(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】ピラゾロピリジン系化合物の結晶及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
C07D 519/00 20060101AFI20241119BHJP
A61K 31/4995 20060101ALI20241119BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
C07D519/00 311
C07D519/00 CSP
A61K31/4995
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2023514032
(86)(22)【出願日】2021-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2021120750
(87)【国際公開番号】W WO2022068739
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】202011051252.9
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011118921.X
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110051653.2
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522310971
【氏名又は名称】広州白雲山医薬集団股▲フン▼有限公司白雲山制薬総廠
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】王健松
(72)【発明者】
【氏名】付志飛
(72)【発明者】
【氏名】羅志波
(72)【発明者】
【氏名】羅妙栄
(72)【発明者】
【氏名】張楊
(72)【発明者】
【氏名】黎健
(72)【発明者】
【氏名】陳曙輝
(72)【発明者】
【氏名】鮑穎霞
(72)【発明者】
【氏名】王▲イ▼
(72)【発明者】
【氏名】謝周凡
【審査官】安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/200316(WO,A1)
【文献】特表2018-532690(JP,A)
【文献】特表2020-516636(JP,A)
【文献】特表2019-534857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その粉末X線回折パターンが16.30±0.20°、21.69±0.20°、24.63±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(I)化合物の結
晶A。
【化1】
【請求項2】
その粉末X線回折パターンは、14.88±0.20°、15.51±0.20°、16.30±0.20°、18.49±0.20°、19.16±0.20°、19.70±0.20°、21.69±0.20°、24.63±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する、請求項
1に記載の結
晶A。
【請求項3】
その粉末X線回折パターンは、7.79±0.20°、9.58±0.20°、12.61±0.20°、14.88±0.20°、15.51±0.20°、16.30±0.20°、18.49±0.20°、19.16±0.20°、19.70±0.20°、21.69±0.20°、24.63±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する、請求項
2に記載の結
晶A。
【請求項4】
そのXRPDスペクトル
は、以下の2θ角において特徴回折ピークを有する、請求項
1~
3のいずれか1項に記載の結
晶A。
【表1】
【請求項5】
その示差走査熱量曲線は、188.7±2℃において一つの吸熱ピークの開始値を有する、請求項
1~
3のいずれか1項に記載の結
晶A。
【請求項6】
その熱重量分析曲線は、180.0±3℃において1.20%減量に達する、請求項
1~
3のいずれか1項に記載の結
晶A。
【請求項7】
充実性腫瘍を治療するための薬物の調製における
、請求項
1~
6のいずれか1項に記載の式(I)化合物の結
晶Aの使用。
【請求項8】
充実性腫瘍は、RETキナーゼに関する充実性腫瘍である、請求項
7に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、出願日が2020年09月29日である中国特許出願CN202011051252.9、出願日が2020年10月19日である中国特許出願CN202011118921.X、出願日が2021年01月13日である中国特許出願CN202110051653.2の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、式(II)~式(VIII)化合物、式(I)~式(VIII-1)化合物の結晶型及びその調製方法に関し、関連疾患を治療するための薬物の調製における前記結晶型の使用をさらに含む。
【背景技術】
【0003】
RET蛋白は、一つのチロシンキナーゼ受容体RTKであり、一つの膜貫通糖タンパク質でもあり、10番染色体上に位置するがん原遺伝子RET(REarranged during Transfection)によって発現され、胚段階の腎臓及び腸神経系の発育において重要な役割を果たしており、また、神経細胞、神経内分泌、造血組織及び男性生殖細胞などの多種の組織内での安定状態もとても重要である。別のRTKと異なり、RETは、神経栄養因子(artemin)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、neurturin及びpersephinなどのリガンド分子に直接結合するわけではなく、これらがGNDFファミリーリガンド(GFLs)に属する。これらのリガンドGFLsは、一般的に、GDNFファミリー受容体α(GFRα)に結合し、形成されたGFLs-GFRα複合体によりRET蛋白の自己二量化を介在し、細胞内ドメイン上のチロシンのトランス自己リン酸化反応を引き起こし、関連するアダプタータンパク質を動員し、細胞増殖などのシグナル伝達のカスケード反応を活性化させ、関連するシグナル経路としては、MAPK、PI3K、JAK-STAT、PKA、PKCなどが挙げられる。
【0004】
RETの発がん活性化機序は、主に2つある。1つ目は、染色体の再編成による新しい融合タンパク質を形成し、一般的に、RETのキナーゼドメインと自己二量化を含むドメインとのタンパク質融合である。2つ目は、RET突然変異によるRETのキナーゼ活性を直接又は間接的に活性化することである。これらの体細胞又は生殖細胞のレベルの変化は、複数種類のがんの発症機序に関する。乳頭様甲状腺癌患者の5%~10%は、RET染色体再編成が存在するが、髄様性甲状腺髄様がんにおいて、60%の患者からRET点突然変異が認められ、すべての甲状腺癌患者において、10~20%のRET融合の患者があり、そのうち、CCDC6、NCOA4が最もよく見られ、すべてのNSCLC患者において、約1~2%の患者がRET融合タンパク質を持ち、そのうち、KIF5B-RETが最もよく見られる。
【0005】
要するに、複数種類の腫瘍及び腸管障害、例えば、アレルギー性腸管症候群には、いずれも異常なRET発現又は活性化が認められた。そのため、RET阻害剤は、腫瘍や腸管障害疾患において潜在的な臨床価値がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、式(II)~式(VIII)で表される化合物を提供し、
【化1】
そのうち、n
2、n
3、n
4、n
5、n
6、n
7及びn
8は、0.8~1.5から選ばれる。
【0007】
本発明のいくつかの態様では、上記n2、n3、n4、n5、n6、n7及びn8は、それぞれ独立に0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4及び1.5から選ばれる。
【0008】
本発明のいくつかの態様では、上記化合物は、
【化2】
からなる群から選ばれる。
【0009】
本発明は、その粉末X線回折パターンが16.30±0.20°、21.69±0.20°、24.63±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(I)化合物の結晶型Aを提供する。
【化3】
【0010】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Aの粉末X線回折パターンは、14.88±0.20°、15.51±0.20°、16.30±0.20°、18.49±0.20°、19.16±0.20°、19.70±0.20°、21.69±0.20°、24.63±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0011】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Aの粉末X線回折パターンは、7.79±0.20°、9.58±0.20°、12.61±0.20°、14.88±0.20°、15.51±0.20°、16.30±0.20°、18.49±0.20°、19.16±0.20°、19.70±0.20°、21.69±0.20°、24.63±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0012】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Aの粉末X線回折パターンは、6.19±0.20°、7.79±0.20°、9.58±0.20°、12.61±0.20°、14.88±0.20°、15.51±0.20°、16.30±0.20°、17.65±0.20°、18.49±0.20°、19.16±0.20°、19.70±0.20°、20.45±0.20°、21.69±0.20°、23.38±0.20°、24.63±0.20°、25.29±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0013】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Aの粉末X線回折パターンは、6.19°、7.79°、9.21°、9.58°、10.32°、12.61°、14.88°、15.10°、15.51°、16.30°、16.60°、17.65°、18.49°、19.16°、19.70°、20.03°、20.45°、21.69°、22.24°、22.83°、23.38°、24.63°、25.29°、25.76°、27.70°、28.34°、29.06°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0014】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Aの粉末X線回折パターンは、16.30±0.20°、21.69±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有し、また24.63±0.20°、及び/又は6.19±0.20°、及び/又は7.79±0.20°、及び/又は9.21±0.20°、及び/又は9.58±0.20°、及び/又は10.32±0.20°、及び/又は12.61±0.20°、及び/又は14.88±0.20°、及び/又は15.1±0.20°、及び/又は15.51±0.20°、及び/又は16.6±0.20°、及び/又は17.65±0.20°、及び/又は18.49±0.20°、及び/又は19.16±0.20°、及び/又は19.7±0.20°、及び/又は20.03±0.20°、及び/又は20.45±0.20°、及び/又は22.24±0.20°、及び/又は22.83±0.20°、及び/又は23.38±0.20°、及び/又は25.29±0.20°、及び/又は25.76±0.20°、及び/又は27.7±0.20°、及び/又は28.34±0.20°、及び/又は29.06±0.20°において特徴回折ピークを有してもよい。
【0015】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型AのXRPDスペクトルを
図1に示す。
【0016】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型AのXRPDスペクトルを
図39に示す。
【0017】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型AのXRPDスペクトル解析データを表1-1に示す:
【表1】
【0018】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型AのXRPDスペクトル解析データを表1-2に示す:
【表2】
【0019】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Aの示差走査熱量曲線は、188.7±2℃において一つの吸熱ピークの開始値を有する。
【0020】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型AのDSCスペクトルを
図2に示す。
【0021】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Aの熱重量分析曲線は、180.0±3℃において1.20%減量に達する。
【0022】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型AのTGAスペクトルを
図3に示す。
【0023】
本発明は、その粉末X線回折パターンが6.66±0.20°、17.97±0.20°、22.63±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(I)化合物の結晶型Bを提供する。
【0024】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Bの粉末X線回折パターンは、6.66±0.20°、8.50±0.20°、13.30±0.20°、16.14±0.20°、16.70±0.20°、17.97±0.20°、19.66±0.20°、22.63±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0025】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型BのXRPDスペクトルを
図4に示す。
【0026】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型BのXRPDスペクトル解析データを表2に示す:
【表3】
【0027】
本発明は、その粉末X線回折パターンが16.66±0.20°、19.22±0.20°、20.99±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(I)化合物の結晶型Cを提供する。
【0028】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Cの粉末X線回折パターンは、9.08±0.20°、12.06±0.20°、16.15±0.20°、16.66±0.20°、17.13±0.20°、19.22±0.20°、20.99±0.20°、24.52±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0029】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型CのXRPDスペクトルを
図5に示す。
【0030】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型CのXRPDスペクトル解析データを表3に示す:
【表4】
【0031】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Cの示差走査熱量曲線は、171.7±2℃において一つの吸熱ピークの開始値を有する。
【0032】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型CのDSCスペクトルを
図6に示す。
【0033】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Cの熱重量分析曲線は、140.0±3℃において10.08%減量に達する。
【0034】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型CのTGAスペクトルを
図7に示す。
【0035】
本発明は、その粉末X線回折パターンが4.79±0.20°、14.89±0.20°、16.70±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(I)化合物の結晶型Dを提供する。
【0036】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Dの粉末X線回折パターンは、4.79±0.20°、6.61±0.20°、7.16±0.20°、14.89±0.20°、16.09±0.20°、16.70±0.20°、19.40±0.20°、20.73±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0037】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型DのXRPDスペクトルを
図8に示す。
【0038】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型DのXRPDスペクトル解析データを表4に示す:
【表5】
【0039】
本発明は、その粉末X線回折パターンが8.01±0.20°、17.80±0.20°、19.14±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(I)化合物の結晶型Eを提供する。
【0040】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Eの粉末X線回折パターンは、8.01±0.20°、14.15±0.20°、14.84±0.20°、16.29±0.20°、17.23±0.20°、17.80±0.20°、18.28±0.20°、19.14±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0041】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Eの粉末X線回折パターンは、5.98±0.20°、8.01±0.20°、9.21±0.20°、12.9±0.20°、14.15±0.20°、14.84±0.20°、16.29±0.20°、17.23±0.20°、17.8±0.20°、18.28±0.20°、19.14±0.20°、20.7±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0042】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型EのXRPDスペクトルを
図9に示す。
【0043】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型EのXRPDスペクトル解析データを表5に示す:
【表6】
【0044】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Eの示差走査熱量曲線は、170.6±2℃において一つの吸熱ピークの開始値、189.1±2℃において別の吸熱ピークの開始値を有する。
【0045】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型EのDSCスペクトルを
図10に示す。
【0046】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Eの熱重量分析曲線は、150.0±3℃において5.59%減量に達する。
【0047】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型EのTGAスペクトルを
図11に示す。
【0048】
本発明は、その粉末X線回折パターンが4.95±0.20°、7.13±0.20°、16.55±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(I)化合物の結晶型Fを提供する。
【0049】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Fの粉末X線回折パターンは、4.95±0.20°、7.13±0.20°、14.75±0.20°、16.55±0.20°、23.62±0.20°、24.96±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0050】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型FのXRPDスペクトルを
図12に示す。
【0051】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型FのXRPDスペクトル解析データを表6に示す:
【表7】
【0052】
本発明は、その粉末X線回折パターンが11.98±0.20°、17.90±0.20°、21.56±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(II-1)化合物の結晶型Gを提供する。
【化4】
【0053】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Gの粉末X線回折パターンは、11.98±0.20°、12.39±0.20°、16.53±0.20°、17.90±0.20°、21.56±0.20°、23.36±0.20°、24.05±0.20°、28.04±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0054】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Gの粉末X線回折パターンは、11.98±0.20°、12.39±0.20°、14.79±0.20°、16.53±0.20°、17.90±0.20°、21.56±0.20°、23.36±0.20°、24.05±0.20°、24.58±0.20°、25.27±0.20°、26.81±0.20°、28.04±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0055】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型GのXRPDスペクトルを
図13に示す。
【0056】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型GのXRPDスペクトル解析データを表7に示す:
【表8】
【0057】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Gの熱重量分析曲線は、110.0±3℃において4.11%減量に達する。
【0058】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型GのTGAスペクトルを
図14に示す。
【0059】
本発明は、その粉末X線回折パターンが4.90±0.20°、12.05±0.20°、18.24±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(II-1)化合物の結晶型Hを提供する。
【0060】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Hの粉末X線回折パターンは、4.90±0.20°、6.49±0.20°、12.05±0.20°、16.75±0.20°、18.24±0.20°、19.55±0.20°、20.22±0.20°、22.06±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0061】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型HのXRPDスペクトルを
図15に示す。
【0062】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型HのXRPDスペクトル解析データを表8に示す:
【表9】
【0063】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Hの熱重量分析曲線は、160.0±3℃において2.47%減量に達する。
【0064】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型HのTGAスペクトルを
図16に示す。
【0065】
本発明は、その粉末X線回折パターンが4.84±0.20°、19.22±0.20°、19.72±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(III-1)化合物の結晶型Iを提供する。
【化5】
【0066】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Iの粉末X線回折パターンは、4.84±0.20°、12.84±0.20°、13.42±0.20°、14.40±0.20°、19.22±0.20°、19.72±0.20°、22.46±0.20°、30.87±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0067】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Iの粉末X線回折パターンは、4.84±0.20°、12.84±0.20°、13.42±0.20°、14.40±0.20°、15.80±0.20°、16.89±0.20°、18.21±0.20°、19.22±0.20°、19.72±0.20°、22.46±0.20°、24.94±0.20°、30.87±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0068】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型IのXRPDスペクトルを
図17に示す。
【0069】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型IのXRPDスペクトル解析データを表9に示す:
【表10】
【0070】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Iの示差走査熱量曲線は、203.6±2℃において一つの吸熱ピークの開始値を有する。
【0071】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型IのDSCスペクトルを
図18に示す。
【0072】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Iの熱重量分析曲線は、180.0±3℃において2.04%減量に達する。
【0073】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型IのTGAスペクトルを
図19に示す。
【0074】
本発明は、その粉末X線回折パターンが8.62±0.20°、11.12±0.20°、17.11±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(IV-1)化合物の結晶型Jを提供する。
【化6】
【0075】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Jの粉末X線回折パターンは、6.53±0.20°、8.62±0.20°、11.12±0.20°、12.26±0.20°、17.11±0.20°、19.71±0.20°、21.77±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0076】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型JのXRPDスペクトルを
図20に示す。
【0077】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型JのXRPDスペクトル解析データを表10に示す:
【表11】
【0078】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Jの熱重量分析曲線は、130.0±3℃において4.67%減量に達する。
【0079】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型JのTGAスペクトルを
図21に示す。
【0080】
本発明は、その粉末X線回折パターンが12.63±0.20°、17.95±0.20°、21.66±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(V-1)化合物の結晶型Kを提供する。
【化7】
【0081】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Kの粉末X線回折パターンは、12.63±0.20°、15.47±0.20°、16.27±0.20°、17.49±0.20°、17.95±0.20°、19.13±0.20°、21.66±0.20°、24.99±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0082】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Kの粉末X線回折パターンは、10.21±0.20°、12.63±0.20°、15.47±0.20°、16.27±0.20°、17.95±0.20°、19.13±0.20°、20.00±0.20°、21.66±0.20°、22.51±0.20°、23.97±0.20°、24.99±0.20°、28.39±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0083】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型KのXRPDスペクトルを
図22に示す。
【0084】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型KのXRPDスペクトル解析データを表11に示す:
【表12】
【0085】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Kの熱重量分析曲線は、140.0±3℃において5.03%減量に達する。
【0086】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型KのTGAスペクトルを
図23に示す。
【0087】
本発明は、その粉末X線回折パターンが5.93±0.20°、13.45±0.20°、20.70±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(V-1)化合物の結晶型Lを提供する。
【0088】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Lの粉末X線回折パターンは、5.93±0.20°、13.45±0.20°、15.22±0.20°、17.75±0.20°、20.70±0.20°、22.91±0.20°、26.34±0.20°、27.80±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0089】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Lの粉末X線回折パターンは、5.93±0.20°、10.37±0.20°、13.45±0.20°、15.22±0.20°、16.70±0.20°、17.75±0.20°、18.56±0.20°、20.70±0.20°、22.91±0.20°、25.35±0.20°、26.34±0.20°、27.80±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0090】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型LのXRPDスペクトルを
図24に示す。
【0091】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型LのXRPDスペクトル解析データを表12に示す:
【表13】
【0092】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Lの熱重量分析曲線は、110.0±3℃において5.24%減量に達する。
【0093】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型LのTGAスペクトルを
図25に示す。
【0094】
本発明は、その粉末X線回折パターンが8.52±0.20°、16.75±0.20°、18.07±0.20°、21.72±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(VI-1)化合物の結晶型Mを提供する。
【化8】
【0095】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型MのXRPDスペクトルを
図26に示す。
【0096】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型MのXRPDスペクトル解析データを表13に示す:
【表14】
【0097】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Mの熱重量分析曲線は、120.0±3℃において5.19%減量に達する。
【0098】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型MのTGAスペクトルを
図27に示す。
【0099】
本発明は、その粉末X線回折パターンが18.53±0.20°、19.05±0.20°、19.98±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(VII-1)化合物の結晶型Nを提供する。
【化9】
【0100】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Nの粉末X線回折パターンは、9.98±0.20°、11.71±0.20°、12.25±0.20°、13.24±0.20°、16.19±0.20°、18.53±0.20°、19.05±0.20°、19.98±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0101】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Nの粉末X線回折パターンは、5.05±0.20°、9.98±0.20°、11.71±0.20°、12.25±0.20°、13.24±0.20°、14.35±0.20°、16.19±0.20°、18.53±0.20°、19.05±0.20°、19.98±0.20°、20.91±0.20°、24.56±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0102】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型NのXRPDスペクトルを
図28に示す。
【0103】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型NのXRPDスペクトル解析データを表14に示す:
【表15】
【0104】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Nの熱重量分析曲線は、160.0±3℃において3.19%減量に達する。
【0105】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型NのTGAスペクトルを
図29に示す。
【0106】
本発明は、その粉末X線回折パターンが10.39±0.20°、12.98±0.20°、18.17±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(VII-1)化合物の結晶型Oを提供する。
【0107】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Oの粉末X線回折パターンは、10.39±0.20°、11.33±0.20°、12.98±0.20°、15.62±0.20°、18.17±0.20°、19.96±0.20°、21.54±0.20°、22.91±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0108】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Oの粉末X線回折パターンは、7.75±0.20°、10.39±0.20°、11.33±0.20°、12.98±0.20°、15.62±0.20°、16.65±0.20°、18.17±0.20°、19.04±0.20°、19.96±0.20°、21.54±0.20°、22.91±0.20°、24.05±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0109】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型OのXRPDスペクトルを
図30に示す。
【0110】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型OのXRPDスペクトル解析データを表15に示す:
【表16】
【0111】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Oの熱重量分析曲線は、140.0±3℃において9.32%減量に達する。
【0112】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型OのTGAスペクトルを
図31に示す。
【0113】
本発明は、その粉末X線回折パターンが6.49±0.20°、11.83±0.20°、25.14±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(VII-1)化合物の結晶型Pを提供する。
【0114】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Pの粉末X線回折パターンは、6.49±0.20°、7.79±0.20°、10.90±0.20°、11.83±0.20°、12.87±0.20°、14.82±0.20°、18.53±0.20°、25.14±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0115】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型PのXRPDスペクトルを
図32に示す。
【0116】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型PのXRPDスペクトル解析データを表16に示す:
【表17】
【0117】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Pの熱重量分析曲線は、90.0±3℃において4.58%減量に達する。
【0118】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型PのTGAスペクトルを
図33に示す。
【0119】
本発明は、その粉末X線回折パターンが3.39±0.20°、6.75±0.20°、13.73±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(VIII-1)化合物の結晶型Qを提供する。
【化10】
【0120】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Qの粉末X線回折パターンは、3.39±0.20°、5.88±0.20°、6.75±0.20°、7.94±0.20°、10.72±0.20°、13.73±0.20°、16.91±0.20°、19.15±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0121】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Qの粉末X線回折パターンは、3.39±0.20°、5.88±0.20°、6.75±0.20°、7.94±0.20°、9.20±0.20°、10.72±0.20°、13.73±0.20°、16.28±0.20°、16.91±0.20°、18.51±0.20°、19.15±0.20°、21.66±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0122】
本発明は、その粉末X線回折パターンが6.75±0.20°、10.72±0.20°、13.73±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(VIII-1)化合物の結晶型Qを提供する。
【化11】
【0123】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Qの粉末X線回折パターンは、5.88±0.20°、6.75±0.20°、7.94±0.20°、10.72±0.20°、13.73±0.20°、16.91±0.20°、19.15±0.20°、24.60±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0124】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Qの粉末X線回折パターンは、5.88±0.20°、6.75±0.20°、7.94±0.20°、9.20±0.20°、10.72±0.20°、13.73±0.20°、16.28±0.20°、16.91±0.20°、18.51±0.20°、19.15±0.20°、21.66±0.20°、24.60±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0125】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型QのXRPDスペクトルを
図34に示す。
【0126】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型QのXRPDスペクトル解析データを表17に示す:
【表18】
【0127】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Qの熱重量分析曲線は、150.0±3℃において3.96%減量に達する。
【0128】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型QのTGAスペクトルを
図35に示す。
【0129】
本発明は、その粉末X線回折パターンが16.28±0.20°、21.67±0.20°、24.59±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有することを特徴とする式(VIII-1)化合物の結晶型Rを提供する。
【0130】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Rの粉末X線回折パターンは、14.85±0.20°、15.49±0.20°、16.28±0.20°、18.48±0.20°、19.13±0.20°、19.68±0.20°、21.67±0.20°、24.59±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0131】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Rの粉末X線回折パターンは、9.56±0.20°、14.85±0.20°、15.49±0.20°、16.28±0.20°、18.48±0.20°、19.13±0.20°、19.68±0.20°、21.67±0.20°、22.80±0.20°、23.35±0.20°、24.59±0.20°、25.27±0.20°の2θ角において特徴回折ピークを有する。
【0132】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型RのXRPDスペクトルを
図36に示す。
【0133】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型RのXRPDスペクトル解析データを表18に示す:
【表19】
【0134】
本発明のいくつかの態様では、上記結晶型Rの熱重量分析曲線は、160.0±3℃において2.14%減量に達する。
【0135】
本発明のいくつかの態様における、上記結晶型RのTGAスペクトルを
図37に示す。
【0136】
本発明は、充実性腫瘍を治療するための薬物の調製における式(II)化合物~式(VIII)化合物、結晶型A、結晶型B、結晶型C、結晶型D、結晶型E、結晶型F、結晶型G、結晶型H、結晶型I、結晶型J、結晶型K、結晶型L、結晶型M、結晶型N、結晶型O、結晶型P、結晶型Q及び結晶型Rの使用を提供する。
【0137】
本発明のいくつかの態様では、上記充実性腫瘍は、RETキナーゼに関する充実性腫瘍である。
【発明の効果】
【0138】
本発明の化合物は、RETキナーゼ阻害作用を有し、優れたPK特性と腫瘍増殖阻害作用を有し、本発明の結晶型は、特性が安定し、薬剤として有望である。
【0139】
(定義及び説明)
特に説明しない限り、本明細書で使用される以下の用語及び語句は、以下の意味を有するように意図されている。ある特定の用語又は語句は、特に定義されていない場合に、「不確実」又は「不明瞭」であるものと理解されるべきではなく、通常の意味として理解されるべきである。本明細書で商品名を記載した場合、それに対応する商品やその有効成分を指すことが意図される。
【0140】
本発明の中間体化合物は、以下に列挙する具体的な実施形態、他の化学合成手段との組み合わせによって形成された実施形態、及び当業者に知られている等価代替方式を含む当業者に知られている様々な合成方法によって調製することができ、好適な実施形態は、本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0141】
本発明の具体的な実施形態の化学反応は、本発明の化学変化及びそれに必要な試薬と材料に合わねばならない適切な溶媒で達成される。本発明の化合物を得るために、当業者が既存の実施形態からさらに、合成ステップ又は反応工程を修正又は選択する必要がある場合がある。
【0142】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は、本発明に対するいかなる限定を構成しない。本明細書で使用される略語は、次のように定義される:OTfは、トリフルオロメタンスルホニルとして表される。
【0143】
本発明で使用される溶媒は、いずれも市販されているものであり、さらなる精製を必要とせずに使用可能である。
【0144】
本発明の化合物は、当業者に知られている従来の方法によって構造を確認することができる。本発明が化合物の絶対配置に関する場合、この絶対配置は、当技術分野の従来の技術的手段によって確認することができる。例えば、単結晶X線回折法(SXRD)によれば、培養した単結晶をBruker D8 venture回折器で回折強度データを収集する。光源:CuKα放射、走査方式:φ/ω走査。関連するデータを収集した後、さらにストレート法(Shelxs97)により結晶構造を解析すれば、絶対配置を確証することができる。
【0145】
化合物は、当該技術分野の通常の命名規則又はChemDraw(登録商標)ソフトウェアに基づいて命名し、市販の化合物は、サプライヤーの目録名称を採用する。
【0146】
本発明粉末X線回折法(X-ray powder diffractometer,XRPD)
本発明に記載の粉末X線回折パターンは、Panalytical(パナリティカル)会社のX’ Pert3型粉末X線回折器にて採集されたものであった。本発明に記載の粉末X線回折の方法パラメータは、以下とおりである:
X線光源:Cu,Kα
Kα1(Å):1.54060; Kα2(Å):1.54443
Kα2/Kα1強度比例:0.50
電圧:45キロボルト(kV)
電流:40ミリアンペア(mA)
発散スリット:固定1/8度
走査方式:連続
走査範囲:3.0~40.0度(2θ角)
各ステップ走査時間:46.665秒
ステップ幅:0.0263度
【0147】
本発明に記載の粉末X線回折パターンは、また丹東浩元儀器有限公司のDX-2700BH型粉末X線回折器にて採集されたものもあった。本発明に記載の粉末X線回折の方法パラメータは、以下とおりである:
X線:Cu,Kα(λ=1.54184Å)
光管電圧:40キロボルト(kV)
光管電流:30ミリアンペア(mA)
発散スリット:1mm
一次散乱スリット:28mm
二次スリット:28mm
検出器スリット:0.3mm
散乱防止スリット:1mm
走査軸:θs-θd
ステップ幅:0.02度
走査時間:0.5s
走査範囲:3-40度
【0148】
本発明示差熱分析法(Differential Scanning Calorimeter,DSC)
本発明に記載の示差走査熱量分析(DSC)データは、TA会社Discovery DSC 2500型示差熱走査熱量計から採集されたものであり、機器の制御ソフトウェアはTRIOSであり、解析ソフトはUniversal Analysisであった。通常、1~5ミリグラムのサンプルを取って、蓋付きのアルミナ坩堝内に置き、10℃/minの昇温速度で50mL/min乾燥N2の保護下でサンプルを室温から設定温度まで上昇させるとともに、TAソフトウェアによりサンプルの昇温過程における熱量変化を記録した。
【0149】
本発明熱重量分析法(Thermal Gravimetric Analyzer,TGA)
本発明に記載の熱重量分析(TGA)データは、TA Instruments Q5000型及びDiscovery TGA 5500型熱重量測定装置から採集されたものであり、機器の制御ソフトウェアは、それぞれQ SeriesとTRIOSであり、解析ソフトは、Universal Analysisであった。通常、1~5ミリグラムのサンプルを取って、白金坩堝に置き、10℃/minの昇温速度で50mL/min乾燥N2の保護下でサンプルを室温から350℃まで上昇させた。
【0150】
本発明動的蒸気吸着測定法(Dynamic Vapor Sorption,DVS)
機器型番:SMS DVS Intrinsic 動的蒸気吸着器
試験条件:サンプル(10~15mg)を取って、DVSサンプル盤に置いて試験を行う。
【0151】
詳細のDVSパラメータは、以下とおりである:
温度:25℃
平衡:dm/dt=0.01%/min(最短:10min、最長:180min)
乾燥:0%RH下で120min乾燥する。
RH(%)試験段階:10%
RH(%)試験段階範囲:0%-90%-0%
【0152】
【図面の簡単な説明】
【0153】
【
図1】式(I)化合物結晶型AのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図2】式(I)化合物結晶型AのDSCスペクトルである。
【
図3】式(I)化合物結晶型AのTGAスペクトルである。
【
図4】式(I)化合物結晶型BのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図5】式(I)化合物結晶型CのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図6】式(I)化合物結晶型CのDSCスペクトルである。
【
図7】式(I)化合物結晶型CのTGAスペクトルである。
【
図8】式(I)化合物結晶型DのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図9】式(I)化合物結晶型EのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図10】式(I)化合物結晶型EのDSCスペクトルである。
【
図11】式(I)化合物結晶型EのTGAスペクトルである。
【
図12】式(I)化合物結晶型FのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図13】式(II-1)化合物結晶型GのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図14】式(II-1)化合物結晶型GのTGAスペクトルである。
【
図15】式(II-1)化合物結晶型HのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図16】式(II-1)化合物結晶型HのTGAスペクトルである。
【
図17】式(III-1)化合物結晶型IのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図18】式(III-1)化合物結晶型IのDSCスペクトルである。
【
図19】式(III-1)化合物結晶型IのTGAスペクトルである。
【
図20】式(IV-1)化合物結晶型JのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図21】式(IV-1)化合物結晶型JのTGAスペクトルである。
【
図22】式(V-1)化合物結晶型KのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図23】式(V-1)化合物結晶型KのTGAスペクトルである。
【
図24】式(V-1)化合物結晶型LのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図25】式(V-1)化合物結晶型LのTGAスペクトルである。
【
図26】式(VI-1)化合物結晶型MのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図27】式(VI-1)化合物結晶型MのTGAスペクトルである。
【
図28】式(VII-1)化合物結晶型NのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図29】式(VII-1)化合物結晶型NのTGAスペクトルである。
【
図30】式(VII-1)化合物結晶型OのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図31】式(VII-1)化合物結晶型OのTGAスペクトルである。
【
図32】式(VII-1)化合物結晶型PのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図33】式(VII-1)化合物結晶型PのTGAスペクトルである。
【
図34】式(VIII-1)化合物結晶型QのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図35】式(VIII-1)化合物結晶型QのTGAスペクトルである。
【
図36】式(VIII-1)化合物結晶型RのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【
図37】式(VIII-1)化合物結晶型RのTGAスペクトルである。
【
図38】式(I)化合物結晶型AのDVS図である。
【
図39】式(I)化合物結晶型AのCu-Kα放射のXRPDスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0154】
本発明の内容をよりよく理解するために、以下、具体的な実施例に関連して、本発明をさらに説明するが、具体的な実施形態は、本発明の内容を限定するものではない。
【0155】
実施例1:式(I)化合物及びそのトリフルオロ酢酸塩の調製
【化12】
【0156】
【0157】
【0158】
ステップ一
2,5-ジブロモピラジン(4g,16.82mmol)、6-tert-ブトキシカルボニル基-3,6-ジアザビシクロ[3.1.1]-ヘプタン(4.00g,20.18mmol)をN-メチルピロリドン(50mL)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(6.52g,50.45mmol,8.79mL)を加え、100℃で16時間撹拌した。水60mLを加え、酢酸エチルで抽出し(100mL×3)、有機相を合併し、水で洗浄し(150mL×5)、塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し(150mL×1)、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、最後に、溶媒をスピン乾燥して粗生成物を得た。粗生成物を自動カラム機(石油エステル:酢酸エチル=4:1)により精製して化合物1を得た。
LCMS(ESI)m/z:354.9[M+1]+,356.9[M+3]+;
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ8.15(d,J=1.2Hz,1H),7.77(s,1H),4.28-4.31(m,2H),3.90-4.12(m,2H),3.42(d,J=12.0Hz,2H),2.64-2.72(m,1H),1.50(d,J=12.4Hz,1H),1.38(s,9H)。
【0159】
ステップ二
化合物1(3g,8.45mmol)を酢酸エチル(15mL)に溶解し、塩化水素/酢酸エチル(4M,20mL)を加え、16℃で3時間撹拌した。溶媒をスピン乾燥して粗生成物2を得て、このまま精製せずに次反応に投入した。
LCMS(ESI)m/z:254.9[M+1]+,256.9[M+3]+。
【0160】
ステップ三
化合物2(2.45g,8.40mmol)、6-メトキシ-3-ピリジンカルボアルデヒド(2.30g,16.81mmol)をDCM(50mL)に加え、更に酢酸水素化ホウ素ナトリウム(5.34g,25.21mmol)を加え、16℃で1.5時間撹拌した。反応液は清澄になり、反応液に水50mLを加え、ジクロロメタンで抽出し(50mL×3)、有機相を合併し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し(100mL×1)、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、最後に、溶媒をスピン乾燥して粗生成物を得た。粗生成物を自動カラム機により精製して(石油エステル:酢酸エチル=1:3~ジクロロメタン:メタノール=10:1)化合物3を得た。
LCMS(ESI)m/z:376.0[M+1]+,378.0[M+3]+。
【0161】
ステップ四
化合物3(1.8g,4.78mmol)とビス(ピナコラート)ジボロン(1.82g,7.18mmol)を1,4-ジオキサン(15mL)に溶解し、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(350.05mg,478.40μmol)と酢酸カリウム(1.41g,14.35mmol)を加え、窒素雰囲気下、80℃で16時間撹拌した。反応にて部分のハロゲンフリー副生成物を形成し、反応液を直接ろ過し、酢酸エチルで2回洗浄し、ろ液をスピン乾燥して粗生成物4を得て、このまま次反応に用いられた。
LCMS(ESI)m/z:342.1[M+1]+。
【0162】
ステップ五
3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-ホウ酸ピナコールエステル(1.5g,7.14mmol)、化合物5(1.80g,7.14mmol)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(261.23mg,357.01μmol)とリン酸カリウム(4.55g,21.42mmol)を1,4-ジオキサン(12mL)と水(6mL)に一括添加し、そして、窒素雰囲気下でマイクロシンスによって100℃まで加熱し、そして30分間撹拌反応させた。反応液に20mL水と20mL酢酸エチルを加えて抽出し、分液し、更に、水相を20mL酢酸エチルで抽出し、有機相を合併し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、溶媒を回転蒸発除去して粗生成物を得た。粗生成物をフラッシュシリカゲルカラム(石油エステル/酢酸エチル=1/1)により精製して化合物6を得た。
LCMS(ESI)m/z:255.9[M+1]+。
【0163】
ステップ六
ピリジン塩酸塩(4.53g,39.17mmol)を化合物6(1g,3.92mmol)に加え、そして、窒素雰囲気下でマイクロによって180℃まで加熱し、そして20分間攪拌反応させた。反応液に飽和の炭酸水素ナトリウム水溶液をpH値が7になるまで加えた。そして、50mL酢酸エチルを加えて抽出し、分液し、更に、水相を50mL酢酸エチルで抽出し、有機相を合併し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、溶媒を回転蒸発除去して粗生成物7を得て、このまま精製せずに次反応に用いられた。
【0164】
ステップ七
化合物7(460mg,1.91mmol)、N-フェニルビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(1.02g,2.86mmol)とジイソプロピルエチルアミン(739.31mg,5.72mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に一括添加し、そして、窒素雰囲気下、及び10-20℃下で16時間撹拌反応させた。反応液を50mL水に直接加え、そして20mL酢酸エチルを加えて抽出し、分液し、更に、水相を20mL酢酸エチルで抽出し、有機相を合併し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、溶媒を回転蒸発除去して粗生成物8を得た。
【0165】
ステップ八
化合物8(560mg,1.50mmol)、化合物4(511.79mg,1.50mmol)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(54.88mg,75.01μmol)とリン酸カリウム(955.27mg,4.50mmol)を1,4-ジオキサン(12mL)と水(6mL)に一括添加し、そして、窒素雰囲気下でマイクロシンスによって90℃まで加熱し、そして0.5時間撹拌反応させた。反応液に20mL水と20mL酢酸エチルを加え、分液し、更に、水相を20mL酢酸エチルで抽出し、有機相を合併し、硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、回転蒸発して式(I)粗生成物を得た。粗生成物を調製カラム(YMC-Triart Prep C18 150×40mm×7μm;移動相:[水(0.1%TFA)-ACN];アセトニトリル:30%-40%,10min)に送って分離精製して式(I)化合物のトリフルオロ酢酸塩を得た。化合物式(I)のトリフルオロ酢酸塩を炭酸水素ナトリウム溶液に加え、酢酸エチルで抽出し、有機相を硫酸ナトリウム無水物で乾燥し、減圧濃縮して式(I)化合物を得た。
LCMS(ESI)m/z:521.1[M+1]+;
1HNMR(400MHz,CD3OD)δ8.81~8.80(m,1H),8.71~8.65(m,1H),8.48~8.45(m,1H),8.40~8.30(m,2H),8.00~7.92(m,1H),7.90~7.92(m,1H),6.95~6.92(m,2H),6.53(s,1H),4.74~4.71(m,2H),4.63~4.61(d,J=8Hz,1H),4.39~4.37(m,2H),4.43~4.30(m,3H),4.10~4.06(m,1H),4.00~3.96(m,6H),3.65~3.62(m,1H),2.62(s,2H),2.25~2.21(m,1H)。
【0166】
実施例2:式(I)化合物結晶型Aの調製
式(I)粗生成物をシリカゲルカラムに付した後、自動カラム機(ジクロロメタン:メタノール=20:1)により精製して式(I)化合物を得て、5g式(I)化合物に200mlメタノール(40倍)を加えて16時間叩解一夜し、固体が析出し、ろ過して式(I)化合物の結晶型Aを得た。そのXRPDスペクトルを
図1に示し、DSCスペクトルを
図2に示し、TGAスペクトルを
図3に示す。
【0167】
約400g式(I)粗生成物に約6Lメタノールを加え、20-30℃で88-96時間撹拌し、反応液をろ過し、ろ過ケーキをメタノール(0.5L)で洗脱し、16-24時間真空乾燥した。得られた固体に5.78L精製水を加え、温度を90-100℃に制御し、24-48時間撹拌し、20-30℃まで降温し、反応液をろ過し、40-96時間真空乾燥し、結晶型Aを得た。そのXRPDスペクトルを
図39に示す。
【0168】
実施例3:式(I)化合物結晶型Bの調製
式(I)化合物(20.9ミリグラム)を1.0ミリリットルの1,4-ジオキサンに加え、室温下で撹拌して懸濁液を得て、遠心分離し、乾燥して得られた固体を式(I)化合物の結晶型Bとした。そのXRPDスペクトルを
図4に示す。
【0169】
実施例4:式(I)化合物結晶型Cの調製
式(I)化合物の結晶型Bを室温で口開き一夜放置し、得られた固体を式(I)化合物の結晶型Cとした。そのXRPDスペクトルを
図5に示し、DSCスペクトルを
図6に示し、TGAスペクトルを
図7に示す。
【0170】
実施例5:式(I)化合物の結晶型Dの調製
式(I)化合物結晶型A(20.6ミリグラム)を0.5ミリリットルの1,4-ジオキサン/n-ブチルアルコール(体積比1:1)に加え、室温下で5日撹拌した後、懸濁液になり、遠心分離し、乾燥して得られた固体を式(I)化合物の結晶型Dとした。そのXRPDスペクトルを
図8に示す。
【0171】
実施例6:式(I)化合物の結晶型Eの調製
式(I)化合物(20.6ミリグラム)を2.0ミリリットルのアセトンに加え、50℃下で1時間攪拌して懸濁液を得て、ろ過した後、上澄み液を得て、40時間以内、50℃から5℃に冷却して少量の固体を析出し、-20℃で放置し、6日後、固体を得て、遠心分離し、乾燥し、式(I)化合物の結晶型Eとした。そのXRPDスペクトルを
図9に示し、DSCスペクトルを
図10に示し、TGAスペクトルを
図11に示す。
【0172】
実施例7:式(I)化合物の結晶型Fの調製
式(I)化合物(20.5ミリグラム)を2.0ミリリットルのジメチルテトラヒドロフランに加え、50℃下で1時間攪拌して懸濁液を得て、ろ過した後、上澄み液を得て、40時間以内、50℃から5℃に冷却して少量の固体を析出し、-20℃で放置し、6日後、固体を得て、遠心分離し、乾燥し、式(I)化合物の結晶型Fとした。そのXRPDスペクトルを
図12に示す。
【0173】
実施例8:式(II-1)化合物結晶型Gの調製
【化15】
【0174】
式(I)化合物(19.9ミリグラム)を、4.8ミリグラムのマレイン酸を含有する0.5ミリリットルのエタノール/水(体積比9:1)に加え、室温下で2日攪拌した後、懸濁液になり、遠心分離した後、固体を室温で1時間真空引きし、得られた固体を式(II-1)化合物結晶型Gとした。そのXRPDスペクトルを
図13に示し、TGAスペクトルを
図14に示す。
【0175】
実施例9:式(II-1)化合物結晶型Hの調製
式(I)化合物(20.7ミリグラム)を、4.8ミリグラムのマレイン酸を含有する0.5ミリリットルのアセトンに加え、室温下で2日攪拌した後、懸濁液になり、遠心分離した後、固体を室温で1時間真空引きし、得られた固体を式(II-1)化合物結晶型Hとした。そのXRPDスペクトルを
図15に示し、TGAスペクトルを
図16に示す。
【0176】
実施例10:式(III-1)化合物結晶型Iの調製
【化16】
【0177】
式(I)化合物(20.5ミリグラム)を、8.6ミリグラムの粘液酸を含有する0.5ミリリットルのエタノール/水(体積比9:1)に加え、室温下で2日攪拌した後、懸濁液になり、遠心分離した後、固体を室温で1時間真空引きし、得られた固体を式(III-1)化合物結晶型Iとした。そのXRPDスペクトルを
図17に示し、DSCスペクトルを
図18に示し、TGAスペクトルを
図19に示す。
【0178】
実施例11:式(IV-1)化合物結晶型Jの調製
【化17】
【0179】
式(I)化合物(19.1ミリグラム)を、5.8ミリグラムの酒石酸を含有する0.5ミリリットルのエタノール/水(体積比9:1)に加え、室温下で2日攪拌した後、懸濁液になり、遠心分離した後、固体を室温で1時間真空引きし、得られた固体を式(IV-1)化合物結晶型Jとした。そのXRPDスペクトルを
図20に示し、TGAスペクトルを
図21に示す。
【0180】
実施例12:式(V-1)化合物結晶型Kの調製
【化18】
【0181】
式(I)化合物(20.4ミリグラム)を、4.4ミリグラムのフマル酸を含有する0.5ミリリットルのエタノール/水(体積比9:1)に加え、室温下で2日攪拌した後、懸濁液になり、遠心分離した後、固体を室温で1時間真空引きし、得られた固体を式(V-1)化合物結晶型Kとした。そのXRPDスペクトルを
図22に示し、TGAスペクトルを
図23に示す。
【0182】
実施例13:式(V-1)化合物結晶型Lの調製
式(I)化合物(20.7ミリグラム)を、4.6ミリグラムのフマル酸を含有する0.5ミリリットルのアセトンに加え、室温下で2日攪拌した後、懸濁液になり、遠心分離した後、固体を室温で1時間真空引きし、得られた固体を式(V-1)化合物結晶型Lとした。そのXRPDスペクトルを
図24に示し、TGAスペクトルを
図25に示す。
【0183】
実施例14:式(VI-1)化合物結晶型Mの調製
【化19】
【0184】
式(I)化合物(19.4ミリグラム)を、7.4ミリグラムのクエン酸を含有する0.5ミリリットルのアセトンに加え、室温下で2日攪拌した後、懸濁液になり、遠心分離した後、固体を室温で1時間真空引きし、得られた固体を式(VI-1)化合物結晶型Mとした。そのXRPDスペクトルを
図26に示し、TGAスペクトルを
図27に示す。
【0185】
実施例15:式(VII-1)化合物結晶型Nの調製
【化20】
【0186】
式(I)化合物(19.9ミリグラム)を、5.0ミリグラムのシュウ酸を含有する0.5ミリリットルのエタノール/水(体積比9:1)に加え、室温下で2日攪拌した後、懸濁液になり、遠心分離した後、固体を室温で1時間真空引きし、得られた固体を式(VII-1)化合物結晶型Nとした。そのXRPDスペクトルを
図28に示し、TGAスペクトルを
図29に示す。
【0187】
実施例16:式(VII-1)化合物結晶型Oの調製
式(I)化合物(19.8ミリグラム)を、5.5ミリグラムのシュウ酸を含有する0.5ミリリットルのアセトンに加え、室温下で2日攪拌した後、懸濁液になり、遠心分離した後、固体を室温で1時間真空引きし、得られた固体を式(VII-1)化合物結晶型Oとした。そのXRPDスペクトルを
図30に示し、TGAスペクトルを
図31に示す。
【0188】
実施例17:式(VII-1)化合物結晶型Pの調製
式(I)化合物(19.3ミリグラム)を、5.1ミリグラムのシュウ酸を含有する0.5ミリリットルの酢酸エチルに加え、室温下で2日攪拌した後、懸濁液になり、遠心分離した後、固体を室温で1時間真空引きし、得られた固体を式(VII-1)化合物結晶型Pとした。そのXRPDスペクトルを
図32に示し、TGAスペクトルを
図33に示す。
【0189】
実施例18:式(VIII-1)化合物結晶型Qの調製
【化21】
【0190】
式(I)化合物(19.3ミリグラム)を、3.9ミリグラムのリン酸を含有する0.5ミリリットルのエタノール/水(体積比9:1)に加え、室温下で2日攪拌した後、懸濁液になり、遠心分離した後、固体を室温で1時間真空引きし、得られた固体を式(VIII-1)化合物結晶型Qとした。そのXRPDスペクトルを
図34に示し、TGAスペクトルを
図35に示す。
【0191】
実施例19:式(VIII-1)化合物結晶型Rの調製
式(I)化合物(19.7ミリグラム)を、4.4ミリグラムのリン酸を含有する0.5ミリリットルのアセトンに加え、室温下で2日攪拌した後、懸濁液になり、遠心分離した後、固体を室温で1時間真空引きし、得られた固体を式(VIII-1)化合物結晶型Rとした。そのXRPDスペクトルを
図36に示し、TGAスペクトルを
図37に示す。
【0192】
実施例20:式(I)化合物結晶型Aの吸湿性検討
実験材料:
SMS DVS Intrinsic動的蒸気吸着器
【0193】
実験方法:
式(I)化合物結晶型A 10~15mgを取ってDVSサンプル盤内に置いて試験を行う。
【0194】
実験結果:
式(I)化合物結晶型AのDVSスペクトルを
図38に示し、△W=0.8%である。
【0195】
実験結論:
25℃と80%RH下での式(I)化合物結晶型Aの吸湿重量増加は、0.8%であり、いささか吸湿性を有する。
【0196】
実施例21:式(I)化合物結晶型Aの固体安定性実験
「原料薬及び製剤安定性試験指導原則」(中国薬典2015版四部通則9001)に基づき、式(I)化合物結晶型Aの高温(60℃、口開き)、高湿(室温/相対湿度92.5%、口開き)条件下での安定性を考察した。
【0197】
式(I)化合物結晶型A 15mgを秤量し、ガラス製サンプル瓶の底部に置き、薄く広げた。高温及び高湿条件下で放置したサンプルをアルミ箔紙で瓶口を密封し、アルミ箔紙上に若干小さな穴を開け、環境空気とサンプルとの十分な接触を保証することができる。異なる条件にて放置されたサンプルを5日目、10日目にサンプリング検出し(XRPD)、検出結果を0日の初期検出結果と比較し、試験結果を表19に示す:
【表21】
【0198】
結論:式(I)化合物結晶型Aは、高温、高湿条件下で良好な安定性を有する。
【0199】
実施例22:式(I)化合物結晶型Aの固体安定性検討
「原料薬及び製剤安定性試験指導原則」(中国薬典2015版四部通則9001)に基づき、式(I)化合物結晶型Aの長期間実験条件下での安定性を考察した。式(I)化合物結晶型A約10mgを秤量し、ガラス製サンプル瓶の底部に置き、薄く広げ、アルミ箔紙で瓶口を密封して、アルミ箔紙上に小さな穴を開け、(40℃/75%RH)で3ヶ月放置し、及び(25℃/60%RH)条件下で3ヶ月放置し、放置された後のサンプルに対してXRPD特性評価を行い、検出結果を0日の初期検出結果と比較した。結果を表20に示し、式(I)化合物結晶型Aは、全ての安定性条件下で、結晶型のどちらも変化していなかった。
【0200】
【0201】
実験結論:式(I)化合物結晶型Aは、良好な安定性を有する。
【0202】
生体実験データ
実験例1:本発明化合物の体外酵素活性テスト
実験目的
Z’-LYTE(商標)キナーゼテスト実験により酵素活性を検出し、化合物のIC50値を指標として、RETとRET(V804M)キナーゼに対する化合物の阻害作用を評価した。
【0203】
実験方法
RETとRET(V804M)キナーゼのテストに用いた化合物を3倍濃度で希釈し、濃度は、3μM~0.152nMの10濃度であり、検出反応におけるDMSOの含有量は、1%であった。
【0204】
試薬:
素反応緩衝液、20mM 4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(Hepes)(pH7.5)緩衝液、10mM MgCl2、1mM エチレンビス[(オキシエチレン)ニトリロ]四酢酸(EGTA)、0.02%ポリオキシエチレンドデシルエーテル(Brij35)、0.02mg/mL牛血清アルブミン、0.1mM Na3VO4、2mM ジチオスレイトール(DTT)、1%DMSO。
【0205】
化合物:
測定化合物対象を100%のDMSO系に溶解して10mMまで希釈して使用に備えた。溶液希釈は、Integra Viaflo Assistを用いた。
【0206】
汎用酵素の反応過程:
試験条件:RET酵素の濃度は3μMであり、ペプチド基質CHKtide濃度は1000μMであり、ATP濃度は20μMであり、RET(V804M)酵素の濃度は80μMであり、基質ペプチドの濃度は1000μMであり、ATP濃度は30μMであった。
【0207】
反応過程:試験条件に準拠して、キナーゼ/ポリペプチド溶液を調製した。異なる濃度の化合物溶液を加え、室温で20分間インキュベートし、対応する濃度の33P-ATPを加え、室温で120分間インキュベート反応させた。filter-binding法により放射活性を検出した。
【0208】
反応検出:
キナーゼ反応液に0.5%濃度のリン酸を添加して反応を停止させ、Envision機器により読み取った。
【0209】
データ分析
データをリン酸化率と阻害率に変換し、パラメータを(GraphPad Software)カーブフィッティングして化合物IC50データを得た。
【0210】
【0211】
実験結論:本発明化合物は、RET及びその突然変異RET V804Mに対して優れた阻害剤活性を有し、また、RET異常腫瘍患者において優れた治療効果を有する見込みがある。
【0212】
実験例2:本発明化合物の薬物動態評価
実験過程:対応する溶媒(表22参照)中の0.1mg/mLの試験化合物の上澄み液を尾静脈注射で雌性Balb/cマウス(一夜絶食、7-9週齢)体内に投与し、投与用量は0.2mg/kgであった。経静脈投与後、0.0833、0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、8.0と24hで、頸静脈又は尾静脈から約30μL採血した。対応する溶媒(表22参照)に懸濁した0.2mg/mLの試験化合物を胃内投与で雌性Balb/cマウス(一夜絶食、7-9週齢)に投与し、投与用量は、2mg/kgであった。実験条件の詳細を表22に示す。経口投与後、0.0833、0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0と24hで、雌性Balb/cマウス頸静脈又は尾静脈から約30μL採血した。EDTA-K2を添加した抗凝固管に置き、血漿を遠心分離した。LC-MS/MS法により血中濃度を測定し、WinNonlin(商標) Version 6.3(Pharsight,Mountain View,CA)薬物動態ソフトウェアを用いて、ノンコンパートメントモデル線形対数台形法を使用して関連する薬物動態パラメータを算出した。実験結果を表23に示す。
【0213】
【0214】
【0215】
結論:実験結果から、経静脈投与の場合、本発明化合物は、いずれも低消去率、低分布容積、比較的長い半減期、優れた薬物暴露量を示した。経口投与の場合、本発明化合物は、いずれも比較的迅速なピーク到達、優れた経口吸収暴露量を示し、全体的に優れた経口吸収生物利用を示した。
【0216】
実験例3:腫瘍増殖抑制(TGI)分析
Ba/F3-CCDC6-RET細胞株は、1640培地(Biological Industries)+10%牛胎児血清(BI)+1%ジアボディ(Penicillin Streptomycin solution、Coring、USA)を用いて、37℃,5%CO2で培養し、週2回継代処理とした。細胞飽和度が80%~90%になる場合、細胞を採取し、計数し、BALB/c nude雌性マウス(6-8週)の右腋皮下に接種した。接種完了後、日ごとに腫瘍の増殖状態を観察し、腫瘍の平均体積が約165.77mm3に達すると、マウスを腫瘍体積に基づいてランダムにグループ分けし、各群6匹、投与を開始した。
【0217】
毎日、動物の健康状況及び死亡状況を確認し、慣例確認は、動物の腫瘍増殖状況、活動能力、飲食、体重、目、毛髪及びその他の異常行為を含み、腫瘍体積及び体重を週に2回(火曜日と金曜日)測定した。
【0218】
腫瘍増殖に対する化合物の抑制効果は、腫瘍体積と時間との関係により評価したものである。腫瘍体積は、ノギスで測定し、式は、TV=0.5a×b2であり、式中、aは腫瘍の長径、bは腫瘍の短径である。TGIは、溶媒群マウス腫瘍体積の中央値と薬物群マウス腫瘍体積の中央値との差から算出し、溶媒対照群腫瘍体積中央値の百分比で表され、次の式で算出する:
TGI(TGI(%)=[1-(T23-T0)/(V23-V0)]×100)
【0219】
特に説明している場合を除いて、データは、平均数±標準誤差(Mean±SE)で表され、一元配置分散分析(one way ANOVA)検定法で治療群の腫瘍体積を対照群の腫瘍体積と比較して有意差の有無を確認した。P<0.05の場合、有意差があった。5%DMSO+10%ポリエチレングリコール-15ヒドロキシステアリン酸エステル(Solutol)+85%H2Oは、陰性対照であった。実験結果を表24に示す。
【0220】
【0221】
結論:本発明化合物は、腫瘍モデルBa/F3-CCDC6-RETにおいて、優れた腫瘍増殖抑制効果を示した。