(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 23/00 20060101AFI20241119BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20241119BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20241119BHJP
H01Q 19/10 20060101ALI20241119BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20241119BHJP
H01Q 1/52 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
H01Q23/00
H01Q1/24 Z
H01Q21/06
H01Q19/10
H01Q13/08
H01Q1/52
(21)【出願番号】P 2023532294
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(86)【国際出願番号】 KR2021017934
(87)【国際公開番号】W WO2022119291
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0166910
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0168963
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥク ヨン キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン チャン ムン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヒョン シム
(72)【発明者】
【氏名】スン ホヮン ソ
(72)【発明者】
【氏名】ベ モーク ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ミン ソン ユン
(72)【発明者】
【氏名】キョ スン ジ
(72)【発明者】
【氏名】チ バク リュ
(72)【発明者】
【氏名】スン ホ ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ ホン キム
(72)【発明者】
【氏名】オ ソン チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ウン セオ
(72)【発明者】
【氏名】ウン ユン パク
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/231148(WO,A1)
【文献】特開平01-143505(JP,A)
【文献】特表2019-536362(JP,A)
【文献】特表平11-511614(JP,A)
【文献】国際公開第2017/098741(WO,A1)
【文献】特開2019-134591(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110034377(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 23/00
H01Q 1/24
H01Q 21/06
H01Q 19/10
H01Q 13/08
H01Q 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインボードが内蔵される本体モジュールと、
前記本体モジュールとの間に中間外気層が形成されるように前方に固定され、RFフィルタ部およびアンテナ素子部が内蔵されるRFモジュールと、
前記本体モジュールと前記RFモジュールとの間の前記中間外気層に露出するように配置され、アナログ増幅素子が実装された増幅部基板を含む増幅部モジュールと、を含み、
前記メインボードに実装された発熱素子から生成された熱は、前記本体モジュールの前方および後方の少なくともいずれか1つを通して放熱され、
前記増幅部モジュールから生成された熱は、前記中間外気層を通して直接放熱されるように備えられ
、
前記メインボードの背面が密着して載置されるように前方が開口した後方ハウジングと、
前記後方ハウジングの前端に結合されかつ、前記後方ハウジングとの間に内部空間を形成するように結合される前方ハウジングと、を含み、
前記内部空間には、前記メインボードに上下方向に配置されたPSUボードが前記メインボードと分離されるように載置されており、
前記前方ハウジングの前面には、前記メインボードまたは前記PSUボードの前面に実装された発熱素子から発生した熱を前記中間外気層に放熱させる複数の前方ハウジング放熱フィンが一体形成されている、アンテナ装置。
【請求項2】
前記増幅部モジュールは、前記増幅部基板の後端部に備えられた雄ソケット部によって前記メインボードとソケットピン結合され、前記増幅部基板の前端部に備えられたスルーピン端子によって前記RFフィルタ部とフィードスルーピン結合される、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
メインボードが内蔵される本体モジュールと、
前記本体モジュールとの間に中間外気層が形成されるように前方に固定され、RFフィルタ部およびアンテナ素子部が内蔵されるRFモジュールと、
前記本体モジュールと前記RFモジュールとの間の前記中間外気層に露出するように配置され、アナログ増幅素子が実装された増幅部基板を含む増幅部モジュールと、を含み、
前記メインボードに実装された発熱素子から生成された熱は、前記本体モジュールの前方および後方の少なくともいずれか1つを通して放熱され、
前記増幅部モジュールから生成された熱は、前記中間外気層を通して直接放熱されるように備えられ、
前記本体モジュールと前記RFモジュールとの間の前記中間外気層を外部空間と区画し、かつ前記外部空間の外気が前記中間外気層に流入したり、前記中間外気層の内気が前記外部空間に流出する複数の空気流動孔が形成されたフィンガーガードパネルをさらに
含む、アンテナ装置。
【請求項4】
前記本体モジュールおよび前記RFモジュールは、前記増幅部モジュールを挟んで前後方向に離隔して備えられ、
前記フィンガーガードパネルは、前端が前記RFモジュールに結合され、後端が前記本体モジュールに結合されて、前記本体モジュールと前記RFモジュールとの間の前記中間外気層を前記外部空間と区画させる、請求項
3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記フィンガーガードパネルは、前記中間外気層を形成する4面を前記外部空間と区画するように備えられる、請求項
3に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記フィンガーガードパネルは、外側に
凸となるようにラウンド
が形成されている、請求項
3に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記フィンガーガードパネルは、
前端または後端を連結する外側面、および左側端または右側端を連結する外側面が、前記外部空間側に
凸となるようにラウンド面
が形成され
ている、請求項
3に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
メインボードが内蔵される本体モジュールと、
前記本体モジュールとの間に中間外気層が形成されるように前方に固定され、RFフィルタ部およびアンテナ素子部が内蔵されるRFモジュールと、
前記本体モジュールと前記RFモジュールとの間の前記中間外気層に露出するように配置され、アナログ増幅素子が実装された増幅部基板を含む増幅部モジュールと、を含み、
前記メインボードに実装された発熱素子から生成された熱は、前記本体モジュールの前方および後方の少なくともいずれか1つを通して放熱され、
前記増幅部モジュールから生成された熱は、前記中間外気層を通して直接放熱されるように備えられ、
前記RFモジュールは、
前記増幅部モジュールの前方に積層結合され、前記RFフィルタ部および前記アンテナ素子部が内蔵される前方アンテナハウジング
を含み、
前記アンテナ素子部は、
複数の放射素子と、
前記複数の放射素子に給電するように構成された複数の給電線路と、を含み、
前記RFモジュールは、
前記前方アンテナハウジングの内部に配置されかつ、前記RFフィルタ部と前記アンテナ素子部とを層区画するリフレクタパネルをさらに含み、
前記複数の給電線路は、前記リフレクタパネルを貫通して前記RFフィルタ部と電気的に連結される、アンテナ装置。
【請求項9】
前記RFフィルタ部は、少なくとも1つ以上のキャビティを含むキャビティフィルタからなる、請求項
8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記複数の放射素子は、複数のダイポールタイプの放射素子およびパッチタイプの放射素子のいずれか1つからなる、請求項
8に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記複数の放射素子がパッチタイプの放射素子からなる場合、
前記アンテナ素子部は、
前記リフレクタパネルの前面に上下方向に所定の距離離隔して組立てられる複数のパッチベース部と、
前記複数のパッチベース部それぞれの前面に載置される複数のパッチタイプの放射素子と、
前記複数のパッチタイプの放射素子それぞれに電気的に連結される前記複数の給電線路と、を含む、請求項
8に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記複数のパッチベース部は、前記リフレクタパネルにフック
で取り付けられ、
前記複数の給電線路は、前記複数のパッチベース部に形成された組立ガイドスリットに挿入されて載置される、請求項
11に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記複数のパッチベース部および前記複数のパッチタイプの放射素子が上下方向および左右方向に並んで配列され、
前記リフレクタパネルには、少なくとも左右方向に隣接配置された前記複数のパッチタイプの放射素子間の信号干渉を低減する干渉防止リブがそれぞれ前方に突出して備えられた、請求項
11に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記内部空間には、前記メインボードの背面から後方に所定の距離離隔配置されたサージ基板部が前記メインボードと分離されるように載置されている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記RFモジュールは、前記前方アンテナハウジングの前端に結合されて、前記RFフィルタ部および前記アンテナ素子部を外部から保護するレドームパネルを含み、
前記レドームパネルは、前記前方アンテナハウジングに防水結合される、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項16】
前記複数の放射素子は上下に長く配置され、
前記複数の給電線路は、エアストリップ(air-strip)構造を有する、請求項8に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置(ANTENNA APPARATUS)に関し、より詳しくは、メインボードからアナログ増幅素子が実装された増幅部基板を含む増幅部モジュールをモジュール単位で分離しかつ、後方のメインボードと前方のRFフィルタ層との間の中間部位に外気に露出するように設定された中間外気層に増幅部基板モジュールを位置させて放熱性能を極大化させることができるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムに用いられる中継器をはじめとする基地局アンテナは、多様な形態と構造を有し、通常、長手方向に直立する少なくとも1つの反射板上に複数の放射素子が適切に配置される構造を有する。
【0003】
最近は、多重入出力(MIMO)ベースのアンテナに対する高性能の要求を満足すると同時に、小型化、軽量化および低費用構造を達成しようとする研究が活発に行われている。特に、線形偏波または円形偏波を実現するためのパッチタイプの放射素子が適用されたアンテナ装置の場合、通常、プラスチックやセラミック素材の誘電体基板からなる放射素子にめっきをし、PCB(印刷回路基板)などに半田付けにより結合する方式が広く用いられている。
【0004】
図1は、従来技術によるアンテナ装置の一例を示す分解斜視図である。従来技術によるアンテナ装置1は、
図1に示されるように、複数の放射素子35が所望の方向に出力されてビームフォーミングが容易となるように、ビーム出力方向であるアンテナハウジング本体10の前面側に配列され、外部環境からの保護のために、レドーム(radome)50がアンテナハウジング本体10の前端部に複数の放射素子35を挟んで装着される。より詳しくは、従来技術によるアンテナ装置1は、前面が開口した薄い直方体の函体形状に備えられ、後面には複数の放熱フィン11が一体に形成されたアンテナハウジング本体10と、アンテナハウジング本体10の内部のうち後面に積層配置されたメインボード20と、アンテナハウジング本体10の内部のうち前面に積層配置されたアンテナボード30とを含む。
【0005】
アンテナボード30の前面には、パッチタイプの放射素子またはダイポールタイプの放射素子35が実装され、アンテナハウジング本体10の前面には、内部の各部品を外部から保護しながら放射素子35からの放射が円滑に行われるようにするレドーム50が設けられる。しかし、従来技術によるアンテナ装置の一例(1)は、アンテナハウジング本体10の前方部が単一のレドーム50によって全部遮蔽されるように備えられることから、レドーム50がアンテナ装置の放熱を阻害する要素になる。ここで、レドーム50を除去し、放射素子35を外部に露出させる場合、必然としてアンテナボード30まで外部に露出することにより、外部環境からの保護が非常に不十分であるしかない。
【0006】
これと共に、アンテナボード30も、熱伝導度が低い一般のPCB材質であるFR-4材質からなり、実質的に発熱の多い空間であるメインボードが設けられた設置空間(図示せず)の前方を、レドーム50と同じく全部遮蔽されるようにする点から、前方への放熱設計の切り替えが難しい問題点がある。
【0007】
この理由から、メインボードの前面および後面のうち、放熱方向である後面には、デジタル素子だけでなく、アナログ増幅素子のすべてが集中実装されなければならず、これによって放熱部位が偏ってアンテナ装置1の全体的な放熱性能が大きく低下する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであって、アナログ増幅素子が実装された増幅部基板を含む増幅部モジュールを外気に露出するように後方のメインボードが備えられた本体モジュールと前方のRFモジュールとの間に設定された中間外気層に配置することにより、システム駆動熱の前後方への分散放熱を可能にして放熱性能を大きく向上させることができるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【0009】
これと共に、本発明は、エアストリップ構造を有する給電線路と放射素子との間の干渉量を低減しながら、アンテナの水平配列を可能にするアンテナ装置を提供することを他の目的とする。
【0010】
本発明の技術的課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるアンテナ装置の一実施例は、メインボードが内蔵される本体モジュールと、前記本体モジュールとの間に中間外気層が形成されるように前方に固定され、RFフィルタ部およびアンテナ素子部が内蔵されるRFモジュールと、前記本体モジュールと前記RFモジュールとの間の前記中間外気層に露出するように配置され、アナログ増幅素子が実装された増幅部基板を含む増幅部モジュールとを含み、前記メインボードに実装された発熱素子から生成された熱は、前記本体モジュールの前方および後方の少なくともいずれか1つを通して放熱させ、前記増幅部モジュールから生成された熱は、前記中間外気層を通して直接放熱されるように備えられる。
【0012】
ここで、前記メインボードの背面が密着して載置されるように前方が開口した内部空間を形成する後方ハウジングと、前記後方ハウジングの前端に結合されかつ、前記内部空間を遮蔽するように結合される前方ハウジングとを含み、前記内部空間には、前記メインボードの前面とマッチングされる前面を有するPSUボードと、前記メインボードの背面から後方に所定の距離離隔配置されたサージ基板部とが、前記メインボードと分離されるように載置される。
【0013】
また、前記前方ハウジングの前面には、前記メインボードまたは前記PSUボードの前面に実装された発熱素子から発生した熱を前記中間外気層に放熱させる複数の前方ハウジング放熱フィンが一体に形成される。
【0014】
また、前記増幅部モジュールは、前記増幅部基板の後端部に備えられた雄ソケット部によって前記メインボードとソケットピン結合され、前記増幅部基板の前端部に備えられたスルーピン端子によって前記RFフィルタ部とフィードスルーピン結合される。
【0015】
また、前記本体モジュールと前記RFモジュールとの間の前記中間外気層を外部空間と区画しかつ、前記外部空間の外気が前記中間外気層に流入したり、前記中間外気層の内気が前記外部空間に流出する複数の空気流動孔が形成されたフィンガーガードパネルをさらに含むことができる。
【0016】
また、前記本体モジュールと前記RFモジュールは、前記増幅部モジュールを挟んで前後方向に離隔して備えられ、前記フィンガーガードパネルは、前端が前記RFモジュールに結合され、後端が前記本体モジュールに結合されて、前記本体モジュールと前記RFモジュールとの間の前記中間外気層を前記外部空間と区画させることができる。
【0017】
また、前記フィンガーガードパネルは、前記中間外気層を形成する4面を前記外部空間と区画するように備えられる。
【0018】
また、前記フィンガーガードパネルは、外側にラウンドに形成される。
【0019】
また、前記フィンガーガードパネルは、前端または後端を連結する外側面、および左側端または右側端を連結する外側面が、前記外部空間側にラウンド面を有するように形成される。
【0020】
また、前記RFモジュールは、前記増幅部モジュールの前方に積層結合され、前記RFフィルタ部および前記アンテナ素子部が内蔵される前方アンテナハウジングと、前記前方アンテナハウジングの前端に結合されて、前記RFフィルタ部および前記アンテナ素子部を外部から保護するレドームパネルとを含み、前記レドームパネルは、前記前方アンテナハウジングに防水結合される。
【0021】
また、前記RFフィルタ部は、少なくとも1つ以上のキャビティを含むキャビティフィルタからなる。
【0022】
また、前記アンテナ素子部は、上下に長く配置される複数の放射素子と、前記複数の放射素子に給電するように構成された給電線路であって、エアストリップ(air-strip)構造を有する複数の給電線路とを含むことができる。
【0023】
また、前記複数の放射素子は、複数のダイポールタイプの放射素子およびパッチタイプの放射素子のいずれか1つからなる。
【0024】
また、前記RFモジュールは、前記前方アンテナハウジングの内部に配置されかつ、前記RFフィルタ部と前記アンテナ素子部とを層区画するリフレクタパネルをさらに含み、前記複数の給電線路は、前記リフレクタパネルを貫通して前記RFフィルタ部と電気的に連結可能である。
【0025】
また、前記複数の放射素子がパッチタイプの放射素子からなる場合、前記アンテナ素子部は、前記リフレクタパネルの前面に上下方向に所定の距離離隔して組立てられる複数のパッチベース部と、前記複数のパッチベース部それぞれの前面に載置される複数のパッチタイプの放射素子と、前記複数のパッチタイプの放射素子それぞれに電気的に連結される前記複数の給電線路とを含むことができる。
【0026】
また、前記複数のパッチベース部は、前記リフレクタパネルにフック組立てられ、前記複数の給電線路は、前記複数のパッチベース部に形成された組立ガイドスリットに挿入されて載置される。
【0027】
また、前記複数のパッチベース部および前記複数のパッチタイプの放射素子が上下方向および左右方向に並んで配列され、前記リフレクタパネルには、少なくとも左右方向に隣接配置された前記複数のパッチタイプの放射素子間の信号干渉を低減する干渉防止リブがそれぞれ前方に突出して備えられる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によるアンテナ用RFモジュールおよびこれを含むアンテナ装置の一実施例によれば、次のような多様な効果を達成することができる。
【0029】
第一、アンテナ装置の発熱素子から発生する熱を空間的に分離することにより、アンテナ装置の前後方への分散放熱が可能で放熱性能が大きく向上する効果を有する。
【0030】
第二、従来メインボード側に集中実装されていたRF関連の増幅素子をメインボードとRFフィルタ層との間の中間外気層に分離して位置させ、外気に直接露出させることにより、アンテナ装置の全体的な放熱性能を大きく向上させる効果を有する。
【0031】
本発明の効果は以上に言及した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】従来技術によるアンテナ装置の一例を示す分解斜視図である。
【
図2A】本発明の一実施例によるアンテナ装置の支柱ポールに対する設置の様子を示す前方部斜視図である。
【
図2B】本発明の一実施例によるアンテナ装置の支柱ポールに対する設置の様子を示す後方部斜視図である。
【
図4A】
図2Aの分解斜視図であって、
図2Aの構成のうち、クランピング部の前方部分解斜視図である。
【
図4B】
図2Bの分解斜視図であって、
図2Bの構成のうち、クランピング部の後方部分解斜視図である。
【
図5】
図3AのA-A線に沿った切開斜視図である。
【
図6A】
図2Aの構成のうち、RFモジュールおよびフィンガーガードパネルが本体モジュールから分離された状態を示す分解斜視図である。
【
図6B】
図2Bの構成のうち、RFモジュールおよびフィンガーガードパネルが本体モジュールから分離された状態を示す分解斜視図である。
【
図7A】フィンガーガードパネルが削除された状態における全体前方部分解斜視図である。
【
図7B】フィンガーガードパネルが削除された状態における全体後方部分解斜視図である。
【
図8】フィンガーガードパネルが備えられた状態においてRFモジュールのみを前方に分解した分解斜視図である。
【
図9】
図2Aおよび
図2Bの構成のうち、前方ハウジングおよび後方ハウジングの間の内部空間に対するメインボードなどの設置の様子を示す分解斜視図である。
【
図10A】前方ハウジングおよび後方ハウジングの結合関係および増幅部モジュールの結合関係を説明するための前方部分解斜視図である。
【
図10B】前方ハウジングおよび後方ハウジングの結合関係および増幅部モジュールの結合関係を説明するための後方部分解斜視図である。
【
図11A】
図2の構成のうち、中間外気層に位置した増幅部モジュールの増幅部基板を示す分解斜視図である。
【
図11B】
図2の構成のうち、中間外気層に位置した増幅部モジュールの増幅部基板を示す分解斜視図である。
【
図13A】
図2Aの構成のうち、レドームパネルを除いたRFモジュールを示す前方部分解斜視図である。
【
図13B】
図2Bの構成のうち、レドームパネルを除いたRFモジュールを示す後方部分解斜視図である。
【
図14A】RFモジュールの構成のうち、レドームパネルの結合関係を示す前方部分解斜視図である。
【
図14B】RFモジュールの構成のうち、レドームパネルの結合関係を示す後方部分解斜視図である。
【
図15A】RFモジュールの構成のうち、アンテナ素子部を示す前方部分解斜視図である。
【
図15B】RFモジュールの構成のうち、アンテナ素子部を示す後方部分解斜視図である。
【
図16A】リフレクタパネルに対する放射素子および給電線路の連結の様子を示す前方部分解斜視図である。
【
図16B】リフレクタパネルに対する放射素子および給電線路の連結の様子を示す後方部分解斜視図である。
【
図17A】リフレクタパネルを貫通してRFフィルタ部に対するアンテナ素子部の電気的な連結の様子を示す前方部分解斜視図である。
【
図17B】リフレクタパネルを貫通してRFフィルタ部に対するアンテナ素子部の電気的な連結の様子を示す後方部分解斜視図である。
【
図18】
図17Aおよび
図17Bによるアンテナ素子部とRFフィルタ部との電気的な連結の様子を説明するための切開斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施例によるアンテナ装置を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施例を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の実施例に対する理解を妨げると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0035】
本発明の実施例の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使うことができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。また、他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含む、ここで使われるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0036】
【0037】
本発明の一実施例によるアンテナ装置1Aは、
図2A~
図4Bに示されるように、クランピング部500を介在させて支柱ポール1000に対して上下方向にチルティング調整されたり、左右方向にステアリング調整されるように装着される。
【0038】
クランピング部500は、
図4Aおよび
図4Bに示されるように、支柱ポール1000に結合される一対のブラケット部の1つとして相対的に上側に位置した上部ブラケット部510と、その他の1つとして相対的に上部ブラケット部510の下側に位置した下部ブラケット部520と、上部ブラケット部510と下部ブラケット部520に後端が左右方向にステアリング回動可能に備えられたステアリングユニット530と、ステアリングユニット530に対して上下方向にチルティング回動可能に備えられたチルティングユニット540とを含むことができる。
【0039】
上部ブラケット部510および下部ブラケット部520は、支柱ポール1000を基準としてアンテナ装置1Aが設けられた方向を「前方」と定義し、その反対方向を「後方」と定義する時、支柱ポール1000の後方に設けられる後方支柱ブラケット511、521と、支柱ポール1000の前方に設けられる前方支柱ブラケット517、527の一対とからなる。
【0040】
後方支柱ブラケット511、521および前方支柱ブラケット517、527は、それぞれ支柱ポール1000の後方外周面および前方外周面の一部を取り囲む形状に形成され、支柱ポール1000との摩擦力を向上させるために、各内側面にはセレーション形状のクランプギヤ512、518、522、528が形成される。
【0041】
後方支柱ブラケット511、521および前方支柱ブラケット517、527は、
図4Aおよび
図4Bに示されるように、一対のブラケット固定長ボルト513、523が後方貫通孔511a、521aおよび前方締結孔517a、527aに締結される動作で支柱ポール1000に固定される。一対のブラケット固定長ボルト513、523は、後方支柱ブラケット511、521および前方支柱ブラケット517、527に前後端部が連結されたアウターブッシュ514、524およびインナーブッシュ515、525を貫通して締結される。
【0042】
ここで、前方支柱ブラケット517、527の前端部は、前方に所定の長ささらに延び、ステアリングユニット530の後端部にそれぞれ上側から下側、および下側から上側に嵌め結合される軸部519(図示せず)が備えられる。ステアリングユニット530は、前方支柱ブラケット517、527の軸部519(図示せず)を中心に前端部が左右方向に所定の角度回動可能に備えられることにより、その前方に結合されたアンテナ装置1Aの左右方向の方向性を調整することができるのである。
【0043】
一方、ステアリングユニット530の前端部には、チルティングユニット540がその上端と下端が後述するチルティング軸549を基準として上下方向に所定の角度回動可能に結合される。チルティングユニット540の前面には、本発明の一実施例によるアンテナ装置1Aの背面部が結合されることにより、アンテナ装置1Aの上下方向の方向性を調整することができる。
【0044】
より詳しくは、チルティングユニット540は、前面はアンテナ装置1Aの背面に密着し、左右両端部がステアリングユニット530の左側端および右側端に所定の長さオーバーラップされるように後方に延び、チルティング軸549がステアリングユニット530の前端部を左右方向に貫通して締結される。
【0045】
ステアリングユニット530とチルティングユニット540の内部には、図示しないが、作業者が手動で角度調整可能な駆動部品が備えられるか、作業者が提供する駆動力なしに自動で角度調整可能な駆動部品が備えられる。
【0046】
一方、チルティングユニット540は、略角部分にブラケット締結ボルト547が設けられ、アンテナ装置1Aのうち後述する後方ハウジング110の背面に形成されたボルト締結孔117にブラケット締結ボルト547が締結される動作でアンテナ装置1Aが固定される。ここで、アンテナ装置1Aのうち後述する後方ハウジング110の背面部には、係止パネル550が後方に所定距離離隔しながらも平行に結合され、チルティングユニット540の上端部に備えられた係止溝545に係止固定される。係止パネル550は、上端部の左右2点でパネル固定ねじ555が貫通して後方ハウジング110のねじ締結ホール115に締結される動作でアンテナ装置1Aに固定される。
【0047】
このように、本発明の一実施例によるアンテナ装置1Aは、支柱ポール1000に結合されたクランピング部500との結合過程で、係止パネル550を用いて臨時にチルティングユニット540の係止溝545に係止固定させた後、ブラケット締結ボルト547を用いて強固に固定可能なため、重量が比較的大きいアンテナ装置1Aの設置作業性を向上させることができる。
【0048】
図5は、
図3AのA-A線に沿った切開斜視図であり、
図6Aおよび
図6Bは、
図2Aおよび
図2Bの構成のうち、RFモジュールおよびフィンガーガードパネルが本体モジュールから分離された状態を示す分解斜視図であり、
図7Aおよび
図7Bは、フィンガーガードパネルが削除された状態における全体前方部分解斜視図および全体後方部分解斜視図であり、
図8は、フィンガーガードパネルが備えられた状態においてRFモジュールのみを前方に分解した分解斜視図である。
【0049】
本発明の一実施例によるアンテナ装置1Aは、
図2~
図8に示されるように、アンテナ装置1Aの後方外観を形成する本体モジュール100と、本体モジュール100との間に中間外気層MSが形成されるように前方に固定され、RFフィルタ部330およびアンテナ素子部340が内蔵され、アンテナ装置1Aの前方外観の一部を形成するRFモジュール300と、本体モジュール100とRFモジュール300との間の中間外気層MSに露出するように配置され、アナログ増幅素子が実装された増幅部基板(後述する
図10Aおよび
図10Bの図面符号「230」参照)を含む増幅部モジュール200とを含む。
【0050】
より詳しくは、
図5を参照すれば、クランピング部500のチルティングユニット540の前面に、アンテナ装置1Aの構成のうち本体モジュール100が固定設定され、本体モジュール100の前方に所定の距離離隔してRFモジュール300が設けられて、本体モジュール100とRFモジュール300との間に前記中間外気層MSを形成すると共に、前記中間外気層MSに増幅部モジュール200が位置できる。
【0051】
ここで、中間外気層MSは、実質的に本体モジュール100の前方部の外気空間を指し示す部位であって、外部の空気が後述するフィンガーガードパネル400を通して流入したり、内部の空気がフィンガーガードパネル400を通して流出する空間である。中間外気層MSと外部空間OS(Outer Space)とが連通することにより、中間外気層MSに放熱された熱が容易に外部空間OSへ放出できるのである。
【0052】
また、増幅部モジュール200は、後端部が本体モジュール100内部のメインボード130と電気的に連結され、前端部がRFモジュール300のRFフィルタ部330と電気的に連結される。
【0053】
一方、本発明の一実施例によるアンテナ装置1Aは、本体モジュール100とRFモジュール300との間の前記中間外気層MSを外部空間OSと区画しかつ、外部空間OSの外気が中間外気層MSに流入したり、中間外気層MSの内気が外部空間OSに流出する複数の空気流動孔430が形成されたフィンガーガードパネル400をさらに含むことができる。
【0054】
フィンガーガードパネル400は、
図6Aおよび
図6Bに示されるように、前端がRFモジュール300に結合され、後端が本体モジュール100に結合されて、本体モジュール100とRFモジュール300との間の中間外気層MSを外部空間OSと区画させるように備えられる。仮に、フィンガーガードパネル400は、後端部に周縁に沿って複数のねじ締結ホール445が形成され、本体モジュール100の枠端部に複数の固定ねじ465によって締結される。
【0055】
このようなフィンガーガードパネル400は、
図5~
図8に示されるように、中間外気層MSを形成する4面を外部空間OSと区画するように備えられる。ここで、フィンガーガードパネル400は、
図2A~
図5に示されるように、中間外気層MSの各面を区画するように、左側フィンガーガードパネル410aおよび右側フィンガーガードパネル410bと上部フィンガーガードパネル420aおよび下部フィンガーガードパネル420bの4つで備えられる。
【0056】
しかし、必ずしもフィンガーガードパネル400が4つで備えられるべきではなく、
図6A~
図8に示されるように、中間外気層MSの中間部分を基準として左側および上下部位を区画する一側フィンガーガードパネル440と、中間外気層MSの中間部分を基準として右側および上下部位を区画する他側フィンガーガードパネル450と、の2つで備えられる。
【0057】
ここで、フィンガーガードパネル400は、外側にラウンドに形成される。より詳しくは、フィンガーガードパネル400は、前端または後端を連結する外側面、および左側端または右側端を連結する外側面が、外部空間OS側にラウンド面を有するように形成される。したがって、外部空間OSの外気がアンテナ装置1Aの前方から後方側に流動する時、および後方から前方側に流動する時にも、中間外気層MSの内部への流入が円滑であることはもちろん、中間外気層MSの全体的な空間を広く確保することにより、増幅部モジュール200の設置空間を拡張できるという利点を提供する。
【0058】
図9は、
図2Aおよび
図2Bの構成のうち、前方ハウジングおよび後方ハウジングの間の内部空間に対するメインボードなどの設置の様子を示す分解斜視図であり、
図10Aおよび
図10Bは、前方ハウジングおよび後方ハウジングの結合関係および増幅部モジュールの結合関係を説明するための前方部分解斜視図および後方部分解斜視図である。
【0059】
本体モジュール100は、
図9~
図10Bに示されるように、アンテナ装置1Aの後方外観を形成し、前面が開口した薄い函体形状の後方ハウジング110と、後方ハウジング110との間に内部空間110Sを形成するように後方ハウジング110の開口した前面を遮蔽するように結合される前方ハウジング120とを含むことができる。
【0060】
また、本体モジュール100は、
図9に示されるように、後方ハウジング110と前方ハウジング120との間の内部空間110Sに密着設置されたメインボード130と、メインボード130の上側に配置されたPSUボード部140と、メインボード130より後方にさらに離隔して配置されたサージ基板部150とをさらに含むことができる。
【0061】
後方ハウジング110は、特にアンテナ装置1Aの後方外観を形成すると共に、アンテナ装置1Aの支柱ポール1000に対する設置媒介のために設けられたクランピング部500に結合される構成である。後方ハウジング110および前方ハウジング120は、全体的に熱伝導による放熱が有利となるよう熱電導性に優れた金属材質で備えられ、かつ略前後方向の厚みが薄い直方体の函体形状に形成される。特に、後方ハウジング110の前面に開口が形成され、所定の内部空間110Sが備えられることにより、デジタル素子(例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)素子)が実装されたメインボード130と、PSU(Power Supply Unit)素子が実装されたPSUボード部140と、サージ部品素子が実装されたサージ基板部150と、の設置を媒介する役割を果たす。
【0062】
一方、図示しないが、後方ハウジング110の内側面は、メインボード130の後面に実装されたデジタル素子(FPGA素子など)および/またはPSUボード部140の後面に実装されたPSU素子など、そしてサージ基板部150の後面に実装されたサージ部品素子による外形突出形状に型合わせされる形状に形成される。これは、メインボード130、PSUボード部140およびサージ基板部150の背面との熱接触面積を最大に増大させて放熱性能を極大化するためである。
【0063】
後方ハウジング110の左右両側には、現場で作業者が本発明の一実施例によるアンテナ装置1Aを運送したり、支柱ポール1000に結合されたクランピング部500に対する手動装着が容易となるように把持できる取っ手部115がさらに設けられる。ここで、取っ手部115は、フィンガーガードパネル400に干渉を回避するように形成された取っ手溝445を介して回動可能に備えられる。
【0064】
これと共に、後方ハウジング110の下端部外側には、図示しない基地局装置とのケーブル連結および内部部品の調整のための各種外側装着部材600が貫通組立てられる。外側装着部材600は、少なくとも1つ以上の光ケーブル連結端子(ソケット)形態で備えられ、それぞれの連結端子には同軸ケーブル(図示せず)の連結端子が相互連結される。
【0065】
後方ハウジング110の背面には、複数の後方放熱フィン111が所定のパターン形状を有するように一体に形成される。ここで、後方ハウジング110の内部空間110Sに設けられたメインボード130、PSUボード140およびサージ基板部150の各発熱素子から生成された熱は、複数の後方放熱フィン111を通して後方に直接放熱される。
【0066】
複数の後方放熱フィン111は、
図6Bおよび
図7Bに示されるように、一側上部または他側上部に向けて所定の角度傾斜した形態で備えられる。したがって、後方ハウジング110の後方に放熱される熱がそれぞれ後方ハウジング110の傾斜した形態の後方放熱フィン111に沿って形成された上昇気流を通して迅速に熱が放出されるように設計される。
【0067】
一方、図示しないが、メインボード130とPSUボード部140、およびメインボード130とサージ基板部150とは、それぞれ少なくとも1つのバスバーを介在させて電気的に相互連結可能である。
【0068】
ここで、PSUボード部140は、メインボード130の上端に直接当接している形態で配置されることから、ショートタイプのバスバーを介在させて相互電気的に連結可能である。これと共に、サージ基板部150は、メインボード130の後方に所定距離離隔して配置されることから、折曲タイプのバスバーを介在させて相互電気的に連結可能である。
【0069】
前方ハウジング120は、
図6A~
図8に示されるように、後方ハウジング110の内部空間110Sに設けられて載置されたメインボード130、PSUボード140、サージ基板部150および前方の中間外気層MSの間を区画する熱的遮断機能を行うことができる。
【0070】
ここで、「熱的遮断」という意味は、前方ハウジング120の前面前方と定義される中間外気層MS上に位置した増幅部モジュール200から発生した熱が、前方ハウジング120の背面空間(すなわち、後方ハウジング110の内部空間110S)側への熱侵入を遮断するものと理解することが好ましい。
【0071】
前方ハウジング120の前面には複数の前方放熱フィン121が一体に形成される。このような前方ハウジング120および複数の前方放熱フィン121は、熱伝導性に優れた金属材質からなることから、前方ハウジング120を介在させて後方ハウジング110の内部空間110Sの熱が前方へ容易に熱伝導方式で放熱できる。
【0072】
これと共に、本発明によるアンテナ装置1Aの一実施例は、
図6に示されるように、少なくとも1つの通気パネル120(120a~120d)をさらに含むことができる。複数のRFモジュール300の前端部は、前方ハウジング12の枠から前方にさらに離隔して位置するが、少なくとも1つの通気パネル120(120a~120d)が前方ハウジング12の枠部位に結合されかつ、最外郭に配置された複数のRFモジュール300の側部を取り囲む形態で結合される。
【0073】
このように、後方ハウジング110と前方ハウジング120との間の内部空間110Sに備えられたメインボード130、PSUボード部140およびサージ基板部150に実装された各発熱素子から生成された熱は、本体モジュール100の前方および後方の少なくともいずれか1つを通して放熱させることができる。また、増幅部モジュール200は、後述のように、中間外気層MSに直接露出するように備えられることから、増幅部モジュール200から生成された熱は、中間外気層MSに対する直接放熱により冷却可能になる。
【0074】
図9~
図10Bを参照して、増幅部モジュール200は、各単位モジュールごとに前方ハウジング120を介在させてメインボード130にソケットピン結合される。このために、前方ハウジング120には、
図9~
図10Bに示されるように、ソケット貫通部125が前後方向に貫通して形成され、ソケット貫通部125の周辺には面着部(図面符号不表記)が形成される。面着部には後方側異物流入防止リング223が介在して、ソケット貫通部125を通して異物が内部空間110S側に流入するのを防止することができる。
【0075】
また、増幅部モジュール200の前端部には、RFモジュール300の後面が積層されるように結合され、増幅部モジュール200とRFモジュール300との間には前方側異物流入防止リング226が介在して、電気的な連結のために設けられたスルーピン連結ホール317を通して異物がそれぞれ増幅部モジュール200およびRFモジュール300の内部に流入するのを防止することができる。
【0076】
図11Aおよび
図11Bは、
図2の構成のうち、中間外気層に位置した増幅部モジュールの増幅部基板を示す分解斜視図であり、
図12Aおよび
図12Bは、
図11Aおよび
図11Bの増幅部モジュールを分解した一側方向および他側方向の分解斜視図である。増幅部モジュール200は、メインボード130からの信号およびRFモジュール300からの信号をそれぞれ受信して、所定の値だけ増幅させて出力する役割を果たす。
【0077】
ここで、増幅部モジュール200は、幅方向の一側または他側が開口した基板載置空間210Sを有する増幅部ボディ220と、増幅部ボディ220の内部に載置されかつ、枠前端部はRFモジュール300と電気的に信号連結され、枠後端部はメインボード130と信号連結される増幅部基板230と、増幅部基板230を覆うように設けられた増幅部カバー240とを含むことができる。
【0078】
このような増幅部モジュール200は、
図11A~
図12Bに示されるように、後述するRFモジュール300とはフィードスルーピン結合により簡便に電気的な連結が行われると共に、増幅部ボディ220に前端部に形成された組立端部225のスクリュー組立ホール225aを介して締結されるモジュール組立スクリュー(
図13Aの図面符号「319」参照)を介して相互物理的な結合が行われる。
【0079】
組立端部225の周辺には、上述したような前方側異物流入防止リング226が介在する前方リング介在溝226aが形成され、前方リング介在溝226aに介在した前方側異物流入防止リング226は、RFモジュール300の構成のうち、前方アンテナハウジング310の前方から貫通締結されるモジュール組立スクリュー319がスクリュー組立ホール225aに締結される動作で提供される結合力によって弾性圧縮されてシーリング機能を行うことができる。
【0080】
増幅部ボディ220の後端部には、増幅部基板230の雄ソケット部235が貫通するソケット貫通ボス222が環状リブ形態で備えられ、ソケット貫通ボス222の突出した環状リブの端部には後方側異物流入防止リング223が介在できる。後方側異物流入防止リング223は、増幅部ボディ220の後端部と前方ハウジング120の前面に形成されたソケット貫通部125との間で弾性圧縮されてシーリング機能を行うことができる。
【0081】
ここで、増幅部ボディ220の後端部の3箇所には、前方ハウジング120に対するスクリュー組立のために各スクリュー貫通ホール(図面符号不表記)が設けられたスクリュー締結段228a~228cが形成され、組立スクリュー229a~229cがそれぞれ前方から後方にスクリュー貫通ホールを貫通して締結されることにより、上述した後方側異物流入防止リング223を弾性圧縮する程度の結合力を提供する。
【0082】
3つのスクリュー締結段228a~228cの少なくとも1つ228cは、組立スクリュー229cが増幅部ボディ220の外側面に一体に形成された複数の増幅部ヒートシンクフィン221を貫通して締結される位置に形成され、これに相当する組立スクリュー229cの円滑な締結のために、複数の増幅部ヒートシンクフィン221には少なくともドライバ工具などのような締結ツールが挿入でできる大きさのツール挿入ホール221aが貫通形成される。
【0083】
増幅部基板230は、RFモジュール300とはスルーピン端子227を介在させてフィードスルーピン(Feed through-pin)結合され、メインボード130とはソケットピン結合される。このため、増幅部基板230には、メインボード130にソケットピン結合されるための少なくとも1つ以上の雄ソケット部235が備えられる。増幅部基板230は、増幅部ボディ220の内側面に密着結合され、増幅部ボディ220の外側面には、増幅部基板230のアナログ増幅素子から発生した熱を外部空間に放熱させる複数の増幅部ヒートシンクフィン221が一体に形成される。増幅部基板230には、アナログ増幅素子としてPA素子およびLNA素子の少なくとも1つが実装される。
【0084】
主要発熱素子であるアナログ増幅素子(PA素子およびLNA素子)は、従来後方ハウジング110と前方ハウジング120との間の内部空間110Sに備えられたメインボード130に実装された部品であったが、本発明の一実施例の場合、増幅部モジュール200のようなモジュール単位で製造し、放熱が容易な空間である前方ハウジング120の前面空間と定義される中間外気層MS側に露出するように設計変更することにより、内部空間110S上の熱的過負荷を分散させることはもちろん、放熱性能を向上させることができるという利点を創出できる。
【0085】
ここで、増幅部基板230は、
図11Aおよび
図12Aに示されるように、増幅部ボディ220の基板載置空間210Sの内側面に一面が密着するように載置設置され、アナログ増幅素子のうち電力増幅器(Power Amplifier)である1つのPAが他面に実装されて1T1Rを構成することができる。本発明の一実施例によるアンテナ装置1Aの場合、計8個の増幅部モジュール200が設けられるので、8T8Rを実現することができる。PAから生成された熱は、基板載置空間210Sの内面に隣接して一体に形成された複数の増幅部ヒートシンクフィン221を通して外部に容易に放熱できる。
【0086】
増幅部ボディ220の基板載置空間210Sは、増幅部基板230の設置後、増幅部カバー240がカバー組立ホール241を貫通する、図示しない組立スクリューを介して、増幅部ボディ220に締結される動作で遮蔽できる。ここで、増幅部ボディ220および増幅部カバー240も、中間外気層MSに露出しているので、雨水などのような異物の流入が完全遮断できる密閉構造で備えられることが好ましい。このような構成からなる増幅部モジュール200は、増幅部基板230の後端部に備えられた雄ソケット部235によってメインボード130とソケットピン結合され、増幅部基板230の前端部に備えられたスルーピン端子227によってRFフィルタ部330とフィードスルーピン結合される。
【0087】
図13Aおよび
図13Bは、
図2Aおよび
図2Bの構成のうち、レドームパネルを除いたRFモジュールを示す前方部分解斜視図および後方部分解斜視図であり、
図14Aおよび
図14Bは、RFモジュールの構成のうち、レドームパネルの結合関係を示す前方部分解斜視図および後方部分解斜視図であり、
図15Aおよび
図15Bは、RFモジュールの構成のうち、アンテナ素子部を示す前方部分解斜視図および後方部分解斜視図であり、
図16Aおよび
図16Bは、リフレクタパネルに対する放射素子および給電線路の連結の様子を示す前方部分解斜視図および後方部分解斜視図であり、
図17Aおよび
図17Bは、リフレクタパネルを貫通してRFフィルタ部に対するアンテナ素子部の電気的な連結の様子を示す前方部分解斜視図および後方部分解斜視図であり、
図18は、
図17Aおよび
図17Bによるアンテナ素子部とRFフィルタ部との電気的な連結の様子を説明するための切開斜視図である。
【0088】
RFモジュール300は、
図13A~
図18に示されるように、増幅部モジュール200の前方に積層結合され、RFフィルタ部330およびアンテナ素子部340が内蔵される前方アンテナハウジング310と、前方アンテナハウジング310の前端に結合されて、RFフィルタ部330およびアンテナ素子部340を外部から保護するレドームパネル320とを含むことができる。
【0089】
ここで、レドームパネル320は、前方アンテナハウジング310に防水結合される。すなわち、前方アンテナハウジング310の枠端部には、図示しない防水ガスケットが介在するガスケット溝が備えられ、前方アンテナハウジング310に対するレドームパネル320の結合時に発生する結合力によって防水ガスケットが弾性変形されながら前方アンテナハウジング310の内部設置空間310Sをシーリングさせることができる。
【0090】
図14Aおよび
図14Bを参照すれば、前方アンテナハウジング310の枠端部に沿ってスクリュー締結ホールがそれぞれ形成された複数のスクリュー締結段315が離隔して備えられると共に、レドームパネル320の枠端部に沿ってスクリュー貫通ホールがそれぞれ形成された複数のスクリュー貫通段325が離隔して備えられ、組立スクリュー335がそれぞれに締結される動作で内部設置空間310Sを遮蔽させることができる。
【0091】
RFフィルタ部330は、
図13Aおよび
図13Bに示されるように、少なくとも1つ以上のキャビティ(
図18の図面符号「330C」参照)を含むキャビティフィルタからなる。より詳しくは、RFフィルタ部330のフィルタボディには、複数のキャビティ330Cが前方に開口形成され、各キャビティ330Cの内部には、DR(Dielectric Resonator)または金属性共振棒で構成された共振バーが備えられる。
【0092】
このようなRFフィルタ部330は、後述するアンテナ素子部340と共に前方アンテナハウジング310の内部設置空間310Sに積層結合されかつ、前方アンテナハウジング310を貫通して増幅部モジュール200の増幅部基板230と電気的な信号連結が行われるように結合される。
【0093】
このために、RFフィルタ部330の背面部には、増幅部モジュール200のスルーピン端子227とフィードスルーピン結合(Feed Through-pin Connection)方式で結合されるための少なくても1つの入力ポート337が設けられる。また、前方アンテナハウジング310には、スルーピン端子227の貫通締結のためのスルーピン連結ホール317が形成される。参照として、前方アンテナハウジング310には、すでに説明した増幅部モジュール200との組立スクリュー319を介した貫通締結のために複数のスクリュー貫通ホール318が貫通して形成される。
【0094】
これと共に、RFフィルタ部330の前面部には、前方に積層結合されるアンテナ素子部340と後述する複数の給電線路347を介在させる電気的な信号連結のための少なくとも1つのコネクティング端子部338が設けられる。一方、DRまたは金属性共振棒で構成された共振バーのキャビティ330C内での構造的特徴により周波数フィルタリングが行われかつ、フィルタボディの前面には、複数のキャビティを全部覆いながら各キャビティごとに細部的な周波数フィルタリングを調整できるように設けられたフィルタチューニングカバーが結合される。
【0095】
アンテナ素子部340は、
図15A~
図17Bに示されるように、上下に長く配置された複数の放射素子(図面符号不表記)と、複数の放射素子に給電するように構成された給電線路であって、エアストリップ(air-strip)構造を有する複数の給電線路347とを含むことができる。
【0096】
ここで、複数の放射素子は、複数のダイポールタイプの放射素子およびパッチタイプの放射素子345のいずれか1つからなる。本発明の一実施例では、複数の放射素子がパッチタイプの放射素子345であるとして説明する。
【0097】
RFモジュール300は、
図15Aおよび
図15Bに示されるように、前方アンテナハウジング310の内部に配置されかつ、RFフィルタ部330とアンテナ素子部340とを層区画するリフレクタパネル350をさらに含むことができる。
【0098】
ここで、複数の給電線路347は、リフレクタパネル350を貫通してRFフィルタ部330と電気的に連結可能である。このために、リフレクタパネル350には、複数のコネクティング連結ホール357が中間部分に左右方向に所定の距離離隔して備えられ、RFフィルタ部330に形成されたコネクティング端子部338がコネクティング連結ホール357を介して前方に露出して、複数の給電線路347の各中間部分に形成されたフィーディング端子349のピン連結ホール349’にそれぞれ連結される。
【0099】
一方、複数の放射素子がパッチタイプの放射素子345からなる場合、アンテナ素子部340は、リフレクタパネル350の前面に上下方向に所定の距離離隔して組立てられる複数のパッチベース部341と、複数のパッチベース部341それぞれの前面に載置される複数のパッチタイプの放射素子345と、複数のパッチタイプの放射素子345それぞれに電気的に連結される複数の給電線路347とを含むことができる。
【0100】
ここで、複数のパッチベース部341の前面部には、
図15A、
図16Aおよび
図17Aに示されるように、複数のパッチタイプの放射素子345が嵌め結合される4つの放射素子突部344および複数の給電線路347のフィーディングコネクティング端子348の固定ホール347’に嵌め結合されるフィーディング固定突起341’が形成される。これと共に、複数のパッチベース部341の前面部には、
図15A、
図16Aおよび
図17Aに示されるように、複数の給電線路347それぞれの設置のための組立ガイドスリット343が形成され、複数の給電線路347が組立ガイドスリット343に挿入されて載置されることにより、フィーディングコネクティング端子348のフィーディング固定突起341’に対する嵌め組立前の仮組立が完了できる。
【0101】
また、複数のパッチベース部341の背面部には、
図15B、
図16Bおよび
図17Bに示されるように、少なくとも2箇所に後方に延長形成され、リフレクタパネル350を前後に貫通して形成されたフック係止ホール352にフック係止されるフック突起342が形成される。
【0102】
一方、複数のパッチベース部341および複数のパッチタイプの放射素子345は、
図15A、
図16Aおよび
図17Aに示されるように、上下方向および左右方向に並んで配列され、リフレクタパネル350には、少なくとも左右方向に隣接配置された複数のパッチタイプの放射素子345間の信号干渉を低減する干渉防止リブ355がそれぞれ前方に突出して備えられる。ここで、干渉防止リブ355の前端は、少なくとも複数の給電線路347の前端よりも前方に突出する高さを有するように形成されることが好ましい。一方、
図15B、
図16Bおよび
図17Bを参照すれば、複数の給電線路347の中間部分には、RFフィルタ部330とのフィーディング連結のためのフィーディング端子349が備えられ、リフレクタパネル350に形成されたコネクティング連結ホール357を介して相互電気的な連結が行われる。
【0103】
このように、本発明の一実施例によるアンテナ装置1Aにおいて、アンテナ素子部340は、リフレクタパネル350の前面に上下方向に10個のパッチタイプの放射素子345が離隔して配列され、左右方向にはそれぞれ干渉防止リブ355を介して信号干渉が低減されるように配列されかつ、4つの列を有するようにリフレクタパネル350に固定される。
【0104】
そして、各パッチタイプの放射素子345には、上下方向に直線に形成されたエアストリップ(air-strip)構造を有する給電線路347を用いてフィーディング連結されるように備えられる。一般的に、アンテナ装置において、リフレクタ(Reflector)は、アンテナ回路の接地(ground)を提供する役割と共に反射表面としての機能を行う。仮に、二重偏波アンテナの後方放射は主放射方向に反射し、これによって二重偏波アンテナのビーム効率が向上する。本発明の一実施例において、リフレクタパネル350は、二重偏波アンテナの一種で備えられたパッチタイプの放射素子345のビーム効率を向上させるリフレクタ機能を行うことができる。
【0105】
上記のように構成された本発明の一実施例によるアンテナ装置1Aにおいて、アンテナ素子部340は、
図18に示されるように、RFフィルタ部330の前方に積層配置されかつ、アンテナ素子部340に対する給電フィーディングのための構造として、コネクティング端子部338を介して複数の給電線路347のフィーディング端子349との簡明な連結構造を提案する。
【0106】
このように、本発明の一実施例によるアンテナ装置1Aは、メインボード130が備えられた本体モジュール100と、アンテナ素子部340およびRFフィルタ部330が備えられたRFモジュール300との間に中間外気層MSを形成し、中間外気層MSに発熱の激しい増幅部モジュール200を備えて外気放熱が直接行われるように備えることにより、従来に比べて放熱性能が大きく向上する効果を有する。
【0107】
以上、本発明によるアンテナ装置の一実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明した。しかし、本発明の実施例が必ずしも上述した実施例によって限定されるものではなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者による多様な変形および均等な範囲での実施が可能であることは言うまでもない。そのため、本発明の真の権利範囲は後述する特許請求の範囲によって定められる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、アナログ増幅素子が実装された増幅部基板を含む増幅部モジュールを外気に露出するように後方のメインボードが備えられた本体モジュールと前方のRFモジュールとの間に設定された中間外気層に配置することにより、システム駆動熱の前後方への分散放熱を可能にして放熱性能を大きく向上させることができるアンテナ装置を提供する。
【符号の説明】
【0109】
100:本体モジュール 110:後方ハウジング
110S:内部空間 111:後方放熱フィン
115:取っ手部 117:ボルト締結孔
120:前方ハウジング 130:メインボード
140:PSUボード部 150:サージ基板部
200:増幅部モジュール 210S:基板載置空間
220:増幅部ボディ 230:増幅部基板
240:増幅部カバー 300:RFモジュール
310:前方アンテナハウジング 320:レドームパネル
330:RFフィルタ部 340:アンテナ素子部
350:リフレクタパネル 400:フィンガーガードパネル
500:クランピング部 600:外側装着部材
MS:中間外気層 OS:外部空間