IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 華為技術有限公司の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】チャネルリスニング方法および関連装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/54 20230101AFI20241119BHJP
   H04W 74/0816 20240101ALI20241119BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20241119BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20241119BHJP
【FI】
H04W72/54 110
H04W74/0816
H04W72/0457 110
H04W84/12
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023527102
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 CN2021128888
(87)【国際公開番号】W WO2022095949
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】202011225545.4
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】李 云波
(72)【発明者】
【氏名】淦 明
(72)【発明者】
【氏名】郭 宇宸
(72)【発明者】
【氏名】李 伊青
(72)【発明者】
【氏名】黄 国▲剛▼
【審査官】米倉 明日香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0314920(US,A1)
【文献】Yongho Seok,Error Recovery in Synchronous Multiple Frame Transmission,IEEE 802.11-20/1278r0,2020年10月20日
【文献】Masahiro TAKAGI,Requirements for MAC PHY simulation interface,IEEE 802.11-04/0219r0,2004年03月03日
【文献】Yunbo Li,Error recovery for non-STR MLD,IEEE 802.11-20/1062r0,2020年07月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャネルリスニング方法であって、前記方法は、非同時伝送および受信マルチリンクデバイス(NSTR MLD)に適用され、前記方法は、
前記NSTR MLDによって、第1のリンクで第1のフレームを受信するステップであって、前記第1のフレームは応答フレームである、ステップと、
前記NSTR MLDによって、第2のリンクで第2のフレームを受信するステップであって、前記第2のフレームは応答フレームであり、前記第1のフレームの終了時間は前記第2のフレームの終了時間より後であり、前記第1のリンクおよび前記第2のリンクはNSTRリンクペアに属する、ステップと、
前記NSTR MLDによって、前記第1のフレームおよび前記第2のフレームの少なくとも一方が受信に失敗したと決定するステップと、
前記NSTR MLDによって、前記第1のフレームが終了した後に第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行するステップであって、前記第1のフレーム間スペースの持続時間は、ポイント調整機能フレーム間スペース(PIFS)の持続時間以下である、ステップと
前記NSTR MLDによって、前記第2のフレームが終了した後に第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行するステップであって、前記第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペースSIFSの持続時間以上、かつ前記PIFSの前記持続時間以下である、ステップと
を含む、チャネルリスニング方法。
【請求項2】
前記第1のフレームが受信に失敗したとき、前記第1のフレーム間スペースの前記持続時間は、前記PIFSと第1の時間との差であり、
前記第1の時間の値の範囲は0から4マイクロ秒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のフレームが受信に失敗したとき、前記第1のフレーム間スペースの前記持続時間は[PIFS-4,PIFS]である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のフレームが正しく受信されたとき、前記第1のフレーム間スペースの前記持続時間は、前記PIFSと第1の時間との差であり、
前記第1の時間の値の範囲は0から9マイクロ秒である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のフレームが正しく受信されたとき、前記第1のフレーム間スペースの前記持続時間は短フレーム間スペースSIFS以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のフレームおよび前記第2のフレームの少なくとも一方が伝送に失敗することは、
前記第1のフレームが、物理層受信開始指示(PHY-RXSTART.indication)をトリガし、前記第1のフレームの媒体アクセス制御MAC層のフレームチェックシーケンス(FCS)チェックが失敗すること、または
前記第2のフレームがPHY-RXSTART.indicationをトリガし、前記第2のフレームのMAC層のFCSチェックが失敗すること、または
前記第1のフレームがPHY-RXSTART.indicationをトリガし、前記第1のフレームのMAC層のフレームチェックシーケンス(FCS)チェックが失敗し、前記第2のフレームがPHY-RXSTART.indicationをトリガし、前記第2のフレームのMAC層のFCSチェックが失敗すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
非同時伝送および受信マルチリンクデバイス(NSTR MLD)であって、前記非同時伝送および受信マルチリンクデバイスは、第1のステーション(STA)および第2のSTAを備え、前記第1のSTAは第1のリンクで第1のフレームを受信し、前記第2のSTAは第2のリンクで第2のフレームを受信し、前記第1のフレームは応答フレームであり、前記第2のフレームは応答フレームであり、前記第1のフレームの終了時間は前記第2のフレームの終了時間より後であり、前記NSTR MLDは、処理モジュールおよびリスニングモジュールを備え、
前記処理モジュールは、前記第1のフレームおよび前記第2のフレームの少なくとも一方が伝送に失敗したと決定するように構成され、および
前記リスニングモジュールは、前記第1のフレームが終了した後に第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行し、前記第1のフレーム間スペースの持続時間は、ポイント調整機能フレーム間スペース(PIFS)の持続時間以下であり、
前記NSTR MLDは、前記第2のフレームが終了した後に第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行し、前記第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペースSIFSの持続時間以上、かつ前記PIFSの前記持続時間以下である、
ように構成される、非同時伝送および受信マルチリンクデバイス(NSTR MLD)。
【請求項8】
前記第1のフレームが受信に失敗したとき、前記第1のフレーム間スペースの前記持続時間は、前記PIFSと第1の時間との差であり、
前記第1の時間の値の範囲は0から4マイクロ秒である、請求項7に記載のNSTR MLD。
【請求項9】
前記第1のフレームが受信に失敗したとき、前記第1のフレーム間スペースの前記持続時間は[PIFS-4,PIFS]である、請求項7に記載のNSTR MLD。
【請求項10】
前記第1のフレームが正しく受信されたとき、前記第1のフレーム間スペースの前記持続時間は、前記PIFSと第1の時間との差であり、
前記第1の時間の値の範囲は0から9マイクロ秒である、請求項7に記載のNSTR MLD。
【請求項11】
前記第1のフレームが正しく受信されたとき、前記第1のフレーム間スペースの前記持続時間は短フレーム間スペースSIFS以上である、請求項7に記載のNSTR MLD。
【請求項12】
前記第1のフレームおよび前記第2のフレームの少なくとも一方が伝送に失敗することは、
前記第1のフレームが、物理層受信開始指示(PHY-RXSTART.indication)をトリガし、前記第1のフレームの媒体アクセス制御MAC層のフレームチェックシーケンス(FCS)チェックが失敗すること、または
前記第2のフレームがPHY-RXSTART.indicationをトリガし、前記第2のフレームのMAC層のFCSチェックが失敗すること、または
前記第1のフレームがPHY-RXSTART.indicationをトリガし、前記第1のフレームのMAC層のフレームチェックシーケンス(FCS)チェックが失敗し、前記第2のフレームがPHY-RXSTART.indicationをトリガし、前記第2のフレームのMAC層のFCSチェックが失敗すること
を含む、請求項7から11のいずれか一項に記載のNSTR MLD。
【請求項13】
非同時伝送および受信マルチリンクデバイスNSTR MLDであって、前記NSTR MLDは、
コンピュータ実行可能命令を記憶するように構成されたメモリと、
前記NSTR MLDに請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を実行させるために前記コンピュータ実行可能命令を実行するように構成されたプロセッサと
を備える、非同時伝送および受信マルチリンクデバイスNSTR MLD。
【請求項14】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体はコンピュータ命令を含み、前記コンピュータ命令が非同時伝送および受信マルチリンクデバイスNSTR MLD上で動作されるとき、前記NSTR MLDは、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を実行することが可能である、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品はコンピュータ命令を含み、前記コンピュータ命令が非同時伝送および受信マルチリンクデバイスNSTR MLD上で動作されるとき、前記NSTR MLDは、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を実行することが可能である、コンピュータプログラム製品。
【請求項16】
チップであって、前記チップは、プロセッサおよび通信インターフェースを備え、前記通信インターフェースは、前記チップの外部のモジュールと通信するように構成され、前記プロセッサは、前記チップを備える非同時伝送および受信マルチリンクデバイスNSTR MLDに請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を実施させるためにコンピュータプログラムまたは命令を動作させるように構成される、チップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月5日に中国国家知識産権局に出願された、「チャネルリスニング方法および関連装置」と題された中国特許出願第202011225545.4号の優先権を主張するものであり、その全体は参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本出願は、通信技術の分野に関し、特に、チャネルリスニング方法および関連装置に関する。
【背景技術】
【0003】
通常ワイヤレスフィデリティ(Wireless Fidelity、Wi-Fi)通信ネットワークと呼ばれるワイヤレスローカルエリアネットワーク(Wireless Local Area Network、WLAN)には、電気電子技術者協会(Institute of Electrical and Electronics Engineers、IEEE)802.11シリーズ規格が使用される。現在、802.11beは、マルチリンクデバイス(Multi-link Device、MLD)、すなわち、マルチリンク通信をサポートするデバイスを定義している。各MLDデバイスには複数のアクセスポイント(Access Point、AP)またはステーション(Station、STA)があり、AP MLDまたはSTA MLDを形成している。MLD間の通信は、マルチリンク通信である。
【0004】
802.11beは、マルチリンクデバイスが同時伝送および受信(Simultaneous transmitting and receiving、STR)能力、または非同時伝送および受信(Non-Simultaneous transmitting and receiving、NSTR)能力を有することを定義している。MLDが異なるリンクに対して同時伝送および受信(simultaneous transmitting and receiving、STR)の能力を有するかどうかに応じて、MLDは、STR MLDとnon-STR MLDとに分類され得る。1つのリンクは、MLDが1つの周波数帯域でデータ伝送を実行する空間経路であり得る。STR MLDはSTR能力を有し、NSTR MLDはSTR能力を有しない。
【0005】
MLDは、2つ以上のリンクで動作し得る。物理層プロトコルデータユニット(Physical Protocol Data Unit、PPDU)が1つのリンクで伝送された後、伝送されたPPDUは、別のリンクでのチャネルリスニングに影響を及ぼす。したがって、別のリンクはPPDUを伝送することができない。リンク間の相互干渉を回避するために、NSTR MLDがマルチリンク通信を同期させることができるように、新しいチャネルリスニング方法が提供される必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の実施形態は、チャネルリスニング方法および関連装置を提供する。チャネルリスニング時間は、非同時伝送および受信デバイスNSTR MLDが通信に使用されるシナリオでリンクエラー回復を実施するために、チャネルリスニング結果に対する別のリンクの送信動作の影響を回避するように調整される。
【0007】
第1の態様によれば、本出願の一実施形態は、非同時伝送および受信マルチリンクデバイスNSTR MLDに適用されるチャネルリスニング方法を提供する。本方法は以下を含む。
【0008】
PPDUを送信した後、NSTR MLDのステーションは、PIFS以下のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。PIFSとチャネルリスニングを実行するための持続時間との差の値の範囲は、0から4マイクロ秒、または0から8マイクロ秒、または0から9マイクロ秒、または0から12マイクロ秒である。
【0009】
例えば、PIFSとチャネルリスニングを実行するための持続時間との差の値の範囲は0から4マイクロ秒であると仮定される(差はtであり、すなわちtの値の範囲は[0,4]であると仮定される)。言い換えれば、チャネルリスニングを実行するための持続時間の値の範囲は[PIFS-4,PIFS]である。0から8マイクロ秒、0から9マイクロ秒、または0から12マイクロ秒である前述の差の値の範囲の説明は同様であり得、ここでは詳細は再び説明されない。
【0010】
代わりに、BAを受信した後、NSTR MLDのステーションは、PIFS以下のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。PIFSとチャネルリスニングを実行するための持続時間との差の値の範囲は、0から4マイクロ秒、または0から8マイクロ秒、または0から9マイクロ秒、または0から12マイクロ秒である。
【0011】
例えば、PIFSとチャネルリスニングを実行するための持続時間との差の値の範囲は0から4マイクロ秒であると仮定される(差はtであり、すなわちtの値の範囲は[0,4]であると仮定される)。言い換えれば、チャネルリスニングを実行するための持続時間の値の範囲は[PIFS-4,PIFS]である。0から8マイクロ秒、0から9マイクロ秒、または0から12マイクロ秒である前述の差の値の範囲の説明は同様であり得、ここでは詳細は再び説明されない。
【0012】
代わりに、PPDUを送信した後、NSTR MLDのステーションは、PIFS以下のフレーム間スペースにわたって待機し、次に次のPPDUを送信する。PIFSと待機持続時間との差の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒、または0から9マイクロ秒、または0から12マイクロ秒である。
【0013】
前述の待機持続時間内にチャネルリスニングは実行されないことが理解され得る。
【0014】
代わりに、BAを受信した後、NSTR MLDのステーションは、PIFS以下のフレーム間スペースにわたって待機し、次に次のPPDUを送信する。PIFSと待機持続時間との差の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒、または0から9マイクロ秒、または0から12マイクロ秒である。
【0015】
前述の待機持続時間内にチャネルリスニングは実行されないことが理解され得る。
【0016】
代わりに、PPDUを送信した後、NSTR MLDのステーションは、ある持続時間にわたって待機し、次に、あるフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。待機持続時間は0から8マイクロ秒である。待機持続時間とフレーム間スペースとの和は、PIFS以下である。
【0017】
代わりに、BAを受信した後、NSTR MLDのステーションは、ある持続時間にわたって待機し、次に、あるフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。待機持続時間は0から8マイクロ秒である。待機持続時間とフレーム間スペースとの和は、PIFS以下である。
【0018】
代わりに、PPDUを送信した後、NSTR MLDのステーションは、SIFS以上のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。チャネルリスニングを実行するための持続時間とSIFSとの差の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0019】
例えば、チャネルリスニングを実行するための持続時間とSIFSとの差の値の範囲は0から4マイクロ秒であると仮定される(差はtであり、すなわちtの値の範囲は[0,4]であると仮定される)。言い換えれば、チャネルリスニングを実行するための持続時間の値の範囲は[SIFS,SIFS+4]である。
【0020】
代わりに、BAを受信した後、NSTR MLDのステーションは、SIFS以上のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。チャネルリスニングを実行するための持続時間とSIFSとの差は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0021】
例えば、チャネルリスニングを実行するための持続時間とSIFSとの差の値の範囲は0から4マイクロ秒であると仮定される(差はtであり、すなわちtの値の範囲は[0,4]であると仮定される)。言い換えれば、チャネルリスニングを実行するための持続時間の値の範囲は[SIFS,SIFS+4]である。
【0022】
代わりに、PPDUを送信した後、NSTR MLDのステーションは、SIFSのフレーム間スペース以上の待機持続時間の後に次のPPDUを送信する。待機持続時間とSIFSとの差は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0023】
前述の待機持続時間内にチャネルリスニングは実行されないことが理解され得る。
【0024】
代わりに、BAを受信した後、NSTR MLDのステーションは、SIFSのフレーム間スペース以上の待機持続時間の後に次のPPDUを送信する。待機持続時間とSIFSとの差は、0から4マイクロ秒0から8マイクロ秒である。
【0025】
前述の待機持続時間内にチャネルリスニングは実行されないことが理解され得る。
【0026】
代わりに、PPDUを送信した後、NSTR MLDのステーションはある持続時間にわたって待機し、次にSIFS以上のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。待機持続時間は0から8マイクロ秒である。
【0027】
代わりに、BAを受信した後、NSTR MLDのステーションは、ある持続時間にわたって待機し、次にSIFS以上のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。待機持続時間は0から8マイクロ秒である。
【0028】
第1の態様に基づいて、第1の態様の可能な設計では、本出願の一実施形態は、非同時伝送および受信マルチリンクデバイスNSTR MLDに適用されるチャネルリスニング方法を提供する。本方法は、非同時伝送および受信マルチリンクデバイスが、第1のステーションSTAおよび第2のステーションSTAを含むことを含む。第1のSTAは、第1のリンクで第1のフレームを伝送する。第2のSTAは、第2のリンクで第2のフレームを伝送する。第1のフレームは、確認応答ブロックBAである。第2のフレームはBAである。第1のフレームの終了時間は、第2のフレームの終了時間より後である。NSTR MLDは、第1のフレームおよび第2のフレームの少なくとも一方が伝送に失敗したと決定する。第1のSTAは、第1のフレームが終了した後に第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第1のフレーム間スペースの持続時間は、ポイント調整機能フレーム間スペースPIFSの持続時間以下である。代わりに、第2のSTAは、第2のフレームが終了した後に第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)の持続時間以上、かつPIFSの持続時間以下である。
【0029】
具体的には、本出願のこの実施形態では、BAは返信フレームとして理解され得る。加えて、返信フレームは、確認応答(acknowledgement、ACK)をさらに含み得る。本出願におけるBAはまた、ACKに置き換えられてもよい。言い換えれば、本出願におけるBAは、返信フレームのみを表す。返信フレームは、必ずしもBAである必要はなく、ACKでもあり得る。返信フレームはまた、別のタイプのフレームであってもよい。これはここでは限定されない。
【0030】
本出願のこの実施形態では、正しくない返信フレーム(BAまたはACK)を受信した後、NSTR MLDは、別のリンク上の送信動作がチャネルリスニング結果に影響を及ぼすのを防止するために、チャネルリスニング時間を調整し得る。加えて、フレーム間スペースは通信要件を満たす。
【0031】
第1の態様に基づいて、第1の態様の可能な設計では、非同時伝送および受信マルチリンクデバイスは、第1のステーションSTAおよび第2のステーションSTAを含む。第1のSTAは、第1のリンクで第1のフレームを伝送する。第2のSTAは、第2のリンクで第2のフレームを伝送する。第1のフレームは、確認応答ブロックBAである。第2のフレームはBAである。第1のフレームの終了時間は、第2のフレームの終了時間より後である。
【0032】
NSTR MLDは、第1のフレームおよび第2のフレームの少なくとも一方が伝送に失敗したと決定する。
【0033】
第1のSTAは、第1のフレームが終了した後に第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行し、第1のフレーム間スペースの持続時間は、ポイント調整機能フレーム間スペースPIFSの持続時間以下である。
【0034】
第1の態様に基づいて、第1の態様の可能な設計では、非同時伝送および受信マルチリンクデバイスは、第1のステーションSTAおよび第2のステーションSTAを含む。第1のSTAは、第1のリンクで第1のフレームを伝送する。第2のSTAは、第2のリンクで第2のフレームを伝送する。第1のフレームは、確認応答ブロックBAである。第2のフレームはBAである。第1のフレームの終了時間は、第2のフレームの終了時間より後である。
【0035】
NSTR MLDは、第1のフレームおよび第2のフレームの少なくとも一方が伝送に失敗したと決定する。
【0036】
第2のSTAは、第2のフレームが終了した後に第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行し、第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)の持続時間以上、かつPIFSの持続時間以下である。
【0037】
第1の態様に基づいて、第1の態様の可能な設計では、非同時伝送および受信マルチリンクデバイスは、第1のステーションSTAおよび第2のステーションSTAを含む。第1のSTAは、第1のリンクで第1のフレームを伝送する。第2のSTAは、第2のリンクで第2のフレームを伝送する。第1のフレームは、確認応答ブロックBAである。第2のフレームはBAである。第1のフレームの終了時間は、第2のフレームの終了時間より後である。
【0038】
NSTR MLDは、第1のフレームおよび第2のフレームの少なくとも一方が伝送に失敗したと決定する。
【0039】
第1のSTAは、第1のフレームが終了した後に第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行し、第1のフレーム間スペースの持続時間は、ポイント調整機能フレーム間スペースPIFSの持続時間以下である。第2のSTAは、第2のフレームが終了した後に第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行し、第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)の持続時間以上、かつPIFSの持続時間以下である。
【0040】
第1の態様に基づいて、第1の態様の可能な設計では、第1のフレームが伝送に失敗したとき、第1のフレーム間スペースの持続時間は、PIFSと第1の時間との差である。
【0041】
第1の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒、または0から8マイクロ秒であり得る。
【0042】
任意選択で、第1の時間の値の範囲は、0から9マイクロ秒、または0から12マイクロ秒であってもよい。
【0043】
第1の態様に基づいて、第1の態様の可能な設計では、第2のフレームが伝送に失敗したとき、第1のフレーム間スペースの持続時間は、PIFSと第1の時間との差である。
【0044】
第1の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒であり得る。第1の時間の値の範囲が0から4マイクロ秒であるとき、第1のSTAによって送信される次のフレーム(例えば、PPDU)が第2のSTAと干渉することが防止され得、リスニング難度は増加され得ないことに留意されたい。
【0045】
任意選択で、第1の時間の値の範囲は、代わりに0から8マイクロ秒であってもよい。第1の時間の値の範囲が0から8マイクロ秒であるとき、第1のSTAによって送信される次のフレーム(例えば、PPDU)が第2のSTAと干渉することが防止され得る。加えて、第1のSTAによって送信される次のフレーム(例えば、PPDU)が、第2のSTAによって送信される次のフレーム(例えば、PPDU)とアライメントされることが保証されることができる。加えて、リスニング難度は増加され得ない。
【0046】
任意選択で、第1の時間の値の範囲は、代わりに0から9マイクロ秒であってもよいし、または代わりに0から12マイクロ秒であってもよい。
【0047】
第1の時間の値の範囲が0から9マイクロ秒であるとき、第1のSTAによって送信される次のフレーム(例えば、PPDU)が第2のSTAと干渉することが防止され得る。加えて、第1のSTAによって送信される次のフレーム(例えば、PPDU)が、第2のSTAによって送信される次のフレーム(例えば、PPDU)とアライメントされることが保証されることができる。加えて、現在のフレーム間スペースがSIFS以上であるという要件が満たされる。
【0048】
第1の時間の値の範囲が0から12マイクロ秒であるとき、次のフレーム(例えば、PPDU)が送信される前の4μsが受信状態から送信状態への遷移である。したがって、4μsはチャネルリスニングには使用されない。第2のフレームが第1のフレームより8μs前であるとき、第1のフレームの後のフレーム間スペースがPIFS-12(マイクロ秒)であっても第1のSTAのチャネルリスニングは影響を受けない。
【0049】
第1の態様に基づいて、第1の態様の可能な設計では、第1のフレームが伝送に失敗し、第2のフレームが伝送に失敗したとき、第1のフレーム間スペースの持続時間は、PIFSと第1の時間との差である。
【0050】
第1の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒である。
【0051】
任意選択で、第1の時間の値の範囲は、0から8マイクロ秒、0から9マイクロ秒、または0から12マイクロ秒であってもよい。
【0052】
第1の態様に基づいて、第1の態様の可能な設計では、第1のフレームが伝送に失敗したとき、第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)と第2の時間との和である。
【0053】
第2の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒である。
【0054】
任意選択で、第2の時間の値の範囲は、0から8マイクロ秒であってもよい。
【0055】
第1の態様に基づいて、第1の態様の可能な設計では、第2のフレームが伝送に失敗したとき、第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)と第2の時間との和である。
【0056】
第2の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0057】
第1の態様に基づいて、第1の態様の可能な設計では、第1のフレームが伝送に失敗し、第2のフレームが伝送に失敗したとき、第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)と第2の時間との和である。
【0058】
第2の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0059】
第2の態様によれば、本出願の一実施形態はチャネルリスニング方法を提供する。本方法は、非同時伝送および受信マルチリンクデバイスNSTR MLDに適用され、本方法は以下を含む。
【0060】
非同時伝送および受信マルチリンクデバイスは、第1のステーションSTAおよび第2のステーションSTAを含む。第1のSTAは、第1のリンクで第1のフレームを伝送する。第2のSTAは、第2のリンクで第2のフレームを伝送する。第1のフレームは、物理層プロトコルデータユニットPPDUである。第2のフレームはPPDUである。第1のフレームの終了時間は、第2のフレームの終了時間より後である。
【0061】
NSTR MLDは、第1のフレームおよび第2のフレームが伝送に失敗したと決定する。
【0062】
第1のSTAは、第1のフレームが終了した後に第3のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第3のフレーム間スペースは、PIFSの持続時間以下である。
【0063】
代わりに、第2のSTAは、第2のフレームが終了した後に第4のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第4のフレーム間スペースは、短フレーム間スペース(SIFS)の持続時間以上、かつPIFSの持続時間以下である。
【0064】
本出願のこの実施形態では、正しくないPPDUを送信した後、NSTR MLDは、別のリンク上の送信動作がチャネルリスニング結果に影響を及ぼすのを防止するために、チャネルリスニング時間を調整し得る。加えて、フレーム間スペースは通信要件を満たす。
【0065】
第2の態様に基づいて、第2の態様の可能な設計では、非同時伝送および受信マルチリンクデバイスは、第1のステーションSTAおよび第2のステーションSTAを含む。第1のSTAは、第1のリンクで第1のフレームを伝送する。第2のSTAは、第2のリンクで第2のフレームを伝送する。第1のフレームは、物理層プロトコルデータユニットPPDUである。第2のフレームはPPDUである。第1のフレームの終了時間は、第2のフレームの終了時間より後である。
【0066】
NSTR MLDは、第1のフレームおよび第2のフレームが伝送に失敗したと決定する。
【0067】
第1のSTAは、第1のフレームが終了した後に第3のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第3のフレーム間スペースは、PIFSの持続時間以下である。
【0068】
第2の態様に基づいて、第2の態様の可能な設計では、非同時伝送および受信マルチリンクデバイスは、第1のステーションSTAおよび第2のステーションSTAを含む。第1のSTAは、第1のリンクで第1のフレームを伝送する。第2のSTAは、第2のリンクで第2のフレームを伝送する。第1のフレームは、物理層プロトコルデータユニットPPDUである。第2のフレームはPPDUである。第1のフレームの終了時間は、第2のフレームの終了時間より後である。
【0069】
NSTR MLDは、第1のフレームおよび第2のフレームが伝送に失敗したと決定する。
【0070】
第2のSTAは、第2のフレームが終了した後に第4のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第4のフレーム間スペースは、短フレーム間スペース(SIFS)の持続時間以上、かつPIFSの持続時間以下である。
【0071】
第2の態様に基づいて、第2の態様の可能な設計では、非同時伝送および受信マルチリンクデバイスは、第1のステーションSTAおよび第2のステーションSTAを含む。第1のSTAは、第1のリンクで第1のフレームを伝送する。第2のSTAは、第2のリンクで第2のフレームを伝送する。第1のフレームは、物理層プロトコルデータユニットPPDUである。第2のフレームはPPDUである。第1のフレームの終了時間は、第2のフレームの終了時間より後である。
【0072】
NSTR MLDは、第1のフレームおよび第2のフレームが伝送に失敗したと決定する。
【0073】
第1のSTAは、第1のフレームが終了した後に第3のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第3のフレーム間スペースは、PIFSの持続時間以下である。
【0074】
第2のSTAは、第2のフレームが終了した後に第4のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第4のフレーム間スペースは、短フレーム間スペース(SIFS)の持続時間以上、かつPIFSの持続時間以下である。
【0075】
第2の態様に基づいて、第2の態様の可能な設計では、第3のフレーム間スペースの持続時間は、PIFSと第3の時間との差である。
【0076】
第3の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒、または0から8マイクロ秒、または0から9マイクロ秒である。
【0077】
任意選択で、第3の時間の値の範囲は、0から12マイクロ秒であってもよい。第2の態様に基づいて、第2の態様の可能な設計では、第4のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)と第4の時間との和である。
【0078】
第4の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0079】
第2の態様に基づいて、第2の態様の可能な設計では、第2のSTAは、第2のフレームが終了した後の第5の時間の後に第5のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第5のフレーム間の持続時間と第5の時間との和は、PIFSの持続時間以下である。
【0080】
第2の態様に基づいて、第2の態様の可能な設計では、第5の時間の値の範囲は0から8マイクロ秒である。
【0081】
第3の態様によれば、本出願の一実施形態はチャネルリスニング方法を提供する。本方法は、非同時伝送および受信マルチリンクデバイスNSTR MLDに適用され、本方法は以下を含む。
【0082】
非同時伝送および受信マルチリンクデバイスは、第1のステーションSTAおよび第2のステーションSTAを含む。第1のSTAは、第1のリンクで第1のフレームを伝送する。第2のSTAは、第2のリンクで第2のフレームを伝送する。第1のフレームは、確認応答ブロック物理層プロトコルデータユニットPPDUである。第2のフレームはPPDUである。第1のフレームの終了時間は、第2のフレームの終了時間より後である。
【0083】
第2のSTAは、第2のフレームが終了した後に第6のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第6のフレーム間スペースの持続時間は、確認応答タイムアウトAckTimeoutと第6の時間との和である。
【0084】
第3の態様に基づいて、第3の態様の可能な設計では、第6の時間の値の範囲は0から4マイクロ秒である。
【0085】
第3の態様に基づいて、第3の態様の可能な設計では、本方法は以下をさらに含む。
【0086】
第2のSTAは、第2のフレームが終了した後の第7の時間の後に第7のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第7の時間と第7のフレーム間スペースとの和は、第6のフレーム間スペースの持続時間に等しい。
【0087】
第3の態様に基づいて、第3の態様の可能な設計では、第7の時間の値の範囲は0から8マイクロ秒である。
【0088】
本出願のこの実施形態では、正しくないPPDUを送信した後、NSTR MLDは、別のリンク上の送信動作がチャネルリスニング結果に影響を及ぼすのを防止するために、チャネルリスニング時間を調整し得る。加えて、フレーム間スペースは通信要件を満たす。
【0089】
第4の態様によれば、本出願の一実施形態は、マルチユーザ送信要求(Multiple User-Request To Send、MU-RTS)フレームを送信するための方法を提供する。本方法は伝送MLDに適用され、本方法は以下を含む。
【0090】
伝送MLDのステーションがMU-RTSを送信するとき、伝送MLDの別のステーションは別のフレームを送信する。MU-RTSの終了時間と別のフレームの終了時間との差の値の範囲は、0から4マイクロ秒である。別のフレームは、MU-RTSフレームであってもよいし、または別のフレームであってもよい。
【0091】
可能な実施態様では、MU-RTSの終了時間は別のフレームの終了時間より後である。
【0092】
別の可能な実施態様では、MU-RTSの終了時間が別のフレームの終了時間より前であるとき、MU-RTSの終了時間と別のフレームの終了時間との差は限定されない。
【0093】
別の可能な実施態様では、伝送MLDは、第1のアクセスポイントAPおよび第2のAPを含む。第1のAPは、第1のリンクで第1のマルチユーザ送信要求フレーム(MU-RTS)を伝送する。
【0094】
第4の態様に基づいて、第4の態様の可能な設計では、伝送MLDは、第1のアクセスポイントAPおよび第2のAPを含む。第1のAPは、第1のリンクで第1のマルチユーザ送信要求フレーム(MU-RTS)を伝送する。第2のAPは、第2のリンクで第2のマルチユーザ送信要求フレーム(MU-RTS)を伝送する。
【0095】
第1のMU-RTSの終了時間と第2のMU-RTSの終了時間との最大差は4マイクロ秒である。
【0096】
例えば、第1のAPはAP1であり、第2のAPはAP2であり、第1のリンクはリンク1であり、第2のリンクはリンク2であり、第1のMU-RTSはMU-RTS1であり、第2のMU-RTSはMU-RTS2である。MU-RTS1の終了時間とMU-RTS2の終了時間との最大差が4マイクロ秒であるとき、送信可(Clear to Send、CTS)フレーム1の開始時間とCTS2の開始時間との最大差も4マイクロ秒である。したがって、別のリンク(リンク2)に事前に送信されるCTSフレーム(CTS1)によって引き起こされる干渉は、別のリンク上のチャネルリスニング結果に影響を及ぼさない。受信MLD内のSTA2は、CTS2を正常に送信することができる。
【0097】
本出願のこの実施形態では、MU-RTSの返信フレーム(CTS)間の干渉を回避し、CTSの正常な送信を保証するために、異なるリンク上のMU-RTSの終了時間間の差の最大値が限定される。
【0098】
第5の態様によれば、本出願の一実施形態は、CTSフレーム送信方法を提供する。本方法は受信MLDに適用され、本方法は以下を含む。
【0099】
MU-RTSを受信した後、かつCTSを送信する前に受信MLDがチャネルリスニングを実行する時間間隔はSIFS+Tである。Tは、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0100】
第5の態様に基づいて、第5の態様の可能な設計では、受信MLDは、第1のアクセスポイントSTAを含む。第1のSTAは、第1のリンクで第1のMU-RTSを受信する。
【0101】
第1のSTAは、第1のリンクで第1の送信可フレームCTSを送信する。第1のCTSの開始時間と第1のMU-RTSの終了時間との差は、第8のフレーム間スペースである。第8のフレーム間スペースの持続時間はSIFSの持続時間以上である。
【0102】
本出願のこの実施形態では、異なるリンク上のCTS間の干渉を回避し、CTSの正常な送信を保証するために、受信MLDがCTSを送信する前の時間間隔が合意される。
【0103】
第5の態様に基づいて、第5の態様の可能な設計では、第8のフレーム間スペースの持続時間は、第8の時間とSIFSとの和である。第8の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0104】
第5の態様に基づいて、第5の態様の可能な設計では、第1のSTAは、第8のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。
【0105】
第5の態様に基づいて、第5の態様の可能な設計では、受信MLDは、第2のアクセスポイントSTAをさらに含む。第2のSTAは、第2のリンクで第2のMU-RTSを受信する。第2のMU-RTSの終了時間は、第1のMU-RTSの終了時間より後である。
【0106】
第2のSTAは、第2のリンクで第2の送信可フレームCTSを送信する。第2のCTSの開始時間と第2のMU-RTSの終了時間との差はSIFSである。
【0107】
第6の態様によれば、前述の方法を実施するために通信装置が提供される。通信装置は、第1の態様から第3の態様におけるNSTR MLD、またはNSTR MLDを含む装置、またはNSTR MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。代わりに、通信装置は、第4の態様における伝送MLD、または伝送MLDを含む装置、または伝送MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。代わりに、通信装置は、第5の態様における受信MLD、または受信MLDを含む装置、または受信MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。通信装置は、前述の方法を実施するための対応するモジュール、ユニット、または手段(means)を含む。モジュール、ユニット、またはmeansは、ハードウェアもしくはソフトウェアを使用して実施されてもよいし、または対応するソフトウェアを実行することによってハードウェアを使用して実施されてもよい。ハードウェアまたはソフトウェアは、前述の機能に対応する1つ以上のモジュールまたはユニットを含む。
【0108】
第7の態様によれば、通信装置が提供される。通信装置は、プロセッサおよびメモリを含む。メモリは、コンピュータ命令を記憶するように構成される。プロセッサが命令を実行するとき、通信装置は、前述の態様のいずれか1つによる方法を実行することが可能である。通信装置は、第1の態様から第3の態様におけるNSTR MLD、またはNSTR MLDを含む装置、またはNSTR MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。代わりに、通信装置は、第4の態様における伝送MLD、または伝送MLDを含む装置、または伝送MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。代わりに、通信装置は、第5の態様における受信MLD、または受信MLDを含む装置、または受信MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。
【0109】
第8の態様によれば、通信装置が提供される。通信装置はプロセッサを含む。プロセッサは、メモリに結合され、メモリ内の命令を読み出した後に、命令に基づいて前述の態様のいずれか1つにおける方法を実行するように構成される。メモリと通信装置とは互いに独立している。通信装置は、第1の態様から第3の態様におけるNSTR MLD、またはNSTR MLDを含む装置、またはNSTR MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。代わりに、通信装置は、第4の態様における伝送MLD、または伝送MLDを含む装置、または伝送MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。代わりに、通信装置は、第5の態様における受信MLD、または受信MLDを含む装置、または受信MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。
【0110】
第9の態様によれば、コンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータ可読記憶媒体は命令を記憶する。命令が通信装置上で実行されるとき、通信装置は、前述の態様のいずれか1つによる方法を実行することが可能である。通信装置は、第1の態様から第3の態様におけるNSTR MLD、またはNSTR MLDを含む装置、またはNSTR MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。代わりに、通信装置は、第4の態様における伝送MLD、または伝送MLDを含む装置、または伝送MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。代わりに、通信装置は、第5の態様における受信MLD、または受信MLDを含む装置、または受信MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。
【0111】
第10の態様によれば、命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。命令が通信装置上で動作されるとき、通信装置は、前述の態様のいずれか1つによる方法を実行することが可能である。通信装置は、第1の態様から第3の態様におけるNSTR MLD、またはNSTR MLDを含む装置、またはNSTR MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。代わりに、通信装置は、第4の態様における伝送MLD、または伝送MLDを含む装置、または伝送MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。代わりに、通信装置は、第5の態様における受信MLD、または受信MLDを含む装置、または受信MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。
【0112】
第11の態様によれば、通信装置(例えば、通信装置はチップまたはチップシステムであってもよい)が提供される。通信装置は、前述の態様のいずれか1つにおける機能を実施するように構成されたプロセッサを含む。可能な設計では、通信装置はメモリをさらに含み、メモリは、必要なプログラム命令およびデータを記憶するように構成される。通信装置がチップシステムであるとき、通信装置は、チップを含んでもよいし、またはチップおよび別の個別構成要素を含んでもよい。
【0113】
第12の態様によれば、チップが提供される。チップは、プロセッサおよび通信インターフェースを含む。通信インターフェースは、図示のチップ以外のモジュールと通信するように構成される。プロセッサは、チップが組み込まれた装置が前述の態様のいずれか1つによる方法を実行することができるように、コンピュータプログラムまたは命令を動作させるように構成される。
【0114】
第5の態様から第12の態様のいずれかの設計によってもたらされる技術的効果については、第1の態様、第2の態様、第3の態様、第4の態様、または第5の態様の異なる設計によってもたらされる技術的効果を参照されたい。ここでは詳細は再び説明されない。
【0115】
第13の態様によれば、通信システムが提供される。通信システムは、前述の態様におけるNSTR MLD、または伝送MLD、または受信MLDを含む。
【図面の簡単な説明】
【0116】
図1a】本出願の一実施形態によるPPDUの構造の概略図である。
図1b】本出願の一実施形態による別のPPDUの構造の概略図である。
図1c】本出願の一実施形態による伝送機会TXOPの構造の概略図である。
図2】本出願の一実施形態によるマルチリンクデバイスの通信シナリオの概略図である。
図3】本出願の一実施形態による通信シナリオの概略図である。
図4】本出願の一実施形態による別の通信シナリオの概略図である。
図5】本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。
図6】本出願の一実施形態によるチャネルリスニング方法のフローチャートである。
図7】本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。
図8】本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。
図9】本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。
図10】本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。
図11】本出願の一実施形態によるチャネルリスニング方法のフローチャートである。
図12】本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。
図13】本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。
図14】本出願の一実施形態によるチャネルリスニング方法のフローチャートである。
図15】本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。
図16】本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。
図17】本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。
図18】本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。
図19】本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。
図20】本出願の一実施形態によるNSTR MLDの構造の概略図である。
図21】本出願の一実施形態による通信デバイスの構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0117】
本出願の実施形態は、非同時伝送および受信マルチリンクデバイスがマルチリンク通信を同期させることができるように、チャネルリスニング方法および関連装置を提供する。
【0118】
本出願の明細書、特許請求の範囲、および添付の図面において、「第1の」および「第2の」などの用語は、同様の対象を区別することを意図されているが、必ずしも特定の順番または順序を示すものではない。このような仕方で使用される用語は、適切な状況において交換可能であり、これは、同じ属性を有する対象が本出願の実施形態で説明されるときに使用される区別方法にすぎないことを理解されたい。加えて、「含む」、「含有する」という用語および任意の他の変種は、一連のユニットを含むプロセス、方法、システム、製品、またはデバイスが、必ずしもそれらのユニットに限定されず、明示的に列挙されていない、またはこのようなプロセス、方法、システム、製品、もしくはデバイスに固有の他のユニットを含み得るように、非排他的な包含に該当することを意味する。
【0119】
以下は、本出願の実施形態における添付の図面を参照して、本出願の実施形態における技術的解決策について明確に説明する。本出願の説明において、特に明記しない限り、「/」は「または」を意味する。例えば、A/Bは、AまたはBを表し得る。本出願において、「および/または」は、関連付けられた対象を説明するための関連付け関係のみを説明しており、3つの関係が存在し得ることを表す。例えば、Aおよび/またはBは、以下の3つの場合:Aのみが存在する、AとBとの両方が存在する、およびBのみが存在する、を表し得る。加えて、本出願の説明において、「少なくとも1つのもの」は1つ以上のものを意味し、「複数のもの」は2つ以上のものを意味する。「以下のうちの少なくとも1つのもの(要素)」またはその同様の表現は、単数のもの(要素)、または複数のもの(要素)の任意の組み合わせを含む、これらのものの任意の組み合わせを意味する。例えば、a、b、またはcのうちの少なくとも1つは、a、b、c、aおよびb、aおよびc、bおよびc、またはa、b、およびcを示し得、a、b、およびcは単数であっても複数であってもよい。
【0120】
本出願の実施形態は、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(Wireless Local Area Network、WLAN)に適用され得る。現在、WLANで使用されている規格は、電気電子技術者協会(Institute of Electrical and Electronics Engineers、IEEE)802.11ファミリである。WLANは、複数の基本サービスセット(Basic Service Set、BSS)を含み得る。基本サービスセット内のネットワークノードはステーション(Station、STA)である。ステーションは、アクセスポイントタイプステーション(Access Point、AP)および非アクセスポイントタイプステーション(Non-Access Point Station、Non-AP STA)を含む。各基本サービスセットは、1つのAPと、APに関連付けられた複数のNon-AP STAとを含み得る。
【0121】
アクセスポイントステーションは、ワイヤレスアクセスポイントまたはホットスポットなどとも呼ばれる。APは、有線ネットワークにアクセスするためにモバイルユーザによって使用されるアクセスポイントであり、主に、数十メートルから数百メートルの典型的なカバレッジ半径で住宅内、建物内部、および構内に配置される。当然ながら、APは、代わりに屋外に配置されてもよい。APは、有線ネットワークとワイヤレスネットワークとを接続するブリッジに相当する。APの主な機能は、ワイヤレスネットワーククライアントを互いに接続し、次にワイヤレスネットワークをイーサネットに接続することである。具体的には、APは、ワイヤレスフィデリティ(Wireless Fidelity、WiFi)チップを有する端末デバイスまたはネットワークデバイスであり得る。任意選択で、APは、802.11ad規格または802.11ay規格をサポートするデバイスであってもよい。任意選択で、APは、802.11ax規格をサポートするデバイスであってもよい。さらに任意選択で、APは、802.11be、802.11ac、802.11n、802.11g、802.11b、および802.11aなどの複数のWLAN規格をサポートするデバイスであってもよい。APは、次世代の802.11プロトコルをさらにサポートしてもよい。これはここでは限定されない。
【0122】
非アクセスポイントステーション(None Access Point Station、Non-AP STA)は、ワイヤレス通信チップ、ワイヤレスセンサ、またはワイヤレス通信端末であり得る。例えば、Non-AP STAは、WiFi通信機能をサポートしている携帯電話、WiFi通信機能をサポートしているタブレットコンピュータ、WiFi通信機能をサポートしているセットトップボックス、WiFi通信機能をサポートしているスマートTV、WiFi通信機能をサポートしているスマートウェアラブルデバイス、WiFi通信機能をサポートしている車載通信デバイス、またはWiFi通信機能をサポートしているコンピュータである。具体的には、STAは、ワイヤレスフィデリティチップを有する端末デバイスまたはネットワークデバイスであり得る。任意選択で、ステーションは802.11ax規格をサポートしてもよい。さらに任意選択で、ステーションは、802.11be、802.11ac、802.11n、802.11g、802.11b、および802.11aなどの複数のWLAN規格をサポートする。STAは、次世代の802.11プロトコルをさらにサポートしてもよい。これはここでは限定されない。
【0123】
最初に、理解を容易にするために、以下は最初に、本出願の実施形態におけるいくつかの技術用語について簡単に説明する。
【0124】
1.物理層プロトコルデータユニット(physical protocol data unit、PPDU)
図1aは、802.11ax規格におけるPPDUのフレーム構造の概略図である。PPDUは、レガシーショートトレーニングフィールド(legacy-short training field、L-STF)、レガシーロングトレーニングフィールド(legacy-long training field、L-LTF)、レガシー信号フィールド(legacy-signal field、L-SIG)、リピートレガシー信号フィールド(repeated legacy-signal field、RL-SIG)、高効率信号フィールドA(high efficient-signal field A、HE-SIG A)、高効率信号フィールドB(high efficient-signal field B、HE-SIG B)、高効率ショートトレーニングフィールド(high efficient-short training field、HE-STF)、高効率ロングトレーニングフィールド(high efficient-long training field、HE-LTF)、およびデータ(data)を含む。任意選択で、PPDUはデータパケット拡張(packet extension、PE)をさらに含んでもよい。
【0125】
図1bは、802.11beで使用され得る超高スループット(extremely high throughput、EHT)PPDUの構造を示す。EHT PPDUは、3つの部分:レガシープリアンブル(legacy preamble、L-preamble)、高効率プリアンブル(high efficiency preamble、HE-preamble)、および物理層コンバージェンスプロトコルサービスデータユニット(physical layer convergence protocol service data unit、PSDU)を含み得る。
【0126】
L-preamble部分は、L-STFフィールド、L-LTFフィールド、およびL-SIGフィールドを含む。HE-preamble部分は、RL-SIGフィールド、ユニバーサルフィールド(universal SIG、U-SIG)フィールド、超高スループットシグナリング(EHT-SIG)フィールド、超高スループットショートトレーニング(extremely high throughput short training field、EHT-STF)フィールド、および超高スループットロングトレーニング(extremely high throughput long training field、EHT-LTF)フィールドを含む。PSDU部分は、データ(data)フィールドなどのフィールドを含む。U-SIGフィールドは、2つのOFDMシンボル、例えば、図1bに示されているU-SIG SYM1およびU-SIG SYM2を占有する。ユニバーサルフィールド(U-SIG)フィールドは、バージョン非依存情報(version independent info)フィールド、バージョン依存情報(version dependent info)フィールド、CRCフィールド、およびテールフィールドを含み得る。version independent infoフィールドは、3ビットのWiFiバージョンフィールド、1ビットのダウンリンク/アップリンクフィールド、少なくとも6ビットのBSS colorフィールド、および少なくとも7ビットのTXOPフィールドを含み得る。さらに、version independent infoフィールドは、帯域幅フィールドをさらに含み得る。version dependent infoフィールドは、PPDUフォーマットフィールドなどを含み得、変調符号化方式フィールド、空間フローフィールド、および符号化フィールドなどのうちの1つ以上をさらに含み得る。CRCフィールドは少なくとも4ビットを占有し、テールフィールドは、テールビットフィールドの少なくとも6ビットを占有する。
【0127】
可能な実施態様では、EHT-SIGフィールドは、EHT-SIG共通フィールドおよびEHT-SIGユーザ固有フィールドを含む。EHT-SIG共通フィールドは、STAに割り当てられたリソース割り当て情報を搬送するために使用され得、EHT-SIGユーザ固有フィールドは、ユーザ情報を搬送するために使用され得る。
【0128】
EHT-PPDUは例にすぎないことを理解されたい。規格策定プロセスまたは技術開発プロセスにおいて、別の構造があり得る。これは本出願では限定されない。
【0129】
2.伝送機会(transmission opportunity、TXOP)
TXOPは、ワイヤレスチャネルアクセスにおける基本単位である。TXOPは、初期時間および最大持続時間(TXOP limit)を含む。
【0130】
フレームを送信した後、デバイスは、衝突を回避するために、次のフレームを送信する前に非常に短い期間待機する必要がある。この期間は、一般に、フレーム間スペース(interframe space、IFS)と呼ばれる。現在、フレーム間スペースは、通常、短フレーム間スペース(short interframe space、SIFS)である。
【0131】
例えば、フレーム間スペースはSIFSである。図1cは、TXOPにおけるPPDUの通常の伝送の概略図である。伝送端デバイスは送信可(clear to send、CTS)フレームを受信し、SIFSの後、伝送端デバイスはPPDU11の送信を開始する。さらにSIFSの後、伝送端デバイスは、受信端デバイスからBA11を受信する。BA11は、PPDU11が正常に伝送されたかどうかを伝送端にフィードバックするために使用される。PPDU11は正常に伝送されたと仮定される。BA11フレームは終了し、SIFSの後、伝送端デバイスは引き続きPPDU12を送信する。残りは、類推によって推測され得る。
【0132】
図1cのRTSは送信要求(request to send、RTS)である。RTS/CTSは、複数のサイト間の信号衝突を回避するために、隠れサイトを解決するために使用される。伝送端がデータフレームを送信する前に、伝送端は、最初に、指定された持続時間内にデータフレームを指定された受信端に送信するように伝送端に示すために、RTSフレームを送信する。RTSフレームを受信した後、伝送端の伝送を確認するために、CTSフレームが返信される。RTSフレームまたはCTSフレームを受信した別のステーションは、指定された持続時間が終了するまで無線フレームを送信しない。
【0133】
3.エラー回復(Error recovery):
伝送機会(transmission opportunity、TXOP)が正常に確立された後、TXOPにおけるPPDUが伝送に失敗したとき、リンクのエラー回復がトリガされる。
【0134】
エラー回復は、ポイント調整機能フレーム間スペース(point coordination function interframe space、PIFS)エラー回復およびバックオフ(backoff)エラー回復を含む。PIFSエラー回復:チャネルのアイドル持続時間がPIFSに達した後、デバイスは、チャネルを介して次のPPDUを送信する。チャネルのアイドル持続時間がPIFSに達した後、次のPPDUが送信される。これがPIFSエラー回復と呼ばれる。
【0135】
新世代規格802.11beでは、超高スループット(Extremely High Throughput、EHT)が技術目標として使用されている。既存の主要な技術の1つは、マルチリンク(Multi-link、ML)通信である。マルチリンク通信の中心概念は、次世代IEEE802.11規格をサポートするWLANデバイス、すなわちEHTデバイスが、複数の周波数帯域で送信および受信する能力を有し、これにより、より大きな帯域幅が伝送に使用されることができることである。これは、スループットをさらに改善することができる。マルチバンドは、2.4GHz WiFi周波数帯域、5GHz WiFi周波数帯域、および6GHz WiFi周波数帯域を含むが、これらに限定されない。各周波数帯域で実行されるアクセスおよび伝送はリンク(link)と呼ばれ、複数の周波数帯域で実行されるアクセスおよび伝送はマルチリンク通信と呼ばれる。マルチリンク通信をサポートするデバイスは、マルチリンクデバイス(Multi-link Device、MLD)と呼ばれ、MLDデバイスとも呼ばれる。具体的には、図2は、本出願の一実施形態によるマルチリンクデバイスの通信シナリオの概略図である。各MLDデバイスは複数のアクセスポイント(Access Point、AP)またはステーション(Station、STA)を有し、MLD間の通信はマルチリンク通信である。図1において、リンク1およびリンク2はマルチリンクを形成する。
【0136】
図3は、本出願の一実施形態による通信シナリオの概略図である。例えば、本出願では、MLD(MLD301およびMLD302を含む)は、複数の周波数帯域において送信および受信能力を有する。シングルリンク伝送のみをサポートするデバイスと比較して、マルチリンクデバイスは、より高い伝送効率およびより高いスループットを有する。例えば、複数の周波数帯域は、2.4GHz周波数帯域、5GHz周波数帯域、および6GHz周波数帯域を含むが、これらに限定されない。MLDが1つの周波数帯域でデータ伝送を実行する空間経路は、1つのリンクと呼ばれ得る。言い換えれば、MLDはマルチリンク通信をサポートする。
【0137】
MLDの場合、MLDによってサポートされる各リンクは1つの周波数帯域に対応することを理解されたい。
【0138】
本出願では、MLDはマルチバンドデバイス(multi-band device)とも呼ばれ得、これら2つは交換可能に使用され得ることに留意されたい。これは、本出願の実施形態では具体的には限定されない。
【0139】
本出願では、MLDは、少なくとも2つの系列ステーションSTA(affiliated STA)を含む。系列ステーションは、アクセスポイントステーション(Access Point Station、AP STA)または非アクセスポイントステーション(non-Access Point Station、non-AP STA)であり得る。説明を容易にするために、本出願では、系列ステーションがAPであるマルチリンクデバイスは、マルチリンクAP、マルチリンクAPデバイス、またはAPマルチリンクデバイス(AP multi-link device、AP MLD)と呼ばれ得る。系列ステーションがnon-AP STAであるマルチリンクデバイスは、マルチリンクSTA、マルチリンクSTAデバイス、STAマルチリンクデバイス(STA multi-link device、STA MLD)、またはnon-APマルチリンクデバイス(non-AP MLD)と呼ばれ得る。
【0140】
一実施態様では、non-AP STAはAPの機能を実施し得る、言い換えれば、non-AP STAはAPとして機能することができる。AP機能を実施することができるnon-AP STA、またはAPとして機能することができるnon-AP MLDによって形成されるMLDは、ソフトAP MLD(soft AP MLD)と呼ばれ得る。
【0141】
AP MLDは、STR AP MLDとnon-STR AP MLDとに分類され得ることが理解され得る。STR AP MLDはSTR能力を有し、non-STR AP MLDはSTR能力を有しない。同様に、non-AP MLDは、STR non-AP MLDとnon-STR non-AP MLDとに分類されることができる。STR non-AP MLDはSTR能力を有し、non-STR non-AP MLDはSTR能力を有しない。
【0142】
本出願のこの実施形態では、non-STR AP MLDは前述のソフトAP MLDを含み得る。当然ながら、non-STR AP MLDは、ソフトAP MLDに限定されない。
【0143】
MLD内の各STAは、通信のためにリンクを確立し得る。図4は、MLD301がステーションA1からステーションANを含み、MLDがステーションB1からステーションBNを含む例を使用している。ステーションA1はリンク1でステーションB1と通信し、ステーションA2はリンク2でステーションB2と通信し、以下同様である。ステーションANは、リンクNでステーションBNと通信する。
【0144】
本出願の以下の実施形態は、MLD301とMLD302との間の複数のリンクが第1のリンクおよび第2のリンクを含む例を説明する。
【0145】
MLDデバイスによってサポートされる複数の周波数帯域間の周波数間隔が近いとき、ある周波数帯域で信号を送信することは、別の周波数帯域での信号の受信に影響を及ぼす。例えば、デバイスはリンク1で信号を送信する。リンク1およびリンク2の周波数帯域間の周波数間隔は比較的小さいため、リンク1上の伝送信号はリンク2へのチャネル干渉を引き起こし、リンク2のチャネルアクセスおよび受信が影響を受ける。したがって、MLDデバイスは、相互干渉を回避するために、同時に複数の周波数帯域で独立して送信および受信動作を実行することができない。802.11beは、マルチリンクデバイスが同時伝送および受信(Simultaneous transmitting and receiving、STR)能力、または非同時伝送および受信(Non-Simultaneous transmitting and receiving、NSTR)能力を有することを定義している。STR能力を有するマルチリンクデバイスは、STR MLDと呼ばれ、STR能力を有しないマルチリンクデバイスは、NSTR MLDと呼ばれる。
【0146】
1つのMLDは2つ以上のリンクで動作し得、MLDのSTR/NSTR能力は各リンクペアに対するものであることに留意されたい。したがって、同じMLDの異なるリンクペアは、異なるSTR/NSTR能力を有し得る。例えば、一部のリンクペアはSTRであり、その他のリンクペアはNSTRである。本出願のこの実施形態では、NSTR MLDは、MLDが動作するリンクペアのうちの少なくとも1つのリンクペアの能力がNSTRであることを意味する。これに対応して、STR MLDは、MLDが動作するすべてのリンクペアがSTRであることを意味する。本出願のこの実施形態では、NSTR MLDは、第1のリンクおよび第2のリンクでデータを送信または受信する。第1のリンクおよび第2のリンクはNSTRリンクのペアであり、第1のリンクおよび第2のリンクはNSTRリンクペアとも呼ばれる。
【0147】
NSTR MLDの場合、限定された能力に起因して、NSTR MLDが一方のリンクで信号を伝送するとき、それは他方のリンクで信号を受信することが可能ではあり得ない。言い換えれば、NSTR MLDが一方のリンクで信号を送信するときに、他方のリンクでデータが受信される必要がある場合、データは受信され得ない。結果として、パケット損失が発生する。
【0148】
したがって、NSTR MLDが、互いに干渉することなく2つのリンクで同時にPPDUを送信する必要がある場合、2つのリンク上の2つのPPDUの開始時間および終了時間がアライメントされる必要がある。現在のプロトコルによれば、2つのPPDUの終了時間の差が8マイクロ秒以下である場合、2つのPPDUの終了時間はアライメントされる。
【0149】
前述の説明を参照されたい。NSTR MLDが、干渉を引き起こすことなくNSTRリンクでPPDUを同時に送信するとき、2つのPPDUの終了時間がアライメントされる必要がある。アライメントの最大(許容)誤差は8マイクロ秒であり、8マイクロ秒はアライメント精度とも呼ばれる。アライメント精度に基づいて、NSTR MLDがNSTRリンク(例えば、NSTRリンクは第1のリンクおよび第2のリンクである)で、データを搬送する2つのPPDUを同時に送信した後、PPDUを受信したMLDは、NSTRリンク(第1のリンクおよび第2のリンク)で確認応答ブロック(Block ACK、BA)を同時に返信する。2つのBAを搬送するPPDUの終了時間の最大誤差も8マイクロ秒である。
【0150】
以下は、本出願のこの実施形態で言及される伝送エラーについて説明する。具体的には、本出願のこの実施形態における伝送エラーは、以下の2つの場合を含み得る。
【0151】
(1)BA受信エラー
BAにおいて受信エラーが発生する。具体的には、BAは、物理層受信開始指示(PHY-RXSTART.indication)をトリガし、BAフレームのMAC層フレームチェックシーケンス(Frame Check Sequence、FCS)はチェックに失敗する。
【0152】
(2)PPDU送信エラー
PPDUで送信エラーが発生した場合、PPDUが終了した後の特定の時間内に、PPDUを送信したSTAに対してプリミティブ物理層受信開始指示(PHY-RXSTART.indication)がトリガされない。
【0153】
伝送エラー(error)は、送信エラーおよび受信エラーを含むことに留意されたい。本出願のこの実施形態では、伝送エラーは伝送失敗(failure)とも呼ばれ得る。伝送失敗は、送信失敗および受信失敗を含む。これはここでは限定されない。
【0154】
本出願のこの実施形態では、BAの受信エラーとPPDUの送信エラーとの両方が伝送エラーと考えられてもよく、またはエラーフレームもしくは伝送に失敗したフレームと考えられてもよい。これは本出願では限定されない。説明を容易にするために、BAの受信エラーとPPDUの送信エラーとの両方が、伝送に失敗したフレームとして説明される。
【0155】
例えば、BA受信エラーの場合のチャネルリスニングプロセスが説明のための例として使用される。具体的には、図5に示されているように、STAは、BAが終了した後、PIFSにおいてチャネルリスニングを実行する。STA(STA2が例として使用される)は、BAフレームが終了した後のPIFS持続時間内にチャネルリスニング(例えば、STA1のチャネルのリスニング)を実行して、チャネルのビジーまたはアイドル状態を決定する。STA2が、チャネルリスニングによって、チャネルがアイドルであると決定した場合、STA2は、引き続きリンクで次のPPDUを送信する。STA2が、チャネルリスニングによって、チャネルがビジーであると決定した場合、STA2は、引き続きリンクでPPDUを送信することを停止する。
【0156】
正しいBAを受信した後、STAはまた、次のPPDUを送信する前にPIFSにわたって待機する。したがって、2つのBAの終了時間の最大差は8マイクロ秒である。BAを正しく受信した後、STA1は、次のPPDUを送信する前にPIFSにわたって待機する。STA1によって次のPPDUを送信する影響に起因して、STA2のチャネルリスニング結果はビジーである。
【0157】
前述の問題を解決するために、従来技術の解決策は、正しいBAを受信した後、STAが、次のPPDUを送信する前にPIFS+δにわたって待機し、δの時間が0から4マイクロ秒(μs)であることを提供する。STA1が例として使用される。STA1によって送信される次のPPDUは、STA2のPIFS時間の最後の4μsの最大限のみと干渉する。最後の4μsは、通常、受信状態から送信状態への遷移である。したがって、この時間(4μs)内にチャネルリスニングは実行されず、チャネルリスニング結果は影響を受けない。
【0158】
フレーム間スペースに対する現在の要件は、25マイクロ秒を超えることはできない。したがって、NSTR MLDの同期マルチリンク通信をどのように実施するかは、依然として、現在解決されるべき緊急の問題である。
【0159】
前述の問題を解決するために、本出願の実施形態はチャネルリスニング方法を提供する。例えば、NSTR MLDは、第1のステーションSTAおよび第2のSTAを含む。第1のSTAは、第1のリンクで第1のフレームを伝送する。第2のSTAは、第2のリンクで第2のフレームを伝送する。第1のフレームの終了時間は、第2のフレームの終了時間より後である。NSTR MLDは別のステーションをさらに含んでもよく、これはここでは限定されないことに留意されたい。第1のリンクおよび第2のリンクは例にすぎず、特定の数のリンクを示すものではない。第1のリンクおよび第2のリンクは、複数のリンクのうちの任意の2つを表す。本出願の解決策は、2つより多くのリンクがある場合に拡張され得る。分類は、第1のフレームおよび第2のフレームのタイプに基づいて実行されている。本出願のこの実施形態で提供される解決策は、以下のステップを含む。
【0160】
(1)第1のフレームおよび第2のフレームは、応答フレーム、例えば、確認応答ブロック(BA)である。この場合、第1のSTAは第1のフレーム(応答フレーム)を受信し、第2のSTAは第2のフレーム(応答フレーム)を受信する。
【0161】
(2).第1のフレームおよび第2のフレームはPPDUである。この場合、第1のSTAは第1のフレーム(PPDU)を送信し、第2のSTAは第2のフレーム(PPDU)を送信する。
【0162】
本出願のこの実施形態では、BAは応答フレームとして理解され得ることに留意されたい。加えて、応答フレームは、確認応答(acknowledgement、ACK)をさらに含み得る。本出願におけるBAはまた、ACKに置き換えられてもよい。言い換えれば、本出願におけるBAは応答フレームのみを表し、応答フレームは、必ずしもBAである必要はなく、ACKでもあり得る。応答フレームはまた、別のタイプのフレームであってもよい。これはここでは限定されない。
【0163】
最初に、以下は、第1のフレームおよび第2のフレームが応答フレームである解決策について説明する。図6は、本出願の一実施形態によるチャネルリスニング方法のフローチャートである。本出願のこの実施形態で提供されるチャネルリスニング方法は、以下のステップを含む。
【0164】
601:NSTR MLD内の第1のSTAは第1のリンクで第1のフレームを伝送し、NSTR MLD内の第2のSTAは第2のリンクで第2のフレームを伝送する。
【0165】
具体的には、この実施形態では、NSTR MLD内の第1のSTAは、第1のリンクで第1のフレームを受信し、第1のフレームは応答フレームである。NSTR MLD内の第2のSTAは第2のリンクで第2のフレームを受信し、第2のフレームは応答フレームである。第1のフレームの終了時間は、第2のフレームの終了時間より後である。以下は、応答フレームがBAである例を使用して説明を提供する。
【0166】
例えば、図7は、本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。第1のSTAはSTA1として理解され得る。第2のSTAはSTA2として理解され得る。第1のフレームはBA11として理解され得る。第2のフレームはBA21として理解され得る。
【0167】
602:NSTR MLDは、伝送に失敗したフレームを決定する。
【0168】
この実施形態では、NSTR MLDは、第1のフレームおよび第2のフレームが伝送に失敗したフレームであるかどうか、すなわち、第1のフレームおよび第2のフレームが伝送に失敗したかどうかを決定する。
第1のフレームがBAであり、第2のフレームがBAであるとき、NSTR MLDが伝送に失敗したフレームを決定することは、具体的には以下の通りである。
【0169】
NSTR MLD(STA1)が第1のフレームを受信したとき、第1のフレームは、プリミティブ物理層受信開始指示(PHY-RXSTART.indication)をトリガする。第1のフレームのMAC層のフレームチェックシーケンス(FCS)チェックが失敗する。NSTR MLDは、第1のフレームが伝送に失敗したフレームであると決定する。
【0170】
NSTR MLD(STA2)が第2のフレームを受信したとき、第2のフレームは、プリミティブ物理層受信開始指示(PHY-RXSTART.indication)をトリガする。第2のフレームのMAC層のフレームチェックシーケンス(FCS)チェックが失敗する。NSTR MLDは、第2のフレームが伝送に失敗したフレームであると決定する。
【0171】
NSTR MLD(STA1)が第1のフレームを受信したとき、第1のフレームは、プリミティブPHY-RXSTART.indicationをトリガし、第1のフレームのMAC層のフレームチェックシーケンス(FCS)チェックが失敗する。NSTR MLD(STA2)が第2のフレームを受信したとき、第2のフレームは、プリミティブPHY-RXSTART.indicationをトリガし、第2のフレームのMAC層のフレームチェックシーケンス(FCS)チェックが失敗する。NSTR MLDは、第1のフレームと第2のフレームとの両方が伝送に失敗したフレームであると決定する。
【0172】
603:NSTR MLDはチャネルリスニングを実行する。
【0173】
この実施形態では、NSTR MLDが伝送に失敗したフレームを決定した後、第1のSTAは、第1のフレームが終了した後に第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。代わりに、第2のフレームが終了した後、第2のSTAは、第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。以下は、第1のフレームが伝送に失敗するフレームであり、第2のフレームが伝送に失敗するフレームであり、第1のフレームおよび第2のフレームが伝送に失敗するフレームである3つの場合について別々に説明する。
【0174】
(1)第1のフレームが伝送に失敗するフレームである。
【0175】
可能な実施態様では、第1のSTAは、第1のフレームが終了した後に第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第1のフレーム間スペースの持続時間は、PIFSと第1の時間との差である。第1の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒である(第1の時間がtで表される場合、tの値の範囲は[0,4]である)。言い換えれば、第1のフレーム間スペースの持続時間の値の範囲は[PIFS-4,PIFS]である。代わりに、第1の時間の値の範囲は0から8マイクロ秒である。
【0176】
第1の時間の値の範囲が0から4マイクロ秒であるとき、第1のSTAによって送信される次のフレーム(例えば、PPDU)が第2のSTAと干渉することが防止され得、リスニング難度は増加され得ない。
【0177】
第1の時間の値の範囲が0から8マイクロ秒であるとき、第1のSTAによって送信される次のフレーム(例えば、PPDU)が第2のSTAと干渉することが防止され得る。加えて、第1のSTAによって送信される次のフレーム(例えば、PPDU)が、第2のSTAによって送信される次のフレーム(例えば、PPDU)とアライメントされることが保証されることができる。加えて、リスニング難度は増加され得ない。
【0178】
任意選択で、第1の時間の値の範囲は、0から9マイクロ秒、または0から12マイクロ秒であってもよい。
【0179】
第1の時間の値の範囲が0から8マイクロ秒であることが例として使用されることに留意されたい。言い換えれば、本出願のこの実施形態における第1の時間は、0から8マイクロ秒の任意の値であってもよく、任意の値は整数であってもよい。例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、または8マイクロ秒である。任意の値はまた、小数、例えば0.5、1.5、1.8、または3.4マイクロ秒であってもよい。本出願のこの実施形態における第2の時間、第3の時間、第4の時間、第5の時間、第6の時間、第7の時間、または第8の時間は、第1の時間の関連定義と同様であり、以下では詳細は再び説明されない。
【0180】
別の可能な実施態様では、第1のフレーム間スペースの持続時間は短フレーム間スペース(SIFS)である。
【0181】
さらに別の可能な実施態様では、第2のSTAは、第2のフレームが終了した後に第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第2のフレーム間スペースは、短フレーム間スペース(SIFS)と第2の時間との和である。第2の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0182】
図8は、本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。BA11が、伝送に失敗するフレームである。以下は、例を使用してNSTR MLDでチャネルリスニングを実行する具体的な実施態様について説明する。
【0183】
例えば、STA1が、BA11が終了した後に第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行するとき、第1のフレーム間スペースの持続時間は、PIFSと第1の時間との差である。これに対応して、BA21が終了した後のSTA2の第2のフレーム間スペースは、PIFSであり得る。任意選択で、STA2は、第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行してもよい。
【0184】
例えば、STA1が、BA11が終了した後に第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行するとき、第1のフレーム間スペースの持続時間は短フレーム間スペース(SIFS)である。これに対応して、BA21が終了した後のSTA2の第2のフレーム間スペースは、SIFSと第2の時間との和であり得る。任意選択で、STA2は、第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行してもよい。
【0185】
前述の例は、説明のための例にすぎず、本出願のこの実施形態の別の実施態様に対する限定を構成するものではないことに留意されたい。
【0186】
(2)第2のフレームが伝送に失敗するフレームである。
【0187】
可能な実施態様では、第1のSTAは、第1のフレームが終了した後に第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。このようにして、チャネル状態がアイドルであるときにのみ次のPPDUが送信され、その結果、潜在的な衝突を低減する。具体的には、第1のフレーム間スペースの持続時間は、PIFSと第1の時間との差である。第1の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒、または0から8マイクロ秒、または0から9マイクロ秒、または0から12マイクロ秒である。
【0188】
例えば、図9は、本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。第1の時間の値の範囲が0から4マイクロ秒であるとき、STA1によって次のPPDU(PPDU12)を送信することによってSTA2に生じる干渉が回避されることができる。
【0189】
第1の時間の値の範囲が0から8マイクロ秒であるとき、STA1によって送信される次のPPDU(PPDU12)がSTA2と干渉することが防止され得る。加えて、STA1によって送信されるPPDU12が、STA2によって送信されるPPDU22とアライメントされることが保証されることができる。
【0190】
第1の時間の値の範囲が0から9マイクロ秒であるとき、STA1によって送信される次のPPDU(PPDU12)がSTA2と干渉することが防止され得る。加えて、STA1によって送信されるPPDU12が、STA2によって送信されるPPDU22とアライメントされることが保証されることができる。加えて、現在のフレーム間スペースがSIFS以上であるという要件が満たされる。
【0191】
第1の時間の値の範囲が0から12マイクロ秒であるとき、次のPPDU(PPDU12)が送信される前の4μsが受信状態から送信状態への遷移である。したがって、4μsはチャネルリスニングには使用されない。BA21が、BA11より8μs前であるとき、BA11の後のフレーム間スペースPIFS-12(マイクロ秒)は、STA1のチャネルリスニングに影響を及ぼさない。
【0192】
別の可能な実施態様では、第1のフレームが正しく伝送されるため、第1のSTAは、第1のフレームが終了した後に第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行しない。第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングが必要とされない場合、次のPPDUは、第1のフレーム間スペースが終了した後に直接送信される。
【0193】
さらに別の可能な実施態様では、第2のSTAは、第2のフレームが終了した後に第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)と第2の時間との和である。第2の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0194】
前述の説明に基づいて、図9を参照されたい。BA21が、伝送に失敗するフレームである。以下は、例を使用してNSTR MLDでチャネルリスニングを実行する具体的な実施態様について説明する。
【0195】
例えば、STA2は、BA21が終了した後に第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)と第2の時間との和である。これに対応して、BA11が終了した後のSTA1の第1のフレーム間スペースはSIFSである。任意選択で、STA1は、第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。
【0196】
例えば、STA1のBA11が終了した後の第1のフレーム間スペースは、PIFSと第1の時間との差である。これに対応して、STA2は、BA21が終了した後に第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第2のフレーム間スペースの持続時間はPIFSである。具体的には、STA1は、第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行することなく次のPPDUを直接送信し得、またはSTA1は、第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行し、チャネルがアイドルである場合にのみ次のPPDUを送信する。
【0197】
前述の例は、説明のための例にすぎず、本出願のこの実施形態の別の実施態様に対する限定を構成するものではないことに留意されたい。
【0198】
(3)第1のフレームと第2のフレームとの両方が、伝送に失敗するフレームである。
【0199】
可能な実施態様では、第1のSTAは、第1のフレームが終了した後に第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第1のフレーム間スペースの持続時間は、PIFSと第1の時間との差である。第1の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒、または0から8マイクロ秒、または0から9マイクロ秒、または0から12マイクロ秒である。
【0200】
別の可能な実施態様では、第2のSTAは、第2のフレームが終了した後に第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)と第2の時間との和である。第2の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0201】
第1の時間および第2の時間の具体的な選択は、NSTR MLDによって測定された第1のフレームの終了時間とNSTR MLDによって測定された第2のフレームの終了時間との差によって決定されてもよいし、またはNSTR MLD上で事前構成されてもよいことに留意されたい。これはここでは限定されない。例えば、NSTR MLDによって測定された第1のフレームの終了時間と第2のフレームの終了時間との差が5マイクロ秒である場合、第1の時間の値の範囲は5マイクロ秒であるか、または第2の時間の値の範囲は5マイクロ秒であると決定され得る。
【0202】
別の可能な実施態様では、第2のフレームが終了した後、第2のSTAは、PIFSでチャネルリスニングを実行し得る。第2のフレームが終了した後、第2のSTAはまた、別の長さのフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行してもよい。これはここでは限定されない。
【0203】
前述の説明に基づいて、図10を参照されたい。図10は、本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。BA11とBA21との両方が、伝送に失敗するフレームである。以下は、例を使用してNSTR MLDでチャネルリスニングを実行する具体的な実施態様について説明する。
【0204】
例えば、STA1は、BA11が終了した後に第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第1のフレーム間スペースの持続時間は、PIFSと第1の時間との差である。これに対応して、STA2は、BA21が終了した後に第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第2のフレーム間スペースはPIFSである。
【0205】
例えば、STA2は、BA21が終了した後に第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)と第2の時間との和である。これに対応して、STA1は、BA11が終了した後に第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第1のフレーム間スペースはSIFSである。
【0206】
前述の例は、説明のための例にすぎず、本出願のこの実施形態の別の実施態様に対する限定を構成するものではないことに留意されたい。
【0207】
さらに、第1のフレームが終了した後、第1のフレーム間スペースでSTA1によって実行されたチャネルリスニングの結果が、チャネルがアイドルであることであるとき、STA1は、第1のフレーム間スペースが終了したときに第1のリンクで次のPPDU(すなわち、PPDU12)を送信する。
【0208】
任意選択で、第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングが必要とされない場合、次のPPDU(すなわち、PPDU12)は、第1のフレーム間スペースが終了した後に直接送信される。
【0209】
本出願のこの実施形態では、正しくない応答フレーム(BAまたはACK)を受信した後、NSTR MLDはチャネルリスニング時間を調整し得る。このようにして、チャネルリスニング結果に影響を及ぼす別のリンクの送信動作が回避される。加えて、フレーム間スペースは通信要件を満たす。
【0210】
以下は、第1のフレームおよび第2のフレームがPPDUである解決策について説明する。図11は、本出願の一実施形態による別のチャネルリスニング方法のフローチャートである。本出願のこの実施形態で提供される別のチャネルリスニング方法は、以下のステップを含む。
【0211】
1101:NSTR MLD内の第1のSTAは第1のリンクで第1のフレームを伝送し、NSTR MLD内の第2のSTAは第2のリンクで第2のフレームを伝送する。
【0212】
この実施形態では、NSTR MLD内の第1のSTAは、第1のリンクで第1のフレームを送信し、第1のフレームはPPDUである。NSTR MLD内の第2のSTAは第2のリンクで第2のフレームを送信し、第2のフレームはPPDUである。第1のフレームの終了時間は、第2のフレームの終了時間より後である。
【0213】
例えば、図12は、本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。第1のフレームはPPDU12として示され得、第2のフレームはPPDU22として示され得る。
【0214】
1102:NSTR MLDは、伝送に失敗したフレームを決定する。
【0215】
この実施形態では、NSTR MLDは、第1のフレームおよび第2のフレームが伝送に失敗したフレームであるかどうかを決定する。
【0216】
第1のフレームがPPDU12であり、第2のフレームがPPDU22であるとき、NSTR MLDが伝送に失敗したフレームを決定することは、具体的には以下の通りである。
【0217】
NSTR MLD(STA1)が第1のフレームを送信した後、第1のフレームの伝送の終了(送信の終了)の特定の時間内にプリミティブ物理層受信開始指示PHY-RXSTART.indicationでSTA1がトリガされなかった場合、NSTR MLDは、第1のフレームが伝送に失敗したフレームであると決定する。
【0218】
NSTR MLD(STA2)が第2の第1のフレームを送信した後、第2のフレームの伝送の終了(送信の終了)の特定の時間内にプリミティブ物理層受信開始指示PHY-RXSTART.indicationでSTA2がトリガされなかった場合、NSTR MLDは、第2の第1のフレームが伝送に失敗したフレームであると決定する。
【0219】
NSTR MLDが、第1のフレームと第2のフレームとの両方が伝送に失敗したフレームであると決定した後、ステップ1103が実行される。
【0220】
1103:NSTR MLDはチャネルリスニングを実行する。
【0221】
可能な実施態様では、第1のSTAは、第1のフレームが終了した後に第3のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第3のフレーム間スペースは、PIFSと第3の時間との差である。第3の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0222】
別の可能な実施態様では、第3のフレーム間スペースの持続時間は短フレーム間スペース(SIFS)である。
【0223】
さらに別の可能な実施態様では、第2のSTAは、第2のフレームが終了した後に第4のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第4のフレーム間スペースは、SIFSと第4の時間との和である。第4の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0224】
任意選択で、第2のフレームの後の第5の時間が終了した後、第2のSTAは、第5のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第5のフレーム間スペースの持続時間と第5の時間との和は、PIFSの持続時間以下である。第5の時間の持続時間は、0から8マイクロ秒である。例えば、図13は、本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。PPDU21が終了した後、STA2は、第5のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。詳細は以下の通りであり、STA2は、最初に第5の時間(0から8マイクロ秒)にわたって待機し、第5の時間が終了した後、STA2は、第5のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。
【0225】
任意選択で、図13に示されているシナリオでは、STA1は、PPDU11が終了した後に第3のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第3のフレーム間スペースについては、図12の関連説明を参照されたい。ここでは詳細は再び説明されない。任意選択で、STA1は、PPDU11が終了した後にSIFSでチャネルリスニングを実行する。
【0226】
前述の説明に基づいて、図12および図13が例として使用される。図12は、本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。以下は、例を使用してNSTR MLDでチャネルリスニングを実行する具体的な実施態様について説明する。
【0227】
例えば、STA1は、PPDU11が終了した後に第3のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第3のフレーム間スペースの持続時間は、PIFSと第3の時間との差である。これに対応して、STA2は、PPDU21が終了した後に第4のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第4のフレーム間スペースはPIFSである。
【0228】
例えば、STA1は、PPDU11が終了した後に第3のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第3のフレーム間スペースの持続時間は、PIFSと第3の時間との差である。これに対応して、PPDU21の後の第5の時間が終了した後、STA2は、第5のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第5のフレーム間スペースの持続時間と第5の時間との和は、PIFSの持続時間以下である。第5の時間の値の範囲は、0から8マイクロ秒である。
【0229】
例えば、STA1は、PPDU11が終了した後に第3のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第3のフレーム間スペースの持続時間は短フレーム間スペース(SIFS)である。これに対応して、STA2は、PPDU21が終了した後に第4のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第4のフレーム間スペースは、SIFSと第4の時間との和である。
【0230】
例えば、STA1は、PPDU11が終了した後に第3のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第3のフレーム間スペースの持続時間は短フレーム間スペース(SIFS)である。これに対応して、PPDU21の後の第5の時間が終了した後、STA2は、第5のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第5のフレーム間スペースの持続時間と第5の時間との和は、SIFSと第4の時間との和の持続時間以下である。第5の時間の値の範囲は、0から8マイクロ秒である。
【0231】
前述の例は、説明のための例にすぎず、本出願のこの実施形態の別の実施態様に対する限定を構成するものではないことに留意されたい。
【0232】
さらに、第1のフレームが終了した後、第3のフレーム間スペースでSTA1によって実行されたチャネルリスニングの結果が、チャネルがアイドルであることであるとき、STA1は、第3のフレーム間スペースが終了したときに第1のリンクで次のPPDU(すなわち、PPDU12)を送信する。
【0233】
第2のフレームが終了した後、第4のフレーム間スペース(第5のフレーム間スペース)でSTA2によって実行されたチャネルリスニングの結果が、チャネルがアイドルであることであるとき、第4のフレーム間スペース(第5のフレーム間スペース)が終了したとき、STA2は、第2のリンクで次のPPDU(すなわち、PPDU22)を送信する。
【0234】
第3の時間、第4の時間、および第5の時間の具体的な選択は、NSTR MLDによって測定された第1のフレームの終了時間と第2のフレームの終了時間との差によって決定されてもよいし、またはNSTR MLD上で事前構成されてもよい。これはここでは限定されない。例えば、NSTR MLDによって測定された第1のフレームの終了時間と第2のフレームの終了時間との差が5マイクロ秒である場合、第3の時間の値の範囲は5マイクロ秒であると決定される。
【0235】
本出願のこの実施形態では、正しくないPPDUを送信した後、NSTR MLDは、別のリンク上の送信動作がチャネルリスニング結果に影響を及ぼすのを防止するために、チャネルリスニング時間を調整し得る。加えて、フレーム間スペースは通信要件を満たす。
【0236】
図11から図13に示されている前述の実施形態に基づいて、第1のフレームおよび第2のフレームがPPDUであるシナリオでは、以下の解決策がさらに含まれる。図14は、本出願の一実施形態によるチャネルリスニング方法のフローチャートである。本出願のこの実施形態で提供されるチャネルリスニング方法は、以下のステップを含む。
【0237】
1401:NSTR MLD内の第1のSTAは第1のリンクで第1のフレームを伝送し、NSTR MLD内の第2のSTAは第2のリンクで第2のフレームを伝送する。
【0238】
この実施形態では、NSTR MLD内の第1のSTAは、第1のリンクで第1のフレームを送信し、第1のフレームはPPDUである。NSTR MLD内の第2のSTAは第2のリンクで第2のフレームを送信し、第2のフレームはPPDUである。第1のフレームの終了時間は、第2のフレームの終了時間より後である。
【0239】
例えば、図15は、本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。第1のフレームはPPDU12として示され得、第2のフレームはPPDU22として示され得る。
【0240】
1402:NSTR MLDは、伝送に失敗したフレームを決定する。
【0241】
この実施形態では、NSTR MLDが第1のフレームおよび第2のフレームが伝送に失敗したフレームであるかどうかを決定する方法は、図11に示されている実施形態における決定方法と同じである。ここでは詳細は再び説明されない。
【0242】
NSTR MLDが、第1のフレームと第2のフレームとの両方が伝送に失敗したフレームであると決定した後、ステップ1403が実行される。
【0243】
1403:第2のSTAは、第2のフレームが終了した後にチャネルリスニングを実行する。
【0244】
この実施形態において、可能な実施態様では、図15に示されているように、第2のフレーム(PPDU21)が終了した後、STA2は、第6のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第6のフレーム間スペースの持続時間は、確認応答タイムアウトAckTimeoutと第6の時間との和である。任意選択で、第6の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。第6のフレーム間スペースは、予約フレーム間スペースとも呼ばれる。
【0245】
別の可能な実施態様では、図16は、本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。STA2は、第2のフレーム(PPDU21)の後の第7の時間が終了した後に第7のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第7の時間と第7のフレーム間スペースとの和は、第6のフレーム間スペースの持続時間に等しい。任意選択で、第7の時間の値の範囲は0から8マイクロ秒である。
【0246】
本出願のこの実施形態では、正しくないPPDUを送信した後、NSTR MLDは、別のリンク上の送信動作がチャネルリスニング結果に影響を及ぼすのを防止するために、チャネルリスニング時間を調整し得る。加えて、フレーム間スペースは通信要件を満たす。
【0247】
例として図3に示されている通信シナリオを使用すると、伝送MLDとしてMLD301が使用され得、受信MLDとしてMLD302が使用され得る。マルチユーザ送信要求(Multiple User-Request To Send、MU-RTS)/送信可(Clear to Send、CTS)フレーム相互作用が802.11ax規格に導入されている。MU-RTS/CTSフレーム相互作用を使用することにより、APと複数のSTAとの間で同時にチャネル保護が実施される。基本的な手順は、APが競合を通じてチャネルを取得した後にMU-RTSフレームを送信することである。MU-RTSフレームは、1つ以上のターゲットSTAのアソシエーション識別子(Association Identifier、AID)を搬送する。MU-RTSフレームを受信し、ターゲットSTAがターゲットSTAであると決定した後、ターゲットSTAは、MU-RTSフレームの後にSIFSでチャネルリスニング(エネルギー検出とも呼ばれる)を実行する。チャネルリスニング結果がアイドルである場合、ターゲットSTAはCTSフレームを返信する。チャネルリスニング結果がビジーである場合、CTSフレームは返信されない。APがMU-RTSフレームをただ1つのSTAに送信したときに、STAが、MU-RTSフレームを検出した後に、STAがターゲットSTAであると決定した場合、STAは、CTSをAPに送信することに留意されたい。言い換えれば、1つのSTAのみがCTSに返信する。
【0248】
理解を容易にするために、図17を参照されたい。図17は、本出願の一実施形態によるフレーム間スペースの概略図である。伝送MLDはAP MLDであり得ることに留意されたい。図17に示されているように、伝送MLDは、AP1およびAP2を含むか、またはSTA MLDであってもよい。受信MLDはSTA MLDであり得る。図17に示されているように、受信MLDは、STA1およびSTA2を含むか、またはAP MLDであってもよい。伝送MLDがSTR能力を有するかどうかに基づいて、伝送MLDはSTR MLDであってもよい。伝送MLDはまた、NSTR MLDであってもよい。受信MLDはNSTR MLDである。
【0249】
図17が例として使用される。伝送MLD内のAP1は、第1のリンク(リンク1)を介してMU-RTS1を受信MLDに送信する。伝送MLD内のAP2は、第2のリンク(リンク2)を介してMU-RTS2を受信MLDに送信する。受信MLDに関して、第1のリンクおよび第2のリンクはNSTRリンクペアに属する。したがって、MU-RTS1の終了時間とMU-RTS2の終了時間との最大差は8マイクロ秒であり得る。MU-RTS1の終了時間は、MU-RTS2の終了時間より前である。これに対応して、MU-RTS1の終了時間とMU-RTS2の終了時間との差が8マイクロ秒であるとき、CTS1の開始時間とCTS2の開始時間との差は8マイクロ秒である。CTS1の開始時間は、CTS2の開始時間より前である。
【0250】
チャネルリスニングを実行するための時間間隔において、最後の4μsは通常、受信状態から送信状態への遷移である。したがって、実際には時間(4μs)内にチャネルリスニングは実行されない。したがって、この4マイクロ秒のチャネル状態はチャネルリスニング結果に影響を及ぼさない。この4マイクロ秒は、受信・伝送遷移時間(RX/TX time)とも呼ばれる。したがって、MU-RTS1の終了時間とMU-RTS2の終了時間との差が4マイクロ秒を超えるとき、MU-RTS1の終了時間がMU-RTS2の終了時間より前であることが例として使用される。この場合、第1のリンク(リンク1)で受信MLDによって返信されるCTS1は、受信MLD内のSTA2のチャネルリスニング結果に影響を及ぼす。CTS1によって引き起こされるクロスリンク干渉は、STA2によって実行されるチャネルリスニングの結果をビジーにする。したがって、STA2はCTS2を送信することができない。
【0251】
これに基づいて、本出願の実施形態は、前述の問題を解決するために2つの解決策を提供し、(1)伝送MLDがMU-RTSを送信する終了時間間の差が限定される。(2)受信MLDがCTSフレームを送信する前のチャネルリスニングの時間間隔が合意される。以下に説明が与えられる。
【0252】
(1)伝送MLDがMU-RTSを送信する終了時間間の差が限定される。
【0253】
本出願の一実施形態は、MU-RTSフレームを送信するための方法を提供する。本方法は伝送MLDに適用され、本方法は以下のステップを含む。
【0254】
伝送MLDは、第1のアクセスポイントAPおよび第2のAPを含む。第1のAPは、第1のリンクで第1のマルチユーザ送信要求フレーム(MU-RTS)を伝送する。第2のAPは、第2のリンクで第2のマルチユーザ送信要求フレーム(MU-RTS)を伝送する。
【0255】
第1のMU-RTSの終了時間と第2のMU-RTSの終了時間との最大差は4マイクロ秒である。
【0256】
具体的には、図18が例として使用される。第1のAPはAP1であり、第2のAPはAP2であり、第1のリンクはリンク1であり、第2のリンクはリンク2であり、第1のMU-RTSはMU-RTS1であり、第2のMU-RTSはMU-RTS2である。MU-RTS1の終了時間とMU-RTS2の終了時間との最大差が4マイクロ秒であるとき、CTS1の開始時間とCTS2の開始時間との最大差も4マイクロ秒である。したがって、別のリンク(リンク2)に事前に送信されるCTSフレーム(CTS1)によって引き起こされる干渉は、別のリンク上のチャネルリスニング結果に影響を及ぼさない。受信MLD内のSTA2は、CTS2を正常に送信することができる。
【0257】
本出願のこの実施形態では、MU-RTSの返信フレーム(CTS)間の干渉を回避し、CTSの正常な送信を保証するために、異なるリンク上のMU-RTSの終了時間間の差の最大値が限定される。
(2).受信MLDがCTSフレームを送信する前の時間間隔が合意される。
【0258】
本出願の一実施形態は、CTSフレーム送信方法を提供する。本方法は受信MLDに適用され、本方法は以下を含む。
受信MLDは、第1のアクセスポイントSTAを含み、第1のSTAは、第1のリンクで第1のMU-RTSを受信する。
第1のSTAは、第1のリンクで第1の送信可フレームCTSを送信する。第1のCTSの開始時間と第1のMU-RTSの終了時間との差は、第8のフレーム間スペースである。第8のフレーム間スペースの持続時間はSIFSの持続時間以上である。
【0259】
可能な実施態様では、第8のフレーム間スペースの持続時間は、第8の時間とSIFSとの和である。第8の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0260】
可能な実施態様では、第1のSTAは、第8のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。
【0261】
第5の態様に基づいて、第5の態様の可能な実施態様では、受信MLDは第2のアクセスポイントSTAをさらに含む。第2のSTAは、第2のリンクで第2のMU-RTSを受信する。第2のMU-RTSの終了時間は、第1のMU-RTSの終了時間より後である。
【0262】
第2のSTAは、第2のリンクで第2の送信可フレームCTSを送信する。第2のCTSの開始時間と第2のMU-RTSの終了時間との差はSIFSである。
【0263】
具体的には、図19を例として使用すると、第1のSTAはSTA1であり、第2のSTAはSTA2であり、第1のリンクはリンク1であり、第2のリンクはリンクであり、第1のCTSはCTS1であり、第2のCTSはCTS2である。第8の時間の値の範囲が0から4マイクロ秒であるとき、受信MLDの2つのSTAは、2つのCTSフレームの送信時間アライメント誤差を常に4マイクロ秒以内に低減し得る。したがって、前のCTS(CTS1)を送信することは、後のCTS(CTS2)を送信する前のチャネルリスニングに影響を及ぼさない。
【0264】
第8の時間の値の範囲が0から8マイクロ秒であるとき、受信MLDにおける2つのSTAは、2つのCTSフレームの送信時間アライメント誤差を常に0マイクロ秒に低減し得る。このようにして、前のCTS(CTS1)を送信することは、後のCTS(CTS2)を送信する前のチャネルリスニングに影響を及ぼさないだけでなく、CTSフレームのアライメント誤差も可能な限り低減されることができ、これにより、後続のPPDUはより良くアライメントされることができる。
【0265】
本出願のこの実施形態では、異なるリンク上のCTS間の干渉を回避し、CTSの正常な送信を保証するために、受信MLDがCTSを送信する前の時間間隔が合意される。
【0266】
前述は、本出願の実施形態で提供される解決策を主に説明している。これに対応して、本出願の実施形態は通信装置をさらに提供し、通信装置は、前述の様々な方法を実施するように構成される。通信装置は、前述の方法の実施形態におけるNSTR MLD、または前述のNSTR MLDを含む装置、または前述のNSTR MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。代わりに、通信装置は、前述の方法の実施形態における伝送MLD、または伝送MLDを含む装置、または伝送MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。代わりに、通信装置は、前述の方法の実施形態における受信MLD、または前述の受信MLDを含む装置、または前述の受信MLDに含まれる装置、例えばシステムチップであってもよい。
【0267】
前述の機能を実施するために、通信装置は、対応する機能を実行するためのハードウェア構造および/またはソフトウェアモジュールを含むことが理解され得る。当業者は、本明細書に開示されている実施形態で説明された例のユニットおよびアルゴリズムステップと組み合わせて、本出願が、ハードウェアまたはハードウェアとコンピュータソフトウェアとの組み合わせによって実施され得ることを容易に認識するはずである。機能がハードウェアによって実行されるか、それともコンピュータソフトウェアによって駆動されるハードウェアによって実行されるかは、技術的解決策の特定の用途および設計制約に依存する。当業者は、説明された機能を特定の用途ごとに実施するために異なる方法を使用し得るが、実施態様が本出願の範囲を超えると考えられてはならない。
【0268】
本出願の実施形態では、通信装置は、前述の方法の実施形態に基づいて機能モジュールに分割されてもよい。例えば、各機能モジュールは、対応する各機能に基づく分割によって取得されてもよいし、または2つ以上の機能が1つの処理モジュールに統合されてもよい。統合モジュールは、ハードウェアの形態で実施されてもよいし、またはソフトウェア機能モジュールの形態で実施されてもよい。本出願の実施形態において、モジュール分割は例であり、論理的な機能の分割にすぎないことに留意されたい。実際の実施態様では、別の分割方法が使用されてもよい。
【0269】
例えば、通信装置は、前述の方法の実施形態におけるNSTR MLDである。図20は、NSTR MLDの構造の概略図である。NSTR MLD2000は、リスニングモジュール2002および処理モジュール2001を含む。リスニングモジュール2002は、送信および/または受信機能を実施するように構成されたトランシーバユニットとも呼ばれ得、例えば、トランシーバ回路、トランシーバ、または通信インターフェースであり得る。
【0270】
可能な実施態様では、処理モジュール2001は、第1のフレームおよび第2のフレームの少なくとも一方が伝送に失敗したと決定するように構成される。
【0271】
リスニングモジュール2002は、第1のフレームが終了した後に第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行するように構成される。第1のフレーム間スペースの持続時間は、ポイント調整機能フレーム間スペースPIFSの持続時間以下である。
【0272】
代わりに、リスニングモジュール2002は、第2のフレームが終了した後に第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行するように構成される。第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)の持続時間以上、かつPIFSの持続時間以下である。
【0273】
第1のフレームが伝送に失敗したとき、第1のフレーム間スペースの持続時間は、PIFSと第1の時間との差である。
【0274】
第1の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒である。
【0275】
任意選択で、第2のフレームが伝送に失敗したとき、第1のフレーム間スペースの持続時間は、PIFSと第1の時間との差である。
【0276】
第1の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒、または0から8マイクロ秒、または0から9マイクロ秒、または0から12マイクロ秒である。
【0277】
任意選択で、第1のフレームおよび第2のフレームが伝送に失敗したとき、第1のフレーム間スペースの持続時間は、PIFSと第1の時間との差である。
【0278】
第1の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒である。
【0279】
任意選択で、第1のフレームが伝送に失敗したとき、第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)と第2の時間との和である。
【0280】
第2の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒である。
【0281】
任意選択で、第2のフレームが伝送に失敗したとき、第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)と第2の時間との和である。
【0282】
第2の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0283】
任意選択で、第1のフレームおよび第2のフレームが伝送に失敗したとき、第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)と第2の時間との和である。
【0284】
第2の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0285】
別の可能な実施態様では、
処理モジュール2001は、第1のリンク上の第1の物理層プロトコルデータユニットPPDUが伝送に失敗したと決定するように構成される。
【0286】
リスニングモジュール2002は、第1のフレームが終了した後に第1のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行するように構成される。第1のフレーム間スペースの持続時間は、ポイント調整機能フレーム間スペースPIFSの持続時間以下である。
【0287】
代わりに、第2のSTAは、第2のフレームが終了した後に第2のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行する。第2のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)の持続時間以上、かつPIFSの持続時間以下である。
【0288】
さらに別の可能な実施態様では、
処理モジュール2001は、第1のフレームおよび第2のフレームが伝送に失敗したと決定するように構成される。
【0289】
リスニングモジュール2002は、第1のフレームが終了した後に第3のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行するように構成される。第3のフレーム間スペースは、PIFSの持続時間以下である。
【0290】
リスニングモジュール2002は、第2のフレームが終了した後に第4のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行するようにさらに構成される。第4のフレーム間スペースは、PIFSの持続時間以下である。
【0291】
任意選択で、第3のフレーム間スペースの持続時間は、PIFSと第3の時間との差である。
【0292】
第3の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒、または0から8マイクロ秒、または0から9マイクロ秒である。
【0293】
任意選択で、第4のフレーム間スペースの持続時間は、短フレーム間スペース(SIFS)と第4の時間との和である。
【0294】
第4の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒または0から8マイクロ秒である。
【0295】
任意選択で、リスニングモジュール2002は、第2のフレームが終了した後の第5の時間の後に第5のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行するようにさらに構成される。第5のフレーム間スペースの持続時間と第5の時間との和は、PIFSの持続時間以下である。
【0296】
任意選択で、第5の時間の値の範囲は0から8マイクロ秒である。
【0297】
さらに別の可能な実施態様では、
処理モジュール2001は、第1のフレームおよび第2のフレームが伝送に失敗したと決定するように構成される。
【0298】
リスニングモジュール2002は、第2のフレームが終了した後に第6のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行するように構成される。第6のフレーム間スペースの持続時間は、確認応答タイムアウトAckTimeoutと第6の時間との和である。
【0299】
任意選択で、第6の時間の値の範囲は、0から4マイクロ秒である。
【0300】
任意選択で、リスニングモジュール2002は、第2のフレームが終了した後の第7の時間の後に第7のフレーム間スペースでチャネルリスニングを実行するようにさらに構成される。第7の時間と第7のフレーム間スペースとの和は、第6のフレーム間スペースの持続時間に等しい。
【0301】
任意選択で、第7の時間の値の範囲は0から8マイクロ秒である。
【0302】
前述の方法の実施形態におけるステップのすべての関連する内容は、対応する機能モジュールの機能の説明において引用され得る。ここでは詳細は再び説明されない。
【0303】
この実施形態では、NSTR MLD2000は、分割によって統合的な方法で各機能モジュールを取得する形態で提示されている。ここでのモジュールは、ASIC、回路、1つ以上のソフトウェアもしくはファームウェアプログラムを実行するプロセッサ、メモリ、集積論理回路、および/または前述の機能を提供することができる別の構成要素であってもよい。
【0304】
この実施形態で提供されるNSTR MLD2000は、前述の通信方法を実行し得る。したがって、通信装置によって達成されることができる技術的効果については、前述の方法の実施形態を参照されたい。ここでは詳細は再び説明されない。
【0305】
図21は、本出願の一実施形態による通信デバイス210のハードウェア構造の概略図である。通信デバイス210は、少なくとも1つのプロセッサ2101と、通信線2102と、メモリ2103と、少なくとも1つの通信インターフェース2104とを含む。
【0306】
プロセッサ2101およびプロセッサ2108は、通信プロトコルおよび通信データを処理し、通信デバイスを制御し、ソフトウェアプログラムを実行し、ソフトウェアプログラムのデータを処理するように主に構成される。メモリ2103は、ソフトウェアプログラムおよびデータを記憶するように主に構成される。通信デバイスは、制御回路およびアンテナ(図示せず)をさらに含み得る。制御回路は、ベースバンド信号と無線周波数信号との間の変換を実行し、無線周波数信号を処理するように主に構成される。アンテナは、電磁波の形態の無線周波数信号を受信および送信するように主に構成される。出力デバイス2105および入力デバイス2106、例えば、タッチスクリーン、ディスプレイスクリーン、またはキーボードは、ユーザによって入力されたデータを受信し、データをユーザに出力するように主に構成される。
【0307】
通信デバイスの電源が投入された後、プロセッサ2101およびプロセッサ2108は、メモリ2103内のソフトウェアプログラムを読み出し、ソフトウェアプログラムの命令を解釈して実行し、ソフトウェアプログラムのデータを処理し得る。データがワイヤレスの方法で送信される必要があるとき、送信されるべきデータに対してベースバンド処理を実行した後、プロセッサ2101およびプロセッサ2108は、ベースバンド信号を無線周波数回路に出力する。ベースバンド信号に対して無線周波数処理を実行した後、無線周波数回路は、アンテナを介して電磁波の形態の無線周波数信号を送信する。データが通信装置に送信されるとき、無線周波数回路は、アンテナを介して無線周波数信号を受信し、無線周波数信号をベースバンド信号に変換し、ベースバンド信号をプロセッサ2101およびプロセッサ2108に出力する。プロセッサ2101およびプロセッサ2108は、ベースバンド信号をデータに変換し、データを処理する。
【0308】
別の実施態様では、無線周波数回路およびアンテナは、ベースバンド処理を実行するプロセッサから独立して配置されてもよい。例えば、分散シナリオでは、無線周波数回路およびアンテナは、通信装置から独立して別々に配置されてもよい。
【0309】
NSTR MLDの機能は、通信デバイス210を使用して実施され得る。例えば、図21のプロセッサ2101は、通信デバイス210が前述の方法の実施形態における方法を実行するように、メモリ2103に記憶されたコンピュータ実行可能命令を呼び出し得る。
【0310】
具体的には、図6図11、または図14のステップ/実施プロセスは、メモリ2103に記憶されたコンピュータ実行可能命令を呼び出すことによって、図21のプロセッサ2101によって実施され得る。代わりに、図6図11、または図14の処理関連機能/実施プロセスは、メモリ2103に記憶されたコンピュータ実行可能命令を呼び出すことによって、図21のプロセッサ2101によって実施されてもよい。図6図11、または図14の受信および送信関連機能/実施プロセスは、図21の通信インターフェース2104を使用して実施され得る。
【0311】
プロセッサ2101は、汎用中央処理装置(central processing unit、CPU)、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、または本出願の解決策のプログラム実行を制御するように構成された1つ以上の集積回路であり得る。
【0312】
通信線2102は、上記で説明された構成要素間で情報を転送するための経路を含み得る。
【0313】
通信インターフェース2104は、トランシーバなどの任意の装置に適用可能であり、別のデバイスまたはイーサネット、無線アクセスネットワーク(radio access network、RAN)、もしくはワイヤレスローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)などの通信ネットワークと通信するように構成される。
【0314】
メモリ2103は、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、静的情報および命令を記憶することができる別のタイプの静的記憶デバイス、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、情報および命令を記憶することができる別のタイプの動的記憶デバイス、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory、EEPROM)、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(compact disc read-only memory、CD-ROM)、別の光ディスクストレージ、光ディスクストレージ(コンパクトディスク、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク、およびブルーレイディスクなどを含む)、ディスク記憶媒体もしくは別の磁気記憶デバイス、または命令もしくはデータ構造の形態のしかるべきプログラムコードを保持もしくは記憶するために使用されることができ、コンピュータによってアクセスされることができる任意の他の媒体であってもよいが、これらに限定されない。メモリは独立して存在してもよく、通信線2102を介してプロセッサに接続される。メモリは、代わりに、プロセッサと統合されてもよい。
【0315】
メモリ2103は、本出願の解決策を実行するためのコンピュータ実行可能命令を記憶するように構成され、プロセッサ2101は実行を制御する。プロセッサ2101は、本出願の以下の実施形態で提供されるリンクエラー回復方法を実施するために、メモリ2103に記憶されたコンピュータ実行可能命令を実行するように構成される。
【0316】
前述の方法の実施形態におけるステップのすべての関連する内容は、対応する構成要素の機能の説明において引用され得る。ここでは詳細は再び説明されない。
【0317】
任意選択で、本出願のこの実施形態におけるコンピュータ実行可能命令は、アプリケーションプログラムコードとも呼ばれ得る。これは、本出願のこの実施形態では具体的には限定されない。
【0318】
具体的な実施時、一実施形態では、プロセッサ2101は、1つ以上のCPU、例えば、図21に示されているCPU0およびCPU1を含み得る。
【0319】
具体的な実施において、一実施形態では、通信装置210は、代わりに、複数のプロセッサ、例えば、図21に示されているプロセッサ2101およびプロセッサ2108を含んでもよい。プロセッサの各々は、シングルコア(single-CPU)プロセッサであってもよいし、またはマルチコア(multi-CPU)プロセッサであってもよい。ここでのプロセッサは、データ(例えば、コンピュータプログラム命令)を処理するように構成された1つ以上のデバイス、回路、および/または処理コアであってもよい。
【0320】
具体的な実施時、一実施形態では、通信デバイス210は、出力デバイス2105および入力デバイス2106をさらに含み得る。出力デバイス2105は、プロセッサ2101と通信し、複数の方法で情報を表示し得る。例えば、出力デバイス2105は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)、発光ダイオード(light emitting diode、LED)ディスプレイデバイス、陰極線管(cathode ray tube、CRT)ディスプレイデバイス、またはプロジェクタ(projector)などであってもよい。入力デバイス2106は、プロセッサ2101と通信し、複数の方法でユーザ入力を受信し得る。例えば、入力デバイス2106は、マウス、キーボード、タッチスクリーンデバイス、またはセンサデバイスであってもよい。
【0321】
通信デバイス210は、汎用デバイスであってもよいし、または専用デバイスであってもよい。具体的な実施時、通信デバイス210は、デスクトップコンピュータ、ポータブルコンピュータ、ネットワークサーバ、パームトップコンピュータ(personal digital assistant、PDA)、携帯電話、タブレットコンピュータ、ワイヤレス端末デバイス、組込みデバイス、または図21のものと同様の構造を有するデバイスであってもよい。通信デバイス210のタイプは、本出願のこの実施形態では限定されない。
【0322】
任意選択で、本出願の一実施形態は、通信装置(例えば、通信装置はチップまたはチップシステムであってもよい)をさらに提供する。通信装置は、前述の方法の実施形態のいずれか1つにおける方法を実施するように構成されたプロセッサを含む。可能な設計では、通信装置はメモリをさらに含む。メモリは、必要なプログラム命令および必要なデータを記憶するように構成される。プロセッサは、前述の方法の実施形態のいずれか1つにおける方法を実行するように通信装置に示すために、メモリに記憶されたプログラムコードを呼び出し得る。当然ながら、通信装置はメモリを含まなくてもよい。通信装置がチップシステムであるとき、通信デバイスは、チップを含んでもよいし、またはチップおよび別の個別構成要素を含んでもよい。これは、本出願のこの実施形態では具体的には限定されない。
【0323】
例では、前述の通信装置(または通信装置内のモジュール)のいずれか1つは、前述の方法を実施するように構成された1つ以上の集積回路、例えば、1つ以上の特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、1つ以上のマイクロプロセッサ(digital signal processor、DSP)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)、またはこれらの集積回路のうちの少なくとも2つの組み合わせであってもよい。別の例として、装置内のモジュールが、処理要素によってプログラムをスケジューリングすることによって実施され得るとき、処理要素は、汎用プロセッサ、例えば中央処理装置(central processing unit、CPU)、またはプログラムを呼び出すことができる別のプロセッサであってもよい。別の例として、これらのモジュールは、一緒に統合され、システムオンチップ(system-on-a-chip、SoC)の形態で実施されてもよい。
【0324】
本出願の一実施形態は、メモリおよびプロセッサを含むチップシステムをさらに提供する。メモリは、コンピュータプログラムを記憶するように構成され、プロセッサは、チップが、前述の方法の実施形態に示されているいずれかの実施態様を実行するように、メモリからコンピュータプログラムを呼び出し、コンピュータプログラムを動作させるように構成される。
【0325】
本出願の一実施形態は、プロセッサを含むチップシステムをさらに提供する。プロセッサは、チップが、前述の方法の実施形態に示されているいずれかの実施態様を実行するように、コンピュータプログラムを呼び出して動作させるように構成される。
【0326】
加えて、説明されている装置の実施形態は例にすぎないことに留意されたい。別個の部分として説明されたユニットは、物理的に分離されていてもいなくてもよく、ユニットとして提示された部分は物理ユニットであってもなくてもよく、1つの位置に配置されてもよいし、または複数のネットワークユニットに分散されてもよい。一部または全部のモジュールは、実施形態の解決策の目的を達成するために実際の必要に従って選択されてもよい。加えて、本出願によって提供される装置の実施形態の添付の図面において、モジュール間の接続関係は、モジュールが互いに通信接続を有することを示し、これは、具体的には、1つ以上の通信バスまたは信号ケーブルとして実施され得る。
【0327】
前述の実施態様の説明に基づいて、当業者は、本出願が、必要な汎用ハードウェアに加えてソフトウェアによって、または専用集積回路、専用CPU、専用メモリ、および専用構成要素などを含む専用ハードウェアによって実施され得ることを明確に理解し得る。一般に、コンピュータプログラムによって実行されることができる任意の機能は、対応するハードウェアを使用して容易に実施されることができる。さらに、同じ機能を達成するために使用される具体的なハードウェア構造は、様々な形態、例えば、アナログ回路、デジタル回路、または専用回路の形態であってもよい。しかしながら、本出願に関しては、ほとんどの場合、ソフトウェアプログラムの実施態様がより良い実施態様である。このような理解に基づいて、本出願の技術的解決策は本質的に、または従来技術に寄与する部分は、ソフトウェア製品の形態で実施されてもよい。コンピュータソフトウェア製品は、コンピュータのフロッピーディスク、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、ROM、RAM、磁気ディスク、または光ディスクなどの可読記憶媒体に記憶され、本出願の実施形態における方法を実行するようにコンピュータデバイスに命令するためのいくつかの命令を含む。
【0328】
前述の実施形態の全部または一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせを使用して実施されてもよい。ソフトウェアが、実施形態を実施するために使用されるとき、実施形態の全部または一部は、コンピュータプログラム製品の形態で実施されてもよい。
【0329】
コンピュータプログラム製品は、1つ以上のコンピュータ命令を含む。コンピュータプログラム命令がコンピュータ上でロードされて実行されるとき、本出願の実施形態による手順または機能が全体的または部分的に生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、または他のプログラマブル装置であってもよい。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよいし、またはあるコンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体に伝送されてもよい。例えば、コンピュータ命令は、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、もしくはデジタル加入者回線(DSL))またはワイヤレス(例えば、赤外線、無線、もしくはマイクロ波)の方法で、あるウェブサイト、コンピュータ、端末装置、ネットワーク装置、コンピューティングデバイス、またはデータセンタから別のウェブサイト、コンピュータ、端末装置、ネットワーク装置、コンピューティングデバイス、またはデータセンタに伝送されてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによって記憶されることができる任意の使用可能な媒体、または1つ以上の使用可能な媒体を組み込んだ、端末装置、ネットワーク装置、もしくはデータセンタなどのデータ記憶デバイスであってもよい。使用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、もしくは磁気テープ)、光学媒体(例えば、DVD)、または半導体媒体(例えば、ソリッドステートディスク(Solid-State Disk、SSD))などであってもよい。
【0330】
本明細書全体で言及されている「実施形態」または「一実施形態」は、その実施形態に関連する特定の特徴、構造、または特性が本出願の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味することを理解されたい。したがって、本明細書の全体にわたって現れる「実施形態では」または「一実施形態では」は、必ずしも同じ実施形態を指していない。加えて、これらの特定の特徴、構造、または特性は、任意の適切な方法を使用して1つ以上の実施形態において組み合わされてもよい。前述のプロセスの連続番号は、本出願の様々な実施形態における実行順序を意味しないことを理解されたい。プロセスの実行順序は、プロセスの機能および内部論理に従って決定されるべきであり、本出願の実施形態の実施プロセスに対する限定として解釈されるべきではない。
【0331】
加えて、本明細書における「および/または」という用語は、関連付けられた対象を説明するための関連付け関係のみを説明しており、3つの関係が存在し得ることを表す。例えば、Aおよび/またはBは、以下の3つの場合:Aのみが存在する、AとBとの両方が存在する、およびBのみが存在する、を表し得る。加えて、本明細書における記号「/」は、一般に、関連付けられた対象間の「または」関係を示す。
【0332】
本出願の実施形態において、「Aに対応するB」は、BがAに関連し、BがAに従って決定され得ることを示すことを理解されたい。しかしながら、Aに基づいてBを決定することは、BがAのみに基づいて決定されることを意味しないことをさらに理解されたい。Bは、代わりに、Aおよび/または他の情報に基づいて決定され得る。
【0333】
当業者は、本明細書に開示されている実施形態で説明された例と組み合わせて、ユニットおよびアルゴリズムステップが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはこれらの組み合わせによって実施されることができることを認識し得る。ハードウェアとソフトウェアとの互換性を明確に説明するために、前述は、機能に従って各例の構成およびステップを一般的に説明した。機能がハードウェアによって実行されるか、それともソフトウェアによって実行されるかは、技術的解決策の特定の用途および設計制約条件に依存する。当業者は、説明された機能を特定の用途ごとに実施するために異なる方法を使用し得るが、実施態様が本出願の範囲を超えると考えられてはならない。
【0334】
簡便な説明のために、前述のシステム、装置、およびユニットの詳細な動作プロセスについては、前述の方法の実施形態における対応するプロセスを参照されたく、ここでは詳細は再び説明されないことが、当業者によって明確に理解され得る。
【0335】
本出願で提供されるいくつかの実施形態では、開示されたシステム、装置、および方法が他の方法で実施され得ることを理解されたい。例えば、説明された装置の実施形態は例にすぎない。例えば、ユニットへの分割は、論理的な機能の分割にすぎず、実際の実施態様では別の分割であってもよい。例えば、複数のユニットまたは構成要素は、別のシステムに組み合わされてもよいし、もしくは統合されてもよく、または一部の機能は無視されてもよいし、もしくは実行されなくてもよい。加えて、提示されたまたは述べられた相互結合または直接的な結合もしくは通信接続は、いくつかのインターフェースを使用して実施されてもよい。装置またはユニット間の間接的な結合または通信接続は、電子的な、機械的な、または他の形態で実施されてもよい。
【0336】
別個の部分として説明されたモジュールは、物理的に分離されていてもいなくてもよく、モジュールとして提示された部分は物理モジュールであってもなくてもよく、1つの位置に配置されてもよいし、または複数のネットワークモジュールに分散されてもよい。一部または全部のモジュールは、実施形態の解決策の目的を達成するために実際の必要に従って選択されてもよい。
【0337】
加えて、本出願における機能モジュールは、1つの処理モジュールに統合されてもよく、またはモジュールの各々は物理的に単独で存在してもよく、または2つ以上のモジュールが1つのモジュールに統合される。統合モジュールは、ハードウェアの形態で実施されてもよいし、またはソフトウェア機能モジュールの形態で実施されてもよい。
【0338】
統合モジュールが、ソフトウェア機能モジュールの形態で実施され、独立した製品として販売または使用されるとき、統合ユニットは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づいて、本出願の技術的解決策は本質的に、または従来技術に貢献する部分は、または技術的解決策の全部もしくは一部は、ソフトウェア製品の形態で具現化されてもよい。コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に記憶され、コンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワーク装置であってもよい)に、本出願の実施形態における方法のステップの全部または一部を実行するように命令するためのいくつかの命令を含む。
【0339】
結論として、前述の説明は、本出願の技術的解決策の実施形態の例にすぎず、本出願の保護範囲を限定することを意図されていない。本出願の原理から逸脱することなく行われる修正、同等の置換、または改善は、本出願の保護範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0340】
210 通信デバイス
301 MLD
302 MLD
2000 NSTR MLD
2001 処理モジュール
2002 リスニングモジュール
2101 プロセッサ
2102 通信線
2103 メモリ
2104 通信インターフェース
2105 出力デバイス
2106 入力デバイス
2108 プロセッサ
図1a
図1b
図1c
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21