(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】耐振型感温アセンブリ
(51)【国際特許分類】
G01K 7/18 20060101AFI20241119BHJP
G01K 13/02 20210101ALI20241119BHJP
G01F 1/46 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G01K7/18 A
G01K13/02
G01F1/46
(21)【出願番号】P 2022562686
(86)(22)【出願日】2020-04-15
(86)【国際出願番号】 CN2020084948
(87)【国際公開番号】W WO2021207976
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ストロム,グレゴリー・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ミン
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-219102(JP,A)
【文献】実開昭56-137041(JP,U)
【文献】特開2011-007588(JP,A)
【文献】特開2008-241599(JP,A)
【文献】特表2019-519779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/08,1/14,7/02,7/16-7/28,
13/02-13/024
G01F 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱プローブアセンブリであって、
温度によって変化する電気的特性を有する感温素子と、
前記感温素子に動作可能に結合された複数のリード線と、
シースの直径及び内部の遠位端部を有するシースと、
を備え、
前記感温素子が、前記シースの
前記内部の遠位端部から
、前記シースの直径の少なくとも3倍の距離だけ離間されるように、前記シース内に配置されること、
を含む、熱プローブアセンブリ。
【請求項2】
前記感温素子が、RTD素子である、請求項1に記載の熱プローブアセンブリ。
【請求項3】
前記RTD素子が、前記シースの前記
内部の遠位端部から約1.5インチだけ離間される、請求項2に記載の熱プローブアセンブリ。
【請求項4】
前記RTD素子が、前記シースの前記
内部の遠位端部から1.5インチより大きく離間される、請求項2に記載の熱プローブアセンブリ。
【請求項5】
前記RTD素子が、前記シースの前記
内部の遠位端部から約4.0インチだけ離間される、請求項4に記載の熱プローブアセンブリ。
【請求項6】
フィールド装置であって、
前記フィールド装置が、
熱プローブアセンブリであって、
前記熱プローブアセンブリが、
温度によって変化する電気抵抗を有するRTD素子と、
前記RTD素子に動作可能に結合された複数のリード線と、
シースと、
を備え、
前記RTD素子が、前記シース内に配置され、遠位端部から離間される、前記熱プローブアセンブリ、
プロセス流体中に挿入するように構成されたプロセス要素であって、前記熱プローブアセンブリを受け入れるように構成されたボアを有し、固有振動数を有する、プロセス要素、
を含み、
前記RTD素子が、前記プロセス要素内で、前記固有振動数における振動の振幅が減少した位置に前記RTD素子を配置させた距離だけ、前記シースの前記遠位端部から離間されている、フィールド装置。
【請求項7】
前記プロセス要素が、サーモウェルである、請求項6に記載のフィールド装置
【請求項8】
前記プロセス要素が、第1流量要素である、請求項6に記載のフィールド装置。
【請求項9】
前記RTD素子が、前記シースの遠位端部から約1.5インチだけ離間される、請求項8に記載のフィールド装置。
【請求項10】
前記第1
流量要素が、前記プロセス流体中にフォン・カルマン渦を発生させる、請求項9に記載のフィールド装置。
【請求項11】
前記RTD素子が、前記プロセス要素内で、前記固有振動数における最小の振動振幅となる位置に前記RTD素子を配置させた距離だけ、前記シースの遠位端部から離間されている、請求項6に記載のフィールド装置。
【請求項12】
前記RTD素子が、前記プロセス要素内で、前記固有振動数の高調波における振動振幅が減少した位置に前記RTD素子を配置させた距離だけ、前記シースの前記遠位端部から離間されている、請求項6に記載のフィールド装置。
【請求項13】
前記シースの周りに位置され、前記シースが前記ボアの内径から離れるように付勢するように構成された、機械的スペーサーを更に含む、請求項6に記載のフィールド装置。
【請求項14】
前記機械的スペーサーは、外形化されたバネである、請求項13に記載のフィールド装置。
【請求項15】
前記外形化されたバネが、前記シースの外径と係合するように構成された直径を有する一対の端部を有し、前記外形化されたバネが、前記ボアの内径と係合するように構成された中間部分を有する、請求項14に記載のフィールド装置。
【請求項16】
前記機械的スペーサーが、複数の長手方向の細長い薄板を有するバネ性バレルである、請求項13に記載のフィールド装置。
【請求項17】
前記バネ性バレルが、第1の端部から第2の端部まで延伸される長手方向のスロットを含む、請求項16に記載のフィールド装置。
【請求項18】
振動環境下におけるプロセス流体の温度を測定する方法であって、
温度によって変化する電気抵抗を有するRTD素子を提供すること、
前記RTD素子をシース内に配置すること、前記シースが遠位端部を有すること、
前記プロセス流体内に第1要素を提供すること、前記第1要素が共振周波数を有すること、
前記RTD素子が、前記シース内で、共振周波数における振動の振幅が減少した位置に前記RTD素子が配置されるように選択された距離だけ、前記遠位端部から前記RTD素子が離間されること、
を含む、方法。
【請求項19】
前記遠位端部から前記RTD素子が離間されることが、前記シースに、シース延伸部を取り付けること、によって実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
測定されたプロセス流体の温度を使用して、プロセス流体の流量の測定を提供すること、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
プロセス流体の温度の指示値を提供すること、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
プロセス産業では、化学、パルプ、石油、製薬、食品、その他の流体プロセスプラントにおいて、固体、スラリー、液体、蒸気、ガスなどの物質に関連するプロセス変数を監視するために、プロセス変数送信機が採用されている。プロセス変数には、圧力、温度、流量、レベル、濁度、密度、濃度、化学組成、その他、の特性が含まれる。
【0002】
温度センサーは、プロセス流体に関する温度を示すために、様々なプロセス可変送信機で使用されている。温度センサーには多くの種類があるが、測定精度や正確さの向上が求められる場合には、測温抵抗体(RTD:Resistance Temperature Detector)が一般的に使用される。RTDは、通常、中心支持体の周りに感温性ワイヤーを巻き付けるか、セラミックなどの非導電性基板上に感温性金属を蒸着するなどしてパターン化した回路を使用する。感温金属は、温度によって導電率が変化する金属であれば何でも使用できる。好適な例としては、ニッケルや白金が挙げられる。RTDは、様々なサイズで作ることができるが、一般的にRTDが大きくなるにつれてコストが増加する。したがって、小型のRTDは、高い測定精度と正確さ、そして低コストという重要な利点を提供する。
【0003】
RTDは様々な用途で使用されているが、1つの特定な用途として、熱プローブがある。熱プローブでは、RTDは、衝撃や媒体との直接接触からRTDを保護するシース、又は、導管、の内に配置される。設置場所によっては、熱プローブは、その後、サーモウェルや流量センサーなど、より大きな検出構造物に挿入される。これらの装置は、通常、プロセス流体の流れ中に露出され、高温や振動の影響を受ける。サーモウェルでは、熱プローブのシースの端部が、サーモウェルの底面に接触している。これは、効果的な熱接触を確保するだけでなく、耐振動性を提供するシースをサーモウェル内に機械的に固定するという点で有利である。
【発明の概要】
【0004】
概要
熱プローブアセンブリは、温度によって変化する電気的特性を有する感温素子を含む。複数のリード線が、感温素子に動作可能に結合されている。感温素子は、シース内に配置され、シースの遠位端部から、感温素子に耐振動性を提供するように選択された距離だけ離間されて、配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】既知のRTDプローブアセンブリの断面図である。
【
図2A】サーモウェルに組み込まれた標準的なRTDプローブアセンブリの断面図である。
【
図2B】サーモウェルに組み込まれた標準的なRTDプローブアセンブリの分解図である。
【
図3A】流量測定装置に組み込まれた標準的なRTDプローブアセンブリの斜視図である。
【
図3B】流量測定装置に組み込まれた標準的なRTDプローブアセンブリの分解図である。
【
図4A】従来技術に従った、流量測定用途におけるRTDプローブアセンブリの概略断面図である。
【
図4B】本発明の実施形態に従った、流量測定用途におけるRTDプローブアセンブリの概略断面図である。
【
図5A】既知のRTDプローブの設計を、本発明の実施形態に従ったRTDプローブ設計(
図5B)と対比的に示す図である。
【
図5B】本発明の実施形態に従ったRTDプローブの設計を、既知のRTDプローブ設計(
図5A)と対比的に示す図である。
【
図6】従来型RTDプローブアセンブリの振動解析と、本発明の実施形態による延伸された長さのRTDの振動解析と、を示す図である。
【
図7】シース長が17.2インチの従来型RTDプローブアセンブリの振動解析と、本発明の実施形態による延伸されたシース長を有するRTDプローブアセンブリの振動解析と、を比較した図である。
【
図8】相対変形量の最小値の位置を示すRTDプローブアセンブリの図である。
【
図9】振動解析を説明するための出力振幅対振動数のグラフである。
【
図10A-1】本発明の別の実施形態によるRTDプローブアセンブリの外径に適用することができるバネアセンブリの斜視図である。
【
図10A-2】本発明の別の実施形態によるRTDプローブアセンブリの外径に適用することができるバネアセンブリの概略図である。
【
図10B-1】本発明の別の実施形態によるRTDプローブアセンブリに適用可能な構造の別の実施形態を示す斜視図である。
【
図10B-2】本発明の別の実施形態によるRTDプローブアセンブリに適用可能な構造の別の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
例示的な実施形態の詳細な説明
RTDアセンブリは、様々な用途で使用されている。このような用途には、プロセス管路を流れるプロセス流体やその他の物質の、温度を測定したり、貯蔵容器やタンク内に廃棄したり、するためのサーモウェルでの利用が含まれる。RTDプローブアセンブリのもう一つの一般的な用途は、プロセス流体の流量測定である。プロセス流体の流量測定中のプロセス流体の温度測定は、流体の特性がプロセス流体の温度によって影響を受ける可能性がある、という点で重要である。プロセス流体の温度も検出するプロセス流体の流量測定システムの一例が、Rosemount 3051SFA-Annubar(登録商標) Flow meterという商品名で販売されている。アニューバー(Annubar)式流量計の平均化ピトー管の第1要素(primary element)では、RTD素子は、通常、アニューバー式流量計の第1要素が延伸されるプロセス流体の導管のほぼ中央に位置するように配置される。一般的にRTDは、遠位端部を支持しない状態で、配管内径の中央1/3にRTD素子が配置されるように、アニューバー式流量計の第1要素で規定されている。認識できるように、アニューバー式流量計の要素は、プロセス流体が流れると振動を受ける。場合によっては、流量計の第1要素内のRTD素子が受ける振動によって、RTD素子が損傷したり、破壊されたりすることがある。
【0007】
本発明の実施形態は、一般的に、RTD素子に対する振動の問題の慎重な研究から生じるものであり、本発明の実施形態は、特に、プロセス流体の流れる設備に配置されたRTDアセンブリに適用可能であるが、本発明の実施形態は、RTDプローブアセンブリが振動を受ける任意の設備、又は、用途に適用可能である。
【0008】
図1は、RTDプローブアセンブリの断面図である。RTDプローブアセンブリ100は、シース104の遠位端部106の近くの保護シース104内に位置するRTD素子102を含む。シース104は、マウント108に機械的に結合されており、マウント108は、場合によっては、サーモウェルのような他の構造物にネジ式に取り付けられるようにネジが切られている。複数の導線110、112、114、116は、RTD素子102に電気的に結合され、RTD素子102への外部接続を可能にする。
【0009】
RTD素子102は、温度によって変化する導電率を有する金属などの材料の巻線、又は、回路によって形成されている。そのような金属の例には、白金やニッケルが含まれる。
図1に示されるように、RTDアセンブリ100は、4つのリード線110、112、114、及び、116を有する。これにより、RTD素子102を高精度な4線式測定技術で測定することができる。しかし、そのような精度を必要としない場合は、4本以下の配線で実施することも可能である。RTD素子102は、シース104の遠位端部106に非常に近接して位置決めされていることが図示されている。一般的に、特にサーモウェルの場合、RTD素子はサーモウェルの遠位端部の温度を測定することを目的としている。RTD素子と、シース、及び/又は、サーモウェルの端部と、の間に材料が存在する限り、このような追加の材料は、RTD素子によって測定が可能になるように、介在する構造を介して熱が流れるための追加の時間を発生させる。したがって、距離118は、一般的には、熱システムの時定数を減少させるために最小化される。
【0010】
図2Aは、サーモウェル120内に取り付けられたRTDプローブアセンブリ100の断面図である。図に示されるように、シース104は、サーモウェル120のボア122内に挿入される。更に、遠位端部106は、サーモウェル120の遠位端部124の近傍に位置する。ネジ付アダプタ126は、RTDプローブアセンブリ100をネジ式に受けた後、次に、サーモウェル120の取り付け部分130内にネジ式に受けられる外向きネジ山128を含んでいる。これにより、RTDプローブアセンブリ100を、プロセス流体、又は、他の材料に熱的に露出させながら、RTDプローブアセンブリ100を、そのような露出から機械的及び化学的に保護することができる非常に堅牢な構造が形成される。
【0011】
図2Bは、
図2Aに示す同アセンブリの分解図である。視認できるように、シース104は、ネジ式マウント132を通過している。
【0012】
図3Aは、プロセス流体の流量測定システムに組み込まれたRTDアセンブリを示す斜視図である。プロセス流体の流量測定システムは、取り付けフランジ152と流量測定プローブ154を有する第1要素150を含む。取り付けフランジ152は、標準的なパイプフランジなどを介して、第1要素150をプロセス流体の流れる導管に取り付けるように構成されている。測定プローブ154は、プロセス流体の流れる導管内に延伸され、広い流量範囲にわたって優れた測定精度を提供する平均化ピトー管を提供する開口部155を含んでいる。流量測定プローブ154がプロセス流内に配置されている場合、測定プローブ154のエッジ156は、流量測定プローブに振動を誘発するフォン・カルマン渦を発生させることができる。RTDアセンブリ100(
図3Bに示す)は、送信機158がプロセス流体温度の指示値を提供できるように、流量測定プローブ154内に設けられている。
【0013】
図3Bは、流量測定要素150の熱プローブポート160内に配置された標準RTD100を示している。RTDアセンブリの導線は、一般的に、RTD素子の抵抗を測定し、プロセス流体温度の指示を提供するように構成された筐体162内の電子機器、又は、端子ブロック、に結合される。
【0014】
図4A及び
図4Bは、既知のRTDプローブ設計と、本発明の実施形態に従ったRTDプローブ設計と、を対比させるものである。
図4Aに示されるように、既知の設計では、シース104の端部106に近接して配置されたRTD素子102を有する。RTD素子がシースの端部、又は、その近傍にある場合、振動による損傷や破壊を受けやすいことが判明している。したがって、
図4Bに示すように、RTD素子102が依然として流導管170内の概ね同じ軸方向の位置にある一方で、シース204の端部206はRTD素子102から離間されて配置されている。このようにして、シース204に沿って存在する振動は、その波長に対応するが、素子102の位置から離間されて存在するようになる。シースの延伸量は、本発明の様々な実施形態に従って変化させることができる。シースの延伸は、シースの直径の関数として提供することができる。例えば、延伸は、少なくともシースの3本分の直径の距離で指定することができる。また、好ましい距離としては、6本分の直径の距離とすることができる。他の実施形態では、シースの延伸は、熱プローブが使用される構造物の固有周波数に基づいて選択することができる。例えば、共振周波数が300Hzの流れの第1要素は、1.5インチの延伸が必要な場合がある。最後に、シース延伸部は、単にRTD素子からの距離として提供することができる。一実施形態では、この距離は0.5インチよりも大きい。好ましい実施形態では、シース延伸部は、約1.5インチである。
【0015】
図5A及び
図5Bは、既知のRTDプローブアセンブリ設計(
図5A)と、本明細書に記載される実施形態に従ったRTDアセンブリ(
図5B)とを対比させている。
図5Aに示すように、RTD検出素子102は、一般的に、シース104の端部106から約半インチ(12.7mm)以内に配置される。これとは明確に対照的に、
図5Bに示されるように、素子102は、シース204の端部206から大きく離間されている。シース204のこの延伸された長さは、参照数字208で図示されている。この実施形態は、一般的な、RTDアセンブリの時定数の減少を確実にするために、検出素子を遠位端部にできるだけ近く配置するというRTDプローブの通常の設計とは反するものである。この比較的単純な、しかし直感に反するような変形は、RTDプローブアセンブリの様々な振動モードを詳細に理解することによって促進された。
【0016】
図6は、17.2インチの長さを有する既知のRTDプローブアセンブリと、18.7インチの長さを有する本発明の実施形態による延伸RTDプローブアセンブリと、の比較における振動解析の図である。それぞれの場合において、各設計に関する様々な次数の高調波振動が示されている。RTDが共振周波数で振動しているときに、RTD素子の変形が最小となる位置にシース長を延伸することで、防振性能の向上が実現される。RTDのNPT側を固定した状態で、RTDのシース変形をシミュレーションするために、ANSYSが使用される。シースの1次の相対変形の傾向を
図6と
図7に示す。1次から5次までの相対変形の傾向から、1インチから5インチまでの位置で変形が最小となっている。周波数が高いほど、関連する変形位置がシース端に近くなる。周波数が200Hz以上の場合、RTDアセンブリの先端から約1.5インチで、最小の関連する変形が発生している。
【0017】
図7は、本発明の実施形態による延伸RTDプローブアセンブリ(RTDシース長17.2インチ)と比較した従来のRTDプローブアセンブリ(RTDシース長21.2インチ)の振動解析の図である。
【0018】
シミュレーションの結果に基づいて、延伸の長さを変えた様々な試作品を作成した。例えば、従来のRTDアセンブリは1.5インチの延伸シース端に提供され、追加の試作品はIEC-7700振動試験用に4インチの延伸シース端に提供された。初期の共振サーチが10-500Hzに設定され、
図9に示すように周波数が掃引された。約294Hzと364Hzに2つのピークが現れた。耐久条件の掃引周波数を285~305Hzに設定し、耐久時間を40時間としたところ、初回の振動試験後に、すべてのRTDで正常値を読み取れた。その後、耐久の掃引周波数を360~380Hzに変更したところ、いくつかの不具合が発生し始めた。従来のRTD(延伸なし)が最も早く故障し、次に最も長い延伸部(4インチ)のものが故障した。しかし、1.5インチの延伸試作品は、耐久試験で失敗しなかった。振動試験の結果、シース延伸部がない場合よりも、任意にシースを延伸させた方がよいが、共振周波数の波長に基づく特定のシースの延伸が、最も良い結果をもたらすことが示された。したがって、本発明の実施形態から、RTD素子位置における最小、又は、減少した変形位置を提供するために、検出素子位置を変えることなく、RTDシース長を増加させるだけで、RTDプローブアセンブリの耐振動性を改善できると考えられる。この改善は、RTDプローブアセンブリの製造に対して、比較的少ない変更を加えるだけで、最小限のコスト増で、提供することができる。本発明の実施形態は、
図3に示されるような第1要素のピトー管差圧の平均化に特に有用であるが、本発明の実施形態は、任意の振動にさらされる任意のRTDプローブアセンブリで有用である。
【0019】
本明細書に記載された実施形態は、一般的に、RTDアセンブリのシースを延伸することによって、RTDアセンブリの耐振動性を改善するが、シースの外径の周りに付勢素子(biasing element)を配置することによって追加の改善を提供できることも見出されている。これにより、サーモウェルやその他の測定アセンブリの内部で、シースがガタつく、又は、振動する程度を減少させることができる。
【0020】
図10A-1は、本発明の実施形態に係るRTDシースの外径に適用可能に外形化されたバネの斜視図である。バネ300は、RTDシース104(
図10A-2に示す)の外径に、固定されるか、又は、他の方法で付勢させるために、端部302、304が比較的小さい直径を有するような外形を有する。更に、バネ300は、サーモウェル、又は、その他の測定構造の内径122(
図2Aに示す)などの内径と係合するように構成された、より大きな直径部分306を含むように外形化されている。このようにして、バネ300は、シース104が測定構造内でガタつくか、さもなければ、振動する、程度を減少させるのに有益である。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、シース104が測定構造内で移動できる程度を減少させるために、他の適切な素子をシース104の外径に適用することが可能である。
図10B-1に示されるように、バネ性バレル350は、シース104の外径の周りに適合する大きさの開口部352、354を含む。更に、スロット356は、端部352、354が外径104の周りに適合するように、バネ性バレル350が変形することを可能にする。更に、バネ性バレル350は、サーモウェル、又は、他の適切な測定構造の直径122などの内面に係合するために外側に湾曲する長手方向の細長い薄板(slat)358を備えるように示されている。このようにして、バネ性バレル350は、バネ300(
図10A-1、及び、
図10A-2に示す)と同様に機能し、RTDシースが、サーモウェル、又は、測定構造、内で移動する可能性の程度を低減させることができる。バネ300、又は、バネ性バレル350は、RTD素子105とサーモウェルとの間の相対的な移動を緩和するために、クランプ、又は、その他の手段によって、シースに固定することができる。
【0022】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されているが、当業者は、本発明の精神、及び、範囲から逸脱することなく、形態、及び、詳細において変更を加えることができることを認識するであろう。