(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】粉体用バルブ
(51)【国際特許分類】
B65G 65/40 20060101AFI20241120BHJP
F16K 51/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
B65G65/40 B
F16K51/00 A
(21)【出願番号】P 2021036271
(22)【出願日】2021-03-08
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304007732
【氏名又は名称】株式会社日阪プロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】小石 茂喜
(72)【発明者】
【氏名】鵜川 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】原 真一
(72)【発明者】
【氏名】今野 学
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102042417(CN,A)
【文献】特開2006-240764(JP,A)
【文献】特開2002-211746(JP,A)
【文献】特開2003-247658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/00 - 65/48
B65G 53/00 - 53/66
F16K 51/00 - 51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口から供給される粉体が前記流入口の直下に形成された流出口へ向けて流動するための流路が形成された本体と、
前記流入口と前記流出口の間において、前記流路に対して斜めに横切る面に沿って形成された弁座と、
前記弁座に接離して前記流路を開閉する弁体と、
前記本体の一部を外方に膨出させて形成され、前記弁体の少なくとも一部が収容される弁室と、
前記弁体を進退させて前記流路を開閉する開閉手段とを備え、
前記弁座が前記本体の内壁面の少なくとも一部を突出させて形成され、
前記流入口から前記流出口へ向かって流動する粉体にエアを噴射するエア供給口が少なくとも一箇所に形成されることを特徴とする粉体用バルブ。
【請求項2】
前記エア供給口は前記弁室に設けられ、前記弁室内から前記流出口へ向かう方向にエア流を発生させることを特徴とする請求項1に記載の粉体用バルブ。
【請求項3】
前記エア供給口は、前記本体の前記弁座よりも上流側に設けられ、粉体同士が付着しあって塊状になることを防止するエアを供給することを特徴とする請求項1に記載の粉体用バルブ。
【請求項4】
前記弁体の前記流路に対向する面に、円錐形状の突起が形成されることを特徴とする請求項1に記載の粉体用バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤等の粉体を容器等に供給する粉体供給装置に設けられ、粉体の供給動作を制御する粉体用バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体用バルブとして特許文献1に記載された構成が知られている。この粉体用バルブはロータリーバルブであり、ホッパから落下する粉体が通過する流入口の下方に設けられ、その回転動作を制御することにより、流出口から吐出する粉体の量が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の粉体用バルブは、弁体がバルブ本体の内壁面に対してシールを保って摺動する構成を有している。このため粉体供給装置を洗浄・滅菌する作業において、弁体と内壁面が摺接する部分を洗浄することが困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、粉体の払出しを容易に行うことができ、弁体等の表面に付着した粉体を確実に除去できるようにすることにより、洗浄作業が容易となるだけでなく、通常の供給動作において弁体等の表面に粉体が付着しにくい粉体用バルブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る粉体用バルブは、流入口から供給される粉体が流入口の直下に形成された流出口へ向けて流動するための流路が形成された本体と、流入口と流出口の間において、流路に対して斜めに横切る面に沿って形成された弁座と、弁座に接離して流路を開閉する弁体と、本体の一部を外方に膨出させて形成され、弁体の少なくとも一部が収容される弁室と、弁体を進退させて流路を開閉する開閉手段とを備え、弁座が本体の内壁面の少なくとも一部を突出させて形成され、流入口から流出口へ向かって流動する粉体にエアを噴射するエア供給口が少なくとも一箇所に形成されることを特徴としている。
【0007】
エア供給口は、弁室に設けられて、弁室内から流出口へ向かう方向にエア流を発生させるものであってもよい。またエア供給口は、本体の弁座よりも上流側に設けられて、粉体同士が付着しあって塊状になることを防止するエアを供給するものであってもよい。さらに、弁体の流路に対向する面に、円錐形状の突起が形成されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、粉体の払出しを容易に行うことができ、弁体等の表面に付着した粉体を確実に除去できるようにすることにより、洗浄作業が容易となるだけでなく、通常の供給動作において弁体等の表面に粉体が付着しにくい粉体用バルブを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態である粉体用バルブを備えた粉体供給装置の外観を示す側面図である。
【
図2】閉鎖状態にある粉体用バルブの断面図である。
【
図3】開放状態にある粉体用バルブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示された実施形態を参照して本発明を説明する。
図1において、ホッパ10には薬剤等の粉体が保持される。ホッパ10の下端に形成された吐出管11には粉体用バルブ20の流入口21が連結され、粉体用バルブ20において、流入口21の直下に形成された流出口22には下流側配管12が連結される。粉体用バルブ20の本体23には、流入口21から供給される粉体が流出口22へ向けて流動するための流路24(
図2参照)が形成される。
【0011】
本体23には弁室25と第1のエア供給口26が設けられ、弁室25には第2のエア供給口27が形成される。弁室25は本体23の一部を外方に膨出させることにより形成される。第1のエア供給口26は、流入口21から流出口22へ向かって流動する粉体にエアを噴射するために設けられる。第2のエア供給口27は、流入口21から流出口22へ向かって流動する粉体にエアを噴射するだけでなく、弁室25内から流出口22へ向かう方向にエア流を発生させる作用を果たす。
【0012】
図2を参照して粉体用バルブ20の構成を説明する。本体23内において、流入口21と流出口22の内壁面の少なくとも一部が突出して弁座30が形成される。
図2に示されるように、弁座30を形成するために本体23の内壁面は隆起しており、その隆起部35の高さは、弁座30において最も下方に位置する部分が最も高く、最も上方に位置する部分が最も低い。弁座30は、流路24に対して斜めに横切る平面に沿って形成され、円形の開口31を囲繞し、流路24の軸線(
図2において上下方向に延びる直線)に対する弁座30の傾斜角は例えば約45度である。
【0013】
弁室25は弁座30に対向するように設けられる。弁室25内には、弁座30に接離して開口31すなわち流路24を開閉する弁体32が設けられる。弁室25において、弁座30とは反対側には取付け孔33が形成され、取付け孔33には弁体32の弁部32aを直線的に進退させて流路24を開閉する開閉駆動機構(開閉手段)34が取付けられる。開閉駆動機構34は弁室25の外側に設けられる。弁体32の基部は取付け孔33に固定されて開閉駆動機構34に接続される。弁体32のほとんどの部分は弁室25内に収容されており、先端部分である弁部32aが流路24内に位置している。
【0014】
弁体32は例えば樹脂により一体的に成形される。弁体32は弁座30に密着可能な弁部32aと、弁部32aに一体的に連設された円錐筒状のダイアフラム部32bとを有し、弁部32aとダイアフラム部32bの間には小径部32cが形成される。ダイアフラム部32bは大径部(弁体32の基部)において取付け孔33に固定される。すなわち弁部32aの進退動作では、ダイアフラム部32bが撓み、弁体32と開閉駆動機構34の内部は常時、外部から気密的に遮断される。
【0015】
弁体32において、流路24に対向する面の中央部分には円錐形状の突起32dが形成される。突起32dの円錐の軸は、弁体32の軸に一致しており、開口31の中心に対応する。
【0016】
第1のエア供給口26は管状部材であり、本体23から外方に水平に延び、弁座30よりも上方であって隆起部35と円筒状壁面28の境界部分に開口する。第2のエア供給口27も管状部材であり、弁室25の上面から斜め上方に延びて、弁室25の上部に開口し、第2のエア供給口27の軸線は閉鎖状態(
図2に示す状態)にある弁体32の小径部32cに対向するように定められる。
【0017】
図3を参照して本実施形態の作用を説明する。弁部32aが弁座30から離間して粉体用バルブ20が開放状態にあるとき、ホッパ10に保持された粉体は流入口21から開口31を通って流出口22へ導かれ、下流側配管12から外部へ吐出される。このとき第1のエア供給口26から流路24内へ向かってエア流が噴射され、これにより開口31の近傍において粉体が塊状になることが防止される。また流入口21から供給される粉体の流れが円錐形状の突起32dに衝突することにより、弁部32aの面に沿ってスムーズに流出口22へ流れるので、粉体が塊状になることが防止される。第2のエア供給口27から噴射されるエア流は弁座30の表面に沿って噴射され、開口31を通過する粉体は流出口22へ向かってスムーズに流動する。
【0018】
上述したように、流路24を形成する本体23の内壁面は完全な円筒面ではなく、隆起部35が形成されており、隆起部35の部分において流路24は開口31側へ曲がり、また開口31の下流側には弁室25が設けられている。しかし第1のエア供給口26と第2のエア供給口27からエア流が噴射されるので、粉体同士が付着しあって塊状になることなく、粉体は下流側配管12からスムーズに容器内に供給される。
【0019】
また弁体32は樹脂により一体的に成形され、弁体32と開閉駆動機構34の内部はダイアフラム部32bにより気密を保って覆われるので、弁体32の空気抵抗は小さく、第2のエア供給口27から吐出されるエア流は効果的に粉体に作用する。
【0020】
なお、
図2に示すように弁部32aが弁座30に密着して粉体用バルブ20が閉鎖状態にあるとき、通常、第1のエア供給口26と第2のエア供給口27からエア流は噴射されないが、第2のエア供給口27からエア流を噴射してもよい。このとき、第2のエア供給口27は弁体32の小径部32cに向かってエア流を噴射するので、弁体32の外周面に付着した粉体を効果的に除去できる。したがって本実施形態によれば、粉体用バルブ20の洗浄作業が容易になり、洗浄作業を省略することも可能になり、また通常の供給動作において弁体等の表面に粉体が付着しにくくなる。
【符号の説明】
【0021】
21 流入口
22 流出口
23 本体
24 流路
25 弁室
30 弁座
32 弁体