(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】結束方向に前後して配置された複数のバッテリモジュールを有する装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20241119BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/51 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20241119BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241119BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20241119BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20241119BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/204 401H
H01M50/51
H01M50/507
H01M50/289 101
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/6567
(21)【出願番号】P 2022514511
(86)(22)【出願日】2020-08-10
(86)【国際出願番号】 AT2020060297
(87)【国際公開番号】W WO2021042142
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-02-06
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】523044389
【氏名又は名称】ジョン・ディア・エレクトリク・パワートレイン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ドーブシュ・ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルトシュッツ・ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】カストラー・ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】メンツル・キリアン
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-140769(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0101668(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
H01M50/50-50/598
H01M10/52-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結束方向(F)に前後して配置された複数のバッテリモジュール(1)を有する装置であって、各バッテリモジュール(1)は、一群の複数のバッテリセル(3)が結束方向(F)に貫通している1つの基体(2)を有する当該装置において、
1つのスペーサ枠(4)が、隣接した複数のバッテリモジュール(1)間に設けられていて、このスペーサ枠(4)は、これらのバッテリモジュール(1)の前記基体(2)で支持された少なくとも1つのスペーサ(5)と、これらのバッテリモジュール(1)を互いに電気接触させるための複数の貫通孔(6)とを有することを特徴とする装置。
【請求項2】
複数の前記バッテリモジュール(1)の複数の前記基体(2)は、温度調節流体用の流体路を形成すること、及び
前記スペーサ枠(4)は、1つのバッテリモジュール(1)の流体用
接続部(7)を
、隣接した1つのバッテリモジュール(1)の前記流体用
接続部(7)に結合させる流体路(8)を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流体路(8)は、前記結束方向(F)に対して直角方向に弾性固定式に前記スペーサ枠(4)に設置されていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記流体路(8)は、射出成形された少なくとも1つのばね(9)によって前記スペーサ枠(4)に結合されている請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記スペーサ枠(4)に面した少なくとも2つの
前記流体用接続部(7)が、バッテリモジュール(1)ごとに設けられていること、及び
前記スペーサ枠(4)は、
これらの流体用接続部(7)用の、低い流れ抵抗を呈する連続する流体路(8)と、不連続の流体路(8)又はより高い流れ抵抗を呈する流体路(8)とを有することを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
複数の前記バッテリセル(3)を被覆面で平行に接触させるため、個々のバッテリセル(3)用の凹部(12)を有する平行板(10)が、少なくとも1つのバッテリモジュール(1)と前記スペーサ枠(4)との間に設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記スペーサ枠(4)の複数の前記貫通孔(6)が、個々のバッテリセル(3)を直列に接続するために複数の接触装置(13)用の複数の収容部を形成することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記隣接した複数のバッテリモジュール(1)は、複数の係止孔(19)を有し、前記スペーサ枠(4)上に張り渡されている複数の係止コネクタ(16)が、これらの係止孔(19)内に嵌り込むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の係止コネクタ(16)は、前記複数の係止孔(19)内に嵌り込む複数の係止部(17)を有し、これらの係止部(17)は、引き抜き方向に向けられた複数の固定爪(18)を形成することを特徴とする請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結束方向に前後して配置された複数のバッテリモジュールを有する装置であって、一群の複数のバッテリセルが結束方向にそれぞれ1つの基体を貫通している当該装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のバッテリモジュールを互いに直列に接続する装置が、従来の技術から公知である。これらのバッテリモジュールは、これらのバッテリモジュールを結束方向に貫通する複数のバッテリセルから成るそれぞれ1つのグループを有する。この場合、これらのバッテリセルの長手軸線が、結束方向に延在する。したがって、例えば独国特許出願公開第102015013377号明細書では、隣接した複数のバッテリモジュールの複数のバッテリセルが、1つのプレートに配置されている複数の導電性接触ばねによって電気的に且つ機械的に互いに結合されている。しかしながら、複数のバッテリセルを当該バッテリモジュール内にこのように設置した場合、負荷に対する電気接触の機械的な柔軟性及び安定性に問題がある。
【0003】
従来の技術において一般的なバッテリセルと接触ばねとの嵌合結合の場合、当該実施の形態では、すなわち機械負荷の下では、当該設置が、機械的に過剰設計になる。何故なら、複数のバッテリモジュールの変化する相対位置に起因して、力が、プレートとの電気的な嵌合結合によって接触ばねを介してこれらのバッテリセルに印加されるからである。しかしながら、これらのバッテリセルの特性も、当該プレートの特性も、このような機械負荷を吸収するように設計されていない。
【0004】
この代わりに、例えば独国登録実用新案第202015006545号明細書から、嵌合結合の代わりに、例えば接触板上に配置された突起部のような、バッテリセルを押圧する機械的に柔軟な結合部を使用することが公知である。しかし、これにより、当該バッテリセルの電極が、当該突起部に対して横方向に移動し得る。これにより、当該電気接触の特性が劣化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102015013377号明細書
【文献】独国登録実用新案第202015006545号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、複数のバッテリモジュールの電気結合が複数のバッテリモジュールの機械結合から分離されるように、複数のバッテリモジュールを互いに結合することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、1つのスペーサ枠が隣接した複数のバッテリモジュール間に設けられていて、このスペーサ枠がこれらのバッテリモジュールの当該基体で支持された少なくとも1つのスペーサと、これらのバッテリモジュールを互いに電気接触させるための複数の貫通孔とを有することによって解決される。当該スペーサは、隣接した複数のバッテリモジュールを離間させる。その結果、これらのバッテリモジュールは、結束方向に互いに近接し得ず、したがって所定の最小間隔が、これらのバッテリモジュール間で保持される。この場合、当該隣接した複数のバッテリモジュールの個々のバッテリセルが、当該スペーサ枠の複数の貫通孔を通じて直接に電気接続されるか、又は例えば柔軟な導体若しくは接触ばねを介して電気接続される。その結果、当該複数のバッテリセルが、適切に設置された場合に当該枠内で当該結束方向に対して直角方向に可動に保持される。特に、複数のバッテリセルの少なくとも一部が当該基体から突出している複数のバッテリモジュールの場合、スペーサが無いと、望まない機械的な力が、個々のバッテリセルに作用し得る。本発明の装置では、これとは違って、発生する機械的な力が、結束方向に当該スペーサに印加され、さらなる結果として、この機械的な力から発生する負荷が、これらのバッテリセルに伝達し、これらのバッテリセルが損傷することが回避される。好適な実施の形態では、互いに隣接する複数のバッテリモジュールの複数のバッテリセルだけを互いに機械的に分離するのではなくて、1つのバッテリモジュールの複数のバッテリセルも互いに機械的に分離するため、それぞれ1つのバッテリセルだけが、隣接した1つのバッテリモジュールのそれぞれ1つの別のバッテリセルに接続している。これにより、場合によっては発生し得る1つのバッテリセルに作用する力が、機械的な結合要素を介して別のバッテリセルに伝播し得ない。当該スペーサは、当該結束方向に対して直角方向の1つ又は2つの空間方向の当該基体の変位も制限し得る。その結果、結束方向の力だけが吸収され得るのではなくて、当該結束方向に対して直角方向に作用する横方向の力も吸収され得る。
【0008】
複数のバッテリモジュールを温度調節流体によって一緒に温度調節する場合に、機械的に分離された流体用接続部をこれらのバッテリモジュール間で可能にするため、複数の当該バッテリモジュールの複数の当該基体は、温度調節流体用の流体路を形成すること、及び、当該スペーサ枠は、1つのバッテリモジュールの流体用流出口を隣接した1つのバッテリモジュールの当該流体用流入口に結合させる流体路を有することことが提唱される。これらのバッテリモジュールの一緒の温度調節とは、当該温度調節流体が一群の複数のバッテリモジュールを直接に平行に又は直列に通過すること、すなわち1つのバッテリモジュールの流路から隣接したバッテリモジュールの流路内に直接に転流されることを意味する。当該流体路は、隣接した複数のバッテリモジュール同士を、当該スペーサ枠を介して液密に結合し、複数の流体用接続部、すなわち隣接したバッテリモジュールの流体用流入口及び流体用流出口を結合する。この場合、当該流体路は、互いに隣接する複数のバッテリモジュールの開口部として形成された流体用流入口内と流体用流流出口内とに挿入され得る。この場合、当該流体路が、当該流体用接続部の開口部に対して環状のパッキングによって気密に密封されるときに、非常に簡単な構成条件が得られる。
【0009】
当該流体路が、当該結束方向に対して直角方向に弾性固定式に当該スペーサ枠に設置されていることによって、当該流体路は、当該スペーサ枠から機械的に分離され得る。したがって、当該結束方向に対して直角方向に発生する、当該スペーサ枠又は当該バッテリモジュールに対する複数の力作用が相殺され得る。その結果、機械的な負荷が、当該流体路と当該流体用接続部との間の当該パッキングに影響しないか、又は流体力学的な構成部品を全く損傷させない。すなわち、力が作用したときでも、当該流体用流入口及び流体用流出口並びに当該流体路が、当該流体路の弾性固定式の設置によって互いに整列され続ける。
【0010】
当該流体路が、射出成形された少なくとも1つのばねによって当該スペーサ枠に結合されていることによって、製造技術的に簡単で且つ安価な構成が実現され得る。射出成形方法で製造することによって、弾性固定式の設置が、当該スペーサ枠に組み込まれた構成要素として簡単に実行され得て、さらなる構成部品の取り付けは不要である。これにより、当該装置の購入コスト及び製造コストが削減される。好適な実施の形態では、当該スペーサ枠が、当該流体路よりも大きい横断面を有する貫通孔内に弾性舌片によって設置されている1つの流体路を有する。
【0011】
当該スペーサ枠に面した少なくとも2つの流体用接続部が、バッテリモジュールごとに設けられていること、及び、当該スペーサ枠は、この流体用接続部用の、低い流れ抵抗を呈する連続する流体路と、不連続の流体路又はより高い流れ抵抗を呈する流体路とを有することによって、複数のバッテリモジュールをスペーサ枠に組み付けること、及び運転開始時のこれらのバッテリモジュールの排気が簡略化され得る。当該流体用接続部は、流体用流入口又は流体用流出口でもよい。何故なら、流入口又は流出口は、温度調節流体の流れ方向だけによって規定されるからである。最も簡単な場合、当該不連続の流体路又はより高い流れ抵抗を呈する流体路が、設けられ得るか、又は当該流体路の横断面に比べて遥かに小さい開口部だけによって流体的に結合され得る。より高い流れ抵抗を呈するより小さい開口部には、当該流路が、当該バッテリモジュールの空間位置に依存しないでより良好に排気され得て、それにもかかわらず所定の流れ方向が生成されるという利点がある。この場合、当該スペーサ枠が、当該流体路に対して点対称に又はミラー対称に形成されるならば、隣接する複数のバッテリモジュール内の望ましい流れ方向が、異なるスペーサ枠を設ける必要なしに、当該スペーサ枠の向きを変えることによって提供され得る。
【0012】
複数の当該バッテリセルを被覆面で平行に接触させるため、個々のバッテリセル用の凹部を有する平行板が、少なくとも1つのバッテリモジュールと当該スペーサ枠との間に設けられていることによって、隣接する複数のバッテリモジュールの複数のバッテリセルを直列に電気接続することに加えて、1つのバッテリモジュールの複数のバッテリセルを並列に電気接続することが、製造技術的に簡単に且つ柔軟に実行され得る。互いに隣接する複数のバッテリモジュールの複数のバッテリセルの互いに対向するセル電極の接触に依存しないで、及び、当該基体内の複数のバッテリセルの結束工程に依存しないで、この平行板が、1つのバッテリモジュールの全てのバッテリセル又は複数のバッテリセルから成る個々のグループの並列な電気接続を可能にする。この場合、当該スペーサ枠が、当該平行板の複数の接触舌片又は複数の接触ばね用の複数の収容部を有することによって、非常に低い構造高さが達成され得る。
【0013】
上記の機械的な結合と電気接続との提唱されている分離にもかかわらず、本発明の装置の機械的な安定性を改良するため、当該スペーサ枠の複数の当該貫通孔が、個々のバッテリセルを直列に接続するために複数の接触装置用の複数の収容部を形成することが提唱される。これらの接触装置は、当該スペーサ枠のこれらの収容部内にほぼ遊びなしに挿入された中空体を有し得る。当該結束方向に対して直角方向のこれらのバッテリセルの相対移動が、予め設定されている程度内で可能であるように、当該隣接した複数のバッテリセルを結合する接触ばねが、この中空体内に設置されている。
【0014】
中間にあるスペーサ枠を有する複数のバッテリモジュールを結束後に外部からの張力から簡単に保護するため、当該隣接した複数のバッテリモジュールは、複数の係止孔を有し、当該スペーサ枠上に張り渡されている複数の係止コネクタが、これらの係止孔内に嵌り込む。これにより、これらのバッテリモジュールを結束方向に互いに遠ざける力を意味する張力が、係止コネクタ方向に印加され、当該装置を引き離させない。これらの係止孔は、特にこれらのバッテリモジュールの基体の外面上に存在する。その結果、当該係止コネクタは、外側から事後的に挿入され得る。さらに、当該係止コネクタは、例えば連続するテープとして構成することによって任意の数のバッテリモジュールを保護できる。この場合、さらに、当該係止コネクタは、工具なしの組み付けを可能にする。何故なら、当該係止コネクタは差し込まれるだけで済むからである。
【0015】
当該複数の係止コネクタは、当該複数の係止孔内に嵌り込む複数の係止部を有し、これらの係止部は、引き抜き方向に向けられた複数の固定爪を形成することによって、隣接した複数のバッテリモジュール同士が、非常に確実に係止結合され得る。この場合、固定爪は、当該係止孔内で、当該装置に対して、すなわち当該結束方向に対して直角方向に、引き抜き方向に向けられた力に対抗して、当該係止コネクタを挟持する構成部品であり、当該係止コネクタの外れを阻止する。好適な実施の形態では、当該固定爪は、当該係止コネクタから形成された辺材部である。当該辺材部は、挟持下で当該係止コネクタを当該係止孔に対して固定する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】
図2の線III-IIIに沿った断面を縮小スケールで示す。
【
図4】
図2のIV-IVに沿った断面を拡大スケールで示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の装置は、結束方向Fに前後して配置された、1つの基体2を有する複数のバッテリモジュール1を備える。複数のバッテリセル3が、この基体2を貫通している。1つのスペーサ枠4が、結束方向Fに隣接した複数のバッテリモジュール1間に設けられている。このスペーサ枠4は、複数のスペーサ5と、これらのバッテリセル3を互いに電気接触させるための複数の貫通孔6とを有する。
【0018】
バッテリモジュール1は流体冷却され得る。この場合、バッテリモジュール1の基体2が、流路を形成する。温度調節液が、流体用流出口7を介して当該流体路に供給される。隣接したバッテリモジュール1が、スペーサ枠4を介して液密に結合され得る。このため、複数の流体路8が設けられている。これらの流体路8は、当該温度調節流体の流れ方向に応じて高い流れ抵抗又は低い流れ抵抗を有し、流体用接続部7内に差し込まれ得る。これらの流体路8は、結束方向Fにスペーサ枠4の両側に向かって延在する。
【0019】
熱膨張又は機械的な損傷作用(mechanischen Stoereinrichtung)が、稼働中に発生し得るので、流体路8は、スペーサ枠4内で弾性固定式に設置されている。当該設置は、例えば射出成形された弾性舌片9によってスペーサ枠4で変位され得る。1つのバッテリモジュール1の基体2内の温度調節流体の流れの条件を改良するため、それぞれ2つの流体用接続部7が、流路の互いに対向する端部上に設けられ得る。この場合、スペーサ枠4は、当該流路、すなわちこのスペーサ枠4の端部ごとに、同様にそれぞれ2つの流体路8を有する。
【0020】
複数のバッテリセル3を被覆面で平行に接触させるため、少なくとも1つの平行板10が、スペーサ枠4に設けられ得る。当該平行板10は、打ち抜かれた固定孔11によってスペーサ枠4に把持され得て、同様に凹部12を有する。凹部12は、これらのバッテリセル3の被覆面の少なくとも一部を包囲する。
【0021】
特に
図3から見て取れるように、複数の接触装置13用の複数の収容部が、スペーサ枠4の複数の貫通孔6内に設けられ得る。複数のバッテリセル3の安定な機械接触と同時に、柔軟な電気接触が保証され得るように、これらの収容部は、隣接した複数のバッテリモジュール1のこれらのバッテリセル3を結合させる。
【0022】
このような接触装置13は、貫通孔6内に嵌入されるブッシュ14を有し得る。1つのバッテリセル3が、このブッシュ14内に挿入される。このブッシュ14は、結束方向にこのブッシュ14の別の側に配置されている1つの接触要素15を介して隣接した1つのバッテリセル3を直列に電気接触させる。複数のバッテリモジュール1が、スペーサ枠4を係止する複数の係止コネクタ16によって互いに固定され得る。これらの係止コネクタ16は、引き抜き方向に向けられた複数の固定爪18を有する複数の係止部17を介してこれらのバッテリモジュール1の基体2内に入り込むように形成されている複数の係止孔19内に嵌り込む。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る。
1.
結束方向(F)に前後して配置された複数のバッテリモジュール(1)を有する装置であって、各バッテリモジュール(1)は、一群の複数のバッテリセル(3)が結束方向(F)に貫通している1つの基体(2)を有する当該装置において、
1つのスペーサ枠(4)が、隣接した複数のバッテリモジュール(1)間に設けられていて、このスペーサ枠(4)は、これらのバッテリモジュール(1)の前記基体(2)で支持された少なくとも1つのスペーサ(5)と、これらのバッテリモジュール(1)を互いに電気接触させるための複数の貫通孔(6)とを有する当該装置。
2.
複数の前記バッテリモジュール(1)の複数の前記基体(2)は、温度調節流体用の流体路を形成すること、及び
前記スペーサ枠(4)は、1つのバッテリモジュール(1)の流体用流出口(7)を隣接した1つのバッテリモジュール(1)の前記流体用流入口(7)に結合させる流体路(8)を有する上記1に記載の装置。
3.
前記流体路(8)は、前記結束方向(F)に対して直角方向に弾性固定式に前記スペーサ枠(4)に設置されている上記2に記載の装置。
4.
前記流体路(8)は、射出成形された少なくとも1つのばね(9)によって前記スペーサ枠(4)に結合されている上記2又は3に記載の装置。
5.
前記スペーサ枠(4)に面した少なくとも2つの流体用接続部(7)が、バッテリモジュール(1)ごとに設けられていること、及び
前記スペーサ枠(4)は、これらの流体用接続部(7)用の、低い流れ抵抗を呈する連続する流体路(8)と、不連続の流体路(8)又はより高い流れ抵抗を呈する流体路(8)とを有する上記2~4のいずれか1つに記載の装置。
6.
複数の前記バッテリセル(3)を被覆面で平行に接触させるため、個々のバッテリセル(3)用の凹部(12)を有する平行板(10)が、少なくとも1つのバッテリモジュール(1)と前記スペーサ枠(4)との間に設けられている上記1~5のいずれか1つに記載の装置。
7.
前記スペーサ枠(4)の複数の前記貫通孔(6)が、個々のバッテリセル(3)を直列に接続するために複数の接触装置(13)用の複数の収容部を形成する上記1~6のいずれか1つに記載の装置。
8.
前記隣接した複数のバッテリモジュール(1)は、複数の係止孔(19)を有し、前記スペーサ枠(4)上に張り渡されている複数の係止コネクタ(16)が、これらの係止孔(19)内に嵌り込む上記1~7のいずれか1つに記載の装置。
9.
前記複数の係止コネクタ(16)は、前記複数の係止孔(19)内に嵌り込む複数の係止部(17)を有し、これらの係止部(17)は、引き抜き方向に向けられた複数の固定爪(18)を形成する上記8に記載の装置。
【符号の説明】
【0023】
1 バッテリモジュール
2 基体
3 バッテリセル
4 スペーサ枠
5 スペーサ
6 貫通孔
7 流体用流出口、流体用接続部
8 流体路
9 弾性舌片、ばね
10 平行板
11 固定孔
12 凹部
13 接触装置
14 ブッシュ
15 接触要素
16 係止コネクタ
17 係止部
18 固定爪
19 係止孔
F 結束方向