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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-18
(45)【発行日】2024-11-26
(54)【発明の名称】ケース付き鋏
(51)【国際特許分類】
   B26B 29/04 20060101AFI20241119BHJP
   B26B 13/22 20060101ALI20241119BHJP
【FI】
B26B29/04
B26B13/22
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024144049
(22)【出願日】2024-08-26
【審査請求日】2024-08-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511101139
【氏名又は名称】横田 安野
(74)【代理人】
【識別番号】100126675
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 将彦
(72)【発明者】
【氏名】横田 正判
(72)【発明者】
【氏名】横田 安野
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】実公第001398(大正13年)(JP,Y1T)
【文献】特許第6085732(JP,B1)
【文献】中国実用新案第207240266(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 13/00-17/02,29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース付き鋏であって、
回動軸に回動自在に連結されることにより開閉可能な一対の鋏片と、ケースとを備え、
前記一対の鋏片の各々は、前記回動軸に対し一方側に刃を有し他方側に把持部を有し、かつ前記把持部は、前記一方側の延長線上に延びる躯幹部を有し、
前記ケースは、連結部により一端が回動自在に連結されることにより開閉可能な一対のケース部材を有し、かつ前記連結部を刃先の側に向けて前記一対の鋏片に取り付けられ、
前記ケースは、前記一対のケース部材の各々が、前記一対の鋏片のうちの対応する鋏片の前記躯幹部に案内されることにより、前記一対の鋏片の前記刃を収容しかつ前記刃の開きを抑えるように前記刃の側に前進した位置と、前記連結部が前記回動軸と重なり、前記一対の鋏片とともに開閉するように前記把持部の側に後退した位置との間で、移動可能であり、
前記ケースは、前記一対のケース部材を開く方向に付勢する弾性部材を、更に有し、
前記ケース付き鋏は、
前記一対の鋏片の一方の前記躯幹部に、弾性的に曲げ変形する片持ち梁の形態で設けられた梁状バネであって、前記ケースを、前記刃の側に前進した前記位置から更に前進して前記刃から抜け出さないように係止する梁状バネと、
前記一方の前記躯幹部に対応する前記一対のケース部材の一方に設けられた貫通孔であって、前記ケースが前記刃の側に前進した前記位置にあるときに、前記梁状バネの上方に位置する係合孔と、を更に備え、
前記梁状バネは、前記一方の前記躯幹部の外表面に沿うように、かつ先端が前記回動軸から遠ざかる方を向くように、基端が前記一方の前記躯幹部に固定され、前記ケースが前記刃の側に前進した前記位置にあるときには、前記係合孔の後退方向の側壁面に前記先端が対向するように、弾性復元力により跳ね上がり、それにより、前記ケースが更に前進して前記刃から抜け出すことを妨げ、前記ケースが前記把持部側に後退するときには、前記一対のケース部材の前記一方のうち、前記係合孔の前進方向の端縁により押さえられることにより倒伏し、前記ケースの後退を妨げない、ケース付き鋏。
【請求項2】
前記一対の鋏片の前記一方の前記躯幹部は、倒伏した前記梁状バネを収容する溝状の凹部を有する、請求項1に記載のケース付き鋏。
【請求項3】
前記ケースは、前記梁状バネの前記先端が対向する、前記係合孔の前記側壁面に、当該先端が前記側壁面から外れてさらに跳ね上がるのを防止するように、前記先端を収容可能な凹部を有する、請求項1又は2に記載のケース付き鋏。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不使用時に刃を収容するケースの付いた鋏(はさみ)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の鋏として、特許文献1及び2に記載されるものが知られている。特許文献1に記載される鋏は、一端が開口する筒状のケースを着脱自在に鋏に装着することにより、刃を保護するものである。筒状のケースは、装着されたときには、刃を収容し、かつ開閉しないように刃を拘束する。しかし、鋏を使用するときには、このケースは、鋏から取り外されるものであり、鋏に常に取り付けられている訳ではない。このため、ケースを必要とするときに、ケースが鋏の近くに無い場合があり、ケースの使用に不便を来す、という問題点があった。
【0003】
これに対して、特許文献2に記載される鋏では、ケースが一対の鋏片の一方に摺動可能に取り付けられており、ケースを刃の側に前進させることにより、刃を収容することが可能となっている。ケースは、前進するときには、鋏片の他方に設けられた重合部のロック溝に係合することにより、鋏片の開きを拘束する。逆に、ケースを把持部の側に後退させることにより、刃を露出させることができ、かつロック溝との係合状態も解除されるので、鋏片を開閉させることが可能となる。このように、特許文献2に開示される鋏では、刃を保護するケースが常に鋏に取り付けられており、それによりケースと鋏とが離れ離れ(はなればなれ)になる、という不便さが解消されることが期待されている。
【0004】
しかしながら、特許文献2に記載される鋏では、誤って、ケースが把持部の側から刃の側に幾分か前進した状態のままで、把持部に握力を加えることにより、開いている一対の鋏片を閉じようとすると、ケースと重合部とが当接し、かつ当接部分には、梃子の原理により増幅された大きな力が集中的に加わるので、当接部分が損傷を被ることとなる。特許文献3に記載の発明は、本願発明者と共通する発明者によるもので、この問題を解決し、刃を収容するケースを、鋏の使用時においても鋏に取り付けておくことができ、しかも、鋏を閉じようとする握力によりケースが損傷を被ることのないケース付き鋏を提供することを、目的としてなされたものである(特許文献3の明細書段落0006参照)。本願発明者は、特許文献3に記載の発明を基礎とした改良として、その利点を損なうことなく、鋏を使用するときに鋏を開く操作を要せず、鋏操作が簡便なケース付き鋏が実現できないかと考えた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平03-10864号公報
【文献】特開平11-319339号公報
【文献】特許第6085732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、刃を収容するケースを、鋏の使用時においても鋏に取り付けておくことができ、しかも、鋏を閉じようとする握力によりケースが損傷を被ることが無いのに加えて、鋏を使用するときに鋏を開く操作を要せず、鋏操作が簡便なケース付き鋏を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様によるものは、ケース付き鋏であって、回動軸に回動自在に連結されることにより開閉可能な一対の鋏片と、ケースとを備えている。前記一対の鋏片の各々は、前記回動軸に対し一方側に刃を有し他方側に把持部を有し、かつ前記把持部は、前記一方側の延長線上に延びる躯幹部を有している。前記ケースは、連結部により一端が回動自在に連結されることにより開閉可能な一対のケース部材を有し、かつ前記連結部を刃先の側に向けて前記一対の鋏片に取り付けられている。前記ケースは、前記一対のケース部材の各々が、前記一対の鋏片のうちの対応する鋏片の前記躯幹部に案内されることにより、前記一対の鋏片の前記刃を収容しかつ前記刃の開きを抑えるように前記刃の側に前進した位置と、前記連結部が前記回動軸と重なり、前記一対の鋏片とともに開閉するように前記把持部の側に後退した位置との間で、移動可能である。また、前記ケースは、前記一対のケース部材を開く方向に付勢する弾性部材を、更に有している。
【0008】
この構成によれば、一対のケース部材の各々が、一対の鋏片のうちの対応する鋏片の躯幹部に案内されつつ、当該躯幹部に沿って、移動することができる。鋏を使用しないときには、ケースを刃の側に前進させることにより、刃を収容しかつ刃の開きを抑えることができる。また、鋏を使用するときには、ケースを把持部の側に後退させることにより、一対の鋏片を開閉させることが可能となる。このように、刃を収容するケースを、鋏の使用時においても鋏に取り付けておくことができる。また、ケースが、後退した所定の位置から前方にずれていた場合に、一対の鋏片の開きが妨げられることはあっても、閉じる動きがケースによって妨げられることはない。従って、鋏を閉じようとする握力によりケースが損傷を被ることはない。
【0009】
更に、一対のケース部材は、弾性部材によって開く方向に付勢されているので、鋏を使用するためにケースを把持部の側に後退させたときには、一対のケース部材とともに一対の鋏片が開く。このため、鋏を使用するときに、鋏を開く操作を要せず、鋏操作が簡便なものとなる。なお、ケースが刃を「収容する」、とは刃を完全に覆うことをも含むが、それに限定されない。例えば、ケースには間隙や孔があってもよく、刃の鋭利な部分が外部から手に触れないように、実質的に収容状態を実現するものであれば足りる。
【0010】
本発明のうち第2の態様によるものは、第1の態様によるケース付き鋏であって、前記ケースが、前記刃の側に前進した前記位置にあるときに、前記一対の鋏片の少なくとも一方に係止されることにより、前記刃の側に前進した前記位置から、さらに前進して前記刃から抜け出すことを妨げる第1の抜け止め機構を、更に備えている。
【0011】
この構成によれば、ケースが刃から抜け出すことを防ぐことができる。
【0012】
本発明のうち第3の態様によるものは、第1又は第2の態様によるケース付き鋏であって、前記ケースが、前記把持部の側に後退した前記位置にあるときに、前記一対の鋏片の少なくとも一方に係止されることにより、前記把持部の側に後退した前記位置から、さらに後退して前記把持部から抜け出すことを妨げる第2の抜け止め機構を、更に備えている。
【0013】
この構成によれば、ケースが把持部から抜け出すことを防ぐことができる。
【0014】
本発明のうち第4の態様によるものは、第1から第3のいずれかの態様によるケース付き鋏であって、前記一対の鋏片の少なくとも一方の前記躯幹部に、弾性的に曲げ変形する片持ち梁の形態で設けられた梁状バネであって、前記ケースを、前記刃の側に前進した前記位置から前記把持部の側に後退しないように係止する梁状バネを、さらに備えている。前記梁状バネは、対応する前記躯幹部の外表面に沿うように、かつ先端が前記回動軸の側へ向くように、基端が対応する前記躯幹部に固定され、前記ケースが前記刃の側に前進した前記位置にあるときには、前記ケースの前記把持部側の端面に前記先端が対向するように、弾性復元力により跳ね上がり、使用者が指で当該梁状バネを押さえることにより、当該梁状バネは倒伏し、倒伏したまま前記ケースと対応する前記躯幹部との間の隙間に納まることにより、前記ケースの前記把持部の側への移動を可能にする。
【0015】
この構成によれば、刃の側に前進した位置にあるケースが、把持部の側に後退しないように、梁状バネにより係止される。このため、ケースに収容されている刃が意図せずして露出することを防ぐことができる。また、ケースを把持部の側に後退させるときには、梁状バネを指で押さえることにより、梁状バネによる係止を解除することができる。
【0016】
本発明のうち第5の態様によるものは、第4の態様によるケース付き鋏であって、前記ケースは、前記梁状バネの前記先端が対向する前記把持部側の前記端面に、当該先端が前記ケースの前記端面から外れてさらに跳ね上がるのを防止するように、前記先端を抑えるバネ抑え部を有している。
【0017】
この構成によれば、梁状バネがケースの端面から外れることにより、ケースに収容されている刃が意図せずして露出することを、防ぐことができる。
【0018】
本発明のうち第6の態様によるものは、第4又は第5の態様によるケース付き鋏であって、前記一対の鋏片の前記少なくとも一方の前記躯幹部は、倒伏した前記梁状バネを収容する凹部を有している。
【0019】
この構成によれば、凹部によって、ケースと鋏片との間に、倒伏した梁状バネが納まる隙間が確保される。
【0020】
本発明のうち第7の態様によるものは、第4から第6のいずれかの態様によるケース付き鋏であって、前記ケースは、前記梁状バネの押圧力により前記一対のケース部材が互いに捻れを生じることを抑えるように、前記一対のケース部材の一方を抑える抑え部材を他方に有している。
【0021】
この構成によれば、梁状バネの押圧力により一対のケース部材が互いに捻れ(ねじれ)を生じることが抑えられる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によれば、刃を収容するケースを、鋏の使用時においても鋏に取り付けておくことができ、しかも、鋏を閉じようとする握力によりケースが損傷を被ることが無いのに加えて、鋏を使用するときに鋏を開く操作を要せず、鋏操作が簡便なケース付き鋏が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施の形態によるケース付き鋏の外観斜視図であり、ケースが刃を収容する前進位置にあるときの形態を示している。
図2図1のケース付き鋏の本体部である鋏の外観斜視図である。
図3図1のケース付き鋏のケースの構造を示す図であり、(a)はケースの外観斜視図、(b)は一部のA-A断面図、(c)は一部のB-B断面図である。
図4図1のケース付き鋏について、ケースが前進位置にあるときの構造を表す図であり、(a)は一部に断面図を含む平面図であり、(b)は一部のC-C断面図である。
図5図1のケース付き鋏の外観斜視図であり、ケースが把持部の側に後退した後退位置にあるときの形態を示している。
図6図1のケース付き鋏について、ケースが後退位置にあるときの構造を表す図であり、(a)は一部に断面図を含む平面図であり、(b)は一部のD-D断面図である。
図7】本発明の別の実施の形態によるケース付き鋏の構造を表す図であり、(a)は外観斜視図であり、(b)は一部の断面図である。
図8】本発明のさらに別の実施の形態によるケース付き鋏が有するケースの外観斜視図である。
図9】本発明のさらに別の実施の形態によるケース付き鋏が有する鋏の外観斜視図であり、刃を収容する前進位置にあるケースの概略を、併せて例示している。
図10図9のケース付き鋏のケースの構造を例示する図であり、(a)はケースの外観斜視図、(b)は一部のE-E断面図、(c)は一部のF-F断面図、(d)は一部のG-G断面図である。
図11図9のケース付き鋏の第1の抜け止め機構を例示する断面図である。
図12図9のケース付き鋏の試作品を写真で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[弾性部材の無い実施の形態]
はじめに、本願発明が基礎とする特許文献3に記載の発明の実施の形態、すなわち弾性部材の無い実施の形態について、図1図8を参照しつつ説明する。これらの実施の形態にも弾性部材を組み込むことが可能であることから、これらの実施の形態も「本発明の実施の形態」に含めて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態によるケース付き鋏の外観斜視図であり、ケースが刃を収容する前進位置にあるときの形態を示している。このケース付き鋏101は、本体をなす鋏1と、鋏1に取り付けられたケース3とを有している。ケース3は、後に詳述するように、鋏1に沿って前後に摺動可能である。ケース3は、一例として先端部が開口した筒状であり(後述の図4参照)、図1に示すように、鋏1の刃の側に前進した位置にあるときに、刃を収容するケースとして機能する。この状態にあるとき、鋏1の刃は、開かないようにケース3によって拘束される。鋏1を使用しないときには、図1に示すように、ケース3に刃を収容することにより、鋏1を安全な状態に保つことができる。
【0025】
図2は、鋏1の外観斜視図である。鋏1は、回動軸11に回動自在に連結されることにより開閉可能な一対の鋏片13,15を有している。鋏片13,15は、回動軸11に対し一方側16に刃17,19を有し、他方側20に把持部21,23を有している。鋏片13,15は、他方側(すなわち把持部側)20においては、一方側(すなわち刃側)16の延長線上に延びる躯幹(くかん)部25,27と、躯幹部25,27に連結する指掛け部29,31とを有している。図2の例では、指掛け部29,31は、躯幹部25,27の後方端部から躯幹部25,27が開く方向に突出しており、回動軸11に近い部位において、間隙33,35をもって躯幹部25,27に接近している。指掛け部29,31は、躯幹部25,27に接近する部位に、爪部37,39を有しており、これらの爪部37,39が間隙33,35をもって躯幹部25,27に対向している。各構成部分の材料の一例を挙げると、刃17,19は、ステンレス鋼などの金属製であり、躯幹部25,27は、内部に刃17,19の基部が埋め込まれたプラスチック製であり、指掛け部29,31は、躯幹部25,27のプラスチック部分と一体に成型されたプラスチック製である。
【0026】
躯幹部25には、さらに板バネ41が設けられている。板バネ41は、躯幹部25の外表面に沿うように、かつ先端が回動軸11の側へ向くように、基端が躯幹部25に埋め込まれて固定されている。板バネ41は、弾性的に曲げ変形する片持ち梁の形態で躯幹部25に設けられたバネであり、本発明の梁状バネの一具体例に相当する。板バネ41は、その先端がケース3の後端面に対向することにより、ケース3を前進位置に係止する係止部材として機能するものである。板バネ41は、自然状態において躯幹部25の表面から僅かに起立し、指圧により容易に倒伏させることができる。躯幹部25の表面には、倒伏した板バネ41を収容する溝状の凹部43が形成されている。さらには、指により板バネ41を、より容易に倒伏させることができるように、指を受け入れる断面弧状の凹部44が、躯幹部25,27の表面に形成されている。板バネ41は、一例として金属製である。
【0027】
図3(a)はケース3の外観斜視図であり、図3(b)はA-A切断線に沿ったケース3の一部の断面図であり、図3(c)はB-B切断線に沿ったケース3の一部の断面図でる。ケース3は、一対のケース部材7,9を有しており、これらのケース部材7,9は、連結部5により一端が回動自在に連結されており、それにより開閉可能となっている。一対のケース部材7,9は、図3(b)に例示するように、概略において、互いに向き合う面(上面)が開口し、底壁とその両端に連結する両側壁とを有する断面「コ字」状の長尺枠体であり、それにより、閉じたときには、刃17,19を閉じた状態で収容可能な、断面矩形の筒状となる。連結部5は、一例として、一対のケース部材7,9の端部の両側壁に配置された一対の部材を有しており、その各々は、図3(c)に例示するように、板状体50と、この板状体50の一方主面から突出するピン51とを有する。板状体50は、一対のケース部材7,9の一方、例えばケース部材7の端部に連結しており、他方であるケース部材9の端部に形成された貫通孔53に、ピン51が遊挿されることにより、一対のケース部材7,9が回動可能に連結されている。これらの連結用の部材は、一例としてプラスチック製であり、例えば接着により板状体50がケース部材7の端部に固着されている。
【0028】
図4は、ケース3が前進位置にあるときのケース付き鋏101の構造を表す図であり、(a)はケース3の断面図を含むケース付き鋏101の平面図であり、(b)はC-C切断線に沿ったケース付き鋏101の一部の断面図である。ケース3は、内部を刃17,19が通るように、しかも連結部5を刃先の側に向けた姿勢で、鋏1に取り付けられる。一対の鋏片13,15の把持部側20は、刃側16の延長線上に延びる躯幹部25,27を有し、しかも、躯幹部25,27と指掛け部29,31との間に間隙33,35を有するので、ケース3は、間隙33,35に挟まれ、かつ案内されつつ、刃17,19と躯幹部25,27とに沿って、前後に摺動することができる。
【0029】
図4に例示するように、ケース3が刃側16に前進した位置にあって、刃17,19を収容するときには、刃先はケース3の先端部よりも内側に引っ込んでいるが、連結部5の付近にある。このため、指掛け部29,31に指を掛けて一対の鋏片13,15を開くように力を加えても、刃先は連結部5の付近のケース3の内壁面に当接することとなり、ケース3を開くための大きなモーメントを生じない。ケース3の開閉する端部である後端部の付近が、指掛け部29,31の爪部37,39により抑えられるので、刃先によって開く力がケース3に加えられても、ケース3は開くことができない。すなわち、ケース3は、前進位置にあるときに、刃17,19を収容するとともに、その開きを抑えるように機能する。
【0030】
ケース3の後端部付近には、ケース3が刃先の方にさらに前進して刃17,19から抜け出すことを防ぐために、爪部37,39に係止される突起部55,57が形成されている。突起部55,57は、本発明の第1の係止部の一具体例に相当するもので、ケース部材7,9の底壁の外表面に形成されている。爪部37,39が突起部55、57から逃げないように、互いが当接する面、すなわち爪部37,39の後端面と突起部55、57の前端面とは、いずれも、ケース3の摺動方向に直交するように形成されている。逆に、ケース3を鋏1に装着するときには、爪部37,39が突起部55,57によって容易に押し開かれ(すなわち、間隙33,35が大きくなり)、ケース3が容易に装着できるように、爪部37,39の前端面と突起部55、57の後端面とは、例えば、ケース3の摺動方向に対して傾斜するか、あるいは断面弧状の曲面をなしている。躯幹部25,27から突出する一種のカンチレバーの構造をなす指掛け部29,31は、ある程度の弾性変形が可能であるので、刃側16から把持部側20に移動する突起部55,57によって、爪部37,39を押し開くことは可能である。また、片手の指ではなく両手の指を指掛け部29,31に掛けて、鋏1を使用するときの通常の力をはるかに超える大きな力を、開く方向に加えると、爪部37,39と躯幹部25,27との間の間隙33,35が開き、爪部37,39による係止を解除することができ、装着されているケース3を鋏1から取り外すことができる。このようにケース3は、格別の操作をすることにより、鋏1から外すことも可能である。
【0031】
逆に、ケース3が刃側16の前進位置から不本意に後退することを防ぐために、前述のように、板バネ41が躯幹部25に設けられている。図4(b)の断面図に例示するように、板バネ41は、その先端がケース3の後端面に対向することにより、ケース3を前進位置に係止する。板バネ41の先端を受ける面を広く確保するために、一対のケース部材7,9の後端部には、側壁から直立する出張り部63,65,67,69が形成されている(図3参照)。4箇所に出張り部63,65,67,69が設けられるのは、ケース3を鋏1に装着するときに、向きを選ばないようにするためと、デザイン性を考慮して対称性を確保するためである。また、板バネ41を複数箇所に設けることも可能となる。
【0032】
ケース3の後端部付近には、爪部37,39に係止される別の突起部59,61が形成されている。突起部59,61は、本発明の第2の係止部の一具体例に相当するもので、ケース部材7,9の底壁の外表面に形成されている。突起部59,61の表面は、例えば断面弧状の曲面をなしている。そのため、ケース3を指で挟んで、ある程度以上の力をもって後方へ押すことにより、爪部37,39を押し開き、爪部37,39による係止を解除することができる。このように、板バネ41がなくとも、突起部59,61により、ケース3は前進位置を維持することができる。これに対し、板バネ41は、突起部59,61と爪部37,39との係止状態を解除する力よりも強い力がケース3に作用した場合であっても、ケース3の後退を防止する。また、突起部59,61は、ケース3を後退位置から前進位置へ前進させるときにも、爪部37,39を押し広げるように機能する。ケース3が前進位置へ達すると爪部37,39は元の状態に戻る。それに伴い、ケース3を前進させるように操作する指には、爪部37,39による抵抗力の感触と、前進位置に達したときに抵抗力が解消される感触とが伝わる。それにより、使用者は、ケース3が前進位置に正しく達したことを認識することができる。
【0033】
図5は、ケース3が鋏1の把持部側20に後退した位置にあるときのケース付き鋏101の形態を示す外観斜視図である。また、図6は、ケース3が後退位置にあるときのケース付き鋏101の構造を表す図であり、(a)はケース3の断面図を含むケース付き鋏101の平面図であり、(b)はD-D切断線に沿ったケース付き鋏101の一部の断面図である。図5及び図6に例示するように、ケース3が後退位置にあるときには、ケース3の連結部5が、鋏1の回動軸11と重なる。このため、一対のケース部材7,9は、一対の鋏片13,15とともに、開閉することができる。開く刃17,19がケース3と干渉しないように、ケース3の先端部には、スリット状の切れ込み111、112が形成されている(図4も参照)。切れ込み111,112は、一対のケース部材7,9の底壁に、先端部からある深さまで形成されている。
【0034】
後退位置にあるときに、一対のケース部材7,9は躯幹部25,27を覆うので、使用者は、ケース部材7,9と指掛け部29,31とによって形成される空洞71、73に指を差し込んで、鋏1を開閉させる。このように、ケース3が後退位置にあるときには、躯幹部25,27に代わってケース部材7,9が、使用者の指の力を直接に受けることとなる。すなわち、ケース3は、後退位置にあるときに把持部21,23の一部をなす。ケース3が、後退位置から前方にずれていた場合であっても、ケース3は閉じる方向には動きが自由であり、動きを妨げるものがない。このため、特許文献2に記載の従来技術とは異なり、鋏1を閉じようとする握力によりケース3が損傷を被ることはない。
【0035】
図5及び図6に例示するように、空洞71、73の輪郭が、ケース部材7,9から指掛け部29,31へ滑らかにつながる曲線となるように、ケース部材7,9には、指掛け部29,31を挟むように、板状の突起部75,77,79,81、83,85,87,89が形成されている。それにより、空洞71、73の輪郭が使用者の指になじみ易いものとなる。図5及び図6の例では、板状の突起部75,77,79,81,83,85,87,89は、ケース部材7,9の側壁の延長として形成されている。
【0036】
図6(b)に例示するように、ケース3が後退位置にあるときには、板バネ41は倒伏し、躯幹部25の表面に形成された溝状の凹部43に収容されている。このように、ケース3と板バネ41が取り付けられている躯幹部25との間には、倒伏した板バネ41を収容する隙間が形成されているので、板バネ41を倒伏させて、ケース3を前進位置から後退位置へ摺動させることができる。
【0037】
図7は、本発明の別の実施の形態によるケース付き鋏の構造を表す図であり、(a)は外観斜視図であり、(b)は一部の断面図である。このケース付き鋏102は、板バネ41が対向するケース3の後端面に、板バネ41の先端部を収容可能な凹部91が形成されている。その結果、板バネ41に過度な圧縮力が印加された場合でも、板バネ41の先端部は凹部91内に止まり、ケース3の後端面から外れて跳ね上がることを防ぐことができる。図7の例では、凹部91の天井部が、板バネ41の先端の跳ね上がりを抑える本発明のバネ抑え部の一具体例に相当する。凹部91を形成する代わりに、板バネ41の先端の跳ね上がりを抑える突起部を、ケース3の後端面に形成してもよい。この場合には、この突起部が、本発明のバネ抑え部に相当する。
【0038】
図8は、本発明のさらに別の実施の形態によるケース付き鋏が有するケースの外観斜視図である。この実施の形態によるケース93は、一対のケース部材97,99の一方の側壁に、他方の側壁の浮き上がりを抑える抑え部材95が形成されている。図8の例では、抑え部材95は板状である。図6に例示したように、ケース3が後退位置にあるときには、板バネ41は、一方のケース部材7に押し上げるような押圧力を及ぼす。その結果、一対のケース部材7,9の側壁の間で、段差を生じる場合がある。すなわち、ケース部材7,9の間に、一種の捻れを生じる場合がある。図8に例示する抑え部材95は、ケース部材99に対してケース部材97が浮き上がるのを抑え、側壁同士を面一(つらいち)に揃えるように機能する。
【0039】
図4及び図6に例示した突起部55,57は、それらのうちの一方のみが設けられても良い。また、突起部59,61も、同様に、それらのうちの一方のみが設けられても良い。本発明の梁状バネは、例示された板バネ41だけでなく、ピアノ線のような金属線状のもの、躯幹部25と一体に形成されたプラスチック製の棒状体など、様々な形態を採り得る。
【0040】
[弾性部材の有る実施の形態]
以下において、特許文献3に記載の発明を基礎としてなされた発明の一実施の形態、すなわち弾性部材の有る実施の形態について、図9図12を参照しつつ説明する。図1図8を引用しつつ述べたところから類推可能な事項については、詳細な説明を略する。
図9は、本発明のさらに別の実施の形態によるケース付き鋏が有する鋏の外観斜視図であり、刃を収容する前進位置にあるケースの概略を、併せて例示している。このケース付き鋏103の鋏201は、鋏1(図2参照)の把持部21,23から躯幹部25,27を残し、指掛け部29,31を除去した形態を成している。ケース203は、躯幹部25,27に案内されつつ、刃17,19の開きを抑えるように刃側16に前進した位置と、一対の鋏片13,15とともに開閉するように把持部側20に後退した位置との間で、移動することができる。躯幹部25,27には、ケース203と係合する係合溝211,213が、躯幹部25,27の延在方向に沿って形成されている。
【0041】
躯幹部27には更に、板バネ241が設けられている。板バネ241は、躯幹部27の外表面に沿うように、かつ先端が回動軸11から遠ざかる方を向くように、すなわち板バネ41とは逆方向を向くように、基端が躯幹部27に埋め込まれて固定されている。板バネ241は、弾性的に曲げ変形する片持ち梁の形態で躯幹部27に設けられたバネである。板バネ241は、自然状態において躯幹部27の表面から僅かに起立し、上から力が加わることにより倒伏する。躯幹部27の表面には、倒伏した板バネ241を収容する溝状の凹部243が形成されている。板バネ241は、一例として金属製である。板バネ241及び凹部243は、ケース203が、図示例のように刃側16に前進した位置にあるときに、ケース203が更に前進して刃17,19から抜け出すことを妨げる、本発明の第1の抜け止め機構の構成要素の一具体例に相当する。板バネ241及び凹部243の働きについては後述する。
【0042】
図9の例では、把持部21,23は躯幹部25,27に加えて、躯幹部25,27の後方端部から躯幹部25,27が開く方向に突出する突出部229,231を有している。突出部229,231は、ケース203が鋏1の把持部側20に後退した位置にあるときに、ケース203の後方端部204に当接し、それにより、ケース203がさらに後退して把持部21,23から抜け出すことを妨げる。すなわち突出部229,231は、本発明の第2の抜け止め機構の一具体例に相当する。躯幹部25,27と突出部229,231とは、一例として、一体に成型されたプラスチック製である。
【0043】
図10は、ケース付き鋏103のケース203の構造を例示する図であり、(a)はケース203の外観斜視図、(b)は一部のE-E断面図、(c)は一部のF-F断面図、(d)は一部のG-G断面図である。ケース203は、一対のケース部材207,209を有しており、これらのケース部材207,209は、連結部5により一端(前方端部206)が回動自在に連結されており、それにより開閉可能となっている。ケース203には更に、一対のケース部材207,209を開く方向に付勢する弾性部材220が配置されている。一対のケース部材207,209には、前方端部206の付近に、弾性部材220を収容する弾性部材収容室221が設けられている。
【0044】
ケース203が鋏1の把持部側20に後退した位置にあるときに、ケース203の前方端部206が、躯幹部25,27(図9参照)の前方端部に当接し、それにより、ケース203がさらに後退して把持部21,23から抜け出すことを妨げるようにすることも可能である。この場合には、互いに当接するケース203の前方端部206と躯幹部25,27の前方端部とは、本発明の第2の抜け止め機構の一具体例に相当する。
【0045】
一対のケース部材207,209は、図10(b)に例示するように、概略において、互いに向き合う面(上面)が開口し、底壁とその両端に連結する両側壁とを有する断面「コ字」状の長尺枠体であり、それにより、閉じたときには、刃17,19を閉じた状態で収容可能な、断面矩形の筒状となる。ケース203が刃側16に前進したときに刃17,19を収容する刃収容室223は、ケース203が把持部側20に後退するときには、躯幹部25,27を収容する。前方端部206の付近では、ケース部材207,209は、刃収容室223に加えて、弾性部材収容室221を有する。図10(b)は特に、前方端部206の付近におけるケース部材207,209(代表としてケース部材207)の断面構造を例示している。
【0046】
図10(a)に戻って、一対のケース部材207,209は、それらの後方端部204に突起251,253を有している。突起251,253は、鋏201の躯幹部25,27に設けられた係合溝211,213(図9参照)に係合するように、刃収容室223の一方の開口端部から開口部を挟んだ他方の開口端部に向かって突起している。それにより、一対のケース部材207,209は、開く方向にも閉じる方向にも、一対の躯幹部25,27に拘束され、一対の躯幹部25,27によって、その延在方向に沿って案内される。
【0047】
ケース部材209の後方端部204の付近には、係合孔261が設けられている。係合孔261は、刃収容室223の側壁を貫通する孔として形成されている。係合孔261は、躯幹部27に設けられた板バネ241(図9参照)と係合することにより、ケース203が過度に前進して刃17,19から抜け出するのを防止する。
【0048】
連結部5は、一例として、一対のケース部材207,209の前方端部206の両側壁に配置された一対の部材を有しており、その各々は、図10(c)に例示するように、板状体50と、この板状体50の一方主面から突出するピン51とを有する。板状体50は、一対のケース部材207,209の一方、例えばケース部材207の前方端部206に連結しており、他方であるケース部材209の前方端部206に形成された貫通孔53に、ピン51が遊挿されることにより、一対のケース部材207,209が回動可能に連結されている。これらの連結用の部材は、一例としてプラスチック製であり、例えば接着により板状体50がケース部材207に固着されている。
【0049】
図10(c)及び図10(d)に例示するように、一対のケース部材207,209を開く方向に付勢するように、弾性部材220が双方の弾性部材収容室221に収容されている。図示例では、弾性部材220はトーションばねであり、その両腕の末端が弾性部材収容室221の角(すみ)に位置するように配置される。それにより、弾性部材220は、弾性部材収容室221から脱落することが回避される。ケース203を把持部側20に後退させたときには、一対の鋏片13,15及び一対のケース部材207,209は、開閉可能となる。このとき、弾性部材220により付勢されているケース部材207,209の開く方向の動きが、互いに係合する突起251,253と係合溝211,213とを通じて、鋏片13,15に伝えられ、鋏片13,15がケース部材207,209と共に開く。後述する図12は、この様子を例示している。
ケース部材207,209が開く最大角度を制限することも可能である。そのために、例えばケース部材207,209を、互いの開き角度が制限される構造とすることは容易に為しえることである。あるいは、弾性部材220として、その自然状態での開き角度が所望の角度であるものを選択することによっても、実現可能である。
【0050】
図11は、ケース付き鋏103の第1の抜け止め機構を例示する断面図である。図11(a)に例示するように、ケース203が刃側16(図9参照)に前進した位置にあるときには、ケース部材209に設けられた係合孔261は、板バネ241の上方に位置する。このとき、板バネ241は、弾性復元力により跳ね上がって係合孔261の中に進入する。その結果、ケース203を更に刃側16に前進させようとしても、板バネ241の先端が係合孔261の後退方向の側壁面に当接し、ケース203の前進が阻止される。すなわち、板バネ241が係合孔261と係合することにより、ケース203が前進して刃17,19から抜け出すことが妨げられる。図示例では図7と同様に、板バネ241の先端が当接する係合孔261の後退方向の側壁面に、板バネ241の先端を収容可能な凹部291が形成されている。
【0051】
補修等のためにケース203を鋏201から取り外すときには、係合孔261に針金などを挿入して板バネ241を押圧ことにより、板バネ241を倒伏させることができる。それにより、板バネ241と係合孔261との係合が解除され、ケース203を前進させて鋏201から取り外すことが可能となる。
【0052】
ケース203を把持部側20に後退させるときには、板バネ241は、ケース部材209のうち、係合孔261の前進方向の端縁により押さえられる。その結果、図11(b)に例示するように、板バネ241は倒伏し、凹部243に納まる。このように、板バネ241はケース203の後退を妨げない。なお、第1の抜け止め機構の例として、板バネ241を用いた機構を示したが、ラチェット機構一般など他の機構を用いることも可能である。
【0053】
図12は、ケース付き鋏103の試作品を写真で示す斜視図である。ケース203を鋏201の把持部側20に後退させたときには、図示例のように、弾性部材220の作用により自動的に鋏201が開く。対象物を切断するときに、鋏201を開く操作を要しないので、鋏操作が簡便である。また、指掛け部29,31(図2参照)を要しないので、図示例のように、把持部21,23の構造を簡素なものとすることができる。
【0054】
ケース付き鋏103だけでなく、ケース付き鋏101,102についても、弾性部材220を組み込むことは可能である。例えば、ケース付き鋏101,102のケース3に、ケース203と同様の弾性部材収容室221を設け、弾性部材収容室221に弾性部材220を収容することにより実現可能である。それにより、対象物を切断するときに、鋏1を開く操作を要せず、鋏操作が簡便なケース付き鋏101,102が実現する。
【符号の説明】
【0055】
1 鋏、 3 ケース、 5 連結部、 7,9 ケース部材、 11 回動軸、 13,15 鋏片、 16 一方側(刃側)、 17,19 刃、 20 他方側(把持部側)、 21,23 把持部、 25,27 躯幹部、 29,31 指掛け部、 33,35 間隙、 37,39 爪部、 41 板バネ(梁状バネ)、 43,44 凹部、 50 板状体、 51 ピン、 53 貫通孔、 55,57 突起部(第1の係止部)、 59,61 突起部(第2の係止部)、 63,65,67,69 出張り部、 71、73 空洞、 75,77,79,81、83,85,87,89 突起部(板状の突起部)、 91 凹部、 93 ケース、95 抑え部材、 97,99 ケース部材、 101,102、103 ケース付き鋏、 111,112 切れ込み、 201 鋏、 203 ケース、 204 後方端部、206 前方端部、 207,209 ケース部材、 211,213 係合溝、 220 弾性部材、 221 弾性部材収容室、 223 刃収容室、 229,231 突出部、 241 板バネ、 243 凹部、 251,253 突起、 261 係合孔。
【要約】
【課題】 使用するときに鋏を開く操作を要しないケース付き鋏を提供する。
【解決手段】 開示されるケース付き鋏は、回動軸に回動自在に連結されることにより開閉可能な一対の鋏片と、ケースとを有する。一対の鋏片の各々は、回動軸に対し一方側に刃を有し他方側に把持部を有し、把持部は、一方側の延長線上に延びる躯幹部を有する。ケースは、連結部により一端が回動自在に連結されることにより開閉可能な一対のケース部材を有し、かつ連結部を刃先の側に向けて前記一対の鋏片に取り付けられる。ケースは、一対のケース部材の各々が、対応する鋏片の躯幹部に案内されることにより、一対の鋏片の刃を収容しかつ刃の開きを抑えるように刃の側に前進した位置と、連結部が回動軸と重なり、一対の鋏片とともに開閉するように把持部の側に後退した位置との間で、移動可能である。ケースは、一対のケース部材を開く方向に付勢する弾性部材を更に有する。
【選択図】 図10
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12