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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】出力プログラムおよび情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/90 20190101AFI20241120BHJP
   G06F 16/80 20190101ALI20241120BHJP
【FI】
G06F16/90 100
G06F16/80
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020201645
(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公開番号】P2022089321
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 紀之
【審査官】和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194944(JP,A)
【文献】特開2020-129266(JP,A)
【文献】特開平10-161736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00
G06N 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータを含むデータ群であって、属性をそれぞれもつ複数のリンクで前記複数のデータ間の関係を表しており、上下関係を有する複数のレベルのうちの何れかのレベルを示すレベル情報が前記複数のデータのうちの少なくとも一部のデータに付与されたデータ群から、前記複数のデータのうちの検索の基点を示す第1のデータと前記属性に対する検索条件とを指定したクエリを用いて、前記複数のデータのうちの前記検索条件を満たすデータであって、同一の属性をもつリンクで前記第1のデータとそれぞれ関連付いた複数の第2のデータを検索し、
前記複数のレベルのうちの何れかのレベルの指定を受け付け、前記複数の第2のデータのうち、前記指定されたレベル以下のレベルを示すレベル情報が付与された第2のデータを選択し、
前記選択した第2のデータを出力する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする出力プログラム。
【請求項2】
記選択する処理は、前記複数の第2のデータの中に前記レベル情報が付与された第2のデータが含まれる場合に、前記何れかのレベルの指定を受け付ける処理を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の出力プログラム。
【請求項3】
前記検索する処理は、前記検索条件を示すテンプレートを用いて、前記第1のデータを基点に前記検索条件を満たす前記複数の第2のデータを検索する処理を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の出力プログラム。
【請求項4】
前記第1のデータは、事象を示すエンティティであり、前記複数の第2のデータは、それぞれ前記事象の原因または解決策を示すエンティティであり、前記上下関係は、上位のレベルほど前記原因または解決策を適用するための前提条件が多い関係を示す、
ことを特徴とする請求項1に記載の出力プログラム。
【請求項5】
複数のデータを含むデータ群であって、属性をそれぞれもつ複数のリンクで前記複数のデータ間の関係を表しており、上下関係を有する複数のレベルのうちの何れかのレベルを示すレベル情報が前記複数のデータのうちの少なくとも一部のデータに付与されたデータ群を記憶する記憶部と、
前記データ群から、前記複数のデータのうちの検索の基点を示す第1のデータと前記属性に対する検索条件とを指定したクエリを用いて、前記複数のデータのうちの前記検索条件を満たすデータであって、同一の属性をもつリンクで前記第1のデータとそれぞれ関連付いた複数の第2のデータを検索し、前記複数のレベルのうちの何れかのレベルの指定を受け付け、前記複数の第2のデータのうち、前記指定されたレベル以下のレベルを示すレベル情報が付与された第2のデータを選択し、前記選択した第2のデータを出力する制御部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力プログラムおよび情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データベースシステムは、リンクトデータ(Linked Data)を記憶することがある。Lined Dataは、リンクトオープンデータ(LOD:Linked Open Data)と呼ばれることがある。Linked Dataは、情報処理に適したデータ形式をもち、再利用性が高い。Linked Dataは、一般的に、RDF(Resource Description Framework)に従って記述される。
【0003】
Linked Dataは、それぞれURI(Uniform Resource Identifier)によって識別される複数のエンティティを含む。エンティティは、リソースまたはノードと呼ばれることがある。エンティティは、人、組織、イベントなどの実体を表す。Linked Dataは、1つの事実を、主語、述語および目的語の3つ組(トリプル)で表現する。主語および目的語はそれぞれエンティティに対応し、述語は2つのエンティティの間のリンクに対応する。述語は、主語であるエンティティから見て属性と呼ばれることがある。複数のエンティティおよび複数のリンクを含むLinked Dataは、グラフとして表現されることがある。Linked Dataは、ノード(エンティティ)とノード間の関係(エッジ)とを示すトリプルで記述されるグラフデータ(ナレッジグラフ)の一例と言える。
【0004】
データベースシステムは、Linked Dataから特定の条件を満たすエンティティを検索することがある。例えば、データベースシステムは、SPARQL(SPARQL Protocol and RDF Query Language)などのクエリ言語を用いて記述されたクエリを実行する。Linked Dataの検索処理は、基点のエンティティを選択し、クエリが示す検索条件を満たす1以上のリンクを辿って他のエンティティを抽出する処理を含むことがある。
【0005】
なお、異なる種類のRDFデータを組み合わせて地理情報サービスを提供する地理情報システム(GIS:Geographic Information System)が提案されている。組み合わせられるRDFデータは、地形データ、道路データ、行政区画データ、地名データ、建造物データおよび商業データを含む。提案の地理情報システムは、例えば、ユーザの現在位置を検出し、現在位置に近い観光地を検索し、観光地の説明をユーザに提示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】清水昇、三島和恵、山口章平、津田宏、粂照宣、「Linked Dataと地理空間情報」、情報処理、Vol.52 No.3、pp.318-325、2011年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
グラフデータに含まれる1つのエンティティが、同一種類の属性として複数の他のエンティティと関係をもつことがある。エンティティの型や属性などの文法的観点からは、これら複数の他のエンティティを互いに区別して検索することは難しい。そのため、あるクエリに対して、これら複数の他のエンティティの全てが抽出される場合がある。
【0008】
しかし、同一種類の属性として接続される複数のエンティティの間に、実質的に上下関係が存在することがある。その場合、検索時にユーザが置かれた状況から見て、上位レベルのエンティティがユーザにとって不要であることがある。そのため、ユーザにとって不要なデータがグラフデータから抽出されるという問題がある。
【0009】
例えば、知識データベースが、障害と原因と解決策の間の関係を示すグラフデータを含むことがある。知識データベースでは、1つの障害に対して複数の原因が接続されることがあり、1つの障害に対して複数の解決策が接続されることがある。しかし、その障害が発生したときに、全ての原因の情報または全ての解決策の情報がユーザにとって有用であるとは限らない。ユーザの業務が下位レベルの要求を満たしていない場合、ユーザは、上位レベルの原因または上位レベルの解決策を業務に適用できないことがある。
【0010】
1つの側面では、本発明は、検索結果からユーザにとって不要なデータを削減する出力プログラムおよび情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの態様では、第1のデータを特定する情報を受け付けると、第1の複数のデータと第1の複数のデータ間の関係を示す情報とを含むデータ群を参照し、第1のデータに関連付いた同一の属性を有する第2の複数のデータを特定し、上下関係を有する複数のレベルに含まれる第1のレベルの指定に基づいて、第2の複数のデータのうち、第1のレベル以下のレベルと関連付いた第2のデータを選択し、第2のデータを出力する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする出力プログラムが提供される。また、1つの態様では、記憶部と制御部とを有することを特徴とする情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
1つの側面では、検索結果からユーザにとって不要なデータが削減される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施の形態の情報処理装置を説明するための図である。
図2】第2の実施の形態の情報処理装置を説明するための図である。
図3】情報処理装置のハードウェア例を示すブロック図である。
図4】事象と解決策の関係を表すデータ例を示す図である。
図5】データファイルとテンプレートの第1の記載例を示す図である。
図6】事象と原因の関係を表すデータ例を示す図である。
図7】データファイルとテンプレートの第2の記載例を示す図である。
図8】解決策を表すエンティティのレイヤ分けの例を示す図である。
図9】データファイルへのレイヤ情報の第1の追加例を示す図である。
図10】原因を表すエンティティのレイヤ分けの例を示す図である。
図11】データファイルへのレイヤ情報の第2の追加例を示す図である。
図12】データベース検索と検索結果フィルタの例を示す図である。
図13】情報処理装置のソフトウェア例を示すブロック図である。
図14】データ登録の手順例を示すフローチャートである。
図15】データ検索の手順例を示すフローチャートである。
図16】基準レベル選択画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、第1の実施の形態を説明する。図1は、第1の実施の形態の情報処理装置を説明するための図である。第1の実施の形態の情報処理装置10は、データベースからデータを検索するコンピュータである。情報処理装置10は、サーバ装置でもよいしクライアント装置でもよい。
【0016】
情報処理装置10は、記憶部11および制御部12を有する。記憶部11は、RAM(Random Access Memory)などの揮発性半導体メモリでもよい。また、記憶部11は、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性ストレージでもよい。制御部12は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサでもよい。また、制御部12は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの電子回路を含んでもよい。プロセッサは、RAMなどのメモリに記憶されたプログラムを実行する。複数のプロセッサの集合が、「マルチプロセッサ」または単に「プロセッサ」と呼ばれることがある。
【0017】
記憶部11は、データ群13を記憶する。データ群13は、データベースに格納されている。データ群13は、第1の複数のデータと、それら第1の複数のデータの間の関係を示す情報とを含む。データ群13は、複数のエンティティと、それら複数のエンティティの間の関係を示す複数のリンクとを含むグラフデータであってもよい。エンティティは、リソースまたはノードと呼ばれることがある。エンティティは、人、組織、事象などの実体を表してもよい。リンクは、一方のエンティティから見て他方のエンティティが特定の属性に相当することを表してもよい。データ群13は、有向グラフとして表現されてもよい。また、データ群13は、Lined DataやRDFデータであってもよい。
【0018】
データ群13に含まれる第1の複数のデータのうち少なくとも一部のデータに、レベル情報が関連付けられている。レベル情報は、データ群13の中に含まれてもよいし、データ群13の外に保存されてもよい。あるデータに関連付けられるレベル情報は、上下関係を有する複数のレベルのうちの1つのレベルを示す。例えば、データ群13がデータベースに登録されるときに、併せてレベル情報が登録される。
【0019】
一例として、データ群13は、データ14a,14b,14c,14dを含む。データ14a,14b,14cは、同一の属性によってデータ14dと関連付いている。データ14aには、レベル情報15aが関連付けられている。データ14bには、レベル情報15bが関連付けられている。データ14cには、レベル情報15cが関連付けられている。レベル情報15aは、データ14aがレベル1であることを示す。レベル情報15bは、データ14bがデータ14aより高いレベル2であることを示す。レベル情報15cは、データ14cがデータ14bより高いレベル3であることを示す。
【0020】
データ群13は、事象と事象の原因または解決策を示すデータ群であってもよい。例えば、データ14aが事象を示すデータであり、データ14a,14b,14cが事象の原因または解決策を示すデータである。このように、1つの事象に対して、複数の原因または複数の解決策が存在することがある。また、例えば、レベル情報15a,15b,15cが示す上下関係は、上位のレベルほど原因または解決策を適用するための前提条件が多い関係である。下位のレベルの原因が解決されていない状況では、ユーザは上位のレベルの原因を検討できないことがある。また、下位のレベルの解決策が実行されていない状況では、ユーザは上位のレベルの解決策を実行できないことがある。
【0021】
制御部12は、データ群13からデータを検索する。データ検索において、制御部12は、第1のデータを特定する情報を受け付ける。第1のデータは、検索の基点を示すデータである。第1のデータは、URIなどの識別子によって特定されてもよい。第1のデータを特定する情報は、ユーザから入力されてもよい。第1のデータを特定する情報を受け付けると、制御部12は、記憶部11に記憶されたデータ群13を参照し、第1のデータに関連付いた同一の属性を有する第2の複数のデータを特定する。
【0022】
第2の複数のデータの特定において、制御部12は、属性の指定を含む検索条件を示すテンプレートを用いて、第1のデータを基点に、検索条件を満たすデータをデータ群13から検索してもよい。制御部12は、第1のデータを特定する情報とテンプレートから検索クエリを生成し、生成された検索クエリをデータ群13に対して実行してもよい。一例として、制御部12は、データ14dを特定する情報を受け付け、データ14dに関連付いた同一の属性を有するデータ14a,14b,14cを特定する。
【0023】
制御部12は、複数のレベルのうち第1のレベルの指定を受け付ける。第1のレベルの指定は、ユーザから入力されてもよい。また、第1のレベルの指定は、ユーザに関してセンサによりセンシングされた値を取得することで行われてもよい。例えば、温度計から取得される温度測定値に基づいて、第1のレベルが指定されていもよい。制御部12は、第1のレベルの指定を、第2の複数のデータを特定する前に受け付けてもよいし、第2の複数のデータを特定した後に受け付けてもよい。また、制御部12は、特定された第2の複数のデータの中にレベル情報と関連付けられたデータが含まれている場合に、第1のレベルを指定させてもよい。
【0024】
第1のレベルの指定に基づいて、制御部12は、第2の複数のデータのうち、指定された第1のレベル以下のレベルと関連付いた第2のデータを選択する。そして、制御部12は、選択された第2のデータを出力する。制御部12は、情報処理装置10に接続された表示装置に第2のデータを表示してもよい。また、制御部12は、他の情報処理装置に第2のデータを送信してもよい。一例として、制御部12は、レベル1~3のうちレベル2の指定を受け付ける。そして、制御部12は、データ14a,14b,14cのうち、レベル2以下のレベル情報が関連付けられたデータ14a,14bを選択する。このとき、制御部12は、レベル3を示すレベル情報が関連付けられたデータ14cを除外する。
【0025】
このように、第1の実施の形態の情報処理装置10は、第1のデータと同一の属性関係をもつ第2の複数のデータを特定する。そして、情報処理装置10は、第2の複数のデータのうち、指定されたレベル以下のレベルをもつ第2のデータを選択して出力する。これにより、情報処理装置10は、属性のみでは検索結果に含まれるデータを十分に絞り込めない場合であっても、データ間の上下関係に着目してデータを絞り込むことができる。よって、検索時のユーザの状況から見てレベルの高すぎるデータが検索結果から除外され、ユーザにとって不要なデータが検索結果から削減される。例えば、ユーザの現在の業務に適用できないようなレベルの高すぎる原因や解決策が検索結果から削減される。
【0026】
次に、第2の実施の形態を説明する。前述の第1の実施の形態と同様の内容については説明を省略することがある。図2は、第2の実施の形態の情報処理装置を説明するための図である。第2の実施の形態の情報処理装置20は、データベースにデータを登録するコンピュータである。情報処理装置20は、サーバ装置でもよいしクライアント装置でもよい。情報処理装置20は、第1の実施の形態の情報処理装置10と同一でもよい。
【0027】
情報処理装置20は、記憶部21および制御部22を有する。記憶部21は、第1の実施の形態の記憶部11に対応する。制御部22は、第1の実施の形態の制御部12に対応する。記憶部21は、データ群23を記憶する。データ群23は、第1の実施の形態のデータ群13に対応する。ただし、データ群23に含まれる第1の複数のデータの何れにも、まだレベル情報が関連付けられていない。一例として、データ群23は、データ24a,24b,24c,24dを含む。データ24a,24b,24cは、同一の属性によってデータ24dと関連付いている。
【0028】
制御部22は、データ群23を受け付けると、データ群23に含まれる第1の複数のデータの中から、第1のデータに関連付いた同一の属性を有する第2の複数のデータを選択する。属性を含む検索条件を示すテンプレートが存在する場合、制御部22は、テンプレートが示す検索条件を満たすデータであって、その検索条件では分離して検索することができない2以上のデータを、第2の複数のデータとして選択してもよい。一例として、制御部22は、データ群23からデータ24a,24b,24cを選択する。
【0029】
制御部22は、選択された第2の複数のデータそれぞれに対して、上下関係を有する複数のレベルのうちの1つのレベルの指定に基づいて、指定された1つのレベルを示すレベル情報を関連付ける。1つのレベルの指定は、ユーザから入力されてもよい。また、制御部22は、選択肢である複数のレベルを示す情報をユーザに提示してもよい。そして、制御部22は、データ群23と対応付けてレベル情報をデータベースに登録する。制御部22は、データ群23の登録時に併せてレベル情報を登録してもよいし、データ群23が登録された後に追加的にレベル情報を登録してもよい。また、レベル情報は、データ群23の中に組み込まれてもよいし、データ群23の外に保存されてもよい。
【0030】
一例として、制御部22は、データ24aにレベル情報25aを関連付け、データ24bにレベル情報25bを関連付け、データ24cにレベル情報25cを関連付ける。レベル情報25aは、データ24aがレベル1であることを示す。レベル情報25bは、データ24bがデータ24aより高いレベル2であることを示す。レベル情報25cは、データ24cがデータ24bより高いレベル3であることを示す。
【0031】
このように、第2の実施の形態の情報処理装置20は、データ群23から、あるデータと同一の属性関係をもつ第2の複数のデータを選択する。そして、情報処理装置20は、選択された第2の複数のデータそれぞれに対してレベル情報を関連付ける。これにより、少なくとも一部のデータにレベル情報が関連付けられたデータ群23が、データベースに登録される。よって、情報処理装置20は、属性のみでは十分にデータを絞り込むことができない場合であってもデータ間の上下関係に着目してデータを絞り込むことが可能なデータベースを作成することができる。その結果、検索の際にユーザにとって不要なデータを検索結果から削減することが可能な効率的なデータベースが作成される。
【0032】
なお、上記の第2の実施の形態の説明では、レベル情報を付与する対象のデータ群23は、データペアを示す関係を3個含んでいるが、データペアを示す関係を1個のみ含むこともあり得る。その場合、制御部22は以下のような処理を実行し得る。制御部22は、第1のデータと、第2のデータと、第1のデータと第2のデータとの間の関係を示す情報とを含むデータを受け付けると、第1のデータと第2のデータとのうちの少なくとも1つのデータを選択する。制御部22は、上下関係を有する複数のレベルのうちの第1のレベルの指定に基づいて、第1のレベルを示すレベル情報を当該1つのデータに関連付けて、複数のデータと複数のデータの間の関係を示す情報とを含むデータベースに登録する。
【0033】
例えば、制御部22は、データ24aとデータ24dとデータ24a,24d間の関係を示す情報とを含むデータを受け付けると、データ24aを選択する。制御部22は、上下関係を有する複数のレベルのうちの1つのレベルの指定に基づいて、当該1つのレベルを示すレベル情報25aをデータ24aに関連付けてデータベースに登録する。
【0034】
次に、第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態の情報処理装置100は、ユーザの要求に応じて、データを登録しデータを検索するデータベース管理装置である。情報処理装置100は、サーバ装置でもよいしクライアント装置でもよい。なお、第3の実施の形態では情報処理装置100がデータの登録とデータの検索の両方を実行しているが、異なる情報処理装置がデータの登録とデータの検索を実行してもよい。また、複数の情報処理装置が分散して1つのデータベースを管理してもよい。
【0035】
図3は、情報処理装置のハードウェア例を示すブロック図である。情報処理装置100は、CPU101、RAM102、HDD103、画像インタフェース104、入力インタフェース105、媒体リーダ106および通信インタフェース107を有する。CPU101、RAM102、HDD103、画像インタフェース104、入力インタフェース105、媒体リーダ106および通信インタフェース107は、バスに接続されている。CPU101は、第1の実施の形態の制御部12および第2の実施の形態の制御部22に対応する。RAM102またはHDD103は、第1の実施の形態の記憶部11および第2の実施の形態の記憶部21に対応する。
【0036】
CPU101は、プログラムの命令を実行するプロセッサである。CPU101は、HDD103に記憶されたプログラムおよびデータの少なくとも一部をRAM102にロードし、プログラムを実行する。情報処理装置100は、複数のプロセッサを有してもよい。プロセッサの集合が、マルチプロセッサまたは単に「プロセッサ」と呼ばれてもよい。
【0037】
RAM102は、CPU101が実行するプログラムおよびCPU101が演算に使用するデータを一時的に記憶する揮発性半導体メモリである。情報処理装置100は、RAM以外の種類のメモリを有してもよい。
【0038】
HDD103は、ソフトウェアのプログラムおよびデータを記憶する不揮発性ストレージである。ソフトウェアには、OS(Operating System)、ミドルウェアおよびアプリケーションソフトウェアが含まれてもよい。情報処理装置100は、フラッシュメモリなどの他の種類の不揮発性ストレージを有してもよい。
【0039】
画像インタフェース104は、CPU101からの命令に従って、情報処理装置100に接続された表示装置111に画像を出力する。表示装置111は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(OEL:Organic Electro-Luminescence)ディスプレイであってもよい。情報処理装置100に、プリンタなどの他の種類の出力デバイスが接続されてもよい。
【0040】
入力インタフェース105は、情報処理装置100に接続された入力デバイス112から入力信号を受け付ける。入力デバイス112は、マウス、キーボードまたはタッチパッドであってもよい。情報処理装置100に、複数の入力デバイスが接続されてもよい。
【0041】
媒体リーダ106は、記録媒体113に記録されたプログラムおよびデータを読み取る読み取り装置である。記録媒体113は、磁気ディスク、光ディスクまたは半導体メモリであってもよい。磁気ディスクには、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)およびHDDが含まれてもよい。光ディスクには、CD(Compact Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)が含まれてもよい。媒体リーダ106は、例えば、記録媒体113から読み取ったプログラムおよびデータを、HDD103などのストレージにコピーする。記録媒体113は、可搬型記録媒体でもよい。記録媒体113は、プログラムおよびデータの配布に用いられることがある。記録媒体113およびHDD103が、コンピュータ読み取り可能な記録媒体と呼ばれてもよい。
【0042】
通信インタフェース107は、ネットワーク114に接続される。通信インタフェース107は、ネットワーク114を介して他の情報処理装置と通信する。通信インタフェース107は、スイッチやルータなどの有線通信装置に接続される有線通信インタフェースでもよい。また、通信インタフェース107は、基地局やアクセスポイントなどの無線通信装置に接続される無線通信インタフェースでもよい。
【0043】
次に、データベースの構造を説明する。情報処理装置100は、事象と原因と解決策との間の関係を示す知識データベースを保持する。知識データベースに含まれるデータは、Linked Dataである。Linked Dataは、RDFに従って記述される。
【0044】
知識データベースは、事象、原因および解決策を示す複数のエンティティと、これら複数のエンティティの間の関係を示す複数のリンクとを含む。エンティティは、URIによって識別される。リンクは、一方のエンティティと他方のエンティティとの関係の種類を示す属性をもつ。関係の種類は、URIによって識別される。知識データベースは、関係の種類として、一方のエンティティの原因の1つが他方のエンティティであることを示す原因の関係を含む。また、知識データベースは、関係の種類として、一方のエンティティに対する解決策の1つが他方のエンティティであることを示す解決策の関係を含む。
【0045】
Linked Dataは、主語、述語および目的語のトリプルによって1つの事実を表現する。Linked Dataは、トリプルの集合である。主語および目的語は、それぞれエンティティに相当する。述語は、リンクに相当する。Linked Dataは、エンティティに相当するノードとリンクに相当するエッジとを含む有向グラフとして表現されることがある。1つの事象に対して、2以上の原因が存在することがあり、2以上の解決策が存在することがある。
【0046】
図4は、事象と解決策の関係を表すデータ例を示す図である。一例として、Linked Dataは、エンティティ31~39を含む。エンティティ31は、事象を示す。エンティティ32~39は、解決策を示す。エンティティ32~39はそれぞれ、解決策の関係を示すリンクによってエンティティ31と接続されている。よって、エンティティ32~39が示す解決策は、エンティティ31が示す事象に対する解決策の候補である。
【0047】
エンティティ31は、「空腹」という事象を示す。エンティティ32は、「可食物を探す」という解決策を示す。エンティティ33は、「水で腹を満たす」という解決策を示す。エンティティ34は、「洗う」という解決策を示す。エンティティ35は、「消費期限を確認する」という解決策を示す。エンティティ36は、「好きな食べ物がある店を探す」という解決策を示す。エンティティ37は、「友人を食事に誘う」という解決策を示す。エンティティ38は、「流行の食べ物を探す」という解決策を示す。エンティティ39は、「おすすめ料理を食べる」という解決策を示す。
【0048】
図5は、データファイルとテンプレートの第1の記載例を示す図である。データファイル131は、図4のLinked Dataを表すRDFデータを含む。データファイル131は、エンティティ31とエンティティ32~39との間の関係を示す8個のトリプルを含む。データファイル131のLinked Dataから所望のエンティティを検索するため、テンプレート132が使用される。テンプレート132は、検索条件を示すトリプルを含む。トリプルの主語は、検索の基点を示すパラメータである。トリプルの述語は、解決策の関係を示すURIである。トリプルの目的語は、抽出されるエンティティを示す変数である。
【0049】
情報処理装置100は、基点のエンティティのURIを受け付ける。すると、情報処理装置100は、受け付けたURIをテンプレート132のパラメータに代入することで、クエリ133を生成する。クエリ133は、着目するエンティティとの間に解決策の関係が存在するエンティティを検索することを示す検索クエリである。情報処理装置100は、クエリ133を実行することで、Linked Dataから検索条件を満たすエンティティを抽出する。エンティティ31のURIが指定された場合、情報処理装置100は、Linked Dataからエンティティ32~39を抽出する。なお、テンプレート132に、基点のエンティティのURIが埋め込まれていてもよい。
【0050】
このように、1つの事象を示すエンティティに対して、解決策の候補を示す複数のエンティティが関連付けられていることがある。基点のエンティティおよび属性が指定されても、これら複数のエンティティの全てが検索条件を満たす。そのため、情報処理装置100は、これら複数のエンティティの全てを含む検索結果を出力する。しかし、検索結果に含まれる複数のエンティティが同一レベルの解決策を示すとは限らない。そのため、検索結果に含まれる全てのエンティティがユーザにとって有用であるとは限らない。
【0051】
例えば、エンティティ32,33は、「常に飢餓状態」というユーザの状況に対して好適な解決策を示す。エンティティ34,35は、「空腹状態が続く」というユーザの状況に対して好適な解決策を示す。ただし、エンティティ34,35は、「常に飢餓状態」という状況が解決されていないユーザに対しては好適な解決策を示さない。よって、エンティティ34,35は、エンティティ32,33よりも高レベルの解決策を示す。
【0052】
同様に、エンティティ36,37は、「普段食欲が満たされている」というユーザの状況に対して好適な解決策を示す。ただし、エンティティ36,37は、「空腹状態が続く」という状況が解決されていないユーザに対しては好適な解決策を示さない。よって、エンティティ36,37は、エンティティ34,35よりも高レベルの解決策を示す。エンティティ38,39は、「普段好きな料理を食べている」というユーザの状況に対して好適な解決策を示す。ただし、エンティティ38,39は、「普段食欲が満たされている」という程度の状況にあるユーザに対しては好適な解決策を示さない。よって、エンティティ38,39は、エンティティ36,37よりも高レベルの解決策を示す。
【0053】
このように、テンプレート132を用いて生成される検索結果は、レベルの異なる解決策を示す複数のエンティティを含むことがある。一方、現在のユーザの状況から見てレベルが高すぎる解決策を示すエンティティは、ユーザにとって不要な情報である。
【0054】
図6は、事象と原因の関係を表すデータ例を示す図である。他の例として、Linked Dataは、エンティティ41~47を含む。エンティティ41は、事象を示す。エンティティ42~47は、原因を示す。エンティティ42~47はそれぞれ、原因の関係を示すリンクによってエンティティ41と接続されている。よって、エンティティ42~47が示す原因は、エンティティ41が示す事象に対する原因の候補である。
【0055】
エンティティ41は、「モデル精度の低下」という事象を示す。エンティティ42は、「一部組織のデータ欠如」という原因を示す。エンティティ43は、「表現の揺れ」という原因を示す。エンティティ44は、「データ整備ミス」という原因を示す。エンティティ45は、「組織変化への未対応」という原因を示す。エンティティ46は、「流行の変化」という原因を示す。エンティティ47は、「新製品の発売」という原因を示す。
【0056】
図7は、データファイルとテンプレートの第2の記載例を示す図である。データファイル135は、図6のLinked Dataを表すRDFデータを含む。データファイル135は、エンティティ41とエンティティ42~47との間の関係を示す6個のトリプルを含む。データファイル135のLinked Dataから所望のエンティティを検索するため、テンプレート136が使用される。テンプレート136は、検索条件を示すトリプルを含む。トリプルの主語は、検索の基点を示すパラメータである。トリプルの述語は、原因の関係を示すURIである。トリプルの目的語は、抽出されるエンティティを示す変数である。
【0057】
情報処理装置100は、基点のエンティティのURIを受け付ける。すると、情報処理装置100は、受け付けたURIをテンプレート136のパラメータに代入することで、クエリ137を生成する。クエリ137は、着目するエンティティとの間に原因の関係が存在するエンティティを検索することを示す検索クエリである。情報処理装置100は、クエリ137を実行することで、Linked Dataから検索条件を満たすエンティティを抽出する。エンティティ41のURIが指定された場合、情報処理装置100は、Linked Dataからエンティティ42~47を抽出する。なお、テンプレート136に、基点のエンティティのURIが埋め込まれていてもよい。
【0058】
なお、説明を簡単にするため図4~7のLinked Dataは、1つの事象と複数の解決策または複数の原因との間の簡単な関係を記述している。ただし、Linked Dataは、様々な事象、原因および解決策の間のより複雑な関係を記述することが可能である。
【0059】
このように、1つの事象を示すエンティティに対して、原因の候補を示す複数のエンティティが関連付けられていることがある。基点のエンティティおよび属性が指定されても、これら複数のエンティティの全てが検索条件を満たす。そのため、情報処理装置100は、これら複数のエンティティの全てを含む検索結果を出力する。しかし、検索結果に含まれる複数のエンティティが同一レベルの原因を示すとは限らない。そのため、検索結果に含まれる全てのエンティティがユーザにとって有用であるとは限らない。
【0060】
例えば、エンティティ42,43は、「データ不備」という業務の状況に対して可能性の高い原因を示す。データ不備は、機械学習にとって十分な量のデータが収集されていない状況を示す。エンティティ44,45は、「人為的問題」という業務の状況に対して可能性の高い原因を示す。人為的問題は、データ収集の運用の不備によって収集されたデータの質が低い状況を示す。ただし、エンティティ44,45は、「データ不備」が解決されていない業務に対しては可能性の高い原因を示さない。よって、エンティティ44,45は、エンティティ42,43よりも高レベルの原因を示す。
【0061】
同様に、エンティティ46,47は、「コンセプトドリフト」という業務の状況に対して好適な解決策を示す。コンセプトドリフトは、社会的経済的理由により、収集されるデータの特徴がモデル生成時から変化した状況を示す。ただし、エンティティ46,47は、「人為的問題」が解決されていない業務に対しては可能性の高い原因を示さない。よって、エンティティ46,47は、エンティティ44,45よりも高レベルの原因を示す。
【0062】
このように、テンプレート136を用いて生成される検索結果は、レベルの異なる原因を示す複数のエンティティを含むことがある。一方、現在のユーザの状況から見てレベルが高すぎる原因を示すエンティティは、ユーザにとって不要な情報である。そこで、情報処理装置100は、Linked Dataに含まれる一部のエンティティを、レベルの異なる複数のレイヤに振り分けて配置する。情報処理装置100は、ユーザの現在の状況を示す基準レベルより高いレベルのレイヤに配置されたエンティティを、検索結果から除外する。
【0063】
図8は、解決策を表すエンティティのレイヤ分けの例を示す図である。図4のLinked Dataに含まれるエンティティ32~39が、レイヤ51~54に分けて配置される。レイヤ51は、「常に飢餓状態」というユーザの状況を示す。レイヤ51のレベルは、レベル1である。レイヤ52は、「空腹状態が続く」というユーザの状況を示す。レイヤ52のレベルは、レイヤ51よりも高いレベル2である。レイヤ53は、「普段食欲が満たされている」というユーザの状況を示す。レイヤ53のレベルは、レイヤ52よりも高いレベル3である。レイヤ54は、「普段好きな料理を食べている」というユーザの状況を示す。レイヤ54のレベルは、レイヤ53よりも高いレベル4である。
【0064】
エンティティ32,33は、レイヤ51に配置される。よって、エンティティ32,33には、レベル1を示すレイヤ情報が関連付けられる。エンティティ34,35は、レイヤ52に配置される。よって、エンティティ34,35には、レベル2を示すレイヤ情報が関連付けられる。エンティティ36,37は、レイヤ53に配置される。よって、エンティティ36,37には、レベル3を示すレイヤ情報が関連付けられる。エンティティ38,39は、レイヤ54に配置される。よって、エンティティ38,39には、レベル4を示すレイヤ情報が関連付けられる。
【0065】
図9は、データファイルへのレイヤ情報の第1の追加例を示す図である。データファイル134は、図5に示すデータファイル131に対してレイヤ情報が追加されたデータファイルである。データファイル134には、「おなかが空いた」という名前のレイヤ群が規定されている。このレイヤ群は、レベル1~4に対応するレイヤ51~54を含む。エンティティ32~39にはそれぞれ、レイヤ群名が「おなかが空いた」であり、レベルが1~4の何れか1つであることを示すラベルが付与されている。Linked Dataにおいては、このラベルは各エンティティの属性として規定される。
【0066】
図10は、原因を表すエンティティのレイヤ分けの例を示す図である。図6のLinked Dataに含まれるエンティティ42~47が、レイヤ55~57に分けて配置される。レイヤ55は、「データ不備」という業務の状況を示す。レイヤ55のレベルは、レベル1である。レイヤ56は、「人為的問題」という業務の状況を示す。レイヤ56のレベルは、レイヤ55よりも高いレベル2である。レイヤ57は、「コンセプトドリフト」という業務の状況を示す。レイヤ57のレベルは、レイヤ56よりも高いレベル3である。
【0067】
エンティティ42,43は、レイヤ55に配置される。よって、エンティティ42,43には、レベル1を示すレイヤ情報が関連付けられる。エンティティ44,45は、レイヤ56に配置される。よって、エンティティ44,45には、レベル2を示すレイヤ情報が関連付けられる。エンティティ46,47は、レイヤ57に配置される。よって、エンティティ46,47には、レベル3を示すレイヤ情報が関連付けられる。
【0068】
図11は、データファイルへのレイヤ情報の第2の追加例を示す図である。データファイル138は、図7に示すデータファイル135に対してレイヤ情報が追加されたデータファイルである。データファイル138には、「精度が落ちた」という名前のレイヤ群が規定されている。このレイヤ群は、レベル1~3に対応するレイヤ55~57を含む。エンティティ42~47にはそれぞれ、レイヤ群名が「精度が落ちた」であり、レベルが1~3の何れか1つであることを示すラベルが付与されている。Linked Dataにおいては、このラベルは各エンティティの属性として規定される。
【0069】
なお、図9,11の例では、情報処理装置100は、Linked Dataの中にレイヤ情報を挿入している。これに対して、情報処理装置100は、Linked Dataの外部にレイヤ情報を保存してもよい。また、図8,10の例では、情報処理装置100は、Linked Dataに対して1つのレイヤ群を規定している。これに対して、情報処理装置100は、異なる検索の観点に対応する複数のレイヤ群を規定してもよい。例えば、情報処理装置100は、異なるテンプレートに対応する複数のレイヤ群を規定してもよい。
【0070】
この場合、同一のエンティティが異なるレイヤ群に属することがある。また、同一のエンティティに対して異なるレベルが付与されることがある。例えば、ある解決策が、ある事象にとってはレベル1の解決策であるのに対し、別の事象にとってはレベル2の解決策であることがある。また、例えば、ある原因が、ある事象にとってはレベル1の原因であるのに対し、別の事象にとってはレベル2の原因であることがある。
【0071】
図12は、データベース検索と検索結果フィルタの例を示す図である。図12に示すLinked Dataは、図4,6よりも複雑なLinked Dataである。このLinked Dataは、エンティティ#1~#31という31個のエンティティを含む。エンティティ#15~#20は、レベル1のレイヤ61に属する。エンティティ#21~#26は、レベル2のレイヤ62に属する。エンティティ#27~#31は、レベル3のレイヤ63に属する。
【0072】
例えば、情報処理装置100は、基点のエンティティとしてエンティティ#1の指定を受け付け、あるテンプレートに従って関連するエンティティを検索する。すると、情報処理装置100は、エンティティ#5,#15を含むパスと、エンティティ#7,#17を含むパスと、エンティティ#8,#21を含むパスと、エンティティ#9,#22を含むパスと、エンティティ#11,#27を含むパスとを抽出する。
【0073】
このとき、情報処理装置100は、基準レベルとしてユーザからレベル1の指定を受け付ける場合がある。その場合、情報処理装置100は、5個のパスのうち、エンティティ#8,#21を含むパスと、エンティティ#9,#22を含むパスと、エンティティ#11,#27を含むパスとを、検索結果から除外する。その結果、2個のパスが残る。また、情報処理装置100は、基準レベルとしてユーザからレベル2の指定を受け付ける場合がある。その場合、情報処理装置100は、5個のパスのうち、エンティティ#11,#27を含むパスを検索結果から除外する。その結果、4個のパスが残る。このように、基準レベルを超えるレベルのエンティティを含むパスが検索結果から除外される。
【0074】
次に、情報処理装置100の機能および処理手順について説明する。図13は、情報処理装置のソフトウェア例を示すブロック図である。情報処理装置100は、データ記憶部121、テンプレート記憶部122、クエリ実行部123、データフィルタ部124およびデータ登録部125を有する。データ記憶部121およびテンプレート記憶部122は、例えば、RAM102またはHDD103の記憶領域に対応する。クエリ実行部123、データフィルタ部124およびデータ登録部125は、例えば、CPU101が実行するプログラムに対応する。
【0075】
データ記憶部121は、レイヤ情報を含むLinked Dataを記憶する。例えば、データ記憶部121は、前述のデータファイル134,138を記憶する。ただし、情報処理装置100が、レイヤ情報を記憶するための別の記憶部を有してもよい。その場合、データ記憶部121は、レイヤ情報を含まないLinked Dataを記憶する。テンプレート記憶部122は、検索クエリを生成するためのテンプレートを記憶する。
【0076】
クエリ実行部123は、ユーザから検索要求を受け付ける。検索要求は、基点のエンティティを示すキーURIと、検索に用いるテンプレートを指定するための情報とを含む。検索要求を受け付けると、クエリ実行部123は、キーURIとテンプレートから検索クエリを生成し、データ記憶部121に対して検索クエリを実行して検索結果を生成する。検索結果は、検索クエリが示す検索条件を満たすエンティティのURIを含む。
【0077】
データフィルタ部124は、クエリ実行部123が生成した検索結果のフィルタリングを行い、修正された検索結果を出力する。フィルタリングにおいて、データフィルタ部124は、検索結果の中からレイヤ情報が付与されたエンティティを抽出する。レイヤ情報が付与されたエンティティが存在する場合、データフィルタ部124は、基準レベルを選択するための選択情報をユーザに提示する。そして、データフィルタ部124は、基準レベルより高いレベルのエンティティを検索結果から除外する。
【0078】
ユーザに提示される選択情報は、レイヤ群名と、ユーザが基準レベルとして選択可能な複数のレベルを示す情報とを含んでもよい。また、選択情報は、レイヤ群に応じた質問であって、ユーザの現在の状況に関する質問を含んでもよい。質問は、データ検索の前に情報処理装置100の管理者によって作成される。その場合、情報処理装置100は、質問に対するユーザの回答に基づいて、ユーザの現在の状況を示す基準レベルを推定してもよい。検索結果の出力において、データフィルタ部124は、修正された検索結果を表示装置111に表示してもよいし、他の情報処理装置に送信してもよい。
【0079】
データ登録部125は、ユーザからデータファイルを受け付ける。データ登録部125は、受け付けたデータファイルが示すLinked Dataをデータ記憶部121に追加する。このとき、データ登録部125は、追加のLinked Dataに関連するテンプレートを、テンプレート記憶部122から抽出する。関連するテンプレートは、追加のLinked Dataに含まれる少なくとも1つのエンティティが抽出され得る検索条件を示すテンプレートである。
【0080】
関連するテンプレートが存在する場合、データ登録部125は、関連するテンプレートに基づいて、レイヤ情報を付与すべきエンティティを追加のLinked Dataから検索する。レイヤ情報を付与すべきエンティティは、同一エンティティから同一種類のリンクを辿ることで到達される2以上のエンティティである。これら2以上のエンティティは、関連するテンプレートが示す検索条件に基づいて検索される。
【0081】
テンプレートは、レイヤ情報が付与されていることが期待されるエンティティを示す変数を含むことがあり、そのエンティティがレイヤ群名を示す属性(exp:layerName)またはレベルを示す属性(exp:layerLevel)をもつことを検索条件として規定することがある。例えば、前述のテンプレート132,136に、目的語に相当する変数がレイヤ群名の属性をもつことを示す検索条件が追加されることがある。その場合、データ登録部125は、その変数に当てはまるエンティティを追加のLinked Dataから検索してもよい。
【0082】
レイヤ情報を付与すべきエンティティが存在する場合、データ登録部125は、該当するエンティティのURIをユーザに提示し、そのエンティティのレベルの指定をユーザから受け付ける。データ登録部125は、指定されたレベルを含むレイヤ情報を生成してそのエンティティに付与する。このとき、データ登録部125は、複数のエンティティのURIを一括でユーザに提示してもよく、それら複数のエンティティに対するレベルの指定をユーザから一括で受け付けてもよい。また、データ登録部125は、エンティティのURIの提示およびレベルの指定の受け付けを、エンティティ1つずつ実行してもよい。
【0083】
また、データ記憶部121は、1以上のレイヤ群および各レイヤ群で選択可能なレベルを既に定義していることがある。そこで、データ登録部125は、エンティティの情報と併せて、選択可能なレイヤ群および選択可能なレベルの情報をユーザに提示してもよい。なお、ユーザへの情報の提示は、表示装置111への情報の表示であってもよく、ユーザが使用するクライアント装置への情報の送信であってもよい。
【0084】
図14は、データ登録の手順例を示すフローチャートである。(S10)データ登録部125は、Linked Dataである新規データを含むデータファイルを受け付ける。データ登録部125は、データファイルに含まれる新規データをデータベースに登録する。(S11)データ登録部125は、既存のテンプレート群の中から、新規データに関連するテンプレートを抽出する。関連するテンプレートは、新規データに含まれる少なくとも1つのエンティティが抽出される可能性がある検索条件を示すテンプレートである。
【0085】
(S12)データ登録部125は、新規データに関連するテンプレートが存在するか判断する。関連するテンプレートが存在する場合は処理がステップS13に進み、関連するテンプレートが存在しない場合はデータ登録の処理が終了する。
【0086】
(S13)データ登録部125は、関連するテンプレートに基づいて、レイヤ情報を付与するエンティティを新規データから検索する。例えば、データ登録部125は、テンプレートが示す検索条件を満たしており、その検索条件では互いに分離して検索することができない2以上のエンティティを、新規データから検索する。テンプレートが、レイヤ群名の属性またはレベルの属性をもつエンティティであるという条件が既定された変数を含む場合、データ登録部125は、その変数に該当するエンティティを検索してもよい。
【0087】
(S14)データ登録部125は、ステップS13で抽出されたエンティティのリストをユーザに提示する。リストは、各エンティティのURIを含む。ユーザへの提示は、例えば、表示装置111へのエンティティのリストの表示である。(S15)データ登録部125は、ステップS14のリストの提示に応答して、リストに含まれる各エンティティに対するレイヤ群名およびレベルの指定をユーザから受け付ける。レイヤ群名およびレベルは、例えば、入力デバイス112を用いて入力される。データ登録部125は、リストに含まれる各エンティティに、レイヤ群名の造成およびレベルの属性を付与する。
【0088】
図15は、データ検索の手順例を示すフローチャートである。(S20)クエリ実行部123は、ユーザからキーURIとテンプレートの指定を受け付ける。キーURIとテンプレートの指定は、例えば、入力デバイス112を用いて入力される。(S21)クエリ実行部123は、テンプレートに含まれるパラメータにキーURIを代入してクエリを生成し、クエリを実行してデータベースを検索する。
【0089】
(S22)データフィルタ部124は、ステップS21で得られた検索結果の中から、レイヤ情報が付与されたエンティティを抽出する。レイヤ情報が付与されたエンティティは、レイヤ群名の属性およびレベルの属性をもつエンティティである。(S23)データフィルタ部124は、レイヤ情報が付与されたエンティティが存在するか判断する。レイヤ情報が付与されたエンティティが存在する場合は処理がステップS24に進み、レイヤ情報が付与されたエンティティが存在しない場合は処理がステップS26に進む。
【0090】
(S24)データフィルタ部124は、複数のレベルのうちの1つである基準レベルを選択するための選択情報をユーザに提示する。選択情報の提示は、例えば、表示装置111への選択情報の表示である。基準レベルの候補である複数のレベルは、ステップS22で抽出されたエンティティがもつレイヤ群名に関連付けて、データベースに定義されている。選択情報は、例えば、選択可能なレベルのリストである。
【0091】
(S25)データフィルタ部124は、ステップS24の選択情報の提示に応答して、基準レベルを決定するための情報をユーザから受け付ける。基準レベルを決定するための情報は、例えば、入力デバイス112を用いて入力される。データフィルタ部124は、ユーザからの応答に従って基準レベルを決定する。基準レベルを決定するための情報は、例えば、複数のレベルの中からユーザが選択したレベルを示す情報である。
【0092】
データフィルタ部124は、ステップS22のエンティティのうち、レベルが基準レベルを超えるエンティティを検索結果から除外する。データフィルタ部124は、レベルが規定されていないエンティティについては検索結果から除外しなくてよい。よって、修正された検索結果は、レベルが基準レベル以下であるエンティティと、レベルが規定されていないエンティティとを含む。(S26)データフィルタ部124は、検索結果を出力する。ただし、ステップS24,S25が実行された場合、データフィルタ部124は、ステップS21の検索結果ではなく修正された検索結果を出力する。例えば、データフィルタ部124は、検索結果を表示装置111に表示する。
【0093】
図16は、基準レベル選択画面の例を示す図である。基準レベル選択画面141は、上記のステップS24において表示装置111に表示される。基準レベル選択画面141は、レイヤ群名の表示欄と、基準レベルの選択欄とを含む。一例として、基準レベルの選択欄は、レベル1~4の中から何れか1つのレベルをユーザに選択させる選択欄である。各レベルの情報は、想定されるユーザの状況を示す簡潔な説明文を含む。例えば、ユーザは、入力デバイス112を用いて、レベル1~4の何れか1つを選択する。ユーザが選択すべきレベルは、ユーザの現在の状況に適合する説明文をもつレベルのうち最も高いレベルである。これにより、基準レベルが指定される。
【0094】
このように、第3の実施の形態の情報処理装置100は、事象と原因と解決策の間の関係を示す知識データベースを管理し、知識データベースに対する検索サービスを提供する。よって、ユーザ間でのノウハウの共有が促進される。また、情報処理装置100は、知識データベースのデータをLinked Dataとして保持する。よって、他のデータベースとの連携が容易であり、知識データベースの利活用が促進される。また、情報処理装置100は、基点のエンティティおよびテンプレートの指定に基づいてクエリを生成し、クエリを実行してLinked Dataを検索する。よって、情報処理装置100は、頻繁に行われるデータ検索の類型をテンプレートに規定することで、データ検索を効率的に実行できる。
【0095】
また、Linked Dataの登録時に、情報処理装置100は、同一エンティティと同一種類の属性で関連付いた複数のエンティティを検出し、ユーザへの問い合わせを通じて、検出された複数のエンティティをレベルの異なる複数のレイヤに振り分けて配置する。これにより、検出された複数のエンティティそれぞれに、レイヤのレベルを示すレイヤ情報が付与される。Linked Dataの検索時に、情報処理装置100は、ユーザへの問い合わせを通じて、基準レベルより高いレベルのエンティティを検索結果から除外する。
【0096】
よって、ユーザの現在の状況から見てレベルが高すぎる原因または解決策を示すエンティティが検索結果から除外される。このように、情報処理装置100は、属性の種類では検索結果を十分に絞り込めない場合であっても、エンティティ間の上下関係に着目して検索結果を絞り込むことが可能となる。その結果、ユーザにとって不要な情報が検索結果から削減され、Linked Dataの検索結果の有用性が向上する。
【符号の説明】
【0097】
10,20 情報処理装置
11,21 記憶部
12,22 制御部
13,23 データ群
14a,14b,14c,14d,24a,24b,24c,24d データ
15a,15b,15c,25a,25b,25c レベル情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16