(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】光源モジュールおよび点灯回路
(51)【国際特許分類】
H05B 45/30 20200101AFI20241119BHJP
B60Q 1/00 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
H05B45/30
B60Q1/00 C
(21)【出願番号】P 2022530574
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2021021724
(87)【国際公開番号】W WO2021251374
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2024-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2020102588
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】市川 知幸
(72)【発明者】
【氏名】不破 綾太
(72)【発明者】
【氏名】小澤 篤
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0134018(US,A1)
【文献】特開2018-190701(JP,A)
【文献】特開2020-013642(JP,A)
【文献】特開2013-008615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/30
B60Q 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続される複数のLED(発光ダイオード)を含み、第1部分、第2部分および第3部分に分割されているLEDストリングと、
バッテリ電圧に応じた電源電圧を受け、目標電流に安定化された駆動電流を前記LEDストリングに供給するLEDドライバ回路と、
第1端が前記第1部分の一端と接続され
、第2端が前記第1部分の他端と接続され、前記電源電圧に応じた電流量のバイパス電流を生成する第1バイパス回路と、
第1端が、前記第1部分
および前記第2部分の直列接続回路の一端と接続され、第2端が、前記第1部分
および前記第2部分の直列接続回路の他端と接続され、かつ
オン、オフが切り替え可能なバイパススイッチを含む第2バイパス回路と、
を備えることを特徴とする光源モジュール。
【請求項2】
直列に接続される複数のLED(発光ダイオード)を含み、第1部分、第2部分および第3部分に分割されているLEDストリングと、
バッテリ電圧に応じた電源電圧を受け、目標電流に安定化された駆動電流を前記LEDストリングに供給するLEDドライバ回路と、
第1端が前記第1部分の一端と接続され
、第2端が前記第1部分の他端と接続され、前記電源電圧に応じた電流量のバイパス電流を生成する第1バイパス回路と、
第1端が前記第2部分
の一端と接続され、第2端が前記第2部分の他端と接続され、かつオン、オフが切り替え可能なバイパススイッチを含む第2バイパス回路と、
を備えることを特徴とする光源モジュール。
【請求項3】
前記バイパス電流は、前記電源電圧が第1電圧より高い範囲においてゼロであり、前記第1電圧を下回ると増加し始め、第2電圧まで低下すると、前記目標電流まで増加し、
前記第2バイパス回路は、前記電源電圧が、前記第2電圧より低い第3電圧より低い範囲において前記バイパススイッチをオンすることを特徴とする請求項1または2に記載の光源モジュール。
【請求項4】
前記第2バイパス回路は、前記第3電圧にヒステリシスをもたせることを特徴とする請求項3に記載の光源モジュール。
【請求項5】
前記LEDストリングは、3個のLEDを含み、
前記第1部分から前記第3部分はそれぞれ1個のLEDを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項6】
LEDソケットであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項7】
前記LEDドライバ回路の入力端子とバッテリの間に設けられた逆接保護用のダイオードをさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項8】
前記LEDストリングは1つのパッケージに収容され、前記第1バイパス回路および前記第2バイパス回路を接続するためのピンが設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の光源モジュール。
【請求項9】
直列に接続される複数のLED(発光ダイオード)を含み、第1部分、第2部分および第3部分に分割されているLEDストリングを駆動する点灯回路であって、
バッテリ電圧に応じた電源電圧を受け、目標電流に安定化された駆動電流を前記LEDストリングに供給するLEDドライバ回路と、
第1端が前記第1部分の一端と接続され
、第2端が前記第1部分の他端と接続され、前記電源電圧に応じた電流量のバイパス電流を生成する第1バイパス回路と、
第1端が、前記第1部分
および前記第2部分の直列接続回路の一端と接続され、第2端が、前記第1部分
および前記第2部分の直列接続回路の他端と接続され、かつ
オン、オフが切り替え可能なバイパススイッチを含む第2バイパス回路と、
を備えることを特徴とする点灯回路。
【請求項10】
直列に接続される複数のLED(発光ダイオード)を含み、第1部分、第2部分および第3部分に分割されているLEDストリングを駆動する点灯回路であって、
バッテリ電圧に応じた電源電圧を受け、目標電流に安定化された駆動電流を前記LEDストリングに供給するLEDドライバ回路と、
第1端が前記第1部分の一端と接続され
、第2端が前記第1部分の他端と接続され、前記電源電圧に応じた電流量のバイパス電流を生成する第1バイパス回路と、
第1端が前記第2部分
の一端と接続され、第2端が前記第2部分の他端と接続され、かつオン、オフが切り替え可能なバイパススイッチを含む第2バイパス回路と、
を備えることを特徴とする点灯回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車などの車両に用いられる灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具に用いられる光源として、従来は電球が多く用いられてきたが、近年では、LED(発光ダイオード)などの半導体光源が広く採用されるようになっている。
【0003】
図1は、従来の車両用灯具1のブロック図である。車両用灯具1には、スイッチ4を介してバッテリ2からの直流電圧(入力電圧V
IN)を受ける。LEDストリング(LEDバー)10は、直列に接続される複数n個のLED12を含む。LEDストリング10の輝度は、それに流れる駆動電流I
LEDに応じて制御される。点灯回路20は、駆動電流I
LEDを目標輝度に応じた目標量I
REFに安定化するLEDドライバ回路22を含む。
【0004】
LED12に、目標量IREFに安定化された駆動電流ILEDが流れているときの順方向電圧をVf0とすると、LEDストリング10の両端間電圧(最低点灯電圧という)VMINは、Vf0×nとなる。n=3とすると、白色LEDではVMIN≒11Vである。言い換えると、LEDドライバ回路22の出力電圧VOUTが、この最低点灯電圧VMINを下回ると、駆動電流ILEDが目標量IREFを維持できなくなり、複数のLED12が消灯する。
【0005】
従来の自動車用電球の代替として販売されるLEDソケットでは、低コスト化が求められるため、LEDドライバ回路22は、定電流シリーズレギュレータあるいは定電流出力の降圧コンバータ、あるいは抵抗で構成される。この場合、LEDドライバ回路22の出力電圧VOUTは、入力電圧VINより低くなる。入力電圧VINは、バッテリの満充電状態で13Vであるが、放電が進むと、10V以下まで低下することも珍しくない。特にアイドリングストップ車では、停車中にエンジンが停止し、エンジンが再始動するときに、入力電圧VINが6V付近まで低下する場合もあることから、車両用灯具には、6Vでの点灯維持が要求される場合もある。したがって、バッテリ電圧VBATが低下すると(低電圧状態という)、出力電圧VOUTが最低点灯電圧VMINを下回る状況が生じ、LED12が消灯する。
【0006】
低電圧状態におけるLEDストリング10の消灯を防止するためにバイパススイッチ24およびバイパス制御回路26が設けられる。バイパススイッチ24は、最も低電位側の1個のLED12_nと並列に接続される。バイパス制御回路26は、入力電圧VINがあるしきい値VTHより低くなると低電圧状態と判定し、バイパススイッチ24をオンする。この状態では、最低点灯電圧VMIN=Vf0×(n-1)となり、VIN>VMINが保たれる。つまり、LED12_nの消灯と引き換えに、残りのLED12_1~12_(n-1)の点灯を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図2は、白色LEDの点灯回路を示す回路図である。白色LED(青を蛍光体で色変換するLEDも含む)では、n=3で設計される場合が多い。逆接防止用のダイオード30の順方向電圧を大きく見積もって1V、LED1段の順方向電圧を大きく見積もって3.3Vとする。この場合、入力電圧V
INが6Vの低電圧状態で点灯を維持しようとするためには、バイパススイッチ24を、2個のLED12_2,LED12_3に対して並列に接続する必要がある。
【0009】
図3(a)は、
図2の点灯回路の動作を説明する図である。しきい値V
THは、1+3.3×3=10.9Vより高く(たとえば11V)設定され、入力電圧V
INが、10.9Vまで低下するより前に、バイパススイッチ24がオンされる。これにより、入力電圧V
INが6Vまで低下しても、1個のLED12_1の点灯を維持することが可能である。しかしながら、本来、2つのLEDが点灯可能な電圧範囲においても、光量が1/3に低下するという問題がある。また、しきい値V
THを境界として光量が1/3(3倍)に変化するため、ちらつきが問題となり得る。
【0010】
バイパススイッチ24を電流源を有するバイパス回路に置換し、入力電圧V
INの低下にしたがって、電流源の電流を増大させる構成も考えられる。
図3(b)は、電流源を有するバイパス回路を備える点灯回路の動作を説明する図である。この場合、入力電圧V
INに応じて光量は徐変するが、狭い電圧範囲で光量が1/3(3倍)に変化するため、やはりちらつきが問題となる。また2つのLEDが点灯可能な電圧範囲においても、光量が1/3に低下するという問題は解決できない。
【0011】
なお、ここではn=3の例を説明したが、n=4の灯具においても同様の問題が生じうる。
【0012】
本開示はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、低電圧状態での点灯を維持しつつ、ちらつきを抑制した車両用灯具の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示のある態様は、光源モジュールに関する。光源モジュールは、直列に接続される複数のLED(発光ダイオード)を含み、第1部分、第2部分および第3部分に分割されているLEDストリングと、バッテリ電圧にもとづく電源電圧を受け、目標電流に安定化された駆動電流をLEDストリングに供給するLEDドライバ回路と、第1部分と並列に設けられ、電源電圧に応じた電流量のバイパス電流を生成する第1バイパス回路と、第1部分ならびに第2部分と並列に設けられるバイパススイッチを含む第2バイパス回路と、を備える。
【0014】
本開示の別の態様も、光源モジュールに関する。光源モジュールは、直列に接続される複数のLED(発光ダイオード)を含み、第1部分、第2部分および第3部分に分割されているLEDストリングと、バッテリ電圧に応じた電源電圧を受け、目標電流に安定化された駆動電流をLEDストリングに供給するLEDドライバ回路と、第1部分と並列に設けられ、電源電圧に応じたバイパス電流を生成する第1バイパス回路と、第2部分と並列に設けられるバイパススイッチを含む第2バイパス回路と、を備える。
【0015】
本開示の別の態様は、点灯回路に関する。点灯回路は、直列に接続される複数のLED(発光ダイオード)を含み、第1部分、第2部分および第3部分に分割されているLEDストリングを駆動する。点灯回路は、バッテリ電圧に応じた電源電圧を受け、目標電流に安定化された駆動電流をLEDストリングに供給するLEDドライバ回路と、第1部分と並列に設けられ、電源電圧に応じた電流量のバイパス電流を生成する第1バイパス回路と、第1部分ならびに第2部分と並列に設けられるバイパススイッチを含む第2バイパス回路と、を備える。
【0016】
本開示の別の態様も、点灯回路に関する。点灯回路は、直列に接続される複数のLED(発光ダイオード)を含み、第1部分、第2部分および第3部分に分割されているLEDストリングを駆動する。点灯回路は、バッテリ電圧に応じた電源電圧を受け、目標電流に安定化された駆動電流をLEDストリングに供給するLEDドライバ回路と、第1部分と並列に設けられ、電源電圧に応じたバイパス電流を生成する第1バイパス回路と、第2部分と並列に設けられるバイパススイッチを含む第2バイパス回路と、を備える。
【0017】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、あるいは本開示の表現を、方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本開示のある態様によれば、低電圧状態での点灯を維持しつつ、ちらつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】
図3(a)は、
図2の点灯回路の動作を説明する図であり、
図3(b)は、電流源を有するバイパス回路を備える点灯回路の動作を説明する図である。
【
図4】実施の形態に係る点灯回路を備える光源モジュールのブロック図である。
【
図5】
図4の光源モジュールの動作を説明する図である。
【
図6】比較技術に係る光源モジュールの回路図である。
【
図7】
図7(a)~(d)は、第2バイパス回路の構成例を示す回路図である。
【
図8】第3電圧がヒステリシスを有するときの動作を説明する図である。
【
図9】
図9(a)、(b)は、第1バイパス回路の構成例を示す回路図である。
【
図10】変形例1に係る光源モジュールの回路図である。
【
図11】
図11(a)~(c)は、変形例2に係る光源モジュールを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。またこの概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、実施形態の欠くべからざる構成要素を限定するものではない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態または複数の実施形態を指すものとして用いる場合がある。
【0021】
一実施形態に係る光源モジュールは、直列に接続される複数のLED(発光ダイオード)を含み、第1部分、第2部分および第3部分に分割されているLEDストリングと、バッテリ電圧にもとづく電源電圧を受け、目標電流に安定化された駆動電流をLEDストリングに供給するLEDドライバ回路と、第1部分と並列に設けられ、電源電圧に応じた電流量のバイパス電流を生成する第1バイパス回路と、第1部分ならびに第2部分と並列に設けられるバイパススイッチを含む第2バイパス回路と、を備える。
【0022】
一実施形態に係る光源モジュールは、直列に接続される複数のLED(発光ダイオード)を含み、第1部分、第2部分および第3部分に分割されているLEDストリングと、バッテリ電圧に応じた電源電圧を受け、目標電流に安定化された駆動電流をLEDストリングに供給するLEDドライバ回路と、第1部分と並列に設けられ、電源電圧に応じたバイパス電流を生成する第1バイパス回路と、第2部分と並列に設けられるバイパススイッチを含む第2バイパス回路と、を備える。
【0023】
これらの構成によると、バッテリ電圧の低下に応じて、バイパス電流が増加することにより、第1部分の輝度が緩やかに減少していきゼロとなり、第2部分と第3部分のみが点灯する状態に徐々に移行でき、ちらつきを抑制できる。また第2部分と第3部分の二箇所の点灯を維持できるため、光量の大幅な低下を抑制できる。そしてさらにバッテリ電圧が低下すると、バイパススイッチをオンすることにより、第2部分を消灯させ、第3部分のみを点灯した状態とすることができる。これにより、6V程度の低い電圧においても、点灯状態を維持できる。
【0024】
一実施形態において、バイパス電流は、電源電圧が第1電圧より高い範囲においてゼロであり、第1電圧を下回ると増加し始め、第2電圧まで低下すると、目標電流まで増加してもよい。第2バイパス回路は、電源電圧が、第2電圧より低い第3電圧より低い範囲においてバイパススイッチをオンしてもよい。
【0025】
一実施形態において、第2バイパス回路は、第3電圧にヒステリシスをもたせてもよい。これにより、第3電圧の近傍で入力電圧が変動した際に、第2部分が点灯、消灯するのを防止できる。
【0026】
一実施形態において、LEDストリングは、3個のLEDを含み、第1部分から第3部分はそれぞれ1個のLEDを含んでもよい。
【0027】
一実施形態において、LEDストリングは4個のLEDを含んでもよい。第1部分は2個のLEDを含んでもよい。第2部分は1個のLEDを含んでもよい。
【0028】
一実施形態において、LEDストリングは4個のLEDを含んでもよい。第1部分は1個のLEDを含んでもよい。第2部分は2個のLEDを含んでもよい。
【0029】
一実施形態において、光源モジュールは、LEDソケットであってもよい。
【0030】
一実施形態において、LEDドライバ回路の入力端子とバッテリの間に設けられた逆接保護用のダイオードをさらに備えてもよい。
【0031】
一実施形態において、LEDストリングは1つのパッケージに収容され、第1バイパス回路および第2バイパス回路を接続するためのピンが設けられていてもよい。
【0032】
一実施形態に係る点灯回路は、直列に接続される複数のLED(発光ダイオード)を含み、第1部分、第2部分および第3部分に分割されているLEDストリングを駆動する点灯回路であって、バッテリ電圧に応じた電源電圧を受け、目標電流に安定化された駆動電流をLEDストリングに供給するLEDドライバ回路と、第1部分と並列に設けられ、電源電圧に応じた電流量のバイパス電流を生成する第1バイパス回路と、第1部分ならびに第2部分と並列に設けられるバイパススイッチを含む第2バイパス回路と、を備える。
【0033】
一実施形態に係る点灯回路は、直列に接続される複数のLED(発光ダイオード)を含み、第1部分、第2部分および第3部分に分割されているLEDストリングを駆動する点灯回路であって、バッテリ電圧に応じた電源電圧を受け、目標電流に安定化された駆動電流をLEDストリングに供給するLEDドライバ回路と、第1部分と並列に設けられ、電源電圧に応じたバイパス電流を生成する第1バイパス回路と、第2部分と並列に設けられるバイパススイッチを含む第2バイパス回路と、を備える。
【0034】
(実施形態)
以下、好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0035】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0036】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0037】
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは抵抗値、容量値を表すものとする。
【0038】
図4は、実施の形態に係る点灯回路200を備える光源モジュール100のブロック図である。光源モジュール100には、スイッチ4を介してバッテリ2からの直流電圧(バッテリ電圧あるいは入力電圧という)V
BATが供給される。光源モジュール100は、LEDストリング110および点灯回路200を備える。LEDストリング110は、直列に接続される3個のLED112_1~112_3を含む。LED112は、白色LEDである。LEDストリング110は、第1部分U1、第2部分U2および第3部分U3に分割されている。
【0039】
光源モジュール100は、LEDストリング110と点灯回路200とが1パッケージに収容された車両用灯具である。たとえば光源モジュール100は、従来の自動車用電球と同様に、図示しないランプボディに着脱可能な形状を有するLEDソケットである。LEDソケットは、長寿命化はもちろんのこと、消耗品であるが故に低コスト化が強く求められる。
【0040】
点灯回路200は、逆接保護用のダイオード202、LEDドライバ回路210、第1バイパス回路220、第2バイパス回路230を備える。
【0041】
LEDドライバ回路210は、バッテリ電圧VBATに応じた電源電圧VDDを受け、LEDストリング110に目標電流IREFに安定化された駆動電流IOUTを供給する。LEDドライバ回路210は(i)定電流リニアレギュレータ、(ii)定電流出力の降圧スイッチングコンバータあるいは、(iii)定電圧出力の降圧スイッチングコンバータと定電流回路の組み合わせ、(iv)抵抗のいずれかで構成することができる。LEDドライバ回路210の出力電圧VOUTは、電源電圧VDDを超えることはない。この例では、電源電圧VDDはバッテリ電圧VBATから、ダイオード202の順方向電圧Vfだけ低い電圧である。ダイオード202が省略される場合、電源電圧VDDはバッテリ電圧VBATと等しい。
【0042】
第1バイパス回路220は、LEDストリング110の第1部分U1と並列に設けられる。第1バイパス回路220は、電源電圧VDDに応じた電流量のバイパス電流IBYPASSをシンクする。具体的にはバイパス電流IBYPASSは電源電圧VDDに対して負の相関を有する。
【0043】
第2バイパス回路230は、バイパススイッチ232およびスイッチ制御回路234を含む。バイパススイッチ232は、第1部分U1ならびに第2部分U2の直列接続部分と並列に設けられる。スイッチ制御回路234は、電源電圧VDDに応じて、バイパススイッチ232のオン、オフを制御する。
【0044】
以上が光源モジュール100の基本構成である。続いてその動作を説明する。
図5は、
図4の光源モジュール100の動作を説明する図である。第1バイパス回路220が生成するバイパス電流I
BYPASSは、電源電圧V
DDが第1電圧V
TH1より高い範囲においてゼロであり、第1電圧V
TH1を下回ると増加し始め、第2電圧V
TH2まで低下すると、LEDドライバ回路210の出力電流I
LEDの目標電流I
REFまで増加する。V
DD<V
TH2の領域において、第1バイパス回路220の出力段のトランジスタは、フルオンしていることが好ましい。
【0045】
第2バイパス回路230は、電源電圧VDDが、第2電圧VTH2より低い第3電圧VTH3より低い範囲においてバイパススイッチ232をオンする。
【0046】
図5の3段目は、LEDストリング110全体の光量を示す。V
TH1<V
DDの範囲では、すべてのLED112が点灯する。
図5の光量は、全LED112が点灯したときの光量を1として正規化している。なお一点鎖線は
図2の構成における光量を比較のために示したものである。
【0047】
VTH2<VDD<VTH1の範囲では、第2部分U2および第3部分U3が通常の光量で発光する一方、第1部分U1の光量は、電源電圧VDDの低下とともに低下していく。したがって、LEDストリング110の光量は、2/3~1の間で変化する。
【0048】
VTH3<VDD<VTH2の範囲では、回路動作に変化は起こらず、光量は2/3に維持される。
【0049】
VDD<VTH3の範囲では、バイパススイッチ232がオンとなるため、第1部分U1および第2部分U2がバイパスされ、第3部分U3のみが点灯する。このときの光量は1/3となる。
【0050】
以上が光源モジュール100の動作である。続いてその利点を説明する。
【0051】
図5に示す光量の実線と一点鎖線の比較から分かるように、
図4の光源モジュール100によれば、従来技術に比べて大きな光量を得ることができる。またV
TH2<V
DDの範囲では、光量は2/3までしか減らず、光量変化の傾きが小さくなるため、従来技術に比べてちらつきを低減できる。
【0052】
なお、VDD≒VTH3において、光量が急激に低下することとなるが、この電圧領域は、実使用電圧範囲(たとえば9V以上)より低いため、ちらつきが生じても問題にはならない。
【0053】
光源モジュール100の別の利点は比較技術との対比によって明確となる。
図6は、比較技術に係る光源モジュール100Rの回路図である。比較技術に係る光源モジュール100Rは、第2バイパス回路230に代えてバイパス回路240を備える。バイパス回路240は、第1バイパス回路220と同様に可変電流源として動作し、電源電圧V
DDに応じたバイパス電流をシンクするように構成される。
【0054】
バイパス回路240の消費電力に着目する、このバイパス回路240は、アクティブの状態において、P=IBYPASS×(Vf×2)の電力を消費する。したがってバイパス回路240の出力トランジスタは、この電力Pを許容できるサイズの素子を用いる必要があり、コストアップの要因となる。
【0055】
図2の第2バイパス回路230の消費電力について検討する。バイパススイッチ232は、オン・オフの二状態で動作する。バイパススイッチ232に電流が流れるオン状態では、そのドレインソース間電圧(コレクタエミッタ間電圧)は、2×Vfに比べて非常に小さくなる。したがって、
図2の光源モジュール100では、バイパススイッチ232を許容電力が小さい小型の素子で構成することができ、コストを下げることができる。
【0056】
続いて第2バイパス回路230の構成例を説明する。
図7(a)~(d)は、第2バイパス回路230の構成例を示す回路図である。
図7(a)のスイッチ制御回路234は、抵抗R11,R12およびコンパレータ236を含む。抵抗R11,R12によって電源電圧V
DDが分圧される。コンパレータ236は、分圧後の電源電圧を、第3電圧V
TH3に対応するしきい値電圧と比較する。
【0057】
図7(b)のスイッチ制御回路234はヒステリシスコンパレータ238を備え、第3電圧V
TH3にヒステリシスを持たせる構成となっている。
図8は、第3電圧V
TH3がヒステリシスを有するときの動作を説明する図である。第3電圧V
TH3にヒステリシスを持たせることで、電源電圧V
DDが第3電圧V
TH3付近に留まったときに、バイパススイッチ232がオン、オフを繰り返し、LEDストリング110がちらつくのを防止できる。
【0058】
図7(c)に戻る。スイッチ制御回路234は、抵抗R21~R23、ツェナーダイオードZD1、トランジスタQ1を含む。電源電圧V
DDがツェナー電圧Vzを超えた状態では、ツェナーダイオードZD1が逆方向に導通しており、トランジスタQ1がオン状態となるため、バイパススイッチ232のゲートがローとなり、バイパススイッチ232はオフとなる。電源電圧V
DDがツェナー電圧Vzを下回ると、ツェナーダイオードZD1が導通しなくなり、トランジスタQ1がオフ状態となる。したがってバイパススイッチ232のゲートがハイとなり、バイパススイッチ232はオンとなる。
【0059】
図7(d)は、
図7(c)のスイッチ制御回路234にヒステリシスを持たせた構成である。トランジスタQ1,Q2は、抵抗付きのトランジスタである。トランジスタQ2のオン、オフは、バイパススイッチ232のオン、オフ状態と連動している。これにより、抵抗R21,R22,R24,R25が形成する抵抗分圧回路の分圧比が変化し、ヒステリシスが導入される。
【0060】
図9(a)、(b)は、第1バイパス回路220の構成例を示す回路図である。
図9(a)の第1バイパス回路220は、出力トランジスタ222および電流制御回路224を含む。出力トランジスタ222はバイポーラトランジスタであってもよいし、FET(Field Effect Transistor)であってもよい。電流制御回路224は、電源電圧V
DDに応じて出力トランジスタ222のベース電流(ゲート電圧)を制御し、バイパス電流I
BYPASSを調整する。
【0061】
図9(b)の第1バイパス回路220において、電流制御回路224は、トランジスタM1と可変電流源226を含む。トランジスタM1は、出力トランジスタ222とカレントミラー回路を構成している。可変電流源226は、電源電圧V
DDに応じた電流Ivを生成し、トランジスタM1に供給する。
【0062】
実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0063】
(変形例1)
図10は、変形例1に係る光源モジュール100Aの回路図である。第2バイパス回路230Aのバイパススイッチ232は、第2部分U2と並列に接続されている。その他は
図4と同様である。この変形例によっても、
図4と同様の効果が得られる。
【0064】
(変形例2)
図11(a)~(c)は、変形例2に係る光源モジュール100Bを説明する図である。LEDストリング110のLED112の個数は4であってもよい。この場合、
図11(a)~(c)に示すように、U1~U3のいずれかひとつが2個のLEDを含み、残りが1個のLEDを含む構成とすればよい。
【0065】
(変形例3)
第1部分U1~第3部分U3の配置(順序)は、
図4や
図11に限定されず、いれかえてもよい。
【0066】
(変形例4)
実施形態では、LEDドライバ回路210がLEDストリング110より高電位側に設けられ、駆動電流をソースする構成であったが、LEDドライバ回路210をLEDストリング110より低電位側に設けて、駆動電流をシンクしてもよい。
【0067】
実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにさまざまな変形例が存在すること、またそうした変形例も本開示または本発明の範囲に含まれることは当業者に理解されるところである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、自動車などの車両に用いられる灯具に関する。
【符号の説明】
【0069】
100…光源モジュール、110…LEDストリング、112…LED、U1…第1部分、U2…第2部分、U3…第3部分、200…点灯回路、202…ダイオード、210…LEDドライバ回路、220…第1バイパス回路、230…第2バイパス回路、232…バイパススイッチ、234…スイッチ制御回路。