(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】複数被検物質を検出するためのセンサアレイシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1473 20060101AFI20241119BHJP
G01N 27/30 20060101ALI20241119BHJP
A61B 5/1486 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
A61B5/1473
G01N27/30 A
A61B5/1486
(21)【出願番号】P 2022540955
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(86)【国際出願番号】 US2020067541
(87)【国際公開番号】W WO2021138473
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-08-04
(32)【優先日】2020-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500211047
【氏名又は名称】アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ワン、イー
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】フェルドマン、ベンジャミン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】チェン、クァン-チョウ
(72)【発明者】
【氏名】トラン、ラム エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】オージャ、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】マキャンレス、ジョナサン ディ.
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-516782(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0125230(US,A1)
【文献】特表2012-519038(JP,A)
【文献】特表2011-511665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06-5/22
G01N 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み型センサ尾部を備える被検物質センサであって、
前記埋め込み型センサ尾部は、
第1側および第2側を有する基板と、
前記基板上に設置された第1作用電極と、
前記基板上に設置された第2作用電極と、
前記第1作用電極の表面上に配置された第1被検物質感応性活性領域と、
前記第2作用電極の表面上に配置された第2被検物質感応性活性領域とを備え、
前記第1被検物質感応性活性領域は、前記第2被検物質感応性活性領域よりも前記基板の遠位端の近くに設置されており、前記第1被検物質感応性活性領域の近位端と前記第2被検物質感応性活性領域の遠位端との間の距離は、少なくとも約0.2mmである、被検物質センサ。
【請求項2】
前記第1作用電極および前記第2作用電極は、絶縁層によって分離されている、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記第1作用電極は前記基板の第1側上に設置されており、前記第2作用電極は前記基板の第2側上に設置されている、請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記第1作用電極および前記第2作用電極は、前記基板の第1側上に設置されている、請求項1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記第1被検物質感応性活性領域の近位端と前記第2被検物質感応性活性領域の遠位端との間の距離は、約0.4mmから約1.1mmの間である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項6】
第1被検物質に対して透過性があり前記第1被検物質感応性活性領域を覆っている第1膜と、
第2被検物質に対して透過性があり前記第1被検物質感応性活性領域および前記第2被検物質感応性活性領域を覆っている第2膜とをさらに備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項7】
前記第1被検物質感応性活性領域および前記第2被検物質感応性活性領域の各々は、前記第1被検物質感応性活性領域および前記第2被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤を備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項8】
前記第1被検物質感応性活性領域は、第1電子移動剤と、第1ポリマーと、第1被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項9】
前記第2被検物質感応性活性領域は、第2電子移動剤と、第2ポリマーと、第2被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項10】
参照電極および対電極をさらに備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項11】
前記参照電極の表面上に参照材料の層をさらに備える、請求項10に記載のセンサ。
【請求項12】
前記参照材料は、AgおよびAgClを含む、請求項11に記載のセンサ。
【請求項13】
前記第1被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項14】
前記第2被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項15】
前記第1被検物質は、ケトンまたはβ-ヒドロキシ酪酸である、請求項1に記載のセンサ。
【請求項16】
前記第2被験物質は、グルコースである、請求項1に記載のセンサ。
【請求項17】
前記埋め込み型センサ尾部は組織の中に挿入されるように構成されている、請求項1に記載のセンサ。
【請求項18】
前記第1膜および前記第2膜は互いに異なる組成を有する、請求項6に記載のセンサ。
【請求項19】
前記第1作用電極は誘電体層によって前記対電極または前記参照電極から分離されている、請求項
10に記載のセンサ。
【請求項20】
前記埋め込み型センサ尾部の遠位部は約0.2mmから約0.4mmの間の最大厚さを有する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項21】
方法であって、
少なくとも第1被検物質および第2被検物質を含む流体に
請求項1に記載の被検物質センサを暴露するこ
とと、
前記第1作用電極に第1電位を印
加するとともに前記第2作用電極に第2電位を印加することと、
前記第1被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第1信号であって、前記流体中の前記第1被検物質の濃度に比例する前記第1信号を取得することと、
前記第2被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第2信号であって、前記流体中の前記第2被検物質の濃度に比例する前記第2信号を取得することと、
前記第1信号を前記流体中の前記第1被検物質の前記濃度に相関させるとともに、前記第2信号を前記流体中の前記第2被検物質の前記濃度に相関させることと、を含む方法
。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
個人内の様々な被検物質の検出は、彼らの健康状態および幸福度のモニタリングにとって時として重要であり得る。正常な被検物質レベルからの逸脱は、しばしば代謝状態や病気といった潜在的生理状態を、あるいは特定の環境状態への暴露を示し得る。所与の生理状態に対して単一の被検物質が単独で制御異常を起こすこともあるが、同じ生理状態によってまたは合併(関連)生理状態に起因して、時として複数の被検物質が同時に制御異常を起こす場合がある。複数の被検物質が同時に制御異常を起こす場合、制御異常の程度は被検物質毎に異なることがある。こうした理由で、個人の健康についての十分な評価を取得するために各被検物質をモニタリングすることが必要なことがある。
【0002】
採取された体液を使用する定期的なエクスビボ被検物質モニタリングは、多くの個人にとって所与の生理状態を観測するのに十分であり得る。しかし、特に体液採取または収集がかなり頻繁(例えば1日に数回)に必要とされる場合には、エクスビボ被検物質モニタリングは一部の人にとって不便または苦痛であり得る。埋め込み型インビボ被検物質センサを使用する連続的な被検物質モニタリングは、重度の被検物質制御異常を有する個人および/または被検物質レベルが急に変動する個人にとってより望ましい手法であり得るが、他の個人にとっても提供される利便性により同様に有益であり得る。連続的な被検物質モニタリングによって、異常な被検物質レベルが臓器の損傷または不全のようなより重要な健康上の結果につながる前に、個人または医師が異常な被検物質レベルを事前対応的に対処することが可能となることがある。皮下または間質または真皮の被検物質センサは、多くの場合でこの目的のために十分な測定の正確度を提供しつつ使用者の不快感も最小限に抑えることができる。
【0003】
適切な検出化学が同定されれば、多くの被検物質が生理学的分析の興味深い標的になる。この目的で、インビボでグルコースを分析するように構成された電流測定センサが近年開発および改良されて、糖尿病の個人の健康モニタリングに役立っている。糖尿病の個人において一般的にグルコースと同時に制御異常を起こしやすい他の被検物質には、例えば乳酸、酸素、pH、A1c、ケトン等が含まれる。一般的にグルコースと組み合わせて制御異常を起こす被検物質を検出するように構成されたセンサは知られているが、現在十分に改良されていない。
【0004】
インビボ被検物質センサは、典型的に、特定の分析を提供するために単一の被検物質を分析するように構成されており、所与の被検物質に対する高い特異性を提供するために酵素をしばしば採用する。このような被検物質特異性によって、グルコースを分析するように構成された現在のインビボ被検物質センサは、一般に、グルコースと組み合わせて頻繁に制御異常を起こす他の被検物質または制御異常を起こしたグルコースレベルに起因する他の被検物質を分析するには有効ではない。最適には、現在の被検物質モニタリング手法は、糖尿病の個人が2つの異なるインビボ被検物質センサを装着することを必要とし、一方はグルコースを分析するように構成され、他方は興味のある別の被検物質を分析するように構成される。複数のインビボ被検物質センサを採用している被検物質モニタリング手法は、使用者にとって大変不便であり得る。さらに、複数のインビボ被検物質センサが被検物質モニタリングに使用される場合、追加の機器費用負担が存在するとともに、個人のインビボ被検物質センサの少なくとも1つが故障する統計的な可能性が増加する。
【0005】
インスリンレベルの不適切な管理に起因して、または適切に管理された糖尿病さえも長期間にわたって有する結果として、糖尿病の個人は、しばしば合併疾患に特に罹患しやすい。例として、糖尿病ニューロパシーは、高血糖レベルに起因して最終的な腎不全につながることがある。糖尿病ニューロパシーは、米国において腎不全の主要な原因であり、罹患初期10~20年以内にかなりの数の糖尿病の個人が経験する。腎機能を評価するための診断検査は、現在、血液および/または尿サンプル中の上昇したクレアチニンレベルの測定に基づいている。可能な限り早く潜在的な腎不全を検出することが望ましいが、現在の診断検査手法は、クレアチニンレベルが持続的に上昇するか、または経時的に上昇傾向があることを確かめるのに、通常、長期間(数か月から数年)にわたって実施される。現状のクレアチニンモニタリングの頻度の低さにより、異常な腎機能が十分に早く検出されない場合に起こる腎不全のリスクが上昇することがある。
【0006】
エタノールは、糖尿病管理において重要な役割を果たすこともある。本明細書中に使用される場合、用語「エタノール」は、化合物C2H6Oを示し、アルコール飲料中の成分である。用語「アルコール」および「エタノール」は、別段の規定がない限り、本明細書中で意味の区別なく使用される。インスリンとグルカゴンとのバランスによって血糖を維持するグルコース恒常性は、適切な代謝のためにこのような恒常性に依存する中枢神経系および様々な細胞系の機能にとって重要である。グルコース恒常性における変動(すなわち血糖の超過である高血糖、および血糖の不足である低血糖)は、少なくともインスリンおよびグルコースの生成および制御および働きを特に妨げることによって、臓器および細胞の働きを妨げることがある。例えば、アルコールは肝臓におけるグルコースの生成、したがってそれからの放出を妨げ、中程度または重度の低血糖のリスクを増加させることがある。アルコールはまた、インスリンの効果を低減させ、それ故に中程度または重度の高血糖のリスクを増加させることがある。したがって、アルコールとグルコースの間の関係は、互いに直接相関しないことがあり、多くの点(例えば遺伝性素因)において個人的であって、少なくとも露出時間および濃度に依存する。さらに、アルコールは、高血糖および低血糖に関連する症状を認識または理解する個人の能力を損なうことがあり、それ故に個人に対する健康リスクを深刻にする。グルコースレベルが自然に制御異常を起こしたり、または介入なしでは恒常性を欠いたりする糖尿病の個人の血糖制御において、アルコール誘導性の変化を知ることは非常に有益であり得る。
【0007】
ケトンは、糖尿病の個人において一般的に制御異常を起こす被検物質の別のクラスである。グルコース濃度およびケトン濃度はケトアシドーシス(ケトン制御異常)も示す糖尿病の個人において互いに直接相関しないことがあるため、両方の被検物質を同時にモニタリングすることは有利なことがあり、潜在的に健康転帰を改善することにつながる。糖尿病の個人に健康上の利益を提供することに加えて、被検物質センサは、ケトン食療法を実践する個人のようなケトンレベルをモニタリングしたい他の個人にとって有益であり得る。ケトン食療法は、体重減少を促進することに有益であるだけでなく、てんかん患者が状態を管理する助けとなり得る。ケトン食療法モニタリングの間に同時にグルコースモニタリングすることは、関連する利点をもたらし得る。
【0008】
乳酸は、例えば食事、ストレス、運動、敗血症または敗血性ショック、感染症、低酸素症、癌組織の存在等を含む、多数の環境的因子または生理学的因子に応じてインビボレベルが変化することがある別の被検物質である。慢性乳酸変性症(例えば病気)の場合において、乳酸レベルはゆっくりと変化し得るため、乳酸レベルは従来の採血および検査室測定を使用して容易に定量され得る。他の乳酸変性症は、その性質が一時的なものであることがあり、この場合において、乳酸レベルは非常に急速かつ不規則に変動することがある。従来の検査室測定は、このような場合において乳酸レベルを判定するのに不適当なことがある。というのは、連続する測定と測定との間に乳酸レベルが何度も変化することがあり、このような場合、或る異常な乳酸レベルが完全に見逃されることがあり、ひいては、潜在的に不正確な診断につながることがある。乳酸レベルが急速に変動する場合において、例えば埋め込み型インビボ乳酸センサを使用することによって個人の乳酸レベルを連続的に測定することが望ましいとされている。連続的な乳酸モニタリングは、慢性的にゆっくりと乳酸レベルが変化する個人においても有益であり得る。例えば、連続的な乳酸モニタリングは、乳酸レベルを分析するために複数の採血を行うことに関連する苦痛および費用を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の図面は、本開示のある態様を説明するために含まれ、唯一の実施形態として見られるべきではない。開示された内容は、本開示の範囲から逸脱なく、形状および機能において多数の修正、代替品、組み合わせおよび同等品が可能である。
【
図1】本開示の被検物質センサを含んでもよい例示的な検出システムの図を示す。
【
図2A】単一の作用電極を有する例示的な2電極被検物質センサ形態の断面図を示す。
【
図2B】単一の作用電極を有する例示的な2電極被検物質センサ形態の断面図を示す。
【
図3A】単一の作用電極を有する例示的な被検物質センサの両側の平面図を示す。
【
図3C】単一の作用電極を有する例示的な3電極被検物質センサ形態の断面図を示す。
【
図4A】2つの作用電極を有する例示的な被検物質センサ形態の両側の平面図を示す。
【
図5A】2つの作用電極、対電極、および参照電極を有する例示的な被検物質センサ形態の分解組立図を示す。
【
図5B】2つの作用電極、対電極、および参照電極を有する例示的な被検物質センサ形態の断面図を示す。
【
図5C】2つの作用電極、対電極、および参照電極を有する例示的な被検物質センサ形態の断面図を示す。
【
図5D】2つの作用電極、対電極、および参照電極を有する例示的な被検物質センサ形態の断面図を示す。
【
図5E】2つの膜を塗布する前後の電極の写真を示す。
【
図5F】2つの膜を塗布する前後の電極の写真を示す。
【
図5G】基板の同じ表面上かつ同じ表面に接触して設置された第1作用電極および第2作用電極を有する被検物質センサの上面図を示す。
【
図5H】基板の同じ表面上かつ同じ表面に接触して設置された第1作用電極および第2作用電極、対電極、および参照電極を有する被検物質センサの上面図を示す。
【
図6A】分離した作用電極上に設置された感応性活性領域を有する被検物質センサの断面図を示す。
【
図6B】分離した作用電極上に設置された、異なる感応性活性領域および膜を有する被検物質センサの断面図を示す。
【
図6C】基板の同じ側上の分離した作用電極上に設置された、異なる感応性活性領域および膜を有する被検物質センサの断面図を示す。
【
図7A】異なるの膜によってコーティングされた電極の写真を示す。
【
図7B】異なるの膜によってコーティングされた電極の写真を示す。
【
図7C】異なるの膜によってコーティングされた電極の写真を示す。
【
図7D】30mMグルコースおよび10mMケトンに37℃で2週間暴露した後の、各々が分離した作用電極上に配置されたグルコース感応性活性領域およびケトン感応性活性領域を含んでいる8つの被検物質センサの電流反応の例示的なプロットを示す。
【
図8A】変化するグルコース濃度およびケトン濃度に暴露された時のグルコース感応性領域およびケトン感応性領域を含む電極の反応を示す。
【
図8B】30mMグルコースおよび10mMケトンに37℃で2週間暴露されたときの
図7Aおよび
図7Bの電極の電流反応の例示的なプロットを示す。
【
図8C】複数のグルコース濃度に対する平均的な電流反応の例示的なプロットを示す。
【
図8D】複数のケトン濃度に対する平均的な電流反応の例示的なプロットを示す。
【
図9A】変化するグルコース濃度および乳酸濃度に暴露されたときのグルコース感応性領域および乳酸感応性領域を含む電極の反応を示す。
【
図9B】30mMグルコースおよび5mM乳酸濃度に37℃で2週間暴露されたときのグルコース感応性領域および乳酸感応性領域を含む電極の反応を示す。
【
図9C】複数のグルコース濃度に対する平均的な電流反応の例示的なプロットを示す。
【
図9D】複数の乳酸濃度に対する平均的な電流反応の例示的なプロットを示す。
【
図10A】センサ制御装置の例示的な実施形態を示すブロック図である。
【
図10B】センサ制御装置の例示的な実施形態を示すブロック図である。
【
図10C】センサ制御装置の例示的な実施形態を示すブロック図である。
【
図10D】センサ制御装置の例示的な実施形態を示すブロック図である。
【
図11】2つのセンサを収容するセンサハウジングの分解組立図を示す。
【
図12】4つの作用電極を有する例示的な被検物質センサ形態の断面図を示す。
【
図13A】印刷回路線によって接続された2つのセンサハウジングを有するオンボディユニットの分解組立図を示す。
【
図13B】フレックス回路接続によって接続された2つのセンサハウジングを有するオンボディユニットの分解組立図を示す。
【
図13C】接続された3つのセンサハウジングを有するオンボディユニットの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、一般に複数の被検物質を検出するために複数の酵素を採用する被検物質センサを記述し、より具体的には、例えばグルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸などの複数の被検物質を検出するために複数の作用電極を採用する被検物質センサを記述する。複数のセンサはまた、複数の被検物質を分析するために採用されてもよい。一実施形態において、センサは少なくとも2つの作用電極および対電極/参照電極を含む。別の実施形態において、被検物質検出システムは複数のセンサを含んでもよい。システムは、少なくとも1つ、任意に少なくとも2つの作用電極、対電極、および参照電極を有する1次センサを含んでもよい。システムはまた、少なくとも1つ、任意に少なくとも2つ、任意に少なくとも3つ、任意に少なくとも4つの作用電極を含み、対電極および参照電極を含まないサブセンサを含んでもよい。サブセンサは、使用者の中の1次センサの近くに埋め込まれて取り付けられるため、サブセンサは、1次センサ内の対電極および参照電極を共有できる。サブセンサは、1次センサと同じハウジング内に収容されてもよい。任意に、サブセンサは1次センサのセンサハウジングに近くにある分離したセンサハウジング内に取り付けられてもよいため、1次センサおよびサブセンサは同じ対電極および参照電極を共有する。代替実施形態において、複数のサブセンサが、1次センサの対電極および参照電極を共有してもよい。
【0011】
上記のように、酵素を採用する被検物質センサは一般的に、特定の基質または基質のクラスに対する常習的な特異性を理由として、グルコースのような単一の被検物質をモニタリングするために使用される。適切なセンサ形態および適切な検出化学が同定されれば、他の被検物質が同様にモニタリングされてもよい。複数の被検物質のモニタリングは、各被検物質を独立して検出する、対応する数の被検物質センサを採用する必要があるため困難である。特に複数のインビボ被検物質センサを使ってモニタリングする場合、複数のインビボ被検物質センサの費用、複数の被検物質センサを装着したときの使用者の不快感、および患者のインビボ被検物質センサのうちの少なくとも一つが故障する統計的可能性が上昇することにより、この手法は問題があるかまたは望ましくないことがある。
【0012】
グルコース感応性被検物質センサは、糖尿病の個人の健康をよりよく管理して支援するために、よく研究され、なお発展している分野である。糖尿病の個人において合併症が蔓延しているにもかかわらず、一般にグルコースと組み合わせて制御異常を起こす他の被検物質のインビボモニタリングに適切なセンサ化学は、より発展したグルコース検出化学に大幅に後れを取っている。例えばグルコースに加えて、クレアチニン、乳酸、ケトン、およびエタノールは、全て糖尿病の個人におけるモニタリングとして特に興味を引くものであり得る。
【0013】
本開示は、少なくとも2つの被検物質に反応する被検物質センサおよびセンサシステムを提供する。具体的には、本開示は、少なくとも2つの被検物質のレベルを連続的またはほぼ連続的にインビボでモニタリングするためにオンボディに装着可能な被検物質センサを提供する。本明細書に開示される被検物質センサによる少なくとも2つの被検物質レベルの分析は、定期的なエクスビボの検査室測定で可能なものよりも正確な、長期間にわたる様々な状態の説明を個人または医療従事者に提供し得る。例えば、本開示にしたがってクレアチニンレベルを分析することによって、より早期の医療介入が可能となる場合があり、潜在的な腎臓損傷を制限して個人の全体的な健康転帰を改善する。
【0014】
本開示は、例えばグルコースおよび別の被検物質の両方等の少なくとも2つを、各被検物質に反応する1つ以上のインビボ被検物質センサを使用してモニタリングするために提供され、特に有益な形態においては、インビボで両方の被検物質に反応する単一の被検物質センサが使用されてもよい。有利にかつ驚くべきことに、グルコースおよび別のものの両方に対する感知機能を単一のセンサ尾部上に有する被検物質センサは、本明細書中に開示されるものを採用することによって製造され得る。
【0015】
さらに詳細に本開示の被検物質センサを記述する前に、適切なインビボ被検物質センサ形態およびその被検物質センサを用いるセンサシステムの簡単な概要が最初に提供されることにより、本開示の実施形態がよりよく理解されるであろう。
図1は、本開示の被検物質センサ、特に複数の被検物質をモニタリングできる被検物質センサを含んでもよい例示的な感知システムの概略を示す。示されるように、感知システム100は、ローカル通信経路またはリンクを介して互いに通信するように構成されたでセンサ制御装置102および読み取り装置120を含み、これは、有線または無線、単方向または双方向、および暗号化または非暗号化でもよい。いくつかの実施形態に従う読み取り装置120は、使用者の1以上の入力を可能にするためだけでなく、センサ104またはそれに関連したプロセッサによって判定された被検物質濃度および警告または通知を見るための出力媒体を構成してもよい。読み取り装置120は、多目的スマートフォンまたは専用の電子読み取り装置でもよい。1つのみの読み取り装置120が示されるが、ある場合には複数の読み取り装置120が存在してもよい。読み取り装置120はまた、遠隔端末170および/または信頼されたコンピュータシステム180と、それぞれ通信経路/リンク141および/または142を介して通信してもよく、それは有線または無線、単方向または双方向、および暗号化または非暗号化でもよい。読み取り装置120はまた、あるいは代わりに、通信経路/リンク151を通じてネットワーク150(例えば携帯電話ネットワーク、インターネット、またはクラウドサーバ)と通信してもよい。ネットワーク150は、さらに、通信経路/リンク152を介して遠隔端末170と、および/または、通信経路/リンク153を介して信頼されたコンピュータシステム180と通信可能に連結されてもよい。あるいは、センサ104は、介在する読み取り端末120が存在することなく、遠隔端末170および/または信頼されたコンピュータシステム180と直接通信してもよい。例えば、米国特許出願公開第2011/0213225号明細書および参照によってその全体に組み込まれたものによって記述されるようないくつかの実施形態によれば、センサ104は、遠隔端末170および/または信頼されたコンピュータシステム180と、ネットワーク150への直接通信リンクを介して通信されてもよい。どの適切な電子通信プロトコルも、近距離無線通信(NFC)、無線自動識別(RFID)、BLUETOOTH(登録商標)またはBLUETOOTH(登録商標)Low Energyプロトコル、WiFi(登録商標)等のような通信経路またはリンクの各々に使用されてよい。いくつかの実施形態によれば、遠隔端末170および/または信頼されたコンピュータシステム180は、使用者の被検物質レベルに関心を持つ1次使用者以外の個人によって、アクセス可能であってもよい。読み取り装置120は、ディスプレイ122および任意に入力部品121を備えてもよい。ディスプレイ122は、いくつかの実施形態によれば、タッチスクリーンインタフェースを備えてもよい。
【0016】
センサ制御装置102は、回路およびセンサ104を操作するための電源を収容するセンサハウジング103を含む。任意に、電源および/またはアクティブ回路は、省略されてもよい。プロセッサ(図示なし)は、プロセッサがセンサハウジング103または読み取り装置120の中に物理的に設置された状態で、センサ104に通信可能に連結されてもよい。いくつかの実施形態によれば、センサ104は、センサハウジング103の底面から突出し、センサハウジング103を皮膚のような組織表面に接着するように適応された接着層105を通過して延びる。
【0017】
センサ104は、皮膚の真皮または皮下層のような関心のある組織の中へ少なくとも部分的に挿入されるように適応される。センサ104は、所与の組織に望ましい深さまで挿入されるために十分な長さのセンサ尾部を備えてもよい。センサ尾部は、少なくとも1つの作用電極、およびその上に配置された第1被検物質感応性活性領域を備えてもよい。任意に、第2被検物質感応性活性領域が、さらに任意に第2作用電極と組み合わせて、この被検物質の検出を容易にするようにセンサ尾部上に設置されてもよい。対電極は、少なくとも1つの作用電極と組み合わせて存在してもよい。センサ尾部上の特定の電極形態は、
図2~5および
図11を参照して以下により詳細に記述される。
【0018】
さらに
図1を参照すると、センサ104は、読み取り装置120へデータを自動的に転送してもよい。例えば、被検物質濃度のデータは、例えばデータが取得されるとある頻度で、またはデータが伝送までメモリに保存された状態で一定の期間が経過した後に、自動的かつ定期的に通信されてもよい(例えば毎分、5分毎、またはその他の所定時間毎)。他の実施形態において、センサ104は、設定されたスケジュールにしたがわずに、非自動的な方法で読み取り装置120と通信してもよい。例えば、センサエレクトロニクスが読み取り装置120の通信範囲内に持ち込まれたときに、データは、RFID技術を使用してセンサ104から通信されてもよい。読み取り装置120に通信されるまで、データはセンサ104のメモリ内に保存されたままであってもよい。したがって、使用者は、常に読み取り装置120を近くに保持しなくてもよく、その代わりに都合のよいときにデータをアップロードできる。さらに他の実施形態において、自動的なデータ転送と非自動的なデータ転送との組み合わせが実施されてもよい。例えば、データ送信は、読み取り装置120がセンサ104の通信範囲に存在しなくなるまで、自動で続いてもよい。
【0019】
導入器は、センサ104の組織への導入を促進するために一時的に存在してもよい。例示的な実施形態において、導入器は、針またはそれに類似する鋭利なものを備えてもよい。シースまたは刃のような他のタイプの導入器が代替実施形態において存在してよいことが理解されたい。さらに具体的には、針または他の導入器は、組織挿入の前にセンサ104の近くに一時的に存在し、その後引き抜かれてもよい。存在している間に、針または他の導入器は、センサ104が従うアクセス経路を開口することによって、センサ104の組織への挿入を容易にし得る。例えば、1つ以上の実施形態によれば、針は、真皮へのアクセス経路として表皮の貫通を容易にし、センサ104の埋め込みが行われることを可能にし得る。アクセス経路を開口した後、針または他の導入器は引き抜かれるため、鋭利なものの危険性は示さない。例示的な実施形態において、適切な針は、中実または中空、斜角または非斜角、および/または、断面において円形または非円形でもよい。より特定の実施形態において、適切な針は、断面直径および/または先端設計が、約250ミクロン(μm)の断面直径を有する針治療の針と同程度であってもよい。しかしながら、適切な針は、特定の用途に必要とされた場合により大きい断面直径またはより小さい断面直径を有してもよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、針の先端(存在する間)は、センサ104の終端上で角度付けられてもよいため、針は最初に組織を貫通してセンサ104のためのアクセス通路を開口する。他の例示的な実施形態において、センサ104は、管腔または針の溝の中に存在してもよく、針は同様にセンサ104のためのアクセス経路を開口する。どちらの場合においても、針はセンサ挿入を容易にした後に引き抜かれる。
【0021】
本明細書中に開示される被検物質センサは、単一の作用電極上または2つ以上の分離した作用電極上の互いに異なるタイプの活性領域(例えば、グルコース活性領域、およびケトン活性領域、乳酸活性領域、クレアチニン活性領域、またはエタノール活性領域)を特徴とし得る。本開示の様々な実施形態によれば、本明細書中にさらに記述されるように、単一の作用電極センサ形態は、2電極または3電極の検出モチーフを採用してもよい。
図2A~2Bは、本明細書中に開示されるいくつかの実施形態における使用に互換性のある単一の作用電極を有する例示的な2電極被検物質センサ形態の断面図を示す。示されるように、被検物質センサ200は、作用電極214と対/参照電極216との間に配置された基板212を備える。あるいは、作用電極214および対/参照電極216は、誘電体材料を間に差し挟んで基板212の同じ側の上に設置されてもよい(形態は示されない)。
図2Aは、単一の活性領域218を示す。複数の活性領域218aおよび218b(つまりグルコース感応性活性領域およびケトン感応性活性領域)は、作用電極214の表面上に互いから横方向に間隔を介している。本明細書中に示される様々なセンサ形態において、活性領域218aおよび218bは、各被検物質を検出するように構成された複数のスポットまたは単一のスポットを備えてもよい。被検物質センサ200は、電量分析、電流測定、ボルタメトリ、または電位差測定の電気化学的検出技術のいずれかによって、グルコースおよびケトンを分析するために操作可能であり得る。
【0022】
単一の作用電極が被検物質センサの中に存在する場合、3電極センサ形態は、作用電極、対電極、および参照電極を備えてもよい。(
図2Aおよび2B参照)。関連する2電極センサ形態は、作用電極および第2電極を備えてもよく、第2電極は対電極および参照電極の両方(すなわち対/参照電極)として機能してもよい。2電極センサ形態および3電極センサ形態の両方において、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の両方が単一の作用電極上に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、様々な電極が、少なくとも部分的に互いの上に積み重ねられ(層状にされ)、および/またはセンサ尾部上で横方向に互いから間隔を介していてもよい。適切なセンサ形態は、実質的に平面の形状であるか、または実質的に円柱状の形状であってもよく、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域は、作用電極上で横方向に間隔を介している。本明細書中に開示されるセンサ形態の全てにおいて、様々な電極が誘電体材料または類似の絶縁体によって互いから電気的に絶縁されていてもよい。
【0023】
複数の作用電極を特徴とする被検物質センサは、少なくとも1つの追加電極を同様に備えてもよい。1つの追加電極が存在する場合、その1つの追加電極は、複数の作用電極の各々の対/参照電極として機能してもよい。2つの追加電極が存在する場合、追加電極の1つは複数の作用電極の各々の対電極として機能してもよく、追加電極の他方は複数の作用電極の各々の参照電極として機能してもよい。
【0024】
単一の作用電極を有する被検物質センサ形態は、これからさらに詳細に記述される。
図2Aは、単一の作用電極を有する例示的な2電極被検物質センサ形態の断面図であり、これは本明細書中の開示のいくつかの実施形態における使用に互換性がある。示されるように、被検物質センサ200は、作用電極214と対/参照電極216との間に配置された基板212を備える。あるいは、作用電極214および対/参照電極216は、誘電体材料を間に差し挟んで基板212の同じ側の上に設置されてもよい(形態は示されない)。活性領域218は、作用電極214の上に配置される。
図2Bに見られるように、複数の活性領域が単一の作用電極214の上に存在する場合、活性領域218aおよび218b(例えばグルコース感応性活性領域およびケトン感応性活性領域)は、作用電極214の表面上において互いから横方向に間隔を介している。本明細書中に示される様々なセンサ形態において、活性領域218aおよび活性領域218bは、各被検物質を検出するように構成された複数のスポットまたは単一のスポットを備えてもよい。被検物質センサ200は、電量分析、電流測定、ボルタメトリ、または電位差測定の電気化学的検出技術のいずれかによって、グルコースおよびケトンを分析するために操作可能であり得る。
【0025】
単一の作用電極を有し、単一の被検物質をモニタリングするセンサは、
図3Aに示される。3つの電極は、絶縁層を間に有した状態で基板(例えばPET基板)の両側上にスクリーン印刷される。
図3Cに見られるように、被検物質センサ201は、作用電極214と対電極217との間に配置された基板212を備える。あるいは、作用電極214は、誘電体材料を間に差し挟んで基板212の対電極217と同じ側の上に設置されてもよい(形態は示されない)。参照電極216は、誘電体層219bによって作用電極214から電気的に絶縁されている。外側誘電体層219aおよび219cは、参照電極216および対電極217の上に配置されている。被検物質特異的感応性活性領域218(例えばグルコース感応性活性領域、クレアチニン感応性活性領域、または乳酸感応性活性領域)は、作用電極214の少なくとも一部上の少なくとも1つの層として配置されてもよい。本明細書中にさらに記述されるように、被検物質感応性活性領域は、被検物質を検出するように構成された複数のスポット/領域または単一のスポット/領域を備えてもよい。参照材料の層230(例えばAg/AgCl)は、参照電極216の上に存在してもよく、参照材料の層230の位置は
図3Cに示される位置に限定されない。
図3Bに見られるように、コネクタ250は3つの開口252を含み、作用電極と対電極と参照電極との間の印刷回路板(図示なし)による接続をもたらす。
【0026】
2つの作用電極を有し、2つの被検物質をモニタリングするセンサは、
図4Aに示される。この実施形態において、4つの電極は、電極を電気的に絶縁するための絶縁層を有した状態で基板(例えばPET基板)の両側上にスクリーン印刷される。
図4Aに見られるように、作用電極214aおよび参照電極216は1つの側上に印刷されており、作用電極214bおよび対電極217は、他方の側上に印刷されている。
図4Bに見られるように、コネクタ250は4つの開口252を含み、2つの作用電極と対電極と参照電極との間の印刷回路板(図示なし)による接続をもたらす。
【0027】
図5Aおよび5Bは、例示的な4電極被検物質センサ形態の図を示し、これは本明細書中の開示における使用に互換性がある。示されるように、被検物質センサ201は、作用電極214aと作用電極214bとの間に配置された基板212を備える。あるいは、作用電極214aおよび作用電極214bは、誘電体材料を間に差し挟んで基板212の同じ側の上に設置されてもよい(形態は示されない)。被検物質特異的感応性活性領域218aおよび/または218b(例えばグルコース感応性、クレアチニン感応性、または乳酸感応性活性領域)は、作用電極214aおよび/または214bの少なくとも一部上の少なくとも1つの層として配置されてもよい。本明細書中にさらに記述されるように、被検物質感応性活性領域は、被検物質を検出するように構成された複数のスポット/領域または単一のスポット/領域を備えてもよい。参照電極は、誘電体材料の分離層を間に有した状態で作用電極214aまたは214bのいずれか一方の上に配置されてもよい。対電極は、誘電体材料の分離層を間に有した状態で作用電極214aまたは214bの他方の上に配置されてもよい。例えば、
図5Bに示すように、誘電体層219bおよび219cは、電極214a、214b、216および217を互いから分離し、電気的な絶縁を提供する。外側誘電体層219aおよび219dは、参照電極216および対電極217の上に配置されている。
【0028】
あるいは、電極214a、214b、216および217の少なくとも1つは、基板212の反対側の面上に設置されてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、電極214a(作用電極)および電極216(対電極)は、基板212の、電極217(参照電極)とは反対側の面上に設置され、作用電極214bは基板の反対側の面上に設置されてもよい。参照材料の層230(例えばAg/AgCl)は、参照電極216の上に存在してもよく、参照材料の層230の位置は
図5Aに示される位置に限定されない。
図5Bに示すセンサ202のように、被検物質センサ202の中の被検物質感応性活性領域218は、複数のスポットまたは単一のスポットを備えてもよい。加えて、被検物質センサ202は、電量分析、電流測定、ボルタメトリ、または電位差測定の電気化学的検出技術のいずれかによって、被検物質を分析するために操作可能であり得る。
図5Bは電極214a、214b、216および217の全てが膜220によって覆われているように示されているが、いくつかの実施形態において、作用電極214aおよび214bのみが覆われていてもよいことが理解されたい。さらに、電極214a、214b、216および217の各々における膜220の厚さは、同じでも異なってもよい。2電極被検物質センサ形態(例えば
図2Aおよび2B)のように、被検物質センサ202の一面または両面は、
図5Aのセンサ形態において膜220によって覆われていてもよく、または被検物質センサ202の全体が覆われていてもよい。したがって、
図5Aおよび
図5Bに示される複数電極センサ形態は、本明細書中に開示される実施形態に制限されないと理解されるのがよく、代替の電極および/または層の形態が、本開示の範囲以内に存在する。
【0029】
さらに
図5Bを参照すると、膜220は任意に、少なくとも被検物質感応性活性領域218aおよび218bを覆っており、作用電極214aおよび/または作用電極214bおよび/または参照電極216および/または対電極217のいくつかまたは全て、あるいはいくつかの実施形態に従う被検物質センサ202の全体を覆っている。被検物質センサ202の一面または両面は、膜220によって覆われていてもよい。膜220は、活性領域218への被検物質の流動を制限する機能を有する1つ以上のポリマー膜材料を含んでもよい(すなわち、膜220は、測定される被検物質に対するいくらかの透過性を有する物質移行制限膜である)。膜220の組成および厚さは、被検物質感応性活性領域218a、218bへの望ましい被検物質の流動を促進するように変更されてもよく、それによって望ましい信号強度および安定性を提供する。被検物質センサ200は、電量分析、電流測定、ボルタメトリ、または電位差測定の電気化学的検出技術のいずれかによって、被検物質を分析するために操作可能であり得る。
【0030】
図5Cは、例示的な4電極被検物質センサ形態の図を示し、これは本明細書中の開示における使用に互換性がある。示されるように、被検物質センサ232は、作用電極214aと対電極216との間に配置された基板212を備える。作用電極214aおよび214bは、誘電体材料219bを間に差し挟んで基板212の同じ側の上に設置されている。対電極216および参照電極217は、誘電体材料219cを間に差し挟んで基板212の反対側の上に設置されている。被検物質特異的感応性活性領域218a(例えばケトン感応性活性領域)は、作用電極214aの少なくとも一部上の少なくとも1つの層として配置されてもよい。被検物質特異的感応性活性領域218b(例えばグルコース感応性)は、作用電極214bの少なくとも一部上の少なくとも1つの層として配置されてもよい。活性領域218a(例えばケトン感応性活性領域)は、被検物質特異的感応性活性領域218b(例えばグルコース感応性)よりも端Aの近くに配置されてもよい。本明細書中にさらに記述されるように、被検物質感応性活性領域は、被検物質を検出するように構成された複数のスポット/領域または単一のスポット/領域を備えてもよい。
図5Cに示すように、誘電体層219bおよび219cは、電極214a、214b、216および217を互いから分離し、電気的な絶縁を提供する。外側絶縁層219aおよび219dは、作用電極214bおよび対電極217の上に配置されている。参照材料の層230(例えばAg/AgCl)(図示なし)は、参照電極216の上、またはセンサ上の別の適切な位置に存在してもよい。
図5Bおよび
図5Cに示すセンサ202、232のように、被検物質センサ202、232の中の被検物質感応性活性領域218は、複数のスポットまたは単一のスポットを備えてもよい。加えて、被検物質センサ202、232は、電量分析、電流測定、ボルタメトリ、または電位差測定の電気化学的検出技術のいずれかによって、被検物質を分析するために操作可能であり得る。
【0031】
図5Dは、例示的な4電極被検物質センサ形態の図を示し、これは本明細書中の開示における使用に互換性がある。示されるように、被検物質センサ242は、作用電極214aと対電極216との間に配置された基板212を備える。作用電極214aおよび214bは、誘電体材料219bを間に差し挟んで基板212の同じ側の上に設置されている。対電極216および参照電極217は、誘電体材料219cを間に差し挟んで基板212の反対側の上に設置されている。被検物質特異的感応性活性領域218a(例えばケトン感応性活性領域)は、作用電極214aの少なくとも一部上の少なくとも1つの層として配置されてもよい。被検物質特異的感応性活性領域218b(例えばグルコース感応性)は、作用電極214bの少なくとも一部上の少なくとも1つの層として配置されてもよい。活性領域218a(例えばケトン感応性活性領域)は、被検物質特異的感応性活性領域218b(例えばグルコース感応性)よりも端Aの近くに配置されてもよい。本明細書中にさらに記述されるように、被検物質感応性活性領域は、被検物質を検出するように構成された複数のスポット/領域または単一のスポット/領域を備えてもよい。
図5Cに示すように、誘電体層219bおよび219cは、電極214a、214b、216および217を互いから分離し、電気的な絶縁を提供する。外側誘電体層219aおよび219dは、作用電極214bおよび対電極217の上に配置されている。参照材料の層230(例えばAg/AgCl)は、参照電極216の上、またはセンサ上の別の適切な位置に存在してもよい。
図5B~5Dに示すセンサ202、232、242のように、被検物質センサ202、232、242の中の被検物質感応性活性領域218a、218bは、複数のスポットまたは単一のスポットを備えてもよい。加えて、被検物質センサ202、232、242は、電量分析、電流測定、ボルタメトリ、または電位差測定の電気化学的検出技術のいずれかによって、被検物質を分析するために操作可能であり得る。
【0032】
活性領域218aは、活性領域218bよりも端A(対象の中に挿入されているセンサの遠位端)に近くてもよい。活性領域218aの長さは、約0.7mmから約1.3mmの間、あるいは約0.8mmから約1.2mmの間、あるいは約0.9mmから約1.1mmの間、あるいは約0.8mm、あるいは約0.9mm、あるいは約1.0mm、あるいは約1.1mm、あるいは約1.2mmを有してもよい。活性領域218bの長さは、活性エリア218aの長さよりも長くてもよい。活性領域218bの長さは、約0.7mmから約1.5mmの間、あるいは約0.8mmから約1.4mmの間、あるいは約0.9mmから約1.3mmの間、あるいは約0.8mm、あるいは約0.9mm、あるいは約1.0mm、あるいは約1.1mm、あるいは約1.2mm、あるいは約1.3mm、あるいは約1.4mmを有してもよい。活性エリア218aと活性エリア218bとは、距離xによって分離されており、距離xは、約0.4mmから約1.1mmの間、あるいは約0.5mmから約1.0mmの間、あるいは約0.6mmから約0.9mmの間、約0.7mmから約0.9mmの間、あるいは約0.4mm、あるいは約0.5mm、あるいは約0.6mm、あるいは約0.7mm、あるいは約0.8mm、あるいは約0.9mm、あるいは約1.0、あるいは少なくとも約0.2mm、あるいは少なくとも約0.4mm、あるいは少なくとも約0.6mm、あるいは少なくとも約0.8mmでもよい(例えば活性領域218aの近位端が活性領域218bの遠位端から分離されてもよい)。
【0033】
センサ232、242は、2つの膜220、222を含んでもよい。
図5Cおよび5Dに見られるように、膜222は、活性領域218a(例えばケトン感応性活性領域)を含む作用電極214aの一部のみを被覆してもよい。膜220は、活性領域218a(例えばケトン感応性活性領域)および活性領域218b(例えばグルコース感応性)の両方を被覆してもよい。膜220はまた、基板212の反対側の上の対電極216および参照電極217を被覆してもよい。したがって、活性領域218a(例えばケトン感応性活性領域)は膜222および220を含む二層膜を有する一方で、活性領域218bは単一層の膜220のみを有してもよい。
図5Cおよび5Dは電極214a、214b、216および217の全てが膜220によって覆われているように示されているが、いくつかの実施形態において、作用電極214aおよび214bのみが覆われていてもよいことが理解されたい。さらに、電極214a、214b、216および217の各々における膜220、222の厚さは、同じでも互いに異なってもよい。2電極被検物質センサ形態(例えば
図2Aおよび2B)のように、被検物質センサ202の一面または両面は、
図5Aのセンサ形態において膜220によって覆われていてもよく、または被検物質センサ202の全体が覆われていてもよい。したがって、
図5Aおよび
図5Bに示す複数電極センサ形態は、本明細書中に開示される実施形態に制限されないと理解されるのがよく、代替の電極および/または層の形態が、本開示の範囲以内に存在する。
【0034】
図5Cおよび5Dをさらに参照すると、膜222は任意に、活性領域218a(例えばケトン感応性活性領域)のみを覆っており、活性領域218b(例えばグルコース感応性)を覆っていない。膜220は選択的に、少なくとも被検物質感応性活性領域218aおよび218bを覆っており、作用電極214aおよび/または作用電極214bおよび/または参照電極216および/または対電極217のいくつかまたは全て、またはいくつかの実施形態によれば、被検物質センサ202の全体を覆っている。膜220は、活性領域218への被検物質の流動を制限する機能を有する1つ以上のポリマー膜材料を含んでもよい(すなわち、膜220は、測定される被検物質に対するいくらかの透過性を有する物質移行制限膜である)。膜220の組成および厚さは、被検物質感応性活性領域218a、218bへの望ましい被検物質の流動を促進するように変更されてもよく、それによって望ましい信号強度および安定性を提供する。
図5Dに見られるように、センサ242の遠位部221は、センサ尾部の近位部と比較して(厚さwをw’と比較して)より厚いか、または球状の形状をしていてもよい。センサ242の遠位部221の厚さは、約0.203mm(0.008”)から約0.356mm(0.014”)の間、あるいは約0.229mm(0.009”)から約0.33mm(0.013”)の間、あるいは約0.254mm(0.010”)から約0.33mm(0.013”)の間、あるいは約0.254mm(0.010)から約0.305mm(0.012”)の間、あるいは約0.15mmから約0.4mm、あるいは約0.2mmから約0.4mm、あるいは約0.25mmから約0.4mm、あるいは約0.25mmから約0.35mmを有してもよい。被検物質センサは、電量分析、電流測定、ボルタメトリ、または電位差測定の電気化学的検出技術のいずれかによって、被検物質を分析するために操作可能であり得る。
【0035】
膜222は、活性領域218a(例えばケトン感応性活性領域)の上に浸漬コーティングしてもよい。例えば、センサ232は、膜溶液の中に部分的に浸漬されてもよいため、端Aに近く、活性領域218aを含み活性領域218bを含まない端部のみが膜溶液の中に浸される。膜222の塗布は、単一の浸漬手順の中で達成されてもよく、または高密度の膜を得るように膜溶液の中に複数回の浸漬を必要としてもよい。活性領域218aおよび218bの両方を含むセンサ232、242のより広い部分がその後、異なる膜溶液の中に浸されてもよい。したがって、遠位端Aのより近くに設置された活性領域218aは二層膜を有する一方で、活性領域218aに比べて近位にある活性領域218bは単一層の膜を有するであろう。この方法による浸漬コーティングは、多数の利点を有する。第1に、基板212を反転する必要なく基板212の片側上に両方の感知層を施すことによって、製造プロセスが単純になり、効率性が改善する。第2に、この浸漬方法により、単に膜溶液の交換および浸漬深度の調整によって、膜222と膜220との両方のために使用される同じ膜浸漬設備の使用が許容される。
【0036】
図5Eは、センサの遠位端Aにより近い前面側にケトン活性部位218a(2つのスポットを有する)、およびケトン活性部位218aよりも遠位端Aから離れた距離に設置された、センサの背面側にグルコース活性部位218b(2つのスポットを有する)を有するセンサを示す。
図5Eにおけるセンサは、未だ膜によって覆われていない。
図5Fに見られるように(点線参照)、第1浸漬において、センサはケトン活性部位218aとグルコース活性部位218bとの間の位置まで浸漬されるため、ケトン活性部位218aは膜溶液の中に浸漬されるが、グルコース活性部位218bは浸漬されない。第1膜溶液の中への任意の複数の浸漬および硬化の後、グルコース活性部位218bの近位またはそれより上の位置までセンサが浸漬されるように、センサは第2溶液の中に浸漬されるため、ケトン活性部位218aとグルコース活性部位218bとの両方が浸される。
図5Fの側面図に見られるように、二層膜を有する遠位部221は、球状の形状、または厚さwを有する広がった先端を有しており、ここでは単一層の膜のみがセンサを覆っている、厚さw’を有するセンサ尾部の近位部よりも大きい。厚さwは、約0.203mm(0.008”)から約0.356mm(0.014”)の間、あるいは約0.229mm(0.009”)から約0.33mm(0.013”)の間、あるいは約0.254mm(0.010”)から約0.33mm(0.013”)の間、あるいは約0.254mm(0.010”)から約0.305mm(0.012”)の間、あるいは約0.15mmから約0.4mm、あるいは約0.2mmから約0.4mm、あるいは約0.3mmから約0.4mm、あるいは約0.25mmから約0.35mmでもよい。対して、厚さw’は、約0.127mm(0.005”)から約0.254mm(0.01”)の間、あるいは約0.127mm(0.005”)から約0.229mm(0.009”)の間、あるいは約0.152mm(0.006”)から約0.229mm(0.009”)の間、あるいは約0.152mm(0.006”)から約0.203mm(0.008”)の間、あるいは約0.178mm(0.007”)から約0.203mm(0.008”)、あるいは約0.1mmから約0.3mmの間、あるいは約0.1mmから約0.25mmの間、あるいは約0.15mmから約0.25mmの間でもよい。wとw’との間の差は、約0.0762mm(0.003”)から約0.127mm(0.005”)の間、あるいは約0.0762mm(0.003”)から約0.102mm(0.004”)の間、あるいは約0.05mmから約0.15mmの間、あるいは約0.07mmから約0.1mmの間、あるいは約0.075mmから約0.125mmの間でもよい。
【0037】
別の実施形態において、
図5Gおよび
図5Hに見られるように、第1作用電極214aおよび第2作用電極214bは、基板212の同じ側上に設置されてもよく、基板212の表面上に直接配置されてもよいため、誘電体層または絶縁層は、第1作用電極214aおよび第2作用電極214bを同じ基板表面から分離しない。さらに、第1作用電極214aおよび第2作用電極214bは、互いの上に積み重ねられておらず、誘電体層によって分離されていない。それどころか、第1作用電極214aおよび第2作用電極214bは、基板の同じ表面上で空間的に分離されている。第1作用電極214aおよび第2作用電極214bが基板212の上で同じ層に印刷され得るため、このような配置は製造を単純にし得る。
図5Hに見られるように、対電極216および作用電極217もまた、空間的に分離されており、基板の同じ側上に直接印刷されてもよく(すなわち積み重ねられない)、この場合、誘電体層は対電極216および参照電極217を基板212の表面または互いから分離していない。
【0038】
本明細書中に開示される被検物質センサは、同じ作用電極または異なる作用電極上のいずれか一方に複数の活性領域を含んでもよい。本明細書中に開示される被検物質センサは、単一の作用電極上または2つ以上の分離した作用電極上の同じタイプの活性領域(例えば、2つのグルコース活性領域)を特徴としてもよい。本明細書中に開示される被検物質センサは、単一の作用電極上または2つ以上の分離した作用電極上の互いに異なるタイプの活性領域(例えば、グルコース活性領域、およびケトン活性領域、または乳酸活性領域)を特徴としてもよい。本開示の様々な実施形態にしたがって本明細書中にさらに記述されるように、単一の作用電極センサ形態は、2電極または3電極の検出モチーフを採用してもよい。本開示の様々な実施形態にしたがって、センサ形態は、第1被検物質感応性活性領域(例えばグルコースをモニタリングするため)および第2被検物質感応性活性領域(例えばケトンをモニタリングするため)を適切に組み込んでもよい。複数の作用電極を特徴とするセンサ形態は、複数の図面を参照してこの後に記述される。
【0039】
代替実施形態において、作用電極214aおよび作用電極214bの両方は、例えばグルコースの感応性活性領域等の同じ被検物質を有してもよい。
図6Aに見られるように、複数の作用電極214aおよび214bが存在する場合、特定の単一の被検物質に対する感応性活性領域は、作用電極214aおよび作用電極214bの両方の上に配置されてもよい。膜220は、その後、感応性活性領域218の上に浸漬コーティングされてもよい。
【0040】
代替実施形態において、互いに異なる被検物質は異なる作用電極にて分析されている。本明細書中にさらに記述されるように、
図5および
図6において直ちに明らかではないが、各位置において被検物質の流動を個別に制御するために、膜220の組成は活性領域218aと活性領域218bとで変更されてもよい。例えば、膜220は活性領域218aおよび218bの上にスプレーおよび/または印刷されてもよいため、膜220の組成は各位置によって異なる。あるいは、複数の被検物質が分析されており、複数の作用電極214aおよび214bが存在する場合、ケトン等のような第1被検物質に特異的な感応性活性領域218aは、第1作用電極上に配置されてもよく、グルコース等のような第2被検物質に特異的な感応性活性領域218bは、第2作用電極上に配置されてもよい。
【0041】
活性領域がこの方法によって互いに分離されおよび/または間隔を介している場合、互いに異なる組成および/または異なる透過性値を有する物質移行制限膜は製造中により急速に堆積し得るため、複数の作用電極を採用しているセンサ形態は、本明細書中の開示によれば、複数の互いに異なる感応性活性領域のいずれも組み込むことに対して非常に有利であり得る。本明細書中に開示される物質移行制限膜を堆積するための適切な技術は、例えば、スプレーコーティング、塗装、ストライピング、インクジェット印刷、ステンシル、ローラコーティング、スロット染色コーティング、浸漬コーティング等、およびそれらのうちいくつかの組み合わせを含む。例えば
図6Bを参照すると、膜222はストライプコーティングによって堆積されてもよく、膜220は被検物質センサ200の端Aから開始する浸漬コーティングによって堆積されてもよい。特に、膜222は第1コーティング製剤を使用して活性領域218aの上にストライピングされてもよい。あるいは、膜222は、例えばスプレーコーティングまたは塗装によって、作用電極214aの上にコーティングされてもよい。センサはその後、センサの先端全体を被覆する第2膜220に浸漬するためにレーザ切断されてもよい。活性領域218aの上の第1コーティング製剤を部分的に硬化させて膜222を形成した後で、被検物質センサ200の端Aは、第2コーティング製剤の中に浸漬されて、膜220を形成する第2コーティング製剤によって活性領域218aと活性領域218bとの両方を覆ってもよい。このように、膜220は連続的であり、218aにおいて二層を特徴としており、活性領域218bにて均質であってもよい。例えば
図6Cを参照すると、活性領域218aおよび活性領域218bが基板212の同じ側上に配置されており、距離xによって分離されている場合、膜220および膜222は、被検物質センサ200の端Aから開始する浸漬コーティングによって堆積されてもよい。特に、被検物質センサ200の端Aは、第1コーティング製剤の中に(1回または複数回)浸漬されて、活性領域218aのみを覆い、活性領域218bを覆わなくてもよい。活性領域218aの上の第1コーティング製剤を部分的に硬化させて膜222を形成した後で、被検物質センサ200の端Aは、第2コーティング製剤の中に浸漬されて、膜220を形成する第2コーティング製剤によって活性領域218aと活性領域218bとの両方を覆ってもよい。このように、膜220は連続的であって218aにおいて二層を特徴としており、活性領域218bにて均質であってもよい。膜222が膜200よりも高密度であるならば、膜222が感応性活性領域218aの周りの拡散特性を主に規定するであろう。活性領域218aおよび活性領域218bは
図5Dおよび
図6Cにおいて基板の同じ側上に示されるが、活性領域218aおよび活性領域218bはまた、基板212の反対側上でもよく、それらは、例えば基板212に平行な軸線に沿って測定される距離xによって分離される。
【0042】
膜222は、ポリビニルピリジンと、例えばPEGDGE400等のポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)のような架橋剤とを含んでもよい。膜220は、ポリビニルピリジン-co-スチレンと、例えばPEGDGE400等のポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)のような架橋剤とを含んでもよい。
【0043】
活性領域がこの方法によって互いに分離されおよび/または間隔を介している場合、互いに異なる組成および/または異なる透過性値を有する物質移行制限膜は製造中により急速に堆積し得るため、複数の作用電極を採用しているセンサ形態は、本明細書中の開示にしたがって複数の異なる感応性活性領域のいずれも組み込むことに対して非常に有利であり得る。本明細書中に開示される物質移行制限膜を堆積するための適切な技術は、例えば、スプレーコーティング、塗装、インクジェット印刷、ステンシル、ローラコーティング、浸漬コーティング等、およびそれらのうちいくつかの組み合わせを含む。
【0044】
図7A~7Cは、互いに異なる膜によってコーティングされた様々な電極の写真である。
図7A~7Cは、ケトンおよびグルコースに特異的な感応性活性領域を含む。
図7Aは、まずPVP膜、次にポリビニルピロリドン-co-スチレン膜によってコーティングされている、ケトン感応性活性領域を有する電極を示す。
図7Bは、ポリビニルピロリドン-co-スチレン膜によってのみコーティングされている、グルコース感応性活性領域を有する電極を示す。
図7Aおよび
図7Bに示す電極は、同じセンサ尾部の反対側である。
図7Cは、PVP膜によってストライプコーティングされた、ケトン感応性活性領域を有する電極を示す。
図7Cは、
図7Aにおける電極がPVPにコーティングされた後であるが10Q5にコーティングされる前にどのように見えるかの例である。これらの電極の典型的な膜組成は、米国出願番号第16/774,835号(米国公開番号第2020/0237275号;整理番号第13548USO1号)に見出され、それは全ての目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図7Dは、30mMグルコースおよび10mMケトンに2週間暴露した後の、各々がセンサ尾部の反対側上において互いに分離した作用電極上に配置されたグルコース感応性活性領域およびケトン感応性活性領域を含む8つの被検物質センサの電流感応のグラフであり、グルコースおよびケトンのセンサに対する互いに異なる膜要件が上記の二重膜によって得られたことを示す。同様に、乳酸センサの典型的な膜組成は、米国出願番号第16/259,157号(米国公開番号第2019/0320947号;整理番号第13335USO1号)に見出され、それは全ての目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。エタノールセンサのための典型的な膜組成は、米国出願番号第16/774,909号(米国公開番号第2020/0237277号;整理番号第13622USO1号)に見出され、それは全ての目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。クレアチニンセンサの典型的な膜組成は、米国出願番号第16/582,583号(米国公開番号第2020/0241015号;整理番号第13547USO1号)に見出され、それは全ての目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらなる典型的な膜組成は、米国出願番号第16/774,841号(米国公開番号第2020/0237276号;整理番号第13210USO1号)に見出され、それは全ての目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0045】
図8A~8Dおよび
図9A~9D(例におけるさらなる記述参照)は、それぞれグルコース/ケトン二重センサおよびグルコース/乳酸二重センサが形成する校正グラフである。校正グラフは、グルコース感応性領域およびケトン感応性領域/乳酸感応性領域を有する複数の作用電極を含むこれらの二重センサが期待通りに機能することを示す。
【0046】
オンボディ装置の例示的な実施形態
インビボモニタリングシステムは、インビボに配置されている間に使用者の体液に接触させ、それに含まれる被検物質レベルを感知するセンサを含んでもよい。センサは、使用者の体上に存在し、被検物質の感知を可能にするとともに制御するエレクトロニクスおよび電源を含むオンボディ装置(「OBD;on-body device」)の一部であってもよい。オンボディ装置およびその類のものは、数例を挙げれば、「センサ装置」、「オンボディエレクトロニクス装置」、「センサ制御装置」、または「センサ通信装置」と表されてもよい。本明細書中に使用される場合、これらの用語はインビボ被検物質センサを有する装置に制限されず、バイオメトリック(例えばフォトニック被検物質センサ、心拍センサ、温度センサ等)か非バイオメトリックかに関わらず、他のタイプのエクスビボセンサを有する装置を包含する。用語「オンボディ」は、体上に直接存在する装置(例えば皮膚に取り付ける)、全体的に体内にある装置(例えば完全な埋め込み型の装置)、あるいは装着可能な装置(例えば眼鏡、腕時計、リストバンドまたはブレスレット、首輪またはネックレス等)またはポケットの中にある装置等のような体の近くにある装置を包含する。
【0047】
インビボモニタリングシステムはまた、オンボディ装置から感知されたレベルに関する情報を読み取る1つ以上の読み取り装置を含んでもよい。これらの読み取り装置は、感知された被検物質の情報を処理し、および/またはあらゆる形式で使用者に表示してもよい。これらの装置およびその類のものは、数例を挙げれば、「ハンドヘルド読み取り装置」、「読み取り機」、「ハンドヘルドエレクトロニクス(またはハンドヘルド端末)」、「携帯型データ処理」装置またはユニット、「情報受信機」、「受信機」装置またはユニット(または単に受信機)、「中継」装置またはユニットと表されてもよい。
【0048】
インビボ被検物質モニタリングシステムは、体の外側で生体サンプルに接触する「インビトロ」システム、および体または体内の物質に関する情報を獲得するが、体の内側から生体サンプルを抽出することなく全体的に体の外側のままで行う「エクスビボ」システムと区別できる。インビトロシステムは、使用者の体液を運搬する被検物質検査片であって、使用者の被検物質レベルを判定するために分析される被検物質検査片を受容するためのポートを有する測定装置を含んでもよい。上記のように、本明細書中に記述された実施形態は、インビボシステム、エクスビボシステム、インビトロシステム、およびそれらの組み合わせで使用されてもよい。
【0049】
図10A~Dは、被検物質センサ104と最終結果データを使用者への表示に適した状態にする処理機能の大部分を有し得るセンサエレクトロニクス310(被験物質モニタリング回路を含む)とを有する、センサ制御装置またはOBD102の例示的な実施形態を示すブロック概略図である。
図10Aにおいて、カスタム特定用途向け集積回路(ASIC)でもよい単一の半導体チップ301が示される。アナログフロントエンド(AFE)302、電源管理(または制御)回路304、プロセッサ306、および通信回路308(これは送信機、受信機、送受信機、受動回路、または通信プロトコルにしたがった他のものとして実装されてもよい)を含む特定の高レベル機能ユニットは、ASIC301の中に示される。この実施形態において、AFE302およびプロセッサ306の両方が被検物質モニタリング回路として使用されるが、他の実施形態では、いずれの回路も被検物質モニタリング機能を発揮してもよい。プロセッサ306は、1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、および/またはマイクロコントローラを含んでもよく、その各々は、個別のチップであるかまたは多数の異なるチップの間(およびその一部)で分配されてもよい。
【0050】
メモリ303はまた、ASIC301の中に含まれてASIC301の中に存在する様々な機能ユニットによって共有されてもよく、またはそれらの2つ以上の間で分配されてもよい。メモリ303は、分離したチップでもよい。メモリ303は、揮発性メモリおよび/または非揮発性メモリでもよい。この実施形態において、ASIC301は、電源310に連結されており、それはコイン電池バッテリ等でもよい。AFE302は、インビボ被検物質センサ104と連動し、それから測定データを受信し、個々のグルコースの最終結果およびトレンド値等に到達するように順々にデータを処理するプロセッサ306にデジタル形式でデータを出力する。データは、アンテナ311を経由して読み取り装置120(図示なし)まで送信するための通信回路208に提供されてもよく、ここでデータを表示するために常駐型ソフトウェアアプリケーションによる最小限のさらなる処理が必要とされる。
【0051】
図10Bは、被検物質センサ104およびセンサエレクトロニクス310(被検物質モニタリング回路を含む)を有する、センサ制御装置またはオンボディ装置(「OBD」)102の代替の例示的な実施形態を示すブロック図である。センサエレクトロニクスは、1つ以上の半導体チップの中に実装されてもよい。
図10Bの実施形態において、センサエレクトロニクス310は、カスタム特定用途向け集積回路(ASIC)でもよい単一の半導体チップ301の中に存在する。アナログフロントエンド(AFE)302、電源管理(または制御)回路304、プロセッサまたは処理回路306、メモリ303、タイミング回路312、第1通信回路302および第2通信回路314を含む特定の高レベル機能ユニットは、ASIC301の中に示される。この実施形態において、AFE302およびプロセッサ306の両方が被検物質モニタリング回路として使用されるが、他の実施形態では、いずれの回路(または他のもの)も被検物質モニタリング機能を発揮してもよい。
【0052】
OBD102は、高度に相互接続した方法で実装されてもよく、ここで電源312は
図10Bに示す各構成要素に連結されており、データまたは情報またはコマンド(例えばAFE302、電源管理回路304、プロセッサ306、メモリ303、タイミング回路312、第1通信回路308、および第2通信回路314)を通信または受信するこれらの構成要素は、例えば1つ以上の通信接続またはバス320を介してあらゆる他のこのような構成要素に通信可能に連結されてもよい。
図10Bは、専用の読み取り機の中に存在する典型的なハードウェアおよび機能を簡単に示しており、当業者は、他のハードウェアおよび機能(例えばコーディック、ドライバ、グルーロジック)が含まれてもよいことを直ちに理解するであろう。
【0053】
図10Cは、被検物質センサ104およびセンサエレクトロニクス(被検物質モニタリング回路を含む)を有する、OBD102の代替の例示的な実施形態を示すブロック図である。センサエレクトロニクスは、特定用途向け集積回路(ASICs)、既製(OTS)チップ、プログラム可能装置(例えばPGAまたはFPGA等)等のような1つ以上の半導体チップの中に実装されてもよい。OBD102は、アナログフロントエンド(AFE)302、電源管理(または制御)回路304、プロセッサまたは処理回路306、メモリ303、第1通信回路308、および第2通信回路314を含む特定の高レベル機能ユニットを含む。この実施形態において、AFE302とプロセッサ306との両方が被検物質モニタリング回路として使用されるが、他の実施形態では、いずれの回路(または他のもの)も被検物質モニタリング機能を発揮してもよい。
【0054】
OBD102は、非常に相互接続した方法で実装されてもよく、ここで電源310は
図10Cに示す各構成要素に連結されており、データまたは情報またはコマンド(例えばAFE302、電源管理回路304、プロセッサ306、メモリ303、第1通信回路308、および第2通信回路314)を通信または受信するこれらの構成要素は、例えば1つ以上の通信接続またはバス320を介してあらゆる他のこのような構成要素に通信可能に連結されてもよい。
図10Cは、OBD102の中に存在する典型的なハードウェアおよび機能を簡単に示しており、当業者は、他のハードウェアおよび機能(例えばコーディック、ドライバ、グルーロジック、水晶振動子、位相ロックループ(PLL))が含まれてもよいことを直ちに理解するであろう。
【0055】
図10Dは、OBD102の別の例示的な実施形態を示すブロック図である。ここで、OBD102は、2つの半導体チップ301および361を含む。チップ301は、AEF302、およびNFCリンクのための通信回路308を含むASICである。チップ361は、プロセッサ306、メモリ303、BTリンクのための通信回路314、および電源管理回路304を含むチップである。通信インタフェースは、あらゆる望ましい方法で構成されてもよい。一実施形態において、チップ361は、Bluetooth(登録商標)またはBLEラジオチップであり、通信インタフェースは、シリアルペリフェラルインタフェース(SPI)のようなシリアルインタフェースである。
【0056】
NFCリンクを介してOBD102によって受信される通信は、電源をチップ301およびチップ316の一方または両方の内部回路に接続するため、センサ104をアクティベートするため、メモリ303に保存されたデータ(例えば測定済の被検物質データ、OBD102を識別するデータ(例えばソフトウェアの版、シリアル番号等))を読み出すため、診断を実施するため、Bluetooth(登録商標)ペアリングを設定するため等のような、いくつかの行動をとるためにOBD102のためのコマンドを含んでもよい。コマンドは、適用可能なNFC基準の中で特定されてもよく、またはカスタム反応を必要とするカスタムコマンドでもよい。受信された通信は、読み取り機120へ返す応答の送信をしばしば必要とする。
【0057】
図10Dの実施形態において、通信回路308によって受信されたいくつかのNFC通信は、チップ361の介入なくASIC301によって直接処理されて応答されてもよい。しかしながら、いくつかのコマンドは、プロセッサ306のようなより堅固な実体によって生成された応答を必要とすることがある。これらの例において、ASIC301は、応答を生成するために受信済み通信の関連部分をチップ361に転送してもよい。チップ361はその後で応答を生成し、一旦応答が得られると、NFCリンクを介してOBD102から送信するためにASIC301へ返す応答を出力してもよい。
【0058】
NFCリンクを介して送信された通信には、特定のタイミング制限が存在することがある。ISO15693基準に従うために、例えば、リードマルチプルブロックコマンド、リードシングルブロックコマンド、カスタムコマンド、および独自コマンドを含むNFCコマンドの大部分は、設定された時間制限以内に応答されなければならない。一実施形態において、ISO15693は、タグがコマンドを受信した時から232マイクロ秒(μs)以内のタグまでに応答されるコマンドを規定している。チップ361が応答を生成するのに設定された時間制限よりも長く要するという状況が存在し得る。この処理の遅延は、設定された時間制限の違反、およびNFC基準に対する不適合につながり得る。スマートフォンはこの違反をエラーまたは不具合として扱って通信が完了するのを妨げるため、これは、読み取り機120が商用のスマートフォンである場合に特有の問題が存在し得る。
【0059】
本明細書中に開示される例示的な実施形態は、本明細書ではダミーデータと表される既定ペイロードを含む1つ以上の応答を送信することによってこの処理遅延を補償して適合性を維持できる。読み取り機120は、ペイロードがダミーデータとしての既定ペイロードに合致するバイト値(例えばABCD、FFFF)を含む応答を認識するようにプログラムまたは構成されてもよく、ダミーデータ以外のペイロードデータを含む応答送信に対してNFCリンク141をモニタリングし続けてもよい。
【0060】
上記の実施形態全てに対して、通信回路308および通信回路314は、それぞれアンテナ311およびアンテナ316に連結されてもよく、それはチップ上でもチップから離れていてもよい。第1通信回路308およびアンテナ311は、通信リンクを介して通信(送信および/または受信)するように構成されており、第2通信回路314およびアンテナ316は、互いに異なる通信リンクを介して通信するように構成されている。いくつかの実施形態において、アンテナ311およびアンテナ316は、単一の共有アンテナでもよい(例えばNFCおよびUHF周波数を介した送信および受信が可能)。通信回路308および314は、それぞれの通信リンクを介した通信をするための機能を実行する1つ以上の構成要素(例えば送信機、受信機、送受信機、受動回路、エンコーダ、デコーダ、および/または他の通信回路)として実装されてもよい。通信回路308および314は、タイミング回路312からタイミング情報を受信してもよい。タイミング回路312は、クリスタル振動子、位相ロックループ(PLL)、および/またはタイミング目的に安定した振動数を生成する他の回路を含んでもよい。
【0061】
このようなものに限定されないが、いくつかの実施形態では、通信回路308は受動的であって、第2装置(例えば読み取り機120)から受信された送信から収集された電力のみを使用して、第2装置に返す応答送信を生成および伝搬する(例えば通信リンクがNFCリンクである場合)。これらの実施形態および他の実施形態において、通信回路314はアクティブであってもよく、OBD電源312からの電源を使用して第2装置への送信を生成および伝搬してもよい。アクティブ通信回路314は、OBD102が自発的かつ別の装置からのプロンプティングによって(例えば第2装置からの要求、ポーリング信号、タイミング信号等を最初に受信することなく)送信を生成することを可能にする。
【0062】
プロセッサ306は、1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、および/またはマイクロコントローラを含んでもよく、その各々は、個別のチップであるかまたは多数の異なるチップの間(およびその一部)で分配されてもよい。プロセッサ306は、通信回路308および通信回路314と連動して、アナログからデジタルへの変換、エンコーディングおよびデコーディング、デジタル信号処理、および通信回路308および通信回路314への供給に適切なフォーマット(例えば同相および直角位相)へのデータ信号の変換を容易にする他の機能を実行してもよく、その後信号を無線で送信してもよい。プロセッサ306は、通信回路308および314と連動して、無線送信を受信することおよびそれをデジタルデータまたは情報へ変換することに必要な逆向きの機能を実行してもよい。
【0063】
プロセッサ306は、メモリ308の中に保存されたソフトウェア命令を遂行してもよい。これらの命令は、プロセッサ306に、プロセッサ306によって生成された通信を通信回路308および通信回路314が送信するようにさせてもよく、プロセッサ306に、受信した送信について読み取って実行させ、タイミング回路312のタイミングに調整させ、温度センサから温度情報を収集させ、被検物質センサ314からの測定を記録および/または処理させ、実際または潜在的な警告状態に関する収集済みの被検物質データをモニタリングさせ、通信回路314を使用して警告指示を生成および送信させ、他の装置(例えば読み取り機120)から受信したデータおよび情報を処理させ、タスクを実行して読み取り機120との同期を維持させる等してもよい。
【0064】
メモリ308はまた、ASIC301の中に含まれてASIC301の中に存在する様々な構成要素によって共有されてもよく、またはそれらの2つ以上の間で分配されてもよい。メモリ308は、分離したチップでもよい。メモリ308は持続性であって、揮発性メモリおよび/または非揮発性メモリでもよい。ASIC301は、任意の温度(または他の環境因子)センサ321および電源310に連結されてもよく、電源310はコイン電池バッテリ等でもよい。AFE302は、インビボ被検物質センサ104と連動し、それから測定データを受信して、デジタル形式に変換して、いくつかの実施形態では本明細書の他の部分で記述されたいずれかの方法で順々に処理するデジプロセッサ306に出力する。データは、アンテナ311およびアンテナ316を経由して読み取り装置120(図示なし)まで送信するための通信回路308および通信回路314に提供されてもよく、例えばここでデータを表示するために常駐型ソフトウェアアプリケーションによる最小限のさらなる処理が必要とされる。アンテナ311およびアンテナ316は、アプリケーションおよび通信プロトコルの必要にしたがって構成されてもよい。アンテナ311およびアンテナ316は、互いに同じ形態または異なる形態を有してもよく、例えば印刷回路板(PCD)線アンテナ、セラミックアンテナ、または個別の金属製アンテナでもよい。アンテナ311および316は、単極アンテナ、二極アンテナ、Fタイプアンテナ、ループアンテナ等として構成されてもよい。
【0065】
単一ハウジング内の複数センサ
代替実施形態において、1つ以上の作用電極を含み、参照電極または対電極を含まない第2センサまたはサブセンサを追加することによって追加の被検物質がモニタリングされ得る。
図11に見られるように、
図3~5に示されるような、参照電極および対電極を含む1次センサ202の近くにサブセンサ203を配置することによって、サブセンサ203が1次センサ内の対電極および参照電極を共有することが可能となる。
図12に見られるように、サブセンサ203は、4つの作用電極214a、214b、214cおよび214dを基板212の各側に2つずつ含む。基板212の同じ側の上の作用電極同士は、それらの間に差し挟まれた誘電体材料219bおよび219cによって分離されている。外側誘電体層219aおよび219dは、作用電極214aおよび作用電極214dの上に配置されている。被検物質特異性感応性活性領域218a~218d(例えばグルコース感応性活性領域、クレアチニン感応性活性領域、または乳酸感応性活性領域)は、作用電極214a~214dの少なくとも一部上の少なくとも1つの層として配置されてもよい。本明細書中にさらに記述されるように、被検物質感応性活性領域は、被検物質を検出するように構成された複数のスポット/領域または単一のスポット/領域を備えてもよい。1次センサ202およびサブセンサ203の両方は、同じセンサハウジング103の中に収容されており、接着層104によって患者の皮膚に取り付けられる。例えば2つ、3つ、4つまたはそれ以上の追加のサブセンサが同じセンサハウジングユニットの中に追加されて、モニタリングされる被検物質の数を増加させてもよい。
【0066】
単一のハウジングについて記述された複数センサの実施形態を参照すると、
図11に示されるように、OBD102は、
図10A~10Dに記述されるセンサエレクトロニクスのいずれかを含んでもよい。ハウジング103は、1次センサ内の作用電極およびサブセンサ内の作用電極から被検物質データを受信するAFE302を含む。AFEは、1次センサ内の共有する対電極および参照電極を使用して、1次センサおよびサブセンサ内の作用電極の各々によって検出された被検物質レベルに関する1つ以上の信号を出力する。
【0067】
複数ハウジング内の複数センサ
代替実施形態において、1次センサを収容しているセンサハウジングに接続または連結された追加のセンサハウジング内に設置されたサブセンサを追加することによって、追加の被検物質がモニタリングされ得る。
図11の参照とともに上記された実施形態と同様に、
図13A~13Bに見られるように、
図3~5に示されるような、参照電極および対電極を含む1次センサ202の近くにサブセンサ203を配置することによって、サブセンサ203が1次センサ内の対電極および参照電極を共有することが可能となる。
図12に見られるように、サブセンサ203は、4つの作用電極214a、214b、214cおよび214dを基板212の各側に2つずつ含む。基板212の同じ側の上の作用電極同士は、それらの間に差し挟まれた誘電体材料219bおよび219cによって分離されている。外側誘電体層219aおよび219dは、作用電極214aおよび214dの上に配置されている。被検物質特異性感応性活性領域218a~218d(例えばグルコース感応性、クレアチニン感応性、または乳酸感応性活性領域)は、作用電極214a~214dの少なくとも一部上の少なくとも1つの層として配置されてもよい。本明細書中にさらに記述されるように、被検物質感応性活性領域は、被検物質を検出するように構成された複数のスポット/領域または単一のスポット/領域を備えてもよい。
図13Aに示される代替実施形態において、1次センサ202は、1次センサハウジング103aの中に収容されており、サブセンサ203は、異なるセンサハウジング103bの中に収容されており、その両方が接着層104によって患者の皮膚に取り付けられる。
図11と同様に、センサハウジング103bは、1次センサハウジング103aの近くに存在するため、サブセンサ203は、1次センサハウジング103aの中に設置されたAFE302に接続されており、それによってサブセンサ203が1次センサ内の対電極および参照電極を共有することが可能となる。したがって、サブセンサハウジング103bは、いずれのエレクトロニクスも収容していなくてよい。あるいは、AFE302は、サブセンサハウジング103bの中に設置されてもよい。
図13Aに見られるように、導電線303は、接着層104の裏に印刷されて、サブセンサ203を1次センサハウジング103aの中に設置されたAFE302に接続してもよい。センサハウジング103aおよびセンサハウジング103bの両方は、ハウジングの底にコネクタピン(図示なし)を有して、センサハウジングが皮膚接着パッチ104の裏に積層されたときに、印刷導電線端子パッド303の上に押し付けてもよい。印刷導電線303は、皮膚の動きに適応するように可撓性であるのがよい。1次センサハウジング103aとサブセンサハウジング103bとの間の接続(導電線)303はまた、接点を含め、いかなる水分からも十分に隔離および封止されて、センサ信号に干渉し得るいかなる水分の漏れも避けるのがよい。例えば2つ、3つ、4つまたはそれ以上の追加のサブセンサが、1次センサハウジング103aの近くに存在する追加の個別のセンサハウジングユニットの中に追加されて、モニタリングされる被検物質の数を増加させてもよい。
【0068】
代替実施形態において、
図13Bに見られるように、サブセンサ203は、1次センサハウジング103aの中のAFE302にフレックス回路接続305を介して連結されてもよい。1次センサハウジング103aとサブセンサハウジング103bとの間の接続(導電線)303は、接点を含め、いかなる水分からも十分に隔離および封止されて、センサ信号に干渉し得るいかなる水分の漏れも避けるのがよい。例えば2つ、3つ、4つまたはそれ以上の追加のサブセンサが追加の個別のセンサハウジングユニットの中に追加されて、追加のサブセンサが1次センサハウジング103aの中に設置されたAFE302に連結されて、モニタリングされる被検物質の数を増加させてもよい。
【0069】
図13Cに見られるように、追加のサブセンサハウジング103bおよび103cは、各々が1次センサハウジング103aの中のAFE302に連結されているサブセンサを含んでいる。サブセンサと1次センサハウジング103aの中に設置されたAFEとは、印刷回路線、スモールフレックス回路、または当業界で知られる別のシステムによって連結または接続されてもよい。1次センサが例えばセンサ202のように2つの作用電極を含み、103bおよび103cの中に収容されるサブセンサの各々が4つの作用電極を有するセンサを含むならば、10の被検物質がモニタリングされ得る。同様に、上記のような単一のサブセンサハウジングに接続された上記のような接続された1次センサハウジングのみが存在するならば、6つの被検物質がモニタリングされ得る。
【0070】
代替実施形態において、AFE302は、サブセンサハウジング103b、103cの中に設置されている。この代替実施形態において、1次センサ202の中の電極(作用、対、参照)は、サブセンサのために上記のようにAFE302に接続または連結されてもよい(例えば、印刷回路線、スモールフレックス回路、または当業界で知られた別のシステムを介して)ため、AFE302は、1次センサ内の共有する対電極および参照電極を使用して、1次センサおよびサブセンサ内の作用電極の各々によって検出された被検物質レベルに関する1つ以上の信号を出力する。
【0071】
感応性活性領域
異なる検出化学が、様々な被検物質に特異的な異なる感応性活性領域上に固定されなければならない。被検物質の検出に関与する酵素は、感応性領域におけるまたはその近くのポリマーに共有結合してもよい。適切なポリマーはポリビニルピリジンを含むが、これに限定されない。共有結合ポリマーは、感応性活性領域に対して望ましい位置に酵素を固定することに役立ち得る。
【0072】
本明細書中に開示される例示的なセンサ形態のいずれにおいても、被検物質感応性活性領域の各々は電子移動剤を含む。第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の両方が同じセンサ上および/または同じ作用電極上に存在する場合、電子移動剤は、採用された特定のセンサ形態によって互いに同じでも異なってもよい。適切な電子移動剤は、酵素的酸化反応または酵素的還元反応が起こった後に作用電極への電子の輸送を容易にし得、それによって、特定の被検物質の存在を示すとともに存在する被検物質の量に比例する電流を生成する。例えば、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域が同じ作用電極上に配置されている場合、各活性領域内の電子移動剤は互いに異なってもよい(例えば電子移動剤が互いに異なる酸化還元電位を示すように化学的に異なる)。複数の作用電極が存在する場合、各作用電極は信号を取得したときに独立して問合せ得るため、各活性領域内の電子移動剤は互いに同じでも異なってもよい。電子移動剤は、本明細書中に開示される活性領域のいずれかにおけるポリマーに共有結合してもよい。
【0073】
本開示の様々な実施形態によれば、適切な電子移動剤は、電解還元性イオンおよび電解酸化性イオン、標準甘汞電極(SCE)の酸化還元電位より数百ミリボルト上または下の酸化還元電位を有する錯体または分子(例えばキノン)を含んでもよい。いくつかの実施形態によれば、適切な電子移動剤は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,134,461号および米国特許第6,605,200号に記述されるもののように低電位オスミウム錯体を含んでもよい。適切な電子移動剤のさらなる例は、米国特許第6,736,957号、米国特許第7,501,053号、および米国特許第7,754,093号に記述されるものを含み、その各々の開示は参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。他の適切な電子移動剤は、例えばルテニウム、オスミウム、鉄(例えばポリビニルフェロセンまたはヘキサシアノ鉄塩酸)、またはコバルトの金属化合物または錯体を含み、例えばそれらのメタロセン化合物を含んでもよい。金属錯体に適切なリガンドはまた、例えば、ビピリジン、ビイミダゾール、フェナントロリン、またはピリジル(イミダゾール)等のような二座またはそれより高い座数のリガンドを含んでもよい。他の適切な二座のリガンドは、例えばアミノ酸、シュウ酸、アセチルアセトン、ジアミノアルカン、またはo-ジアミノアレーンを含んでもよい。単座、二座、三座、四座、またはより高い座数のリガンドの任意の組み合わせは、金属錯体の中に存在して最大限の配位圏を獲得し得る。
【0074】
複数の被検物質を検出するために適切な活性領域はまた、電子移動剤が共有結合しているポリマーを含んでもよい。本明細書中に開示された電子移動剤のいずれも、活性領域内のポリマーへの共有結合を促進するために適切な官能基を含んでもよい。ポリマーに結合した電子移動剤の適切な例は、米国特許第8,444,834号、米国特許第8,268,143号、および米国特許第6,605,201号に記述されるものを含んでもよく、その開示は参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。活性領域内に含まれるものとして適切なポリマーは、ポリビニルピリジン(例えばポリ(4-ビニルピリジン))、ポリビニルイミダゾール(例えばポリ(1-ビニルイミダゾール))、またはそれらの任意のコポリマーを含んでもよいが、これらに限定されない。活性領域内に含まれるものとして適切であり得る例示的なコポリマーは、例えばスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、またはアクリロニトリルのようなモノマーユニットを含むものを含む。各活性領域内のポリマーは、互いに同じでも異なってもよい。
【0075】
各活性領域内における電子移動剤とポリマーとの間の共有結合の方法は、特に制限されていないと見なされる。電子移動剤のポリマーへの共有結合は、共有結合された電子移動剤を有するモノマーユニットの重合によって行われてもよく、または、ポリマーがすでに合成された後に、電子移動剤が独自でポリマーと反応してもよい。いくつかの実施形態によれば、二官能基スペーサは、電子移動剤を活性領域内のポリマーに共有結合してもよく、第1官能基はポリマーと反応し(例えばピリジン窒素原子またはイミダゾール窒素原子を四級化可能な官能基)、第2官能基は電子移動剤と反応する(例えば金属イオンを配位するリガンドと反応する官能基)。
【0076】
同様に、活性領域内の酵素の1つ以上は、ポリマーに共有結合してもよい。複数の酵素を含む酵素システムが所与の活性領域内に存在する場合、いくつかの実施形態においては、複数の酵素の全てがポリマーに共有結合し、他の実施形態においては、複数の酵素の一部のみがポリマーに共有結合してもよい。例えば、酵素システムを含む1つ以上の酵素がポリマーに共有結合してもよく、少なくとも1つの酵素がポリマーと非共有結合してもよいため、非共有結合した酵素はポリマーの中に物理的に取り込まれる。より具体的な実施形態によれば、所与の活性領域内のポリマーへの酵素の共有結合は、適切な架橋剤によって誘導された架橋によって行われてもよい。酵素内の遊離のアミノ基(例えばリシンの遊離側鎖アミン)との反応に適切な架橋剤は、例えばポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)または他のポリエポキシド、塩化シアヌル、N-ヒドロキシコハク酸イミド、イミドエステル、エピクロルヒドリン、またはこれらの誘導体化変異体のような架橋剤を含んでもよい。酵素内の遊離カルボン酸基との反応に適した架橋剤は、例えばカルボジイミドを含んでもよい。ポリマーへの酵素の架橋は、一般的に分子間に起こるが、いくつかの実施形態では分子内でもよい。特定の実施形態において、本明細書中の酵素の全てがポリマーに共有結合してもよい。
【0077】
電子移動剤および/または酵素は、同様に共有結合以外の手段によって活性領域内のポリマーに結合してもよい。いくつかの実施形態において、電子移動剤および/または酵素は、ポリマーにイオン結合または配位結合してもよい。例えば、帯電したポリマーは、逆帯電した電子移動剤または酵素にイオン結合してもよい。さらに他の実施形態において、電子移動剤および/または酵素は、結合されていないポリマーの中に物理的に取り込まれてもよい。物理的に取り込まれた電子移動剤および/または酵素は、さらに流体と適切に干渉して、活性領域から実質的に浸出せずに被検物質の検出を促進し得る。
【0078】
クレアチニン
全ての目的のためにその全体が参照によって以前組み込まれた米国出願番号第16/582,583号(米国公開番号第2020/0241015号;整理番号第13547USO1号)の
図2Aおよび
図2Bを参照して以下に記述されるように、クレアチニン感応性活性領域は、クレアチニンの検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムを含んでもよい。クレアチニンは、クレアチニンアミドヒドラーゼ(CNH)の存在下で可逆的かつ加水分解的に反応してクレアチンを生じさせ得る。クレアチンは、次に、クレアチンアミドヒドラーゼ(CRH)の存在下で触媒的加水分解を受けてサルコシンを生じさせ得る。クレアチンの加水分解によって生成されたサルコシンは、サルコシンオキシダーゼの酸化型(SOX-ox)の存在下で酸化を受けてグリシンおよびホルムアルデヒドを生じさせ得、それによって、サルコシンオキシダーゼの還元型(SOX-red)がこのプロセスにおいて生成される。過酸化水素もまた、酸素の存在下で生成され得る。サルコシンオキシダーゼの還元型は、次に、電子移動剤の酸化型(例えばOs(III))の存在下で再酸化を受け得、それによって、電子移動剤の対応する還元型(例えばOs(II))を生成し、作用電極へ電子の流れを送達する。
【0079】
エタノール
全ての目的のためにその全体が参照によって以前組み込まれた米国出願番号第16/774,909号(整理番号第13622USO1号)の
図5A~5Bを参照して以下に記述されるように、エタノール感応性活性領域は、エタノールの検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムを含んでもよい。例えば、アルコールオキシダーゼおよびキサンチンオキシダーゼの協働酵素反応は、エタノールを検知するために使用され得る。キサンチンオキシダーゼは、被検物質センサの活性領域内のポリマーに共有結合してもよく、アルコールオキシダーゼは、活性領域内のポリマーに非共有結合してもよい。キサンチンオキシダーゼに加えて、この酵素と電子を交換可能なオスミウム錯体または他の遷移金属錯体もまた、ポリマーに共有結合される。エタノールは、フラビン補因子(アルコールオキシダーゼとすでに結合したFAD)の存在下で酸化型(活性)アルコールオキシダーゼと反応し、それによって、還元型アルコールオキシダーゼ、アセトアルデヒド、および過酸化水素を生じさせる。還元型アルコールオキシダーゼは、示されるように酸素分子によって再酸化されて、アルコールオキシダーゼをその触媒として活性のある酸化型に戻す。触媒反応によってエタノールから生じたアセトアルデヒドはその後、酵素とともに自然に存在するフラビン補因子の存在下で、キサンチンオキシダーゼの酸化型との二次反応を受ける。酢酸はこのプロセスにおいて生じ、キサンチンオキシダーゼは還元状態に変換される。還元型キサンチンオキシダーゼはその後、ポリマーに結合している遷移金属電子移動剤と反応して電子を作用電極へ移動してもよく、それによって、電流を生成し、キサンチンオキシダーゼの酸化型を再生する。過酸化水素は、活性領域内に存在するカタラーゼによってセンサ環境から独自に取り除かれ得る。触媒反応によって生じたアセトアルデヒドの量は、エタノールがもともと存在した量に比例する。このように、アセトアルデヒドのキサンチンオキシダーゼ酸化の間に作用電極にて生成された電流は、存在するアセトアルデヒドの量、および、ひいてはエタノールの量に比例し得る。エタノール濃度に対する作用電極電流の相関は、既知のエタノール濃度における電流の参照テーブルを参照することによって、または校正曲線を使用することによって行われてもよい。
【0080】
ケトン
全ての目的のためにその全体が参照によって以前組み込まれた米国出願番号第16/774,835号(米国公開番号第2020/0237275号;整理番号第13548USO1号)の
図2A~2Cを参照して以下に記述されるように、ケトン感応性活性領域は、ケトンの検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムを含んでもよい。例えば、β-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素(HBDH)およびジアフォラーゼは、本明細書中にさらに記述されるように、少なくとも1つの作用電極の表面上のケトン感応性活性領域内に堆積されてもよい。ケトン感応性活性領域は、この1対の協働酵素を含み、β-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素は、β-ヒドロキシ酪酸および酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)をそれぞれアセトアセテートおよび還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)に変換し得る。酵素補因子NAD+およびNADHは、本明細書中に記述の協働酵素反応を促進することに役立つ。NADHはその後、ジアフォラーゼ媒介下で還元を受け得、このプロセスの間に移動された電子が作用電極におけるケトン検出のための基準を提供する。したがって、作用電極へ移動した電子の量と変換されたβ-ヒドロキシ酪酸の量との間の1:1モラー対応が存在し、それによって、ケトン検出のための基準、および作用電極における電流の測定量に基づいた定量化を提供する。NADH還元に起因する電子の作用電極への移動は、以下にさらに記述されるようなオスミウム(Os)錯体等の電子移動剤を通して行われてもよい。アルブミンは、この1対の協働酵素とともに安定剤として存在してもよい。特定の実施形態によれば、β-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素およびジアフォラーゼは、被検物質センサのケトン感応性活性領域内のポリマーに共有結合してもよい。NAD+はポリマーに共有結合してもしなくてもよいが、NAD+が共有結合しないならば、NAD+はケトン感応性活性領域内に物理的に保持され得る。ケトン感応性活性領域を覆っている膜は、ケトン感応性活性領域内にNAD+を保持する一方で、ケトンの検出を可能にするようにケトンの十分な内部拡散を可能にするのに役立ち得る。ケトン感応性活性領域を覆うのに適切な膜ポリマーは、本明細書中にさらに記述される。
【0081】
代替システムにおいて、β-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素(HBDH)は、β-ヒドロキシ酪酸およびNAD+をそれぞれアセトアセテートおよびNADHに再び変換し得る。ジアフォラーゼおよび遷移金属電子移動剤によって完了される作用電極への電子移動の代わりに、NADHオキシダーゼの還元型(NADHOx(Red))は、反応を受けて対応する酸化型(NADHOx(Ox))を生じさせる。酸素分子との反応によってNADHOx(Red)がその後に再び生じて、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)介在下で過酸化水素への二次変換を受ける超酸化物を生成し得る。過酸化水素はその後、作用電極にて還元を受けて初めに存在したケトンの量と関連付けられ得る信号を提供し得る。様々な実施形態によれば、SODは、ケトン感応性活性領域内のポリマーに共有結合し得る。以前記述された酵素システムのように、β-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素およびNADHオキシダーゼは、ケトン感応性活性領域内のポリマーに共有結合してもよく、NADは、ケトン感応性活性領域内のポリマーに共有結合してもしなくてもよい。NAD+が共有結合しないならば、NAD+はケトン感応性活性領域内に物理的に保持され得、膜ポリマーがケトン感応性活性領域内のNAD+の保持を促進する。
【0082】
ケトンの別の酵素的検出化学は、β-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素(HBDH)を使用して、β-ヒドロキシ酪酸およびNAD+をそれぞれアセトアセテートおよびNADHに変換してもよい。この場合の電子移動循環は、作用電極にてポリ-1,10-フェナントロリン-5,6-ジオンによって完了されてNADを再び生じさせる。ポリ-1,10-フェナントロリン-5,6-ジオンは、ケトン感応性活性領域内のポリマーに共有結合してもしなくてもよい。以前記述された酵素システムのように、β-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素は、ケトン感応性活性領域内のポリマーに共有結合してもよく、NADは、ケトン感応性活性領域内のポリマーに共有結合してもしなくてもよい。活性化領域内にアルブミンを含むことによって、感応安定性に驚くべき改善が提供され得る。適切な膜ポリマーは、ケトン感応性活性領域内のNAD+の保持を促進し得る。
【0083】
乳酸
全ての目的のためにその全体が参照によって以前組み込まれた米国出願番号第16/259,157号(米国公開番号第2019/0320947号;整理番号第13335USO1)に以下に示されるように、乳酸感応性活性領域は、乳酸の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムを含んでもよい。乳酸感応性活性領域は、グルコースオキシダーゼを乳酸オキシダーゼと交換して乳酸の検出を容易にし得る。修正されたグルコース感応性センサ化学を基にしたこのような乳酸感応性被検物質センサは、共同所有された米国特許第9,914,952号に記述され、その全体が参照によって本明細書中に組み込まれる。本明細書に記述されたように、乳酸オキシダーゼが代わりに存在する場合、乳酸に対する分析感度およびいくつかの感応安定性の向上は、活性領域内にカタラーゼを含むようにグルコース感応性センサ化学を修正することによって実現し得る。カタラーゼを取り込むことによって、ある程度は補助されるが、被検物質センサの長期の感応を完全に安定化するわけではない。それどころか、カタラーゼ含有被検物質センサにおける乳酸信号は、モニタリングの48時間にわたって最大約10%減少する。カタラーゼは過酸化水素に対して感応性があると知られているため、乳酸感応性被検物質センサにおけるカタラーゼの安定化効果は、そうでなければ乳酸オキシダーゼの活性に影響を与える過度な過酸化水素を取り除くことを含むと信じられている。カタラーゼは乳酸感応性被検物質センサの性能を改善するが、このような被検物質センサが真の電位を感知するためには、さらなる性能向上がさらに必要とされることがある。
【0084】
乳酸感応性被検物質センサの性能は、カタラーゼの代わりにアルブミンのような他の安定化剤を使用すること、および活性領域の上に堆積された物質移行制限膜を変えることによって向上し得る。参照によって以前組み込まれた米国出願番号第16/259,157号(米国公開番号第2019/0320947号;整理番号第13335USO1号)に記述されるように、いくつかの異なる膜化学または形態は、乳酸被検物質の改善した被検物質センサ性能を促進し得る。
【0085】
本開示によると、被検物質は、真皮液、間質液、血漿、血液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄、羊水等のような興味のあるあらゆる生体液の中でモニタリングされてもよい。特定の実施形態において、本開示の被検物質センサは、真皮液または間質液を分析するように適用されてインビボで被検物質の濃度を判定してもよい。
【0086】
互いに異なる被検物質の感応性活性領域は、互いに同じセンサ上の同じ作用電極上に設置されても互いに異なる作用電極上に設置されてもよい。本開示のいくつかの実施形態において、例えば、クレアチニン感応性被検物質センサは、クレアチニンおよびグルコースの両方を感知するためにグルコース感応性活性領域をさらに組み込んでもよい。
【0087】
第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域が単一の作用電極上に配置されている場合、この後に記述されるように、活性領域の1つは独自に問合わせて各被検物質の検出を容易にするように構成されてもよい。特に、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域は、互いに異なる電子移動剤を含んで、活性領域の一方が独立して他方の信号を生成することをもたらしてもよい。第1被検物質感応性領域または第2被検物質感応性活性領域の一方は、独立して他方の活性領域の信号を生成するように構成されてもよい。
【0088】
第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域が単一の作用電極上に配置されている実施形態において、第2被検物質感応性活性領域に関連する酸化還元電位は、第1被検物質感応性活性領域の酸化還元電位から少なくとも約100mV、または少なくとも約150mV、または少なくとも約200mV離れていてもよい。酸化還元電位同士の間の解離の上限は、インビボの作用電気化学窓によって決定される。大きさが互いから十分に離れた2つの活性領域の酸化還元電位を有することによって、電気化学反応は、2つの活性領域内で行われてもよく、他方の活性領域内で電気化学反応を実質的に誘導しない。したがって、第1被検物質感応性活性領域または第2被検物質感応性活性領域の1つからの信号は、対応する酸化還元電位(より低い酸化還元電位)以上であるが他方の感応性活性領域の酸化還元電位(より高い酸化還元電位)より下にて独立して生成され得る。これに対して、これまで問合わされなかった他方の活性領域の酸化還元電位(より高い酸化還元電位)以上では、電気化学反応が活性領域の両方内で起こることがある。このように、酸化還元電位以上の信号を生成することには、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の両方からの信号寄与を含むことがあり、観測された信号は合成信号である。酸化還元電位以上の1つの活性領域(第1感応性活性領域または第2感応性活性領域のいずれか)からの信号寄与は、その後、第1被検物質感応性活性領域または第2被検物質感応性活性領域のいずれかからのみ取得された、それぞれその対応する酸化還元電位以上の信号を、複合信号から除くことによって判定され得る。
【0089】
さらに具体的な実施形態において、活性領域が同じ作用電極上に設置される場合、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域は、互いに異なる電子移動剤を含んでもよいため、大きさが互いから十分に離れた酸化還元電位が得られる。さらに具体的には、第1被検物質感応性活性領域は第1電子移動剤を含んでもよく、第2被検物質感応性活性領域は第2電子移動剤を含んでもよく、第1電子移動剤と第2電子移動剤とは互いに異なる。本開示の様々な実施形態によれば、所与の電子移動剤に存在する金属中心および/またはリガンドは、2つの領域内の酸化還元電位の十分な分離を提供するように変更されてもよい。
【0090】
理想的には、単一の作用電極上に設置された第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域は、所与の電位にて被検物質センサを操作すると速やかに定常電流に到達するように構成されてもよい。定常電流への速やかな到達は、酸化還元電位以上の電位に暴露されるとすぐに酸化状態を変化させる電子移動剤を各活性領域に選択することによって促進され得る。活性領域を可能な限り薄くすることによってもまた、定常電流に速やかに到達することが容易となり得る。例えば、感応性活性領域に適切な薄さは、約0.1ミクロン(μm)から約10ミクロン(μm)までであってもよい。いくつかの実施形態または他の実施形態において、例えばカーボンナノチューブ、グラファイト、または金属ナノ粒子のような導電性材料を1つ以上の活性領域内に含むことによって、定常電流に速やかに到達することが促進され得る。導電性分子の適切な量は、活性領域の約0.1重量%から約50重量%まで、または約1重量%から約50重量%まで、または約0.1重量%から約10重量%まで、または約1重量%から約10重量%までの範囲でもよい。安定化剤はまた、感応安定性を促進するために採用されてもよい。
【0091】
各被検物質に対する被検物質センサの感度(出力電流)が活性領域の被覆率(領域または大きさ)、互いに対する活性領域同士の面積比、活性領域を覆う物質移行制限膜の同一性、薄さ、および/または組成を変えることによって変更され得る。これらのパラメータの変更は、本明細書中に記述の利点を認めた当業者によって容易に実施され得る。
【0092】
本明細書中に開示された被検物質センサの他の実施形態は、互いに異なる作用電極の表面上に第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域が存在することを特徴としてもよい。このような被検物質センサはさらに第2作用電極、その第2作用電極の表面上に配置された第2被検物質感応性活性領域、および第2被検物質に対して透過性があり第2被検物質感応性活性領域を覆う第2膜を備えてもよい。第2被検物質感応性活性領域は、第2電子移動剤、第3ポリマー、およびその第3ポリマーに共有結合する酵素を備えてもよい。第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域が分離した作用電極上に配置されている場合、各活性領域に関連する電子移動剤は、互いに同じでも互いに異なってもよい。
【0093】
膜
制御された適切な検出化学を用いたとしても、単一の被検物質センサ上に(同じ作用電極上または異なる作用電極上のいずれか)2つの異なるタイプの活性領域を組み込むことは、必ずしも容易なことではない。被検物質センサは、物質移行制限膜として機能するように、および/または生体適合性を改善するように、活性領域を覆う膜をしばしば採用する。物質移行制限膜によって被検物質の活性領域への接近を制限することはセンサ過負荷(飽和)を避けることに役立ち、それによって、検出性能および検出精度を改善し得る。単一の被検物質センサを使用して複数の被検物質を分析する場合、所与の物質移行制限膜を超える様々な被検物質によって、異なる透過性値が示されることがあり、潜在的に、各被検物質によって広く完全に異なる感度をもたらす。各活性領域上に互いに異なる物質移行制限膜を組み込むことは、いくつかの例において問題がありことがある。驚くべきことに、および有利に、グルコースおよびクレアチニンのようなある被検物質は、各位置にて組成的に同じ物質移行制限膜を使用してうまく分析されることがあり、それによって、両方の被検物質の検知機能を有する被検物質センサの製造を単純にする。
【0094】
以下にさらに詳細に記述されるように、少なくとも1つの物質移行制限膜は、第1被検物質感応性活性領域、および存在する時には任意に第2被検物質感応性活性領域を覆っていてもよい。例えば、存在する場合には、グルコース感応性活性領域はグルコース感応性酵素を含んでもよい。物質移動制限膜はまた、酸素捕捉剤(例えばグルコースオキシダーゼ)を覆っていてもよく、この場合、酸素捕捉剤は、分離した膜層の間に差し挟まれてもよい。
【0095】
インビボ被検物質センサはまた、少なくとも被検物質センサの埋め込み部分上に堆積された膜を含んでもよい。一態様において、膜は被検物質センサの生体適合性を改善し得る。別の態様において、膜は興味のある被検物質に対して透過性または半透過性があり、被検物質センサの活性領域への全体的な被検物質の流動を制限してもよい。つまり、膜は物質移行制限膜として機能してもよい。物質移行制限膜によって被検物質のセンサの活性領域への接近を制限することは、センサ過負荷(飽和)を避けることに役立ち、それによって、検出性能および検出精度を改善し得る。このような膜は、特定の被検物質の物質移行を制限することに対して非常に特化していてもよく、他の物質は有意に異なる割合で膜に透過する。様々な潜在的な被検物質の互いに異なる膜透過性は、複数の被検物質を分析するために構成された被検物質センサを開発するのに大きな障害を示す。すなわち、膜透過性値を変えることは、複数の被検物質に対する感度が有意に異なることにつながり、それによって分析が困難になる。複数の被検物質に対する感度が互いに異なることは、互いに異なる大きさの活性領域(例えば高い感度/透過性を有する被検物質により小さな活性領域、および低い感度/透過性を有する被検物質により大きな活性領域)を使用することによって部分的にしばしば克服され得るが、この手法は、重大な製造課題が存在することがあり、全ての場合に適用されるわけではない。
【0096】
本開示の特定の実施形態において、被検物質感応性活性領域を覆っている物質移行制限膜は、ポリビニルピリジン-co-スチレンポリマーを含む架橋されたポリビニルピリジンのホモポリマーまたはコポリマーを少なくとも含んでもよい。類似の組成を有する物質移行制限膜は、グルコースオキシダーゼのような酸素捕捉剤を同様に覆っていてもよい。物質移行制限膜が各活性領域を覆っている場合には、物質移行制限膜の組成は同じでも異なってもよい。物質移行制限膜を活性領域上に堆積するために適切な技術は、例えばスプレーコーティング、塗装、インクジェット印刷、ステンシル、ローラコーティング、ストライピング、スロット染色コーティング、浸漬コーティング等、およびそれらのうちいくつかの組み合わせを含んでもよい。
【0097】
したがって、複数の被検物質を検知可能な本開示のある被検物質センサは、第1作用電極を備える埋め込み型センサ尾部と、第2作用電極であって第1作用電極および第2作用電極が基板によって分離されている第2作用電極と、参照電極と、対電極と、参照材料の層と、第1作用電極の表面上に配置された第1被検物質感応性活性領域と、第2作用電極の表面上に配置された第2被検物質感応性活性領域とを備える埋め込み型センサ尾部を備えてもよい。
【0098】
複数の被検物質を分析するための検出方法は、少なくとも第1被検物質および第2被検物質を含む流体に被検物質センサを暴露することであって、被検物質センサは第1作用電極、第2作用電極、参照電極、対電極、参照材料の層、第1作用電極の表面上に配置された第1被検物質感応性活性領域、および第2作用電極の表面上に配置された第2被検物質感応性活性領域を備える埋め込み型センサ尾部を備え、第1作用電極および第2作用電極は基板によって分離されている、被検物質センサを暴露することと、第1作用電極および第2作用電極にある電位(または互いに異なる電位)を印加することと、第1被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第1信号であって、流体中の第1被検物質の濃度に比例する第1信号を取得することと、第2被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第2信号であって、流体中の第2被検物質の濃度に比例する第2信号を取得することと、第1信号を液体中の第1被検物質物質の濃度に相関させるとともに第2信号を液体中の第2被検物質の濃度に相関させることとを含んでもよい。信号は、同時に測定されても互いに異なる時間に測定されてもよい。
【0099】
代替実施形態において、被検物質センサ(またはサブセンサ)は、第1作用電極と、第1作用電極から電気的に絶縁されている第2作用電極と、第1作用電極の表面上に配置されている第1被検物質感応性活性領域と、第2作用電極の表面上に配置されている第2被検物質感応性活性領域とを備え、センサ尾部が対電極および/または参照電極を含まない場合には、サブセンサが対電極および/または参照電極を別のセンサから共有してもよい。センサは、追加(例えば第3作用電極および第4作用電極)をさらに備えてもよい。第3作用電極は、第3電子移動剤と、第3ポリマーと、第3被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとを備える第3被検物質感応性活性領域をさらに備えてもよい。第4作用電極は、第4電子移動剤と、第4ポリマーと、第3被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとを備える第4被検物質感応性活性領域をさらに備えてもよい。
【0100】
複数の被検物質を分析するための検出方法は、少なくとも第1被検物質および第2被検物質を含む流体に被検物質センサを暴露することであって、被検物質センサは第1作用電極、第2作用電極、第1作用電極の表面上に配置された第1被検物質感応性活性領域、および第2作用電極の表面上に配置された第2被検物質感応性活性領域を備える埋め込み型センサ尾部を備え、被検物質センサは対電極および参照電極を含んでいない、被検物質センサを暴露することと、第1作用電極および第2作用電極に電位を印加することと、第1被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第1信号であって、流体中の第1被検物質の濃度に比例する第1信号を取得することと、第2被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第2信号であって、流体中の第2被検物質の濃度に比例する第2信号を取得することと、第1信号を液体中の第1被検物質物質の濃度に相関させるとともに第2信号を液体中の第2被検物質の濃度に相関させることを含んでもよい。追加の作用電極が存在するならば、方法は、第3作用電極および第4作用電極に電位を印加することと、第3被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第3信号であって、流体中の第3被検物質の濃度に比例する第3信号を取得することと、第4被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第4信号であって、流体中の第4被検物質の濃度に比例する第4信号を取得することと、第3信号を液体中の第3被検物質物質の濃度に相関させるとともに第4信号を液体中の第4被検物質の濃度に相関させることとを含んでもよい。
【0101】
別の実施形態において、本開示のあるオンボディ装置は、ハウジング、およびハウジング内に配置された第1センサおよび第2センサを備えてもよく、第1センサは、第1作用電極、第2作用電極、共有参照電極、および共有対電極を備える埋め込み型センサ尾部を備え、第2センサは、第1作用電極および第2作用電極を備える埋め込み型センサ尾部を備え、第2センサは対電極および参照電極を含まない。いくつかの実施形態において、第2センサは第3作用電極および第4作用電極を含んでもよい。第3作用電極および第4作用電極は、第2センサの第3作用電極の表面上に配置されている第5被検物質感応性活性領域、および第2センサの第4作用電極の表面上に配置されている第6被検物質感応性活性領域を備えてもよい。
【0102】
別の実施形態において、本開示のあるオンボディ装置は、第1ハウジングと、第1ハウジング内に配置された第1センサであって、第1作用電極、第2作用電極、参照電極、および対電極を備える埋め込み型センサ尾部を備える第1センサと、第2ハウジングと、第2ハウジング内に配置された第2センサであって、第1作用電極および第2作用電極を備える埋め込み型センサ尾部を備え、対電極および参照電極を備えない第2センサとを備えてもよい。いくつかの実施形態において、第2センサは第3作用電極および第4作用電極を含んでもよい。第3作用電極および第4作用電極は、第2センサの第3作用電極の表面上に配置されている第5被検物質感応性活性領域、および第2センサの第4作用電極の表面上に配置されている第6被検物質感応性活性領域を備えてもよい。
【0103】
複数の被検物質を分析するための検出方法は、少なくとも第1被検物質、第2被検物質、第3被検物質および第4被検物質を含む流体に被検物質センサシステムを暴露することであって、被検物質センサシステムは第1センサおよび第2センサを備え、第1センサは第1作用電極、第2作用電極、共有参照電極、および共有対電極を備える埋め込み型センサ尾部を備え、第2センサは第1作用電極および第2作用電極を備える埋め込み型センサ尾部を備え、第2センサは対電極および参照電極を含まず、第1センサの第1作用電極および第2作用電極の各々はそれぞれ第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域を備え、第2センサの第1作用電極および第2作用電極の各々はそれぞれ第3被検物質感応性活性領域および第4被検物質感応性活性領域を備える、被検物質センサシステムを暴露することと、第1センサおよび第2センサの第1作用電極および第2作用電極に電位を印加することと、第1被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第1信号であって、流体中の第1被検物質の濃度に比例する第1信号を取得することと、第2被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第2信号であって、流体中の第2被検物質の濃度に比例する第2信号を取得することと、第3被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第3信号であって、流体中の第3被検物質の濃度に比例する第3信号を取得することと、第3被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第4信号であって、流体中の第4被検物質の濃度に比例する第3信号を取得することと、第1信号、第2信号、第3信号、および第4信号をそれぞれ流体中の第1被検物質、第2被検物質、第3被検物質、および第4被検物質の濃度に相関させることとを含んでもよい。第1電極、第2電極、第3電極、および第4電極に印加された電位に関しては、互いに同じ電位が全ての電極に印加されてもよく、あるいは互いに異なる電位が異なる電極に印加されてもよく、同じ電位が電極のいくつかに印加されて異なる電位が他の電極に印加されてもよい。
【0104】
いくつかの実施形態において、検出された被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸を含むが、これらに限定されない。
【0105】
いくつかの実施形態において、被検物質センサは、第1被検物質に対して透過性があり第1被検物質感応性活性領域を覆っている第1膜、および第2被検物質に対して透過性があり第2被検物質感応性活性領域を覆っている第2膜をさらに備えてもよい。膜は、同じ組成を有しても互いに異なる組成を有してもよい。複数の感応性活性領域を有するセンサ装置において、センサは異なる感応性活性領域が存在するのと同じくらい多くの異なる膜を含んでもよい。
【0106】
いくつかの実施形態において、センサ尾部内の参照材料の層は、AgおよびAgClを含んでもよい。参照材料の層は、対電極または参照電極上に配置されてもよい。
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々は、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤を備える。あるいは、第1被検物質感応性活性領域は、第1電子移動剤と、第1ポリマーと、第1被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備え、第2被検物質感応性活性領域は、第2電子移動剤と、第2ポリマーと、第2被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える。
【0107】
埋め込み型センサ尾部上に対電極および参照電極を含むのではなく他のセンサ上の対電極および参照電極を共有するサブセンサを含む実施形態において、センサシステムは、対電極および参照電極が配置されるセンサの作用電極に加えてサブセンサの全ての作用電極から被検物質データを受信する、アナログフロンドエンド回路を含んでもよい。例えば、1次センサが2つの作用電極および対電極および参照電極を有し、サブセンサが4つの作用電極を有する(対電極および参照電極を有しない)場合、アナログフロントエンド回路は、第1(1次)センサの第1作用電極ならびに第2作用電極、および第2(サブ)センサの第1作用電極、第2作用電極、第3作用電極、ならびに第4作用電極からデータを受信してもよい。アナログフロントエンド回路は、1次センサのハウジング内またはサブセンサのハウジング内に設置され得る。
【0108】
いくつかの実施形態において、信号は、参照テーブルまたは校正曲線を参考にすることによって、被検物質の対応する濃度に相関され得る。被検物質の参照テーブルは、既知の被検物質濃度を有する複数のサンプルを分析することおよび各濃度におけるセンサ感応を記録することによって追加され得る。同様に、被検物質の校正曲線は、被検物質濃度に応じて被検物質センサ感応をプロットすること、および校正範囲にわたって適切な校正関数を判定すること(例えば回帰、具体的には直線回帰によって)によって判定され得る。
【0109】
プロセッサは、参照テーブル内のどのセンサ感応値が未知の被検物質濃度を有するサンプルを測定したものに最も近いかを判定し、その後にそれに基づいて被検物質濃度を報告する。いくつかの実施形態または他の実施形態において、未知の被検物質濃度を有するサンプルに対するセンサ感応値が参照テーブルに記録された値と値との間である場合、プロセッサは、参照テーブルの2つの値の間を補間して被検物質濃度を推定してもよい。補間は、参照テーブルに記録された2つの値の間の直線的な濃度変化を前提としてもよい。センサ感応が参照テーブルの所与の値から10%以上のような有意な量で異なる場合、補間が採用されてもよい。
【0110】
同様に、いくつかまたは他の様々な実施形態によれば、プロセッサは、未知の被検物質濃度を有するサンプルに対するセンサ感応値を対応する校正関数に入力してもよい。プロセッサは、その後にそれに基づいて被検物質濃度を報告してもよい。
【0111】
センサ尾部は、追加の作用電極であってその上に配置された被検物質感応性活性領域を有する追加の作用電極をさらに備えてもよく、その被検物質感応性活性領域は第2電子移動剤、第3ポリマー、および第3ポリマーに共有結合している酵素を含んでもよい。このように、方法は、追加の作用電極に電位を印加することと、それぞれの被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の追加信号であって、流体中の被検物質の濃度に比例する追加信号を取得することと、追加信号を流体中の被検物質の濃度に相関させることとをさらに含んでもよい。
【0112】
より具体的な実施形態において、第1活性領域からの信号を独立して生成するのに十分な分離を提供するために、第1被検物質感応性活性領域に関連する酸化還元電位は、第2被検物質感応性活性領域の酸化還元電位から少なくとも約100mV、または少なくとも約150mV、または少なくとも約200mV離れていてもよい。酸化還元電位の違いは、活性領域内に互いに異なる電子移動剤を組み込むことに起因し得る。同様に、第1活性領域からの信号を独立して生成するのに十分な分離を提供するために、第3被検物質感応性活性領域、第4被検物質感応性活性領域、第5被検物質感応性活性領域、第6被検物質感応性活性領域、第7被検物質感応性活性領域、第8被検物質感応性活性領域、第9被検物質感応性活性領域、または第10被検物質感応性活性領域の各々に関連する酸化還元電位は、他の酸化還元電位のいずれからも少なくとも約100mV、または少なくとも約150mV、または少なくとも約200mV離れていてもよい。
【0113】
方法は、第1作用電極へ電位を印加するとともに第2作用電極へ電位を印加することと、第1被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第1信号であって、流体中の第1被検物質の濃度に比例する第1信号を取得することと、グルコース感応性活性領域の酸化還元電位以上の第2信号であって、流体中の第2被検物質の濃度に比例する第2信号を取得することと、第1信号を流体中の第1被検物質の濃度に相関させるとともに第2信号を流体中の第2被検物質の濃度に相関させることとをさらに含んでもよい。
【0114】
より具体的な実施形態によれば、異なる作用電極からの信号は、互いに異なる時間に測定されてもよい。例えば、2つの作用電極が存在する場合、電位は、交互に第1作用電極および第2作用電極に印加されてもよい。他の具体的な実施形態において、第1信号および第2信号は、第1チャネルおよび第2チャネルを通じて同時に測定されてもよく、この場合、電位は両方の電極に同時に印加されてもよい。他の場合には、各活性領域に関連する信号は、参照テーブルおよび校正関数を使用して上記と類似の方法でそれぞれの被検物質の濃度に相関されてもよい。
【0115】
図8A~Dは、グルコースおよびケトンの濃度が変化することに対する被検物質センサ感応の例示的なプロットを示す。
図8Cおよび
図8Dに示すように、被検物質センサは、検査された濃度範囲にわたって両方の被検物質に対して直線的な感応を示した。
図8Aに示すように、センサ感応は、両方の被検物質に対して急速であり、所与の被検物質濃度にて安定したままであった。
図9A~Dは、グルコースおよび乳酸の濃度が変化することに対する被検物質センサ感応の例示的なプロットを示す。
図9Cおよび
図9Dに示すように、被検物質センサは、検査された濃度範囲にわたって両方の被検物質に対して直線的な感応を示した。
図9Aに示すように、センサ感応は、両方の被検物質に対して急速であり、所与の被検物質濃度にて安定したままであった。グルコース、ケトン、および乳酸の活性箇所および膜の典型的な組成は、全ての目的のためにその全体が参照によって以前組み込まれた米国出願番号第16/774,835号(米国公開番号第2020/0237275号;整理番号第13548USO1号)および米国出願番号第16/259,157号(米国公開番号第2019/0320947号;整理番号第13335USO1号)に見出され得る。
【0116】
本明細書中に記述される実施形態は、図への明確な参照なく以下の段落にて再記述され、拡張される。
多くの実施形態において、被検物質センサが記述される。被検物質センサは、第1作用電極、第2作用電極であって第1作用電極および第2作用電極が基板によって分離されている第2作用電極、参照電極、対電極、参照材料の層、第1作用電極の表面上に配置された第1被検物質感応性活性領域、および第2作用電極の表面上に配置された第2被検物質感応性活性領域を含む。
【0117】
いくつかの実施形態において、被検物質センサはまた、第1被検物質に対して透過性があり第1被検物質感応性活性領域を覆っている第1膜、および第2被検物質に対して透過性があり第2被検物質感応性活性領域を覆っている第2膜を含む。いくつかの実施形態において、第1膜は第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域を覆っている。
【0118】
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々は、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤を備える。
【0119】
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域は、第1電子移動剤と、第1ポリマーと、第1被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える。
【0120】
いくつかの実施形態において、第2被検物質感応性活性領域は、第2電子移動剤と、第2ポリマーと、第2被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える。
【0121】
いくつかの実施形態において、参照材料の層はAgおよびAgClを含む。
いくつかの実施形態において、参照材料の層は対電極または参照電極の上に配置される。
【0122】
いくつかの実施形態において、第1被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、第2被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。
【0123】
いくつかの実施形態において、埋め込み型センサ尾部は、組織の中に挿入されるように構成される。
いくつかの実施形態において、第1膜および第2膜は互いに異なる組成を有する。
【0124】
いくつかの実施形態において、第1膜および第2膜は同じ組成を有する。
いくつかの実施形態において、第1作用電極は誘電体層によって対電極または参照電極から分離されている。
【0125】
いくつかの実施形態において、第2作用電極は誘電体層によって対電極または参照電極から分離されている。
いくつかの実施形態において、被検物質センサは、参照電極および対電極の上に配置された第1誘電体層および第2誘電体層をさらに含む。
【0126】
多くの実施形態において、方法が記述される。方法は、少なくとも第1被検物質および第2被検物質を含む流体に被検物質センサを暴露する工程であって、その被検物質センサは第1作用電極、第2作用電極、参照電極、対電極、参照材料の層、第1作用電極の表面上に配置された第1被検物質感応性活性領域、および第2作用電極の表面上に配置された第2被検物質感応性活性領域を備える埋め込み型センサ尾部を備え、第1作用電極および第2作用電極は基板によって分離されている被検物質センサを暴露する工程と、第1作用電極および第2作用電極に電位を印加する工程と、第1被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第1信号であって、流体中の第1被検物質の濃度に比例する第1信号を取得する工程と、第2被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第2信号であって、流体中の第2被検物質の濃度に比例する第2信号を取得する工程と、第1信号を液体中の第1被検物質物質の濃度に相関させるとともに第2信号を液体中の第2被検物質の濃度に相関させる工程とを含む。
【0127】
いくつかの実施形態において、埋め込み型センサ尾部は、第1被検物質に対して透過性があり第1被検物質感応性活性領域を覆っている第1膜、および第2被検物質に対して透過性があり第2被検物質感応性活性領域を覆っている第2膜をさらに備える。
【0128】
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々は、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤を備える。
【0129】
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域は、第1電子移動剤と、第1ポリマーと、第1被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える。
【0130】
いくつかの実施形態において、第2被検物質感応性活性領域は、第2電子移動剤と、第2ポリマーと、第2被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える。
【0131】
いくつかの実施形態において、参照材料の層はAgおよびAgClを含む。
いくつかの実施形態において、参照材料の層は対電極または参照電極の上に配置される。
【0132】
いくつかの実施形態において、第1被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、第2被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。
【0133】
いくつかの実施形態において、埋め込み型センサ尾部は、組織の中に挿入されるように構成される。いくつかの実施形態において、第1膜および第2膜は互いに異なる組成を有する。いくつかの実施形態において、第1膜および第2膜は互いに同じ組成を有する。
【0134】
いくつかの実施形態において、第1作用電極は誘電体層によって対電極または参照電極から分離されている。
いくつかの実施形態において、第2作用電極は誘電体層によって対電極または参照電極から分離されている。
【0135】
いくつかの実施形態において、被検物質センサは、参照電極および対電極の上に配置された第1誘電体層および第2誘電体層をさらに含む。
いくつかの実施形態において、流体は生体液であり、被検物質センサはインビボで生体液に暴露される。
【0136】
いくつかの実施形態において、第1信号および第2信号は互いに異なる時間に測定される。
いくつかの実施形態において、第1信号および第2信号は同時に測定される。
【0137】
いくつかの実施形態において、第1信号および第2信号は、第1チャネルおよび第2チャネルを通じて同時に取得される。
多くの実施形態において、被検物質センサが記述される。被検物質センサは、第1作用電極、第1作用電極から電気的に絶縁されている第2作用電極、第1作用電極の表面上に配置されている第1被検物質感応性活性領域、および第2作用電極の表面上に配置されている第2被検物質感応性活性領域を備える、埋め込み型センサ尾部を含む。
【0138】
いくつかの実施形態において、被検物質センサは、第1被検物質に対して透過性があり第1被検物質感応性活性領域を覆っている第1膜をさらに含む。
いくつかの実施形態において、被検物質センサは、第2被検物質に対して透過性があり第2被検物質感応性活性領域を覆っている第2膜をさらに含む。
【0139】
いくつかの実施形態において、第1作用電極および第2作用電極は基板によって分離されている。
いくつかの実施形態において、第1作用電極および第2作用電極は誘電体層によって分離されている。
【0140】
いくつかの実施形態において、第3作用電極および第3作用電極の表面上に配置された第3被検物質感応性活性領域。
いくつかの実施形態において、被検物質センサは、第3作用電極および第3作用電極の表面上に配置された第3被検物質感応性活性領域をさらに含む。いくつかの実施形態において、被検物質センサは、第4作用電極および第4作用電極の表面上に配置された第4被検物質感応性活性領域をさらに含む。
【0141】
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々は、それぞれ第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤を備える。
【0142】
いくつかの実施形態において、被検物質センサは、第1電子移動剤と、第1ポリマーと、第1被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える第1被検物質感応性活性領域をさらに含む。
【0143】
いくつかの実施形態において、被検物質センサは、第2電子移動剤と、第2ポリマーと、第2被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える第2被検物質感応性活性領域をさらに含む。
【0144】
いくつかの実施形態において、第1被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、第2被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。
【0145】
いくつかの実施形態において、埋め込み型センサ尾部は、組織の中に挿入されるように構成される。
いくつかの実施形態において、被検物質センサは、対電極および参照電極を含まない。
【0146】
いくつかの実施形態において、被検物質センサは、対電極および参照電極を備える追加の被検物質センサに電気的に連結するように構成される。
多くの実施形態において、方法が記述される。方法は、少なくとも第1被検物質および第2被検物質を含む流体に被検物質センサシステムを暴露する工程であって、その被検物質センサシステムは第1被検物質センサおよび第2被検物質センサを備え、第1被検物質センサは、参照電極および対電極を備える埋め込み型センサ尾部を備え、第2被検物質センサは、第1作用電極、第2作用電極、第1作用電極の表面上に配置された第1被検物質感応性活性領域、および第2作用電極の表面上に配置された第2被検物質感応性活性領域を備える埋め込み型センサ尾部を備え、第2被検物質センサは、対電極および参照電極を含まない、被検物質センサシステムを暴露する工程と、第1被検物質センサおよび第2被検物質センサに電位を印加する工程と、第1被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第1信号であって、流体中の第1被検物質の濃度に比例する第1信号を取得する工程と、第2被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第2信号であって、流体中の第2被検物質の濃度に比例する第2信号を取得する工程と、第1信号を液体中の第1被検物質物質の濃度に相関させるとともに第2信号を液体中の第2被検物質の濃度に相関させる工程とを含む。
【0147】
いくつかの実施形態において、第1被検物質センサは、少なくとも1つの作用電極、および作用電極の表面上に配置された少なくとも1つの被検物質感応性領域をさらに含む。
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々は、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤を備える。
【0148】
いくつかの実施形態において、第2被検物質センサは、第1電子移動剤と、第1ポリマーと、第1被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとを備える第1被検物質感応性活性領域をさらに含む。
【0149】
いくつかの実施形態において、第2被検物質センサは、第2電子移動剤と、第2ポリマーと、第2被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとを備える第2被検物質感応性活性領域をさらに含む。
【0150】
いくつかの実施形態において、第1被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、第2被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。
【0151】
いくつかの実施形態において、第1センサおよび第2センサの埋め込み型センサ尾部は、組織の中に挿入されるように構成されている。
いくつかの実施形態において、流体は生体液であり、被検物質センサはインビボで生体液に暴露される。
【0152】
いくつかの実施形態において、第1信号および第2信号は互いに異なる時間に測定される。
いくつかの実施形態において、第1信号および第2信号は同時に測定される。
【0153】
いくつかの実施形態において、第1信号および第2信号は、第1チャネルおよび第2チャネルを通じて同時に取得される。
いくつかの実施形態において、第2被検物質センサは第3作用電極をさらに含み、第3作用電極は、第3電子移動剤と、第3ポリマーと、第3被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとを備える第3被検物質感応性活性領域をさらに備える。いくつかの実施形態において、第2被検物質センサは第4作用電極をさらに備え、第4作用電極は、第4電子移動剤と、第4ポリマーと、第3被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとを備える第4被検物質感応性活性領域をさらに備える。
【0154】
いくつかの実施形態において、方法は、第3作用電極および第4作用電極および第1センサに電位を印加する工程と、第3被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第3信号であって、流体中の第3被検物質の濃度に比例する第3信号を取得する工程と、第4被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第4信号であって、流体中の第4被検物質の濃度に比例する第4信号を取得する工程と、第3信号を液体中の第3被検物質物質の濃度に相関させるとともに第4信号を液体中の第4被検物質の濃度に相関させる工程とをさらに含む。
【0155】
多くの実施形態において、被検物質モニタリングシステムにおいて使用されるオンボディ装置が記述される。オンボディ装置は、ハウジングとハウジング内に配置された第1センサおよび第2センサとを備えてもよく、第1センサは、第1作用電極、第2作用電極、共有参照電極、および共有対電極を備える埋め込み型センサ尾部を備え、第2センサは、第1作用電極および第2作用電極を備える埋め込み型センサ尾部を備え、第2センサは対電極および参照電極を含まない。
【0156】
いくつかの実施形態において、第1センサは、第1センサの第1作用電極の表面上に配置された第1被検物質感応性活性領域、および第1センサの第2作用電極の表面上に配置された第2被検物質感応性活性領域をさらに備える。いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々は、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤をさらに備える。いくつかの実施形態において、第1被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第2被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第1センサは、第1被検物質に対して透過性があり第1被検物質感応性活性領域を覆っている第1膜、および第2被検物質に対して透過性があり第2被検物質感応性活性領域を覆っている第2膜をさらに備える。
【0157】
いくつかの実施形態において、第2センサは、第2センサの第1作用電極の表面上に配置された第3被検物質感応性活性領域、および第2センサの第2作用電極の表面上に配置された第4被検物質感応性活性領域をさらに備える。いくつかの実施形態において、第3被検物質感応性活性領域および第4被検物質感応性活性領域の各々は、第3被検物質感応性活性領域および第4被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤をさらに備える。いくつかの実施形態において、第3被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第4被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第2センサは、第3被検物質に対して透過性があり第3被検物質感応性活性領域を覆っている第3膜、および第4被検物質に対して透過性があり第4被検物質感応性活性領域を覆っている第4膜をさらに備える。
【0158】
いくつかの実施形態において、第1センサおよび第2センサの埋め込み型センサ尾部は、組織の中に挿入されるように構成されている。
いくつかの実施形態において、第2センサは第3作用電極および第4作用電極をさらに備える。いくつかの実施形態において、第2センサは、第2センサの第3作用電極の表面上に配置されている第5被検物質感応性活性領域、および第2センサの第4作用電極の表面上に配置されている第6被検物質感応性活性領域をさらに備える。いくつかの実施形態において、第5被検物質感応性活性領域および第6被検物質感応性活性領域の各々は、第5被検物質感応性活性領域および第6被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤をさらに備える。いくつかの実施形態において、第5被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第6被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。
【0159】
いくつかの実施形態において、装置は、ハウジング内に配置されたアナログフロントエンド回路をさらに含み、アナログフロントエンド回路は、第1センサの第1作用電極ならびに第2作用電極、および第2センサの第1作用電極ならびに第2作用電極から被検物質データを受信する。いくつかの実施形態において、第2センサの第1作用電極および第2作用電極は、回路線によってアナログフロントエンド回路に接続されている。いくつかの実施形態において、第2センサの第1作用電極および第2作用電極は、可撓性の回路接続によってアナログフロントエンド回路に接続されている。
【0160】
いくつかの実施形態において、装置は、ハウジング内に配置されたアナログフロントエンド回路をさらに含み、アナログフロントエンド回路は、第1センサの第1作用電極ならびに第2作用電極、および第2センサの第1作用電極、第2作用電極、第3作用電極ならびに第4作用電極から被検物質データを受信する。いくつかの実施形態において、第2センサの第1作用電極、第2作用電極、第3作用電極および第4作用電極は、回路線によってアナログフロントエンド回路に接続されている。いくつかの実施形態において、第2センサの第1作用電極、第2作用電極、第3作用電極および第4作用電極は、可撓性の回路接続によってアナログフロントエンド回路に接続されている。
【0161】
多くの実施形態において、方法が記述される。方法は、少なくとも第1被検物質、第2被検物質、第3被検物質および第4被検物質を含む流体に被検物質センサシステムを暴露する工程であって、被検物質センサシステムは第1センサおよび第2センサを備え、第1センサは第1作用電極、第2作用電極、共有参照電極、および共有対電極を備える埋め込み型センサ尾部を備え、第2センサは第1作用電極および第2作用電極を備える埋め込み型センサ尾部を備え、第2センサは対電極および参照電極を含まず、第1センサの第1作用電極および第2作用電極の各々はそれぞれ第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域を備え、第2センサの第1作用電極および第2作用電極の各々はそれぞれ第3被検物質感応性活性領域および第4被検物質感応性活性領域を備える、被検物質センサシステムを暴露する工程と、第1センサおよび第2センサの第1作用電極および第2作用電極に電位を印加する工程と、第1被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第1信号であって、流体中の第1被検物質の濃度に比例する第1信号を取得する工程と、第2被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第2信号であって、流体中の第2被検物質の濃度に比例する第2信号を取得する工程と、第3被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第3信号であって、流体中の第3被検物質の濃度に比例する第3信号を取得する工程と、第3被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第4信号であって、流体中の第4被検物質の濃度に比例する第3信号を取得する工程と、第1信号、第2信号、第3信号、および第4信号をそれぞれ流体中の第1被検物質、第2被検物質、第3被検物質、および第4被検物質の濃度に相関させる工程とを含む。
【0162】
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域、第2被検物質感応性活性領域、第3被検物質感応性活性領域、および第4被検物質感応性活性領域の各々は、それぞれ第1活性領域、第2活性領域、第3活性領域、および第4活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤を備える。
【0163】
いくつかの実施形態において、第1被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、第2被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。
【0164】
いくつかの実施形態において、第3被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、第4被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。
【0165】
いくつかの実施形態において、第1センサおよび第2センサの埋め込み型センサ尾部は、組織の中に挿入されるように構成されている。
いくつかの実施形態において、第1センサの埋め込み型センサ尾部の少なくとも一部は、第1被検物質感応性活性領域上に堆積された第1膜、および第2被検物質感応性活性領域上に堆積された第2膜をさらに備える。
【0166】
いくつかの実施形態において、第2センサの埋め込み型センサ尾部の少なくとも一部は、第3被検物質感応性活性領域上に堆積された第3膜、および第4被検物質感応性活性領域上に堆積された第4膜をさらに備える。
【0167】
いくつかの実施形態において、第1センサの第1作用電極は誘電体層によって対電極または参照電極から分離されている。
いくつかの実施形態において、第1センサの第2作用電極は誘電体層によって対電極または参照電極から分離されている。
【0168】
いくつかの実施形態において、被検物質センサシステムは、参照電極および対電極上に配置された第1誘電体層および第2誘電体層をさらに含む。
いくつかの実施形態において、流体は生体液であり、被検物質センサはインビボで生体液に暴露される。
【0169】
いくつかの実施形態において、第1信号、第2信号、第3信号、および第4信号は、互いに異なる時間に測定される。
いくつかの実施形態において、第1信号、第2信号、第3信号、および第4信号は、同時に測定される。
【0170】
いくつかの実施形態において、第1信号、第2信号、第3信号、および第4信号は、互いに異なるチャネルを通じて同時に取得される。
いくつかの実施形態において、流体は、第5被検物質および第6被検物質を含み、第2センサの埋め込み型センサ尾部は、第3作用電極および第4作用電極をさらに備え、第2センサの第3作用電極および第4作用電極の各々は、それぞれ第5被検物質感応性活性領域および第6被検物質感応性活性領域を備える。
【0171】
いくつかの実施形態において、方法は、第2センサの第3作用電極および第4作用電極に電位を印加する工程と、第5被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第5信号であって、流体中の第5被検物質の濃度に比例する第5信号を取得する工程と、第6被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第6信号であって、流体中の第6被検物質の濃度に比例する第2信号を取得する工程と、第5信号および第6信号をそれぞれ流体中の第5被検物質の濃度および第6被検物質の濃度に相関させる工程とをさらに含む。
【0172】
いくつかの実施形態において、第1センサおよび第2センサは、同じハウジング内に配置されている。
いくつかの実施形態において、第1センサは第1ハウジング内に配置されており、第2センサは第2ハウジング内に配置されている。いくつかの実施形態において、被検物質センサシステムは、第1ハウジング内に配置されたアナログフロントエンド回路をさらに備え、アナログフロントエンド回路は、第1センサの第1作用電極ならびに第2作用電極、および第2センサの第1作用電極ならびに第2作用電極から被検物質データを受信する。
【0173】
いくつかの実施形態において、被検物質センサシステムは、第1ハウジング内に配置されたアナログフロントエンド回路をさらに備え、アナログフロントエンド回路は、第1センサの第1作用電極ならびに第2作用電極、および第2センサの第1作用電極、第2作用電極、第3作用電極、ならびに第4作用電極から被検物質データを受信する。
【0174】
いくつかの実施形態において、被検物質センサシステムは第3センサをさらに備え、第3センサは、第1作用電極および第2作用電極を備える埋め込み型センサ尾部を備え、第3センサは対電極および参照電極を含まない。いくつかの実施形態において、第3センサは第3ハウジング内に配置されている。いくつかの実施形態において、流体は、第7被検物質および第8被検物質を含み、第3センサの埋め込み型センサ尾部は、第1作用電極および第2作用電極をさらに備え、第3センサの第1作用電極および第2作用電極の各々は、それぞれ第7被検物質感応性活性領域および第8被検物質感応性活性領域を備える。いくつかの実施形態において、方法は、第3センサの第1作用電極および第2作用電極に電位を印加する工程と、第7被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第7信号であって、流体中の第7被検物質の濃度に比例する第7信号を取得する工程と、第8被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第8信号であって、流体中の第8被検物質の濃度に比例する第8信号を取得する工程と、第7信号および第8信号をそれぞれ流体中の第7被検物質の濃度および第8被検物質の濃度に相関させる工程とをさらに含む。
【0175】
いくつかの実施形態において、流体は、第9被検物質および第10被検物質を含み、第3センサの埋め込み型センサ尾部は、第3作用電極および第4作用電極をさらに備え、第3センサの第3作用電極および第4作用電極の各々は、それぞれ第9被検物質感応性活性領域および第10被検物質感応性活性領域を備える。いくつかの実施形態において、方法は、第3センサの第3作用電極および第4作用電極に電位を印加する工程と、第9被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第9信号であって、流体中の第9被検物質の濃度に比例する第9信号を取得する工程と、第10被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第10信号であって、流体中の第8被検物質の濃度に比例する第10信号を取得する工程と、第9信号および第10信号をそれぞれ流体中の第9被検物質の濃度および第10被検物質の濃度に相関させる工程とをさらに含む。
【0176】
いくつかの実施形態において、被検物質モニタリングシステムにて使用されるオンボディ装置が記述される。装置は、第1ハウジングと、第1ハウジング内に配置された第1センサであって、第1作用電極、第2作用電極、参照電極、および対電極を備える埋め込み型センサ尾部を備える第1センサと、第2ハウジングと、第2ハウジング内に配置された第2センサであって、第1作用電極および第2作用電極を備える埋め込み型センサ尾部を備え、対電極および参照電極を含まない第2センサとを含む。
【0177】
いくつかの実施形態において、装置はまた、接着層を含み、第1ハウジングおよび第2ハウジングは接着層上に配置されている。
いくつかの実施形態において、第1センサは、第1センサの第1作用電極の表面上に配置された第1被検物質感応性活性領域、および第1センサの第2作用電極の表面上に配置された第2被検物質感応性活性領域をさらに備える。いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々は、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤をさらに備える。いくつかの実施形態において、第1被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第2被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第2センサは、第2センサの第1作用電極の表面上に配置された第3被検物質感応性活性領域、および第2センサの第2作用電極の表面上に配置された第4被検物質感応性活性領域をさらに備える。いくつかの実施形態において、第3被検物質感応性活性領域および第4被検物質感応性活性領域の各々は、第3被検物質感応性活性領域および第4被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤をさらに備える。いくつかの実施形態において、第3被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第4被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。
【0178】
いくつかの実施形態において、第1センサおよび第2センサの埋め込み型センサ尾部は、組織の中に挿入されるように構成されている。
いくつかの実施形態において、第2センサは第3作用電極および第4作用電極をさらに備える。いくつかの実施形態において、第2センサは、第2センサの第3作用電極の表面上に配置されている第5被検物質感応性活性領域、および第2センサの第4作用電極の表面上に配置されている第6被検物質感応性活性領域をさらに備える。いくつかの実施形態において、第5被検物質感応性活性領域および第6被検物質感応性活性領域の各々は、第5被検物質感応性活性領域および第6被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤をさらに備える。いくつかの実施形態において、第5被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第6被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。
【0179】
いくつかの実施形態において、被検物質システムは、第1ハウジング内に配置されたアナログフロントエンド回路をさらに含み、アナログフロントエンド回路は、第1センサの第1作用電極ならびに第2作用電極、および第2センサの第1作用電極ならびに第2作用電極から被検物質データを受信する。いくつかの実施形態において、第2センサの第1作用電極および第2作用電極は、回路線によってアナログフロントエンド回路に接続されている。いくつかの実施形態において、第2センサの第1作用電極および第2作用電極は、可撓性の回路接続によってアナログフロントエンド回路に接続されている。
【0180】
いくつかの実施形態において、被検物質システムは、ハウジング内に配置されたアナログフロントエンド回路をさらに含み、アナログフロントエンド回路は、第1センサの第1作用電極ならびに第2作用電極、および第2センサの第1作用電極、第2作用電極、第3作用電極ならびに第4作用電極から被検物質データを受信する。いくつかの実施形態において、第2センサの第1作用電極、第2作用電極、第3作用電極および第4作用電極は、回路線によってアナログフロントエンド回路に接続されている。いくつかの実施形態において、第2センサの第1作用電極、第2作用電極、第3作用電極および第4作用電極は、可撓性の回路接続によってアナログフロントエンド回路に接続されている。
【0181】
いくつかの実施形態において、被検物質システムは、接着層上に配置された第3ハウジング、および第2ハウジング内に配置された第3センサをさらに含み、第3センサは、第1作用電極および第2作用電極を備える埋め込み型センサ尾部を備え、第3センサは対電極および参照電極を含まない。いくつかの実施形態において、第3センサは、第3センサの第1作用電極の表面上に配置された第7被検物質感応性活性領域、および第3センサの第2作用電極の表面上に配置された第8被検物質感応性活性領域をさらに備える。いくつかの実施形態において、第7被検物質感応性活性領域および第8被検物質感応性活性領域の各々は、第7被検物質感応性活性領域および第8被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤をさらに備える。いくつかの実施形態において、第7被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第8被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。
【0182】
いくつかの実施形態において、被検物質システムは、第1ハウジング内に配置されたアナログフロントエンド回路をさらに含み、アナログフロントエンド回路は、第3センサの第1作用電極および第2作用電極から被検物質データを受信する。いくつかの実施形態において、第3センサの第1作用電極および第2作用電極は、回路線によってアナログフロントエンド回路に接続されている。いくつかの実施形態において、第3センサの第1作用電極および第2作用電極は、可撓性の回路接続によってアナログフロントエンド回路に接続されている。
【0183】
いくつかの実施形態において、第3センサの埋め込み型センサ尾部は、第3作用電極および第4作用電極、および第3センサの第3作用電極の表面上に配置された第9被検物質感応性活性領域、および第3センサの第4作用電極の表面上に配置された第10被検物質感応性活性領域をさらに備える。いくつかの実施形態において、第9被検物質感応性活性領域および第10被検物質感応性活性領域の各々は、第9被検物質感応性活性領域および第10被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤をさらに備える。いくつかの実施形態において、第9被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第10被検物質は、グルコース、β-ドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、被検物質システムはまた、第1ハウジング内に配置されたアナログフロントエンド回路を含み、アナログフロントエンド回路は、第3センサの第3作用電極および第4作用電極から被検物質データを受信する。いくつかの実施形態において、第3センサの第3作用電極および第4作用電極は、回路線によってアナログフロントエンド回路に接続されている。いくつかの実施形態において、第3センサの第3作用電極および第4作用電極は、可撓性の回路接続によってアナログフロントエンド回路に接続されている。
【0184】
多くの実施形態において、被検物質センサが記述される。被検物質センサは、第1側および第2側を有する基板と、基板上に設置された第1作用電極と、基板上に設置された第2作用電極と、第1作用電極の表面上に配置された第1被検物質感応性活性領域と、第2作用電極の表面上に配置された第2被検物質感応性活性領域とを備える埋め込み型センサ尾部を含み、第1被検物質感応性活性領域は、第2被検物質感応性活性領域よりも基板の遠位端の近くに設置されており、第1被検物質感応性活性領域の近位端と第2被検物質感応性活性領域の遠位端との間の距離は、少なくとも約0.2mmである。
【0185】
いくつかの実施形態において、第1作用電極および第2作用電極は、絶縁層または誘電体層によって分離されている。
いくつかの実施形態において、第1作用電極は基板の第1側上に設置されており、第2作用電極は基板の第2側上に設置されている。
【0186】
いくつかの実施形態において、第1作用電極および第2作用電極は、基板の第1側上に設置されている。
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域の近位端と第2被検物質感応性活性領域の遠位端との間の距離は、約0.4から約1.1mmの間である。
【0187】
いくつかの実施形態において、被検物質センサは、第1被検物質に対して透過性があり第1被検物質感応性活性領域を覆っている第1膜、および第2被検物質に対して透過性があり第1被検物質感応性活性領域ならびに第2被検物質感応性活性領域を覆っている第2膜をさらに含む。いくつかの実施形態において、第1膜および第2膜は互いに異なる組成を有する。いくつかの実施形態において、第1膜および第2膜は互いに同じ組成を有する。
【0188】
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々は、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤を備える。
【0189】
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域は、第1電子移動剤と、第1ポリマーと、第1被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える。
【0190】
いくつかの実施形態において、第2被検物質感応性活性領域は、第2電子移動剤と、第2ポリマーと、第2被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える。
【0191】
いくつかの実施形態において、被検物質センサは、参照電極および対電極をさらに含む。いくつかの実施形態において、被検物質センサは、参照電極の表面上に参照材料の層をさらに含む。いくつかの実施形態において、参照材料はAgおよびAgClを含む。
【0192】
いくつかの実施形態において、第1被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第1被検物質は、ケトンまたはβ-ヒドロキシ酪酸である。
【0193】
いくつかの実施形態において、第2被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第2被検物質はグルコースである。
【0194】
いくつかの実施形態において、埋め込み型センサ尾部は、組織の中に挿入されるように構成されている。
いくつかの実施形態において、埋め込み型センサ尾部の遠位部は、約0.25mmから約0.4mmの間の最大厚さを有する。
【0195】
多くの実施形態において、方法が記述される。方法は、少なくとも第1被検物質および第2被検物質を含む流体に被検物質センサを暴露する工程であって、被検物質センサは第1側および第2側を有する基板、基板の第1側上に設置された第1作用電極、基板の第1側上に設置された第2作用電極、第1作用電極の表面上に配置された第1被検物質感応性活性領域、および第2作用電極の表面上に配置された第2被検物質感応性活性領域を備える埋め込み型センサ尾部を備え、第1被検物質感応性活性領域は第2被検物質感応性活性領域よりも基板の遠位端の近くに設置されており、第1被検物質感応性活性領域の近位端と第2被検物質感応性活性領域の遠位端との間の距離は少なくとも約0.2mmである、被検物質センサを暴露する工程と、第1作用電極および第2作用電極に電位を印加する工程と、第1被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第1信号であって、流体中の第1被検物質の濃度に比例する第1信号を取得する工程と、第2被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第2信号であって、流体中の第2被検物質の濃度に比例する第2信号を取得する工程と、第1信号を流体中の第1被検物質の濃度に相関させるとともに第2信号を流体中の第2被検物質の濃度に相関させる工程とを含む。
【0196】
いくつかの実施形態において、第1作用電極および第2作用電極は、絶縁層によって分離されている。
いくつかの実施形態において、埋め込み型センサ尾部は、第1被検物質に対して透過性があり第1被検物質感応性活性領域を覆っている第1膜、および第2被検物質に対して透過性があり第1被検物質感応性活性領域ならびに第2被検物質感応性活性領域を覆っている第2膜をさらに備える。
【0197】
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々は、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤を備える。
【0198】
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域は、第1電子移動剤と、第1ポリマーと、第1被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える。
【0199】
いくつかの実施形態において、第2被検物質感応性活性領域は、第2電子移動剤と、第2ポリマーと、第2被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える。
【0200】
いくつかの実施形態において、第1被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第1被検物質は、ケトンまたはβ-ヒドロキシ酪酸である。
【0201】
いくつかの実施形態において、第2被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第2被検物質はグルコースである。
【0202】
いくつかの実施形態において、第1膜および第2膜は互いに異なる組成を有する。
いくつかの実施形態において、第1作用電極は、誘電体層によって第2作用電極から分離されている。
【0203】
いくつかの実施形態において、流体は生体液であり、被検物質センサはインビボで生体液に暴露される。
いくつかの実施形態において、第1信号および第2信号は互いに異なる時間に測定される。
【0204】
いくつかの実施形態において、第1信号および第2信号は同時に測定される。
いくつかの実施形態において、第1信号および第2信号は、第1チャネルおよび第2チャネルを通じて同時に取得される。
【0205】
いくつかの実施形態において、埋め込み型センサ尾部の遠位部は、約0.25mmから約0.4mmの間の最大厚さを有する。
多くの実施形態において、被検物質センサが記述される。被検物質センサは、第1側および第2側を有する基板、基板の第1側上かつ第1側に接触して設置された第1作用電極、第1作用電極の表面上に配置された第1被検物質感応性活性領域、基板の第1側上かつ第1側に接触して設置された第2作用電極、第2作用電極の表面上に配置された第2被検物質感応性活性領域、対電極、および参照電極を備える埋め込み型センサ尾部を含み、第1被検物質感応性活性領域は第2被検物質感応性活性領域よりも基板の遠位端の近くに設置されている。
【0206】
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域の近位端と第2被検物質感応性活性領域の遠位端との間の距離は、約0.4mmから約1.1mmの間である。
いくつかの実施形態において、第1作用電極および第2作用電極は、誘電体層によって基板の第1側から分離されていない。
【0207】
いくつかの実施形態において、対電極および参照電極は基板の第1側上かつ第1側に接触して設置されている。いくつかの実施形態において、対電極および参照電極は、誘電体層によって基板の第1側から分離されていない。
【0208】
いくつかの実施形態において、対電極および参照電極は基板の第2側上かつ第2側に接触して設置されている。
いくつかの実施形態において、被検物質センサは、第1被検物質に対して透過性があり第1被検物質感応性活性領域を覆っている第1膜、および第2被検物質に対して透過性があり第1被検物質感応性活性領域ならびに第2被検物質感応性活性領域を覆っている第2膜をさらに含む。
【0209】
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々は、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤を備える。
【0210】
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域は、第1電子移動剤と、第1ポリマーと、第1被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える。
【0211】
いくつかの実施形態において、第2被検物質感応性活性領域は、第2電子移動剤と、第2ポリマーと、第2被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える。
【0212】
いくつかの実施形態において、埋め込み型センサ尾部の遠位部は、約0.25mmから約0.4mmの間の最大厚さを有する。
多くの実施形態において、方法が記述される。方法は、少なくとも第1被検物質および第2被検物質を含む流体に被検物質センサを暴露する工程であって、被検物質センサは第1側および第2側を有する基板、基板の第1側上かつ第1側に接触して設置された第1作用電極、第1作用電極の表面上に配置された第1被検物質感応性活性領域、基板の第1側上かつ第1側に接触して設置された第2作用電極、第2作用電極の表面上に配置された第2被検物質感応性活性領域、対電極、および参照電極を備える埋め込み型センサ尾部を備え、第1被検物質感応性活性領域は第2被検物質感応性活性領域よりも基板の遠位端の近くに設置されている、被検物質センサを暴露する工程と、第1作用電極および第2作用電極に電位を印加する工程と、第1被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第1信号であって、流体中の第1被検物質の濃度に比例する第1信号を取得する工程と、第2被検物質感応性活性領域の酸化還元電位以上の第2信号であって、流体中の第2被検物質の濃度に比例する第2信号を取得する工程と、第1信号を流体中の第1被検物質の濃度に相関させるとともに第2信号を流体中の第2被検物質の濃度に相関させる工程とを含む。
【0213】
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域の近位端と第2被検物質感応性活性領域の遠位端との間の距離は、約0.4mmから約1.1mmの間である。
いくつかの実施形態において、第1作用電極および第2作用電極は、誘電体層によって基板の第1側から分離されていない。
【0214】
いくつかの実施形態において、対電極および参照電極は基板の第1側上かつ第1側に接触して設置されている。いくつかの実施形態において、対電極および参照電極は、誘電体層によって基板の第1側から分離されていない。
【0215】
いくつかの実施形態において、対電極および参照電極は基板の第2側上かつ第2側に接触して設置されている。
いくつかの実施形態において、被検物質システムは、第1被検物質に対して透過性があり第1被検物質感応性活性領域を覆っている第1膜、および第2被検物質に対して透過性があり第1被検物質感応性活性領域ならびに第2被検物質感応性活性領域を覆っている第2膜をさらに含む。
【0216】
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々は、第1被検物質感応性活性領域および第2被検物質感応性活性領域の各々におけるポリマーに共有結合する電子移動剤を備える。
【0217】
いくつかの実施形態において、第1被検物質感応性活性領域は、第1電子移動剤と、第1ポリマーと、第1被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える。
【0218】
いくつかの実施形態において、第2被検物質感応性活性領域は、第2電子移動剤と、第2ポリマーと、第2被検物質の検出を容易にするよう協働して作用可能な複数の酵素を含む酵素システムとをさらに備える。
【0219】
いくつかの実施形態において、流体は生体液であり、被検物質センサはインビボで生体液に暴露される。
いくつかの実施形態において、第1信号および第2信号は互いに異なる時間に測定される。
【0220】
いくつかの実施形態において、第1信号および第2信号は同時に測定される。
いくつかの実施形態において、第1信号および第2信号は、第1チャネルおよび第2チャネルを通じて同時に取得される。
【0221】
いくつかの実施形態において、第1被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第1被検物質は、β-ヒドロキシ酪酸またはケトンである。
いくつかの実施形態において、第2被検物質は、グルコース、β-ヒドロキシ酪酸、尿酸、ケトン、クレアチニン、エタノール、および乳酸からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第2被検物質はグルコースである。
【0222】
いくつかの実施形態において、埋め込み型センサ尾部の遠位部は、約0.25mmから約0.4mmの間の最大厚さを有する。
別段の指示がない限り、本明細書および関連する特許請求の範囲中の量等を表す全ての数は、全ての場合において用語「約」によって修飾されているものと理解されたい。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲において明記される数字パラメータは、本発明の実施形態によって取得されようとする望ましい特性に依存して変更されてよい近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に制限しようとするものではないため、各数字パラメータは、少なくとも有効桁数を考慮して、通常の四捨五入を適用することによって解釈されるのがよい。
【0223】
様々な特徴を含む1つ以上の例示的な実施形態が本明細書中に記述されている。明確化するために、物理的な実施の特徴の全てが本出願中に記述または示されるわけではない。本発明の実施形態を含む物理的な実施形態の開発において、開発者の目標を達成するためには、システム関連の制約、ビジネス関連の制約、政府関連の制約、および他の制約の遵守等の多くの実施時固有の決定がされなければならず、それは実施および時期によって変化する。開発者の努力は多大な時間を必要とし得るが、それにもかかわらず、このような努力は本開示の利益を有する当業者にとって日常的な作業である。
【0224】
様々なシステム、ツール、および方法が、様々な構成要素または工程を「備える(comprising)」という用語を使用して本明細書中に記述されているが、システム、ツール、および方法は様々な構成要素および工程「から本質的になる(consist essentially of)」または「からなる(consist of)」こともあり得る。
【0225】
本明細書中に使用される場合、項目のいずれかを分離する用語「および」あるいは「または」を伴った一連の項目に先行する語句「少なくとも1つ(at least one of)」は、リストの各要素(すなわち各項目)よりもむしろ全体としてリストを修飾する。語句「少なくとも1つ」は、項目のいずれか1つの少なくとも1つ、および/または項目の任意の組み合わせの少なくとも1つ、および/または項目の各々の少なくとも1つを含む意味を許容する。例として、語句「A、B、およびCの少なくとも1つ」または「A、B、またはCの少なくとも1つ」の各々は、Aのみ、Bのみ、またはCのみ、および/または、A、B、およびCの任意の組み合わせ、および/または、A、B、およびCの各々の少なくとも1つを表す。
【0226】
したがって、開示されたシステム、ツール、および方法は、言及された目的および利点だけでなく、それに固有のものを達成するためによく適応されている。本開示の教示は本明細書中の教示の利益を有する当業者にとって明らかである、異なるが同等の方法にて修正および実施され得るため、上に開示された特定の実施形態は例示に過ぎない。さらに、本明細書中に示す構造または設計の詳細は、以下の特許請求の範囲に記述されている以外にいかなる制限も意図されない。したがって、上記に開示された特定の例示的な実施形態は、変更、組み合わせ、または修正されてもよく、そのようなすべての変形は、本開示の範囲内にあるとみなされることは明らかである。本明細書に例示的に開示されたシステム、ツールおよび方法は、本明細書に具体的に開示されていない要素および/または本明細書に開示された選択的な要素のいずれかがない場合にも、適切に実施され得る。システム、ツール、および方法が様々な構成要素または工程を「備える(comprising)」、「含む(containing)」、または「含む(including)」という用語を使用して記述されているが、システム、ツール、および方法は様々な構成要素および工程「から本質的になる(consist essentially of)」または「からなる(consist of)」こともあり得る。上に開示される全ての数値および範囲は、いくらかの量だけ変更されてもよい。下限および上限を有する数値範囲が開示されるときはいつでも、あらゆる数値および範囲内にあるいかなる包含される範囲も明確に開示される。特に、本明細書に開示されている値のあらゆる範囲(「約aから約bまで」、または、同等に、「約aからbまで」、または、同等に、「約a~bまで」という形式の)は、より広い値の範囲内に包含されるあらゆる数値および範囲を規定するものと理解されたい。また、特許請求の範囲に記述された用語は、特許権者によって明確かつ明示的に定義されていない限り、その平易で通常の意味を有する。さらに、特許請求の範囲に使用される不定冠詞「a」または「an」は、それが導入される要素の1つまたは複数を意味するように、本明細書中に定義される。本明細書、および参照によって本明細書に組み込まれる1つ以上の特許または他の文書における単語または用語の用法に矛盾が存在する場合、本明細書に一致する定義が採用されるのがよい。