(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】バッテリパック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/242 20210101AFI20241119BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20241119BHJP
H01M 10/658 20140101ALI20241119BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20241119BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20241119BHJP
【FI】
H01M50/242
H01M10/625
H01M10/658
H01M50/204 401H
H01M50/249
H01M50/291
H01M50/293
(21)【出願番号】P 2023516781
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 KR2022002701
(87)【国際公開番号】W WO2022220396
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-03-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0047658
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンソク・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ドンヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】セウン・リム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンスク・イ
【審査官】佐宗 千春
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112531246(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0004189(KR,A)
【文献】英国特許出願公開第02304451(GB,A)
【文献】中国実用新案第212751062(CN,U)
【文献】特表2021-507483(JP,A)
【文献】中国実用新案第210706377(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-298
10/52-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って整列される第1バッテリモジュール及び第2バッテリモジュールと、
前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールの間に設けられるクラッシュビームユニットと、
前記第1バッテリモジュール、前記第2バッテリモジュール及び前記クラッシュビームユニットを内部に収容するハウジングと、を含み、
前記クラッシュビームユニットは、前記第1バッテリモジュールと対面する第1断熱パッド及び前記第2バッテリモジュールと対面する第2断熱パッドを含
み、
前記クラッシュビームユニットは、
一側面に前記第1断熱パッドが付着される第1フレーム部と、
一側面が前記第1フレーム部の他側面と対面し、他側面に前記第2断熱パッドが付着される第2フレーム部と、をさらに含み、
前記第1フレーム部と前記第2フレーム部は、前記第1フレーム部の前記他側面と前記第2フレーム部の前記一側面とを互いに離隔して結合し、
前記第1フレーム部は、前記第1方向に対して垂直な平面のプレートで形成された第1胴体部を含み、前記第1胴体部には、前記第1断熱パッドが結合され、前記第1断熱パッドと対面する前記第1胴体部の一部領域には第1凹部が形成され、
前記第2フレーム部は、前記第1方向に対して垂直な平面のプレートで形成された第2胴体部を含み、前記第2胴体部には、前記第2断熱パッドが結合され、前記第2断熱パッドと対面する前記第2胴体部の一部領域には第2凹部が形成され、
前記第1凹部と前記第2凹部は、互いに対面する位置に形成される、バッテリパック。
【請求項2】
前記第1断熱パッドまたは前記第2断熱パッドは、雲母シート層と、セラミック製紙層と、を含む、請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項3】
前記第1断熱パッドまたは前記第2断熱パッドは、2つの雲母シート層の間に前記セラミック製紙層が積層されて形成される、請求項2に記載のバッテリパック。
【請求項4】
前記2つの雲母シート層の厚さは、0.05~0.5mmであり、
前記セラミック製紙層の厚さは、1~5mmである、請求項3に記載のバッテリパック。
【請求項5】
前記第1方向が上下方向に対して垂直であり、
前記第1方向及び前記上下方向に対して垂直な方向を第2方向とする時、
前記第1フレーム部は
、
前記第1胴体部の前記第2方向上の両端部からそれぞれ突設される一対の第1羽根部を含み、
前記一対の第1羽根部は、前記ハウジングの内側面に結合される、請求項
1から4のいずれか一項に記載のバッテリパック。
【請求項6】
第1方向に沿って整列される第1バッテリモジュール及び第2バッテリモジュールと、
前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールの間に設けられるクラッシュビームユニットと、
前記第1バッテリモジュール、前記第2バッテリモジュール及び前記クラッシュビームユニットを内部に収容するハウジングと、を含み、
前記クラッシュビームユニットは、前記第1バッテリモジュールと対面する第1断熱パッド及び前記第2バッテリモジュールと対面する第2断熱パッドを含み、
前記クラッシュビームユニットは、
一側面に前記第1断熱パッドが付着される第1フレーム部と、
一側面が前記第1フレーム部の他側面と対面し、他側面に前記第2断熱パッドが付着される第2フレーム部と、をさらに含み、
前記第1フレーム部と前記第2フレーム部は、前記第1フレーム部の前記他側面と前記第2フレーム部の前記一側面とを互いに離隔して結合し、
前記第1方向が上下方向に対して垂直であり、
前記第1方向及び前記上下方向に対して垂直な方向を第2方向とする時、
前記第1フレーム部は、
前記第1方向に対して垂直な平面のプレートで形成された第1胴体部と、
前記第1胴体部の前記第2方向上の両端部からそれぞれ突設される一対の第1羽根部と、を含み、
前記一対の第1羽根部は、前記ハウジングの内側面に結合され、
前記第2フレーム部は、
前記第1方向に対して垂直な平面のプレートで形成された第2胴体部と、
前記第2胴体部の前記第2方向上の両端部からそれぞれ突設される一対の第2羽根部と、を含み、
前記第1羽根部の端部は、前記第1方向に折り曲げられて第1結合領域として形成され、
前記第2羽根部は、前記第1結合領域に結合される
、バッテリパック。
【請求項7】
第1方向に沿って整列される第1バッテリモジュール及び第2バッテリモジュールと、
前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールの間に設けられるクラッシュビームユニットと、
前記第1バッテリモジュール、前記第2バッテリモジュール及び前記クラッシュビームユニットを内部に収容するハウジングと、を含み、
前記クラッシュビームユニットは、前記第1バッテリモジュールと対面する第1断熱パッド及び前記第2バッテリモジュールと対面する第2断熱パッドを含み、
前記クラッシュビームユニットは、
一側面に前記第1断熱パッドが付着される第1フレーム部と、
一側面が前記第1フレーム部の他側面と対面し、他側面に前記第2断熱パッドが付着される第2フレーム部と、をさらに含み、
前記第1フレーム部と前記第2フレーム部は、前記第1フレーム部の前記他側面と前記第2フレーム部の前記一側面とを互いに離隔して結合し、
前記第1方向が上下方向に対して垂直であり、
前記第1方向及び前記上下方向に対して垂直な方向を第2方向とする時、
前記第1フレーム部は、
前記第1方向に対して垂直な平面のプレートで形成された第1胴体部と、
前記第1胴体部の前記第2方向上の両端部からそれぞれ突設される一対の第1羽根部と、を含み、
前記一対の第1羽根部は、前記ハウジングの内側面に結合され、
前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールと共に前記第1方向に沿って整列される第3バッテリモジュール及び第4バッテリモジュールと、
前記第1バッテリモジュールの上部に位置する第5バッテリモジュールと、
前記第3バッテリモジュールの上部に位置する第6バッテリモジュールと、をさらに含み、
前記第1バッテリモジュールの一側面が前記第3バッテリモジュールに密着され、
前記第1バッテリモジュールの他側面が前記第1断熱パッドに密着され、
前記第2バッテリモジュールの一側面が前記第2断熱パッドに密着され、
前記第2バッテリモジュールの他側面が前記第4バッテリモジュールに密着される
、バッテリパック。
【請求項8】
前記第1バッテリモジュール及び前記第3バッテリモジュールの上端部に積層されるクラッシュレイヤをさらに含み、
前記第5バッテリモジュール及び前記第6バッテリモジュールは、前記クラッシュレイヤの上部面に積層される、請求項
7に記載のバッテリパック。
【請求項9】
前記クラッシュレイヤは、
上面が前記第5バッテリモジュール及び前記第6バッテリモジュールの下端部に結合される第1レイヤと、
底面が前記第1バッテリモジュール及び前記第3バッテリモジュールの上端部に結合される第2レイヤと、を含み、
前記第1レイヤの底面と前記第2レイヤの上面とが離隔した状態で前記第1レイヤと前記第2レイヤは結合される、請求項
8に記載のバッテリパック。
【請求項10】
前記第1フレーム部は、前記第1胴体部の上端から突出する支持部をさらに含み、
前記支持部は、前記クラッシュレイヤと結合される、請求項
8又は
9に記載のバッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年4月13日付の大韓民国特許出願10-2021-0047658号に基づいた優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の文献に開示されたあらゆる内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、バッテリパックに係り、内蔵された複数のバッテリモジュール間の衝撃及び熱伝達を最小化して、爆発を防止または縮小させるためのバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0003】
バッテリパックは、電気自動車などで多様な分野で活用されており、移動手段または移動可能な装置に活用されるために、バッテリパックが適用される環境は、バッテリパックに持続的に衝撃を伝達することができ、バッテリパックの自体発熱または周囲から伝達される熱によってバッテリパックが爆発する事故が発生する。
【0004】
複数のバッテリセル(battery cell)が集まって形成されたバッテリモジュール(battery module)を形成し、バッテリパック(battery pack)には、複数のバッテリモジュールが内蔵される。このような構造は、多数のバッテリセルを安全かつ効率的に管理するためのものである。
【0005】
バッテリパックに内蔵された複数のバッテリモジュールが同時発火する場合、強い爆発が発生し、大きな事故に繋がる。
【0006】
したがって、バッテリパックに内蔵されたバッテリモジュール間の熱または振動のような衝撃の伝達を遮断または遅延させて、バッテリパックで発生する事故を予め遮断するか、事故の規模を最小化させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、バッテリパックに関するものであって、内蔵された複数のバッテリモジュール間の衝撃及び熱伝達を最小化して、爆発を防止または縮小させるためのバッテリパックを提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のバッテリパックは、第1方向に沿って整列される第1バッテリモジュール及び第2バッテリモジュール、前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールの間に設けられるクラッシュビームユニット、及び前記第1バッテリモジュール、前記第2バッテリモジュール及び前記クラッシュビームユニットを内部に収容するハウジング、を含み、前記クラッシュビームユニットは、前記第1バッテリモジュールと対面する第1断熱パッド及び前記第2バッテリモジュールと対面する第2断熱パッドを含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のバッテリパックは、断熱パッドが備えられたクラッシュビーム(crush beam)をバッテリモジュールの間に設けることにより、バッテリモジュール間の衝撃及び熱伝達を抑制して、1つのバッテリモジュールが発熱または爆発しても、周囲のバッテリモジュールが連鎖爆発することを防止または遅延させることができる。
【0011】
本発明のバッテリパックは、熱と振動とが持続的に発生する環境でも、安定して駆動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のバッテリパックを示す概念図である。
【
図2】クラッシュビームユニットを示す斜視図である。
【
図5】本発明のバッテリパックの他の実施形態を示す概念図である。
【
図7】第1断熱パッド及び第2断熱パッドが備えられていないバッテリパックで各バッテリモジュールの経時的な温度を示すグラフである。
【
図8】第1断熱パッド及び第2断熱パッドが備えられたバッテリパックで各バッテリモジュールの経時的な温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のバッテリパックは、第1方向に沿って整列される第1バッテリモジュール及び第2バッテリモジュール、前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールの間に設けられるクラッシュビームユニット、及び前記第1バッテリモジュール、前記第2バッテリモジュール及び前記クラッシュビームユニットを内部に収容するハウジング、を含み、前記クラッシュビームユニットは、前記第1バッテリモジュールと対面する第1断熱パッド及び前記第2バッテリモジュールと対面する第2断熱パッドを含むものである。
【0014】
本発明のバッテリパックで、前記第1断熱パッドまたは前記第2断熱パッドは、雲母シート(mica sheet)層と、セラミック製紙層と、を含むものである。
【0015】
本発明のバッテリパックで、前記第1断熱パッドまたは前記第2断熱パッドは、2つの雲母シート層の間に前記セラミック製紙層が積層されて形成されるものである。
【0016】
本発明のバッテリパックで、前記2つの雲母シート層の厚さは、0.05~0.5mmであり、前記セラミック製紙層の厚さは、1~5mmでもある。
【0017】
本発明のバッテリパックで、前記クラッシュビームユニットは、一側面に前記第1断熱パッドが付着される第1フレーム部、及び一側面が前記第1フレーム部の他側面と対面し、他側面に前記第2断熱パッドが付着される第2フレーム部、をさらに含み、前記第1フレーム部と前記第2フレーム部は、前記第1フレーム部の前記他側面と前記第2フレーム部の前記一側面とを互いに離隔して結合するものである。
【0018】
本発明のバッテリパックで、前記第1方向が上下方向に対して垂直であり、前記第1方向及び前記上下方向に対して垂直な方向を第2方向とする時、前記第1フレーム部は、前記第1方向に対して垂直な平面のプレートで形成された第1胴体部と、前記第1胴体部の前記第2方向上の両端部からそれぞれ突設される一対の第1羽根部と、を含み、前記一対の第1羽根部は、前記ハウジングの内側面に結合されるものである。
【0019】
本発明のバッテリパックで、前記第2フレーム部は、前記第1方向に対して垂直な平面のプレートで形成された第2胴体部と、前記第2胴体部の前記第2方向上の両端部からそれぞれ突設される一対の第2羽根部と、を含み、前記第1羽根部の端部は、前記第1方向に折り曲げられて第1結合領域として形成され、前記第2羽根部は、前記第1結合領域に結合されるものである。
【0020】
本発明のバッテリパックは、前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールと共に前記第1方向に沿って整列される第3バッテリモジュール及び第4バッテリモジュール、前記第1バッテリモジュールの上部に位置する第5バッテリモジュール、及び前記第3バッテリモジュールの上部に位置する第6バッテリモジュール、をさらに含むものである。
【0021】
本発明のバッテリパックで、前記第1バッテリモジュールの一側面が前記第3バッテリモジュールに密着され、前記第1バッテリモジュールの他側面が前記第1断熱パッドに密着され、前記第2バッテリモジュールの一側面が前記第2断熱パッドに密着され、前記第2バッテリモジュールの他側面が前記第4バッテリモジュールに密着されるものである。
【0022】
本発明のバッテリパックは、前記第1バッテリモジュール及び前記第3バッテリモジュールの上端部に積層されるクラッシュレイヤをさらに含み、前記第5バッテリモジュール及び前記第6バッテリモジュールは、前記クラッシュレイヤの上部面に積層されるものである。
【0023】
本発明のバッテリパックで、前記クラッシュレイヤは、上面が前記第5バッテリモジュール及び前記第6バッテリモジュールの下端部に結合される第1レイヤと、底面が前記第1バッテリモジュール及び前記第3バッテリモジュールの上端部に結合される第2レイヤと、を含み、前記第1レイヤの底面と前記第2レイヤの上面とが離隔した状態で前記第1レイヤと前記第2レイヤは結合されるものである。
【0024】
本発明のバッテリパックで、前記第1フレーム部は、前記第1胴体部の上端から突出する支持部をさらに含み、前記支持部は、前記クラッシュレイヤと結合されるものである。
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明による実施例を詳しく説明する。この過程で図面に示された構成要素の大きさや形状などは、説明の明瞭性と便宜上、誇張して示されうる。また、本発明の構成及び作用を考慮して特別に定義された用語は、ユーザ、運用者の意図または慣例によって変わりうる。このような用語に対する定義は、本明細書の全般に亘った内容に基づいて下されなければならない。
【0026】
本発明の説明において、留意しなければならない点は、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内側」、「外側」、「一面」、「他面」などが指示した方位または位置関係は図面で示す方位または位置関係、または、通常、本発明の製品使用時に配置する方位または位置関係に基づいたものであり、単に本発明の説明と簡略な説明のためのものであり、表示された装置または素子が、必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構成されるか、操作されなければならないということを提示または暗示するものではないので、本発明を制限すると理解してはならない。
【0027】
図1は、本発明のバッテリパックを示す概念図である。
図2は、クラッシュビームユニットを示す斜視図である。
図3は、第1断熱パッド230を示す斜視図である。
図4は、
図2のA-A断面を示す断面図である。
図5は、本発明のバッテリパックの他の実施形態を示す概念図である。
図6は、
図2のB-B断面を示す断面図である。
図7は、第1断熱パッド230及び第2断熱パッド240が備えられていないバッテリパックで各バッテリモジュールの経時的な温度を示すグラフである。
図8は、第1断熱パッド230及び第2断熱パッド240が備えられたバッテリパックで各バッテリモジュールの経時的な温度を示すグラフである。
【0028】
以下、
図1ないし
図8を参照して、本発明のバッテリパックについて詳しく説明する。
【0029】
図1及び
図2に示したように、本発明のバッテリパックは、第1方向に沿って整列される第1バッテリモジュール110及び第2バッテリモジュール120、前記第1バッテリモジュール110及び前記第2バッテリモジュール120の間に設けられるクラッシュビームユニット200、及び前記第1バッテリモジュール110、前記第2バッテリモジュール120及び前記クラッシュビームユニット200を内部に収容するハウジング300、を含み、前記クラッシュビームユニット200は、前記第1バッテリモジュール110と対面する第1断熱パッド230及び前記第2バッテリモジュール120と対面する第2断熱パッド240を含むものである。
【0030】
バッテリモジュールは、バッテリセルを外部衝撃と熱、振動などから保護するために、一定数束ねてフレームに組み込んだものである。
【0031】
バッテリセルは、電気エネルギーを充電または放電して使用することができるバッテリの基本単位であって、正極、負極、分離膜及び電解液が電池ケースに収容されて製造されたものである。
【0032】
バッテリパックは、電気自動車などに装着されるバッテリシステムの最終形態である。バッテリパックには、複数のバッテリモジュールと共にBMS(battery management system)、冷却システムなど各種の制御及び保護システムが備えられうる。
【0033】
本発明のバッテリパックは、複数のバッテリモジュールを含み、複数のバッテリモジュールが第1方向に沿って整列された状態でハウジング300内に収容され、整列された複数のバッテリモジュールの1つを第1バッテリモジュール110とし、第1バッテリモジュール110に隣接したバッテリモジュールを第2バッテリモジュール120とする時、第1バッテリモジュール110と第2バッテリモジュール120との間には、第1断熱パッド230及び第2断熱パッド240を備えたクラッシュビームユニット200が挿入される。
【0034】
前記第1方向は、
図1ないし
図6でx軸方向である。後述する第2方向は、
図1ないし
図6でy軸方向であり、上下方向は、z軸方向である。本発明のバッテリパックで、バッテリセルは、第1方向に対して垂直な平面状に設けられ、バッテリモジュール内には、それぞれのバッテリセルの面が互いに対面するように第1方向に沿って複数のバッテリセルが積層された形態で内蔵される。クラッシュビームユニット200は、第1方向上で複数設けられるバッテリモジュールの間に配されて衝撃を緩和させることができる。
【0035】
図3に示したように、前記第1断熱パッド230または前記第2断熱パッド240は、雲母シート層と、セラミック製紙層233と、を含むものである。
【0036】
雲母シートは、電気絶縁性及び耐熱性を有するシートであって、約500℃の温度環境で使用可能であり、約800℃の温度まで耐えることができる。
【0037】
セラミック製紙層233は、セラミック繊維(例えば、Superwool bulk fiber)にバインダーを添加して製紙状態で形成されたものである。セラミック繊維は、CaOとMgOとの混合物及びSiO2を含むものである。さらに具体的に、セラミック製紙層233は、全体重量で30~40重量パーセントのCaOとMgOとの混合物及び60~70重量パーセントのSiO2を含むものである。
【0038】
図3に示したように、前記第1断熱パッド230または前記第2断熱パッド240は、2つの雲母シート層231の間に前記セラミック製紙層233が積層されて形成されるものである。この際、前記2つの雲母シート層231の厚さは、0.05~0.5mmであり、前記セラミック製紙層233の厚さは、1~5mmでもある。例えば、雲母シート層231の厚さは、0.1mmであり、セラミック製紙層233の厚さは、3mmに形成されうる。前記のような積層構造で、バッテリモジュールの流動及び公差を吸収することができる。雲母シート層231は、絶縁素材であって、隣接した構造物間の許容されていない電気的な連結を遮断し、比較的剛性が高くて、セラミック製紙層233が一定の形状を保持するように支持することができる。セラミック製紙層233は、断熱素材であって、厚いほど断熱効果は高くなるが、構造的な状況を考慮して、その厚さが決定される。
【0039】
図2及び
図4に示したように、前記クラッシュビームユニット200は、一側面に前記第1断熱パッド230が付着される第1フレーム部210、及び一側面が前記第1フレーム部210の他側面と対面し、他側面に前記第2断熱パッド240が付着される第2フレーム部220、さらに含みうる。
【0040】
すなわち、第1フレーム部210は、第1断熱パッド230を挟んで第1バッテリモジュール110の側面に密着され、第2フレーム部220は、第2断熱パッド240を挟んで第2バッテリモジュール120の側面に密着される。
【0041】
前記第1フレーム部210と前記第2フレーム部220は、前記第1フレーム部210の前記他側面と前記第2フレーム部220の前記一側面とを互いに離隔して結合するものである。前記第1フレーム部210の前記他側面と前記第2フレーム部220の前記一側面との間には、2つの面の間の間隔保持のための支持手段が設けられうるが、2つの面の間の全体が完全に満たされない。前記のような構造で1つのバッテリモジュールで発生した熱が、クラッシュビームユニット200の構造物に沿って他のバッテリモジュールに伝達されることを最小化することができる。
【0042】
図4に示したように、前記第1方向が上下方向に対して垂直であり、前記第1方向及び前記上下方向に対して垂直な方向を第2方向とする時、前記第1フレーム部210は、前記第1方向に対して垂直な平面のプレートで形成された第1胴体部211と、前記第1胴体部211の前記第2方向上の両端部からそれぞれ突設される一対の第1羽根部212と、を含み、前記一対の第1羽根部212は、前記ハウジング300の内側面に結合されるものである。すなわち、第1胴体部211の両エッジには、第1羽根部212が1つずつそれぞれ形成され、羽根部はハウジング300に固定されて、クラッシュビームユニット200がハウジング300の内部で流動することを防止することができる。
【0043】
前記第2フレーム部220は、前記第1方向に対して垂直な平面のプレートで形成された第2胴体部221と、前記第2胴体部221の前記第2方向上の両端部からそれぞれ突設される一対の第2羽根部222と、を含みうる。
【0044】
前記第1羽根部212の端部は、前記第1方向に折り曲げられて第1結合領域212aとして形成され、前記第2羽根部222は、前記第1結合領域212aに結合されるものである。
【0045】
第1羽根部212が折り曲げられて形成される第1結合領域212aの外側面は、ハウジング300の内側面と結合し、第1結合領域212aに第2フレーム部220の第2羽根部222が結合されうる。第2羽根部222の端部も、折り曲げられて第2結合領域222aとして形成され、第2結合領域222aが第1結合領域212aと結合されうる。
【0046】
図4及び
図6に示したように、第1胴体部211には、第1断熱パッド230が結合され、第2胴体部221には、第2断熱パッド240が結合されうる。第1断熱パッド230と対面する第1胴体部211の一部領域には、第1凹部214が形成され、第2断熱パッド240と対面する第2胴体部221の一部領域には、第2凹部224が形成されうる。第1凹部214と第2凹部224は、互いに対面する位置に形成され、第1凹部214の他側面と、第2凹部224の他側面は、第1フレーム部210と第2フレーム部220とが互いに結合する時、第1フレーム部210と第2フレーム部220とを互いに一定間隔で保持させる支持台の役割が行える。また、第1凹部214と第2凹部224は、第1断熱パッド230及び第2断熱パッド240が第1胴体部211及び第2胴体部221と接触する面積を最小化して断熱効果を増大させることができる。
【0047】
図1に示したように、本発明のバッテリパックは、6個以上のバッテリモジュールを含みうる。具体的に、本発明のバッテリパックは、前記第1バッテリモジュール110及び前記第2バッテリモジュール120と共に前記第1方向に沿って整列される第3バッテリモジュール130及び第4バッテリモジュール140、前記第1バッテリモジュール110の上部に位置する第5バッテリモジュール150、及び前記第3バッテリモジュール130の上部に位置する第6バッテリモジュール160、をさらに含みうる。すなわち、本発明のバッテリパックで、複数のバッテリモジュールは、2層構造で配列され、下層には、第1バッテリモジュール110、第2バッテリモジュール120、第3バッテリモジュール130及び第4バッテリモジュール140が配され、上層には、第5バッテリモジュール150及び第6バッテリモジュール160が配置される。
【0048】
具体的に、下層には、前記第1バッテリモジュール110の一側面が前記第3バッテリモジュール130に密着され、前記第1バッテリモジュール110の他側面が前記第1断熱パッド230に密着され、前記第2バッテリモジュール120の一側面が前記第2断熱パッド240に密着され、前記第2バッテリモジュール120の他側面が前記第4バッテリモジュール140に密着されるように、第1バッテリモジュール110、第2バッテリモジュール120、第3バッテリモジュール130、第4バッテリモジュール140及びクラッシュビームユニット200が配置される。すなわち、本発明のバッテリパックのハウジング300の内部で、下層には、第3バッテリモジュール130、第1バッテリモジュール110、クラッシュビームユニット200、第2バッテリモジュール120、第4バッテリモジュール140順に第1方向に沿って配置される。
【0049】
図5に示したように、本発明のバッテリパックは、前記第1バッテリモジュール110及び前記第3バッテリモジュール130の上端部に積層されるクラッシュレイヤ400をさらに含み、前記第5バッテリモジュール150及び前記第6バッテリモジュール160は、前記クラッシュレイヤ400の上部面に積層されるものである。
【0050】
図5及び
図6に示したように、前記クラッシュレイヤ400は、上面が前記第5バッテリモジュール150及び前記第6バッテリモジュール160の下端部に結合される第1レイヤ410と、底面が前記第1バッテリモジュール110及び前記第3バッテリモジュール130の上端部に結合される第2レイヤ420と、を含み、前記第1レイヤ410の底面と前記第2レイヤ420の上面とが離隔した状態で前記第1レイヤ410と前記第2レイヤ420は結合されるものである。前記第1フレーム部210は、前記第1胴体部211の上端から突出する支持部213をさらに含み、前記支持部213は、前記クラッシュレイヤ400と結合されるものである。クラッシュレイヤ400を通じて層間の振動及び熱伝達を減少させることができる。
【0051】
図7及び
図8は、第1バッテリモジュール110で爆発が発生した状況で各バッテリモジュールの経時的な温度変化を示すグラフである。
【0052】
図7は、第1断熱パッド230及び第2断熱パッド240が備えられていないバッテリパックで各バッテリモジュールの経時的な温度を示すグラフである。
図7において、第1バッテリモジュール110の温度を示すグラフは、M3-1であり、第2バッテリモジュール120の温度を示すグラフは、M2-14である。第2バッテリモジュール120は、約18分以前には急激な温度変化なしに徐々に温度が増加しただけであり、約18分以後に急激な温度変化を示すことが見られる。
図7のグラフに示されたように、クラッシュビームユニット200の構造的な特徴が熱伝達を遅延させることが見られる。
【0053】
図8は、第1断熱パッド230及び第2断熱パッド240が備えられたバッテリパックで各バッテリモジュールの経時的な温度を示すグラフである。
図8において、第1バッテリモジュール110の温度を示すグラフは、M3であり、第2バッテリモジュール120の温度を示すグラフは、M2である。
図8を見れば、第1断熱パッド230と第2断熱パッド240とが備えられた時、爆発遅延が22分以上になったことが見られる。すなわち、第1断熱パッド230と第2断熱パッド240は、クラッシュビームユニット200の熱伝達遅延の効果をさらに極大化させることが見られる。
【0054】
以上、本発明による実施例が説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これにより多様な変形及び均等な範囲の実施例が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、次の特許請求の範囲によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明のバッテリパックは、断熱パッドが備えられたクラッシュビームをバッテリモジュールの間に設けることにより、バッテリモジュール間の衝撃及び熱伝達を抑制して、1つのバッテリモジュールが発熱または爆発しても、周囲のバッテリモジュールが連鎖爆発することを防止または遅延させることができる。
【0056】
本発明のバッテリパックは、熱と振動とが持続的に発生する環境でも、安定して駆動可能である。
【符号の説明】
【0057】
110:第1バッテリモジュール
120:第2バッテリモジュール
130:第3バッテリモジュール
140:第4バッテリモジュール
150:第5バッテリモジュール
160:第6バッテリモジュール
200:クラッシュビームユニット
210:第1フレーム部
211:第1胴体部
212:第1羽根部
212a:第1結合領域
213:支持部
220:第2フレーム部
221:第2胴体部
222:第2羽根部
222a:第2結合領域
230:第1断熱パッド
231:雲母シート層
233:セラミック製紙層
240:第2断熱パッド
300:ハウジング
400:クラッシュレイヤ
410:第1レイヤ
420:第2レイヤ