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特許7590662樹脂部材、電装品箱、及び輸送用冷凍装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】樹脂部材、電装品箱、及び輸送用冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
H05K5/03 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022174624
(22)【出願日】2022-10-31
(65)【公開番号】P2024065646
(43)【公開日】2024-05-15
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 航太
(72)【発明者】
【氏名】池宮 完
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-151042(JP,A)
【文献】特開2015-162624(JP,A)
【文献】国際公開第2020/050093(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品を覆うカバー部(37)に、樹脂介在部材(100)を介して締結される樹脂部材(60)であって、
前記樹脂部材(60)は、
前記カバー部(37)に対向すると共に、前記樹脂介在部材(100)が接する第1面(63a)と、
該第1面(63a)から前記カバー部(37)に向かって突出する複数の締結部(70)とを有し、
前記締結部(70)は、
締結部材(B)が挿通する挿通孔(73)と、
前記カバー部(37)に接触する接触面(S1)と、
前記接触面(S1)と段差を介して連結される段差面(S2)と
を有し、
前記第1面(63a)は、隣り合う前記締結部(70)の間を延びるように形成され、
前記段差面(S2)は、前記第1面(63a)の長手方向に直交する幅方向の一端から他端の間に形成される
樹脂部材。
【請求項2】
前記樹脂部材(60)には、前記カバー部(37)との間に前記樹脂介在部材(100)が収容される収容部(A)が形成され、
前記収容部(A)は、
前記第1面(63a)と、
該第1面(63a)から前記カバー部(37)に向かって伸びる第1壁部(64)と、
該第1壁部(64)よりも内側に設けられる第2壁部(65)と
により形成される空間であり、
前記段差面(S2)は、前記第1壁部(64)から前記第2壁部(65)に亘るように設けられる
請求項1に記載の樹脂部材。
【請求項3】
前記接触面(S1)と段差を介して連結される前記段差面(S2)は1つである
請求項1または2に記載の樹脂部材。
【請求項4】
前記締結部(70)は、前記接触面(S1)と前記段差面(S2)とを接続する第1接続部(81)を有し、
前記第1接続部(81)は、前記段差面(S2)に接続されると共に、前記接触面(S1)に向かって曲線状に形成される第1曲線部(91)を備える
請求項1または2に記載の樹脂部材。
【請求項5】
前記第1曲線部(91)は、曲率半径がR2以上の曲線に形成される
請求項4に記載の樹脂部材。
【請求項6】
前記締結部(70)は、前記段差面(S2)と前記第1面(63a)とを接続する第2接続部(82,83)を有し、
前記第2接続部(82,83)は、前記第1面(63a)に接続されると共に、前記段差面(S2)に向かって曲線状に形成される第2曲線部(92)を備える
請求項1または2に記載の樹脂部材。
【請求項7】
前記第2曲線部(92)は、曲率半径がR2以上の曲線に形成される
請求項6に記載の樹脂部材。
【請求項8】
前記段差面(S2)は、前記第1面(63a)側に向かって形成される凹部を有する
請求項1または2に記載の樹脂部材。
【請求項9】
アイゾット衝撃値が500J/m以上、破断伸びが50%以上の樹脂材料で構成される請求項1または2に記載の樹脂部材。
【請求項10】
ノンフィラーのポリカーボネイト素材である
請求項9に記載の樹脂部材。
【請求項11】
請求項1または2に記載の前記樹脂部材(60)、電気部品を覆うと共に前記樹脂部材に締結されるカバー部(37)、及び、前記樹脂部材と前記カバー部との間に配置される樹脂介在部材(100)を有する電装品箱。
【請求項12】
請求項1または2に記載の前記樹脂部材を備えた輸送用冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、樹脂部材、電装品箱、及び輸送用冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パッキンを蓋またはケースと一体化して、パッキンを介して蓋とケースとがボルトにより締結された電装箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-174978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、締結部材であるボルトが挿通する締結部が、樹脂部材である蓋に形成されている場合において、ケースまたは蓋に外部から力が加わると該締結部が破損してしまう恐れがある。このような締結部の破損を抑制する検討はこれまでされてこなかった。
【0005】
本開示の目的は、樹脂部材の締結部の破損を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、
電気部品を覆うカバー部(37)に、樹脂介在部材(100)を介して締結される樹脂部材(60)であって、
前記樹脂部材(60)は、
前記カバー部(37)に対向すると共に、前記樹脂介在部材(100)が接する第1面(63a)と、
該第1面(63a)から前記カバー部(37)に向かって突出する複数の締結部(70)とを有し、
前記締結部(70)は、
締結部材(B)が挿通する挿通孔(73)と、
前記カバー部(37)に接触する接触面(S1)と、
前記接触面(S1)と段差を介して連結される段差面(S2)と
を有し、
前記第1面(63a)は、隣り合う前記締結部(70)の間を延びるように形成され、
前記段差面(S2)は、前記第1面(63a)の長手方向に直交する幅方向の一端から他端の間に形成される。
【0007】
第1の態様では、段差面(S2)を設けることで、締結部(70)の耐衝撃性を向上させることができる。これにより、落下等の外部からの衝撃に対して締結部(70)の破損や脱落を抑制できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、
前記樹脂部材(60)には、前記カバー部(37)との間に前記樹脂介在部材(100)が収容される収容部(A)が形成され、
前記収容部(A)は、
前記第1面(63a)と、
該第1面(63a)から前記カバー部(37)に向かって伸びる第1壁部(64)と、
該第1壁部(64)よりも内側に設けられる第2壁部(65)と
により形成される空間であり、
前記段差面(S2)は、前記第1壁部(64)から前記第2壁部(65)に亘るように設けられる。
【0009】
第2の態様では、第1の態様と同じ効果を奏する。また、第1壁部(64)及び第2壁部(65)により樹脂介在部材(100)の位置ずれを抑制できる。
【0010】
第3の態様は、第1または第2の態様において、
前記接触面(S1)と段差を介して連結される前記段差面(S2)は1つである。
【0011】
第3の態様では、第1の態様と同様の効果を奏する。
【0012】
第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、
前記締結部(70)は、前記接触面(S1)と前記段差面(S2)とを接続する第1接続部(81)を有し、
前記第1接続部(81)は、前記段差面(S2)に接続されると共に、前記接触面(S1)に向かって曲線状に形成される第1曲線部(91)を備える。
【0013】
第4の態様では、第1曲線部(91)を設けることで、締結部(70)の応力集中を緩和また応力の発生を抑制できる。これにより締結部(70)のクリープ破壊を抑制できる。
【0014】
第5の態様は、第4の態様において、
前記第1曲線部(91)は、曲率半径がR2以上の曲線に形成される。
【0015】
第5の態様では、締結部(70)に発生する応力をクリープ耐力以下となるように緩和できる。
【0016】
第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、
前記締結部(70)は、前記段差面(S2)と前記第1面(63a)とを接続する第2接続部(82,83)を有し、
前記第2接続部(82,83)は、前記第1面(63a)に接続されると共に、前記段差面(S2)に向かって曲線状に形成される第2曲線部(92)を備える。
【0017】
第6の態様では、第2曲線部(92)を設けることで、締結部(70)の応力集中を緩和また応力の発生を抑制できる。これにより締結部(70)のクリープ破壊を抑制できる。
【0018】
第7の態様は、第6の態様において、
前記第2曲線部(92)は、曲率半径がR2以上の曲線に形成される。
【0019】
第7の態様では、締結部(70)に発生する応力をクリープ耐力以下となるように緩和できる。
【0020】
第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、
前記段差面(S2)は、前記第1面(63a)の方向に向かって凹む凹部を有する。
【0021】
第8の態様では、樹脂部材(60)の成型時のヒケの発生を抑制できる。
【0022】
第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、
前記樹脂部材(60)は、アイゾット衝撃値が500J/m以上、破断伸びが50%以上の樹脂材料で構成される。
【0023】
第9の態様では、樹脂部材(60)の耐衝撃性を向上できる。
【0024】
第10の態様は、第9の態様において、
前記樹脂部材は、ノンフィラーのポリカーボネイト素材である。
【0025】
第10の態様では、第9の態様と同様の効果を奏する。
【0026】
第11の態様は、第1~第10の態様のいずれか1つの樹脂部材(60)、電気部品を覆うと共に前記樹脂部材(60)に締結されるカバー部(37)、及び、前記樹脂部材(60)と前記カバー部との間に配置される樹脂介在部材(100)を有する電装品箱である。
【0027】
第12の態様は、第1~第10の態様のいずれか1つの樹脂部材(60)を備えた輸送用冷凍装置である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、実施形態の輸送用コンテナを前側から視た斜視図である。の正面図である。
図2図2は、実施形態の輸送用コンテナの内部構造を示す概略の縦断面図である。
図3図3は、実施形態の輸送用冷凍装置の冷媒回路の配管系統図である。
図4図4は、カバー部に締結されたコントロールパネルを前方から斜視図である。
図5図5は、図4のV-V矢視断面のうちボス部周辺を表した図である。
図6図6は、図4のVI-VI矢視断面のうちボス部周辺を表した図である。
図7図7は、コントロールパネルを後方から視た斜視図である。
図8図8は、コントロールパネルのボス部を後方から視た一部拡大図である
図9図9は、図8のIX-IX矢視断面図である。
図10図10は、図8のX-X矢視断面図である。
図11図11は、パッキンを後方から視た斜視断面図である。
図12図12は、段差面による応力の抑制効果を示す図である。(a)は、段差面がないボス部を示す。(b)は、段差面を有するボス部を示す。
図13図13は、パッキンが電装品箱内部への浸入を抑制することを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下に説明する各実施形態、変形例、その他の例等の各構成は、本発明を実施可能な範囲において、組み合わせたり、一部を置換したりできる。
【0030】
(1)輸送用コンテナの概要
図1に示すように、輸送用コンテナ(1)は、庫内の温度管理が可能なリーファーコンテナ(reefer container)である。輸送用コンテナ(1)は、果物、野菜、花卉などの生鮮物を輸送するために用いられる。
【0031】
輸送用コンテナ(1)は、コンテナ本体(2)と、コンテナ本体(2)に設けられる輸送用冷凍装置(10)とを備える。輸送用コンテナ(1)は、海上輸送に用いられる。輸送用コンテナ(1)は、船舶などの海上輸送体によって搬送される。
【0032】
(2)コンテナ本体
コンテナ本体(2)は、中空の箱状に形成される。コンテナ本体(2)は、横長に形成される。コンテナ本体(2)の長手方向の一端には、開口が形成される。コンテナ本体(2)の開口は、輸送用冷凍装置(10)によって塞がれる。コンテナ本体(2)の庫内には、輸送対象物を収納するための収納空間(5)が形成される。
【0033】
(3)輸送用冷凍装置
輸送用冷凍装置(10)は、コンテナ本体(2)の開口に取り付けられる。輸送用冷凍装置(10)は、ケーシング(11)と冷媒回路(30)とを備える。輸送用冷凍装置(10)は、収納空間(5)の空気(庫内空気)の温度を調節する。輸送用コンテナ(1)は、いわゆるCA(Controlled Atmosphere)輸送を行うために輸送用冷凍装置(10)に設けられる空気調節装置(図示省略)を備える。空気調節装置は、輸送用コンテナ(1)の収納空間(5)の空気の組成を、大気の組成と異なるように調節する。
【0034】
(3-1)ケーシング
図2に示すように、ケーシング(11)は、隔壁(12)と仕切板(15)とを備える。
【0035】
隔壁(12)の内側には、庫内流路(20)が形成される。隔壁(12)の外側には、庫外室(25)が形成される。庫内流路(20)と庫外室(25)とは、隔壁(12)によって仕切られる。
【0036】
隔壁(12)は、コンテナ本体(2)の開口を塞いでいる。隔壁(12)の下部は、コンテナ本体(2)の内側に向かって膨出する。庫外室(25)は、この膨出した隔壁(12)の内側に形成される。
【0037】
仕切板(15)は、隔壁(12)よりもコンテナ本体(2)の内側に配置される。隔壁(12)と仕切板(15)との間には、庫内流路(20)が形成される。仕切板(15)の上端とコンテナ本体(2)の天板との間には、流入口(21)が形成される。仕切板(15)の下端と隔壁(12)の下端との間には、流出口(22)が形成される。庫内流路(20)は、流入口(21)から流出口(22)に亘って形成される。
【0038】
(3-2)冷媒回路の要素部品
冷媒回路(30)は、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。冷媒回路(30)は、圧縮機(31)、庫外熱交換器(32)、膨張弁(33)、庫内熱交換器(51)、及びこれらを接続する冷媒配管を含む。
【0039】
圧縮機(31)は、庫外室(25)の下部に配置される。庫外熱交換器(32)は、庫外室(25)の上部に配置される。庫外熱交換器(32)は、冷媒を庫外空気と熱交換させるフィンアンドチューブ熱交換器である。庫内熱交換器(51)は、庫内流路(20)に配置される。庫内熱交換器(51)は、冷媒を庫内空気と熱交換させるフィンアンドチューブ熱交換器である。
【0040】
(3-3)庫外ファンおよび庫内ファン
輸送用冷凍装置(10)は、1つの庫外ファン(34)を備える。庫外ファン(34)は、プロペラファンである。庫外ファン(34)は、庫外室(25)に配置される。庫外ファン(34)は、庫外熱交換器(32)へ庫外空気を送る。
【0041】
輸送用冷凍装置(10)は、2つの庫内ファン(35)を備える。庫内ファン(35)は、プロペラファンである。庫内ファン(35)は、庫内流路(20)に配置される。庫内ファン(35)は、庫内熱交換器(51)へ庫内空気を送る。
【0042】
(3-4)電装品箱
図1に示すように、輸送用冷凍装置(10)は、電装品箱(36)を有する。電装品箱(36)は、庫外室(25)の上部に配置される。電装品箱(36)の内部には、インバータ基板及び制御基板等の電気部品が収容される。電装品箱(36)は、電気部品の前側を覆うカバー部(37)を有する。カバー部(37)は、電装品箱(36)の前面パネルである。カバー部(37)は、金属製である。カバー部(37)には矩形の開口が形成され、該開口にコントロールパネル(60)が取り付けられる。コントロールパネル(60)は、操作ボタン及び表示パネルが配置される。コントロールパネル(60)の詳細は後述する。なお、以下の説明において、「上」「下」「右」「左」「前」「後」は、電装品箱(36)を正面に視たときの各方向(図4参照)を示す
(3-5)冷媒回路の構成
図3に示すように、冷媒回路(30)は、主要部品として、圧縮機(31)と、庫外熱交換器(32)と、膨張弁(33)と、庫内熱交換器(51)とを有する。膨張弁(33)は、その開度が調節可能な電子膨張弁である。
【0043】
冷媒回路(30)は、吐出管(41)と吸入管(42)とを有する。吐出管(41)の一端は圧縮機(31)の吐出部に接続する。吐出管(41)の他端は、庫外熱交換器(32)のガス端に接続する。吸入管(42)の一端は、圧縮機(31)の吸入部に接続する。吸入管(42)の他端は、庫内熱交換器(51)のガス端に接続する。
【0044】
冷媒回路(30)は、液管(43)、レシーバ(44)、冷却熱交換器(45)、第1開閉弁(46)、連通管(47)、第2開閉弁(48)、インジェクション管(49)、及びインジェクション弁(50)を有する。
【0045】
液管(43)の一端は、庫外熱交換器(32)の液端に接続する。液管(43)の他端は、庫内熱交換器(51)の液端に接続する。レシーバ(44)は、液管(43)に設けられる。レシーバ(44)は、冷媒を貯留する容器である。
【0046】
冷却熱交換器(45)は、第1流路(45a)と第2流路(45b)とを有する。冷却熱交換器(45)は、第1流路(45a)の冷媒と、第2流路(45b)の冷媒とを熱交換させる。冷却熱交換器(45)は、例えばプレート式の熱交換器である。第1流路(45a)は、液管(43)の一部である。第2流路(45b)は、インジェクション管(49)の一部である。冷却熱交換器(45)は、液管(43)を流れる冷媒を冷却する。
【0047】
第1開閉弁(46)は、液管(43)におけるレシーバ(44)と第1流路(45a)との間の
部分に設けられる。第1開閉弁(46)は、開閉可能な電磁弁である。
【0048】
連通管(47)は、冷媒回路(30)の高圧ライン及び低圧ラインを連通させる。連通管(47)の一端は、吐出管(41)に接続する。連通管(47)の他端は、液管(43)における膨張弁(33)と庫内熱交換器(51)との間の部分に接続する。
【0049】
第2開閉弁(48)は、連通管(47)に設けられる。第2開閉弁(48)は、開閉可能な電磁弁である。
【0050】
インジェクション管(49)は、圧縮機(31)の中圧部に冷媒を導入する。インジェクション管(49)の一端は、液管(43)におけるレシーバ(44)と第1流路(45a)との間の
部分に接続する。インジェクション管(49)の他端は、圧縮機(31)の中圧部に接続する。中圧部の圧力である中間圧力は、圧縮機(31)の吸入圧力よりも高く、その吐出圧力よりも低い。
【0051】
インジェクション弁(50)は、インジェクション管(49)における第2流路(45b)の
上流側の部分に設けられる。インジェクション弁(50)は、その開度が調節可能な電子膨張弁である。
【0052】
(3-6)制御部
輸送用冷凍装置(10)は、図示しない制御部を備える。制御ユニットは、例えば電装箱内に配置される。制御部は、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
【0053】
制御部は、輸送用冷凍装置の運転動作に基づいて、庫外ファン(34)、庫内ファン(35)、および冷媒回路(30)を制御する。
【0054】
(3-7)輸送用冷凍装置の運転動作
輸送用冷凍装置(10)の基本的な運転動作について説明する。輸送用冷凍装置(10)の運転時には、制御部が、圧縮機(31)、庫外ファン(34)、および庫内ファン(35)を運転させる。制御部が第1開閉弁(46)を開け、第2開閉弁(48)を閉じる。制御部が、膨張弁(33)の開度を調節する。制御部が、インジェクション弁(50)の開度を調節する。
【0055】
圧縮機(31)で圧縮された冷媒は、庫外熱交換器(32)を流れる。庫外熱交換器(32)では、冷媒が庫外空気へ放熱し、凝縮する。凝縮した冷媒は、レシーバ(44)を通過する。レシーバ(44)を通過した冷媒の一部は、冷却熱交換器(45)の第1流路(45a)を流れる。レシーバ(44)を通過した冷媒の残部は、インジェクション管(49)を流れ、インジェクション弁(50)において中間圧力まで減圧される。減圧された冷媒は、圧縮機(31)の中圧部に導入される。
【0056】
冷却熱交換器(45)では、第2流路(45b)の冷媒が第1流路(45a)の冷媒から吸熱し、蒸発する。これにより、第1流路(45a)の冷媒が冷却される。言い換えると、第1流路(45a)を流れる冷媒の過冷却度が大きくなる。
【0057】
冷却熱交換器(45)で冷却された冷媒は、膨張弁(33)で低圧まで減圧される。減圧された冷媒は、庫内熱交換器(51)を流れる。庫内熱交換器(51)では、冷媒が庫内空気から吸熱し、蒸発する。この結果、庫内熱交換器(51)は、庫内空気を冷却する。蒸発した冷媒は、圧縮機(31)に吸入され、再び圧縮される。
【0058】
コンテナ本体(2)の庫内空気は、収納空間(5)と庫内流路(20)とを循環する。庫内流路(20)では、庫内空気が庫内熱交換器(51)によって冷却される。これにより、収納空間(5)の庫内空気を冷却でき、庫内空気を所定温度に調節できる。
【0059】
(4)コントロールパネル
次に、コントロールパネル(60)について説明する。
【0060】
図4図7に示すように、本実施形態のコントロールパネル(60)は、カバー部(37)に締結される。詳細は後述するが、コントロールパネル(60)とカバー部(37)との間には防水性のパッキン(100)が設けられる。
【0061】
コントロールパネル(60)には、ボルト(B)が挿通するボス部(70)が形成される。ボルト(B)は締結部材(B)の一例である。ボス部(70)は、締結部(70)の一例である。カバー部(37)には、該カバー部(37)の開口の周囲に沿って並ぶ複数の取付穴(55)が形成される。カバー部(37)の開口にコントロールパネル(60)を嵌め込んだ状態で、ボルト(B)をボス部(70)と取付穴(55)とを挿通させた後、ナット(N)をボルト(B)に巻き締めることによって、コントロールパネル(60)とカバー部(37)とが締結される。
【0062】
コントロールパネル(60)は、樹脂製である。コントロールパネル(60)は、樹脂部材の一例である。具体的に、コントロールパネル(60)は、アイゾット衝撃値が500J/m以上、破断伸びが50%以上の樹脂材料、好ましくは、アイゾット衝撃値が600J/m、破断伸びが60%以上の樹脂材料で構成される。本実施形態のコントロールパネル(60)は、ノンフィラーのポリカーボネイト素材で構成される。コントロールパネル(60)は、本体部(61)及びフランジ部(62)を有する。
【0063】
(5)本体部
本体部(61)は、前面が開放された概ねトレー状に形成される。本体部(61)は側壁(61a)と底面部(61b)とを有する。底面部(61b)は、電装品箱(36)の操作ボタンと表示パネルとが設けられる部分である。コントロールパネル(60)は、本体部(61)をカバー部(37)の開口に挿通させることでカバー部(37)に取り付けられる。
【0064】
(6)フランジ部
フランジ部(62)は枠状に形成される。フランジ部(62)は、その内枠が本体部(61)の開放端に接続されるように設けられる。フランジ部(62)は、枠板部(63)、第1壁部(64)、第2壁部(65)、及び複数のボス部(70)とを有する。
【0065】
(6-1)枠板部
枠板部(63)の裏面である第1面(63a)は、カバー部(37)に対向する。複数のボス部(70)は、第1面(63a)からカバー部(37)に向かって突出するように設けられる。第1面(63a)は、隣り合う締結部(70)の間を延びるように形成される。言い換えると、複数のボス部(70)は、第1面(63a)に沿って並ぶ。
【0066】
(6-2)第1壁部
第1壁部(64)は、フランジ部(62)の外周縁を構成する。第1壁部(64)は、第1面(63a)からカバー部(37)に向かって伸びる。具体的に、第1壁部(64)は、第1面(63a)の外周端からカバー部(37)に向かって伸びる。別の言い方をすると、第1壁部(64)は、枠板部(63)の外周縁(外枠)からカバー部(37)に向かって垂直に伸びる。
【0067】
(6-3)第2壁部
第2壁部(65)は、第1壁部(64)よりも内側に設けられる。第2壁部(65)は、フランジ部(62)の内周縁を構成する。第2壁部(65)は、本体部(61)の側壁(61a)を兼用する。第2壁部(65)は、第1面(63a)からカバー部(37)に向かって伸びる。具体的に、第2壁部(65)は、第1面(63a)の内周端からカバー部(37)に向かって伸びる。別の言い方をすると、第2壁部(65)は、枠板部(63)の内周縁(内枠)からカバー部(37)に向かうように後方に伸びる。
【0068】
(6-4)ボス部
図8図10に示すように、ボス部(70)には、ボルト(B)が挿通する挿通孔(73)が形成される。ボス部(70)は、コントロールパネル(60)と一体に形成される。ボス部(70)は、前後方向に隣接する第1部分(71)と第2部分(72)とを有する。締結部(70)は、コントロールパネル(60)を後方から見て、矩形に形成される第2部分(72)と、第2部分(72)の概ね中央に形成される円形の第1部分(71)とを有する。
【0069】
図9及び図10に示すように、第1部分(71)は、概ね円柱形に形成される。第1部分(71)の頂部には、接触面(S1)が形成される。接触面(S1)は、カバー部(37)に接触する(図5及び図6参照)。具体的に、接触面(S1)は、挿通孔(73)の周囲に形成される。
【0070】
第1部分(71)の側面を構成する周面(81)は、接触面(S1)と後述する段差面(S2)とを接続する。周面(81)は、第1接続部(81)の一例である。第1部分(71)の周面(81)は、第1曲線部(91)を備える。第1曲線部(91)は、段差面(S2)に接続されると共に、接触面(S1)に向かって曲線状に形成される。具体的に、第1曲線部(91)は、第1部分(71)の基部に形成される。本実施形態の第1曲線部(91)は、曲率半径がR2の曲線に形成される。
【0071】
第2部分(72)は、第1部分(71)の下端に接続される。第2部分(72)は、段差面(S2)、第1側面(82)、及び第2側面(83)を有する。
【0072】
段差面(S2)は、第2部分(72)の前端面である。段差面(S2)は、接触面(S1)と段差を介して連結される。本実施形態では、接触面(S1)と段差を介して連結される段差面(S2)は1つである。段差面(S2)は、第1部分(71)の周面(81)から連続するように形成される。
【0073】
段差面(S2)は、コントロールパネル(60)を後方から見て、第1部分(71)の周りに広がるように形成される(図8参照)。段差面(S2)は、第1面(63a)の長手方向に直交する幅方向の一端から他端の間に形成される。本実施形態の段差面(S2)は、第1壁部(64)から第2壁部(65)に亘るように設けられる。言い換えると、段差面(S2)は、第1壁部(64)に接続され、かつ、第2壁部(65)に接続される。具体的に、コントロールパネル(60)を後方から見て、段差面(S2)は、第1部分(71)を跨いで第1壁部(64)から第2壁部(65)に亘るように形成される部分と、第1部分(71)の上側及び下側において、第1壁部(64)から第2壁部(65)まで連続して形成される部分とを有する。
【0074】
第1壁部(64)及び段差面(S2)の接続部分には、曲線状に形成される第4曲線部(94)が形成される。第4曲線部(94)は、第1壁部(64)の内面と段差面(S2)とを滑らかに接続する。第4曲線部(94)は、段差面(S2)の一部としてもよいし、第1壁部(64)の一部としてもよい。
【0075】
第2壁部(65)及び段差面(S2)の接続部分には、曲線状に形成される第5曲線部(95)が形成される。第5曲線部(95)は、第2壁部(65)の内面と段差面(S2)とを滑らかに接続する。第4曲線部(94)は、段差面(S2)の一部としてもよいし、第2壁部(65)の一部としてもよい。
【0076】
図8及び図10に示すように、第1側面(82)は、第2部分(72)の上端面を形成する。第2側面(83)は、第2部分(72)の下端面を形成する。第1側面(82)および第2側面(83)は、第2接続部(82,83)の一例である。第1側面(82)及び第2側面(83)はそれぞれ、段差面(S2)と第1面(63a)とを接続する。
【0077】
第1側面(82)及び第2側面(83)はそれぞれ第2曲線部(92)を有する。第2曲線部(92)は、第1面(63a)に接続されると共に、段差面(S2)に向かって曲線状に形成される。具体的に、各第2曲線部(92)は、第2部分(72)の基部に形成される。本実施形態の各第2曲線部(92)は、曲率半径がR2の曲線に形成される。
【0078】
図8に示すように、第1側面(82)及び第2側面(83)はそれぞれ第1壁部(64)と第2壁部(65)とに接続される。第1側面(82)及び第2側面(83)はそれぞれ、第1壁部(64)及び第2壁部(65)に向かって曲線状に形成される第3曲線部(93)を備える。第3曲線部(93)は、コントロールパネル(60)を後方から見て曲線状に形成される。
【0079】
(6-5)凹部
本実施形態の段差面(S2)には、4つの凹部(K)が形成される。4つの凹部(K)は同一に形成される。具体的に、コントロールパネル(60)を正面にみて、第1凹部(K1)は、第1部分(71)の周囲、第1壁部(64)及び第1側面(82)に囲まれるように形成される。第2凹部(K2)は、第1部分(71)の周囲、第1壁部(64)及び第2側面(83)に囲まれるように形成される。第3凹部(K3)は、第1部分(71)の周囲、第2側面(83)及び第2壁部(65)に囲まれるように形成される。第4凹部(K4)は、第1部分(71)の周囲、第2壁部(65)及び第1側面(82)に囲まれるように形成される。
【0080】
(6-6)パッキン
コントロールパネル(60)には、カバー部(37)との間にはパッキン(100)が収容される収容部(A)が設けられる。本実施形態の収容部(A)は、第1面(63a)と第1壁部(64)と第2壁部(65)とにより形成される空間と、段差面(S2)と第1壁部(64)と第2壁部(65)とにより形成される空間とを含む(図9図10参照)。収容部(A)はフランジ部(62)の全周に亘って設けられる。そのため、収容部(A)もフランジ部(62)と同様に枠状に形成される。パッキンは、シリコンやゴムなどの比較的柔らかい樹脂製の部品である。
【0081】
図11に示すように、パッキン(100)は、複数の板部(101~105)を有する。第1板部(101)は、第1壁部(64)に沿って延びると共に第1壁部(64)の内面に接する。第2板部(102)は、第2壁部(65)に沿って延びると共に第2壁部(65)の内面に接する。第3板部(103)は、第1面(63a)に沿って延びると共に、第1面(63a)に接する。第4板部(104)は、段差面(S2)に接する。第4板部(104)には、締結部(70)の第1部分(71)が貫通する貫通孔(H)が形成される。第5板部(105)は、第3板部(103)の端部と第4板部(104)の端部とを接続する。第5板部(105)は、第1側面(82)及び第2側面(83)のそれぞれに接する。
【0082】
パッキン(100)は、第1リブ部(L1)、第2リブ部(L2)及び第3リブ部(L3)を有する。各リブ部(L1~L3)は、パッキン(100)から前方へ立ち上がるように形成される。具体的に、各リブ部(L1~L3)は、コントロールパネル(60)がカバー部(37)に取り付けられた状態で、カバー部(37)に密着するつぶれ代である(図5図6参照)。第1リブ部(L1)は、パッキン(100)の外周縁に沿って設けられる。第2リブ部(L2)は、パッキン(100)の内周縁に沿って設けられる。第3リブ部(L3)は、第4板部(104)の貫通孔(H)の周囲に沿って設けられる。
【0083】
(7)特徴
(7-1)特徴1
本実施形態のコントロールパネル(60)の締結部(70)は、ボルト(B)が挿通する挿通孔(73)が形成されると共に、カバー部(37)に接触する接触面(S1)と、接触面(S1)と段差を介して連結される段差面(S2)とを有する。段差面(S2)は、第1面(63a)の長手方向に直交する幅方向の一端から他端の間に形成される。
【0084】
ここで、輸送用コンテナの輸送船への積み上げ時や輸送船からの積み下ろし時において、輸送用コンテナに比較的大きな衝撃が加わると、樹脂製のコントロールパネル(60)に衝撃が伝わってコントロールパネルのボス部が破損し脱落する場合がある。特に、このようなコンテナにおいては電気部品を覆うカバー部とコントロールパネルとの間には浸入を防ぐためのパッキンが介在するため、パッキンによりボス部に加わる衝撃が強くなる。また、ボルト及びナットの締め付けによって、ボス部は時間経過とともに塑性変形が進行し、クリープ破壊が生じるという問題があった。
【0085】
このような課題に対して、本実施形態のコントロールパネル(60)のボス部(70)には、段差面(S2)が設けられる。段差面(S2)は、第1面(63a)よりも高い高さ位置にあるため耐衝撃性を向上できる。具体的に、図12に示すように、段差面(S2)が設けられていないボス部(図12(a))と段差面(S2)が設けられたボス部(図12(b))とにおいて同じ力を加えたとき、段差面(S2)が設けられていないボス部では基部において力が加わる領域(ドット領域)が発生しているのに対し、段差面(S2)が設けられた本実施形態のボス部(70)(図12(b))では、そのような領域が見られなかった。
【0086】
加えて、図13に示すように、コントロールパネル(60)をカバー部(37)に締結することで、パッキン(100)のリブ部(L1~L3)がカバー部(37)に密着するため、挿通孔(73)とボルト(B)との隙間、及びカバー部(37)とフランジ部(62)との隙間から入る水(図13中の矢印)が電装品箱(36)内に入ることを抑制できる。また、パッキン(100)により、雨や海水、洗浄時の水浸入、海塩粒子の侵入を抑制でできると共に、空気中に含まれる水蒸気、あるいは飛来する埃などの異物の侵入も抑制できる。
【0087】
(7-2)特徴2
本実施形態のコントロールパネル(60)には、パッキン(100)が収容される収容部(A)が形成される。収容部(A)は、フランジ部(62)の第1面(63a)と第1壁部(64)と第2壁部(65)とにより形成される空間である。段差面(S2)は、第1壁部(64)から第2壁部(65)に亘るように形成される。
【0088】
これによると段差面(S2)は第1壁部(64)から第2壁部(65)に亘っている形成されているため、段差面(S2)が第1壁部(64)と第2壁部(65)との間の一部に設けられる場合に比べると段差面(S2)の面積は大きくできる。このことで、ボス部(70)に加わる衝撃を緩和でき衝撃による破損を抑制できる。
【0089】
加えて、第1壁部(64)と第2壁部(65)とによりパッキンがずれることを抑制できる。これにより、輸送用コンテナ(1)に衝撃が加わってもパッキンは収容部(A)内に安定して配置されるため、浸入抑制効果を向上できる。
【0090】
(7-3)特徴3
本実施形態では、接触面(S1)と段差を介して連結される段差面(S2)は1つである。これにより、ボス部(70)は複雑な構造を不要にでき、ボス部(70)の成型を容易にできる。
【0091】
(7-4)特徴4
本実施形態では、ボス部(70)は、接触面(S1)と段差面(S2)とを接続する周面(81)(第1接続部)を有し、周面(81)は、段差面(S2)に接続されると共に、接触面(S1)に向かって曲線状に形成される第1曲線部(91)を備える。第1曲線部(91)を設けることで、ボルト(B)の締め付けによる応力集中が緩和され、ボス部のクリープ破壊を抑制できる。
【0092】
(7-5)特徴5
本実施形態では、第1曲線部(91)は、曲率半径がR2の曲線に形成される。これにより、ボス部(70)に発生する応力をクリープ耐性以下にすることができる。
【0093】
(7-6)特徴6
本実施形態では、ボス部(70)は、段差面(S2)と第1面(63a)とを接続する第2接続部(82,83)を有し、第2接続部(82,83)は、第1面(63a)に接続されると共に、段差面(S2)に向かって曲線状に形成される第2曲線部(92)を備える。このように第2曲線部(92)を備えることで、上記特徴5と同様に、ボルト(B)の締め付けによる応力集中が緩和され、ボス部のクリープ破壊を抑制できる。第1曲線部(91)及び第2曲線部(92)の両方を備えることで、確実にクリープ破壊を抑制できる。
【0094】
(7-7)特徴7
本実施形態では、第2曲線部(92)は、曲率半径がR2の曲線に形成される。これにより、ボス部(70)に発生する応力をクリープ耐性以下にすることができる。特に、第1曲線部(91)の曲率半径もR2以上に形成されることで、確実にボス部(70)に発生する応力をクリープ耐性以下にすることができる。
【0095】
(7-8)特徴8
本実施形態のコントロールパネル(60)では、段差面(S2)は第1面(63a)側に向かって形成される凹部(K1~K4)を有する。これにより、コントロールパネル(60)を成型する際、加熱した樹脂の温度が下がる過程で発生するヒケを抑制できる。段差面(S2)の一部が平坦面にならずコントロールパネル(60)の意匠性が低下するところ、凹部(K)を設けることでこのような意匠性の低下を抑制できる。
【0096】
(7-9)特徴9
本実施形態のコントロールパネル(60)は、アイゾット衝撃値が500J/m以上、破断伸びが50%以上の樹脂材料で構成される。これにより、コントロールパネル(60)は柔軟性が向上し、衝撃性を和らげることができる。
【0097】
(7-10)特徴10
本実施形態のコントロールパネル(60)は、ノンフィラーのポリカーボネイト素材である。特徴9と同様に、コントロールパネル(60)の柔軟性が向上するため衝撃性を和らげることができる。
【0098】
(8)その他の実施形態
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0099】
段差面(S2)は、第1面(63a)の幅方向の一端または他端に接するように形成されてもよい。言い換えると、段差面(S2)は、第1壁部(64)または第2壁部(65)に接するとしてもよい。
【0100】
収容部(A)は、カバー部(37)に設けられてもよい。例えば、カバー部(37)には、第1壁部(64)及び第2壁部(65)に相当する構造が設けられ、パッキン(100)は、カバー部(37)側に収容されてもよい。
【0101】
ボス部(70)に設けられる段差面(S2)は、2つ以上であってもよい。
【0102】
第1曲線部(91)は、曲率半径はR2以上であればよい。また、第1曲線部(91)は、異なる曲率半径をもつ複数の曲線が連続するように形成されてもよい。第2曲線部(92)は、曲率半径はR2以上であればよい。また、第2曲線部(92)は、異なる曲率半径をもつ複数の曲線が連続するように形成されてもよい。
【0103】
第3曲線部(93)、第4曲線部(94)または第5曲線部(95)は、曲率半径がR2以上に形成されてもよい。また、第3曲線部(93)、第4曲線部(94)または第5曲線部(95)は、異なる曲率半径をもつ複数の曲線が連続するように形成されてもよい。
【0104】
段差面(S2)の凹部(K)の形状は、上記実施形態の凹部(K)の形状に限定されない。凹部(K)は、1~3つ、または5つ以上形成されてもよい。また、段差面(S2)に凹部(K)が形成されていなくてもよい。
【0105】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0106】
以上説明したように、本開示は、樹脂部材、電装品箱、及び輸送用冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0107】
10 輸送用冷凍装置
36 電装品箱
37 カバー部
60 樹脂部材(コントロールパネル)
63a 第1面
64 第1壁部
65 第2壁部
70 ボス部(締結部)
73 挿通孔
81 第1接続部(周面)
82,83 第2接続部
91 第1曲線部
92 第2曲線部
100 樹脂介在部材(パッキン)
A 収容部
B ボルト(締結部材)
K 凹部
S1 接触面
S2 段差面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13