(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】心臓弁尖強化装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
A61F2/24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023109628
(22)【出願日】2023-07-03
(62)【分割の表示】P 2020503766の分割
【原出願日】2018-07-23
【審査請求日】2023-08-01
(32)【優先日】2017-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504391260
【氏名又は名称】エモリー ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】パダラ,サイ ムラリダー
(72)【発明者】
【氏名】サリン,エリック レオ
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0230919(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0220593(US,A1)
【文献】特表2017-506973(JP,A)
【文献】特表2008-514307(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0287387(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓弁逆流を減少させるための植え込み部材であって、
天然弁尖の少なくとも一部を内部に受け入れるように構成された内部弁尖セクション容積を有する弁尖セクションと、
第1アーム及び第2アームであって、前記第1アーム及び前記第2アームのそれぞれは前記弁尖セクションから延び、前記第1アームは前記第2アームに対して移動可能であり、前記第1アーム及び前記第2アームは、前記天然弁尖を前記第1アーム及び前記第2アームの間に挟むように構成された、第1アーム及び第2アームと、
前記弁尖セクションに接続され、前記内部弁尖セクション容積を囲む被覆部材と、
を有
し、
前記第1アームは、前記第2アームより小さく、
前記第2アームは前記第1アームを受け入れるように構成された開口部を有する、植え込み部材。
【請求項2】
前記第1アームは前記天然弁尖の心室側に配置されるように構成され、前記第2アームは前記天然弁尖の心房側に配置されるように構成されている、請求項
1に記載の植え込み部材。
【請求項3】
前記第1アームと前記第2アームとは、同一平面に位置合わせされるように付勢されている、請求項1に記載の植え込み部材。
【請求項4】
前記植え込み部材は、追加の固定機構を用いずに前記天然弁尖上に保持されるように構成されている、請求項1に記載の植え込み部材。
【請求項5】
前記第1アームと前記第2アームとは、閉形態となるように付勢され、前記第1アームと前記第2アームへの付勢力は、前記植え込み部材を前記追加の固定機構を用いずに前記天然弁尖上に保持するのに十分である、請求項
4に記載の植え込み部材。
【請求項6】
前記弁尖セクションは湾曲した形状を有する、請求項1に記載の植え込み部材。
【請求項7】
前記弁尖セクションは、
前記内部弁尖セクション容積の第1側面にある第1部分と、
前記第1側面と反対側にある前記内部弁尖セクション容積の第2側面にある第2部分と、をさらに備え、
前記第1部分及び前記第2部分は、それぞれ、凸状の曲率を有する、請求項
6に記載の植え込み部材。
【請求項8】
前記第1部分の曲率半径は前記第2部分の曲率半径と異なる、請求項
7に記載の植え込み部材。
【請求項9】
前記弁尖セクションは、中央背部を備える、請求項1に記載の植え込み部材。
【請求項10】
前記弁尖セクションは、前記内部弁尖セクション容積を画定する1つ又は複数の係合部材をさらに備える、請求項1に記載の植え込み部材。
【請求項11】
前記1つ又は複数の係合部材の少なくとも1つは、自由端部を備える、請求項
10に記載の植え込み部材。
【請求項12】
前記1つ又は複数の係合部材の少なくとも1つは、湾曲セグメントを備える、請求項
11に記載の植え込み部材。
【請求項13】
前記弁尖セクションの長手方向の軸は前記第1アームの長手方向の軸と直交する、請求項1に記載の植え込み部材。
【請求項14】
前記第1アーム及び前記第2アームの1つ以上が、前記天然弁尖に向かい合うように構成された表面に配置された組織把持部材を備える、請求項1に記載の植え込み部材。
【請求項15】
前記組織把持部材は、前記第1アーム又は前記第2アームに結合された板に配置されている、請求項
14に記載の植え込み部材。
【請求項16】
前記板は前記内部弁尖セクション容積内に延びている、請求項
15に記載の植え込み部材。
【請求項17】
前記被覆部材は、前記第1アーム及び前記第2アームの1つ以上の少なくとも一部にわたって延びている、請求項1に記載の植え込み部材。
【請求項18】
心臓弁逆流を減少させるための植え込み部材であって、
内部弁尖セクション容積を有する弁尖セクションであって、天然弁尖の、弁尖長さ、弁尖曲率及び弁尖厚みの1つ以上を変更するように構成された弁尖セクションと、
第1アーム及び第2アームであって、前記第1アーム及び前記第2アームのそれぞれは前記弁尖セクションから延び、
前記第1アーム及び前記第2アームは、閉形態及び開形態を有し、前記閉形態にあるとき、前記天然弁尖を前記第1アーム及び前記第2アームの間に挟むように構成された、第1アーム及び第2アームと、
前記弁尖セクションに接続され、前記内部弁尖セクション容積を囲む被覆部材と、
を有
し、
前記第1アームと前記第2アームとは、同一平面に位置合わせされるように付勢されている、植え込み部材。
【請求項19】
前記弁尖セクションは、前記天然弁尖の前記弁尖長さを変更するように構成されている、請求項
18に記載の植え込み部材。
【請求項20】
前記弁尖セクションは、前記天然弁尖の前記弁尖曲率を変更するように構成されている、請求項
18に記載の植え込み部材。
【請求項21】
心臓弁逆流を減少させるための植え込み部材であって、
内部弁尖セクション容積を有する弁尖セクションであって、前記弁尖セクションは、第1天然弁尖と第2天然弁尖との間の隙間を小さくするように構成された弁尖セクションと、
第1アーム及び第2アームであって、前記第1アーム及び前記第2アームのそれぞれは前記弁尖セクションから延び、
前記第1アーム及び前記第2アームは、閉形態及び開形態を有し、前記閉形態にあるとき、前記第1天然弁尖を前記第1アーム及び前記第2アームの間に挟むように構成された、第1アーム及び第2アームと、
前記弁尖セクションに接続され、前記内部弁尖セクション容積を囲む被覆部材と、
を有
し、
前記弁尖セクションは、前記内部弁尖セクション容積を画定する1つ又は複数の係合部材をさらに備え、
前記1つ又は複数の係合部材の少なくとも1つは、自由端部と、湾曲セグメントとを備える、植え込み部材。
【請求項22】
前記弁尖セクションは中央背部をさらに備える、請求項
21に記載の植え込み部材。
【請求項23】
前記第1アームと前記第2アームとは、閉形態となるように付勢され、前記第1アームと前記第2アームへの付勢力は、前記植え込み部材を
追加の固定機構を用いずに前記第1天然弁尖上に保持するのに十分である、請求項
21に記載の植え込み部材。
【請求項24】
前記弁尖セクションは、
前記内部弁尖セクション容積の第1側面にある第1部分と、
前記第1側面と反対側にある前記内部弁尖セクション容積の第2側面にある第2部分と、をさらに備え、
前記第1部分及び前記第2部分は、それぞれ、凸状の曲率を有する、請求項
21に記載の植え込み部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年7月24日に出願された米国仮特許出願第62/536,446号の利益を主張するものである。この出願の全体は、参照によりあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
心臓弁は、各心周期で心臓を通る一方向の血流を維持するのに重要な役割を果たす。心房と心室との間に位置する房室弁(すなわち僧帽弁及び三尖弁)は、肺系又は静脈系から心臓に戻る一方向の血流を調整し、且つ半月弁(すなわち大動脈弁及び肺動脈弁)は、心室と大動脈及び肺動脈との間の一方向の血流を維持する。これらの弁のいずれかを通る血液の逆流又はバックフローは、うっ血性心不全及び死亡の原因となる可能性があり、したがって修復又は置換による弁能力の回復が必要である。
【0003】
房室弁では、半月弁よりも頻繁に逆流が起こる。僧帽弁は、適切に機能しているとき、左心房から左心室への一方向の血流を確保する。僧帽弁は、一端部が軟骨性環状輪に連結され、且つ他端部が腱索を介して乳頭筋に連結される、2つの弁尖、すなわち前尖及び後尖を有する。収縮期では、高い左心室圧と低い左心房圧とにより、弁輪に及び互いに向かう僧帽弁の前尖及び後尖の基本的な動きが可能となり、弁の緊密な閉鎖が促進され、血液のバックフローが阻止される。拡張期では、左心室の充満を可能にするために、左心室圧の低下と左心房圧の上昇とにより、互いに離れる方向への弁尖の後退と、僧帽弁口の開放とが確実に行われる。
【0004】
僧帽弁のいくつかの疾患では、弁尖の拡張を伴う又は伴わない腱索の断裂により、弁尖の不適切な閉鎖、したがって逆流が生じる可能性がある。左心室の他の疾患では、心筋症による心室筋の損傷、拡大及び運動障害により、天然僧帽弁の幾何学的形状が乱され、弁尖の適切な閉鎖が抑制されて、逆流が起こる可能性がある。いずれの場合にも、弁尖が互いに乗り上げるため、又は弁輪及び/又は心室による牽引によって弁尖が互いから離れる方向に後退するため、2つの弁尖間の小さい隙間を通して逆流が発生する可能性がある。
【0005】
同様に、三尖弁は、右心房から右心室への一方向の血流を維持する。僧帽弁の状況と同様の状況下において、腱索断裂若しくは弁尖逸脱などの弁の原発性病変に起因して又は2次的右心室拡大によって逆流が発生する可能性もある。ペースメーカーからのリード線が三尖弁を通過し、弁尖閉鎖を妨げて隙間を残す可能性があるため、三尖弁逆流も、ペースメーカーを有する患者によく見られ得る。
【0006】
あらゆる場合において、弁逆流は、有効な心機能を低下させる可能性があるため、弁能力を回復するために適宜適切に修復する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
概要
したがって、逆流を解消して有効な心機能を回復できる装置及び/又は方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
例えば、実施形態による装置及び方法は、弁尖が同じ弁の別の弁尖と重なって、弁の適切な閉鎖と逆流の解消とを確実にするように心臓弁尖の物理的寸法、特徴及び特性を変化させ、それにより弁尖の形態を変えることにより、逆流を解消することができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、装置は、1つの装置を含み得る。装置は、弁尖セクションを含み得る。弁尖セクションは、中央部材を含み得る。中央部材は、第1の部分と、第1の部分に対向する第2の部分と、第1の部分と第2の部分との間に配置された基部部分(又は第3の部分)とを含み得る。装置は、第1の部分から延びる第1のセクションと、第2の部分から延びる第2のセクションとを含み得る。いくつかの実施形態において、装置は、中央部材から延び、且つ第1のセクション及び第2のセクションに直交して延びる1つ又は複数の係合部材を更に含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、弁尖セクションは、3次元領域又は膨出部を画定し得る。いくつかの実施形態において、弁尖セクション、第1の部分及び第2の部分は、装置本体の一部であり得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、第2のセクションは、第1のセクションよりも大きいことができる。いくつかの実施形態において、第2のセクションは、開口部を含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、装置は、閉形態と開形態との間で移動するように構成され得る。閉形態は、初期形態であり得る。閉形態では、第1のセクションは、第2のセクションの開口部内に配置されるように構成され得る。いくつかの実施形態において、閉形態では、第1のセクションは、第1のセクションと第2のセクションとが同一平面上にあるように第2のセクションに向かって付勢され得る。
【0013】
開形態では、第1のセクションは、第2のセクションから離れて配置され得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の係合部材は、第1の部分から延びる係合部材の第1の組と、第2の部分から延びる係合部材の第2の組とを含み得る。係合部材の第1の組は、係合部材の第2の組よりも少ない係合部材を含み得る。いくつかの実施形態において、係合部材の第1の組及び係合部材の第2の組の各々は、複数の列の係合部材を含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、各係合部材は、中央部材からある角度で延び得る。いくつかの実施形態において、各係合部材が延びる角度は、約30度~150度であり得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の係合部材は、中央部材に直交し得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、装置は、少なくとも1つの被覆部材を更に含み得る。被覆部材は、弁尖セクション上に配置され得る。いくつかの実施形態において、被覆部材は、1つ又は複数の方向に弁尖セクションを越えて延び得る。
【0017】
いくつかの実施形態において、被覆部材は、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間の長さとを含み得る。被覆部材は、第1の端部及び第2の端部から延びる背部を含み得る。いくつかの実施形態において、背部は、可撓性部材を含み得る。いくつかの実施形態において、可撓性部材は、テーパ状であり得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、背部は、弁尖セクションの中央部材の少なくとも一部に取り付くように構成され得る。いくつかの実施形態において、背部は、中央部材全体に取り付くように構成され得る。いくつかの実施形態において、背部は、第1の及び/又はセクションに取り付くように構成され得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、第1のセクション及び第2のセクションは、植え込まれたときに天然弁尖の対向表面を圧迫するように構成され得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、第1の部分及び第2の部分の各々は、弁尖セクションが第2のセクションに向かって突出するような曲率を含み得る。いくつかの実施形態において、第1の部分は、第2の部分に向かう方向に突出し得る。第2の部分は、その方向に外方に突出し得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、装置は、第1のセクション及び/又は第2のセクションの表面から延びる1つ又は複数の把持部材も含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の把持部材は、限定されるものではないが、歯などの凸部を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の把持部材は、装置が植え込まれたときに天然弁尖を部分的又は完全に穿刺するように構成され得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、装置は、第1のセクション及び/又は第2のセクションに取り付けられるように構成された1つ又は複数の板も含み得る。1つ又は複数の板は、天然弁尖に接触するように構成された1つ又は複数の把持部材を含み得る。1つ又は複数の把持部材は、1つ又は複数の板から弁尖セクションに向かって突出し得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の板は、弁尖セクション内に延びるように構成され得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の板は、第1のセクションに取り付くように構成された第1の板と、第2のセクションに取り付くように構成された第2の板とを含み得る。いくつかの実施形態において、第1の板及び第2の板は、一体の板本体を形成するように別の板に連結され得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、装置は、1つの装置を含み得る。いくつかの実施形態において、装置は、弁尖セクションを含み得る。装置は、弁尖セクションから延びる第1のセクションと、弁尖セクションから延びる第2のセクションとを含み得る。第2のセクションは、開口部を含み得、且つ第1のセクションよりも大きいことができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、装置は、初期の閉形態と開形態との間で移動するように構成され得る。装置は、閉形態に付勢され得る。閉形態では、第1のセクションは、第1のセクションと第2のセクションとが同一平面上にあり、及び第1のセクションが開口部内に配置され得るように第2のセクションに向かって付勢され得る。閉形態では、第1のセクション及び第2のセクションは、第1のセクションと第2のセクションとの間に捕捉された天然弁尖の対向表面に圧縮力を付与するように構成され得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、弁尖セクションは、3次元領域又は膨出部を画定し得る。弁尖セクションは、中央部材を含み得る。いくつかの実施形態において、中央部材は、第1の部分と、第1の部分に対向する第2の部分と、第1の部分と第2の部分との間に配置された基部部分とを含み得る。第1のセクションは、第1の部分から延び得、及び第2のセクションは、第2の部分から延び得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、第1のセクション及び第2のセクションは、互いに平行であり、且つ第1のセクションと第2のセクションとを隔てる空間を含み得る。いくつかの実施形態において、第1のセクション及び第2のセクションは、互いに整合され得る。
【0028】
いくつかの実施形態において、装置は、中央部材から延びる1つ又は複数の係合部材を更に含み得る。いくつかの実施形態において、各係合部材は、中央部材からある角度で延び得る。いくつかの実施形態において、各係合部材が延びる角度は、約30度~150度であり得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の係合部材は、中央部材に直交し得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、装置は、材料の単一のシートから機械加工され得る。材料は、限定されるものではないが、ニチノールなどの形状記憶合金を含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の係合部材は、第1の部分から延びる係合部材の第1の組と、第2の部分から延びる係合部材の第2の組とを含み得る。係合部材の第1の組は、係合部材の第2の組と異なり得る。係合部材の第1の組及び係合部材の第2の組の各々は、複数の列の係合部材を含み得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、係合部材の第1の組は、係合部材の第2の組よりも少ない係合部材を含み得る。いくつかの実施形態において、係合部材の第1の組及び係合部材の第2の組は、長さ及び/又は曲率が異なり得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、装置は、被覆部材も含み得る。被覆部材は、少なくとも弁尖セクション上に配置され、且つ弁尖セクションを取り囲み得る。いくつかの実施形態において、被覆部材は、1つ又は複数の方向に弁尖セクションを越えて延び得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、被覆部材は、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間の長さとを含み得る。被覆部材は、第1の端部及び第2の端部から延びる背部を含み得る。いくつかの実施形態において、背部は、可撓性部材を含み得る。いくつかの実施形態において、可撓性部材は、テーパ状であり得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、背部は、弁尖セクションの中央部材の少なくとも一部に取り付くように構成され得る。いくつかの実施形態において、背部は、中央部材全体に取り付くように構成され得る。いくつかの実施形態において、背部は、第1の及び/又はセクションに取り付くように構成され得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、第1の部分及び第2の部分は、閉形態において湾曲輪郭を有し得る。いくつかの実施形態において、第1の部分は、閉形態において第2の部分に向かって突出し得る。弁尖セクションは、装置が植え込まれたときに天然弁尖の縁部を取り囲み、且つ天然弁尖の対向表面に沿って延びるように構成され得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、装置は、第1のセクション及び/又は第2のセクションの表面から延びる1つ又は複数の把持部材を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の把持部材は、限定されるものではないが、歯などの凸部を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の把持部材は、装置が植え込まれたときに天然弁尖を部分的又は完全に穿刺するように構成され得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、装置は、第1のセクション及び/又は第2のセクションに配置された1つ又は複数の板を含み得る。各板は、第1のセクション及び/又は第2のセクションに取り付けられるように構成され得る。1つ又は複数の板は、第1のセクション及び/又は第2のセクションの表面から延びる1つ又は複数の把持部材を含み得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の把持部材は、板から弁尖セクションに向かって突出し得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の板は、弁尖セクション内に延びるように構成され得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の板は、第1のセクションに取り付くように構成された第1の板と、第2のセクションに取り付くように構成された第2の板とを含み得る。いくつかの実施形態において、第1の板及び第2の板は、一体の板本体を形成するように別の板に連結され得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、装置は、送達カテーテルを使用して送達されるように構成され得る。送達カテーテルは、開形態における装置を天然弁尖に送達し、且つ装置を天然弁尖への取り付けのための閉形態に移動させるように構成され得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、システムは、弁尖強化装置と送達カテーテルとを含むシステムを含み得る。
【0042】
本開示の追加の利点は、以下の説明に一部が記載されており、且つ一部がその説明から明らかになるか又は本開示の実施により分かることがある。本開示の利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された要素及び組み合わせを用いて実現及び達成されるであろう。前述の概要及び以下の詳細な説明の両方は、例示的且つ説明的なものに過ぎず、特許請求される本開示を限定するものではないことが理解されるべきである。
図面の簡単な説明
本開示は、以下の図面及び説明を参照してよりよく理解することができる。図中の構成要素は、必ずしも原寸に比例したものではなく、本開示の原理を図示することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1A】いくつかの実施形態による弁尖強化装置の図を示す。
【
図1B】いくつかの実施形態による弁尖強化装置の図を示す。
【
図6A】いくつかの実施形態による弁尖セクションの図を示す。
【
図6B】いくつかの実施形態による弁尖セクションの図を示す。
【
図8A】いくつかの実施形態による装置の図を示す。
【
図8B】いくつかの実施形態による装置の図を示す。
【
図8C】いくつかの実施形態による装置の図を示す。
【
図9A】いくつかの実施形態による装置の図を示す。
【
図9B】いくつかの実施形態による装置の図を示す。
【
図9C】いくつかの実施形態による装置の図を示す。
【
図10A】いくつかの実施形態による装置の図を示す。
【
図10B】いくつかの実施形態による装置の図を示す。
【
図10C】いくつかの実施形態による装置の図を示す。
【
図11A】いくつかの実施形態による試作品の図を示す。
【
図11B】いくつかの実施形態による試作品の図を示す。
【
図11C】いくつかの実施形態による試作品の図を示す。
【
図14A】いくつかの実施形態による試作品の図を示す。
【
図14B】いくつかの実施形態による試作品の図を示す。
【
図14C】いくつかの実施形態による試作品の図を示す。
【
図14D】いくつかの実施形態による試作品の図を示す。
【
図16A】いくつかの実施形態による弁尖強化装置の図を示す。
【
図16B】いくつかの実施形態による弁尖強化装置の図を示す。
【
図20A】実施形態による弁尖強化装置の図を示す。
【
図20B】実施形態による弁尖強化装置の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
実施形態の詳細な説明
本開示は、概して、天然弁尖の物理的及び/又は機能的特性並びに心臓へのそのような装置の植え込みのための関連方法を修正することにより、心臓弁逆流を低減するか又はなくすための植え込み可能な補装具及び補装システムに関する。以下の説明には、本開示の実施形態の詳細な理解を提供するために、例えば具体的な構成要素、装置、方法などの多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本開示の実施形態を実施するためにこれらの具体的詳細を用いる必要がないことは、当業者に明らかであろう。他の例では、本開示の実施形態を不必要に曖昧にすることを回避するために、周知の材料又は方法について詳細に説明していない。本開示は、種々の修正形態及び代替形態を受け入れる余地があるが、これらの具体的な実施形態は、図面中に例として示されており、本明細書で詳細に説明されるであろう。しかしながら、本開示を開示の特定の形態に限定する意図はなく、むしろ、本開示は、本開示の趣旨及び範囲内に含まれる全ての修正形態、均等物並びに代替形態を網羅するものであることを理解されたい。
【0045】
開示の装置、方法及びシステムは、心臓弁尖の物理的及び運動学的特徴並びに特性を強化するか又は変えることができ、それにより弁閉鎖を改善して漏れをなくすことができる1つ又は複数のセクションを含むことができる。物理的特徴は、限定されるものではないが、弁尖長さ、弁尖厚み、弁尖曲率、弁尖形状、弁尖高さ、弁尖可動性など、及び/又は任意の組み合わせを含み得る。他の特性は、限定されるものではないが、(i)弁尖剛性、経弁圧下での弁尖歪み及び/又は応力、(ii)心周期の収縮期及び/又は拡張期の弁尖形状、及び/又は(iii)これらの任意の組み合わせを含み得る。これらの特性を弁尖の特定の領域又は弁尖全体において変え得る。植え込まれたとき、装置及びシステムは、上記の特徴及び特性のいずれか又は全てを強化するか又は変えることにより、弁を通る血液の逆流を治療し得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、開示の(弁尖強化)装置は、所望の天然弁の弁尖のある部分に配置されるように装置を構成できるような3次元形状を有し得る。装置が配置される天然弁の領域は、弁の直接的視覚評価に基づいて、又はMRI、CT、超音波検査、蛍光透視法などの(これらのモダリティに限定されるものではないが)非侵襲的画像診断技術を通して、装置の展開よりも前に医師によって決定され得る。装置は、天然弁の弁尖に配置されたとき、装置が配置される天然弁尖の領域の物理的特徴及び特性を変え得るように、及び/又は装置が配置される天然弁尖全体の物理的特徴及び特性を変え得るように構成され得る。天然弁のこれらの物理的特徴及び特性の変化は、装置が配置される天然弁尖の動き、変形及び/又は伸びの変化をもたらすことができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、開示の装置は、第1のセクション又はアーム(心室アーム又はセクションとも称される)と、第2のセクション又はアーム(心房アーム又はセクションとも称される)と、弁尖セクションとを含み得る。いくつかの実施形態において、第1のセクション及び第2のセクションは、弁尖セクションによって互いに連結され得る。いくつかの実施形態において、第1のセクション及び第2のセクションは、天然弁尖のそれぞれの側に位置決め可能であるように構成され得、且つ弁尖セクションは、天然弁尖の物理的特徴及び/又は特性を変化させるためにその弁尖の端部から突出するように構成され得る。いくつかの実施形態において、第1のセクション及び第2のセクションは、閉形態又は初期形態において直線状又は同一平面輪郭を有するように構成され得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、弁尖セクションは、3次元輪郭を有するように構成され得る。いくつかの実施形態において、弁尖セクションは、3次元領域を含み得る。いくつかの実施形態において、弁尖セクションは、実質的に湾曲した輪郭を有し得る。いくつかの実施形態において、弁尖セクションは、平坦な輪郭などの異なる輪郭を有し得る。いくつかの実施形態において、セクションの輪郭及び/又は形状は、装置が植え込まれるように構成される天然弁尖における所望の解剖学的部位に基づいて決定され得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、開示の装置(例えば、心室セクション、心房セクション及び/又は弁尖セクション)は、強化されるか又は変えられる天然弁尖の物理的特徴又は特性の種類又は程度を患者固有の基準に基づいて選択できるように構成され得る。例えば、特定の領域における天然弁尖の厚みを患者内部で増強する必要がある場合、弁尖セクションは、弁尖高さを変えずにこの増強を達成することができる。別の例では、厚みなどを変えずに、植え込まれたときに弁尖の高さを心室及び/又は心房セクションによって変えることができ、そのような組み合わせは、多くあり、ここで説明する組み合わせに限定されるものではない。
【0050】
いくつかの実施形態において、第1のセクション及び第2のセクションは、同様の又は異なる形状及び/又は大きさを有し得る。いくつかの実施形態において、第1のセクション及び第2のセクションは、同様の形状及び異なる大きさを有し得る。例として、第1のセクション及び第2のセクションは、長円形のテーパ形状を有し得る。いくつかの実施形態において、第1のセクションと第2のセクションとの両方は、弁尖セクションから端部に向かう長さに沿ってテーパ状であり得る(例えば、広がり得る)。いくつかの実施形態において、第1のセクション及び第2のセクションの1つ又は複数は、中央部材を含み得る。例えば、第2の(心房)セクションは、より小さい第1の(心室)セクションを第2の(心房)セクションの平面内において第2の(心房セクション)における開口部内に位置決めできるように第1の(心室)セクションよりも大きい開口部を有し得る。より小さい第1の(心室)セクションは、展開(例えば、天然弁尖を受け取るための第1のセクション及び第2のセクションの開放)中、そのセクションが天然弁尖の下にある心筋に接触する危険性を低減することもできる。少なくともより小さい第1のセクションを有することにより、弁尖装置は、心筋を妨げずにより大きい角度にも開かれ得る。いくつかの実施形態において、第2のセクションは、第1のセクションよりも小さく、及び/又は第1のセクションと実質的に同じ大きさであり得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、装置は、第1の形態と第2の形態との間で移動するように構成され得る。第1の形態又は初期形態では、装置は、第1のセクション及び第2のセクションが湾曲平面輪郭で実質的に整合される閉形態であり得る。第1のセクション及び第2のセクションは、閉形態に向かって付勢され得る。弁尖セクションは、第1のセクション及び第2のセクションが延びる3次元輪郭であり得る。第2の形態又は開形態では、第1のセクション及び第2のセクションは、弁尖セクションの両側部から2つのセクション間においてある角度を有して互いに離れる方向に延びるように配置され得る。装置は、第1のセクション及び/又は第2のセクションを互いに離れる方向に湾曲させるか又は移動させ、それにより装置を開形態にすることにより、第1の形態と第2の形態との間で移動し得る。第1のセクション及び第2のセクションを互いに離れる方向に及び/又は弁尖セクションから離れる方向に移動させることで装置を開くことにより、弁尖セクションも一時的に変形され得る。第1のセクション及び第2のセクションが閉位置に戻ることができるとき、弁尖セクションも初期位置に戻ることができる。
【0052】
同一平面上に整合されるように付勢されるように第1のセクション及び第2のセクションを構成することにより、第1のセクション及び第2のセクションは、第1のセクションが弁尖の心室側に配置され、且つ第2のセクションが弁尖の心房側に配置されるように、装置が弁尖に植え込まれたときに弁尖が第1のセクションと第2のセクションとの間で捕捉及び圧縮されるようにし得る。装置を天然弁尖に装着できるように装置が開形態で配置されたとき、第1のセクション及び第2のセクションが及ぼす付勢力により、第1のセクション及び第2のセクションは、天然弁尖のそれぞれの側の組織に当接して、それら組織間で天然弁尖を挟持又は圧縮する。これにより、装置を天然弁尖に固定取り付けすることができる。いくつかの実施形態において、第1のセクション及び第2のセクションの付勢力は、弁尖を貫通して延びる追加の固定機構(例えば、縫合糸など)なしに天然弁尖上に装置を保持するのに十分なものであり得る。この例において、弁尖セクションは、天然弁尖の端部と、天然弁尖の対向表面の少なくとも一部とを取り囲むように配置され得る。
【0053】
第1のセクション及び第2のセクションが互いに近接する初期形態では、第1のセクション及び第2のセクションは、第1のセクションと第2のセクションとの間の空間又は距離が天然弁尖の厚みよりも小さくなるように位置決めされ得る。いくつかの実施形態において、閉形態又は初期形態では、第1のセクション及び第2のセクションは、平面輪郭又は平面軸線に対して平行であり得る。いくつかの実施形態において、閉形態又は初期形態では、第1のセクション及び第2のセクションが装置の平面輪郭又は平面軸線と実質的に整合されるように第1のセクションと第2のセクションとの間に実質的に距離がなくてもよい。いくつかの実施形態において、閉形態又は初期形態では、第1のセクションと第2のセクションとの間に天然弁尖の厚みよりも短い距離があり得る。いくつかの実施形態において、第1のセクション及び/又は第2のセクションは、天然弁尖に面する表面に配置され、且つそれぞれの組織に係合するように構成された1つ又は複数の組織把持部材を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の組織把持部材は、限定されるものではないが、とりわけ突出部材(例えば、とりわけ歯、逆棘若しくはこれらの組み合わせ)、凹凸のある表面、溝又はこれらの組み合わせを含み得る。例えば、1つ又は複数の組織把持部材は、第1のセクション及び/又は第2のセクションに切り込まれ、且つ1つ又は複数の組織把持部材がそれぞれのセクションに対して直交するか又はある角度をなし、その結果、それぞれのセクションからの凸部が得られるようにある角度で湾曲され得る。別の例において、組織把持部材は、1つ又は複数の板上に配置され、次いでそれぞれの第1のセクション又は第2のセクションに取り付けられ得る。1つ又は複数の組織把持部材は、第1のセクション及び第2のセクションとこれらのセクションとの間に捕捉された天然弁尖との摩擦を増加させることにより、天然弁尖へのそれぞれの第1のセクション及び/又は第2のセクションの取り付けを強化するように構成され得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の組織把持部材は、天然組織と相互作用し、及び/又は天然組織を変形させるように構成され得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の組織把持部材は、天然弁尖に部分的又は完全に突き刺すことにより摩擦を増加させ、これにより摩擦の増加をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の把持部材は、互いに直接対向しないように交互パターンで装置本体の第1のセクション及び第2のセクションに配置され得る。このように、弁尖の両側に配置された交互に位置する把持部材は、摩擦を増加させ得る。いくつかの形態において、1つ又は複数の把持部材は、とりわけ、第1のセクションと第2のセクションとで、第1のセクション及び第2のセクションに沿って又はこれらの組み合わせで異なり得る。いくつかの形態において、把持部材は、把持部材が取り付けられ、及び/又は把持部材が突出するセクションを単に部分的又は全体的に覆うのみであり得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、弁尖セクションは、第1のセクション及び第2のセクションに対して3次元輪郭又は形状を有するように第1のセクション及び第2のセクションから突出し得る。このように、弁尖セクションは、天然弁尖に植え込まれたときに膨出部(3次元形状又は輪郭)を画定し得る。いくつかの実施形態において、弁尖セクションは、第1のセクションの延長部である、第1の部分と、第2のセクションの延長部である第2の部分とを含み得る。各部分は、膨出部を画定する方向に突出し得る。天然弁尖に植え込まれたとき、第2の部分に関連する膨出部は、第2の部分が配置される天然弁尖の表面から突出し得る一方、第1の部分に関連する膨出部は、第2の部分の膨出部に向かって天然弁尖内に突出し得、それにより天然弁尖への装置取り付けの力が増大する。
【0056】
いくつかの実施形態において、弁尖セクションは、第1のセクション及び第2のセクションに対して異なる輪郭を有し得る。いくつかの実施形態において、弁尖セクションは、湾曲の少ない輪郭を有し得る。いくつかの実施形態において、弁尖セクションは、第1のセクション及び第2のセクションに対して実質的に平坦な輪郭を有し得る。
【0057】
装置の弁尖セクションは、弁機能に関連する応力を分散させるように構成され得る。いくつかの実施形態において、弁尖セクションは、限定されるものではないが、装置が天然弁尖に植え込まれたときに天然弁尖の厚み、長さ及び/又は高さを増加させることを含め、天然弁尖の物理的特徴を変化させるように構成され得る。例えば、弁尖セクションは、天然弁尖の特徴及び/又は特性を変えるように構成できる寸法(例えば、第1/第2のセクション/部分に対する膨出高さ、長さ、幅など)を有し得る。装置が装着される弁尖の物理的特性を変化させることにより、装置は、天然弁尖と相互作用する対向する弁尖の機構及び/又は機能も変え得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、装置は、少なくとも弁尖セクションを覆うように構成された1つ又は複数の被覆部材を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材は、第1のセクション及び/又は第2のセクションの少なくとも一部も覆い得る。1つ又は複数の被覆部材は、1つ又は複数の被覆部材が取り付けられる弁尖セクションの曲率、厚み及び/又は他の寸法を増加させ、且つ植え込まれたときの装置の良好な密着を可能にするように構成することができる。被覆部材は、対向する弁尖が相互作用するより軟質の表面を提供することもでき、それにより、インプラントを備えた被覆部材に対向する弁尖への潜在的な損傷の危険性を低減することができる。被覆部材は、直交方向に弁尖セクションを越えて延びることもでき、その結果、被覆部材を備えた弁尖セクションが弁尖セクション(単体)よりも一方向に長くなり得る。いくつかの実施形態において、被覆部材は、装置の第1のセクション又は第2のセクションの一部の2つの端部に取り付けられるように構成され得るか、又は第1のセクションと第2のセクションとの間の異なる箇所に取り付けられるように構成され得る。いくつかの実施形態において、被覆部材は、可撓性であり得、その結果、可撓性被覆部材を圧縮させることにより、装置組立体が小さい寸法のカテーテルに挿入され得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材は、1つ若しくは複数の材料、層又はこれらの組み合わせで作製され得る。1つ又は複数の被覆部材は、1つ又は複数の形状記憶材料を含み得る。1つ又は複数の被覆部材は、送達装置に挿入されたときに一時的に圧縮されるように構成され得、且つ被覆部材を含む弁尖装置が送達装置から送達されたときに初期形状に戻るように構成され得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材は、弁尖セクション、及び/又は第1のセクション、及び/又は第2のセクションの中央部材に沿って一部及び/又は全体が配置され得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材は、弁尖装置の幅よりも大きい幅を有し得る。このように、被覆部材は、弁尖装置上に配置されたときに水平方向に装置を越えて延び得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材は、幅及び/又は長さに沿って変化する形状を有し得る。例えば、1つ又は複数の被覆部材は、1つ又は複数の被覆部材の中心から端部に向かってテーパ状であり得る。
【0061】
いくつかの実施形態において、装置は、完全又は部分的開形態で送達装置を介して送達され得る。装置は、完全又は部分的開形態であり得る。いくつかの実施形態において、各セクションは、1つ又は複数の付属品(例えば、とりわけ組織把持部材、被覆部材又はこれらの組み合わせを備えた取付板)の、及び/又は開形態又は膨張形態における装置を位置決めするように構成された送達装置の対応する結合部材に係合するように構成された1つ又は複数の結合部材を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の結合部材は、送達装置に配置された相補的結合部材に締着されるように構成され得る。例えば、1つ又は複数の結合部材は、限定されるものではないが、とりわけ1つ若しくは複数の開口部、溝、凸部、凹部又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の結合部材は、とりわけ、ワイヤ、縫合糸、可撓管又はこれらの組み合わせなどの1つ又は複数の締着手段を使用して、相補的結合部材に取り外し可能に又は固定して締着されるように構成され得る。セクションは、同じ及び/又は異なる1つ又は複数の結合部材を含み得る。例えば、結合部材は、とりわけ、形状、大きさ、種類、数又はこれらの組み合わせに関して同じあり及び/又は異なり得る。
【0062】
図1~
図6B及び
図8A~
図21Bは、いくつかの実施形態による弁尖強化装置の例を示す。弁尖強化装置は、図に関して示し説明するように、第1のセクション、第2のセクション、弁尖セクション、係合部材、結合部材、把持部材、板及び/又は被覆部材の形態及び/又は組み合わせに限定されるものではないことが理解されるであろう。弁尖強化装置は、第1のセクション、第2のセクション及び弁尖セクションの実施形態の任意の組み合わせを含み得る。
【0063】
図1及び
図1Bは、いくつかの実施形態による弁尖強化装置100の図を示す。いくつかの実施形態において、装置100は、第1の(心室)セクション又はアーム210と、第2の(心房)セクション又はアーム220と、弁尖セクション230とを含み得る。いくつかの実施形態において、第1のセクション210及び第2のセクション220の各々は、弁尖セクション230に連結され得、且つ弁尖セクション230から延びるように構成され得る。第1のセクション210、第2のセクション220及び弁尖セクション230は、装置本体200と称されることもある。
【0064】
いくつかの実施形態において、装置100は、第1のセクション及び/又は第2のセクションに配置された1つ又は複数の把持部材を含み得る。
図1A及び
図1Bに示すように、装置100は、天然弁尖の表面に面するように構成される第1のセクション210の表面211に配置された(例えば、表面211から突出する)複数の把持部材300と、天然弁尖の対向表面に面するように構成される第2のセクション220の表面221に配置された(例えば、表面221から突出する)複数の部材400とを含み得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、装置100は、1つ又は複数の被覆部材500を含み得る。いくつかの実施形態において、装置100は、弁尖セクション230上に配置され、及び/又は弁尖セクション230を取り囲むか若しくは包むように構成された1つ又は複数の被覆部材500を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材500は、第1のセクション210及び/又は第2のセクション220を部分的に覆うように構成され得る。被覆部材500は、患者の弁欠陥の幾何学的形状に特有のものであり得、且つ植え込まれたときの装置のより良好な密着と、逆流弁口の良好な被覆とを可能にし得る。
【0066】
図2A~
図5Bは、装置100の構成要素の遮るもののない拡大図を示す。
図2A~
図2Fは、把持部材300及び400並びに被覆部材500から分離された、
図1A及び
図1Bに示す装置本体200(第1のセクション210、第2のセクション220及び弁尖セクション230)の異なる図を示す。
図2A~
図2Eは、第1の形態又は初期形態に対応し得る、閉形態における装置本体200を示す。
【0067】
いくつかの実施形態において、弁尖セクション230は、第1の端部241と、第2の端部243と、第1の端部241と第2の端部243との間の長さとを有する中央部材240(ヒンジ又は背部とも称される)を含み得る。いくつかの実施形態において、中央部材240は、第1の部分250と、第2の部分260と、第1の部分250と第2の部分260との間に配置された基部部分270とを含み得る。第1の部分250は、第1の端部241と基部部分270との間に延びる長さ251を有し得、且つ第2の部分260は、第2の端部243と基部部分270との間に延びる長さ261を有し得る。いくつかの実施形態において、第1の部分250は、天然弁尖の心室側に配置され得、且つ第2の部分260は、天然弁尖の心房側に配置され得る。
【0068】
第1の形態又は初期形態において、第1の部分250は、装置100が天然弁尖に装着されたときに弁尖セクション230によって取り囲まれるように天然弁尖の少なくとも一部が挿入され得る弁尖領域232を画定するように第2の部分260に対向し得る。基部部分270は、弁尖セクション230の底部に配置され得、且つ装置本体200の最下点又は底部と見なされ得る。いくつかの実施形態において、基部部分270は、
図2Fに示すように、長さに沿って配置された1つ又は複数の溝272を含み得る。1つ又は複数の組織係合部材は、中央部材240から延び得る。1つ又は複数の溝272は、ずらされ得る。1つ又は複数の溝272は、本体200が基部部分270を中心に折り曲げられるか又は湾曲されて曲面を形成するため、可撓性を与えて基部部分における応力集中を低減することができる。
【0069】
いくつかの実施形態において、第1の部分250の長さ251は、
図2A~
図2Fに示すように、第2の部分260の長さ261よりも短いことができる。いくつかの実施形態において、第1の部分250の長さ251及び第2の部分260の長さ261は、同じであるか又は異なり得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、弁尖セクション230は、3次元形状を有し得る。いくつかの実施形態において、第1の部分250及び/又は第2の部分260は、湾曲形状又は輪郭(膨出部若しくは3次元形状とも称される)を有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、第1の部分250及び/又は第2の部分260は、弁尖セクション230が、3次元形状又は膨出部を画定する方向に少なくとも第2のセクション220に対して突出するように配置され得る。例として、第1の部分250及び第2の部分260は、例えば、
図2Eに示すように、例えば凸状曲率を画定するように平面輪郭Pに対してある方向に向かって突出するように構成され得る。第1の部分250及び第2の部分260は、第1のセクション210及び第2のセクション220の平面輪郭Pに対して同じ方向に外向きに湾曲し得る。例として、第1の部分250は、第2の部分260に向かう方向に突出する膨出部に向かう曲率を含むか又は膨出部を含み得、且つ第2の部分260は、同じ方向に外向きに突出する膨出部に向かう曲率を含むか又は膨出部を含み得る。この例において、第1の部分250の曲率は、第2の部分260の曲率の内側に配置され得る。
【0071】
いくつかの実施形態において、第1の部分250及び第2の部分260は、同じ曲率量又は異なる曲率量を有し得る。例えば、第1の部分250の曲率は、第2の部分260の曲率に比例し得る。いくつかの実施形態において、曲率量は、これらの部分の長さに関係し得る。いくつかの実施形態において、第1の部分250よりも長い長さを有する第2の部分260は、
図2Dに示すように、第1の部分250の曲率半径よりも大きい曲率半径を有し得る。この例において、弁尖セクション230のセクション250の湾曲輪郭又は曲率は、心室側の天然(例えば、僧帽)弁尖への装置のより良好な取り付けを可能にすることができる。
【0072】
第1の部分250及び第2の部分260が異なる曲率量を有し得ることが理解されるであろう。例えば、部分250及び260の一方又は両方の曲率量は、装置が植え込まれ得る患者の心拍の収縮期における弁尖の収縮曲率と一致するように決定することができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、装置100は、中央部材240から一方向及び/又は二方向(例えば、対向方向)に延びる1つ又は複数の係合部材280の1つ又は複数の組を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の係合部材280は、少なくとも弁尖セクション230に沿って中央部材240の一方側又は両側に角度をなして延びるように配置され得る。この例において、1つ又は複数の係合部材280は、弁尖領域232を画定するように構成され得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、各係合部材が中央部材240から延び得る角度は、約30度~150度であり得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の係合部材は、中央部材に直交し得る。
【0075】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の係合部材280は、中央部材240及び/又は第1のセクション210と、第2のセクション220とに対して直交するように、中央部材240の一方側又は両側に直交方向に延び得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の係合部材280は、中央部材240に対して延びるように構成され得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、各係合部材280は、第1の部分250及び/又は第2の部分260における中央部材240に結合された、又は中央部材240に配置された、又は中央部材240から延びる第1の端部281と、対向する第2の端部283と、第1の端部281と第2の端部283との間の長さとを含み得る。対向する第2の端部283は、中央部材240から延び得、且つ「自由端部」と見なされ得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、装置100は、第1の部分250に配置されるか又は第1の部分250から延びる1つ又は複数の係合部材の第1の組284と、第2の部分260に配置されるか又は第2の部分260から延びる1つ又は複数の係合部材の第2の組286とを含み得る。いくつかの実施形態において、装置100は、弁尖セクションの一部分(例えば、第1の部分若しくは第2の部分)のみに配置されるか若しくは一部分から延び、及び/又はその部分に配置された中央部材240の一方側から延びる1つ又は複数の係合部材の1つの組、第1の組284又は第2の組286を含み得る。
【0078】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の係合部材280の各組284、286は、任意の数の係合部材を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の係合部材280の各組284、286は、同じ及び/又は異なる寸法(例えば、中央部分に対する長さ、幅など)及び/又は形状を有する1つ又は複数の係合部材を含み得る。
【0079】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の係合部材280の各組は、
図1~
図2Fに示すように、中央部材240に対して対称であり得る。例えば、1つ又は複数の係合部材280は、同じ形状及び長さを有し得、且つ第1の部分250及び/又は第2の部分260に対する同じ位置から対向方向に延びるように配置され得る。いくつかの実施形態において、中央部材240の一部分に配置された1つ又は複数の係合部材280は、その方向に対してずらされ得る。
【0080】
例えば、1つ又は複数の係合部材280は、自由端部を備えた細長い形状を有し得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の係合部材280は、とりわけ、逆棘、歯又はこれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の係合部材280は、天然弁尖に面するように構成される平滑表面及び/又は凹凸のある表面を有し得る。
【0081】
いくつかの実施形態において、係合部材の各組284、286は、あるパターンで配置され得る。例えば、第1の組284は、互いに平行に配置され、且つ中央部材240に対して対称である係合部材280の1つ又は複数の列を含み得る。第1の組284の各列は、中央部材240に対して距離285だけ離間して配置され得る。第2の組286は、互いに平行に配置され、且つ中央部分に対して対称である係合部材280の1つ又は複数の列を含み得る。第2の組286の各列は、距離又は空間287だけ離間して配置され得る。いくつかの実施形態において、組の各列間及び/又は各組間の距離285及び287は、
図2A~
図2Fに示す距離と実質的に同じであり得る。いくつかの実施形態において、距離は、異なり得、及び/又は変化され得る。
【0082】
いくつかの実施形態において、第1の組284及び/又は第2の組286の係合部材280の1つ又は複数の列は、中央部材240に対してずらして配置され得る。
【0083】
図に示すように、係合部材の第1の組284は、中央部材270に対する係合部材の第2の組286に対してずらして配置され得る。係合部材の第1の組284及び係合部材の第2の組286は、各組の係合部材がそれぞれ距離285及び287だけ離間されるパターンで配置され得る。距離285及び287は、係合部材の幅に対応し得る。第1の組284と第2の組286とをずらすことにより、係合部材は、弁尖の表面領域をより良好に覆うことができ、その結果、天然弁尖への弁尖セクションの取り付けが改善される。
【0084】
いくつかの実施形態において、第2の組286は、第1の組284よりも多くの係合部材を含み得る。例として、第2の組286は、係合部材280の4つの列を含み得、且つ第1の組284は、
図2A~
図2Fに示すように、係合部材280の3つの列を含み得る。別の例において、各組は、より多くの又はより少ない係合部材を含み得る。更なる例において、第2の組286は、第1の組284と同じ数の係合部材及び/又は第1の組284よりも少ない係合部材を含み得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、第1の組284及び/又は第2の組286は、異なる係合部材及び/又は異なるパターンの係合部材を含み得る。例えば、第1の組284及び/又は第2の組286は、とりわけ、異なる大きさ(例えば、長さ及び/又は幅)及び/又は形状を有する1つ又は複数の係合部材、中央部材240に対して対称ではない1つ又は複数のもの或いはこれらの組み合わせを含み得る。例えば、第1の組284及び/又は第2の組286は、それぞれの組又は他の組における1つ又は複数の列と異なる大きさ及び/又は幅を有する係合部材の1つ又は複数の列を含み得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の係合部材280の列は、例えば、
図2A~
図2Fに示すように、中央部材240から直線状に延び得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の係合部材280は、中央部材240に対する曲率を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の係合部材280は、湾曲セグメントと略直線セグメントとを含み得る。例えば、湾曲セグメントは、中央部材240から延び得、且つ直線セグメントは、各係合部材の後縁部が直線状になり得るような自由端部を含み得る。
【0087】
図6A及び
図6Bは、係合部材680が「翼状」形状を有するように曲率セグメントと直線セグメントとを有する係合部材680を含む弁尖セクション630の一例の図を示す。いくつかの実施形態において、弁尖セクション630は、中央部材640を含み得る。中央部材240と同様に、中央部材640は、第1の部分650と、第2の部分650と、基部部分670とを含み得る。弁尖セクション630は、第1の部分650から延びる係合部材の第1の組684の列と、第2の部分660から延びる係合部材の第2の組686の列とを含み得る。この例では、第1の組684は、第2の組686よりも少ない列を含み得、且つ各組の列は、係合部材280と同様に交互に位置するように配置され得る。第1の組684及び第2の組686の各係合部材は、それぞれの部分から延びる曲率セグメントと、自由端部を含む直線セグメントとを含み得る。第1の組684の各係合部材は、第2の組686の各係合部材と異なる曲率量を有する曲率セグメントを含み得る。例えば、組684は、中央部材240により近接するより大きい外向きの曲率半径を含み、且つ弁尖表面により近接する、先(例えば、自由)端部におけるより平坦なセグメントに向かってテーパ状であり得る。中央部材640並びに係合部材の組684及び686は、天然弁尖が配置され得る弁尖領域632を画定するように構成され得る。
【0088】
いくつかの実施形態において、
図2A~
図2Fに示すように、第1のセクション210は、弁尖セクション230の第1の端部241から延びるように配置され得、且つ第2のセクション220は、弁尖セクション230の第2の端部243から延びるように配置され得る。この例において、第1のセクション210及び第2のセクション220は、弁尖セクション230(例えば、中央部材240)の両側部から延び得る。この例において、第1のセクション210は、第1の部分250(又は心室側若しくは心室セクション)の延長部と見なされ得、且つ第2のセクション220は、第2の部分260(又は心房側若しくは心房セクション)の延長部と見なされ得る。
【0089】
いくつかの実施形態において、第1のセクション210及び第2のセクション220は、同じ又は異なる大きさ及び/又は形状を有し得る。いくつかの実施形態において、第1のセクション210又は第2のセクション220は、他のセクションよりも大きいことができる。いくつかの実施形態において、より大きいセクションは、より小さいセクションがより大きいセクションと実質的に面一に配置され得るように、より大きいセクションに配置された開口部を含み得る。いくつかの実施形態において、第2のセクション220は、第1のセクション210よりも大きく、且つ第1のセクション210が第2のセクションの開口部226内に配置され得るような開口部226を含み得る。開口部226は、植え込まれたときに組織がセクションの内部及び全体に増殖するための1つ又は複数の表面も提供し得る。
図2Eに示すように、第1のセクション210及び第2のセクション220は、第1のセクション210及び第2のセクション220が同一平面上にあるように整合又は付勢されるように配置され得る。
図2Eに示すように、第1のセクション210及び第2のセクション220は、平面P輪郭又は軸線と実質的に整合され得る。
【0090】
いくつかの実施形態において、第1のセクション210の少なくとも一部分は、第2のセクション220及び/又は第2の部分260に向かって湾曲するか又は付勢されるように配置され得、及び/又は第2のセクション220の少なくとも一部分は、第1のセクション210及び第2のセクション220の一部分が、とりわけ、交差するか、重なるか又はこれらの任意の組み合わせとなるように、第1のセクション210及び/又は第1の部分250に向かって湾曲するか又は付勢されるように配置され得る。
【0091】
いくつかの実施形態において、第1のセクション210及び/又は第2のセクション220は、組織が第1のセクション210及び/又は第2のセクション220全体にわたって増殖し、及び/又は組織増殖を促進し得る表面を提供するように構成された1つ又は複数の開口部を含み得る。
【0092】
いくつかの実施形態において、第1のセクション210及び第2のセクション220は、細長い形状を有し得る。いくつかの実施形態において、第1のセクション210及び第2のセクション220の各々は、その長さにわたって実質的に同じ幅を有し得る。いくつかの実施形態において、第1のセクション210及び第2のセクション220は、弁尖セクション230のそれぞれの端部に隣接して配置されたテーパ部分214及び224をそれぞれ含み得る。いくつかの実施形態において、テーパ部分は、中央部材240よりも小さい幅を有し得る。各セクションは、テーパ部分から実質的に同じ幅を有し、且つ各セクションの最上部又は端部に丸みを帯びた表面を有し得る。
【0093】
いくつかの実施形態において、本体200は、金属、ポリマー若しくはプラスチック又は他の任意の材料などの材料の単一のシート又はブロックから機械加工され得るか、又は材料のブロックから機械加工され得る。例えば、装置は、形状記憶合金(例えば、ニチノール)で作製され得る。装置が材料の単一のシートから機械加工される場合、装置の平面骨格又は平枠体を所望の寸法に切断し得、且つ結果として得られた平面骨格を3次元の最終(閉形態)形態に湾曲させ得る。最終形態は、恒久的に定められ得るか、又は装置を最終形態から変形させる場合、装置に及ぶ変形力が除去されたときに装置が最終形態に跳ね戻り得るように技術を用いて定められ得る。場合により、最終形態は、最終形態を変形させる能力なしに、平面骨格を機械的に湾曲させて3次元形状にすることによって達成され得る。材料のブロックから装置が機械加工される場合、最終的な3次元形態は、平面骨格を機械加工して平面骨格を湾曲させて3D形態にすることなしに直接達成され得る。装置の最終形態は、他の技術を使用して、材料の層上に層を構築することによって達成され得る。装置の機械加工は、これらの技術に限定されるものではなく、最終形態を達成するための他の技術が使用され得る。
【0094】
図2Fは、
図1A~
図2Eに示す本体200をそれから作製することができる本体200の平枠体を示す。いくつかの実施形態において、平枠体は、とりわけ、形状記憶材料(例えば、ニチノール)、金属、生体適合性材料又はこれらの組み合わせで作製され得る。例えば、装置の初期形態は、機械加工時、形状決め時又はそれ以降に決定して定めることができる。例えば、弁尖セクションの3次元形状(例えば、曲率量)と、第2のセクションに対する第1のセクションの位置決めとが定められ得る。
【0095】
いくつかの実施形態において、装置は、初期形態が、第2のセクションに向かって湾曲するように配置された第1のセクション又は第1のセクションに向かって湾曲されるように配置された第2のセクションを含み、その結果、第1のセクション及び第2のセクションが互いに近接するか、又は互いに接触するか、又は互いに交差するように機械加工又は形状決めされ得る。2つのセクションが互いに近接する形態では、セクション間の空間は、天然弁尖の厚みよりも小さいことができる。第1のセクション及び第2のセクションが互いに接触又は交差する形態では、初期形態でもたらされる接触又は交差の程度を機械加工時、形状決め時又はそれ以降に決定して定めることができる。
【0096】
いくつかの実施形態において、装置100は、第1のセクション210の内(向き)表面211及び/又は第2のセクション220の内(向き)表面221から突出するように配置された1つ又は複数の組織把持部材を含み得る。内表面211及び221は、天然弁尖に直接対向して取り付く弁尖の表面に対応する。いくつかの実施形態において、第1のセクション210及び第2のセクション220は、取付板及び他の付属部材を受け入れるように構成された1つ又は複数の結合部材を含み得る。
【0097】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の組織把持部材は、内表面211及び/又は221に取り付けることができる1つ又は複数の板に配置され得る。板は、例えば、縫合糸などの締着具を使用して、結合部材204によって表面211及び/又は221に取り付けられ得る。
【0098】
いくつかの実施形態において、装置は、装置の1つ又は複数の部分のための1つ又は複数の把持部材を含む1つ又は複数の板を含み得る。いくつかの実施形態において、装置は、各表面に対して1つ又は複数の把持部材を含む板を含み得る。
【0099】
図1A及び
図1Bは、装置100の例を示す。
図1A及び
図1Bに示すように、装置100は、本体200の内表面211に配置された板300と、本体200の内表面221に配置された板400とを含み得る。
【0100】
図3及び
図4は、第1のセクション210の内表面211及び第2のセクション220の内表面221にそれぞれ取り付けられるように構成できる板300及び400を示す。
【0101】
図3Aは、内表面211上に配置されるように構成される板300を示し、且つ
図3Bは、
図3Aに示す板300が機械加工され得る、形状記憶材料(例えば、ニチノール)などの材料の平面シートを示す。
図3Aに示すように、板300は、表面301から突出するように配置された1つ又は複数の組織把持部材310を含み得る。この例において、1つ又は複数の組織把持部材310は、板300の両側部又は両側縁部に配置された組織把持部材の2つの支柱320及び330を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の組織把持部材310は、とりわけ、異なるパターン(例えば、1つの縦列、複数の列)で配置されるか、異なる位置に配置されるか、異なる形状を有するか、異なる大きさ有するか又はこれらの組み合わせであり得る。板300は、表面301及び組織把持部材320及び330がそれぞれの弁尖組織に接触して取り付くことができるように、1つ又は複数の結合部材(例えば、開口部)304によって第1のセクション210に取り付けられ得る。
【0102】
図4Aは、内表面311上に配置されるように構成される板400を示し、且つ
図4Bは、
図4Aに示す板400が機械加工され得る、ニチノールなどの材料の平面シートを示す。
図4Aに示すように、板400は、表面401から突出するように配置された1つ又は複数の組織把持部材410を含み得る。第2のセクション220と同様に、板400は、開口部222に対応する開口部422を含み得る。
【0103】
この例において、1つ又は複数の組織把持部材410は、開口部422の両側部又は両側縁部に配置された組織把持部材の2つの支柱420及び430を含み得る。いくつかの実施形態において、板400は、開口部442の両側部又は両側縁部に配置された1つ又は複数の組織把持部材440を含み得る。開口部422及び442は、組織が第1のセクション210及び/又は第2のセクション220の内部及び全体に増殖するための表面を提供することができる。いくつかの実施形態において、本体400は、組織増殖を促進するための追加の又は異なる構造を含み得る。
【0104】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の組織把持部材410は、とりわけ、異なるパターン(例えば、1つの縦列、複数の列)で配置されるか、異なる位置に配置されるか、異なる形状を有するか、異なる大きさ有するか又はこれらの組み合わせであり得る。板400は、表面401及び組織把持部材410がそれぞれの弁尖組織に接触して取り付くことができるように、1つ又は複数の結合部材(例えば、開口部)404によって第2のセクション220に取り付けられ得る。
【0105】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の組織把持部材310及び/又は410は、内向き表面211及び/又は内向き表面221と一体化され得る。例えば、1つ又は複数の組織把持部材310及び/又は410は、本体200が機械加工される材料の平面シートから作製され得る。
【0106】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の板は、装置本体の弁尖セクション内に延びるように構成され得る。
図16A及び
図16Bは、装置1600の一例の図を示す。いくつかの実施形態において、装置1600は、装置本体に取り付けられた2つ以上の板を含み得る。
図16A及び
図16Bに示すように、装置1600は、装置本体200の内向き表面211及び内向き表面221にそれぞれ取り付けられ、且つ弁尖領域230の領域232内に延びる第1の板1800及び第2の板1900を含み得る。
図17A及び
図17Bは、
図16A及び
図16Bに示す装置本体200から分離された板1800及び1900の図をそれぞれ示す。
【0107】
いくつかの実施形態において、
図18は、内表面211に配置されるように構成することができる板1800を示す。
図16A~
図18に示すように、板1800は、1つ又は複数のセクションを含み得る。いくつかの実施形態において、板1800は、第1のセクション210の内表面211に取り付くように構成された第1のセクション1802と、板1800が取り付けられたときに弁尖セクション230の領域232内に部分的に延びるように構成された第2のセクション1804とを含み得る。第1のセクション1802は、第1の角度をなす方向に延び得、且つ第2のセクション1804は、第1の角度と異なる第2の角度をなす方向に延び得る。
【0108】
板300と同様に、板1800は、とりわけ、表面211に取り付くように構成された1つ若しくは複数の開口部1812(結合部材)、組織が装置200の内部及び全体に増殖するための表面を提供するように構成された1つ若しくは複数の開口部1814又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、結合部材1812は、異なり得、且つ装置200の1つ又は複数の結合部材と相補的であり得る。いくつかの実施形態において、本体1800は、組織増殖を促進するための追加の又は異なる構造を含み得る。
【0109】
いくつかの実施形態において、板1800は、表面1801から突出するように配置された1つ又は複数の組織把持部材1810を含み得る。この例において、1つ又は複数の組織把持部材1810は、第1のセクション1802及び/又は第2のセクション1804に配置された1つ又は複数の把持部材の1つ又は複数の組を含み得る。
【0110】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の組織把持部材1810は、縦列で配置された把持部材1820の第1の組と、縦列で配置された把持部材1830の第2の組とを含み得る。組織把持部材の第1の組1820及び第2の組1830は、第1のセクション1802の両側部又は両側縁部に配置され得る。いくつかの実施形態において、板1800は、第2のセクション1804の表面1801に配置された1つ又は複数の組織把持部材1810の組1840を含み得る。
【0111】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の把持部材1810は、尖った形状(例えば、歯)を有し、且つ表面1801から第2のセクション1804(又は取り付けられているときには弁尖セクション230)に向かって突出し得る。把持部材1810は、この形状に限定されず、限定されるものではないが、とりわけ逆棘、他の突起又はこれらの組み合わせを含む異なる形状を有し得る。
【0112】
いくつかの実施形態において、板1800は、とりわけ、各組における異なる数の把持部材1810、把持部材の異なる数の組又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の組織把持部材1810は、とりわけ、異なるパターン(例えば、1つの縦列、複数の列)で配置されるか、異なる位置に配置されるか、異なる形状を有するか、異なる大きさ有するか又はこれらの組み合わせであり得る。
【0113】
板1800と同様に、板1900は、弁尖セクション230内に少なくとも部分的に延びるように構成されるセクションを含み得る。
図19は、内表面221に配置されるように構成される板1900を示す。
図16A~
図17B及び
図19に示すように、板1900は、1つ又は複数のセクションを含み得る。いくつかの実施形態において、板1900は、第2のセクション220の内表面221に取り付くように構成された第1のセクション1902と、板1900が取り付けられたときに弁尖セクション230の領域232内に部分的に延びるように構成された第2のセクション1904とを含み得る。第1のセクション1902は、第1の角度をなす方向に延び得、且つ第2のセクション1904は、第1の角度と異なる第2の角度をなす方向に延び得る。
【0114】
板400と同様に、板1900は、とりわけ、表面221に取り付くように構成された1つ若しくは複数の開口部1912(結合部材)、組織が装置200の内部及び全体に増殖するための表面を提供するように構成された1つ若しくは複数の開口部1914又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、結合部材1912は、異なり得、且つ装置200の1つ又は複数の結合部材と相補的であり得る。いくつかの実施形態において、本体1900は、組織増殖を促進するための追加の又は異なる構造を含み得る。
【0115】
第2のセクション220と同様に、板1900は、開口部222に対応する、第1のセクション1902に配置された開口部1906を含み得る。いくつかの実施形態において、板1900は、表面1901から突出するように配置された1つ又は複数の組織把持部材1910を含み得る。この例において、1つ又は複数の組織把持部材1910は、第1のセクション1902及び/又は第2のセクション1904に配置された1つ又は複数の把持部材の1つ又は複数の組を含み得る。
【0116】
この例において、1つ又は複数の組織把持部材1910は、1つ又は複数の組織把持部材1910の1つ又は複数の組を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の組織把持部材1910は、開口部1906を取り囲む第1のセクション1902に沿って配置された1つ又は複数の組を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の把持部材1910は、縦列で配置された第1の組1920と、縦列で配置された第2の組1930とを含み得る。把持部材の第1の組1920及び第2の組1930は、開口部1906の両側部又は両側縁部に配置され得る。いくつかの実施形態において、板1900は、開口部1906よりも上に配置された1つ又は複数の組の把持部材1910を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の把持部材1910は、隣り合う縦列で且つ開口部1906よりも上に配置された第1の組1942及び第2の組1944を含み得る。
【0117】
いくつかの実施形態において、板1900は、第2のセクション1904の表面1901に配置された1つ又は複数の組織把持部材1910の組1950を含み得る。この例において、組1950は、縦列で配置された2つの把持部材1910を含み得る。
【0118】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の把持部材1910は、尖った形状(例えば、歯)を有し、且つ表面1901から第2のセクション1904(又は取り付けられているときには弁尖セクション230)に向かって突出し得る。把持部材1910は、この形状に限定されず、限定されるものではないが、とりわけ逆棘、他の突起又はこれらの組み合わせを含む異なる形状を有し得る。
【0119】
いくつかの実施形態において、板1900は、とりわけ、各組における異なる数の把持部材1910、把持部材の異なる数の組又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の組織把持部材1910は、とりわけ、異なるパターン(例えば、1つの縦列、複数の列)で配置されるか、異なる位置に配置されるか、異なる形状を有するか、異なる大きさ有するか又はこれらの組み合わせであり得る。
【0120】
いくつかの実施形態において、板1800及び1900の第1のセクション1810及び1910は、任意の締着手段を使用して、それぞれ第1のセクション210及び第2のセクション220に取り付けられ得る。例えば、板1800及び1900は、製造工程(例えば、溶接、接着など)又は植え込み処置(例えば、縫合)中に装置本体200に取り付けられ得る。第2のセクション1820及び1920は、装置本体200に取り付けられなくてもよく、また取り付けられたときに弁尖セクション230内に延びるように構成され得る。
【0121】
取付板1800及び1900は、取り付けられたときに第1のセクション210及び第2のセクション220の付勢による整合を妨げないように構成され得、したがって第1のセクション210及び第2のセクション220によって生じる付勢力を妨げない。使用時、装置1600を天然弁尖への植え込みのための開形態に移動させたとき、天然弁尖が、(i)第1の板1800の第1のセクション1802と第2のセクション1804との間、(ii)第2の板1900の第1のセクション1902と第2のセクション1904との間、及び(iii)弁尖セクション230間に捕捉され得るように板1800及び1900を位置決めすることができる。把持部材1810及び1910は、把持部材1810及び1910間に捕捉された天然弁尖の組織に係合して、摩擦を生じさせることもできる。把持部材1810及び1910の下向き突起は、第1の板1800と第2の板1900との間で摺動するため、天然弁尖を妨げない可能性もある。把持部材1810及び1910は、弁尖が捕捉された後、下向き突起によって天然弁尖組織に食い込むように構成され得る。
【0122】
いくつかの実施形態において、取付板1800及び1900は、単一の板本体として一体化され得る。
図20A及び
図20Bは、装置2000の一例の図を示す。いくつかの実施形態において、装置2000は、装置本体200の内向き表面211及び内向き表面221にそれぞれ取り付けることができ、且つ弁尖領域230の領域232内に延びる板本体2100を含み得る。
図21A及び
図21Bは、
図20A及び
図20Bに示す装置本体200から分離された板本体2100の図を示す。
【0123】
いくつかの実施形態では、
図20A~
図21Bに示すように、板2100は、第1の板2110と、第2の板2150と、第1の板2110と第2の板2150とを連結する第3の板2190とを含み得る。第1の板2110は、板1800と同様の形態を有し得、且つ第2の板2150は、板1900に類似した同様の形態を有し得る。第1の板2110は、内表面211に配置されるように構成され得、且つ第2の板2150は、内表面221に配置されるように構成され得る。
【0124】
板1800と同様に、第1の板2110は、第1のセクション210の内表面211に取り付くように構成された第1のセクション2112と、板2110が取り付けられたときに弁尖セクション230の領域232内に部分的に延びるように構成された第2のセクション2114とを含み得る。第1のセクション2112は、第1の角度をなす方向に延び得、且つ第2のセクション2114は、第1の角度と異なる第2の角度をなす方向に延び得る。
【0125】
いくつかの実施形態において、板1800と同様に、第1の板2110は、表面2111から突出するように配置された1つ又は複数の組織把持部材2120を含み得る。この例において、1つ又は複数の組織把持部材2120は、第1のセクション2112及び/又は第2のセクション2114に配置された1つ又は複数の把持部材の1つ又は複数の組を含み得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、板1800と同様に、1つ又は複数の組織把持部材2120は、縦列で配置された把持部材の第1の組2122と、縦列で配置された把持部材2124の第2の組2124とを含み得る。組織把持部材の第1の組2122及び第2の組2124は、第1のセクション2112の両側部又は両側縁部に配置され得る。いくつかの実施形態において、板2100は、第2のセクション2114の表面2111に配置された1つ又は複数の組織把持部材の組2130を含み得る。
【0127】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の把持部材2120は、尖った形状(例えば、歯)を有し、且つ表面2111から第2のセクション2114(又は取り付けられているときには弁尖セクション230)に向かって突出し得る。把持部材2120は、この形状に限定されず、限定されるものではないが、とりわけ逆棘、他の突起又はこれらの組み合わせを含む異なる形状を有し得る。
【0128】
板1900と同様に、板2150は、弁尖セクション230内に少なくとも部分的に延びるように構成されるセクションを含み得る。
図20A~
図21Bに示すように、板2150は、1つ又は複数のセクションを含み得る。いくつかの実施形態において、板2150は、第2のセクション220の内表面221に取り付くように構成された第1のセクション2152と、板2150が取り付けられたときに弁尖セクション230の領域232内に部分的に延びるように構成された第2のセクション2154とを含み得る。第1のセクション2152は、第1の角度をなす方向に延び得、且つ第2のセクション2154は、第1の角度と異なる第2の角度をなす方向に延び得る。
【0129】
板1900と同様に、板2150は、開口部222に対応する、第1のセクション2152に配置された開口部2156を含み得る。いくつかの実施形態において、板2150は、表面2151から突出するように配置された1つ又は複数の組織把持部材2160を含み得る。
【0130】
この例において、1つ又は複数の組織把持部材2160は、1つ又は複数のセクション上に配置された1つ又は複数の組織把持部材2160の1つ又は複数の組を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の組織把持部材2160は、開口部2156を取り囲む第1のセクション2152に沿って配置された1つ又は複数の組を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の把持部材2160は、縦列で配置された第1の組2162と、縦列で配置された第2の組2164とを含み得る。把持部材の第1の組2162及び第2の組2164は、開口部2156の両側部又は両側縁部に配置され得る。いくつかの実施形態において、板2150は、開口部2156よりも上に配置された1つ又は複数の組の把持部材2160を含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の把持部材2160は、隣り合う縦列で且つ
図19に示すような開口部2156よりも上に配置された第1の組2172及び第2の組2174を含み得る。
【0131】
いくつかの実施形態において、板2150は、第2のセクション2154の表面2151に配置された1つ又は複数の組織把持部材2160の組2180を含み得る。この例において、組2180は、縦列で配置された2つの把持部材2160を含み得る。
【0132】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の把持部材2160は、尖った形状(例えば、歯)を有し、且つ表面2151から第2のセクション1904(又は取り付けられているときには弁尖セクション230)に向かって突出し得る。把持部材2160は、この形状に限定されず、限定されるものではないが、とりわけ逆棘、他の突起又はこれらの組み合わせを含む異なる形状を有し得る。
【0133】
いくつかの実施形態において、板2100は、とりわけ、各組における異なる数の把持部材、把持部材の異なる数の組又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の組織把持部材2120及び/又は2160は、とりわけ、異なるパターン(例えば、1つの縦列、複数の列)で配置されるか、異なる位置に配置されるか、異なる形状を有するか、異なる大きさ有するか又はこれらの組み合わせであり得る。
【0134】
板1800及び1900と同様に、板本体2100は、とりわけ、表面211及び221にそれぞれ取り付くように構成された1つ若しくは複数の開口部2134及び2166(結合部材)、組織が装置200の内部及び全体に増殖するための表面を提供するように構成された1つ若しくは複数の開口部2136及び2168又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、結合部材2134及び2166は、異なり得、且つ装置200の1つ又は複数の結合部材と相補的であり得る。いくつかの実施形態において、本体2100は、組織増殖を促進するための追加の又は異なる構造を含み得る。
【0135】
いくつかの実施形態において、板本体2100の第1のセクション2112及び2152は、任意の締着手段を使用して、装置本体200に取り付けられ得る。例えば、板本体2100は、製造工程(例えば、溶接、接着など)又は植え込み処置(例えば、縫合)中に装置本体200に取り付けられ得る。第2のセクション2114及び2154は、装置本体200に取り付けられなくてもよく、また取り付けられたときに弁尖セクション230内に延びるように構成され得る。
【0136】
板本体2100は、取り付けられたときに第1のセクション210及び第2のセクション220の付勢による整合を妨げないように構成され得、したがって第1のセクション210及び第2のセクション220によって生じる付勢力を妨げない。使用中、装置2000を天然弁尖への植え込みのための開形態に移動させたとき、板2100は、天然弁尖が、(i)第1の板2110の第1のセクション2112と第2のセクション2114との間、及び(ii)第2の板2150の第1のセクション2152と第2のセクション2154との間に捕捉されるように位置決めすることができる。把持部材2120及び2160は、把持部材2120及び2160間に捕捉された天然弁尖の組織に係合して、摩擦を生じさせることもできる。把持部材2120及び2160の下向き突起は、連結板2190に向かって第1の板2110と第2の板2150との間で摺動するため、天然弁尖を妨げない可能性もある。把持部材2120及び2160は、弁尖が捕捉された後、下向き突起によって天然弁尖組織に食い込むように構成され得る。
【0137】
いくつかの実施形態において、装置は、弁尖セクションの少なくとも外表面を覆うように構成された1つ又は複数の被覆部材を含み得る。
図1A及び
図1Bに示すように、少なくとも1つの被覆部材500は、少なくとも弁尖セクション230上に配置され得る。いくつかの実施形態において、装置100は、他のセクション上に配置され、及び/又は弁尖セクション230上に配置されるように構成された追加の及び/又は代替的な被覆部材500を含み得る。
【0138】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材500は、弁尖セクション230を部分的若しくは完全に覆い、及び/又は弁尖セクション230を越えて延び得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材500は、部分的に延びて第1のセクション及び/又は第2のセクションを覆うように配置され得る。
【0139】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材500は、1つ又は複数の材料で作製され得る。1つ又は複数の材料は、限定されるものではないが、とりわけ金属(例えば、ワイヤ)、形状記憶材料、ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、織物、生体適合性材料(例えば、フェルト、PTFE、ePTFE材料、脱細胞化心膜、合成組織若しくは処理された組織など)又はこれらの組み合わせ)を含む。いくつかの実施形態において、材料は、ポリマー被覆(PTFE)を有する又は有しない生体適合性材料であり得る。いくつかの実施形態において、材料は、可撓性であり得る。
【0140】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材500は、とりわけ、同じ及び/又は異なる材料の織物又は編物、メッシュ状材料、同じ及び/又は異なる材料の1つ又は複数の層(例えば、均質の単層材料又は複合多層材料)或いはこれらの組み合わせを含み得る。1つ又は複数の被覆部材500は、弁口内への弁尖セクションの凸部又は膨出部の広がりを弁尖セクション230の3次元輪郭(すなわち膨出部)の方向に増加させるように構成することができる。1つ又は複数の被覆部材500は、装置200から、例えば少なくとも弁尖セクション230から天然弁尖に沿って直交方向に延びることによって弁尖セクション220からの凸部又は膨出部の横方向の広がりを増加させるようにも構成され得る。
【0141】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材500の材料は、装置の第1のセクションと第2のセクションとの間の天然弁尖の取り付け又は圧縮を強化するために、植え込み後に拡張可能であり、且つ体積が増加するように構成され得る1つ又は複数の層(例えば、血液を吸収するように構成できる親水性材料)を含み得る。いくつかの実施形態において、材料は、装置の内部に増殖して装置をより良好に天然弁尖に固定し得る組織の内部増殖を可能にし得る。
【0142】
図5Aは、少なくとも弁尖セクション230上に配置されるように構成される、
図1A及び
図2Bに示す1つ又は複数の被覆部材500を示し、且つ
図5Bは、
図5Aに示す1つ又は複数の被覆部材500が機械加工され得る、ニチノールなどの材料の平面シートを示す。
【0143】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材500は、弁尖セクション230の係合部材の第1の組284及び/又は係合部材の第2の組284を覆うか、又は取り囲むか、又は越えて延びるように構成され得る。1つ又は複数の被覆部材500は、弁尖セクション230に対応する曲率を含み得る。例えば、領域504は、弁尖セクション230(例えば、基部部分)を覆うように構成され得、且つ領域502は、第1のセクション210及び/又は第2のセクション220の一方の表面に取り付くように構成され得る。
【0144】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材500は、第1の端部501と、第2の端部503と、第1の端部501と第2の端部503との間の長さとを有し得る。
【0145】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材500は、1つ又は複数の放射線不透過性金属要素510を含み得る。例えば、1つ又は複数の放射線不透過性要素510は、第1の端部501及び/又は第2の端部503に配置され得る。放射線不透過性要素510は、医用画像を用いた最適な植え込み及び送達を可能にするために、その構造の位置を天然弁尖との関連で特定することができる。
【0146】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材500は、第1の端部501と第2の端部503との間の全長にわたって延びる背部520を含み得る。いくつかの実施形態において、背部520は、可撓性材料で作製され得る。いくつかの実施形態において、背部520は、所望の形状に湾曲されるか又は所望の形状に恒久的に形状決めされるように背部520を構成できるような形状記憶材料を含み得る。
【0147】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材500は、背部520の長さにわたって配置された可撓性部材522を含み得る。可撓性部材522は、全体又は一部が背部520の長さに沿って配置され得る。いくつかの実施形態において、可撓性部材522は、背部520上に配置された追加の層であり得る。いくつかの実施形態において、可撓性部材522は、1つ若しくは複数の材料で又は背部520と異なる材料の組み合わせで作製され得る。
【0148】
いくつかの実施形態において、可撓性部材は、背部520の長さに沿ってテーパ状であり得る。例として、可撓性部材は、第1の端部501ではより小さく、背部520の長さの中心に向かって長さの中心まで増加して、第2の端部503に向かって減少する幅を有し得る。
【0149】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材500は、使用者によって及び/又は製造中に装置200に取り付けられるように構成され得る。例えば、1つ又は複数の被覆部材500は、例えば、締着具(例えば、縫合)を使用して、カバー部材500を装置本体200(例えば、弁尖セクション230、第1のセクション210及び/又は第2のセクション220)に締着するように構成できる1つ又は複数の結合部材を含み得る。いくつかの実施形態において、結合部材は、限定されるものではないが、とりわけ開口部、溝、凹部又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0150】
いくつかの実施形態において、背部520は、全体的又は部分的に中央部材240の長さに沿った弁尖セクション230の中央部材240への被覆部材500の取り付けを可能にする結合部材となるように構成され得る。いくつかの実施形態において、放射線不透過性要素510も結合部材であり得る。いくつかの実施形態において、被覆部材500は、代替的な及び/又は追加の結合部材を含み得る。
【0151】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材500は、例えば、溶接によって製造中に弁尖セクションに取り付けられ得る。
【0152】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の被覆部材500は、異なる形状を有し得る。例えば、装置100は、患者の弁欠陥の幾何学的形状に特有の寸法を有する1つ又は複数の被覆部材500を含み得る。例えば、装置100は、弁欠陥(例えば、逆流弁口)の幅に対応するより長い幅を有する1つ又は複数の被覆部材を含み得る。
【0153】
例として、
図7は、弁尖強化装置が植え込まれ得る逆流弁口710の例700を示す。弁口の寸法(長さ及び幅)は、心エコー検査などの医用画像から決定し得る。
【0154】
図8A~
図10Cは、いくつかの実施形態による、異なる長さを有する被覆部材の例を示す。
図8A~
図8Cは、長さlを有する被覆部材810を示す。
図8Aは、被覆部材810が機械加工され得る平板材料を示し、
図8Bは、機械加工された被覆部材810を示し、且つ
図8Cは、装置本体200の弁尖セクション230上に配置された被覆部材810を示す。被覆部材810の長さlは、被覆部材810が少なくとも弁尖セクション230を覆うように、弁尖セクションの幅に実質的に対応する。
【0155】
図9A~
図9Cは、部材810の長さlよりも長い長さlを有する被覆部材910を示す。
図9Aは、被覆部材910が機械加工され得る平板材料を示し、
図9Bは、機械加工された被覆部材910を示し、且つ
図9Cは、装置本体200の弁尖セクション230上に配置された被覆部材910を示す。被覆部材910の長さlは、被覆部材910が弁尖セクション230を覆って弁尖セクション230から延びるように、弁尖セクション230の幅よりも長い。
【0156】
図10A~
図10Cは、部材910の長さlよりも長い長さlを有する被覆部材1010を示す。
図10Aは、被覆部材1010が機械加工され得る平板材料を示し、
図10Bは、機械加工された被覆部材1010を示し、且つ
図10Cは、装置本体200の弁尖セクション230上に配置された被覆部材1010を示す。被覆部材910と同様に、被覆部材1010の長さlは、被覆部材1010が弁尖セクション230を覆って弁尖セクション230から延びるように、弁尖セクション230の幅よりも長い。
【0157】
いくつかの実施形態において、初期形態又は第1の形態における装置の第1のセクション及び第2のセクションは、互いに近接するか、互いに接触するか、又は互いに交差するように機械加工することができる。また、第1のセクションと第2のセクションとの間の隙間が可能な限り大きくなり得る(例えば、開形態)ように、変形力を使用して、第1のセクションと第2のセクションとを互いに引き離すことができる。第1のセクションと第2のセクションとの間のそのような隙間開口度は、操作者、第1のセクションと第2のセクションとを変形及び分離させる力及び/又は弁尖セクションの3次元領域/輪郭に依存し得る。これらの異なるパラメータの1つ又は複数は、変形力の下で装置の第1の(心房)セクション及び第2の(心室)セクションを最大限に開くことを達成するために最適化することができる。
【0158】
例えば、開示の装置は、天然弁尖に配置されたとき、装置がより良好に相互作用して同じ天然弁の別の弁尖に重なる方式において、装置が装着された弁尖の物理的特徴及び特性を変えるように構成され得る。装置の植え込み部位での天然弁尖の物理的特徴、特性、変形、動き及び伸びが改善されることがあるが、同じ弁尖における離れた領域でのそのような変化も期待されることがある。装置が配置される弁尖の天然弁尖の特徴、特性、変形、動き及び応力の変化は、この弁尖と同じ天然弁の他の弁尖との相互作用の改善を所望の臨床結果が達成される方式で可能にし得る。
【0159】
例として、いくつかの実施形態では、装置が配置される天然弁尖と同じ天然弁の他の弁尖との相互作用は、弁尖と弁尖との重なる領域を変え得る方式であり得る。他の実施形態において、装置を備えた天然弁尖と他の弁尖との相互作用は、2つの弁尖間の隙間が心周期の特定の部分において排除され得る方式であり得る。いくつかの実施形態において、装置を備えた天然弁尖と他の弁尖との相互作用は、それらの弁尖が心周期のある部分では物理的に接触せずに2つの弁尖間の血流を可能にし得る方式であり得る。
【0160】
いくつかの実施形態において、装置が物理的特徴及び特性を変えた天然弁尖は、同じ心臓弁の他の天然弁尖の1つ又は複数と相互作用し得る。相互作用は、2つの弁尖のある部分が弁尖の天然組織を介して互いに相互作用する一方、弁尖の他の部分が、他の弁尖に装着された装置の表面と相互作用し得るようなものであり得る。弁尖の天然組織表面が装置と相互作用し得るか、又は1つの弁尖の天然組織表面が装置と相互作用し得るかにかかわらず、装置を使用して所望の臨床結果を達成することができる。装置が別の弁尖の天然表面と相互作用し得る部位では、装置は、装置が装置表面に平行に及び/又は装置が装着される弁尖の組織表面に平行になる方式で装置が相互作用する弁尖の形状を変形させる方式で所望の臨床結果を達成し得る。
【0161】
いくつかの実施形態では、弁尖のそのような平行化により、ある弁尖の組織のより大きい表面が別の弁尖の表面と重なることが可能となるか、又は1つの弁尖の組織表面と装置表面との間若しくは1つの弁尖上の装置の表面と別の弁尖上の装置の表面との間の重なる表面が増加し得ることが可能であり得る。2つの弁尖の天然組織表面間、又は天然組織表面と他の弁尖上の装置との間、又は対向する弁尖上の2つの装置の表面間の重なる領域の増加をもたらすそのような平行化により、心周期の特定の位相において弁を通る血液の漏れを低減することができる。そのような平行化と、心周期の特定の位相での2つの表面間の重なりの増加とにより、場合により僧帽弁の弁尖及び腱索における全体的な応力分布を低減することができる。応力分布の低減は、生体組織が経時的に受け得る力及び応力を低減することにより、弁の耐久性を高め、且つ応力、歪み又は力に応答して発生し得る生体再形成過程を潜在的に低減し得る。
【0162】
装置のいくつかの実施形態では、天然弁尖上に配置された装置によってもたらされる厚さの増加、及び/又は弁尖長さの増加、及び/又は弁尖高さの増加、及び/又は弁尖棚の延長により、心周期の特定の位相において前記弁尖と同じ天然弁の別の弁尖との間の隙間を覆うことが可能となり得る。いくつかの実施形態では、装置は、弁尖間の隙間を受動的に覆うことによって弁尖間の隙間を覆い得る一方、いくつかの実施形態では、装置は、弁尖間の隙間を覆うのみならず、他の弁尖が重なるための表面としての機能も果たし得る。心周期の特定の位相での装置への他の弁尖のそのような重なりは、所望の臨床結果が達成され得る方式で弁尖の可動性を変えることがある。いくつかの他の実施形態において、心周期の特定の位相での装置、例えば弁尖セクション230への他の弁尖の重なりは、弁尖間の隙間の形成を排除することがあり、さもなければ装置が天然弁の弁尖に配置されない場合に隙間が生じる。
【0163】
図11A~
図11Cは、試作品1100の一例の図を示す。
図11Aは、第1のセクション1110と、第2のセクション1120と、弁尖セクション1130とを含む装置本体1102と、弁尖セクション1130上に配置される被覆部材1150とを示す。
図11B及び
図11Cは、被覆部材1150なしの装置本体1102を示す。装置本体1102は、
図2A~
図2Eに示す装置本体200の試作品の例である。この例において、試作品1102は、ニチノールの平面シートから機械加工され、且つ被覆部材1150は、延伸ポリテトラフルオロエチレンの複合層状積層体で作製される。
【0164】
図12A~
図12Dは、実施形態による、開形態における、試作装置1100を送達するように構成された送達装置又は送達カテーテル1210の例1200を示す。
【0165】
図12Aは、使用者に面する第2の(心室)セクション1120を備えたカテーテル1210の正面図を示す。この図に示すように、装置1100は、第1のセクション1110を安定させるために第1のセクション1110を上向きに引っ張ることによってカテーテル1210に取り外し可能に固定され得、且つ第2のセクション1120は、縫合糸1240によって開形態で位置決めすることができる。
図12Bは、
図12Aの側面図を示す。
図12Cは、
図12Aと同じ正面図を示すが、第1のセクション1110及び第2のセクション1210が閉じた初期形態で提供されている。
図12Dは、
図12Cの側面図を示す。
【0166】
いくつかの実施形態において、装置1100は、天然弁尖に装置を位置付けるのを補助する画像誘導下で送達され、天然弁尖上への装置の配置を可能にし得る。送達装置1210は、管腔内に配置され、且つ装置1100を取り外し可能に開形態で固定配置するように構成された1つ又は複数の結合部材を含み得る。この例において、1つ又は複数の結合部材は、弁尖セクション1130を受け入れるように構成された凹部1220と、1つ又は複数の縫合糸又はワイヤ1240を受け入れるように構成された1つ又は複数の開口部1222であって、結合部材1112を介して第1のセクション1110及び/又は第2のセクション1120を取り外し可能に固定するための1つ又は複数の開口部1222とを含み得る。第1のセクション1110及び第2のセクション1120は、例えば、孔を通るワイヤの使用により、開形態を維持するために送達カテーテルのそれぞれの部材に取り外し可能に配置され得る。送達カテーテル1210は、装置を覆うためのシース(図示せず)を含み得る。
【0167】
例として、弁尖強化装置1100を備えた送達カテーテル1210は、天然僧帽弁を横切って案内され得る。その後、送達カテーテルをシースから外して装置を露出させ、装置を左心室に進め得る。送達カテーテルが弁尖に位置決めされた後、第1のセクション1110は、装置のこの部分に及ぶ牽引力を制御することによって事前設定形態又は初期形態(例えば、閉/付勢形態)に跳ね戻るように徐々に解放され得る。第1のセクション1110の解放は、解放されたときに装置1100の第1のセクション1110を弁の所望の天然弁尖の心室側に載置できるように、装置1100を位置決めした後に行われ得る。その後、他のセクション(例えば、第2のセクション)1120が解放され、その結果、装置1100の第1のセクション1110及び第2のセクション1120が天然弁尖上に配置され得る。第1のセクション1110及び第2のセクション1120は、第1のセクション1110と第2のセクション1120との間で天然弁尖を圧縮し、これにより天然弁尖への装置の良好な取り付けを提供し得る。その後、送達カテーテルを徐々に後退させ得る。
【0168】
例えば、装置の第1のセクション及び第2のセクションに及ぶ牽引力を増加させることにより、(例えば、開形態において)第1のセクションと第2のセクションとの間の隙間が増加する一方、牽引力を完全に解放することにより、隙間が小さくなるか又はこれらの心房セクション及び心室セクションが互いに接触若しくは交差する(例えば、閉形態)ように、心房セクションと心室セクションとが互いに向かって跳ね戻ることが可能となる。牽引力が解放されて第1のセクションと第2のセクションとが互いに向かって跳ね戻ったとき(例えば、閉形態)、第1のセクション及び第2のセクションは、第1のセクションと第2のセクションとの間で天然弁尖を圧縮し、これにより天然弁尖への装置の良好な取り付けを提供し得る。
【0169】
図13A及び
図13Bは、天然前尖1312及び後尖1322に取り付けられた又は植え込まれた試作装置1100の例1310及び1320をそれぞれ示す。装置1100は、弁尖縁部に配置され、それによりこの領域に高さ、厚み及び又は剛性を加える。装置1100は、装置が弁尖に送達されて取り付けられた後、取り外すか、調節するか、再び取り付けるか又は弁尖上に留まったままにすることができる。
【0170】
図14A及び
図14Bは、試作品1400の例の異なる図を示す。
図14A及び
図14Bは、被覆部材1150が弁尖セクション1130上に配置された装置本体1120及び取付部材1430が第1のセクション1130上に配置された装置本体1120をそれぞれ示す。
図14C及び
図14Dは、取付部材1430の図を示す。取付板1430は、両側部に配置され、且つ板1430の内表面から突出する複数の組織把持部材1440を含む。取付板1430は、
図3A及び
図3Bに示す取付板300の例である。この例において、取付板1430は、ニチノールの平面シートから機械加工される。この例において、取付板1430は、縫合糸を使用して結合部材によって第1のセクション1130に取り付けられる。他の締着具を使用して取付板1430が第1のセクション1130に取り付けられ得ることが理解されるであろう。いくつかの実施形態において、組織把持部材1440は、例えば、本体1120を機械加工するために使用される単一のシートから組織把持部材1440を機械加工することによって第1のセクションに一体化され得る。
【0171】
図15A~
図15Cは、天然弁尖1512に取り付けられた又は植え込まれた試作装置1400の
図1510、1520及び1530をそれぞれ示す。例えば、
図15B及び
図15Cは、前尖に植え込まれた試作装置1400及び弁尖1512の後側に植え込まれた試作装置1400をそれぞれ示す。
図15A~
図15Cは、組織把持部材1440が天然弁尖1512の表面の間隙に着座し、これにより弁尖1512への装置1400のより良好な取り付けを可能にできる方式における組織把持部材(例えば、歯)1440と弁尖1512の凹凸表面との相互作用を示す。
【0172】
いくつかの実施形態において、装置100は、キットの一部であり得る。いくつかの実施形態において、キットは、1つ若しくは複数の装置本体、1つ若しくは複数の付属品(例えば、取付板)、1つ若しくは複数の被覆部材、1つ若しくは複数の締着具、1つ若しくは複数の送達装置、1つ若しくは複数の他の手術用材料/器具又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、送達装置に弁尖強化装置が予め装填され得る。一例として、キットは、装置本体に装填される異なる付属品(例えば、取付板)及び/又は被覆部材を含み得る。
【0173】
例示的な実施形態を参照しながら本開示を詳細に説明してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に記載されている本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それらの実施形態に対する種々の修正形態及び置換形態がなされ得ることを認識するであろう。例えば、異なる例示的な実施形態の要素及び/又は特徴は、本開示の範囲及び添付の特許請求の範囲内で互いに組み合わされ、及び/又は互いに置換され得る。