(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】フィーダ及び部品実装機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20241119BHJP
【FI】
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2023514220
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(86)【国際出願番号】 JP2021015306
(87)【国際公開番号】W WO2022219714
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓太
(72)【発明者】
【氏名】細井 規生
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-042673(JP,A)
【文献】特開2003-051696(JP,A)
【文献】国際公開第2018/134934(WO,A1)
【文献】特開昭63-177593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が収容されたテープを所定位置へ送り出すフィーダ本体と、
前記フィーダ本体のうち前記テープの送り出し方向の上流側に取り付けられ、前記テープが巻回されたリールを保持するリールホルダと、
を備えたフィーダであって、
前記リールホルダは、前記フィーダ本体に対して前記リールの軸方向に揺動可能に取り付けら
れ、
前記リールホルダは、前記フィーダ本体と上下方向の支持軸を介して取り付けられ、前記リールホルダの両側から前記フィーダ本体を挟み込む板バネを有している、
フィーダ。
【請求項2】
前記リールホルダは、前記フィーダ本体に沿って設けられる支持軸を介して前記フィーダ本体に揺動可能に取り付けられている、
請求項1に記載のフィーダ。
【請求項3】
前記リールホルダは、前記フィーダ本体と弾性体を介して取り付けられてい
る、
請求項1又は2に記載のフィーダ。
【請求項4】
前記弾性体は、板バネであり、前記リールホルダのいずれか一方の面に取り付けられ、一端が前記リールホルダに固定され、他端が前記フィーダ本体に固定されている、
請求項3に記載のフィーダ。
【請求項5】
前記板バネは、一端が前記リールホルダに固定され、他端が前記フィーダ本体に固定されていない、
請求項
1~4のいずれか1項に記載のフィーダ。
【請求項6】
フィーダセット台にセットされた複数のフィーダから供給される部品を採取部材で採取して基板に実装する部品実装機であって、
前記フィーダは、請求項1~
5のいずれか1項に記載のフィーダである、
部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、フィーダ及び部品実装機を開示する。
【背景技術】
【0002】
部品実装機は、フィーダセット台にセットされた複数のフィーダから供給される部品を、ヘッドに備えられた吸着ノズルで吸着して基板に実装する。フィーダセット台は、部品実装機の手前側に配置されている。フィーダは、部品が収容されたテープが巻回されたリールを備えている。フィーダは、テープを所定ピッチで送り出すことにより、部品が吸着ノズルによって吸着されるようにする。こうしたフィーダとしては、フィーダ本体にリールホルダを取り付けたもの(リールホルダ付きフィーダ)が知られている。例えば、特許文献1には、リールホルダとして、上下方向に伸縮可能なガイドレールと、そのガイドレールに取り付けられたホルダ本体とを備えたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のリールホルダ付きフィーダがフィーダセット台にセットされた状態で、リールホルダ付きフィーダを新たにフィーダセット台にセットしようとするとき、隣合うリールホルダをリールの軸方向に押し広げることがある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであり、リールホルダ付きフィーダにおいて、リールホルダをリールの軸方向に押し広げられるようにすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のフィーダは、
部品が収容されたテープを所定位置へ送り出すフィーダ本体と、
前記フィーダ本体のうち前記テープの送り出し方向の上流側に取り付けられ、前記テープが巻回されたリールを保持するリールホルダと、
を備えたフィーダであって、
前記リールホルダは、前記フィーダ本体に対して前記リールの軸方向に揺動可能に取り付けられている、
ものである。
【0007】
このフィーダは、リールホルダ付きフィーダであり、リールホルダは、フィーダ本体に対してリールの軸方向に揺動可能に取り付けられている。そのため、例えば、こうしたフィーダがフィーダセット台に複数並べてセットされた状態で、新たなフィーダをフィーダセット台にセットしようとするときに、隣合うリールホルダを押し広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】フィーダセット台60にフィーダ40をセットする様子を示す斜視図。
【
図3】フィーダセット台60にセットされたフィーダ40の概略を示す側面図。
【
図4】ホルダ本体81を上方位置P1に配置した際のリールホルダ80の斜視図。
【
図5】ホルダ本体81を下方位置P2に配置した際のリールホルダ80の斜視図。
【
図7】リールホルダ80が揺動する様子を示す説明図。
【
図8】部品実装機20の電気的接続を示すブロック図。
【
図9】ホルダ本体81が上方位置P1と下方位置P2に交互に配置されたときの様子を示す斜視図。
【
図10】
図9のB視図(フィーダ40を抜き取るときの様子を示す平面図)。
【
図11】
図9のB視図(フィーダ40を差し込むときの様子を示す平面図)。
【
図12】リールホルダ80が揺動する様子を示す断面図。
【
図13】別例におけるリールホルダ80が揺動する様子を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。
図1は部品実装機20の概略説明図、
図2はフィーダセット台60にフィーダ40をセットする様子を示す斜視図、
図3はフィーダセット台60にセットされたフィーダ40の概略を示す側面図、
図4はホルダ本体81を上方位置P1に配置した際のリールホルダ80の斜視図、
図5はホルダ本体81を下方位置P2に配置した際のリールホルダ80の斜視図、
図6は
図4のA-A断面図、
図7はリールホルダ80が揺動する様子を示す説明図、
図8は部品実装機20の電気的接続を示すブロック図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、各図に示した通りとする。
【0010】
部品実装機20は、基板搬送装置22と、ヘッドユニット30と、パーツカメラ39、フィーダ40と、フィーダセット台60と、実装機コントローラ68とを備えている。
【0011】
基板搬送装置22は、前後に間隔を開けて設けられ左右方向に延びる一対のコンベアベルト26,26(
図1では片方のみ図示)を備えている。基板12は、一対のコンベアベルト26,26の上面に乗せられて左から右へと搬送される。この基板12は、所定の取込位置に到達すると、裏面側に多数立設された支持ピン28によって支持される。
【0012】
ヘッドユニット30は、X軸スライダ32の前面に着脱可能に取り付けられている。X軸スライダ32は、Y軸スライダ34の前面に設けられた左右方向に延びる上下一対のガイドレール34a,34aにスライド可能に取り付けられている。Y軸スライダ34は、前後方向に延びる左右一対のガイドレール36,36にスライド可能に取り付けられている。ヘッドユニット30は、X軸スライダ32が左右方向に移動するのに伴って左右方向に移動し、Y軸スライダ34が前後方向に移動するのに伴って前後方向に移動する。なお、各スライダ32,34は、それぞれ駆動モータ(図示せず)により駆動される。ヘッドユニット30は、ノズル38を備えたヘッド37を有している。ノズル38は、圧力を利用して、ノズル先端に部品を吸着したり、ノズル先端に吸着している部品を離したりするものである。このノズル38は、ヘッドユニット30に搭載された図示しないZ軸ボールネジ機構によって高さ調整が可能となっている。ヘッド37やノズル38は、部品の種類や大きさなどに応じて適宜交換される。
【0013】
パーツカメラ39は、フィーダセット台60と基板搬送装置22との間であって左右方向の長さの略中央にて、撮像方向が上向きとなるように設置されている。このパーツカメラ39は、その上方を通過するノズル38に吸着された部品を撮像し、撮像により得られた画像を実装機コントローラ68へ出力する。
【0014】
フィーダ40は、
図2及び
図3に示すように、リール41と、リールホルダ80と、フィーダ本体43とを備えている。リール41には、長手方向に沿って複数の収容凹部(図示せず)を有するテープ42が巻回されている。各収容凹部には、部品が収容されている。これらの部品は、テープ42の表面を覆うフィルム(図示せず)によって保護されている。
【0015】
リールホルダ80は、リール41を保持する部材であり、フィーダ本体43のうちテープ42の送り出し方向(前から後へ向かう方向)の上流側に取り付けられている。リールホルダ80は、
図7に示すように、フィーダ本体43に対してリール41の軸41aの方向(リール41の軸41aに沿う方向)に揺動可能に取り付けられている。リールホルダ80の詳細については後述する。
【0016】
フィーダ本体43は、リール41から引き出されたテープ42を所定の部品供給位置56へ送り出す。フィーダ本体43の後端面には、上下一対の位置決めピン44,44が設けられ、その一対の位置決めピン44,44の間にコネクタ45が設けられている。フィーダ本体43の下面には、前後方向に延びる断面逆T字形のレール46が設けられている。フィーダ本体43の下面のうちレール46の手前側には、クランプ部材47が設けられている。クランプ部材47は、
図3に示すように、バネ47aにより下面から下方に突出するように付勢されている。クランプ部材47は、フィーダ本体43の前方上面に設けられたクランプレバー48にワイヤ49を介して連結されている。クランプレバー48を操作していない状態では、クランプレバー48はクランプ位置(
図3の実線参照)にあり、クランプ部材47は下面から突出している。このクランプレバー48がクランプ解除位置(
図3の点線参照)に回動されると、クランプ部材47はワイヤ49を介して引っ張られて下面から没入する。テープ送り装置50は、サーボモータ52の動力を、各種ギヤを介してスプロケット54に伝達してスプロケット54を回転させ、スプロケット54に係合されたテープ42を後方へ送り出す。テープ42の収容凹部に収容された部品を覆うフィルムは、所定の部品供給位置56へ到達する前に剥離される。フィーダ本体43は、部品供給位置56の近傍にテープセンサ58を備えている。テープセンサ58は、テープ42を検出するセンサである。フィーダ本体43は、フィーダコントローラ51(
図8参照)を内蔵している。フィーダコントローラ51は、テープセンサ58から検出信号を入力したりテープ送り装置50へ制御信号を出力したりする。
【0017】
フィーダセット台60は、
図2及び
図3に示すように、上面に複数のスロット62を有している。スロット62は、前後方向に延びる断面逆T字溝であり、フィーダ40のレール46が差し込まれるようになっている。スロット62の途中にはクランプ溝67が設けられている。フィーダセット台60は、後端に立壁を有している。この立壁には、各スロット62に対応する位置にコネクタ65が設けられると共に、コネクタ65の上下に位置決め穴64,64が設けられている。フィーダ40のレール46をスロット62の前方から後方へ差し込んでいくと、フィーダ40の下面に設けられたクランプ部材47がクランプ溝67に嵌まり込む。これにより、フィーダ40は、スロット62に縦置き状態に支持されると共に、クランプ部材47とクランプ溝67とによって前後方向の位置が決まる。また、フィーダ40の位置決めピン44,44がフィーダセット台60の位置決め穴64,64に嵌まり込むと共に、フィーダ40のコネクタ45がフィーダセット台60のコネクタ65に電気的に接続される。これにより、フィーダ40には、部品実装機20から電源が供給される。また、
図8に示すように、フィーダコントローラ51は、実装機コントローラ68と双方向通信可能になる。
【0018】
リールホルダ80は、
図3~
図5に示すように、ホルダ本体81と、スライダ82と、テープ押圧部材83と、移動機構90と、ダクト86とを備える。
図3には、ダクト86の図示を省略した。
【0019】
ホルダ本体81は、リール41を回転可能に保持する部材である。リール41は、軸41aを中心として回転可能に保持されている。軸41aの方向は、左右方向と一致している。ホルダ本体81は、スライダ82にネジで固定されて一体化されている。
図7に示すように、リール41を保持しているホルダ本体81の幅d2は、フィーダ本体43の幅d1よりも広い。
【0020】
スライダ82は、ホルダ本体81を上下方向に移動させる略四角形状の部材である。スライダ82の後端面には、T字の断面形状を有する上下方向の長溝82aが形成されている。また、スライダ82の後端面には、凹部82bが形成されている。
【0021】
テープ押圧部材83は、スライダ82と一体化された略半円形の板材である。テープ押圧部材83は、略円弧状の押圧部83aを有する。押圧部83aは、ホルダ本体81に保持されたリール41からフィーダ本体43へ向かって送り出されたテープ42を、上方から押圧する。
【0022】
移動機構90は、ホルダ本体81及びテープ押圧部材83と一体化されたスライダ82を、
図5に示すように上方位置P1(1点鎖線で示す位置)と下方位置P2(実線で示す位置)との間で、上下動可能に支持する機構である。なお、上方位置P1に配置されているホルダ本体81を上方側のホルダ本体81と称し、下方位置P2に配置されているホルダ本体81を下方側のホルダ本体81と称するものとする。移動機構90は、ガイドレール84と、レール支持体85とを備える。
【0023】
ガイドレール84は、やや傾いた状態で上下方向に延びるリニアレールであり、ホルダ本体81及びテープ押圧部材83と一体化されたスライダ82を上下動可能に支持する。ガイドレール84は、
図6に示すように、全体としてはH字の断面形状であり、T字の断面形状を有する前方部分84aとT字の断面形状を有する後方部分84bとを備える。ガイドレール84の前方部分84aは、スライダ82の長溝82aに嵌り込んでいる。これにより、スライダ82は、ガイドレール84に沿って上下方向に摺動可能となっている。
【0024】
レール支持体85は、スライダ82と略同じ厚さの板状部材であり、フィーダ本体43に上下動不能に支持されている。レール支持体85の前端面には、T字の断面形状を有する上下方向のレール溝85aが形成されている。ガイドレール84の後方部分84bは、レール溝85aに挿入されている。これにより、ガイドレール84は、レール溝85aに沿って上下方向に摺動可能となっている。また、レール支持体85は、
図4及び
図5に示すようにロック部材89を備えている。ロック部材89は、凹部82bに対応する形状の爪部89aを備えている。爪部89aは、前方のスライダ82に向かって図示しないバネによって付勢されている。
【0025】
ダクト86は、
図4及び
図5に示すように、レール支持体85を左右から挟むように設けられた一対の金属薄板88,88からなり、レール支持体85にネジで固定されている。そのため、ダクト86は、スライダ82の移動にかかわらず同じ高さに保持される。また、一対の金属薄板88,88の間にはスペースSが形成されている。このスペースSには、上方位置P1に配置されたスライダ82が収納される。下方位置P2にスライダ82が配置されているときには、このスペースSは空洞になる。
【0026】
ここで、レール支持体85について、更に詳しく説明する。レール支持体85は、フィーダ本体43の上方及び下方支持軸91,92を介して左右方向(リール41の軸41aの方向)に揺動可能に取り付けられている。上方支持軸91は、フィーダ本体43にネジ止めされていて、レール支持体85の上面に差し込まれている。下方支持軸92は、フィーダ本体43の下面前方にネジ止めされた舌状のブラケット93の上面に固定されていて、レール支持体85の下面に差し込まれている。レール支持体85に固定された金属薄板88には、後方に延び出す略矩形状の板バネ部88aが一体に形成されている。板バネ部88aの前端は、金属薄板88と一体化されていてレール支持体85に固定されている。板バネ部88aの後端は、フィーダ本体43に当接しているが固定されていない。本実施形態では、板バネ部88aの後端は、L字状に折り曲げられてフィーダ本体43に設けられた上下方向の長溝43aに引っ掛けられている。レール支持体85はリールホルダ80の構成要素である。そのため、レール支持体85がフィーダ本体43に対して左右方向に揺動可能に取り付けられているということは、結果的に、リールホルダ80がフィーダ本体43に対して左右方向に揺動可能に取り付けられていることになる。
【0027】
実装機コントローラ68は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種プログラムを記憶するROM、各種データを記憶するストレージ、作業領域として用いられるRAMなどを備えている。これらは、図示しないバスを介して電気的に接続されている。また、実装機コントローラ68は、基板搬送装置22やX軸スライダ32、Y軸スライダ34、Z軸ボールネジ機構などへ制御信号を出力可能なように接続されると共に、パーツカメラ39から画像を入力可能なように接続されている。
【0028】
次に、部品実装機20の動作について説明する。部品実装機20の実装機コントローラ68は、生産ジョブに基づいて、基板搬送装置22やX軸スライダ32、Y軸スライダ34、Z軸ボールネジ機構、パーツカメラ39などを制御して複数の部品が実装された基板12を生産する。具体的には、実装機コントローラ68は、各フィーダ40によって供給される部品をノズル38に吸着させ、パーツカメラ39にその部品を撮像させ、撮像された画像に基づいて補正を行い、その後、ノズル38に吸着された部品が基板12上に順次実装されるように制御する。
【0029】
次に、作業者がリールホルダ80のホルダ本体81を上方位置P1と下方位置P2との間で移動させる場合について、
図5に基づいて説明する。ホルダ本体81を下方位置P2から上方位置P1に移動する場合には、作業者は、ホルダ本体81及びテープ押圧部材83と一体になったスライダ82をガイドレール84に沿って上方へ移動させつつ、ガイドレール84をレール支持体85のレール溝85aに沿って移動させてレール溝85aに収納する。すると、レール支持体85に設けられたロック部材89の爪部89aがバネの弾性力でスライダ82の凹部82bと係止し、スライダ82の動きをロックする。これにより、ホルダ本体81は上方位置P1に配置される。一方、ホルダ本体81を上方位置P1から下方位置P2に移動する場合には、作業者は、ロック部材89を摘まんで爪部89aを凹部82bから外し、スライダ82をガイドレール84に沿って下方へ移動させつつ、ガイドレール84をレール支持体85のレール溝85aから下方に伸ばす。これにより、ホルダ本体81は下方位置P2に配置される。
【0030】
このようにして、ホルダ本体81、スライダ82及びテープ押圧部材83が下方位置P2に配置された場合、
図5に示すように、テープ押圧部材83は、リール41からフィーダ本体43まで送り出されたテープ42が、ホルダ本体存在領域R1を通らないように、テープ42を押圧する。ホルダ本体存在領域R1とは、ホルダ本体81、スライダ82及びテープ押圧部材83が上方位置P1に配置されたとしたならば、ホルダ本体81が存在するはずの領域をいう。また、ホルダ本体81、スライダ82及びテープ押圧部材83が下方位置P2に配置された場合に、テープ押圧部材83は、リール41からフィーダ本体43まで送り出されたテープ42が、ダクト86の空になったスペースS(スライダ存在領域R2)を通るように、テープ42を押圧する。スライダ存在領域R2とは、ホルダ本体81、スライダ82及びテープ押圧部材83が上方位置P1に配置されたとしたならば、スライダ82が存在するはずの領域をいう。
【0031】
次に、何らかの理由により、あるフィーダ40(抜取対象のフィーダ40と称する)を別のフィーダ40(差込対象のフィーダ40と称する)に差し替える必要が生じたときの交換作業について説明する。
図9はホルダ本体81が上方位置P1と下方位置P2に交互に配置されたときの様子を示す斜視図、
図10は
図9のB視図(フィーダ40を抜き取るときの様子を示す平面図)、
図11は
図9のB視図(フィーダ40を差し込むときの様子を示す平面図)である。ここでは、フィーダ40は、フィーダセット台60の全てのスロット62にセットされているものとする。また、
図9に示すように、上方位置P1にホルダ本体81が配置されたフィーダ40と、下方位置P2にホルダ本体81が配置されたフィーダ40とが、左右方向に交互に並べられているものとする。
【0032】
まず、作業者は、
図10に示すように、抜取対象のフィーダ40をスロット62から抜き取る。具体的には、作業者は、抜取対象のフィーダ40のクランプレバー48をクランプ解除位置に回動してクランプを解除したあと、そのフィーダ40を手前に引き抜く。これにより、抜取対象のフィーダ40がセットされていたスロット62は、空きスロット62になる。
図10では、抜取対象のフィーダ40は、ホルダ本体81が上方位置P1に配置されたものを例示した。
【0033】
次に、作業者は、
図11に示すように、その空きスロット62に差込対象のフィーダ40を差し込んでセットする。ここでは、差込対象のフィーダ40は、引抜対象のフィーダ40とホルダ本体81の位置が同じもの(
図11ではホルダ本体81が上方位置P1に配置されたもの)を用意する。作業者は、差込対象のフィーダ40を、左右両側の上方位置P1に配置されたホルダ81の間を通すようにして空きスロット62に差し込み、クランプレバー48をクランプ位置まで回動させてクランプする。これにより、交換作業が終了する。
【0034】
作業者は、抜取対象のフィーダ40をスロット62から抜き取ったり、差込対象のフィーダ40を空きスロット62に差し込んだりする場合、抜取対象や差込対象のフィーダ40の近くにある上方位置P1に配置されたホルダ本体81を左右方向に押すことがある(
図10及び
図11の黒色矢印参照)。リールホルダ80は、上方位置P1に配置されたホルダ本体81に外力が加えられていない状態では、
図12Aに示すように、フィーダ本体43を両側から挟み込む板バネ部88a,88aの作用によって、フィーダ本体43と前後方向に一直線に並んだ姿勢になる。このときのリールホルダ80の位置を基本ポジションという。ホルダ本体81が左方向へ押されると、
図12Bに示すように、そのホルダ本体81を備えたリールホルダ80は上方及び下方支持軸91,92を中心としてフィーダ本体43に対して左方向へ揺動する。このとき、右側の板バネ部88aの後端はフィーダ本体43から離間し、左側の板バネ部88aは弾性変形する。作業者がホルダ本体81から手を離すと、フィーダ40は板バネ部88aの弾性力によって
図12Aの基本ポジションに戻る。ホルダ本体81が右方向へ押されると、
図12Cに示すように、そのホルダ本体81を備えたリールホルダ80は上方及び下方支持軸91,92を中心としてフィーダ本体43に対して右方向へ揺動する。このとき、左側の板バネ部88aの後端はフィーダ本体43から離間し、右側の板バネ部88aは弾性変形する。作業者がホルダ本体81から手を離すと、フィーダ40は板バネ部88aの弾性力によって
図12Aの基本ポジションに戻る。
【0035】
以上説明したフィーダ40では、リールホルダ80は、フィーダ本体43に対してリール41の軸41aの方向(本実施形態では左右方向)に揺動可能に取り付けられている。そのため、上述したようにフィーダ40がフィーダセット台60に複数並べてセットされた状態で、差込対象のフィーダ40をフィーダセット台60にセットしようとするときに、隣合うリールホルダを押し広げることができる。また、隣合うリールホルダ80を左右方向に過剰に押したとしても、リールホルダ80がフィーダ本体43に対して左右方向に揺動する。したがって、リールホルダ80とフィーダ本体43との間で破損するのを防止することができる。
【0036】
また、リールホルダ80は、フィーダ本体43に沿って(本実施形態では上下方向に)設けられた上方及び下方支持軸91,92を介してフィーダ本体43に取り付けられているため、上方及び下方支持軸91,92を中心として揺動することができる。
【0037】
更に、リールホルダ80は、左右両側の板バネ部88aを介してフィーダ本体43に取り付けられている。そのため、リールホルダ80は、外力が加えられていない状態では両側の板バネ部88aによって基本ポジション(
図12A参照)で支持される。また、リールホルダ80は、左右方向に外力が加えられると、板バネ部88aが弾性変形して左右方向に揺動し、外力が取り除かれると、板バネ部88aの弾性によって元の基本ポジションに復帰する。
【0038】
更にまた、リールホルダ80は上方及び下方支持軸91,92を介して取り付けられているため、板バネ部88aによって絶えず同じ基本ポジションで支持される。基本ポジションでは、フィーダ本体43とリールホルダ80とは前後方向に一直線に並んだ姿勢になるため、作業者はリールホルダ80に対して作業しやすい。
【0039】
そして、左右両側の板バネ部88a,88aは、いずれも、前端がリールホルダ80のレール支持体85にネジで固定され、後端がフィーダ本体43に固定されていない。そのため、フィーダ本体43に対してリールホルダ80が左右のいずれか一方に押圧されたときには、該一方の板バネ部88aはフィーダ本体43に当接したまま弾性変形し、もう一方の板バネ部88aはフィーダ本体43から離れる。その結果、小さな外力によっても板バネ部88aが弾性変形しやすくなるため、より破損しにくくなる。本実施形態では、板バネ部88a,88aの後端は、フィーダ本体43に固定されてはいないものの、リールホルダ80をフィーダ本体43に支持可能となっていることが好ましい。
【0040】
そしてまた、テープ押圧部材83はリール41がテープ42によって上方に引っ張られるのを抑える。したがって、リール41が浮くことを防止することができる。また、ホルダ本体81が下方位置P2に配置された場合に、リール41から送り出されてフィーダ本体43に至るテープ42が、ホルダ本体存在領域R1を通らないように(ダクト86のスペースSを通るように)、テープ42を押圧する。そのため、フィーダセット台60にフィーダ40が所定方向に複数並べてセットされて、ホルダ本体81が上方位置P1と下方位置P2とに交互に配置された場合には、下方位置P2に配置されたホルダ本体81に保持されるリール41からフィーダ本体43へ向かうテープ42は、上方位置P1に配置されたホルダ本体81同士の間を通らない。したがって、上方側のホルダ本体81同士の間隔D(
図10参照)をテープ42の幅よりも広くなるように設定する必要がなく、フィーダセット台60に従来よりも多くのフィーダ40をセットすることができる。また、フィーダ40を交換するときの作業性も良好になる。更に、下方側のホルダ本体81に保持されるリール41からフィーダ本体43に向かうテープ42はダクト86により保護されるため、テープ42の横ずれが防止される。
【0041】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0042】
上述した実施形態では、左右両側の金属薄板88に板バネ部88aを設けたが、左右いずれか一方の金属薄板88のみに板バネ部88aを設けてもよい。
【0043】
上述した実施形態では、金属薄板88は板バネ部88aと一体化させたが、金属薄板88と板バネ部88aとをそれぞれ別々の部材としてもよい。その場合、板バネの代わりに他の弾性体を用いてもよい。
【0044】
上述した実施形態では、上方及び下方支持軸91,92を介してリールホルダ80をフィーダ本体43に取り付けると共に、リールホルダ80に取り付けた一対の板バネ部88aによってフィーダ本体43を挟み込むようにしたが、上方及び下方支持軸91,92を省略してもよい。その場合、リールホルダ80は一対の板バネ部88aの後端がフィーダ本体43の長溝43aに入りこむことによってフィーダ本体43に支持されるようにしてもよい。また、上方及び下方支持軸91,92を省略する場合、
図13Aに示すように、板バネ部88aを左右いずれか一方(
図13では左側)に設けて、その板バネ部88aの前端をリールホルダ80の側面に固定し、板バネ部88aの後端をフィーダ本体43の側面に固定してもよい。このようにすれば、一枚の板バネ部88aであっても、
図13B及び
図13Cに示すように、リールホルダ80がフィーダ本体43に対して左右方向に揺動するのを許容できるし、リールホルダ80に外力が加われなければ、リールホルダ80を
図13Aの基本ポジションに維持することができる。なお、上方及び下方支持軸91,92を省略する場合、板バネ部88aを左右両側に設けてもよいが、そうするとリールホルダ80がリジッドになりすぎて容易に揺動しなくなる場合がある。そのような場合には、
図13のように板バネ部88aを左右いずれか一方に設けるのが好ましい。
【0045】
上述した実施形態では、板バネ部88aの前端をリールホルダ80に固定し、板バネ部88aの後端をフィーダ本体43に固定しなかったが、板バネ部88aの後端をフィーダ本体43に固定してもよい。しかし、そうするとリールホルダ80がリジッドになりすぎて容易に揺動しなくなる場合がある。そのような場合には、上述した実施形態のように板バネ部88aの後端をフィーダ本体43に固定しないようにするのが好ましい。
【0046】
上述した実施形態では、金属薄板88の一部を板バネ部88aとして用いたが、板バネ部88aを省略してもよい。その場合でも、リールホルダ80は上方及び下方支持軸91,92を介してフィーダ本体43に揺動可能に支持されているため、ホルダ本体81が左右に押されたとしてもリールホルダ80とフィーダ本体43との間で破損するおそれはないという効果は得られる。
【0047】
上述した実施形態では、スライダ82を利用してホルダ本体81を上方位置P1と下方位置P2との間で移動可能な構成を採用したが、ホルダ本体81が上方位置P1で固定された構成を採用してもよい。
【0048】
上述した実施形態では、テープ押圧部材83を採用したが、テープ押圧部材83を採用しなくてもよい。
【0049】
上述した実施形態では、採取部材としてノズルを例示したが、部品を採取可能な部材であれば特にノズルに限定されない。例えば、ノズルの代わりに爪で部品を挟んで保持するメカニカルチャックやロボットハンドなどを採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、フィーダから供給される部品を基板上に実装する作業を行う各種産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
12 基板、20 部品実装機、22 基板搬送装置、26 コンベアベルト、28 支持ピン、30 ヘッドユニット、32 X軸スライダ、34 Y軸スライダ、34a ガイドレール、36 ガイドレール、37 ヘッド、38 ノズル、39 パーツカメラ、40 フィーダ、41 リール、41a 軸、42 テープ、43 フィーダ本体、43a 長溝、44 位置決めピン、45 コネクタ、46 レール、47 クランプ部材、47a バネ、48 クランプレバー、49 ワイヤ、50 テープ送り装置、51 フィーダコントローラ、52 サーボモータ、54 スプロケット、56 部品供給位置、58 テープセンサ、60 フィーダセット台、62 スロット、64 位置決め穴、65 コネクタ、67 クランプ溝、68 実装機コントローラ、80 リールホルダ、81 ホルダ本体、82 スライダ、82a 長溝、82b 凹部、83 テープ押圧部材、83a 押圧部、84 ガイドレール、84a 前方部分、84b 後方部分、85 レール支持体、85a レール溝、86 ダクト、88 金属薄板、88a 板バネ部、89 ロック部材、89a 爪部、90 移動機構、91 上方支持軸、92 下方支持軸、93 ブラケット、P1 上方位置、P2 下方位置、R1 ホルダ本体存在領域、R2 スライダ存在領域、S スペース。