(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】石油樹脂組成物、その製造方法、及びそれを含むゴム組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 57/02 20060101AFI20241119BHJP
C08F 4/06 20060101ALI20241119BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20241119BHJP
C08K 5/37 20060101ALI20241119BHJP
C08F 240/00 20060101ALI20241119BHJP
C08L 45/00 20060101ALI20241119BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
C08L57/02
C08F4/06
C08L21/00
C08K5/37
C08F240/00
C08L45/00
B60C1/00 A
(21)【出願番号】P 2023504053
(86)(22)【出願日】2021-10-22
(86)【国際出願番号】 KR2021014943
(87)【国際公開番号】W WO2022108143
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0156934
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミョン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジェ ミン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ジョン スン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ワン ジェ
【審査官】菅原 愛
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-178190(JP,A)
【文献】特開平11-130820(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0086109(KR,A)
【文献】特開2015-189873(JP,A)
【文献】特開平08-048723(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1594383(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08F 10/00-246/00
B60C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が水素化または非水素化された石油樹脂についての両末端のうちの少なくとも一末端に、分子量調節剤が結合された構造を有する改質された石油樹脂を含み、
25℃における粘度が、5,000cpsないし50,000cps
未満である、石油樹脂組成物であって、
前記分子量調節剤は、1つ以上のチオール基を含むメルカプタン類化合物を含み、
前記石油樹脂組成物は、芳香族性が24%ないし47%であり、前記芳香族性は、前記石油樹脂組成物に含まれる芳香族化合物モノマーの含量である石油樹脂組成物。
【請求項2】
前記改質された石油樹脂は、C
9混合留分由来の単位構造を少なくとも一つ含む、請求項1に記載の
石油樹脂組成物。
【請求項3】
前記C
9混合留分由来の単位構造は、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、スチレン、ジシクロペンタジエン、インデン、ベータ-トランス-メチルスチレン及びメチルインデンを含む、請求項2に記載の
石油樹脂組成物。
【請求項4】
前記改質された石油樹脂は、両末端に分子量調節剤が結合された構造を有する、請求項1に記載の
石油樹脂組成物。
【請求項5】
前記石油樹脂組成物は、
数平均分子量(Mn)が150ないし300であり、
重量平均分子量(Mw)が300ないし500であり、
Z平均分子量(Mz)が1,000ないし2,000であり、
ガラス転移温度が-40ないし-25℃である、請求項1に記載の石油樹脂組成物。
【請求項6】
前記メルカプタン類化合物は、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン;フェニルメルカプタン、ベンジルメルカプタン;メルカプトエタノール、チオールグリコール酸、メルカプトプロピオン酸;ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプト)プロピオネート;またはそれらの任意の混合物のうちから選択された、請求項
1に記載の
石油樹脂組成物。
【請求項7】
前記
石油樹脂組成物は、粘度調節剤をさらに含む、請求項1に記載の
石油樹脂組成物。
【請求項8】
前記粘度調節剤は、25℃にて粘度が20ないし500cpsである低粘度液状樹脂を含む、請求項
7に記載の
石油樹脂組成物。
【請求項9】
前記低粘度液状樹脂は、水添ジシクロペンタジエン(DCPD)-C
9共重合体樹脂、水添ジシクロペンタジエン(DCPD)、及びそれらの混合物のうちから選択された、請求項
8に記載の
石油樹脂組成物。
【請求項10】
前記分子量調節剤は、
石油樹脂組成物全体100重量部につき、0超過15重量部以下で含まれ、
前記粘度調節剤が、
石油樹脂組成物100重量部につき、0超過40重量部以下で含まれた、請求項
7に記載の
石油樹脂組成物。
【請求項11】
前記
石油樹脂組成物は、
25℃で測定された粘度が、5,000ないし15,000cpsである、請求項1に記載の石油樹脂組成物。
【請求項12】
C
5単量体、C
5留分、C
9単量体、C
9混合留分、環状ジオレフィン単量体及び線状オレフィン単量体のうちの1つ以上、及び分子量調節剤を含む溶液に、重合触媒または/及び熱を付加して重合反応を行い、重合反応生成物を得る段階を含む石油樹脂組成物の製造方法であり、
前記石油樹脂組成物が、25℃における粘度が、5,000cpsないし50,000
未満cpsであり、
前記分子量調節剤は、少なくとも1つのチオール基を含むメルカプタン類化合物を含み、
前記石油樹脂組成物は、芳香族性が24%ないし47%であり、前記芳香族性は、前記石油樹脂組成物に含まれる芳香族化合物モノマーの含量である石油樹脂組成物の製造方法。
【請求項13】
前記溶液は、C
9混合留分を含み、前記C
9混合留分は、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、スチレン、ジシクロペンタジエン、インデン及びメチルインデンを含む、請求項
12に記載の
石油樹脂組成物の製造方法。
【請求項14】
前記溶液は、粘度調節剤をさらに含む、請求項
12に記載の
石油樹脂組成物
の製造方法。
【請求項15】
前記粘度調節剤は、25℃で粘度が20ないし500cpsである低粘度液状樹脂を含む、請求項
14に記載の
石油樹脂組成物の製造方法。
【請求項16】
前記分子量調節剤は、石油樹脂組成物全体100重量部につき、0超過15重量部以下で含まれ、
前記粘度調節剤は、石油樹脂組成物全体100重量部につき、0超過40重量部以下で含まれた、請求項14に記載の
石油樹脂組成物の製造方法。
【請求項17】
前記重合触媒は、AlCl
3、BF
3、SnCl
4、TiCl
4、AgClO
4、I
2、及びそれら2種以上の混合物のうちから選択されたルイス酸触媒である、請求項
12に記載の
石油樹脂組成物の製造方法。
【請求項18】
前記熱付加は、100℃ないし300℃に昇温することで行われる、請求項
12に記載の
石油樹脂組成物の製造方法。
【請求項19】
前記重合反応生成物は、改質された石油樹脂と粘度調節剤との混合物を含み、
前記改質された石油樹脂は、重合反応により、前述のC
5単量体、C
5混合留分、C
9単量体、C
9混合留分、環状ジオレフィン単量体及び線状オレフィン単量体のうちの1つ以上が重合され、少なくとも一部が水素化または非水素化された石油樹脂についての両末端のうちの少なくとも一末端に、前記分子量調節剤が結合されている構造を有する、請求項
14に記載の
石油樹脂組成物の製造方法。
【請求項20】
原料ゴムと、
請求項1ないし
11のいずれか1項に記載の
石油樹脂組成物と、を含む、ゴム組成物。
【請求項21】
請求項
20に記載のゴム組成物を含む、タイヤトレッド用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、その製造方法、それを含むゴム組成物、塗料組成物、ペイント組成物及びタイヤトレッド用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、車両の荷重を支持し、路面で生じる衝撃を緩和すると共に、自動車エンジンの動力、制動力などを路面に伝達し、自動車の運動を維持する役割を行う。車両用タイヤが満足させなければならない要求特性は、さまざまなものがあり、耐久性、耐磨耗性、回転抵抗、燃費、操縦安定性、乗り心地、制動性、振動、騷音などを挙げることができる。
【0003】
タイヤトレッドは、タイヤの最外周面に提供され、路面と直接接触する部分であり、制動、燃費、摩耗などにおいて、重要な役割を行う。タイヤトレッドゴムの粘弾性的性質は、タイヤの燃費、制動性能の指標として活用され、地面との接触と、走行中の反復的な変形とによって生じるヒステリシスが高い場合、熱によって消失するエネルギーが多く、燃費特性が不利である一方、制動特性は、有利である。
【0004】
タイヤトレッドは、それを構成するゴム組成物によって性能が大きく左右され、特に、原料ゴム以外に、コンパウンディングされる合成樹脂の特性により、大きく影響を受ける。
【0005】
タイヤトレッド用組成物の原料ゴムと相溶性にすぐれるだけではなく、制動、燃費、摩耗の性能を向上させることができる合成樹脂、例えば、石油樹脂に係わる業界の要求が依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、低粘度の樹脂組成物、それを含むゴム組成物、及びその用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、少なくとも一部が水素化または非水素化された石油樹脂についての両末端のうちの少なくとも一末端に、分子量調節剤が結合された構造を有する改質された石油樹脂を含み、25℃における粘度が、5,000cpsないし50,000cps未満である樹脂組成物が提供される。
【0008】
他の態様によれば、原料ゴムと前記樹脂組成物とを含むゴム組成物が提供される。
【0009】
さらに他の態様によれば、前記ゴム組成物を含むタイヤトレッド用組成物が提供される。
【0010】
さらに他の態様によれば、C5単量体、C5混合留分、C9単量体、C9混合留分、環状ジオレフィン単量体及び線状オレフィン単量体のうちの1つ以上、及び分子量調節剤を含む溶液に、重合触媒または/及び熱を加えて重合反応を行い、重合反応生成物を得る段階を含む樹脂組成物の製造方法であり、
前記樹脂組成物は、25℃における粘度が、5,000cpsないし50,000cps未満である製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるゴム組成物は、25℃における粘度が、5,000cpsないし50,000cps未満である低粘度の樹脂組成物を含むことにより、原料配合工程中においては、プロセスオイルと類似した機能として作用し、原料の分散を円滑にさせ、配合時間を短縮させることにより、経済性の側面で有利であるという長所がある。
【0012】
また、本発明により、分子量調節剤でもって改質された石油樹脂または水添石油樹脂、及び粘度調節剤を含む樹脂組成物は、加工性を向上すると共に、タイヤトレッド用組成物に適用されることで、タイヤの制動、燃費、摩耗性の改善という問題を解決することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、本発明の多様な態様、及び多様な具現例につき、さらに具体的に述べる。
【0014】
本明細書において「石油樹脂」は、C5単量体、C5混合留分、C9単量体、C9混合留分、環状ジオレフィン単量体及び線状オレフィン単量体のうちの1つ以上が重合された重合体を含む。例えば、前記石油樹脂は、ホモポリマー、コポリマーなどを含む。前記石油樹脂のホモポリマーの例としては、C5単量体が重合された重合体、C5混合留分が重合された重合体、C9単量体が重合された重合体、C9混合留分が重合された重合体、環状ジオレフィン単量体が重合された重合体、線状オレフィン単量体が重合された重合体を挙げることができる。前記石油樹脂のコポリマーの例としては、互いに異なる2種のC5単量体が重合された共重合体、互いに異なる2種のC9単量体が重合された共重合体、互いに異なる2種の環状ジオレフィン単量体が重合された共重合体、互いに異なる2種の線状オレフィン単量体が重合された共重合体、C5留分とC5単量体との共重合体、C5留分とC9単量体との共重合体、C9留分とC5単量体との共重合体、C5単量体とC9単量体との共重合体、C9留分とC9単量体との共重合体、C5留分と線状オレフィン単量体との共重合体、C9留分と線状オレフィン単量体との共重合体。C5留分と環状ジオレフィン単量体との共重合体、C9留分と環状ジオレフィン単量体との共重合体、C5単量体と環状ジオレフィン単量体との共重合体、C9単量体と線状オレフィン単量体との共重合体、環状ジオレフィン単量体と線状オレフィン単量体との共重合体を挙げることができる。
【0015】
本明細書において「水添石油樹脂」は、前述の石油樹脂のうち、エチレンといった不飽和モイエティの少なくとも一部が、水素添加反応によって飽和炭化水素に改質された石油樹脂を意味する。
【0016】
本明細書において「C5(混合)留分」は、ナフサの分解から誘導された脂肪族C5及び脂肪族C6のパラフィン、オレフィン及びジオレフィンを含む。例えば、C5留分は、ペンテン、イソプレン、2-メチル-2-ブテン、2-メチル-2-ペンテン、シクロペンタジエン及びピペリレンを含むのでありうるが、それらに限定されるものではなく、C5単量体のうちの2種以上の混合物をいずれも含む。また、前記C5留分は、選択的にアルキル化されうる。
【0017】
本明細書において「C5単量体」は、前述のC5(混合)留分に含まれた成分のうちのいずれか一つを指示する。
【0018】
本明細書において「C9(混合)留分」は、本発明が属する技術分野において一般的に理解されるように、石油加工、例えば、分解から誘導された組成物であって、大気圧、及び約100℃ないし300℃で沸騰するC8,C9及び/またはC10オレフィン種を含むのであり、例えば、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、スチレン、ジシクロペンタジエン、インデン、トランス-ベータ-メチルスチレン及びメチルインデンを含むのでありうるが、それらに限定されるのではなく、C9単量体のうちの2種以上の混合物をいずれも含む。また、前記C9留分は、選択的にアルキル化されうる。例えば、本発明におけるC9留分は、ビニルトルエン、インデン、スチレン、ジシクロペンタジエン、及びこれら成分のアルキル化された誘導体、例えば、α-メチルスチレン、メチルインデンなどを含むのでありうる。
【0019】
本明細書において「C9単量体」は、前述のC9留分に含まれた成分のうちのいずれか一つを指示する。
【0020】
本明細書において「オレフィン」は、少なくとも1つのエチレン性不飽和基(C=C)結合を含む不飽和化合物を含む。例えば、該オレフィンは、線状オレフィン、環状オレフィン、α-オレフィンなどを含むのでありうるが、それらに限定されるのではない。
【0021】
本明細書において「環状ジオレフィン」は、2個のC=C結合を含む環状不飽和化合物を含む。例えば、該環状ジオレフィンは、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエンなどを含むのでありうるが、それらに限定されるものではない。
【0022】
本発明の一態様は、C5単量体、C5混合留分、C9単量体、C9混合留分、環状ジオレフィン単量体及び線状オレフィン単量体のうち1以上、及び分子量調節剤(molecular weight regulator)を含む溶液に、重合触媒または/及び熱を加えて重合反応を行い、重合反応生成物を得る段階を含み、25℃における粘度が、5,000cpsないし50,000cps未満である樹脂組成物の製造方法に関するものである。
【0023】
一具現例によれば、前記溶液は、粘度調節剤をさらに含むのでありうる。それにより、重合反応生成物の粘度調節が容易である。
【0024】
前記粘度調節剤は、生成物である重合体の構造形成には加わらず、反応物と生成物との粘度を調節する役割を行うので、本発明により、C5単量体、C5混合留分、C9単量体、C9混合留分、環状ジオレフィン単量体及び線状オレフィン単量体のうちの1つ以上、分子量調節剤、及び粘度調節剤を含む溶液に、重合触媒または/及び熱を付加して重合反応を行い、得られる重合反応生成物は、改質重合体と粘度調節剤との混合物でありうる。
【0025】
一具現例によれば、前記石油樹脂は、触媒存在下で水素化処理され、水添石油樹脂に改質される段階をさらに含むのでありうる。
【0026】
前記水素化処理に使用される触媒は、石油樹脂分野で周知された水添触媒が利用され、例えば、Pd、Ni、Pt、またはそれらの混合物などが利用されうる。
【0027】
一具現例によれば、前記分子量調節剤は、樹脂組成物全体100重量部につき、0超過16重量部以下で含まれ、前記粘度調節剤は、樹脂組成物全体100重量部につき、0超過ないし44重量部以下で含まれるのでありうる。
【0028】
例えば、前記分子量調節剤は、1ないし10重量部、1ないし5重量部、1ないし4重量部、1ないし2.5重量部、または1ないし1.5重量部で含まれるのでありうる。
【0029】
例えば、前記粘度調節剤は、5ないし30重量部、5ないし25重量部、5ないし20重量部または5ないし14.9重量部で含まれるのでありうる。
【0030】
前記分子量調節剤及び前記粘度調節剤の含量が前記範囲を満足する場合、原料ゴムとの良好な配合性を有する低粘度の石油樹脂の製造が可能である。該分子量調節剤を含んでいない場合、高分子量及び高粘性の石油樹脂が得られ、15重量部を超える場合、分子量が過度に小さくなり、粘度が過度に低くなるか、あるいは重合度が低くなるにことによる収率低下の問題が引き起こされる。また、前記粘度調節剤は、改質石油樹脂の粘度を低くするために添加されるものであり、必要によって添加することができるが、40重量部を超える場合、樹脂重合成分の比率低下による芳香族性の比率低下により、原料ゴムとの相溶性が低下し、望ましくない。
【0031】
一具現例によれば、本発明で使用可能な分子量調節剤は、連鎖移動剤(chain transfer agent)であり、チオール類(thiols)、または四塩化炭素といったハロカーボン類(halocarbons)などを挙げることができる。
【0032】
例えば、前記チオール類、すなわち、1つ以上のチオール基(-SH)を含む有機メルカプタン系分子量調節剤が有用であり、それには、脂肪族メルカプタン類、環状脂肪族(cycloaliphatic)メルカプタン類または芳香族メルカプタン類が含まれる。
【0033】
そのようなメルカプタン類物質は、1分子当たり、1個ないし4個のチオール基を含みうるのであり、1チオール基当たり、1個ないし20個の炭素、望ましくは、1個ないし15個の炭素を含むのでありうる。
【0034】
また、炭化水素基及びチオール基以外に、他の置換基を追加で含みうるのであり、そのような置換基の例には、ヒドロキシ基、カルボン酸基、エーテル基、エステル基、スルフィド基、アミン基、アミド基などが含まれる。
【0035】
本発明において、分子量調節剤として有用なメルカプタン類は、チオール基を有する有機化合物であるならば、特別に限定されるものではなく、具体的には、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタンまたはドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン類;フェニルメルカプタンまたはベンジルメルカプタンのようなチオールフェノール類;2-メルカプトエタノール、チオールグリコール酸または3-メルカプトプロピオン酸などのヒドロキシ基含有またはカルボン酸基含有のメルカプタン類;ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプト)プロピオネートといった、機能基を2つ以上有するメルカプタン類;またはそれらの2種以上の混合物を挙げることができる。
【0036】
そのようなメルカプタン類の具体的な例には、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、ベンジルメルカプタン、フェニルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、1-チオグリセロ-ル、2,2’-ジメルカプトジエチルエーテル、2,2’-ジメルカプトジプロピルエーテル、2,2’-ジメルカプトジイソプロピルエーテル、3,3’-ジメルカプトジプロピルエーテル、2,2’-ジメルカプトジエチルスルフィド、3,3’-ジメルカプトジプロピルスルフィド、ビス(β-メルカプトエトキシ)メタン、ビス(β-メルカプトエチルチオ)メタン、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリトリトールテトラチオグリコレートなどが含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0037】
一具現例によれば、本発明の分子量調節剤には、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン;フェニルメルカプタン、ベンジルメルカプタン;メルカプトエタノール、チオールグリコール酸、メルカプトプロピオン酸;ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプト)プロピオネートが含まれる。
【0038】
例えば、本発明においては、分子量調節剤として、以下の化学式1のn-ドデシルメルカプタンや、化学式2の2-メルカプトエタノール、またはそれらの混合物を使用することにより、分子量調節の効果を極大化させることができる。
【0039】
【0040】
【0041】
一具現例によれば、前記粘度調節剤として、粘度(25℃)が20ないし500cpsである低粘度液状樹脂を使用することができるが、前記粘度を満足する液状樹脂であるならば、本発明の一具現例による樹脂組成物用粘度調節剤として、特別な制限なしに使用することができる。
【0042】
例えば、前記低粘度液状樹脂は、水添ジシクロペンタジエン(DCPD)-C9共重合体樹脂(hydrogenated DCPD-C9 copolymer resin)、水添ジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、及びそれらの混合物のうちから選択して使用する。
【0043】
ここで、水添ジシクロペンタジエン(DCPD)-C9共重合体樹脂は、ジシクロペンタジエン(DCPD)の重合と水添とを通じて得られる白色の熱可塑性樹脂を意味し、そのような水添ジシクロペンタジエン(DCPD)-C9共重合体樹脂として、SUKOREZ(登録商標)樹脂といった市販樹脂を使用することもできる。
【0044】
例えば、粘度調節剤として、下記構造を有する水添ジシクロペンタジエン(DCPD)-C9共重合体樹脂を使用することにより、粘度調節及び耐空気透過度向上の効果を極大化させることができる。
【0045】
【0046】
一具現例によれば、前記重合触媒として、ルイス酸触媒、ハロゲン化水素酸(halohydric acid)、AlCl3、BF3、及びそれら2種以上の混合物のうちから選択して使用することができる。
【0047】
望ましくは、前記重合触媒として、AlCl3、BF3、SnCl4、TiCl4、AgClO4、I2、及び2種以上の混合物のうちから選択されたルイス酸触媒を使用することができる。
【0048】
一具現例によれば、前記熱の付加(熱を加えること)は、100℃ないし300℃に昇温することによって行われうる。
【0049】
本発明の一態様は、少なくとも一部が、水素化または非水素化された石油樹脂についての両末端のうちの少なくとも一末端に、分子量調節剤が結合された構造を有する改質された石油樹脂、及び粘度調節剤を含み、25℃における粘度が、5,000cpsないし50,000cps未満である樹脂組成物に関するものである。
【0050】
一具現例によれば、前記改質石油樹脂は、前記C5単量体、C5混合留分、C9単量体、C9混合留分、環状ジオレフィン単量体及び線状オレフィン単量体のうちの1つ以上が重合され、少なくとも一部が水素化または非水素化された石油樹脂が、前記分子量調節剤でもって改質された形態の改質石油樹脂であるが、前記石油樹脂を、分子量調節剤でもって末端を改質することにより、ゴムとの相溶性及び配合性にすぐれるだけではく、ポリマーの無定形領域にて相溶されるようにして膜を形成することができ、加工性と耐空気透過度をさらに向上させることができる。それと異なり、分子量調節剤でもって末端が改質されていない場合、数平均分子量が増大し、ガラス転移温度も上昇し、ゴムとの相溶性が劣り、配合が良好になされないという問題点が生じうる。その結果、加工性、及び最終製品の性能が低下する。
【0051】
一具現例によれば、前記改質石油樹脂は、付加重合(addition polymerization)反応または連鎖重合(chain polymerization)反応による、前述のC5単量体、C5混合留分、C9単量体、C9混合留分、環状ジオレフィン単量体及び線状オレフィン単量体のうちの1つ以上が重合され、少なくとも一部が水素化または非水素化された石油樹脂についての両末端のうちの少なくとも一末端に、前記分子量調節剤が結合されている構造を有する。
【0052】
例えば、前記石油樹脂は、C9混合留分由来の単位構造を少なくとも一つ含むか、あるいはC9混合留分由来の反復単位によって構成されうる。
【0053】
一具現例によれば、前記C9混合留分由来の単位構造は、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、スチレン、ジシクロペンタジエン、インデン及びメチルインデンを含むのでありうる。
【0054】
一具現例によれば、前記石油樹脂は、下記化学式4aのような反復単位が結合されている構造を含む。例えば、前記石油樹脂は、前記C9混合留分に含まれるスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデン、ジシクロペンタジエン及びα-メチルスチレンや、メチルインデンのような単量体、またはそれら成分のアルキル化された誘導体単量体が、重合反応に参与して形成された、下記のような構造を含むのでありうる。
【0055】
【0056】
前記化学式4aは、例示的に表現したものに過ぎず、該構造に追加して、表示されていない他のC5単量体、C9単量体、環状ジオレフィン単量体及び線状オレフィン単量体に由来する反復単位も、含まれるというのでもありうる。
【0057】
例えば、前記石油樹脂は、前記構造によって表現される重合体であり、前記重合体が、ランダム重合体を意味するが、ただし、それらに限定されるのではなく、ブロック共重合体または交互(alternating)共重合体なども含まれる。
【0058】
取り立てて図示するものではないが、前記石油樹脂は、前記化学式4aによって表示された反復単位のうちの少なくとも一つが水素化された構造を含むのでありうる。
【0059】
他の具現例によれば、前記石油樹脂は、下記のような反復単位が結合されている構造を含むのでありうる。例えば、前記石油樹脂の両末端のうちの少なくとも一つが二重結合を有する構造を有するのであって、両末端のいずれも、二重結合を有する構造を、例示的に下記化学式4bによって表示した。
【0060】
【0061】
そのように、少なくとも1つの、末端に位置する二重結合と、分子量調節剤とが結合されるようにして、分子量調節剤でもって改質された石油樹脂(例えば、C9単量体の重合体)を形成することになる。該分子量調節剤は、両端のいずれにも結合されうるが、例示的に表現された下記化学式4cのように、いずれか1つの末端のみに結合されることもありうる。
【0062】
別途に図示されるものではないが、前記石油樹脂は、化学式4bまたは4cによって表示された反復単位のうちの少なくとも一つが水素化された構造を含むのでありうる。
【0063】
【0064】
一具現例によれば、前記樹脂組成物は、数平均分子量(Mn)が150ないし300であり、重量平均分子量(Mw)が300ないし500であり、Z平均分子量(Mz)が1,000ないし2,000である。
【0065】
数平均分子量が150より低ければ、原料ゴムと配合される場合、ゴム硬度が過度に低くなり、タイヤの荷重性能が低下され、300より高ければ、配合加工性が低下されうる。また、そのように低い範囲の分子量により、加工性にすぐれ、既存のプロセスオイルを代替し、タイヤドレッド用ゴム組成物に適用することができ、このことを通じて、加工性の向上、及びグリップ性、耐磨耗性の改善が可能である。
【0066】
一具現例によれば、前記樹脂組成物は、極性の性質を有しており、加工性にさらにすぐれ、結晶化度が低く、ポリマーの無定形領域にて相溶されて膜を形成することができ、加工性と配合性とをさらに向上させることができる。また、本発明のゴム組成物において、一具現例によれば、前記樹脂組成物は、25℃にて粘度が5,000ないし50,000cpsであり、ガラス転移温度が-40℃ないし-25℃である。
【0067】
ガラス転移温度が-40℃より低ければ、原料ゴムと配合される場合、ゴム硬度が過度に低くなりタイヤの荷重性能が低下され、-25℃より高ければ、ゴム硬度が高くなり、タイヤの緩衝性能及びウェット(wet)グリップ力の低下が引き起こされる。
【0068】
一具現例によれば、前記樹脂組成物は、粘度調節剤をさらに含むのでありうる。
【0069】
一具現例によれば、前記粘度調節剤は、樹脂組成物100重量部につき、0超過40重量部以下で含まれるのでありうる。
【0070】
前述のように、本発明の一具現例によって、改質された石油樹脂が粘度調節剤をさらに含む場合、C5単量体、C5混合留分、C9単量体、C9混合留分、環状ジオレフィン単量体及び線状オレフィン単量体のうちの1つ以上、分子量調節剤、粘度調節剤を含む溶液に、重合触媒または/及び熱を付加して重合反応を行って得られるが、該粘度調節剤は、生成物である改質石油樹脂の構造形成には加わらず、反応物と生成物との粘度を調節する役割を行うので、重合反応生成物は、改質重合体と粘度調節剤との混合物でありうる。
【0071】
C5単量体、C5混合留分、C9単量体、C9混合留分、環状ジオレフィン単量体及び線状オレフィン単量体に関する内容は、前述のところを参照し、分子量調節剤、粘度調節剤などのさまざまな具現例は、前述の通りである。
【0072】
一具現例によれば、前記樹脂組成物は、25℃で測定された粘度が5,000ないし15,000cpsであり、芳香族性が15%ないし50%、例えば、24%ないし47%、または30%ないし40%でありうる。
【0073】
前記芳香族性の範囲を満足する場合、原料ゴムとの相溶性にすぐれることから、すぐれた接地性及び耐久性を要求するタイヤトレッドの用途、並びに、優れた塗工性及び耐候性を要求する塗料用組成物に活用されうるが、そのような用途に限定されるのではない。
【0074】
本発明の一態様は、原料ゴム、及び本発明のさまざまな具現例による樹脂組成物を含むゴム組成物に関するものである。
【0075】
一具現例によれば、前記ゴム組成物は、前記改質石油樹脂及び前記粘度調節剤以外に、原料ゴム、補強剤、シランカップリング剤、加硫剤及び加硫促進剤のうち1種以上をさらに含むのでありうる。
【0076】
前記原料ゴムは、オレフィン性二重結合を有する天然ゴム、合成ゴム、またはそれらの組み合わせを含むのでありうる。
【0077】
前記原料ゴムは、オレフィン性二重結合(炭素・炭素二重結合)を有するものであるならば、特別に制限はなく、天然ゴム、合成ゴム、またはそれらを混合して使用することができる。
【0078】
例えば、前記原料ゴムは、天然ゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ハロゲン化イソプレンゴム、ハロゲン化イソブチレン共重合体、クロロプレンゴム、ブチルゴム及びハロゲン化イソブチレン-p-メチルスチレンゴムよりなるグループから選択される1種以上を含むのでありうる。
【0079】
前記補強剤は、カーボンブラックとシリカとを含むのでありうる。
【0080】
前記ゴム組成物は、カーボンブラックを含むことにより、耐磨耗性の向上、回転抵抗特性の向上、亀裂や、紫外線による亀裂の防止(紫外線劣化防止)などの効果を得ることができる。本発明において使用可能なカーボンブラックは、特別に限定されないのであり、当該技術分野で一般的に使用されるものであるならば、いずれでも使用が可能である。
【0081】
一具現例によれば、前記カーボンブラックは、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、グラファイト、またはそれらの組み合わせを含むのでありうる。
【0082】
例えば、カーボンブラックの粒子径、細孔容積、比表面積のような物理的特性についても、特別に限定されるものではないが、従来のゴム工業で使用されている各種のカーボンブラック、例えば、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF(いずれも、アメリカのASTM規格D-1765-82aで分類されたカーボンブラックの略称)などが含まれるのでありうる。
【0083】
また、前記シリカは、ゴム用補強剤として使用されているものを、特別に制限なしに使用することができ、例えば、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、合成ケイ酸塩系ホワイトカーボン、コロイド性シリカ、沈降シリカなどを挙げることができる。シリカの比表面積は、特別に制限はないが、通常、40ないし600m2/gの範囲、例えば70ないし300m2/gのものを使用することができ、一次粒子径は、10ないし1,000nmであるものを使用することができる。それらは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0084】
前記補強剤として、前記カーボンブラック及び前記シリカ以外に、クレイ、滑石のような鉱物粉末類;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムのような炭酸塩類;水酸化アルミニウムのようなアルミナ水和物などを使用することができる。
【0085】
一具現例によれば、前記シランカップリング剤は、シリカを配合させるためのものであり、ビニル卜リクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシ-エトキシ)シラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、またはそれらの組み合わせを含むのでありうる。例えば、前記シランカップリング剤は、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィドを含むのでありうる。
【0086】
架橋剤は、ゴムの架橋に通常使用されるものを、特別な制限なしに使用することができ、ゴム成分及びイソブチレン系重合体によって適切に選択することができる。
【0087】
一具現例によれば、前記架橋剤としては、硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィドなどの硫黄架橋剤;シクロヘキサノンペルオキシド、メチルアセトアセテートペルオキシド、tert-ブチルペルオキシイソブチレート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどの有機過酸化物架橋剤などを挙げることができる。
【0088】
前記架橋剤と共に、本発明によるタイヤトレッド用ゴム組成物は、加硫促進剤や加硫助製を含むのでありうる。
【0089】
一具現例によれば、前述の加硫促進剤や加硫助剤としては、特別に限定されるものではなく、ゴム組成物が含むゴム成分、イソブチレン系重合体、架橋剤によって適切に選択して使用することができる。また、「加硫」とは、硫黄原子を少なくとも1個介在させる架橋を示す。
【0090】
例えば、前記加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドなどのチウラム系促進剤;2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィドなどのチアゾール系促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系促進剤;n-ブチルアルデヒド・アニリン縮合品、ブチルアルデヒド・モノブチルアミン縮合品などのアルデヒド・アミン系促進剤;ヘキサメチレンテトラミンなどのアルデヒド・アンモニア系促進剤;チオカルバニリドのようなチオ尿素系促進剤などを挙げることができる。それら加硫促進剤を配合する場合には、1種類を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0091】
前記加硫助剤としては、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化マグネシウムのような金属酸化物;水酸化カリウムなどの金属水酸化物;炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛のような金属炭酸塩;ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩;n-ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミンのようなアミン類;エチレンジメタクリレート、ジアリルフタレート、N,N-m-フェニレンジマレイミド、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどを挙げることができる。それら加硫助剤を配合する場合には、1種類を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0092】
さらには、本発明によるゴム組成物は、またゴム工業の分野で使用される各種添加剤、例えば、老化防止剤、加硫遅延剤、釈解剤、プロセス油、可塑剤などの1種または2種以上を、必要に応じて含んでいてもよい。
【0093】
併せて、本発明は、前記ゴム組成物から製造されたゴム成形品を提供する。
【0094】
本発明の一具現例によるゴム成形品は、タイヤでありうる。例えば、前記ゴム成形品は、タイヤトレッドでありうる。前記タイヤトレッドは、タイヤの用途及び物性を考慮し、原料の適切な配合比を選択し、公知の方法を経てタイヤに製造される。
【0095】
一具現例によれば、本発明によるゴム組成物は、前記の各成分を、例えば、プラストミル(plastomill)、バンバリーミキサ(Banbury mixer)、ロール、インターナルミキサなどの混練機を利用して混練することによって調製することができる。具体的には、前記のそれぞれの成分のうち、架橋剤及び加硫促進剤を除く成分を混練し、その後、得られた混練物に架橋剤及び加硫促進剤を添加し、さらに混練することが望ましい。
【0096】
前記方法によって製造されたゴム組成物は、路面と接するトレッド部(及び、トレッド部を含むキャップ部)を構成する材料として使用することができる。その製造方法について述べれば、前記ゴム組成物を形成しなければならないタイヤの形状(具体的には、トレッドの形状)に応じて押出加工し、タイヤ成形機上において、通常の方法で成形することにより、タイヤ用の未架橋成形体を製造する。このタイヤ用未架橋成形体を、例えば、加硫機内にて加熱加圧することにより、タイヤトレッドを製造し、このタイヤトレッドと、他の部品とを組み合わせることにより、目的とするタイヤを製造することができる。
【0097】
そのように製造されたタイヤは、タイヤとして有さなければならない機械的物性(硬度、引っ張り強度、モジュラスなど)、チップ切断耐性及び粘着性能にすぐれる。特に、グリップ性(wet/dry)が高く、自動車の走行安定性及びブレーキ制動性にすぐれ、転がり抵抗が低く、自動車の低燃費化を具現することができる。
【0098】
従って、本発明のゴム組成物は、低燃費タイヤ及び高性能タイヤなどのタイヤのトレッドを得るためのゴム組成物として適している。
【0099】
本発明の一態様は、ベース樹脂、及び本発明のさまざまな具現例による樹脂組成物を含む塗料組成物に関するものである。
【0100】
一具現例によれば、前記塗料組成物は、ベース樹脂及び前記樹脂組成物の他に、硬化剤、硬化促進剤、顔料、添加剤及び溶媒を含むのでありうる。
【0101】
前記塗料組成物は、低粘性樹脂組成物を使用することにより、可塑剤を含まないのでありうる。
【0102】
一具現例によれば、前記ベース樹脂は、エポキシ樹脂を含むのでありうる。
【0103】
一具現例によれば、前記硬化剤は、公知の熱硬化性硬化剤、光硬化性硬化剤またはUV硬化性硬化剤を含むものでもあるが、用途に応じて適切に選択されうる。
【0104】
一具現例によれば、前記硬化促進剤は、硬化剤の硬化速度を調節するために添加されるものであり、スルホン酸類硬化触媒、カルバメート類硬化触媒を含み、公知の硬化促進剤を、必要に応じて適切に選択して使用することができる。
【0105】
一具現例によれば、前記顔料は、塗料組成物に有色を提供するか、あるいは白色度を向上させるために添加されるものであり、二酸化チタンといった無機顔料が含まれるのでありうるが、それに限定されるものではなく、公知の顔料を適切に選択して使用することができる。例えば、本発明の一具現例による樹脂組成物は、ガードナー色度が11以下のものにより、例えば1以上11以下のものにより、顔料の添加量を低減させることができるので、経済性が向上される。
【0106】
一具現例によれば、前記添加剤は、硬化剤、硬化促進剤、顔料、溶媒を除く、塗料に配合可能な全ての成分を含むのでありうる。例えば、前記添加剤は、表面調整剤、光安定剤、耐候性添加剤、防腐剤、外観調節剤、消泡剤、レベリング剤、またはそれらの組み合わせを含むのでありうる。そのような添加剤は、公知の材料のうちから適切に選択して使用することができる。
【0107】
一具現例によれば、前記溶媒は、塗料原料との混和性が良好な溶媒のうちから選択されうるのであり、例えば、有機溶媒が使用されうる。
【0108】
前述の塗料組成物に配合される原料は、当業者が、使用目的、希望する粘度、色相などを考慮し、公知の組成を参照し、適切に配合することができる。
【0109】
以下において、実施例などを通じて、本発明についてさらに詳細に説明するが、ただし、以下において、実施例などにより、本発明の範囲と内容とが縮小されるか、あるいは制限されると解釈されるものではない。また、以下の実施例を含む本発明の開示内容に基づくならば、具体的に実験結果が提示されていない本発明を、当業者が容易に実施することができるということは明白なことであり、そのような変形及び修正が、特許請求の範囲に属するということも言うまでもない。
【0110】
また、以下で提示される実験結果は、当該の実施例及び比較例の代表的な実験結果のみを記載したものであり、以下で明示的に提示されていない本発明のさまざまな具現例のそれぞれの効果は、当該部分で具体的に記載される。
【0111】
<実施例1:樹脂組成物の製造>
精製C9留分(YNCC社)83.86重量部に、粘度調節剤LP-A180(コーロンインダストリーズ)14.80重量部、分子量調節剤n-ドデシルメルカプタン1.34重量部を追加した後、重合触媒BF 30.21重量部を加え、180℃にて重合反応を2時間進めた。重合が完了した重合物は、脱気過程を経て未反応反応物を除去し、樹脂組成物を製造した。
【0112】
<実施例2及び比較例1ないし3:樹脂組成物の製造>
精製C9留分、粘度調節剤及び分子量調節剤の含量を、下記表1のように調節した点を除いては、実施例1と同一の方法でもって樹脂組成物を製造した。
【0113】
<評価例1:粘度測定>
ブルックフィールド(Brookfield)社の粘度計を使用した。スピンドル(Spindle)No.27を使用し、チャンバに、実施例1,2、及び比較例1ないし3で製造された樹脂組成物10.5gの試料をそれぞれ投入した。25℃で30分間の安定化時間を置いた後、撹拌軸のRPM値を調整し、トルクが50%値を有する際の粘度値を、それぞれ下記表1に記録した。
【0114】
<評価例2:ガードナー色相測定>
実施例1,2、及び比較例1ないし3で製造された樹脂組成物につき、色相測定は、ASTMD 1544で測定した。具体的には、樹脂組成物を直方形の石英セル(横20mm、縦40mm及び経路長10mm)に投入した。このセルを、PFX 195比色計(COLORMETER)に装着した後で稼動させてガードナー色相を測定し、下記表1に記録した。
【0115】
<評価例3:芳香族性評価>
実施例1,2及び比較例1ないし3で製造された樹脂組成物に関する芳香族性について、NMR分析を通じて確認した。その結果は、下記表1に示されている。
【0116】
【0117】
<評価例4:分子量評価>
実施例1,2、及び比較例1ないし3で製造された樹脂組成物につき、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC;サイズ排除クロマトグラフィー(SEC))(モデルHP-1100;ヒューレットパッカード社の製品)により、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、Z平均分子量(Mz)及び分散度(MWD)を求めた。測定重合体は、4,000ppmの濃度になるように、テトラヒドロフランに溶解させ、該ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)に100μLを注入した。該ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)の移動相は、テトラヒドロフランを使用し、1.0mL/分の流速で流入させ、分析は30℃で行った。カラムは、PIgel(アジレント・テクノロジー)(1,000+500+100Å)3個を直列に連結した。検出器としては、RI検出器(HP-1047A(ヒューレットパッカード))を利用し、30℃で測定した。その結果は、下記表2に示される。
【0118】
【0119】
前述の表1及び表2から分かるように、分子量調節剤を含む実施例は、適切な粘度範囲、ガードナー色相及び分子量範囲を容易に満足するということが確認された。