IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープディスプレイテクノロジー株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】表示装置およびその駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20241119BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241119BHJP
   H10K 50/88 20230101ALI20241119BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20241119BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20241119BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20241119BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 611E
G09G3/20 611H
G09G3/20 624B
G09G3/20 660U
H10K50/88
H10K59/131
H10K59/12
H10K50/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023550895
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2021036098
(87)【国際公開番号】W WO2023053328
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】田中 耕平
(72)【発明者】
【氏名】佐野 真仁
(72)【発明者】
【氏名】山本 薫
(72)【発明者】
【氏名】米林 諒
(72)【発明者】
【氏名】ヘガノビッチ アドナン
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0125543(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0104196(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0270869(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112509519(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0013509(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3233
G09G 3/20
H10K 50/88
H10K 59/131
H10K 59/12
H10K 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素回路を含む表示部と、
前記複数の画素回路を駆動する駆動回路と、
前記複数の画素回路に複数のデータ信号の電圧をデータ電圧として書き込む1つまたは複数のリフレッシュフレーム期間からなる駆動期間と前記複数の画素回路へのデータ電圧の書き込みを停止する1つまたは複数の非リフレッシュフレーム期間からなる休止期間とが交互に現れるように前記駆動回路を制御する表示制御回路と
を備え、
前記複数の画素回路のそれぞれは、
電流によって駆動される表示素子と、
制御端子と第1導通端子と第2導通端子とを有し、前記表示素子と直列に設けられた駆動トランジスタと、
前記駆動トランジスタの制御端子の電圧を保持するために一端が前記駆動トランジスタの制御端子に接続された保持キャパシタと、
前記保持キャパシタに書き込むべきデータ電圧を受け取る第1導通端子と前記駆動トランジスタの前記第1導通端子に接続された第2導通端子とを有するスイッチング素子としての書込制御トランジスタと、
前記駆動トランジスタの前記第2導通端子と前記制御端子との間に設けられ、オン状態のときに前記駆動トランジスタをダイオード接続状態とするスイッチング素子としての閾値補償トランジスタと、
前記表示素子および前記駆動トランジスタに対し直列に設けられたスイッチング素子としての少なくとも1つの発光制御トランジスタと、
前記駆動トランジスタのヒステリシス特性による閾値電圧のシフトを低減するためのバイアス電圧を前記駆動トランジスタに印加するバイアス印加回路と
を含み、
前記バイアス印加回路は、前記バイアス電圧または前記バイアス電圧を生成するための信号を受け取る第1端子と、前記駆動トランジスタの前記第1導通端子に接続される第2端子とを有し、
前記表示制御回路は、
前記駆動期間において所定の発光デューティで前記表示素子が発光するとともに前記休止期間において所定の発光デューティで前記表示素子が発光するように前記駆動回路に前記発光制御トランジスタがオンおよびオフさせ、前記駆動期間および前記休止期間のいずれにおいても、前記複数の画素回路のそれぞれにおいて前記発光制御トランジスタがオフ状態である期間内に前記バイアス電圧が前記駆動トランジスタの前記第1導通端子に印加されるように、前記駆動回路を制御し、
前記駆動期間では、前記複数の画素回路のそれぞれにおいて、前記発光制御トランジスタがオフ状態である期間内に、前記書込制御トランジスタと前記閾値補償トランジスタとがそれぞれ所定期間だけオン状態となり、前記閾値補償トランジスタがオフ状態に変化してから前記発光制御トランジスタがオン状態に変化するまでの間に設けられたバイアス期間の間、前記バイアス印加回路が、前記第1端子において受け取る電圧または信号に基づき前記バイアス電圧を前記駆動トランジスタの前記第1導通端子に印加するように、前記駆動回路を制御する、表示装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記バイアス電圧を供給するためのバイアス電圧線を更に含み、
前記バイアス印加回路は、前記バイアス印加回路の前記第1および第2端子にそれぞれ接続された第1および第2導通端子を有するスイッチング素子としてのバイアス印加トランジスタを含み、
前記複数の画素回路のそれぞれにおいて、前記バイアス印加回路の前記第1端子は前記バイアス電圧線に接続されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記バイアス印加回路は、前記バイアス印加回路の前記第1および第2端子にそれぞれ接続された第1および第2導通端子を有するスイッチング素子としてのバイアス印加トランジスタを含み、
前記複数の画素回路のそれぞれは、当該画素回路もしくは他の画素回路において前記バイアス印加トランジスタ以外の他のトランジスタの制御端子に与えられる信号のうち前記バイアス電圧に相当する電圧を前記バイアス期間に有する信号、または、前記バイアス電圧に相当する電源電圧が前記バイアス印加トランジスタの前記第1導通端子に与えられるように構成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示部は、複数のデータ信号線、複数の第1走査信号線、複数の発光制御線、複数のバイアス制御線、第1電源線、および、第2電源線を更に含み、
前記駆動回路は、
複数のデータ信号を生成して前記複数のデータ信号線に印加するデータ側駆動回路と、
前記複数の第1走査信号線を選択的に駆動し、かつ、前記複数の発光制御線を選択的に非活性化する走査側駆動回路を含み、
前記複数の画素回路のそれぞれは、前記複数のデータ信号線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の第1走査信号線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の発光制御線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数のバイアス制御線のいずれか1つに対応し、
前記少なくとも1つの発光制御トランジスタは、第1および第2発光制御トランジスタを含み、
前記駆動トランジスタの前記第1導通端子は、
前記書込制御トランジスタを介して対応するデータ信号線に接続され、かつ、
前記第1発光制御トランジスタを介して前記第1電源線に接続され、かつ、
前記バイアス印加トランジスタを介して、対応する第1走査信号線、対応する第2走査信号線に後続する第2走査信号線のうち前記バイアス電圧に相当する電圧を前記バイアス期間に有する第2走査信号線、対応する発光制御線、前記第1電源線、または、前記バイアス電圧線のいずれかに接続され、
前記駆動トランジスタの前記第2導通端子は、前記第2発光制御トランジスタを介して前記表示素子の第1端子に接続され、
前記表示素子の第2端子は前記第2電源線に接続され、
前記第1および第2発光制御トランジスタは、いずれも、対応する発光制御線に接続された制御端子を更に有し、
前記書込制御トランジスタは、対応する第1走査信号線に接続された制御端子を更に有し、
前記バイアス印加トランジスタは、対応するバイアス制御線に接続された制御端子を更に有し、
前記走査側駆動回路は、前記駆動期間では、前記複数のバイアス制御線のそれぞれが、当該バイアス制御線に対応する画素回路についての前記バイアス期間において活性化状態であるように、前記複数のバイアス制御線を駆動する、請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、複数のデータ信号線、複数の第1走査信号線、複数の第2走査信号線、複数の発光制御線、第1電源線、および、第2電源線を更に含み、
前記駆動回路は、
複数のデータ信号を生成して前記複数のデータ信号線に印加するデータ側駆動回路と、
前記複数の第1走査信号線を選択的に駆動するとともに前記複数の第2走査信号線を選択的に駆動し、かつ、前記複数の発光制御線を選択的に非活性化する走査側駆動回路を含み、
前記複数の画素回路のそれぞれは、前記複数のデータ信号線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の第1走査信号線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の第2走査信号線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の発光制御線のいずれか1つに対応し、
前記少なくとも1つの発光制御トランジスタは、いずれも、Pチャネル型であって、対応する発光制御線に接続された制御端子を更に有する第1および第2発光制御トランジスタを含み、
前記書込制御トランジスタは、Pチャネル型であって、対応する第1走査信号線に接続された制御端子を更に有し、
前記閾値補償トランジスタは、Nチャネル型であって、対応する第2走査信号線に接続された制御端子を更に有し、
前記駆動トランジスタは、Pチャネル型であって、
前記第1導通端子を、前記書込制御トランジスタを介して対応するデータ信号線に接続されるとともに、前記第1発光制御トランジスタを介して前記第1電源線に接続され、
前記第2導通端子を、前記第2発光制御トランジスタを介して前記表示素子の第1端子に接続され、
前記表示素子の第2端子は前記第2電源線に接続され、
前記バイアス印加トランジスタの制御端子には、前記複数の第1走査信号線のうち対応する第1走査信号線よりも後に選択状態となる第1走査信号線および前記複数の第2走査信号線のうち対応する第2走査信号線よりも後に選択状態となる第2走査信号線の中から選定された走査信号線であって、前記駆動期間内で前記閾値補償トランジスタがオフ状態に変化してから前記第1発光制御トランジスタがオン状態に変化するまでの間において前記バイアス印加トランジスタをオン状態とする走査信号線が接続されており、
前記バイアス印加トランジスタの前記第1導通端子は、前記第1電源線、対応する第1走査信号線、または、対応する発光制御線のいずれかに接続されている、請求項3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記バイアス印加回路は、前記バイアス印加回路の前記第1および第2端子にそれぞれ接続された第1および第2導通端子を有するスイッチング素子としてのバイアス印加トランジスタを含み、
前記バイアス印加トランジスタは、ダイオード接続形態に構成されており、
前記複数の画素回路のそれぞれは、当該画素回路もしくは他の画素回路において前記バイアス印加トランジスタ以外の他のトランジスタの制御端子に与えられる信号のうち、前記駆動期間内では前記閾値補償トランジスタがオフ状態に変化してから前記発光制御トランジスタがオン状態に変化するまでの間においてのみ前記バイアス電圧に相当する電圧を有する信号が、前記バイアス印加トランジスタの前記第1導通端子に与えられるように構成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示部は、複数のデータ信号線、複数の第1走査信号線、複数の第2走査信号線、複数の発光制御線、第1電源線、および、第2電源線を更に含み、
前記駆動回路は、
複数のデータ信号を生成して前記複数のデータ信号線に印加するデータ側駆動回路と、
前記複数の第1走査信号線を選択的に駆動するとともに前記複数の第2走査信号線を選択的に駆動し、かつ、前記複数の発光制御線を選択的に非活性化する走査側駆動回路を含み、
前記複数の画素回路のそれぞれは、前記複数のデータ信号線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の第1走査信号線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の第2走査信号線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の発光制御線のいずれか1つに対応し、
前記少なくとも1つの発光制御トランジスタは、いずれも、対応する発光制御線に接続された制御端子を更に有する第1および第2発光制御トランジスタを含み、
前記書込制御トランジスタは、対応する第1走査信号線に接続された制御端子を更に有し、
前記閾値補償トランジスタは、対応する第2走査信号線に接続された制御端子を更に有し、
前記駆動トランジスタの前記第1導通端子は、
前記書込制御トランジスタを介して対応するデータ信号線に接続され、かつ、
前記第1発光制御トランジスタを介して前記第1電源線に接続され、かつ、
前記バイアス印加トランジスタを介して所定の後続走査信号線に接続されており、
前記駆動トランジスタの前記第2導通端子は、前記第2発光制御トランジスタを介して前記表示素子の第1端子に接続されており、
前記表示素子の第2端子は前記第2電源線に接続されており、
前記所定の後続走査信号線は、前記複数の第1走査信号線のうち対応する第1走査信号線よりも後に選択状態となる第1走査信号線および前記複数の第2走査信号線のうち対応する第2走査信号線よりも後に選択状態となる第2走査信号線の中から選定された走査信号線であって、前記駆動期間内では前記閾値補償トランジスタがオフ状態に変化してから前記第1発光制御トランジスタがオン状態に変化するまでの間においてのみ前記バイアス電圧に相当する電圧を有する走査信号線である、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記バイアス印加トランジスタは、Pチャネル型であって、前記第2導通端子を制御端子に接続することによりダイオード接続形態に構成されている、請求項6または7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記バイアス印加トランジスタは、Nチャネル型であって、前記第1導通端子を制御端子に接続することによりダイオード接続形態に構成されている、請求項6または7に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示部は初期化電圧線を更に含み、
前記複数の画素回路のそれぞれは、前記表示素子の第1端子に接続された第1導通端子と前記初期化電圧線に接続された第2導通端子とを有するスイッチング素子としての表示素子初期化トランジスタを更に含み、
前記少なくとも1つの発光制御トランジスタは、
前記第1電源線と前記駆動トランジスタとの間に接続された第1発光制御トランジスタと、
前記駆動トランジスタとの前記表示素子との間に接続された第2発光制御トランジスタとを含み、
前記駆動回路は、前記保持キャパシタの保持電圧を初期化するときには、前記閾値補償トランジスタ、前記第2発光制御トランジスタ、および前記表示素子初期化トランジスタをオン状態に制御するとともに、前記書込制御トランジスタおよび前記第1発光制御トランジスタをオフ状態に制御する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記バイアス印加回路は、前記バイアス印加回路の前記第1および第2端子にそれぞれ接続された第1および第2導通端子を有するスイッチング素子としてのバイアス印加トランジスタを含み、
前記少なくとも1つの発光制御トランジスタは、前記第1電源線と前記駆動トランジスタとの間に接続された第1発光制御トランジスタを前記バイアス印加トランジスタとして含むとともに、前記駆動トランジスタとの前記表示素子との間に接続された第2発光制御トランジスタを含み、
前記駆動回路は、前記駆動期間では、前記第1発光制御トランジスタが、発光デューティに拘わらず、前記保持キャパシタへのデータ電圧の書き込みが終了してから前記第2発光制御トランジスタがオン状態へと変化するまでの間において所定期間はオン状態であることにより、前記バイアス印加トランジスタとして機能するように、前記複数の画素回路を駆動する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
前記表示部は、複数のデータ信号線、複数の第1走査信号線、複数の電源供給制御線、複数の発光制御線、第1電源線、および、第2電源線を更に含み、
前記駆動回路は、
複数のデータ信号を生成して前記複数のデータ信号線に印加するデータ側駆動回路と、
前記複数の第1走査信号線を選択的に駆動し、かつ、前記複数の発光制御線を所定の発光デューティに応じて選択的に非活性化するとともに前記複数の電源供給制御線を選択的に非活性化する走査側駆動回路を含み、
前記複数の画素回路のそれぞれは、前記複数のデータ信号線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の第1走査信号線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の発光制御線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の電源供給制御線のいずれか1つに対応し、
前記駆動トランジスタは、Pチャネル型であって、
前記第1導通端子を、前記書込制御トランジスタを介して対応するデータ信号線に接続されるとともに、前記第1発光制御トランジスタを介して前記第1電源線に接続され、
前記第2導通端子を、前記第2発光制御トランジスタを介して前記表示素子の第1端子に接続されており、
前記表示素子の第2端子は前記第2電源線に接続されており、
前記書込制御トランジスタは、対応する第1走査信号線に接続された制御端子を更に有し、
前記第1発光制御トランジスタは、対応する電源供給制御線に接続された制御端子を更に有し、
前記第2発光制御トランジスタは、対応する発光制御線に接続された制御端子を更に有し、
前記走査側駆動回路は、前記駆動期間では、前記複数の電源供給制御線のそれぞれが、当該電源供給制御線に対応する画素回路に対応する発光制御線の非活性化状態の期間内で非活性化状態となり、当該対応する発光制御線の非活性化状態の期間において前記保持キャパシタにデータ電圧が書き込まれる間は非活性化状態であり、前記保持キャパシタへの当該データ電圧の書き込み後で前記対応する発光制御線が活性化状態に変化する前に活性化状態となるように、前記複数の電源供給制御線を駆動する、請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記表示部は、複数のデータ信号線、複数の第1走査信号線、複数の発光制御線、第1電源線、および、第2電源線を更に含み、
前記駆動回路は、
複数のデータ信号を生成して前記複数のデータ信号線に印加するデータ側駆動回路と、
前記複数の第1走査信号線を選択的に駆動し、かつ、前記複数の発光制御線を所定の発光デューティに応じて選択的に非活性化する走査側駆動回路を含み、
前記複数の画素回路のそれぞれは、前記複数のデータ信号線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の第1走査信号線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の発光制御線のいずれか1つに対応し、
前記駆動トランジスタは、Pチャネル型であって、
前記第1導通端子を、前記書込制御トランジスタを介して対応するデータ信号線に接続されるとともに、前記第1発光制御トランジスタを介して前記第1電源線に接続され、
前記第2導通端子を、前記第2発光制御トランジスタを介して前記表示素子の第1端子に接続されており、
前記表示素子の第2端子は前記第2電源線に接続されており、
前記書込制御トランジスタは、対応する第1走査信号線に接続された制御端子を更に有し、
前記第1発光制御トランジスタは、所定の後続発光制御線に接続された制御端子を更に有し、
前記第2発光制御トランジスタは、対応する発光制御線に接続された制御端子を更に有し、
前記走査側駆動回路は、前記駆動期間では、前記複数の発光制御線のそれぞれが、当該発光制御線に対応する画素回路につき前記表示素子の非発光期間において前記保持キャパシタへのデータ電圧の書き込み後に設けられたバイアス用アクティブ期間だけ活性化状態であるように、前記複数の発光制御線を駆動し、
前記所定の後続発光制御線は、前記複数の画素回路のそれぞれにつき、前記複数の発光制御線のうち対応する発光制御線よりも後に非活性化される発光制御線の中から、前記表示素子の非発光期間内で前記対応する発光制御線が活性化状態となるバイアス用アクティブ期間と当該非発光期間内で前記所定の後続発光制御線が活性化状態となるバイアス用アクティブ期間とが重ならないように選定された発光制御線である、請求項11に記載の表示装置。
【請求項14】
前記バイアス印加回路は、バイアス印加キャパシタを含み、前記第1端子を、当該バイアス印加キャパシタを介して前記第2端子に接続されており、
前記複数の画素回路のそれぞれは、当該画素回路以外の他の画素回路におけるトランジスタの制御端子に与えられる信号のうち、前記駆動期間内では前記閾値補償トランジスタがオフ状態に変化してから前記発光制御トランジスタがオン状態に変化するまでの間に、前記駆動トランジスタの前記第1導通端子の電圧を前記駆動トランジスタがオンする方向に前記バイアス印加キャパシタを介して変化させる得る信号が、前記バイアス印加回路の前記第1端子に与えられるように構成されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項15】
前記表示部は、複数のデータ信号線、複数の第1走査信号線、複数の発光制御線、第1電源線、および、第2電源線を更に含み、
前記駆動回路は、
複数のデータ信号を生成して前記複数のデータ信号線に印加するデータ側駆動回路と、
前記複数の第1走査信号線を選択的に駆動し、かつ、前記複数の発光制御線を選択的に非活性化する走査側駆動回路を含み、
前記複数の画素回路のそれぞれは、前記複数のデータ信号線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の第1走査信号線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の発光制御線のいずれか1つに対応し、
前記少なくとも1つの発光制御トランジスタは、いずれも、対応する発光制御線に接続された制御端子を更に有する第1および第2発光制御トランジスタを含み、
前記書込制御トランジスタは、対応する第1走査信号線に接続された制御端子を更に有し、
前記駆動トランジスタの前記第1導通端子は、
前記書込制御トランジスタを介して対応するデータ信号線に接続され、かつ、
前記第1発光制御トランジスタを介して前記第1電源線に接続され、かつ、
前記バイアス印加キャパシタを介して所定の後続発光制御線に接続されており、
前記駆動トランジスタの前記第2導通端子は、前記第2発光制御トランジスタを介して前記表示素子の第1端子に接続されており、
前記表示素子の第2端子は前記第2電源線に接続されており、
前記所定の後続発光制御線は、前記複数の画素回路のそれぞれにつき、前記複数の発光制御線のうち対応する発光制御線よりも後に非活性化状態となる発光制御線の中から選定された発光制御線であって、前記駆動期間内では前記閾値補償トランジスタがオフ状態に変化してから前記第1発光制御トランジスタがオン状態に変化するまでの間に、前記駆動トランジスタの前記第1導通端子の電圧を前記駆動トランジスタがオンする方向に前記バイアス印加キャパシタを介して変化させるように電圧が変化する発光制御線である、請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記バイアス印加回路は、バイアス印加キャパシタを含み、前記第1端子を、当該バイアス印加キャパシタを介して前記第2端子に接続されており、
前記複数の画素回路のそれぞれは、当該画素回路における前記書込制御トランジスタの制御端子に与えられる第1走査信号が前記バイアス印加回路の前記第1端子に与えられるように構成されており、
前記駆動回路は、前記駆動期間では、前記複数の画素回路のそれぞれにおける前記書込制御トランジスタに与えられる第1走査信号が、当該画素回路において、前記保持キャパシタへのデータ電圧の書込期間でアクティブであるとともに、当該書込期間後で前記閾値補償トランジスタがオフ状態である期間においてアクティブであり、前記発光制御トランジスタがオン状態に変化する前に当該第1走査信号が非アクティブへと変化することにより前記駆動トランジスタの前記第1導通端子の電圧が前記駆動トランジスタのオンする方向に変化するように、当該第1走査信号を生成する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項17】
前記表示部は、複数のデータ信号線、複数の第1走査信号線、複数の発光制御線、第1電源線、および、第2電源線を更に含み、
前記駆動回路は、
複数のデータ信号を生成して前記複数のデータ信号線に印加するデータ側駆動回路と、
前記複数の第1走査信号線を選択的に駆動し、かつ、前記複数の発光制御線を選択的に非活性化する走査側駆動回路を含み、
前記複数の画素回路のそれぞれは、前記複数のデータ信号線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の第1走査信号線のいずれか1つに対応し、かつ、前記複数の発光制御線のいずれか1つに対応し、
前記少なくとも1つの発光制御トランジスタは、いずれも、対応する発光制御線に接続された制御端子を更に有する第1および第2発光制御トランジスタを含み、
前記書込制御トランジスタは、対応する第1走査信号線に接続された制御端子を更に有し、
前記駆動トランジスタの前記第1導通端子は、
前記書込制御トランジスタを介して対応するデータ信号線に接続され、かつ、
前記第1発光制御トランジスタを介して前記第1電源線に接続され、かつ、
前記バイアス印加キャパシタを介して前記対応する第1走査信号線に接続されており、
前記駆動トランジスタの前記第2導通端子は、前記第2発光制御トランジスタを介して前記表示素子の第1端子に接続されており、
前記表示素子の第2端子は前記第2電源線に接続されており、
前記複数の画素回路のそれぞれにおいて、前記バイアス印加回路の前記第1端子には対応する第1走査信号線が接続されており、
前記走査側駆動回路は、前記複数の第1走査信号線のそれぞれが、当該第1走査信号線に対応する画素回路における前記保持キャパシタへのデータ電圧の書込期間で選択状態であるとともに、当該書込期間後で前記閾値補償トランジスタがオフ状態である期間において選択状態であり、対応する発光制御信号が活性化状態に変化する前に当該第1走査信号線が非選択状態へと変化することにより前記駆動トランジスタの前記第1導通端子の電圧が前記駆動トランジスタのオンする方向に変化するように、前記複数の第1走査信号線を駆動する、請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
電流によって駆動される表示素子を用いた表示装置の駆動方法であって、
前記表示装置は、複数の画素回路を含む表示部を備え、
前記複数の画素回路のそれぞれは、
電流によって駆動される表示素子と、
制御端子と第1導通端子と第2導通端子とを有し、前記表示素子と直列に設けられた駆動トランジスタと、
前記駆動トランジスタの制御端子の電圧を保持するために一端が前記駆動トランジスタの制御端子に接続された保持キャパシタと、
前記保持キャパシタに書き込むべきデータ電圧を受け取る第1導通端子と前記駆動トランジスタの前記第1導通端子に接続された第2導通端子とを有するスイッチング素子としての書込制御トランジスタと、
前記駆動トランジスタの前記第2導通端子と前記制御端子との間に設けられ、オン状態のときに前記駆動トランジスタをダイオード接続状態とするスイッチング素子としての閾値補償トランジスタと、
前記表示素子および前記駆動トランジスタに対し直列に設けられたスイッチング素子としての少なくとも1つの発光制御トランジスタと、
前記駆動トランジスタのヒステリシス特性による閾値電圧のシフトを低減するためのバイアス電圧を前記駆動トランジスタの前記第1導通端子に印加するバイアス印加回路と
を含み、
前記駆動方法は、前記複数の画素回路に複数のデータ信号の電圧をデータ電圧として書き込む1つまたは複数のリフレッシュフレーム期間からなる駆動期間と前記複数の画素回路へのデータ電圧の書き込みを停止する1つまたは複数の非リフレッシュフレーム期間からなる休止期間とが交互に現れるように、前記複数の画素回路を駆動する休止駆動ステップを備え、
前記休止駆動ステップは、
前記駆動期間において所定の発光デューティで前記表示素子が発光するとともに前記休止期間において所定の発光デューティで前記表示素子が発光するように前記発光制御トランジスタをオンおよびオフさせる発光制御ステップと、
前記駆動期間および前記休止期間のいずれにおいても、前記複数の画素回路のそれぞれにおいて前記発光制御トランジスタがオフ状態である期間内に前記バイアス電圧が前記駆動トランジスタの前記第1導通端子に印加されるように、前記複数の画素回路を駆動するバイアス印加ステップと
を含み、
前記バイアス印加ステップは、前記駆動期間では、前記複数の画素回路のそれぞれにおいて、前記発光制御トランジスタがオフ状態である期間内に、前記書込制御トランジスタと前記閾値補償トランジスタとがそれぞれ所定期間だけオン状態となり、前記閾値補償トランジスタがオフ状態に変化してから前記発光制御トランジスタがオン状態に変化するまでの間に設けられたバイアス期間の間、前記バイアス印加回路が前記バイアス電圧を前記駆動トランジスタの前記第1導通端子に印加するように、前記複数の画素回路を駆動する駆動期間バイアス印加ステップを含む、駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、より詳しくは、有機EL(Electro Luminescence)素子等の電流で駆動される表示素子を備えた電流駆動型の表示装置、および、その駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL素子(有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode: OLED)とも呼ばれる)を含む画素回路を備えた有機EL表示装置が実用化されている。有機EL表示装置の画素回路は、有機EL素子に加えて、駆動トランジスタや、書込制御トランジスタ、保持キャパシタ等を含んでいる。駆動トランジスタや書込制御トランジスタには、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)が使用され、駆動トランジスタの制御端子としてのゲート端子に保持キャパシタが接続され、この保持キャパシタには、駆動回路からデータ信号線を介して、表示すべき画像を表す映像信号に応じた電圧(より詳しくは、当該画素回路で形成すべき画素の階調値を示す電圧)がデータ電圧として与えられる。有機EL素子は、それに流れる電流に応じた輝度で発光する自発光型表示素子である。駆動トランジスタは、有機EL素子と直列に設けられ、保持キャパシタに保持される電圧にしたがって、有機EL素子に流れる電流を制御する。
【0003】
有機EL素子と駆動トランジスタの特性には、ばらつきや変動が発生する。このため、有機EL表示装置において高画質表示を行うためには、これらの素子の特性のばらつきや変動を補償する必要がある。有機EL表示装置については、素子の特性の補償を画素回路の内部で行う方法と、画素回路の外部で行う方法とが知られている。前者の方法に対応する画素回路として、駆動トランジスタのゲート端子の電圧すなわち保持キャパシタに保持される電圧の初期化を行った後、ダイオード接続状態の駆動トランジスタを介してデータ電圧で保持キャパシタを充電するように構成された画素回路が知られている。このような画素回路では、その内部で駆動トランジスタにおける閾値電圧のばらつきや変動が補償される(以下、このような閾値電圧のばらつきや変動の補償を「閾値補償」といい、このように画素回路内で閾値補償を行う方式を「内部補償方式」という)。
【0004】
一方、低消費電力の表示装置として、休止駆動を行う表示装置が知られている。休止駆動とは、同じ画像を続けて表示するときに駆動期間(リフレッシュ期間)と休止期間(非リフレッシュ期間)を設け、駆動期間では駆動回路を動作させ、休止期間では駆動回路の動作を停止させる駆動方法であり、「間欠駆動」または「低周波駆動」とも呼ばれる。休止駆動は、画素回路内のトランジスタのオフリーク電流が小さい場合に適用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2019/0057646号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有機EL表示装置において休止駆動を行う場合、各画素回路における有機EL素子は、駆動期間では、フレーム期間毎に設けられる非発光期間に発光制御トランジスタにより消灯状態とされるが、休止期間では、駆動回路の動作が停止し、その前の駆動期間において書き込まれたデータ電圧に応じた輝度で発光を続ける。一般に、休止期間は駆動期間に比べ格段に長く(例えば、駆動期間は1または数フレーム期間から構成され、休止期間は数十フレーム期間から構成される)、休止駆動方式の有機EL表示装置では動作中に、そのような駆動期間と休止期間とが交互に現れる。このため、このような休止駆動を行うと、駆動期間における有機EL素子の消灯がフリッカとして視認されることになる。
【0007】
これに対し特許文献1(米国特許出願公開第2019/0057646号明細書)には、休止駆動(低周波駆動)を行う場合に視認されるフリッカを解消すべく、駆動期間(データリフレッシュ期間T_refrech)での有機EL素子(発光ダイオード304)の消灯による輝度低下に加えて、休止期間(拡張ブランキング期間T_blank)においても適切な頻度で輝度低下が生じるように構成された画素回路とその駆動方法が記載されている(段落[0049]~[0052]、図8A,8B,9A,9B参照)。
【0008】
しかし、休止期間においても適切な頻度で輝度低下が生じるように構成されていても(以下、このような構成を「周期的消灯構成」という)、画素回路における駆動トランジスタとしての薄膜トランジスタはヒステリシス特性を有することから、低周波駆動(休止駆動)において依然としてフリッカが視認される。すなわち、この周期的消灯構成では、駆動トランジスタとしての薄膜トランジスタに加えられる電圧ストレスが駆動期間と休止期間とで異なることから、その駆動トランジスタのヒステリシス特性のために駆動期間と休止期間とで消灯波形が若干異なり、これによりフリッカが視認される。
【0009】
これに対し上記の特許文献1には、駆動期間(データリフレッシュ期間T_refrech)のみならず休止期間(拡張ブランキング期間T_blank)においても、駆動トランジスタに意図的にバイアスストレス電圧(以下「オンバイアスストレス電圧」または単に「バイアス電圧」という)を印加して、ヒステリシス特性による(有機EL素子の輝度への)影響をバランスさせることが記載されている(同文献の図5図10、段落[0053]参照)。このようにすれば、低周波駆動においても、駆動トランジスタのヒステリシス特性に起因するフリッカの発生を抑制することができる。
【0010】
しかし、駆動期間および休止期間の双方においてオンバイアスストレス電圧の印加(以下「オンバイアス印加」ともいう)を行っても、非発光期間に対する発光期間の比である発光デューティが小さい場合(低輝度設定の場合)には、フリッカを十分に抑制できないことが、本願発明者により確認されている。
【0011】
そこで、有機EL表示装置のような電流駆動型の表示装置において、発光デューティを低く設定して休止駆動を行ってもフリッカの視認されない良好な表示を行えるようにすることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の幾つかの実施形態に係る表示装置は、
複数の画素回路を含む表示部と、
前記複数の画素回路を駆動する駆動回路と、
前記複数の画素回路に複数のデータ信号の電圧をデータ電圧として書き込む1つまたは複数のリフレッシュフレーム期間からなる駆動期間と前記複数の画素回路へのデータ電圧の書き込みを停止する1つまたは複数の非リフレッシュフレーム期間からなる休止期間とが交互に現れるように前記駆動回路を制御する表示制御回路と
を備え、
前記複数の画素回路のそれぞれは、
電流によって駆動される表示素子と、
制御端子と第1導通端子と第2導通端子とを有し、前記表示素子と直列に設けられた駆動トランジスタと、
前記駆動トランジスタの制御端子の電圧を保持するために一端が前記駆動トランジスタの制御端子に接続された保持キャパシタと、
前記保持キャパシタに書き込むべきデータ電圧を受け取る第1導通端子と前記駆動トランジスタの前記第1導通端子に接続された第2導通端子とを有するスイッチング素子としての書込制御トランジスタと、
前記駆動トランジスタの前記第2導通端子と前記制御端子との間に設けられ、オン状態のときに前記駆動トランジスタをダイオード接続状態とするスイッチング素子としての閾値補償トランジスタと、
前記表示素子および前記駆動トランジスタに対し直列に設けられたスイッチング素子としての少なくとも1つの発光制御トランジスタと、
前記駆動トランジスタのヒステリシス特性による閾値電圧のシフトを低減するためのバイアス電圧を前記駆動トランジスタに印加するバイアス印加回路と
を含み、
前記バイアス印加回路は、前記バイアス電圧または前記バイアス電圧を生成するための信号を受け取る第1端子と、前記駆動トランジスタの前記第1導通端子に接続され第2端子とを有し、
前記表示制御回路は、
前記駆動期間において所定の発光デューティで前記表示素子が発光するとともに前記休止期間において所定の発光デューティで前記表示素子が発光するように前記駆動回路に前記発光制御トランジスタをオンおよびオフさせ、前記駆動期間および前記休止期間のいずれにおいても、前記複数の画素回路のそれぞれにおいて前記発光制御トランジスタがオフ状態である期間内に前記バイアス電圧が前記駆動トランジスタの前記第1導通端子に印加されるように、前記駆動回路を制御し、
前記駆動期間では、前記複数の画素回路のそれぞれにおいて、前記発光制御トランジスタがオフ状態である期間内に、前記書込制御トランジスタと前記閾値補償トランジスタとがそれぞれ所定期間だけオン状態となり、前記閾値補償トランジスタがオフ状態に変化してから前記発光制御トランジスタがオン状態に変化するまでの間に設けられたバイアス期間の間、前記バイアス印加回路が、前記第1端子において受け取る電圧または信号に基づき前記バイアス電圧を前記駆動トランジスタの前記第1導通端子に印加するように、前記駆動回路を制御する。
【0013】
本発明の他の幾つかの実施形態に係る駆動方法は、電流によって駆動される表示素子を用いた表示装置の駆動方法であって、
前記表示装置は、複数の画素回路を含む表示部を備え、
前記複数の画素回路のそれぞれは、
電流によって駆動される表示素子と、
制御端子と第1導通端子と第2導通端子とを有し、前記表示素子と直列に設けられた駆動トランジスタと、
前記駆動トランジスタの制御端子の電圧を保持するために一端が前記駆動トランジスタの制御端子に接続された保持キャパシタと、
前記保持キャパシタに書き込むべきデータ電圧を受け取る第1導通端子と前記駆動トランジスタの前記第1導通端子に接続された第2導通端子とを有するスイッチング素子としての書込制御トランジスタと、
前記駆動トランジスタの前記第2導通端子と前記制御端子との間に設けられ、オン状態のときに前記駆動トランジスタをダイオード接続状態とするスイッチング素子としての閾値補償トランジスタと、
前記表示素子および前記駆動トランジスタに対し直列に設けられたスイッチング素子としての少なくとも1つの発光制御トランジスタと、
前記駆動トランジスタのヒステリシス特性による閾値電圧のシフトを低減するためのバイアス電圧を前記駆動トランジスタの前記第1導通端子に印加するバイアス印加回路と
を含み、
前記駆動方法は、前記複数の画素回路に複数のデータ信号の電圧をデータ電圧として書き込む1つまたは複数のリフレッシュフレーム期間からなる駆動期間と前記複数の画素回路へのデータ電圧の書き込みを停止する1つまたは複数の非リフレッシュフレーム期間からなる休止期間とが交互に現れるように、前記複数の画素回路を駆動する休止駆動ステップを備え、
前記休止駆動ステップは、
前記駆動期間において所定の発光デューティで前記表示素子が発光するとともに前記休止期間において所定の発光デューティで前記表示素子が発光するように前記発光制御トランジスタをオンおよびオフさせる発光制御ステップと、
前記駆動期間および前記休止期間のいずれにおいても、前記複数の画素回路のそれぞれにおいて前記発光制御トランジスタがオフ状態である期間内に前記バイアス電圧が前記駆動トランジスタの前記第1導通端子に印加されるように、前記複数の画素回路を駆動するバイアス印加ステップと
を含み、
前記バイアス印加ステップは、前記駆動期間では、前記複数の画素回路のそれぞれにおいて、前記発光制御トランジスタがオフ状態である期間内に、前記書込制御トランジスタと前記閾値補償トランジスタとがそれぞれ所定期間だけオン状態となり、前記閾値補償トランジスタがオフ状態に変化してから前記発光制御トランジスタがオン状態に変化するまでの間に設けられたバイアス期間の間、前記バイアス印加回路が前記バイアス電圧を前記駆動トランジスタの前記第1導通端子に印加するように、前記複数の画素回路を駆動する駆動期間バイアス印加ステップを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の上記幾つかの実施形態によれば、電流によって駆動される表示素子、駆動トランジスタ、書込制御トランジスタ、閾値補償トランジスタ、発光制御トランジスタ、および、保持キャパシタを含む画素回路を備えた内部補償方式の表示装置において、各画素回路は、駆動トランジスタのヒステリシス特性による閾値電圧のシフトを低減するためのバイアス電圧を駆動トランジスタの第1導通端子に印加するためのバイアス印加回路を更に含んでいる。このような表示装置において、リフレッシュフレーム期間からなる駆動期間と非リフレッシュフレーム期間からなる休止期間とが交互に現れる休止駆動が行われる場合に、駆動期間において所定の発光デューティで表示素子が発光するとともに休止期間において所定の発光デューティで表示素子が発光し、駆動期間と休止期間のいずれにおいても、各画素回路において、発光制御トランジスタがオフ状態である期間内(非発光期間内)に上記バイアス電圧が駆動トランジスタの第1導通端子に印加されるように、各画素回路が駆動される。このような各画素回路の駆動において、駆動期間では、各画素回路につき、発光制御トランジスタがオフ状態である期間内に、書込制御トランジスタと閾値補償トランジスタとがそれぞれ所定期間だけオン状態となることで、閾値補償を伴うデータ電圧の書き込みが行われ、その後、閾値補償トランジスタがオフ状態に変化してから発光制御トランジスタがオン状態に変化するまでの間に設けられたバイアス期間の間、上記バイアス電圧が駆動トランジスタの第1導通端子に印加される。これにより、内部補償方式の表示装置において低い発光デューティで休止駆動を行う場合であっても、リフレッシュフレーム期間と非リフレッシュフレーム期間の間での駆動トランジスタのストレス状態の差異が低減され、その結果、リフレッシュフレーム期間と非リフレッシュフレーム期間の間での輝度差も低減され、フリッカが視認されない。すなわち、上記幾つかの実施形態によれば、休止駆動を行う場合において発光デューティに依存することのないフリッカ抑制効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】有機EL表示装置における画素回路の一例を示す回路図である。
図2図1に示す画素回路におけるリフレッシュ期間でのオンバイアス電圧の印加を説明するためのタイミングチャートである。
図3図1に示す画素回路における非リフレッシュ期間でのオンバイアス電圧の印加を説明するためのタイミングチャートである。
図4】発光デューティが低い場合に図1に示す画素回路において駆動トランジスタのヒステリシス特性により生じる問題を説明するための波形図(A,B)である。
図5】発光デューティが低い場合に図1に示す画素回路において駆動トランジスタのヒステリシス特性により生じる問題の解決策を説明するための波形図(A,B)である。
図6】第1の実施形態に係る表示装置の全体構成を示すブロック図である。
図7】上記第1の実施形態に係る表示装置の通常駆動モードにおける概略動作を説明するためのタイミングチャートである。
図8】上記第1の実施形態に係る表示装置の休止駆動モードにおける概略動作を説明するためのタイミングチャートである。
図9】上記第1の実施形態における画素回路の構成を示す回路図である。
図10】上記第1の実施形態における画素回路の休止駆動モードでの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図11】第2の実施形態に係る表示装置における画素回路の構成を示す回路図である。
図12】上記第2の実施形態における画素回路の休止駆動モードでの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図13】第3の実施形態に係る表示装置における画素回路の第1構成例を示す回路図である。
図14】上記第3の実施形態における上記第1構成例による画素回路の休止駆動モードでの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図15】上記第3の実施形態に係る表示装置における画素回路の第2構成例を示す回路図である。
図16】第4の実施形態における画素回路の幾つかの構成例を説明するための回路図である(A~D)。
図17】第5の実施形態に係る表示装置における画素回路の構成を示す回路図である。
図18】上記第5の実施形態における画素回路の休止駆動モードでの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図19】第6の実施形態に係る表示装置における画素回路の構成を示す回路図である。
図20】上記第6の実施形態における画素回路の休止駆動モードでの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図21】第7の実施形態に係る表示装置における画素回路の構成を示す回路図である。
図22】上記第7の実施形態における画素回路の休止駆動モードでの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図23】第8の実施形態に係る表示装置における画素回路の構成を示す回路図である。
図24】上記第8の実施形態における画素回路の休止駆動モードでの動作を説明するためのタイミングチャートである。
図25】第9の実施形態に係る表示装置における画素回路の構成を示す回路図である。
図26】上記第9の実施形態における画素回路の休止駆動モードでの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<0.基礎検討>
実施形態を説明する前に、上記課題を解決すべく本願発明者によりなされた基礎検討について説明する。
【0017】
内部補償方式の有機EL表示装置(OLED表示装置)の画素回路として、例えば図1に示すように構成された画素回路が知られている(特許文献1参照)。この画素回路は、有機EL素子(OLED)304と、Nチャネル型の薄膜トランジスタTr1~Tr7(以下、薄膜トランジスタTrkを「第kトランジスタ」という)(k=1~7)と、保持キャパシタCstと備えており、この画素回路には、データ電圧に対応する電圧Vdataと、走査制御信号Scan1,Scan2と、発光制御信号EM1,EM2と、初期化電圧Viniと、ハイレベル電源電圧VDDELと、ローレベル電源電圧VSSELとが図1に示すように与えられる。なお、この画素回路において、トランジスタTr2が、発光期間において、保持キャパシタCstの保持電圧に応じて有機EL素子304に流れる電流を制御する駆動トランジスタである。
【0018】
図2は、この画素回路に与えられる上記の走査制御信号Scan1,Scan2および発光制御信号EM1,EM2のリフレッシュフレーム期間での変化を示すタイミングチャートである。このような信号変化により、この画素回路はリフレッシュフレーム期間において下記のように動作する。以下、図2を参照しつつ、この画素回路のリフレッシュフレーム期間での動作を説明する。
【0019】
時刻t1において、トランジスタTr5がオン状態からオフ状態へと変化することで非発光期間が開始され、非発光期間は後述の時刻t5まで継続する。この非発光期間t1~t5のうち時刻t1~時刻t2の期間である初期化期間t1~t2では、トランジスタTr3,Tr4,Tr6はオン状態で、トランジスタTr1,Tr5はオフ状態である。これにより、保持キャパシタCstの一端(Node2)および他端には、ハイレベル電源電圧VDDELおよび初期化電圧Viniがそれぞれ与えられ、時刻t2において保持キャパシタCstに電圧VDDEL-Viniが保持されている。
【0020】
時刻t2において、トランジスタTr3,Tr4,Tr6がオフ状態へと変化し、トランジスタTr1がオン状態へと変化する。時刻t2~時刻t3の期間であるオンバイアス期間では、トランジスタTr3,Tr4,Tr6がオフ状態に維持され、電圧Vdataを伝達する信号線の電圧がオンバイアス電圧VobとしてトランジスタTr1を介して駆動トランジスタTr2のソース端子(Node3)に印加される。これにより、オンバイアス期間t2~t3では、保持キャパシタCstの一端(Node2)の電圧とオンバイアス電圧Vob(トランジスタTr1を介してNode3に与えられる電圧)との差に相当する電圧ストレスが駆動トランジスタTr2のゲート・ソース間に印加される。
【0021】
時刻t3において、トランジスタTr3がオン状態となることで、駆動トランジスタTr2はダイオード接続状態となり、電圧VdataがトランジスタTr1およびダイオード接続状態の駆動トランジスタTr2を介して保持キャパシタCstの一端に与えられる。この状態は、時刻t3~時刻t4の期間である補償・書込期間t3~t4の間、継続する。時刻t4において、保持キャパシタCstには、Vdata+Vth-Viniの電圧が保持されており、駆動トランジスタTr2のゲート・ソース間電圧Vgsは、駆動トランジスタTr2の閾値電圧Vth(>0)に等しい。
【0022】
時刻t4において、トランジスタTr1,Tr3,Tr6がオフ状態へと変化し、以後、オフ状態に維持される。一方、トランジスタT4,T5は依然としてオフ状態のままであり、時刻t5までオフ状態に維持される。これにより、時刻t4~時刻t5の期間では、駆動トランジスタTr2のゲート・ソース間電圧Vgsは、駆動トランジスタTr2の閾値電圧Vthに等しい状態に維持される。
【0023】
時刻t5において、トランジスタTr4,Tr5がオン状態へと変化する。時刻t5以降では、トランジスタTr4,Tr5がオン状態に維持され、トランジスタTr1,Tr3,Tr6はオフ状態のままであり、保持キャパシタCstに保持されている電圧に応じた電流が有機EL素子304に流れ、有機EL素子304がその電流に応じた輝度で発光する。
【0024】
図3は、この画素回路に与えられる上記の走査制御信号Scan1,Scan2および発光制御信号EM1,EM2の非リフレッシュフレーム期間での変化を示すタイミングチャートである。このような信号変化により、この画素回路は非リフレッシュフレーム期間において下記のように動作する。以下、図3を参照しつつ、この画素回路の非リフレッシュフレーム期間での動作を説明する。
【0025】
非リフレッシュフレーム期間においても、リフレッシュフレーム期間と同様に非発光期間が設けられている。図3に示す例では、時刻t0において、トランジスタTr5がオン状態からオフ状態へと変化することで非発光期間が開始され、非発光期間は後述の時刻t4まで継続する。この非発光期間t0~t4のうち時刻t1~時刻t2の期間であるオンバイアス期間t1~t2では、トランジスタTr3,Tr4,Tr6がオフ状態に維持され、電圧Vdataを伝達する信号線の電圧がオンバイアス電圧Vobとして駆動トランジスタTr2のソース端子(Node3)に印加される。これにより、オンバイアス期間t2~t3では、保持キャパシタCstの一端(Node2)の電圧とオンバイアス電圧Vob(トランジスタTr1を解してNode3に与えられる電圧)との差に相当する電圧ストレスが駆動トランジスタTr2のゲート・ソース間に印加される。
【0026】
時刻t2において、トランジスタTr5がオン状態へと変化し、電圧Vdataを伝達する信号線の電圧がアノード初期化電圧として有機EL素子304のアノードに与えられる。このアノード初期化電圧の有機EL素子304のアノードへの印加は、時刻3において、トランジスタTr1がオフ状態に変化するまで継続する。すなわち、時刻2~時刻t3の期間がアノード初期化期間となる。
【0027】
時刻t3において、トランジスタTr1がオフ状態へと変化し、トランジスタTr3,Tr4はオフ状態を維持し、トランジスタTr5はオン状態を維持する。その後、時刻t5まで、トランジスタTr1、Tr3,Tr4がオフ状態でトランジスタTr5がオン状態である。この期間t3~t4では、保持キャパシタCstに保持されている電圧が駆動トランジスタTr2のゲート・ソース間に印加され、これが駆動トランジスタTr2への電圧ストレスとなる。
【0028】
時刻t4において、トランジスタTr4がオン状態へと変化し、トランジスタTr5はオン状態を維持し、トランジスタTr1,Tr3,Tr6はオフ状態を維持する。これにより、保持キャパシタCstに保持されている電圧に応じた電流が有機EL素子304に流れ、有機EL素子304がその電流に応じた輝度で発光する。この発光状態は、時刻t5でトランジスタTr5がオフ状態に変化するまで継続する。すなわち、時刻t4~時刻t5までが発光期間である。この発光期間t4~t5においても、保持キャパシタCstに保持されている電圧が駆動トランジスタTr2のゲート・ソース間に印加され、これが駆動トランジスタTr2への電圧ストレスとなる。
【0029】
図4は、発光デューティが低い場合に図1に示す画素回路において駆動トランジスタのヒステリシス特性により生じる問題を説明するための波形図である。図4の(A)は、リフレッシュフレーム期間における駆動トランジスタTr2のゲート・ソース間の電圧Vgsを駆動トランジスタTr2に加わる電圧ストレスとして示しており、図4の(B)は、非リフレッシュフレーム期間における駆動トランジスタTr2のゲート・ソース間の電圧Vgsを駆動トランジスタTr2に加わる電圧ストレスとして示している。
【0030】
リフレッシュフレーム期間では、走査制御信号Scan1,Scan2および発光制御信号EM1,EM2が図2に示すように変化することで既述のように図1の画素回路が動作し、これにより、駆動トランジスタTr2に加わる電圧ストレス(Vgs)は、図4の(A)に示すように変化する。すなわち、リフレッシュフレーム期間における既述の動作に基づき、発光期間では、保持キャパシタCstに保持されている電圧が電圧ストレス(Vgs)として駆動トランジスタTr2に加わり、初期化期間t1~t2では、保持キャパシタCstの初期化のために駆動トランジスタTr2のゲート端子(Node2)にハイレベル電源電圧VDDELが与えられることにより、駆動トランジスタTr2に加わる電圧ストレス(Vgs)が増大する。
【0031】
その後のオンバイアス期間t2~t3では、電圧Vdataを伝達する信号線の電圧がオンバイアス電圧VobとしてトランジスタTr1を介して駆動トランジスタTr2のソース端子(Node3)に印加されることにより、駆動トランジスタTr2に加わる電圧ストレス(Vgs)が更に増大する。
【0032】
その後の補償・書込期間t3~t4では、ダイオード接続状態の駆動トランジスタTr2を介して保持キャパシタCstに電圧Vdataが書き込まれ、駆動トランジスタTr2に加わる電圧ストレス(Vgs)は駆動トランジスタTr2の閾値電圧Vthに等しくなる。その後、時刻t4~時刻t5の期間(以下「A期間」という)では、トランジスタTr1,Tr3~Tr6はオフ状態であり、駆動トランジスタTr2に加わる電圧ストレス(Vgs)は当該閾値電圧Vthに維持される。
【0033】
時刻t5において発光期間が再び開始され、補償・書込期間t3~t4での電圧Vdataの書き込みにより保持キャパシタCstに保持されている電圧が電圧ストレス(Vgs)として駆動トランジスタTr2に加わる。
【0034】
このようにしてリフレッシュフレーム期間では、図4の(A)に示すように、初期化期間t1~2およびオンバイアス期間t2~t3では比較的な大きな電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタTr2に加わるが、補償・書込期間t3~t4およびA期間t4~t5において駆動トランジスタTr2に加わる電圧ストレス(Vgs)は比較的小さい。このA期間t4~t5は、発光デューティが小さいほど長くなる。
【0035】
一方、非リフレッシュフレーム期間では、走査制御信号Scan1,Scan2および発光制御信号EM1,EM2が図3に示すように変化することで既述のように図1の画素回路が動作し、これにより、駆動トランジスタTr2に加わる電圧ストレス(Vgs)は、図4の(B)に示すように変化する。すなわち、リフレッシュフレーム期間における既述の動作に基づき、発光期間では、保持キャパシタCstに保持されている電圧が電圧ストレス(Vgs)として駆動トランジスタTr2に加わる。その後のオンバイアス期間t1~t2では、電圧Vdataを伝達する信号線の電圧がオンバイアス電圧VobとしてトランジスタTr1を介して駆動トランジスタTr2のソース端子(Node3)に印加されることにより、駆動トランジスタTr2に加わる電圧ストレス(Vgs)が増大する。
【0036】
非発光期間t0~t4におけるその後の期間t2~t4では、駆動トランジスタTr2に加わる電圧ストレス(Vgs)の大きさは、既述の動作に応じて多少変化するが、発光期間における電圧ストレス(Vgs)と実質的に同等の電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタTr2に加わる。
【0037】
時刻t4において発光期間が再び開始され、保持キャパシタCstに保持されている電圧が電圧ストレス(Vgs)として駆動トランジスタTr2に加えられる。
【0038】
図4の(A)と図4の(B)を比較すればわかるように、非発光期間において駆動トランジスタTr2に加わる電圧ストレスは、リフレッシュフレーム期間と非リフレッシュフレーム期間とで異なる。すなわち、駆動トランジスタTr2に加わる電圧ストレス(Vgs)は、リフレッシュフレーム期間内のA期間では閾値電圧Vthに等しく比較的小さいが、非リフレッシュフレーム期間内のA期間に相当する期間では、保持キャパシタCstに保持されている電圧に等しく比較的大きい。発光デューティが小さい場合(低輝度設定の場合)には、A期間が長くなり、これにより、リフレッシュフレーム期間と非リフレッシュフレーム期間とで駆動トランジスタTr2に加わる電圧ストレスが大きく異なる。その結果、発光デューティが小さい場合には、駆動トランジスタTr2のヒステリシス特性による閾値シフトを低減すべく上記のようにオンバイアス電圧の印加を行っても、フリッカが視認される。
【0039】
このように上記のような構成では、駆動トランジスタTr2に対してオンバイアス電圧を印加してもリフレッシュフレーム期間と非リフレッシュフレーム期間とで駆動トランジスタのストレス状態に差異が生じ、発光デューティが小さい場合には、リフレッシュフレーム期間におけるA期間が長くなって当該差異が大きくなり、フリッカが視認される。
【0040】
そこで本願発明者は、このような問題対し、“リフレッシュフレーム期間と非リフレッシュフレーム期間との間での駆動トランジスタTr2のストレス状態の差異が低減されるように、リフレッシュフレーム期間に含まれるA期間の少なくとも一部すなわち補償・書込期間の終了時点t4から次の発光期間の開始時点t5までの期間の少なくとも一部において、駆動トランジスタTr2にオンバイアス電圧を印加する”という解決策を考えた。なお、この解決策では、非リフレッシュ期間内の非発光期間において、オンバイアス電圧Vobの印加によって駆動トランジスタTr2に与えられる電圧ストレス(Vgs)は発光期間の開始まで維持されるのが好ましい。
【0041】
図5は、この解決策を説明するための波形図である。図5の(A)は、この解決策を施した表示装置においてリフレッシュフレーム期間に駆動トランジスタTr2に加わる電圧ストレス(ゲート・ソース間電圧Vgs)を示しており、図5の(B)は、当該表示装置において非リフレッシュフレーム期間に駆動トランジスタTr2に加わる電圧ストレス(ゲート・ソース間電圧Vgs)を示している。ここでは、非リフレッシュ期間内の非発光期間においてオンバイアス電圧Vobの印加によって駆動トランジスタTr2に与えられる電圧ストレス(Vgs)が発光期間の開始時t4まで維持されるように、画素回路が構成されているものとした。このため、図5の(B)の波形図は図4の(B)の波形図と相違する。
【0042】
この解決策によれば、図5の(A)に示すように、A期間t4~t5の間、比較的大きなオンバイアス電圧(オンバイアス期間t1~t2に印加されるオンバイアス電圧と同程度の電圧)が印加される。これにより、発光デューティが低い場合であっても、リフレッシュフレーム期間と非リフレッシュフレーム期間との間での駆動トランジスタTr2のストレス状態の差異が低減される(図5の(A)および(B)参照)。その結果、リフレッシュフレーム期間と非リフレッシュフレーム期間の間での輝度差が低減され、発光デューティを低く設定して休止駆動を行ってもフリッカが視認されない。
【0043】
以下、添付図面を参照しつつ上記解決策に基づく実施形態について説明する。なお、以下で言及する各トランジスタにおいて、ゲート端子は制御端子に相当し、ドレイン端子およびソース端子の一方は第1導通端子に相当し、他方は第2導通端子に相当する。また、以下の各実施形態におけるトランジスタは例えば薄膜トランジスタであるが、本発明はこれに限定されない。さらにまた、本明細書における「接続」とは、特に断らない限り「電気的接続」を意味し、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、直接的な接続を意味する場合のみならず、他の素子を介した間接的な接続を意味する場合も含むものとする。
【0044】
<1.第1の実施形態>
<1.1 全体構成>
図6は、第1の実施形態に係る表示装置10の全体構成を示すブロック図である。この表示装置10は、内部補償を行う有機EL表示装置である。すなわち、この表示装置10において、各画素回路は、その内部の駆動トランジスタの閾値電圧のばらつきや変動を補償する機能を有している。また、この表示装置10は、通常駆動モードと休止駆動モードとの2つの動作モードを有している。すなわち表示装置10は、通常駆動モードでは、表示部の画像データ(各画素回路内のデータ電圧)を書き換えるリフレッシュフレーム期間Trfが連続するように動作し、休止駆動モードでは、リフレッシュフレーム期間Trfのみからなる駆動期間TDと表示部の画像データの書き換えを停止する複数の非リフレッシュフレーム期間Tnrfからなる休止期間TPとが交互に現れるように動作する(後述の図8参照)。
【0045】
図6に示すように、この表示装置10は、表示部11、表示制御回路20、データ側駆動回路30、走査側駆動回路40、および、電源回路50を備えている。データ側駆動回路30はデータ信号線駆動回路(「データドライバ」とも呼ばれる)として機能する。走査側駆動回路40は、走査信号線駆動回路(「ゲートドライバ」とも呼ばれる)、発光制御回路(「エミッションドライバ」とも呼ばれる)、および、バイアス制御回路として機能する。図6に示す構成ではこれら走査側の3つの回路が1つの走査側駆動回路40として実現されているが、これら3つの回路が適宜分離された構成であってもよく、また、これら3つの回路が表示部11の一方側と他方側に分離されて配置される構成であってもよい。また、データ側駆動回路および走査側駆動回路の少なくとも一部が表示部11と一体的に形成されていてもよい。これらの点は、後述の他の実施形態や変形例においても同様である。電源回路50は、表示部11に供給すべき後述のハイレベル電源電圧ELVDD、ローレベル電源電圧ELVSS、および初期化電圧Viniと、表示制御回路20、データ側駆動回路30、および走査側駆動回路40に供給すべき電源電圧(不図示)とを生成する。
【0046】
表示部11には、m本(mは2以上の整数)のデータ信号線D1,D2,…,Dmと、これらに交差するn本の第1走査信号線PS1,PS2,…,PSnおよびn+2本(nは2以上の整数)の第2走査信号線NS-1,NS0,NS1,…,NSnとが配設されている。また、n本の第1走査信号線PS1~PSnにそれぞれ沿ってn本の発光制御線(エミッションライン)EM1~EMnが配設され、さらに、n本の第1走査信号線PS1~PSnにそれぞれ沿ってn本のバイアス制御用の走査信号線(以下「バイアス制御線」という)PSB1~PSBnが配設されている。また表示部11には、m本のデータ信号線D1~Dmおよびn本の第1走査信号線PS1~PSnに沿ってマトリクス状に配置されたm×n個の画素回路15が設けられている。各画素回路15は、m本のデータ信号線D1~Dmのいずれか1つに対応するとともにn本の第1走査信号線PS1~PSnのいずれか1つに対応する(以下、各画素回路15を区別する場合には、i番目の第1走査信号線PSiおよびj番目のデータ信号線Djに対応する画素回路を「i行j列目の画素回路」ともいい、符号“Pix(i,j)”で示す)。また各画素回路15は、n本の第2走査信号線NS1~NSnのいずれか1つに対応するとともに、n本の発光制御線EM1~EMnのいずれか1つに対応する。さらに各画素回路15は、n本のバイアス制御線PSB1~PSBnのいずれか1つにも対応する。なお、上記のデータ信号線D1,D2,…,Dmを駆動するデータ側駆動回路30と、上記の第1走査信号線PS1,PS2,…,PSn、第2走査信号線NS-1,NS0,NS1,…,NSn、発光制御線EM1~EMn、および、バイアス制御線PSB1~PSBnを駆動する走査側駆動回路40とは、表示部11におけるm×n個の画素回路15を駆動する駆動回路を構成する(図6参照)。
【0047】
また表示部11には、各画素回路15に共通の図示しない電源線が配設されている。すなわち、後述の有機EL素子を駆動するためのハイレベル電源電圧ELVDDを供給するための第1電源線(以下「ハイレベル電源線」といい、ハイレベル電源電圧と同じく符号“ELVDD”で示す)、および、有機EL素子を駆動するためのローレベル電源電圧ELVSSを供給するための第2電源線(以下「ローレベル電源線」といい、ローレベル電源電圧と同じく符号“ELVSS”で示す)が配設されている。さらに表示部11には、各画素回路15の初期化のためのリセット動作(「初期化動作」ともいう)に使用する初期化電圧Viniを供給するための図示しない初期化電圧線(初期化電圧と同じく符号“Vini”で示す)も配設されている。ハイレベル電源電圧ELVDD、ローレベル電源電圧ELVSS、および初期化電圧Viniは、電源回路50から供給される。
【0048】
表示制御回路20は、表示すべき画像を表す画像情報および画像表示のためのタイミング制御情報を含む入力信号Sinを表示装置10の外部から受け取り、この入力信号Sinに基づきデータ側制御信号Scdおよび走査側制御信号Scsを生成し、データ側制御信号Scdをデータ側駆動回路30に、走査側制御信号Scsを走査側駆動回路40にそれぞれ出力する。
【0049】
データ側駆動回路30は、表示制御回路20からのデータ側制御信号Scdに基づきデータ信号線D1~Dmを駆動する。すなわちデータ側駆動回路30は、データ側制御信号Scdに基づき、表示すべき画像を表すm個のデータ信号D(1)~D(m)を生成してデータ信号線D1~Dmにそれぞれ印加する。
【0050】
走査側駆動回路40は、表示制御回路20からの走査側制御信号Scsに基づき、n本の第1走査信号線PS1~PSnおよびn+2本の第2走査信号線NS-1~NSnを駆動する走査信号線駆動回路、発光制御線EM1~EMnを駆動する発光制御回路、および、バイアス制御線PSB1~PSBnを駆動するバイアス制御回路として機能する。
【0051】
より詳細には、走査側駆動回路40は、リフレッシュフレーム期間Trfでは、走査信号線駆動回路として、走査側制御信号Scsに基づき、n本の第1走査信号線PS1~PSnを1水平期間に対応する所定期間ずつ順次に選択するとともに、n+2本の第2走査信号線NS-1~NSnを1水平期間に対応する所定期間ずつ順次に選択し、選択した第1走査信号線PSkに対してアクティブな信号を印加するとともに(kは1≦k≦nなる整数)、選択した第2走査信号線NSsに対してアクティブな信号を印加し(sは-1≦s≦nなる整数)、かつ、非選択の第1走査信号線に非アクティブな信号を印加するとともに、非選択の第2走査信号線に非アクティブな信号を印加する。これにより、選択された第1走査信号線PSkに対応したm個の画素回路Pix(k,1)~Pix(k,m)が一括して選択される。その結果、当該第1走査信号線PSkの選択期間(以下「第k走査選択期間」という)において、データ側駆動回路30からデータ信号線D1~Dmに印加されたm個のデータ信号D(1)~D(m)の電圧(以下では、これらの電圧を区別せずに単に「データ電圧」と呼ぶことがある)が画素データとして、画素回路Pix(k,1)~Pix(k,m)にそれぞれ書き込まれる。なお、後述の図9に示すように本実施形態では、第1走査信号線PSi1は画素回路15内のPチャネル型(以下「P型」ともいう)トランジスタのゲート端子に接続され(i1=1~n)、第2走査信号線NSi2は画素回路15内のNチャネル型(以下「N型」ともいう)トランジスタのゲート端子に接続される(i2=-1~n)。このため、選択した第1走査信号線PSi1にはアクティブな信号としてローレベル電圧が印加され、選択した第2走査信号線NSi2にはアクティブな信号としてハイレベル電圧が印加される。
【0052】
また走査側駆動回路40は、リフレッシュフレーム期間Trfにおいて、発光制御線EM1~EMnを、それらが第1および第2走査信号線PS1~PSn,NS-1~NSnの上記駆動に連動して選択的に非活性化されるように駆動する。すなわち、走査側駆動回路40は、発光制御回路として、走査側制御信号Scsに基づき、i番目の発光制御線EMiに対し、第i水平期間を含む所定期間では非発光を示す発光制御信号(ハイレベル電圧)を印加し、それ以外の期間では発光を示す発光制御信号(ローレベル電圧)を印加する(i=1~n)。i番目の第1走査信号線PSiに対応する画素回路(以下「i行目の画素回路」ともいう)Pix(i,1)~Pix(i,m)内の有機EL素子は、発光制御線EMiの電圧がローレベル(活性化状態)である間、i行目の画素回路Pix(i,1)~Pix(i,m)にそれぞれ書き込まれたデータ電圧に応じた輝度で発光する。なお、走査側駆動回路40は、非リフレッシュフレーム期間Tnrfにおいても、発光制御線EM1~EMnをリフレッシュフレーム期間Trfでの駆動と同様に駆動する(後述の図8参照)。
【0053】
さらに走査側駆動回路40は、バイアス制御回路として、休止駆動モードでは、リフレッシュフレーム期間Trfおよび非リフレッシュフレーム期間Tnrfのいずれにおいても、バイアス制御線PSB1~PSBnをそれらが順次に選択されるように駆動する(後述の図8参照)。この動作の詳細は後述する。なお通常駆動モードでは、バイアス制御線PSB1~PSBnの駆動は停止され、バイアス制御線PSB1~PSBnは全て非活性化状態に維持される。
【0054】
<1.2 概略動作>
既述のように、本実施形態に係る表示装置10は、通常駆動モードと休止駆動モードとの2つの動作モードを有している。まず、通常駆動モードにおける表示装置10の概略動作を説明する。
【0055】
図7は、通常駆動モードにおける表示装置10の概略動作を説明するためのタイミングチャートである。表示制御回路20から走査側駆動回路40に与えられる走査側制御信号Scsには、第1および第2ゲートクロック信号CK1,CK2からなる2相クロック信号が含まれている。通常駆動モードにおいて走査側駆動回路40は、この2相クロック信号に基づき、図7に示すような第1走査信号PS(1)~PS(n)および第2走査信号NS(-1),NS(0),NS(1),…,NS(n)を生成し、第1走査信号PS(1)~PS(n)を第1走査信号線PS1~PSnにそれぞれ印加し、第2走査信号NS(-1)~NS(n)を第2走査信号線NS-1~NSnにそれぞれ印加する。また、走査側駆動回路40は、上記2相クロック信号(第1および第2ゲートクロック信号CK1,CK2)に基づき、図7に示すような発光制御信号EM(1)~EM(n)を生成して発光制御線EM1~EMnにそれぞれ印加する。一方、データ側駆動回路30は、表示制御回路20からのデータ側制御信号Scdに基づき、図7に示すように第1走査信号PS(1)~PS(n)に連動して変化するデータ信号D(1)~D(m)を生成し、データ信号線D1~Dmにそれぞれ印加する。このようにして表示部11における第1走査信号線PS1~PSn、第2走査信号線NS-1~NSn、発光制御線EM1~EMn、および、データ信号線D1~Dmが駆動されることで、非発光期間において、各画素回路Pix(i,j)に対し初期化およびデータ電圧の書き込みが行われ、発光期間において、各画素回路Pix(i,j)は書き込まれたデータ電圧に応じた輝度で発光する。
【0056】
通常駆動モードでは、図7に示した上記各種信号により第1走査信号線PS1~PSn、第2走査信号線NS-1~NSn、発光制御線EM1~EMn、および、データ信号線D1~Dmが上記のように駆動されることで、1フレーム期間において第1走査信号線PS1~PSnおよび第2走査信号線NS-1~NSnを順次選択して表示部11(の画素回路Pix(1,1)~Pix(n,m))に画像データを書き込むリフレッシュフレーム期間Trfが繰り返される。
【0057】
これに対し、休止駆動モードでは、図8に示すように、そのようなリフレッシュフレーム期間(以下「RFフレーム期間」ともいう)Trfからなる駆動期間TDと、複数の非リフレッシュフレーム期間(以下「NRFフレーム期間」ともいう)Tnrfからなる休止期間TPとが交互に繰り返される。休止期間TP(NRFフレーム期間Tnrf)では、走査側駆動回路40による第1走査信号線PS1~PSnおよび第2走査信号線NS-1~NSnの駆動とデータ側駆動回路30によるデータ信号線D1~Dmの駆動とが停止し、直前の駆動期間TD(RFフレーム期間Trf)に書き込まれた画像データによる表示が継続する。このため休止駆動モードは、静止画を表示する場合において表示装置10の消費電力の削減に有効である。なお後述のように、休止期間TPにおいても第1走査信号線PS1~PSnが駆動される実施形態もある。バイアス制御線PSB1~PSBnは、図8に示すように休止駆動モードでは、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfのいずれにおいても、順次に選択されるように駆動される。これにより、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfのいずれにおいても、各画素回路15において、対応するバイアス制御線PSBiが活性化状態である間、駆動トランジスタにオンバイアス電圧が印加される(詳細は後述)。なお、図8に示す例では駆動期間TDは1つのRFフレーム期間Trfのみから構成されるが、2つ以上のRFフレーム期間Trfから構成されていてもよい。
【0058】
外部からの入力信号Sinには、上記のような通常駆動モードと休止駆動モードのうちいずれの動作モードで表示部11を駆動するかを示す動作モード信号Smが含まれている。この動作モード信号Smは、走査側制御信号Scsの一部として走査側駆動回路40に与えられるともに、データ側制御信号Scdの一部としてデータ側駆動回路30に与えられる。走査側駆動回路40は、この動作モード信号Smで示される動作モードに応じて第1走査信号線PS1~PSnおよび第2走査信号線NS-1~NSnを駆動し、発光制御線EM1~EMnを通常駆動モードか休止駆動モードかに拘わらず同様の形態(同一の周期および同一のデューティ)で駆動する。また走査側駆動回路40は、バイアス制御線PSB1~PSBnを休止駆動モードで駆動し、通常駆動モードでそれらの駆動を停止する。データ側駆動回路30は、この動作モード信号Smで示される動作モードに応じてデータ信号線D1~Dnを駆動する。なお、本願の課題は通常駆動モードとは関係しないので、以下において、表示装置10またはその画素回路の動作については休止駆動モードにおける動作を中心に説明する(後述の他の実施形態においても同様)。
【0059】
本実施形態では、駆動期間TD(RFフレーム期間Trf)において、各画素回路Pix(i,j)に対し、それに対応する第1および第2走査信号線PSi,NSiが選択状態のときにデータ書込動作が行われ、その第2走査信号線NSiの2つ前の第2走査信号線NSi-2が選択状態のとき初期化動作が行われる。各画素回路Pix(i,j)がそのデータ書込動作および初期化動作が行われる期間において消灯状態となるように発光制御線EMiが駆動される(i=1~n)(図8参照)。後述のように、本実施形態における画素回路Pix(i,j)では、第1および第2発光制御トランジスタT5,T6としてP型トランジスタが使用されているので、各発光制御線EMiは、ローレベル(Lレベル)の電圧を与えられると活性化状態となり、ハイレベル(Hレベル)の電圧を与えられると非活性化状態となる。
【0060】
<1.3 画素回路の構成>
図9は、本実施形態における画素回路15の構成を示す回路図であり、より詳しくは、i番目の第1走査信号線PSiおよびj番目のデータ信号線Djに対応する画素回路15すなわちi行j列目の画素回路Pix(i,j)の構成を示す回路図である(1≦i≦n、1≦j≦m)。この画素回路15は、表示素子としての1個の有機EL素子OLと、7個のトランジスタT1~T7(以下、これらを「第1初期化トランジスタT1」、「閾値補償トランジスタT2」、「書込制御トランジスタT3」、「駆動トランジスタT4」、「第1発光制御トランジスタT5」、「第2発光制御トランジスタT6」、「第2初期化トランジスタT7」という)と、1個の保持キャパシタCstとを含んでいる。また、この画素回路15は、これらの素子に加えて、トランジスタT8を含むバイアス印加回路151を含んでいる(以下、このトランジスタT8を「バイアス印加トランジスタ」という)。
【0061】
この画素回路15において、トランジスタT1,T2,T7はN型トランジスタであり、トランジスタT3~T6はP型トランジスタである。本実施形態では、N型トランジスタT1,T2,T7は、チャネル層が酸化物半導体で形成された薄膜トランジスタ(以下「酸化物TFT」という)であり、より詳しくは酸化物半導体として酸化インジウムガリウム亜鉛(InGaZnO)を使用した酸化物TFT(以下、「IGZO-TFT」という)である。酸化物TFTは、オフリーク電流が小さいので、画素回路等におけるスイッチング素子として好適である。また、P型のトランジスタT3~T6は、チャネル層が低温ポリシリコンで形成された薄膜トランジスタ(以下「LTPS-TFT」という)である。低温ポリシリコンは移動度が高いので、LTPS-TFTを駆動トランジスタとして使用すると、画素回路において有機EL素子に対する駆動能力が向上し、スイッチング素子として使用するとオン抵抗が低くなる。ただし、画素回路15において使用可能なトランジスタは、このようなIGZO-TFTやLTPS-TFTには限定されない。
【0062】
なお、画素回路15において、駆動トランジスタT4以外のトランジスタT1~T3,T5~T8はスイッチング素子として動作する。また、保持キャパシタCstは、第1電極および第2電極からなる2つの電極を有する容量素子である。
【0063】
図6および図9に示すように、本実施形態における画素回路Pix(i,j)には、それに対応する第1走査信号線(以下、画素回路に注目した説明において「対応第1走査信号線」ともいう)PSiと、それに対応する第2走査信号線(以下、画素回路に注目した説明において「対応第2走査信号線」ともいう)NSiと、それに対応するバイアス制御線(以下、画素回路に注目した説明において「対応バイアス制御線」ともいう)PSBiと、それに対応する発光制御線(以下、画素回路に注目した説明において「対応発光制御線」ともいう)EMiと、それに対応するデータ信号線(以下、画素回路に注目した説明において「対応データ信号線」ともいう)Djと、対応第2走査信号線NSiの2つ前の第2走査信号線(第2走査信号線NS-1~NSnの走査順における2つ前の走査信号線)すなわちi-2番目の第2走査信号線NSi-2(以下、画素回路に注目した説明において単に「先行第2走査信号線」ともいう)と、初期化電圧線Viniと、オンバイアス電圧線Lobsと、ハイレベル電源線ELVDDと、ローレベル電源線ELVSSとが接続されている。なお、画素回路Pix(i,j)に、先行第2走査信号線NSi-2に代えて直前の第2走査信号線NSi-1が接続される構成であってもよい。以下では、対応第1走査信号線PSiの信号PS(i)、対応第2走査信号線NSiの信号NS(i)、先行第2走査信号線NSi-2の信号NS(i-2)、対応発光制御線EMiの信号EM(i)、対応バイアス制御線PSBiの信号PSB(i)、および、対応データ信号線Djの信号D(j)を、それぞれ、対応第1走査信号PS(i)、対応第2走査信号NS(i)、先行第2走査信号NS(i-2)、対応発光制御信号EM(i)、対応バイアス制御信号PSB(i)、および、対応データ信号D(j)と呼ぶものとする。
【0064】
オンバイアス電圧線Lobsは、図3には示されていないが、例えば、データ信号線D1~Dmにそれぞれ沿って配置され、データ側駆動回路30からオンバイアス電圧Vobsを与えられるようにすればよい。オンバイアス電圧Vobsは、表示階調や、リフレッシュレート、環境温度、および、オンバイアス印加期間(オンバイアス電圧Vobsが印加される期間の長さ)等に応じて設定される。例えば、これらの動作条件パラメータ(発光デューティを含む)の1つまたは複数の平均値や中央値、最頻値などの代表値を統計処理によって予め求めておき、それらの代表値に応じて表示装置10の固体毎または製品毎の固定値として適切なオンバイアス電圧Vobsを決定すればよい。また、これに代えて、これらの動作条件パラメータの1つまたは複数の値に基づき適切なオンバイアス電圧Vobを可変値として設定してもよい。
【0065】
図9に示すように画素回路Pix(i,j)において、駆動トランジスタT4のソース端子は、書込制御トランジスタT3を介して対応するデータ信号線Djに接続されるとともに、第1発光制御トランジスタT5を介してハイレベル電源線ELVDDに接続されている。駆動トランジスタT4のドレイン端子は、第2発光制御トランジスタT6を介して有機EL素子OLの第1端子としてのアノードに接続されており、有機EL素子OLのカソードはローレベル電源線ELVSSに接続されている。駆動トランジスタT4のゲート端子は、閾値補償トランジスタT2を介して駆動トランジスタT4のドレイン端子に接続され、かつ、保持キャパシタCstを介してハイレベル電源線ELVDDに接続され、かつ、第1初期化トランジスタT1を介して初期化電圧線Viniに接続されている。また、有機EL素子OLのアノードも、表示素子初期化トランジスタとしての第2初期化トランジスタT7を介して初期化電圧線Viniに接続されている。バイアス印加回路151は、オンバイアス電圧線Lobsに接続されてオンバイアス電圧を受け取る第1端子と、駆動トランジスタT4のソース端子に接続された第2端子とを有し、当該第1および第2端子にそれぞれ接続されたソース端子およびドレイン端子を有するバイアス印加トランジスタT8を含んでいる。このバイアス印加トランジスタT8のゲート端子は、対応するバイアス制御線PSBiに接続されている。
【0066】
<1.4 画素回路の駆動期間における動作>
以下、図9に示した画素回路15すなわち本実施形態におけるi行j列目の画素回路Pix(i,j)の動作を、図9とともに図10を参照して説明する。図10は、リフレッシュフレーム期間(RFフレーム期間)Trfおよび非リフレッシュフレーム期間(NRFフレーム期間)Tnrfに含まれる非発光期間での画素回路Pix(i,j)の動作を説明するためのタイミングチャートである。なお図10には、上下方向に延びる複数の点線が記載されており、これらの点線の間隔が1水平期間に相当する。また、発光制御信号EM(i)がHレベルである期間が非発光期間であり、発光制御信号EM(i)がLレベルである期間が発光期間である(これらの点は後述のタイミングチャートを示す図12図14等においても同様である)。
【0067】
まず、RFフレーム期間Trfにおける非発光期間での画素回路Pix(i,j)の動作について説明する。図10に示すように、非発光期間(対応発光制御信号EM(i)がHレベルである期間)の開始時点では、対応第1走査信号PS(i)および対応バイアス制御信号PSB(i)はHレベルであり、先行第2走査信号NS(i-2)および対応第2走査信号NS(i)はLレベルである。この非発光期間では、第1および第2発光制御トランジスタT5,T6がオフ状態であるので有機EL素子OLは消灯状態であり、第2初期化トランジスタT7はオン状態であることにより有機EL素子OLのアノードが初期化される。
【0068】
図10に示すように、この非発光期間において、まず、先行第2走査信号NS(i-2)が略1水平期間に相当する所定期間だけHレベルとなり、この所定期間内において対応バイアス制御信号PSB(i)が略1水平期間に相当する所定期間だけLレベルとなる。ここで、先行第2走査信号NS(i-2)がHレベルであり対応バイアス制御信号PSB(i)がLレベルとなる水平期間を「初期化期間Tini」と呼ぶものとする。この初期化期間Tiniでは、第1初期化トランジスタT1がオン状態であることによって保持キャパシタCstおよび駆動トランジスタT4のゲート端子の電圧(以下「ゲート電圧」という)が初期化電圧Viniで初期化される。この初期化期間Tiniでは、バイアス印加トランジスタT8がオン状態になることによってオンバイアス電圧線Lobsからオンバイアス電圧Vobsが駆動トランジスタT4のソース端子に印加される(図9参照)。したがって、この初期化期間Tiniはオンバイアス印加期間Tobsでもある。
【0069】
その後、この非発光期間において、対応第2走査信号NS(i)が略1水平期間に相当する所定期間だけHレベルとなり、この所定期間内において対応第1走査信号PS(i)が略1水平期間に相当する所定期間だけLレベルとなる。ここで、対応第2走査信号NS(i)がHレベルであり対応第1走査信号PS(i)がLレベルとなる水平期間を「補償・書込期間Tw」または単に「書込期間Tw」と呼ぶものとする。この書込期間Twでは、閾値補償トランジスタT2がオン状態となることで駆動トランジスタT4がダイオード接続状態となっており、書込制御トランジスタT3がオン状態となることによって、対応データ信号D(j)の電圧Vdataがダイオード接続状態の駆動トランジスタT4を介して保持キャパシタCstに書き込まれる。これにより、駆動トランジスタT4のゲート端子が閾値補償後のデータ電圧(Vdata-|Vth|)に保持される。ここで、Vthは駆動トランジスタT4の閾値電圧である。
【0070】
その後、この非発光期間において、対応バイアス制御信号PSB(i)が、再び、略1水平期間に相当する所定期間だけHレベルとなる。この所定期間では対応第2走査信号NS(i)はLレベルに維持されている。ここで対応バイアス制御信号PSB(i)がLレベルとなる水平期間も「オンバイアス印加期間Tobs」と呼ぶものとする。このオンバイアス印加期間Tobsにおいても、オンバイアス電圧線Lobsからオンバイアス電圧Vobsが、オン状態のバイアス印加トランジスタT8を介して駆動トランジスタT4のソース端子に印加される(図9参照)。なお、閾値補償トランジスタT2は、書込期間Tw後はオフ状態であり、このオンバイアス印加期間Tobsにおいてもオフ状態に維持される。
【0071】
その後、対応発光制御信号EM(i)がLレベルに変化し、これにより発光期間が開始される。この発光期間では、第1および第2発光制御トランジスタT5,T6がオン状態であり、駆動トランジスタT4を除く他のトランジスタT1,T2,T3,T7,T8はオフ状態である。これにより、保持キャパシタCstに書き込まれたデータ電圧Vdataに応じた電流I1が有機EL素子OLに流れ、有機EL素子OLはその電流I1に応じた輝度で発光する。
【0072】
上記のように本実施形態における画素回路Pix(i,j)では、RFフレーム期間Trfにおいて、補償・書込期間Twの後、発光期間が開始される前に設けられたオンバイアス印加期間Tobsに、オンバイアス電圧Vobsが駆動トランジスタT4のソース端子に印加される。これにより、RFフレーム期間Trfにおいて駆動トランジスタT4に加わる電圧ストレス(Vgs)を示す波形は、既述の図5(A)に示す波形に近いものとなる。
【0073】
次に、NRFフレーム期間Tnrfにおける非発光期間での画素回路Pix(i,j)の動作について説明する。図10に示すように、非発光期間の開始時点では、上記のRFフレーム期間Trfの場合と同様、対応第1走査信号PS(i)および対応バイアス制御信号PSB(i)はHレベルであり、先行第2走査信号NS(i-2)および対応第2走査信号NS(i)はLレベルである。この非発光期間においても、第1および第2発光制御トランジスタT5,T6がオフ状態であるので有機EL素子OLは消灯状態であり、第2初期化トランジスタT7はオン状態であることにより有機EL素子OLのアノードが初期化される。
【0074】
図10に示すように、この非発光期間が開始されると(対応発光制御信号EM(i)がHレベルに変化すると)、対応バイアス制御信号PSB(i)が略1水平期間に相当する所定期間だけLレベルとなり、バイアス印加トランジスタT8がオン状態になることによってオンバイアス電圧線Lobsからオンバイアス電圧Vobsが駆動トランジスタT4のソース端子に印加される。ここで対応バイアス制御信号PSB(i)がLレベルとなる水平期間も「オンバイアス印加期間Tobs」と呼ぶものとする。なお、NRFフレーム期間Tnrfでは、第1初期化トランジスタT1、閾値補償トランジスタT2、および、書込制御トランジスタT3は、オフ状態に維持される(図9図10参照)。また、データ信号線D1~Dmに印加されるデータ信号D(1)~D(m)は、いずれも高インピーダンス状態に維持される。
【0075】
その後、対応発光制御信号EM(i)がLレベルに変化し発光期間が開始される。この発光期間では、画素回路Pix(i,j)はRFフレーム期間Trfにおける発光期間と同様に動作する。すなわち、直前のRFフレーム期間Trfにおいて保持キャパシタCstに書き込まれたデータ電圧Vdataに応じた電流I1が有機EL素子OLに流れ、有機EL素子OLはその電流I1に応じた輝度で発光する。
【0076】
上記のように本実施形態における画素回路Pix(i,j)では、NRFフレーム期間Tnrfにおいて、非発光期間が開始されると、オンバイアス印加期間Tobsにおいて、オンバイアス電圧Vobsが駆動トランジスタT4のソース端子に印加される。これにより、そのオンバイアス電圧Vobsの印加後、発光期間の開始時まで、比較的大きな電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に加わり、NRFフレーム期間Tnrfにおいて駆動トランジスタT4に加わる電圧ストレス(Vgs)を示す波形は、既述の図5(B)に示す波形と略同じ波形となる。
【0077】
<1.5 効果>
上記のように本実施形態では、内部補償方式の画素回路15(Pix(i,j))を用いた表示装置において休止駆動を行う場合に、各画素回路Pix(i,j)につき、図10に示すように(駆動期間TD内の)RFフレーム期間Trfおよび(休止期間TP内の)NRFフレーム期間Tnrfのいずれにおいても、発光制御信号EM(i)の駆動により定期的に消灯し、その消灯期間(非発光期間)においてオンバイアス電圧が駆動トランジスタT4に印加される。RFフレーム期間Trfにおける非発光期間では、補償・書込期間Twの前だけでなく補償・書込期間Twの後にもオンバイアス印加期間Tobsが設けられ、データ電圧Vdataの書き込み時の閾値補償のために閾値補償トランジスタT2がオン状態とされる期間の後にもオンバイアス電圧Vobsが駆動トランジスタT4に印加される。これにより、RFフレーム期間Trfの発光期間において補償・書込期間の後で発光期間の開始前においても駆動トランジスタT4に比較的大きい電圧ストレス(Vgs)が与えられ、このような比較的大きい電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に与えられる期間は、発光デューティが小さくなるほど長くなる。このため、RFフレーム期間Trfにおいて駆動トランジスタT4に加わる電圧ストレス(Vgs)を示す波形は、既述の図5(A)に示す波形に近いものとなる。一方、NRFフレーム期間Tnrfにおいて駆動トランジスタT4に加わる電圧ストレス(Vgs)を示す波形は、既述の図5(B)に示す波形と略同じ波形となる。
【0078】
したがって、本実施形態によれば、発光デューティが低い場合であってもリフレッシュフレーム期間Trfと非リフレッシュフレーム期間Tnrfとの間での駆動トランジスタT4のストレス状態の差異が低減される(図5の(A)および(B)参照)。その結果、リフレッシュフレーム期間Trfと非リフレッシュフレーム期間Tnrfの間での輝度差が低減され、発光デューティを低く設定して休止駆動を行ってもフリッカが視認されない。すなわち、本実施形態によれば、休止駆動を行う場合において発光デューティに依存することのないフリッカ抑制効果が得られる。なお、RFフレーム期間Trfにおいてデータ書込の際に駆動トランジスタT4への電圧ストレス(Vgs)が小さな値(Vth)となる期間は1水平期間程度の長さであって相対的には極めて短いので、当該期間でのストレス電圧(Vgs)の低下は上記のフリッカ抑制においては問題にはならない。
【0079】
<2.第2の実施形態>
次に、図11および図12を参照して、第2の実施形態に係る有機EL表示装置について説明する。この表示装置では、上記第1の実施形態に係る表示装置と同様にバイアス制御線PSB1~PSBnが設けられているが、オンバイアス電圧線Lobsは設けられておらず、第1走査信号線の電圧がオンバイアス電圧Vobsとして使用される。また、本実施形態における画素回路には、上記第1の実施形態における画素回路と同様、バイアス印加回路が設けられている。ただし、その構成は上記第1の実施形態におけるバイアス印加回路の構成と多少相違する。本実施形態に係る表示装置における他の構成は、上記第1の実施形態に係る表示装置の構成と基本的に同様であるので、同一または対応する部分には同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する(図6参照)。
【0080】
図11は、本実施形態における画素回路15の構成を示す回路図であり、より詳しくは、i番目の第1走査信号線PSiおよびj番目のデータ信号線Djに対応する画素回路15すなわちi行j列目の画素回路Pix(i,j)の構成を示す回路図である(1≦i≦n、1≦j≦m)。この画素回路15は、バイアス印加回路151の構成を除き、上記第1の実施形態における画素回路15(図9)と同様の構成を有している。そこで、この画素回路15の構成のうちバイアス印加回路151以外の部分については、上記第1の実施形態における画素回路15の構成要素と同一の構成要素に同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する。
【0081】
図11に示すように、本実施形態における画素回路15であるi行j列目の画素回路Pix(i,j)には、対応第1走査信号線PSi、対応バイアス制御線PSBi、対応第2走査信号線NSi、先行第2走査信号線NSi-2、対応発光制御線EMi、対応データ信号線Dj、初期化電圧線Vini、ハイレベル電源線ELVDD、および、ローレベル電源線ELVSSが接続されている。また、この画素回路15に設けられたバイアス印加回路151は、対応第1走査信号線PSiに接続されて非アクティブ状態の対応第1走査信号PS(i)の電圧をオンバイアス電圧Vobsとして受け取る第1端子と、駆動トランジスタT4のソース端子に接続された第2端子とを有し、当該第1および第2端子にそれぞれ接続されたソース端子およびドレイン端子を有するバイアス印加トランジスタT8を含んでいる。バイアス印加トランジスタT8は、対応バイアス制御線PSBiに接続されたゲート端子を有し、スイッチング素子として動作する。
【0082】
次に、図11に示した画素回路15すなわち本実施形態におけるi行j列目の画素回路Pix(i,j)の動作を、図12を参照して説明する。図12は、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfに含まれる非発光期間での画素回路Pix(i,j)の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0083】
図12図10と比較すればわかるように、(駆動期間TD内の)RFフレーム期間Trfにおいて、本実施形態における画素回路Pix(i,j)を駆動するための第1走査信号PS(i)、第2走査信号NS(i),NS(i-2)、発光制御信号EM(i)、および、データ信号D(j)は、上記第1の実施形態における画素回路Pix(i,j)を駆動するための第1走査信号PS(i)、第2走査信号NS(i),NS(i-2)、発光制御信号EM(i)、および、データ信号D(j)と同様に変化する。これにより、本実施形態における画素回路15に含まれるスイッチング素子としてのトランジスタT1~T3,T5~T7が、上記第1の実施形態における画素回路15に含まれるスイッチング素子としてのトランジスタT1~T3,T5~T7と同様に動作することで、同様の初期化動作およびデータ書込動作が行われる。なお、第1の実施形態と同様、補償・書込期間Twにおいて、ダイオード接続状態の駆動トランジスタT4を介してデータ書込動作が行われることで閾値補償が行われる。
【0084】
図12に示すように本実施形態では、対応バイアス制御信号PSB(i)は、初期化期間TiniではHレベル(非アクティブ)に維持され、補償・書込期間Twの直後の水平期間において所定期間だけLレベル(アクティブ)となる。ここで対応バイアス制御信号PSB(i)がLレベルとなる水平期間を「オンバイアス印加期間Tobs」と呼ぶ。本実施形態においても、バイアス制御線PSB1~PSBnは、図12に示すように休止駆動モードでは、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfのいずれにおいても、順次に選択されるように駆動される。これにより、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfのいずれにおいても、各画素回路15において、対応するバイアス制御線PSBiが活性化状態である間、駆動トランジスタT4に対応第1走査信号PS(i)の電圧がオンバイアス電圧Vobsとして印加される。このオンバイアス印加期間Tobsでは対応第1走査信号PS(i)は非選択状態であるので、対応第1走査信号PS(i)におけるHレベルの電圧がオンバイアス電圧Vobsとして駆動トランジスタT4のソース端子に印加される。したがって、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfのいずれにおいても、このオンバイアス電圧Vobsの印加時点から発光期間の開始時点まで比較的大きな電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に加わる。この比較的大きい電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に与えられる期間は、発光デューティが低くなるほど長くなる。また、このような比較的大きい電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に与えられる期間の位置や長さは、NRFフレーム期間Tnrfにおいても同様である。
【0085】
このような本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様、発光デューティが低い場合であっても、RFフレーム期間TrfとNRFフレーム期間Tnrfとの間での駆動トランジスタT4のストレス状態の差異が低減される。その結果、リフレッシュフレーム期間Trfと非リフレッシュフレーム期間Tnrfの間での輝度差も低減され、発光デューティを低く設定して休止駆動を行ってもフリッカが視認されない。すなわち、本実施形態によれば、休止駆動を行う場合において発光デューティに依存することのないフリッカ抑制効果が得られる。
【0086】
なお、本実施形態では、NRFフレーム期間Tnrfにおいて、第1走査信号線PS1~PSnは非選択状態(Hレベル)に維持される。このため、データ側駆動回路30は、NRFフレーム期間Tnrfでは、オンバイアス電圧Vobsを出力してデータ信号線Dj(j=1~m)に印加する必要はない。しかし、NRFフレーム期間Tnrfにおいて、データ側駆動回路30がオンバイアス電圧Vobsをデータ信号線Dj(j=1~m)に印加し、かつ、第1走査信号線PS1~PSnがNRFフレーム期間TnrfにおいてもRFフレーム期間Trfと同様に順次選択されるようにしてもよい。この場合、バイアス制御線PSB1~PSBnは、NRFフレーム期間Tnrfにおいて非活性化状態に維持されるようにしてもよい(図12において、第1走査信号PS(i)およびバイアス制御信号PSB(i)の波形につき点線で示される部分参照)。
【0087】
また本実施形態では、各画素回路Pix(i,j)において、バイアス印加回路151を構成するバイアス印加トランジスタT8のゲート端子に対応バイアス制御線PSBiが接続され、対応バイアス制御信号PSB(i)によってバイアス印加トランジスタT8のオン・オフが制御される。しかし、これに代えて、対応第1走査信号線PSiの直後の第1走査信号線PSi+1がバイアス印加トランジスタT8のゲート端子に接続されるようにしてもよい。さらに本実施形態では、各画素回路Pix(i,j)において、バイアス印加回路151の第1端子に対応第1走査信号線PSiが接続されており、対応第1走査信号PS(i)のHレベルの電圧がオンバイアス電圧Vobsとしてバイアス印加回路151に与えられるが、バイアス印加トランジスタT8がオン状態であるオンバイアス印加期間Tobsの間、オンバイアス電圧Vobsとして使用可能な電圧を有する信号線であれば、他の信号線が当該第1端子に接続されるようにしてもよい。例えば、対応第1走査信号線PSiに代えて、対応発光制御線EMi、または、対応第2走査信号線NSiの直後の第2走査信号線NSi+1が、バイアス印加回路151の第1端子に接続されるようにしてもよい。なお本実施形態において、各画素回路P(i,j)内のバイアス印加トランジスタT8のオン・オフを制御する対応バイアス制御信号PSB(i)は図12に示すように変化するが、これに代えて、対応バイアス制御信号PSB(i)が図10に示すように変化する構成としてもよい。この場合、RFフレーム期間Trfにおいて、対応バイアス制御信号PSB(i)が補償・書込期間Tw後にLレベルとなるだけでなく初期化期間TiniにもLレベルとなって、対応第1走査信号PS(i)のHレベルの電圧がオンバイアス電圧Vobsとして駆動トランジスタT4のソース端子に印加される。
【0088】
<3.第3の実施形態>
次に、図13から図15を参照して、第3の実施形態に係る有機EL表示装置について説明する。この表示装置では、上記第1の実施形態に係る表示装置におけるバイアス制御線PSB1~PSBnおよびバイアス電圧線Lobsはいずれも設けられておらず、第2走査信号線の電圧がオンバイアス電圧Vobsとして使用される。また、本実施形態における画素回路には、上記第1の実施形態における画素回路と同様、バイアス印加回路が設けられているが、その構成は上記第1の実施形態におけるバイアス印加回路の構成と相違する。本実施形態に係る表示装置における他の構成は、上記第1の実施形態に係る表示装置の構成と基本的に同様であるので、同一または対応する部分には同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する(図6参照)。
【0089】
図13は、本実施形態における画素回路15の第1構成を示す回路図であり、より詳しくは、i番目の第1走査信号線PSiおよびj番目のデータ信号線Djに対応する画素回路15すなわちi行j列目の画素回路Pix(i,j)の構成を示す回路図である(1≦i≦n、1≦j≦m)。この画素回路15は、バイアス印加回路151の構成を除き、上記第1の実施形態における画素回路15(図9)と同様の構成を有している。そこで、この画素回路15の構成のうちバイアス印加回路151以外の部分については、上記第1の実施形態における画素回路15の構成要素と同一の構成要素に同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する。
【0090】
図13に示すように、本実施形態における画素回路15であるi行j列目の画素回路Pix(i,j)には、対応第1走査信号線PSi、対応第2走査信号線NSi、先行第2走査信号線NSi-2、対応発光制御線EMi、対応データ信号線Dj、初期化電圧線Vini、ハイレベル電源線ELVDD、および、ローレベル電源線ELVSSが接続されており、更に、後続の第2走査信号線NSi+Xが接続されている。ここで、Xは、正の整数であって、当該後続の第2走査信号線の第2走査信号NS(i+X)がHレベルである期間が画素回路Pix(i,j)における非発光期間に含まれるように選定されている(後述の図14参照)。以下、画素回路Pix(i,j)に注目した説明において、このようなXにより特定される後続の第2走査信号線NSi+Xを単に「後続第2走査信号線NSi+X」といい、後続第2走査信号線NSi+Xの信号を「後続第2走査信号NS(i+X)」という(
後述の他の実施形態においても同様)。
【0091】
本構成例による画素回路15に設けられたバイアス印加回路151は、図13に示すように、後続第2走査信号線NSi+Xに接続されて後続第2走査信号NS(i+X)の電圧をオンバイアス電圧Vobsとして受け取る第1端子と、駆動トランジスタT4のソース端子に接続された第2端子とを有し、当該第1および第2端子にそれぞれ接続されたソース端子およびドレイン端子を有するP型のバイアス印加トランジスタT8を含んでいる。このバイアス印加トランジスタT8は、そのゲート端子をそのドレイン端子に接続されてダイオード接続形態となっている。
【0092】
次に、図13に示した画素回路15すなわち本構成例によるi行j列目の画素回路Pix(i,j)の動作を、図14を参照して説明する。図14は、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfに含まれる非発光期間での画素回路Pix(i,j)の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0093】
図14図10と比較すればわかるように、(駆動期間TD内の)RFフレーム期間Trfにおいて、本実施形態における画素回路Pix(i,j)を駆動するための第1走査信号PS(i)、第2走査信号NS(i),NS(i-2)、発光制御信号EM(i)、および、データ信号D(j)は、上記第1の実施形態における画素回路Pix(i,j)を駆動するための第1走査信号PS(i)、第2走査信号NS(i),NS(i-2)、発光制御信号EM(i)、および、データ信号D(j)と同様に変化する。これにより、本実施形態における画素回路15に含まれるスイッチング素子としてのトランジスタT1~T3,T5~T7が、上記第1の実施形態における画素回路15に含まれるスイッチング素子としてのトランジスタT1~T3,T5~T7と同様に動作することで、同様の初期化動作およびデータ書込動作が行われる。なお、第1の実施形態と同様、ダイオード接続状態の駆動トランジスタT4を介してデータ書込動作が行われることで閾値補償が行われる。
【0094】
図13に示すように本構成例による画素回路Pix(i,j)では、バイアス印加回路151は、その第1端子において後続第2走査信号NS(i+X)を受け取る。この第1端子は、図13に示すようにダイオード接続状態のバイアス印加トランジスタT8を介して駆動トランジスタT4のソース端子に接続されている。このため、後続第2走査信号NS(i+X)がHレベルのときに、そのHレベルの電圧がバイアス印加トランジスタT8を介して駆動トランジスタT4のソース端子に印加される。
【0095】
後続第2走査信号NS(i+X)を特定するXの値は既述のように選定されるので(図14に示す例ではX=2)、後続第2走査信号NS(i+X)がHレベルである期間は、図14に示すように、補償・書込期間Twが終了してから発光期間が開始するまでの間に含まれる。このため本実施形態では、この期間がオンバイアス印加期間Tobsであり、このオンバイアス印加期間Tobsの間、後続第2走査信号NS(i+X)のHレベルの電圧がオンバイアス電圧Vobsとして駆動トランジスタT4のソース端子に印加される。これにより、RFフレーム期間Trfにおいて、このオンバイアス電圧Vobsの印加時点から発光期間の開始時点まで比較的大きい電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に与えられる。このようにしてRFフレーム期間Trfにおいて比較的大きい電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に与えられる期間は、後述のNRFフレーム期間Tnrfにおける当該期間と同様、その開始時点が発光デューティに依存せず、その長さは発光デューティが低くなるほど長くなる。
【0096】
本実施形態では、図14に示すように、発光制御線EM1~EMnに加えて第1走査信号線PS1~PSnも、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfのいずれにおいても同様の形態で順次選択されるように駆動される。また、データ側駆動回路30は、NRFフレーム期間Tnrfでは、オンバイアス電圧Vobsを出力してデータ信号線Dj(j=1~m)に印加する。
【0097】
このような本実施形態においても、RFフレーム期間Trfにおいて補償・書込期間Twが終了してから発光期間が開始するまでの間にオンバイアス電圧Vobsの印加のためのオンバイアス印加期間Tobsが設けられていることから、RFフレーム期間TrfとNRFフレーム期間Tnrfとの間での駆動トランジスタT4のストレス状態の差異が低減される。これにより、本実施形態においても上記第1および第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0098】
図15は、本実施形態における画素回路15の第2構成を示す回路図であり、より詳しくは、i番目の第1走査信号線PSiおよびj番目のデータ信号線Djに対応する画素回路15すなわちi行j列目の画素回路Pix(i,j)の構成を示す回路図である(1≦i≦n、1≦j≦m)。この画素回路15は、バイアス印加回路151におけるバイアス印加トランジスタT8がN型である点で上記第1構成例による画素回路15(図13)と相違するが、その他の構成は上記第1構成例と同じである。本構成例におけるバイアス印加回路151も、後続第2走査信号NS(i+X)の電圧をオンバイアス電圧Vobsとして受け取る第1端子と、駆動トランジスタT4のソース端子に接続された第2端子を有している。これら第1および第2端子には、バイアス印加トランジスタT8のドレイン端子およびソース端子がそれぞれ接続されており、このバイアス印加トランジスタT8は、そのゲート端子をそのドレイン端子に接続されてダイオード接続形態となっている。
【0099】
本構成例による画素回路Pix(i,j)も、図14に示すように変化する第1走査信号PS(i)、第2走査信号NS(i),NS(i-2),NS(i+2)、発光制御信号EM(i)、データ信号D(j)により、上記第1構成例による画素回路Pix(i,j)と同様に動作する。したがって、本実施形態において本構成例による画素回路Pix(i,j)を使用する場合であっても、上記第1構成例による画素回路Pix(i,j)を使用した場合と同様の効果が得られる。
【0100】
<4.第4の実施形態>
次に、図16を参照して、第4の実施形態に係る有機EL表示装置について説明する。本実施形態に係る表示装置は、画素回路以外については上記第3の実施形態に係る表示装置と同様の構成を備え、本実施形態における画素回路は、バイアス印加回路以外については上記第3の実施形態における第2構成例による画素回路15(図15)と同じ構成を有している。そこで、本実施形態に係る表示装置の構成のうち上記第3の実施形態に係る表示装置の構成と同一または対応する部分には同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する(図6図14図15参照)。以下では、本実施形態の画素回路におけるバイアス印加回路の構成および動作を中心に本実施形態について説明する。
【0101】
図16の(A)~(D)は、それぞれ、本実施形態における画素回路の第1から第4構成例を説明するための回路図であり、図15に示す画素回路15のうち1点鎖線で囲まれた部分の構成をそれぞれ示している。本実施形態における第1から第4構成例による画素回路15は、いずれも、バイアス印加回路151以外については上記第3の実施形態における第2構成例による画素回路15(図15)と同じ構成を有している。また、本実施形態における第1から第4構成例による画素回路15であるi行j列目の画素回路Pix(i,j)のいずれにおいても、上記第3の実施形態と同様、対応第1走査信号線PSi、対応第2走査信号線NSi、先行第2走査信号線NSi-2、後続第2走査信号線NSi+X、対応発光制御線EMi、対応データ信号線Dj、初期化電圧線Vini、ハイレベル電源線ELVDD、および、ローレベル電源線ELVSSが接続されている(図15参照)。なお、後続第2走査信号線NSi+Xおよび後続第2走査信号NS(i+X)を特定する正の整数Xは、上記第3の実施形態と同様に選定される(図14に示す例ではX=2)。
【0102】
図16の(A)~(D)に示すように、上記第1から第4構成例による画素回路15のいずれに設けられたバイアス印加回路151も、オンバイアス電圧Vobsを受け取る第1端子と、駆動トランジスタT4のソース端子に接続された第2端子とを有し、当該第1および第2端子にそれぞれ接続されたドレイン端子およびソース端子を有するN型のバイアス印加トランジスタT8を含んでいる。上記第1から第4構成例のいずれにおいても、このバイアス印加トランジスタT8は、後続第2走査信号線NSi+Xに接続されたゲート端子を有し、スイッチング素子として動作する。上記第1から第4構成例による画素回路15では、バイアス印加回路151の第1端子がオンバイアス電圧Vobsを受け取るために当該第1端子に下記のような信号線または電圧線が接続されている。
【0103】
図16の(A)に示すように、上記第1構成例による画素回路15では、バイアス印加回路151の第1端子に、第1走査信号PS(i)または第2走査信号NS(i)等のHレベルの電圧VGHを供給するための電圧線(以下「ゲートハイレベル電圧線」という)が接続されていて電圧VGHがオンバイアス電圧Vobsとして与えられる。
【0104】
図16の(B)に示すように、上記第2構成例による画素回路15では、バイアス印加回路151の第1端子に、ハイレベル電源線ELVDDが接続されていてハイレベル電源電圧ELVDDがオンバイアス電圧Vobsとして与えられる。
【0105】
図16の(C)に示すように、上記第3構成例による画素回路15では、バイアス印加回路151の第1端子に、対応第1走査信号線PSiが接続されていて対応第1走査信号PS(i)のHレベルの電圧がオンバイアス電圧Vobsとして与えられる。
【0106】
図16の(D)に示すように、上記第4構成例による画素回路15では、バイアス印加回路151の第1端子に、対応発光制御線EMiが接続されていて発光制御信号EM(i)のHレベルの電圧がオンバイアス電圧Vobsとして与えられる。
【0107】
このように、バイアス印加回路151の第1端子(バイアス印加トランジスタT8のドレイン端子)に接続される信号線または電圧線は上記第1から第4構成によって異なる。しかし、本実施形態における第1から第4構成例による画素回路Pix(i,j)は、いずれも、図14に示すように変化する第1走査信号PS(i)、第2走査信号NS(i),NS(i-2),NS(i+2)、発光制御信号EM(i)、データ信号D(j)により、上記第3の実施形態における画素回路Pix(i,j)と同様に動作する(図14に示す例では第2走査信号NS(i+2)が後続第2走査信号NS(i+X)に相当する)。したがって、本実施形態によれば、画素回路Pix(i,j)につき上記第1から第4構成例のいずれを採用しても、上記第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0108】
なお、本実施形態における画素回路15では、N型のバイアス印加トランジスタT8が使用されているが(図16参照)、これに代えて、P型のバイアス印加トランジスタT8を使用し、バイアス印加トランジスタT8のゲート端子に対応する第1走査信号線PSiに後続する第1走査信号線PSi+Xを接続するようにしてもよい。このような構成によっても上記第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0109】
<5.第5の実施形態>
次に、図17および図18を参照して、第5の実施形態に係る有機EL表示装置について説明する。本実施形態に係る表示装置は、画素回路以外については上記第3の実施形態に係る表示装置と同様の構成を備えている。本実施形態における画素回路は、第1初期化トランジスタを備えていない点で上記第3の実施形態における画素回路と相違するが、他の構成は上記第3の実施形態における第1構成例による画素回路15(図13)と同様である。そこで、本実施形態に係る表示装置の構成のうち上記第3の実施形態に係る表示装置の構成と同一または対応する部分には同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する(図6図13参照)。ただし、図17に示すように、本実施形態における画素回路15では、第2発光制御トランジスタT6のゲート端子に、対応発光制御線EMiに代えて後続の発光制御線EMi+Yが接続されている。
【0110】
ここで、Yは正の整数であり、その値は次のように選定される。すなわち、図18に示すように、RFフレーム期間Trfにおいて、対応第2走査信号NS(i)がLレベルからHレベルへと変化した後に後続発光制御線EMi+Yの信号である後続発光制御信号EM(i+Y)がLレベルからHレベルへと変化し、かつ、後続発光制御信号EM(i+Y)におけるHレベルの期間(非アクティブ期間)が対応第2走査信号NS(i)におけるHレベルの期間(アクティブ期間)と部分的に重なるように選定されている。第1走査信号線PS1~PSnは、この重複期間内に対応第1走査信号線PSiの選択期間が含まれるように駆動される。これにより、補償・書込期間Twがこの重複期間内に設定される。
【0111】
以下、図17に示した画素回路15すなわち本実施形態におけるi行j列目の画素回路Pix(i,j)の動作を、図17とともに図18を参照して説明する。図18は、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfに含まれる非発光期間での画素回路Pix(i,j)の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0112】
まず、RFフレーム期間Trfにおける非発光期間での画素回路Pix(i,j)の動作について説明する。図18に示すように、非発光期間の開始時点(対応発光制御信号EM(i)がLレベルからHレベルへと変化する時点)では、対応第1走査信号PS(i)はHレベルであり、対応第2走査信号NS(i)、後続第2走査信号NS(i+X)、および後続発光制御信号EM(i+Y)はLレベルである。この非発光期間では、第2初期化トランジスタT7がオン状態であり、これにより有機EL素子OLのアノードが初期化される。
【0113】
この非発光期間内において、対応第2走査信号NS(i)がHレベルに変化してから後続発光制御信号EM(i+Y)がHレベルに変化するまでが初期化期間Tiniである。図18に示すように、この初期化期間Tiniでは、対応第2走査信号NS(i)および対応発光制御信号EM(i)がHレベルであり、後続発光制御信号EM(i+Y)がLレベルであるので、N型の閾値補償トランジスタT2、N型の第2初期化トランジスタT7、および、P型の第2発光制御トランジスタT6がいずれもオン状態である(図17参照)。このため、この初期化期間Tiniにおいて、駆動トランジスタT4のゲート端子に接続された保持キャパシタCstから、閾値補償トランジスタT2、第2発光制御トランジスタT6、第2初期化トランジスタT7を順に介して初期化電圧線Viniへと電流が流れて、駆動トランジスタT4のゲート電圧Vgが初期化電圧Viniに初期化される。
【0114】
初期化期間Tiniの後、対応第2走査信号NS(i)がHレベルからLレベルへと変化する時点までは、対応第2走査信号NS(i)および後続発光制御信号EM(i+Y)は共にHレベルであるので、N型の閾値補償トランジスタT2はオン状態であり、P型の第2発光制御トランジスタT6はオフ状態である。この期間において、対応第1走査信号PS(i)がHレベルからLレベルへと変化してからHレベルに戻るまでの期間が本実施形態における補償・書込期間Twである。この補償・書込期間Twでは、対応第1走査信号PS(i)がLレベルとなるので、P型の書込制御トランジスタT3はオン状態となる。したがって、この補償・書込期間Twにおいて、対応データ信号D(j)の電圧がデータ電圧Vdataとして、ダイオード接続状態の駆動トランジスタT4を介して保持キャパシタCstに与えられる。これにより、閾値補償の施されたデータ電圧が保持キャパシタCstに保持され、駆動トランジスタT4のゲート電圧Vgは、保持キャパシタCstの保持電圧に相当する値に維持される。
【0115】
後続第2走査信号NS(i+X)がHレベルである期間は、上記第3の実施形態と同様、図18に示すように、補償・書込期間Twが終了してから発光期間が開始するまでの間に含まれる。このため本実施形態においても、この期間がオンバイアス印加期間Tobsであり、このオンバイアス印加期間Tobsの間、後続第2走査信号NS(i+X)のHレベルの電圧が、ダイオード接続形態のバイアス印加トランジスタT8を介して、オンバイアス電圧Vobsとして駆動トランジスタT4のソース端子に印加される。これにより、RFフレーム期間Trfにおいて、このオンバイアス電圧Vobsの印加時点から発光期間の開始時点まで比較的大きい電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に与えられる。このようにしてRFフレーム期間Trfにおいて比較的大きい電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に与えられる期間は、後述のNRFフレーム期間Tnrfにおける当該期間と同様、その開始時点が発光デューティに依存せず、その長さは発光デューティが低くなるほど長くなる。なお本実施形態では、後続発光制御信号EM(i+Y)がHレベルからLレベルへと変化する時点が発光開始時点である。
【0116】
本実施形態においても、図18に示すように、発光制御線EM1~EMnに加えて第1走査信号線PS1~PSnも、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfのいずれにおいても同様の形態で順次選択されるように駆動される。また、データ側駆動回路30は、NRFフレーム期間Tnrfでは、オンバイアス電圧Vobsを出力してデータ信号線Dj(j=1~m)に印加する。
【0117】
このような本実施形態においても、RFフレーム期間Trfにおいて補償・書込期間Twが終了してから発光期間が開始するまでの間にオンバイアス電圧Vobsの印加のためのオンバイアス印加期間Tobsが設けられていることから、RFフレーム期間TrfとNRFフレーム期間Tnrfとの間での駆動トランジスタT4のストレス状態の差異が低減される。これにより、本実施形態においても上記第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0118】
また本実施形態では、RFフレーム期間Trfにおいて、駆動トランジスタT4のゲート電圧Vgの初期化のための経路が閾値補償トランジスタT2、第2発光制御トランジスタT6、および第2初期化トランジスタT7によって形成される。このため、保持キャパシタCstと初期化電圧線Viniとの間にゲート電圧初期化用のスイッチング素子としてのトランジスタを設ける必要がない(図17参照)。
【0119】
<6.第6の実施形態>
次に、図19および図20を参照して、第6の実施形態に係る有機EL表示装置について説明する。本実施形態に係る表示装置は、画素回路以外については上記第2の実施形態に係る表示装置と同様の構成を備えている。そこで以下では、本実施形態に係る表示装置の構成のうち上記第2の実施形態に係る表示装置の構成と同一または対応する部分には同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する(図6図11参照)。
【0120】
ただし、本実施形態では各画素回路15において、第1発光制御トランジスタT5がバイアス印加トランジスタとしても機能し、この第1発光制御トランジスタT5を制御するためにバイアス制御線PSB1~PSBnに代えて電源供給制御用の走査信号線(以下「電源供給制御線」という)ES1~ESnが表示部11に設けられている。これら電源供給制御線ES1~ESnは、第1走査信号線PS1~PSnにそれぞれ沿って配設されており、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfのいずれにおいても、順次、所定期間ずつ非活性化されるように、走査側駆動回路40によって駆動される。後述のように、本実施形態における第1発光制御トランジスタT5は、有機EL素子OLの駆動のための電源供給を制御するトランジスタとしても機能する。なお本実施形態では、上記第2の実施形態と同様、オンバイアス電圧線Lobsは不要であり、バイアス印加トランジスタとして機能する第1発光制御トランジスタT5のソース端子(バイアス印加回路151の第1端子に相当)に与えられるハイレベル電源電圧ELVDDがオンバイアス電圧Vobsとして利用される。
【0121】
図19は、本実施形態における画素回路15の構成を示す回路図であり、より詳しくは、i番目の第1走査信号線PSiおよびj番目のデータ信号線Djに対応する画素回路15すなわちi行j列目の画素回路Pix(i,j)の構成を示す回路図である(1≦i≦n、1≦j≦m)。この画素回路15は、バイアス印加回路151の構成を除き、上記第2の実施形態における画素回路15(図11)と同様の構成を有している。そこで、この画素回路15の構成のうちバイアス印加回路151以外の部分については、上記第2の実施形態における画素回路15の構成要素と同一の構成要素に同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する。
【0122】
図19に示すように、本実施形態における画素回路15では、上記第2の実施形態における画素回路15(図11)内のバイアス印加トランジスタT8が削除されており、第1発光制御トランジスタT5がバイアス印加トランジスタとして機能する。すなわち本実施形態では、バイアス印加回路151は、その第1および第2端子にそれぞれ接続されたソース端子およびドレイン端子を有する第1発光制御トランジスタT5をバイアス印加トランジスタとして含み、バイアス印加回路151の第1端子および第2端子は、ハイレベル電源線ELVDDおよび駆動トランジスタT4のソース端子にそれぞれ接続されている。本実施形態では、各画素回路Pix(i,j)は、表示部11に配設された電源供給制御線ES1~ESnのいずれか1つに対応し、各画素回路Pix(i,j)において後述のように電源供給制御トランジスタとしても機能する第1発光制御トランジスタT5のゲート端子に、対応発光制御線EMiに代えて、対応する電源供給制御線ESiが接続されている。なお以下では、対応電源供給制御線ESiの信号を「対応電源供給制御信号ES(i)」と呼ぶ。
【0123】
以下、図19に示した画素回路15すなわち本実施形態におけるi行j列目の画素回路Pix(i,j)の動作を、図19とともに図20を参照して説明する。図19は、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfに含まれる非発光期間での画素回路Pix(i,j)の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0124】
図20図12と比較すればわかるように、(駆動期間TD内の)RFフレーム期間Trfにおいて、本実施形態における画素回路Pix(i,j)を駆動するための第1走査信号PS(i)、第2走査信号NS(i),NS(i-2)、発光制御信号EM(i)、および、データ信号D(j)は、上記第2の実施形態における画素回路Pix(i,j)を駆動するための第1走査信号PS(i)、第2走査信号NS(i),NS(i-2)、発光制御信号EM(i)、および、データ信号D(j)と同様に変化する。これにより、本実施形態における画素回路15に含まれるスイッチング素子としてのトランジスタT1~T3,T6~T7が、上記第1の実施形態における画素回路15に含まれるスイッチング素子としてのトランジスタT1~T3,T6~T7と同様に動作することで、同様の初期化動作およびデータ書込動作が行われる。なお、第2の実施形態と同様、補償・書込期間Twにおいて、ダイオード接続状態の駆動トランジスタT4を介してデータ書込動作が行われることで閾値補償が行われる。
【0125】
図20に示すように本実施形態では、対応電源供給制御信号ES(i)は、RFフレーム期間Trfにおいて、その開始時点でLレベルであって補償・書込期間Twの間はHレベル(非アクティブ)であり、補償・書込期間Twの後、発光期間の開始前において、発光デューティに拘わらず一定のタイミングでHレベル(非アクティブ)からLレベル(アクティブ)へと変化する。対応電源供給制御信号ES(i)がHレベルに変化してから発光開始まで(対応発光制御信号EM(i)がLレベルに変化するまで)がオンバイアス印加期間Tobsである。このオンバイアス印加期間Tobsの間、ハイレベル電源電圧ELVDDがバイアス印加トランジスタとしての第1発光制御トランジスタT5を介して駆動トランジスタT4のソース端子にオンバイアス電圧Vobsとして印加される。既述のように本実施形態では、発光制御線EM1~EMnだけでなく電源供給制御線ES1~ESnも、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfのいずれにおいても同様の形態で駆動される。したがって、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfのいずれにおいても、このオンバイアス電圧Vobsの印加時点から発光期間の開始時点まで比較的大きな電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に加わる。この比較的大きい電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に与えられる期間は、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfのいずれにおいても、発光デューティが低くなるほど長くなる。
【0126】
このような本実施形態によれば、第1発光制御トランジスタT5がバイアス印加トランジスタとして機能するので、各画素回路15において新たにバイアス印加回路151を設けることなく、上記第2の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、発光デューティが低い場合であっても、RFフレーム期間TrfとNRFフレーム期間Tnrfとの間での駆動トランジスタT4のストレス状態の差異が低減され、その結果、リフレッシュフレーム期間Trfと非リフレッシュフレーム期間Tnrfの間での輝度差も低減され、発光デューティを低く設定して休止駆動を行ってもフリッカが視認されない。
【0127】
なお上記のように、NRFフレーム期間Tnrfにおいても、電源供給制御線ES1~ESnが駆動され、ハイレベル電源電圧ELVDDがオンバイアス電圧Vobsとして駆動トランジスタのT4のソース端子に印加される。このため、NRFフレーム期間Tnrfでは、データ信号線D(j)から駆動トランジスタT4にオンバイアス電圧Vobsを与える必要はない。したがって、NRFフレーム期間Tnrfにおいて、第1走査信号線PS1~PSnを駆動せずにHレベル(非選択状態)に維持するとともに、データ信号線D1~Dmも駆動せずに高インピーダンス状態に維持してもよい。しかし本実施形態では、図20に示すように、NRFフレーム期間Tnrfにおいて、データ側駆動回路30がオンバイアス電圧Vobsを各データ信号線Dj(j=1~m)に印加し、第1走査信号線PS1~PSnが順次選択される。このような構成によれば、より好適なオンバイアス電圧Vobsをデータ信号線D(j)を介して駆動トランジスタT4に供給することができる。
【0128】
<7.第7の実施形態>
次に、図21および図22を参照して、第7の実施形態に係る有機EL表示装置について説明する。本実施形態に係る表示装置は、上記第6の実施形態に係る表示装置の構成に類似した構成を有している。そこで、本実施形態に係る表示装置の構成のうち上記第6の実施形態に係る表示装置の構成と同一または対応する部分には同一の参照符号を付して詳しい説明を省略し(図6図19参照)、以下では、両者の間で相違する部分の構成および動作を中心に本実施形態について説明する。
【0129】
本実施形態では、電源供給制御線ES1~ESnは設けられておらず、各画素回路における駆動トランジスタに対するオンバイアス印加の制御には、対応する電源供給制御線ESiに代えて、対応する発光制御線EMiに後続する発光制御線EMi+Xが使用される。また、本実施形態では、発光制御信号EM(1)~EM(n)が有機EL素子の発光の制御だけでなく駆動トランジスタT4へのオンバイアス印加の制御にも使用される。このために、本実施形態における発光制御信号EM(1)~EM(n)の波形は、上記第6実施形態における発光制御信号EM(1)~EM(n)の波形と異なっている(図20図22参照)。これらの詳細については後述する。
【0130】
図21は、本実施形態における画素回路15の構成を示す回路図であり、より詳しくは、i番目の第1走査信号線PSiおよびj番目のデータ信号線Djに対応する画素回路15すなわちi行j列目の画素回路Pix(i,j)の構成を示す回路図である(1≦i≦n、1≦j≦m)。図21図19と比較すればわかるように、この画素回路15は、上記第6の実施形態における画素回路と同様の構成を有しており、第1発光制御トランジスタT5がバイアス印加トランジスタとして機能する。ただし、第1発光制御トランジスタT5のゲート端子には、対応電源供給制御線ESiに代えて、対応発光制御線EMiに後続する所定の発光制御線(以下、単に「後続発光制御線」という)EMi+Xが接続されている。本実施形態における画素回路15は、この点以外については上記第6の実施形態における画素回路15(図19)と同様の構成を有している。そこで、この画素回路15については、上記第6の実施形態における画素回路15の構成要素と同一の構成要素に同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する。なお以下において、続発光制御線EMi+Xの信号を「後続発光制御信号EM(i+X)」と呼ぶ。また、続発光制御線EMi+Xを特定するXの値は、発光制御信号EM(i)の波形とともに以下で詳述する。
【0131】
以下、図21に示した画素回路15すなわち本実施形態におけるi行j列目の画素回路Pix(i,j)の動作を、図21とともに図22を参照して説明する。図22は、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfに含まれる非発光期間での画素回路Pix(i,j)の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0132】
図22図20と比較すればわかるように、(駆動期間TD内の)RFフレーム期間Trfにおいて、本実施形態における画素回路Pix(i,j)を駆動するための第1走査信号PS(i)、第2走査信号NS(i),NS(i-2)、および、データ信号D(j)は、上記第6の実施形態における画素回路Pix(i,j)を駆動するための第1走査信号PS(i)、第2走査信号NS(i),NS(i-2)、および、データ信号D(j)と同様に変化する。また図22に示すように、先行第2走査信号NS(i-2)がHレベルであることにより第1初期化トランジスタT1がオン状態である期間では、対応発光制御信号EM(i)および後続発光制御信号EM(i+X)の少なくとも一方がHレベルであることより第1および第2発光制御トランジスタT5,T6のうち少なくとも一方はオフ状態である。また、対応第2走査信号NS(i)がHレベルであることにより閾値補償トランジスタT2がオン状態である期間では、対応発光制御信号EM(i)および後続発光制御信号EM(i+X)の双方がHレベルであることより第1および第2発光制御トランジスタT5,T6の双方がオフ状態である。したがって、本実施形態における画素回路15に含まれるスイッチング素子としてのトランジスタT1~T3が、上記第1の実施形態における画素回路15に含まれるスイッチング素子としてのトランジスタT1~T3と同様に動作することで、同様の初期化動作およびデータ書込動作が行われる。なお、第6の実施形態と同様、補償・書込期間Twにおいて、ダイオード接続状態の駆動トランジスタT4を介してデータ書込動作が行われることで閾値補償が行われる。
【0133】
既述のように、第1発光制御トランジスタはバイアス印加トランジスタとして機能し、そのゲート端子には後続発光制御線EMi+Xが接続されている。このため、後続発光制御信号EM(i+X)によりバイアス印加トランジスタのオン・オフが制御される。本実施形態では、補償・書込期間Twの後で発光期間(制御信号EM(i),EM(i+X)のいずれもがLレベルである期間)の開始時点までにオンバイアス印加期間Tobsを設けるために、図22に示すように、非発光期間(制御信号EM(i),EM(i+X)の少なくとも一方がHレベルである期間)において、補償・書込期間Twの後で発光期間の開始前に後続発光制御信号EM(i+X)が所定期間だけLレベルとなる(以下、この所定期間を「オンバイアス用アクティブ期間」という)。このオンバイアス用アクティブ期間の位置(開始時点)は発光デューティに依存しないように設定される。本実施形態における走査側駆動回路40は、発光制御信号EM(1)~EM(n)を、それぞれがこのようなオンバイアス用アクティブ期間を有するように生成し、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfのいずれにおいても、これらの発光制御信号EM(1)~EM(n)により発光制御線EM1~EMnをそれぞれ駆動する。
【0134】
ここで、各発光制御線EMiに対応する画素回路Pix(i,j)につき、図22に示すように、閾値補償を伴うデータ書込のために対応第2走査信号NS(i)がHレベル(アクティブ)である期間の後であって発光期間の開始前に対応発光制御信号EM(i)がオンバイアス用アクティブ期間だけLレベル(アクティブ)となり、対応発光制御信号EM(i)のオンバイアス用アクティブ期間と後続発光制御信号EM(i+X)のオンバイアス用アクティブ期間とが重複しないように、後続発光制御線EMi+Xを特定する正の整数としてのXの値が選定されている。
【0135】
上記のような本実施形態によれば、後続発光制御信号EM(i+X)によりバイアス印加が制御され、後続発光制御信号EM(i+X)のオンバイアス用アクティブ期間がオンバイアス印加期間Tobsとなるので(図22参照)、バイアス制御線PSB1~PSBnやそれらに相当する電源供給制御線ES1~ESnを設けることなく、上記第6の実施形態と同様の効果が得られる。
【0136】
なお、本実施形態では、画素回路Pix(i,j)においてバイアス印加トランジスタとして機能する第1発光制御トランジスタT5のゲート端子に与えられる発光制御信号EM(i+X)は後続発光制御信号EM(i+X)であって、それを特定するXは正の整数である。しかし、負の整数をXとして選定し、バイアス印加トランジスタとして機能する第1発光制御トランジスタT5のゲート端子に先行発光制御信号EM(i+X)を与えるようにしてもよい。この変形例では、画素回路Pix(i,j)についての対応発光制御信号EM(i)および先行発光制御信号EM(i+X)は、図22に示す後続発光制御信号EM(i+X)および対応発光制御信号EM(i)にそれぞれ対応することになる。ただし、この変形例では、駆動トランジスタT4のソース端子へのオンバイアス電圧Vobsの印加後に第2発光制御トランジスタT6がオン状態となり、これにより当該ソース端子の電位が低下する。このため、Xとしては、負の整数よりも正の整数を選定する方が好ましい。
【0137】
<8.第8の実施形態>
次に、図23および図24を参照して、第8の実施形態に係る有機EL表示装置について説明する。本実施形態に係る表示装置は、画素回路以外については上記第3の実施形態に係る表示装置の構成と略同様の構成を有している。そこで、本実施形態に係る表示装置の構成のうち上記第3の実施形態に係る表示装置の構成と同一または対応する部分には同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する(図6図13図15参照)。以下では、本実施形態の画素回路におけるバイアス印加回路の構成および動作を中心に本実施形態について説明する。
【0138】
図23は、本実施形態における画素回路15の構成を示す回路図であり、より詳しくは、i番目の第1走査信号線PSiおよびj番目のデータ信号線Djに対応する画素回路15すなわちi行j列目の画素回路Pix(i,j)の構成を示す回路図である(1≦i≦n、1≦j≦m)。この画素回路15は、バイアス印加回路151の構成を除き、上記第3の実施形態における画素回路15(図13図15)と同様の構成を有している。そこで、この画素回路15の構成のうちバイアス印加回路151以外の部分については、上記第3の実施形態における画素回路15の構成要素と同一の構成要素に同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する。
【0139】
図23に示すように、本実施形態における画素回路15であるi行j列目の画素回路Pix(i,j)には、対応第1走査信号線PSi、対応第2走査信号線NSi、先行第2走査信号線NSi-2、対応発光制御線EMi、対応データ信号線Dj、初期化電圧線Vini、ハイレベル電源線ELVDD、および、ローレベル電源線ELVSSが接続されており、更に、対応発光制御線EMiに後続する発光制御線EMi+Xが接続されている。ここで、Xは、正の整数であって、RFフレーム期間Trfにおいて、画素回路Pix(i,j)につき閾値補償を伴うデータ書込が完了した後であって対応発光制御信号EM(i)がHレベルからLレベルへと変化する前に、当該後続の発光制御線EMi+Xの発光制御信号EM(i+X)がLレベルからHレベルへと変化するように選定されている(図24参照)。以下、画素回路Pix(i,j)に注目した説明において、このようなXにより特定される後続の発光制御線EMi+Xを単に「後続発光制御線EMi+X」といい、後続発光制御線EMi+Xの信号を「後続発光制御信号EM(i+X)」という。
【0140】
本実施形態における画素回路15に設けられたバイアス印加回路151は、図23に示すように、後続発光制御線EMi+Xに接続されて後続発光制御信号EM(i+X)の電圧をオンバイアス印加信号Sobsとして受け取る第1端子と、駆動トランジスタT4のソース端子に接続された第2端子とを有し、バイアス印加キャパシタCobを含んでいる。このバイアス印加回路151において、その第1端子はバイアス印加キャパシタCobを介してその第2端子に接続されている。
【0141】
次に、図23に示した画素回路15すなわち本実施形態におけるi行j列目の画素回路Pix(i,j)の動作を、図24を参照して説明する。図24は、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfに含まれる非発光期間での画素回路Pix(i,j)の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0142】
図24図14と比較すればわかるように、(駆動期間TD内の)RFフレーム期間Trfにおいて、本実施形態における画素回路Pix(i,j)を駆動するための第1走査信号PS(i)、第2走査信号NS(i),NS(i-2)、発光制御信号EM(i)、および、データ信号D(j)は、上記第3の実施形態における画素回路Pix(i,j)を駆動するための第1走査信号PS(i)、第2走査信号NS(i),NS(i-2)、発光制御信号EM(i)、および、データ信号D(j)と同様に変化する。これにより、本実施形態における画素回路15に含まれるスイッチング素子としてのトランジスタT1~T3,T5~T7が、上記第3の実施形態における画素回路15に含まれるスイッチング素子としてのトランジスタT1~T3,T5~T7と同様に動作することで、同様の初期化動作およびデータ書込動作が行われる。
【0143】
図23に示すように本実施形態における画素回路Pix(i,j)では、バイアス印加回路151は、その第1端子において後続発光制御信号EM(i+X)を受け取る。この第1端子は、バイアス印加キャパシタCobを介して駆動トランジスタT4のソース端子(図23に示すノードNdS)に接続されている。既述のように、後続発光制御信号EM(i+X)は、RFフレーム期間Trfにおいて、閾値補償を伴うデータ書込が完了した後(より正確には対応第2走査信号NS(i)のLレベルへの変化によって閾値補償トランジスタT2がオフ状態に変化した後)であって対応発光制御信号EM(i)がHレベルからLレベルへと変化する前(発光期間の開始前)に、LレベルからHレベルへと変化する(図24参照)。この時点において、駆動トランジスタT4のソース端子を含むノードNdSはフローティング状態であるので、そのソース端子の電圧(以下「ソース電圧」ともいう)Vsは、後続発光制御信号EM(i+X)のLレベルからHレベルへの変化と同じ方向に変化する。すなわち、駆動トランジスタT4のソース電圧Vsは、後続発光制御信号EM(i+X)のLレベルからHレベルへの変化に応じて上昇する。なお、このソース電圧Vsの上昇分は、バイアス印加キャパシタCobの容量を上記ノードNdSに付加されている寄生容量に比べて十分に大きく設定することにより、後続発光制御信号EM(i+X)におけるLレベルとHレベルとの電圧差に略等しくすることができる。
【0144】
RFフレーム期間Trfでは、上記のような動作により、後続発光制御信号EM(i+X)がLレベルからHレベルへと変化する時点(図24における上向き矢印参照)から発光期間の開始時点まで比較的大きな電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に加わる。本実施形態では、このようにして比較的大きな電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に加わる期間がオンバイアス印加期間Tobsである。このオンバイアス印加期間Tobsは、NRFフレーム期間Tnrfにおける後述のオンバイアス印加期間Tobsと同様、その開始時点が発光デューティに依存せず、その長さは発光デューティが低くなるほど長くなる。
【0145】
本実施形態における(休止期間TP内の)NRFフレーム期間Tnrfでは、第1走査信号線PS1~PSn、第2走査信号線NS-1~NSn、および、データ信号線D1~Dmはいずれも駆動されず、第1走査信号PS(1)~PS(n)はHレベルに、第2走査信号NS(-1)~NS(n)はLレベルにそれぞれ維持され、データ信号D(1)~D(m)は高インピーダンス状態となっている(図24参照)。一方、図24に示すように、発光制御線EM1~EMnは、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfのいずれにおいても同様の形態で駆動される。このため、NRFフレーム期間Tnrfにおいても、RFフレーム期間Trfと同様、後続発光制御信号EM(i+X)がHレベルへと変化する時点(図24における上向き矢印参照)から対応発光制御信号EM(i)がLレベルへと変化する時点までがオンバイアス印加期間Tobsである。このオンバイアス印加期間Tobsにおいても、RFフレーム期間Trfにおけるオンバイアス印加期間Tobsでの電圧ストレス(Vgs)と同じ大きさの電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に加わる。
【0146】
上記のような本実施形態によれば、上記第3の実施形態と同様、発光デューティが低い場合であっても、RFフレーム期間TrfとNRFフレーム期間Tnrfとの間での駆動トランジスタT4のストレス状態の差異が低減される。その結果、リフレッシュフレーム期間Trfと非リフレッシュフレーム期間Tnrfの間での輝度差も低減され、発光デューティを低く設定して休止駆動を行ってもフリッカが視認されない。すなわち、本実施形態によっても、休止駆動を行う場合において発光デューティに依存することのないフリッカ抑制効果が得られる。
【0147】
また、本実施形態によれば、NRFフレーム期間Tnrfでは、第1走査信号線PS1~PSn、第2走査信号線NS-1~NSn、および、データ信号線D1~Dmはいずれも駆動されないので(図24参照)、休止駆動により消費電力を既述の他の実施形態よりも大きく低減することができる。
【0148】
<9.第9の実施形態>
次に、図25および図26を参照して、第9の実施形態に係る有機EL表示装置について説明する。本実施形態に係る表示装置は、上記第8の実施形態に係る表示装置と同様、画素回路に含まれるバイアス印加回路がバイアス印加キャパシタCobにより構成されている。しかし、本実施形態は、オンバイアス印加信号Sobsとしてバイアス印加回路に与えられる駆動信号において上記第8の実施形態と相違し、これに応じて画素回路の駆動信号の波形においても第8実施形態と相違する点がある。しかし、これら以外については、本実施形態に係る表示装置は、上記第8の実施形態に係る表示装置と同様の構成を有している。そこで、本実施形態に係る表示装置の構成のうち上記第8の実施形態に係る表示装置の構成と同一または対応する部分には同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する(図6図23参照)。
【0149】
図25は、本実施形態における画素回路15の構成を示す回路図であり、より詳しくは、i番目の第1走査信号線PSiおよびj番目のデータ信号線Djに対応する画素回路15すなわちi行j列目の画素回路Pix(i,j)の構成を示す回路図である(1≦i≦n、1≦j≦m)。この画素回路15は、バイアス印加回路151を構成するバイアス印加キャパシタCobの接続形態を除き、上記第8の実施形態における画素回路15(図23)と同様の構成を有している。そこで、この画素回路15については、第8の実施形態における画素回路15の構成要素と同一または対応する構成要素に同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する。
【0150】
図25に示すように、本実施形態における画素回路15であるi行j列目の画素回路Pix(i,j)には、対応第1走査信号線PSi、対応第2走査信号線NSi、先行第2走査信号線NSi-2、対応発光制御線EMi、対応データ信号線Dj、初期化電圧線Vini、ハイレベル電源線ELVDD、および、ローレベル電源線ELVSSが接続されており、上記第8の実施形態における画素回路15(図23)とは異なり、後続発光制御線EMi+Xは接続されていない。
【0151】
本実施形態における画素回路Pix(i,j)に設けられたバイアス印加回路151もバイアス印加キャパシタCobを含み、このバイアス印加回路151において、その第1端子はバイアス印加キャパシタCobを介してその第2端子に接続されている(図25参照)。このバイアス印加回路151は、図25に示すように、その第1端子を対応第1走査信号線PSiに接続され、その第2端子を駆動トランジスタT4のソース端子(図25に示すノードNdS)に接続されている。したがって、対応第1走査信号線PSiが接続された書込制御トランジスタT3のゲート端子は、バイアス印加キャパシタCobを介して、書込制御トランジスタT3のドレイン端子を含むノードNdSに接続されている。なお、このような接続形態を考慮し、画素回路Pix(i,j)の書込制御トランジスタT3におけるゲート・ドレイン間の寄生容量をバイアス印加キャパシタCobとして利用してもよい。
【0152】
次に、図25に示した画素回路15すなわち本実施形態におけるi行j列目の画素回路Pix(i,j)の動作を、図26を参照して説明する。図26は、RFフレーム期間TrfおよびNRFフレーム期間Tnrfに含まれる非発光期間での画素回路Pix(i,j)の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0153】
図26図24と比較すればわかるように、(駆動期間TD内の)RFフレーム期間Trfにおいて、本実施形態における画素回路Pix(i,j)を駆動するための第1走査信号PS(i)、第2走査信号NS(i),NS(i-2)、発光制御信号EM(i)、および、データ信号D(j)は、上記第8の実施形態における画素回路Pix(i,j)を駆動するための第1走査信号PS(i)、第2走査信号NS(i),NS(i-2)、発光制御信号EM(i)、および、データ信号D(j)と同様に変化する。これにより、本実施形態における画素回路15に含まれるスイッチング素子としてのトランジスタT1~T3,T5~T7が、上記第8の実施形態における画素回路15に含まれるスイッチング素子としてのトランジスタT1~T3,T5~T7と同様に動作することで、同様の初期化動作およびデータ書込動作が行われる。
【0154】
図25に示すように本実施形態における画素回路Pix(i,j)では、バイアス印加回路151は、その第1端子において対応第1走査信号PS(i)を受け取る。図26に示すように、この対応第1走査信号PS(i)は、第8の実施形態とは異なり、補償・書込期間Twにおいて所定期間だけLレベル(アクティブ)となるだけでなく、この補償・書込期間Twが完了してから発光期間(対応発光制御信号EM(i)がLレベルである期間)が開始されるまでの間に、再び所定期間だけLレベルとなる。すなわち、本実施形態では、走査側駆動回路40は、各第1走査信号線PSiに対応する画素回路Pix(i,j)につき、対応第1走査信号線PSiが補償・書込期間Tw内で選択状態となるだけでなく、閾値補償を伴うデータ書込のために対応第2走査信号NS(i)がHレベルである期間の後であって発光期間の開始前においても所定期間だけ選択状態となるように、第1走査信号線PS1~PSnを駆動する。
【0155】
このような第1走査信号線PS1~PSnの駆動により、画素回路Pix(i,j)の対応第1走査信号PS(i)は、RFフレーム期間Trfにおいて、閾値補償を伴うデータ書込が完了した後(より正確には対応第2走査信号NS(i)のLレベルへの変化によって閾値補償トランジスタT2がオフ状態に変化した後)にHレベルからLレベルへと変化し、所定期間だけLレベルを維持し、対応発光制御信号EM(i)がHレベルからLレベルへと変化する前に、LレベルからHレベルへと変化する(図26参照)。このようにして補償・書込期間Twの後で発光期間の開始前において対応第1走査信号PS(i)がLレベルからHレベルに変化する時点では(図26における上向き矢印参照)、駆動トランジスタT4のソース端子を含むノードNdSはフローティング状態である。このため、駆動トランジスタT4のソース端子の電圧(ソース電圧)Vsは、対応第1走査信号PS(i)のLレベルからHレベルへの変化と同じ方向に変化する。すなわち、駆動トランジスタT4のソース電圧Vsは、対応第1走査信号PS(i)のLレベルからHレベルへの変化に応じて上昇する。なお、このソース電圧Vsの上昇分は、バイアス印加キャパシタCobの容量を上記ノードNdSに付加されている寄生容量に比べて十分に大きく設定し、かつ、対応第1走査信号PS(i)の立ち上がり時間を十分に短くすることにより、対応第1走査信号PS(i)におけるLレベルとHレベルとの電圧差に略等しくすることができる。
【0156】
RFフレーム期間Trfでは、上記のような動作により、補償・書込期間Twの後で発光期間の開始前に対応第1走査信号PS(i)がLレベルからHレベルに変化する時点(図26における上向き矢印参照)から発光期間の開始時点まで比較的大きな電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に加わる。本実施形態では、補償・書込期間Twの後で発光期間の開始前に対応第1走査信号PS(i)がLレベルである期間をオンバイアス印加期間Tobsとしており、このオンバイアス印加期間Tobsの終了時点で対応第1走査信号PS(i)がLレベルからHレベルへと変化し、この時点から対応発光制御信号EM(i)がHレベルからLレベルに変化する時点まで比較的大きな電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に加わることになる。このようにして比較的大きな電圧ストレス(Vgs)が駆動トランジスタT4に加わる期間は、その開始時点が発光デューティに依存せず、その長さは発光デューティが低くなるほど長くなる。なお、オンバイアス印加期間Tobsでは、i+2行目の画素回路Pix(i+2,j)に書き込むべきデータ電圧でノードNdSが充電されるので、上記電圧ストレス(Vgs)の大きさはi+2番目の走査期間でのデータ信号D(j)の電圧に依存する。
【0157】
本実施形態における(休止期間TP内の)NRFフレーム期間Tnrfでは、第2走査信号線NS-1~NSnは駆動されず、第2走査信号NS(-1)~NS(n)はLレベルに維持されるが、上記第8の実施形態とは異なり、図26に示すように、第1走査信号線PS1~PSnはNRFフレーム期間TnrfにおいてもRFフレーム期間と同様の形態で駆動される。また、発光制御線EM1~EMnも、NRFフレーム期間Tnrfにおいて、RFフレーム期間Trfと同様の形態で駆動される。さらに、各データ信号線Djには、NRFフレーム期間Tnrfの間、データ側駆動回路30からオンバイアス電圧Vobsが印加される。
【0158】
上記のような動作により、NRFフレーム期間Tnrfにおいても、RFフレーム期間と同様、各画素回路Pix(i,j)につき対応第1走査信号PS(i)がLレベルである期間が2回現れ(図26参照)、データ側駆動回路30から出力されるオンバイアス電圧Vobsが両期間において対応データ信号線Djから書込制御トランジスタT3を介して駆動トランジスタT4のソース端子(ノードNdS)に与えられる。本実施形態では、当該両期間のうち先行期間の開始時点から後続期間の終了時点までをオンバイアス印加期間Tobsとしており、このオンバイアス印加期間Tobsの開始時点(NRFフレーム期間Tnrfにおいて対応第1走査信号PS(i)が最初にHレベルからLレベルに変化する時点)から発光期間の開始時点(対応発光制御信号EM(i)がHレベルからLレベルに変化する時点)まで、比較的大きな電圧ストレスが駆動トランジスタT4に加えられる。また、この比較的大きな電圧ストレスが駆動トランジスタT4に加えられる期間は、NRFフレーム期間Tnrfにおいても、その開始時点が発光デューティに依存せず、その長さは発光デューティが低くなるほど長くなる。なお、この電圧ストレス(Vgs)は、データ側駆動回路30から出力されるオンバイアス電圧Vobsに基づくものであるので、この電圧ストレス(Vgs)をRFフレーム期間Trfにおける駆動トランジスタT4への電圧ストレス(Vgs)の大きさを考慮して好適な値に設定することができる。
【0159】
上記のような本実施形態によれば、上記第8の実施形態と同様、発光デューティが低い場合であっても、RFフレーム期間TrfとNRFフレーム期間Tnrfとの間での駆動トランジスタT4のストレス状態の差異が低減される。その結果、リフレッシュフレーム期間Trfと非リフレッシュフレーム期間Tnrfの間での輝度差も低減され、発光デューティを低く設定して休止駆動を行ってもフリッカが視認されない。すなわち、本実施形態によれば、休止駆動を行う場合において発光デューティに依存することのないフリッカ抑制効果が得られる。
【0160】
<10.変形例>
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて種々の変形を施すことができる。例えば、下記のような変形例が考えられる。
【0161】
上記各実施形態では、画素回路15や走査側駆動回路40内の単位回路は、P型トランジスタとN型トランジスタの双方を含み、典型的には、P型トランジスタについては移動度の高いLTPS-TFTが使用され、N型トランジスタについてオフリーク特性が良いIGZO-TFT等の酸化物TFTが使用される。しかし、これらのTFTに限定されるものではなく、また、使用すべきトランジスタのチャネル型をP型とN型の間で適宜に変更して同様に動作するように構成されていてもよい。例えば、各実施形態においてP型のLTPS-TFTに代えてN型のLTPS-TFTを使用した構成を採用してもよい。
【0162】
上記各実施形態に係る表示装置では、図9等に示すように構成された画素回路15が使用されているが、画素回路の構成はこれに限定されず、閾値補償トランジスタを含む内部補償方式の画素回路であって、保持キャパシタに書き込まれたデータ電圧を保持しつつ、駆動トランジスタのヒステリシス特性による閾値シフトの低減のためのバイアス電圧の印加が可能に構成された画素回路であればよい。
【0163】
上記各実施形態に係る表示装置のように休止駆動モードを有する有機EL表示装置では、通常、駆動期間TDおよび休止期間TPのいずれにおいても同じ発光デューティとなるように発光制御線EM1~EMnが駆動されるが、駆動期間TDと休止期間TPとで異なる発光デューティを設定できるように構成されていてもよい。
【0164】
以上においては、有機EL表示装置を例に挙げて各実施形態が説明されたが、本発明は、有機EL表示装置に限定されるものではなく、電流で駆動される表示素子を用いた内部補償方式の表示装置であって休止駆動を行う表示装置であれば適用可能である。ここで使用可能な表示素子は、例えば、有機EL素子すなわち有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode(OLED))の他、無機発光ダイオードや量子ドット発光ダイオード(Quantum dot Light Emitting Diode(QLED))等である。
【0165】
なお、以上に述べた表示装置の特徴をその性質に反せず本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に組み合せて、上記実施形態および変形例のうちの幾つかの特徴を併せ持つ表示装置を構成してもよい。
【符号の説明】
【0166】
10 …有機EL表示装置
11 …表示部
15 …画素回路
20 …表示制御回路
30 …データ側駆動回路(データ信号線駆動回路)
40 …走査側駆動回路(走査信号線駆動回路/発光制御回路/バイアス制御回路)
151 …バイアス印加回路
Pix(j,i)…画素回路(i=1~n、j=1~m)
PSi …第1走査信号線(i=1,2,…,n)
NSi …第2走査信号線(i=-1,0,1,…,n)
EMi …発光制御線(i=1~n)
PSBi…バイアス制御線(i=1~n)
Lobs…オンバイアス電圧線
Dj …データ信号線(j=1~m)
ELVDD…ハイレベル電源線(第1電源線)、ハイレベル電源電圧
ELVSS…ローレベル電源線(第2電源線)、ローレベル電源電圧
OL …有機EL素子(表示素子)
Cst …保持キャパシタ
Cob …バイアス印加キャパシタ
T1 …第1初期化トランジスタ
T2 …閾値補償トランジスタ
T3 …書込制御トランジスタ
T4 …駆動トランジスタ
T5 …第1発光制御トランジスタ
T6 …第2発光制御トランジスタ
T7 …第2初期化トランジスタ
T8 …バイアス印加トランジスタ
TD …駆動期間
TP …休止期間
Trf …リフレッシュフレーム期間(RFフレーム期間)
Tnrf…非リフレッシュフレーム期間(NRFフレーム期間)
Vobs…オンバイアス電圧
Sobs…オンバイアス信号

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26