IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クラリオン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-表示制御装置、及び表示制御方法 図1
  • 特許-表示制御装置、及び表示制御方法 図2
  • 特許-表示制御装置、及び表示制御方法 図3
  • 特許-表示制御装置、及び表示制御方法 図4
  • 特許-表示制御装置、及び表示制御方法 図5
  • 特許-表示制御装置、及び表示制御方法 図6
  • 特許-表示制御装置、及び表示制御方法 図7
  • 特許-表示制御装置、及び表示制御方法 図8
  • 特許-表示制御装置、及び表示制御方法 図9
  • 特許-表示制御装置、及び表示制御方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】表示制御装置、及び表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04817 20220101AFI20241119BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20241119BHJP
   G06F 3/04847 20220101ALI20241119BHJP
   G06F 3/14 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G06F3/04817
G06F3/0481
G06F3/04847
G06F3/14 350B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022523713
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2020046799
(87)【国際公開番号】W WO2021125181
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2019228583
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江崎 実
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0202852(US,A1)
【文献】特開2015-87861(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0107632(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0220215(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/04817
G06F 3/0481
G06F 3/04847
G06F 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面上に設けた数の表示領域の境界線の位置を変更することにより、前記表示領域のサイズを動的に変更する表示領域設定部と、
前記表示領域のサイズに従って前記表示領域に表示された1または複数の表示物の表示形態及び表示位置を決定する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記表示領域どうしの間の境界領域上に移動表示領域を設けて前記移動表示領域に特定の表示物表示させ、前記移動表示領域の移動に伴って前記特定の表示物の表示を移動させ、
前記移動表示領域の移動、及び前記移動表示領域の移動に伴う各表示領域のサイズ変更は、イベントの発生及びユーザからの操作に応じて行われ、
発生した前記イベントに応じ、前記表示領域の分割状態を変更するように前記ユーザに促すための矢印が前記特定の表示物として前記移動表示領域に表示され、
前記矢印は、前記ユーザが前記移動表示領域にタッチオンしてドラッグすべき方向を表す
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
前記イベントとは、車速変化、交通情報受信、緊急警報受信、自動運転状態への遷移、外部カメラ起動、カメラ画面への切り替え、メール・メッセージの受信、電話着信、交差点接近、右左折案内、ウィンカ操作、緊急車両接近、眠気検知、生体異常検知、及び行動履歴に基づくリコメンドのうちの少なくとも一つを指す
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
前記表示制御部は、前記移動表示領域を前記境界線が交差する位置に設ける
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
前記表示制御部は、前記特定の表示物の表示を時間経過に伴って変化させる
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
前記表示制御部は、前記イベントが発生していない場合、前記移動表示領域に前記特定の表示物として、時刻、温度、湿度、気象状況、車速、出力馬力、出力トルク、及び発電量のうちの少なくとも一つを表す画像を表示させる
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
前記表示制御部は、前記移動表示領域の移動に応じて前記特定の表示物のサイズ及び表示内容の少なくとも一方を変更する
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
前記表示制御部は、前記移動表示領域の移動に拘らず、前記特定の表示物のサイズ及び表示内容を維持して表示させる
ことを特徴とする表示制御装置。
【請求項8】
表示制御装置による表示制御方法であって、
画面上に設けた数の表示領域の境界線の位置を変更することにより、前記表示領域のサイズを動的に変更する表示領域設定ステップと、
前記表示領域のサイズに従って前記表示領域に表示された1または複数の表示物の表示形態及び表示位置を決定し、前記表示領域どうしの間の境界領域上に移動表示領域を設けて前記移動表示領域に特定の表示物を表示させ、前記移動表示領域の移動に伴って前記特定の表示物の表示を移動させる表示制御ステップと、を含み、
前記移動表示領域の移動、及び前記移動表示領域の移動に伴う各表示領域のサイズ変更は、イベントの発生及びユーザからの操作に応じて行われ、
発生した前記イベントに応じ、前記表示領域の分割状態を変更するように前記ユーザに促すための矢印が前記特定の表示物として前記移動表示領域に表示され、
前記矢印は、前記ユーザが前記移動表示領域にタッチオンしてドラッグすべき方向を表す
ことを特徴とする表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置、及び表示制御方法に関する。本発明は2019年12月18日に出願された日本国特許の出願番号2019-228583の優先権を主張し、文献の参照による織り込みが認められる指定国については、その出願に記載された内容は参照により本出願に織り込まれる。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイにおける情報表示に関する発明として、例えば、特許文献1には、表示領域に表示を行う表示部と、表示領域に対する操作を検出する操作検出部と、表示部を制御する表示制御部とを備える電子機器が開示されている。そして、同文献には「表示制御部は、表示領域に含まれる第1表示領域を複数の表示領域に分割し、当該複数の表示領域のそれぞれの表示を独立して制御する分割表示モードを有し、分割表示モードにおいて、複数の表示領域のそれぞれに対する設定を可能とするように設定できる一つの操作対象画像を表示部に表示させる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-87861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように、従来、表示画面を複数に分割し、分割した各領域の表示を独立して制御することは可能である。具体的には、各領域のサイズが変更された場合、サイズが変更された領域に表示されているアイコン等の表示物を単純に縮小または拡大したり、段階的にレイアウトを変更したり、部分的にトリミングしたり、非表示としたりすることはできる。ただし、上述したように、表示領域のサイズを変更したり、表示物の表示方法を変更したりすると、ユーザが、自身が必要としている表示物や情報を速やかに発見できないことが起こり得る。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、画面に設けた表示領域の動的なサイズ変更に拘らず、所定の情報をユーザにとって発見し易く表示できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明の一態様に係る表示制御装置は、画面上に設けた1または複数の表示領域の境界線の位置を変更することにより、前記表示領域のサイズを動的に変更する表示領域設定部と、前記表示領域のサイズに従って前記表示領域に表示された1または複数の表示物の表示形態及び表示位置を決定する表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、特定の表示物を前記境界線上に表示させ、前記境界線の移動に伴って前記特定の表示物の表示を移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、画面に設けた表示領域の動的なサイズ変更に拘らず、所定の情報をユーザにとって発見し易く表示することが可能となる。
【0009】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る車載装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、車載装置の機能ブロックの一例を示す図である。
図3図3(A)~図3(D)は、第1ディスプレイの表示画面に設定された表示領域の表示例であり、図3(A)は第1の表示例、図3(B)は第2の表示例、図3(C)は第3の表示例、図3(D)は第4の表示例を示す図である。
図4図4は、表示領域に設定されている配置領域の例を示す図である。
図5図5は、表示領域のサイズ変更に対応する配置領域の設定変更の概要を説明するための図である。
図6図6は、表示領域のサイズ変更に対応する配置領域の設定変更の概要を説明するための図である。
図7図7は、表示物の属性情報(可視または不可視)を説明するための図である。
図8図8は、表示物の属性情報(淘汰可または淘汰不可)を説明するための図である。
図9図9は、優先度が低い方の配置領域に配置されている表示物を移動する例を説明するための図である。
図10図10は、車載装置10による表示制御処理の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は適宜省略する。また、以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0012】
<本発明の一実施形態に係る車載装置10の構成例>
以下、本発明の一実施形態に係る車載装置10について説明する。車載装置10は、本発明の表示制御装置に相当する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る車載装置10の構成例を示している。該車載装置10は、例えば、ナビゲーション機能を備えた車載ナビゲーション装置によって実現可能である。そのため、車載装置10は、例えば、前面に第1ディスプレイ21を備える箱型の装置であり、車内のコンソールパネルに収容される。また、車載装置10は、コンソールパネルに取り付けるための取り付け具(ブラケット)を備えており、取り付け具を介して、車内のコンソールパネルの上等に取り付けられるものであってもよい。
【0014】
ここで、ナビゲーション機能とは、地図情報の表示、出発地(または現在地)から目的地までの推奨経路の探索及び誘導、交通情報の表示といった通常のナビゲーション装置が備える機能である。なお、車載装置10は、専用のナビゲーション装置に限定されるものではなく、例えば、スマートフォン、タブレット端末装置及びPDA(Personal Data Assistance)等であってもよい。この場合、ナビゲーション機能は、これらの装置にインストールされたアプリケーションプログラムまたはこれらの装置が接続可能なサーバ装置によって提供される。
【0015】
車載装置10は、ナビゲーション機能に関するナビゲーション画面の他、エアコン(エアーコンディショナ)の温度や風量等を設定するためのエアコン画面、再生するオーディオやビデオの選択、再生、音量や画質の調整等を設定するためのAV画面、無線接続されたスマートフォンによって実行されるアプリケーション(メーラー、SNS(Social Network Service)等)の画面、電話の発着信を行うための電話画面、車載カメラによって撮像された画像を映すカメラ画面等を表示することができる。
【0016】
車載装置10は、演算処理装置11、第1ディスプレイ21、第2ディスプレイ22、記憶装置23、音声入出力装置24、入力装置25、及びROM(Read Only Memory)装置26を有する。
【0017】
さらに、車載装置10は、車速センサ27、ジャイロセンサ28、GPS(Global Positioning System)受信装置29、FM多重放送受信装置30、及びビーコン受信装置31を有する。
【0018】
演算処理装置11は、車載装置10の様々な処理を行う中心的なユニットである。演算処理装置11は、例えば、車速センサ27等の各種センサ及びGPS受信装置29から出力された情報を用いて現在地を検出する。また、演算処理装置11は、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図情報を記憶装置23やROM装置26から読み出す。また、演算処理装置11は、読み出した地図情報をグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねて第1ディスプレイ21に表示させる映像信号を生成、出力する。また、演算処理装置11は、記憶装置23あるいはROM装置26に記憶されている地図情報等を用いて、ユーザ(運転者や同乗者)から指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ推奨経路を算出する。また、演算処理装置11は、スピーカ242や第1ディスプレイ21に所定の信号を出力して経路の誘導を行う。
【0019】
また、演算処理装置11は、第1ディスプレイ21の表示画面に1または複数の表示領域を設定することができ、ユーザからの操作や所定のイベントの発生に応じて、表示領域のサイズを変更することができる。また、演算処理装置11は、表示領域毎に独立して所定の表示物(アイコン等)を所定の表示形態で表示する。さらに、演算処理装置11は、第1ディスプレイ21に設定した1または複数の表示領域のうちの任意の表示領域における表示を、第2ディスプレイ22にも表示することができる。
【0020】
このような演算処理装置11は、数値演算及び各デバイスを制御する等様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)111、記憶装置23またはROM113等のメモリ装置から読み出した地図情報や演算データ等を一時的に格納するRAM(Random Access Memory)112、CPU111が実現するブートプログラム等を格納するROM113、演算処理装置11に各種ハードウェアを接続するためのI/F(Interface)114、及びこれらを相互に接続するバス115を有している。
【0021】
第1ディスプレイ21は、例えば、車内前面に設けられたコンソールパネルの中央に設置される。第1ディスプレイ21は、グラフィックス情報を表示するユニットである。第1ディスプレイ21は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成される。なお、後述するが、第1ディスプレイ21には、透明なタッチパネル251が積層されている。したがって、ユーザは第1ディスプレイ21(に積層されたタッチパネル251)に対してタッチ操作を行うことができる。ただし、第1ディスプレイ21に対する操作は、ダイヤルスイッチ252を用いて行うこともできる。
【0022】
第2ディスプレイ22は、例えば、運転席正面に設けられたインストルメントパネルに設置される。例えば、米国仕様車等のようにステアリングホイールが左側に設置されている車両の場合、ユーザから見て、第2ディスプレイ22は、コンソールパネルの中央に設置される第1ディスプレイ21の左側に設定される。
【0023】
なお、第2ディスプレイ22については、該車両に予め設けられている、速度計や回転計等を表示するディスプレイを流用することが望ましい。もちろん、車載装置10のために専用の第2ディスプレイ22を設けてもよい。第2ディスプレイ22は、グラフィックス情報を表示するユニットである。第2ディスプレイ22は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成される。
【0024】
記憶装置23は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性メモリカード等の少なくとも読み書きが可能な記憶媒体から成る。記憶装置23には、例えば、演算処理装置11によって用いられる様々な情報(例えば、地図情報等)が格納されている。
【0025】
音声入出力装置24は、音声入力装置としてのマイクロフォン241、及び音声出力装置としてのスピーカ242を有する。マイクロフォン241は、運転者や同乗者が発した声(ユーザ発話)の他、車載装置10の外部の音声を集音する。また、スピーカ242は、演算処理装置11によって生成された運転者等に対する経路案内等の音声を出力する。
【0026】
入力装置25は、ユーザからの指示入力を受け付ける装置である。入力装置25は、タッチパネル251、ダイヤルスイッチ252、その他のハードスイッチであるスクロールキー等(不図示)から成る。入力装置25は、各キーや各スイッチの操作に応じた情報を演算処理装置11等の他の装置に出力する。
【0027】
タッチパネル251は、透明な材質から成り、第1ディスプレイ21の表示画面に積層される。タッチパネル251は、ユーザの指やタッチペンによるタッチ操作(タッチオン(接触)、ドラッグ(接触した状態での移動)、及びタッチオフ(接触解除)を検知する。よって、ユーザは、あたかも第1ディスプレイ21の表示画面を視認しながら、表示画面(実際には、タッチパネル251)に触れて各種の操作を入力することができる。ユーザによるタッチ操作の位置は、例えば、タッチパネル251上に設定されるxy座標に基づいて特定される。タッチパネル251は、例えば、静電容量方式による入力検出素子等から成る。
【0028】
ROM装置26は、CD(Compact Disk)-ROMやDVD(Digital Versatile Disk)-ROM等のROM、IC(Integrated Circuit)カード等の少なくともデジタルデータの読み取りが可能な記憶媒体から成る。この記憶媒体には、例えば、ビデオデータ、オーディオデータ、音声データ等が記憶されている。
【0029】
車速センサ27は、車速を算出するために用いる値を取得する。ジャイロセンサ28は、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体(車両)の回転による角速度を検出する。GPS受信装置29は、GPS衛星からの信号を受信し、移動体とGPS衛星間の距離と距離の変化率とを3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在地、進行速度及び進行方位を測定することができる。これらの各装置は、車載装置10が搭載された車両の現在地を検出するために演算処理装置11で用いられる。
【0030】
FM多重放送受信装置30は、FM放送波を用いて送信されてくるFM多重放送を受信する。FM多重放送には、VICS(Vehicle Information and Communication System)情報の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報及びFM多重一般情報としての文字情報等が含まれている。
【0031】
ビーコン受信装置31は、VICS情報等の概略現況交通情報、規制情報、SA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)情報、駐車場情報、天気情報及び緊急警報等を受信する。ビーコン受信装置31には、例えば、光により通信する光ビーコン、電波により通信する電波ビーコン等がある。撮像装置32は、いわゆる車載カメラであり、車内及び車外(車両の周囲)を撮像する。
【0032】
次に、車載装置10の機能構成を示す機能ブロックについて説明する。図2は、車載装置10の機能ブロックの一例を示している。
【0033】
車載装置10は、制御部120、及び記憶部130を有する。
【0034】
制御部120は、入力受付部121、操作検知部122、表示領域設定部123、表示制御部124、優先度設定部125、及び機能処理部126を有する。
【0035】
入力受付部121は、入力装置25であるダイヤルスイッチ252やその他のハードスイッチ等を介して、ユーザからの指示や情報の入力を受け付ける。例えば、入力受付部121は、入力装置25を介して、出発地及び目的地の設定や推奨経路の探索指示等をユーザから受け付ける。
【0036】
操作検知部122は、入力装置25であるタッチパネル251に対するユーザからのタッチ操作を検知する。具体的には、操作検知部122は、タッチパネル251に対するタッチオン、ドラッグ、及びタッチオフを検知する。また、操作検知部122は、タッチ操作されているタッチパネル251上のxy座標を特定する。
【0037】
また、操作検知部122は、所定時間(例えば、0.5秒間)内にタッチパネル251への複数回(例えば、2回)タッチを検知し、各々のタッチ位置を示すタッチパネル251上のxy座標を特定することもできる。
【0038】
また、操作検知部122は、これらのタッチ操作(タッチオフを含む)を検知すると、タッチ操作の種類と、そのxy座標を表示領域設定部123及び機能処理部126に通知する。
【0039】
表示領域設定部123は、第1ディスプレイ21の表示画面に1または複数の表示領域を設定する。また、表示領域設定部123は、発生したイベントに応じて、表示領域の分割状態(位置及びサイズ)を動的に変更するか、または表示領域の分割状態を変更するようにユーザに促すことができる。
【0040】
ここで、イベントとは、ユーザによるタッチ操作、車速変化、交通情報受信、緊急警報受信、自動運転状態への遷移、外部カメラ起動、カメラ画面への切り替え、メール・メッセージの受信、電話着信、交差点接近、右左折案内、ウィンカ操作、緊急車両接近、眠気検知、生体異常検知、行動履歴に基づくリコメンド(毎日立ち寄る店の付近に来たら通知する等)等を指す。
【0041】
なお、以下においては、第1ディスプレイ21の表示画面を3分割した場合を例にして説明するが、分割数は2または4以上であってもよい。また、表示領域設定部123は、表示画面を分割せず、表示画面上に1つの表示領域だけを表示するようにしてもよい。さらに、例えば、電話着信等のイベント発生に応じ、現在表示中の3分割された表示領域に重畳して、電話画面を拡大表示したり、ポップアップ表示したりしてもよい。
【0042】
表示制御部124は、各表示領域における配置領域の設定及び表示物の表示を制御する。また、表示制御部124は、配置領域及び表示物に対して属性情報(詳細後述)を設定する。さらに、表示制御部124は、表示領域のサイズの変更に応じて配置領域のサイズや位置、属性情報等を変更する。また、表示制御部124は、配置領域のサイズの変更に対応し、配置領域に配置された表示物の位置や属性情報を変更する。
【0043】
優先度設定部125は、表示領域に設けられた配置領域や、配置領域に配置された表示物に対して優先度を設定する。優先度設定部125は、配置領域や表示物に対する優先度として予め決定されている初期値を設定し、その後、ユーザからの入力に従い優先度を変更することができる。
【0044】
また、優先度設定部125は、優先度を変更した場合の状況を学習し、その学習結果に基づいて動的に優先度を変更するようにしてもよい。ここで、状況とは、車載装置10が搭載されている車両の現在地、走行速度、交通状況、気温、天気、時間帯等の車載装置10が取得可能な情報の状態を指す。具体的には、例えば、所定の時間帯にはエアコン機能に対応する配置領域や表示物の優先度を高くする等としてもよい。
【0045】
さらに、優先度設定部125は、所定イベントの発生に応じ、該所定イベントに対応する配置領域や表示物に対する優先度を一時的に上げ、該所定イベントの終了に応じて、一時的に上げた優先度を元の値に戻すことができる。
【0046】
なお、優先度が変更された場合、優先度に基づく配置領域や表示物の表示も動的に変更される。優先度設定部125は、配置領域に対して設定した優先度に基づいて配置領域情報133を更新し、表示物に対して設定した優先度に基づいて表示物情報134を更新する。
【0047】
機能処理部126は、第1ディスプレイ21の表示領域に表示された操作受付ボタンに対するユーザからタッチ操作に応じて、所定の機能を実現するための処理を行う。ここでいう機能とは、例えば、ナビゲーション機能、エアコン設定、ビデオや音楽の再生、メールやメッセージの送受信、電話の発着信等である。
【0048】
記憶部130は、所定情報を格納する。記憶部130は、ROM113、及び記憶装置23によって実現される。記憶部130には、地図情報131、表示領域情報132、配置領域情報133、表示物情報134、その他の様々な情報が格納されている。
【0049】
地図情報131には、ナビゲーション機能にて用いる地形や道路等の情報が記録されている。
【0050】
表示領域情報132には、第1ディスプレイ21の表示画面に設けられた各表示領域の分割状態が記録されている。
【0051】
配置領域情報133には、各表示領域に設けられる配置領域の形状、サイズ、位置、属性情報、及び優先度が記録されている。
【0052】
表示物情報134には、各表示領域に表示される表示物(操作受付ボタンとしてのアイコン、画像、テキスト、ポップアップ、リスト等)のデータ、属性情報、及び優先度が記録されている。
【0053】
なお、車載装置10の機能ブロックである入力受付部121、操作検知部122、表示領域設定部123、表示制御部124、優先度設定部125、及び機能処理部126については、CPU111が所定のプログラムを実行することによって実現される。このプログラムは、車載装置10のROM113または記憶装置23に格納されており、実行に際してRAM112上にロードされて、CPU111により実行される。
【0054】
図2に示された各機能ブロックは、本実施形態において実現される車載装置10の機能について理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。したがって、各機能の分類の仕方やその名称によって、本発明が制限されることはない。また、車載装置10の各構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0055】
また、各機能ブロックの全部または一部は、コンピュータに実装されるハードウェア(ASICといった集積回路等)により構築されてもよい。また、各機能ブロックの処理が1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0056】
<第1ディスプレイ21の表示画面における表示領域について>
次に、第1ディスプレイ21の表示画面に設定される表示領域について説明する。上述したように、車載装置10は、表示領域設定部123によって、第1ディスプレイ21の表示画面を分割し、複数(本実施形態では3)の表示領域を設けることができる。
【0057】
図3は、第1ディスプレイ21の表示画面に設定された3つの表示領域211(第1表示領域211、第2表示領域211、及び第3表示領域211)の表示例であり、同図(A)は第1の表示例、同図(B)は第2の表示例、同図(C)は第3の表示例、同図(D)は第4の表示例を示している。
【0058】
各表示領域211には、例えば、ナビゲーション画面、エアコン画面、AV画面、アプリ画面、電話画面、カメラ画面等を割り当てることができる。また、1つの表示領域211に、異なる機能(例えば、エアコン、オーディオ、電話)に関する複数の操作受付ボタンを混在して表示させてもよい。
【0059】
第1ディスプレイ21に複数の表示領域211が設けられている場合、表示領域211どうしの間の境界領域213が交差する位置には、表示制御部124によって移動表示領域212が設けられる。移動表示領域212には、特定の表示物を表示させることができる。移動表示領域212に表示された特定の表示物に対してユーザがタッチオンしてドラッグした場合、表示制御部124は、移動表示領域212の表示位置を移動する。そして、表示領域設定部123は、移動表示領域212が移動されたことに応じ、表示画面の各表示領域211のサイズを動的に変更し、ユーザが移動表示領域212からタッチオフした場合、各表示領域211のサイズを確定する。
【0060】
例えば、同図(A)の状態において、移動表示領域212に表示された特定の表示物がユーザによってタッチオンされて上方向にドラッグされた場合、表示領域設定部123は、第2表示領域211の縦幅を延長し、その分だけ第1表示領域211の縦幅を短縮して、同図(B)の状態まで各表示領域211を動的に変更する。
【0061】
また、例えば、同図(B)の状態において、移動表示領域212に表示された特定の表示物がユーザによってタッチオンされて左下方向にドラッグされた場合、表示領域設定部123は、第3表示領域211の横幅を延長し、その分だけ第1表示領域211及び第2表示領域211の横幅を短縮するとともに、第1表示領域211の縦幅を延長し、その分だけ第2表示領域211の縦幅を短縮して、同図(C)の状態まで各表示領域211を動的に変更する。
【0062】
なお、移動表示領域212の移動、及びそれに伴う各表示領域211のサイズ変更は、ユーザからの操作だけでなく、イベントの発生にも応じて行われる。
【0063】
同図(A)~同図(C)の例では、特定の表示物として、移動表示領域212に、現在時刻を表すアナログ時計の画像が表示されている。移動表示領域212には、時刻の他、温度、湿度、気象状況、車速、出力馬力、出力トルク、発電量等のように時間経過に伴って変化する情報を文字や数字、計器等の画像によって表示することができる。移動表示領域212に表示させる情報は、ユーザが任意に選択することが可能である。
【0064】
また、移動表示領域212に表示する特定の表示物は、イベントの発生に応じて変更してもよい。例えば、時刻を表示している状態から、電話着信、メールやメッセージの受信、緊急警報受信等のイベントに応じ、それぞれのイベント内容を表す情報に移動表示領域212の表示を変更するようにしてもよい。
【0065】
同図(D)の例は、発生したイベントに応じ、特定の表示物として、表示領域211の分割状態を変更するようにユーザに促すための矢印を移動表示領域212に表示した状態を示している。該矢印は、ユーザが移動表示領域212にタッチオンしてドラッグすべき方向を表しており、同図(D)の場合、移動表示領域212を右上方向にドラッグして第2表示領域211を拡大し、第1表示領域211及び第3表示領域211を縮小するように促していることになる。
【0066】
移動表示領域212に特定の表示物としての矢印を表示することにより、ユーザに対して表示領域211の分割状態の変更を促すとともに、ドラッグすべき方向を把握させることができる。ユーザは、自身の意思によって表示領域211の分割状態を変更させる操作を行うことができる。
【0067】
なお、移動表示領域212に表示された特定の表示物がユーザのタッチ操作によって移動されている間、ユーザは自身の指によって特定の表示物を視認することができない。よって、移動表示領域212に表示された特定の表示物が移動されている間は、移動表示領域212における特定の表示物の更新を停止したり、特定の表示物を消去したり、特定の表示物を他の画像(例えば、ロゴマーク等)に変更したりしてもよい。また、移動表示領域212に表示された特定の表示物が移動されている間は、特定の表示物のサイズを小さくしたり、逆に大きくしたりしてもよい。
【0068】
さらに、移動表示領域212に表示された特定の表示物の移動に拘らず、特定の表示物のサイズや表示内容を変更しなくてもよい。
【0069】
移動表示領域212とそこに表示された特定の表示物のサイズは、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。また、イベントの発生に応じて、移動表示領域212とそこに表示された特定の表示物のサイズを一時的に変更するようにしてもよい。
【0070】
移動表示領域212は、複数の表示領域211が交差する位置に配置されているためユーザが容易に発見できる。よって、移動表示領域212にユーザが頻繁に必要とする情報(例えば、時刻を表すアナログ時計)を表示するようにすれば、ユーザにとっての利便性を向上させることができる。
【0071】
なお、境界領域213にも所定の情報を表示するようにしてもよい。また、境界領域213の幅を狭めて、実質的に線として表示するようにしてもよい。
【0072】
なお、各表示領域211に対しては、それ以下のサイズには縮小できない最小サイズを設定することができる。
【0073】
表示領域設定部123が各表示領域211の状態を動的に変更することに対応し、表示制御部124は、各表示領域211に配置されている表示物の表示を動的に変更する。その詳細は後述する。
【0074】
ただし、第1ディスプレイ21の表示画面に設けられた各表示領域211の分割状態は、図3(A)~図3(D)の表示例に限るものではなく、ユーザからの操作に応じて任意に変更される。
【0075】
また、表示画面上の移動表示領域212に対するユーザの操作の受け付けは、タッチパネル251だけでなく、ダイヤルスイッチ252も用いることができる。
【0076】
<表示領域211に設けられる配置領域301について>
次に、各表示領域211に設ける配置領域301について説明する。図4は、表示領域211に設けられた複数の配置領域301a~301fの一例を示している。
【0077】
配置領域301a~301fは、操作受付ボタン、各種アイコン、サムネイル画像、テキスト情報等の表示物を配置するための領域である。なお、図面においては、表示領域211における配置領域301a~301fの位置を破線によって示しているが、配置領域301は実際の画面上には表示されない。
【0078】
同図の例では、表示領域211に、横方向に長い配置領域301a,301b,301c、及び縦方向に長い配置領域301d,301e,301fが設けられている。以下、配置領域301a~301fを区別する必要が無い場合、単に配置領域301と称する。
【0079】
配置領域301には、第1ディスプレイ21の表示画面に設けられているx,y座標系から独立した2次元または3次元以上の座標系が設けられている。これにより、各配置領域に301における表示物302の表示を容易に変更することができる。配置領域301に2次元座標系が設けられている場合、配置領域301は面積を有することになる。配置領域301に3次元座標系が設けられている場合、配置領域301は体積を有することになる。
【0080】
配置領域301は、領域の一方の端(始点)から他方の端(終点)に向かう方向性(ベクトル)を有する軸(何れも不図示)(以下、方向軸と称する)を有する。配置領域301の方向軸は、表示領域211の横方向または縦方向に並行な直線に限らず、斜め方向の直線でもあってよい。また、方向軸は、直線に限らず、曲線であってもよい。
【0081】
配置領域301の形状は、例えば矩形である。ただし、同図において、配置領域301は、その方向軸の方向を表すために、矢形の領域として図示されている。なお、配置領域301の形状は矩形に限られず、他の形状であってもよい。
【0082】
以下、配置領域301の方向軸の長さを方向軸長と称し、配置領域301の方向軸に直交する方向の長さを幅と称する。
【0083】
配置領域301は、表示領域211のサイズ変更に対応し、その方向軸の方向と幅を維持したまま、方向軸長と位置が変更される。配置領域301の方向軸長には、最大値を設定できる。
【0084】
また、配置領域301に対しては、表示領域211の端から配置領域301までの距離を表すオフセット値をユーザからの操作に応じて表示制御部124が設定できる。さらに、配置領域301に対しては、表示制御部124が、その幅に応じて表示領域211の端から配置領域301までの距離を表すオフセット値を設定することができる。例えば、表示領域211の下辺に隣接する、横方向に長い配置領域301cは、表示制御部124が、その幅に応じて該下辺からのオフセット値を設定することができる。同様に、表示領域211の上辺に隣接する、横方向に長い配置領域301aは、表示制御部124が、その幅に応じて該上辺からのオフセット値を設定することができる。表示領域211の左辺に隣接する、縦方向に長い配置領域301dは、表示制御部124が、その幅に応じて該左辺からのオフセット値を設定することができる。同様に、表示領域211の右辺に隣接する、縦方向に長い配置領域301fは、表示制御部124が、その幅に応じて該右辺からのオフセット値を設定することが設定できる。
【0085】
配置領域301には、属性情報として可視または不可視を設定できる。可視に設定された配置領域301に配置されている表示物302(図7)は画面上に表示される。反対に、不可視に設定された配置領域301に配置されている表示物302は画面上に表示されない。
【0086】
また、配置領域301には、同一の表示領域211に設けられている配置領域301どうしの相対的な優先度を設定することができる。なお、本実施形態の場合、配置領域301の優先度は、その値が大きいほど優先度が高いものとする。配置領域301の優先度の値は優先度設定部125が予め定められている初期値に設定する。また、配置領域301の優先度は、ユーザからの操作に応じて優先度を変更することができる。さらに、優先度設定部125が、優先度が変更された状況を学習し、学習結果に応じて優先度を動的に変更するようにしてもよい。またさらに、配置領域301の優先度は、イベントの発生に応じて一時的に変更するようにしてもよい。
【0087】
また、配置領域301には、属性情報として、同一の表示領域211に設けられている配置領域301どうしが所定距離以下に近接した場合において、干渉するか否かを設定することができる。ここで、所定距離以下に近接した場合とは、接触した場合、及び重複した場合も含むものとする。
【0088】
干渉とは、優先度の低い方の配置領域301の属性情報を可視から不可視に変更して、優先度の低い方の配置領域301に配置されている全ての表示物を一括して画面上から消去することを意味する。以下、属性情報を可視から不可視に変更して表示物を画面上から消去することを「淘汰」とも称する。
【0089】
例えば、方向軸が平行な配置領域301どうし(例えば、配置領域301aと配置領域301b)は干渉に設定し、方向軸が交差する配置領域301どうし(例えば、配置領域301aと配置領域301d)とは干渉しないように設定できる。
【0090】
さらに、同一の表示領域211に設けられている配置領域301どうしが所定距離以下に近接していない場合であっても、該表示領域211が所定サイズ以下に縮小された場合、優先度の低い方の配置領域301に配置されている全ての表示物を一括して淘汰するようにしてもよい。またさらに、同一の表示領域211に設けられている配置領域301どうしが所定距離以下に近接していない場合であっても、配置領域301どうしそれぞれに配置された表示物302どうしが所定距離以下に近接した場合には、優先度の低い方の配置領域301に配置されている全ての表示物を一括して淘汰するようにしてもよい。
【0091】
<表示領域211のサイズ変更に対応する配置領域301の設定変更>
次に、表示領域211のサイズ変更に対応する配置領域301の設定変更について説明する。
【0092】
図5及び図6は、表示領域211に設けられた配置領域301,301の、表示領域211のサイズ変更に対応する設定変更の概要を説明するための図である。
【0093】
図5及び図6の例では、表示領域211に、優先度が異なる配置領域301,301が設定されている。配置領域301に記載されている下付き数字は、優先度を表す値であり、大きい方の優先度が高い。したがって、配置領域301の優先度は1、配置領域301の優先度は2であるため、配置領域301の方が配置領域301よりも優先度が高い。図6の例は、図5の例に比べて、配置領域301,301の幅が広く設定されている。
【0094】
図5及び図6の例において、ユーザからの操作に応じて表示領域211のサイズが上段の状態から下段の状態に変化した場合、配置領域301,301は、それぞれの方向軸の方向と幅を維持した状態で方向軸長が短縮される。また、配置領域301,301の間隔が狭められる。
【0095】
この結果、図5の例では、配置領域301と配置領域301とは部分的にも重複しないので、配置領域301,301の淘汰は行われない。
【0096】
一方、図6の例では、配置領域301と配置領域301との部分的な重複が生じたため、優先度が低い方の配置領域301の属性情報が可視から不可視に変更されて、配置領域301が配置領域単位で淘汰される。すなわち、配置領域301に配置されている全ての表示物(不図示)が一括して画面上から消去される。
【0097】
ただし、図5の例のように、配置領域301と配置領域301との部分的な重複が生じなくても、表示領域211が所定のサイズよりも小さくなった場合、優先度が低い方の配置領域301が淘汰されるようにしてもよい。
【0098】
なお、優先度が低い方の配置領域301が配置領域単位で淘汰されるのではなく、配置領域301に配置されている表示物(不図示)を移動するように設定されてもよい。その詳細は図13を参照して後述する。
【0099】
反対に、図5及び図6の例において、ユーザからの操作に応じて表示領域211のサイズが下段の状態から上段の状態に変化した場合、配置領域301,301は、それぞれの方向軸の方向と幅を維持した状態で方向軸長が延長される。また、配置領域301,301は、その間隔が広げられる。
【0100】
この結果、図6の例では、配置領域301と配置領域301との部分的な重複が解消するので、優先度が低い方の配置領域301の属性情報が不可視から可視に変更されて、配置領域301に配置されている表示物(不図示)の表示が復活される。
【0101】
このように、配置領域301と配置領域301とが所定距離以下に近接した場合、それぞれの優先度に応じて一方を淘汰するので、配置領域301,301それぞれに配置された表示物どうしの重複判定を省くことができる。
【0102】
なお、同一の表示領域211に設けられている配置領域301どうしの相対的な優先度は、優先度設定部125が、予め設定されている初期値から動的に変化させてもよい。具体的には、優先度設定部125は、例えば、配置されている表示物(不図示)に対するユーザからの操作タイミングが新しい配置領域301ほど、その優先度の値を大きく設定するようにしてもよい。また例えば、配置されている表示物(不図示)に対するユーザからの操作頻度が高い配置領域301ほど、その優先度の値を大きく設定するようにしてもよい。このようすれば、ユーザから操作される可能性が高い表示物が優先的に表示されるので、ユーザの操作性を向上させることができる。
【0103】
<表示物302の属性情報>
次に、図7は、配置領域301に配置された表示物302~302に対する相対的な優先度と、属性情報としての可視または不可視とを説明するための図である。ただし、表示物302~302を個々に区別する必要が無い場合、表示物302と称する。
【0104】
配置領域301に配置された複数の表示物302には、同一の配置領域301に配置されている他の表示物302に対する相対的な優先度を設定できる。表示物302に続く下付き数字は優先度を表す値であり、本実施形態の場合、その値が大きいほど、優先度が高いものとする。以降の図面においても同様とする。また、配置領域301に配置された表示物302には、属性情報として、可視または不可視を設定できる。
【0105】
同図の例では、配置領域301に優先度が異なる表示物302~302が配置されており、最上段に示す状態において、表示物302~302の属性情報は可視に設定されている。
【0106】
イベントの発生に応じ、例えば、最上段に示す状態から、表示領域211(不図示)のサイズ変更(縮小)によって、該配置領域301の方向軸長が短縮されると、同図の2段目に示すように、表示物302~302は、それぞれのサイズを維持したままで間隔が詰められる。
【0107】
さらに、同図の3段目に示すように、該配置領域301の方向軸長がより短縮されて表示物302~302を配置できなくなると、表示物302~302のうちの最も優先度の低い表示物302が淘汰される(属性情報が可視から不可視に変更される)。この結果、配置領域301には表示物302以外の表示物302~302が表示された状態となる。
【0108】
さらに、同図の4段目に示すように、該配置領域301の方向軸長がより短縮されて表示物302~302を配置できなくなると、表示物302~302のうちの最も優先度の低い表示物302が淘汰される(属性情報が可視から不可視に変更される)。この結果、配置領域301には表示物302,302以外の表示物302~302が表示された状態となる。
【0109】
同図の5,6段目についても同様に、該配置領域301の方向軸長が短縮されると、優先度が低い表示物302から順に淘汰される。
【0110】
反対に、表示領域211(不図示)のサイズ変更(拡大)に応じて、該配置領域301の方向軸長が延長されると、表示物302の表示は、同図の下段側から上段側に変化する。すなわち、淘汰されていた(属性情報が不可視に変更されていた)表示物302が、優先度の高いものから順に配置領域301への表示が復活される(属性情報が不可視から可視に変更される)。
【0111】
なお、同一の配置領域301に配置されている表示物302どうしの相対的な優先度は、予め初期値が決められているが、ユーザからの操作に応じて優先度設定部125が変更できる。また、表示物302が操作受付ボタンである場合には、優先度設定部125が、ユーザからの操作頻度に応じて優先度を変更したり、直前に操作されたものの優先度を最上位にしたりしてもよい。さらに、優先度設定部125が、例えば、走行中は文字列の表示物302の優先度を下げるなど、車両の走行状況(速度等)に応じて優先度を動的に変更するようにしてもよい。またさらに、優先度設定部125が、優先度を変更した場合の状況を学習し、学習結果に応じて優先度を動的に変更するようにしてもよい。これにより、ユーザにとっての表示物302の視認性と、表示物302が操作受付ボタンである場合の操作性を向上させることが可能となる。
【0112】
次に、図8は、配置領域301に配置された表示物302~302に対する相対的な優先度と、属性情報としての淘汰可または淘汰不可とを説明するための図である。ただし、表示物302~302を個々に区別する必要が無い場合、表示物302と称する。
【0113】
配置領域301に配置された複数の表示物302には、上述した優先度に加え、属性情報として、任意の優先度未満の表示物302に対して淘汰可を、該任意の優先度以上の表示物302に対して淘汰不可を設定することができる。なお、上述した図7に示された例では、全ての表示物302~302に対して淘汰可が設定されていると見做せばよい。
【0114】
淘汰可に設定された表示物302は、イベントの発生に応じて表示領域211が縮小され、配置領域301が短縮されて、同一の配置領域301に配置されている他の表示物302と所定距離以下に接近した場合、その優先度に応じて淘汰される(属性情報が可視から不可視に変更される)。
【0115】
一方、淘汰不可に設定された表示物302は、イベントの発生に応じて表示領域211が縮小され、配置領域301が短縮されて同一の配置領域301に配置されている他の表示物302と所定距離以下に接近した場合でも淘汰されない。そして、表示領域211の縮小及び配置領域301の短縮はキャンセルされる。
【0116】
同図の例では、表示領域211に設けられた配置領域301には表示物302~302が配置されており、優先度3未満の表示物302,302は淘汰可、優先度3以上の表示物302~302は淘汰不可に設定されているとする。
【0117】
例えば、同図の最上段に示す状態からイベントの発生に応じて表示領域211が縮小され、配置領域301が短縮されて表示物302どうしが所定距離以下に接近した場合、同図の2段目に示すように、優先度が最小の表示物302が淘汰の対象となり、表示物302は淘汰可に設定されているので淘汰される。
【0118】
次に、同図の2段目に示す状態から、さらに、イベントの発生に応じて表示領域211が縮小され、配置領域301が短縮されて表示物302どうしが所定距離以下に接近した場合、同図の3段目に示すように、優先度が次に小さい表示物302が淘汰の対象となり、表示物302は淘汰可に設定されているので淘汰される。
【0119】
そして、同図の3段目の状態から、さらに、イベントの発生に応じて表示領域211が縮小され、配置領域301が短縮されて表示物302どうしが所定距離以下に接近した場合、同図の4段目に示すように、優先度が次に小さい表示物302が淘汰の対象となるが、表示物302は淘汰不可に設定されているので淘汰されずに表示が維持され、表示領域211の縮小、及び配置領域301の短縮がキャンセルされて、同図の3段目の状態に戻される。
【0120】
なお、発生したイベントがユーザによるタッチ操作であり、該タッチ操作に応じて行われる表示領域211の縮小をキャンセルした場合、表示制御部124がその旨をユーザに通知するようにしてもよい。通知の方法は、画面表示の他、音や振動を用いてもよい。これにより、ユーザは自身の操作に応じた表示領域211の縮小がキャンセルされたことを認識することができる。
【0121】
なお、同一の配置領域301に配置されている複数の表示物302に対する淘汰可、または淘汰不可の設定は予め決められているが、ユーザからの操作に応じて優先度設定部125が変更できる。また、所定のイベント発生に対応して、該イベントに対応する表示物302を一時的に淘汰不可に設定するようにしてもよい。さらに、表示物302が操作受付ボタンである場合には、優先度設定部125が、ユーザからの操作頻度に応じて淘汰不可に変更してもよい。このように、表示物302に対して淘汰不可を設定できるようにすれば、淘汰されては困る表示物302を常に表示領域211に表示しておくことが可能となり、ユーザの利便性、操作性を向上させることが可能となる。
【0122】
次に、同一の表示領域211に設けられた配置領域301どうしが所定距離以内に近づいた場合に、優先度が低い方の配置領域301を配置領域単位で淘汰せず、配置領域301に配置されている表示物を移動する設定について説明する。
【0123】
図6を参照した説明では、同一の表示領域211に設けられた配置領域301,301が部分的に重複する場合、優先度が低い方の配置領域301を配置領域単位で淘汰している。しかしながら、優先度が低い方の配置領域301に配置されている表示物302を移動するように設定することもできる。
【0124】
図9は、同一の表示領域211に設けられた複数の配置領域301が部分的に重複する場合に、優先度が低い方の配置領域301に配置されている表示物を移動する例を示している。
【0125】
同図の例では、表示領域211に設けられた優先度1の配置領域301と優先度2の配置領域201とが互いに干渉するように設定されている。配置領域301には、優先度が異なる7つの表示物302が配置されており、配置領域301には、優先度が異なる6つの表示物302が配置されている。
【0126】
例えば、上段に示す状態から、表示領域211のサイズが縮小されると、同図の下段に示されるように、配置領域301,301は、それぞれ方向軸の方向及び幅を維持した状態で間隔が徐々に狭められて、最終的に部分的に重複する(交差する)。この場合、配置領域301よりも優先度が高い配置領域301の6つの表示物302の配置は変更されない。一方、優先度が低い配置領域301では、配置領域301に配置されている表示物302を優先するため、表示物302,302が左右に移動される。この結果、配置領域301には、7つの表示物302を配置できなくなるので、配置領域301にて優先度が最も低い表示物302が淘汰される(属性情報が可視から不可視に変更される)。
【0127】
反対に、下段に示す状態から、表示領域211のサイズが拡大されると、同図の上段に示されるように、配置領域301に表示物302の表示が復活される(属性情報が不可視から可視に変更される)。
【0128】
<車載装置10による表示制御処理>
次に、図10は、車載装置10による表示制御処理の一例を説明するフローチャートである。
【0129】
該表示制御処理は、車載装置10の起動後に開始され、車載装置10の動作が終了されるまで継続して実行される。
【0130】
はじめに、表示領域設定部123が、表示領域211のサイズ変更を生じさせるイベントが発生したか否かを判定する(ステップS1)。ここで、表示領域211のサイズ変更を生じさせるイベントが発生していないと判定した場合(ステップS1でNO)、表示領域設定部123はこの判定を繰り返す。表示領域211のサイズ変更を生じさせるイベントが発生したと判定した場合(ステップS1でYES)、表示領域設定部123が、発生したイベントに応じて表示領域211のサイズを変更する(ステップS2)。
【0131】
次に、表示制御部124が、ステップS2でサイズが変更された表示領域211に応じて、各表示領域211に設けられている、属性情報が可視とされている配置領域301のサイズ及び位置を所定の規則に従って計算する(ステップS3)。次に、表示制御部124が、ステップS3で計算した、同一の表示領域211に設けられている配置領域301どうしが所定距離以下に接近したか(接触、重複を含む)否かを判定する(ステップS4)。
【0132】
ここで、同一の表示領域211に設けられている配置領域301どうしが所定距離以下に接近したと判定した場合(ステップS4でYES)、表示制御部124が、接近した配置領域301どうしのうち、優先度が低い方の属性情報を可視から不可視に変更する(ステップS5)。反対に、同一の表示領域211に設けられている配置領域301どうしが所定距離以下に接近していないと判定した場合(ステップS4でNO)、表示制御部124は、ステップS5をスキップする。
【0133】
次に、表示制御部124が、ステップS2で分割状態が変更された表示領域211に応じて、各表示領域211に設けられている、属性情報が可視とされている配置領域301のサイズ及び位置を所定の規則に従って再び計算する(ステップS6)。
【0134】
次に、表示制御部124が、各表示領域211における、属性情報が可視とされている各配置領域301に配置された表示物302の位置を所定の規則に従って計算する(ステップS7)。次に、表示制御部124が、ステップS7で計算した、同一の配置領域301に配置されている表示物302どうしが所定距離以下に接近したか否かを判定する(ステップS8)。
【0135】
ここで、同一の配置領域301に配置されている表示物302どうしが所定距離以下に接近したと判定した場合(ステップS8でYES)、表示制御部124が、接近している表示物302のうち、優先度が低い方の属性情報を可視から不可視に変更する(ステップS9)。反対に、同一の配置領域301に配置されている表示物302どうしが所定距離以下に接近していないと判定した場合(ステップS8でNO)、表示制御部124は、ステップS9をスキップする。
【0136】
次に、表示制御部124が、各表示領域211における、属性情報が可視とされている各配置領域301に配置された表示物302の位置を所定の規則に従って再び計算する(ステップS10)。
【0137】
次に、表示制御部124が、ステップS6,S10における再計算の結果を反映し、各表示領域211における配置領域301の位置を更新するとともに、各配置領域301における表示物302の位置を更新する(ステップS11)。この後、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降が繰り返される。
【0138】
以上に説明した車載装置10による表示制御処理によれば、ユーザからのタッチ操作に代表されるイベントの発生に応じて、表示画面の各表示領域211のサイズを動的に変更することができ、各表示領域211の動的なサイズ変更に応じて、表示領域211に表示された表示物302の表示を動的に変更することができる。したがって、ユーザにとって視認性が良く、且つ、直感的な操作性を向上させた画面表示を実現することができる。
【0139】
なお、以上に説明した車載装置10による表示制御処理は、第1ディスプレイ21のアスペクト比や解像度に依存することなく実行できる。
【0140】
本発明は、本実施形態のようにディスプレイ(第1ディスプレイ21及び第2ディスプレイ22)を備えた車載装置10だけでなく、例えば、プロジェクタによって投影される画面を制御する場合にも適用することが可能である。また、本発明は、車載装置10に限らず、例えば、飛行機、船等の操縦席、客席等のように比較的狭い空間で使用される電子機器に適用することができる。
【0141】
本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【0142】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した各実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明が、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に、他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0143】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現されてもよい。各機能を実現するプログラム、判定テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、HDD、SSD等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0144】
本発明は、表示制御装置、及び表示制御方法だけでなく、コンピュータ読み取り可能なプログラム等の様々な態様で提供することができる。
【符号の説明】
【0145】
10・・・車載装置、11・・・演算処理装置、21・・・第1ディスプレイ、22・・・第2ディスプレイ、23・・・記憶装置、24・・・音声入出力装置、25・・・入力装置、26・・・ROM装置、27・・・車速センサ、28・・・ジャイロセンサ、29・・・GPS受信装置、30・・・FM多重放送受信装置、31・・・ビーコン受信装置、32・・・撮像装置、111・・・CPU、112・・・RAM、113・・・ROM、114・・・I/F、115・・・バス、120・・・制御部、121・・・入力受付部、122・・・操作検知部、123・・・表示領域設定部、124・・・表示制御部、125・・・優先度設定部、126・・・機能処理部、130・・・記憶部、131・・・地図情報、132・・・表示領域情報、133・・・配置領域情報、134・・・表示物情報、211・・・表示領域、212・・・移動表示領域、241・・・マイクロフォン、242・・・スピーカ、251・・・タッチパネル、252・・・ダイヤルスイッチ、301・・・配置領域、302・・・表示物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10