(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】設定方法、設定装置、及び、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20240101AFI20241119BHJP
【FI】
G06Q50/16
(21)【出願番号】P 2024085016
(22)【出願日】2024-05-24
【審査請求日】2024-06-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)令和5年11月14日に公開された集会のテスト Singapore FinTech Festival 2023 (2)令和5年11月15-17日に開催された集会 Singapore FinTech Festival 2023
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517040102
【氏名又は名称】PwCコンサルティング合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100163902
【氏名又は名称】市川 奈月
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼澤 慧
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智広
(72)【発明者】
【氏名】大囿 栞
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-366839(JP,A)
【文献】特開2023-112672(JP,A)
【文献】国際公開第2022/153784(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置と接続される演算回路において実行される三次元空間の価値を設定する設定方法であって、
前記三次元空間は、
移動体が移動可能な複数の単位空間を含み、前記各単位空間には前記各単位空間を一意に識別する識別情報が付与されており、
前記移動体は、現在位置を含む単位空間と隣接する他の単位空間へ水平方向または垂直方向に移動可能であり、
前記三次元空間の価値は、移動体が前記三次元空間を移動する場合に発生する費用を示し、
前記記憶装置は、複数の単位空間の識別情報と、前記各単位空間が単位時間当たりに利用される頻度を示す情報とを関連付けた空間利用情報を記憶し、
前記演算回路が、
前記記憶装置から、前記空間利用情報を読み出し、
前記空間利用情報で表される前記各単位空間
について、過去の所定時間帯における移動体による利用回数に対する、前記所定時間帯と対応する単位時間における移動体による利用回数の割合を、前記各単位空間が任意の移動体によって利用される前記各単位空間の利用率
として求め、
前記各単位空間の利用率
と、前記各単位空間に予め定められる基準の値とを合わせて、前記各単位空間の価値を示す価値情報を設定する
設定方法。
【請求項2】
前記演算回路により、
前記単位空間ごとに、前記識別情報と前記価値情報とを関連付けたプライシング情報を生成して前記記憶装置に格納する
請求項1に記載の設定方法。
【請求項3】
前記演算回路は、表示装置と接続され、
前記記憶装置は、前記各単位空間の識別情報と、前記三次元空間における前記単位空間の位置を示す情報とを関連付ける三次元空間情報を記憶し、
前記演算回路により、
前記各単位空間を示す画像に、設定した前記価値を関連付けた合成画像を生成し、
前記表示装置に、前記合成画像を表示させる、
請求項1に記載の設定方法。
【請求項4】
前記空間利用情報は、前記単位空間が利用された時刻及び/又は利用が予定される時刻を含み、
前記演算回路により、
前記単位空間を利用された
過去の所定の時間帯及び/又は利用が予定される時間帯毎に利用率を求める
請求項1に記載の設定方法。
【請求項5】
前記空間利用情報は、前記単位空間を利用する
移動体の情報を含み、
前記演算回路により、
前記単位空間を利用する
移動体毎の利用率を求める
請求項1に記載の設定方法。
【請求項6】
前記各単位空間は、直方体、立方体、平行六面体、六角柱のうちいずれか1つの多面体である
請求項1に記載の設定方法。
【請求項7】
前記各単位空間は、球体の中心から外側に多層に配置され、底面部と上面部が球体に沿った曲面で形成される形状である
請求項1に記載の設定方法。
【請求項8】
前記価値情報は、単位空間の高度または標高に応じて異なる
請求項1に記載の設定方法。
【請求項9】
記憶装置と接続される演算回路を備え、三次元空間の価値を設定する設定装置であって、
前記三次元空間は、
移動体が移動可能な複数の単位空間を含み、前記各単位空間には前記各単位空間を一意に識別する識別情報が付与されており、
前記移動体は、現在位置を含む単位空間と隣接する他の単位空間へ水平方向または垂直方向に移動可能であり、
前記三次元空間の価値は、移動体が前記三次元空間を移動する場合に発生する費用を示し、
前記記憶装置は、複数の単位空間の識別情報と、前記各単位空間が単位時間あたりに利用される頻度を示す情報とを関連付けた空間利用情報を記憶し、
前記演算回路により、
前記記憶装置から、前記空間利用情報を読み出し、
前記空間利用情報で表される前記各単位空間
について、過去の所定時間帯における移動体による利用回数に対する、前記所定時間帯と対応する単位時間における移動体による利用回数の割合を、前記各単位空間が任意の移動体によって利用される前記各単位空間の利用率
として求め、
前記各単位空間の利用率
と、前記各単位空間に予め定められる基準の値とを合わせて、前記各単位空間の価値を示す価値情報を設定する、
設定装置。
【請求項10】
情報処理装置に、請求項1から8のいずれか1に記載の設定方法を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元空間の価値を設定する設定方法、設定装置、及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地理空間情報(geospatial information)の利用が広がっている。地理空間情報を利用することで、現実世界のデータを仮想空間に統合するデジタルツインを実現することができる。また例えば、三次元空間を分割して管理して利用する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、従来から、土地及び地物に対する価値は、細かく定義される。他方で、地理空間情報で利用される、空間に価値は定められていない。例えば、宇宙、空中、地中、海中等の三次元空間には、価値が定められていないのが現状である。地理空間情報の利用が高まるにつれ、三次元空間の価値の定義が望まれると予想される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑み、本発明は、三次元空間の価値を設定する設定方法、設定装置、及び、コンピュータプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る設定方法は、記憶装置と接続される演算回路において実行される三次元空間の価値を設定する。三次元空間は、複数の単位空間を含み、各単位空間には各単位空間を一意に識別する識別情報が付与されている。記憶装置は、複数の単位空間の識別情報と、各単位空間が単位時間当たりに利用される頻度を示す情報とを関連付けた空間利用情報を記憶する。設定方法は、演算回路が、記憶装置から、空間利用情報を読み出し、空間利用情報で表される各単位空間が単位時刻あたりに利用される頻度を用いて、各単位空間の利用率を求め、各単位空間の利用率に応じて、各単位空間の価値を示す価値情報を設定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の設定方法、設定装置、及び、コンピュータプログラムは、三次元空間の価値を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る設定装置の構成を示すブロック図である。
【
図2A】設定装置で扱う単位空間の一例を説明する概略図である。
【
図2B】設定装置で扱う単位空間に価値を関連付けて表示する一例を説明する概略図である。
【
図3】ダイナミックプライシングの概念を説明する概略図である。
【
図4】三次元空間情報の構成の一例を説明する概略図である。
【
図5】三次元地図情報を用いて表される三次元地図を示す概略図である。
【
図6】
図1の設定装置で実行される処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図7】設定装置で生成される合成画像の一例である。
【
図8】変形例1に係る設定装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】変形例2に係る設定装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】ドローン情報の構成の一例を説明する概略図である。
【
図11】
図10の設定装置で実行される処理の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本開示に係る設定装置について説明する。本開示の設定装置は、三次元空間上で規定された複数の単位空間に、単位空間毎の利用率を考慮した単位空間の価値を設定する。なお、以下の説明では、同一の構成について、同一の符号を付して説明を省略する。
【0010】
〈情報システム〉
図1に示すように、本開示の設定装置10は、情報システム1に含まれる。設定装置10は、ネットワーク30を介して、ユーザ端末20とデータ通信可能に接続される。設定装置10は、三次元空間の価値を設定する。三次元空間は、複数の単位空間を含み、各単位空間には各単位空間を一意に識別する識別情報が付与されている。設定装置10の記憶装置12は、複数の単位空間の識別情報と、各単位空間が単位時間あたりに利用される頻度を示す情報とを関連付けた空間利用情報D3を記憶する。設定装置10は、記憶装置12から、空間利用情報D3を読み出す。また、設定装置10は、空間利用情報D3で表される各単位空間が単位時間あたりに利用される頻度を用いて、各単位空間の利用率を求める。その後、設定装置10は、各単位空間の利用率に応じて、各単位空間の価値を示す価値情報を設定する。さらに、設定装置10は、単位空間ごとに、識別情報と価値情報とを関連付けたプライシング情報を生成して記憶装置12に格納する。
【0011】
例えば、
図2に示すように、三次元空間は、あらかじめ複数の単位空間Bに分割される。
図2では、三次元空間を分割する概念を示す。したがって、
図2には、分割された全ての単位空間Bは示されない。
図2に示す例では、単位空間Bは立方体である。換言すると、三次元空間は、複数のボクセルで表すことができる。
【0012】
以下の実施形態において、単位空間は、立方体の一例で説明する。しかしながら、単位空間は、他の多面体であってもよい。このとき、単位空間の形状は、三次元空間を隙間なく重点可能な形状であることが好ましい。他の多面体としては、直方体、平行六面体等がありうる。
【0013】
また、演算回路11は、設定した価値を含む三次元空間を示す画像を、ユーザ端末20のディスプレイに表示させることができる。例えば、演算回路11は、
図2Bに示すように、一部の単位空間の価値V1、V2のみを表示させてもよい。これにより、例えば、ユーザは、対象の単位空間の価値V1、V2を比べることができる。
【0014】
ユーザ端末20は、ユーザによって利用される情報処理端末である。ユーザ端末20は、設定装置10によって送信された画像を受信し、ディスプレイに表示する。例えば、ユーザ端末20は、ディスプレイを有するパーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン等であり得る。
【0015】
図1では、設定装置10は、1台のユーザ端末20と接続されるが、設定装置10と接続されるユーザ端末20の数は限定されない。したがって、設定装置10は、複数の異なるユーザ端末20に同一の又は異なる画像を表示させてもよい。
【0016】
〈設定装置〉
具体的には、設定装置10は、
図3に示す、一般的なダイナミックプライシングの考えを採用し、単位空間の価値を変動させることができる。ダイナミックプライシングは、商品又はサービスの価格を需要と供給の状況に併せて変動させる方法である。
図3に示す例では、縦軸に商品の価格を示し、横軸に商品の販売数量を示す。一般的に、価格が高くなると、販売数量は少ない傾向にある。ここで、需要が高いとき、予め設定した販売価格よりも高い価格にしても商品を購入する希望者はある。一方、需要が低い場合、予め設定した販売価格よりも低い価格にすることで商品を購入する希望者が発生しやすくなる。したがって、ダイナミックプライシングでは、需要に応じて流動的に価格を変動させる。設定装置10は、このダイナミックプライシングの例のように、単位空間の価値を設定するとき、利用率が高い単位空間の価値を、利用率が低い単位空間の価値と比較して高くなるように設定する。
【0017】
図1を用いて、実施形態に係る設定装置10について説明する。例えば、設定装置10は、
図1に示すように、演算回路11、記憶装置12、入力装置13、出力装置14及び通信回路15を備えるパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。
【0018】
演算回路11は、設定装置10全体の制御を司るコントローラである。演算回路11は、記憶装置12に記憶されるコンピュータプログラムPを実行することにより各種の処理を実行する。また、演算回路11は、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。例えば、演算回路11は、CPU、MPU、GPU、FPGA、DSP、ASIC等、種々のプロセッサであってもよい。
【0019】
記憶装置12は、種々の情報を記録する記憶媒体である。記憶装置12は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶装置12は、三次元空間情報D1、三次元地図情報D2、空間利用情報D3、設定条件D4、プライシング情報D5等が格納され得る。また、記憶装置12は、設定処理の過程で利用される種々のデータを記憶する。
【0020】
入力装置13は、オペレータに操作される操作ボタン、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクロフォン等である。また、出力装置14は、処理結果やデータの出力に利用されるディスプレイ、スピーカ等である。
【0021】
通信回路15は、ユーザ端末20等の外部の装置とのデータ通信を可能とするための通信手段である。データ通信は、ネットワーク30を介して無線及び/又は有線による公知の通信規格にしたがって行われ得る。例えば、有線によるデータ通信は、イーサネット(登録商標)規格、及び/又はUSB(登録商標)規格等に準拠して動作する半導体集積回路の通信コントローラを通信回路15として用いることによって行われる。また無線によるデータ通信は、LAN(Local Area Network)に関するIEEE802.11規格、及び/又は移動体通信に関する、いわゆる4G/5Gと呼ばれる、第4世代/第5世代移動通信システム等に準拠して動作する半導体集積回路の通信コントローラを通信回路15として用いることによって行われる。
【0022】
三次元空間情報D1は、三次元空間を、複数の単位空間に分割した各単位空間を示す情報である。各単位空間には、固有の識別情報が付与される。例えば、三次元空間情報D1は、
図4に示すように、単位空間を示す座標は、単位空間の各頂点の座標であり得る。単位空間は、例えば、立方体であり得る。したがって、
図2Aに示したように、単位空間が立方体であるとき、三次元空間情報D1において、各単位空間の識別情報は、8つの頂点の座標を関連付けることができる。
【0023】
また、三次元空間情報D1は、各単位空間の識別情報に、各単位空間の三次元タイル番号(ZFXY)を関連付けることができる。単位空間の三次元タイル番号は、単位空間を構成する面に含まれる面に付された番号である。仮に単位空間が直方体であるとき、単位空間は6つの面で形成される。この場合、1つの単位空間の識別情報には、6つの三次元タイル番号が関連付けられる。また仮に、単位空間が六角柱であるとき、単位空間は8つの面で形成される。この場合、1つの単位空間の識別情報には、各面に付された8つの三次元タイル番号が関連付けられる。
【0024】
三次元地図情報D2は、三次元空間情報D1と対応させて空間の三次元地図の描画に利用される情報である。例えば、三次元地図情報D2は、空間に存在する建物の外部及び/又は外部の情報を含む。三次元地図情報D2により、
図5に示すような三次元地図を表すことができる。
【0025】
三次元地図情報D2は、三次元空間情報D1の座標と対応する絶対座標系によって表されていてもよい。情報システム1において、統一して絶対座標系を用いて座標を表すことで、各処理において座標変換をすることなく効率的に各処理を実行することが可能となる。
【0026】
空間利用情報D3は、各単位空間の識別情報と、各単位空間の利用を示す情報とを関連付ける情報である。例えば、空間利用情報D3は、各単位空間が過去に利用された情報と、各単位空間が将来に利用される予約情報とを含むことができる。具体的には、空間利用情報D3は、単位空間の識別情報に、単位空間が過去に利用されていた日時及び将来に利用される予定の日時を関連付けることができる。
【0027】
設定条件D4は、単位空間の価値の設定に利用する条件である。設定条件D4は、単位空間の利用率に関する情報を含み得る。具体的には、設定条件D4は、単位空間を利用する時刻毎の利用率を含み得る。また、設定条件D4は、単位空間を利用する対象毎の利用率を含み得る。ここで、利用率は、空間利用情報D3を用いて求めることができる。例えば、各単位空間の利用率は、演算回路11によって求められてもよい。
【0028】
また、三次元空間で利用が制限される空間があるとき、設定条件D4は、単位空間の利用の制限に関する情報を含み得る。例えば、法規制、トラブル等の事情により、単位空間が利用できない場合、設定条件D4は、単位空間が利用不可である旨及び/又は利用不可である日時を含む。
【0029】
(単位空間の利用率)
ある時間帯における各単位空間の利用率は、例えば、当該時間帯の単位空間の利用頻度と、過去一年間の同一時間帯の単位空間の利用頻度とを用いて求められる。このとき、時間帯に加え曜日毎の利用頻度を考慮してもよい。なお、時刻には、UNIX時刻を利用してもよい。
【0030】
例えば、12月12日(水)12時01分00秒から59秒間のある単位空間の利用率Rの算出には、以下の式(1.1)を利用することができる。
R=C1/C2・・・(1.1)
C1:12月12日(水)12時01分00秒から59秒間に対象の単位空間が利用された及び/又は利用される回数
C2:過去1年間の水曜日の12時01分00秒から59秒間に対象の単位空間が利用された及び/又は利用される回数
【0031】
なお、各単位空間は、1つの利用のみ割り当てられるものとする。したがって、同時に2つ以上の目的に単位空間が利用されることはない。上記の例では、12時01分00秒から29秒まで利用されることが予約されているときの回数は1回である。また、12時01分00秒から19秒までと、12時01分20秒から39秒まで利用されることが予約されているときの回数は2回である。
【0032】
プライシング情報D5は、単位空間の識別情報と、設定装置10で求めた単位空間の価値とを関連付ける情報である。例えば、単位空間の価値は、単位空間の利用で発生する金銭の額で示すことができる。
【0033】
(単位空間の価値)
各単位空間の価値は、例えば、高度毎に異なってもよい。このとき、単位空間の高度に応じて、ベース単価が定められていてもよい。具体的には、ベース単価は、10m毎に定められ、高度が高くなるほど料金が低く設定されていてもよい。なお、空間を標高で規定することができる場合、高度を標高または海抜に代えて扱ってもよい。
【0034】
例えば、12月12日(水)12時01分00秒から59秒間の単位時間における高度105mのある単位空間の価値Pの算出には、以下の式(1.2)を利用することができる。
P=Pb×R・・・(1.2)
Pb:高度100~110mの単位空間のベース単価
R:対象の単位時間における対象の単位空間の利用率
プライシング情報D5は、このように求められた、単位空間毎の価値Pを含む。
【0035】
なお、式(1.2)では、単位空間の価値の算出には、単位空間のベース単価と単位空間の利用率を用いる。しかしながら、単位空間の価値の算出には、これ以外の要素を利用してもよい。例えば、単位空間の価値の算出には、その時点の利用率を含めてもよい。具体的には、対象の単位時間に利用可能な単位空間が1つであるとき、単位空間の価値が高くなるようにしてもよい。また例えば、単位空間の価値の算出には、曜日、祝日であるか否か、年月日等を含めてもよい。具体的には、単位空間の価値の算出式に、曜日、祝日であるか否か、年月日等に応じて定められた係数を加算または乗算してもよい。
【0036】
仮に、各単位空間に建物等がある場合のベース単価は、各単位空間の家賃相場、各単位空間の人口、各単位空間に設置されるIoTセンサで取得した滞在人数に応じた価値を反映することができる。また、家賃相場、人口、滞在人数に関するデータが高度の情報を含まない場合、高度に応じて係数を乗算または加算してベース単価を求めてもよい。また、単位空間の用途毎に異なるベース単価を利用してもよい。
【0037】
なお、空間ボクセルで利用するズームレベルの考えに応じて、式(1.2)に、単位空間の価値Pを変動させる係数を利用してもよい。このとき、単位空間の価値Pは、単位空間のサイズに比例していなくてもよい。すなわち、いわゆる、ボリュームディスカウントでは、価格と量とが比例していないのと同様である。例えば、単位空間が、1/8になったとき、その単位空間の価値は、1/8ではなく、1/8よりも高く設定されても良い。また、単位空間が8倍になったとき、その単位空間の価値は、8倍ではなく、8倍よりも小さくてもよい。
【0038】
〈設定装置における各単位空間の価値の設定処理〉
図6に示すフローチャートを用いて、設定装置10が利用する空間情報の価値の設定する処理の流れの一例を説明する。
【0039】
演算回路11は、単位空間の価値の設定タイミングであるか否かを判定する(S01)。設定タイミングとは、例えば、定期的なタイミング、ユーザ端末20からリクエストを受信したタイミング等であり得る。また例えば、三次元空間の各単位空間の価値に変化が生じるタイミングを設定タイミングとすることができる。
【0040】
演算回路11は、設定タイミングであるとき(S01でYES)、記憶装置12から三次元空間情報D1、三次元地図情報D2及び空間利用情報D3を読み出す(S02)。
【0041】
演算回路11は、設定条件D4を更新する(S03)。具体的には、演算回路11は、空間利用情報D3を用いて、各単位空間の利用率を算出する。また、演算回路11は、設定条件D4において各単位空間の識別情報と関連付けられる利用率を更新する。
【0042】
演算回路11は、設定条件D4に含まれる利用率を用いて、三次元空間情報D1で規定される各単位空間の価値を設定する(S04)。
【0043】
演算回路11は、各単位空間の識別情報に、ステップS04で設定された単位空間の価値を関連づけて、プライシング情報D5を生成する(S05)。このとき、設定装置10は、生成したプライシング情報D5を記憶装置12に記憶させる。また、記憶装置12に過去に生成したプライシング情報D5が記憶されるとき、新たに設定された価値を関連付けてプライシング情報D5を更新する。
【0044】
演算回路11は、三次元空間情報D1、三次元地図情報D2、及び、プライシング情報D5を用いて、合成画像を生成する(S06)。また、演算回路11は、生成した合成画像をユーザ端末20に送信する(S07)。これにより、ユーザ端末20では、合成画像を出力装置14に表示して、ユーザが目視で確認することができる。なお、ユーザの確認が不要である場合、ステップS06およびS07の処理は省略することができる。
【0045】
合成画像は、例えば、
図7の概略図に一例を示すように、三次元空間を示す地図の各単位空間と、各単位空間の価値V1~V5を示す情報とを合成した画像である。例えば、合成画像は、三次元空間を示す地図の中で、指定された単位空間に、当該単位空間の価値を示す文字や記号を合成してもよい。また例えば、合成画像は、三次元空間を示す地図の中で、指定された単位空間に、価値V1~V5毎に定められた色が合成されていてもよい。
【0046】
なお、
図7に示す合成画像は、同一の価値が設定された複数の単位空間をまとめて1つとして価値を関連付けた一例である。具体的には、
図7は、同一の高度の単位空間が同一の価値が設定されているとき、合成画像において、同一の価値が設定された個々の単位空間が区別されずに一つの領域として示される一例である。
【0047】
このように、本開示に係る設定装置10は、三次元空間の各単位空間に価値を設定することができる。ここで、設定装置10は、各単位空間の時間帯毎に求められる利用率に応じて、単位空間の価値を設定する。したがって、設定装置10は、単位空間の価値を流動的に設定することができる。また、設定装置10は、三次元空間の各単位空間の価値に変化が生じるタイミングで新たに価値を設定することができる。これにより、ユーザは、現在の状況に合わせた価値で空間を利用することができる。さらに、設定装置10は、三次元空間の地図に、各単位空間に設定した価値を関連付けて表示することができる。これにより、ユーザは、各単位空間の価値を容易に把握することができる。
【0048】
〈変形例1〉
図8を用いて、変形例1に係る設定装置10Aを説明する。変形例1に係る設定装置10Aは、
図1に示す設定装置10と比較して、記憶装置12に環境情報D6を記憶する点で異なる。
【0049】
環境情報D6は、三次元空間情報D1と対応した空間の環境に関連する情報である。環境情報D6は、例えば、空間における気象の情報、災害の情報等を含み得る。なお、環境に関連する情報は、時々刻々変化するため、定期的なタイミングまたは情報が変化するタイミングで更新され得る。
【0050】
環境情報D6は、三次元空間情報D1の座標と対応する絶対座標系によって表されていてもよい。情報システム1において、統一して絶対座標系を用いて座標を表すことで、各処理において座標変換をすることなく効率的に各処理を実行することが可能となる。
【0051】
設定装置10Aの演算回路11は、単位空間の価値を設定するとき、利用が制限される単位空間の価値を低く設定することができる。
【0052】
このように、変形例1に係る設定装置10Aは、環境に合わせてより流動的に単位空間の価値を設定することができる。
【0053】
〈変形例2〉
図9を用いて、変形例2に係る設定装置10Bを説明する。
図1及び
図8を用いて上述した設定装置10、10Aは、単に単位空間の価値を設定する。変形例2に係る設定装置10Bは、単位空間の価値を設定し、単位空間を移動する経路を生成する。具体的には、設定装置10Bは、移動体が所定の発着場から目的地まで商品を配達し、配達後に発着場まで戻る移動体の経路を決定する例で説明する。設定装置10Bは、商品の配達に利用する経路及び料金の決定に、単位空間の価値を利用することができる。以下では、移動体が、空中を飛行するマルチコプターである一例で説明する。より具体的には、マルチコプターが、ドローンである例で説明する。
【0054】
変形例2に係る設定装置10Bは、
図1に示す設定装置10と比較して、商品の配達を依頼する依頼者のユーザ端末20Aと、ドローンを利用して配達を管理する運航管理者のユーザ端末20Bと、ドローン40Aを操作する操作端末40Bと接続される点で異なる。また、設定装置10Bは、記憶装置12に環境情報D6及びドローン情報D7を記憶する点で異なる。
【0055】
ドローン情報D7は、商品の配達に利用されるドローンに関する情報を含む。
図10に示すように、例えば、ドローン情報D7は、ドローンの識別情報に、機種番号、スペック、現在位置、予約情報等を関連付ける。スペックは、ドローンの重量、サイズ、ホバリング時間、最大航続距離、最大飛行高度、最大風圧抵抗等のドローンの性能を示す情報であり得る。
【0056】
ドローンの飛行には、様々な条件が課せられる。したがって、変形例2に係る設定装置10Bの記憶装置12が記憶する三次元空間情報D1、設定条件D4及び環境情報D6は、後述するように、飛行経路の生成で利用される種々の情報を含むことができる。また、演算回路11は、後述するように、ドローン情報D7に加え、三次元空間情報D1、設定条件D4及び環境情報D6に含まれるそれらの情報を利用して、単位空間の価値を設定し、及び、移動の経路を生成する。
【0057】
・飛行可能高度
ドローンには、飛行可能な高度が制限されている。また、ドローン個々の性能によって、飛行可能な高度が定められる場合がある。演算回路11は、ドローン情報D7に含まれるドローンの飛行速度を読み出す。
【0058】
・飛行速度
ドローン個々の性能によって、飛行速度が定められる場合がある。演算回路11は、ドローン情報D7からドローンの飛行速度を読み出す。
【0059】
・バッテリー残量及び消費量
ドローンがバッテリーを利用する場合、飛行距離に応じて必要なバッテリーの消費量が求められる。また、現在のバッテリー残量によって、対象のドローンが利用の可否が決定する。演算回路11は、ドローン情報D7からバッテリー残量等を検出し、発着場と目的地の往復に飛行可能なドローンを選択する。
【0060】
・二酸化炭素の排出量
ドローンの飛行に起因して二酸化炭素が排出されるとき、ドローン情報D7から二酸化炭素の排出量に関する情報を取得し、エコな(二酸化炭素の排出量が少ない)ドローンを選択してもよい。
【0061】
・対象の時間帯に飛行可能なドローンの数
ドローンの数は限定されている。また、ある時間に既に他の配達に割り当てられているドローンもある。したがって、対象の時間に飛行可能なドローンの数も限定される。演算回路11は、飛行経路の生成で、ドローン情報D7から対象の時間に飛行可能なドローンの情報を検出する。
【0062】
・ドローンの飛行禁止エリア
ドローンの飛行禁止エリアは、予め航空法等により規定される。例えば、地上150m以上、空港等の周辺、緊急用務空域、人口集中地区の上空等はドローンの飛行禁止エリアである。また、このような飛行禁止エリアは、ドローンの飛行経路とすることはできない。三次元空間情報D1は、各単位空間の識別情報に、ドローンの禁止エリアであるか否かを関連付けることができる。演算回路11は、三次元空間情報D1から各単位空間が飛行禁止エリアであるか否かに関する情報を検出する。
【0063】
・他のドローンの飛行エリア
既に他のドローンに割り当てられている領域もある。このような領域は、対象のドローンの飛行に割り当てることができない。ある単位空間がドローンの飛行経路として予約されている場合、三次元空間情報D1は、単位空間の識別情報に、飛行が予約されている日時を関連付けることができる。演算回路11は、三次元空間情報D1から各単位空間の予約情報を検出して利用する。
【0064】
・天候による飛行制限
雨や風がドローンの飛行の可否や速度に影響する場合もある。演算回路11は、環境情報D6から各単位空間の天候に関する情報を検出して利用する。
【0065】
・発着場の災害
ドローンの発着場が災害で利用できない場合、その発着場からのドローンの発着はできない。演算回路11は、環境情報D6から発着場の災害を検出して利用する。
【0066】
・風速の発生
自然界では、風が発生することがある。風の風速が大きい場合、ドローンの飛行に影響を与える。例えば、単位空間に、発生する風の風速が大きすぎると、ドローンが飛行できない。このような場合、演算回路11は、環境情報D6を参照し、対象の単位空間で発生する風速を検出する。また、演算回路11は、ドローン情報D7から、対象のドローンのスペックを読み出す。さらに、演算回路11は、対象のドローンに、対象の単位空間で生じる風速が許容できるか判定する。なお、演算回路11は、自然で発生する風に加え、隣接する単位空間を飛行するドローンによって生じる風速を考慮してもよい。
【0067】
・温度の上昇
単位空間に、ドローンにより上昇する許容温度が定められる場合もある。このような場合、演算回路11は、設定条件D4から許容上昇温度を読み出す。また、演算回路11は、ドローン情報D7に含まれる対象のドローンのスペックから、ドローンが単位空間を上昇させる温度を算出して利用する。
【0068】
演算回路11は、「料金優先」又は「日時優先」のいずれであるかの条件に応じて飛行経路を生成することができる。料金優先は、商品配達の料金がより低い経路が優先される。日時優先は、希望日時により近い日時に商品が配達される経路が生成される。したがって、いずれが優先されるかにより、経路の生成方法が異なる。
【0069】
(最適経路の算出1:料金優先)
例えば、地上からの高度に応じて、価値が異なるように設定されているとする。このとき、演算回路11は、複数の単位空間から、発着場と目的地を連結する、価値が低い単位空間を選択して最適経路を生成する。具体的には、演算回路11は、発着場から目的地までと、目的地から発着場までを結ぶ単位空間を選択する。このとき、演算回路11は、より価値が低い単位空間を選択する。より価値が低い単位空間を選択して生成した経路が、料金優先の場合の最適経路である。単位空間の価値は、単位空間の利用率に応じて求めることができる。低い価値で
【0070】
(最適距離の算出2:日時優先)
演算回路11は、上述の料金優先と同様の方法で最適経路を生成する。また、演算回路11は、生成した最適経路で指定の日時に商品の配達ができるとき、この最適経路を日時優先の場合の最適経路とする。指定の日時に商品が配達できないとき、演算回路11は、価値が高い高度の単位空間を選択し直して、経路を生成する。例えば、価値の低い高度の単位空間が既に予約されている場合であっても、希望の日時に価値の高い高度の単位空間は利用可能である場合もあり得るためである。例えば、演算回路11は、高度を変更することで、指定の日時に商品の配達ができる最適経路を生成する。
【0071】
(利用率)
ある時間帯における各単位空間の利用率は、例えば、当該時間帯に単位空間が利用された頻度及び/又は利用が予定される頻度と、過去一年間の同一時間帯における対象の単位空間に単位空間が利用された頻度及び/又は利用が予定される頻度とを用いて求められる。ここで、単位空間の利用頻度は、単位空間を利用するドローンの数であらわすことができる。このとき、時間帯に加え曜日毎状況を考慮してもよい。例えば、12月12日(水)12時01分00秒から59秒間のある単位空間の利用率Rを算出には、以下の式(2.1)を利用することができる。
R=C1/C2・・・(2.1)
C1:12月12日(水)12時01分00秒から59秒間に対象の単位空間を利用するドローンの数
C2:過去1年間の水曜日の12時01分00秒から59秒間に対象の単位空間を利用するドローンの数
【0072】
なお、各単位空間は、1つのドローンにのみ割り当てられるものとする。したがって、同時に2つ以上のドローンが1つの単位空間に存在することはない。
【0073】
(単位空間の価値)
各単位空間の価値は、例えば、高度毎に異なってもよい。また、単位空間の高度に応じて、ベース単価が定められていてもよい。具体的には、ベース単価は、10m毎に定められてもよい。例えば、高度105mのある単位空間の単位時間(例えば、60秒)の価値Pの算出には、以下の式(2.2)を利用することができる。
P=Pb×R・・・(2.2)
Pb:高度100~110mの単位空間のベース単価
R:対象の単位空間の利用率
これにより、単位空間毎に単価を求めることができる。
【0074】
また例えば、単位空間の単位時間の価値Pは、三次元空間の利用者となるユーザ端末20のユーザから単位空間の管理者に対して送信される空間利用の回数(トランザクション)を示す信号であるAPIコール数に応じて異なっていても良い。具体的には、式(2.2)にAPIコール数に応じて定められる係数を加算又は乗算しても良い。
【0075】
なお、例えば、ドローンの発着場である単位空間のベース単価は、それ以外の単位空間のベース単価と比較して高くなるように設定してもよい。また、例えば、高頻度で晴天が続く単位空間のベース単価は、それ以外の単位空間のベース単価と比較して高くなるように設定してもよい。このような単位空間は、高頻度で利用されることが予想されるためである。
【0076】
(生成した経路を利用する配達の料金)
複数の単位空間を結ぶ経路を利用する商品配達に要する料金は、各単位空間の単価と、各単位空間をドローンが占有する時間によって定められてもよい。例えば、経路の移動に要する料金Vは、以下の式(2.3)を利用することができる。
V=ΣPbn×Tn・・・(2.3)
Pbn:単位空間のベース単価
Tn:単位空間を利用する時間
【0077】
なお、料金Vは、式(2.3)で求めた金額に対して割引がされてもよい。例えば、いわゆるボリュームディスカウントのように、料金が高くなるほど、割引率が高くなるように設定されていても良い。具体的には、演算回路11は、式(2.3)で求められる金額から減算又は除算する係数を利用してもよい。
【0078】
または、演算回路11は、ドローンの種別毎で定められるスペックに応じて単位空間の利用に要する単価を算出し、式(2.3)で求めた料金に加算してもよい。例えば、以下の一例のように、ドローンの最大積載量、防水の有無等によって、加算する単価が定められる。
【0079】
最大積載量が1000gであり、防水無しのドローンの単価は、100円/10secである。最大積載量が2000gであり、防水無しのドローンの単価は、200円/10secである。最大積載量が1000gであり、防水有りのドローンの単価は、120円/10secである。したがって、上記の例では、最大積載量が大きくなる程、単価が高くなる。また、上記の例では、最大積載量が同一であるとき、防水無しよりも防水有りの方が、単価が高くなる。
【0080】
〈設定装置におけるドローンの飛行の制御処理〉
図11に示すフローチャートを用いて、設定装置10Aが空間情報の価値を設定する処理の流れの一例を説明する。
【0081】
演算回路11は、ネットワーク30を介して、ユーザ端末20から配達のリクエストを受信したか否かを判定する(S11)。例えば、リクエストは、商品の配達先、商品の重量、配達希望日時等を含み得る。また、リクエストは、ユーザが、料金優先又は配達日時優先のいずれであるかを含み得る。
【0082】
演算回路11は、ユーザ端末20からリクエストを受信すると(S11でYES)、記憶装置12から三次元空間情報D1、三次元地図情報D2及び空間利用情報D3を読み出す(S12)。この時点で、配達リクエストで含まれる条件の配達に関する概算費用等を求めることができるとき、ユーザ端末20に送信してもよい。これにより、ユーザ端末20の出力装置14には、概算費用が表示される。概算費用は、例えば、1kmあたり1000円等の情報であってもよい。
【0083】
演算回路11は、設定条件D4を更新する(S13)。具体的には、演算回路11は、空間利用情報D3を用いて、各単位空間の利用率を算出する。また、演算回路11は、設定条件D4において各単位空間の識別情報と関連付けられる利用率を更新する。
【0084】
演算回路11は、記憶装置12から、ドローン情報D7を読み出す(S14)。
【0085】
演算回路11は、設定条件D4及びドローン情報D7を用いて、三次元空間情報D1で規定される各単位空間の価値を設定する(S15)。
【0086】
演算回路11は、プライシング情報D5を生成する(S16)。このとき、プライシング情報D5は、各単位空間の識別情報に、ステップS16で設定した価値を関連付けたデータである。
【0087】
演算回路11は、三次元空間情報D1、空間利用情報D3、設定条件D4、プライシング情報D5、環境情報D6、ドローン情報D7を用いて、各単位空間から、ドローンの最適経路を生成する(S17)。ここで、演算回路11は、最適経路の生成に、ステップS11で受信したリクエストに含まれる料金優先又は日時優先に応じて、異なる経路を最適経路とすることができる。具体的には、演算回路11は、ドローンの発着場の単位空間から、目的地の単位空間までと、目的地の単位空間から発着場の単位空間まで、隣接する単位空間を順番に選択することで、最適経路を生成することができる。ここで、隣接する単位空間が使用されているとき、演算回路11は、ドローンを移動する前の単位空間に待機させる経路を生成することができる。または、演算回路11は、隣接する単位空間が使用されているとき、他の隣接する単位空間を通過する経路を生成することができる。なお、最適経路の生成には、ダイクストラ法、強化学習、ナビゲーションメッシュの利用等の手法を利用することができる。
【0088】
また、仮に、目的の時間に対象の発着場にドローンが存在しない場合、別の場所からドローンを対象の発着場に移動させる必要がある。このような場合、最適経路は、別の場所から対象の発着場までの移動も含むことができる。
【0089】
なお、例えば、ステップS17で最適経路を生成したときには、生成した最適経路の各単位空間に対して、空間利用情報D3に、仮予約がされてもよい。仮予約は、最適経路が生成されてから所定の時間(例えば、10分間)、最適経路の各単位空間が他のリクエストに対する最適経路での利用を制限する。
【0090】
演算回路11は、ステップS14で生成した最適経路を飛行するドローンの飛行計画を生成する(S18)。演算回路11は、複数のドローンの情報から、ステップS11で受信したリクエストに含まれる配達希望日時にステップS14で生成した最適経路を飛行するドローンを選択する。また、演算回路11は、配達の料金を求める。飛行計画は、ここで求めた配達の料金を含むことができる。また、飛行計画は、ドローンの到着日時を含むことができる。このとき、演算回路11は、飛行計画を示す画像データを生成してもよい。
【0091】
なお、ステップS17で生成した最適経路を飛行するドローンを選択できないとき、演算回路11は、配達の日時をリクエストに含まれる料金優先又は日時優先に応じて、ドローンが飛行するタイミングを変更する。
【0092】
演算回路11は、ステップS18で生成した飛行計画を、ネットワーク30を介して、ユーザ端末20に送信する。(S19)。
【0093】
演算回路11は、ステップS19で送信した飛行計画でドローンを飛行させることがユーザによって同意されたとき(S20でYES)、この飛行計画を操作端末40Bに送信する(S21)。これにより、操作端末40Bは、ドローン40Aを受信した制御信号で制御することができる。したがって、ドローン40Aは、ユーザの希望に応じた配達を実現することができる。
【0094】
一方、ステップS19で送信した飛行計画でドローンを飛行させることが同意されないとき(S20でNO)、ステップS17に戻り、別の最適経路を生成する。
【0095】
なお、上述の例では、移動体の一例として空中を移動するマルチコプターを用いて説明した。しかしながら、三次元空間を移動する移動体であればマルチコプターに限定されない。
【0096】
このように、変形例2に係る設定装置10Bは、三次元空間の各単位空間に価値を設定することができる。ここで、設定装置10Bは、各単位空間の時間帯毎に求められる利用率に応じて、単位空間の価値を設定する。また、設定装置10Bは、利用率に応じて定められる価値に基づいて、配達に利用する経路を求めることができる。このとき、設定装置10Bは、ユーザが料金優先と日時優先のいずれであるかに応じて、最適経路を生成することができる。これにより、設定装置10Bは、ユーザの希望に応じて、料金で配達させることができる。
【0097】
〈変形例3〉
上記の例では、空中を飛行するドローンの例で説明した。しかしながら、水中を移動するドローンであっても同様である。ここで、例えば、水中の特定の物質の濃度がドローンに影響を与えることがある。このとき、水中に設定される単位空間毎の特定の物質の濃度に応じて、各単位空間の価値が異なるように設定してもよい。特定の物質を含む水中の一例には、APLS処理水を含む海中があり得る。
【0098】
また、ドローンが特定の物質を放出する場合、その濃度が、単位空間の価値に影響を与えても良い。例えば、より多くの物質を排出する場合、価値が高くなるように設定され得る。特定の物質は、APLS処理水や二酸化炭素であり得る。
【0099】
〈変形例4〉
上述の例では、空間を移動する移動体が移動する単位空間の価値を決定する例で説明した。しかしながら、価値を設定する単位空間は、移動体が移動する単位空間に限定されない。また、ここでは、単位空間は、空中、宇宙、水中等のいわゆる、空間に限定されず、地中も含むことができる。例えば、データセンタに設置するサーバ、地下に埋設するIoTデバイスの設置する位置の決定に利用することができる。例えば、上述したように価値を設定した単位空間の中から、このようなサーバやIoTデバイス等の装置を設置する位置を選択してもよい。一例として、単位空間に、装置により上昇する許容温度が定められる場合、設定条件D4から許容温度を読み出し、設置する機器が単位空間を上昇させる温度を算出して利用する。
【0100】
〈変形例5〉
上述の説明では、三次元空間情報D1は、所定の絶対座標で表される例で説明した。例えば、上述の説明は、地心天体基準座標系であり得る。これに対し、座標は、太陽の中心を基準とする座標であってもよい。具体的には、座標は、太陽系重心天体基準座標系であってもよい。例えば、三次元空間が地球等の惑星の空中であるとき、空中の単位空間に対して価値を設定するのであれば、その惑星の中心を基準とした座標で扱うことで処理が容易となる。これに対し、三次元空間が宇宙であるとき、太陽を基準とする座標を利用することで、処理が容易となる。
【0101】
〈変形例6〉
上述の説明では、単位空間は、多面体である一例で説明した。しかしながら、各単位空間は、多面体以外の形状であってもよい。例えば、複数の単位空間は、球体である地球の中心を中心として多層に配置される空間であってもよい。複数の単位空間を球体の中心から多層に配置することで、充填率100%の球体とすることができる。このとき、各単位空間は、底面部と上面部が球体に合わせた曲面であり得る。例えば、同じ層に全ての単位空間を配置することで、複数の単位空間の上面部によって球体が形成される。このとき、同一の層の単位空間は同一の形状である。また、異なる層の単位空間は、同一の形状でなくてもよい。なお、単位空間が必要な階層にのみ単位空間を配置していればよい。例えば、単位空間を定める必要の無い地中深くには、単位空間を配置していなくてもよい。
【0102】
<1> 本開示の設定方法は、記憶装置と接続される演算回路において実行される三次元空間の価値を設定する設定方法であって、
前記三次元空間は、複数の単位空間を含み、前記各単位空間には前記各単位空間を一意に識別する識別情報が付与されており、
前記記憶装置は、複数の単位空間の識別情報と、前記各単位空間が単位時間当たりに利用される頻度を示す情報とを関連付けた空間利用情報を記憶し、
前記演算回路が、
前記記憶装置から、前記空間利用情報を読み出し、
前記空間利用情報で表される前記各単位空間が単位時刻あたりに利用される頻度を用いて、前記各単位空間の利用率を求め、
前記各単位空間の利用率に応じて、前記各単位空間の価値を示す価値情報を設定する。
【0103】
<2> <1>の設定方法において、前記演算回路により、
前記単位空間ごとに、前記識別情報と前記価値情報とを関連付けたプライシング情報を生成して前記記憶装置に格納してもよい。
【0104】
<3> <1>または<2>の設定方法において、前記演算回路は、表示装置と接続され、
前記記憶装置は、前記各単位空間の識別情報と、前記三次元空間における前記単位空間の位置を示す情報とを関連付ける三次元空間情報を記憶し、
前記演算回路により、
前記各単位空間を示す画像に、設定した前記価値を関連付けた合成画像を生成し、
前記表示装置に、前記合成画像を表示させてもよい。
【0105】
<4> <1>から<3>のいずれか1の設定方法において、前記空間利用情報は、前記単位空間が利用された時刻及び/又は利用が予定される時刻を含み、
前記演算回路により、
前記単位空間を利用された時刻及び/又は利用が予定される時間帯毎に利用率を求めてもよい。
【0106】
<5> <1>から<4>のいずれか1の設定方法において、前記空間利用情報は、前記単位空間を利用する対象を含み、
前記演算回路により、
前記単位空間を利用する対象に利用率を求めてもよい。
【0107】
<6> <1>から<5>のいずれか1の設定方法において、前記各単位空間は、直方体、立方体、平行六面体のうちいずれか1つの多面体であってもよい。
【0108】
<7> <1>から<5>のいずれか1の設定方法において、前記各単位空間は、球体の中心から外側に多層に配置され、底面部と上面部が球体に沿った曲面で形成される形状であってもよい。
【0109】
<8> <1>から<7>のいずれか1の設定方法において、前記価値情報は、単位空間の高度または標高に応じて異なってもよい。
【0110】
<9> 本開示の設定装置は、記憶装置と接続される演算回路を備え、三次元空間の価値を設定する設定装置であって、
前記三次元空間は、複数の単位空間を含み、前記各単位空間には前記各単位空間を一意に識別する識別情報が付与されており、
前記記憶装置は、複数の単位空間の識別情報と、前記各単位空間が単位時間あたりに利用される頻度を示す情報とを関連付けた空間利用情報を記憶し、
前記演算回路により、
前記記憶装置から、前記空間利用情報を読み出し、
前記空間利用情報で表される前記各単位空間が単位時間あたりに利用される頻度を用いて、前記各単位空間の利用率を求め、
前記各単位空間の利用率に応じて、前記各単位空間の価値を示す価値情報を設定する。
【0111】
<10> 本開示のコンピュータプログラムは、情報処理装置に、<1>から<8>のいずれか1に記載の設定方法を実行させる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本開示は、地理空間情報を利用する際の三次元空間への価値の設定に有用である。
【符号の説明】
【0113】
1 情報システム
10、10A、10B 設定装置
11 演算回路
12 記憶装置
13 入力装置
14 出力装置
15 通信回路
20、20A、20B ユーザ端末
【要約】
【課題】三次元空間の価値を設定する。
【解決手段】設定方法は、記憶装置と接続される演算回路において実行される三次元空間の価値を設定する。三次元空間は、複数の単位空間を含み、各単位空間には各単位空間を一意に識別する識別情報が付与されている。記憶装置は、複数の単位空間の識別情報と、各単位空間が単位時間あたりに利用される頻度を示す情報とを関連付けた空間利用情報を記憶する。設定方法は、演算回路が、記憶装置から、空間利用情報を読み出し、空間利用情報で表される各単位空間が単位時刻あたりに利用される頻度を用いて、各単位空間の利用率を求め、各単位空間の利用率に応じて、各単位空間の価値を示す価値情報を設定する。
【選択図】
図1