(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】電子膨張弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
F16K31/04 Z
(21)【出願番号】P 2022567514
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 CN2021089392
(87)【国際公開番号】W WO2022037104
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】202021744060.1
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】▲ザン▼ 少軍
(72)【発明者】
【氏名】楼 金強
(72)【発明者】
【氏名】楊 輝
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103994231(CN,A)
【文献】中国実用新案第211175578(CN,U)
【文献】特開2011-196536(JP,A)
【文献】中国実用新案第203963029(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第107655241(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105241131(CN,A)
【文献】特開2001-241562(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2019-0057725(KR,A)
【文献】特開2003-090452(JP,A)
【文献】実開昭62-179576(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ロータ(10)と、
少なくとも一部が前記磁気ロータ(10)内に固定して設けられ、射出成形構造であり、第1係合孔(21)を有する板体(22)、及び前記板体(22)に設けられるボス(27)を含む接続部材(20)と、
離間された制限孔(32)及び第2係合孔(31)を有し、前記第2係合孔(31)と前記第1係合孔(21)とは対応して設けられ、前記ボス(27)は前記制限孔(32)に差し込まれる制限部材(30)と、
前記第1係合孔(21)を貫通し、且つ前記第2係合孔(31)の内壁に固定接続されるスクリュ(40)と、
前記磁気ロータ(10)内に固定して設けられ、前記磁気ロータ(10)の軸方向に沿って前記磁気ロータ(10)内で延在する移動ガイド軸(50)と、
を含み、
前記接続部材(20)と前記移動ガイド軸(50)とは一体構造であ
り、
前記板体(22)は、平板と、前記平板から突出して設けられる凸板とを含み、前記スクリュ(40)の径方向において、前記凸板のサイズは前記平板のサイズより小さく、前記ボス(27)は前記凸板上に位置する、電子膨張弁。
【請求項2】
前記ボス(27)は複数あり、複数の前記ボス(27)は前記第1係合孔(21)を囲んで設けられ、前記制限孔(32)は複数あり、複数の前記制限孔(32)は前記第2係合孔(31)を囲んで設けられ、複数の前記ボス(27)と複数の前記制限孔(32)とは1対1で対応して接続される、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項3】
前記移動ガイド軸(50)は前記平板に接続され、前記移動ガイド軸(50)及び前記凸板は前記平板の両側にそれぞれ位置する、請求項
1に記載の電子膨張弁。
【請求項4】
前記移動ガイド軸(50)は前記板体(22)に固定接続される、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項5】
前記移動ガイド軸(50)は射出成形構造である、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項6】
前記接続部材(20)と前記移動ガイド軸(50)とはポリフェニレンスルフィドからなる、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項7】
前記制限部材(30)と前記スクリュ(40)とは金属からなり、前記接続部材(20)と前記制限部材(30)とは熱かしめ接続される、請求項1に記載の電子膨張弁。
【請求項8】
前記スクリュ(40)は前記第2係合孔(31)を貫通し、前記スクリュ(40)の外壁は前記第2係合孔(31)の内壁に溶接される、請求項1に記載の電子膨張弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は電子膨張弁の技術分野に関し、具体的には、電子膨張弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子膨張弁における、磁気ロータ及びスクリュと係合する接続部材は、通常、粉末冶金構造であり、このようなプロセスはコストが比較的高い。また、粉末冶金材料の特性上、接続部材は、他の部品と溶接すると、溶接位置が黒くなり、溶接強度が足りず、溶接品質の識別が困難である。従って、電子膨張弁を最適化して、コストを削減し、品質を向上させる必要がある。
【発明の概要】
【0003】
本出願は、電子膨張弁の製造コストを削減する電子膨張弁を提供している。
【0004】
上記の目的を実現するために、本出願は、磁気ロータと、少なくとも一部が磁気ロータ内に固定して設けられ、射出成形構造であり、第1係合孔を有する板体、及び板体に設けられるボスを含む接続部材と、離間された制限孔及び第2係合孔を有し、第2係合孔と第1係合孔とは対応して設けられ、ボスは制限孔に差し込まれる制限部材と、第1係合孔を貫通し、且つ第2係合孔の内壁に固定接続されるスクリュと、磁気ロータ内に固定して設けられ、磁気ロータの軸方向に沿って磁気ロータ内で延在する移動ガイド軸と、を含む電子膨張弁を提供している。
【0005】
更に、ボスは複数あり、複数のボスは第1係合孔を囲んで設けられ、制限孔は複数あり、複数の制限孔は第2係合孔を囲んで設けられ、複数のボスと複数の制限孔とは1対1で対応して接続される。
【0006】
更に、板体は、平板と、平板から突出して設けられる凸板とを含み、スクリュの径方向において、凸板のサイズは平板のサイズより小さく、ボスは凸板上に位置する。
【0007】
更に、移動ガイド軸は平板に接続され、移動ガイド軸及び凸板は平板の両側にそれぞれ位置する。
【0008】
更に、移動ガイド軸は板体に固定接続される。
【0009】
更に、移動ガイド軸は射出成形構造である。
【0010】
更に、接続部材と移動ガイド軸とは一体構造である。
【0011】
更に、接続部材と移動ガイド軸とはポリフェニレンスルフィドからなる。
【0012】
更に、制限部材とスクリュとは金属からなり、接続部材と制限部材とは熱かしめ接続される。
【0013】
更に、スクリュは第2係合孔を貫通し、スクリュの外壁は第2係合孔の内壁に溶接される。
【0014】
本出願の技術態様を適用すると、磁気ロータと、少なくとも一部が磁気ロータ内に固定して設けられ、射出成形構造であり、第1係合孔を有する板体、及び板体に設けられるボスを含む接続部材と、離間された制限孔及び第2係合孔を有し、第2係合孔と第1係合孔とは対応して設けられ、ボスは制限孔に差し込まれる制限部材と、第1係合孔を貫通し、且つ第2係合孔の内壁に固定接続されるスクリュと、磁気ロータ内に固定して設けられ、磁気ロータの軸方向に沿って磁気ロータ内で延在する移動ガイド軸と、を含む電子膨張弁を提供している。この態様を用いると、接続部材は射出成形構造であり、且つ接続部材と制限部材とは、ボスと制限孔との係合により接続が実現され、従来の粉末冶金構造の接続部材と比較して、単一部品の製造コストを削減することができ、且つ接続部材と制限部材とを溶接する必要がないため、組立コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本出願の一部を構成する明細書の図面は本出願に対する更なる理解を提供するためのものであり、本出願の模式的な実施例及びその説明は本出願を解釈するためのものであり、本出願を不適切に限定するものではない。
【0016】
【
図1】本出願の実施例により提供される電子膨張弁の構成模式図を示す。
【
図4】
図1における接続部材及び移動ガイド軸の模式図を示す。
【0017】
ここで、上記の図面には以下の符号が含まれる。
10 磁気ロータ、20 接続部材、21 第1係合孔、22 板体、27 ボス、30 制限部材、31 第2係合孔、32 制限孔、40 スクリュ、50 移動ガイド軸。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本出願の実施例における図面を参照して、本出願の実施例における技術態様について明確且つ完全に説明する。説明される実施例は本出願の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではないことは明らかである。以下の少なくとも1つの例示的な実施例についての説明は実際には例示にすぎず、本出願及びその適用又は使用に対するいかなる制限とされるものではない。本出願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力なしに得られる全ての他の実施例は、いずれも本出願の保護の範囲に属する。
【0019】
図面に示すように、本出願の実施例は、磁気ロータ10と、少なくとも一部が磁気ロータ10内に固定して設けられ、射出成形構造であり、第1係合孔21を有する板体22、及び板体22に設けられるボス27を含む接続部材20と、離間された制限孔32及び第2係合孔31を有し、第2係合孔31と第1係合孔21とは対応して設けられ、ボス27は制限孔32に差し込まれる制限部材30と、第1係合孔21を貫通し、且つ第2係合孔31の内壁に固定接続されるスクリュ40と、磁気ロータ10内に固定して設けられ、磁気ロータ10の軸方向に沿って磁気ロータ10内で延在する移動ガイド軸50と、を含む電子膨張弁を提供している。
【0020】
この態様を用いると、接続部材20は射出成形構造であり、且つ接続部材20と制限部材30とは、ボス27と制限孔32との係合により接続が実現され、従来の粉末冶金構造の接続部材と比較して、単一部品の製造コストを削減することができ、且つ接続部材20と制限部材30とを溶接する必要がないため、組立コストを削減することができる。
【0021】
本実施例において、ボス27は複数あり、複数のボス27は第1係合孔21を囲んで設けられ、制限孔32は複数あり、複数の制限孔32は第2係合孔31を囲んで設けられ、複数のボス27と複数の制限孔32とは1対1で対応して接続される。このように、複数のボス27と複数の制限孔32とが係合することにより、接続部材20と制限部材30との接続強度を向上させることができる。
【0022】
具体的には、板体22は、平板と、平板から突出して設けられる凸板とを含み、スクリュ40の径方向において、凸板のサイズは平板のサイズより小さく、ボス27は凸板上に位置する。このように、板体22は中部領域の厚さが比較的大きく、スクリュ40と係合した後スクリュ40の安定性を向上させることができる。
【0023】
本実施例において、移動ガイド軸50は板体22に固定接続される。あるいは図示しない実施例において、移動ガイド軸50は、磁気ロータ10の内壁に固定して設けられてもよい。
【0024】
具体的には、移動ガイド軸50は平板に接続され、移動ガイド軸50及び凸板は平板の両側にそれぞれ位置する。
【0025】
本実施例において、移動ガイド軸50は射出成形構造である。このように、移動ガイド軸50が非金属材料からなることにより、コストを削減することができる。
【0026】
具体的には、接続部材20と移動ガイド軸50とは一体構造である。これにより、製造コストが削減されるだけでなく、接続部材20及び移動ガイド軸50の構造強度も向上する。
【0027】
本実施例において、接続部材20と移動ガイド軸50とはポリフェニレンスルフィド(PPS)からなる。ポリフェニレンスルフィド材料は、強度が比較的高く、且つ高温に強いため、性能要件を満たすと同時にコストを削減することができる。
【0028】
本実施例において、制限部材30とスクリュ40とは金属からなり、接続部材20と制限部材30とは熱かしめ接続される。これにより、接続部材20と制限部材30との溶接が黒くなり、溶接強度が足りず、溶接品質の識別が困難であるという問題を防止することができる。
【0029】
本実施例において、スクリュ40は第2係合孔31を貫通し、スクリュ40の外壁は第2係合孔31の内壁に溶接される。このように、制限部材30とスクリュ40とは、ステンレス鋼同士の溶接であり、溶接が確実であり、強度が高く、溶接品質の識別が可能である。
【0030】
ここで制限部材30は、板材により打抜成形することができ、加工が簡単で、コストが低く、製造性に優れる。
【0031】
選択的には、板体には捨て孔があるため、材料の使用量を減少させることができる。第1係合孔21の下端の周縁は、スクリュ40を差し込みやすいように面取りされている。
【0032】
選択的には、板体22は第3係合孔を有し、第3係合孔は、第1係合孔21と連通し、直径が第1係合孔21の直径より大きく、第1係合孔21と制限部材30との間に位置する。スクリュ40と制限部材30との溶接を容易にするために、第3係合孔にはんだを配置することができる。
【0033】
選択的には、スクリュ40は、互いに接続された第1ロッドセグメント及び第2ロッドセグメントを含み、第1ロッドセグメントの直径は第2ロッドセグメントの直径より小さく、第1ロッドセグメントは第1係合孔21及び第2係合孔31を貫通し、第1ロッドセグメントと第2ロッドセグメントとの間の段差は、両者の軸方向の制限及び位置決めを実現するように、接続部材20に当接される。
【0034】
上述したものは本出願の好ましい実施例にすぎず、本出願を制限するためのものではなく、当業者にとって、本出願は様々な変更及び変化が可能である。本出願の精神及び原則の範囲内でなされたいかなる修正、同等の置換、改良等はいずれも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。