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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】多重入出力アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20241119BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
H05K7/20 B
H01Q21/06
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2022574323
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 KR2021006986
(87)【国際公開番号】W WO2021246817
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】10-2020-0068638
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0072088
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク ヨン キム
(72)【発明者】
【氏名】キョ スン ジ
(72)【発明者】
【氏名】チ バク リュ
(72)【発明者】
【氏名】ベ モーク ジョン
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/058646(WO,A1)
【文献】特開平11-297876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01Q 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一領域に所定の空間形態で収容空間が形成されたメインボードと、
前記メインボードの後面部側に積層され、前記収容空間を向く前面部に複数の発熱素子としての能動素子が実装されたサブボードと、を含み、
前記能動素子から発生した熱は、前記サブボードの後面部側に放熱されるものであり、
前記サブボードは、少なくとも2つのレイヤ層を有する多層基板であり、
前記サブボードの前面に相当するレイヤ層には、前記能動素子が実装配置され、
前記サブボードの後面に相当するレイヤ層には、発熱素子としての受動素子が配置され、
前記能動素子および受動素子から発生した熱は、前記サブボードの後面側に放熱される、多重入出力アンテナ装置。
【請求項2】
前記メインボードは、前記サブボードより相対的に前方部に配置され、
前記サブボードは、前面部が前記メインボードの後面部の一部と密着して積層配置され、前記メインボードの後面部と非接触の範囲である前記収容空間を形成し、前記収容空間に相当する前面部に前記能動素子が実装された、請求項1に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項3】
前記メインボードは、前後方に積層されたマルチレイヤ層が一体に接合形成された一体型ワンボードであり、後面部のうち一部の領域から前記マルチレイヤ層の少なくとも一部が除去されて前記収容空間を形成し、
前記サブボードは、前記マルチレイヤ層のうち前記メインボードの最後方に位置したレイヤ層の後面部側に積層され、前記収容空間を向く前面部に前記能動素子が実装された、請求項1に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項4】
前記発熱素子の駆動による温度上昇による前記サブボードの熱膨張量は、前記メインボードの熱膨張量より小さい、請求項1に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項5】
前記サブボードの前後の厚さは、前記メインボードの前後の厚さより小さい、請求項1に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項6】
前記メインボードの前面部には第1発熱素子が配置され、前記サブボードの前面部には第2発熱素子が配置され、
前記第2発熱素子の出力電力は、前記第1発熱素子の出力電力より大きい、請求項1に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項7】
前記第1発熱素子は、Rx素子(LNA)であり、前記第2発熱素子は、Tx素子(PAおよびDA)である、請求項6に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項8】
前記メインボードの後面部側には第3発熱素子がさらに配置される、請求項6に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項9】
前記第3発熱素子は、FPGAを含む、請求項8に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項10】
前記メインボードの後面部のうち前記サブボードの前面部と重ならない後面部にはデジタル半導体が実装配置され、
前記メインボードのデジタル半導体から発生した熱は、前記サブボードの複数の発熱素子から発生した熱と一緒に前記サブボードの後面部側に放熱されることを特徴とする、請求項1に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項11】
前記メインボードと前記サブボードは、エポキシ樹脂材質からなる、請求項1に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項12】
前記メインボードは、複数の送受信チャネルを有する複数のセクションを含み、
前記サブボードは、前記複数のセクションそれぞれに対応する個数からなる、請求項1に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項13】
前記サブボードは、前記発熱素子の発振を防止する発振防止回路をさらに含む、請求項1に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項14】
前記サブボードの後面に相当するレイヤ層のうち前記受動素子の間には接地パターン(GNDパターン)が形成され、
前記接地パターンは、前記メインボードおよび前記サブボードが設けられるアンテナハウジング部の内部面と接触して、前記サブボードから発生する電磁波の遮蔽面積を増加させる、請求項1に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項15】
前記サブボードは、前記少なくとも2つのレイヤ層が前記メインボードのマルチレイヤ層と同一の方式で接合形成された、請求項1に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項16】
前記サブボードには、前記発熱素子から発生した熱を後方に排出するための少なくとも1つの熱伝達ブリッジホールが形成された、請求項1に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項17】
前記熱伝達ブリッジホールには、熱伝導性材質が充填される、請求項16に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項18】
前記サブボードは、メタルPCBである、請求項16に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項19】
前方部には、前記メインボードおよび前記サブボードが設けられる装着空間が備えられ、後方部には、前記発熱素子から発生した熱が伝達されて外部に放熱する複数のヒートシンクフィンが一体に形成されたアンテナハウジング部、をさらに含む、請求項1に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項20】
前記発熱素子から発生した熱は、前記サブボードの後面部側に伝達されて前記複数のヒートシンクフィンを介して放熱されるように、前記サブボードの後面部と前記アンテナハウジング部の内部面とは表面熱接触する、請求項19に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項21】
少なくとも一領域に所定の空間形態で収容空間が形成されたメインボードと、
前記メインボードの後面部側に積層され、前記収容空間を向く前面部に複数の発熱素子が実装されたサブボードと、を含み、
前記発熱素子から発生した熱は、前記サブボードの後面部側に放熱されるものであり、
共振器を収容する収容空間が備えられ、前記メインボードの前方部に載置される複数のフィルタと、
前記複数のフィルタの前方部に積層され、前記複数のフィルタを介して所定の電気的な信号ラインを構築する複数のアンテナ素子が前面に実装されたアンテナボードと、をさらに含む、多重入出力アンテナ装置。
【請求項22】
前記複数のフィルタの後段部には、前記電気的な信号ラインとの信号干渉を遮蔽するためのクラムシェル部が一体に形成された、請求項21に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項23】
前記メインボードの前面には、前記電気的な信号ラインに対応する送信チャネルおよび受信チャネルが複数個備えられ、
前記クラムシェル部は、前記送信チャネルおよび受信チャネルの領域が空間上区画されるように遮蔽する送受信区画リブ、を含む、請求項22に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項24】
前記クラムシェル部は、前記送信チャネルのうち一対で備えられて、所定距離離隔している送信回路パターンが相互空間上区画されるように遮蔽する送信部区画リブ、をさらに含む、請求項23に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項25】
前記複数のフィルタの後段部には、前記メインボード側に突出した少なくとも1つの位置固定突起が形成され、
前記クラムシェル部は、前記少なくとも1つの位置固定突起が前記メインボードの対応する位置に形成された少なくとも1つの位置設定溝に載置される時、前記送受信区画リブおよび前記送信部区画リブによって前記送信チャネルおよび受信チャネルの領域および前記送信回路パターンを完全区画する、請求項24に記載の多重入出力アンテナ装置。
【請求項26】
前記複数のフィルタの後段部には、前記メインボードと電気的に連結する一対のメインボード側RFコネクタが備えられ、
前記複数のフィルタの前段部には、前記複数のフィルタの前段部に積層されたアンテナボードと電気的に連結する一対のアンテナボード側RFコネクタが備えられた、請求項22に記載の多重入出力アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重入出力アンテナ装置(MULTI INPUT AND MULTI OUTPUT ANTENNA APPARATUS)に関し、より詳しくは、RF素子から発生した熱をメインハウジングの後方に放熱させることにより、アンテナ性能を向上させることができる多重入出力アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術、例えば、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)技術は、複数のアンテナを用いてデータの伝送容量を画期的に増加させる技術であって、送信機ではそれぞれの送信アンテナを介して互いに異なるデータを伝送し、受信機では適切な信号処理により送信データを区分するSpatial multiplexing手法である。
【0003】
したがって、送受信アンテナの個数を同時に増加させることによりチャネル容量が増加してより多くのデータを伝送可能にする。例えば、アンテナ数を10個に増加させると、現在の単一アンテナシステムに比べて同じ周波数帯域を用いて約10倍のチャネル容量を確保する。このようなMIMO技術が適用された送受信装置の場合、アンテナの個数が増加するに伴い、送信機(Transmitter)とフィルタ(Filter)の個数も一緒に増加する。
【0004】
特に、メインハウジングには複数の基板(例えば、メインハウジングの設置空間上で背面側に密着配置されたPBA(Printed Board Assembly)、PBAの前方側に所定距離離隔して積層配置されたアンテナボード、およびPBAまたはアンテナボードの一側に配置されたPSU基板など)が積層配置され、作動時、多量の駆動熱を発生させる複数のRF給電ネットワーク素子およびRFフィルタが設けられる。
【0005】
ところが、従来の多重入出力アンテナ装置の場合、作動時、メインハウジングの内部に発生する多量の駆動熱をメインハウジングの外部(特に、後方)に効果的に放熱しなければならないが、このために、PBAの前面に発熱素子を実装した後、発熱素子の実装面であるPBAの後方に貫通する複数のビアホールを加工するか、複数のビアホールに対応する位置に熱伝達コインを設けることで放熱させる構造を採用する。
【0006】
しかし、PBAは、一般的に熱伝導率が低い基板材質からなることから、ビアホールを介して熱を排出する構造は、発熱素子とビアホールとの間の接触面積が小さくて放熱効率が小さい一方、熱伝達コインを用いた構造も、発熱素子との接触面の接触公差による所定の放熱効果の低下を示す問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、メインハウジングの背面側に直接密着するようにメインボードから分離されたサブボードを介して放熱性能を極大化できる多重入出力アンテナ装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、サブボードの前面と後面にRF給電ネットワーク素子のような発熱素子を分散実装することにより、接地面積を拡張させることはもちろん、サブボードの接地パターンとのインピーダンスマッチングを可能にする多重入出力アンテナ装置を提供することを他の目的とする。
【0009】
また、マルチバンドフィルタの後段部にクラムシェル部を一体形成し、一体形成されたクラムシェル部を用いて同一のマルチバンドフィルタ内のTx/RxおよびTx/Txの間を遮蔽してIsolation(遮蔽性)を確保することにより、信号干渉を低下させることができる多重入出力アンテナ装置を提供することをさらに他の目的とする。
【0010】
本発明の課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による多重入出力アンテナ装置の一実施例は、少なくとも一領域に所定の空間形態で収容空間が形成されたメインボードと、前記メインボードの後面部側に積層され、前記収容空間を向く前面部に複数の発熱素子が実装されたサブボードとを含み、前記発熱素子から発生した熱は、前記サブボードの後面部側に放熱されることを特徴とする。
【0012】
ここで、前記メインボードは、前記サブボードより相対的に前方部に配置され、前記サブボードは、前面部が前記メインボードの後面部の一部と密着して積層配置され、前記メインボードの後面部と非接触の範囲である前記収容空間を形成し、前記収容空間に相当する前面部に前記複数の発熱素子が実装される。
【0013】
また、前記メインボードは、前後方に積層されたマルチレイヤ層が一体に接合形成された一体型ワンボードであり、後面部のうち一部の領域から前記マルチレイヤ層の少なくとも一部が除去された収容空間を形成し、前記サブボードは、前記マルチレイヤ層のうち前記メインボードの最後方に位置したレイヤ層の後面部側に積層され、前記収容空間を向く前面部に前記複数の発熱素子が実装される。
【0014】
また、前記発熱素子の駆動による温度上昇による前記サブボードの熱膨張量は、前記メインボードの熱膨張量より小さい。
【0015】
また、前記サブボードの前後の厚さは、前記メインボードの前後の厚さより小さい。
【0016】
また、前記メインボードの前面部には第1発熱素子が配置され、前記サブボードの前面部には第2発熱素子が配置され、前記第2発熱素子の出力電力は、前記第1発熱素子の出力電力より大きい。
【0017】
また、前記第1発熱素子は、Rx素子(LNA)であり、前記第2発熱素子は、Tx素子(PAおよびDA)であってもよい。
【0018】
また、前記サブボードの後面部側には第3発熱素子がさらに配置される。
【0019】
また、前記第3発熱素子は、FPGAを含むことができる。
【0020】
また、前記メインボードの後面部のうち前記サブボードの前面部と重ならない後面部にはデジタル半導体が実装配置され、前記メインボードのデジタル半導体から発生した熱は、前記サブボードの複数の発熱素子から発生した熱と一緒に前記サブボードの後面部側に放熱されることを特徴とする。
【0021】
また、前記メインボードと前記サブボードは、エポキシ樹脂材質からなる。
【0022】
また、前記メインボードは、複数の送受信チャネルを有する複数のセクションを含み、前記サブボードは、前記複数のセクションそれぞれに対応する個数からなる。
【0023】
また、前記サブボードは、前記発熱素子の発振を防止する発振防止回路をさらに含むことができる。
【0024】
また、前記サブボードは、少なくとも2つのレイヤ層を有する多層基板であってもよい。
【0025】
また、前記サブボードの前面に相当するレイヤ層には、前記発熱素子の一部として能動素子が実装配置され、前記サブボードの後面に相当するレイヤ層には、前記発熱素子の残りとして受動素子が配置され、前記能動素子および受動素子から発生した熱は、前記サブボードの後面側に放熱される。
【0026】
また、前記サブボードの後面に相当するレイヤ層のうち前記発熱素子の間には接地パターン(GNDパターン)が形成され、前記接地パターンは、前記メインボードおよび前記サブボードが設けられるアンテナハウジング部の内部面と接触して、前記サブボードから発生する電磁波の遮蔽面積を増加させることができる。
【0027】
また、前記サブボードは、前記少なくとも2つのレイヤ層が前記メインボードのマルチレイヤ層と同一の方式で接合形成される。
【0028】
また、前記サブボードには、前記発熱素子から発生した熱を後方に排出するための少なくとも1つの熱伝達ブリッジホールが形成される。
【0029】
また、前記熱伝達ブリッジホールには、熱伝導性材質が充填される。
【0030】
また、前記サブボードは、メタルPCBであってもよい。
【0031】
また、前方部には、前記メインボードおよび前記サブボードが設けられる装着空間が備えられ、後方部には、前記発熱素子から発生した熱が伝達されて外部に放熱する複数のヒートシンクフィンが一体に形成されたアンテナハウジング部をさらに含むことができる。
【0032】
また、前記発熱素子から発生した熱は、前記サブボードの後面部側に伝達されて前記複数のヒートシンクフィンを介して放熱されるように、前記サブボードの後面部と前記アンテナハウジング部の内部面とは表面熱接触することができる。
【0033】
また、共振器を収容する収容空間が備えられ、前記メインボードの前方部に載置される複数のフィルタと、前記複数のフィルタの前方部に積層され、前記複数のフィルタを介して所定の電気的な信号ラインを構築する複数のアンテナ素子が前面に実装されたアンテナボードとをさらに含むことができる。
【0034】
また、前記複数のフィルタの後段部には、前記電気的な信号ラインとの信号干渉を遮蔽するためのクラムシェル部が一体に形成される。
【0035】
また、前記メインボードの前面には、前記電気的な信号ラインに対応する送信チャネルおよび受信チャネルが複数個備えられ、前記クラムシェル部は、前記送信チャネルおよび受信チャネルの領域が空間上区画されるように遮蔽する送受信区画リブを含むことができる。
【0036】
また、前記クラムシェル部は、前記送信チャネルのうち一対で備えられて、所定距離離隔している送信回路パターンが相互空間上区画されるように遮蔽する送信部区画リブをさらに含むことができる。
【0037】
また、前記複数のフィルタの後段部には、前記メインボード側に突出した少なくとも1つの位置固定突起が形成され、前記クラムシェル部は、前記少なくとも1つの位置固定突起が前記メインボードの対応する位置に形成された少なくとも1つの位置設定溝に載置される時、前記送受信区画リブおよび前記送信部区画リブによって前記送信チャネルおよび受信チャネルの領域および前記送信回路パターンを完全区画することができる。
【0038】
また、前記複数のフィルタの後段部には、前記メインボードと電気的に連結する一対のメインボード側RFコネクタが備えられ、前記複数のフィルタの前段部には、前記複数のフィルタの前段部に積層されたアンテナボードと電気的に連結する一対のアンテナボード側RFコネクタが備えられる。
【発明の効果】
【0039】
本発明による多重入出力アンテナ装置によれば、次のような多様な効果を達成することができる。
【0040】
第一、メインボードとは別個に、サブボードを用いて発熱素子から発生した熱をアンテナハウジング部の外部により容易に放熱させることにより、放熱性能を向上させる効果を有する。
【0041】
第二、サブボードを2つのレイヤ層で構成することにより、アンテナハウジング部との間で接地遮蔽効果を向上させることができる。
【0042】
第三、マルチバンドフィルタの後段部にクラムシェル部を一体に形成することにより、共振器の設けられる空間が拡張されるので、フィルタ性能を向上させることができる。
【0043】
第四、マルチバンドフィルタに一体に形成されたクラムシェル部を用いてメインボードに含まれた複数の送受信チャネルからなる複数のセクションを1つの組立行為でそれぞれ電磁波遮蔽が可能という効果を有する。
【0044】
本発明の効果は以上に言及した効果に制限されず、言及されていないさらに他の課題は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明による多重入出力アンテナ装置の一実施例を示す斜視図である。
図2図1の分解斜視図である。
図3図1の分解斜視図であって、メインボードからサブボードおよびマルチバンドフィルタが分離された状態を示す分解斜視図である。
図4図3のA-A線に沿った一部断面図である。
図5A図1の分解斜視図であって、メインボードからマルチバンドフィルタが分離された状態を示す下方斜視図である。
図5B図1の分解斜視図であって、メインボードからマルチバンドフィルタが分離された状態を示す上方斜視図である。
図6図1の構成のうちマルチバンドフィルタを示す下方斜視図および上方斜視図である。
図7】マルチバンドフィルタの構成のうちクラムシェル部によって区画されるメインボードの複数のセクション領域を示す断面図である。
図8図1の構成のうちサブボードを示す前面図および後面図である。
図9図1の構成のうちマルチバンドフィルタが装着された状態であって、図3のB-B線に沿った断面図である。
図10図9の放熱構造を詳細化した多様な実施例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の一実施例による多重入出力アンテナ装置を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0047】
各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0048】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使うことができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。また、他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使われるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0049】
図1は、本発明による多重入出力アンテナ装置の一実施例を示す斜視図であり、図2は、図1の分解斜視図であり、図3は、図1の分解斜視図であって、メインボードからサブボードおよびマルチバンドフィルタが分離された状態を示す分解斜視図である。
【0050】
本発明による多重入出力アンテナ装置1の一実施例は、前方(図1の図面上、上側)に開口した装着空間を形成し、略上下方向に長くて薄い前後収容幅を有する直方体形状に形成されたアンテナハウジング部(図示せず)の装着空間の内側に一次的に積層された第1積層アセンブリ100と、第1積層アセンブリ100の前面に実装固定された第2積層アセンブリ200と、第2積層アセンブリ200の前段部に積層される第3積層アセンブリ300とを含む。
【0051】
これとともに、本発明による多重入出力アンテナ装置1の一実施例は、図1および図2に示すように、第1積層アセンブリ100の長手方向の一端部(下端部)に配置されて、第1積層アセンブリ~第3積層アセンブリ100~300に備えられた複数のRF給電ネットワーク部品に電源を供給するパワーサプライユニット部(Power Supply Unit、以下、「PSU」と略称する)50をさらに含むことができる。
【0052】
PSU50は、キャリブレーション給電制御および周波数フィルタリングを行うために、第1積層アセンブリ~第3積層アセンブリ100~300に備えられた複数のRF給電ネットワーク部品への電源供給を制御する役割を果たす。
【0053】
第1積層アセンブリ100は、図2および図3に示すように、メインボード110と、サブボード150とを含むことができる。
【0054】
メインボード110の前面と後面、およびサブボード150の前面と後面には、上述した複数のRF給電ネットワーク部品として、電源の印加による作動時、所定の熱を放出する発熱素子111、151、181が分散実装される。
【0055】
メインボード110およびサブボード150は、それぞれエポキシ樹脂材質からなるF4樹脂系の基板で備えられる。しかし、必ずしもメインボード100およびサブボード150がエポキシ樹脂材質で備えられなければならないわけではなく、基板の主な機能に応じて異なる材質で採用されても構わない。例えば、サブボード150は、後述のように、放熱機能が優先されるという点から、メタルPCB材質からなる。
【0056】
メインボード110は、所定の厚さを有し、上述のように、エポキシ樹脂材質からなる四角形の薄い板体で形成される。
【0057】
ここで、メインボード110の前面には、上述した発熱素子のうち第1発熱素子として、Rx素子であるLNA(Low Noise Amplifier)が少なくとも1つ以上実装される。また、メインボード110の後面には、上述した発熱素子のうち第3発熱素子として、FPGA(Fileld Programmable Gate Array)のようなデジタル半導体素子が実装配置される。FPGAは、メインボード110の背面に実装されかつ、サブボード150と相互重ならずに後方に露出するメインボード110の背面に実装されて、アンテナハウジング部の装着空間の内側面に表面熱接触して、生成された熱が直接アンテナハウジング部の背面に一体に形成された複数のヒートシンクフィン(図示せず)を介して直接放熱できる。
【0058】
メインボード110は、複数の送受信チャネルを有する複数のセクションを含むことができる。ここで、複数の送受信チャネルは、送信部チャネルと、受信部チャネルとを含み、それぞれの送信部チャネルおよび受信部チャネルがメインボード110の左右幅方向に所定距離離隔してパターン配列される。このような複数の送受信チャネルを有するセクションは、メインボード110の上下長手方向に所定距離離隔して複数個備えられる。
【0059】
ここで、それぞれのセクションは、後述する第2積層アセンブリ200の構成のうち単位マルチバンドフィルタ210に対応する列の個数で形成されかつ、1つのセクション範囲内にTx素子16個とRx素子16個が実装配列され、このようなセクションを4つ有することにより、64T/Rの伝送容量を備えるMassive MIMO技術が適用可能である。
【0060】
参照として、1つの単位マルチバンドフィルタ210は、後述のように、内部に2つのキャビティ205が隔壁(図面符号不表記)によって区画され、各キャビティ205内の共振器215を用いて送信チャネルおよび受信チャネルの周波数フィルタリングが可能という点から、1つの単位マルチバンドフィルタ210に対応する領域には、前記発熱素子のうち第1発熱素子111である2つのRx素子(LNA)および第2発熱素子である2つのTx素子(TR(Transistor)およびPA(Power Amplifier))がメインボード110とサブボード150の当該領域に実装配置される。
【0061】
一方、サブボード150は、メインボード110の後面に密着結合される補助基板の役割を果たすことができる。ここで、サブボード150の厚さは、相対的にメインボード110の厚さよりも小さく形成されることが好ましい。また、サブボード150は、アンテナハウジング部の装着空間の内側面に直接熱接触して、複数の発熱素子111、151、181から発生した熱を伝達する機能を追加的に行うという点から、エポキシ樹脂材質よりも熱伝達が容易なメタルPCBで備えられることが好ましい。
【0062】
サブボード150の前面には、上述のように、発熱素子のうち第2発熱素子151である2つのTx素子が実装されるパターン回路が印刷される。パターン回路それぞれには、第2発熱素子151がそれぞれ1つずつ実装され、2つのパターン回路によって送信チャネルおよび受信チャネルを完成することができる。送信チャネルと受信チャネルは、それぞれ後述する単位マルチバンドフィルタ210に備えられたメインボード側RFコネクタ230の一対と電気的にコネクティングされる。
【0063】
図4は、図3のA-A線に沿った一部の断面図であり、図5Aおよび図5Bは、図1の分解斜視図であって、メインボードからマルチバンドフィルタが分離された状態を示す下方斜視図および上方斜視図であり、図6は、図1の構成のうちマルチバンドフィルタを示す下方斜視図および上方斜視図であり、図7は、マルチバンドフィルタの構成のうちクラムシェル部によって区画されるメインボードの複数のセクション領域を示す断面図である。
【0064】
第2積層アセンブリ200は、図4図6に示すように、第1積層アセンブリ100のメインボード110と第3積層アセンブリ300のアンテナボード310との間に配置されて、周波数フィルタリングを行うフィルタ210を含むことができる。ここで、フィルタ210は、キャビティフィルタ(Cavity Filter)、導波管フィルタ(Wave-Guide Filter)および誘電体フィルタ(Dielectric Filter)のいずれか1つで採用可能である。これとともに、ここでのフィルタは、多重周波数帯域をカバーするマルチバンドフィルタ(Multi Band Filter、MBF)を除外しない。
【0065】
フィルタ210は、上述のように、メインボード110に備えられた複数のセクションに対応する領域をカバーするように複数個が固定され、その対応領域に一対の送信チャネルおよび受信チャネルを含むことができる。
【0066】
より詳しくは、フィルタ210は、2つのキャビティ205が隔壁によって左右に区画され、各キャビティ205内に備えられた複数の共振器215によって送信チャネルおよび受信チャネルを介した周波数フィルタリングを行うことができる。
【0067】
フィルタ210は、その内部のキャビティ205と外部のノイズ(電磁波などによる信号など)が遮蔽されるように、その内部面が金属薄膜状にメッキされて備えられ、後述のように、フィルタ210の後段部に一体に形成されたクラムシェル部250も同様であり得る。
【0068】
一方、メインボード110には、単位MBF210それぞれの設置位置を指定するための少なくとも1つの位置設定溝115a、115bが形成される。ここで、単位フィルタ210の後段部にも、メインボード110に形成された少なくとも1つの位置設定溝115a、115bそれぞれに挿入固定されるように、メインボード110側に突出した少なくとも1つの位置固定突起215a、215bが形成される。
【0069】
これとともに、フィルタ210の後段部には、電気的な信号ラインとの信号干渉を遮蔽するためのクラムシェル部250が一体に形成される。
【0070】
クラムシェル部250は、図5Aおよび図5B図7に示すように、メインボード110に含まれる送信チャネル253”および受信チャネル251’の領域が空間上区画されるように遮蔽する送受信区画リブ251と、送信チャネル253”のうち一対で備えられて、所定距離離隔している送信回路パターンが相互空間上区画されるように遮蔽する送信部区画リブ253a、253bとを含むことができる。
【0071】
ここで、クラムシェル部250の送受信区画リブ251は、メインボード110の前面に実装された第1発熱素子111である一対のRx素子を空間上相互区画および遮蔽する役割を果たす。
【0072】
また、クラムシェル部250の送信部区画リブ253a、253bは、サブボード150の各パターン回路に実装された第2発熱素子151である2つのTx素子を空間上相互区画および遮蔽する役割を果たす。
【0073】
このように、フィルタ210の後段部に一体に形成されたクラムシェル部250の各区画リブ251、253を用いてRx素子およびTx素子間の電磁波の影響を最大限に遮蔽すると同時に、一対のTx素子間の信号の影響を遮蔽することにより、周波数フィルタ性能を大きく向上させることができる。
【0074】
また、フィルタ210の後段部にクラムシェル部250を一体に形成することにより、フィルタ210のキャビティ205の空間を後方側により拡張させることにより、複数の共振器215の離隔空間をより広く確保可能になることから、Q値を向上させて、作動時、発熱量を最小化できるというさらなる利点も確保することができる。
【0075】
一方、フィルタ210のクラムシェル部250は、その後段部に形成された少なくとも1つの位置固定突起215a、215bがメインボード110の位置設定溝115a、115bに載置される時、送受信区画リブ251および送信部区画リブ253の後端がメインボード110の前面に密着する動作で送信チャネルおよび受信チャネルの領域および送信回路パターンを相互完全区画できるように備えられる。ここで、位置固定突起215a、215bおよび位置設定溝115a、115bを貫通する不図示の組立ねじにより、フィルタ210をメインボード110に所定の組立力で組立てることができる。
【0076】
これとともに、フィルタ210の後段部には、図5Aおよび図5Bに示すように、メインボード110と電気的に連結する一対のメインボード側RFコネクタ230が備えられ、フィルタ210の前段部には、フィルタ210の前段部に積層された第3積層アセンブリ300の構成のうちアンテナボード310と電気的に連結する一対のアンテナボード側RFコネクタ240が備えられる。
【0077】
一対のメインボード側RFコネクタ230は、それぞれ送信チャネルおよび受信チャネルを担当するように、フィルタ210の各キャビティ205側に連結される一側コネクタ230aおよび他側コネクタ230bを備え、一対のアンテナボード側RFコネクタ240も、それぞれ送信チャネルおよび受信チャネルを担当するように、フィルタ210の各キャビティ205側に連結される一側コネクタ240aおよび他側コネクタ240bを備えることができる。
【0078】
ここで、メインボード側RFコネクタ230は、図4に示すように、コネクティングボス231と、コネクティングボス231の内部を貫通するように配置されたコネクティング端子ピン233と、フィルタ210とメインボード110との間の組立公差を吸収するとともに接地の役割を果たす弾性接地ワッシャ235とを含むことができる。
【0079】
メインボード110には、コネクティング端子ピン233が挿入締結されるためのコネクティング部140がホール形状に設けられ、コネクティング部140の周辺にインピーダンス整合のための誘電体130がエンベデッド(imbeded)形状に備えられる。コネクティング端子ピン233は、誘電体130を貫通してメインボード110の背面側に積層結合されたサブボード150と電気的に信号連結可能である。従来は、サブボード150を備えず、メインボード110の前面にコネクティング部140が備えられたことから、コネクティング部140の周辺に対するインピーダンス整合のための前記誘電体130の設置が不可能であったが、本発明の一実施例の場合、メインボード110の背面にサブボード150を分離積層し、メインボード110の厚さだけ誘電体130をエンベデッド形状に設置可能という点から、サブボード150のグラウンド層(Ground layer)との間に上述したインピーダンス整合設計が非常に容易という利点を有する。
【0080】
一方、アンテナボード側RFコネクタ240は、図4に示すように、アンテナボード310の後面側に備えられた接点部(図面符号不表記)に接点する接点端子ピン243と、接点端子ピン243をインピーダンス整合を維持したままフィルタ210に固定させるための誘電体ブロック241と、フィルタ210とアンテナボード310との間の組立公差を吸収するとともに接地の役割を果たす弾性接地ワッシャ245とを含むことができる。
【0081】
このような構成からなる本発明の一実施例による多重入出力アンテナ装置1は、信号受信過程の間には、第3積層アセンブリ300のアンテナ素子320を介して受信された信号が第2積層アセンブリ200の構成のうちフィルタ210を経由して所定の周波数帯域でフィルタリングされた後、第1積層アセンブリ100のメインボード110に入力されてデータ処理される。この時、信号は、受信部チャネルを経由し、Rx素子およびTx素子のうち関与する素子が駆動して発熱し、これから生成された駆動熱は、メタルPCBで備えられたサブボード150を経由して後方放熱が容易になる。
【0082】
逆に、信号送信過程の間には、第1積層アセンブリ100のメインボード110から伝達される信号は、第2積層アセンブリ200の構成のうちフィルタ210を経由して所定の周波数帯域でフィルタリングされた後、第3積層アセンブリ300のアンテナ素子320を介して発振できる。この時にも同じく、信号は、送信部チャネルを経由し、Rx素子およびTx素子のうち関与する素子が駆動して発熱し、これから生成された駆動熱は、メタルPCBで備えられたサブボード150を経由して後方放熱できる。
【0083】
そして、フィルタ210の後段に一体に形成されたクラムシェル部250によって受信チャネル部と送信チャネル部がそれぞれ空間区画されて遮蔽されることにより、信号干渉が事前に防止可能になる。
【0084】
第3積層アセンブリ300は、図1図7に示すように、フィルタ210の前段部に積層配置されたアンテナボード310と、アンテナボード310の前面に実装固定された複数のアンテナ素子320とを含むことができる。
【0085】
図8は、図1の構成のうちサブボードを示す前面図および後面図であり、図9は、図1の構成のうちマルチバンドフィルタが装着された状態であって、図3のB-B線に沿った断面図であり、図10は、図9の放熱構造を詳細化した多様な実施例の模式図である。
【0086】
本発明の一実施例による多重入出力アンテナ装置1は、PSU50から電源供給を受けて作動するメインボード110の第1発熱素子111および第3発熱素子181と、サブボード150の第2発熱素子151から相当量の駆動熱が発生しうる。
【0087】
従来は、メインボード110の前面と後面に前記複数の発熱素子111、151、181を分散実装し、前記発熱素子111、151、181から発生した熱は、メインボード110の後方に放出し、メインボード110の後面と表面熱接触するように配置されたアンテナハウジング部の複数のヒートシンクフィンを介在させて放熱する構造を採用していた。
【0088】
しかし、複数の発熱素子111、151、181のうち第2発熱素子151であるTx素子の発熱量は非常に大きいのに対し、熱伝導性が低い基板材質で形成されたメインボード110の前面に実装されていたという点から、メインボード110の後方への熱伝達効率(すなわち、放熱性能)が非常に低い問題点があった。
【0089】
本発明の一実施例による多重入出力アンテナ装置1は、上述した問題点を解決するために、次のような多様な設計方策を提示する。
【0090】
第1実施例として、本発明による多重入出力アンテナ装置1は、図10の(a)に示すように、少なくとも一領域に所定の空間形態で収容空間110s-1が形成されたメインボード110aと、メインボード110aの後面部側に積層され、収容空間110s-1を向く前面部に複数の発熱素子(例えば、第2発熱素子151)が実装されたサブボード150とを含むことができる。
【0091】
また、第2実施例として、本発明による多重入出力アンテナ装置1は、図10の(b)に示すように、相対的に前方部に配置されたメインボード110bと、前面部がメインボード110bの後面部の一部と密着して積層配置され、メインボード110bの後面部と非接触の範囲(図面符号「110s-2」参照)を有するように前面部に複数の発熱素子151が実装されたサブボード150とを含むことができる。
【0092】
一方、第3実施例として、本発明による多重入出力アンテナ装置1は、図10の(c)に示すように、前後方に積層されたマルチレイヤ層が一体に接合形成された一体型ワンボードであり、後面部のうち一部の領域からマルチレイヤ層の少なくとも一部が除去された収容空間110s-3を有するメインボード110cと、マルチレイヤ層のうちメインボード110cの最後方に位置したレイヤ層の後面部側に積層され、収容空間110s-3を向く前面部に複数の発熱素子が実装されたサブボード150とを含むことができる。
【0093】
ここで、第1実施例~第3実施例による放熱構造は、発熱素子151から発生した熱がサブボード150の後面部側に放熱されることをその特徴とする。
【0094】
このために、サブボード150には、発熱素子151から発生した熱を後方に排出するための少なくとも1つの熱伝達ブリッジホール153が形成される。
【0095】
ここで、熱伝達ブリッジホール153は、ホール形状に加工されて、発熱素子151から発生した熱を後方に排出できることはもちろん、熱伝導性に優れた金属材質が充填できる。
【0096】
したがって、サブボード150の前面部に実装された発熱素子151から発生した熱は、熱伝達ブリッジホール153を介在させてサブボード150の後面部側に円滑に伝達できる。
【0097】
一方、発熱素子151の駆動による温度上昇によるサブボード150の熱膨張量は、メインボード110の熱膨張量より小さいように備えられることが好ましい。これは、発熱素子111、151、181のうち実質的に最も多い発熱が予想される第2発熱素子151が実装されたサブボード150の熱膨張量が小さいように設計することにより、熱変形を最小化して、熱接触抵抗が増加するのを防止するためである。
【0098】
同様の理由から、サブボード150の前後の厚さは、メインボード110の前後の厚さより小さいように設計可能である。
【0099】
一般的に、メインボード110は、複数のマルチレイヤ層が一体に接合された形態で備えられ、各レイヤ層に沿って不図示のパターン設計が行われるという点から、レイヤ層の個数を減らすように設計するには物理的な限界がある。
【0100】
本発明の一実施例による多重入出力アンテナ装置1において新たに提案する放熱構造は、メインボード110の厚さは、既存の設計値どおりに維持しかつ、実質的に放熱性能をさらに向上させるために、サブボード150の導入を提案する。
【0101】
サブボード150の前面には、発熱素子111、151、181のうち最も発熱が多いと予想される第2発熱素子151が実装されるように、送信チャネルおよび受信チャネルに対応する回路パターンが印刷される。
【0102】
メインボード110は、上述したサブボード150に実装された第2発熱素子151が前方に露出するか、少なくとも上述した収容空間110s-1、110s-3においてメインボード110とは非接触の範囲110s-2に収容されるように形成される。
【0103】
図10の(a)に示すように、収容空間110s-1は、メインボード110aを前後方に貫通させた開口部の形態で備えられる。
【0104】
また、図10の(b)に示すように、非接触範囲110s-2は、メインボード110bの後面の一部が後方に切開された形態で備えられる。
【0105】
これとともに、図10の(c)に示すように、収容空間110s-3は、メインボード110cに備えられたマルチレイヤ層のうち一部の領域からマルチレイヤ層の少なくとも一部が除去された形態で備えられることも可能である。この場合、サブボード150は、メインボード110cとその名称を異にするものであるが、物理的に区分されず、メインボード110cと同一のレイヤ層として2つのレイヤ層で備えられて、第2発熱素子151が前面部に実装された状態で収容空間110s-3に収容されるように、メインボード110の後面部に一体に接合具備される。
【0106】
一方、メインボード110の前面部には第1発熱素子111が配置され、サブボード150の前面部には第2発熱素子151が配置される時、第2発熱素子151の出力電力(すなわち、発熱量)は、第1発熱素子111の出力電力(すなわち、発熱量)より大きいように設定されることが好ましい。これは、出力電力が大きい第2発熱素子151をアンテナハウジング部の複数のヒートシンクフィンにより近く位置させることにより、放熱性能を極大化させるためである。したがって、本発明の一実施例による多重入出力アンテナ装置では、発熱素子111、151、181のうち相対的に最も発熱量が大きい第2発熱素子151であるTx素子をサブボード150の前面部に実装配置した設計を採用した。
【0107】
これとともに、メインボード110の後面部のうちサブボード150の前面部と重ならない後面部には、第3発熱素子181としてFPGAのようなデジタル半導体が実装配置され、メインボード110の第3発熱素子181から発生した熱は、サブボード150の複数の第2発熱素子151から発生した熱と一緒にサブボード150の後面部側に放熱できる。
【0108】
この場合、第3発熱素子181は、サブボード150とメインボード110とが相互重ならない範囲のメインボード110の後面部に実装されるので、直接アンテナハウジング部の内側面に表面熱接触して熱伝導が行われることも可能である。
【0109】
一方、図10の(c)に示すように、サブボード150が2つのレイヤ層を有する多層基板で備えられた場合、サブボード150の前面に相当するレイヤ層には、発熱素子の一部として能動素子が実装配置され、サブボード150の後面に相当するレイヤ層には、発熱素子の残りとして受動素子が配置される。ここで、能動素子および受動素子から発生した熱は、サブボード150の後面側に放熱されることは当然である。
【0110】
ここで、サブボード150の後面に相当するレイヤ層のうち発熱素子(受動素子)の間には接地パターン(GNDパターン)(図示せず)が形成される。接地パターンは、メインボード110およびサブボード150が設けられるアンテナハウジング部の内部面と接触して、サブボード150から発生する電磁波を遮蔽する機能を行う。このように、メインボード110の後面部に配置されたサブボード150の前面部と後面部にそれぞれ上述した発熱素子を分散配置することにより、発熱素子の間に形成可能な接地パターン(GNDパターン)の面積を増加させることができ、接地パターンの面積増加は、アンテナハウジング部の内部面との接触面積を増加させて、より向上した電磁波遮蔽率を達成することができる。
【0111】
これとともに、図示しないが、サブボード150は、発熱素子の発振を防止する発振防止回路をさらに含むことができる。発振防止回路は、発熱素子が回路構成によって高周波発振することを事前遮断することで駆動熱を最小化し、最小化された駆動熱を、上述のようにサブボード150の後面側に容易に放熱させることができる。
【0112】
このように、本発明の一実施例による多重入出力アンテナ装置は、従来のワンボード形態のメインボード110に集中実装されていた発熱素子をサブボード150に分けて分散実装して熱集中現象を防止し、効果的にサブボード150の後面側に備えられたアンテナハウジング部の複数のヒートシンクフィンを介在させて後方放熱することにより、全体的な放熱性能を向上させることができるという利点を有する。
【0113】
以上、本発明による多重入出力アンテナ装置の一実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した一実施例によって限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲での実施が可能であることは当然であろう。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、メインボードとは別個に、サブボードを用いて発熱素子から発生した熱をアンテナハウジング部の外部により容易に放熱させることにより、放熱性能を向上させることができる多重入出力アンテナ装置を提供する。
【符号の説明】
【0115】
1:多重入出力アンテナ装置 100:第1積層アセンブリ
110:メインボード 150:サブボード
200:第2積層アセンブリ 210:マルチバンドフィルタ
250:クラムシェル部 300:第3積層アセンブリ
310:アンテナボード 320:アンテナ素子
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10