方向の360°のx%以内にあることになる。いくつかの例では、この情報(たとえばスケール値の標準値、最小値、および/または最大値)は、センサ製造業者によって提供され得る。
【0072】
工学的表面(たとえば信号における好ましい空間的変動を用いて設計された表面)が、単一の全体的最大値を有する場合、または、高周波パターンのアラインメントに対するエイリアシングを回避するように、スケール誤差が十分に制限されている場合には、この手法は、このような表面にも適用され得る。
図4に示される表面は、
図11Aおよび/または
図11Bに表示されるように、基本パターンから離れて、グローバルアラインメントのための手段を与える特徴を付加することによって強化され得る。このパターンは、引き続き53サイクル/回転の信号が支配的であるが、より広いブラックバーを配置することにより、最善の単一アラインメントをもたらすことに留意されたい。回転から回転へと、5つの広いブラックバーのすべてを広いバーと整列させる(すなわち、すべての5つの広いバーを再びそれ自体と整列させる)のは、このパターンにおける360度のシフトだけである。回転から回転への、360度以外の回転量では、2つ以上のより広いブラックバーが、別の広いブラックバーと整列することはない(弱い相関をもたらす)。たとえば、時計方向に90度回転させると、
図11Aの3時の位置にあるより広いブラックバーが、
図11Aの6時の位置にあるより広い黒色の位置と整列し得るが、他の4つの広いブラックバーはそのように整列することはない。このパターンは、この方法と、上記で開示された工学的表面上のパターンの周波数検知において説明された方法との両方を実行するのに適する。本明細書で表されたパターンは代表的なものであり、1つまたは複数の好ましい信号特性を有する他のパターンも使用され得る。
【0073】
この段落で説明された各手法(および/または上記で開示された工学的表面上のパターンの周波数検知で説明された各手法)が異なる結果をもたらすときには、これは、ジャイロスコープおよびオプティカルフローセンサは期待通りに作動している(たとえば優れた回転周期を確立している)が、ロボットの動作は、優位周波数を公称のものからシフトさせるほど十分に非円形であることを意味し得る。一例では、
図12は、
図11Aに表された工学的表面の上でほぼ円形の回転を実行するときの、元の信号、その(検知された周期を伴う)自己相関、および対応するDFTを示す。
【0074】
車輪付きロボットの動きは、完全な円運動にはなり得ない。このため、長いデータ収集に対して最善の単一相関を得ることには、基礎をなす信号における変化として非円形性が現れることになる。一例では、これらの問題は、はるかに長い入力系列にわたって相関を最大化する最善の単一周期を見いだそうとするのではなく、オーバラップする720°の窓にわたって複数の相関を実行することによって軽減され得る。たとえば、
図13は、方向誤差のない、工学的表面上の非円形の運動をシミュレートしたときの、回復された周期の長さの分布を示す。この場合、運動は、(平滑な表面上の適所で回転しようとしている)2輪ロボットの位置測定を使用することにより、工学的表面においてほぼ円形の運動を使用して収集されたデータからサンプリングして得られた。実線で示されたデータでは、周期予測は、オーバラップする2回転の窓ごとに得られたものであり、これらの予測の誤差の累積分布関数(CDF)がプロットされている。破線および点線は、同一のデータを使用して、それぞれオーバラップする4回転の窓および8回転の窓を用いて周期を予測したものである。この場合、長い窓における相関のためにより多くのデータを得るという利点よりも、蓄積された非円形運動が観測パターンをシフトさせるという不利益の方が重要であった。これをシミュレートするために使用された運動は、オプティカルフローセンサの回転の中心に対するほぼ一定の半径(10cm)を維持したが、回転の中心は、各回転に対してランダムな方向におよそ3mm移動した。周期を予測するために使用される最適の窓長さは、ロボットが円運動をうまく維持することができる程度に依拠して変化することになり、たとえば、運動が円形に近ければ近いほど、窓はより長くなり得る。
【0075】
複数のオーバラップする窓の結果を集約するために使用されるメカニズムは、多少任意である。一例には、結果における外れ値を棄却し、次いで残りの結果の加重平均を得る手法があり、より大きい自己相関値を有する窓に対してより大きい重みが割り当てられる。
【0076】
図14は、一実施形態による、画質の自己相関を使用する、例示のジャイロスコープスケールの較正アルゴリズム/メカニズムを示すブロック図である。最初に、ステップ1400において、何かの表面の上の適所で回転するロボットによって入力データ(未較正の方向および画質)が収集され、次いで、ステップ1402において、角速度ωに公称のスケール係数c
nominalを掛けたものを積分して、ジャイロスコープで導出されたロボットの初期の方向が得られ、ステップ1404において、上記で説明された対応するステップ802、804および806と同一または同様のやり方で、未較正の方向グリッドに対して、対応する画質値が補間される。次いで、ステップ1406において、このデータが、前述のように、オーバラップする窓へと分割される(窓長さは、ロボット動作に期待する円形の程度によって規定される)。次いで、ステップ1408において、各窓の範囲内で自己相関が実行される。ブロック1410には自己相関に関連したサブステップが示されている。そこで、ステップ1412において、自己相関における全体的な最大値が識別され、ステップ1414において、このピークに隣接する2つの領域(予期されたスケール誤り限界(たとえば全体的なピークから+/-360°に近い)の範囲内にある)が初期の検索領域として設定される。場合によっては、ステップ1416、1418および1420によって説明されるように、現在の窓からピークがなくなるまでこの処理が繰り返される(たとえば、現在の検索領域における最大の自己相関を見いだし、検索領域を拡張する)。各窓において発見されたピークツーピークの周期(ステップ1422)がステップ1424において集約されて、既知の360°回転に対応する、ジャイロスコープの、推定された未較正の単一周期が得られる。これは、ステップ1426において、較正されたジャイロスコープスケール値を得るために使用される。流れ図において参照された変数F1~F5の値は、以下のTable 1(表1)で説明される。
【0077】
【0078】
適切な較正面の識別
本明細書で説明された手法は、1回転にわたって単一の全体的適合をもたらすために、様々な実施形態において適切な変動を使用することがある。この段落で説明される手法は、1回転にわたって単一の全体的な最良適合をもたらすために適切な変動を必要とするが、不完全な回転によってもたらされる微小変位にわたるそれほど大きくない変動は、大いに異なる信号を与える。
【0079】
1つまたは複数の特徴を有する表面を識別するための簡単な近似は、画質信号の短期分散
【0080】
【0081】
および長期分散
【0082】
【0083】
を記録することであり、これらは相関のために使用される。分散は、短距離の窓(回転の中心の1回転で導入されるドリフト程度の長さdsを有する)と長距離の窓(周期検知のために使用される回転の円周程度の長さdlを有する)との両方に対して計算するべきである。適切な較正面は、
【0084】
【0085】
が閾値tlを上回り、同じ測定周期中に
【0086】
【0087】
が閾値tsを下回るものである。これらの閾値および距離の実際の選択は、センサおよびロボットにわたって変化し得る。したがって、この実施形態によれば、ロボットは、たとえば住宅または事務所において、表面に十分な大規模変動があって最善の単一相関をもたらす一方で円運動からのわずかな逸脱によって回転が全体として相違してしまうような小規模変動はあまりない表面を探索することによって、それ自体の較正面を選択することができる。たとえば、格子縞パターンには、最善の単一相関をもたらすのに十分な大規模変動があるが、ロボットが少しでもスリップすると、ある回転で見えるパターンと、次の回転で見えるパターンとが、大層異なるものになってしまう(小規模変動が高水準である)。他方では、全体として均一な表面においては、小規模変動は低水準である(ロボットがスリップしても、各回転で見えるパターンは最後の回転で見えるパターンに類似である)。しかしながら、大規模変動も低水準であり、全体的な最善の相関は存在しない。したがって、それらの2つのタイプの表面の間の、第1の所定の閾値を上回る十分な大規模変動をもたらす一方で、小規模変動が低水準であって第2の所定の閾値を下回るような表面が、較正のために使用するのに適切な表面として、ロボットによって識別され得る。
【0088】
画質を使用する、固定された基準マークの識別
OFセンサを用い、互いに対して既知の空間的関係を有する離散点を検知することによって繰返しパターンを判定する、第3の手法/技術が、サイクル検知を置換する。
【0089】
この手法では、複数の別個の反射マーカが表面上の既知の位置に配置され得る。
図15は、反射体の可能な配置を示す。この例では、反射体は、平行な2つの反射細片1502aおよび1502bである。車輪付きロボットは、その回転の中心1504が、各細片1502a、1502bに対して等距離かつ平行なライン1506上のどこかのポイントに位置するように、それ自体を配置し得る。次いで、ロボットは、OFセンサ1510が最初に細片のうち1つ(たとえば1502b)の中心の上に位置して、次いで他方の細片(たとえば1502a)(2つの細片は単なる例示であり、さらなる細片があってよい)の中心の上に位置するように、前後に回転し、その間、ジャイロスコープがそれら2つの位置の間の方向変化を測定する。これらのマークの間で測定された角距離は、2つの細片の間の既知の角距離と組み合わされてよく、ジャイロスコープと、OFセンサによって測定されたグラウンドトゥルースとの間のスケールが得られる。オプティカルフローセンサは、ロボット上で、ロボットの回転の中心1504から一定の半径rのところに配置されている。
【0090】
この場合、ロボットシステムは、運動が始まったときと、OFセンサが各反射細片の上で中心合わせされたそれぞれのときとの間で、ジャイロスコープによって測定された角速度を積分することにより、OFセンサが第1の反射細片の中心の上にあるときの角度
【0091】
【0092】
と、第2の反射細片の中心の上にあるときの角度
【0093】
【0094】
とを判定し得る。ロボットシステムは、マーク間の既知の距離dおよびオプティカルフローセンサが回転する既知の半径rを用いて
【0095】
【0096】
を得て、スケール係数
【0097】
【0098】
を計算し得、これはジャイロスコープの測定結果を補正するために使用され得る。開始位置に意味がない共通ケースでは、
【0099】
【0100】
として、最初に検知されたマークを離れるときに積分を開始することにより、積分誤差が低減され得る。
【0101】
一実施形態では、
図15を参照しながら上記で説明されたスケール係数計算を実行するために使用されるアルゴリズムの全体的な流れが、
図16Aおよび
図16Bに表されている。上記で明示され、また
図16Aに示されるように、全体的なアルゴリズムは、ステップ1600において、ステップのセットを使用して第1のマークを求め、次いで、ステップ1602において、同じ(または類似の)ステップのセットを使用して第2のマークを求め、その後、ステップ1604において、検知された2つのマークの角度位置(下の表ではF0およびF1として識別される)に基づいて、スケール係数を計算する。各マークを探索するために使用されるステップの根本概念は、OFセンサが反射面の上にあるときには画像輝度にプラトーがあって、反射面の中心はそのプラトー上のどこかにあるはず(しかし、観測される実際の最大値は、中心の上に直接あるわけではない)、ということである。したがって、このアルゴリズムは、このプラトーの各エッジの角度位置を得て、プラトーの上にあるとするのに必要な閾値を、所望の精度限界に達するまで上方修正し続ける。
【0102】
このアルゴリズムを実用的にするために、2つの停止条件が導入される。下の表においてφで指示される第1の停止条件は、ロボットシステムが探索を停止するポイントであって、検知されたマークの角度幅を規定し、この角度幅は、ピーク観測値が及び得る角度幅に関するものである。下の表の第2の停止条件τは、見えるマークの閾値が、観測されたピーク値にどれだけ近づき得るかを規定し、ロボットシステムがピーク値と非ピーク値との間の差を分解することができる細分性に関するものである。それぞれのマーク検知ステップ1600および1602に関連したステップが
図16Bに示されている。
【0103】
この処理は、プラトー閾値x
threshを初期化するステップ(
図16Bには示されていないが、下のTable 2(表2)でF11とされている)によって始まる。次いで、ステップ1606において、ロボットは、マークの上で検知された輝度が閾値x
threshを上回るまで、(時計回りまたは反時計回りのいずれかに)回転される。検知された輝度が閾値を越えるときの角度位置(F3)が第1の暫定マーカエッジとして記憶され、処理はステップ1608に進み、ロボットは輝度レベルが閾値を下回るまで回転され、すなわちロボットはマーカの他方のエッジから離れる。この角度位置(F4)が第2の暫定マーカエッジとして記録され、処理はステップ1610に進み、ここにおいて、第1の停止条件を使用して、(下の表の検査F5で示されるように)2つの記憶された角度位置の間の差が、マーカエッジが見つかったと考えられるほど十分に大きいかどうか、判定される。十分に大きいと判定されれば、処理はステップ1616に移り、マークの最終的な角度位置がF6として出力される。
【0104】
ステップ1610において、十分に大きいわけではないと判定された場合には、処理はステップ1612に移って別の検査がなされる。具体的には、第2の停止条件が検査されて、(光センサの分解能を所与として)閾値xthreshを下げてもエッジ検知処理の精度の改善が期待できないかどうかが判定する。ステップ1612における(たとえば下の表のF7を使用した)検査によって、精度の改善は期待できないと判定された場合には、処理は、ステップ1616において、検知されたマークの最終的な角度位置を出力して終結する。精度の改善が期待できると判定された場合には、ステップ1614において閾値が(たとえばF8を使用して)下げられ得、処理は、停止条件のうちの1つが満たされるまで繰り返される。
【0105】
【0106】
一実施形態では、この手法の主な要件は次の3つでよい。
・反射マークが各反射体の中心の優れた予測を得るために、画質信号は、反射マークが見えるときと見えないときとで十分に異なる必要がある。
・ロボットは、その回転の中心を、反射体配列の重心軸に位置合わせする必要がある。
・ロボットの回転半径は一定である必要があり、また横方向のドリフトがあってはならない。
【0107】
この手法は、較正が、はるかに大きなデータセットにわたる相関ではなく、2つの離散点を検知することに基づくので、以前に開示された手法よりも、小さな擾乱の影響を受けやすい。いくつかの例では、この手法は、工場設定の外でジャイロスコープスケールの較正を実行することができる解決策である。実用的な配備シナリオは、家庭用ロボットが使用する充電ステーションに2つの反射細片を付加することであり得る。ロボットは、充電するために充電ステーションに位置合わせして電気接触する必要があり、このことが、既知の姿勢から較正運動の最後までに必要な無制御運動の量を最小化するように利用され得る。
【0108】
変形形態
この手法は、冗長性と非円形運動の検知とのために任意数の基準マークを含むようにも拡張され得るが、上記の表現を実質的に変化させることはない。
【0109】
この手法は基準マークが1つでも実行可能であり、ロボットは検知の間で完全に回転する。この場合θは360°である。
【0110】
ジャイロスコープスケールと既知のジオメトリとを用いるオプティカルフロースケールの推定
ロボットシステムは、正確なジャイロスコープスケールと、ロボットの回転挙動の先験的な知見と、センサジオメトリとを用いて、オプティカルフローセンサの距離スケールの表面依存性を克服することができる。OFセンサによって報告される距離と、OFセンサが移動する実際の距離との間の関係は、画像センサから追跡表面までの垂直距離によって主に決定される。ロボットが異なる表面(たとえばカーペットまたはタイル)にわたって移動するとき、またはロボットの特性が変化するとき、画像センサから追跡表面までの垂直距離が変化する可能性がある(たとえば、運搬する重量が変化すると、ロボットのホイールサスペンションがグラウンドからシャーシを持ち上げる高さに影響がある)。このような理由で、動作中にオプティカルフロースケールを直接的かつ迅速に測定するように、手法を強化することが望まれよう。
【0111】
一旦、(たとえば「関連する手法」で説明された方法/手法によって)ジャイロスコープスケールが得られると、ロボットは適所で回転することができ、オプティカルフローセンサが移動した総距離は、ジャイロスコープを用いて(既知のデバイスジオメトリを用いて)推定され得、またオプティカルフローセンサ自体によって測定され得、回転が実行された表面に特有のスケール定数を得ることができる。
【0112】
様々な実施形態において、ロボットはその中心のまわりで回転してよく、このポイントに対するOFセンサの変位
【0113】
【0114】
が分かる。一例では、簡易化のために、運動は平面的であり、各フレームのZ軸は整列し、回転はX-Y面に限定される(回転はZ軸のまわりのスカラーである)と想定する。これは、ロボットシステムが、IMUによって測定された角速度を、OFセンサにおいて測定されたものであるかのように扱ってよいことを意味する。IMUとOFセンサとの両方が、サンプル周波数
【0115】
【0116】
で同時にサンプリングされると想定し、Δtは連続したサンプルの間の時間である。
【0117】
OFセンサ出力とジャイロスコープ出力との間の関係は、速度領域および/または位置領域の両方において、互いに対して解釈され得る。
【0118】
速度領域の解釈
オプティカルフローフレーム
様々な実施形態において、剛体の関係によって与えられるオプティカルフローセンサの直線速度は次式となる。
【0119】
【0120】
ロボットシステムは、ロボットが純粋な回転
【0121】
【0122】
を実行しており、角速度は経時的に変化すると想定して、IMUによって測定された角速度ωIを基に、オプティカルフローセンサにおける直線速度の予測
【0123】
【0124】
を取得し得る。RR→OがZ軸のまわりの回転であって経時的に変化せず、ωI(t)が平面的(Z軸のみ)であると想定されるので、直線速度の予測は次式のようにさらに簡単になり得る。
【0125】
【0126】
各時点において、ロボットシステムは、OFセンサから、
【0127】
【0128】
で表される直線速度の測定値を取得し得る。OFセンサは、2つの時点間の変位(画素数)を測定して、速度出力自体は生成しなくてよい。OFセンサが一定のレートでポーリングされる(または適切に後処理される)との想定下では、同等の速度が得られる。
【0129】
次いで、ロボットシステムは、
VI=αVO
という関係を得るために、適切な最適化(たとえば最小二乗法)を適用することにより、(未較正の)オプティカルフロー変位出力を(較正された)ジャイロスコープ速度に関連付ける予測されたスケール係数を取得し得、VIおよびVOはn×2のマトリクスであり、各マトリクスのi番目の行は、各センサによって得られたi番目のサンプル
【0130】
【0131】
および
【0132】
【0133】
に対応する。
【0134】
地表フレーム
円形軌道にあるオプティカルフローセンサによって報告された変位は、角距離
【0135】
【0136】
に変換され得、
【0137】
【0138】
は、OFセンサに関してi番目のサンプル期間において(時間t=iΔtにおいて)報告された変位である。これは、オプティカルフローセンサによって予測された角速度
【0139】
【0140】
をもたらす。次いで、ロボットシステムは、上記と同様に、適切な最適化方式を使用して
ΩI=αΩO
に最もよく当てはまるスケール係数αを取得し得、ここにおいて、上記の直線速度表現と同様に、ΩIおよびΩOはn×1のベクトルであり、各ベクトルのi番目の要素が、各センサによって供給されたi番目の角速度ωI(iΔt)およびωO(iΔt)に対応する。
【0141】
位置領域の解釈
オプティカルフローフレーム
オプティカルフローセンサが移動した(オプティカルフローセンサのフレームにおける)直線距離は、速度を時間に対して積分することによって取得され得る。ロボットは、これを得るためにIMUを使用して
【0142】
【0143】
を得、ここにおいて
【0144】
【0145】
は、IMUによって計算された、オプティカルフローセンサの座標系における距離測定値である。これは2次元量であるが、
【0146】
【0147】
はロボットフレームにおける定数項ベクトルであり、全体的なフレームにおける回転の中心からオプティカルフローセンサへの(時変)ベクトルと混同されるべきではないことに留意されたい。
【0148】
OFセンサは、ポーリングされるごとに、(前回ポーリングされたときからの)2次元の(2D)変位を報告し得る。OFセンサ出力
【0149】
【0150】
を、各期間において次式のように合計すれば十分であろう。
【0151】
【0152】
これは、オプティカルフローセンサによって計算された、オプティカルフローセンサの座標系における距離測定値をもたらす。
【0153】
オプティカルフロースケールがこの運動の全体にわたって一定であり、ジャイロスコープはあらかじめ較正されていて、オプティカルフローセンサ出力には直交軸スキューがないとの想定の下で、ロボットシステムは、オプティカルフロー出力を、次式によって、移動した実際の直線距離に関連付け得る。
【0154】
【0155】
オプティカルフローセンサの各軸に対してスケールが同一であるという単純化する想定の下で、ロボットシステムは、各センサで測定された総距離に基づいて(方向は無視して)単一のスケール定数
【0156】
【0157】
を取得し得る。たとえば、オプティカルフローセンサの軸のうち1つが運動に対して垂直であるなら、上記の計算が使用され得る。
【0158】
地表フレーム
速度領域の解釈において上記で説明された方法/手法は、位置領域において解釈され得る。ジャイロスコープによって測定された角距離の合計は、一定のスケール係数cによって、オプティカルフロー変位および半径によって計算された、移動した角距離の合計に関連付けられ得る。
【0159】
【0160】
以前に説明された方法との関係
ジャイロスコープスケール対未知表面の画質周期を測定するのに使用されるのと同一の物理運動が、オプティカルフローセンサ距離スケールを確立するために使用され、これらの2つの処理は組み合わされ得る。
【0161】
代替実施形態および拡張
ロボット動作を推定するために表面画質における周期信号を使用する一般概念には、さらなる領域特有の用途があり得る。この段落は、類似の状況における用途を見いだし得るいくつかの関連する方法について概説する。
【0162】
周期検知のための画像照合
上記で説明された方法は、オプティカルフローセンサによって報告された簡潔かつ高レベルの画質メトリックを使用して機能するものである。いくつかのオプティカルフローセンサは、運動が検知される実際の表面の画像へのアクセスを与える。これが利用可能なときには、いくつかのさらなる改善が可能である。
【0163】
画素スケール基準マークの検知
「適切な較正面の識別」で説明された方法は、基準マークの上を前後に走査することにより、基準マークが見える領域の中心を推定するステップを含み得る。この領域の形状が(たとえば偶然の直線運動によって)円弧でない場合、または感知されたマーク領域が(たとえば照明または傾斜変化によって)経時変化する場合には、マーク中心の予測が劣化することになる。
【0164】
しかしながら、OFセンサがマーカの上でほぼ中心合わせされたとき、ロボットシステムがマークの実際の形状を分割することができれば、これらの問題の影響を弱めることができる。マークのエッジが十分に一直線であって既知の配向である場合には、ロボットシステムは、このエッジに対するセンサ配向を検知し得る。
図17は、センサの参照フレームにおいて感知されたマークの一例と、これが、マークの方向(この場合は「N」とラベルが付いている)に対応するあらゆる既知の配向に対するセンサの角度位置を得るように使用され得る様子とを示すものである。
【0165】
基準マークが互いに対して既知の配向を有する(たとえば平行である)場合には、ロボットシステムは、検査運動の開始および終了における方向の差を直接測定して、これを、ジャイロスコープの測定結果を積分したものと比較すればよい。較正運動が2つの基準マークをカバーすることができる限り、2つの基準マークの間の運動は、「適切な較正面の識別」において説明された真円度および回転の中心の制約を受けない。
【0166】
工学的表面上の真の方向
上記の手法は、複数の平行ラインから成る工学的表面上のほぼ連続した方向測定結果を得るようにさらに拡張され得る。
【0167】
非円形運動の本質的な検知
運動が完全に円形であるときには、ジャイロスコープによって測定された角速度は、簡単なスケール係数(OFセンサから回転の中心までの距離およびそれぞれのセンサのスケールによって規定される)によって、オプティカルフローセンサにおいて感知された直線速度に関連付けられるはずである。このドキュメントにおいて提案された方法は、ジャイロスコープスケール(対、真の角速度)およびオプティカルフロースケール(対、移動した角距離)を推定するための手法を概説し、また較正運動が多少なりとも円形であることに頼るものである。
【0168】
運動の真円度は、センサのスケールまたは回転の真の半径のどちらも未知であっても測定可能であり、この基本技術は、上記の方法の実用的な用途のために有効であろう。ここまでに提示された表現は、簡単さのために、一般に、ロボットがその中心のまわりで回転していると想定していた。
図18は、円運動の回転の中心がロボット中心にはなく、そのような運動中の関連する量の間の関係の一例を示す図である。
【0169】
ロボットおよびオプティカルフローフレームにおけるオプティカルフローセンサの直線速度は、ロボットの速度とロボット中心に対するオプティカルフローセンサの変位とを使用して以前に説明されている。
【0170】
【0171】
類似の剛体関係が、所与の時点において、回転の中心の速度および回転の中心に対するオプティカルフローセンサの変位からオプティカルフローセンサの速度を得るために、使用され得る。回転の中心は、必ずしもロボット中心にあるとは限らないことに留意されたい。
【0172】
【0173】
そこで、オプティカルフローセンサによって測定される直線速度は次式となる。
【0174】
【0175】
ロボットの運動が円形であるとき、回転中心の直線速度はゼロであり、回転の中心からオプティカルフローまでの半径はロボットフレームにおいて一定である。この場合、単一のスケールが、上記(たとえばジャイロスコープスケールと既知のジオメトリとを用いるオプティカルフロースケールの推定に関する段落)で説明されたように、運動の全体にわたって、オプティカルフローセンサによって測定された直線速度とIMUにおいて測定された角速度とを関連付ける。運動の全体にわたってこれらの量を一貫して関連付ける単一のスケールがない場合には、ロボットシステムは、非円形運動の、回転の中心が動いている場合とオプティカルフローセンサから回転の中心までの距離が変化している場合との、一方または両方を想定してよい。
【0176】
非円形運動に対する適合
上記で(たとえば工学的表面上のパターンの周波数検知に関する段落において)示された工学的パターンは、回転の中心がパターンの中心に固定されている場合に最適のものである。上記で(たとえば任意表面上の画質周期検知に関する段落において)開示されたメカニズムは、非円形の運動に対してより強いものであり得るが、周波数検知手法でこれを達成するのは困難である。
【0177】
非円形性を識別することができ、さらにはデバイス軌跡全体を再構成するために使用することができる、新規パターンの開発が可能であろう。隣接セル間の表面品質が変化する、既知の間隔を伴うグリッドを使用する概念が、たとえば参考文献(2)に説明されている。ここで、より長い運動の全体にわたって可能なセル交差の位置を集めて、工学的表面上で可能性が最も高い軌跡を再構成するために使用するという類似の概念が適用可能であると思われる。
【0178】
たとえば、意図された運動範囲の少し外に配置されて、パターン中心からのドリフトを検知するように使用され得る反射面といった、組み合わせた工学的パターンも設計可能であると思われる。
【0179】
ドッキング運動によるジャイロスコープスケールの較正
上記で(たとえば、画質を使用する、固定された基準マークの識別に関する段落において)開示されたメカニズムのうちのいくつかは、複数の既知の角度位置を識別することに頼るものであり得る。一般的な消費者用途では、ロボットは、充電ドックに定期的かつ自動的に戻って、何かおおよそ既知の配向で、物理的に接触する必要がある。有効なドッキング位置の間に方向差がある場合には、ドッキング位置を離れて適所で回転し、再びドッキングすることによって、ジャイロスコープスケールを推定することができる。2つのドッキング位置の間の角度差の最大値がδ°であれば、ロボットがn回回転すると、ジャイロスコープスケール誤差は、最大で
【0180】
【0181】
になる可能性がある。
【0182】
この方法には、消費者ロボットにとって一般的なもの以外のインフラストラクチュアを必要としないという利点がある。しかしながら、充電する表面は、一般的には広範囲のドッキング位置を許容するように設計されているため、20度程度のδは異常ではない。可能性のある20度の調整誤差を用いて0.25%のスケール誤差を達成するには、約20回転を必要とすることになる。対照的に、周期検知手法(たとえば任意表面上の画質周期検知に関する段落で開示されたメカニズム)なら、木材表面上の一般的な条件下では、8回転以上、≒80%の時間でそのようなスケール誤差を達成する。経時的に(ドッキング中のロボットに押されて、または人に押されて、空間において)移動するドックに関連した実際の問題が、さらなる誤差を導入する可能性がある。
【0183】
要約
様々な実施形態において、(たとえばジャイロスコープによって検知された)運動と(たとえばOFセンサによって検知された)画質信号との間の関係が、センサ較正パラメータの推定を導出するために使用され得る。場合によっては、ロボットの運動を推定することによってジャイロスコープを較正するために、OFセンサからの画質情報が使用され得る。これは、OFセンサの、直線変位を測定するだけの一般的な用法と対照的である。
【0184】
様々な実施形態において、センサを較正するために、本明細書で開示された方法および/または技術は、最終的に設置された構成における(たとえば最終生産物に組み付けた後の)センサの較正をサポートし得る。一例では、経時的に生じる較正の変動および物理的老化を明らかにするために、センサが現場で再較正されることがある。別の例では、較正における環境変化の影響を捕捉するために、特に表面の変化に対してOFセンサスケールを適合させるために、センサが現場で再較正されることがある。
【0185】
一実施形態では、ジャイロスコープスケールは、OF画質信号における既知のパターンの周波数を検知することによって較正され得る。たとえば、ロボットシステムは、センサの1つまたは複数の最終的な設置された構成に対して、いくつかの工場較正処理を組み合わせるように構成されてよい。別の実施形態では、ジャイロスコープスケールは、未知のOF画質信号の周期性を検知することによって較正され得る。たとえば、ロボットシステムは、較正の変動を明らかにするために、ジャイロスコープの、現場での再較正を実行するように構成され得、または現場での再較正を許容し得る。
【0186】
一実施形態では、ジャイロスコープスケールは、オプティカルフロー画質によって基準マークを検知することにより、較正され得る。ロボットシステムは、較正の変動を明らかにするために、ジャイロスコープの、現場での再較正を実行するように構成され得、または現場での再較正を許容し得る。別の実施形態では、オプティカルフロー距離スケールは、較正されたジャイロスコープおよび既知のジオメトリを用いて、デバイスの円運動によって較正され得る。たとえば、ロボットシステムは、環境変化の影響を捕捉するために、OFセンサの、現場での再較正を実行するように構成され得、または現場での再較正を許容し得る。
【0187】
ロボット1900の、例示の(非限定的な)高レベルアーキテクチャが、
図19に示されている。
図19において、たとえばロボット1900に含まれ得る1つまたは複数のプロセッサ1902は、システムバス1904を含み、これによって、(1)通信チャネル1907を通じて他のデバイスとの通信を可能にする1つまたは複数の通信デバイス1906と、(2)1つまたは複数の加速度計1908、1つまたは複数のジャイロスコープ1910、1つまたは複数のオプティカルフローセンサ1912を含む1つまたは複数の感知器/センサと、(3)1つまたは複数のマニピュレータ1914と、(4)1つまたは複数の移動物1916とに対して、通信可能に結合されている。通信チャネル1907は、様々な通信プロトコルをサポートするばかりでなく、有線通信と無線通信との両方に適合可能であり得る。限定ではなく例として、通信チャネル1907は、たとえばUSB、IEEE-1394、802.11、BLE、セルラ(たとえばLTEまたは5G)、ならびに他の有線通信プロトコルおよび無線通信プロトコルなどの、シリアル通信チャネルおよび/またはパラレル通信チャネルとして構成され得る。無線通信チャネルが使用される場合には、通信デバイス1906は、無線トランシーバおよびアンテナ(
図19には示されていない)を含むことになる。
【0188】
感知器は、たとえば光センサ、慣性センサ(たとえばジャイロスコープ、加速度計など)、熱センサ、触覚センサ、コンパス、距離センサ、ソナー、全地球測位システム(GPS)、地中探知レーダ(GPR)、対象物検知およびレンジセンシングのためのレーザ、撮像デバイス、磁力計などの任意数の異なるセンサを含み得る。感知器はまた、配備の範囲内の任意の他の既存のセンサであり得るが、単一の位置(たとえば温度センサまたは湿度センサ)からではなく、設備にわたって分散している同一のデータを取得するためにロボット上に取り付けられ得る(そうしないと静的なものになる)。
【0189】
さらに、当業者なら、これらのセンサのうちの多くは、センサ入力を、有意義ですぐに使用可能な感知へと結合するために、ソースとセンサとの両方を含み得ることを理解するであろう。たとえば、ソナー感知器およびGPRは、音響波形または可聴下周波の波形を生成して、反射波を感知する。同様に、レーザを含む感知器は、レーザビームにおける妨害または位相シフトを判定するために、レーザからの反射波を検知するように構成されたセンサを含み得る。オプティカルフローセンサ1912としての使用に適する撮像デバイスは、たとえば赤外線撮像装置、ビデオカメラ、スチールカメラ、デジタルカメラ、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像デバイス、電荷結合素子(CCD)撮像装置などの、何らかの画像取込みに適するデバイスでよい。加えて、撮像デバイスは、レンズ、コリメータ、フィルタ、およびミラーなどの、取り込んだ画像を修正するための光学デバイスを含み得る。ロボット1900は、撮像デバイスの配向を調整するために、撮像デバイスに結合されたパンおよびチルトの機構をも含み得る。
【0190】
マニピュレータ1914は、たとえば、真空装置、マグネチックピックアップデバイス、アームマニピュレータ、スコップ、グリッパ、カメラのパンおよびチルトマニピュレータ、個々のアクチュエータまたは結合されたアクチュエータなどを含み得る。移動物1916は、たとえば、1つまたは複数のホイール、軌道、脚、ローラ、プロペラなどを含み得る。移動物1916は、運動能力や操縦能力のために、モータ、アクチュエータ、レバー、リレーなどによって駆動され得る。さらに、感知器は、マニピュレータ1914またはたとえば走行記録計および歩数計などの移動物1916に関連して構成され得る。
【0191】
前述の
図19の議論および一般的なロボットに関連したハードウェアは、米国特許第8,073,564号(以後‘564特許)から適合されたものであり、この開示は参照によってここで組み込まれる。しかしながら、そのような要素は単なる例示であることを当業者なら理解するであろう。いくつかのロボットは、
図19に示された要素のすべてを含むわけではなく、一方、他のロボットは、
図19に表されたカテゴリに分類されないハードウェア要素を含み得る。それにもかかわらず、ロボット1900は、以前に説明された、スケール較正に関する実施形態を含むことができる。
【0192】
結論
本発明の例示的実施形態に従ってデータを処理するためのシステムおよび方法は、記憶デバイスに含有されている命令のシーケンスを実行する1つまたは複数のプロセッサによって実行され得る。そのような命令は、2次データ記憶デバイスなどの他のコンピュータ可読媒体から記憶デバイスに読み込まれ得る。プロセッサは、記憶デバイスに含有されている命令のシーケンスを実行することにより、たとえば上記で説明されたように動作する。代替実施形態では、本発明を実施するために、配線回路が、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて使用され得る。そのようなソフトウェアは、たとえば、センサまたはこのソフトウェアを含有しているロボットまたは他のデバイスといったデバイスの中に収容されたプロセッサ上で作動してよく、たとえば、センサを含有しているデバイスと通信する、システムコントローラ、ゲーム機、パソコンなどの別のデバイス中に収容されたプロセッサまたはコンピュータ上で作動してもよい。そのような場合には、データは、センサを含有しているデバイスと、上記で説明されたようにセンサ較正を実行するソフトウェアを実行するプロセッサを含有しているデバイスとの間で、有線または無線で転送され得る。他の例示的実施形態によれば、センサ較正に関して上記で説明された処理のうちのいくつかは、センサを含有しているデバイスにおいて実行されてよく、残りの処理は、第2のデバイスにおいて、センサを含有しているデバイスから部分的に処理されたデータ受け取った後に実行される。
【0193】
前述の例示的実施形態は、1つまたは複数の回転センサおよび/またはOFセンサを含めて信号を感知することに関するものであるが、これらの例示的実施形態によるセンサ較正技術は、これらのタイプのセンサのみに限定されるわけではない。本明細書で説明されたセンサ較正技術が適用され得るデバイスには、たとえば、加速度計、光センサおよび慣性センサ(たとえば回転センサ、ジャイロスコープまたは加速度計)、磁力計および慣性センサ(たとえば回転センサ、ジャイロスコープまたは加速度計)、磁力計、ならびに光センサ(たとえばOFセンサ、カメラ、1つまたは複数の光ダイオード、1つまたは複数の光トランジスタ)、あるいは他のセンサの組合せが含まれる。加えて、本明細書で説明された例示的実施形態は、ロボットおよびロボット掃除機ならびに応用の状況でセンサ較正に関するものであるが、そのような技術は、そのように限定されることなく、たとえば携帯電話、医療用途、ゲーム、カメラ、軍事用途、ロボットデバイスなどの他の用途に関連した方法およびデバイスに採用され得る。
【0194】
前述の例示的実施形態は、本発明のすべての点において、限定的であるというよりもむしろ例示的であるように意図されている。したがって、本発明は、当業者によって、本明細書に含有されている説明から導出され得る詳細な実装形態において多くの変形形態が可能である。たとえば、前述の例示的実施形態のうちのいくつかは、とりわけ、デバイスの運動を検知するための慣性センサの使用法を説明しているが、慣性センサの代わりに、または慣性センサに加えて、他のタイプのセンサ(たとえば超音波センサ、磁気センサまたは光センサ)が、以前に説明された信号処理と共に使用され得る。すべてのそのような変形形態および修正形態は、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲および趣旨の範囲内にあると見なされる。本出願の説明において使用されるいかなる要素、動作、または命令も、そのように明示的に記述されていなければ、本発明にとって決定的なものまたは不可欠なものと解釈されるべきではない。また、本明細書で使用される冠詞「1つの(a)」は、1つまたは複数の項目を含むように意図されている。
【0195】
上記では、特徴や要素は特定の組合せで説明されているが、当業者なら、それぞれの特徴または要素が、単独で、または他の特徴や要素との任意の組合せで、使用され得ることを理解するであろう。加えて、本明細書で説明された方法は、コンピュータまたはプロセッサによって実行するようにコンピュータ可読媒体に組み込まれたコンピュータプログラム、ソフトウェア、またはファームウェアにおいて実施され得る。非一時的コンピュータ可読記憶媒体の例は、それだけではないが、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリ素子、内部ハードディスクおよび取外し可能ディスクなどの磁気媒体、磁気光学媒体、ならびにCD-ROMディスクやデジタル多用途ディスク(DVD)などの光媒体を含む。WTRU 102、UE、端末、基地局、RNC、または任意のホストコンピュータにおいて用いる無線周波数トランシーバを実施するために、ソフトウェアに関連したプロセッサが使用され得る。
【0196】
その上に、前述の実施形態では、処理プラットホーム、コンピュータシステム、コントローラ、およびプロセッサを含有する他のデバイスに言及している。これらのデバイスは、少なくとも1つの中央処理装置(「CPU」)およびメモリを含有し得る。動作または命令の、行為や記号表現に対する参照は、コンピュータプログラミングの当業者の慣行に従って、様々なCPUおよびメモリによって実行され得る。そのような行為や動作または命令は、「実行される」、「コンピュータで実行される」または「CPUで実行される」ものとして参照され得る。
【0197】
当業者なら、行為や象徴的に表現された動作または命令は、CPUによる電気信号の操作を含むことを認識するであろう。電気システムは、電気信号の変換および縮小と、CPUの動作を再構成するかまたは変更するための、メモリシステムの記憶場所におけるデータビットのメンテナンスと、信号の他の処理とを可能にするデータビットを表現する。データビットが維持される記憶場所は、データビットに対応するかまたはデータビットを表す、特定の電気的特性、磁気的特性、光学的特性、または有機的特性を有する物理的位置である。代表的な実施形態は、前述のプラットホームまたはCPUに限定されず、他のプラットホームおよびCPUが、提供された方法をサポートし得ることを理解されたい。
【0198】
データビットはまた、磁気ディスク、光ディスク、および任意の他の揮発性(たとえばランダムアクセスメモリ(「RAM」))、または不揮発性(たとえば読取り専用メモリ(「ROM」))のCPU可読大容量記憶システムを含むコンピュータ可読媒体上に維持され得る。コンピュータ可読媒体は、協働するかまたは相互接続されたコンピュータ可読媒体を含み得、これは、もっぱら処理システム上に存在するか、あるいは処理システムに対してローカルまたはリモートであり得る複数の相互接続された処理システムの間に分散している。代表的な実施形態は前述の記憶装置に限定されず、他のプラットホームおよび記憶装置が、説明された方法をサポートし得ることが理解される。
【0199】
例示の実施形態では、本明細書で説明された動作、処理などのうち任意のものが、コンピュータ可読媒体上に記憶されたコンピュータ可読命令として実施され得る。コンピュータ可読命令は、移動ユニットのプロセッサ、ネットワーク要素、および/または任意の他のコンピュータデバイスによって実行され得る。
【0200】
システムの態様の、ハードウェアの実装形態とソフトウェアの実装形態との間には、ほとんど相違がない。ハードウェアまたはソフトウェアの利用は、一般にコスト対効率のトレードオフを表す設計上の選択である(しかし、特定の状況では、ハードウェアとソフトウェアの間の選択が重要になることがあるという点で、必ずしもそうとは限らない)。本明細書で説明した処理および/またはシステムおよび/または他の技術に影響を及ぼし得る種々の手段(たとえばハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェア)があり得、好ましい手段は、処理および/またはシステムおよび/または他の技術が配備される状況に応じて変化し得る。たとえば、開発者は、速度および精度が最重要視されると判断したときには、主としてハードウェアおよび/またはファームウェアの手段を選択してよい。融通性が最重要視されるのであれば、開発者は、主としてソフトウェアの実装形態を選択してよい。あるいは、開発者は、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアのいくつかの組合せを選択してもよい。
【0201】
前述の詳細な説明は、ブロック図、流れ図、および/または実例を使用することにより、装置および/または処理の種々の実施形態を説明している。このようなブロック図、流れ図、および/または実例が1つまたは複数の機能および/または動作を含んでいる限り、このようなブロック図、流れ図、または実例の範囲内の各機能および/または動作は、広範なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの実質的に任意の組合せによって、個々に、かつ/または総体として実施され得ることが当業者には理解されよう。適切なプロセッサは、例として、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、在来型プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに関連した1つまたは複数のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準製品(ASSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路、任意の他のタイプの集積回路(IC)、および/またはステートマシンを含む。
【0202】
本開示は、様々な態様の説明として意図されている、本出願で説明された特定の実施形態という意味において、限定されない。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、多くの変更形態および変形形態が作製され得ることが当業者には明らかであろう。本出願の説明において使用されるいかなる要素、動作、または命令も、そのように明示的に与えられていなければ、本発明にとって決定的なものまたは不可欠なものと解釈されるべきではない。本明細書に列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等しい方法および装置は、前述の説明から当業者には明らかであろう。そのような変更形態および変形形態は、添付の特許請求の範囲の範囲内であるように意図されている。本開示は、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲に加えて、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。本開示は、特定の方法またはシステムに限定されないことを理解されたい。
【0203】
ある特定の代表的な実施形態では、本明細書で説明された内容のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、および/または他の集積された構成によって実施され得る。しかしながら、当業者なら、本明細書に開示された実施形態のいくつかの態様は、全体的に、または部分的に、集積回路で、1つまたは複数のコンピュータ上で作動する1つまたは複数のコンピュータプログラムとして(たとえば1つまたは複数のコンピュータシステムで作動する1つまたは複数のプログラムとして)、1つまたは複数のプロセッサ上で作動する1つまたは複数のプログラムとして(たとえば1つまたは複数のマイクロプロセッサ上で作動する1つまたは複数のプログラムとして)、ファームウェアとして、または実質的にそれらの任意の組合せとして、同等に実施され得ること、また、本開示を考慮すれば、回路の設計ならびに/あるいはソフトウェアおよび/またはファームウェアのコードの記述は、当業者の技量の範囲内に十分に入ることを理解するであろう。加えて、当業者なら、本明細書で説明された主題の仕組みは、様々な形式のプログラム製品として配布され得ること、また、本明細書で説明された主題の例示的実施形態は、実際に配布するために使用される信号を伝える媒体の特定タイプにかかわらず当てはまることを理解するであろう。信号を伝える媒体の実例には、それだけではないが、フロッピーディスク、ハードディスク装置、CD、DVD、デジタルテープ、コンピュータメモリなどの記録可能なタイプの媒体と、デジタルおよび/またはアナログの通信媒体などの通過型(transmission type)媒体(たとえば光ファイバケーブル、導波路、有線通信リンク、無線通信リンクなど)とが含まれる。
【0204】
本明細書で説明された主題は、種々の他の構成要素に内蔵されている、または接続されている、種々の構成要素を示すことがある。そのような表されたアーキテクチャは単なる例であって、実際には、同一の機能性を達成する他の多くのアーキテクチャが実施され得ることを理解されたい。概念的な意味で、同一の機能性を達成するための構成要素の何らかの機構は、所望の機能性が達成され得るように効果的に「関連付けられる」。そのゆえに、特定の機能性を達成するように組み合わされた、本明細書の任意の2つの構成要素は、アーキテクチャまたは中間要素に関係なく、所望の機能性を達成するように互いに「関連付けられた」ものと見なされ得る。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素は、所望の機能性を達成するように、互いに対して「動作可能に接続されている」、または「動作可能に結合されている」と見られてよく、そのように関連付けられ得る任意の2つの構成要素は、所望の機能性を達成するために、互いに対して「動作可能に結合することができる」と見られてもよい。動作可能に結合することができるものの特定の例は、それだけではないが、物理的にペアになり得る構成要素および/または物理的に相互作用する構成要素および/または無線で相互作用可能な構成要素および/または無線で相互作用する構成要素および/または論理的に相互作用する構成要素および/または論理的に相互作用可能な構成要素を含む。
【0205】
本明細書における、実質的にあらゆる複数および/または単数の用語の使用に関して、当業者なら、状況および/または用途に対して適切に複数から単数へ変換し、かつ/または単数から複数へ変換することができる。様々な単数/複数置換は、本明細書では、特に明瞭にするために説明され得る。
【0206】
一般に、本明細書で使用される用語、特に添付の特許請求の範囲(たとえば添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、一般に「開放」用語として意図される(たとえば用語「~を含んでいる」は、「~を含んでいるがそれに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「~を有する」は、「少なくとも~を有する」と解釈されるべきであり、用語「~を含む」は、「~を含むがそれに限定されない」と解釈されるべきである)ことが当業者には理解されよう。導入される請求項の記述で特定の数が意図された場合、そのような意図は、その請求項で明確に記述されることになり、そのような記述がない限りそのような意図はないことが当業者にはさらに理解されよう。たとえば、1つだけの品目が意図される場合には、「単一の」という用語または類似の語法が使用されることがある。理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲および/または本明細書の説明は、請求項の記述を導入するのに、「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」といった導入の慣用句の使用を含むことがある。しかしながら、このような慣用句の使用は、同じ請求項が、導入の慣用句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」や、「1つの(a)」または「1つの(an)」などの不定冠詞を含んでいるときさえ(たとえば「1つの(a)」および/または「1つの(an)」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味するように解釈されるべきである)、不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」による請求項の記述の導入が、いかなる特定の請求項も、そのような導入された請求項の記述を、そのような記述を1つしか含まない実施形態に限定することを意味するように解釈されるべきではない。同じことが、請求項の記述を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。また、導入された請求項の列挙の特定の数が明確に記述されても、当業者なら、このような記述が、少なくとも記述された数を意味するように解釈されるべきであることを理解するであろう(たとえば、「2つの記述」の他の修飾語を伴わないありのままの記述は、少なくとも2つの記述、または2つ以上の記述を意味する)。さらに、「A、B、およびC、などのうち少なくとも1つ」に類似の伝統的表現法が使用される例では、一般に、このような構文は、当業者なら理解するはずの伝統的表現法の意味に意図される(たとえば、「A、B、およびCのうち少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを一緒に、AとCを一緒に、BとCを一緒に、かつ/またはAとBとCとを一緒に、などを含むことになるが、これらを有するシステムに限定されない)。「A、B、またはC、などのうち少なくとも1つ」に類似の伝統的表現法が使用される例では、一般に、このような構文は、当業者なら理解するはずの伝統的表現法の意味に意図される(たとえば、「A、B、またはCのうち少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを一緒に、AとCを一緒に、BとCを一緒に、かつ/またはAとBとCとを一緒に、などを含むことになるが、これらを有するシステムに限定されない)。2つ以上の代替用語を示す実質的にあらゆる離接的な単語および/または慣用句は、それが、説明、特許請求の範囲、または図面におけるものであろうとなかろうと、用語のうちの1つ、用語のどちらか、または用語の両方を含む可能性を企図するように理解されるべきであることが当業者にはさらに理解されよう。たとえば慣用句「AまたはB」は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むように理解されることになる。さらに、本明細書で使用される、複数の品目および/または複数のカテゴリの列挙に続く「のうち任意のもの」という用語は、個々に、または他の品目および/または他のカテゴリの品目と関連して、品目および/または品目のカテゴリの「うち任意のもの」、「任意の組合せ」、「任意の複数」、および/または「複数の任意の組合せ」を含むように意図されている。その上に、本明細書で使用される「セット」または「グループ」という用語は、ゼロを含めてあらゆる数の品目を含むように意図されている。加えて、本明細書で使用される「数」という用語は、ゼロを含めてあらゆる数を含むように意図されている。
【0207】
また、開示の特徴または態様がマーカッシュ群に関して説明される場合、その開示は、それによって、任意の個々の要素またはマーカッシュ群の要素のサブグループに関しても説明されることを当業者なら理解するであろう。
【0208】
当業者には理解されるように、書面の説明を提供することといった観点などの何らかの目的およびすべての目的のために、本明細書で開示された範囲は、何らかの可能なサブ範囲およびすべての可能なサブ範囲ならびにそれらのサブ範囲の組合せを包含する。いかなる列挙された範囲も、同じ範囲が、少なくとも2等分、3等分、4等分、5等分、10等分などに細分化されるのを十分に説明しかつ可能にするものと容易に理解され得る。限定的でない例として、本明細書で論じられた各範囲は、下部の3分の1、中間の3分の1および上部の3分の1などに容易に細分化され得る。当業者には理解されるように、「~まで」、「少なくとも」、「~よりも多くの」、「~よりも少ない」などのすべての語法は、記述された数を含んでおり、上記で論じたように、その次にサブ範囲に細分化することができる範囲を指す。最後に、当業者には理解されるように、1つの範囲は、それぞれの個々の要素を含む。したがって、たとえば、1~3のセルを有するグループは、1つ、2つ、または3つのセルを有するグループを指す。同様に、1~5のセルを有するグループは、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのセルを有するグループを指す。
【0209】
その上に、特許請求の範囲は、指定のない限り、与えられた順序または要素に限定するように読み取られるべきではない。加えて、あらゆる請求項における「~するための手段」という術語使用は、米国特許法第112条第6段落またはミーンズプラスファンクション請求フォーマットを引用するように意図されており、「~するための手段」という術語のないあらゆる請求項にはそのような意図はない。
【符号の説明】
【0210】
1502a 反射細片
1502b 反射細片
1504 回転の中心
1506 平行なライン
1510 OFセンサ
1900 ロボット
1902 プロセッサ
1904 システムバス
1906 通信デバイス
1907 通信チャネル
1908 加速度計
1910 ジャイロスコープ
1912 オプティカルフローセンサ
1914 マニピュレータ
1916 移動物