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特許7590514動作検証制御装置、動作検証制御方法、及び、動作検証制御プログラム
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  • 特許-動作検証制御装置、動作検証制御方法、及び、動作検証制御プログラム 図1
  • 特許-動作検証制御装置、動作検証制御方法、及び、動作検証制御プログラム 図2
  • 特許-動作検証制御装置、動作検証制御方法、及び、動作検証制御プログラム 図3
  • 特許-動作検証制御装置、動作検証制御方法、及び、動作検証制御プログラム 図4A
  • 特許-動作検証制御装置、動作検証制御方法、及び、動作検証制御プログラム 図4B
  • 特許-動作検証制御装置、動作検証制御方法、及び、動作検証制御プログラム 図5
  • 特許-動作検証制御装置、動作検証制御方法、及び、動作検証制御プログラム 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】動作検証制御装置、動作検証制御方法、及び、動作検証制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/36 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
G06F11/36 196
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023135205
(22)【出願日】2023-08-23
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】狩野 雄慈
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-200353(JP,A)
【文献】特開平01-295186(JP,A)
【文献】特開2010-286334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間の経過に応じた数を計数する計数手段と、
動作検証の対象部分に入力データが入力されるタイミングにおいて前記計数手段によって計数された数を示す数データを前記入力データに付加し、前記動作検証の対象部分から出力データが出力されたタイミングにおいて前記計数手段によって計数された数を示す数データを前記出力データに付加する付加手段と、
前記入力データと前記出力データとにおいて、付加された数データによって示される数が所定の選択条件を満たす前記入力データと前記出力データとの組み合わせを選択する選択手段と、
選択された前記入力データ及び前記出力データを、前記動作検証の対象部分の動作を解析する解析手段に出力する出力手段と、
を備える動作検証制御装置。
【請求項2】
外部より入力された前記選択条件を受け付ける受付手段をさらに備える、
請求項1に記載の動作検証制御装置。
【請求項3】
前記入力データ及び前記出力データの各々のデータ数を計測する計測手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記データ数の計測結果を前記解析手段に出力する、
請求項1または請求項2に記載の動作検証制御装置。
【請求項4】
前記動作検証の対象部分におけるデータの信号経路は複数用意され、
前記選択手段は、複数用意された前記信号経路のそれぞれに応じた前記選択条件に従って前記入力データと前記出力データとの組み合わせを選択する、
請求項1または請求項2に記載の動作検証制御装置。
【請求項5】
前記解析手段による前記動作検証の対象部分の動作の解析結果が再起動条件を満たす場合、前記動作検証の対象部分の動作を停止させ、前記再起動条件及び前記選択条件を含む動作検証条件を変更したのち前記動作検証の対象部分を再起動する、再起動制御手段をさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の動作検証制御装置。
【請求項6】
前記再起動条件は、前記解析結果が所定の期間正常動作を継続したことを示すこと、及び、前記解析結果が異常動作の発生を示すことの少なくともいずれかを含む、
請求項5に記載の動作検証制御装置。
【請求項7】
前記選択手段は、前記動作検証の対象部分が再起動されてから所定の期間経過後に、前記入力データ及び前記出力データの選択を開始する、
請求項5に記載の動作検証制御装置。
【請求項8】
複数の論理機能が直列に接続された前記動作検証の対象部分に対して、前記入力データを入力する入力手段をさらに備え、
前記入力手段は、複数の前記論理機能の個々と機能が対向し、前記動作検証の対象部分とは逆の順番で直列に接続された複数の対向論理機能を備え、
前記付加手段は、前記対向論理機能の個々の出力である前記入力データ、及び、前記対向論理機能の個々の出力である前記出力データに対して、前記数データを付加する、
請求項1または請求項2に記載の動作検証制御装置。
【請求項9】
情報処理装置によって、
時間の経過に応じた数を計数し、
動作検証の対象部分に入力データが入力されるタイミングにおいて計数された数を示す数データを前記入力データに付加し、前記動作検証の対象部分から出力データが出力されたタイミングにおいて計数された数を示す数データを前記出力データに付加し、
前記入力データと前記出力データとにおいて、付加された数データによって示される数が所定の選択条件を満たす前記入力データと前記出力データとの組み合わせを選択し、
選択された前記入力データ及び前記出力データを、前記動作検証の対象部分の動作を解析する解析手段に出力する、
動作検証制御方法。
【請求項10】
時間の経過に応じた数を計数する計数処理と、
動作検証の対象部分に入力データが入力されるタイミングにおいて前記計数処理によって計数された数を示す数データを前記入力データに付加し、前記動作検証の対象部分から出力データが出力されたタイミングにおいて前記計数処理によって計数された数を示す数データを前記出力データに付加する付加処理と、
前記入力データと前記出力データとにおいて、付加された数データによって示される数が所定の選択条件を満たす前記入力データと前記出力データとの組み合わせを選択する選択処理と、
選択された前記入力データ及び前記出力データを、前記動作検証の対象部分の動作を解析する解析手段に出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させるための動作検証制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作検証制御装置、動作検証制御方法、及び、動作検証制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の集積度が年々上昇することに伴い、このような半導体を用いた論理回路の動作検証の内容がより複雑化、煩雑化することによって、動作不良の発生箇所の特定が困難になっている。したがって、論理回路の動作検証において、動作不良の発生箇所をより適切に特定するための技術が期待されている。
【0003】
上述した技術に関連して、特許文献1には、スキャン設計された論理回路と、メモリとを少なくとも備える半導体装置の検査装置が開示されている。この検査装置は、スキャン設計された論理回路に印加するスキャンイン信号と、メモリに印加するメモリテスト信号と、外部テストモード制御信号を当該半導体装置に入力する。この検査装置は、スキャンイン信号とスキャン設計された論理回路のスキャンアウト信号を比較判定するスキャン判定手段と、メモリテスト信号とメモリの出力信号を比較判定するメモリ判定手段と、テストモード制御信号によってスキャン判定手段と、メモリ判定手段を制御するテストモード制御手段とを備える。そしてこの検査装置は、メモリ判定手段及びスキャン判定手段の出力側から、各別にメモリ判定信号およびスキャン判定信号を取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-218179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
論理回路を有する装置では、通常、長時間その装置を稼働させて動作に不具合が無いかを確認するエージング試験等が行われる。このようなエージング試験等では、動作検証の試験を長時間実施することにより顕在化する不良箇所の存在を、効率的に高い精度で検出することが求められる。即ち、論理回路の動作検証において、不良箇所の存在をより効率的に高い精度で検出することが課題である。上述した特許文献1は、このような課題を解決するのに、まだ十分であるとは言えない。
【0006】
本発明の主たる目的は、論理回路の動作検証において、不良箇所の存在をより効率的に高い精度で検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る動作検証制御装置は、時間の経過に応じた数を計数する計数手段と、動作検証の対象部分に入力データが入力されるタイミングにおいて前記計数手段によって計数された数を示す数データを前記入力データに付加し、前記動作検証の対象部分から出力データが出力されたタイミングにおいて前記計数手段によって計数された数を示す数データを前記出力データに付加する付加手段と、前記入力データと前記出力データとにおいて、付加された数データによって示される数が所定の選択条件を満たす前記入力データと前記出力データとの組み合わせを選択する選択手段と、選択された前記入力データ及び前記出力データを、前記動作検証の対象部分の動作を解析する解析手段に出力する出力手段と、を備える。
【0008】
上記目的を達成する他の見地において、本発明の一態様に係る動作検証制御方法は、情報処理装置によって、時間の経過に応じた数を計数し、動作検証の対象部分に入力データが入力されるタイミングにおいて計数された数を示す数データを前記入力データに付加し、前記動作検証の対象部分から出力データが出力されたタイミングにおいて計数された数を示す数データを前記出力データに付加し、前記入力データと前記出力データとにおいて、付加された数データによって示される数が所定の選択条件を満たす前記入力データと前記出力データとの組み合わせを選択し、選択された前記入力データ及び前記出力データを、前記動作検証の対象部分の動作を解析する解析手段に出力する。
【0009】
また、上記目的を達成する更なる見地において、本発明の一態様に係る動作検証制御プログラムは、時間の経過に応じた数を計数する計数処理と、動作検証の対象部分に入力データが入力されるタイミングにおいて前記計数処理によって計数された数を示す数データを前記入力データに付加し、前記動作検証の対象部分から出力データが出力されたタイミングにおいて前記計数処理によって計数された数を示す数データを前記出力データに付加する付加処理と、前記入力データと前記出力データとにおいて、付加された数データによって示される数が所定の選択条件を満たす前記入力データと前記出力データとの組み合わせを選択する選択処理と、選択された前記入力データ及び前記出力データを、前記動作検証の対象部分の動作を解析する解析手段に出力する出力処理と、をコンピュータに実行させる。
【0010】
更に、本発明は、係る動作検証制御プログラム(コンピュータプログラム)が格納された、コンピュータ読み取り可能な、不揮発性の記録媒体によっても実現可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、論理回路の動作検証において、不良箇所の存在をより効率的に高い精度で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示に係る動作検証システム1の構成を示すブロック図である。
図2】本開示に係る動作検証制御装置10の入力部17及び動作検証対象回路20の詳細な構成を示すブロック図である。
図3】本開示に係る動作検証制御装置10が、動作検証対象回路20への入力データ及び動作検証対象回路20からの出力データに付加するタイマ11のカウント値と、それらのデータの値の一例をタイムチャートにより表した図である。
図4A】本開示に係る動作検証システム1の動作を示すフローチャート(1/2)である。
図4B】本開示に係る動作検証システム1の動作を示すフローチャート(2/2)である。
図5】本開示に係る動作検証制御装置40の構成を示すブロック図である。
図6】本開示に係る動作検証制御装置40の動作を示すフローチャートである。
図7】本開示に係る動作検証制御装置を実現可能な情報処理装置900の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
図1は、本開示に係る動作検証システム1の構成を示すブロック図である。動作検証システム1は、大別して、動作検証制御装置10、動作検証対象回路20(動作検証の対象部分の一例)、管理端末30を含む。動作検証制御装置10は、半導体等を含む論理回路である動作検証対象回路20の動作検証(例えばエージング試験等を含む)の実行を制御する、例えばサーバ等の情報処理装置である。動作検証制御装置10及び動作検証対象回路20は、同一の動作クロックの信号により同期して動作する。
【0015】
管理端末30は、動作検証制御装置10の利用者が使用する、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理装置である。管理端末30は、利用者による入力操作を受け付け、利用者によって入力された情報を動作検証制御装置10に対して入力する。管理端末30は、具備する表示画面(不図示)に、動作検証制御装置10から出力された情報を表示する。
【0016】
動作検証制御装置10は、タイマ11、付加部12、選択部13、出力部14、計測部15、再起動制御部16、入力部17、受付部18、記憶部19、動作検証データ生成部100、第1解析部101、第2解析部102を備える。タイマ11、付加部12、選択部13、出力部14、計測部15、再起動制御部16、入力部17、受付部18は、順に、計数手段、付加手段、選択手段、出力手段、計測手段、再起動手段、入力手段、受付手段の一例である。
【0017】
記憶部19は、例えば、図7を参照して後述するRAM(Random Access Memory)903あるいはハードディスク904のような記憶デバイスである。記憶部19の少なくとも一部は、動作検証制御装置10と通信可能な1以上の外部の装置に備えられてもよい。記憶部19は、後述する動作検証条件190を記憶している。
【0018】
また、本開示に係る動作検証制御装置10は、後述する第1解析部101及び第2解析部102を含んでいるが、第1解析部101(解析手段の一例)及び第2解析部102は、動作検証制御装置10と通信可能に接続された外部の装置に含まれてもよい。
【0019】
受付部18は、利用者による管理端末30に対する入力操作を介して入力された動作検証条件190を受け付け、受け付けた動作検証条件190を記憶部19に格納する。動作検証条件190は、例えば、動作検証制御装置10による動作検証対象回路20に対する動作検証の実行を制御する(動作検証の実行環境を表す)パラメータを含む。尚、受付部18は、動作検証制御装置10と通信可能な図示しない外部の装置から、動作検証条件190を受け付けてもよい。
【0020】
タイマ11は、時間の経過に応じた数を計数する機能を備え、例えば、動作検証制御装置10が起動したときに、時間の経過を計数する動作を開始する。タイマ11は、例えば、年、月、日、時、分、秒(ミリ~ナノ秒までの粒度を含む)により表される経過時間を計数してもよい。タイマ11は、例えば、動作検証制御装置10の動作クロックと同期して、1ずつカウントアップした値を経過時間として出力してもよい。
【0021】
動作検証データ生成部100は、動作検証条件190に基づいて、動作検証対象回路20に入力される入力データを生成する。尚、動作検証条件190は、例えば、動作検証対象回路20の動作を可能な限り網羅的に検証するための入力データのパターンを生成するアルゴリズム等を含んでもよい。当該アルゴリズムとしては、例えば、エージング試験などにおいて用いられる既存の技術を適用可能である。動作検証データ生成部100は、生成した入力データを入力部17に入力する。
【0022】
図2は、本開示に係る動作検証制御装置10の入力部17及び動作検証対象回路20の詳細な構成を示すブロック図である。以下、図2を参照して、入力部17及び動作検証対象回路20の構成について説明する。
【0023】
入力部17は、それぞれ所定の論理演算を行う論理回路である、機能a171、機能b172、機能c173を含む。入力部17において、機能a171、機能b172、機能c173は、直列に接続されている。動作検証データ生成部100から入力部17に入力された入力データは、機能c173、機能b172、機能a171の順に直列に接続された論理回路を経由して、機能a171から動作検証対象回路20に入力される。尚、入力部17に関して、不良箇所が存在せず、正常に動作することは事前に確認されていることとする。
【0024】
動作検証対象回路20は、それぞれ所定の論理演算を行う論理回路である、機能A21、機能B22、機能C23を含む。動作検証対象回路20において、機能A21、機能B22、機能C23は、直列に接続されている。
【0025】
入力部17と動作検証対象回路20とは、論理的に対向する関係にあり、より詳細には、上述した機能A21と機能a171とは論理的に対向し、機能B22と機能b172とは論理的に対向し、機能C23と機能c173とは論理的に対向することとする。尚、本開示では、例えば、値xが入力されたときに値yを出力する機能と、値yが入力されたときに値xを出力する機能とに関して、これらの機能が互いに論理的に対向すると称する。互いに論理的に対向する機能としては、より具体的には例えば、入力された値に対してある値を加算する機能と減算する機能、あるいは、入力された値に対してある値を乗算する機能と除算する機能などがある。
【0026】
機能A21、機能B22、機能C23は、それぞれ、第1入力と第1出力、及び、第2入力と第2出力とを含む。機能A21、機能B22、機能C23は、第1入力から入力されたデータを第1出力へ出力する場合は、それぞれ、機能A21、機能B22、機能C23として動作する。機能A21、機能B22、機能C23は、一方で、第2入力から入力されたデータを第2出力へ出力する場合は、それぞれ、機能a171、機能b172、機能c173と同等の機能として動作する。即ち、機能A21、機能B22、機能C23において、第1入力から入力されたデータを第1出力へ出力する機能と、第2入力から入力されたデータを第2出力へ出力する機能とは、互いに論理的に対向する関係にある。
【0027】
動作検証対象回路20は、また、選択回路24及び25を備える。選択回路24は、機能A21の第1出力から出力されたデータと、機能B22の第2出力から出力されたデータとのいずれかを選択して、その選択結果を機能A21の第2入力へ入力する。選択回路25は、機能B22の第1出力から出力されたデータと、機能C23の第2出力から出力されたデータとのいずれかを選択して、その選択結果を機能B22の第2入力に入力する。尚、上述した選択回路24及び25の選択動作は、動作検証条件190に含まれる、動作検証対象回路20におけるデータの処理に関する複数の信号経路のいずれかを選択することを表す情報によって決定される。
【0028】
ここで、機能A21は、第1入力に値xを入力された場合に第1出力から値yを出力し、機能B22は、第1入力に値yを入力された場合に第1出力から値zを出力し、機能C23は、第1入力に値zを入力された場合に第1出力から値wを出力することとする。この場合、機能A21は、第2入力に値yを入力された場合に第2出力から値xを出力し、機能B22は、第2入力に値zを入力された場合に第2出力から値yを出力し、機能C23は、第2入力に値wを入力された場合に第2出力から値zを出力する。同様に、機能a171は、値yを入力された場合に値xを出力し、機能b172は、値zを入力された場合に値yを出力し、機能c173は、値wを入力された場合に値zを出力する。
【0029】
そして、動作検証データ生成部100からの入力データとして、値wが入力部17に入力された場合、値wが入力された機能c173は値zを機能b172に出力し、値zが入力された機能b172は値yを機能a171へ出力し、値yが入力された機能a171は値xを動作検証対象回路20における機能A21の第1入力へ出力する。入力部17は、動作検証データ生成部100から機能c173へ入力されたデータ、機能c173から出力されたデータ、機能b172から出力されたデータ、機能a171から出力されたデータを、動作検証対象回路20に対する入力データとして、付加部12へ出力する。
【0030】
上述の場合において、入力部17における機能a171から値xが第1入力に入力された機能A21は、値yを第1出力から機能B22の第1入力及び選択回路24へ出力する。値yが第1入力に入力された機能B22は、値zを第1出力から機能C23の第1入力及び選択回路25へ出力する。値zが第1入力に入力された機能C23は、値wを第1出力から第2解析部102へ出力する。
【0031】
動作検証対象回路20における機能C23の第1出力から値wが入力された第2解析部102は、入力された値wを折り返して、機能C23の第2入力へ出力し、値wが第2入力に入力された機能C23は、値zを第2出力から選択回路25へ出力する。選択回路25は、機能B22の第1出力から入力された値zと機能C23の第2出力から入力された値zとのいずれかを選択して、選択した方の値zを機能B22の第2入力へ出力する。値zが第2入力に入力された機能B22は、値yを第2出力から選択回路24へ出力する。選択回路24は、機能A21の第1出力から入力された値yと機能B22の第2出力から入力された値yとのいずれかを選択して、選択した方の値yを機能A21の第2入力へ出力する。値yが第2入力に入力された機能A21は、値xを第2出力から出力する。動作検証対象回路20は、機能A21の第2出力から出力されたデータ、選択回路24から出力されたデータ、選択回路25から出力されたデータ、第2解析部102から機能C23の第2入力に入力されたデータ、機能C23の第1出力から第2解析部102に入力されたデータを、動作検証対象回路20からの出力データとして、付加部12へ出力する。
【0032】
付加部12は、上述の通りに入力部17から入力された、動作検証対象回路20に対する入力データ、及び、上述の通りに動作検証対象回路20から入力された、動作検証対象回路20からの出力データに対して、タイマ11により計数された時間(タイマ11のカウント値)を、タイムスタンプとして付加する。尚、タイマ11により計数された時間は数データの一例である。
【0033】
図3は、本開示に係る動作検証制御装置10の付加部12が、動作検証対象回路20への入力データ及び動作検証対象回路20からの出力データに付加するタイマ11のカウント値(タイムスタンプ)と、それらのデータの値の一例をタイムチャートにより表した図である。
【0034】
図3に示す例では、図2に例示する入力部17及び動作検証対象回路20において、機能A21、機能B22、機能C23、機能a171、機能b172、機能c173の個々において、入力されたデータを処理して出力するまでに要する時間を、動作クロックの1サイクル分とする。また、第2解析部102において、機能C23の第1出力から入力されたデータを機能C23の第2入力に折り返して出力するまでに要する時間も同様に、動作クロックの1サイクル分とする。尚、各機能における入力されたデータを処理して出力するまでに要する時間は、動作クロックの1サイクル分に限定されず、例えば2サイクル分以上の時間を要する場合もある。タイマ11は、動作クロックの1サイクルごとに、そのカウント値を、「0001」、「0002」というように1ずつカウントアップすることとする。また、動作検証条件190に従い、選択回路24は機能A21の第1出力を選択して出力し、選択回路25は機能B22の第1出力を選択して出力することとする。
【0035】
図3に例示する場合において、動作検証データ生成部100から入力部17の機能c173に値wのデータが入力されたときのタイマ11のカウント値を「0001」とする。この場合、付加部12は、機能c173に入力された値wのデータに、タイマ11のカウント値「0001」を付加する。尚、本開示では、値がwであり、タイマ11のカウント値として「0001」が付加されたデータを、図3に例示する通り、w(0001)と記載することとする。
【0036】
機能c173は、上述の通りに入力された値wのデータを、動作クロックの次の1サイクルにおいて処理し、値zのデータを出力する。この際、付加部12は、機能c173から出力された値zのデータに、タイマ11のカウント値「0002」を付加する(即ちz(0002))。
【0037】
機能c173から出力された値zのデータは、その後、時間の経過とともに、入力部17及び動作検証対象回路20において処理される。付加部12は、時間の経過とともに処理された当該データに対して、図3に例示する通りタイマ11のカウント値を付加することによって、y(0003)、x(0004)、y(0005)、z(0006)、w(0007)、w(0008)、x(0006)というデータを生成する。
【0038】
尚、動作検証条件190が上述の場合とは異なり、選択回路24が機能B22の第2出力を選択して出力し、選択回路25が機能C23の第2出力を選択して出力することを示す場合、動作検証対象回路20からの出力データの部分に関して、図3とは異なるタイムチャートとなる。
【0039】
付加部12は、上述の通りにタイマ11のカウント値を付加した、動作検証対象回路20への入力データ及び動作検証対象回路20からの出力データを、選択部13及び計測部15へ出力する。
【0040】
選択部13は、付加部12から入力された動作検証対象回路20への入力データ及び動作検証対象回路20からの出力データに関して、付加されたタイマ11のカウント値が動作検証条件190に含まれる選択条件を満たす、入力データと出力データとの組み合わせを選択する。
【0041】
例えば図3に示す例の場合、動作検証対象回路20が正常に動作するのであれば、機能c173へ入力されるデータであるw(0001)と、機能C23の第1出力から出力されるデータであるw(0007)と、機能C23への第2入力へ入力されるデータであるw(0008)とは、値が等しくなることが期待される。したがって、この場合、第1解析部101は、タイマ11のカウント値が0001である機能c173へ入力されるデータと、タイマ11のカウント値が0007である機能C23の第1出力から出力されるデータと、タイマ11のカウント値が0008である機能C23の第2入力に入力されるデータとに関して、値が等しいか否かを確認すればよい。そしてこの場合、動作検証条件190に含まれる選択条件は、タイマ11のカウント値が0001である機能c173へ入力されるデータと、タイマ11のカウント値が0007である機能C23の第1出力から出力されるデータと、タイマ11のカウント値が0008である機能C23の第2入力に入力されるデータとの組み合わせを選択することを表せばよい。
【0042】
同様に、動作検証対象回路20が正常に動作するのであれば、機能c173から出力されるデータであるz(0002)と、選択回路25から出力されるデータであるz(0006)とは、値が等しくなることが期待される。したがってこの場合、動作検証条件190に含まれる選択条件は、タイマ11のカウント値が0002である機能c173から出力されるデータと、選択回路25から出力されるデータとの組み合わせを選択することを表せばよい。
【0043】
このように、動作検証条件190に含まれる選択条件は、値が等しくなるデータとして対応付けられる、例えば、タイマ11のカウント値が0001である動作検証対象回路20への入力データと、タイマ11のカウント値が0007及び0008である動作検証対象回路20からの出力データとの組み合わせを選択することを表している。
【0044】
選択部13は、上述の通り選択した動作検証対象回路20への入力データに含まれるデータと、動作検証対象回路20からの出力データとを出力部14に出力する。尚、選択部13は、タイマ11のカウント値が異なる(即ち、生成されるタイミングが異なる)データを選択して出力できるように、付加部12から入力されたデータを保持可能なバッファを備えてもよい。
【0045】
尚、動作検証条件190が図3に例示する場合とは異なり、選択回路24が機能B22の第2出力を選択して出力し、選択回路25が機能C23の第2出力を選択して出力することを示す場合、動作検証条件190に含まれる選択条件も、図3に例示する場合とは異なる。
【0046】
計測部15は、例えば所定の期間において、付加部12から入力された、動作検証対象回路20への入力データに含まれるデータの数と、動作検証対象回路20からの出力データに含まれるデータの数とを計測し、その計測結果を出力部14に出力する。計測部15は、例えば、選択回路24から出力されるデータ、選択回路25から出力されるデータ、機能C23の第1出力から出力されるデータ、機能C23の第2入力へ入力されるデータ、機能A21の第2出力から出力されるデータの個々に関して、データ数を計測してもよい。例えば、動作検証対象回路20に不良箇所が存在することによって、あるデータの消失が発生した場合、計測された動作検証対象回路20への入力データに含まれるデータの数と、動作検証対象回路20からの出力データに含まれるデータの数との関係が不正になるので、第1解析部101において、動作検証対象回路20における不良箇所の存在が検出される。また、計測部15は、選択回路24及び25に関する複数の設定に関して、上述したデータ数を計測する。これにより、動作検証対象回路20におけるデータの処理に関する複数の経路に関して、データの消失に関わる不良箇所の存在が検出される。
【0047】
出力部14は、選択部13から入力された、選択された動作検証対象回路20への入力データに含まれるデータと、動作検証対象回路20からの出力データに含まれるデータとを、第1解析部101に出力する。出力部14は、また、計測部15から入力された、動作検証対象回路20への入力データに含まれるデータの数と、動作検証対象回路20からの出力データに含まれるデータの数とに関する計測結果を、第1解析部101に出力する。
【0048】
第1解析部101は、上述の通りに出力部14から入力された情報に基づいて、動作検証対象回路20における不良箇所に関する解析を行う。第1解析部101は、例えば、動作検証対象回路20への入力データ及び動作検証対象回路20からの出力データに含まれる、値が等しくなることが期待されるデータに関して値が一致しない場合、動作検証対象回路20における不良箇所の存在を検出する。第1解析部101は、また、動作検証対象回路20への入力データに含まれるデータの数と、動作検証対象回路20からの出力データに含まれるデータの数との関係が不正である場合、動作検証対象回路20における不良箇所の存在を検出する。
【0049】
第1解析部101は、上述の通りに動作検証対象回路20における不良箇所に関して解析した結果を、再起動制御部16、及び、管理端末30に出力する。
【0050】
第2解析部102は、入力部17における機能a171から出力された動作検証対象回路20に対する入力データと、動作検証対象回路20における機能Cの第1出力から出力された出力データとに関して、動作検証対象回路20における不良箇所の存在を検出する。第2解析部102は、上述の通りに動作検証対象回路20における不良箇所に関して解析した結果を、管理端末30に出力する。
【0051】
再起動制御部16は、第1解析部101による動作検証対象回路20の動作の解析結果が動作検証条件190に含まれる再起動条件を満たす場合、動作検証データ生成部100による動作検証データの生成動作を停止させる。そして、再起動制御部16は、入力部17及び動作検証対象回路20の動作を停止させる。その後、再起動制御部16は、動作検証条件190に従い、動作検証データ生成部100による動作検証データの生成条件、選択回路24及び25の設定により変更される動作検証対象回路20の検証経路、選択部13における選択条件、再起動制御部16における再起動条件に関するパラメータを変更する。そして、再起動制御部16は、一時停止の状態にある、動作検証データ生成部100、入力部17、及び動作検証対象回路20を再起動(リセット)する。
【0052】
動作検証条件190に含まれる再起動条件は、例えば、第1解析部101による解析結果が、動作検証対象回路20が所定の期間、あるいは所定の回数、正常動作を継続したことを表す。動作検証対象回路20が、動作検証条件190が示すある動作環境において所定の期間正常動作を継続した場合、当該動作環境においては不良箇所が存在しないと推定される。したがって、この場合、動作検証対象回路20の動作検証をより網羅的に行うために、動作検証条件190が示す別の動作環境に変更して、動作検証対象回路20の動作検証を行うことが望ましい。
【0053】
動作検証条件190に含まれる再起動条件は、例えば、第1解析部101による解析結果が、動作検証対象回路20において異常動作が発生したことを表す。例えば、異常動作の発生により、動作検証対象回路20がデッドロックの状態になった場合、動作検証対象回路20の動作検証を継続することが困難になる。したがって、この場合、動作検証対象回路20の動作検証を継続するために、動作検証対象回路20を再起動して動作検証を再開することが望ましい。
【0054】
再起動制御部16は、また、第1解析部101による解析結果が、動作検証条件190に含まれる検証動作終了条件を満たす場合、動作検証データ生成部100、入力部17、及び動作検証対象回路20の動作を停止し、動作検証制御装置10による検証動作を完了させる。検証動作終了条件は、例えば、動作検証条件190に含まれる全ての動作環境に関して、動作検証対象回路20の動作検証が完了したことを表す。
【0055】
再起動制御部16は、また、受付部18が、利用者による管理端末30に対する入力操作によって入力された、動作検証制御装置10による検証動作を完了することを指示する情報を受け付けた場合、動作検証制御装置10による検証動作を完了させる。
【0056】
また、再起動制御部16によって、動作検証データ生成部100、入力部17、及び動作検証対象回路20を再起動した場合、これらの各構成要素の動作が安定するまで所定の期間を要する場合がある。したがって、再起動が行われてから所定の期間においては、疑似の不良箇所が検出される可能性がある。したがって、このような疑似の不良箇所を検出しないように、例えば、動作検証条件190に含まれる選択条件は、動作検証対象回路20が再起動されてから所定の期間の後に、選択部13による動作検証対象回路20への入力データ及び動作検証対象回路20からの出力データを選択することを開始することを表してもよい。
【0057】
次に図4A及び4Bのフローチャートを参照して、本開示に係る動作検証システム1の動作(処理)について詳細に説明する。
【0058】
動作検証制御装置10及び動作検証対象回路20が起動する(ステップS101)。タイマ11は、カウント動作を開始する(ステップS102)。受付部18は、管理端末30から動作検証条件190を受け付け、受け付けた動作検証条件190を記憶部19に格納する(ステップS103)。
【0059】
再起動制御部16は、動作検証条件190に従い、動作検証データ生成部100による動作検証データの生成条件、動作検証対象回路20の検証経路(選択回路24及び25の選択設定)、選択部13における選択条件、再起動制御部16における再起動条件を初期設定あるいは変更する(ステップS104)。動作検証データ生成部100は、動作検証条件190が示す動作検証データの生成条件にしたがって動作検証データを生成し、生成した動作検証データを入力部17に入力する(ステップS105)。入力部17は、動作検証データ生成部100から入力された動作検証データを、動作検証対象回路20に入力する(ステップS106)。
【0060】
付加部12は、入力部17における、機能c173への入力、機能c173からの出力、機能b172からの出力、機能a171からの出力を含む、動作検証対象回路20への入力データに、タイマ11のカウント値を付加し、その入力データを選択部13及び計測部15へ入力する(ステップS107)。付加部12は、動作検証対象回路20における、機能A21からの第2出力、選択回路24の出力、選択回路25の出力、機能C23からの第1出力、機能C23への第2入力を含む、動作検証対象回路20からの出力データに、タイマ11のカウント値を付加し、その出力データを選択部13及び計測部15へ入力する(ステップS108)。
【0061】
選択部13は、付加されたカウント値が、設定された動作検証条件190に含まれる選択条件を満たす、動作検証対象回路20への入力データ及び動作検証対象回路20からの出力データを選択し、選択した入力データ及び出力データを、出力部14を介して第1解析部101へ入力する(ステップS109)。計測部15は、カウント値が付加された動作検証対象回路20への入力データ及び動作検証対象回路20からの出力データのデータ数を計測し、その計測結果を、出力部14を介して第1解析部101へ入力する(ステップS110)。
【0062】
第1解析部101は、出力部14から入力された、選択部13により選択された入力データ及び出力データ、及び計測部15により計測された入力データ及び出力データのデータ数を解析し、その解析結果を再起動制御部16へ通知する(ステップS111)。
【0063】
第1解析部101による解析結果が、動作検証条件190に含まれる検証動作終了条件を満たす場合(ステップS113でYes)、全体の処理は終了する。第1解析部101による解析結果が、動作検証条件190に含まれる検証動作終了条件を満たさない場合(ステップS113でNo)、再起動制御部16は、第1解析部101から通知された解析結果が動作検証条件190に含まれる再起動条件を満たすか否かを判定する(ステップS114)。
【0064】
第1解析部101から通知された解析結果が再起動条件を満たさない場合(ステップS115でNo)、処理はステップS105へ戻る。第1解析部101から通知された解析結果が再起動条件を満たす場合(ステップS115でYes)、再起動制御部16は、動作検証データ生成部100による動作検証データの生成を停止し、入力部17及び動作検証対象回路20の動作を停止し(ステップS116)、処理はステップS104へ戻る。
【0065】
本開示に係る動作検証制御装置10は、論理回路の動作検証において、不良箇所の存在をより効率的に高い精度で検出することができる。その理由は、動作検証制御装置10は、動作検証対象回路20に対する入力データ、及び、動作検証対象回路20からの出力データに、タイマ11によるカウント値を付加し、そのカウント値が所定の選択条件を満たす入力データと出力データとの組み合わせを選択して第1解析部101に出力するからである。
【0066】
以下に、本開示に係る動作検証制御装置10によって実現される効果について、詳細に説明する。
【0067】
論理回路を有する装置では、通常、長時間その装置を稼働させて動作に不具合が無いかを確認するエージング試験等が行われる。このようなエージング試験等では、動作検証の試験を長時間実施することにより顕在化する不良箇所の存在を、効率的に高い精度で検出することが求められる。即ち、論理回路の動作検証において、不良箇所の存在をより効率的に高い精度で検出することが課題である。
【0068】
このような課題に対して、本開示に係る動作検証制御装置10は、時間の経過に応じた数を計数する。動作検証制御装置10は、動作検証対象回路20に入力データが入力されるタイミングにおいて、タイマ11によるカウント値を当該入力データに付加する。動作検証制御装置10は、動作検証対象回路20から出力データが出力されたタイミングにおいて、タイマ11によるカウント値を当該出力データに付加する。動作検証制御装置10は、付加されたカウント値が所定の動作検証条件190に含まれる選択条件を満たす入力データ及び出力データの組み合わせを選択する。そして、動作検証制御装置10は、選択された入力データ及び出力データを、動作検証対象回路20の動作を解析する第1解析部101に出力する。一般的に、動作検証の対象とする論理回路では、例えば図3に例示するように、個々の入力データ及び出力データが生成されたタイミング(タイマ11によるカウント値)をキーとして、例えば値が等しくなるなど、互いに対応付けられることが多い。そして、動作検証制御装置10は、個々の入力データ及び出力データに対してタイマ11によるカウント値を付加することによって、前述した対応関係を利用した動作検証対象回路20における不良箇所の存在の検出を行う。これにより、動作検証制御装置10は、論理回路の動作検証において、不良箇所の存在をより効率的に高い精度で検出することができる。
【0069】
また、本開示に係る動作検証制御装置10は、動作検証対象回路20への入力データ及び動作検証対象回路20からの出力データの各々のデータ数を計測し、その計測結果を第1解析部101に出力する。これにより、動作検証制御装置10は、動作検証対象回路20におけるデータの消失などの不具合を確実に検出することができるので、不良箇所の存在をより効率的に高い精度で検出することができる。
【0070】
また、本開示に係る動作検証制御装置10は、選択部13が使用する選択条件は、データの複数の信号経路のいずれかを選択可能な機能を備える動作検証対象回路20における複数の信号経路のそれぞれに応じた選択条件に従って入力データ及び出力データの組合せを選択する。これにより、動作検証制御装置10は、動作検証対象回路20におけるデータ処理の複数の信号経路に関して、不良箇所の存在をより効率的に高い精度で検出することができる。
【0071】
また、本開示に係る動作検証制御装置10は、第1解析部101による動作検証対象回路20の動作の解析結果が動作検証条件190に含まれる再起動条件を満たす場合、動作検証対象回路20の動作を停止させ、動作検証条件190を変更したのち動作検証対象回路20を再起動する。そして、当該再起動条件は、第1解析部101による解析結果が所定の期間正常動作を継続したことを示すこと、及び、当該解析結果が動作検証対象回路20の異常動作の発生を示すことの少なくともいずれかを含む。即ち、動作検証制御装置10は、動作検証の実行環境を変えながら動作検証対象回路20の動作検証を継続して行うこと、及び、異常動作の発生した場合に動作検証対象回路20を再起動して動作検証を継続して行うことを自動で行う。これにより、動作検証制御装置10は、動作検証対象回路20の動作検証作業における利用者の負担を軽減することができる。
【0072】
また、本開示に係る動作検証制御装置10において、選択部13が使用する選択条件は、動作検証対象回路20が再起動されてから所定の期間経過後に、動作検証対象回路20に対する入力データ及び動作検証対象回路20からの出力データを選択することを開始することを表す。これにより、動作検証制御装置10は、疑似の不良箇所が検出される可能性が高いことが想定される、動作検証対象回路20の再起動が行われてから所定の期間において、疑似の不良箇所を検出することを回避できる。
【0073】
尚、上述した本開示に係る動作検証制御装置10は、動作検証対象回路20と対向する機能を有する入力部17を備えるが、入力部17は、動作検証対象回路20と対向する機能を備えることに限定されない。
【0074】
<第2の実施形態>
図5は、本開示に係る動作検証制御装置40の構成を示すブロック図である。
【0075】
本開示に係る動作検証制御装置40は、計数部41、付加部42、選択部43、出力部44を備えている。計数部41、付加部42、選択部43、出力部44は、順に、計数手段、付加手段、選択手段、出力手段の一例である。
【0076】
計数部41は、時間の経過に応じた数を計数する。計数部41は、例えば、動作検証制御装置10に係るタイマ11と同様に動作する。
【0077】
付加部42は、動作検証の対象部分50に入力データ401が入力されるタイミングにおいて計数部41によって計数された数を示す数データ420を入力データ401に付加する。付加部42は、動作検証の対象部分50から出力データ402が出力されたタイミングにおいて計数部41によって計数された数を示す数データ420を出力データ402に付加する。動作検証の対象部分50は、例えば、動作検証システム1に係る動作検証対象回路20と同様な回路である。入力データ401及び出力データ402は、例えば、動作検証システム1に係る動作検証対象回路20への入力データ、及び動作検証対象回路20からの出力データと同様なデータである。付加部42は、例えば、動作検証制御装置10に係る付加部12と同様に動作する。
【0078】
選択部43は、入力データ401と出力データ402とにおいて、付加された数データ420によって示される数が所定の選択条件430を満たす入力データ401と出力データ402との組み合わせを選択する。選択条件430は、例えば、動作検証制御装置10に係る動作検証条件190に含まれる選択条件と同様な条件である。選択部43は、例えば、動作検証制御装置10に係る選択部13と同様に動作する。
【0079】
出力部44は、選択された入力データ401及び出力データ402を、動作検証の対象部分50の動作を解析する解析部60に出力する。解析部60は、例えば、動作検証制御装置10に係る第1解析部101と同様な構成要素である。出力部44は、例えば、動作検証制御装置10に係る出力部14と同様に動作する。
【0080】
次に図6のフローチャートを参照して、本開示に係る動作検証制御装置40の動作(処理)について詳細に説明する。
【0081】
計数部41は、時間の経過に応じた数を計数する(ステップS201)。付加部42は、計数部41によって計数された数を表す数データ420を、動作検証の対象部分50に対する入力データ401及び動作検証の対象部分50からの出力データ402に付加する(ステップS202)。選択部43は、付加された数データ420によって示される数が選択条件430を満たす入力データ401と出力データ402との組み合わせを選択する(ステップS203)。出力部44は、選択された入力データ401及び出力データ402を、解析部60に出力し(ステップS204)、全体の処理は終了する。
【0082】
本開示に係る動作検証制御装置40は、論理回路の動作検証において、不良箇所の存在をより効率的に高い精度で検出することができる。その理由は、動作検証制御装置40は、動作検証の対象部分50に対する入力データ401、及び、動作検証の対象部分50からの出力データ402に、計数部41により計数された数データ420を付加し、その数データ420が示す数が所定の選択条件430を満たす入力データ401及び出力データ402との組み合わせを選択して解析部60に出力するからである。
【0083】
<ハードウェア構成例>
上述した各実施形態において図1、及び、図5に示した動作検証制御装置における各部は、専用のHW(HardWare)(電子回路)によって実現することができる。また、図1、及び、図5において、少なくとも、下記構成は、プロセッサによって実行される命令を含むソフトウェアプログラムの機能(処理)単位(ソフトウェアモジュール)と捉えることができる。
・タイマ11及び計数部41、
・付加部12及び42、
・選択部13及び43、
・出力部14及び44、
・計測部15、
・再起動制御部16、
・入力部17、
・受付部18、
・記憶部19における記憶制御機能、
・第1解析部101、
・第2解析部102。
【0084】
但し、これらの図面に示した各部の区分けは、説明の便宜上の構成であり、実装に際しては、様々な構成が想定され得る。この場合のハードウェア環境の一例を、図7を参照して説明する。
【0085】
図7は、本開示に係る動作検証制御装置を実現可能な情報処理装置900(コンピュータ)の構成を例示的に説明する図である。即ち、図7は、図1及び図5に示した動作検証制御装置を実現可能なコンピュータ(情報処理装置)の構成であって、上述した実施形態における各機能を実現可能なハードウェア環境を表す。但し、上述した動作検証制御装置における各部は、複数の情報処理装置900に分散して設けられてもよいし、その少なくとも一部の機能がクラウドコンピューティングの環境を構成するサーバ等に設けられてもよい。
【0086】
図7に示した情報処理装置900は、構成要素として下記を備えている。
・CPU(Central_Processing_Unit)901、
・ROM(Read_Only_Memory)902、
・RAM(Random_Access_Memory)903、
・ハードディスク(記憶装置)904、
・通信インタフェース905、
・バス906(通信線)、
・CD-ROM(Compact_Disc_Read_Only_Memory)等の記録媒体907に格納されたデータを読み書き可能なリーダライタ908、
・モニターやスピーカ、キーボード等の入出力インタフェース909。
【0087】
即ち、上記構成要素を備える情報処理装置900は、これらの構成がバス906を介して接続された一般的なコンピュータである。情報処理装置900は、CPU901を複数備える場合もあれば、マルチコアにより構成されたCPU901を備える場合もある。情報処理装置900は、また、上述した構成の一部を備えない場合もある。
【0088】
そして、上述した実施形態を例に説明した本発明は、図7に示した情報処理装置900に対して、次の機能を実現可能なコンピュータプログラムを供給する。その機能とは、その実施形態の説明において参照したブロック構成図(図1及び図5)における上述した構成、或いはフローチャート(図4A図4B、及び図6)の機能である。本発明は、その後、そのコンピュータプログラムを、当該ハードウェアのCPU901に読み出して解釈し実行することによって達成される。また、当該装置内に供給されたコンピュータプログラムは、読み書き可能な揮発性のメモリ(RAM903)、または、ROM902やハードディスク904等の不揮発性の記憶デバイスに格納すれば良い。
【0089】
また、前記の場合において、当該ハードウェア内へのコンピュータプログラムの供給方法は、現在では一般的な手順を採用することができる。その手順としては、例えば、CD-ROM等の各種記録媒体907を介して当該装置内にインストールする方法や、インターネット等の通信回線を介して外部よりダウンロードする方法等がある。そして、このような場合において、本発明は、係るコンピュータプログラムを構成するコード或いは、そのコードが格納された記録媒体907によって構成されると捉えることができる。
【0090】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0091】
尚、上述した各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。しかしながら、上述した各実施形態により例示的に説明した本発明は、以下には限られない。
【0092】
(付記1)
時間の経過に応じた数を計数する計数手段と、
動作検証の対象部分に入力データが入力されるタイミングにおいて前記計数手段によって計数された数を示す数データを前記入力データに付加し、前記動作検証の対象部分から出力データが出力されたタイミングにおいて前記計数手段によって計数された数を示す数データを前記出力データに付加する付加手段と、
前記入力データと前記出力データとにおいて、付加された数データによって示される数が所定の選択条件を満たす前記入力データと前記出力データとの組み合わせを選択する選択手段と、
選択された前記入力データ及び前記出力データを、前記動作検証の対象部分の動作を解析する解析手段に出力する出力手段と、
を備える動作検証制御装置。
【0093】
(付記2)
外部より入力された前記選択条件を受け付ける受付手段をさらに備える、
付記1に記載の動作検証制御装置。
【0094】
(付記3)
前記入力データ及び前記出力データの各々のデータ数を計測する計測手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記データ数の計測結果を前記解析手段に出力する、
付記1または付記2に記載の動作検証制御装置。
【0095】
(付記4)
前記動作検証の対象部分におけるデータの信号経路は複数用意され、
前記選択手段は、複数用意された前記信号経路のそれぞれに応じた前記選択条件に従って、前記入力データ及び前記出力データの組合せを選択する、
付記1または付記2に記載の動作検証制御装置。
【0096】
(付記5)
前記解析手段による前記動作検証の対象部分の動作の解析結果が再起動条件を満たす場合、前記動作検証の対象部分の動作を停止させ、前記再起動条件及び前記選択条件を含む動作検証条件を変更したのち前記動作検証の対象部分を再起動する、再起動制御手段をさらに備える、
付記1または付記2に記載の動作検証制御装置。
【0097】
(付記6)
前記再起動条件は、前記解析結果が所定の期間正常動作を継続したことを示すこと、及び、前記解析結果が異常動作の発生を示すことの少なくともいずれかを含む、
付記5に記載の動作検証制御装置。
【0098】
(付記7)
前記選択手段は、前記動作検証の対象部分が再起動されてから所定の期間経過後に、前記入力データ及び前記出力データの選択を開始する、
付記5に記載の動作検証制御装置。
【0099】
(付記8)
複数の論理機能が直列に接続された前記動作検証の対象部分に対して、前記入力データを入力する入力手段をさらに備え、
前記入力手段は、複数の前記論理機能の個々と機能が対向し、前記動作検証の対象部分とは逆の順番で直列に接続された複数の対向論理機能を備え、
前記付加手段は、前記対向論理機能の個々の出力である前記入力データ、及び、前記対向論理機能の個々の出力である前記出力データに対して、前記数データを付加する、
付記1または付記2に記載の動作検証制御装置。
【0100】
(付記9)
情報処理装置によって、
時間の経過に応じた数を計数し、
動作検証の対象部分に入力データが入力されるタイミングにおいて計数された数を示す数データを前記入力データに付加し、前記動作検証の対象部分から出力データが出力されたタイミングにおいて計数された数を示す数データを前記出力データに付加し、
前記入力データと前記出力データとにおいて、付加された数データによって示される数が所定の選択条件を満たす前記入力データと前記出力データとの組み合わせを選択し、
選択された前記入力データ及び前記出力データを、前記動作検証の対象部分の動作を解析する解析手段に出力する、
動作検証制御方法。
【0101】
(付記10)
外部より入力された前記選択条件を受け付ける、
付記9に記載の動作検証制御方法。
【0102】
(付記11)
前記入力データ及び前記出力データの各々のデータ数を計測し、
前記データ数の計測結果を前記解析手段に出力する、
付記9または付記10に記載の動作検証制御方法。
【0103】
(付記12)
前記動作検証の対象部分におけるデータの信号経路は複数用意され、
複数用意された前記信号経路のそれぞれに応じた前記選択条件に従って前記入力データと前記出力データとの組み合わせを選択することを表す、
付記9または付記10に記載の動作検証制御方法。
【0104】
(付記13)
前記解析手段による前記動作検証の対象部分の動作の解析結果が再起動条件を満たす場合、前記動作検証の対象部分の動作を停止させ、前記再起動条件及び前記選択条件を含む動作検証条件を変更したのち前記動作検証の対象部分を再起動する、
付記9または付記10に記載の動作検証制御方法。
【0105】
(付記14)
前記再起動条件は、前記解析結果が所定の期間正常動作を継続したことを示すこと、及び、前記解析結果が異常動作の発生を示すことの少なくともいずれかを含む、
付記13に記載の動作検証制御方法。
【0106】
(付記15)
前記動作検証の対象部分が再起動されてから所定の期間経過後に、前記入力データ及び前記出力データの選択を開始する、
付記13に記載の動作検証制御方法。
【0107】
(付記16)
複数の論理機能が直列に接続された前記動作検証の対象部分に対して、前記入力データを入力し、
前記入力データの入力において、複数の前記論理機能の個々と機能が対向し、前記動作検証の対象部分とは逆の順番で直列に接続された複数の対向論理機能を備え、
前記対向論理機能の個々の出力である前記入力データ、及び、前記対向論理機能の個々の出力である前記出力データに対して、前記数データを付加する、
付記9または付記10に記載の動作検証制御方法。
【0108】
(付記17)
時間の経過に応じた数を計数する計数処理と、
動作検証の対象部分に入力データが入力されるタイミングにおいて前記計数処理によって計数された数を示す数データを前記入力データに付加し、前記動作検証の対象部分から出力データが出力されたタイミングにおいて前記計数処理によって計数された数を示す数データを前記出力データに付加する付加処理と、
前記入力データと前記出力データとにおいて、付加された数データによって示される数が所定の選択条件を満たす前記入力データと前記出力データとの組み合わせを選択する選択処理と、
選択された前記入力データ及び前記出力データを、前記動作検証の対象部分の動作を解析する解析手段に出力する出力処理と、
をコンピュータに実行させるための動作検証制御プログラム。
【0109】
(付記18)
外部より入力された前記選択条件を受け付ける受付処理をさらに前記コンピュータに実行させる、
付記17に記載の動作検証制御プログラム。
【0110】
(付記19)
前記入力データ及び前記出力データの各々のデータ数を計測する計測処理をさらに前記コンピュータに実行させ、
前記出力処理は、前記データ数の計測結果を前記解析手段に出力する、
付記17または付記18に記載の動作検証制御プログラム。
【0111】
(付記20)
前記動作検証の対象部分におけるデータの信号経路は複数用意され、
前記選択処理は、複数用意された前記信号経路のそれぞれに応じた前記選択条件に従って前記入力データと前記出力データとの組み合わせを選択する、
付記17または付記18に記載の動作検証制御プログラム。
【0112】
(付記21)
前記解析手段による前記動作検証の対象部分の動作の解析結果が再起動条件を満たす場合、前記動作検証の対象部分の動作を停止させ、前記再起動条件及び前記選択条件を含む動作検証条件を変更したのち前記動作検証の対象部分を再起動する、再起動制御処理をさらに前記コンピュータに実行させる、
付記17または付記18に記載の動作検証制御プログラム。
【0113】
(付記22)
前記再起動条件は、前記解析結果が所定の期間正常動作を継続したことを示すこと、及び、前記解析結果が異常動作の発生を示すことの少なくともいずれかを含む、
付記21に記載の動作検証制御プログラム。
【0114】
(付記23)
前記選択処理は、前記動作検証の対象部分が再起動されてから所定の期間経過後に、前記入力データ及び前記出力データの選択を開始する、
付記21に記載の動作検証制御プログラム。
【0115】
(付記24)
複数の論理機能が直列に接続された前記動作検証の対象部分に対して、前記入力データを入力する入力処理をさらに前記コンピュータに実行させ、
前記入力処理は、複数の前記論理機能の個々と機能が対向し、前記動作検証の対象部分とは逆の順番で直列に接続された複数の対向論理機能を含み、
前記付加処理は、前記対向論理機能の個々の出力である前記入力データ、及び、前記対向論理機能の個々の出力である前記出力データに対して、前記数データを付加する、
付記17または付記18に記載の動作検証制御プログラム。
【符号の説明】
【0116】
1 動作検証システム
10 動作検証制御装置
11 タイマ
12 付加部
13 選択部
14 出力部
15 計測部
16 再起動制御部
17 入力部
171 機能a
172 機能b
173 機能c
18 受付部
19 記憶部
190 動作検証条件
101 第1解析部
102 第2解析部
20 動作検証対象回路
21 機能A
22 機能B
23 機能C
24 選択回路
25 選択回路
30 管理端末
40 動作検証制御装置
401 入力データ
402 出力データ
41 計数部
42 付加部
420 数データ
43 選択部
430 選択条件
44 出力部
50 動作検証の対象部分
60 解析部
900 情報処理装置
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 ハードディスク(記憶装置)
905 通信インタフェース
906 バス
907 記録媒体
908 リーダライタ
909 入出力インタフェース
【要約】
【課題】論理回路の動作検証において、不良箇所の存在をより効率的に高い精度で検出する。
【解決手段】動作検証制御装置40は、時間の経過に応じた数を計数する計数部41と、動作検証の対象部分50に入力データ401が入力されるタイミングにおいて計数部41によって計数された数を示す数データ420を入力データ401に付加し、動作検証の対象部分50から出力データ402が出力されたタイミングにおいて計数部41によって計数された数を示す数データ420を出力データ402に付加する付加部42と、入力データ401と出力データ402とにおいて、付加された数データ420によって示される数が所定の選択条件430を満たす入力データ401と出力データ402との組み合わせを選択する選択部43と、選択された入力データ401及び出力データ402を、動作検証の対象部分50の動作を解析する解析部60に出力する出力部44と、を備える。
【選択図】 図5
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7