(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】引戸構造
(51)【国際特許分類】
E05D 15/00 20060101AFI20241120BHJP
E05D 13/00 20060101ALI20241120BHJP
E05D 15/06 20060101ALI20241120BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20241120BHJP
E06B 3/64 20060101ALI20241120BHJP
E06B 3/70 20060101ALI20241120BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
E05D15/00 G
E05D13/00 K
E05D15/06 101Z
E05D15/06 124A
E06B3/46
E06B3/64
E06B3/70 D
E06B7/22 B
(21)【出願番号】P 2020052169
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2019109574
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】松山 仙治
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-116770(JP,A)
【文献】特開2016-050398(JP,A)
【文献】特開2018-071278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00-15/58
E05D 13/00
E06B 3/04-3/46
E06B 3/54-3/88
E06B 7/00-7/36
E06B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に設けられたレールと、前記レールに吊下されて開閉可能とされる引戸と、床面に設けられる巾木部材と、開状態の前記引戸を収容する戸袋と、を備える引戸構造であって、
前記引戸は、
二枚のドアガラス板と、前記ドアガラス板の下部を支持する引戸下枠と、を備え、
前記戸袋は、前記巾木部材に支持される戸袋下枠と、前記引戸の軌道を挟んで一対に配置され前記戸袋下枠に外周辺が相対動不能に保持される二枚の戸袋ガラス板と、を備え、
前記引戸下枠の見付と前記戸袋下枠の見付とを、上下方向に同位置に略同一の幅寸法で形成し
、
前記引戸下枠は、前記二枚のドアガラス板の外側の上端面と、前記二枚のドアガラス板の間の上端面とが、同一平面上に形成され、
前記戸袋下枠は、前記戸袋ガラス板の内側と外側との上端面が前記同一平面上に形成される、引戸構造。
【請求項2】
前記引戸下枠には、長手方向に沿って形成された被ガイド部と、前記被ガイド部と平行となるように配置されて前記引戸の下端部と床面との隙間を塞ぐシール部材と、が設けられ、
前記引戸の下方には、前記被ガイド部と摺動することにより前記引戸をガイドするガイド部材が設けられる、請求項1に記載の引戸構造。
【請求項3】
前記被ガイド部には、下方に開口する凹部が長手方向に沿って形成され、
前記シール部材は、前記凹部の外側において、前記引戸の厚さ方向の一端部に設けられ、
前記ガイド部材として、前記凹部の内側に挿入されるガイドローラが設けられ、
前記ガイドローラが前記被ガイド部の内側面と摺動することにより、前記ガイドローラが前記引戸をガイドする、請求項2に記載の引戸構造。
【請求項4】
天井に設けられたレールと、前記レールに吊下されて開閉可能とされる引戸と、開状態の前記引戸を収容する戸袋と、を備える引戸構造であって、
前記引戸は、一枚又は複数枚のドアガラス板と、前記ドアガラス板の下部を支持する引戸下枠と、を備え、
前記戸袋は、一枚又は複数枚の戸袋ガラス板と、前記戸袋ガラス板の下部を支持する戸袋下枠と、を備え、
前記引戸下枠の見付と前記戸袋下枠の見付とを、上下方向に同位置に略同一の幅寸法で形成し、
前記引戸下枠には、長手方向に沿って形成された被ガイド部と、前記被ガイド部と平行となるように配置されて前記引戸の下端部と床面との隙間を塞ぐシール部材と、が設けられ、
前記引戸の下方には、前記被ガイド部と摺動することにより前記引戸をガイドするガイド部材が設けられ、
前記被ガイド部には、下方に開口する凹部が長手方向に沿って形成され、
前記シール部材は、前記凹部の内側に設けられ、
前記ガイド部材として、前記戸袋の長手方向に沿って、前記引戸の一面側に位置する第一ガイドレールと、前記引戸の他面側に位置する第二ガイドレールと、が互いに平行となるように二本設けられ、
前記引戸が開状態の際には、前記シール部材が前記第一及び第二ガイドレールの間に配置され、
前記第一ガイドレール及び前記第二ガイドレールが前記被ガイド部と摺動することにより前記引戸をガイドする、引戸構造。
【請求項5】
前記被ガイド部は、前記凹部の一方の内側面を構成する第一被ガイド面と、前記第一被ガイド面に対向して前記凹部の他方の内側面を構成する第二被ガイド面と、を備え、
前記第一ガイドレール及び前記第二ガイドレールは、前記第一被ガイド面と前記第二被ガイド面との間に挿入され、
前記第一ガイドレールが前記第一被ガイド面と摺動し、前記第二ガイドレールが前記第二被ガイド面と摺動する、請求項4に記載の引戸構造。
【請求項6】
天井に設けられたレールと、前記レールに吊下されて開閉可能とされる引戸と、開状態の前記引戸を収容する戸袋と、を備える引戸構造であって、
前記引戸は、一枚又は複数枚のドアガラス板と、前記ドアガラス板の下部を支持する引戸下枠と、を備え、
前記戸袋は、一枚又は複数枚の戸袋ガラス板と、前記戸袋ガラス板の下部を支持する戸袋下枠と、を備え、
前記引戸下枠の見付と前記戸袋下枠の見付とを、上下方向に同位置に略同一の幅寸法で形成し、
前記引戸下枠には、長手方向に沿って形成された被ガイド部と、前記被ガイド部と平行となるように配置されて前記引戸の下端部と床面との隙間を塞ぐシール部材と、が設けられ、
前記引戸の下方には、前記被ガイド部と摺動することにより前記引戸をガイドするガイド部材が設けられ、
前記被ガイド部には、下方に開口する凹部が長手方向に沿って形成され、
前記シール部材は、前記凹部の外側において、前記引戸の厚さ方向の一端部に設けられ、
前記ガイド部材として、前記凹部の内側に挿入されるガイドローラが設けられ、
前記ガイドローラが前記被ガイド部の内側面と摺動することにより、前記ガイドローラが前記引戸をガイドし、
前記ガイドローラは、固定板を介して前記床面に固定され、
前記固定板における前記床面との固定部は、前記引戸の下方空間から、前記引戸の厚さ方向の他端側の外側に延出される、引戸構造。
【請求項7】
前記戸袋下枠の内側面と、当該内側面と対向する前記引戸下枠の外側面と、のクリアランスが、前記引戸の軌道と直行する方向における前記被ガイド部と前記ガイド部材とのクリアランスより大きくなるように構成されている、請求項2から請求項6の何れか一項に記載の引戸構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は引戸構造に関し、詳細には引戸構造の意匠性を向上させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、支柱、パネル体、ドア等で構成された間仕切り構造が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、複数の支柱の間に、間仕切りパネル、ドア、及び、補助パネル板等を設けた間仕切り構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献の如く構成された間仕切り構造において、引戸と戸袋との双方をガラス板で構成する場合がある。この際、引戸の下枠の見付と戸袋の下枠の見付との位置や寸法が異なると、引戸構造の意匠性が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、引戸と戸袋の両方をガラスで構成する場合に、引戸の下枠の見付と戸袋の下枠の見付との位置及び寸法を同一にすることにより、引戸構造の意匠性を向上させることが可能となる、引戸構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、以下に構成する引戸構造を提供する。
【0007】
(1)天井に設けられたレールと、前記レールに吊下されて開閉可能とされる引戸と、床面に設けられる巾木部材と、開状態の前記引戸を収容する戸袋と、を備える引戸構造であって、前記引戸は、二枚のドアガラス板と、前記ドアガラス板の下部を支持する引戸下枠と、を備え、前記戸袋は、前記巾木部材に支持される戸袋下枠と、前記引戸の軌道を挟んで一対に配置され前記戸袋下枠に外周辺が相対動不能に保持される二枚の戸袋ガラス板と、を備え、前記引戸下枠の見付と前記戸袋下枠の見付とを、上下方向に同位置に略同一の幅寸法で形成し、前記引戸下枠は、前記二枚のドアガラス板の外側の上端面と、前記二枚のドアガラス板の間の上端面とが、同一平面上に形成され、前記戸袋下枠は、前記戸袋ガラス板の内側と外側との上端面が前記同一平面上に形成される、引戸構造。
【0008】
(2)前記引戸下枠には、長手方向に沿って形成された被ガイド部と、前記被ガイド部と平行となるように配置されて前記引戸の下端部と床面との隙間を塞ぐシール部材と、が設けられ、前記引戸の下方には、前記被ガイド部と摺動することにより前記引戸をガイドするガイド部材が設けられる、(1)に記載の引戸構造。
【0009】
(3)前記被ガイド部には、下方に開口する凹部が長手方向に沿って形成され、前記シール部材は、前記凹部の外側において、前記引戸の厚さ方向の一端部に設けられ、前記ガイド部材として、前記凹部の内側に挿入されるガイドローラが設けられ、前記ガイドローラが前記被ガイド部の内側面と摺動することにより、前記ガイドローラが前記引戸をガイドする、(2)に記載の引戸構造。
【0010】
(4)天井に設けられたレールと、前記レールに吊下されて開閉可能とされる引戸と、開状態の前記引戸を収容する戸袋と、を備える引戸構造であって、前記引戸は、一枚又は複数枚のドアガラス板と、前記ドアガラス板の下部を支持する引戸下枠と、を備え、前記戸袋は、一枚又は複数枚の戸袋ガラス板と、前記戸袋ガラス板の下部を支持する戸袋下枠と、を備え、前記引戸下枠の見付と前記戸袋下枠の見付とを、上下方向に同位置に略同一の幅寸法で形成し、前記引戸下枠には、長手方向に沿って形成された被ガイド部と、前記被ガイド部と平行となるように配置されて前記引戸の下端部と床面との隙間を塞ぐシール部材と、が設けられ、前記引戸の下方には、前記被ガイド部と摺動することにより前記引戸をガイドするガイド部材が設けられ、前記被ガイド部には、下方に開口する凹部が長手方向に沿って形成され、前記シール部材は、前記凹部の内側に設けられ、前記ガイド部材として、前記戸袋の長手方向に沿って、前記引戸の一面側に位置する第一ガイドレールと、前記引戸の他面側に位置する第二ガイドレールと、が互いに平行となるように二本設けられ、前記引戸が開状態の際には、前記シール部材が前記第一及び第二ガイドレールの間に配置され、前記第一ガイドレール及び前記第二ガイドレールが前記被ガイド部と摺動することにより前記引戸をガイドする、引戸構造。
【0011】
(5)前記被ガイド部は、前記凹部の一方の内側面を構成する第一被ガイド面と、前記第一被ガイド面に対向して前記凹部の他方の内側面を構成する第二被ガイド面と、を備え、前記第一ガイドレール及び前記第二ガイドレールは、前記第一被ガイド面と前記第二被ガイド面との間に挿入され、前記第一ガイドレールが前記第一被ガイド面と摺動し、前記第二ガイドレールが前記第二被ガイド面と摺動する、(4)に記載の引戸構造。
【0012】
(6)天井に設けられたレールと、前記レールに吊下されて開閉可能とされる引戸と、開状態の前記引戸を収容する戸袋と、を備える引戸構造であって、前記引戸は、一枚又は複数枚のドアガラス板と、前記ドアガラス板の下部を支持する引戸下枠と、を備え、前記戸袋は、一枚又は複数枚の戸袋ガラス板と、前記戸袋ガラス板の下部を支持する戸袋下枠と、を備え、前記引戸下枠の見付と前記戸袋下枠の見付とを、上下方向に同位置に略同一の幅寸法で形成し、前記引戸下枠には、長手方向に沿って形成された被ガイド部と、前記被ガイド部と平行となるように配置されて前記引戸の下端部と床面との隙間を塞ぐシール部材と、が設けられ、前記引戸の下方には、前記被ガイド部と摺動することにより前記引戸をガイドするガイド部材が設けられ、前記被ガイド部には、下方に開口する凹部が長手方向に沿って形成され、前記シール部材は、前記凹部の外側において、前記引戸の厚さ方向の一端部に設けられ、前記ガイド部材として、前記凹部の内側に挿入されるガイドローラが設けられ、前記ガイドローラが前記被ガイド部の内側面と摺動することにより、前記ガイドローラが前記引戸をガイドし、前記ガイドローラは、固定板を介して前記床面に固定され、前記固定板における前記床面との固定部は、前記引戸の下方空間から、前記引戸の厚さ方向の他端側の外側に延出される、引戸構造。
【0013】
(7)前記戸袋下枠の内側面と、当該内側面と対向する前記引戸下枠の外側面と、のクリアランスが、前記引戸の軌道と直行する方向における前記被ガイド部と前記ガイド部材とのクリアランスより大きくなるように構成されている、(2)から(6)の何れか一に記載の引戸構造。
【発明の効果】
【0014】
以上における本発明に係る引戸構造によれば、引戸の下枠の見付と戸袋の下枠の見付との位置及び寸法が一致するため、引戸を開閉する際の意匠性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第一実施形態に係る引戸構造を示した正面図。
【
図6】第二実施形態に係る引戸構造を示した正面図。
【
図11】(a)から(c)はガイド部材の組付手順を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では
図1から
図5を用いて、本発明の第一実施形態に係る引戸構造について説明する。本実施形態に係る引戸構造は、
図1に示す如く、床面Fと天井Cとの間に設けられた引戸7と戸袋8とを備える。また、
図1から
図5に示す如く、引戸構造は引戸7の表裏方向(
図2及び
図3における左右方向)に対称形状となるように形成されている。
図1に示す如く、引戸構造は床面Fに設けられる巾木部材1と、天井Cに設けられる天レール2とを備える。巾木部材1は、戸袋8を構成する下枠81を支持している。
【0017】
図1から
図3に示す如く、天レール2には上枠4が固定される。上枠4は戸袋8を構成する戸袋ガラス板82・82の上端部を保持する。
図2及び
図3に示す如く、上枠4の下面には引戸7のレール6が設けられる。このように、天井Cには天レール2及び上枠4を介してレール6が設けられている。
【0018】
引戸7は、レール6に吊下されて開閉可能とされる。具体的には引戸7は、
図1から
図4に示す如く、上部に設けられる上側枠材73と、下部に設けられる引戸下枠である下側枠材75と、戸先側の側部に設けられる戸先側枠材76と、戸尻側の側部に設けられる戸尻側枠材77と、を備える。
【0019】
そして、これらの枠材73・75・76・77に、矩形の面材である二枚のドアガラス板74・74が外周辺を保持されている。このように、引戸7はダブルガラスからなるドアガラス板74・74を備える。なお、引戸7がシングルガラスからなるドアガラス板74を備える構成とすることも可能である。換言すれば、引戸7は一枚又は複数枚のドアガラス板74を備えることができる。
【0020】
また、上側枠材73の上面には吊支部材72が延出され、吊支部材72の上端部にはローラ71・71が設けられる。ローラ71・71が転動可能にレール6の内部に収容されることにより、引戸7がレール6に沿ってスライド可能とされる。
【0021】
戸袋8は開状態の引戸7を収容する。具体的には戸袋8は、
図1、
図3、及び
図4に示す如く、天レール2に固定される上枠4と、側部に設けられる枠体80と、巾木部材1に固定される戸袋下枠である下枠81と、を備える。
【0022】
そして、これらの上枠4、枠体80、及び、下枠81に、矩形の面材である二枚の戸袋ガラス板82・82が外周辺を保持されている。詳細には
図5に示す如く、下枠81には下枠81の外面部分を構成するアルミ製のガラス押さえ枠81sが着脱可能に備えられている。そして、ガラス押さえ枠81sを取り外した下枠81に戸袋ガラス板82をセットし、ガラス押さえ枠81sを下枠81に嵌め込む。その後、ガラス押さえ枠81sと戸袋ガラス板82との間に硬質樹脂のパッキンを挿入することにより、下枠81に対して戸袋ガラス板82が固定される。このように、戸袋8はダブルガラスからなる戸袋ガラス板82・82を備える。なお、戸袋8が片寄せシングルガラスからなる戸袋ガラス板82を備える構成とすることも可能である。このように、戸袋8についても引戸7と同様に、一枚又は複数枚の戸袋ガラス板82を備えることができる。
【0023】
上記の如く構成された引戸構造において、引戸7がレール6に沿ってスライドし、戸袋8から進退することにより、引戸7が開閉される。本実施形態においては、引戸7が
図1における左方向にスライドして戸袋8から延出された状態を引戸7の閉状態、引戸7が
図1における右方向にスライドして戸袋8に収容されている状態を引戸7の開状態として記載する。
【0024】
本実施形態に係る引戸構造においては
図4に示す如く、引戸7の閉状態において、戸尻側枠材77は枠体80の見付(正面視幅寸法)内に収まるように構成している。また、引戸7の閉状態において、戸尻側枠材77における戸袋8側の端面(右側端面)である戸尻枠端面77aと、枠体80における引戸7の反対側の端面(右側端面)である枠端面80aと、が面一になる(正面視で戸尻枠端面77aの位置と枠端面80aの位置とが略一致する)ように構成している。
【0025】
また、
図4に示す如く、戸尻側枠材77の戸尻側端部には、軟質材からなる戸尻シール部材79が組付けられる。引戸7の閉状態において戸尻シール部材79が枠体80(枠端面80a)との隙間を塞ぐことにより、引戸構造における遮音性を確保している。
【0026】
さらに、枠体80の内側面には、枠体80の長手方向に沿って塞ぎ材80bが設けられる。塞ぎ材80bにより、戸尻側枠材77との隙間から戸袋8の内部に虫等が侵入することを防止することができる。本実施形態において、塞ぎ材80bは化学繊維又は天然繊維等の繊維状素材を束ねて構成している。
【0027】
図1及び
図4に示す如く、引戸7の戸先側には戸当り枠3が設けられる。引戸7が閉状態にあるときは、引戸7の戸先側枠材76(より詳細には、戸先側枠材76に設けられたシール部材)が戸当り枠3に当接する。戸当り枠3の上端部と枠体80の上端部との間には、引戸7が閉状態にある際に吊支部材72及び上側枠材73を被覆するためのカバー部材5が設けられている。また、引戸7の戸先側端部には、取手91及び鍵92が取り付けられている。
【0028】
本実施形態に係る引戸構造においては
図1及び
図5に示す如く、引戸7の下側枠材75の見付(
図1、
図2、及び
図5中に示す幅寸法D1)と、戸袋8の下枠81の見付(
図1及び
図5中に示す幅寸法D2)とが、上下方向に同位置かつ略同一の幅寸法で形成される。なお、本明細書における「略同一」の記載は、引戸構造の使用者が目視した際に同一の幅寸法であると違和感なく感じるレベルであるという意味で用いている。具体的に本実施形態においては、「略同一」の範囲を±3mm以内としている。これにより、
図1に示す如く下側枠材75の見付と下枠81の見付とが連続した形状で使用者に視認されるため、引戸構造において引戸7を戸袋8から進退させる際の意匠性を向上させることが可能となる。
【0029】
また、下側枠材75の見付は、下枠81の見付に対して同じかやや小さい幅寸法(0mmから-3mm程度)で形成することがより好適である。下側枠材75の見付が下枠81の見付よりも大きい場合、引戸7を戸袋8に収容した際に下側枠材75が出っ張って外部から視認され易くなるためである。このため、本実施形態においては、下枠81の見付に対して下側枠材75の見付を1mm程度小さい幅寸法で形成している。
【0030】
本実施形態に係る引戸構造においては
図5に示す如く、下枠81による戸袋ガラス板82の保持部における外側上端部81c(より詳細にはガラス押さえ枠81sの上端部)及び内側上端部81d、及び、下側枠材75によるドアガラス板74の保持部における外側上端部75c及び内側上端部75dの上下位置を統一している。これにより、引戸7が戸袋8に収容されている状態(引戸7の開状態)において使用者が引戸構造を視認した際に、外側上端部81c、内側上端部81d、外側上端部75c、及び、内側上端部75dが同一面として認識される。即ち、本実施形態においては、引戸構造の意匠性をより高めることが可能となる。
【0031】
また、本実施形態に係る引戸構造において、引戸7における下側枠材75は
図2に示す如く、断面視で略門形状に、下方に開口する凹部が長手方向に沿って形成されている。そして、下側枠材75には、この凹部を備える被ガイド部が形成される。詳細には
図5に示す如く、下側枠材75の下面に形成された凹部の内側面のうち、引戸7の一面側(
図5における左側)の面が第一被ガイド面75a、引戸7の他面側(同じく右側)の面が第二被ガイド面75bとして形成される。換言すれば、下側枠材75における第一被ガイド面75aと第二被ガイド面75bとで挟まれた空間の内周面により、被ガイド部における凹部が形成される。
【0032】
また、第一被ガイド面75aと第二被ガイド面75bとの間には、引戸7の下端部と床面Fとの隙間を塞ぐシール部材78が設けられる。即ち、シール部材78は、下側枠材75に形成された凹部の内側に、第一被ガイド面75a及び第二被ガイド面75bと平行となるように配置される。シール部材78は、下部に樹脂製の摺接部材78aが設けられる。摺接部材78aが床面Fと常に摺接することにより、引戸7の下方における音漏れ及び光漏れが防止される。なお、シール部材78を、引戸7の開放時は床面Fから離間させるとともに、引戸7を閉めると自動的に下方に変位して引戸7と床面Fとの隙間を塞ぐ構成とすることも可能である。
【0033】
また、本実施形態に係る引戸構造においては
図5に示す如く、戸袋8における床面Fには戸袋8の長手方向に沿って下枠81が巾木部材1に固定される。そして、下枠81の上面には、引戸7の一面側に位置する第一ガイドレール81aと、他面側に位置する第二ガイドレール81bと、が互いに平行となるように二本設けられる。第一ガイドレール81a及び第二ガイドレール81bは、本発明に係るガイド部材の一実施態様である。第一ガイドレール81a及び第二ガイドレール81bはそれぞれ、樹脂製の第一摺動部材83a及び第二摺動部材83bで被覆される。
【0034】
上記の如く構成された引戸構造において、引戸7が開状態の際には
図5に示す如く、シール部材78が第一ガイドレール81a及び第二ガイドレール81bの間に配置される。そして、引戸7が戸袋8の内部でスライドする際に、第一ガイドレール81a(詳細には、第一ガイドレール81aを被覆する第一摺動部材83a、以下同じ)が第一被ガイド面75aと摺動し、第二ガイドレール81b(詳細には、第二ガイドレール81bを被覆する第二摺動部材83b、以下同じ)が第二被ガイド面75bと摺動する。即ち、本実施形態におけるガイド部材である第一ガイドレール81a及び第二ガイドレール81bは、下側枠材75に形成された凹部の内側面と摺動する。このように、第一ガイドレール81a及び第二ガイドレール81bにより引戸7がガイドされる。
【0035】
本実施形態に係る引戸構造においては上記の如く、戸袋8に設けられたガイド部材を、引戸7に形成された被ガイド部の凹部の内側面と摺動させることにより引戸7をガイドしている。具体的には、戸袋8に沿って設けられた二本のガイドレール81a・81bによって二つの被ガイド面75a・75bをガイドしている。これにより、引戸7を長手方向に沿って安定的にガイドすることが可能となる。また、シール部材78を被ガイド部の凹部の内側において、二本のガイドレール81a・81bの間に配置することにより、引戸7において被ガイド面75a・75bとシール部材78とを水平方向に隣接して配置できる。これにより、被ガイド面75a・75bとシール部材78とを上下にずらして配置する構成と比較して、引戸7の上下寸法をコンパクト化することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態に係る引戸構造においては
図5に示す如く、ガイドレール81a・81bは、被ガイド面75a・75bの間に挿入される。そして、第一ガイドレール81aが第一被ガイド面75aと摺動し、第二ガイドレール81bが第二被ガイド面75bと摺動する。
【0037】
本実施形態においては上記の如く、ガイドレール81a・81bと摺動する被ガイド面75a・75bを下側枠材75の内側に面するように構成している。これにより、引戸7を閉塞した際に、汚れがつきやすい被ガイド面75a・75bが表出しないため、引戸構造の意匠性が損なわれることを防止できる。なお、ガイドレール81a・81bを下側枠材75における被ガイド部の外側に配置して引戸7をガイドする構成とすることも可能である。
【0038】
また、本実施形態においては、下枠81の内側面と下側枠材75の外側面とのクリアランスが、被ガイド面75a・75bとガイドレール81a・81b(詳細には摺動部材83a・83b)とのクリアランスよりも大きくなるように構成している。このように、下側枠材75の外側面が下枠81の内側面に擦れないようにして、外部に露出する下側枠材75の外側面に傷がつくことを防止している。
【0039】
次に、
図6から
図11を用いて、本発明の第二実施形態に係る引戸構造について説明する。本実施形態に係る引戸構造は、
図6に示す如く、床面Fと天井Cとの間に設けられた引戸107と戸袋108とを備える。
図6に示す如く、引戸構造は床面Fに設けられる巾木部材101と、天井Cに設けられる天レール102とを備える。巾木部材101は、戸袋108を構成する下枠181を支持している。
【0040】
図6及び
図7に示す如く、天レール102には上枠104が固定される。上枠104は戸袋108を構成する戸袋ガラス板182の上端部を保持する。
図7に示す如く、上枠104の下面には引戸107のレール106が設けられる。このように、天井Cには天レール102及び上枠104を介してレール106が設けられている。
【0041】
引戸107は、レール106に吊下されて開閉可能とされる。具体的には引戸107は、
図6から
図8に示す如く、上部に設けられる上側枠材173と、下部に設けられる引戸下枠である下側枠材175と、戸先側の側部に設けられる戸先側枠材176と、戸尻側の側部に設けられる戸尻側枠材177と、を備える。
【0042】
そして、これらの枠材173・175・176・177に、矩形の面材である二枚のドアガラス板174・174が外周辺を保持されている。このように、引戸107はダブルガラスからなるドアガラス板174・174を備える。なお、引戸107がシングルガラスからなるドアガラス板174を備える構成とすることも可能である。換言すれば、引戸107は一枚又は複数枚のドアガラス板174を備えることができる。
【0043】
また、上側枠材173の上面には吊支部材172が延出され、吊支部材172の上端部にはローラ171・171が設けられる。ローラ171・171が転動可能にレール106の内部に収容されることにより、引戸107がレール106に沿ってスライド可能とされる。
【0044】
戸袋108は開状態の引戸107を収容する。具体的には戸袋108は、
図6から
図8に示す如く、天レール102に固定される上枠104と、側部に設けられる枠体180と、巾木部材101に固定される戸袋下枠である下枠181と、を備える。
【0045】
そして、これらの上枠104、枠体180、及び、下枠181に、矩形の面材である戸袋ガラス板182が外周辺を保持されている。本実施形態において、戸袋ガラス板182は戸袋108の厚み方向の両側に二枚ずつ、合計四枚設けられている。なお、戸袋108についても引戸107と同様に、一枚又は複数枚の戸袋ガラス板182を備えることができる。
【0046】
上記の如く構成された引戸構造において、引戸107がレール106に沿ってスライドし、戸袋108から進退することにより、引戸107が開閉される。本実施形態においては、引戸107が
図6における左方向にスライドして戸袋108から延出された状態を引戸107の閉状態、引戸107が
図6における右方向にスライドして戸袋108に収容されている状態を引戸107の開状態として記載する。
【0047】
本実施形態に係る引戸構造においては
図8に示す如く、引戸107の閉状態において、戸尻側枠材177は枠体180の見付(正面視幅寸法)内に収まるように構成している。また、引戸107の閉状態において、戸尻側枠材177における戸袋108側の端面(右側端面)である戸尻枠端面177aと、枠体180における引戸107の反対側の端面(右側端面)である枠端面180aと、が面一になる(正面視で戸尻枠端面177aの位置と枠端面180aの位置とが略一致する)ように構成している。
【0048】
また、
図8に示す如く、戸尻側枠材177の戸尻側端部には、軟質材からなる戸尻シール部材179が組付けられる。引戸107の閉状態において戸尻シール部材179が枠体180(枠端面180a)との隙間を塞ぐことにより、引戸構造における遮音性を確保している。
【0049】
さらに、枠体180の内側面には、枠体180の長手方向に沿って塞ぎ材180bが設けられる。塞ぎ材180bにより、戸尻側枠材177との隙間から戸袋108の内部に虫等が侵入することを防止することができる。本実施形態において、塞ぎ材180bは化学繊維又は天然繊維等の繊維状素材を束ねて構成している。
【0050】
図6及び
図8に示す如く、引戸107の戸先側には戸当り枠103が設けられる。引戸107が閉状態にあるときは、引戸107の戸先側枠材176(より詳細には、戸先側枠材176における端面に設けられた戸先シール部材176a)が戸当り枠103に当接する。戸当り枠103の上端部と枠体180の上端部との間には、引戸107が閉状態にある際に吊支部材172及び上側枠材173を被覆するためのカバー部材105が設けられている。また、引戸107の戸先側端部には、取手191及び鍵192が取り付けられている。なお本実施形態においては、取手191を引戸107の上下方向長さの2/3程度の長さに構成することにより、第一実施形態と比較して引戸107の全体的な剛性を向上させている。
【0051】
本実施形態に係る引戸構造においては
図6及び
図7に示す如く、引戸107の下側枠材175の見付(
図6及び
図7中に示す幅寸法D3)と、戸袋108の下枠181の見付(
図6及び
図7中に示す幅寸法D4)とが、上下方向に同位置かつ略同一の幅寸法で形成される。本実施形態においては第一実施形態と同様に、「略同一」の範囲を±3mm以内としている。これにより、
図6に示す如く下側枠材175の見付と下枠181の見付とが連続した形状で使用者に視認されるため、引戸構造において引戸107を戸袋108から進退させる際の意匠性を向上させることが可能となる。
【0052】
また、下側枠材175の見付は、下枠181の見付に対して同じかやや小さい幅寸法(0mmから-3mm程度)で形成することがより好適である。下側枠材175の見付が下枠181の見付よりも大きい場合、引戸107を戸袋108に収容した際に下側枠材175が出っ張って外部から視認され易くなるためである。このため、本実施形態においては、下枠181の見付に対して下側枠材175の見付を1mm程度小さい幅寸法で形成している。
【0053】
また、本実施形態に係る引戸構造においても第一実施形態と同様に、下枠181による戸袋ガラス板182の保持部における外側上端部及び内側上端部、及び、下側枠材175によるドアガラス板174の保持部における外側上端部及び内側上端部の上下位置を
図7に示す如く統一している。これにより、引戸107が戸袋108に収容されている状態(引戸107の開状態)において使用者が引戸構造を視認した際に、下枠181の外側上端部及び内側上端部と、下側枠材175の外側上端部及び内側上端部と、が同一面として認識される。即ち、本実施形態においては、引戸構造の意匠性をより高めることが可能となる。
【0054】
また、本実施形態に係る引戸構造において、引戸107における下側枠材175は
図7に示す如く、断面視で略門形状に、下方に開口する凹部が長手方向に沿って形成されている。より詳細には、下側枠材175は
図9に示す右側に第一枠材175Rが設けられ、第一枠材175Rに対して
図9における左側に第二枠材175Lが組付けられることにより構成されている。そして、
図9に示す如く、下側枠材175の下面(第一枠材175Rと第二枠材175Lとの間)に、当該下面の長手方向に沿って、断面視門形状の凹部である摺動部材175sが被ガイド部として設けられる。以下、
図7及び
図9における左側を引戸107(下側枠材175)の厚さ方向の一側、右側を引戸107(下側枠材175)の厚さ方向の他側として記載する。
【0055】
本実施形態において、摺動部材175sの内側面のうち一側(
図9における左側)は第一被ガイド面175a、摺動部材175sの内側面のうち他側(同じく右側)は第二被ガイド面175bとして形成される。このように、下側枠材175に設けられた摺動部材175sの内周面により、被ガイド部の凹部が形成される。本実施形態においては
図9に示す如く、下側枠材175に設けられる摺動部材175sは、引戸107の他側に偏って設けられる。
【0056】
また、下側枠材175の第二枠材175Lには、引戸107の一側端部(
図9における左側端部)で摺動部材175sに隣接して、引戸107の下端部と床面Fとの隙間を塞ぐシール部材178が設けられる。即ち、シール部材178は、下側枠材175に形成された凹部の外側に、第一被ガイド面175a及び第二被ガイド面175bと平行となるように配置される。シール部材178は、下部に樹脂製の摺接部材178aが設けられる。摺接部材178aが床面Fと常に摺接することにより、引戸107の下方における音漏れ及び光漏れが防止される。
【0057】
また、本実施形態に係る引戸構造においては
図6及び
図8に示す如く、床面Fにおける引戸107の下方、より詳細には枠体180の戸先側の近傍に、ガイドユニット183が設けられる。ガイドユニット183には二個のガイドローラ187・187が設けられる。ガイドローラ187・187は、本発明に係るガイド部材の一実施態様である。
【0058】
図9及び
図10に示す如く、ガイドユニット183は、支持板184、固定板185、ガイドローラ187・187、カバー部材188等により構成される。支持板184はねじ部材により床面Fに固定される。固定板185は両端部にローラ支持部186・186が立設された板状部材である。固定板185は、固定孔185aに挿通された固定ねじが支持板184の雌ねじ孔184aに螺入されることにより支持板184に固定される。
【0059】
ガイドローラ187は鉛直方向に軸心方向を向けた軸部187aを介して、ローラ支持部186に回動可能に取付けられる。即ち、ガイドローラ187は支持板184及び固定板185を介して床面Fに固定される。
【0060】
図9に示す如く、固定板185における床面F(支持板184)との固定部、即ち、固定孔185aが開口された部分は、引戸107の下方空間から、引戸107の厚さ方向の他端側(
図9における右側)の外側に延出される。そして、引戸107の下方空間から延出された固定板185は、カバー部材188により被覆される。カバー部材188には開口部188aが形成されており、この開口部188aに固定板185及び支持板184が挿通される。
【0061】
上記の如く構成された引戸構造においては
図9に示す如く、引戸107の下側枠材175が備える摺動部材175sの内側(下側枠材175に形成された凹部の内側)に、ガイドローラ187が配置される。そして、引戸107が引戸構造においてスライドする際に、ガイドローラ187・187が摺動部材175sにおける第一被ガイド面175a及び第二被ガイド面175bと摺動する。即ち、本実施形態におけるガイド部材であるガイドローラ187・187は、下側枠材175に形成された凹部の内側面と摺動する。このように、ガイドローラ187・187により引戸107がガイドされる。
【0062】
本実施形態に係る引戸構造においては上記の如く、床面Fに設けられたガイド部材を、引戸107に形成された被ガイド部の凹部の内側面と摺動させることにより引戸107をガイドしている。具体的には、床面Fにおける戸袋108の近傍に設けられたガイドローラ187・187によって、下側枠材175における被ガイド部である摺動部材175sをガイドしている。これにより、引戸107を安定的にガイドすることが可能となる。また、シール部材178を摺動部材175sの凹部の外側に配置することにより、引戸107において摺動部材175sとシール部材178とを水平方向に隣接して配置できる。これにより、被ガイド面175a・175bとシール部材178とを上下にずらして配置する構成と比較して、引戸107の上下寸法をコンパクト化することが可能となる。
【0063】
ガイドローラ187は
図11(a)から(c)に示す如く、引戸107を引戸構造に組付けた後(引戸107がレール106に吊下された後)で設置することができる。具体的にはまず
図11(a)に示す如く、引戸107がレール106に吊下された状態で、引戸107の下側枠材175の下方に支持板184を挿入して、床面Fにおける枠体180の戸先側の近傍に固定する。
【0064】
そして、
図11(a)に示す如く、戸先側枠材176に設けられた戸先シール部材176aを上方にスライドさせてできた開口部から、ガイドローラ187を固定板185と共に下側枠材175における摺動部材175sの内部に挿入する。さらに、
図11(b)に示す如く、固定板185を支持板184に固定し、戸先側枠材176において戸先シール部材176aを下方にスライドさせる。
【0065】
その後、
図11(c)に示す如く、カバー部材188により固定板185の固定部を被覆する。これにより、本実施形態に係る引戸構造にガイドユニット183を組付けることができる。
【0066】
このように、本実施形態に係る引戸構造において、ガイドユニット183を構成する固定板185は、床面Fとの固定部が、引戸107の下方空間から外側に延出されている。これにより、引戸107を組付けた後でガイドユニット183(ガイドローラ187)を引戸構造に組付けることができる。このように、本実施形態においてはガイドローラ187の組付性を向上させることを可能としている。
【0067】
なお、本実施形態においては、ガイドユニット183(ガイドローラ187)を床面Fに設置した後で引戸107を引戸構造に組付ける構成とすることも可能である。この場合、ガイドユニット183が全体的に引戸107の下方に配置される構成としても差し支えない。但し、引戸107を斜めにして戸袋108の内側に収める必要があるため、その分のクリアランスが必要となる。
【0068】
本実施形態においては、引戸107を組付けた後でガイドユニット183を引戸構造に組付けることができる構成としたことにより、戸袋108と引戸107のクリアランスを小さくすることを可能としている。また、引戸107の開状態の際に下枠181と下側枠材175の隙間を小さくすることができるため、外観上好適である。また、限られた有効寸法内で効率的に引戸107を収めることが可能となる。
【符号の説明】
【0069】
1 地レール 2 天レール
3 戸当り枠 4 上枠
5 カバー部材 6 レール
7 ドア 8 戸袋
71 ローラ 72 吊支部材
73 上側枠材 74 ドアガラス板
75 下側枠材(引戸下枠)
75a 第一被ガイド面 75b 第二被ガイド面
75c 外側上端部 75d 内側上端部
76 戸先側枠材 77 戸尻側枠材
77a 戸尻枠端面 78 シール部材
79 戸尻シール部材 78a 摺接部材
80 枠体 80a 枠端面
80b 塞ぎ材 81 下枠(戸袋下枠)
81a 第一ガイドレール(ガイド部材)
81b 第二ガイドレール(ガイド部材)
81c 外側上端部 81d 内側上端部
81s ガラス押さえ枠 82 戸袋ガラス板
83a 第一摺動部材 83b 第二摺動部材
91 取手 92 鍵
101 地レール 102 天レール
103 戸当り枠 104 上枠
105 カバー部材 106 レール
107 ドア 108 戸袋
171 ローラ 172 吊支部材
173 上側枠材 174 ドアガラス板
175 下側枠材(引戸下枠)
175a 第一被ガイド面 175b 第二被ガイド面
175s 摺動部材(被ガイド部)
176 戸先側枠材
176a 戸先シール部材 177 戸尻側枠材
177a 戸尻枠端面 178 シール部材
178a 摺接部材 179 戸尻シール部材
180 枠体 180a 枠端面
180b 塞ぎ材 181 下枠(戸袋下枠)
181s ガラス押さえ枠 182 戸袋ガラス板
183 ガイドユニット 184 支持板
184a 雌ねじ孔 185 固定板
185a 固定孔 186 ローラ支持部
187 ガイドローラ (ガイド部材)
187a 軸部 188 カバー部材
188a 開口部 191 取手
192 鍵 C 天井
F 床面 P パネル