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特許7590468内表面サセプタ材料を有するカートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】内表面サセプタ材料を有するカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20241119BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20241119BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20241119BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/42
A24F40/40
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023000157
(22)【出願日】2023-01-04
(62)【分割の表示】P 2020528008の分割
【原出願日】2018-11-20
(65)【公開番号】P2023026582
(43)【公開日】2023-02-24
【審査請求日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】17204805.0
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】ストゥラ エンリコ
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0055574(US,A1)
【文献】国際公開第2017/068095(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/167932(WO,A1)
【文献】特表2017-520234(JP,A)
【文献】特表2016-524458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/465
A24F 40/42
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システム用のカートリッジであって、
外表面および内表面を備える容器であって、前記容器外表面が前記カートリッジの外表面を少なくとも部分的に画定する、容器と、
カートリッジくぼみを少なくとも部分的に画定するサセプタ材料内表面を備えるサセプタ材料であって、前記サセプタ材料内表面が複数の隙間を画定する、サセプタ材料と、
室温で流れず、溶解温度に加熱された時に流動性液体となるエアロゾル形成基体であって、前記エアロゾル形成基体が前記複数の隙間内に位置付けられている、エアロゾル形成基体とを備える、カートリッジ。
【請求項2】
前記サセプタ材料が前記容器の少なくとも一部を形成し、前記サセプタ材料内表面が前記容器内表面の少なくとも一部を形成する、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記サセプタ材料がサセプタ材料外表面を備え、前記サセプタ材料外表面の少なくとも一部分が前記容器内表面に固定されている、請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記サセプタ材料内表面の少なくとも一部分が、前記カートリッジを通る気流通路および混合チャンバーのうちの少なくとも一つを画定する、請求項1~3のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記容器が、管状部分および前記管状部分の第一の端を横切って延びる基部部分を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記サセプタ材料の少なくとも一部分が前記管状部分に配置されている、請求項5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記サセプタ材料の少なくとも一部分が前記基部部分に配置されている、請求項5または6に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記管状部分の第二の端を横切って延びるシールをさらに備え、前記シールが前記管状部分に密封されている、請求項5、6または7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記サセプタ材料が環状の形状を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記複数の隙間の少なくとも一部が相互に相互接続されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記複数の隙間の少なくとも一部が相互に分離されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記複数の隙間が前記サセプタ材料内表面上に反復パターンを形成する、請求項1~11のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記隙間のそれぞれが最大断面寸法を有し、前記複数の隙間の数平均最大断面寸法が30マイクロメートル~300マイクロメートルである、請求項1~12のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記サセプタ材料が、前記サセプタ材料内表面と直交する方向に厚さを有し、平均厚さが3ミリメートル未満である、請求項1~13のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項15】
エアロゾル発生システムであって、
請求項1~14のいずれか一項に記載のカートリッジと、
エアロゾル発生装置であって、
前記カートリッジを受容するための装置くぼみを画定するハウジングと、
前記カートリッジが前記装置くぼみ内に受容されている時に前記サセプタ材料を加熱するように配設された誘導発熱体を備える電気ヒーターと、
電力供給源と、
前記電力供給源から前記電気ヒーターへの電力の供給を制御するためのコントローラとを備えるエアロゾル発生装置と、を備えるエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル発生システム用のカートリッジに関し、カートリッジは、複数の隙間を画定する内表面を有するサセプタ材料を含む。本発明はまた、カートリッジを備えるエアロゾル発生システムと、カートリッジを組み立てる方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
液体製剤を加熱してユーザーによる吸入用のエアロゾルを発生することによって動作する、eシガレットなどのエアロゾル発生システムが幅広く使用されている。それらは典型的に、装置部分およびカートリッジを備える。一部のシステムにおいて、装置部分は電源と、制御電子回路とを収容し、またカートリッジは、液体製剤を保持する液体貯蔵部と、液体製剤を気化するためのヒーターと、液体を液体貯蔵部からヒーターに移動させる芯とを収容する。このタイプのシステムは人気が高まってきている一方で、幾つかの不都合な点を有する。一つの不都合な点は、移動中および貯蔵中に、ならびにカートリッジが装置部分に接続されている時に、液体貯蔵部からの液体の漏れが起こり得ることである。液体を貯蔵部からヒーターに移動させるための芯の使用は、システムを複雑にしうる。別の不都合な点は、カートリッジ内にヒーターを組み込むことによって生じるカートリッジのコストの増大である。
【0003】
周知のエアロゾル発生システムのこれらの不都合な点の少なくとも一部に対処することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル発生システム用のカートリッジが提供されていて、カートリッジは、外表面および内表面を備える容器を備え、容器外表面は少なくとも部分的にカートリッジの外表面を画定する。カートリッジはまた、カートリッジくぼみを少なくとも部分的に画定するサセプタ材料内表面を備えるサセプタ材料を含み、サセプタ材料内表面は複数の隙間を画定する。カートリッジはまた、室温でゲルの形態のエアロゾル形成基体を含み、ゲルは複数の隙間内に位置付けられている。
【0005】
本明細書で使用される「サセプタ」という用語は、誘導加熱可能な材料を意味する。すなわち、サセプタ材料は電磁エネルギーを吸収し、それを熱に変換することができる。
【0006】
エアロゾル形成基体は、室温でゲルの形態である。この文脈において室温は摂氏25度を意味する。ゲルは、流れない、安定したサイズおよび形状を有する材料である。ゲルは高い液体含有量を有し、流れない液体と見なされうる。典型的に、ゲルの安定した性質は、ゲルを形成する液体内の架橋ネットワークから生じる。
【0007】
有利なことに、エアロゾル形成基体をサセプタ材料と接触させることは、エアロゾル形成基体と電気ヒーターの間の接触を必要とすることなく、エアロゾル形成基体の加熱を容易にする。例えば、カートリッジは、誘導コイルの形態の電気ヒーターを備えるエアロゾル発生装置と組み合わされてもよく、誘導コイルは誘導加熱によってサセプタ材料を加熱する。有利なことに、エアロゾル形成基体と電気ヒーターの間の直接接触の必要性を無くすことは、電気ヒーターを汚染することなく、複数のカートリッジでエアロゾル発生装置を再利用することを容易にする。
【0008】
有利なことに、複数の隙間を画定するサセプタ材料を提供することは、サセプタ材料とエアロゾル形成基体の間の接触面積を増大させ、ここでエアロゾル形成基体は複数の隙間内に位置付けられている。サセプタ材料とエアロゾル形成基体の間の接触面積を増大させることは、サセプタ材料からエアロゾル形成基体への熱伝達を容易にする。有利なことに、これは、エアロゾル形成基体を気化するために必要なサセプタ材料の誘導加熱を最小化しうる。
【0009】
有利なことに、室温で流れないゲルの形態のエアロゾル形成基体を提供することは、サセプタ材料の加熱前の複数の隙間内のエアロゾル形成基体の保持を容易にする。すなわち、エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体がゲル形態のままである間、複数の隙間から流れ出ることができない。
【0010】
有利なことに、サセプタ材料の内表面でカートリッジくぼみを少なくとも部分的に画定することは、使用中にカートリッジを通る気流を促進しうる。有利なことに、サセプタ材料の内表面でカートリッジくぼみを少なくとも部分的に画定することは、使用中に空気がカートリッジを通って流れるサセプタ材料の表面積を増加または最大化しうる。
【0011】
サセプタ材料は容器の少なくとも一部を形成しうる。言い換えれば、容器の少なくとも一部はサセプタ材料から構築されうる。こうした実施形態において、サセプタ材料内表面は、容器内表面の少なくとも一部を形成する。
【0012】
有利なことに、容器の少なくとも一部をサセプタ材料から形成することは、カートリッジの製造および組立を簡略化しうる。例えば、容器をサセプタ材料から形成することは、既に形成された容器の中にサセプタ材料を挿入する必要性を無くしうる。
【0013】
有利なことに、容器の少なくとも一部をサセプタ材料から形成することは、別個に形成された容器が誘導コイルとサセプタ材料の間に配置されている実施形態と比較して、外部誘導コイルを使用するサセプタ材料の加熱を容易にしうる。
【0014】
容器全体を、サセプタ材料から形成してもよい。
【0015】
サセプタ材料はサセプタ材料外表面を備えてもよく、サセプタ材料外表面の少なくとも一部分は容器内表面に固定されている。言い換えれば、サセプタ材料は容器とは別個に形成され、容器の内表面に固定されうる。
【0016】
有利なことに、容器をサセプタ材料から別個に形成することは、容器およびサセプタ材料のための最適な材料の選択を容易にしうる。例えば、サセプタ材料は熱伝導性材料を含んでもよく、容器は断熱性材料から形成されてもよい。
【0017】
サセプタ材料は、適切な任意の手段を使用して容器の内表面に固定されうる。サセプタ材料は、接着剤を使用して容器の内表面に固定されうる。サセプタ材料は、一つ以上の溶接を使用して容器の内表面に固定されうる。
【0018】
サセプタ材料の一部は容器の少なくとも一部を形成してもよく、サセプタ材料の少なくとも一部は容器とは別個に形成され、容器の内表面に固定されてもよい。
【0019】
サセプタ材料内表面の少なくとも一部分は、カートリッジを通る気流通路を画定しうる。使用中に、エアロゾル形成基体からの揮発性化合物または気化された化合物は、気流通路内の気流と混合されうる。
【0020】
サセプタ材料内表面の少なくとも一部分は、混合チャンバーを画定しうる。使用中に、エアロゾル形成基体からの揮発性化合物または気化された化合物は、混合チャンバー内の気流と混合されうる。
【0021】
サセプタ材料は実質的に環状の形状を有してもよい。こうした配設は、サセプタ材料が気流通路および混合チャンバーのうちの少なくとも一つを画定する実施形態において好ましい場合がある。環状サセプタ材料は、カートリッジがエアロゾル発生装置内に受容されている時に、カートリッジの一部分の周りに延びるように配設された誘導コイルを備えるエアロゾル発生装置で使用される実施形態において好ましい場合がある。
【0022】
容器は管状部分を備えうる。容器は、管状部分の第一の端を横切って延びる基部部分を備えうる。カートリッジくぼみはブラインドくぼみであってもよい。
【0023】
サセプタ材料の少なくとも一部分は、管状部分に配置されてもよい。管状部分は、サセプタ材料の少なくとも一部から形成されてもよい。サセプタ材料は、管状部分とは別個に形成されてもよく、管状部分の内表面に固定されてもよい。サセプタ材料が環状の形状を有する実施形態において、環状のサセプタ材料は、管状部分を形成してもよく、または管状部分の内表面に固定されてもよい。
【0024】
容器が基部部分を備える実施形態において、サセプタ材料の少なくとも一部分は、基部部分に配置されてもよい。基部部分は、サセプタ材料の少なくとも一部から形成されてもよい。サセプタ材料は、基部部分とは別個に形成されてもよく、基部部分の内表面に固定されてもよい。こうした配設は、カートリッジがエアロゾル発生装置内に受容されている時に、容器基部部分に隣接して位置付けられた誘導コイルを備えるエアロゾル発生装置で使用される実施形態において好ましい場合がある。こうした誘導コイルの一例は、本明細書に記載のフラットスパイラル誘導コイルでありうる。
【0025】
カートリッジは、管状部分の端を横切って延びるシールを備えてもよく、シールは管状部分に密封されている。容器が基部部分を備える実施形態において、シールは、第一の端の反対側の管状部分の第二の端を横切って延びることが好ましい。有利なことに、シールはサセプタ材料およびエアロゾル形成基体をカートリッジ内に密封しうる。
【0026】
シールは、高分子フィルムおよび箔のうちの少なくとも一つを含みうる。シールは、金属材料を含みうる。シールは、接着剤および溶接(超音波溶接など)のうちの少なくとも一つによって容器に固定されうる。シールは、管状部分の端の周辺部の周りで容器に固定されうる。
【0027】
シールは、少なくとも一つの壊れやすいバリアを含みうる。シールが壊れやすいバリアを含む実施形態において、カートリッジは、壊れやすいバリアを破壊するための貫通要素を備えるエアロゾル発生装置で使用するように構成されてもよい。
【0028】
シールは、少なくとも一つの取り外し可能なバリアを含みうる。
【0029】
シールは、蒸気浸透性要素を通したカートリッジくぼみからの蒸気の放出を可能にするように構成された蒸気浸透性要素を含みうる。蒸気浸透性要素は、膜またはメッシュのうちの少なくとも一つを含みうる。
【0030】
シールは、弁にわたる圧力差が閾値圧力差を超える時に、弁を通して蒸気を放出することを可能にする圧力作動弁を含みうる。
【0031】
複数の隙間の少なくとも一部は、相互に相互接続されてもよい。有利なことに、相互接続された複数の隙間をサセプタ材料に提供することは、カートリッジの製造中にエアロゾル形成基体を隙間に装填することを容易にしうる。例えば、エアロゾル形成基体が液体状でカートリッジくぼみ内に挿入される実施形態において、エアロゾル形成基体は毛細管作用によって複数の相互接続された隙間の中に引き出されうる。
【0032】
有利なことに、相互接続された複数の隙間をサセプタ材料に提供することは、加熱中にサセプタ材料からの気化されたエアロゾル形成基体の放出を容易にしうる。
【0033】
複数の隙間の少なくとも一部は、相互に分離されていてもよい。言い換えれば、複数の隙間の少なくとも一部は、相互に接続されていない個別の隙間としうる。有利なことに、相互に分離された複数の隙間を提供することは、隙間がサセプタ材料内に形成された時、隙間の毛細管現象に対する改善された制御を提供しうる。有利なことに、隙間の毛細管現象を制御することは、ゲル化工程の前に、エアロゾル形成基体が液体状の隙間の中に挿入されている実施形態において、隙間の中へのエアロゾル形成基体の流れの制御を容易にしうる。
【0034】
複数の隙間は、サセプタ材料の内表面上に形成される。有利なことに、サセプタ材料の内表面上に複数の隙間を形成することは、カートリッジの使用中に、気化されたエアロゾル形成基体がサセプタ材料から放出されることを容易にしうる。有利なことに、サセプタ材料の内表面上に複数の隙間を形成することは、低減された厚さを有するサセプタ材料の使用を容易にしうる。有利なことに、これは、低減されたまたは最小化されたサイズを有する容器の使用を容易にしうる。
【0035】
複数の隙間は、サセプタ材料の内表面上に反復パターンを形成しうる。有利なことに、反復パターンを形成する隙間を提供することは、隙間の表面積対体積比の制御を容易にしうる。有利なことに、隙間の表面積対体積比を制御することは、カートリッジの使用中のサセプタ材料によるエアロゾル形成基体の加熱の制御を容易にしうる。
【0036】
有利なことに、反復パターンを形成する隙間を提供することは、隙間の毛細管現象の制御を容易にしうる。有利なことに、隙間の毛細管現象を制御することは、ゲル化工程の前に、エアロゾル形成基体が液体状の隙間の中に挿入されている実施形態において、隙間の中へのエアロゾル形成基体の流れの制御を容易にしうる。
【0037】
複数の隙間は、反復形状のアレイを含んでもよく、各形状が隙間を形成する。反復形状は、円、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、およびその他の多角形状のうちの一つ以上を含みうる。複数の隙間は、サセプタ材料の表面上にハニカムパターンを形成しうる。
【0038】
サセプタ材料は、サセプタ材料の表面から延びる複数の突出部を備えてもよい。複数の隙間は、複数の突出部の間に形成されうる。各突出部は、個別であり、隣接した突出部から分離されてもよい。こうした実施形態において、複数の隙間は、本明細書に記載の通り、相互に相互接続されうる。
【0039】
複数の隙間は、任意の適切な方法を使用して、サセプタ材料の内表面に形成されうる。
【0040】
サセプタ材料は3D印刷されてもよく、複数の隙間は3D印刷プロセス中に形成される。
【0041】
複数の隙間は、サセプタ材料の内表面のエンボス加工によって形成されうる。
【0042】
複数の隙間は、サセプタ材料の内表面のエッチングによって形成されうる。例えば、複数の隙間は、化学的エッチングプロセスによって形成されうる。
【0043】
複数の隙間は、任意の適切な機械的プロセスによって形成されうる。例えば、サセプタ材料の内表面を、ワイヤブラシなどのブラシを使用して機械加工して、複数の隙間を形成してもよい。
【0044】
サセプタ材料は金属ウールを含みうる。金属ウールは、本明細書に記載の金属サセプタ材料のいずれかから形成されてもよい。金属ウールは金属フィラメントの束を含むことが好ましく、金属性フィラメント間の空間は複数の隙間を形成する。
【0045】
サセプタ材料は金属発泡体を含みうる。金属発泡体は、開放セル発泡体であることが好ましく、ここで開放セルは複数の隙間を形成する。
【0046】
サセプタ材料は強磁性金属材料を含むことが好ましい。サセプタ材料はフェライト鉄、強磁性鋼、ステンレス鋼のうちの少なくとも一つを含みうる。一部の実施形態において、サセプタ材料は、アルミニウムなどの非強磁性材料を含みうる。異なる材料は、類似の値の周波数および磁界強度を有する電磁場内に位置付けられた時に、異なる量の熱を発生させる。従って、サセプタ材料は、既知の電磁場内で望ましい電力損失を提供するように選択されうる。
【0047】
サセプタ材料がステンレス鋼を含む実施形態において、サセプタ材料は少なくとも一つの400シリーズのステンレス鋼を含みうる。適切な400シリーズのステンレス鋼は、等級410、等級420、等級430を含む。
【0048】
サセプタ材料は、サセプタ材料の表面を封入する保護被覆を含みうる。保護被覆は、サセプタ材料と複数の隙間内に位置付けられたエアロゾル形成基体との間の直接接触を防止しうる。有利なことに、これはサセプタ材料とエアロゾル形成基体の間の望ましくない化学反応を防止しうる。保護被覆は、ガラスおよびセラミックのうちの少なくとも一つを含みうる。
【0049】
隙間のそれぞれが最大断面寸法を有し、複数の隙間の数平均最大断面寸法は少なくとも約30マイクロメートルであることが好ましい。有利なことに、それぞれが少なくとも約30マイクロメートルの最大寸法を有する隙間は、ゲル化工程の前に、エアロゾル形成基体が液体状の容器に挿入される実施形態において、隙間の中へのエアロゾル形成基体の流れを容易にしうる。
【0050】
隙間のそれぞれは最大断面寸法を有し、複数の隙間の数平均最大断面寸法は約300マイクロメートル未満であることが好ましい。有利なことに、それぞれが約300マイクロメートル未満の最大寸法を持つ隙間は、複数の隙間の表面積対体積比を増加または最大化する可能性があり、これはカートリッジの使用中、エアロゾル形成基体の加熱を容易にしうる。
【0051】
複数の隙間の断面寸法は、任意の適切な方法を使用して決定されうる。適切な方法は走査電子顕微鏡法である。
【0052】
サセプタ材料はサセプタ材料内表面と直交する方向に厚さを有し、平均厚さは約3ミリメートル未満であることが好ましく、約2ミリメートル未満であることが好ましく、約1ミリメートル未満であることが好ましい。サセプタ材料の平均厚さは、少なくとも約0.5ミリメートルであることが好ましい。
【0053】
有利なことに、約3ミリメートル未満の厚さを有するサセプタ材料は、サセプタ材料を望ましい温度に誘導加熱するために必要なエネルギーを低減または最小化しうる。
【0054】
有利なことに、少なくとも約0.5ミリメートルの厚さを有するサセプタ材料は、複数の隙間を形成する隙間の望ましい数およびサイズを収容しうる。
【0055】
ゲルは熱可逆性ゲルであることが好ましい。本明細書で使用される「熱可逆性」は、ゲルが溶解温度に加熱された時に流動性流体になり、ゲル化温度で再びゲルになることを意味する。ゲル化温度は室温以上であり、かつ大気圧以上であることが好ましい。大気圧は1気圧の圧力を意味する。溶融温度はゲル化温度より高いことが好ましい。
【0056】
ゲルの融解温度は少なくとも摂氏約50度であることが好ましく、少なくとも摂氏約60度であることがより好ましく、少なくとも摂氏約70度であることがより好ましく、少なくとも摂氏約80度であることがより好ましい。この文脈において溶融温度は、ゲルがもはや非流動性液体ではなくなり、流れ始める温度を意味する。
【0057】
ゲルはゲル化剤を含むことが好ましい。ゲルは寒天、アガロース、またはアルギン酸ナトリウムのうちの少なくとも一つを含みうる。ゲルはジェランガムを含みうる。ゲルは材料の混合物を含みうる。ゲルは水を含みうる。ゲルはグリセロールを含みうる。ゲルは水またはグリセロールを含みうる。
【0058】
ゲルはエアロゾル形成体を含みうる。本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時に高密度で安定したエアロゾルの形成を容易にする任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を指す。エアロゾル形成体は、カートリッジの動作温度で熱分解に対して実質的に耐性がある。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、最も好ましくはグリセリンまたはポリエチレングリコール)である。
【0059】
ゲルは、ニコチンまたはたばこ製品のうちの少なくとも一つを含みうる。追加的に、または別の方法として、ゲルはユーザーに送達するための別の標的化合物を含みうる。ゲルがニコチンを含む実施形態において、ニコチンはエアロゾル形成体でゲル中に含まれうる。有利なことに、ゲル中のニコチンを提供することは、ニコチンが室温で液体内に提供されている代替のカートリッジと比較して、室温でニコチンがカートリッジから漏れるのを防止できる。これは、ニコチンが皮膚に対して刺激性があり、毒性であるうるため、特に有利である。
【0060】
寒天がゲル化剤として使用される時、ゲルは約0.5重量パーセント~約5重量パーセントの寒天を含むことが好ましく、約0.8重量パーセント~約1重量パーセントの寒天を含むことがより好ましい。ゲルは約0.1重量パーセント~約2重量パーセントのニコチンをさらに含みうる。ゲルは約30重量パーセント~約90重量パーセントのグリセリンをさらに含み、好ましくは約70重量パーセント~約90重量パーセントのグリセリンをさらに含みうる。残りのゲルは水および任意の風味剤を含んでもよい。
【0061】
ジェランガムがゲル化剤として使用される時、ゲルは約0.5重量パーセント~約5重量パーセントのジェランガムを含むことが好ましい。ゲルは約0.1重量パーセント~約2重量パーセントのニコチンをさらに含みうる。ゲルは約30重量パーセント~約99.4重量パーセントのグリセリンをさらに含みうる。残りのゲルは水および任意の風味剤を含んでもよい。
【0062】
一実施形態において、ゲルは2重量パーセントのニコチン、70重量パーセントのグリセロール、27重量パーセントの水、および1重量パーセントの寒天を含む。別の実施形態において、ゲルは65重量パーセントのグリセロール、20重量パーセントの水、14.3重量パーセントのたばこ、および0.7重量パーセントの寒天を含む。
【0063】
カートリッジは任意の適切な形状を有しうる。カートリッジは実質的に円筒状であることが好ましい。本発明に関連して本明細書で使用される「円筒」および「円筒状」という用語は、一対の対向する実質的に平面の端面を有する、実質的に垂直な直円柱を指す。
【0064】
カートリッジは任意の適切なサイズを有しうる。
【0065】
カートリッジは、例えば約5ミリメートル~約30ミリメートルの長さを有しうる。特定の実施形態において、カートリッジは約12ミリメートルの長さを有しうる。
【0066】
カートリッジは、例えば約4ミリメートル~約10ミリメートルの直径を有しうる。特定の実施形態において、カートリッジは約7ミリメートルの直径を有しうる。
【0067】
容器の少なくとも一部は、サセプタ材料の少なくとも一部から形成されうる。容器の少なくとも一部は、サセプタ材料から別個に形成されうる。容器を形成するための適切な材料には例えば、金属、アルミニウム、ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(Kapton(登録商標)など)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂が含まれるがこれらに限定されない。
【0068】
容器は適切な任意の方法によって形成されうる。適切な方法には、深絞り、射出成形、ブリスタリング、吹き込み成形、押し出しが含まれるがこれらに限定されない。
【0069】
カートリッジは、ユーザーがマウスピースで吸煙してエアロゾルをユーザーの口または肺の中に引き出すことを可能にするように構成されたマウスピースを備えてもよい。カートリッジがマウスピースを備える場合、マウスピースはフィルターを備えてもよい。フィルターは、低い粒子濾過効率または非常に低い粒子濾過効率を有してもよい。別の方法として、マウスピースは中空管を備えてもよい。マウスピースは気流修正器、例えば制限器を備えてもよい。
【0070】
カートリッジはマウスピース管内に提供されてもよい。マウスピース管エアロゾル形成チャンバーを備えてもよい。マウスピース管は気流制限器を備えてもよい。マウスピース管はフィルターを備えてもよい。マウスピース管は厚紙ハウジングを備えてもよい。マウスピース管は厚紙管内に一つ以上の蒸気不浸透性要素を備えてもよい。マウスピース管は従来の紙巻たばこと類似する直径、例えば約7ミリメートルの直径を有しうる。マウスピース管は、ユーザーの口の中に定置されるように構成された口側端を有してもよく、エアロゾルはこれを通って吸入される。カートリッジは、マウスピース管の中に、例えば口側端の反対側の端に保持されてもよい。
【0071】
本発明の第二の態様によると、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる、本発明の第一の態様によるエアロゾル発生装置とカートリッジとを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。エアロゾル発生装置は、カートリッジを受容するための装置くぼみを画定するハウジングと、カートリッジが装置くぼみ内に受容されている時にサセプタ材料を加熱するように配設された誘導発熱体を備える電気ヒーターとを備える。エアロゾル発生装置は、電力供給源と、電力供給源から電気ヒーターへの電力の供給を制御するためのコントローラとをさらに備える。
【0072】
誘導発熱体は、装置くぼみの少なくとも一部分の周りに延びる少なくとも一つの誘導コイルを備えてもよい。誘導コイルは装置くぼみの周りに完全に延びてもよい。誘導コイルは、複数の巻線で装置くぼみの周りに巻かれてもよい。
【0073】
誘導発熱体は少なくとも一つの平面誘導コイルを備えてもよい。各平面誘導コイルはフラットスパイラル誘導コイルを含むことが好ましい。
【0074】
本明細書で使用される「フラットスパイラル誘導コイル」は、概して平面のコイルであり、コイルの巻線の軸がコイルのある表面に対して垂直であるコイルを意味する。一部の実施形態において、フラットスパイラルコイルは、平坦なユークリッド平面内にあるという意味で、平面であってもよい。しかし、本明細書で使用される「フラットスパイラル誘導コイル」という用語は、曲面または他の三次元表面と一致する形状のコイルを網羅する。例えば、フラットスパイラルコイルは、円筒状ハウジングまたは装置のくぼみと一致する形状にされうる。その時フラットスパイラルコイルは「平面」であると言うことができるが、円筒面と一致し、コイルの巻線の軸はコイルの中心で円筒面に垂直である。フラットスパイラルコイルが円筒面または非ユークリッド平面と一致する場合、フラットスパイラルコイルはフラットスパイラルコイルの直径より大きいフラットスパイラルコイルの領域の曲率の半径を有する平面にあることが好ましい。
【0075】
電源は再充電可能なリチウムイオン電池などの電池であってもよい。別の方法として、電源はコンデンサーなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合がある。電源は、装置の一回以上の使用に十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有しうる。例えば、電源は従来の紙巻たばこ一本を喫煙するのにかかる典型的な時間に対応する約六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の回数の吸煙、または不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0076】
コントローラおよび電力供給源は、使用中に高周波振動電流が誘導発熱体を通過してサセプタ材料内の電圧を誘発する交番磁界を生成するように構成されていることが好ましい。本明細書で使用される「高周波振動電流」という用語は、約125キロヘルツ~約30メガヘルツの周波数を有する、振動電流を意味する。高周波振動電流は、約1メガヘルツ~約30メガヘルツ、好ましくは約1メガヘルツ~約10メガヘルツ、より好ましくは約5メガヘルツ~約7メガヘルツの周波数を有しうる。
【0077】
エアロゾル発生装置は携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生装置は従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこと匹敵するサイズを有してもよい。エアロゾル発生装置は、およそ30ミリメートル~およそ150ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生装置は、およそ5ミリメートル~およそ30ミリメートルの外径を有してもよい。
【0078】
本発明の第三の態様によると、エアロゾル発生システム用のカートリッジを組み立てる方法が提供されていて、方法は、カートリッジくぼみを画定する容器を提供する工程と、カートリッジくぼみの中にサセプタ材料を挿入する工程とを含み、サセプタ材料は複数の隙間を画定する。方法はまた、容器の内表面の少なくとも一部分にサセプタ材料を固定する工程を含む。方法はまた、液体エアロゾル形成基体を複数の隙間の中に挿入する工程と、液体エアロゾル形成基体をゲル化して室温で固体であるゲルを形成する工程とを含み、ゲルは複数の隙間内に位置付けられている。カートリッジは、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる、本発明の第一の態様によるカートリッジであることが好ましい。
【0079】
本明細書で使用される「ゲル化」という用語は、液体がゲルに変換されることを意味するために使用される。
【0080】
有利なことに、エアロゾル形成基体を液体状で複数の隙間の中に挿入することは、複数の隙間の中へのエアロゾル形成基体の流れを容易にする。例えば、液体エアロゾル形成基体は毛細管作用によって複数の隙間の中に引き出されうる。
【0081】
液体エアロゾル形成基体を複数の隙間の中に挿入する工程中、液体エアロゾル形成基体は室温より高い温度であることが好ましい。液体エアロゾル形成基体は少なくとも摂氏約50度の温度であることが好ましい。
【0082】
エアロゾル形成基体のゲル化工程は、液体エアロゾル形成基体を冷却することを含みうる。液体エアロゾル形成基体が高温で複数の隙間の中に挿入される実施形態において、液体エアロゾル形成基体は、ゲル化工程中に室温まで冷却されることが好ましい。ゲルは、本発明の第一の態様に関連して本明細書に記載の通り、熱可逆性ゲルであることが好ましい。液体エアロゾル形成基体は、本発明の第一の態様に関連して本明細書に記載の通り、ゲル化剤を含むことが好ましい。
【0083】
サセプタ材料を容器の内表面の少なくとも一部分に固定する工程は、接着剤および溶接のうちの少なくとも一つを使用してサセプタ材料を固定することを含みうる。
【0084】
容器は、本発明の第一の態様に関連して本明細書に記載の通り、管状部分および基部部分を備えうる。方法は、サセプタ材料およびゲルがシールによってカートリッジくぼみ内に密封されるように、容器の管状部分の開放端を横切ってシールを位置付ける工程と、管状部分にシールを貼って密封する工程とをさらに含むことが好ましい。シールは、ゲル化工程の前または後に管状部分の開放端を横切って位置付けられうる。シールは、本発明の第一の態様に関連して本明細書に記載の随意の特徴または好ましい特徴のいずれかをさらに備えてもよい。
【0085】
本発明の第三の態様によって組み立てられたカートリッジは、本発明の第一の態様に関連して本明細書に記載の随意の特徴および好ましい特徴のうちのいずれかを備えてもよい。
【0086】
本発明の第四の態様によると、エアロゾル発生システム用のカートリッジを組み立てる方法が提供されていて、方法は、サセプタ材料を提供する工程と、サセプタ材料の表面上に複数の隙間を形成する工程とを含む。方法はまた、サセプタ材料から容器を形成する工程を含み、容器はカートリッジくぼみを少なくとも部分的に画定する内表面を備え、複数の隙間を備えるサセプタ材料の表面は、容器の内表面の少なくとも一部分を形成する。方法はまた、液体エアロゾル形成基体を複数の隙間の中に挿入する工程と、エアロゾル形成基体が室温でゲルの形態であるように、液体エアロゾル形成基体をゲル化する工程とを含み、ゲルは複数の隙間内に位置付けられている。
【0087】
本明細書で使用される「ゲル化」という用語は、液体がゲルに変換されることを意味するために使用される。
【0088】
有利なことに、エアロゾル形成基体を液体状で複数の隙間の中に挿入することは、複数の隙間の中へのエアロゾル形成基体の流れを容易にする。例えば、液体エアロゾル形成基体は毛細管作用によって複数の隙間の中に引き出されうる。
【0089】
液体エアロゾル形成基体を複数の隙間の中に挿入する工程中、液体エアロゾル形成基体は室温より高い温度であることが好ましい。液体エアロゾル形成基体は少なくとも摂氏約50度の温度であることが好ましい。
【0090】
エアロゾル形成基体のゲル化工程は、液体エアロゾル形成基体を冷却することを含みうる。液体エアロゾル形成基体が高温で複数の隙間の中に挿入される実施形態において、液体エアロゾル形成基体は、ゲル化工程中に室温まで冷却されることが好ましい。ゲルは、本発明の第一の態様に関連して本明細書に記載の通り、熱可逆性ゲルであることが好ましい。液体エアロゾル形成基体は、本発明の第一の態様に関連して本明細書に記載の通り、ゲル化剤を含むことが好ましい。
【0091】
容器は、本発明の第一の態様に関連して本明細書に記載の通り、管状部分および基部部分を備えうる。方法は、ゲルがシールによってカートリッジくぼみ内に密封されるように、容器の管状部分の開放端を横切ってシールを位置付ける工程と、管状部分にシールを貼って密封する工程とをさらに含むことが好ましい。シールは、ゲル化工程の前または後に管状部分の開放端を横切って位置付けられうる。シールは、本発明の第一の態様に関連して本明細書に記載の随意の特徴または好ましい特徴のいずれかをさらに備えてもよい。
【0092】
本発明の第四の態様によって組み立てられたカートリッジは、本発明の第一の態様に関連して本明細書に記載の随意の特徴および好ましい特徴のうちのいずれかを備えてもよい。
【0093】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
図1図1は、本発明の実施形態によるカートリッジの断面図を示す。
図2図2は、図1の1-1でのサセプタ材料の部分の拡大断面図を示す。
図3図3は、図2のサセプタ材料の内表面の一部分の平面図を示す。
図4図4は、代替のサセプタ材料の内表面の一部分の平面図を示す。
図5図5は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムの側面図を示す。
図6図6は、図5のエアロゾル発生システムの断面図を示す。
図7図7は、本発明の実施形態によるカートリッジを組み立てる第一の方法を図示する流れ図を示す。
図8図8は、本発明の実施形態によるカートリッジを組み立てる第二の方法を図示する流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0095】
図1は、本発明の実施形態によるカートリッジ10の断面図を示す。カートリッジ10は、カートリッジくぼみ14を部分的に画定する容器12を備え、容器12は管状部分16および基部部分18を備える。容器12の外表面13は、カートリッジ10の外表面を部分的に画定する。カートリッジくぼみ14内には、環状の形状を有するサセプタ材料20が位置付けられていて、サセプタ材料20はカートリッジくぼみ14を部分的に画定する内表面21、および外表面23を有する。サセプタ材料20は、その外表面23で容器12の管状部分16の内表面25に接着されている強磁性ステンレス鋼のシートを含む。サセプタ材料20の環状形状は、カートリッジ10の使用中に混合チャンバーおよび気流チャネルのうちの少なくとも一つとして機能しうる空間27を画定する。
【0096】
カートリッジ10はまた、管状部分16の開端部を横切って延びるシール26を含み、シールは壊れやすいバリアを含み、かつ超音波溶接によって管状部分16の開放端の周辺部の周りで容器12に固定されている。
【0097】
図2は、図1の1-1でのサセプタ材料20の部分の拡大断面図を示す。複数の隙間22は、サセプタ材料20の内表面21上に形成されている。容器10は、サセプタ材料20の複数の隙間22内に位置付けられたエアロゾル形成基体24をさらに含む。エアロゾル形成基体24は室温でゲルの形態であり、これはエアロゾル形成基体24が複数の隙間22の外に流れ出るのを防止する。ゲルは、エアロゾル形成基体24が液体状であるように、ゲルが少なくとも摂氏50度に加熱されると融解するような熱可逆性ゲルである。
【0098】
図3は、図2のサセプタ材料20の内表面21の一部分の平面図を示す。隙間22のそれぞれは、複数の隙間22がサセプタ材料20の内表面21上にハニカム配設を形成するように、六角形の形状を有する。隙間22は、サセプタ材料20の内表面21のエンボス加工によって形成されうる。隙間22の望ましい毛細管現象と望ましい表面積対体積比との間の均衡をもたらすために、各隙間22は約30マイクロメートル~約300マイクロメートルの最大幅29を有する。
【0099】
図4は、代替のサセプタ材料50の内表面51の一部分の平面図を示す。サセプタ材料50は、サセプタ材料50の内表面51上に形成された複数の突出部59を備える。複数の突出部59は、複数の突出物59の間に複数の相互接続された隙間52を画定する。エアロゾル形成基体24の連続的な層は、複数の相互接続された隙間52内に位置付けられている。
【0100】
図5および図6は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システム100を示す。エアロゾル発生システム100は、図1のカートリッジ10と、マウスピースから延びる貫通要素104を有するマウスピース102と、エアロゾル発生装置106とを備える。図5は、エアロゾル発生装置106から分離されたマウスピース102を示し、図6はエアロゾル発生装置106に接続されたマウスピース102を示す。
【0101】
エアロゾル発生装置106は、カートリッジ10を受容するための装置くぼみ110を画定するハウジング108を備える。カートリッジ10が装置くぼみ110内に受容されていて、マウスピース102がエアロゾル発生装置106に接続されている時、貫通要素104は、貫通要素104の少なくとも一部分がカートリッジくぼみ14内に受容されるように、カートリッジ10のシール26を破壊する。
【0102】
エアロゾル発生装置106はまた、誘導発熱体112を備える電気ヒーターを備える。誘導発熱体112は、ハウジング108内に位置付けられた、および装置くぼみ110の周りに巻かれた誘導コイルを備える。また、ハウジング108内に位置付けられているのは、コントローラ114および電力供給源116である。使用中、コントローラ114は、電力供給源116から誘導発熱体112への振動電流の供給を制御する。誘導発熱体内の振動電流は、カートリッジ10のサセプタ材料20内の電圧を誘発する交番磁界を生成する。誘起された電圧はサセプタ材料20を加熱し、これはエアロゾル形成基体24を加熱する。加熱式エアロゾル形成基体24は溶融して気化し、カートリッジくぼみ14の空間27内に蒸気を形成する。ユーザーはマウスピース102を吸って、気流入口118を介してエアロゾル発生システム100の中に空気を引き出しうる。気流入口118に入る空気は、貫通要素104内の第一の気流開口部を介してカートリッジくぼみ14の中に流れ、貫通要素104内の第二の気流開口部を介してカートリッジくぼみ14から出る。空気がカートリッジくぼみ14と、サセプタ素子20の管状の形状によって画定された空間27とを通って流れる際、気化されたエアロゾル形成基体24は気流に混入される。気流およびその中に混入された蒸気は、マウスピース102内の気流出口120を介して第二の気流開口部からユーザーの口に流れる。
【0103】
図7は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システム用のカートリッジを組み立てる第一の方法200を示す。第一の工程202では、容器が提供され、容器はカートリッジくぼみを部分的に画定する内表面を有する。第二の工程204では、サセプタ材料がカートリッジくぼみの中に挿入される。サセプタ材料は複数の隙間を画定する。第三の工程205では、サセプタ材料が容器の内表面の少なくとも一部分に固定される。第四の工程206では、液体エアロゾル形成基体がサセプタ材料の複数の隙間の中に挿入される。第五の工程208では、液体エアロゾル形成基体がゲル化されてゲルを形成する。第六の工程210では、シールが容器の開放端を横切って位置付けられる。第七の工程212では、例えば超音波溶接によって、シールが容器に密封される。
【0104】
図8は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システム用のカートリッジを組み立てる第二の方法300を示す。第一の工程302では、サセプタ材料が提供される。第二の工程304では、複数の隙間がサセプタ材料の表面上に形成される。第三の工程305では、複数の隙間を備えるサセプタ材料の表面が容器の内表面を形成するように、容器はサセプタ材料から形成される。第四の工程306では、液体エアロゾル形成基体がサセプタ材料の複数の隙間の中に挿入される。第五の工程308では、液体エアロゾル形成基体がゲル化されてゲルを形成する。第六の工程310では、シールが容器の開放端を横切って位置付けられる。第七の工程312では、例えば超音波溶接によって、シールが容器に密封される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8