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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/3231 20190101AFI20241119BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20241119BHJP
   H04N 23/65 20230101ALI20241119BHJP
   G06F 1/3234 20190101ALI20241119BHJP
【FI】
G06F1/3231
H04N23/60 500
H04N23/65 100
G06F1/3234
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023086810
(22)【出願日】2023-05-26
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】西尾 匡史
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-102151(JP,A)
【文献】特開2020-140430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/32
H04N 23/60
H04N 23/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部で撮像された画像の画像データを一時的に記憶するメモリと、
前記メモリに記憶されている画像データを処理することにより、前記画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出して人物の存在を検出する人物検出処理と、システムの要求に応じて前記画像の中から前記顔領域を検出して顔認証を行う顔認証処理とを実行する第1プロセッサと、
前記人物検出処理による検出結果に基づいて、システムの動作状態の遷移および表示部の画面輝度の変更を指示する第2プロセッサと、
前記顔認証処理による認証結果とユーザによる入力の検出結果とに基づいて前記システムのロックを解除するロック解除処理を実行する第3プロセッサと、
を備え、
前記第1プロセッサは、
前記撮像部で撮像された前記画像の画像データを、前記人物検出処理と前記顔認証処理とで排他的に利用可能であり、
前記第2プロセッサは、
前記人物検出処理により前記人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、前記画面輝度を低減させる輝度低減処理と、
前記人物検出処理により前記人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、第1の時間が経過する前に前記システムをロックさせる指示を行うシステムロック指示処理と、
前記人物検出処理により前記人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、前記第1の時間が経過した後に前記システムを待機状態へ遷移させる指示を行う待機状態指示処理と、
を実行し、
前記第3プロセッサは、
前記システムロック指示処理による指示に応じて前記システムをロックさせるとともに、前記システムをロックしたことに応じて前記システムのロックを解除するための前記顔認証処理を開始し、
前記第2プロセッサは、
前記輝度低減処理により前記画面輝度を低減させた状態で、前記システムがロックされたことに応じて前記システムのロックを解除するための前記顔認証処理が開始された場合、前記人物検出処理によらず前記画面輝度を低減させた状態を継続させる、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の時間は、システム上で動作する特定のアプリケーションの利用またはユーザによる入力によるユーザアクティビティのいずれも無い状態が継続する時間の閾値として設定されている、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2プロセッサは、
前記輝度低減処理により前記画面輝度を低減させた状態で、前記システムがロックされたことに応じて前記システムのロックを解除するための前記顔認証処理が開始された場合、前記人物検出処理による検出結果を無視し、前記画面輝度を低減させた状態を継続させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2プロセッサは、
前記画面輝度を低減させた後、前記第1の時間が経過する前にユーザによる入力が検出された場合、前記輝度低減処理を中止して前記画面輝度を低減前に戻す、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2プロセッサは、
前記人物検出処理により前記人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、前記第1の時間よりも短い第2の時間が経過したことに応じて前記画面輝度を低減させ、前記第1の時間が経過する前、且つ前記画面輝度を低減させてから第3の時間が経過した後に、前記システムロック指示処理により前記システムをロックさせる指示を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2プロセッサは、
前記ロック解除処理により前記システムのロックが解除された場合、前記輝度低減処理を中止して前記画面輝度を低減前に戻す、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
撮像部で撮像された画像の画像データを一時的に記憶するメモリと、前記メモリに記憶されている画像データを処理することにより、前記画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出して人物の存在を検出する人物検出処理と、システムの要求に応じて前記画像の中から前記顔領域を検出して顔認証を行う顔認証処理とを実行する第1プロセッサと、前記人物検出処理による検出結果に基づいて、システムの動作状態の遷移および表示部の画面輝度の変更を指示する第2プロセッサと、前記顔認証処理による認証結果とユーザによる入力の検出結果とに基づいて前記システムのロックを解除するロック解除処理を実行する第3プロセッサと、を備える情報処理装置における制御方法であって、
前記第1プロセッサが、
前記撮像部で撮像された前記画像の画像データを、前記人物検出処理と前記顔認証処理とで排他的に利用可能であり、
前記第2プロセッサが、
前記人物検出処理により前記人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、前記画面輝度を低減させる輝度低減ステップと、
前記人物検出処理により前記人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、第1の時間が経過する前に前記システムをロックさせる指示を行うシステムロック指示ステップと、
前記人物検出処理により前記人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、前記第1の時間が経過した後に前記システムを待機状態へ遷移させる指示を行う待機状態指示ステップと、
前記第3プロセッサが、
前記システムロック指示ステップによる指示に応じて前記システムをロックさせるとともに、前記システムをロックしたことに応じて前記システムのロックを解除するための前記顔認証処理を開始するステップと、
前記第2プロセッサが、
前記輝度低減ステップにより前記画面輝度を低減させた状態で、前記システムがロックされたことに応じて前記システムのロックを解除するための前記顔認証処理が開始された場合、前記人物検出処理によらず前記画面輝度を低減させた状態を継続させるステップと、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、赤外線センサを用いて、人物が近づいたことや離れたことを検出し、人物が近づいたことを検出すると使用可能な状態に遷移し、人物が離れたことを検出すると消費電力を抑えた状態に遷移する機器について開示されている。また、近年、コンピュータビジョンなどの発展により、画像から顔を検出する際の検出精度が高くなってきている。そこで、赤外線センサによる人物の検出に代えて、カメラなどの撮像センサを用いて撮像画像から顔を検出することにより人物を検出することも行われている。顔検出による人物の検出は、より人物であることを正確に検出することができる。
【0003】
また近年、ESG(Environment、Social、Governance)への期待から、表示部(ディスプレイ)の輝度(明るさ)を低減して低電力化する機能が注目されている。例えば、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置では、人物が離れた場合や、人物が存在していても顔が横を向いている場合には、ディスプレイの画面輝度を低減する制御が行われているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-148895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置において、人物が検出されている状態から人物が検出されなくなると(即ち、人物が離れると)、消費電力を抑えるために画面輝度を低減させ、その後一定時間経過した後に待機状態(スタンバイなど)に遷移させる制御が行われている。しかしながら、システムによっては、待機状態に遷移すると、再生中の音楽やPodcastで配信されている音声などが停止してしまうという問題がある。
【0006】
その対策として、待機状態に遷移させずにシステムをロックさせた状態にしておくことが考えられるが、システムをロックさせるとロックを解除するための認証処理として、システム要求により顔認証処理が実行される場合がある。ここでシステムによっては、システム要求による顔認証処理と、顔検出による人物検出処理とで同時にカメラを利用することができない。その場合、システム要求による顔認証処理の方にカメラを利用する権利が優先的に与えられるため、顔検出による人物検出処理を行うことができなくなる。人物検出処理でカメラを利用できないことから人物検出処理による制御を無効にすると、低減させていた画面輝度が低減前の画面輝度に戻ってしまうという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、顔検出を用いて画面輝度の制御及びシステムの動作制御を適切に行うことができる情報処理装置、及び制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1態様に係る情報処理装置は、撮像部で撮像された画像の画像データを一時的に記憶するメモリと、前記メモリに記憶されている画像データを処理することにより、前記画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出して人物の存在を検出する人物検出処理と、システムの要求に応じて前記画像の中から前記顔領域を検出して顔認証を行う顔認証処理とを実行する第1プロセッサと、前記人物検出処理による検出結果に基づいて、システムの動作状態の遷移および表示部の画面輝度の変更を指示する第2プロセッサと、前記顔認証処理による認証結果に基づいて前記システムのロックを解除するロック解除処理を実行する第3プロセッサと、を備え、前記第1プロセッサは、前記撮像部で撮像された前記画像の画像データを、前記人物検出処理と前記顔認証処理とで排他的に利用可能であり、前記第2プロセッサは、前記人物検出処理により前記人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、前記画面輝度を低減させる輝度低減処理と、前記人物検出処理により前記人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、第1の時間が経過する前に前記システムをロックさせる指示を行うシステムロック指示処理と、前記人物検出処理により前記人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、前記第1の時間が経過した後に前記システムを待機状態へ遷移させる指示を行う待機状態指示処理と、を実行し、前記第3プロセッサは、前記システムロック指示処理による指示に応じて前記システムをロックさせるとともに、前記システムをロックしたことに応じて前記顔認証処理を用いた前記ロック解除処理を開始し、前記第2プロセッサは、前記輝度低減処理により前記画面輝度を低減させた状態で、前記システムがロックされたことに応じて前記顔認証処理を用いた前記ロック解除処理が開始された場合、前記人物検出処理によらず前記画面輝度を低減させた状態を継続させる。
【0009】
上記情報処理装置において、前記第1の時間は、システム上で動作する特定のアプリケーションの利用またはユーザによる入力によるユーザアクティビティのいずれも無い状態が継続する時間の閾値として設定されてもよい。
【0010】
上記情報処理装置において、前記第2プロセッサは、前記輝度低減処理により前記画面輝度を低減させた状態で、前記システムがロックされたことに応じて前記顔認証処理を用いた前記ロック解除処理が開始された場合、前記人物検出処理による検出結果を無視し、前記画面輝度を低減させた状態を継続させてもよい。
【0011】
上記情報処理装置において、前記第2プロセッサは、前記画面輝度を低減させた後、前記第1の時間が経過する前にユーザによる入力が検出された場合、前記輝度低減処理を中止して前記画面輝度を低減前に戻してもよい。
【0012】
上記情報処理装置において、前記第2プロセッサは、前記人物検出処理により前記人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、前記第1の時間よりも短い第2の時間が経過したことに応じて前記画面輝度を低減させ、前記第1の時間が経過する前、且つ前記画面輝度を低減させてから第3の時間が経過した後に、前記システムロック指示処理により前記システムをロックさせる指示を行ってもよい。
【0013】
上記情報処理装置において、前記第2プロセッサは、前記ロック解除処理により前記システムのロックが解除された場合、前記輝度低減処理を中止して前記画面輝度を低減前に戻してもよい。
【0014】
また、本発明の第2態様に係る、撮像部で撮像された画像の画像データを一時的に記憶するメモリと、前記メモリに記憶されている画像データを処理することにより、前記画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出して人物の存在を検出する人物検出処理と、システムの要求に応じて前記画像の中から前記顔領域を検出して顔認証を行う顔認証処理とを実行する第1プロセッサと、前記人物検出処理による検出結果に基づいて、システムの動作状態の遷移および表示部の画面輝度の変更を指示する第2プロセッサと、前記顔認証処理による認証結果に基づいて前記システムのロックを解除するロック解除処理を実行する第3プロセッサと、を備える情報処理装置における制御方法であって、前記第1プロセッサが、前記撮像部で撮像された前記画像の画像データを、前記人物検出処理と前記顔認証処理とで排他的に利用可能であり、前記第2プロセッサが、前記人物検出処理により前記人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、前記画面輝度を低減させる輝度低減ステップと、前記人物検出処理により前記人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、第1の時間が経過する前に前記システムをロックさせる指示を行うシステムロック指示ステップと、前記人物検出処理により前記人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、前記第1の時間が経過した後に前記システムを待機状態へ遷移させる指示を行う待機状態指示ステップと、前記第3プロセッサが、前記システムロック指示ステップによる指示に応じて前記システムをロックさせるとともに、前記システムをロックしたことに応じて前記顔認証処理を用いた前記ロック解除処理を開始するステップと、前記第2プロセッサが、前記輝度低減ステップにより前記画面輝度を低減させた状態で、前記システムがロックされたことに応じて前記顔認証処理を用いた前記ロック解除処理が開始された場合、前記人物検出処理によらず前記画面輝度を低減させた状態を継続させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記態様によれば、顔検出を用いて画面輝度の制御及びシステムの動作制御を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る情報処理装置の外観の構成例を示す斜視図。
図2】実施形態に係る情報処理装置の人物の検出範囲の一例を示す図。
図3】実施形態に係る情報処理装置のHPD処理の概要を説明する図。
図4】実施形態に係る「Leave」検出時の制御例を示す図。
図5】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す概略ブロック図。
図6】実施形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示す概略ブロック図。
図7】実施形態に係る「Leave」検出時の画面輝度低減処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置1の外観の構成例を示す斜視図である。
【0018】
情報処理装置1は、例えば、ノート型(クラムシェル型)のPC(Personal Computer)である。情報処理装置1は、第1筐体10、第2筐体20、及びヒンジ機構15を備える。第1筐体10と第2筐体20は、ヒンジ機構15を用いて結合されている。第1筐体10は、第2筐体20に対して、ヒンジ機構15がなす回転軸の周りに相対的に回動可能である。第1筐体10と第2筐体20との回動による開き角を「θ」として図示している。
【0019】
第1筐体10は、Aカバー、ディスプレイ筐体とも呼ばれる。第2筐体20は、Cカバー、システム筐体とも呼ばれる。以下の説明では、第1筐体10と第2筐体20の側面のうち、ヒンジ機構15が備わる面を、それぞれ側面10c、20cと呼ぶ。第1筐体10と第2筐体20の側面のうち、側面10c、20cとは反対側の面を、それぞれ側面10a、20aと呼ぶ。図示において、側面20aから側面20cに向かう方向を「後」と呼び、側面20cから側面20aに向かう方向を「前」と呼ぶ。後方に対して右方、左方を、それぞれ「右」、「左」と呼ぶ。第1筐体10、第2筐体20の左側面をそれぞれ側面10b、20bと呼び、右側面をそれぞれ側面10d、20dと呼ぶ。また、第1筐体10と第2筐体20とが重なり合って完全に閉じた状態(開き角θ=0°の状態)を「閉状態」と呼ぶ。閉状態において第1筐体10と第2筐体20との互いに対面する側の面を、それぞれの「内面」と呼び、内面に対して反対側の面を「外面」と呼ぶ。また、閉状態に対して第1筐体10と第2筐体20とが開いた状態のことを「開状態」と呼ぶ。
【0020】
図1に示す情報処理装置1の外観は開状態の例を示している。開状態は、第1筐体10の側面10aと第2筐体20の側面20aとが離れた状態である。開状態では、第1筐体10と第2筐体20とのそれぞれの内面が表れる。開状態はユーザが情報処理装置1を使用する際の状態の一つであり、典型的には開き角θ=100~130°程度の状態で使用されることが多い。なお、開状態となる開き角θの範囲は、ヒンジ機構15よって回動可能な角度の範囲等に応じて任意に定めることができる。
【0021】
第1筐体10の内面には、表示部110が設けられている。表示部110は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどを含んで構成されている。また、第1筐体10の内面のうち表示部110の周縁の領域に、撮像部120が設けられている。例えば、撮像部120は、表示部110の周縁の領域のうち側面10a側に配置されている。なお、撮像部120が配置される位置は一例であって、表示部110の表示画面に対面する方向を向くことが可能であれば他の場所であってもよい。
【0022】
撮像部120は、開状態において、表示部110の表示画面に対面する方向(即ち、情報処理装置1の前方)の所定の撮像範囲を撮像する。所定の撮像範囲とは、撮像部120が有する撮像素子と撮像素子の撮像面の前方に設けられた光学レンズとによって定まる画角の範囲である。例えば、撮像部120は、情報処理装置1の前方(正面側)に存在する人物(ユーザ)を含む画像を撮像することができる。
【0023】
また、第2筐体20の側面20bには、電源ボタン140が設けられている。電源ボタン140は、電源のオンまたはオフ、待機状態から通常動作状態への遷移、通常動作状態から待機状態への遷移などをユーザが指示するための操作子である。通常動作状態とは、特に制限なく処理の実行が可能なシステムの動作状態であり、例えば、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)で規定されているS0状態に相当する。
【0024】
待機状態とは、システム処理の少なくとも一部が制限されている状態であって、通常動作状態よりも消費電力が低い状態である。例えば、待機状態は、スタンバイ状態、スリープ状態等であってもよく、Windows(登録商標)におけるモダンスタンバイや、ACPIで規定されているS3状態(スリープ状態)等に相当する状態であってもよい。
【0025】
また、第2筐体20の内面には、ユーザの操作入力を受け付ける入力デバイスとして、キーボード151及びタッチパッド153が設けられている。なお、入力デバイスとして、キーボード151及びタッチパッド153に代えて、または加えて、タッチセンサが設けられてもよいし、マウスや外付けのキーボードが接続されてもよい。タッチセンサが設けられた構成の場合、表示部110の表示画面に対応する領域が操作を受け付けるタッチパネルとして構成されてもよい。また、入力デバイスには、音声が入力されるマイクが含まれてもよい。
【0026】
なお、第1筐体10と第2筐体20とが閉じた閉状態では、第1筐体10の内面に設けられている表示部110、及び撮像部120と、第2筐体20の内面に設けられているキーボード151及びタッチパッド153は、互いに他方の筐体面で覆われ、機能を発揮できない状態となる。
【0027】
情報処理装置1は、撮像部120により撮像された撮像画像に基づいて、情報処理装置1の前方に存在する人物を検出するHPD(Human Presence Detection)処理を実行する。
【0028】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置1の人物の検出範囲の一例を示す図である。図示する例において、情報処理装置1の前方の検出範囲FoV(Field of View:検出視野角)が、人物の検出可能な範囲である。
【0029】
例えば、情報処理装置1は、撮像部120により撮像された撮像画像から顔が撮像されている顔領域を検出することにより、情報処理装置1の前方に人物(ユーザ)が存在するか否かを判定する。検出範囲FoVは、情報処理装置1が撮像する撮像画角に相当する。情報処理装置1は、撮像画像から顔領域が検出された場合、人物が存在すると判定する。一方、情報処理装置1は、撮像画像から顔領域が検出されなかった場合、人物が存在しないと判定する。
【0030】
情報処理装置1は、HPD処理により人物の存在の有無に応じて情報処理装置1のシステムの動作状態を制御する。例えば、情報処理装置1は、情報処理装置1の前方に人物が存在する場合には通常動作状態に制御し、情報処理装置1の前方に人物が存在しない場合には待機状態に制御する。
【0031】
図3は、本実施形態に係る情報処理装置1のHPD処理の概要を説明する図である。情報処理装置1は、HPD処理により情報処理装置1の前方に存在する人物を検出し、人物の存在の有無に基づいて情報処理装置1のシステムの動作状態を制御する。例えば図3の(A)に示すように、情報処理装置1は、待機状態において、情報処理装置1の前方に人物が存在しない状態(Absence)から存在する状態(Presence)への変化、即ち情報処理装置1へ人物が接近したこと(Approach)を検出した場合、自動でシステムを起動して通常動作状態へ遷移させる。また図3の(B)に示すように、情報処理装置1は、通常動作状態において、情報処理装置1の前に人物が存在している状態(Presence)では、通常動作状態を継続させる。また図3の(C)に示すように、情報処理装置1は、情報処理装置1の前方に人物が存在している状態(Presence)から存在しない状態(Absence)への変化、即ち情報処理装置1から人物が離脱したこと(Leave)を検出した場合には、システムを待機状態へ遷移させる。
【0032】
例えば、情報処理装置1は、「Presence」から「Absence」へ変化した場合(即ち、「Leave」を検出した場合)、表示部110の画面輝度を低減させ、その後一定時間経過した後に表示をオフにして待機状態へ遷移させる。このHPD処理において画面輝度を低減する処理のことを、「画面輝度低減処理」と称する。
【0033】
ここで、画面輝度を低減する前の元の画面輝度は、例えば、「Presence」状態での画面輝度であり、システムで初期設定されている輝度設定値、または当該輝度設定値をユーザが変更した輝度設定値に基づく画面輝度である。以下では、この初期設定されている輝度設定値、または当該輝度設定値をユーザが変更した輝度設定値に基づく画面輝度のことを「標準輝度」と称する。これに対し、標準輝度から低減した輝度のことを「低輝度」と称する。低輝度の輝度設定値は予め設定されており、例えば、標準輝度の0~10%程度の画面輝度になる値に設定されている。
【0034】
ここで、システムによっては、待機状態に遷移すると、再生中の音楽やPodcastで配信されている音声などが停止してしまうため、情報処理装置1は、画面輝度を低減させた後に、待機状態に遷移させずに一旦システムをロックさせる。これより、情報処理装置1は、再生中の音楽やPodcastで配信されている音声などを停止させずに継続することができる。
【0035】
また、情報処理装置1は、システムをロックさせると、システムのロックを解除するための認証処理(ロック解除処理)を開始する。この認証処理は、顔認証、指紋認証、パスワード認証などによる認証処理(例えば、ログイン認証処理)である。情報処理装置1は、顔認証処理の方でカメラを利用するため、顔検出による人物検出処理を行うことができなくなる。そのため、情報処理装置1は、人物検出処理によらず表示部110の画面輝度を低減させた状態を継続させる。
【0036】
また、情報処理装置1は、システムをロックさせた後に、ユーザアクティビティ(音楽再生アプリの利用、Podcastの利用、またはユーザによる入力など)が無い状態が一定時間経過した場合、システムを待機状態に遷移させる。
【0037】
図4は、本実施形態に係る「Leave」検出時の制御例を示すタイミングチャートである。この図を参照して、「Leave」検出時の画面輝度低減処理およびシステムの動作状態制御処理について説明する。
【0038】
時刻t1において、情報処理装置1は、通常動作状態であり、表示部110の画面輝度が標準輝度(例えば、80% brightness)に制御されている。この時刻t1ではHPD処理の検出結果はTrue(Presence)であるが、時刻t2において、HPD処理の検出結果がFalse(Absence)になると、時刻t1の検出結果が最後に検出されたTrue(Presence)となり、スリープタイマ(Sleep timer)を用いて時間T1の計時を開始する。時間T1は、ユーザアクティビティが無い状態が継続する時間の閾値(例えば、3分)として設定されている。
【0039】
また、時刻t2においてHPD処理の検出結果がFalse(Absence)になると、リーブタイマ(Leave timer)を用いて時間T2の計時を開始する。時間T2は、HPD処理の検出結果がFalse(Absence)になってから「Leave」と判定するまでの時間であり、所定の時間(例えば、18秒)に設定されている。なお、時間T1および時間T2は、ユーザによって設定可能であってもよい。
【0040】
情報処理装置1は、HPD処理の検出結果がFalse(Absence)のまま時間T2が経過すると、時刻t3において「Leave」と判定する。情報処理装置1は、「Leave」と判定すると、画面輝度を標準輝度から低輝度(例えば、0% brightness)へ低減させる画面輝度低減処理を開始し(Start Dim)する。
【0041】
また、情報処理装置1は、時刻t3において「Leave」と判定すると、ロックタイマ(Lock timer)を用いて時間T3(例えば、5秒)の計時を開始し、HPD処理の検出結果がFalse(Absence)のまま時間T3が経過すると、時刻t4において待機状態に遷移させずに一旦システムをロックさせる。これにより、情報処理装置1は、再生中の音楽やPodcastで配信されている音声などを停止させずに継続することができる。
【0042】
また、情報処理装置1は、時刻t4においてシステムをロックさせると、システムのロックを解除するためのログイン認証処理を開始するとともに、HPD処理によらず表示部110の画面輝度を低減させた状態のまま継続させる。
【0043】
情報処理装置1は、ユーザアクティビティ(音楽の再生、Podcastの利用、またはユーザによる入力など)が無い状態で時間T1が経過すると、時刻t5において表示部110の表示をオフにして、待機状態へ遷移させる。つまり、情報処理装置1は、ユーザアクティビティが継続している間は、待機状態へ遷移させないため、再生中の音楽やPodcastで配信されている音声などを停止させずに継続することができる。
【0044】
なお図4には示していないが、情報処理装置1は、時間T1が経過するまでの間に、ユーザによるHID(Human Interface Device)に対する入力(以下、「HID入力」と称する)があった場合には、人物が存在する(Presence)と判定し、表示部110の画面輝度を低減前の標準輝度に戻す。HID入力とは、ユーザによるHIDに対する入力であり、例えば入力デバイス150(例えば、キーボード151、タッチパッド153など)への操作入力などである。
【0045】
以下、本実施形態に係る情報処理装置1の構成について詳しく説明する。
[情報処理装置のハードウェア構成]
図5は、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示す概略ブロック図である。この図5において、図1の各部に対応する構成には同一の符号を付している。情報処理装置1は、表示部110、撮像部120、電源ボタン140、入力デバイス150、通信部160、記憶部170、EC(Embedded Controller)200、顔検出部210、メイン処理部300、及び電源部400を含んで構成される。
【0046】
表示部110は、メイン処理部300により実行されるシステム処理及びシステム処理上で動作するアプリケーションプログラムの処理等に基づいて生成された表示データ(画像)を表示する。
【0047】
撮像部120は、第1筐体10の内面に対面する方向(前方)の所定の撮像範囲(画角)内の物体の像を撮像し、撮像した画像をメイン処理部300及び顔検出部210へ出力する。例えば、撮像部120は、可視光を用いて撮像する可視光カメラ(RGBカメラ)と赤外線を用いて撮像する赤外線カメラ(IRカメラ)とを備えている。
【0048】
なお、撮像部120は、可視光カメラと赤外線カメラとのいずれか一方を含んで構成されてもよいし、両方を含んで構成されてもよい。
【0049】
電源ボタン140は、ユーザの操作に応じて操作信号をEC200へ出力する。入力デバイス150は、ユーザの入力を受け付ける入力部であり、例えばキーボード151及びタッチパッド153を含んで構成されている。入力デバイス150は、キーボード151及びタッチパッド153に対する操作を受け付けることに応じて、操作内容を示す操作信号をEC200へ出力する。
【0050】
通信部160は、無線または有線による通信ネットワークを介して他の機器と通信可能に接続し、各種のデータの送信および受信を行う。例えば、通信部160は、イーサネット(登録商標)等の有線LANインターフェースやWi-Fi(登録商標)等の無線LANインターフェース等を含んで構成されている。
【0051】
記憶部170は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュROMなどの記憶媒体を含んで構成される。記憶部170は、OS、デバイスドライバ、アプリケーションなどの各種のプログラム、その他、プログラムの動作により取得した各種のデータを記憶する。例えば、記憶部170には、上述した画面輝度の輝度設定値が記憶されても良い。
【0052】
電源部400は、情報処理装置1の各部の動作状態に応じて各部へ電力を供給する。電源部400は、DC(Direct Current)/DCコンバータを備える。DC/DCコンバータは、AC(Alternate Current)/DCアダプタもしくはバッテリー(電池パック)から供給される直流電力の電圧を、各部で要求される電圧に変換する。DC/DCコンバータで電圧が変換された電力が各電源系統を介して各部へ供給される。例えば、電源部400は、EC200から入力される制御信号に基づいて各電源系統を介して各部に電力を供給する。
【0053】
EC200は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびI/O(Input/Output)ロジック回路などを含んで構成されたマイクロコンピュータである。EC200のCPUは、自部のROMに予め記憶した制御プログラム(ファームウェア)を読み出し、読み出した制御プログラムを実行して、その機能を発揮する。EC200は、メイン処理部300とは独立に動作し、メイン処理部300の動作を制御し、その動作状態を管理する。また、EC200は、電源ボタン140、入力デバイス150、及び電源部400等と接続されている。
【0054】
例えば、EC200は、電源部400と通信を行うことにより、バッテリーの状態(残容量など)の情報を電源部400から取得するとともに、情報処理装置1の各部の動作状態に応じた電力の供給を制御するための制御信号などを電源部400へ出力する。また、EC200は、電源ボタン140や入力デバイス150から操作信号を取得し、取得した操作信号のうちメイン処理部300の処理に関連する操作信号についてはメイン処理部300へ出力する。
【0055】
顔検出部210は、撮像部120により撮像された撮像画像の画像データに基づいてHPD処理および顔認証処理を実行するプロセッサを含んで構成されている。顔検出部210は、撮像部120により撮像された撮像画像の画像データを取得し、取得した画像データをメモリに一時的に保存する。画像データを保存するメモリは、システムメモリ304であってもよいし、顔検出部210内の不図示のメモリであってもよい。
【0056】
例えば、顔検出部210は、撮像部120から取得した撮像画像の画像データを処理することにより、撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出して人物の存在を検出するHPD処理(人物検出処理)を実行する。また、顔検出部210は、撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出して顔認証を行う顔認証処理を実行する。顔の検出方法としては、顔の特徴情報を基に顔を検出する顔検出アルゴリズムや、顔の特徴情報を基に機械学習された学習データ(学習済みモデル)や顔検出ライブラリなどを用いた顔検出など、任意の検出方法を適用することができる。また、顔検出部210は、例えばログイン認証時のユーザ認証処理の一つとして、OS(Operating System)の要求に応じて顔認証処理を実行する。
【0057】
メイン処理部300は、CPU(Central Processing Unit)301、GPU(Graphic Processing Unit)302、チップセット303、及びシステムメモリ304を含んで構成され、OS(Operating System)に基づくシステム処理によって、OS上で各種のアプリケーションプログラムの処理が実行可能である。
【0058】
CPU301は、BIOSのプログラムに基づく処理、OSのプログラムに基づく処理、OS上で動作するアプリケーションプログラムに基づく処理などを実行するプロセッサである。例えば、CPU301は、システムを待機状態から起動させて通常動作状態に遷移させる起動処理、通常動作状態から待機状態へ遷移させるスリープ処理などを実行する。
【0059】
GPU302は、表示部110に接続されている。GPU302は、CPU301の制御に基づいて画像処理を実行して表示データを生成する。GPU302は、生成した表示データを表示部110に出力する。
【0060】
チップセット303は、メモリコントローラとしての機能及びI/Oコントローラとしての機能などを有する。例えば、チップセット303は、CPU301及びGPU302によるシステムメモリ304、記憶部170などからのデータの読出し、書込みを制御する。また、チップセット303は、通信部160、表示部110およびEC200からのデータの入出力を制御する。また、チップセット303は、センサハブとしての機能を有する。例えば、チップセット303は、HPD処理の検出結果および顔認証処理の認証結果などを顔検出部210から取得する。
【0061】
システムメモリ304は、CPU301で実行されるプログラムの読み込み領域ならびに処理データを書き込む作業領域などとして用いられる。また、システムメモリ304は、撮像部120で撮像された撮像画像の画像データを一時的に記憶する。
【0062】
なお、CPU301、GPU302、及びチップセット303は、一体化された一つのプロセッサとして構成されてもよいし、一部またはそれぞれが個々のプロセッサとして構成されてもよい。例えば、通常動作状態では、CPU301、GPU302、及びチップセット303のいずれも動作している状態となるが、待機状態では、チップセット303の少なくとも一部のみが動作している状態となる。
【0063】
[情報処理装置の機能構成]
次に、HPD処理による画面輝度低減処理およびシステムの動作状態制御処理を行う情報処理装置1の機能構成について詳しく説明する。
【0064】
図6は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能構成の一例を示す概略ブロック図である。情報処理装置1は、顔検出部210と、システム処理部310と、HPD処理部320とを備えている。顔検出部210は、図5の顔検出部210に対応し、撮像部120で撮像された撮像画像の画像データを処理することにより、顔検出によるHPD処理および顔認証処理を実行する。例えば、顔検出部210は、顔検出処理部211と、顔認証処理部212と、優先権判定部213とを備えている。
【0065】
顔検出処理部211は、撮像部120から取得した撮像画像の画像データを処理することにより、撮像画像から顔が撮像されている顔領域を検出する顔検出処理を実行する。顔検出処理部211は、撮像画像から顔領域を検出した場合、情報処理装置1の前方に人物が存在していることを示す「Presence」情報をHPD処理部330へ出力する。一方、顔検出処理部211は、撮像画像から顔領域を検出しなかった場合、情報処理装置1の前方に人物が存在しないことを示す「Absence」情報をHPD処理部330へ出力する。
【0066】
顔認証処理部212は、撮像部120から取得した撮像画像の画像データを処理することにより、画像の中から顔領域を検出して顔認証を行う顔認証処理を実行する。例えば、顔認証処理部212は、OSのログイン認証時のユーザ認証処理の一つとして、OSの要求に応じて顔認証処理を実行する。顔認証処理部212は、認証結果をシステム処理部310へ出力する。
【0067】
ここで、撮像部120で撮像された撮像画像の画像データを、HPD処理とOSの要求に応じた顔認証処理とで排他的に利用可能である。そのため、優先権判定部213は、撮像部120で撮像された撮像画像の画像データの利用の優先権を判定する。例えば、OSの要求による利用の方が、優先権が高く設定されている。優先権判定部213は、通常(OSの要求が無いときには)優先権をHPD処理側に与え、顔検出処理部211から検出結果として「Presence」情報または「Absence」情報がHPD処理部330へ出力される。一方、優先権判定部213は、顔認証処理部212がOSの要求に応じて顔認証処理を実行する場合には、優先権がOSの要求による利用に与えられ、顔認証処理部212から認証結果がシステム処理部310へ出力される。このとき、顔検出処理部211からHPD処理部330に対しては、検出結果として無効なデータが出力される。
【0068】
HPD処理部320は、CPU301がOS上で実行されるプログラムを実行すること、或いはチップセット303(例えば、センサハブ)がプログラムを実行することにより実現される機能構成として、HPD情報取得部331と、リーブタイマ332と、ロックタイマ333と、HID入力判定部334と、画面輝度変更部335と、HPD情報出力部336とを備えている。
【0069】
HPD情報取得部331は、顔検出部210から出力される「Presence」情報、「Absence」情報などをHPD処理(人物検出処理)の検出結果として取得する。
【0070】
リーブタイマ332は、HPD情報取得部331が「Absence」情報を取得してから「Leave」と判定するまでの時間T2(図4参照)を計時するタイマ(Leave timer)である。
【0071】
ロックタイマ333は、「Leave」と判定してからシステムをロックさせるまでの時間T3(図4参照)を計時するタイマ(Lock timer)である。
【0072】
HID入力判定部334は、HID入力の有無を判定する。例えば、HID入力判定部334は、入力デバイス150(例えば、キーボード151、タッチパッド153など)に対するユーザによる操作入力の有無を判定する。一例として、HID入力判定部334は、入力デバイス150(例えば、キーボード151、タッチパッド153など)から出力される操作信号をEC200が取得した場合、HID入力があったと判定する。
【0073】
画面輝度変更部335は、HPD処理により表示部110の画面輝度を変更する。画面輝度変更部335は、画面輝度を変更する場合、記憶部170に記憶されている輝度設定値の値を変更する。例えば、画面輝度変更部335は、表示部110の画面輝度が標準輝度に制御されている状態において、HPD情報取得部331が顔検出部210から「Absence」情報を取得した場合(即ち、人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合)、画面輝度を標準輝度から低輝度へ低減させる画面輝度低減処理を実行する。例えば、画面輝度変更部335は、HPD情報取得部331が顔検出部210から「Absence」情報を取得した場合、時間T2が経過したことに応じて画面輝度を標準輝度から低輝度へ低減させる。
【0074】
また、画面輝度変更部335は、輝度低減処理により画面輝度を低輝度へ低減させた状態で、システムがロックされたことに応じて顔認証処理を用いたログイン認証処理が開始された場合、HPD処理によらず画面輝度を低減させた状態を継続させる。例えば、画面輝度変更部335は、顔検出部210において撮像部120で撮像された撮像画像の画像データの利用の優先権がOSの要求による利用(顔認証処理を用いたログイン認証処理での利用)に与えられた場合、HPD処理による検出結果を無視する「HPD無効モード」を開始し、画面輝度を低減させた状態を継続させる。つまり、HPD無効モードは、顔検出部210から出力される検出結果を無視して、画面輝度を低減させた状態を継続させるモードである。
【0075】
なお、画面輝度変更部335は、ログイン認証処理によりシステムのロックが解除された場合、HPD無効モードを終了する。そして、画面輝度変更部335は、顔検出部210から出力される検出結果に基づいて輝度低減処理を中止して画面輝度を低減前の標準輝度に戻す。
【0076】
また、画面輝度変更部335は、画面輝度を低輝度に低減させた後、時間T1(図4参照)が経過する前にHID入力があったと判定された場合、HPD無効モードであるか否かにかかわらず、輝度低減処理を中止して画面輝度を低減前の標準輝度に戻す。なお、このとき、画面輝度変更部335は、HPD無効モードである場合には、HPD無効モードを終了して、画面輝度を低減前の標準輝度に戻す。
【0077】
なお、画面輝度変更部335は、画面輝度を低輝度に低減させた後、時間T3(図4参照)が経過する前(システムがロックされる前、HPD無効モードの開始前)に顔検出部210から「Presence」情報を取得した場合(即ち、人物が検出された場合)も、画面輝度を低減前の標準輝度に戻す。
【0078】
また、画面輝度変更部335は、画面輝度を低輝度に低減させた後、時間T1(図4参照)が経過したことによりシステムが待機状態に遷移した場合、HPD処理による起動が可能なように、HPD無効モードを終了する。
【0079】
HPD情報出力部336は、HPD情報取得部331が取得した「Presence」情報、「Absence」情報などに基づいて、システムの動作状態を指示する情報をシステム処理部310へ出力する。
【0080】
例えば、HPD情報出力部336は、HPD情報取得部331が取得した「Presence」情報および「Absence」情報をそれぞれ取得する度にシステム処理部310へ出力する。
【0081】
また、HPD情報出力部336は、HPD情報取得部331が「Absence」情報を取得している状態から「Presence」情報を取得した場合、「Approch」情報をシステム処理部310へ出力する。
【0082】
また、HPD情報出力部336は、HPD情報取得部331が「Presence」情報を取得している状態から「Absence」情報を取得した場合、「Absence」情報を取得してから時間T2(図4参照)が経過すると、「Leave」情報をシステム処理部310へ出力する。
【0083】
また、HPD情報出力部336は、HPD情報取得部331が「Presence」情報を取得している状態から「Absence」情報を取得した場合、時間T1(図4参照)が経過する前に、システムをロックさせる指示を行うシステムロック指示処理を実行する。例えば、HPD情報出力部336は、時間T2(図4参照)が経過したことにより「Leave」情報をシステム処理部310へ出力した後、時間T3(図4参照)が経過すると、システムロック指示処理によりシステムのロックを指示する「Lock」情報をシステム処理部310へ出力する。
【0084】
システム処理部310は、CPU11がBIOS及びOSのプログラムまたはOS上で実行されるプログラムを実行することにより実現される機能構成である。例えば、システム処理部310は、OSのプログラムを実行することにより実現される機能構成として、動作制御部311と、表示制御部312と、スリープタイマ313と、認証処理部314とを備えている。
【0085】
動作制御部311は、システムの動作状態を制御する。例えば、動作制御部311は、待機状態において電源ボタン140に対して操作がされると、電源ボタン140からEC200を介して取得した操作信号に基づいて、システムを待機状態から起動させる。また、動作制御部311は、通常動作状態において表示部110に表示されるOSの電源メニュー(シャットダウン、スリープ、再起動など)に対する操作に基づいて、システムのシャットダウン、待機状態への遷移、再起動などの処理を行う。
【0086】
また、動作制御部311は、HPD処理によりシステムの動作状態を制御する。例えば、動作制御部311は、通常動作状態においてHPD処理部320から「Presence」情報を取得しなくなった場合(即ち、「Absence」情報を取得した場合)、スリープタイマ313を用いて最後の「Presence」情報を取得してからの経過時間を計時し、時間T1(図4参照)が経過した後に待機状態へ遷移させる。
【0087】
なお、スリープタイマ313による時間T1の計時開始は、HPD処理部320から最後の「Presence」情報を取得たときでもよいし、HPD処理部320から最初に「Absence」情報を取得したときでもよい。また、スリープタイマ313による時間T1の計時開始は、HPD処理部320から「Leave」情報を取得したときでもよい。
【0088】
また、動作制御部311は、HPD処理部320のシステムロック指示処理による指示に応じてシステムをロックさせる。例えば、動作制御部311は、HPD処理部320から「Lock」情報を取得したことに応じてシステムをロックさせる。
【0089】
また、動作制御部311は、システムをロックした場合、ユーザ認証による認証結果に基づいてシステムのロックを解除するログイン認証処理を開始する。ユーザ認証を行う認証処理としては、顔認証、指紋認証、パスワード認証などによる認証処理を適用することができる。動作制御部311は、顔認証処理を用いたログイン認証処理を行う際には、撮像部120で撮像された撮像画像の画像データを利用した顔認証処理の要求を顔検出部210に対して行う。
【0090】
また、動作制御部311は、ログイン認証処理において、ユーザ認証による認証結果に基づいてシステムのロックを解除する。例えば、動作制御部311は、顔認証処理による認証結果に基づいてシステムのロックを解除する。
【0091】
なお、動作制御部311は、時間T1が経過する前に(実際に、は時間T2が経過する前および時間T3が経過する前に)、HPD処理部320から「Presence」情報を取得した場合、スリープタイマ313による計時を終了し、通常動作状態を継続させる。また、動作制御部311は、時間T1が経過する前に、HPD処理部320においてHID入力があったと判定された場合(即ち、ユーザによる入力が検出された場合)、スリープタイマ313による計時を終了し、通常動作状態を継続させる。
【0092】
表示制御部312は、表示部110の表示オン及び表示オフの制御を行う。また、表示制御部312は、表示オンの状態での表示部110の画面輝度を制御する。具体的には、表示制御部312は、記憶部170に記憶されている輝度設定値に基づいて、表示部110の画面輝度を制御する。この輝度設定値は、システムで初期設定されており、初期設定からユーザが使用環境や好みに応じて変更することもできる。また、この輝度設定値は、HPD処理部320(画面輝度変更部335)によって変更される。
【0093】
[画面輝度低減処理の動作]
次に図7を参照して、HPD処理による「Leave」検出時の画面輝度低減処理の動作について説明する。図7は、本実施形態に係る「Leave」検出時の画面輝度低減処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、情報処理装置1が通常動作状態において「Presence」の状態であり、表示部110の画面輝度が標準輝度に制御されているものとする。HPD処理部320は、顔検出部210から「Presence」情報を取得する度に、「Presence」情報をシステム処理部310へ出力する。
【0094】
(ステップS101)HPD処理部320は、顔検出部210から「Presence」情報を取得したか否かを判定する。HPD処理部320は、「Presence」情報を取得したと判定した場合(YES)、ステップS101の処理を再び行う。一方、HPD処理部320は、顔検出部210から「Absence」情報を取得した場合には「Presence」情報を取得しないと判定し(NO)、ステップS103の処理へ進む。また、HPD処理部320は、「Absence」情報を取得した場合、取得する度に、「Absence」情報をシステム処理部310へ出力する。
【0095】
(ステップS103)システム処理部310は、ステップS101でHPD処理部320から「Absence」情報を取得すると、スリープタイマ313を用いて最後の「Presence」情報を取得してからの経過時間(時間T1)の計時を開始する(Sleep timer開始)。また、HPD処理部320は、ステップS101で「Absence」情報を取得したことに応じて、リーブタイマ332を用いて、「Absence」情報を取得してから「Leave」と判定するまでの時間T2(図4参照)の計時を開始する(Leave timer開始)。そして、ステップS105の処理へ進む。
【0096】
(ステップS105)HPD処理部320は、顔検出部210から「Prsence」情報を取得したか否かを判定する。また、HPD処理部320は、HID入力(HID input)があったか否かを判定する。そして、HPD処理部320は、「Prsence」情報を取得したと判定した場合(YES)またはHID入力(HID input)があったと判定した場合(YES)にはステップS101の処理へ戻り、それ以外の判定の場合(NO)にはステップS107の処理へ進む。
【0097】
(ステップS107)HPD処理部320は、時間T2の計時が終了(Leave timer終了)したか否かを判定する。HPD処理部320は、時間T2の計時が終了(Leave timer終了)していないと判定した場合(NO)、ステップS105の処理へ戻る。一方、HPD処理部320は、時間T2の計時が終了(Leave timer終了)したと判定した場合(YES)、ステップS109の処理へ進む。
【0098】
(ステップS109)HPD処理部320は、画面輝度低減処理を開始し、画面輝度の輝度設定値を標準輝度から低輝度へ低減させる。また、HPD処理部320は、時間T2が経過したため「Leave」と判定して「Leave」情報をシステム処理部310へ出力する。また、HPD処理部320は、ロックタイマ333を用いて、「Leave」と判定してからシステムをロックさせるまでの時間T3(図4参照)の計時を開始する(Lock timer開始)。そして、ステップS111の処理へ進む。
【0099】
(ステップS111)HPD処理部320は、顔検出部210から「Prsence」情報を取得したか否かを判定する。また、HPD処理部320は、HID入力(HID input)があったか否かを判定する。そして、HPD処理部320は、「Prsence」情報を取得したと判定した場合(YES)またはHID入力(HID input)があったと判定した場合(YES)にはステップS113の処理へ進み、それ以外の判定の場合(NO)にはステップS115の処理へ進む。
【0100】
(ステップS113)HPD処理部320は、時間T3の計時が終了(Lock timer終了)したか否かを判定する。HPD処理部320は、時間T3の計時が終了(Lock timer終了)していないと判定した場合(NO)、ステップS111の処理へ戻る。一方、HPD処理部320は、時間T3の計時が終了(Lock timer終了)したと判定した場合(YES)、ステップS117の処理へ進む。
【0101】
(ステップS115)HPD処理部320は、画面輝度低減処理を中止し、画面輝度の輝度設定値を標準輝度に戻し、ステップS101の処理へ戻る。
【0102】
(ステップS117)HPD処理部320は、「Lock」情報をシステム処理部310へ出力する。システム処理部310は、HPD処理部320から「Lock」情報を取得したことに応じてシステムをロックさせる。そして、ステップS119の処理へ進む。
【0103】
(ステップS119)HPD処理部320は、HPD処理による検出結果を無視するHPD無効モードを開始し、HPD処理によらず画面輝度を低輝度に低減させた状態を継続させる。例えば、HPD処理部320は、画面輝度の輝度設定値を低輝度に固定する。そして、ステップS121の処理へ進む。
【0104】
(ステップS121)システム処理部310は、システムをロックしたことに応じて、ログイン認証処理を開始する。例えば、システム処理部310は、顔認証、指紋認証、パスワード認証などによるログイン認証処理を実行する。また、システム処理部310は、顔認証を用いたログイン認証処理を行う際には、撮像部120で撮像された撮像画像の画像データを利用した顔認証処理の要求を顔検出部210に対して行う。顔検出部210は、撮像部120で撮像された撮像画像の画像データの利用の優先権を、HPD処理側からログイン認証処理側へ変更する。そして、ステップS123の処理へ進む。
【0105】
(ステップS123)HPD処理部320は、HID入力(HID input)があったか否かを判定する。そして、HPD処理部320は、HID入力(HID input)があったと判定した場合(YES)、ステップS125の処理へ進む。一方、HPD処理部320は、HID入力(HID input)がないと判定した場合(NO)、ステップS127の処理へ進む。
【0106】
(ステップS125)HPD処理部320は、画面輝度の輝度設定値を標準輝度に戻して固定し、ステップS123の処理へ戻る。つまり、ステップS121でログイン認証処理が開始されると、HID入力がない間は画面輝度が低輝度に低減された状態でログイン認証処理が行われ、HID入力があると画面輝度が標準輝度に戻った状態でログイン認証処理が行われる。なお、HPD処理部320は、画面輝度の輝度設定値を標準輝度に戻した後に、HID入力(HID input)がない状態が一定時間以上継続した場合、再び画面輝度の輝度設定値を低輝度に変更してもよい。
【0107】
(ステップS127)システム処理部310は、時間T1の計時が終了(Sleep timer終了)したか否かを判定する。システム処理部310は、時間T1の計時が終了していないと判定した場合(NO)、ステップS123の処理へ戻る。一方、システム処理部310は、時間T1の計時が終了したと判定した場合(YES)、ステップS129の処理へ進む。
【0108】
なお、システム処理部310は、ステップS127で時間T1の計時が終了したと判定する前にHID入力(HID input)があったと判定し(ステップS123:YES)且つログイン認証処理による認証が成功した場合、システムのロックを解除して通常動作状態へ遷移(ステップS101へ遷移)させ、HPD無効モードを解除する。一方、システム処理部310は、ステップS127で時間T1の計時が終了したと判定する前でHID入力(HID input)がないと判定している場合(ステップS123:NO)には、ログイン認証処理による認証が成功したとしても画面輝度が低輝度に低減された状態且つシステムをロックしている状態のまま、時間T1の計時を継続する。
【0109】
つまり、システム処理部310は、HID入力がない状態では、ログイン認証処理による認証が成功したか否かにかかわらず、画面輝度が低輝度に低減された状態且つシステムをロックしている状態のまま時間T1の計時を継続し、時間T1の計時が終了(Sleep timer終了)した場合に、ステップS129の処理へ進む。また、システム処理部310は、HID入力があった場合には、画面輝度が標準輝度に戻った状態且つシステムをロックしている状態で時間T1の計時を継続し、ログイン認証処理による認証が成功しないまま時間T1の計時が終了(Sleep timer終了)した場合に、ステップS129の処理へ進む。なお、ステップS103でスリープタイマ313を用いて開始した時間T1の計時は、ステップS123でHID入力があったと判定された場合に、計時した値をリセットして計時しなおしてもよい。
【0110】
(ステップS129)システム処理部310は、表示部110の表示をオフに制御し、システムを待機状態に遷移させる。また、HPD処理部320は、HPD無効モードを終了する。
【0111】
なお、ステップS121で開始したログイン認証処理において、認証成功となった場合には、システム処理部310は、ロックを解除する。また、HPD処理部320は、画面輝度の輝度設定値を標準輝度に戻し、HPD無効モードを終了する。そして、ステップS101へ戻る。
【0112】
[第1の実施形態のまとめ]
以上説明してきたように、本実施形態に係る情報処理装置1は、撮像部120で撮像された撮像画像の画像データを一時的に記憶するメモリ(例えば、システムメモリ304)を備えている。また、情報処理装置1は、メモリに記憶された画像データを処理することにより、撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出して人物の存在を検出するHPD処理(人物検出処理の一例)と、システム(例えば、OS)の要求に応じて撮像画像の中から顔領域を検出して顔認証を行う顔認証処理とを実行する顔検出部210(第1プロセッサの一例)を備えている。また、情報処理装置1は、HPD処理による検出結果に基づいて、システムの動作状態の遷移および表示部110の画面輝度の変更を指示するHPD処理部330(第2プロセッサの一例、例えば、チップセット303)と、顔認証処理による認証結果に基づいてシステムのロックを解除するログイン認証処理(ロック解除処理の一例)を実行するシステム処理部310(第3プロセッサの一例、例えば、OS301)とを備えている。ここで、顔検出部210は、撮像部120で撮像された撮像画像の画像データを、HPD処理と顔認証処理とで排他的に利用可能である。
【0113】
例えば、HPD処理部330は、HPD処理により人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、画面輝度を低減させる輝度低減処理と、HPD処理により人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、時間T1(第1の時間の一例)が経過する前にシステムをロックさせる指示を行うシステムロック指示処理と、HPD処理により人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、時間T1が経過した後にシステムを待機状態へ遷移させる指示を行う待機状態指示処理と、を実行する。また、システム処理部310は、上記システムロック指示処理による指示に応じてシステムをロックさせるとともに、システムをロックしたことに応じて顔認証処理を用いたログイン認証処理を開始する。そして、HPD処理部330は、上記輝度低減処理により画面輝度を低減させた状態で、システムがロックされたことに応じて顔認証処理を用いたログイン認証処理が開始された場合、HPD処理によらず画面輝度を低減させた状態を継続させる。
【0114】
これにより、情報処理装置1は、人物が検出されている状態から人物が検出されなくなった場合(即ち、人物が離れた場合)、画面輝度を低減させることにより消費電力を抑えることができるとともに、待機状態に遷移させずに一旦システムをロックさせた状態にしておくので、再生中の音楽やPodcastで配信されている音声などが停止してしまわないようにすることができ、且つ、システムをロックさせた後も画面輝度を低減させた状態を継続できる。よって、情報処理装置1は、顔検出を用いて画面輝度の制御及びシステムの動作制御を適切に行うことができる。
【0115】
例えば、上記の時間T1は、システム上で動作する特定のアプリケーション(例えば、音楽再生アプリ、Podcastなど)の利用またはHID入力によるユーザアクティビティのいずれも無い状態が継続する時間の閾値として設定されている。
【0116】
これにより、情報処理装置1は、ユーザアクティビティが続いている間は当該ユーザアクティビティが停止してしまうことのないように、人物が離れた場合に画面輝度を低減させることができる。
【0117】
また、HPD処理部330は、上記輝度低減処理により画面輝度を低減させた状態で、システムがロックされたことに応じて顔認証処理を用いたログイン認証処理が開始された場合、HPD処理による検出結果を無視し、画面輝度を低減させた状態を継続させる。
【0118】
これにより、情報処理装置1は、システムによるログイン認証処理が実行されているときでも、画面輝度を低減させた状態を継続させることができる。
【0119】
また、HPD処理部330は、画面輝度を低減させた後、時間T1が経過する前にHID入力が検出された場合、輝度低減処理を中止して画面輝度を低減前に戻す。
【0120】
これにより、情報処理装置1は、人物が離れたことにより画面輝度を低減させた後、再び人物が戻ってきたときには、画面輝度を低減前に戻すことができる。
【0121】
また、HPD処理部330は、HPD処理により人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、時間T1よりも短い時間T2(第2の時間の一例)が経過したことに応じて画面輝度を低減させ、時間T1が経過する前、且つ画面輝度を低減させてから時間T3(第3の時間の一例)が経過した後に、上記システムロック指示処理によりシステムをロックさせる指示を行う。
【0122】
これにより、情報処理装置1は、人物が一瞬離れただけで不必要に画面輝度を低減させてしまわないようにすること、および不必要にロック画面に遷移してしまうことがないようにすることができる。
【0123】
また、HPD処理部330は、ログイン認証処理によりシステムのロックが解除された場合、輝度低減処理を中止して画面輝度を低減前に戻す。
【0124】
これにより、情報処理装置1は、人物が離れたことにより画面輝度を低減させた後、再び人物が戻ってきたときには、画面輝度を低減前に戻すことができる。
【0125】
また、本実施形態に係る、撮像部120で撮像された撮像画像の画像データを一時的に記憶するメモリ(例えば、システムメモリ304)と、顔検出部210(第1プロセッサの一例)と、HPD処理部330(第2プロセッサの一例、例えば、チップセット303)と、システム処理部310(第3プロセッサの一例、例えば、OS301)とを備える情報処理装置1における制御方法は、顔検出部210が、メモリに記憶された画像データを処理することにより、撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出して人物の存在を検出するHPD処理(人物検出処理の一例)を実行するステップと、システム(例えば、OS)の要求に応じて撮像画像の中から顔領域を検出して顔認証を行う顔認証処理を実行するステップと、HPD処理部330が、HPD処理による検出結果に基づいて、システムの動作状態の遷移および表示部110の画面輝度の変更を指示するステップと、システム処理部310が、顔認証処理による認証結果に基づいてシステムのロックを解除するログイン認証処理(ロック解除処理の一例)を実行するステップと、を含む。ここで、顔検出部210が、撮像部120で撮像された撮像画像の画像データを、HPD処理と顔認証処理とで排他的に利用可能である。
【0126】
例えば、情報処理装置1における制御方法は、HPD処理部330が、HPD処理により人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、画面輝度を低減させる輝度低減ステップと、HPD処理により人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、時間T1(第1の時間の一例)が経過する前にシステムをロックさせる指示を行うシステムロック指示ステップと、HPD処理により人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、時間T1が経過した後にシステムを待機状態へ遷移させる指示を行う待機状態指示ステップと、システム処理部310が、上記システムロック指示処理による指示に応じてシステムをロックさせるとともに、システムをロックしたことに応じて顔認証処理を用いたログイン認証処理を開始するステップと、HPD処理部330が、上記輝度低減ステップにより画面輝度を低減させた状態で、システムがロックされたことに応じて顔認証処理を用いたログイン認証処理が開始された場合、HPD処理によらず画面輝度を低減させた状態を継続させるステップと、をさらに含む。
【0127】
これにより、情報処理装置1における制御方法は、人物が検出されている状態から人物が検出されなくなった場合(即ち、人物が離れた場合)、画面輝度を低減させることにより消費電力を抑えることができるとともに、待機状態に遷移させずに一旦システムをロックさせた状態にしておくので、再生中の音楽やPodcastで配信されている音声などが停止してしまわないようにすることができ、且つ、システムをロックさせた後も画面輝度を低減させた状態を継続できる。よって、情報処理装置1における制御方法は、顔検出を用いて画面輝度の制御及びシステムの動作制御を適切に行うことができる。
【0128】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【0129】
また、情報処理装置1に撮像部120が内蔵されている構成例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、撮像部120は、情報処理装置1に内蔵されていなくてもよく、情報処理装置1の外部アクセサリとして情報処理装置1(例えば、側面10a、10b、10c等のいずれか)に取り付け可能に構成され、無線または有線で情報処理装置1と通信接続されるものであってもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、顔検出部210がCPU301およびチップセット303とは別に備えられている例を示したが、顔検出部210の一部または全部は、チップセット303に備えられてもよいし、CPU301またはチップセット303と一体化されたプロセッサに備えられてもよい。例えば、CPU301とチップセット303と顔検出部210とは個別のプロセッサとして構成されてもよいし、1つのプロセッサとして一体化して構成されてもよい。また、顔検出部210の一部または全部は、EC200に備えられてもよい。
【0131】
また、上述した待機状態には、ハイバネーション状態やパワーオフ状態等が含まれてもよい。ハイバネーション状態は、例えば、ACPIで規定されているS4状態に相当する。パワーオフ状態は、例えば、ACPIで規定されているS5状態(シャットダウンした状態)に相当する。なお、待機状態のうちスタンバイ状態、スリープ状態、ハイバネーション状態、パワーオフ状態などは、通常動作状態よりも電力の消費量が低い状態(電力の消費を抑えた状態)である。
【0132】
なお、上述した情報処理装置1は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した情報処理装置1が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した情報処理装置1が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0133】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に情報処理装置1が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0134】
また、上述した実施形態における情報処理装置1が備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0135】
また、上記実施形態の情報処理装置1は、ノートブック型のPCに限られるものではなく、例えば、デスクトップ型PCなどであってもよい。
【符号の説明】
【0136】
1 情報処理装置、10 第1筐体、20 第2筐体、15 ヒンジ機構、110 表示部、120 撮像部、140 電源ボタン、150 入力デバイス、151 キーボード、153 タッチパッド、160 通信部、170 記憶部、200 EC、210 顔検出部、顔検出処理部211と、顔認証処理部212と、優先権判定部213、300 メイン処理部、301 CPU、302 GPU、303 チップセット、304 システムメモリ、310 システム処理部、311 動作制御部、312 表示制御部、313 スリープタイマ、314 認証処理部、320 HPD処理部、331 HPD情報取得部、332 リーブタイマ、333 ロックタイマ、334 HID入力判定部、335 画面輝度変更部、336 HPD情報出力部、400 電源部
【要約】
【課題】顔検出を用いて画面輝度の制御及びシステムの動作制御を適切に行うこと。
【解決手段】情報処理装置は、撮像画像の中から顔が撮像されている顔領域を検出して人物の存在を検出する人物検出処理と顔認証処理とを実行し、人物検出処理による検出結果に基づいてシステムの動作状態の遷移および画面輝度の変更を指示し、顔認証処理による認証結果に基づいてシステムのロックを解除するロック解除処理を実行する。また、情報処理装置は、人物検出処理により人物の存在が検出されている状態から検出されなくなった場合、画面輝度を低減させるとともに、第1の時間が経過する前にシステムをロックさせて顔認証処理を用いたロック解除処理を開始し、第1の時間が経過した後にシステムを待機状態へ遷移させる。また、情報処理装置は、画面輝度を低減させた状態で、システムがロックされたことに応じて人物検出処理によらず画面輝度を低減させた状態を継続させる。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7