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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】冷凍サイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   F25B 47/02 20060101AFI20241120BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20241120BHJP
   F25B 1/10 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
F25B47/02 560
F25B47/02 570E
F25B47/02 570K
F25B47/02 550P
F25B1/00 399Y
F25B1/00 381H
F25B1/10 B
F25B1/00 396D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024055771
(22)【出願日】2024-03-29
(65)【公開番号】P2024146900
(43)【公開日】2024-10-15
【審査請求日】2024-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2023059253
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(72)【発明者】
【氏名】内田 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】布 隼人
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 康史
(72)【発明者】
【氏名】石田 好人
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-216686(JP,A)
【文献】特開2009-133581(JP,A)
【文献】特開2010-210206(JP,A)
【文献】特開2015-143597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 47/02
F25B 1/00
F25B 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1圧縮機(11)と、第1水熱交換器(16)と、第2圧縮機(12)と、四路切換弁(15)と、第2水熱交換器(17)と、膨張弁(19)と、空気熱交換器(13)と、を備え、
暖房運転時に、前記第1圧縮機(11)、前記第1水熱交換器(16)、前記第2圧縮機(12)、前記四路切換弁(15)、前記第2水熱交換器(17)、前記膨張弁(19)、前記空気熱交換器(13)の順で冷媒が循環する主流路と、
前記主流路における前記第1圧縮機(11)の吸入側と前記主流路における前記第2圧縮機(12)の吸入側とを接続する第1流路(25)と、
前記主流路における前記第2水熱交換器(17)と前記膨張弁(19)との間と、当該主流路における前記第1水熱交換器(16)と前記第2圧縮機(12)との間と、を接続する第2流路(24)と、を有し、
前記四路切換弁(15)は、前記第2圧縮機(12)と前記第2水熱交換器(17)との接続と、当該第2圧縮機(12)と前記空気熱交換器(13)との接続とを切り替え可能であり、
前記空気熱交換器(13)を除霜する除霜運転時に複数の除霜運転モードを切り替えて運転することを特徴とする冷凍サイクルシステム。
【請求項2】
前記複数の除霜運転モードは、前記第1圧縮機(11)および前記第2圧縮機(12)を両方使用するモードと、当該第1圧縮機(11)または当該第2圧縮機(12)の何れか一方を使用するモードとを含む、請求項1に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項3】
前記主流路における前記第1圧縮機(11)と前記第1水熱交換器(16)との間の流路と前記第1流路(25)との接続/非接続を切り替える切換弁(14)を有する、請求項1または2に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項4】
前記複数の除霜運転モードは、前記第1圧縮機(11)、前記切換弁(14)、前記第1流路(25)、前記第2圧縮機(12)、前記四路切換弁(15)、前記空気熱交換器(13)、前記第2水熱交換器(17)の順で前記冷媒が循環して当該四路切換弁(15)を通り当該第1圧縮機(11)に戻る第1の除霜運転モードを含む、請求項3に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項5】
前記複数の除霜運転モードは、前記第1圧縮機(11)、前記切換弁(14)、前記第1水熱交換器(16)、前記第2圧縮機(12)、前記四路切換弁(15)、前記空気熱交換器(13)、前記第2水熱交換器(17)の順で前記冷媒が循環して当該四路切換弁(15)を通り当該第1圧縮機(11)に戻る第2の除霜運転モードを含む、請求項3に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項6】
前記複数の除霜運転モードは、前記第2圧縮機(12)、前記四路切換弁(15)、前記空気熱交換器(13)、前記第2水熱交換器(17)、当該四路切換弁(15)、前記切換弁(14)、前記第1流路(25)、の順で前記冷媒が循環して当該第2圧縮機(12)に戻る第3の除霜運転モードを含む、請求項3に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項7】
前記複数の除霜運転モードは、前記第1圧縮機(11)、前記切換弁(14)、前記第1流路(25)、前記第2圧縮機(12)、前記四路切換弁(15)、前記空気熱交換器(13)、の順に循環した後、前記第2水熱交換器(17)、当該四路切換弁(15)を通って当該第1圧縮機(11)の吸入側に至る流路と、前記第2流路(24)および前記第1水熱交換器(16)、当該切換弁(14)を通って当該第1圧縮機(11)の吸入側に至る流路とに分岐して前記冷媒が循環して、当該第1圧縮機(11)に戻る第4の除霜運転モードを含む、請求項3に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項8】
前記複数の除霜運転モードは、前記第2圧縮機(12)、前記四路切換弁(15)、前記空気熱交換器(13)、前記第2流路(24)、の順に前記冷媒が循環して当該第2圧縮機(12)に戻る第5の除霜運転モードを含む、請求項3に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項9】
前記除霜運転モードの切り替えは、着霜量に応じて行うことを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項10】
前記着霜量は、外気温度および前記空気熱交換器(13)に取り付けた温度センサにより推測する請求項9に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項11】
前記除霜運転モードの切り替えは、水温に応じて行うことを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項12】
前記冷媒は二酸化炭素である、請求項1または2に記載の冷凍サイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍サイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、温水暖房機と接続されるヒートポンプ式給湯用室外機の除霜運転時に、バイパス回路および補助ヒータを用いることにより温水暖房機内に配設される水熱交換器の凍結を防止する、とする温水暖房機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5573757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
暖房給湯システム等の冷凍サイクルシステムにおいて、例えば低外気条件において暖房運転を行うと、室外熱交換器が着霜していき、時間とともに暖房能力が低下していく。暖房能力の低下を防ぐために除霜運転がなされるが、除霜運転中は冷房サイクルとなり水熱交換器が蒸発器となるために水温が低下し、水熱交換器内の水が凍結する恐れがある。凍結を防止するために例えば水熱交換器の上流側に補助ヒータを備えることはできるが、これには追加のコストを要する。
本開示は、コストを抑えて複数の除霜運転を切り替えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の冷凍サイクルシステムは、第1圧縮機(11)と、第1水熱交換器(16)と、第2圧縮機(12)と、四路切換弁(15)と、第2水熱交換器(17)と、膨張弁(19)と、空気熱交換器(13)と、を備え、暖房運転時に、前記第1圧縮機(11)、前記第1水熱交換器(16)、前記第2圧縮機(12)、前記四路切換弁(15)、前記第2水熱交換器(17)、前記膨張弁(19)、前記空気熱交換器(13)の順で冷媒が循環する主流路と、前記主流路における前記第1圧縮機(11)の吸入側と前記主流路における前記第2圧縮機(12)の吸入側とを接続する第1流路(25)と、前記主流路における前記第2水熱交換器(17)と前記膨張弁(19)との間と、当該主流路における前記第1水熱交換器(16)と前記第2圧縮機(12)との間と、を接続する第2流路(24)と、を有し、前記四路切換弁(15)は、前記第2圧縮機(12)と前記第2水熱交換器(17)との接続と、当該第2圧縮機(12)と前記空気熱交換器(13)との接続とを切り替え可能であり、前記空気熱交換器(13)を除霜する除霜運転時に複数の除霜運転モードを切り替えて運転する。この場合、コストを抑えて複数の除霜運転を切り替えることが可能となる。
ここで、前記複数の除霜運転モードは、前記第1圧縮機(11)および前記第2圧縮機(12)を両方使用するモードと、当該第1圧縮機(11)または当該第2圧縮機(12)の何れか一方を使用するモードとを含む。
また、本開示の冷凍サイクルシステムは、前記主流路における前記第1圧縮機(11)と前記第1水熱交換器(16)との間の流路と前記第1流路(25)との接続/非接続を切り替える切換弁(14)を有する。
また、前記複数の除霜運転モードは、前記第1圧縮機(11)、前記切換弁(14)、前記第1流路(25)、前記第2圧縮機(12)、前記四路切換弁(15)、前記空気熱交換器(13)、前記第2水熱交換器(17)の順で前記冷媒が循環して当該四路切換弁(15)を通り当該第1圧縮機(11)に戻る第1の除霜運転モードを含む。この場合、冷凍サイクルシステム1の容積を減らした除霜運転を行うことができる。
また、前記複数の除霜運転モードは、前記第1圧縮機(11)、前記切換弁(14)、前記第1水熱交換器(16)、前記第2圧縮機(12)、前記四路切換弁(15)、前記空気熱交換器(13)、前記第2水熱交換器(17)の順で前記冷媒が循環して当該四路切換弁(15)を通り当該第1圧縮機(11)に戻る第2の除霜運転モードを含む。この場合、第1水熱交換器および第2水熱交換器での凍結を防止することができる。
また、前記複数の除霜運転モードは、前記第2圧縮機(12)、前記四路切換弁(15)、前記空気熱交換器(13)、前記第2水熱交換器(17)、当該四路切換弁(15)、前記切換弁(14)、前記第1流路(25)、の順で前記冷媒が循環して当該第2圧縮機(12)に戻る第3の除霜運転モードを含む。この場合、瞬時消費電力を抑制した除霜運転を行うことができる。
また、前記複数の除霜運転モードは、前記第1圧縮機(11)、前記切換弁(14)、前記第1流路(25)、前記第2圧縮機(12)、前記四路切換弁(15)、前記空気熱交換器(13)、の順に循環した後、前記第2水熱交換器(17)、当該四路切換弁(15)を通って当該第1圧縮機(11)の吸入側に至る流路と、前記第2流路(24)および前記第1水熱交換器(16)、当該切換弁(14)を通って当該第1圧縮機(11)の吸入側に至る流路とに分岐して前記冷媒が循環して、当該第1圧縮機(11)に戻る第4の除霜運転モードを含む。この場合、能力の高い除霜運転を行うことができる。
また、前記複数の除霜運転モードは、前記第2圧縮機(12)、前記四路切換弁(15)、前記空気熱交換器(13)、前記第2流路(24)、の順に前記冷媒が循環して当該第2圧縮機(12)に戻る第5の除霜運転モードを含む。この場合、第1水熱交換器および第2水熱交換器における水温の低下を防止することができる。
また、前記除霜運転モードの切り替えは、着霜量に応じて行う。この場合、予め定められた条件に応じて複数の除霜運転モードの切り替えを制御することができる。
また、前記着霜量は、外気温度および前記空気熱交換器(13)に取り付けた温度センサにより推測する。
また、前記除霜運転モードの切り替えは、水温に応じて行う。この場合、予め定められた条件に応じて複数の除霜運転モードの切り替えを制御することができる。
また、前記冷媒は二酸化炭素である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施の形態に係る冷凍サイクルシステムの構成例を示す冷媒回路図である。
図2】本実施の形態に係る冷凍サイクルシステムを暖房給湯システムとして使用する場合の冷温水回路の構成例を示す冷媒回路図である。
図3】第1の除霜運転モード使用時の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。
図4】第2の除霜運転モード使用時の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。
図5】第3の除霜運転モード使用時の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。
図6】第4の除霜運転モード使用時の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。
図7】第5の除霜運転モード使用時の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。
図8】本実施の形態に係る除霜運転モードの切り替え時に行われる処理の流れの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<冷凍サイクルシステムの構成>
図1は、本実施の形態に係る冷凍サイクルシステムの構成例を示す冷媒回路図である。
本実施の形態に係る冷凍サイクルシステム1は、冷媒回路10と、冷温水回路50とを備える。冷媒回路10に充填される冷媒には、例えば二酸化炭素やプロパンなどの自然冷媒が使用される。冷温水回路50には、例えば水が充填される。
また、本実施の形態に係る冷凍サイクルシステム1は、複数の除霜運転モードの切り替えを制御する手段として、例えば制御部100を備える。
【0008】
冷媒回路10は、第1圧縮機11と、第2圧縮機12と、空気熱交換器13と、切換弁14と、四路切換弁15と、第1水熱交換器16と、第2水熱交換器17と、第1膨張弁18と、第2膨張弁19と、第3膨張弁20と、中間熱交換器21と、バイパス回路22とを備える。また、冷媒回路10は、第1圧縮機11の吸入側と第2圧縮機12の吸入側とを接続する第1流路25を有する。また、冷媒回路10は、第2水熱交換器17と第2膨張弁19との間と、第1水熱交換器16と第2圧縮機12との間と、を接続する第2流路24(図6参照)を有する。
【0009】
第1圧縮機11および第2圧縮機12は、吸入側から冷媒を吸入し、圧縮した冷媒を吐出側から吐出する。第1圧縮機11および第2圧縮機12はその吸入側に冷媒を気体と液体とに分離するアキュムレータを備えても良い。第1圧縮機11はその吐出側が切換弁14の第3ポート(P3)に接続され、その吸入側は四路切換弁15の第3ポート(P7)に接続される。第2圧縮機12はその吐出側が四路切換弁15の第1ポート(P5)に接続され、その吸入側は第1水熱交換器16およびバイパス回路22に接続される。なお、冷媒の流れは後述する運転モードの切り替えにより切り替えられる。
空気熱交換器13は、冷媒と外気との間で熱交換を行う。空気熱交換器13は、暖房運転時には蒸発器として、冷房運転時には凝縮器として機能する。空気熱交換器13は、室外ファンを備える構成としても良い。
【0010】
切換弁14は、第1圧縮機11と第1水熱交換器16との間の流路と第1流路25との接続/非接続を切り替える。本実施の形態において切換弁14は四路切換弁であり、第1ポート(P1)と、第2ポート(P2)と、第3ポート(P3)と、第4ポート(P4)とを備える。切換弁14は、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とが連通し、かつ第3ポート(P3)と第4ポート(P4)とが連通する状態と、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とが連通し、かつ第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とが連通する状態とを切り替えることができる。
四路切換弁15は、第1ポート(P5)と、第2ポート(P6)と、第3ポート(P7)と、第4ポート(P8)とを備える。四路切換弁15は、第1ポート(P5)と第2ポート(P6)とが連通し、かつ第3ポート(P7)と第4ポート(P8)とが連通する状態と、第1ポート(P5)と第4ポート(P8)とが連通し、かつ第2ポート(P6)と第3ポート(P7)とが連通する状態とを切り替えることができる。
【0011】
第1水熱交換器16および第2水熱交換器17は、冷媒回路10と冷温水回路50との間で熱交換を行う。例えば暖房運転時には、第1水熱交換器16および第2水熱交換器17は、冷媒回路10において凝縮器として働く。冷温水回路50の配管を流れる水は、冷媒回路10から熱を奪うことにより温められ、暖房機能を果たす。
第1膨張弁18、第2膨張弁19および第3膨張弁20は、開度可変に構成されており、冷媒回路10内を循環する冷媒の圧力を下げ、冷媒を膨張させる機能を有する。
【0012】
中間熱交換器21は、第1膨張弁18と第2膨張弁19との間の配管を流れる冷媒と、第1膨張弁18と中間熱交換器21との間の分岐点から分岐したバイパス回路22において第3膨張弁20により減圧された冷媒との間で熱交換を行う。
バイパス回路22を流れる冷媒は、第3膨張弁20において通過する冷媒量を調整され、減圧されることにより冷媒温度が低下する。温度が低下した冷媒は、第1膨張弁18と第2膨張弁19との間の配管を流れる冷媒と熱交換をしながら中間熱交換器21を通過する。中間熱交換器21を通過した冷媒は第2圧縮機12の手前で、第1水熱交換器16から第2圧縮機12へと流入する冷媒に合流する。
【0013】
なお、冷媒回路10は、上記した構成に限定されない。例えば冷媒回路10は、第3膨張弁20と中間熱交換器21とを含むバイパス回路22を備えない構成としても良い。また第2膨張弁19を備えない構成としても良い。また、フィルターやヒートシンク、オイルセパレータ等を備える構成としても良い。さらに、保護用検出器である高圧圧力開閉器を備える構成としても良い。
【0014】
次に、冷媒回路10における暖房運転時の冷媒の流れについて、図1を用いて説明する。暖房運転時には、切換弁14は、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とが連通し、かつ第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とが連通する状態である。また、四路切換弁15は、第1ポート(P5)と第2ポート(P6)とが連通し、かつ第3ポート(P7)と第4ポート(P8)とが連通する状態である。
【0015】
暖房運転時において、冷媒は図1に示す矢印に沿って循環する。より詳しくは、冷媒は、まず第1圧縮機11により圧縮される。圧縮された冷媒は切換弁14を通り、第1水熱交換器16に入る。第1水熱交換器16から出た冷媒は第2圧縮機12により圧縮され、四路切換弁15を通り、第2水熱交換器17に入る。第2水熱交換器17から出た冷媒は第1膨張弁18により減圧され、中間熱交換器21に入る。また、第1膨張弁18と中間熱交換器21との間の分岐点から分岐したバイパス回路22に入る冷媒は、バイパス回路22を出て、第2圧縮機12の手前で、第1水熱交換器16から第2圧縮機12へと流入する冷媒に合流する。
【0016】
一方、中間熱交換器21に入った冷媒は第2膨張弁19により減圧され、空気熱交換器13に入る。空気熱交換器13から出た冷媒は四路切換弁15を通り、第1圧縮機11に入る。
暖房運転時においては、第1水熱交換器16および第2水熱交換器17は、凝縮器として働く。冷温水回路50の配管を流れる水は、冷媒回路10の配管を流れる冷媒から熱を奪うことにより温められ、利用側に送られることにより暖房機能を果たす。
【0017】
冷温水回路50は、第1水熱交換器16および第2水熱交換器17を介して冷媒回路10と熱交換を行い、熱交換を利用した機能を提供する。冷媒回路10および冷温水回路50は、例えば暖房給湯システムとして機能する。
暖房給湯システムは、例えば室外機とタンクユニットとから構成される。本実施の形態に係る冷凍サイクルシステム1を暖房給湯システムとして使用する場合、室外機は冷媒回路10を備え、タンクユニットは冷温水回路50を備える。室外機とタンクユニットとの接続は、冷媒回路10の配管をタンクユニットにつなぎこんでも良いし、冷温水回路50の配管を室外機につなぎこんでも良い。
【0018】
暖房給湯システムとして本実施の形態に係る冷凍サイクルシステム1を使用する際の構成例について、図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態に係る冷凍サイクルシステム1を暖房給湯システムとして使用する場合の冷温水回路50の構成例を示す冷媒回路図である。
冷温水回路50を暖房給湯システムとして使用する場合、冷温水回路50は第1水熱交換器16、第2水熱交換器17に加えて、例えば三方コック51、タンク52、熱交換器53、ポンプ54、水配管55乃至59を備える。
【0019】
冷温水回路50の水配管55を流れる水は、ポンプ54により駆動力を与えられ、配管内を循環する。水配管内を流れる水は、第1水熱交換器16、第2水熱交換器17を通過し、その際に冷媒回路10を流れる冷媒と熱交換をすることにより温められる。第2水熱交換器17から出た温水は、三方コック51により、その用途によってタンク52または水配管56へと送られる。
【0020】
暖房を利用する場合、三方コック51は水配管56へと温水を送る。水配管56は暖房を利用する各部屋へとつながっており、各部屋において暖房機能を果たす。暖房として使用され冷却された水は水配管59から戻ってくる。水配管59から戻ってきた水は第1水熱交換器16、第2水熱交換器17へと入り、熱交換によって温められ、再び各部屋へと送られる。
【0021】
給湯を使用する場合、三方コック51はタンク52へと温水を送る。タンク52には水が貯湯されており、熱交換器53により水配管55を流れる水とタンク52に貯湯された水との間で熱交換が行われる。タンク52に貯湯された水は熱交換器53により温められ、水配管57へと送られ、シャワーなどの給湯に使用される。
一方、水配管55を流れる水は熱交換器53により冷却され、第1水熱交換器16、第2水熱交換器17へと入り、熱交換によって温められ、再びタンク52へと送られる。また、タンク52に貯湯された水が使用されると、水配管58から市水等が補充される。
【0022】
<除霜運転>
本実施の形態に係る冷凍サイクルシステム1は、除霜運転時に水温、および着霜量の状態の少なくとも何れか一つに応じて複数の除霜運転モードを切り替えて運転することができる。着霜量は、外気温度および空気熱交換器13に備え付けられる温度センサ(不図示)によって推測される。
各除霜運転モードの切り替えは、例えば制御部100によって実行される。例えば一の除霜運転モード使用時に、後述する他の除霜運転モードへの切り替え条件を満たした場合、制御部100は除霜運転モードを切り替える。
【0023】
複数の除霜運転モードは、第1圧縮機11と第2圧縮機12とを両方使用するモードと、第1圧縮機11または第2圧縮機12の何れか一方を使用するモードとを含む。また、複数の除霜運転モードは、第1水熱交換器16を使用するモードと、第1水熱交換器16を使用しないモードとを含む。
なお、除霜運転モードの切り替えは、上記したものに限定されない。例えば、ユーザの選択により除霜運転モードを切り替えることができる構成としても良い。切り替え可能な各除霜運転モードおよびその切り替え条件について、以下に説明する。
【0024】
<第1の除霜運転モード>
通常の除霜運転時には、第1の除霜運転モードが使用される。通常の除霜運転時とは、例えば以下に示す他の除霜運転モードの切り替え条件を満たさない場合である。除霜運転を行う際、基本的には第1の除霜運転モードが使用される。第1の除霜運転モードについて、図3を用いて説明する。図3は、第1の除霜運転モード使用時の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。
第1の除霜運転モード使用時には、切換弁14は、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とが連通し、かつ第3ポート(P3)と第4ポート(P4)とが連通する状態である。また、四路切換弁15は、第1ポート(P5)と第4ポート(P8)とが連通し、かつ第2ポート(P6)と第3ポート(P7)とが連通する状態である。
【0025】
第1の除霜運転モード使用時において、冷媒は図3に示す矢印に沿って循環する。より詳しくは、冷媒は、まず第1圧縮機11により圧縮される。圧縮された冷媒は切換弁14から第1流路25へと入り、第2圧縮機12に入る。第2圧縮機12により圧縮された冷媒は四路切換弁15を通り、空気熱交換器13に入る。空気熱交換器13は凝縮器として働き、放熱を行うことにより除霜機能を果たす。空気熱交換器13から出た冷媒は、第2膨張弁19、中間熱交換器21、第1膨張弁18を通り、第2水熱交換器17に入る。
【0026】
第1の除霜運転モード使用時において、第3膨張弁20は閉じられており、バイパス回路22には冷媒は流れないため、中間熱交換器21において熱交換は行われない。空気熱交換器13から出た冷媒は、第2膨張弁19および第1膨張弁18により減圧され、第2水熱交換器17において冷温水回路50から熱を奪う。第2水熱交換器17から出た冷媒は四路切換弁15を通り、再び第1圧縮機11に入る。第1の除霜運転モードにおいて、冷媒はこのように循環する。
【0027】
第1の除霜運転モード使用時においては、第1圧縮機11および第2圧縮機12はいずれも運転状態である。また、第2水熱交換器17は蒸発器として使用され、冷媒回路10が冷温水回路50から熱を奪うことにより、第2水熱交換器17内で冷水が生成される。
一方で、第1の除霜運転モード使用時においては、第1水熱交換器16は使用されない。第1の除霜運転モードにおいては、第1水熱交換器16を使用せず冷凍サイクルシステム1の容積を減らすことにより、空気熱交換器13に入る冷媒の圧力を高めることができる。そのため、第1圧縮機11と第2圧縮機12との間で冷媒が第1水熱交換器16を通る場合と比較して、効率よく除霜を行うことができる。
【0028】
<第2の除霜運転モード>
低水温時における除霜運転には、第1水熱交換器16および第2水熱交換器17での凍結を防止するために第2の除霜運転モードが使用される。低水温時とは、例えば冷温水回路50の出口水温が15℃以下の場合である。
例えば第1の除霜運転モード使用中は、第2水熱交換器17は蒸発器として使用され、冷媒回路10が冷温水回路50から熱を奪うため、冷温水回路50の水温は低下する。水温が低下し、冷温水回路50の出口水温が15℃以下になった場合には、第1の除霜運転モードから第2の除霜運転モードに切り替えられる。なお、低水温時の判断基準は上記したものに限定されず、変更可能な構成としても良い。
【0029】
第2の除霜運転モードについて、図4を用いて説明する。図4は、第2の除霜運転モード使用時の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。
第2の除霜運転モード使用時には、切換弁14は、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とが連通し、かつ第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とが連通する状態である。また、四路切換弁15は、第1ポート(P5)と第4ポート(P8)とが連通し、かつ第2ポート(P6)と第3ポート(P7)とが連通する状態である。
【0030】
第2の除霜運転モード使用時において、冷媒は図4に示す矢印に沿って循環する。より詳しくは、冷媒は、まず第1圧縮機11により圧縮される。圧縮された冷媒は切換弁14を通り、第1水熱交換器16に入る。第1水熱交換器16は、凝縮器として機能する。第1水熱交換器16から出た冷媒は第2圧縮機12に入る。第2圧縮機12により圧縮された冷媒は四路切換弁15を通り、空気熱交換器13に入る。空気熱交換器13は凝縮器として働き、放熱を行うことにより除霜機能を果たす。
【0031】
空気熱交換器13から出た冷媒は、第2膨張弁19、中間熱交換器21、第1膨張弁18を通り、第2水熱交換器17に入る。第2の除霜運転モード使用時において、第3膨張弁20は閉じられており、バイパス回路22には冷媒は流れないため、中間熱交換器21において熱交換は行われない。空気熱交換器13から出た冷媒は、第2膨張弁19および第1膨張弁18により減圧され、第2水熱交換器17において冷温水回路50から熱を奪う。第2水熱交換器17から出た冷媒は四路切換弁15を通り、再び第1圧縮機11に入る。第2の除霜運転モードにおいて、冷媒はこのように循環する。
【0032】
第2の除霜運転モード使用時においては、第1圧縮機11および第2圧縮機12はいずれも運転状態である。また、第2水熱交換器17は蒸発器として使用され、冷媒回路10が冷温水回路50から熱を奪うことにより、第2水熱交換器17内で冷水が生成される。一方で、第1水熱交換器16は凝縮器として使用され、冷温水回路50が冷媒回路10から熱を奪うことにより、第1水熱交換器16内で温水が生成される。
【0033】
第2の除霜運転モードにおいては、第1水熱交換器16を凝縮器として使用し、温水を生成することで第1水熱交換器16および第2水熱交換器17内の温度が氷点下になることを防止する。この構成により、第1水熱交換器16および第2水熱交換器17での凍結を防止することができる。
【0034】
<第3の除霜運転モード>
着霜量が少ないときや、除霜運転が短時間である必要がないときには、瞬時消費電力を抑制する第3の除霜運転モードが使用される。着霜量が少ないときとは、例えば外気温度が0℃以上かつ空気熱交換器13に備え付けられる温度センサが-3℃以上の場合である。なお、着霜量の判断基準は上記したものに限定されず、設定可能な構成としても良い。除霜運転が短時間である必要がないときとは、例えば暖房運転の停止後に、次回運転に向けて除霜運転を行う場合など、急いで除霜を行う必要がない場合である。
【0035】
第3の除霜運転モードについて、図5を用いて説明する。図5は、第3の除霜運転モード使用時の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。
第3の除霜運転モード使用時には、切換弁14は、第1ポート(P1)と第4ポート(P4)とが連通し、かつ第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とが連通する状態である。また、四路切換弁15は、第1ポート(P5)と第4ポート(P8)とが連通し、かつ第2ポート(P6)と第3ポート(P7)とが連通する状態である。
【0036】
第3の除霜運転モード使用時において、冷媒は図5に示す矢印に沿って循環する。より詳しくは、冷媒は、まず第2圧縮機12により圧縮される。圧縮された冷媒は四路切換弁15を通り、空気熱交換器13に入る。空気熱交換器13は凝縮器として働き、放熱を行うことにより除霜機能を果たす。
【0037】
空気熱交換器13から出た冷媒は、第2膨張弁19、中間熱交換器21、第1膨張弁18を通り、第2水熱交換器17に入る。第3の除霜運転モード使用時において、第3膨張弁20は閉じられており、バイパス回路22には冷媒は流れないため、中間熱交換器21において熱交換は行われない。空気熱交換器13から出た冷媒は、第2膨張弁19および第1膨張弁18により減圧され、第2水熱交換器17において冷温水回路50から熱を奪う。第2水熱交換器17から出た冷媒は四路切換弁15、切換弁14を通り、再び第2圧縮機12に入る。第3の除霜運転モードにおいて、冷媒はこのように循環する。
【0038】
第3の除霜運転モード使用時においては、第2圧縮機12は運転状態であるが、第1圧縮機11は停止状態である。また、第2水熱交換器17は蒸発器として使用され、冷媒回路10が冷温水回路50から熱を奪うことにより、第2水熱交換器17内で冷水が生成される。一方で、第1水熱交換器16は使用されない。
第3の除霜運転モードにおいては、着霜量が少ないときなど高い除霜能力を要さない条件において、第1圧縮機11を停止させることにより、瞬時消費電力を抑制した除霜運転を行うことができる。
【0039】
<第4の除霜運転モード>
着霜量が多いときや素早く除霜を終えたいときには、第1水熱交換器16および第2水熱交換器17を蒸発器として使用する第4の除霜運転モードが使用される。着霜量が多いときとは、例えば外気温度が5℃以下かつ、外気温度と空気熱交換器の温度センサの差が10℃以上ある場合である。なお、着霜量の判断基準は上記したものに限定されず、設定可能な構成としても良い。
【0040】
第4の除霜運転モードについて、図6を用いて説明する。図6は、第4の除霜運転モード使用時の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。
第4の除霜運転モードは、第2水熱交換器17と空気熱交換器13との間から第1水熱交換器16と第2圧縮機12との間にバイパスする、第4膨張弁23を有する第2流路24を利用する。図1および図3乃至図5において、第2流路24は図示を省略している。
第4の除霜運転モード使用時には、切換弁14は、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とが連通し、かつ第3ポート(P3)と第4ポート(P4)とが連通する状態である。また、四路切換弁15は、第1ポート(P5)と第4ポート(P8)とが連通し、かつ第2ポート(P6)と第3ポート(P7)とが連通する状態である。
【0041】
第4の除霜運転モード使用時において、冷媒は図6に示す矢印に沿って循環する。より詳しくは、冷媒は、まず第1圧縮機11により圧縮される。圧縮された冷媒は切換弁14から第1流路25に入り、第2圧縮機12に入る。第2圧縮機12により圧縮された冷媒は四路切換弁15を通り、空気熱交換器13に入る。空気熱交換器13は凝縮器として働き、放熱を行うことにより除霜機能を果たす。
【0042】
空気熱交換器13から出た冷媒は、第2膨張弁19、中間熱交換器21を通り、第2膨張弁19により減圧される。第4の除霜運転モード使用時において、第3膨張弁20は閉じられており、バイパス回路22には冷媒は流れないため、中間熱交換器21において熱交換は行われない。
【0043】
中間熱交換器21から出た冷媒は、第1膨張弁18を通り、第2水熱交換器17に入る経路と、第2流路24を通る経路とに分岐する。第2水熱交換器17に入った冷媒は、冷温水回路50から熱を奪い、四路切換弁15を通り、第1圧縮機11に入る。
一方、第2流路24に入った冷媒は、第4膨張弁23により減圧され、第1水熱交換器16に入る。第1水熱交換器16に入った冷媒は、冷温水回路50から熱を奪い、切換弁14を通り、第1圧縮機11の手前で分岐した回路と合流し、第1圧縮機11に入る。
第4の除霜運転モードにおいて、冷媒はこのように循環する。
【0044】
第4の除霜運転モード使用時においては、第1圧縮機11および第2圧縮機12はいずれも運転状態である。また、第4の除霜運転モード使用時においては、第2流路24を利用することにより、第1水熱交換器16および第2水熱交換器17はいずれも蒸発器として使用される。蒸発器の機能により冷媒回路10が冷温水回路50から熱を奪うことで、第1水熱交換器16および第2水熱交換器17内で冷水が生成される。
第4の除霜運転モードにおいては、第1水熱交換器16および第2水熱交換器17をいずれも蒸発器として使用し、さらに第1圧縮機11および第2圧縮機12により圧縮させた冷媒を空気熱交換器13に送る。これにより、能力の高い除霜運転を行うことができる。
【0045】
<第5の除霜運転モード>
水温が極めて低いときや水温低下を抑制したいときには、第1水熱交換器16および第2水熱交換器17には冷媒を流さない第4の除霜運転モードが使用される。水温が極めて低いときとは、例えば冷温水回路50の出口水温が5℃以下の場合である。水温低下を抑制したいときとは、例えばユーザが設定した出湯温度に対して、室内に送水する水温との差が5℃以上ある場合、もしくは室温が3℃以上低下した場合である。なお、これらの基準値は上記したものに限定されず、運転を切り替える判断の基準となる値は変更可能な構成として良い。
【0046】
第5の除霜運転モードについて、図7を用いて説明する。図7は、第5の除霜運転モード使用時の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。
第5の除霜運転モードは、第4の除霜運転モードと同様に、第2水熱交換器17と空気熱交換器13との間から第1水熱交換器16と第2圧縮機12との間にバイパスする、第4膨張弁23を有する第2流路24を利用する。また、第1膨張弁18は閉じており、第2水熱交換器17には冷媒は流れない。
第5の除霜運転モード使用時には、切換弁14には冷媒は流れない。四路切換弁15は、第1ポート(P5)と第4ポート(P8)とが連通し、かつ第2ポート(P6)と第3ポート(P7)とが連通する状態である。
【0047】
第5の除霜運転モード使用時において、冷媒は図7に示す矢印に沿って循環する。より詳しくは、冷媒は、まず第2圧縮機12により圧縮される。圧縮された冷媒は四路切換弁15を通り、空気熱交換器13に入る。空気熱交換器13は凝縮器として働き、放熱を行うことにより除霜機能を果たす。
【0048】
空気熱交換器13から出た冷媒は、第2膨張弁19、中間熱交換器21を通り、第2膨張弁19により減圧される。第4の除霜運転モード使用時において、第3膨張弁20は閉じられており、バイパス回路22には冷媒は流れないため、中間熱交換器21において熱交換は行われない。
【0049】
中間熱交換器21から出た冷媒は、第2流路24に入り、第4膨張弁23により減圧される。そして、減圧された冷媒は再び第2圧縮機12に入る。第5の除霜運転モードにおいて、冷媒はこのように循環する。
【0050】
第5の除霜運転モード使用時においては、第2圧縮機12は運転状態であるが、第1圧縮機11は停止状態である。また、第4の除霜運転モード使用時においては、第2流路24を利用することにより、第1水熱交換器16および第2水熱交換器17はいずれも使用されない。
第5の除霜運転モードにおいては、第1水熱交換器16および第2水熱交換器17をいずれも使用しない。第1水熱交換器16および第2水熱交換器17における熱交換が行われないため、水温の低下を防止することができる。
【0051】
<除霜運転モードの切り替え>
本実施の形態に係る除霜運転モードの切り替え時に行われる処理の流れについて、図8を用いて説明する。図8は、本実施の形態に係る除霜運転モードの切り替え時に行われる処理の流れの例を示すフローチャートである。除霜運転モードの切り替え処理は、例えば制御部100により実施される。
【0052】
除霜運転モードの切り替えにおいて、まず、制御部100は、水温が第1の閾値以下であるか否かを判定する(ステップS101)。水温が第1の閾値以下である場合(ステップS101でYES)、制御部100は水温が第1の閾値よりも低い第2の閾値以下であるか否かを判定する(ステップS102)。水温が第2の閾値以下である場合(ステップS102でYES)、第5の除霜運転モードを使用して除霜運転を行う(ステップS103)。一方、水温が第2の閾値以上である場合(ステップS102でNO)、第2の除霜運転モードを使用して除霜運転を行う(ステップS104)。
ここで、第1の閾値とは第2の除霜運転モードを使用する際の閾値であり、第2の閾値とは第5の除霜運転モードを使用する際の閾値である。第1の閾値は、第2の閾値よりも高く設定される。水温が第1の閾値と第2の閾値との間である場合、第2の除霜運転モードが使用される。
【0053】
ステップS101において、水温が第1の閾値以上である場合(ステップS101でNO)、制御部100は水温の低下を抑える必要があるか否かを判定する(ステップS105)。水温の低下を抑える必要がある場合(ステップS105でYES)、第5の除霜運転モードを使用して除霜運転を行う(ステップS103)。一方、水温の低下を抑える必要が無い場合(ステップS105でNO)、制御部100は除霜運転が短時間である必要があるか否かを判定する(ステップS106)。
【0054】
除霜運転が短時間である必要がないときとは、例えば暖房運転の停止後に、次回運転に向けて除霜運転を行う場合など、急いで除霜を行う必要がない場合である。
ステップS106において、制御部100は、例えば除霜運転を短時間で行うか否かについて、ユーザによる選択を受け付ける。また、制御部100は、例えば暖房運転が終了した時間に応じて除霜運転が短時間である必要はないかを判定する構成としても良い。例えば制御部100は、暖房運転が午後12時以降に終了した場合に次回の暖房運転まで時間が空くために除霜運転が短時間である必要はないと判定する。
【0055】
除霜運転が短時間である必要がない場合(ステップS106でNO)、第3の除霜運転モードを使用して除霜運転を行う(ステップS108)。
一方、除霜運転が短時間である必要がある場合(ステップS106でYES)、制御部100は着霜量が第1の閾値よりも多いか否かを判定する(ステップS107)。着霜量が第1の閾値よりも少ない場合(ステップS107でNO)、第3の除霜運転モードを使用して除霜運転を行う(ステップS108)。
【0056】
一方、着霜量が第1の閾値よりも多い場合(ステップS107でYES)、制御部100は除霜運転を素早く終える必要があるか否かを判定する(ステップS109)。ここで、ステップS109においては、ステップS106における除霜時間の判定よりもさらに短い時間で除霜運転を終える必要があるか否かについて判定がなされる。
除霜運転を素早く終える必要がある場合とは、例えば暖房運転の開始前に除霜運転を行う場合など、急いで除霜を行う必要がある場合である。
除霜運転を素早く終える必要がある場合(ステップS109でYES)、第4の除霜運転モードを使用して除霜運転を行う(ステップS111)。一方、除霜運転を素早く終える必要が無い場合(ステップS109でNO)、制御部100は着霜量が第2の閾値よりも多いか否かを判定する(ステップS110)。
【0057】
ここで、ステップS110における着霜量の第2の閾値は、ステップS107における着霜量の第1の閾値よりも高く設定される。ステップS110においては、強力な除霜運転を行う必要があるか否かが判定される。
ステップS110において着霜量が第2の閾値よりも多い場合(ステップS110でYES)、第4の除霜運転モードを使用して除霜運転を行う(ステップS111)。
一方、着霜量が第2の閾値よりも少ない場合(ステップS110でNO)、第1の除霜運転モードを使用して除霜運転を行う(ステップS112)。
【0058】
図8に示す処理は、一の除霜運転モード使用時に、他の除霜運転モードに運転を切り替える際に実施される。また、除霜運転が開始される際にも図8に示す処理が実施され、いずれかの除霜運転モードが選択される。また、除霜運転を開始する際には常にある定められた一の除霜運転モードを使用し、その後図8に示す処理によって他の除霜運転モードに運転が切り替えられる構成としてもよい。
なお、図8に示す処理は一例であり、除霜運転モードを切り替える際の処理はこれに限定されるものではない。例えば、制御部100は、図8のステップS101の処理に先立って他のステップの処理を行う構成としても良い。例えば、制御部100は、まず図8のステップS110の処理により着霜量が閾値よりも多いか否かを判定し、着霜量が閾値よりも多い場合に第4の除霜運転モードを使用する構成としても良い。
また、ステップS106、ステップS107の何れか1つの処理のみを行い第3の除霜運転モードの使用に関する判定を行う構成としても良い。また、ステップS109、ステップS110の何れか1つの処理のみを行い第3の除霜運転モードの使用に関する判定を行う構成としても良い。
【0059】
また、例えば図8のステップS101において水温が第1の閾値以上であると判定された場合(ステップS101でNO)に、ステップS106、ステップS107の処理の前にステップS109、ステップS110の処理を行う構成としても良い。この場合、第3の除霜運転モードの使用に関する判定よりも前に第4の除霜運転モードの使用に関する判定が行われる。
また、例えば図8のステップS102において水温が第2の閾値以上であると判定された場合(ステップS102でNO)においても、ステップS105以降の処理を実施し、他の除霜運転モードへと運転モードの切り替えが可能な構成としても良い。また、この場合において水温が第2の閾値以下となった場合に第5の除霜運転モードへと切り替える構成としても良い。
【0060】
本実施の形態に係る冷凍サイクルシステム1は、少なくとも2つ以上の圧縮機、四路切換弁および水熱交換器と、少なくとも1つ以上の空気熱交換器と、複数の膨張弁とを備え、除霜運転時に水温、および着霜量の状態の少なくとも何れか一つに応じて、四路切換弁を切り替えることにより複数の除霜運転モードを切り替えて運転することができる。
以上、本実施の形態について説明したが、本開示の技術的範囲は上記の実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記の実施の形態を2つ以上組み合わせたものや、上記の実施の形態に種々の変更または改良を加えたものも、本開示の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0061】
<効果>
本開示の冷凍サイクルシステム1は、第1圧縮機11と、第1水熱交換器16と、第2圧縮機12と、四路切換弁15と、第2水熱交換器17と、第2膨張弁19と、空気熱交換器13と、を備え、暖房運転時に、前記第1圧縮機11、前記第1水熱交換器16、前記第2圧縮機12、前記四路切換弁15、前記第2水熱交換器17、前記第2膨張弁19、前記空気熱交換器13の順で冷媒が循環する主流路と、前記主流路における前記第1圧縮機11の吸入側と前記主流路における前記第2圧縮機12の吸入側とを接続する第1流路25と、前記主流路における前記第2水熱交換器17と前記第2膨張弁19との間と、当該主流路における前記第1水熱交換器16と前記第2圧縮機12との間と、を接続する第2流路24と、を有し、前記四路切換弁15は、前記第2圧縮機12と前記第2水熱交換器17との接続と、当該第2圧縮機12と前記空気熱交換器13との接続とを切り替え可能であり、前記空気熱交換器13を除霜する除霜運転時に複数の除霜運転モードを切り替えて運転する。この場合、コストを抑えて複数の除霜運転を切り替えることが可能となる。
ここで、前記複数の除霜運転モードは、前記第1圧縮機11および前記第2圧縮機12を両方使用するモードと、当該第1圧縮機11または当該第2圧縮機12の何れか一方を使用するモードとを含む。
また、本開示の冷凍サイクルシステムは、前記主流路における前記第1圧縮機11と前記第1水熱交換器16との間の流路と前記第1流路25との接続/非接続を切り替える切換弁14を有する。
また、前記複数の除霜運転モードは、前記第1圧縮機11、前記切換弁14、前記第1流路25、前記第2圧縮機12、前記四路切換弁15、前記空気熱交換器13、前記第2水熱交換器17の順で前記冷媒が循環して当該四路切換弁15を通り当該第1圧縮機11に戻る第1の除霜運転モードを含む。この場合、冷凍サイクルシステム1の容積を減らした除霜運転を行うことができる。
また、前記複数の除霜運転モードは、前記第1圧縮機11、前記切換弁14、前記第1水熱交換器16、前記第2圧縮機12、前記四路切換弁15、前記空気熱交換器13、前記第2水熱交換器17の順で前記冷媒が循環して当該四路切換弁15を通り当該第1圧縮機11に戻る第2の除霜運転モードを含む。この場合、第1水熱交換器および第2水熱交換器での凍結を防止することができる。
また、前記複数の除霜運転モードは、前記第2圧縮機12、前記四路切換弁15、前記空気熱交換器13、前記第2水熱交換器17、当該四路切換弁15、前記切換弁14、前記第1流路25、の順で前記冷媒が循環して当該第2圧縮機12に戻る第3の除霜運転モードを含む。この場合、瞬時消費電力を抑制した除霜運転を行うことができる。
また、前記複数の除霜運転モードは、前記第1圧縮機11、前記切換弁14、前記第1流路25、前記第2圧縮機12、前記四路切換弁15、前記空気熱交換器13、の順に循環した後、前記第2水熱交換器17、当該四路切換弁15を通って当該第1圧縮機11の吸入側に至る流路と、前記第2流路24および前記第1水熱交換器16、当該切換弁14を通って当該第1圧縮機11の吸入側に至る流路とに分岐して前記冷媒が循環して、当該第1圧縮機11に戻る第4の除霜運転モードを含む。この場合、能力の高い除霜運転を行うことができる。
また、前記複数の除霜運転モードは、前記第2圧縮機12、前記四路切換弁15、前記空気熱交換器13、前記第2流路24、の順に前記冷媒が循環して当該第2圧縮機12に戻る第5の除霜運転モードを含む。この場合、第1水熱交換器および第2水熱交換器における水温の低下を防止することができる。
また、前記除霜運転モードの切り替えは、着霜量に応じて行う。この場合、予め定められた条件に応じて複数の除霜運転モードの切り替えを制御することができる。
また、前記着霜量は、外気温度および前記空気熱交換器13に取り付けた温度センサにより推測する。
また、前記除霜運転モードの切り替えは、水温に応じて行う。この場合、予め定められた条件に応じて複数の除霜運転モードの切り替えを制御することができる。
また、前記冷媒は二酸化炭素である。
【符号の説明】
【0062】
1…冷凍サイクルシステム、10…冷媒回路、11…第1圧縮機、12…第2圧縮機、13…空気熱交換器、14…切換弁、15…四路切換弁、16…第1水熱交換器、17…第2水熱交換器、18…第1膨張弁、19…第2膨張弁、20…第3膨張弁、21…中間熱交換器、22…バイパス回路、23…第4膨張弁、50…冷温水回路、51…三方コック、52…タンク、53…熱交換器、54…ポンプ、55,56,57,58,59…水配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8