(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】両面帯電防止シリコーン離型フィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20241119BHJP
B32B 7/06 20190101ALI20241119BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20241119BHJP
B32B 27/26 20060101ALI20241119BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
B32B27/00 L
B32B27/00 101
B32B7/06
B32B27/18 D
B32B27/26
B32B27/36
B32B27/18 J
(21)【出願番号】P 2023557813
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 KR2021014244
(87)【国際公開番号】W WO2022220349
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0050070
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501380081
【氏名又は名称】東レ先端素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】TORAY ADVANCED MATERIALS KOREA, INC.
【住所又は居所原語表記】93-1, Imsu-dong, Gumi-si, Gyeongsangbuk-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】イ, ジュン ファン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ドン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ユン, ジョン ウク
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/189882(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/133092(WO,A1)
【文献】特開2007-321014(JP,A)
【文献】国際公開第2016/063793(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/00
B32B 7/06
B32B 27/18
B32B 27/26
B32B 27/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、
前記基材フィルムの一面に位置する帯電防止シリコーン離型組成物の硬化層である帯電防止シリコーン離型層と、
前記基材フィルムの他面に位置する帯電防止組成物の硬化層である帯電防止層とを含む、両面帯電防止シリコーン離型フィルム
であって、
前記帯電防止シリコーン離型組成物は、アルケニルポリシロキサン、ハイドロジェンポリシロキサン、導電性ポリマー樹脂、バインダー化合物及び白金キレート触媒を含み、
前記帯電防止組成物は、ポリエステル系バインダー、帯電防止粒子、架橋剤及び界面活性剤を含む、両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項2】
前記帯電防止粒子は、導電性ポリマー樹脂である、請求項
1に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項3】
前記導電性ポリマー樹脂は、平均粒径が10ないし90nmで、ポリ陰イオンとポリチオフェンが含まれた水分散体またはポリ陰イオンとポリチオフェン誘導体が含まれた水分散体である、請求項
2に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項4】
前記帯電防止組成物は、ポリエステル系バインダー100重量部に対して帯電防止粒子10ないし50重量部を含む、請求項
1に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項5】
前記帯電防止組成物は、0.5ないし3重量%の固形分を含む、請求項1に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項6】
前記帯電防止層の乾燥厚は、5ないし30nmである、請求項1に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項7】
前記帯電防止シリコーン離型組成物は、アルケニルポリシロキサン100重量部に対してハイドロジェンポリシロキサン1重量部ないし10重量部、導電性ポリマー樹脂1ないし5重量部、エポキシ系バインダー化合物10重量部~20重量部及び白金キレート触媒10ppmないし1,000ppmを含む、請求項1に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項8】
前記帯電防止シリコーン離型組成物は、2.5ないし15重量%の固形分を含む、請求項1に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項9】
前記帯電防止シリコーン離型層の乾燥厚は、0.01ないし10μmである、請求項1に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項10】
前記帯電防止シリコーン離型層は、シリコーン離型特性を表すシリコンイオンと帯電防止特性を表す硫黄イオンのインテンシティ比(Si
-/S
-)が1未満である帯電防止領域と10超過であるシリコーン離型領域とを含む、請求項1に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項11】
前記帯電防止シリコーン離型層のインテンシティ比(Si
-/S
-)は、前記基材フィルムとの境界と最も遠い最上部において10~10,000で、前記基材フィルムの境界である最下部において0.001~1である、請求項
9に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項12】
前記帯電防止領域と前記シリコーン離型領域の厚さ割合は、下記数式1を満たすものの、
(数式1)
1/10<AV/RV<1/3で、
式中、AVは、帯電防止領域の厚さで、RVは、シリコーン離型領域の厚さである、請求項
10に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項13】
前記帯電防止層の摩擦係数値は、0.05~0.3である、請求項1ないし
12のうち、いずれか1項に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項14】
前記帯電防止層の水接触角は、70ないし80度である、請求項1ないし
12のうち、いずれか1項に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項15】
前記両面帯電防止シリコーン離型フィルムは、帯電防止シリコーン離型層上に粘着剤及び粘着基材フィルムからなる粘着フィルムを合紙させた状態で同じ合紙フィルムを2枚以上積層した状態で80℃温度で6ケ月間エージングした後、合紙フィルム間分離時粘着基材フィルムと帯電防止シリコーン離型層界面のせん断強度は、5N/m
2以下である、請求項1ないし
12のうち、いずれか1項に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項16】
前記帯電防止シリコーン離型層の表面抵抗は、1×10^4ないし1×10^9Ω/sqである、請求項1ないし
12のうち、いずれか1項に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項17】
前記帯電防止層の表面抵抗は、1×10^4ないし1×10^10Ω/sqである、請求項1ないし
12のうち、いずれか1項に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【請求項18】
前記帯電防止シリコーン離型層は、下記数式2ないし3を同時に満たすものの、
(数式2)
5≦RF≦30
(数式3)
80≦SA≦100
式中、RF(g/inch)は、帯電防止シリコーン離型層の剥離力で、SA(%)は、帯電防止シリコーン離型層の残留接着率である、請求項1ないし
12のうち、いずれか1項に記載の両面帯電防止シリコーン離型フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面帯電防止シリコーン離型フィルムに関し、さらに具体的に優れた帯電防止機能で粘着剤との剥離時に静電気現象による問題が発生せず、硬化層と基材との付着力に優れ、硬化層の架橋度が高くて時間経過及び温度と湿度に応じる物性の経時変化がなく、安定した離型特性を有する両面帯電防止シリコーン離型フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体、電機電子及びディスプレイ分野の産業化発達が急激に増加するにつれて、これらの技術分野に合成樹脂または合成繊維の使用が急増しつつあり、これにより加工工程での静電気問題が台頭している。
【0003】
一般に、粘着剤層を保護する機能のために使用される離型フィルム分野でも帯電防止機能に対する要求が次第に増加している。従来には、離型フィルムを粘着剤層から分離する時に発生する静電気によって発生される汚染現象、剥離不良などの問題を解決するために、粘着剤に帯電防止機能を付与したが、帯電防止成分と粘着剤成分との間の非相溶性により十分な帯電防止性能を具現するのに困難さがあった。そのため、最近では、粘着剤以外に離型層に帯電防止機能を付与する場合が多くなっている。
【0004】
一方、精密素材分野用途の離型フィルムに要められる離型物性としては、粘着剤の種類及び用途に応じる適切な範囲の剥離力と、離型層が粘着剤層に転写されて粘着剤層の機能を低下させないように高い残留接着率と、粘着剤に使用される有機溶媒により離型層が損傷しないように耐溶剤性と、そして加工工程での摩擦により離型層が脱落しないように離型層と基材との高い付着力などが求められている。また、粘着剤層の薄膜化によって離型フィルムが粘着剤キャリヤフィルムの用途としても使用されるにつれて、温度及び時間の経過に応じる変化が少ない安定した離型物性も確保されなければならない。
【0005】
また、OLED工程では、使用される副材料による異物流入及び工程作業間静電気発生により、歩留まりが低下する問題をもたらす。そのため、OLED工程用保護フィルム用副材料は、粘着基材フィルムはもちろんで、離型フィルムまでも両面に帯電防止機能が必ず要求される。
【0006】
このような両面に帯電防止機能が付与された離型フィルムの従来の技術は、主に帯電防止層と離型層を別にコーティングするオフライン製造工程で製造している。そのため、各々の工程によるコーティング加工時に異物及びスクラッチによる品質問題が多く発生し、製造原価が多くかかるという問題がある。
【0007】
また、離型面及びこれの反対面の帯電防止組成物によりシリコーン離型コーティング時に硬化妨害が発生し、不足した硬化度によるコーティング層の経時変化で物性が低下する問題が発生するようになる。また、粘着フィルムとの合紙後、ロール形態への巻取またはシート形態への積層時、粘着フィルムと離型フィルムとの間の接触及び時間経過に応じるブロッキング問題によって、一枚ずつ分離されない現象などの品質問題が多く発生している。
【0008】
以上の理由で、本発明者等は、離型フィルムを製造するためのシリコーン離型コーティング組成物に相溶性に優れた導電性ポリマー樹脂及び反応性に優れたバインダー混合物を混合することによって、1回のコーティング工程で両面の帯電防止機能を有するシリコーン離型フィルムを製造できることを確認し、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国公開特許情報第10-2015-0104477号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題点を解決し従来の要求事項に応えるために案出されたものであって、本発明の目的は、優れた帯電防止特性を有することによって、半導体、電機電子用及びディスプレイ用途の離型フィルムとして使用する場合、粘着剤との剥離時に静電気現象による製品汚染現象と剥離不良などの問題を減らすことのできる両面帯電防止シリコーン離型フィルムを提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、優れた剥離力及び高い水準の残留接着率を有することによって、粘着剤層の性能を低下させないながら用途に合うように適切に使用されることができ、緻密な硬化層を構成することで硬化層の耐久性に優れて有機溶媒に対する耐溶剤性を有し、硬化層と基材との高い付着力を有し、温度及び時間の経過に応じる物性変化が少ないから、安定した離型物性を有する両面帯電防止シリコーン離型フィルムを提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、優れた帯電防止機能を具現するために、両面で帯電防止層を構成することにより発生するシリコーン離型層の硬化度低下問題及び離型フィルムと粘着フィルムとの合紙後、発生される一枚ずつ分離されない現象などの問題を減らすことができる両面帯電防止シリコーン離型フィルムを提供することにある。
【0013】
本発明の前記及び他の目的と利点は、好ましい実施例を説明した下記の説明によりさらに明らかになるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的は、基材フィルムと、基材フィルムの一面に位置する帯電防止シリコーン離型組成物の硬化層である帯電防止シリコーン離型層と、基材フィルムの他面に位置する帯電防止組成物の硬化層である帯電防止層とを含む、両面帯電防止シリコーン離型フィルムにより達成される。
【0015】
好ましくは、帯電防止組成物は、ポリエステル系バインダー、帯電防止粒子、架橋剤及び界面活性剤を含むことができる。
【0016】
好ましくは、帯電防止粒子は、導電性ポリマー樹脂でありうる。
【0017】
好ましくは、導電性ポリマー樹脂は、平均粒径が10ないし90nmで、ポリ陰イオンとポリチオフェンが含まれた水分散体またはポリ陰イオンとポリチオフェン誘導体が含まれた水分散体でありうる。
【0018】
好ましくは、帯電防止組成物は、ポリエステル系バインダー100重量部に対して帯電防止粒子10ないし50重量部を含むことができる。
【0019】
好ましくは、帯電防止組成物は、0.5ないし3重量%の固形分を含むことができる。
【0020】
好ましくは、帯電防止層の乾燥厚は、5ないし30nmでありうる。
【0021】
好ましくは、帯電防止シリコーン離型組成物は、アルケニルポリシロキサン、ハイドロジェンポリシロキサン、導電性ポリマー樹脂、バインダー化合物及び白金キレート触媒を含むことができる。
【0022】
好ましくは、帯電防止シリコーン離型組成物は、アルケニルポリシロキサン100重量部に対してハイドロジェンポリシロキサン1重量部ないし10重量部、導電性ポリマー樹脂1ないし5重量部、エポキシ系バインダー化合物10重量部~20重量部及び白金キレート触媒10ppmないし1,000ppmを含むことができる。
【0023】
好ましくは、帯電防止シリコーン離型組成物は、2.5ないし15重量%の固形分を含むことができる。
【0024】
好ましくは、帯電防止シリコーン離型層の乾燥厚は、0.01ないし10μmでありうる。
【0025】
好ましくは、帯電防止シリコーン離型層は、シリコーン離型特性を表すシリコンイオンと帯電防止特性を表す硫黄イオンのインテンシティ比(Si-/S-)が1未満である帯電防止領域と10超過であるシリコーン離型領域とを含むことができる。
【0026】
好ましくは、帯電防止シリコーン離型層のインテンシティ比(Si-/S-)は、前記基材フィルムとの境界と最も遠い最上部において10~10,000で、前記基材フィルムの境界である最下部において0.001~1でありうる。
【0027】
好ましくは、帯電防止領域とシリコーン離型領域の厚さ割合は、下記数式1を満たすものの、
(数式1)
1/10<AV/RV<1/3で、
式中、AVは、帯電防止領域の厚さで、RVは、シリコーン離型領域の厚さでありうる。
【0028】
好ましくは、帯電防止層の摩擦係数値は、0.05~0.3でありうる。
【0029】
好ましくは、帯電防止層の水接触角は、70ないし80度でありうる。
【0030】
好ましくは、両面帯電防止シリコーン離型フィルムは、帯電防止シリコーン離型層上に粘着剤及び粘着基材フィルムからなる粘着フィルムを合紙させた状態で同じ合紙フィルムを2枚以上積層した状態で80℃温度で6ケ月間エージングした後、合紙フィルム間分離時粘着基材フィルムと帯電防止シリコーン離型層界面のせん断強度は、5N/m2以下でありうる。
【0031】
好ましくは、帯電防止シリコーン離型層の表面抵抗は、1×10^4ないし1×10^9Ω/sqでありうる。
【0032】
好ましくは、帯電防止層の表面抵抗は、1×10^4ないし1×10^10Ω/sqでありうる。
【0033】
好ましくは、帯電防止シリコーン離型層は、下記数式2ないし3を同時に満たすものの、
(数式2)
5≦RF≦30
(数式3)
80≦SA≦100
式中、RF(g/inch)は、帯電防止シリコーン離型層の剥離力で、SA(%)は、帯電防止シリコーン離型層の残留接着率でありうる。
【発明の効果】
【0034】
本発明による両面帯電防止シリコーン離型フィルムによれば、両面に帯電防止特性を有しているから、離型フィルムが粘着剤層から分離する時に発生する静電気による汚染現象と剥離不良などの問題を解決できる等の効果を有する。
【0035】
また、帯電防止層及び帯電防止シリコーン離型層同士の硬化妨害要素がないから、優れた剥離力及び高い水準の残留接着率を具備することによって、粘着剤層の機能を低下させないなどの効果を有する。
【0036】
また、帯電防止層及び帯電防止シリコーン離型層の硬化度及び耐久性に優れているから、有機溶媒に対する優れた耐溶剤性を有し、基材との高い付着力を有しているから、摩擦による帯電防止層及び帯電防止シリコーン離型層の脱落が少ないなどの効果を有する。
【0037】
なお、帯電防止層の表面の水接触角及び摩擦係数値を特定の範囲で有しているから、粘着フィルムとの合紙後にロール状態への巻取またはシート状態で積層した後、長時間エージングした後にも、ブロッキングまたは一枚ずつ分離されない現象を抑制できる効果を有する。
【0038】
ただし、本発明の効果らは、以上で言及した効果に制限されず、言及していないさらに他の効果は、以下の記載から当業者にとって明確に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の一実施例による両面帯電防止シリコーン離型フィルムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
添付した図面を参照して、本発明の実施例について本発明が属する技術分野における通常の知識を有した者が容易に実施できるよう詳細に説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で具現化でき、ここに説明する実施例に限定されない。
【0041】
図面において、複数の層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。明細書全体にわたって類似の部分に対しては、同一の図面符号を付してある。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする時、これは他の部分の「直上に」ある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。これに対し、ある部分が他の部分の「直上に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0042】
本明細書において使用されたように、「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」、「備える(include)」、「備えている(including)」、「含有している(containing)」、「~を特徴とする(characterized by)」、「有する(has)」、「有している(having)」という用語、またはこれらの任意のその他変形は、排他的でない包含をカバーしようとする。例えば、要素らの目録を含む工程、方法、用品、または器具は、必ずそういう要素だけで制限されるものではなく、明確に列挙されないか、またはそういう工程、方法、用品、または器具に内在的な他の要素を含むこともできる。また、明確に反対に述べられていない限り、「または」は、包括的な「または」を意味し、排他的な「または」を意味することではない。
【0043】
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の熟練者により通常に理解されることと同じ意味を有する。相反する場合、定義を含む本明細書が優先するはずである。また、本明細書において説明されることと類似または同等な方法及び材料が本発明の実施または試験に使用されうるが、適合した方法及び材料が本明細書に記載される。
【0044】
以下、添付された図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
【0045】
図1は、本発明の一実施例による両面帯電防止シリコーン離型フィルムの概略断面図である。
図1を参考すると、本発明の一実施例による両面帯電防止シリコーン離型フィルム100は、基材フィルム120と一面に位置する帯電防止シリコーン離型組成物の硬化層である帯電防止シリコーン離型層110と、基材フィルムの他面に位置する帯電防止組成物の硬化層である帯電防止層130とを含む。
【0046】
ここで、帯電防止シリコーン離型層110は、帯電防止特性とシリコーン離型特性を同時に有し、帯電防止層130は、帯電防止特性を有する。このような帯電防止特性とシリコーン離型特性は、離型フィルムの製造時、帯電防止シリコーン離型組成物及び帯電防止組成物を基材フィルムに1回インライン両面にコーティングすることにより同時に具現されることを特徴とする。
【0047】
一実施例において、帯電防止層130を形成する帯電防止組成物は、ポリエステル系バインダー、帯電防止粒子、架橋剤及び界面活性剤を含むことができる。
【0048】
一実施例において、帯電防止粒子は、導電性ポリマー樹脂であっても良く、例えばポリ陰イオンとポリチオフェンが含まれた水分散体またはポリ陰イオンとポリチオフェン誘導体が含まれた水分散体であることが好ましい。ポリ陰イオンは、酸性ポリマーであり、高分子カルボン酸または高分子スルホン酸、ポリビニルスルホン酸などである。高分子カルボン酸の一例には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などがあり、高分子スルホン酸の一例には、ポリスチレンスルホン酸などがあるが、これに限定されるものではない。ポリチオフェンまたはポリチオフェン誘導体に対して、ポリ陰イオンの固形分重量比が過剰存在することが導電性を付与する側面において好ましい。そのため、本発明の実施例では、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)0.5重量%とポリスチレンスルホン酸0.8重量%を含有する水分散体を使用するが、これに限定されるものではない。
【0049】
好ましくは、ポリチオフェンまたはポリチオフェン誘導体に対してポリ陰イオンの重量比が1を超過5未満の範囲、さらに好ましくは、1超過3未満の範囲内で使用することが好ましい。
【0050】
また、導電性ポリマー樹脂は、平均粒径が10ないし90nm粒子サイズの水分散体を使用して、安定した帯電防止性能を発現できるようにすることが好ましい。このとき、導電性ポリマー樹脂の平均粒径が10nm未満の場合、分子量が小さくなるにつれて、分子間の特定距離以上に遠ざかるようになると、帯電防止性能を具現できず、インラインへの延伸時には、平均粒径が小さいほど帯電防止性能が低下する。また、導電性ポリマー樹脂の平均粒径が90nmを超過する場合は、硬化層の内部に均一に分布しないから、表面抵抗の偏差が非常に大きくなって帯電防止性能を正しく具現できなくなる。
【0051】
一実施例において、帯電防止組成物は、ポリエステル系バインダー100重量部に対して帯電防止粒子10ないし50重量部を含むことが好ましい。帯電防止粒子が10重量部未満含まれる場合、基材フィルムに均一に分布できないから、優れた表面抵抗物性を得ることができず、50重量部超過時に粘度値が高まるにつれて、リビング、レインボーまたは雲のようなコーティングむらが多量発生して、外観が不良になる。
【0052】
一実施例において、帯電防止組成物のバインダーとしては、ポリエステル系バインダーが好ましい。メラミン系、アクリル系、オキサゾリン系及びウレタン系バインダーを採用する場合、優れた表面抵抗物性を具現し難く、シリコーン離型層の硬化妨害要素として作用して、シリコーン離型物性を低下するようになる。また、帯電防止層と他面に位置する帯電防止シリコーン離型層とのロール状態の巻取後、長時間エージング時にブロッキングに脆弱であり、帯電防止シリコーン離型層の後硬化妨害作用により残留接着率が低下するという問題が発生する。
【0053】
一実施例において、帯電防止組成物の好ましい架橋剤には、イソシアネート系、カルボニルイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系からなる群より選ばれる何れか一つ以上の樹脂を使用することができる。添加される架橋剤樹脂の量は、導電性ポリマー樹脂100重量部に対して、200~600重量部含有することが好ましい。このとき、架橋剤の含有量が200重量部未満であると、摩擦前後または有機溶剤洗浄前後に帯電防止性能の維持が難しいから、耐久性が低下して白化現象が発生することができる。これに対し、600重量部超過の場合には、架橋剤の絶縁効果が大きくなって帯電防止性がむしろ低下し、帯電防止性に対する耐久性も低下するという問題が発生できる。
【0054】
一実施例において、帯電防止組成物は、0.5ないし3重量%の固形分が含まれるように希釈した後、ポリエステル基材フィルムにコーティングすることが好ましい。このとき、帯電防止組成物の固形分含有量が0.5重量%未満の場合には、硬化層の厚さがあまり薄くなるにつれて、コーティングカバレッジが不良になって外観及び物性が低下するという問題があり、3重量%を超過する場合には、帯電防止組成物の粘度が高くなって、コーティングむらが多量発生するという問題がある。
【0055】
一実施例において、帯電防止層130の乾燥厚は、5ないし30nmであることが好ましい。このとき、乾燥厚が5nm未満の場合、帯電防止層のカバレッジが不良であるから、未コーティングによる外観不良及び表面抵抗物性が低下することができ、30nm超過の場合、他面の帯電防止シリコーン離型層110との巻取時に接触及び長時間エージングによるブロッキングが発生できる。
【0056】
一実施例において、帯電防止層130の摩擦係数値は、0.05~0.3であることが好ましい。このとき、摩擦係数値が0.05未満の場合、スリップ性が強くなるにつれて、巻取断面抜け及びスクラッチ外観不良などが発生でき、0.3超過の場合、スリップ性不足による粘着フィルムとの合紙後、シート状態への積層構造で舗装した後、積層シートの分離時に一枚ずつ分離されない現象が発生できる。
【0057】
一実施例において、帯電防止層130の水接触角は、70ないし80度であることが好ましい。このとき、水接触角が70未満の場合、高い表面エネルギーにより容易に表面が汚染されることができ、他面の帯電防止シリコーン離型層との接触される力が大きくなるにつれて、ブロッキングに脆弱になる。これに対し、水接触角が80度超過の場合、ロール状態への巻取または粘着フィルムとの合紙後にスリップ性が強くなるにつれて、巻取断面抜け及びスクラッチ外観不良などが発生できる。
【0058】
一実施例において、帯電防止シリコーン離型層110上に粘着剤及び粘着基材フィルムからなる粘着フィルムを合紙させた状態で同じ合紙フィルムを2枚以上積層した状態で80℃温度で6ケ月間エージングした後、合紙フィルム間分離時、粘着基材フィルムと帯電防止シリコーン離型層界面のせん断強度(張力)は、5N/m2以下であることが好ましい。このとき、粘着基材フィルムと帯電防止シリコーン離型層界面のせん断強度(張力)が5N/m2を超過する場合には、一枚ずつ分離されないという問題が発生する。
【0059】
また、帯電防止シリコーン離型組成物の溶媒は、本発明の固形分を分散させてポリエステル基材フィルム上に塗布させることができるものであれば、種類に制限はないが、好ましくは、水を主な媒体とする水性コーティング液の状態でコーティングする。
【0060】
本発明の一実施例による帯電防止シリコーン離型層110は、基材フィルム120に上述した帯電防止シリコーン離型組成物をバーコート法、リバースロールコート法、グラビアロールコート法などの公知の方法を通じて1回以上塗布して形成できる。
【0061】
一実施例において、帯電防止シリコーン離型層110を形成する帯電防止シリコーン離型組成物は、アルケニルポリシロキサン、ハイドロジェンポリシロキサン、導電性ポリマー樹脂、バインダー化合物及び白金キレート触媒を含むことができる。また、一実施例において、帯電防止シリコーン離型組成物は、陽イオンと陰イオンを同時に有するイオン性界面活性剤をさらに含むことができる。
【0062】
帯電防止シリコーン離型組成物のアルケニルポリシロキサンは、下記の化学式1の構造を有することができる。
【化1】
式中、mとnは、それぞれ独立的に10~500の整数である。このとき、mとnは、ブロック結合を意味することではなく、これらは、単にそれぞれ単位の合計がmとnであることを意味するのに過ぎない。
【0063】
したがって、化学式1中、各単位は、ランダム結合またはブロック結合している。また、R1、R2、R3は、それぞれ-CH3、-CH=CH2、-CH2CH=CH2、-CH2CH2CH2CH2CH=CH2より選ばれるアルキルまたはアルケニル基であり、アルケニル基は、分子中のいずれかの部分に存在しても良いが、最小2個以上存在することが好ましい。
【0064】
また、帯電防止シリコーン離型組成物のハイドロジェンポリシロキサンは、下記の化学式2の構造を有することができる。
【化2】
式中、aは、1~200の整数で、bは、1~400の整数である。このとき、aとbは、ブロック結合を意味することではなく、これらは、単にそれぞれの単位の合計がaとbであることを意味するのに過ぎない。したがって、化学式2中、各単位は、ランダム結合またはブロック結合している。
【0065】
化学式1で表されるアルケニルポリシロキサン及び化学式2で表されるハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分枝状、放射状、または環状のどちらでも良く、これらの混合物であっても良い。また、アルケニルポリシロキサンとハイドロジェンポリシロキサンとの混合割合は、アルケニルポリシロキサン100重量部に対してハイドロジェンポリシロキサンが1ないし10重量部で使用することが好ましい。ハイドロジェンポリシロキサンが1重量部未満の場合には、未反応アルケニルポリシロキサンの量が多くなって、十分な硬化性を得ることができなくなるから、安定した離型物性を具現できず、10重量部を超過する場合には、未反応ハイドロジェンポリシロキサンの量が多くなって、剥離特性が悪くなることができる。
【0066】
また、帯電防止シリコーン離型組成物は、帯電防止性能を付与するために導電性ポリマー樹脂が使用されるが、導電性ポリマー樹脂は、ポリ陰イオンとポリチオフェンが含まれた水分散体またはポリ陰イオンとポリチオフェン誘導体が含まれた水分散体であることが好ましい。ポリ陰イオンは、酸性ポリマーであり、高分子カルボン酸または高分子スルホン酸、ポリビニルスルホン酸などである。高分子カルボン酸の一例には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などがあり、高分子スルホン酸の一例には、ポリスチレンスルホン酸などがあるが、これに限定されるものではない。
【0067】
また、ポリチオフェンまたはポリチオフェン誘導体に対して、ポリ陰イオンの固形分重量比が過剰存在することが導電性を付与する側面において好ましい。本発明の実施例では、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)0.5重量%とポリスチレンスルホン酸0.8重量%を含有する水分散体を使用するが、これに限定されるものではない。好ましくは、ポリチオフェンまたはポリチオフェン誘導体に対してポリ陰イオンの重量比が1超過5未満の範囲、さらに好ましくは、1超過3未満の範囲内で使用することが好ましい。
【0068】
また、導電性ポリマー樹脂は、平均粒径が10ないし90nmである粒子の水分散体を使用して、安定した帯電防止性能を発現できるようにすることが好ましい。このとき、導電性ポリマー樹脂の平均粒径が90nmを超過する場合は、硬化層の内部に均一に分布しないから、表面抵抗の偏差が非常に大きくなって帯電防止性能を正しく具現できず、また導電性ポリマー樹脂の平均粒径が10nm未満の場合、分子量が小さくなるにつれて分子間の特定距離以上に遠ざかるようになると、帯電防止性能を具現できず、インラインへの延伸時には、平均粒径が小さいほど帯電防止性能が低下する。
【0069】
一実施例において、導電性ポリマー樹脂は、アルケニルポリシロキサン100重量部に対して1ないし5重量部を含むことが好ましい。導電性ポリマー樹脂の含有量がアルケニルポリシロキサン100重量部に対して1重量部未満である場合、帯電防止特性が不足して表面抵抗物性が低下し、5重量部を超過する場合、シリコーンの硬化妨害による離型物性が低下する。
【0070】
また、帯電防止シリコーン離型組成物は、架橋密度を調節して安定した離型特性及び帯電防止特性を有し、導電性ポリマー樹脂の相溶性を高めて均一な帯電防止特性を具現し、帯電防止シリコーン離型層の耐溶剤性及び耐久性を向上させ、帯電防止シリコーン離型層と基材フィルムとの付着力を高めるために、バインダー化合物を含むことができる。
【0071】
このようなバインダー化合物は、シラン系化合物と非シラン系多官能性化合物を含むことでありうる。さらに具体的に、バインダー化合物は、シラン系化合物に対して非シラン系多官能性化合物の重量比が2ないし20であることが好ましい。シラン系化合物は、エポキシシラン系、アミノシラン系、ビニルシラン系、メタクリルオキシシラン系及びイソシアネートシラン系のうち、少なくとも何れか一つ以上の化合物であり、非シラン系多官能性化合物は、エポキシ官能基を有するエポキシ系多官能性化合物でありうる。
【0072】
エポキシ系多官能性化合物は、エポキシ系が導電性高分子との相溶性及び延伸性に優れているから好ましい。すなわち、N、C、O含有量によって相溶性に差が出、導電性ポリマー樹脂の機能基にアルケニル基がついてスウェル効果による延伸性が良くなる。このようなエポキシ系多官能性化合物は、アミノ系、ヒドロキシ系、アルデヒド系、エステル系、ビニル系、アクリル系、イミド系、シアノ系及びイソシアネート系からなる群より選ばれる何れか一つ以上の官能基を有し、一つの分子内に3個以上の官能基を有することが好ましい。
【0073】
一実施例において、バインダー化合物は、エポキシ系バインダー化合物であってアルケニルポリシロキサン100重量部に対して10ないし20重量部を含むことが好ましい。バインダー化合物の含有量が10重量部未満の場合には、硬化層が基材との付着力が低くて硬化層がむけたり、導電性高分子樹脂の相溶性が低下して不均一な帯電防止性能を表す問題点があり、バインダー化合物の含有量が20重量部を超過する場合には、剥離力及び残留接着率などに影響を与えて離型物性が悪くなるという問題点が発生するからである。
【0074】
一実施例において、帯電防止シリコーン離型組成物は、白金キレート触媒を含んで、アルケニルポリシロキサンとハイドロジェンポリシロキサンの付加反応に役に立つ機能を行い、帯電防止シリコーン離型組成物内に白金キレート触媒は、10ppmないし1,000ppmを含むことが好ましい。
【0075】
一実施例において、帯電防止シリコーン離型組成物は、2.5ないし15重量%の固形分が含まれるように希釈した後、ポリエステル基材フィルムにコーティングすることが好ましい。帯電防止シリコーン離型組成物の固形分含有量が2.5重量%未満の場合には、均一な硬化層が得られないから安定した離型特性及び帯電防止特性を得ることができず、15重量%を超過する場合には、フィルム間のブロッキング現象が発生し、コーティング組成物の基材密着性が悪くなって、シリコーン転写問題を引き起こし、コーティング外観が不良になるという問題点がある。
【0076】
また、帯電防止シリコーン離型組成物の溶媒は、本発明の固形分を分散させてポリエステル基材フィルム上に塗布させることができるものであれば、種類の制限はないが、好ましくは、水を主な媒体とする水性コーティング液の状態でコーティングする。
【0077】
本発明の一実施例による両面帯電防止シリコーン離型フィルムの帯電防止シリコーン離型層110は、基材フィルム120に上述した帯電防止シリコーン離型組成物をバーコート法、リバースロールコート法、グラビアロールコート法などの公知の方法で1回以上塗布して形成できる。
【0078】
また、本発明の一実施例による基材フィルム120は、ポリエステル基材フィルムであることが好ましく、厚さは、15ないし300μmであることが好ましい。基材フィルムの厚さが15μm未満の場合は、外力による変形の程度が大きくなることにより、キャリヤフィルムとしての用途を満たすことができず、フィルムの厚さが300μm超過の場合は、経済性が落ちるという問題点がある。
【0079】
一実施例において、帯電防止シリコーン離型層110の乾燥厚は、0.01ないし10μmであることが好ましい。このとき、帯電防止シリコーン離型層の乾燥厚が0.01μm未満の場合、均一な帯電防止シリコーン離型層が形成されない可能性もあり、10μmを超過する場合、ポリエステル基材フィルム120の一面に位置する帯電防止層130の面と他面に位置する帯電防止シリコーン離型層110の面の間にブロッキングが発生できるためである。
【0080】
一実施例において、帯電防止シリコーン離型層110は、シリコーン離型特性を表すシリコンイオン(Si-)と帯電防止特性を表す硫黄イオン(S-)のインテンシティ(Intensityまたはcounts)比(Si-/S-)が1未満である帯電防止領域と10超過であるシリコーン離型領域とを含むことができる。このようなインテンシティ比は、TOF-SIMSで測定でき、単一硬化層内のシリコンイオンと硫黄イオンの相対割合値である。
【0081】
一実施例において、帯電防止シリコーン離型層110のインテンシティ比(Si-/S-)は、基材フィルム120との境界と最も遠い最上部において10~10,000で、基材フィルムの境界である最下部において0.001~1であることが好ましい。これによって、単一硬化層において優れた帯電防止物性とシリコーン離型物性を同時に具現できる。好ましくは、最上部でのインテンシティ比は、100~5,000でありうる。これは、相分離構造のように、シリコーン離型特性を表すシリコンイオンと帯電防止特性を表す硫黄イオンが積層形態で具現することによって、両物性を同時に具現できる。
【0082】
一実施例において、帯電防止シリコーン離型層110は、帯電防止領域とシリコーン離型領域の厚さ割合は、下記の数式1を満たすことが好ましい。このとき、数式1の値が1/10以下の場合、帯電防止シリコーン離型層の表面抵抗物性が低下し、1/3以上の場合、帯電防止シリコーン離型層の離型物性が低下する。
(数式1)
1/10<AV/RV<1/3 で、
式中、AVは、帯電防止領域の厚さで、RVは、シリコーン離型領域の厚さである。
【0083】
一実施例において、帯電防止シリコーン離型層110の表面抵抗(Ω/sq)は、1×10^4ないし1×10^9であることが好ましい。
【0084】
一実施例において、帯電防止層130の表面抵抗は、1×10^4ないし1×10^10Ω/sqであることが好ましい。
【0085】
一実施例において、帯電防止シリコーン離型層110は、下記数式2ないし3を同時に満たすことが好ましい。
(数式2)
5≦RF≦30
(数式3)
80≦SA≦100
式中、RF(g/inch)は、帯電防止シリコーン離型層の剥離力で、SA(%)は、帯電防止シリコーン離型層の残留接着率である。
【0086】
このとき、帯電防止シリコーン離型層の剥離力が5g/inch未満の場合には、剥離作業(工程)前、保管または移動時にまず剥離する先剥離発生の問題があり、30g/inchを超過する場合、あまり高い剥離値により剥離時に粘着剤が共に落ちる剥離不良が発生する問題がある。また、帯電防止シリコーン離型層の残留接着率が80%未満の場合、粘着剤層の性能を低下させる問題がある。
【実施例】
【0087】
以下、実施例と比較例を通じて本発明の構成及びそれによる効果をさらに詳細に説明しようとする。しかしながら、本実施例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0088】
(実施例1)
コロナ処理されたポリエステル基材フィルム(東レ尖端素材社製、Excell-50μm)の一面に帯電防止シリコーン離型層を形成するために、固形分としてアルケニルポリシロキサン(ダウコーニング社製)100重量部、ハイドロジェンポリシロキサン(ダウコーニング社製)3重量部、導電性ポリマー樹脂(ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン0.5重量%とポリスチレンスルホン酸(分子量Mn=150,000)0.8重量%を含有する水分散体、平均粒径50nm)2.5重量部、エポキシ系バインダー化合物(Esprix Technologies社製)10重量部、白金キレート触媒(ダウコーニング社製)50ppm、及びイオン性界面活性剤(ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩)0.2重量部を水に希薄して、固形分含有量が5重量%になるように帯電防止シリコーン離型組成物を製造した。
【0089】
基材フィルムの他面には、帯電防止層を形成するために、固形分として導電性ポリマー樹脂(ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン0.5重量%とポリスチレンスルホン酸(分子量Mn=150,000)0.8重量%を含有する水分散体、平均粒径50nm)1.5重量部、エポキシ系架橋剤(Esprix Technologies 社製)6重量部、ポリエステル系バインダー化合物(ベースコリア社製)10重量部及びジオール系界面活性剤(エボニック社製)0.3重量部を水に混合して製造された帯電防止組成物の固形分含有量が1.5重量%になるように水に希薄して製造した。
【0090】
製造された帯電防止シリコーン離型組成物と帯電防止組成物をポリエステル基材フィルムの両面にそれぞれ同時に塗布した。塗布後、180℃で50秒間乾燥して両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0091】
(実施例2)
帯電防止シリコーン離型組成物においてアルケニルポリシロキサン100重量部に対してハイドロジェンポリシロキサン10重量部を混合したこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0092】
(実施例3)
帯電防止シリコーン離型組成物においてアルケニルポリシロキサン100重量部に対してハイドロジェンポリシロキサン1重量部を混合したこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0093】
(実施例4)
帯電防止シリコーン離型組成物においてアルケニルポリシロキサン100重量部に対して導電性ポリマー樹脂1重量部を混合したこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0094】
(実施例5)
帯電防止シリコーン離型組成物においてアルケニルポリシロキサン100重量部に対して導電性ポリマー樹脂5重量部を混合したこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0095】
(実施例6)
帯電防止シリコーン離型組成物においてエポキシ系バインダー化合物15重量部を混合したこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0096】
(実施例7)
帯電防止シリコーン離型組成物においてエポキシ系バインダー化合物20重量部を混合したこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0097】
(実施例8)
帯電防止シリコーン離型組成物において固形分含有量が2.5重量%になるように水に希釈すること以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0098】
(実施例9)
帯電防止組成物において固形分含有量が1.0重量%になるように水に希釈すること以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0099】
(実施例10)
帯電防止組成物において固形分含有量が2.0重量%になるように水に希釈すること以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0100】
(実施例11)
帯電防止組成物において導電性ポリマー樹脂1重量部を含むこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0101】
(実施例12)
帯電防止組成物において導電性ポリマー樹脂3重量部を含むこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0102】
(実施例13)
帯電防止組成物においてポリエステル系バインダー5重量部を含むこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0103】
(実施例14)
帯電防止組成物においてポリエステル系バインダー20重量部を含むこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0104】
(実施例15)
帯電防止組成物においてエポキシ系架橋剤3重量部を含むこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0105】
(実施例16)
帯電防止組成物においてエポキシ系架橋剤10重量部を含むこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0106】
(実施例17)
帯電防止組成物において固形分含有量が0.5重量%になるように水に希釈すること以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0107】
(実施例18)
帯電防止組成物において固形分含有量が3重量%になるように水に希釈すること以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0108】
(比較例1)
帯電防止シリコーン離型組成物においてアルケニルポリシロキサン100重量部に対してハイドロジェンポリシロキサン0.5重量部を混合したこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0109】
(比較例2)
帯電防止シリコーン離型組成物においてアルケニルポリシロキサン100重量部に対してハイドロジェンポリシロキサン11重量部を混合したこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0110】
(比較例3)
帯電防止シリコーン離型組成物においてアルケニルポリシロキサン100重量部に対して導電性ポリマー樹脂0.5重量部を混合したこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0111】
(比較例4)
帯電防止シリコーン離型組成物においてアルケニルポリシロキサン100重量部に対して導電性ポリマー樹脂7重量部を混合したこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0112】
(比較例5)
帯電防止シリコーン離型組成物においてエポキシ系バインダー化合物21重量部を混合したこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0113】
(比較例6)
帯電防止シリコーン離型組成物においてエポキシ系バインダー化合物5重量部を混合したこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0114】
(比較例7)
帯電防止シリコーン離型組成物において固形分含有量が2重量%になるように水に希釈すること以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0115】
(比較例8)
帯電防止シリコーン離型組成物において固形分含有量が20重量%になるように水に希釈すること以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0116】
(比較例9)
帯電防止シリコーン離型組成物においてバインダー混合物を混合しないこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0117】
(比較例10)
帯電防止シリコーン離型組成物において導電性ポリマー樹脂を混合しないこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0118】
(比較例11)
帯電防止組成物においてポリエステル系バインダー化合物を除いたこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0119】
(比較例12)
帯電防止組成物においてエポキシ系架橋剤を除いたこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0120】
(比較例13)
帯電防止組成物においてポリエステル系バインダー化合物10重量部の代わりにメラミン系バインダー化合物を10重量部混合したこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0121】
(比較例14)
帯電防止組成物においてポリエステル系バインダー化合物10重量部の代わりにアクリル系バインダー化合物を10重量部混合したこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0122】
(比較例15)
帯電防止組成物においてポリエステル系バインダー化合物10重量部の代わりにオキサゾリン系バインダー化合物を10重量部混合したこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0123】
(比較例16)
帯電防止組成物においてポリエステル系バインダー化合物10重量部の代わりにウレタン系バインダー化合物を10重量部混合したこと以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0124】
(比較例17)
帯電防止組成物において固形分含有量が3.5重量%になるように水に希釈すること以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0125】
(比較例18)
帯電防止組成物において固形分含有量が0.3重量%になるように水に希釈すること以外は、実施例1と同様に両面帯電防止シリコーン離型フィルムを製造した。
【0126】
前記実施例1ないし18及び比較例1ないし18による両面帯電防止シリコーン離型フィルムを使用して、次のような実験例を通じて物理的特性を測定し、その結果を次の表1及び表2に表した。
【0127】
(実験例)
1.帯電防止特性
表面抵抗測定器(Mitsubishi、MCP-T600)を利用して温度23℃、湿度50%RHの環境下に試料を設置した後、JIS K7194に基づいて帯電防止層と帯電防止シリコーン離型層に対する表面抵抗をそれぞれ測定した。
【0128】
2.剥離力測定
冷間圧延ステンレス板に両面粘着テープで帯電防止シリコーン離型層が上にくるように離型フィルムを付着した後、粘着テープ(TESA 7475)を帯電防止シリコーン離型層上に載せ2kgの圧着ローラで圧着して、1日~7日間常温で放置した後剥離力を測定した。剥離力測定は、AR-1000(Chem-Instrument)を使用して剥離角度180゜及び剥離速度0.3mpmで測定し、5回測定して平均値(g/inch)を算出し、小数点第1位で四捨五入した。
【0129】
3.残留接着率測定
帯電防止シリコーン離型層に粘着テープ(Nitto 31B)を載せ2kgの圧着ローラで圧着して30分間常温で放置した後、粘着テープを硬化層から剥離した後に冷間圧延ステンレス板に付けた後、剥離力を測定した。
【0130】
また、比較のために使用したことのない粘着テープ(Nitto 31B)を冷間圧延ステンレス板に付けた後剥離力を測定した。
【0131】
このとき、剥離力測定は、AR-1000(Chem-Instrument)を使用して剥離角度180゜及び剥離速度0.3mpmで測定し、5回測定して平均値を算出した。残留接着率は、下記数1に従って算出した。
【数1】
【0132】
4.水接触角測定
5cmX5cmの両面帯電防止シリコーン離型フィルムサンプルの帯電防止層表面の水接触角を測定した。水接触角測定は、DROPMASTER 300(KYOWA INTERFACE SCIENCE)を使用して測定し、3回測定して平均値を算出した。
【0133】
5.乾燥厚測定
5cmX5cmの両面帯電防止シリコーン離型フィルムサンプルの帯電防止層の乾燥厚を測定した。厚さ測定は、エリプソメーター;Elli-SE(Elipso Technology社製)を使用して測定し、3回測定して平均値を算出した。
【0134】
6.せん断強度測定
5cmX5cmの両面帯電防止シリコーン離型フィルムの帯電防止シリコーン離型層と粘着フィルム(3Mアクリル粘着-30μm+東レ尖端素材XD500-50μm)を合紙及び同じ合紙品を2枚以上積層して、80度環境に6ケ月間エージング後、合紙フィルム間分離時の粘着フィルムの基材フィルムと帯電防止シリコーン離型層界面のせん断強度(N/m2)を測定した。このとき、せん断強度測定は、TAXplus50(イギリスSMS社製)で測定し、3回測定して平均値を算出した。
【0135】
7.摩擦係数測定
5cmX5cmの両面帯電防止シリコーン離型フィルムの摩擦係数を測定した。摩擦係数は、両面帯電防止シリコーン離型フィルムを2枚用意して、帯電防止層の表面を測定した。このとき、摩擦係数測定は、14FW(HEIDON社製)で測定し、3回測定して平均値を算出した。
【0136】
8.コーティング外観(欠点面積測定)
5cmX5cmの両面帯電防止シリコーン離型フィルムサンプルの帯電防止層の面積に対して気泡性欠点の面積を測定した。5cmX5cmの離型フィルムサンプル内の気泡性欠点の最も長い長さを測定して、円で面積を計算した後全体を合せて気泡性欠点の面積(cm2)を求めた。気泡性欠点の程度(コーティング外観)は、下記数式2に従って気泡性欠点面積比を算出し、以下の基準で評価した。
(数式2)
気泡性欠点面積比(%)=気泡性欠点の面積/25cm2X100(%)
◎:0%以上1%未満の場合
○:1%以上2%未満の場合
△:2%以上5%未満の場合
X:5%以上の合
【0137】
9.耐溶剤性測定
両面帯電防止シリコーン離型フィルムサンプルの帯電防止シリコーン離型層表面の溶剤に対する抵抗性を測定した。耐溶剤性測定は、綿棒をメチルエチルケトンに浸した後、綿棒の角度を45度に維持しながら帯電防止シリコーン離型層を100gの荷重で10回往復した後に、コーティング面の耐溶剤性状態を以下の基準により評価した。
◎:偶数
○:良好
△:普通
X:未逹
【0138】
10.スリップ性測定
親指で両面帯電防止シリコーン離型フィルムサンプルの帯電防止シリコーン離型層表面を5回往復撫でた後、肉眼で確認した後、以下の基準により評価した。
◎:評価後変化無し(No smear)
○:微細に滑るが、使用上問題無し(Slightly smear)
△:オイルが滑るかの様に硬化層が白く霞む(smear)
X:硬化層がかたまって取れる(Rub-off)
【0139】
11.一枚ずつ分離性測定
粘着フィルムと両面帯電防止シリコーン離型フィルムとを合紙し、合紙品間の積層した状態において、積層品間の分離時、合紙品間2枚以上がついて未分離現象がおきているかどうかに対して測定し、ブロッキングのような一枚ずつ分離されない現象がおきない場合“○”と表示し、ブロッキングのような一枚ずつ分離されない現象がおきる場合“X”と表示した。
【0140】
【0141】
【0142】
前記の表1から分かるように、本発明の実施例1ないし実施例18による両面帯電防止シリコーン離型フィルムは、コーティング外観に優れ、かつ帯電防止シリコーン離型層のスリップ性にも優れており、両面の表面抵抗及び剥離力が適正な範囲の値を有すると共に、残留接着率も優れたことを確認することができる。また、基材フィルム両面のコーティングされた硬化層の架橋度が優れ、帯電防止層と帯電防止シリコーン離型層との間に後硬化妨害要素がないから、粘着剤との加工及び合紙後、高温及び長時間のエージング後にも、ブロッキングのような一枚ずつ分離されない現象がおきないことを確認することができる。
【0143】
さらに具体的に、本発明の実施例2、3及び比較例1、2による両面帯電防止シリコーン離型フィルムから確認できるように、帯電防止シリコーン離型層の架橋度に応じて、剥離力と残留接着率の物性が相関関係を有して変化することを確認することができる。
【0144】
また、本発明の実施例4ないし7による両面帯電防止シリコーン離型フィルムでのエポキシ系バインダー化合物及び導電性ポリマー樹脂による帯電防止シリコーン離型層の帯電防止物性が同じ組成物を基準にして導電性ポリマー及びエポキシ系バインダー化合物含有量増加に応じる、表面抵抗物性に優れていることを確認することができる。
【0145】
また、本発明の実施例9、10及び17、18による両面帯電防止シリコーン離型フィルムでの帯電防止シリコーン離型層の乾燥厚が厚いほど、離型物性に優れていることを確認することができ、帯電防止層の厚さによって帯電防止シリコーン離型層には影響を与えないが、乾燥厚値に応じてせん断強度値が相関関係を有して変化するのを確認することができる。
【0146】
また、本発明の実施例11、12による両面帯電防止シリコーン離型フィルムでの帯電防止層の導電性ポリマー樹脂の含有量が多いほど、表面抵抗物性に優れていることを確認することができる。
【0147】
また、本発明の実施例13、14による両面帯電防止シリコーン離型フィルムでの帯電防止層のポリエステル系バインダーの含有量によって、帯電防止シリコーン離型層には影響を与えないが、乾燥厚に応じるせん断強度値が相関関係を有して変化するのを確認することができる。
【0148】
また、本発明の実施例15、16による両面帯電防止シリコーン離型フィルムでの帯電防止層のエポキシ系架橋剤含有量により、表面抵抗物性が相関関係を有して変化するのを確認することができる。
【0149】
これに対し、上の表2から分かるように、比較例1及び2による両面帯電防止シリコーン離型フィルムでの帯電防止シリコーン離型層の硬化程度によって、残留接着率が不足するか、または剥離力が過度に上昇するのを確認することができる。
【0150】
また、比較例3ないし6による両面帯電防止シリコーン離型フィルムでの帯電防止シリコーン離型層の導電性ポリマー樹脂またはエポキシ系バインダー化合物が過度に少ないかまたは多い場合、表面抵抗物性が低下するか、または帯電防止シリコーン離型層の硬化度が低下するのを確認することができる。
【0151】
また、比較例7、8による両面帯電防止シリコーン離型フィルムでの帯電防止シリコーン離型組成物において、固形分含有量が少ないか、または多い場合、表面抵抗物性が低下するか、または剥離力が上昇し、せん断強度値が高まるにつれて、一枚ずつ分離されないという問題が発生することが分かる。
【0152】
また、比較例9ないし16による両面帯電防止シリコーン離型フィルムでの帯電防止シリコーン離型組成物において、バインダー混合物または導電性ポリマー樹脂を混合しないか、または帯電防止組成物のバインダー化合物の組成によって帯電防止シリコーン離型層の後硬化妨害作用により残留接着率が落ちるか、または帯電防止層の水接触角が本発明の範囲から外れるか、またはせん断強度値が高まるにつれて一枚ずつ分離されないという問題が発生することが分かる。
【0153】
また、比較例17、18による両面帯電防止シリコーン離型フィルムでの帯電防止層の乾燥厚が過度に厚い場合、せん断強度値が高まるによって、一枚ずつ分離されないという問題が発生し、帯電防止層の乾燥厚が過度に薄い場合、表面抵抗物性が低下するのが分かる。
【0154】
上述のように、本発明による両面帯電防止シリコーン離型フィルムは、所望の用途に合うように適切に適用できるが、これに制限されるものではない。また、本発明は、精密素材分野の用途として使用されるための優れた品質の両面帯電防止シリコーン離型フィルムを提供でき、これは、適切な範囲の剥離力及び高い水準の残留接着率を有することによって、粘着剤層の機能を低下させないながら用途に合うように適切に使用されることができる。
【0155】
さらに、本発明による両面帯電防止シリコーン離型フィルムは、硬化層の耐久性に優れているから、有機溶媒に対する耐溶剤性に優れ、基材との高い付着力を有しており、摩擦による硬化層の脱落が少ない特性を有している。また、優れた帯電防止性能を有することによって静電気現象による汚染現象と剥離不良などの問題を解決できる等の効果を有することが分かる。
【0156】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、以下の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた、本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0157】
100 両面帯電防止シリコーン離型フィルム
110 帯電防止シリコーン離型層
120 基材フィルム
130 帯電防止層。