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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】薬剤払出装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022034856
(22)【出願日】2022-03-07
(62)【分割の表示】P 2021562396の分割
【原出願日】2021-04-14
(65)【公開番号】P2022067123
(43)【公開日】2022-05-02
【審査請求日】2024-03-26
(31)【優先権主張番号】P 2020074442
(32)【優先日】2020-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩司
(72)【発明者】
【氏名】谷口 嘉則
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-130504(JP,A)
【文献】国際公開第2013/171821(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/159819(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の錠剤カセットがそれぞれ装着される装着部が複数配列され、前記複数の錠剤カセットから錠剤が前記装着部の錠剤排出路を介して錠剤落下経路に排出され包装される薬剤払出装置において、
前記錠剤排出路に排出された錠剤を受け取る着脱可能な錠剤受取容器を備え、
前記錠剤落下経路に、前記装着部に装着された前記錠剤カセットから前記錠剤排出路を経て前記錠剤落下経路に錠剤を排出するための第1開口と、前記錠剤落下経路から前記錠剤受取容器に錠剤を受け取るための第2開口とが形成され、
前記錠剤受取容器より上方の前記装着部に装着された前記錠剤カセットから前記第1開口を経て排出されて前記錠剤落下経路を落下してくる錠剤を前記第2開口を経て前記錠剤受取容器で受け取るように構成されていることを特徴とする薬剤払出装置。
【請求項2】
前記錠剤受取容器が装着されると、前記錠剤受取容器が装着された前記装着部より上方の前記装着部の前記錠剤排出路から、前記第1開口、前記錠剤落下経路及び前記第2開口を経て、前記錠剤受取容器の内部に至る錠剤受取経路が形成されることを特徴とする請求項1に記載の薬剤払出装置。
【請求項3】
前記錠剤受取容器の1つ上の前記装着部の前記錠剤排出路を塞ぐ閉塞手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤払出装置。
【請求項4】
前記第2開口に、当該第2開口を開閉する可動板を備え、前記錠剤受取容器が装着されると、前記可動板が前記第2開口を開くように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の薬剤払出装置。
【請求項5】
前記錠剤受取容器は、前記装着部のいずれかに前記錠剤カセットと交換して装着されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の薬剤払出装置。
【請求項6】
複数の前記錠剤受取容器をそれぞれ装着し、
前記錠剤受取容器より上方の前記装着部に装着された前記錠剤カセットの錠剤をそれぞれの前記錠剤受取容器で同時に受け取るように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の薬剤払出装置。
【請求項7】
複数段の前記装着部が複数列設けられ、
複数列の前記装着部の下方に前記錠剤受取容器をそれぞれ装着し、
前記錠剤受取容器より上方の前記装着部に装着された前記錠剤カセットの錠剤をそれぞれの前記錠剤受取容器で同時に受け取るように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の薬剤払出装置。
【請求項8】
前記錠剤カセットのうち棚卸対象の錠剤カセットを選択する手段と、
前記棚卸対象の錠剤カセットより下方に前記錠剤受取容器が装着されると、前記棚卸対象の錠剤カセットから前記錠剤受取容器に錠剤を排出する手段と、
前記棚卸対象の錠剤カセットから排出される錠剤をカウントする手段とを備えることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の薬剤払出装置。
【請求項9】
前記錠剤受取容器と前記棚卸対象の錠剤カセットが載置される錠剤充填台と、
前記錠剤受取容器に設けられた識別装置の識別情報を読み取る受取容器読取装置と、
前記錠剤充填台に載置される前記棚卸対象の錠剤カセットに設けられた識別装置の識別情報を読み取るカセット読取装置とを備え、
前記受取容器読取装置で読み取られた識別情報と、前記カセット読取装置で読み取られた識別情報とが一致する旨を報知するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の薬剤払出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤の棚卸に使用することができる薬剤払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬局では、例えば1か月に1回の頻度で棚卸作業が行われている。棚卸作業は、薬局内の調剤棚の開封・未開封の薬剤の在庫や、薬剤払出装置内に残留している薬剤の数を薬剤ごとにカウントして在庫金額を調べ、利益を確定する作業である。従来、薬剤払出装置内に残留している薬剤は人手で数えたり、専用のカウント装置を使用してカウントされている。
【0003】
薬剤払出装置の錠剤を人手で数えるのは、手間がかかり、数え間違いが生じる。また、カウント装置は購入費用がかかり、設置スペースが必要であるという問題があった。
【0004】
特許文献1には、可変カセットに残存する錠剤を回収するために、可変カセットの下方に薬品収容部を載置する載置台を設けるとともに、可変カセットの第1経路から分岐する第2経路を切り替え可能に設けて、可変カセットの錠剤を第2経路を介して薬品収容部に回収する回収ユニットを備えた薬剤払出装置が記載されている。しかし、この引用文献1の回収ユニットは、第2経路を設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開WO2017/159819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、薬剤払出装置の錠剤カセットの棚卸時に、特別な排出経路や設置スペースを設けることなく、薬剤払出装置に装着された錠剤カセットから排出される錠剤を受け取ることができる錠剤受取容器を使用して棚卸処理を行うことができる薬剤払出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。
第1の手段の錠剤受取容器は、
錠剤カセットが装着される装着部が複数配列され、前記錠剤カセットから錠剤が錠剤落下経路に排出され包装される薬剤払出装置における前記装着部の下方で前記錠剤落下経路に排出された錠剤を受け取る錠剤受取容器であって、
前記錠剤受取容器に、前記錠剤受取容器を設置したときに前記錠剤落下経路に挿入される受取口を備える。
【0008】
第1の手段の錠剤受取容器は、装着部の下方で錠剤落下経路に排出された錠剤を受け取るので、特別な設置スペースを設ける必要がない。
また、錠剤受取容器に錠剤落下経路に挿入される受取口を備えるので、特別な排出経路を設ける必要がない。
【0009】
第2の手段の錠剤受取容器は、
錠剤カセットが装着される装着部が複数配列され、前記錠剤カセットから錠剤が錠剤落下経路に排出され包装される薬剤払出装置における前記装着部のいずれかに前記錠剤カセットと交換可能に装着され、前記錠剤落下経路に排出された錠剤を受け取る錠剤受取容器であって、
前記錠剤受取容器に、前記錠剤受取容器を前記装着部に装着したときに前記錠剤落下経路に挿入される受取口を備える。
【0010】
第2の手段の錠剤受取容器は、装着部のいずれかに錠剤カセットと交換して装着されるので、特別な設置スペースを設ける必要がない。
また、錠剤受取容器を装着部に設置したときに錠剤落下経路に挿入される受取口を備えるので、特別な排出経路を設ける必要がない。
【0011】
第1及び第2の錠剤受取容器において、前記受取口は、前記錠剤受取容器を前記装着部に装着したときに前記錠剤受取容器の内部に向かう傾斜角度が急になるように回動可能である受け板を備える。
これによれば、受取口の受け板の傾斜が急であるため、錠剤カセットから払い出される錠剤が受取口の受け板に当たって勢いよく錠剤受取容器内に入るため、錠剤受取容器の入り口で錠剤が詰まることはない。
【0012】
第1及び第2の錠剤受取容器において、前記錠剤受取容器を振動させる振動機構を備える。
これによれば、錠剤受取容器が振動する結果、錠剤受取容器に排出される錠剤間の隙間が詰められ、錠剤が密に積み重ねられて、容器の収容可能量まで十分に収容することができる。
【0013】
第1及び第2の錠剤受取容器において、前記振動機構は、前記錠剤カセットを駆動する前記装着部に設けられた駆動部によって駆動するように構成されている。
これによれば、錠剤受取容器に振動機構の動力源を設ける必要がない。
【0014】
第1及び第2の錠剤受取容器において、
前記受取口の底部から、前記錠剤受取容器の内部に向かって下方に傾斜して延びる錠剤案内ガイドが設けられている。
これによれば、受取口で受け取った錠剤は案内ガイドを滑り落ちながら両側に落下するので、錠剤受取容器の底に均一に貯留する。
前記振動機構は、前記錠剤受取容器の前記錠剤案内ガイドを振動させることが好ましい。これにより、錠剤案内ガイドに錠剤が溜まって受取口が詰まるのを防止することができる。
【0015】
第1及び第2の錠剤受取容器において、
前記錠剤受取容器の底に形成された落下口を開閉するシャッターが設けられている。
これによれば、錠剤受取容器に受け入れた錠剤を錠剤カセットに載置し、シャッターにより落下口を開くことにより、錠剤を一度に余すことなく迅速に錠剤カセットに戻すことができる。
【0016】
第1及び第2の錠剤受取容器において、
前記錠剤受取容器は、前記錠剤カセットに前記受取口を備えたものである。
これによれば、錠剤カセットに受取口を備えるだけで錠剤受取容器とすることができるので、この錠剤受取容器を錠剤カセットと同様に装着部に装着することができ、特別な錠剤受取容器を用意する必要がない。
【0017】
第3の手段の錠剤受取容器は、
錠剤カセットが装着される装着部が複数配列され、前記錠剤カセットから錠剤が錠剤落下経路に排出されて分包ユニットで包装される薬剤払出装置における前記装着部の下方で前記錠剤落下経路に排出された錠剤を受け取る錠剤受取容器であって、
前記装着部に錠剤受取容器が装着されると、当該装着部より上にある前記装着部に装着された前記錠剤カセットから前記錠剤落下経路に排出される錠剤の排出先が、前記分包ユニットから前記錠剤受取容器に切り替える切替手段を備える。
ここで、切替手段は、錠剤受取容器が装着部に装着されたときに錠剤落下経路に挿入される受取口であることが好ましい。
【0018】
第4の手段の薬剤払出装置は、
錠剤カセットが装着される装着部が複数配列され、前記錠剤カセットから錠剤が錠剤落下経路に排出され包装される薬剤払出装置において、
前記装着部の下方で前記錠剤落下経路に排出された錠剤を受け取る錠剤受取容器を備え、
前記錠剤落下経路に挿入される受取口を前記錠剤受取容器に備え、
前記錠剤受取容器より上方の前記装着部に装着された前記錠剤カセットから排出されて前記錠剤落下経路を落下してくる錠剤を前記受取口で受け取るように構成されている。
【0019】
第4の手段の薬剤払出装置は、装着部の下方で錠剤落下経路に排出された錠剤を受け取るので、特別な設置スペースを設ける必要がない。
また、錠剤受取容器に錠剤落下経路に挿入される受取口を備えるので、特別な排出経路を設ける必要がない。
【0020】
第5の手段の薬剤払出装置は、
錠剤カセットが装着される装着部が複数配列され、前記錠剤カセットから錠剤が前記装着部を通って錠剤落下経路に排出され包装される薬剤払出装置において、
前記装着部のいずれかに前記錠剤カセットと交換して装着される錠剤受取容器を備え、
前記錠剤受取容器を前記装着部に装着したときに前記錠剤落下経路に挿入される受取口を前記錠剤受取容器に備え、
前記錠剤受取容器が装着された前記装着部より上方の前記装着部に装着された前記錠剤カセットから排出されて前記錠剤落下経路を落下してくる錠剤を前記受取口で受け取るように構成されている。
【0021】
第5の手段の薬剤払出装置は、装着部のいずれかに錠剤カセットと交換して装着されるので、特別な設置スペースを設ける必要がない。
また、錠剤受取容器を装着部に設置したときに錠剤落下経路に挿入される受取口を備えるので、特別な排出経路を設ける必要がない。
【0022】
第4及び第5の手段の薬剤払出装置において、
前記錠剤落下経路に、前記装着部の錠剤排出路と連通する錠剤排出口と、該錠剤排出口より下方に設けられた受取容器挿入口とが形成され、
前記受取容器挿入口に前記錠剤受取容器の前記受取口が挿入されて、前記装着部の前記錠剤排出路から、前記錠剤排出口、前記錠剤落下経路及び前記受取口を経て、前記錠剤受取容器の内部に至る錠剤受取経路が形成される。
これによれば、錠剤受取容器を設置するだけで、錠剤受取容器の受取口が錠剤落下経路の受取容器挿入口に挿入されて錠剤受け取り経路が形成される。
【0023】
また、前記受取容器を装着した前記装着部の1つ上の前記装着部の錠剤排出路を塞ぐ閉塞手段が設けられている。
これによれば、受取り口で跳ね返った錠剤が上方の錠剤排出口から外部に飛び出すのを防止することができる。
【0024】
第4及び第5の手段の薬剤払出装置において、
前記受取容器挿入口に、当該受取容器挿入口を開閉する可動板を備え、前記受取容器挿入口に前記錠剤受取容器の前記受取口が挿入されると、前記可動板が前記受取容器挿入口を開くように構成されている。
これによれば、錠剤受取容器を設置するだけで、錠剤受取容器の受取口が錠剤落下経路の受取容器挿入口に挿入され、可動板が受取容器挿入口を開き、錠剤受取経路が形成される。
【0025】
第4及び第5の手段の薬剤払出装置において、
複数段の前記装着部に前記錠剤受取容器をそれぞれ装着し、
前記錠剤受取容器を装着した前記装着部より上方の前記装着部に装着された前記錠剤カセットの錠剤をそれぞれの前記錠剤受取容器で同時に受け取るように構成されている。
これによれば、複数段の錠剤カセットから錠剤をそれぞれの錠剤受取容器に同時に受け取ることができ、棚卸作業が迅速に行える。
【0026】
第4及び第5の手段の薬剤払出装置において、
複数段の前記装着部が複数列設けられ、
複数列の前記装着部の下方に前記錠剤受取容器をそれぞれ装着し、
前記錠剤受取容器を装着した前記装着部より上方の前記装着部に装着された前記錠剤カセットの錠剤をそれぞれの前記錠剤受取容器で同時に受け取るように構成されている。
これによれば、複数列の錠剤カセットから錠剤をそれぞれの錠剤受取容器に同時に受け取ることができ、棚卸作業が迅速に行える。
【0027】
第4及び第5の手段の薬剤払出装置において、
前記錠剤受取容器に、受取容器識別情報と錠剤をカウントする錠剤カセットのカセット識別情報とを記憶した識別装置が設けられ、
前記受取容器の前記識別装置の受取容器識別情報とカセット識別情報とを読み取る読取装置が前記薬剤払出装置に設けられ、
前記薬剤払出装置の前記読取装置が前記錠剤受取容器の前記識別装置の受取容器識別情報とカセット識別情報を読み取ると、カセット識別情報に対応する錠剤カセットの錠剤カウントモードに移行するように構成されている。
これによれば、錠剤受取容器の識別装置に、受取容器識別情報と錠剤をカウントする錠剤カセットのカセット識別情報とを記憶させて、当該錠剤受取容器を設置すると、薬剤払出装置の読取装置が錠剤受取容器の識別装置の受取容器識別情報とカセット識別情報を読み取り、カセット識別情報に対応する錠剤カセットの錠剤カウントモードに移行して、当該錠剤カセットの錠剤が薬剤払出装置のカウント機能によりカウントされるので、特別な錠剤カウント装置を設ける必要がない。
【0028】
第4及び第5の手段の薬剤払出装置において、
前記錠剤受取容器と前記棚卸対象の錠剤カセットが載置される錠剤充填台と、
前記錠剤受取容器に設けられた識別装置の識別情報を読み取る受取容器読取装置と、
前記錠剤充填台に載置される前記棚卸対象の錠剤カセットに設けられた識別装置の識別情報を読み取るカセット読取装置とを備え、
前記受取容器取読装置で読み取られた識別情報と、前記カセット読取装置で読み取られた識別情報とが一致する旨を報知するように構成されている。
これによれば、錠剤を受け取った錠剤受取容器と、錠剤が排出された錠剤カセットの両者の識別情報が一致する旨が報知され、錠剤受取容器の錠剤を錠剤カセットに投入することを許可されるので、間違いなく錠剤受取容器の錠剤を錠剤カセットに確実に戻すことができる。
【0029】
第6の手段の薬剤払出装置は、
錠剤カセットが装着される装着部が複数配列され、前記錠剤カセットから錠剤が錠剤落下経路に排出されて分包ユニットで包装される薬剤払出装置において、
錠剤受取容器が装着されると、当該錠剤受取容器より上にある前記装着部に装着された前記錠剤カセットから前記錠剤落下経路に排出される錠剤の排出先が、前記分包ユニットから前記錠剤受取容器に切り替えられるように構成されている。
これによれば、錠剤受取容器で錠剤を受け取るための特別な経路やスペースを設ける必要がない。
【0030】
第7の手段の薬剤払出装置において、
前記装着部に前記錠剤受取容器が装着されたことを検出する受取容器検出手段と、
前記受取容器検出手段が前記錠剤受取容器を検出すると、前記錠剤落下経路に排出される錠剤の排出先が、前記分包ユニットから前記錠剤受取容器に切り替えられるように構成されている。
これによれば、錠剤受取容器を装着するだけで、錠剤分包経路から錠剤受取経路に切り替えることができ、経路切り替えのための特別な装置を必要としない。
【0031】
第8の手段の切替方法は、
錠剤カセットが装着される装着部が複数配列され、前記錠剤カセットから錠剤が錠剤落下経路に排出されて分包ユニットで包装される薬剤払出装置における錠剤の排出先切替方法において、
前記薬剤払出装置の前記錠剤カセットから排出される錠剤の排出先を、錠剤受取容器によって、前記分包ユニットから前記錠剤受取容器内に切り替える。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、薬剤払出装置の錠剤カセットの棚卸時に、特別な排出経路や設置スペースを設けることなく、薬剤払出装置に装着された錠剤カセットから排出される錠剤を受け取ることができる。
【0033】
また、本発明によれば、錠剤受取容器を装着するだけで、錠剤受取経路が形成され、薬剤払出装置自身の錠剤カウント機能により、棚卸処理を行うことができる。このため、別途錠剤計数装置を備えたり、その設置スペースを確保したりする必要がないという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1実施形態に係る薬剤払出装置の斜視図。
図2】錠剤カセットと錠剤受取容器を装着した薬剤払出装置の断面図。
図3】錠剤受取容器を装着する装着部を斜め前方から見た斜視図。
図4】錠剤受取容器を装着した装着部を斜め後方から見た斜視図。
図5】制御ユニットのブロック図。
図6】シャッターを引き出した錠剤受取容器の斜め上方から見た斜視図。
図7】錠剤受取容器の斜め下方から見た斜視図。
図8】錠剤受取容器の平面図。
図9図8の錠剤受取容器のIX-IX線断面図。
図10図8の錠剤受取容器のX-X線断面図。
図11】制御部による棚卸処理のフローチャート。
図12図11に続く制御部による棚卸処理のフローチャート。
図13】制御ユニットの表示部に表示される棚卸対象錠剤カセット選択画面を示す図。
図14】複数段同時の棚卸処理における錠剤受取容器の配置を示す図。
図15】複数列同時の棚卸処理における錠剤受取容器の配置を示す図。
図16】第2実施形態の錠剤受取容器の受取口の可動機構を示す分解斜視図。
図17】錠剤受取容器の装着前と装着後における受取口の可動機構の動作を示す断面図。
図18】受け板で跳ね返った錠剤の飛出し防止カバーを示す断面図。
図19】錠剤受取容器の底部の振動機構を示す斜視図。
図20図19の振動機構の動作を示す平面図。
図21】錠剤受取容器の錠剤案内ガイドの振動機構を示す分解斜視図。
図22図21の振動機構の要部を示す斜視図。
図23】錠剤案内ガイドの振動機構を示す断面図。
図24】錠剤案内ガイドの振動機構を示す底面図。
図25】錠剤案内ガイドの振動機構の動作を示す平面図。
図26】錠剤受取容器の配置の変形例を示す断面図。
図27】錠剤受取容器の配置の他の変形例を示す断面図。
図28】錠剤カセットとその装着部を引き出して錠剤受取容器を取り付ける例を示す断面図。
図29】ドラム形の薬剤払出装置における錠剤受取容器の配置を示す斜視図。
図30】2重ドラムの散薬払出装置における錠剤受取容器の配置を示す正面図及び平面図。
図31】ブリスターパック包装を行う散薬払出装置にける錠剤受取容器の配置を示す斜視図。
図32図31の散薬払出装置の内部の背面図。、
図33図31の散薬払出装置の内部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0036】
図1は、本発明の実施形態に係る錠剤受取容器を使用する第1実施例の薬剤払出装置1を示す。薬剤払出装置1は、第1錠剤供給部2と第2錠剤供給部3からなる錠剤供給ユニット4、散薬供給ユニット5、手撒きユニット6、分包ユニット7、錠剤充填台8、バーコードリーダ9、制御ユニット10等を備えている。
【0037】
第1錠剤供給部2は、錠剤カセット11と、該錠剤カセット11を着脱可能な装着部12とで構成され、図1に示す例では6段×9列の合計54セット設けられている。
【0038】
各錠剤カセット11は、図2に示すように、多数個の所定の錠剤を収容する錠剤収容部13が形成されたカセット本体14と、当該錠剤収容部13の底に回転可能に設けられて複数の錠剤案内溝15が形成されたロータ16と、該ロータ16の錠剤案内溝15を仕切る仕切部材17とを備えた公知のものである。錠剤カセット11は、ロータ16の回転に伴って、錠剤収容部13の錠剤が錠剤案内溝15に侵入し、錠剤案内溝15がカセット本体14に形成された錠剤出口18の上方に来る毎に、錠剤案内溝15の仕切部材17より下方の錠剤が1個ずつ錠剤出口18から排出されるように構成されている。錠剤カセット11には、識別装置としてRFIDタグ19が取り付けられている。RFID(radio Frequency Identification)は、RFIDタグとRFIDリーダライタとの間で情報を読み書きする近距離無線通信を用いた自動認識技術である。RFIDタグ19には、錠剤カセット11の識別情報、又は該錠剤カセット11に収容される錠剤の薬種識別情報の少なくともいずれか、あるいは記憶部102に記録された当該錠剤カセット11に関する情報のアドレス等が書き込まれる。識別装置としては、RFIDタグ以外に、ITF(Interleaved Two of Five)のようなバーコードも使用できる。
【0039】
各装着部12は、装置本体20の壁部21に棚状に設けられ、内部に錠剤カセット11のロータ16を駆動する駆動モータ22と、錠剤カセット11のRFIDタグ19を読み取る読取装置としてRFIDリーダライタ23が内蔵されている。装着部12には、錠剤カセット11の錠剤出口18と連通する錠剤排出路24が形成されている。錠剤排出路24には、錠剤出口18から排出される錠剤を検出する錠剤検出センサ25が設けられている。
【0040】
図1に戻ると、第2錠剤供給部3は、第1錠剤供給部2の下方に配置され、ユニバーサル型の錠剤カセット31と、該ユニバーサル型錠剤カセット31が着脱可能な装着部32とで構成され、図1に示す実施例では1段×4列の合計4セット設けられている。
【0041】
ユニバーサル型錠剤カセット31は、図2に示すように、錠剤収容部33が形成されたカセット本体34と、錠剤収容部33の底に鉛直方向に対して所定角度傾斜して設けられた第1回転体35aと、該第1回転体35aの周囲に配置された環状の第2回転体35bと、高さ規制部材36a、幅規制部材36bとを備えた公知のものである。ユニバーサルカセット34は、第1回転体35aの回転に伴って、錠剤収容部33の錠剤が第1回転体35aから第2回転体35bに移動し、該第2回転体35b上を搬送される間に高さ規制部材36aと幅規制部材36bを通過することにより1個ずつ整列して錠剤出口37から排出されるように構成されている。高さ規制部材36aと幅規制部材36bは、錠剤収容部33に収容される錠剤の形状、大きさに応じて規制寸法が調整されるので、あらゆる形状・大きさの錠剤を排出することができる。ユニバーサル型錠剤カセット31には、識別装置としてRFIDタグ38が取り付けられている。このRFIDタグ38には、ユニバーサル型錠剤カセット31の識別情報、または該ユニバーサル型錠剤カセット31に収容される錠剤の薬種識別情報の少なくともいずれかが書き込まれる。識別装置としては、RFIDタグ以外に、ITF(Interleaved Two of Five)のようなバーコードも使用できる。
【0042】
各装着部32は、装置本体20の壁部21に設けられ、内部にユニバーサル型錠剤カセット31の第1回転体35aと第2回転体35bを駆動する駆動モータ22a、22bが内蔵されている。装着部32には、ユニバーサル型錠剤カセット31の錠剤出口37と連通する錠剤排出路24が形成されている。錠剤排出路24には、錠剤出口37から排出される錠剤を検出する錠剤検出センサ25が設けられている。
【0043】
第1錠剤供給部2と第2錠剤供給部3の装着部12、32が取り付けられる装置本体20の壁部21には、第1錠剤供給部2の装着部12の錠剤排出路24と、第2錠剤供給部3の装着部32の錠剤排出路24とに連通する錠剤排出口41が形成されている。また、装置本体20の壁部21の背面には、第1錠剤供給部2の各列、図の実施例では9列のそれぞれに錠剤落下経路42がそれぞれ設けられている。錠剤落下経路42の下端は分包ユニット7の案内ホッパ43(図16参照)に受け入れられて、第1錠剤供給部2と第2錠剤供給部3から供給される錠剤を分包ユニット7で包装できるようになっている。各錠剤落下経路42は、錠剤排出口41を介して、第1錠剤供給部2の装着部12と第2錠剤供給部3の装着部32の各錠剤排出路24と連通している。
【0044】
図3に示すように、第1錠剤供給部2の最下位の装着部12が取り付けられる装置本体20の壁部21には、後述する錠剤受取容器50の受取口50gが挿入される受取容器挿入口44が形成されている。受取容器挿入口44は錠剤落下経路42と連通し、錠剤落下経路42の幅と同じ幅を有している。したがって、最下位の装着部12及びその周りには、該装着部12の錠剤排出路24及び錠剤排出口41と、該錠剤排出口41より上方の受取容器挿入口44とが形成されている。換言すれば、最下位の装着部12に装着された錠剤カセット11から排出された錠剤が通過する錠剤排出口41と下から2番目の装着部12に装着された錠剤カセット11から排出された錠剤が通過する錠剤排出口41との間には、受取容器挿入口44が位置している。なお、装着部12に錠剤カセット11を装着しても、錠剤カセット11の一部が受取容器挿入口44から錠剤落下経路42に挿入されることはない。
【0045】
図2に示すように、各錠剤排出口41の上方には、錠剤落下経路42を上方から落下してくる錠剤が錠剤排出口41から錠剤排出路24に侵入して該錠剤排出路24の斜面で跳ね返って落下を遅らせるのを防止する跳ね返り防止部材45が設けられている。第1錠剤供給部2の最下位にある装着部12の錠剤排出口41に設けられる跳ね返り防止部材45aは、上端が壁部21から離れる方向に回動するようにヒンジ46により取り付けられるとともに、受取容器挿入口44を錠剤落下経路42の内側から開閉する可動板47を有している。可動板47を有する跳ね返り防止部材45aは、可動板47が受取容器挿入口44を閉じる方向に図示しないばね手段により付勢されている。
【0046】
図4に示すように、第1錠剤供給部2の最下位の装着部12が装着される装置本体20の壁部21には、後述する錠剤受取容器50が装着されたことを検出する受取容器検出センサ48が設けられている。受取容器検出センサ48は、錠剤受取容器50の係合部56が当接して下方に移動する検知ロッド48aと、該検知ロッド48aの移動を検出するセンサ部48bとを備えている。
【0047】
図1に戻ると、散薬供給ユニット5は、2か所の投入部5aから投入される散薬を図示しない環状溝を有する円盤上に均一に展開し、所定角度ずつ掻き出して分包ユニット7に供給し、所定の服用時期ごとに分包する公知のものである。
【0048】
手撒きユニット6は、多数のマス状の手撒き部6aに錠剤を収容し、各マスの底を開放して分包ユニットに供給し、所定の服用時期ごとに分包する公知のものである。
【0049】
分包ユニット7は、第1錠剤供給部2と第2錠剤供給部3からなる錠剤供給ユニット4、散薬供給ユニット5、手撒きユニット6から供給される錠剤を服用時期ごとに薬包シートに包装する公知のものである。
【0050】
錠剤充填台8は、装置本体20の正面に設けられ、錠剤カセット11や、ユニバーサルカセット31、錠剤受取容器50を載置することができる。錠剤充填台8は、図5に示すように、読取装置としてRFIDリーダライタ49を備えている。RFIDリーダライタ49は、錠剤カセット11のRFIDタグ19とユニバーサル型錠剤カセット31のRFIDタグ38に書き込まれている錠剤カセット11とユニバーサル型錠剤カセット31の識別情報又は、該錠剤カセット11とユニバーサル型錠剤カセット31に収容される錠剤の薬種識別情報等を読み取り、あるいは書き換えすることができるとともに、錠剤受取容器50のRFIDタグ54に、コード番号、棚卸対象の薬剤を書き込み、あるいは書き換えすることができる。
【0051】
バーコードリーダ9は、錠剤充填台8の上方の装置本体20の正面に設けられ、薬剤ケースや薬瓶のバーコードのほか、受取容器読取装置として錠剤受取容器50のバーコード53を読み取ることができる。
【0052】
制御ユニット10は、図1の実施例ではパーソナルコンピュータであるが、これには限定されない。図5に示すように、制御ユニット10は、制御部101、記憶部102、表示部103、キーボード等の入力部104を備えている。制御ユニット10は、錠剤カセット11の装着部12に設けられた駆動モータ22、ユニバーサル型錠剤カセット31の装着部32に設けられた駆動モータ22a,22b、錠剤検出センサ25、RFIDリーダライタ23、受取容器検出センサ48、バーコードリーダ9、RFIDリーダライタ49と協働して、錠剤供給ユニット4、散薬供給ユニット5、手撒きユニット6を制御して錠剤及び散薬を分包ユニット7に供給する薬剤供給処理と、供給された薬剤を服用時期単位に包装する薬剤包装処理と、錠剤供給ユニット4に残留する錠剤をカウントして棚卸を行う棚卸処理を行う。
【0053】
次に、図6~10を参照して、薬剤払出装置1の棚卸時に使用される第1実施形態の錠剤受取容器50について説明する。
【0054】
図6に示すように、錠剤受取容器50は、上方に開口部50aを有する略矩形の容器で、錠剤カセット11と同様にして装着部12に装着可能な形状を有している。すなわち、錠剤受取容器50は、装着部12に錠剤カセット11と交換して装着できるように形成されている。錠剤受取容器50は、底部50bと、装着部12に装着された状態で手前側に位置する正面部50cと、奥側に位置する背面部50dと、左右側に位置する左側面部50e及び右側面部50fとを有し、これらにより錠剤を収容できる収容部が構成されている。
【0055】
錠剤受取容器50の背面部50dは、開口部50aと連続する受取口50gを備えている。受取口50gは、錠剤受取容器50を装着部12に設置したときに、装置本体20の受取容器挿入口44を介して錠剤落下経路42に挿入される。受取口50gの幅は、開口部50aの幅より狭く、装置本体20の壁部21の受取容器挿入口44に挿入可能な寸法を有するが、受取容器挿入口44に挿入されたときに錠剤落下経路42の内面との間の隙間に錠剤が入らない寸法になっている。受取口50gの突出長さは、錠剤落下経路42の奥行寸法より小さいが、受取容器挿入口44に挿入されたときに、錠剤落下経路42の内面との間の隙間に錠剤が入らない寸法になっている。受取口50gの底部は、受取口50gの先端から開口部50aに向かって下方に傾斜している。
【0056】
図9に示すように、錠剤受取容器50の内部には、受取口50gの底部から、錠剤受取容器50の内部に向かって下方に14.0~18.0度、好ましくは16.0度の角度αで傾斜し、正面部50cまで延びる錠剤案内ガイド51が設けられている。錠剤案内ガイド51は、図8に示すように、中間部から先端に向かって幅狭に形成されるとともに、図10に示すように、錠剤との接触面積を低減するために上に凸の曲面、好ましくは半径R(実施例では80mm)の円弧で形成され、両側に向かって下方に傾斜している。
【0057】
錠剤受取容器50の底部50aには、落下口50hが形成されるとともに、該落下口50hを開閉するシャッター52が設けられている。シャッター52は、右側面部50fから取っ手52aを持って引き出して落下口50hを開くことができるようになっている。
【0058】
錠剤受取容器50には、正面部50cに図6に示すバーコード53が設けられるとともに、底部50aに図7に示すRFIDタグ54が取付けられている。バーコード53は、錠剤受取容器50の識別情報としてコード番号、錠剤カセット11の識別情報、錠剤カセット11に収容される錠剤の薬種識別情報のうち少なくともいずれかが記録されている。RFIDタグ54には、錠剤受取容器50の識別情報、又は該錠剤受取容器50が受け取る錠剤の薬種識別情報の少なくともいずれか、あるいは記憶部102に記録された当該錠剤受取容器50が受け取る錠剤の薬種識別情報のアドレス等が書き込まれる。
【0059】
図7に示すように、錠剤受取容器50の底部50aは、錠剤カセット11の開口部に位置決めするガイド55が設けられている。錠剤受取容器50の背面部50dには、錠剤受取容器50を装着部12に装着したときに、受取容器検出センサ48の検知ロッド48aが係合する係合部56が形成されている。
【0060】
装着部12に錠剤カセット11が装着されている場合は、各錠剤カセット11の錠剤出口18から、装着台12の錠剤排出路24、錠剤排出口41、錠剤落下経路42、分包ユニット7に至る錠剤分包経路40Aが形成される。錠剤受取容器50が装着部12に設置され、受取口50gが装置本体20の受取容器挿入口44を介して錠剤落下経路42に挿入されると、図2に示すように、各錠剤カセット11の錠剤出口18から、装着台12の錠剤排出路24、錠剤排出口41、錠剤落下経路42、錠剤受取容器50の受取口50g、錠剤受取容器50の内部に至る錠剤受取経路40Bが形成される。錠剤受取容器50は、装着部12に錠剤カセット11と交換して装着されるので、特別な設置スペースを設ける必要がないし、錠剤受取容器50を装着部12に設置したときに受取口5gが錠剤落下経路42に挿入されて、錠剤受取経路40Bが形成されるので、特別な排出経路を設ける必要がない。
【0061】
なお、図6図10に示す錠剤受取容器50は、棚卸処理に使用する専用の容器であるが、既存の錠剤カセット11に受取口を取り付けたものでもよい。これによれば、錠剤カセット11に受取口を備えるだけで錠剤受取容器とすることができるので、この錠剤受取容器を錠剤カセット11と同様に装着部12に装着することができ、特別な錠剤受取容器を用意する必要がない。
【0062】
次に、薬剤払出装置1の棚卸処理及び動作について説明する。
【0063】
本実施形態の薬剤払出装置1では、錠剤カセット11の錠剤を錠剤カウンタに移し換えることなく、薬剤払出装置1の錠剤カウント機能を利用して棚卸することができる。
【0064】
まず、ユーザは、錠剤受取容器50を錠剤充填台8に設置し、制御ユニット10の表示部103に表示されている棚卸キーをオンした後、図13に示すような棚卸錠剤カセット選択画面を見て棚卸対象の錠剤カセット11を選択する。この場合、各列のいずれか1つ例えば一番上の錠剤カセットを選択してもよいし、各列のすべての錠剤カセットを選択してもよい。選択された棚卸対象の錠剤カセット11の識別情報(コード番号)と当該錠剤カセット11に収容されている錠剤の薬種識別情報は予め記憶部102に記憶されている。
【0065】
制御ユニット10の制御部101は、図11に示すステップ101で、錠剤充填台8に載置された錠剤受取容器50のRFIDタグ54をRFIDリーダライタ49に読み取らせ、RFIDタグ54に書き込まれた錠剤受取容器50の識別情報(コード番号)をRFIDリーダライタ49が読み取ることで、錠剤充填台8に錠剤受取容器が載置されたか否か判断し、ステップ102で棚卸対象の錠剤カセット11が選択されたことを判断すると、ステップ103で錠剤受取容器50のRFIDタグ54に、当該錠剤受取容器50のコード番号に、棚卸対象の錠剤カセット11に収容された棚卸薬剤の薬種識別情報を紐付けて、書き込むとともに、ステップ104で錠剤受取容器50のコード番号と、棚卸薬剤の薬種識別情報とを紐付けて記憶部102に記憶する。
【0066】
次に、ユーザは錠剤カセット11のうち、選択された棚卸対象の錠剤カセット11の列の最下段の装着部12に装着された錠剤カセット11を取り外し、錠剤受取容器50と交換する。このとき、錠剤受取容器50の受取口50gは、装置本体20の受取容器挿入口44から可動板47を押圧して、錠剤落下経路42に進入する。これにより、各錠剤カセット11の錠剤出口18から、装着台12の錠剤排出路24、錠剤排出口41、錠剤落下経路42、錠剤受取容器50の受取口50g、錠剤受取容器50の内部に至る錠剤受取経路40Bが形成されるので、各錠剤カセット11の錠剤を錠剤受取容器50で受け取ることが可能となる。
【0067】
制御ユニット10の制御部101は、ステップ105で、装置本体20の受取容器検出センサ48からの信号に基づき、錠剤受取容器50が装着されたことを判断すると、ステップ106で、RFIDリーダライタ23に装着部12に装着された錠剤受取容器50のRFIDタグ54のコード番号を読み取らせ、ステップ107でコード番号と紐付けされた薬種識別情報と、棚卸対象の錠剤カセット11に収容された棚卸薬剤の薬種識別情報とが一致するか否かによって、棚卸対象の錠剤カセット11の列に錠剤受取容器50が正しく装着されているか否かを判断する。
【0068】
錠剤受取容器50が正しく装着されていると判断すると、制御ユニット10の制御部101は、錠剤カウントモードに移行する。錠剤カウントモードでは、ステップ108で、棚卸対象の錠剤カセット11が装着された装着部12の駆動モータ22を駆動し、棚卸対象の錠剤カセット11の錠剤出口18から錠剤を排出するとともに、ステップ109で、錠剤検出センサ25からの信号に基づき、錠剤出口18から排出される錠剤を検出し、ステップ110で、錠数を記憶部102に記憶する。
【0069】
錠剤カセット11から排出される錠剤の詰まりを防止するため、(1)ロータ16の錠剤払出動作の開始時にロータ16を逆転させてから通常の払出動作に移行する、(2)2錠など一定数の排出を検知すると逆転させる、(3)駆動モータ22の駆動軸が一定角度回転したら逆転させる、(4)ロータ16に磁石など検出子を設けて、ロータ16が一定角度回転すると逆転させる等の処理を行うことができる。
【0070】
棚卸対象の錠剤カセット11の錠剤出口18から排出される錠剤は、装着部12の錠剤排出路24を通って錠剤落下経路42を落下し、錠剤受取容器50の受取口50gから錠剤受取容器50に入る。錠剤受取容器50に入った錠剤は、錠剤案内ガイド51を滑り落ちる。錠剤案内ガイド51は、中間部から先端に向かって幅狭に形成されるとともに、両側に向かって下方に傾斜しているので、錠剤案内ガイド51を滑り落ちる錠剤は、両側に落下し、錠剤受取容器50の底部50aに均一に貯留する。
【0071】
制御ユニット10の制御部101は、ステップ111で、錠剤検出センサ25からの信号に基づき、錠剤の排出が完了したと判断すると、ステップ112で棚卸対象の錠剤カセット11が装着された装着部12の駆動モータ22を停止する。錠剤の排出が完了したか否かは、(1)錠剤検出センサ25がオンすることなく、ロータ16又は駆動モータ22が一定時間回転したこと、あるいは(2)錠剤検出センサ25がオンすることなく、一定角度ロータ16又は駆動モータ22が回転したことにより判断することができる。
【0072】
棚卸対象の錠剤カセット11の錠剤の排出が完了すると、ユーザは、棚卸対象の錠剤カセット11を装着部12から取り外して錠剤充填台8に設置した後、錠剤受取容器50を装着部12から取り外して錠剤受取容器50のバーコード53をバーコードリーダ9に翳す。
【0073】
制御ユニット10の制御部101は、図12に示すステップ113で、RFIDリーダライタ49に錠剤充填台8に載置された錠剤カセット11のRFIDタグ19を読み取らせ、棚卸対象の錠剤カセット11が錠剤充填台8に載置されたか否か判断し、ステップ114で棚卸対象の錠剤カセット11のRFIDタグ19の薬種識別情報を読み取って棚卸対象の薬剤を認識し、ステップ115で、バーコードリーダ9からの信号に基づいて、錠剤受取容器50のバーコード53に記載された錠剤受取容器50のコード番号を認識する。制御ユニット10の制御部101は、ステップ116で、記憶部102に記憶された棚卸対象の錠剤カセット11の薬種識別情報と、バーコードリーダ9で読み取った錠剤受取容器50のコード番号と紐付けられた薬種識別情報とが一致するか否か照合し、ステップ117で表示部103に照合OKと投入許可の表示を行い、ユーザに報知する、ステップ118で錠剤とその錠数を確定し、ステップ101に戻って、次の棚卸対象の棚卸処理に移行する。
【0074】
照合OKになると、ユーザは、錠剤受取容器50の錠剤を棚卸対象の錠剤カセット11に投入して戻す。このとき、錠剤を受け取った錠剤受取容器50を錠剤カセット11に載置し、シャッター52を引き出して落下口50hを開くことにより、錠剤を一度に余すことなく迅速に錠剤カセット11に戻すことができる。錠剤受取容器50は、錠剤カセット11の開口部に係合するガイド55を有するので、傾いたりずれることなく錠剤カセット11に確実に載置され、錠剤がこぼれ落ちる虞がない。続いて、ユーザは、錠剤受取容器50から錠剤が戻された錠剤カセット11を装着台12に装着して、最初の棚卸対象の錠剤カセット11の棚卸を終了し、同様に手順にて、次の棚卸対象の錠剤カセット11の棚卸を開始する。
【0075】
なお、棚卸対象の錠剤カセット11として全段の錠剤カセット11を選択した場合は、錠剤受取容器50を装着台12に戻すだけで、次の棚卸対象の棚卸処理が開始される。最初に錠剤受取容器50と交換して取り外された錠剤カセット11は、棚卸処理が終了したいずれかの錠剤カセット11と交換して装着台12に装着することで、棚卸処理を行うことができる。
【0076】
なお、カウントが完了した錠剤と未完了の錠剤とが識別できるようにするため、図13の棚卸錠剤カセット選択画面において、カウントが完了した錠剤の表示部分の色を変更することが好ましい。これにより、カウントが完了した錠剤と未完了の錠剤を明確に識別することができ、棚卸ミスややり直し作業を予防できる。また、カウント中の錠剤を点滅表示するようにしてもよい。
【0077】
また、錠剤受取容器50を最下段の装着部12に装着すると、自動的に同列のカウント未完了の錠剤が収容された錠剤カセット11から錠剤を払い出してカウントを開始するようにしてもよい。
【0078】
錠剤受取容器と錠剤カセットの照合を上記実施例に限定されず、種々の方法を採用できる。
【0079】
例えば、前記実施形態では、錠剤受取容器50にバーコード53を設けているが、このバーコード53はなくてもよい。この場合、錠剤充填台8に錠剤受取容器50を載置してコード番号を読み取った後、錠剤受取容器50と入れ替えて錠剤カセット11を設置して薬種識別情報を読み取り、コード番号と紐受けされた薬種識別情報を記憶部102で検索して、両方の薬種識別情報を照合する。なお、RFIDリーダライタ49が錠剤受取容器50用と錠剤カセット11用の2台あれば、両者を入れる替える必要はない。
【0080】
逆に、錠剤受取容器50にRFIDタグを設けずに、コード番号を記録したバーコード53のみを設け、錠剤カセット11にもバーコード53のみを設けるようにしてもよい。この場合、錠剤受取容器50のバーコード53のコード番号と、棚卸対象の錠剤カセット11の薬種識別情報を紐付けして記憶部102に記憶しておく。錠剤受取容器50のコード番号から検索した薬種識別情報と錠剤カセット11のバーコード53の薬種識別情報を照合する
【0081】
また、錠剤受取容器50は、特定の薬種専用とし、RFIDタグ54又はバーコード53に薬種識別情報を書き込んでおくことができる。この場合、錠剤受取容器50のRFIDタグ54又はバーコード53に複数の薬種識別情報を書き込み、棚卸毎に複数の薬種識別情報から特定の薬種識別情報を選択するようにしてもよい。
【0082】
さらに、錠剤受取容器50は、特定の錠剤カセット専用とし、RFIDタグ54又はバーコード53に錠剤カセット識別情報を書き込んでおくことができる。この場合、錠剤受取容器50のRFIDタグ54又はバーコード53に複数の錠剤カセット識別情報を書き込み、棚卸毎に複数の錠剤カセット識別情報から特定の錠剤カセット識別情報を選択するようにしてもよい。
【0083】
以上のように、本実施形態の薬剤払出装置1では、錠剤受取容器50を所定の位置に装着するだけで、錠剤受取経路40Bが形成され、薬剤払出装置1自身の錠剤カウント機能により、棚卸処理を行うことができる。このため、別途錠剤計数装置を備えたり、その設置スペースを確保したりする必要がない。
【0084】
また、本実施形態の薬剤払出装置1では、装着部12に錠剤カセット11が装着されると、当該錠剤カセット11から錠剤を錠剤落下経路42に排出し、装着部12に錠剤受取容器50が装着されると、当該装着部12より上にある装着部12に装着された錠剤カセット11から錠剤落下経路42に排出される錠剤を錠剤受取容器50に受け取るように構成されているので、同じ装着部12で、錠剤カセット11から錠剤を払い出して分包することができるとともに、錠剤カセット11から錠剤を錠剤受取容器50で受け取ることもできる。
【0085】
さらに、装着部12に錠剤受取容器50が装着されると、当該装着部12より上にある装着部12に装着された錠剤カセット11から錠剤落下経路42に排出される錠剤の排出先が、分包ユニット7から錠剤受取容器50に切り替えられるので、錠剤受取容器50で錠剤を受け取るための特別な経路やスペースを設ける必要がない。
【0086】
受取容器検出センサ48が装着部12に錠剤受取容器50が装着されたことを検出すると、錠剤落下経路42に排出される錠剤の排出先が、分包ユニット7から錠剤受取容器50に切り替えられるように構成されているので、錠剤受取容器50を装着するだけで、錠剤分包経路40Aから錠剤受取経路40Bに切り替えることができ、経路切り替えのための特別な装置を必要としない。
【0087】
前述した薬剤払出装置1の棚卸処理及び動作の実施形態では、棚卸キーのオンにより、棚卸錠剤カセット選択画面を表示したが、装着部12に錠剤受取容器50が装着されたことを検知して、棚卸錠剤カセット選択画面を表示してもよい。この場合、装着された列に配置されている錠剤カセット11だけを表示すれば効率的に選択できる。
【0088】
また、前記実施形態では、錠剤受取容器50のRFIDタグ54に当該錠剤受取容器50のコード番号と、棚卸対象の錠剤カセット11に収容された棚卸薬剤の薬種識別情報とを書き込むようにしたが、このような書き込みしなくてよく、錠剤受取容器50の識別情報(コード情報)をRFIDリーダライタ49で読み取って、棚卸錠剤とコード情報を紐づけて記憶部102に記憶することもできる。
【0089】
前記実施形態の薬剤払出装置1では、図14に示すように、同じ列の複数段の錠剤カセット11について同時に棚卸処理を行うことができる。図14の実施例では、3段目と6段目の錠剤カセット11を取り外して、それぞれ第1錠剤受取容器50U、第2錠剤受取容器50Lを装着する。第1錠剤受取容器50Uは、1段から3段の錠剤カセットの錠剤の棚卸処理を順に行い、第2錠剤受取容器50Lは、4段から6段の錠剤カセットの錠剤の棚卸処理を順に行う。すなわち、1段目の錠剤カセット11から3段目の第1錠剤受取容器50Uに錠剤を排出し、4段目の錠剤カセット11から6段目の第2錠剤受取容器50Lに錠剤を排出して、1段目と4段目の錠剤カセット11の棚卸処理をする。続いて、2段目の錠剤カセット11から3段目の第1錠剤受取容器50Uに錠剤を排出し、5段目の錠剤カセット11から6段目の第2錠剤受取容器50Lに錠剤を排出して、2段目と5段目の錠剤カセット11の棚卸処理をする。さらに、取り外した3段目の錠剤カセット11を1段目に装着して(1段目の錠剤カセット11と差し替える)3段目の第1錠剤受取容器50Uに錠剤を排出し、同じく取り外した6段目の錠剤カセット11を4段目に装着して(4段目の錠剤カセット11と差し替える)3段目の第2錠剤受取容器50Lに錠剤を排出して、3段目と6段目の錠剤カセット11の棚卸処理を行う。これにより、棚卸作業が迅速に行える。なお、第1錠剤受取容器50Uと第2錠剤受取容器50Lの装着位置は、上記のように3段目と6段目に限定されない。
【0090】
また、図15に示すように、複数列の錠剤カセット11につて同時に棚卸処理を行うことができる。図15の実施例では、A列とB列の6段目の錠剤カセット11を取り外して、それぞれ第1錠剤受取容器50A、第2錠剤受取容器50Bを装着する。第1錠剤受取容器50Aは、A列の1段から6段の錠剤カセット11の錠剤の棚卸処理を順に行い、第2錠剤受取容器は、B列の1段から6段の錠剤カセット1の錠剤の棚卸処理を順に行う。
すなわち、A列の1段目の錠剤カセット11から6段目の錠剤受取容器50Aに錠剤を排出し、B列の1段目の錠剤カセット11から6段目の錠剤受取容器50Bに錠剤を排出して、A列とB列の1段目の錠剤カセット11の棚卸処理を行う。続いて、A列の2段目の錠剤カセット11から6段目の錠剤受取容器50Aに錠剤を排出し、B列の2段目の錠剤カセット11から6段目の錠剤受取容器50Bに錠剤を排出して、A列とB列の2段目の錠剤カセット11の棚卸処理を行う。これを5段目まで繰り返す。次に、取り外した6段目の錠剤カセット11を1段目に装着して(1段目の錠剤カセット11と差し替える)6段目の錠剤受取容器50Aに錠剤を排出し、取り外した6段目の錠剤カセット11を1段目に装着して(1段目の錠剤カセット11と差し替える)6段目の錠剤受取容器50Bに錠剤を排出して、A列とB列の6段目の錠剤カセット11の棚卸処理をする。同様にして、B列とC列の錠剤カセットの棚卸処理を行い、これを繰り返して、AからI列までの錠剤カセットの棚卸処理を行う。これにより、棚卸作業が迅速に行える。なお、同時に棚卸処理する列の数および順序は、上記実施例には限定されない。
【0091】
次に、第2実施形態の錠剤受取容器60について説明する。
【0092】
第2実施形態の錠剤受取容器60は、受取口可動機構と振動機構を設けた以外は、第1実施形態の錠剤受取容器50と実質的に同一であるため、対応する部分には同一符号を附して説明を省略する。
【0093】
<受取口の可動機構>
図2において、錠剤受取容器50の受取口50gの底の傾斜が緩いと、錠剤カセット11から払い出されて受取口50gの底に当たった錠剤が勢いよく錠剤受取容器50内に入らないため、錠剤受取容器50の入り口で詰まる可能性がある。そこで、錠剤受取容器50の受取口50gを可動にして、錠剤を受け取るときに受取口50gの底の傾斜角度を急にすることが好ましい。
【0094】
図16は、可動機構を有する受取口50gを備えた錠剤受取容器60である。受取口50gの可動機構は、支持部61と、当該支持部61に回動可能に支持された受け板62と、板ばね63とから構成されている。
【0095】
支持部61は、錠剤受取容器60の背面部に形成された矩形の切欠き60aの下縁に取り付けられ、両側端に一対の軸受け部61aと、切欠きの両側縁に沿って立ち上がる起立片61bとを有している。支持部61には、後述する板ばね63の一端が挿入支持される溝61cが形成されている。軸受け部61aには、軸孔61dが形成されている。起立片61bには錠剤案内ガイド51の一端側端の支持突起51aが係合する支持孔61eが形成されている。
【0096】
受け板62は、上部62aと、下部62bと、先端部62cと、両側部62d、62eと、上部62aの内面から先端部62cへ延びる複数のリブ62fとで構成され、上方から見て矩形の形状を有している。両側部62d、62eの一端には、軸部62gが外側に突出して形成されている。リブ62fと下部62bの間には、後述する板ばね63が挿入される隙間62hが形成されている。受け板62は、軸部62gが支持部61の軸孔61dに嵌合することで、軸部62gを中心に回動可能になっている。
【0097】
板ばね63は、一端が支持部61の溝61cに支持され、他端が受け板62の隙間62hに挿入支持されて受け板62を略水平な状態に保持している。また、板ばね63は、受け板62が上方に回動したときに、受け板62を下向きに付勢するようになっている。なお、板ばね63の代わりに、コイルばねを使用してもよい。
【0098】
図17(a)に示すように、錠剤受取容器60を所定の装着部62に装着する前は、錠剤受取容器60の受取口50gの受け板62は傾斜が緩い状態になっており、受取容器挿入口44より低い位置になっている。このため、図17(b)に示すように、錠剤受取容器60を装着部62に載置して前に押すと、跳ね返り防止部材45aを押して受け板62が受取容器挿入口44に挿入される。錠剤受取容器60をさらに押し込むと、受け板62の先端が錠剤落下経路42に当たり、その反力で板ばね63の付勢力に抗して上方に押し上げられて、傾斜角が急になる。受け板62は板ばね63により錠剤落下経路42に当たったままになるため、隙間は生じない。また、受け板62の傾斜が急であるため、上方の錠剤カセット11から払い出される錠剤が受け板62に当たって勢いよく錠剤受取容器60内に入るため、錠剤受取容器60の入り口で錠剤が詰まることはない。錠剤受取容器60を装着部62から取り外すと、受け板62は板ばね63の付勢力により傾斜が緩やかな元の状態に戻る。
勢いよく錠剤受取容器60内に入ってきた錠剤は錠剤受取容器60の正面部50cの壁に衝突し、衝撃音が発生する。そこで、この衝撃音を低減させるため、錠剤受取容器60の正面部50cの内側に緩衝板50iを設けることで衝撃音を低減させる。正面部50cの壁と緩衝板50iとの間に隙間を設けることによってより衝撃音を低減させてもよい。
【0099】
<錠剤の飛び出し防止機構>
図18に示すように、錠剤受取容器60の受け板62に当たった錠剤は錠剤受取容器60内に入らずに、上方に跳ね返って上方の錠剤排出口41に入り、錠剤カセット11が無い場合は、錠剤排出路24から外部に飛び出す可能性がある。
【0100】
そこで、錠剤をカウントする前に、錠剤排出容器60を装着した装着部12の1つ上の装着部12に錠剤カセット11が有るか否かをRFIDリーダライタ23により判断し、錠剤カセット12が無い場合は錠剤カセット12又は飛出し防止カバー64を装着するようユーザに促す。飛び出し防止カバー64は、錠剤カセット11と同様に装着部12に装着できるベース部64aと、錠剤排出路24を閉塞する手段である閉塞部64bとを有する。錠剤排出容器60を装着した装着部12の1つ上の装着部12に錠剤カセット11又は飛び出し防止カバー64を装着することで、受け板62で跳ね返った錠剤が上方の錠剤排出口41から外部に飛び出すのを防止することができる。
【0101】
<錠剤受取容器の振動機構>
錠剤受取容器60に排出される錠剤間の隙間や錠剤の積み重なり方によっては、錠剤受取容器60の収容可能量まで錠剤を収容できないことがあった。また、錠剤案内ガイド51の上に錠剤が溜まり、受取口50gが詰まることがあった。
【0102】
図19は、底部50bを振動させる振動機構を備えた錠剤受取容器60である。振動機構は、ギア65と、可動ブロック66とで構成されている。
【0103】
ギア65は、カム67と一体に形成され、錠剤受取容器60の底部50bに軸65aの周りに回転可能に取り付けられている。カム67の外周面は、ギア65の軸心からの半径が漸次増大するカム面67aと、最小半径位置と最大半径位置の間の段部67bとからなっている。ギア65は、錠剤受取容器60を装着部12に装着したときに装着部12の駆動モータ22の駆動ギア22aと噛み合い、駆動モータ22によって回転するようになっている。したがって、錠剤カセット11を駆動する駆動源を利用しているので、錠剤受取容器60に振動機構の動力源を設ける必要がない。
【0104】
可動ブロック66は、錠剤受取容器60の底部50bの外面に軸66aの周りに回動可能に取り付けられている。可動ブロック66には、錠剤受取容器60の底部50bに形成された衝撃受け部68に当接可能な衝撃部66bと、カム67のカム面67aに摺接する摺動部66cとが形成されている。可動ブロック66は、軸66aに捩りばね69が装着され、捩りばね69の一端は、錠剤受取容器60の底部50bに形成された突部70に係合し、他端は可動ブロック66に係合して、衝撃部66bが衝撃受け部68に当接する方向に付勢されている。
【0105】
錠剤受取容器60を装着部12に装着し、当該装着部12より上方の錠剤カセット11から錠剤を排出してカウントしている間、錠剤受取容器60を装着した装着部12の駆動モータ22を駆動する。駆動モータ22の駆動により、駆動ギヤ22aと噛み合うギア65を介してカム67が回転する。可動ブロック66の摺動部66cがカム67のカム面67aを最小半径部から最大半径部に向かって摺動するにつれて、可動ブロック66は衝撃部66bが衝撃受け部68から離れる方向に回動する。
【0106】
可動ブロック66の摺動部66cがカム面67aの最大半径部から段部67bを乗り越え、最小半径部に移ると同時に、可動ブロック66の衝撃部66bが衝撃受け部68に衝突し、錠剤受取容器60の底部50bに衝撃を与える。カム67が1回転する毎に、可動ブロック66の衝撃部66bが衝撃受け部68に衝撃を与える結果、錠剤受取容器60に周期的に振動が与えられる。この結果、錠剤受取容器60に排出される錠剤間の隙間が詰められ、錠剤が密に積み重ねられ。錠剤受取容器60の収容可能量まで十分に収容することができる。また、底部50bの振動が錠剤案内ガイド51に伝動して、錠剤案内ガイド51上の錠剤を底に落下させるので、錠剤案内ガイド51に錠剤が溜まって受取口50gが詰まるのを防止できる。
【0107】
図21は、錠剤案内ガイド51を振動させる振動機構を備えた錠剤受取容器60を示す。
【0108】
図22図23に示すように、錠剤案内ガイド51は、一端両側に設けた支持突起51aが受取口50gの支持部61の起立片61bに形成された支持穴61eに係合し、他端は錠剤受取容器60の底部50b内面に設けられた支柱71に支持されて、錠剤受取容器60の受取口50gから内部に向かって下向きに傾斜している。支柱71には、後述する突上げロッド76が挿入されるロッド挿入孔71aが底部50bの貫通孔72と連通するように形成されている。また、支柱71には、錠剤案内ガイド51の下端の切り欠き51bが係合する係合部71bが設けられている。
【0109】
振動機構は、図22に示すように、ギア73と、可動ブロック74と、カバー75と、突上げロッド76とで構成されている。
【0110】
ギア73は、カム77と一体に形成され、錠剤受取容器60の底部50bの外面に軸73aの回りに回転可能に取り付けられている。カム77の外周面は、ギア73の軸心からの半径が漸次増大するカム面77aと、最小半径位置と最大半径位置の間の段部77bとからなっている。ギア73は、錠剤受取容器60を装着部12に装着したときに装着部12の駆動モータ22の駆動ギア22aと噛み合い、駆動モータ22によって回転するようになっている。したがって、錠剤受取容器60に振動機構の動力源を設ける必要がない。
【0111】
可動ブロック74は、細長の直方体からなる基部74aと、当該基部74aの一端面から突出する摺動部74bと、基部74aの両側面から突出する弾性変形可能な2つの弾性片74cと、基部74aの上面に突出する突部74dとを有している。図24に示すように、可動ブロック74は、基部74aが後述するカバー75に形成された2つのガイド75a間に移動可能に配置され、弾性片74cの先端が錠剤受取容器60の底部50bに形成された支持部78に支持され、摺動部74bがカム77のカム面77aに当接している。突部74dは、摺動部74bに向かって下り勾配で基部74aの移動方向に傾斜する傾斜面74eを有している。弾性片74bと、この弾性片74bの先端を支持する支持部78との間には、弾性片74cの変形を許容する空間が形成されている。
【0112】
カバー75は、可動ブロック74を覆うように錠剤受取容器60の底部50bに取り付けられている。カバー75には、可動ブロック74の基部74aを案内する2つのガイド75aが形成されている。
【0113】
突上げロッド76は、錠剤受取容器60の底部50gに設けられた貫通孔72から支柱71のロッド貫通孔71aに挿入されている。突上げロッド76の上端は錠剤案内ガイド51の下面と対向し、下端は可動ブロック74の突部74dと対向している。
【0114】
錠剤受取容器60を装着部12に装着し、当該装着部12より上方の錠剤カセット11から錠剤を排出してカウントしている間、錠剤受取容器60を装着した装着部12の駆動モータ22を駆動する。図25(a)に示すように、駆動モータ11の駆動により、駆動ギヤ22aと噛み合うギア73を介してカム77が回転する。可動ブロック74の摺動部74bがカム77のカム面77aを最小半径部から最大半径部に向かって摺動するにつれて、可動ブロック74は突部74dがカム77から離れる方向に移動するとともに、弾性片74bが変形する。可動ブロック74の突部74dと接触する突上げロッド76の下端は、突部74dの傾斜面74dの下端まで移動して、上端は錠剤案内ガイド51から離れる。
【0115】
図25(b)に示すように、可動ブロック74の摺動部74bがカム面77aの最大半径部から段部77bを乗り越え、最小半径部に移ると同時に、可動ブロック74は、弾性片77cの付勢力により、突部74dがカム77に近づく方向に瞬間的に移動する。この結果、突上げロッド76の下端は可動ブロック74の突部74dの傾斜面74eに押し上げられて、上端は錠剤案内ガイド51を突き上げて衝撃を与える。カム77が1回転する毎に、可動ブロック74の突上げロッド76が錠剤案内ガイド51に衝撃を与える結果、錠剤案内ガイド51上の錠剤を底に落下させるので、錠剤案内ガイド51に錠剤が溜まって受取口50gが詰まるのを防止できる。また、錠剤案内ガイド51の振動が支柱71に伝動して、錠剤受取容器60に周期的に振動が与えられる。この結果、錠剤受取容器60に排出される錠剤間の隙間が詰められ、錠剤が密に積み重ねられ。錠剤受取容器60の収容可能量まで十分に収容することができる。
【0116】
振動機構が作動している間、錠剤受取容器60又は錠剤案内ガイド51の振動により叩き音が発生し、ユーザに不快感を与える可能性がある。そこで、棚卸対象の錠剤カセット11の装着高さと当該錠剤カセット11に収容されている錠剤の形状によって、振動の有無、振動間隔を変えることが好ましい。
【0117】
例えば、錠剤排出容器60を錠剤供給部2の1段目に装着した場合、2段目の錠剤カセット11の錠剤をカウントして払い出す時のみ振動機構を作動させる。3段目以上の錠剤カセット11から払い出す場合、錠剤の落下速度が大きくなるので、錠剤受取容器60内の錠剤が隙間なく詰まり、錠剤案内ガイド51に滞留することなく落下するからである。
【0118】
錠剤がカプセルの場合、カプセル間の隙間が大きくなる傾向にあるので、錠剤受取排出容器60からの高さに係わらず、振動機構を作動させる。
また、錠剤の上から見た面積が大きいほど、カプセル間の隙間が大きくなる傾向にあるので、振動間隔を小さくする。この場合、錠剤の上から見た面積を3種類に分けて振動間隔を変更する。例えば、100mmを越える錠剤の場合は7秒に1回振動させ、56~100mmまでの錠剤の場合は14秒に1回振動させ、56mm未満の錠剤の場合は7秒に1回振動させる。
【0119】
さらに、錠剤受取容器60内に排出される錠剤の容積が錠剤受取容器60の最大収容容積に対して所定の割合(例えば75%)に到達するまでは、所定の振動間隔で振動し、所定の割合を越えると連続的に振動させる。
【0120】
このように、棚卸対象の錠剤カセット11の装着高さと当該錠剤カセット11に収容されている錠剤の形状によって振動の有無や振動間隔を変えることで、最小限の叩き回数で、錠剤排出容器60の収容可能量まで錠剤を排出し、カウント時の音を軽減することができる。
【0121】
本発明は、前記実施形態に限るものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で変形や修正を行うことができる。
【0122】
例えば、前記実施形態の錠剤受取容器50は、錠剤カセット11と交換して装着するものであるが、図26に示すように、ユニバーサルカセット31より下方であって案内ホッパ43より上方に錠剤受取容器50を載置部81上に設置することで、ユニバーサルカセット31に残留する錠剤の棚卸処理も可能である。
【0123】
また、図27に示すように、錠剤受取容器50の載置部82を設けることで、錠剤カセット11を交換する手間を省くことができる。
【0124】
図28は、錠剤カセット11が装着される装着部12を伸縮式のスライドレール83に沿って引き出すことができるように構成され、棚卸時には、錠剤カセット11が装着されたまま装着部12を装置本体20から引き出して、装着部12の下方に錠剤受取容器50を取り付けて、装着部12の錠剤排出路24から排出される錠剤を受取口50gから受け取ることができるようにしたものである。
【0125】
前記実施形態は、薬剤払出装置1の棚状に配列された錠剤カセット11の棚卸について説明したが、図29に示すように、ドラム形に配列された可変型の錠剤カセット11aと、上下に配列されたユニバーサル型の錠剤カセット31とを有する薬剤払出装置1Aの棚卸にも利用することができる。可変型の錠剤カセット11aは、錠剤収容部13に収容される錠剤の大きさ形状に合わせて、ロータ16の錠剤案内溝15の幅、深さ、仕切部材17の高さを調整できる公知のものである(例えば、特開2018-126528号公報参照)。
【0126】
図30は、内外2重のドラム91,92に配列された錠剤カセット11を有する錠剤払出装置1Bにおいて、内外の錠剤カセット11から排出される錠剤を図示しない包装部に導く大ホッパー93に錠剤受取容器50を装着できるようにしたものである。この薬剤払出装置1Bでは、内側ドラム91に錠剤カセット11を着脱できるように、外側ドラム92の正面側の一部に開口部92aが設けられている。また、開口部92aの下方に位置する大ホッパー93の一部が切り欠かれて、錠剤受取容器50を載置できる載置部94が設けられている。この載置部94に錠剤受取容器50を載置して、外側ドラム92の錠剤カセット11から排出される錠剤を受け取ることができ、また錠剤受取容器50をさらに奥に設置すれば内側ドラム91の錠剤カセット11から排出される錠剤を受け取ることができる。
【0127】
図31は、棚状に配置された錠剤カセット11から排出される錠剤をブリスターパックに包装することができる薬剤払出装置1Cにおいて、中央の1箇所に錠剤受取容器50を装着できるようにしたものである。この薬剤払出装置1Cは、図32に示すように、左右2つの錠剤受止部101、中央錠剤ガイド102、錠剤搬送部103、中央落下経路104、錠剤押出部105を備えている。
【0128】
図32に示すように、錠剤受止部101は、錠剤カセット11が装着される装着部12を設けた壁部21の裏面の錠剤落下経路42の下方に錠剤を受け止める待機弁101aを備えている。中央錠剤ガイド102は、2つの錠剤受止部101の間に位置し、中央の錠剤落下経路42から落下する錠剤を中央落下経路104に案内する。錠剤搬送部103は、錠剤受止部101から落下した錠剤を中央錠剤ガイド102の下方の中央落下経路104に搬送する左右に移動可能な錠剤搬送片103aを備えている。中央落下経路104は、中央錠剤ガイド102及び錠剤搬送部103から搬送される錠剤を錠剤押出部105に案内する。錠剤押出部105は、中央落下経路104から落下する錠剤を図示しないブリスターパック包装部に押し出す押出ブロック105aを備えている。
【0129】
中央落下経路104は、着脱可能に設けて、図31に示すように、錠剤払出装置1Cの前面カバー106を開けて錠剤受取容器50を正面から挿入することができるようになっている。棚卸対象の錠剤カセット11を中央の列に移動して、錠剤を真下に排出することで、直接錠剤受取容器50に受け取ることができる。また、中央の列以下の錠剤カセット11から錠剤受止部101から錠剤搬送部103に落下して、錠剤搬送片103aで左右から搬送される錠剤も、錠剤受取容器50で回収することができる。
【0130】
図33に示すように、錠剤搬送部103の錠剤搬送片103aはLMガイド107によって左右に移動可能になっている。錠剤搬送片103aを左右方向に移動させるために、錠剤搬送部103の壁に設けたスリット108を介して錠剤搬送部103の外側に突出する駆動片109が設けられ、この駆動片109に駆動ベルト110が取り付けられている。錠剤搬送部103の移動に伴ってスリット108から空気と共に錠剤粉が錠剤搬送部103の内部に進入して、LMガイド107に付着し、錠剤搬送片103aの動きを妨げる可能性がある。このため、錠剤搬送部103に空気導入孔111を設けて、図示しないファンから空気を導入して陽圧状態とすることで、スリット108から空気を逃すとともに錠剤粉が進入するのを防止している。
【符号の説明】
【0131】
1,1A 薬剤払出装置
2 第1錠剤供給部
3 第2錠剤供給部
4 錠剤供給ユニット
8 錠剤充填台
9 バーコードリーダ(受取容器読取装置)
10 制御ユニット
11 錠剤カセット
11a 可変型錠剤カセット
12 装着部
18 錠剤出口
19 RFIDタグ(識別装置)
22a 駆動ギア(駆動部)
23 RFIDリーダライタ(読取装置)
24 錠剤排出路
31 ユニバーサル型錠剤カセット
32 装着部
37 錠剤出口
38 RFIDタグ(識別装置)
40A 錠剤分包経路
40B 錠剤受取経路
41 錠剤排出口
42 錠剤落下経路
44 受取容器挿入口
47 可動板
48 受取容器検出センサ(受取容器検出手段)
49 RFIDリーダライタ(読取装置)
50 錠剤受取容器
50g 受取口
50h 落下口
51 錠剤案内ガイド
52 シャッター
53 バーコード
54 RFIDタグ(識別装置)
60 錠剤受取容器
62 受け板
64 飛び出し防止カバー
64b 閉塞部
65 ギア(振動機構)
66 可動ブロック(振動機構)
67 カム(振動機構)
73 ギア(振動機構)
74 可動ブロック(振動機構)
76 突上げロッド(振動機構)
77 カム(振動機構)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33