(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】インサイチュ平均化燃焼酸素分析器
(51)【国際特許分類】
G01N 27/409 20060101AFI20241119BHJP
F27D 21/00 20060101ALI20241119BHJP
F27D 7/02 20060101ALI20241119BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20241119BHJP
G01N 1/22 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
G01N27/409 100
F27D21/00 A
F27D7/02 A
G01N27/416 381
G01N27/416 311G
G01N1/22 D
(21)【出願番号】P 2023518767
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 IB2020061815
(87)【国際公開番号】W WO2022064271
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】202021041522
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】シュク,パベル
(72)【発明者】
【氏名】バウシュケ,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ロバーグ,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】デュベ,テジャス
(72)【発明者】
【氏名】ソナワネ,トゥシャル
(72)【発明者】
【氏名】クルカルニ,ナレンドラ
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-074799(JP,A)
【文献】実開昭52-114083(JP,U)
【文献】特開2002-131198(JP,A)
【文献】実開昭62-081041(JP,U)
【文献】実開昭56-097741(JP,U)
【文献】特開平10-090127(JP,A)
【文献】米国特許第05703299(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/409
F27D 21/00
F27D 7/02
G01N 27/416
G01N 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インサイチュ平均化燃焼分析器であって、
ハウジング、
近位端で前記ハウジングに結合され、炎管に延伸されるように構成された遠位端を有するプローブであって、前記遠位端に近接した酸素検知セルを含む前記プローブ、
前記ハウジングに配置され、ジルコニアベースの酸素検知セルに結合された電子機器であって、前記酸素検知セルの電気的特性を測定し、酸素濃度値を計算するように構成された、前記電子機器、
前記プローブの周囲に配置された平均化導管であって、前記プローブの遠位端から異なる距離に間隔を置いて配置された複数の吸気口を有し、前記プローブの遠位端と近位端の間に位置する複数の排気口を有し、前記複数の排気口は直径方向に互いに対向する位置に配置される、前記平均化導管、
を含み、
前記電子機器は、前記計算された酸素濃度値に基づいて、平均酸素濃度出力を提供するように構成される、
インサイチュ平均化燃焼分析器。
【請求項2】
前記酸素検知セルは、ジルコニアベースの酸素検知セルである、請求項1に記載のインサイチュ平均化燃焼分析器。
【請求項3】
前記複数の吸気口は、炎管ガスの流れの向きにおける前記平均化導管の上流側に配置されている、請求項2に記載のインサイチュ平均化燃焼分析器。
【請求項4】
前記複数の吸気口は、異なる直径を有する、請求項2に記載のインサイチュ平均化燃焼分析器。
【請求項5】
前記複数の吸気口は、第1の直径を有する第1の複数の吸気口と、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を有する第2の複数の吸気口とからなる、請求項2に記載のインサイチュ平均化燃焼分析器。
【請求項6】
前記第1の複数の吸気口は、前記第2の複数の吸気口よりも前記プローブの近位端の近傍に配置される、請求項5に記載のインサイチュ平均化燃焼分析器。
【請求項7】
前記第2の複数の吸気口は、前記第1の複数の吸気口よりも前記プローブの近位端の近傍に配置される、請求項5に記載のインサイチュ平均化燃焼分析器。
【請求項8】
前記複数の吸気口は、前記平均化導管に沿って間隔があけられた少なくとも3つの吸気口を含む、請求項2に記載のインサイチュ平均化燃焼分析器。
【請求項9】
前記少なくとも3つの吸気口は、前記平均化導管に沿って等間隔に配置されている、請求項8に記載のインサイチュ平均化燃焼分析器。
【請求項10】
前記複数の排気口は、炎管ガスの流れの向きにおける前記平均化導管の下流側に近接して配置される、請求項2に記載のインサイチュ平均化燃焼分析器。
【請求項11】
前記複数の排気口は、少なくとも2つの吸気口から90度傾いて配置される、請求項1に記載のインサイチュ平均化燃焼分析器。
【請求項12】
少なくとも2つの吸気口からジルコニアベースの酸素感知セルへの炎管ガス流を増加させるように構成された流量補助装置をさらに含む、請求項2に記載のインサイチュ平均化燃焼分析器。
【請求項13】
前記流量補助装置は、前記平均化導管の遠位端に取付けられた端部スコップである、請求項12に記載のインサイチュ平均化燃焼分析器。
【請求項14】
前記流量補助装置は、前記ハウジングに近接して取付けられた放出器である、請求項12に記載のインサイチュ平均化燃焼分析器。
【請求項15】
前記平均化導管は、パイプである、請求項2に記載のインサイチュ平均化燃焼分析器。
【請求項16】
ジルコニアベースの燃焼分析器用の平均化導管であって、
燃焼のプローブに取付けるように構成された取付具であって、前記取付具が近位端を含む前記取付具、
前記取付
具から遠位端まで延伸される側壁であって、前記側壁は炎管ガスの流れの向きにおける下流側表面と上流側表面とを有し、前記側壁は前記燃焼分析器のプローブを受けるように構成された前記側壁、
前記上流側表面に近接して配置された複数の吸気開口部、及び、
前記遠位端と前記近位端の間に位置する配置されている複数の排気口であって、直径方向に互いに対向する位置に配置される前記複数の排気口、
を含む、平均化導管。
【請求項17】
前記取付具は、前記燃焼のプローブに取付けるように構成されている、請求項16に記載の平均化導管。
【請求項18】
前記取付具は、前記燃焼分析器のフランジに取付けるように構成されている、請求項16に記載の平均化導管。
【請求項19】
前記平均化導管は、パイプである、請求項16に記載の平均化導管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
工業プロセスでは、供給する液体原料の蒸気や熱を生成するために、燃焼などのエネルギー源にしばしば依存することがある。燃焼プロセスの中には、炉やボイラーの運転を伴うこともある。燃焼は、比較的低コストのエネルギー源を提供するが、システムから排気される結果として生じる炎管ガスが有害ガスの排気に関する規制の対象となる場合があるため、プロセス内での燃焼効率を最大化することがしばしば求められる。そのため、燃焼プロセス管理業界の1つの目標は、既存の炉やボイラーの燃焼効率を最大化することであり、これは本質的に、温室効果ガスやその他の有害な副産物の発生を低減させることになる。
【0002】
燃焼効率は、燃焼プロセスから発生される排気ガス又は炎管ガス中の酸素を理想的なレベルに維持することによって最適化することができ、これにより燃焼副生成物の酸化を保証することができる。インサイチュ(in-situ)又はプロセス内分析器は、進行中の燃焼プロセスの監視、最適化、及び/又は、制御に一般的に使用されている。一般的に、このような分析器は、比較的高温に加熱され、炉又はボイラーの燃焼ゾーンの真上又は近傍で動作するセンサーを採用する。
【0003】
既知のプロセス燃焼分析器は、一般的に、炎管ガス流に挿入されるプローブの一端に配置されたジルコニアベースの酸素センサーを採用する。排気/炎管ガスがセンサーに流入すると、フィルタ又は放散器(diffuser)を通して拡散し、ジルコニアベースの酸素センサーに近接する。サンプルのフローをセンサーの中に誘導するために使用される、ポンプやその他の流体誘導装置はない。その代わり、ガスは放散器を通過して受動的に浸透する。センサーは、炎管ガス中に存在する酸素の量に関連する電気信号を提供する。
【0004】
ジルコニアベースの酸素センサーは、効率的で安全なプロセス制御を可能にする燃焼環境において、信頼できる酸素測定とみなされる電位差測定の指度を提供する。一般的に、単一のプローブは、プロセス侵入体、又は、排気筒への挿入物を通して挿入される。O2パーセント測定は、小型ボイラーで、燃焼効率を制御するために使用される。大規模なボイラー設備では、オペレータは、酸素濃度が異なる多くの層からなる炎管ガス成層に頻繁に遭遇する。成層情報を得るために、オペレータは、効率的かつ安全な運用のために、排気筒に複数の(時には16個もの)プローブを設置することを選択することができる。
【0005】
ジルコニア電位差酸素センサーを備えた一般的なインサイチュ分析器は、発電所、焼却炉、省エネルギーシステム、精製所、化学プラント、又は、小型燃焼器における燃焼効率を制御するための単一点酸素測定を提供する。上述したように、大規模な排気筒では、炎管ガス中に多くの異なる濃度層を有し、少なからぬ炎管ガス成層を有する。このような場合、複数の酸素検知プローブを利用することが、このような大型燃焼アプリケーションにおいては一般的である。しかし、このようなプローブの利用は、燃焼制御システム全体の複雑さと費用を増加させる。例えば、各プローブには、電源/信号配線、校正ガスライン、及び、プローブ取付金具、を必要とする。
【0006】
酸素成層情報を提供するためのいくつかの大規模な燃焼アプリケーションの代替手段は、波長可変半導体レーザー酸素センサー(tunable diode laser oxygen sensor)の利用である。このようなセンサーは、現在、平均的な酸素濃度を提供するアプリケーションで使用されているが、一般的には、単一のジルコニア酸素プローブよりも3倍又は4倍は高価であると考えられ、このようなシステムは、定期的なインサイチュでの校正の利点を有していない。さらに、このような波長可変半導体レーザーシステムは、炎管ガスを通過するレーザーエネルギーに依存しており、炎管ガスが部分的又は完全に不透明である場合には、制限されることがある。
【発明の概要】
【0007】
概要
インサイチュ平均化燃焼分析器は、ハウジングと、そのハウジングに近位端で結合されたプローブとを含む。プローブは、炎管内に延伸されるように構成された遠位端を有し、その遠位端の近傍にジルコニアベースの酸素感知セルを含む。電子機器は、ハウジング内に配置され、ジルコニアベースの酸素検知セルに結合される。電子機器は、ジルコニアベースの酸素検知セルの電気的特性を測定し、酸素濃度値を計算するように構成される。平均化導管は、プローブの周囲に配置され、プローブの遠位端から異なる距離で間隔を空けた複数の吸気口を有する。平均化導管は、プローブの遠位端と近位端の間に位置する少なくとも1つの排気口を有する。電子機器は、計算された酸素濃度値に基づいて、平均酸素濃度出力を提供するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態が特に適用可能なインサイチュ酸素分析器/送信機の概略図である。
【
図2】本発明の実施形態が特に適用可能な燃焼酸素送信機の斜視図である。
【
図3】炎管ダクトを横切る酸素成層を図示した図である。
【
図4】炎管を幅方向に横切る平均化酸素測定値を提供するために、炎管内で使用される、複数の、単一点酸素プローブ/分析器を示す立面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るインサイチュ平均化酸素検知プローブ/分析器の概略図である。
【
図6】本発明の別の実施形態に係る平均化酸素検知プローブ/分析器の概略図である。
【
図7A】本発明の実施形態に係るインサイチュ酸素プローブ/分析器用の平均化パイプの斜視図である。
【
図7B】本発明の実施形態に係るインサイチュ酸素プローブ/分析器用の平均化パイプの斜視図である。
【
図8A】各平均化パイプ上で吸気開口部の直径が変化する、平均化パイプの様々な実施形態を示す概略図である。
【
図8B】各平均化パイプ上で吸気開口部の直径が変化する、平均化パイプの様々な実施形態を示す概略図である。
【
図8C】各平均化パイプ上で吸気開口部の直径が変化する、平均化パイプの様々な実施形態を示す概略図である。
【
図8D】各平均化パイプ上で吸気開口部の直径が変化する、平均化パイプの様々な実施形態を示す概略図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るインサイチュ酸素プローブ/分析器分析器の概略図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る、単一の酸素プローブ/分析器を使用して、成層炎管ガスの平均酸素濃度を提供する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施形態が特に適用可能なインサイチュ酸素分析器/送信機の概略図である。送信機10は、例えば、Rosemount Inc.(an Emerson Automation Solutions Company)から入手可能なModel 6888 Oxygen Transmitterである。送信機10は、燃焼プロセスの煙突(stack)又は炎管14内に実質的に配置されたプローブアセンブリ12を含む。送信機10は、バーナー16で発生する燃焼によって生成される炎管ガス内の酸素濃度を測定するように構成される。バーナー16は、燃焼燃料源20と同様に、空気源又は他の酸素源18にも動作可能に結合することができる。燃焼制御器22は、酸素弁24及び燃料弁20に動作可能に結合される。燃焼制御器22からの信号に基づいて、弁18及び/又は20は、バーナー16で発生する燃焼プロセスに供給される空気及び/又は燃料を制御する。燃焼制御器22は、炎管ガスフォーム送信機10内の酸素の指度を受信し、この指示を使用して、燃焼プロセスの効率的かつ環境に優しい制御を提供する。送信機10は、燃焼ゾーンに露出するように構成されているので、高温に耐えるように構成することができる。
【0010】
図2は、本発明の実施形態が特に適用可能な燃焼酸素送信機の斜視図である。送信機100は、ハウジング102、プローブ104、及び電子機器106を含む。送信機100は、一般的には、フランジ120を使用して煙突又は炎管ガス壁104に取付けられる。
【0011】
プローブ104は、放散器又はフィルタ110が装着される遠位端108を含む。放散器110は、少なくともいくらかの放散気体がそこを通るように構成されているが、そうでなければ、プローブ104内の構成要素を保護する物理的装置である。具体的には、放散器110は、ジルコニアベースの酸素測定セル又はセンサー112を保護する。ジルコニアベースの酸素測定セル112は、既知の技術及び設計を利用して、セル112がその熱動作範囲内で動作しているときに、炎管ガス中の酸素の電位差測定の示度(potentiometric indication)又は電流測定の示度(amperometric indication)を提供する。電子機器106は、一般的に、電気ヒーター及び温度センサー(図示せず)を使用してプローブ104に熱制御を提供するように構成される。さらに、電子機器106は、セル112の電流測定の又は電位差測定の応答を取得し、酸素出力を計算するように構成される。一例では、電子機器106は、そのような計算のために既知のネルンスト方程式を採用する。
【0012】
図3は、炎管14内の酸素成層を図示した図である。
図3は、説明のために成層の断面を本質的に示す平面図である。視認できるように、酸素濃度は、領域200の0.0%O
2から領域202の4.0%O
2まで変化する。さらに、0.3%O
2の酸素パーセントを有する参照数字204において、比較的低濃度の酸素の島が提供される。したがって、炎管内に配置された単一のプローブは、一般的に、プローブの遠位端の位置で酸素濃度を測定する。理解されるように、このような単一点の測定では、成層が発生したときの炎管内の酸素濃度に関する全体像を提供しない場合がある。
【0013】
図4は、炎管14の幅方向に横切る平均酸素測定値を提供するために、炎管14内で使用される複数の単一点酸素プローブ/分析器を示す立面図である。図示されたように、炎管ガス206は炎管14を通って上方に流れ、成層化により、異なる酸素プローブ分析器208、210、及び212について、異なる測定値が生じる。これは、様々な酸素プローブ/分析器の感知領域が、炎管ガス壁214から異なる距離で配置されているためである。例えば、酸素プローブ/分析器208のセンサー216は、壁214に比較的近い位置に配置される。一方、プローブ/分析器212のセンサー218は、炎管14のほぼ横切って配置され、実際には反対側の壁に近傍にある。さらに、酸素プローブ/分析器210のセンサー220は、炎管14の中央付近に配置される。したがって、炎管ガスの成層化が発生した場合、異なるセンサー216、218、及び220は、成層内のそれらの個々の位置に基づいて、わずかに異なる酸素パーセントの読み取りを行うことになる。次に、プローブ/分析器208、210、212によって提供される様々な酸素パーセント値は、単一のプローブで可能な場合よりも正確な炎管ガスの酸素パーセントの示度を提供するために、平均化又は他の方法で組み合わせることができる。
【0014】
しかしながら、上記に設定されているように、炎管ガスの成層化に対応するための複数のプローブ/分析器の利用は、かなりの複雑さと経費をもたらす。
【0015】
図5は、本発明の実施形態によるインサイチュ平均化酸素検知プローブ/分析器の概略図である。多くの清浄な天然ガス、軽油、あるいは中程度のダストオイル/石炭の燃焼アプリケーションにおいては、平均化導管300は、内部に単一のプローブ302を備えて設置することができる。平均化導管300は、酸素送信機のフランジに取付てもよいし、プローブ302に取付てもよい。酸素送信機303は、単一のプローブ302を含み、一実施形態では、レガシー又は既知の酸素送信機とすることができる。プローブ302と平均化導管300を備えた単一の酸素送信機303を使用することにより、非常に費用対効果の高い平均化酸素測定が可能となる。
【0016】
導管300は、ダクト又は炎管14を横切る炎管ガスサンプリングを可能にする多数の上流開口部304を有する。本明細書で提供される実施形態は、複数のプローブの利用(
図4)又は波長可変半導体レーザーベースのソリューションと比較して、信頼性が高く費用対効果の高い平均化オプションを提供できる。ダクト又は炎管14を横切る異なる場所からの炎管ガスは、導管300の吸気口304を通って流れ、プローブ302の遠位端306にあるジルコニアベース酸素検知セル112に送られる。導管300を通る流れ(flow)は、一例では、放出器(eductor)と同様に、下流の排気口308によって生じる吸引によって達成され、パイプの開口サイズ及びベンチュリー効果によって管理される低速度及び高速度を有する。
図5に示す実施形態では、炎管ガスが煙突又は炎管14を通って上昇するときに、上流開口部304は下向きに配置される。しかしながら、実施形態は、ダクト又は炎管が垂直でないところで実施することができる。図示されたように、排気開口部308は、一般的に、パイプ300の下流側に配置され、炎管壁14から軸方向に(すなわち、導管300に沿った長さ方向に)、センサー306と同じかより近い距離に配置される。図示された例では、排気開口部308は、実際には、プローブ302のセンサー306よりも壁14に近い位置に配置される。これにより、平均化動作を提供するために、炎管ガスが感知セル112を過ぎて引き込まれることが保証される。
【0017】
図6は、本発明の別の実施形態に係る平均化酸素検知プローブ/分析器の概略図である。平均化導管400は、導管300(
図5に示す)と同様であり、同様の構成要素については同様の番号が付されている。平均化導管400は、導管400の遠位端に配置された端部スコップ(end scoop)402を備える。端部スコップ402は、矢印404によって示される方向に沿って進行する炎管ガスの一部を捕捉し、その炎管ガスを、遠位端306に向けて、パイプ400内の軸方向に向けるように構成される。このようにして、様々な吸気開口部又はノズル304から遠位端306への流れは、端部スコップ402によって生成された追加の流れによって促進される。
【0018】
図7A及び
図7Bは、本発明の実施形態によるインサイチュ酸素プローブ/分析器用の平均化導管の斜視図である。
図7Aに示すように、導管500は、プローブ受容部502から遠位端504まで延伸される複数の等間隔の吸気口ノズル又は開口部304を含む。さらに、上述の以前の実施形態とは異なり、平均化導管500は、複数の排気開口部又はノズル506、508を含む。視認されるように、開口部506、508は、プローブ受容部502の端部512よりも導管500の近位端510に近い。したがって、プローブ受容部502内のプローブのセンサー又は感知領域は、排気開口部506、508よりも近位端510から離れた位置に配置される。さらに、
図7Aに視認されるように、開口部506、508は、導管500の最終的な下流側表面に配置されず、代わりに、吸気開口部から約90°の位置に配置される。さらに、排気開口部506、508は、互いに正反対の位置に配置される。したがって、排気開口部の位置決め及び数は、本発明の実施形態に従って変化する可能性がある。さらに、吸気開口部304の大きさは、必要に応じて変化させることができる。
【0019】
図7Bは、平均化導管500に類似しているが、複数の均等な間隔の大きい吸気口ノズル522を採用する平均化導管520の斜視図である。さらに、
図7A及び7Bは、吸気口ノズル又は開口部の間の均等な間隔を示すが、間隔は、任意の好適な方法で、千鳥状又は他の非均等にすることができることも明示的に企図される。
【0020】
図8A~8Dは、吸気開口部の直径が各平均化導管上で異なる平均化導管の様々な実施形態を示している。例えば、
図8Aは、平均化導管554上の8つのそのような吸気開口部又はノズル550、552を示す。さらに、
図8Aは、吸気開口部から約90°に配置され、互いに直径方向に対向する複数の排気開口部556を有する平均化導管554を示す。
図8Aに視認されるように、遠位端558に近い吸気開口部又はノズル550は、導管554の近位端560に近い吸気開口部552より大きな直径を有する。もちろん、必要であれば、
図8Bに示されるように、状況を逆転させることもできる。さらに、
図8C及び8Dに示されるように、3つ以上の異なる直径の吸気開口部を使用することができる。
【0021】
図9は、本発明の実施形態に係るインサイチュ酸素プローブ/分析器の概略図である。システム600は、
図5に関して説明されているものといくつかの類似性を有し、同様の構成要素には同様の番号が付されている。しかしながら、システム600は、遠位端306を過ぎた吸気口304から炎管ガスを能動的に吸引するために、フランジ602に取付けられるか又は他の方法で結合される、能動的吸引装置を含む。図示された実施形態では、能動的吸引装置は、吸気口606、及び排気口608を有する放出器604である。吸引ポート610は、放出器604が動作するとき、炎管ガスを遠位端306に向かって引き込むために導管300の近位端で吸引が生じるように、導管300の内部612に流体的に結合される。その後、放出器604の排気口は、ダクトに戻されることができる。放出器604は、平均化された導管内の流れを作り出すための能動的な装置の単なる一例である。
【0022】
図10は、本発明の実施形態に係る、単一の酸素プローブ/分析器を使用して、成層炎管ガスの平均酸素濃度を提供する方法のフロー図である。方法700は、ブロック702で始まり、流れは、センサー112などの単一の酸素センサーに向かって、炎管内の少なくとも2つの異なる位置から、炎管ガスを受け取る複数の吸気から生成されるものである。流れは、ブロック704で示されるように受動的にすることも、又はブロック706で示されるように能動的にすることもできる。能動的な流れの例は、
図9に関して説明したように、放出器の利用を含む。
【0023】
次に、ブロック708において、システムは、セル112(
図2に示す)のような単一のジルコニアベースのセンサーを使用して、酸素濃度を測定する。このセンサーの応答は、センサーセルに接触している酸素の濃度を示すものである。炎管ガスの流れは複数の吸気からのものであるため、センサーの応答は2つの吸気の物理的組み合わせであり、大まかには吸気の平均であると考えることができる。したがって、ブロック710において、送信機のコントローラ又は電子機器は、測定された酸素濃度パラメータを、出力として、炎管ガスに対する平均酸素濃度として提供する。この出力は、ローカル表示出力として提供されてもよく、及び/又は、FOUNDATION(商標)フィールドバス、又はWirelessHART(IEC62591)などのプロセス通信ネットワーク上で通信されてもよい。いずれにせよ、1回のプロセス侵入(炎管/ダクト壁を通してのプローブの取付)で、炎管全体の信頼できる有効な平均酸素濃度値を生成することができます。
【0024】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において変更がなされ得ることを認識するであろう。