(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】リン化インジウム量子ドットの量子収率改善方法
(51)【国際特許分類】
C09K 11/08 20060101AFI20241120BHJP
C09K 11/70 20060101ALI20241120BHJP
C09K 11/88 20060101ALI20241120BHJP
C09K 11/56 20060101ALI20241120BHJP
C01B 25/08 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
C09K11/08 G ZNM
C09K11/08 A
C09K11/70
C09K11/88
C09K11/56
C01B25/08 A
(21)【出願番号】P 2021558661
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(86)【国際出願番号】 US2020028135
(87)【国際公開番号】W WO2020214601
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-04-13
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000186762
【氏名又は名称】昭栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,イーワ アニー
(72)【発明者】
【氏名】ハートラブ,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ホッツ,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チュンミン
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ウェンツァオ
(72)【発明者】
【氏名】ジェン-ラ プラント,イラン
(72)【発明者】
【氏名】ティルマン,ジェイソン トラヴィス
(72)【発明者】
【氏名】カーリー,ジョン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】イッペン,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】トゥ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ゴング,ケ
(72)【発明者】
【氏名】トゥ,ミンフ
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0033856(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0105739(US,A1)
【文献】国際公開第2017/188300(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109439327(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106701059(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0088552(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第109312228(CN,A)
【文献】国際公開第2017/189666(WO,A1)
【文献】特開2019-096603(JP,A)
【文献】特開2019-123866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/00-11/89
G02B 5/20
H05B 33/00-45/60
H10K 50/00-99/00
C01B 25/00-25/46
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
InPコアと少なくとも2つのシェルとを含むナノ構造体の調製方法であって、
前記シェルの少なくとも1つが亜鉛を含み、且つ前記ナノ構造体が90%~100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈する、
前記InPコアと少なくとも2つのシェルとを含むナノ構造体を生成するように、
(a)亜鉛源と、In
Pコアと、前記亜鉛源とは異なる少なくとも1種の金属ハロゲン化物を混ぜることと、
(b)(a)と有機酸とを混ぜて前記
InPコアをエッチングすることと、
(c)(b)と少なくとも1種のシェル前駆体と、前記亜鉛源とは異なる少なくとも1種の金属ハロゲン化物を混ぜることと、
(d)200℃~310℃に温度を上昇、低下、又は維持することと、
(e)(d)と少なくとも1種のシェル前駆体とを混ぜることであって、このシェル前駆体が(c)のシェル前駆体と異な
ることと、
(f)200℃~310℃に温度を上昇、低下、又は維持することと、
を含
み、
前記亜鉛源は亜鉛カルボキシレートであり、
前記少なくとも2つのシェルはZnSeシェルおよびZnSシェルである、
方法。
【請求項2】
(g)(f)と前記亜鉛源とは異なる少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜること、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ナノ構造体が2つのシェルを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記亜鉛源が亜鉛ジオレエートである、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記亜鉛源がin situで調製された亜鉛ジオレエートである、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記有機酸が、ラウリン酸、ヘキサン酸、オレイン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、オクチルホスホン酸、2-エチルヘキサン酸、ミリスチン酸、デカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、又はそれらの混合物である、請求項1~
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記有機酸がオレイン酸である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
(a)で混ぜられる前記亜鉛源とは異なる少なくとも1種の金属ハロゲン化物が、LiF、NaF、KF、BeF
2、MgF
2、CaF
2、SrF
2、CuF、AgF、AuF、ZnF
2、HgF
2、AlF
3、GaF
3、InF
3、SnF
2、PbF
2、LiCl、NaCl、KCl、BeCl
2、MgCl
2、CaCl
2、SrCl
2、CuCl、AgCl、ZnCl
2、HgCl
2、AlCl
3、GaCl
3、InCl
3、SnCl
2、PBCl
2、LiBr、NaBr、KBr、BeBr
2、MgBr
2、CaBr
2、SrBr
2、CuBr、AgBr、AuBr、ZnBr
2、HgBr
2、AlBr
3、GaBr
3、InBr
3、SnBr
2、PbBr
2、LiI、NaI、KI、BeI
2、MgI
2、CaI
2、SrI
2、CuI、AgI、AuI、ZnI
2、HgI
2、AlI
3、GaI
3、InI
3、SnI
2、PbI
2、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(a)で混ぜられる前記亜鉛源とは異なる少なくとも1種の金属ハロゲン化物がZnCl
2である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(c)で混ぜられる前記亜鉛源とは異なる少なくとも1種の金属ハロゲン化物が、LiF、NaF、KF、BeF
2、MgF
2、CaF
2、SrF
2、CuF、AgF、AuF、ZnF
2、HgF
2、AlF
3、GaF
3、InF
3、SnF
2、PbF
2、LiCl、NaCl、KCl、BeCl
2、MgCl
2、CaCl
2、SrCl
2、CuCl、AgCl、ZnCl
2、HgCl
2、AlCl
3、GaCl
3、InCl
3、SnCl
2、PBCl
2、LiBr、NaBr、KBr、BeBr
2、MgBr
2、CaBr
2、SrBr
2、CuBr、AgBr、AuBr、ZnBr
2、HgBr
2、AlBr
3、GaBr
3、InBr
3、SnBr
2、PbBr
2、LiI、NaI、KI、BeI
2、MgI
2、CaI
2、SrI
2、CuI、AgI、AuI、ZnI
2、HgI
2、AlI
3、GaI
3、InI
3、SnI
2、PbI
2、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(c)で混ぜられる前記亜鉛源とは異なる少なくとも1種の金属ハロゲン化物が、GaCl
3、AlCl
3、YCl
3、MgBr
2、ZnBr
2、ZrCl
4、及びそれらの組合せである、請求項1~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
(f)と混ぜられる前記亜鉛源とは異なる少なくとも1種の金属ハロゲン化物が、LiF、NaF、KF、BeF
2、MgF
2、CaF
2、SrF
2、CuF、AgF、AuF、ZnF
2、HgF
2、AlF
3、GaF
3、InF
3、SnF
2、PbF
2、LiCl、NaCl、KCl、BeCl
2、MgCl
2、CaCl
2、SrCl
2、CuCl、AgCl、ZnCl
2、HgCl
2、AlCl
3、GaCl
3、InCl
3、SnCl
2、PBCl
2、LiBr、NaBr、KBr、BeBr
2、MgBr
2、CaBr
2、SrBr
2、CuBr、AgBr、AuBr、ZnBr
2、HgBr
2、AlBr
3、GaBr
3、InBr
3、SnBr
2、PbBr
2、LiI、NaI、KI、BeI
2、MgI
2、CaI
2、SrI
2、CuI、AgI、AuI、ZnI
2、HgI
2、AlI
3、GaI
3、InI
3、SnI
2、PbI
2、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2~
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
(f)と混ぜられる前記亜鉛源とは異なる少なくとも1種の金属ハロゲン化物がZnCl
2である、請求項2~
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
(c)の少なくとも1種のシェル前駆体がセレン源又は硫黄源である、請求項1~
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
(c)の少なくとも1種のシェル前駆体が硫黄源である、請求項1~
14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記硫黄源が、単体硫黄、オクタンチオール、ドデカンチオール、オクタデカンチオール、トリブチルホスフィンサルファイド、シクロヘキシルイソチオシアネート、α-トルエンチオール、エチレントリチオカーボネート、アリルメルカプタン、ビス(トリメチルシリル)サルファイド、トリオクチルホスフィンサルファイド、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
(c)の少なくとも1種のシェル前駆体がセレン源である、請求項1~
14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記セレン源が、トリオクチルホスフィンセレニド、トリ(n-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(sec-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(tert-ブチル)ホスフィンセレニド、トリメチルホスフィンセレニド、トリフェニルホスフィンセレニド、ジフェニルホスフィンセレニド、フェニルホスフィンセレニド、トリシクロヘキシルホスフィンセレニド、シクロヘキシルホスフィンセレニド、1-オクタンセレノール、1-ドデカンセレノール、セレノフェノール、単体セレン、セレン化水素、ビス(トリメチルシリル)セレニド、セレノウレア、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
(d)の温度が、200℃~310℃に上昇、低下、又は維持される、請求項1~
15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
(e)で混ぜることが10℃~100℃の温度である、請求項1~
19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
(e)の少なくとも1種のシェル前駆体がセレン源又は硫黄源である、請求項1~
20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
(e)の少なくとも1種のシェル前駆体が硫黄源である、請求項1~
21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記硫黄源が、単体硫黄、オクタンチオール、ドデカンチオール、オクタデカンチオール、トリブチルホスフィンサルファイド、シクロヘキシルイソチオシアネート、α-トルエンチオール、エチレントリチオカーボネート、アリルメルカプタン、ビス(トリメチルシリル)サルファイド、トリオクチルホスフィンサルファイド、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項
22に記載の方法。
【請求項24】
(e)の少なくとも1種のシェル前駆体がセレン源である、請求項1~
21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記セレン源が、トリオクチルホスフィンセレニド、トリ(n-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(sec-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(tert-ブチル)ホスフィンセレニド、トリメチルホスフィンセレニド、トリフェニルホスフィンセレニド、ジフェニルホスフィンセレニド、フェニルホスフィンセレニド、トリシクロヘキシルホスフィンセレニド、シクロヘキシルホスフィンセレニド、1-オクタンセレノール、1-ドデカンセレノール、セレノフェノール、単体セレン、セレン化水素、ビス(トリメチルシリル)セレニド、セレノウレア、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
(f)の温度が、200℃~310℃に上昇、低下、又は維持される、請求項1~
25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ナノ構造体が94%~100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈する、請求項1~
26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ナノ構造体のフォトルミネッセンススペクトルが10nm~40nmの半値全幅を有する、請求項1~
27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、ナノテクノロジーの分野に関する。本開示は、in situ調製された亜鉛ジオレエート及び/又は金属ハロゲン化物を用いるナノ構造体の調製方法を提供する。ナノ構造体は、高い量子収率、狭い発光ピーク幅、チューナブルな放出波長、及びコロイド安定性を有する。本方法を用いて調製されるナノ構造体も提供される。さらに、ナノ構造体を含むナノ構造体フィルム及び成形物品も提供される。
【背景技術】
【0002】
[0002] 半導体ナノ構造体は、さまざまな電子及び光学デバイスに組込み可能である。かかるナノ構造体の電気的及び光学的性質は、たとえば、その組成、形状、及びサイズに依存して変動する。たとえば、半導体ナノ粒子のサイズチューナブル性は、発光ダイオード(LED)や液晶ディスプレイ(LCD)などの用途で大きな関心が寄せられている。高ルミネッセントナノ構造体は、かかる用途にとくに望ましい。
【0003】
[0003] LEDやLCDなどの用途でナノ構造体の潜在能力を十分に引き出すために、ナノ構造体は、5つの基準:狭い対称放出スペクトル、高いフォトルミネッセンス量子収率(PLQY)、高い光学安定性、エコフレンドリーな材料、及び低コストの大量生産方法を同時に満たす必要がある。高エミッシブ且つカラーチューナブルな量子ドットに関するほとんどの従来の研究は、カドミウム、水銀、又は鉛を含有する材料に集中してきた。Wang, A., et al., Nanoscale 7:2951-2959 (2015)。しかし、カドミウム、水銀、又は鉛などの毒性材料は、ヒトの健康及び環境に深刻な脅威をもたらすおそれがあるという懸念が高まっており、欧州連合有害物質規制(European Union’s Restriction of Hazardous Substances)ルールは、痕跡量を超えるこれらの材料を含有するいずれの消費者向け電子機器も禁止している。したがって、LED及びLCDの製造のために、カドミウム、水銀、且つ鉛フリーの材料を製造する必要性が存在する。
【0004】
[0004] リン化インジウム系カドミウムフリー量子ドットは、本質的にプロトタイプのセレン化カドミウム量子ドットほど安定ではない。価電子帯及び伝導帯のエネルギーレベルが高くなると、リン化インジウム量子ドットは、励起量子ドットから酸素への電子移動による光酸化をより受けやすくなるとともに、量子ドット励起状態からの正孔トラッピングにより励起子の放射再結合を抑制する可能性のあるアミン又はチオールなどの電子供与剤によるフォトルミネッセンスクエンチングを受けやすくなる。たとえば、Chibli, H., et al.,“Cytotoxicity of InP/ZnS quantum dots related to reactive oxygen species generation,” Nanoscale 3:2552-2559 (2011)、Blackburn, J.L., et al.,“Electron and Hole Transfer from Indium Phosphide Quantum Dots,” J. Phys. Chem. B 109:2625-2631 (2005)、及びSelmarten, D., et al.,“Quenching of Semiconductor Quantum Dot Photoluminescence by a π-Conjugated Polymer,” J. Phys. Chem. B 109:15927-15933 (2005)を参照されたい。
【0005】
[0005] エミッシブ量子ドットで高いフォトルミネッセンス量子収率(PLQY)を達成することは、量子ドット増強フィルム、量子ドットオンガラス、及び量子ドットフォトレジストをはじめとするエミッシブディスプレイ用途でのその性能にきわめて重要である。量子収率を増加させる既存のアプローチは、コアのサイズ若しくは材料又はシェル層の組成及び厚さのどれかを変化させることによる量子ドット組成の改変に依拠する。こうした変化は、放出波長(PWL)及びサイズをはじめとする量子ドットの他の性質に直接影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006] 高い量子収率、狭い発光ピーク幅、チューナブルな放出波長、及びコロイド安定性を有するナノ構造体を製造する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
[0007] 本開示は、リン化インジウムを含むコアと少なくとも2つのシェルとを含むナノ構造体であって、シェルの少なくとも1つが亜鉛を含み、ナノ構造体が約90%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈し、且つナノ構造体が45nm未満の半値全幅を有する、ナノ構造体を提供する。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は2つのシェルを含む。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態では、ナノ構造体の少なくとも1つのシェルは、ZnS、ZnO、ZnSe、ZnTe、及びそれらの合金からなる群から選択される。
【0010】
[0010] いくつかの実施形態では、ナノ構造体の少なくとも1つのシェルはZnSeを含む。
【0011】
[0011] いくつかの実施形態では、ナノ構造体の少なくとも1つのシェルはZnSを含む。
【0012】
[0012] いくつかの実施形態では、ナノ構造体の少なくとも2つのシェルが亜鉛を含む。
【0013】
[0013] いくつかの実施形態では、ナノ構造体の少なくとも1つのシェルはZnSeを含み、且つ少なくとも1つのシェルはZnSを含む。
【0014】
[0014] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、約94%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈する。
【0015】
[0015] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、約96%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈する。
【0016】
[0016] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、約10nm~約40nmの半値全幅を呈する。
【0017】
[0017] いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物は、約10nm~約35nmの半値全幅を呈する。
【0018】
[0018] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、ZnSeを含む少なくとも1つのシェルと、ZnSを含む少なくとも1つのシェルと、を含む。
【0019】
[0019] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0020】
[0020] 本開示はまた、
(a)本開示のナノ構造体と、
(b)少なくとも1種の有機樹脂と、
を含むナノ構造体組成物を提供する。
【0021】
[0021] 本開示はまた、
シェルの少なくとも1つが亜鉛を含み、且つナノ構造体が約90%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈する、コアと少なくとも2つのシェルとを含むナノ構造体を生成するように、
(a)亜鉛源と、InPを含むコアと、を混ぜることと、
(b)(a)と有機酸とを混ぜることと、
(c)(b)と少なくとも1種のシェル前駆体とを混ぜることと、
(d)約200℃~約310℃に温度を上昇、低下、又は維持することと、
(e)(d)と少なくとも1種のシェル前駆体とを混ぜることであって、このシェル前駆体が(c)のシェル前駆体と異なる、混ぜることと、
(f)約200℃~約310℃に温度を上昇、低下、又は維持することと、
を含む、コアと少なくとも2つのシェルとを含むナノ構造体の調製方法を提供する。
【0022】
[0022] いくつかの実施形態では、(a)で混ぜることは、少なくとも1種の金属ハロゲン化物をさらに含む。
【0023】
[0023] いくつかの実施形態では、(c)で混ぜることは、少なくとも1種の金属ハロゲン化物をさらに含む。
【0024】
[0024] いくつかの実施形態では、本方法は、(g)(f)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることをさらに含む。
【0025】
[0025] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は2つのシェルを含む。
【0026】
[0026] いくつかの実施形態では、ナノ構造体の少なくとも1つのシェルは、ZnS、ZnO、ZnSe、ZnTe、及びそれらの合金からなる群から選択される。
【0027】
[0027] いくつかの実施形態では、ナノ構造体の少なくとも1つのシェルはZnSeを含む。
【0028】
[0028] いくつかの実施形態では、ナノ構造体の少なくとも1つのシェルはZnSを含む。
【0029】
[0029] いくつかの実施形態では、ナノ構造体の少なくとも2つのシェルが亜鉛を含む。
【0030】
[0030] いくつかの実施形態では、ナノ構造体の少なくとも1つのシェルはZnSeを含み、且つ少なくとも1つのシェルはZnSを含む。
【0031】
[0031] いくつかの実施形態では、亜鉛源は、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、亜鉛アセテート、亜鉛アセチルアセトネート、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、炭酸亜鉛、シアン化亜鉛、硝酸亜鉛、亜鉛オレエート、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、過塩素酸亜鉛、硫酸亜鉛、亜鉛ヘキサノエート、亜鉛オクタノエート、亜鉛ラウレート、亜鉛ミリステート、亜鉛パルミテート、亜鉛ステアレート、亜鉛ジチオカルバメート、又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0032】
[0032] いくつかの実施形態では、亜鉛源は亜鉛ジオレエートである。
【0033】
[0033] いくつかの実施形態では、亜鉛源はin situで調製された亜鉛ジオレエートである。
【0034】
[0034] いくつかの実施形態では、有機酸は、ラウリン酸、ヘキサン酸、オレイン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、オクチルホスホン酸、2-エチルヘキサン酸、ミリスチン酸、デカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、又はそれらの混合物である。
【0035】
[0035] いくつかの実施形態では、有機酸はオレイン酸である。
【0036】
[0036] いくつかの実施形態では、(a)で混ぜられる少なくとも1種の金属ハロゲン化物は、LiF、NaF、KF、BeF2、MgF2、CaF2、SrF2、CuF、AgF、AuF、ZnF2、HgF2、AlF3、GaF3、InF3、SnF2、PbF2、LiCl、NaCl、KCl、BeCl2、MgCl2、CaCl2、SrCl2、CuCl、AgCl、ZnCl2、HgCl2、AlCl3、GaCl3、InCl3、SnCl2、PBCl2、LiBr、NaBr、KBr、BeBr2、MgBr2、CaBr2、SrBr2、CuBr、AgBr、AuBr、ZnBr2、HgBr2、AlBr3、GaBr3、InBr3、SnBr2、PbBr2、LiI、NaI、KI、BeI2、MgI2、CaI2、SrI2、CuI、AgI、AuI、ZnI2、HgI2、AlI3、GaI3、InI3、SnI2、PbI2、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0037】
[0037] いくつかの実施形態では、(a)で混ぜられる少なくとも1種の金属ハロゲン化物はZnCl2である。
【0038】
[0038] いくつかの実施形態では、(c)で混ぜられる少なくとも1種の金属ハロゲン化物は、LiF、NaF、KF、BeF2、MgF2、CaF2、SrF2、CuF、AgF、AuF、ZnF2、HgF2、AlF3、GaF3、InF3、SnF2、PbF2、LiCl、NaCl、KCl、BeCl2、MgCl2、CaCl2、SrCl2、CuCl、AgCl、ZnCl2、HgCl2、AlCl3、GaCl3、InCl3、SnCl2、PBCl2、LiBr、NaBr、KBr、BeBr2、MgBr2、CaBr2、SrBr2、CuBr、AgBr、AuBr、ZnBr2、HgBr2、AlBr3、GaBr3、InBr3、SnBr2、PbBr2、LiI、NaI、KI、BeI2、MgI2、CaI2、SrI2、CuI、AgI、AuI、ZnI2、HgI2、AlI3、GaI3、InI3、SnI2、PbI2、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0039】
[0039] いくつかの実施形態では、(c)で混ぜられる少なくとも1種の金属ハロゲン化物は、GaCl3、AlCl3、YCl3、MgBr2、ZnBr2、ZrCl4、及びそれらの組合せである。
【0040】
[0040] いくつかの実施形態では、(f)で混ぜられる少なくとも1種の金属ハロゲン化物は、LiF、NaF、KF、BeF2、MgF2、CaF2、SrF2、CuF、AgF、AuF、ZnF2、HgF2、AlF3、GaF3、InF3、SnF2、PbF2、LiCl、NaCl、KCl、BeCl2、MgCl2、CaCl2、SrCl2、CuCl、AgCl、ZnCl2、HgCl2、AlCl3、GaCl3、InCl3、SnCl2、PBCl2、LiBr、NaBr、KBr、BeBr2、MgBr2、CaBr2、SrBr2、CuBr、AgBr、AuBr、ZnBr2、HgBr2、AlBr3、GaBr3、InBr3、SnBr2、PbBr2、LiI、NaI、KI、BeI2、MgI2、CaI2、SrI2、CuI、AgI、AuI、ZnI2、HgI2、AlI3、GaI3、InI3、SnI2、PbI2、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0041】
[0041] いくつかの実施形態では、(f)で混ぜられる少なくとも1種の金属ハロゲン化物はZnCl2である。
【0042】
[0042] いくつかの実施形態では、(c)の少なくとも1種のシェル前駆体は、セレン源又は硫黄源である。
【0043】
[0043] いくつかの実施形態では、(c)の少なくとも1種のシェル前駆体は硫黄源である。
【0044】
[0044] いくつかの実施形態では、硫黄源は、単体硫黄、オクタンチオール、ドデカンチオール、オクタデカンチオール、トリブチルホスフィンサルファイド、シクロヘキシルイソチオシアネート、α-トルエンチオール、エチレントリチオカーボネート、アリルメルカプタン、ビス(トリメチルシリル)サルファイド、トリオクチルホスフィンサルファイド、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0045】
[0045] いくつかの実施形態では、硫黄源はドデカンチオールである
【0046】
[0046] いくつかの実施形態では、(c)の少なくとも1種のシェル前駆体はセレン源である。
【0047】
[0047] いくつかの実施形態では、セレン源は、トリオクチルホスフィンセレニド、トリ(n-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(sec-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(tert-ブチル)ホスフィンセレニド、トリメチルホスフィンセレニド、トリフェニルホスフィンセレニド、ジフェニルホスフィンセレニド、フェニルホスフィンセレニド、トリシクロヘキシルホスフィンセレニド、シクロヘキシルホスフィンセレニド、1-オクタンセレノール、1-ドデカンセレノール、セレノフェノール、単体セレン、セレン化水素、ビス(トリメチルシリル)セレニド、セレノウレア、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0048】
[0048] いくつかの実施形態では、(d)の温度は、約200℃~約310℃に上昇、低下、又は維持される。
【0049】
[0049] いくつかの実施形態では、(d)の温度は、約280℃~約310℃に上昇、低下、又は維持される。
【0050】
[0050] いくつかの実施形態では、(e)で混ぜることは、約10℃~約100℃の温度である。
【0051】
[0051] いくつかの実施形態では、(e)の少なくとも1種のシェル前駆体は、セレン源又は硫黄源である。
【0052】
[0052] いくつかの実施形態では、(e)の少なくとも1種のシェル前駆体は硫黄源である。
【0053】
[0053] いくつかの実施形態では、硫黄源は、単体硫黄、オクタンチオール、ドデカンチオール、オクタデカンチオール、トリブチルホスフィンサルファイド、シクロヘキシルイソチオシアネート、α-トルエンチオール、エチレントリチオカーボネート、アリルメルカプタン、ビス(トリメチルシリル)サルファイド、トリオクチルホスフィンサルファイド、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0054】
[0054] いくつかの実施形態では、硫黄源はドデカンチオールである。
【0055】
[0055] いくつかの実施形態では、(e)の少なくとも1種のシェル前駆体はセレン源である。
【0056】
[0056] いくつかの実施形態では、セレン源は、トリオクチルホスフィンセレニド、トリ(n-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(sec-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(tert-ブチル)ホスフィンセレニド、トリメチルホスフィンセレニド、トリフェニルホスフィンセレニド、ジフェニルホスフィンセレニド、フェニルホスフィンセレニド、トリシクロヘキシルホスフィンセレニド、シクロヘキシルホスフィンセレニド、1-オクタンセレノール、1-ドデカンセレノール、セレノフェノール、単体セレン、セレン化水素、ビス(トリメチルシリル)セレニド、セレノウレア、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0057】
[0057] いくつかの実施形態では、(f)の温度は、約200℃~約310℃に上昇、低下、又は維持される。
【0058】
[0058] いくつかの実施形態では、(f)の温度は、約280℃~約310℃に上昇、低下、又は維持される。
【0059】
[0059] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、約94%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈する。
【0060】
[0060] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、約96%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈する。
【0061】
[0061] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、約10nm~約40nmの半値全幅を有する。
【0062】
[0062] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、約10nm~約35nmの半値全幅を有する。
【0063】
[0063] 本開示はまた、
(a)第1の伝導層と、
(b)第2の伝導層と、
(c)第1の伝導層と第2の伝導層との間のナノ構造体層であって、ナノ構造体層が、リン化インジウムを含むコアと少なくとも2つのシェルとを含むナノ構造体の集団であって、シェルの少なくとも1つが亜鉛を含み、ナノ構造体が約90%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈し、且つナノ構造体が45nm未満の半値全幅を有する、ナノ構造体の集団と、少なくとも1種の有機樹脂と、を含む、ナノ構造体層と、
を含むナノ構造体成形物品を提供する。
【0064】
[0064] いくつかの実施形態では、成形物品中のナノ構造体は2つのシェルを含む。
【0065】
[0065] いくつかの実施形態では、成形物品中のナノ構造体は、ZnS、ZnO、ZnSe、ZnTe、及びそれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つのシェルを含む。
【0066】
[0066] いくつかの実施形態では、成形物品中のナノ構造体は、ZnSeを含む少なくとも1つのシェルを含む。
【0067】
[0067] いくつかの実施形態では、成形物品中のナノ構造体は、ZnSを含む少なくとも1つのシェルを含む。
【0068】
[0068] いくつかの実施形態では、成形物品中のナノ構造体は、亜鉛を含む少なくとも2つのシェルを含む。
【0069】
[0069] いくつかの実施形態では、成形物品中のナノ構造体は、ZnSeを含む少なくとも1つのシェルを含み、且つ少なくとも1つのシェルはZnSを含む。
【0070】
[0070] いくつかの実施形態では、成形物品中のナノ構造体は、約94%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈する。
【0071】
[0071] いくつかの実施形態では、成形物品中のナノ構造体は、約96%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈する。
【0072】
[0072] いくつかの実施形態では、成形物品中のナノ構造体は、約10nm~約40nmの半値全幅を呈する。
【0073】
[0073] いくつかの実施形態では、成形物品中のナノ構造体は、約10nm~約35nmの半値全幅を呈する。
【0074】
[0074] いくつかの実施形態では、成形物品中のナノ構造体は、ZnSeを含む少なくとも1つのシェルと、ZnSを含む少なくとも1つのシェルと、を含む。
【0075】
[0075] いくつかの実施形態では、成形物品中のナノ構造体は量子ドットである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図面の簡単な説明
【
図1】[0076]シェル化プロセスの各種工程での金属ハロゲン化物の適用を表す緑色InP/ZnSe/ZnSコア/シェル/シェルナノ構造体のシェル化プロセスの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
定義
[0077] とくに定義がない限り、本明細書で用いられる科学技術用語はすべて、本発明が関連する当業者が通常理解しているものと同一の意味を有する。下記の定義は、当技術分野のものを補足し且つ本願を対象とするものであり、いかなる関連事例や非関連事例にも、たとえば、同一所有権者のいかなる特許や出願にも帰されるものではない。本明細書に記載のものと類似の又は均等ないかなる方法及び材料も本発明の試験の実施に使用可能であるが、好ましい材料及び方法が本明細書に記載される。それゆえ、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としたものであり、限定を意図したものではない。
【0078】
[0078] 本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明確に規定されない限り、複数形の参照語を含む。そのため、たとえば、「a nanostructure(ナノ構造体)」への参照は、複数のかかるナノ構造体を含み、他の場合も同様である。
【0079】
[0079] 本明細書で用いられる「about(約)」という用語は、所与の量の値がその値±10%で変動することを意味する。たとえば、「about 100 nm(約100nm)」は、90nm~110nm(両端の値を含む)のサイズ範囲を包含する。
【0080】
[0080] 「ナノ構造体」とは、約500nm未満の寸法を有する少なくとも1つの領域又は特性寸法を有する構造体のことである。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、又は約10未満nmの寸法を有する。典型的には、領域又は特性寸法は、構造体の最小軸に沿ったものであろう。かかる構造体の例としては、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、分岐状ナノ構造体、ナノテトラポッド、ナノトライポッド、ナノバイポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子などが挙げられる。ナノ構造体は、たとえば、実質的に結晶性、実質的に単結晶性、多結晶性、アモルファス、又はそれらの組合せでありうる。いくつかの実施形態では、ナノ構造体の3つの寸法の各々は、約500nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、又は約10未満nmの寸法を有する。
【0081】
[0081] ナノ構造体に関連して用いられるときの「ヘテロ構造体」という用語は、少なくとも2つの異なる及び/又は区別可能な材料タイプにより特徴付けられるナノ構造体を意味する。典型的には、ナノ構造体の1つの領域は第1の材料タイプを含み、一方、ナノ構造体の第2の領域は第2の材料タイプを含む。ある特定の実施形態では、ナノ構造体は、第1の材料のコアと第2(又は第3など)の材料の少なくとも1つのシェルとを含み、異なる材料タイプは、たとえば、ナノワイヤの長軸、分岐状ナノワイヤのアームの長軸、又はナノ結晶の中心の周りに放射状に分布する。シェルは、シェルとみなされるように又はナノ構造体がヘテロ構造体とみなされるように近接材料を完全にカバー可能であるが、その必要があるとは限らず、たとえば、一方の材料のコアにより特徴付けられるナノ結晶は、第2の材料の小さなアイランドでカバーされたへテロ構造である。他の実施形態では、異なる材料タイプは、ナノ構造体内の異なる位置に、たとえば、ナノワイヤの主(長)軸に沿って又は分岐状ナノワイヤのアームの長軸に沿って、分布する。ヘテロ構造体内の異なる領域は、まったく異なる材料を含みうるか、又は異なる領域は、異なるドーパント若しくは同一ドーパントの異なる濃度を有するベース材料(たとえばシリコン)を含みうる。
【0082】
[0082] 本明細書で用いられる場合、ナノ構造体の「直径」とは、ナノ構造体の第1の軸に垂直な断面の直径を意味し、この場合、第1の軸は、第2及び第3の軸に対して長さの最大差を有する(第2及び第3の軸は、互いにほとんどほぼ等しい長さの2つの軸である)。第1の軸は、必ずしもナノ構造体の最長軸であるとは限らず、たとえば、ディスク形ナノ構造体では、断面は、ディスクの短い長手方向軸に垂直な実質的に円形の断面であろう。断面図が円形でない場合、直径は、その断面の主軸及び副軸の平均である。ナノワイヤなどの長尺状又は高アスペクト比のナノ構造体では、直径は、ナノワイヤの最長軸に垂直な断面を横切って測定される。球状ナノ構造体では、直径は、球の中心を通って一方の側から他方の側まで測定される。
【0083】
[0083] ナノ構造体に対して用いられるときの「結晶性」又は「実質的に結晶性」という用語は、ナノ構造体が典型的には構造体の1つ以上の寸法にわたり長距離秩序化を呈するという事実を意味する。単結晶の秩序化は結晶の境界を越えて延在できないので、「長距離秩序化」という用語が具体的ナノ構造体の絶対サイズに依存するであろうことは、当業者であれば理解されよう。この場合には、「長距離秩序化」とは、ナノ構造体の寸法の少なくとも大部分にわたる実質的秩序を意味するであろう。いくつかの場合には、ナノ構造体は、酸化物若しくは他のコーティングを担持可能であるか、又はコアと少なくとも1つのシェルとで構成可能である。かかる場合には、酸化物、シェル、又は他のコーティングがかかる秩序化を呈しうるが、そうである必要がないことは、分かるであろう(たとえば、アモルファス、多結晶性、又はそれ以外でありうる)。かかる場合には、「結晶性」、「実質的に結晶性」、「実質的に単結晶性」、又は「単結晶性」という語句は、ナノ構造体の中心コアを意味する(コーティング層やシェルを除外する)。本明細書で用いられる「結晶性」又は「実質的に結晶性」という用語は、構造体が実質的な長距離秩序化(たとえば、ナノ構造体又はそのコアの少なくとも1つの軸の長さの少なくとも約80%にわたる秩序)を呈する限り、各種欠損、積層欠陥、原子置換などを含む構造体を包含することも意図される。そのほか、コアとナノ構造体の外側との間又はコアと近接シェルとの間又はシェルと第2の近接シェルとの間の界接部が非結晶性領域を含有可能であるうえにさらにはアモルファスでありうることは、分かるであろう。このことは、こうしたナノ構造体が本明細書に定義される結晶性又は実質的に結晶性であることを妨げるものではない。
【0084】
[0084] ナノ構造体に対して用いられるときの「単結晶性」という用語は、ナノ構造体が実質的に結晶性であり且つ実質的に単結晶を含むことを意味する。コアと1つ以上のシェルとを含むナノ構造ヘテロ構造体に対して用いられるとき、「単結晶性」とは、コアが実質的に結晶性であり且つ実質的に単結晶を含むことを意味する。
【0085】
[0085] 「ナノ結晶」とは、実質的に単結晶性のナノ構造体のことである。そのため、ナノ結晶は、約500nm未満の寸法を有する少なくとも1つの領域又は特性寸法を有する。いくつかの実施形態では、ナノ結晶は、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満の寸法を有する。「ナノ結晶」という用語は、各種欠損、積層欠陥、原子置換などを含む実質的に単結晶性のナノ構造体、さらにはかかる欠損、欠陥、又は置換を含まない実質的に単結晶性のナノ構造体を包含することが意図される。コアと1つ以上のシェルとを含むナノ結晶ヘテロ構造体の場合には、ナノ結晶のコアは、典型的には実質的に単結晶性であるが、シェルはそうである必要がない。いくつかの実施形態では、ナノ結晶の3つの寸法の各々は、約500nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、又は約10未満nmの寸法を有する。
【0086】
[0086] 「量子ドット」(又は「ドット」)という用語は、量子閉込め又は励起子閉込めを呈するナノ結晶を意味する。量子ドットは、材料の性質が実質的に均一でありうるか、又はある特定の実施形態では、たとえば、コアと少なくとも1つのシェルとを含んで不均一でありうる。量子ドットの光学的性質は、その粒子サイズ、化学組成、及び/又は表面組成により影響を受けうるとともに、当技術分野で利用可能な好適な光学試験により決定可能である。ナノ結晶サイズを、たとえば、約1nm~約15nmの範囲内に調整する能力は、かなり多彩な演色を呈するように光学スペクトル全体の光放出カバレッジを可能にする。
【0087】
[0087] 「配位子」とは、たとえば、ナノ構造体の表面との共有結合性、イオン性、ファンデルワールス性、又は他の分子性の相互作用を介して、ナノ構造体の1つ以上の面と(弱いか強いかにかかわらず)相互作用可能な分子のことである。
【0088】
[0088] 「フォトルミネッセンス量子収率」とは、たとえば、ナノ構造体又はナノ構造体の集団により、放出された光子と吸収された光子との比のことである。当技術分野で公知のように、量子収率は、典型的には、既知の量子収率値を有する十分に特徴付けられた標準サンプルを用いて比較法により決定される。
【0089】
[0089] 本明細書で用いられる場合、「単層」という用語は、関連格子平面間の最近接距離としてシェル材料のバルク結晶構造体から導出されるシェル厚の測定単位である。例として、立方格子構造体では、1つの単層の厚さは、[111]方向の近接格子平面間距離として決定される。例として、立方晶ZnSeの1つの単層は0.33nmに対応し、且つ立方晶ZnSの1つの単層は0.31nmの厚さに対応する。合金材料の単層の厚さは、ベガード則により合金組成から決定可能である。
【0090】
[0090] 本明細書で用いられる場合、「シェル」という用語は、コア上に、又はシェル材料の堆積を1回行うことから得られる同一若しくは異なる組成の既堆積シェル上に、堆積された材料を意味する。厳密なシェル厚は、材料さらには前駆体の投入及び変換に依存するとともに、ナノメートル単位又は単層単位で報告可能である。本明細書で用いられる場合、「目標シェル厚」とは、所要の前駆体量の計算に使用されることが意図されたシェル厚を意味する。本明細書で用いられる場合、「実シェル厚」とは、合成後のシェル材料の実堆積量を意味するとともに、当技術分野で公知の方法により測定可能なものである。例として、実シェル厚は、シェル合成の前及び後のナノ結晶のTEM画像から決定される粒子直径を比較することにより測定可能である。
【0091】
[0091] 本明細書で用いられる場合、「半値全幅」(FWHM)という用語は、量子ドットのサイズ分布の尺度である。量子ドットの放出スペクトルは、一般に、ガウス曲線の形状を有する。ガウス曲線の幅は、FWHMとして定義され、粒子のサイズ分布の概念を与える。より小さなFWHMは、より狭い量子ドットナノ結晶サイズ分布に対応する。FWHMはまた、放出波長極大に依存する。
【0092】
[0092] 「ピーク放出波長」(PWL)とは、光源の放射放出スペクトルがその極大に達する波長のことである。
【0093】
[0093] とくに明確な指示がない限り、本明細書に列挙された範囲は両端の値を含む。
【0094】
[0094] そのほかのさまざまな用語は、本明細書に定義されるか又は他の形で特徴付けられる。
【0095】
ナノ構造体
[0095] いくつかの実施形態では、本開示は、リン化インジウムを含むコアと少なくとも2つのシェルとを含むナノ構造体であって、シェルの少なくとも1つが亜鉛を含み、ナノ構造体が約90%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈し、且つナノ構造体が45nm未満の半値全幅を有する、ナノ構造体を提供する。
【0096】
[0096] いくつかの実施形態では、本開示は、リン化インジウムを含むコアと少なくとも2つのシェルとを含むナノ構造体であって、シェルの少なくとも1つが亜鉛を含み、ナノ構造体が約94%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈し、且つナノ構造体が40nm未満の半値全幅を有する、ナノ構造体を提供する。
【0097】
[0097] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0098】
ナノ構造体組成物
[0098] いくつかの実施形態では、本開示は、
(a)ナノ構造体の少なくとも1つの集団であって、ナノ構造体がリン化インジウムを含むコアと少なくとも2つのシェルとを含み、シェルの少なくとも1つが亜鉛を含み、ナノ構造体が約90%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈し、且つナノ構造体が45nm未満の半値全幅を有する、ナノ構造体の少なくとも1つの集団と、
(b)少なくとも1種の有機樹脂と、
を含むナノ構造体組成物を提供する。
【0099】
[0099] いくつかの実施形態では、本開示は、
(a)ナノ構造体の少なくとも1つの集団であって、ナノ構造体がリン化インジウムを含むコアと少なくとも2つのシェルとを含み、シェルの少なくとも1つが亜鉛を含み、ナノ構造体が約94%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈し、且つナノ構造体が40nm未満の半値全幅を有する、ナノ構造体の少なくとも1つの集団と、
(b)少なくとも1種の有機樹脂と、
を含むナノ構造体組成物を提供する。
【0100】
[0100] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0101】
ナノ構造体成形物品
[0101] いくつかの実施形態では、本開示は、
(a)第1の伝導層と、
(b)第2の伝導層と、
(c)第1の伝導層と第2の伝導層との間のナノ構造体層であって、ナノ構造体層が、リン化インジウムを含むコアと少なくとも2つのシェルとを含むナノ構造体の集団であって、シェルの少なくとも1つが亜鉛を含み、ナノ構造体が約90%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈し、且つナノ構造体が45nm未満の半値全幅を有する、ナノ構造体の集団と、少なくとも1種の有機樹脂と、を含む、ナノ構造体層と、
を含むナノ構造体成形物品を提供する。
【0102】
[0102] いくつかの実施形態では、本開示は、
(a)第1の伝導層と、
(b)第2の伝導層と、
(c)第1の伝導層と第2の伝導層との間のナノ構造体層であって、ナノ構造体層が、リン化インジウムを含むコアと少なくとも2つのシェルとを含むナノ構造体の集団であって、シェルの少なくとも1つが亜鉛を含み、ナノ構造体が約94%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈し、且つナノ構造体が40nm未満の半値全幅を有する、ナノ構造体の集団と、少なくとも1種の有機樹脂と、を含む、ナノ構造体層と、
を含むナノ構造体成形物品を提供する。
【0103】
[0103] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0104】
[0104] いくつかの実施形態では、成形物品はディスプレイ用のフィルム又は基材である。いくつかの実施形態では、成形物品は液晶ディスプレイである。いくつかの実施形態では、成形物品はナノ構造体フィルムである。
【0105】
リン化インジウムコア
[0105] いくつかの実施形態では、ナノ構造体コアはリン化インジウムを含む。
【0106】
[0106] InP系ナノ構造体の合成は、たとえば、Xie, R., et al.,“Colloidal InP nanocrystals as efficient emitters covering blue to near-infrared,” J. Am. Chem. Soc. 129:15432-15433 (2007)、Micic, O.I., et al.,“Core-shell quantum dots of lattice-matched ZnCdSe2 shells on InP cores: Experiment and theory,” J. Phys. Chem. B 104:12149-12156 (2000)、Liu, Z., et al.,“Coreduction colloidal synthesis of III-V nanocrystals: The case of InP,” Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 47:3540-3542 (2008)、Li, L. et al.,“Economic synthesis of high quality InP nanocrystals using calcium phosphide as the phosphorus precursor,” Chem. Mater. 20:2621-2623 (2008)、D. Battaglia and X. Peng,“Formation of high quality InP and InAs nanocrystals in a noncoordinating solvent,” Nano Letters 2:1027-1030 (2002)、Kim, S., et al.,“Highly luminescent InP/GaP/ZnS nanocrystals and their application to white light-emitting diodes,” J. Am. Chem. Soc. 134:3804-3809 (2012)、Nann, T., et al.,“Water splitting by visible light: A nanophotocathode for hydrogen production,” Angew. Chem. Int. Ed. 49:1574-1577 (2010)、Borchert, H., et al.,“Investigation of ZnS passivated InP nanocrystals by XPS,” Nano Letters 2:151-154 (2002)、L. Li and P. Reiss,“One-pot synthesis of highly luminescent InP/ZnS nanocrystals without precursor injection,” J. Am. Chem. Soc. 130:11588-11589 (2008)、Hussain, S., et al.“One-pot fabrication of high-quality InP/ZnS (core/shell) quantum dots and their application to cellular imaging,” Chemphyschem. 10:1466-1470 (2009)、Xu, S., et al.,“Rapid synthesis of high-quality InP nanocrystals,” J. Am. Chem. Soc. 128:1054-1055 (2006)、Micic, O.I., et al.,“Size-dependent spectroscopy of InP quantum dots,” J. Phys. Chem. B 101:4904-4912 (1997)、Haubold, S., et al.,“Strongly luminescent InP/ZnS core-shell nanoparticles,” Chemphyschem. 5:331-334 (2001)、CrosGagneux, A., et al.,“Surface chemistry of InP quantum dots: A comprehensive study,” J. Am. Chem. Soc. 132:18147-18157 (2010)、Micic, O.I., et al.,“Synthesis and characterization of InP, GaP, and GalnP2 quantum dots,” J. Phys. Chem. 99:7754-7759 (1995)、Guzelian, A.A., et al.,“Synthesis of size-selected, surface-passivated InP nanocrystals,” J. Phys. Chem. 100:7212-7219 (1996)、Lucey, D.W., et al.,“Monodispersed InP quantum dots prepared by colloidal chemistry in a non-coordinating solvent,” Chem. Mater. 17:3754-3762 (2005)、Lim, J., et al.,“InP@ZnSeS, core@composition gradient shell quantum dots with enhanced stability,” Chem. Mater. 23:4459-4463 (2011)、及びZan, F., et al.,“Experimental studies on blinking behavior of single InP/ZnS quantum dots: Effects of synthetic conditions and UV irradiation,” J. Phys. Chem. C 116:394-3950 (2012)に記載されている。しかしながら、かかる努力は、高い量子収率を有するInPナノ構造体の生成でごく限られた成功しか収めてこなかった。
【0107】
[0107] 約530nmの放出波長(緑色放出)及び約630nmの放出波長(赤色放出)を有するInPコアの合成は、米国特許出願公開第2010/276638号及び同第2014/001405号(それらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0108】
[0108] いくつかの実施形態では、コアは、約510nm~約550nmの放出波長を有するInPを含む。いくつかの実施形態では、コアは、約530nmの放出波長を有するInPを含む。
【0109】
[0109] いくつかの実施形態では、コアは、約610nm~約650nmの放出波長を有するInPを含む。いくつかの実施形態では、コアは、約630nmの吸光度ピークを有するInPを含む。
【0110】
[0110] いくつかの実施形態では、コアはドープされる。いくつかの実施形態では、ナノ結晶コアのドーパントは、1種以上の遷移金属を含めて金属を含む。いくつかの実施形態では、ドーパントは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、及びそれらの組合せからなる群から選択される遷移金属である。いくつかの実施形態では、ドーパントは非金属を含む。いくつかの実施形態では、ドーパントは、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdSe、CdS、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、CuInS2、CuInSe2、AlN、AlP、AlAs、GaN、GaP、又はGaAsである。
【0111】
[0111] いくつかの実施形態では、コアは、シェルの堆積前に精製される。いくつかの実施形態では、コアは、コア溶液から沈殿物を除去するために濾過される。
【0112】
[0112] いくつかの実施形態では、コアの直径は、量子閉込めを用いて決定される。量子ドットなどのゼロ次元ナノ結晶子の量子閉込めは、結晶子境界内の電子の空間閉込めから生じる。量子閉込めは、材料の直径が波動関数のドブロイ波長と同一の大きさになると観測可能である。ナノ粒子の電子的及び光学的性質は、バルク材料のものから実質的に外れる。粒子は、閉込め寸法が粒子の波長と比較して大きいときはあたかも自由であるがごとく振る舞う。この状態の間、バンドギャップは、連続エネルギー状態に基づいてその元のエネルギーのままである。しかしながら、閉込め寸法が減少してある特定の限界、典型的にはナノスケールに達すると、エネルギースペクトルは離散状態になる。結果として、バンドギャップはサイズ依存になる。
【0113】
ナノ構造体シェル
[0113] いくつかの実施形態では、本発明のナノ構造体は、コアと少なくとも1つのシェルとを含む。いくつかの実施形態では、本発明のナノ構造体は、コアと少なくとも2つのシェルとを含む。シェルは、たとえば、ナノ構造体の量子収率及び/又は安定性を増加させることが可能である。いくつかの実施形態では、コア及びシェルは異なる材料を含む。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は異なるシェル材料のシェルを含む。
【0114】
[0114] いくつかの実施形態では、亜鉛と第VI族元素との混合物を含むシェルは、コア上又はコア/シェル構造体上に堆積される。いくつかの実施形態では、堆積されるシェルは、少なくとも2種の亜鉛源、セレン源、硫黄源、及びテルル源の混合物である。いくつかの実施形態では、堆積されるシェルは、2種の亜鉛源、セレン源、硫黄源、及びテルル源の混合物である。いくつかの実施形態では、堆積されるシェルは、3種の亜鉛源、セレン源、硫黄源、及びテルル源の混合物である。いくつかの実施形態では、シェルは、亜鉛と硫黄、亜鉛とセレン、亜鉛と硫黄とセレン、亜鉛とテルル、亜鉛とテルルと硫黄、又は亜鉛とテルルとセレン含む。
【0115】
[0115] いくつかの実施形態では、シェルはシェル材料の2つ以上の単層を含む。単層の数はすべてのナノ構造体の平均であり、したがって、シェル中の単層の数は分率でありうる。いくつかの実施形態では、シェル中の単層の数は、0.25~10、0.25~8、0.25~7、0.25~6、0.25~5、0.25~4、0.25~3、0.25~2、2~10、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~10、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~8、5~7、5~6、6~10、6~8、6~7、7~10、7~8、又は8~10である。いくつかの実施形態では、シェルは3~5つの単層を含む。
【0116】
[0116] シェル厚は、提供される前駆体の量を変動させることにより制御可能である。所与のシェル厚では、前駆体の少なくとも1種は、成長反応が実質的に完了したときにあらかじめ決められた厚さのシェルが得られる量で任意選択的に提供される。2種以上の異なる前駆体が提供される場合、各前駆体の量のどれかは限定可能であるか、又は前駆体の1種は限定量で提供可能であり、一方、他のものは過剰に提供される。
【0117】
[0117] 各シェル厚は、当業者に公知の技術を用いて決定可能である。いくつかの実施形態では、各シェル厚は、各シェルの添加の前及び後のナノ構造体の平均直径を比較することにより決定される。いくつかの実施形態では、各シェルの添加の前及び後のナノ構造体の平均直径は、透過電子顕微鏡法(TEM)により決定される。いくつかの実施形態では、各シェルは、0.05nm~3.5nm、0.05nm~2nm、0.05nm~0.9nm、0.05nm~0.7nm、0.05nm~0.5nm、0.05nm~0.3nm、0.05nm~0.1nm、0.1nm~3.5nm、0.1nm~2nm、0.1nm~0.9nm、0.1nm~0.7nm、0.1nm~0.5nm、0.1nm~0.3nm、0.3nm~3.5nm、0.3nm~2nm、0.3nm~0.9nm、0.3nm~0.7nm、0.3nm~0.5nm、0.5nm~3.5nm、0.5nm~2nm、0.5nm~0.9nm、0.5nm~0.7nm、0.7nm~3.5nm、0.7nm~2nm、0.7nm~0.9nm、0.9nm~3.5nm、0.9nm~2nm、又は2nm~3.5nmの厚さを有する。
【0118】
[0118] いくつかの実施形態では、各シェルは、少なくとも1種のナノ構造体配位子の存在下で合成される。配位子は、たとえば、溶媒中又はポリマー中でナノ構造体の混和性を増強させたり(ナノ構造体がアグリゲートして一体化しないようにナノ構造体を組成物全体にわたり分布させる)、ナノ構造体の量子収率を増加させたり、及び/又はナノ構造体のルミネッセンスを保持したりすることが可能である(たとえば、ナノ構造体をマトリックスに組み込むとき)。いくつかの実施形態では、コア合成用及びシェル合成用の配位子は同一である。いくつかの実施形態では、コア合成用及びシェル合成用の配位子は異なる。合成に続いて、ナノ構造体の表面上の配位子はいずれも、他の望ましい性質を有する異なる配位子と交換可能である。配位子の例は、米国特許第7,572,395号、同第8,143,703号、同第8,425,803号、同第8,563,133号、同第8,916,064号、同第9,005,480号、同第9,139,770号、及び同第9,169,435号、並びに米国特許出願公開第2008/0118755号に開示されている。
【0119】
[0119] シェルの合成に好適な配位子は、当業者に公知である。いくつかの実施形態では、配位子は、ラウリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸からなる群から選択される脂肪酸である。いくつかの実施形態では、配位子は、トリオクチルホスフィンオキサイド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、ジフェニルホスフィン(DPP)、トリフェニルホスフィンオキサイド、及びトリブチルホスフィンオキサイドから選択される有機ホスフィン又は有機ホスフィンオキサイドである。いくつかの実施形態では、配位子は、ドデシルアミン、オレイルアミン、ヘキサデシルアミン、ジオクチルアミン、及びオクタデシルアミンからなる群から選択されるアミンである。いくつかの実施形態では、配位子は、トリオクチルホスフィン、オレイン酸、ラウリン酸、又はそれらの組合せである。
【0120】
[0120] いくつかの実施形態では、各シェルは、配位子の混合物の存在下で生成される。いくつかの実施形態では、各シェルは、2、3、4、5、又は6つの異なる配位子を含む混合物の存在下で生成される。いくつかの実施形態では、各シェルは、3つの異なる配位子を含む混合物の存在下で生成される。いくつかの実施形態では、配位子の混合物は、トリブチルホスフィン、オレイン酸、及びオレイルアミンを含む。
【0121】
[0121] いくつかの実施形態では、各シェルは、溶媒の存在下で生成される。いくつかの実施形態では、溶媒は、1-オクタデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセン、エイコサン、オクタデカン、ヘキサデカン、テトラデカン、スクアレン、スクアラン、トリオクチルホスフィンオキサイド、及びジオクチルエーテルからなる群から選択される。
【0122】
[0122] いくつかの実施形態では、コア又はコア/シェル及びシェル前駆体は、20℃~310℃、20℃~280℃、20℃~250℃、20℃~200℃、20℃~150℃、20℃~100℃、20℃~50℃、50℃~310℃、50℃~280℃、50℃~250℃、50℃~200℃、50℃~150℃、50℃~100℃、100℃~310℃、100℃~280℃、100℃~250℃、100℃~200℃、100℃~150℃、150℃~310℃、150℃~280℃、150℃~250℃、150℃~200℃、200℃~310℃、200℃~280℃、200℃~250℃、250℃~310℃、250℃~280℃、又は280℃~310℃の温度で混ぜられる。いくつかの実施形態では、コア又はコア/シェル及びシェル前駆体は、20℃~100℃の温度で混ぜられる。
【0123】
[0123] いくつかの実施形態では、コア又はコア/シェル及びシェル前駆体を混ぜた後、反応混合物の温度は、200℃~310℃、200℃~280℃、200℃~250℃、200℃~220℃、220℃~310℃、220℃~280℃、220℃~250℃、250℃~310℃、250℃~280℃、又は280℃~310℃の温度に増加、維持、又は低減される。いくつかの実施形態では、コア又はコア/シェル及びシェル前駆体に接触させた後、反応混合物の温度は、200℃~310℃に増加、維持、又は低減される。
【0124】
[0124] いくつかの実施形態では、コア又はコア/シェル及びシェル前駆体を混ぜた後、この温度に達する時間は、2~240分間、2~200分間、2~100分間、2~60分間、2~40分間、5~240分間、5~200分間、5~100分間、5~60分間、5~40分間、10~240分間、10~200分間、10~100分間、10~60分間、10~40分間、40~240分間、40~200分間、40~100分間、40~60分間、60~240分間、60~200分間、60~100分間、100~240分間、100~200分間、又は200~240分間である。
【0125】
[0125] いくつかの実施形態では、コア又はコア/シェル及びシェル前駆体を混ぜた後、反応混合物の温度は、2~240分間、2~200分間、2~100分間、2~60分間、2~40分間、5~240分間、5~200分間、5~100分間、5~60分間、5~40分間、10~240分間、10~200分間、10~100分間、10~60分間、10~40分間、40~240分間、40~200分間、40~100分間、40~60分間、60~240分間、60~200分間、60~100分間、100~240分間、100~200分間、又は200~240分間にわたり維持される。いくつかの実施形態では、コア又はコア/シェル及びシェル前駆体を混ぜた後、反応混合物の温度は、30~120分間にわたり維持される。
【0126】
[0126] いくつかの実施形態では、追加のシェルは、昇温での維持に続いて反応混合物に添加されるシェル材料前駆体のさらなる添加により生成される。典型的には、追加のシェル前駆体は、前のシェルの反応が実質的に完了した後に(たとえば、前の前駆体の少なくとも1種が枯渇若しくは反応から除去されたときに又は追加の成長が検出できなくなったときに)提供される。前駆体のさらなる添加は追加のシェルを生成する。
【0127】
[0127] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、さらなるシェルを提供するための追加のシェル材料前駆体の添加前に冷却される。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、さらなるシェルを提供するためのシェル材料前駆体の添加前に昇温で維持される。
【0128】
[0128] 所望の厚さ及び直径に達するのに十分なシェル層がナノ構造体に添加された後、ナノ構造体は冷却可能である。いくつかの実施形態では、コア/シェルナノ構造体は室温に冷却される。いくつかの実施形態では、コア/シェルナノ構造体を含む反応混合物を希釈するために有機溶媒が添加される。
【0129】
[0129] いくつかの実施形態では、反応混合物の希釈に使用される有機溶媒は、エタノール、ヘキサン、ペンタン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、アセトン、エチルアセテート、ジクロロメタン(メチレンクロライド)、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、又はN-メチルピロリジノンである。いくつかの実施形態では、有機溶媒はトルエンである。いくつかの実施形態では、有機溶媒はトルエンとエタノールとの組合せである。
【0130】
[0130] いくつかの実施形態では、コア/シェルナノ構造体は単離される。いくつかの実施形態では、コア/シェルナノ構造体は有機溶媒を用いて沈殿により単離される。いくつかの実施形態では、コア/シェルナノ構造体はエタノールを用いてフロキュレーションにより単離される。
【0131】
[0131] 単層の数は、コア/シェルナノ構造体のサイズを決定するであろう。コア/シェルナノ構造体のサイズは、当業者に公知の技術を用いて決定可能である。いくつかの実施形態では、コア/シェルナノ構造体のサイズはTEMを用いて決定される。いくつかの実施形態では、コア/シェルナノ構造体は、1nm~15nm、1nm~10nm、1nm~9nm、1nm~8nm、1nm~7nm、1nm~6nm、1nm~5nm、5nm~15nm、5nm~10nm、5nm~9nm、5nm~8nm、5nm~7nm、5nm~6nm、6nm~15nm、6nm~10nm、6nm~9nm、6nm~8nm、6nm~7nm、7nm~15nm、7nm~10nm、7nm~9nm、7nm~8nm、8nm~15nm、8nm~10nm、8nm~9nm、9nm~15nm、9nm~10nm、又は10nm~15nmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、コア/シェルナノ構造体は5nm~6nmの平均直径を有する。
【0132】
[0132] いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシェルは亜鉛を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのシェルが亜鉛を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも3つのシェルが亜鉛を含む。
【0133】
ZnSeシェルの生成
[0133] いくつかの実施形態では、コア又はコア/シェルナノ構造体上に堆積されるシェルはZnSeシェルである。
【0134】
[0134] いくつかの実施形態では、ZnSeシェルを調製するためにコア又はコア/シェルナノ構造体に接触させるシェル前駆体は、亜鉛源及びセレン源を含む。
【0135】
[0135] いくつかの実施形態では、亜鉛源はジアルキル亜鉛化合物である。いくつかの実施形態では、亜鉛源は亜鉛カルボキシレートである。いくつかの実施形態では、亜鉛源は、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、亜鉛アセテート、亜鉛アセチルアセトネート、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、炭酸亜鉛、シアン化亜鉛、硝酸亜鉛、亜鉛ジオレエート、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、過塩素酸亜鉛、硫酸亜鉛、亜鉛ヘキサノエート、亜鉛オクタノエート、亜鉛ラウレート、亜鉛ミリステート、亜鉛パルミテート、亜鉛ステアレート、亜鉛ジチオカルバメート、又はそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、亜鉛源は、亜鉛オレエート、亜鉛ヘキサノエート、亜鉛オクタノエート、亜鉛ラウレート、亜鉛ミリステート、亜鉛パルミテート、亜鉛ステアレート、亜鉛ジチオカルバメート、又はそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、亜鉛源は亜鉛ジオレエートである。
【0136】
[0136] いくつかの実施形態では、セレン源はアルキル置換セレノウレアである。いくつかの実施形態では、セレン源はホスフィンセレニドである。いくつかの実施形態では、セレン源は、トリオクチルホスフィンセレニド、トリ(n-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(sec-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(tert-ブチル)ホスフィンセレニド、トリメチルホスフィンセレニド、トリフェニルホスフィンセレニド、ジフェニルホスフィンセレニド、フェニルホスフィンセレニド、トリシクロヘキシルホスフィンセレニド、シクロヘキシルホスフィンセレニド、1-オクタンセレノール、1-ドデカンセレノール、セレノフェノール、単体セレン、セレン化水素、ビス(トリメチルシリル)セレニド、セレノウレア、及びそれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、セレン源は、トリ(n-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(sec-ブチル)ホスフィンセレニド、又はトリ(tert-ブチル)ホスフィンセレニドである。いくつかの実施形態では、セレン源はトリオクチルホスフィンセレニドである。
【0137】
[0137] いくつかの実施形態では、ZnSeシェルを調製するためのコア対亜鉛源のモル比は、1:2~1:1000、1:2~1:100、1:2~1:50、1:2~1:25、1:2~1:15、1:2~1:10、1:2~1:5、1:5~1:1000、1:5~1:100、1:5~1:50、1:5~1:25、1:5~1:15、1:5~1:10、1:10~1:1000、1:10~1:100、1:10~1:50、1:10~1:25、1:10~1:15、1:15~1:1000、1:15~1:100、1:15~1:50、1:15~1:25、1:25~1:1000、1:25~1:100、1:25~1:50、1:50~1:1000、1:50~1:100、又は1:100~1:1000である。
【0138】
[0138] いくつかの実施形態では、ZnSシェルを調製するための亜鉛源は亜鉛ジオレエートである。いくつかの実施形態では、ZnSシェルを調製するためのコア対亜鉛ジオレエートのモル比は、1:2~1:1000、1:2~1:100、1:2~1:50、1:2~1:25、1:2~1:15、1:2~1:10、1:2~1:5、1:5~1:1000、1:5~1:100、1:5~1:50、1:5~1:25、1:5~1:15、1:5~1:10、1:10~1:1000、1:10~1:100、1:10~1:50、1:10~1:25、1:10~1:15、1:15~1:1000、1:15~1:100、1:15~1:50、1:15~1:25、1:25~1:1000、1:25~1:100、1:25~1:50、1:50~1:1000、1:50~1:100、又は1:100~1:1000である。いくつかの実施形態では、ZnSシェルを調製するためのコア対亜鉛ジオレエートのモル比は1:2~1:50である。いくつかの実施形態では、ZnSシェルを調製するためのコア対亜鉛ジオレエートのモル比は1:20~1:30である。
【0139】
[0139] いくつかの実施形態では、ZnSeシェルを調製するためのコア対亜鉛ジオレエートのモル比は、1:2~1:1000、1:2~1:100、1:2~1:50、1:2~1:25、1:2~1:15、1:2~1:10、1:2~1:5、1:5~1:1000、1:5~1:100、1:5~1:50、1:5~1:25、1:5~1:15、1:5~1:10、1:10~1:1000、1:10~1:100、1:10~1:50、1:10~1:25、1:10~1:15、1:15~1:1000、1:15~1:100、1:15~1:50、1:15~1:25、1:25~1:1000、1:25~1:100、1:25~1:50、1:50~1:1000、1:50~1:100、又は1:100~1:1000である。
【0140】
[0140] いくつかの実施形態では、ZnSeシェルを調製するためのコア対セレン源のモル比は、1:2~1:1000、1:2~1:100、1:2~1:50、1:2~1:25、1:2~1:15、1:2~1:10、1:2~1:5、1:5~1:1000、1:5~1:100、1:5~1:50、1:5~1:25、1:5~1:15、1:5~1:10、1:10~1:1000、1:10~1:100、1:10~1:50、1:10~1:25、1:10~1:15、1:15~1:1000、1:15~1:100、1:15~1:50、1:15~1:25、1:25~1:1000、1:25~1:100、1:25~1:50、1:50~1:1000、1:50~1:100、又は1:100~1:1000である。
【0141】
[0141] いくつかの実施形態では、ZnSeシェル中の単層の数は、0.25~10、0.25~8、0.25~7、0.25~6、0.25~5、0.25~4、0.25~3、0.25~2、2~10、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~10、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~8、5~7、5~6、6~10、6~8、6~7、7~10、7~8、又は8~10である。いくつかの実施形態では、ZnSeシェルは2~6つの単層を含む。いくつかの実施形態では、ZnSeシェルは3~5つの単層を含む。
【0142】
[0142] いくつかの実施形態では、ZnSe単層は約0.328nmの厚さを有する。
【0143】
[0143] いくつかの実施形態では、ZnSeシェルは、0.08nm~3.5nm、0.08nm~2nm、0.08nm~0.9nm、0.08nm~0.7nm、0.08nm~0.5nm、0.08nm~0.2nm、0.2nm~3.5nm、0.2nm~2nm、0.2nm~0.9nm、0.2nm~0.7nm、0.2nm~0.5nm、0.5nm~3.5nm、0.5nm~2nm、0.5nm~0.9nm、0.5nm~0.7nm、0.7nm~3.5nm、0.7nm~2nm、0.7nm~0.9nm、0.9nm~3.5nm、0.9nm~2nm、又は2nm~3.5nmの厚さを有する。
【0144】
ZnSシェルの生成
[0144] いくつかの実施形態では、コア又はコア/シェルナノ構造体上に堆積されるシェルはZnSシェルである。
【0145】
[0145] いくつかの実施形態では、ZnSシェルを調製するためにコア又はコア/シェルナノ構造体に接触させるシェル前駆体は、亜鉛源及び硫黄源を含む。
【0146】
[0146] いくつかの実施形態では、亜鉛源はジアルキル亜鉛化合物である。いくつかの実施形態では、亜鉛源は亜鉛カルボキシレートである。いくつかの実施形態では、亜鉛源は、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、亜鉛アセテート、亜鉛アセチルアセトネート、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、炭酸亜鉛、シアン化亜鉛、硝酸亜鉛、亜鉛オレエート、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、過塩素酸亜鉛、硫酸亜鉛、亜鉛ヘキサノエート、亜鉛オクタノエート、亜鉛ラウレート、亜鉛ミリステート、亜鉛パルミテート、亜鉛ステアレート、亜鉛ジチオカルバメート、又はそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、亜鉛源は、亜鉛ジオレエート、亜鉛ヘキサノエート、亜鉛オクタノエート、亜鉛ラウレート、亜鉛ミリステート、亜鉛パルミテート、亜鉛ステアレート、亜鉛ジチオカルバメート、又はそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、亜鉛源は亜鉛ジオレエートである。
【0147】
[0147] いくつかの実施形態では、硫黄源は、単体硫黄、オクタンチオール、ドデカンチオール、オクタデカンチオール、トリブチルホスフィンサルファイド、シクロヘキシルイソチオシアネート、α-トルエンチオール、エチレントリチオカーボネート、アリルメルカプタン、ビス(トリメチルシリル)サルファイド、トリオクチルホスフィンサルファイド、及びそれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、硫黄源はアルキル置換亜鉛ジチオカルバメートである。いくつかの実施形態では、硫黄源はオクタンチオールである。いくつかの実施形態では、硫黄源はトリブチルホスフィンサルファイドである。
【0148】
[0148] いくつかの実施形態では、ZnSシェルを調製するためのコア対亜鉛源のモル比は、1:2~1:1000、1:2~1:100、1:2~1:50、1:2~1:25、1:2~1:15、1:2~1:10、1:2~1:5、1:5~1:1000、1:5~1:100、1:5~1:50、1:5~1:25、1:5~1:15、1:5~1:10、1:10~1:1000、1:10~1:100、1:10~1:50、1:10~1:25、1:10~1:15、1:15~1:1000、1:15~1:100、1:15~1:50、1:15~1:25、1:25~1:1000、1:25~1:100、1:25~1:50、1:50~1:1000、1:50~1:100、又は1:100~1:1000である。
【0149】
[0149] いくつかの実施形態では、ZnSシェルを調製するための亜鉛源は亜鉛ジオレエートである。いくつかの実施形態では、ZnSシェルを調製するためのコア対亜鉛ジオレエートのモル比は、1:2~1:1000、1:2~1:100、1:2~1:50、1:2~1:25、1:2~1:15、1:2~1:10、1:2~1:5、1:5~1:1000、1:5~1:100、1:5~1:50、1:5~1:25、1:5~1:15、1:5~1:10、1:10~1:1000、1:10~1:100、1:10~1:50、1:10~1:25、1:10~1:15、1:15~1:1000、1:15~1:100、1:15~1:50、1:15~1:25、1:25~1:1000、1:25~1:100、1:25~1:50、1:50~1:1000、1:50~1:100、又は1:100~1:1000である。いくつかの実施形態では、ZnSシェルを調製するためのコア対亜鉛ジオレエートのモル比は1:2~1:50である。いくつかの実施形態では、ZnSシェルを調製するためのコア対亜鉛ジオレエートのモル比は1:20~1:30である。
【0150】
[0150] いくつかの実施形態では、ZnSシェルを調製するためのコア対硫黄源のモル比は、1:2~1:1000、1:2~1:100、1:2~1:50、1:2~1:25、1:2~1:15、1:2~1:10、1:2~1:5、1:5~1:1000、1:5~1:100、1:5~1:50、1:5~1:25、1:5~1:15、1:5~1:10、1:10~1:1000、1:10~1:100、1:10~1:50、1:10~1:25、1:10~1:15、1:15~1:1000、1:15~1:100、1:15~1:50、1:15~1:25、1:25~1:1000、1:25~1:100、1:25~1:50、1:50~1:1000、1:50~1:100、又は1:100~1:1000である。
【0151】
[0151] いくつかの実施形態では、ZnSシェル中の単層の数は、0.25~10、0.25~8、0.25~7、0.25~6、0.25~5、0.25~4、0.25~3、0.25~2、2~10、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~10、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~8、5~7、5~6、6~10、6~8、6~7、7~10、7~8、又は8~10である。いくつかの実施形態では、ZnSシェルは2~12の単層を含む。いくつかの実施形態では、ZnSシェルは4~6つの単層を含む。
【0152】
[0152] いくつかの実施形態では、ZnS単層は約0.31nmの厚さを有する。
【0153】
[0153] いくつかの実施形態では、ZnSシェルは、0.08nm~3.5nm、0.08nm~2nm、0.08nm~0.9nm、0.08nm~0.7nm、0.08nm~0.5nm、0.08nm~0.2nm、0.2nm~3.5nm、0.2nm~2nm、0.2nm~0.9nm、0.2nm~0.7nm、0.2nm~0.5nm、0.5nm~3.5nm、0.5nm~2nm、0.5nm~0.9nm、0.5nm~0.7nm、0.7nm~3.5nm、0.7nm~2nm、0.7nm~0.9nm、0.9nm~3.5nm、0.9nm~2nm、又は2nm~3.5nmの厚さを有する。
【0154】
2つのシェル層を含むナノ構造体のワンポット生成
[0154] いくつかの実施形態では、単一の反応ベッセル内で少なくとも2つのシェルがコアInP上に堆積される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのシェルがInPコア上に堆積され、少なくとも1つのシェルは亜鉛を含む。
【0155】
[0155] いくつかの実施形態では、InPコアに接触させるシェル前駆体は、亜鉛源、硫黄源、及びセレン源を含む。
【0156】
[0156] いくつかの実施形態では、少なくとも2つのシェルが亜鉛を含む、InPと少なくとも2つのシェルとを含むナノ構造体は、
(a)亜鉛源と、InPを含むコアと、を混ぜることと、
(b)(a)と有機酸とを混ぜることと、
(c)(b)と少なくとも1種のシェル前駆体とを混ぜることと、
(d)約200℃~約310℃に温度を上昇、低下、又は維持することと、
(e)(d)と少なくとも1種のシェル前駆体とを混ぜることであって、少なくとも1種のシェル前駆体が(c)のシェル前駆体と異なる、混ぜることと、
(f)約200℃~約310℃に温度を上昇、低下、又は維持することと、
を含む方法により生成される。
【0157】
[0157] いくつかの実施形態では、本方法は、(a)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、(b)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、(f)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、(a)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることと、(b)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることと、をさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、(b)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることと、(f)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることと、をさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、(a)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることと、(f)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることと、をさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、(a)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることと、(b)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることと、(f)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることと、をさらに含む。
【0158】
[0158] いくつかの実施形態では、少なくとも2つのシェルが亜鉛を含む、InPと少なくとも2つのシェルとを含むナノ構造体は、
(a)亜鉛源と、InPを含むコアと、少なくとも1種の金属ハロゲン化物と、を混ぜることと、
(b)(a)と有機酸とを混ぜることと、
(c)(b)と少なくとも1種のシェル前駆体とを混ぜることと、
(d)約200℃~約310℃に温度を上昇、低下、又は維持することと、
(e)(d)と少なくとも1種のシェル前駆体とを混ぜることであって、少なくとも1種のシェル前駆体が(c)のシェル前駆体と異なる、混ぜることと、
(f)約200℃~約310℃に温度を上昇、低下、又は維持することと、
を含む方法により生成される。
【0159】
[0159] いくつかの実施形態では、本方法は、(b)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、(f)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、(b)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることと、(f)と少なくとも1種の金属ハロゲン化物とを混ぜることと、をさらに含む。
【0160】
[0160] いくつかの実施形態では、亜鉛源はジアルキル亜鉛化合物である。いくつかの実施形態では、亜鉛源は亜鉛カルボキシレートである。いくつかの実施形態では、亜鉛源は、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、亜鉛アセテート、亜鉛アセチルアセトネート、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、炭酸亜鉛、シアン化亜鉛、硝酸亜鉛、亜鉛オレエート、酸化亜鉛、過酸化亜鉛、過塩素酸亜鉛、硫酸亜鉛、亜鉛ヘキサノエート、亜鉛オクタノエート、亜鉛ラウレート、亜鉛ミリステート、亜鉛パルミテート、亜鉛ステアレート、亜鉛ジチオカルバメート、又はそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、亜鉛源は、亜鉛ジオレエート、亜鉛ヘキサノエート、亜鉛オクタノエート、亜鉛ラウレート、亜鉛ミリステート、亜鉛パルミテート、亜鉛ステアレート、亜鉛ジチオカルバメート、又はそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、亜鉛源は亜鉛ジオレエートである。いくつかの実施形態では、亜鉛源はin situで生成された亜鉛ジオレエートである。
【0161】
[0161] いくつかの実施形態では、硫黄源は、単体硫黄、オクタンチオール、ドデカンチオール、オクタデカンチオール、トリブチルホスフィンサルファイド、シクロヘキシルイソチオシアネート、α-トルエンチオール、エチレントリチオカーボネート、アリルメルカプタン、ビス(トリメチルシリル)サルファイド、トリオクチルホスフィンサルファイド、及びそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、硫黄源はアルキル置換亜鉛ジチオカルバメートである。いくつかの実施形態では、硫黄源はオクタンチオールである。いくつかの実施形態では、硫黄源はトリブチルホスフィンサルファイドである。
【0162】
[0162] いくつかの実施形態では、セレン源はアルキル置換セレノウレアである。いくつかの実施形態では、セレン源はホスフィンセレニドである。いくつかの実施形態では、セレン源は、トリオクチルホスフィンセレニド、トリ(n-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(sec-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(tert-ブチル)ホスフィンセレニド、トリメチルホスフィンセレニド、トリフェニルホスフィンセレニド、ジフェニルホスフィンセレニド、フェニルホスフィンセレニド、トリシクロヘキシルホスフィンセレニド、シクロヘキシルホスフィンセレニド、1-オクタンセレノール、1-ドデカンセレノール、セレノフェノール、単体セレン、セレン化水素、ビス(トリメチルシリル)セレニド、セレノウレア、及びそれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態では、セレン源は、トリ(n-ブチル)ホスフィンセレニド、トリ(sec-ブチル)ホスフィンセレニド、又はトリ(tert-ブチル)ホスフィンセレニドである。いくつかの実施形態では、セレン源はトリオクチルホスフィンセレニドである。
【0163】
[0163] いくつかの実施形態では、InPコア対亜鉛源のモル比は、1:2~1:1000、1:2~1:100、1:2~1:50、1:2~1:25、1:2~1:15、1:2~1:10、1:2~1:5、1:5~1:1000、1:5~1:100、1:5~1:50、1:5~1:25、1:5~1:15、1:5~1:10、1:10~1:1000、1:10~1:100、1:10~1:50、1:10~1:25、1:10~1:15、1:15~1:1000、1:15~1:100、1:15~1:50、1:15~1:25、1:25~1:1000、1:25~1:100、1:25~1:50、1:50~1:1000、1:50~1:100、又は1:100~1:1000である。
【0164】
[0164] いくつかの実施形態では、亜鉛源は亜鉛ジオレエートである。いくつかの実施形態では、亜鉛源はin situで調製された亜鉛ジオレエートである。いくつかの実施形態では、InPコア対亜鉛ジオレエートのモル比は、1:2~1:1000、1:2~1:100、1:2~1:50、1:2~1:25、1:2~1:15、1:2~1:10、1:2~1:5、1:5~1:1000、1:5~1:100、1:5~1:50、1:5~1:25、1:5~1:15、1:5~1:10、1:10~1:1000、1:10~1:100、1:10~1:50、1:10~1:25、1:10~1:15、1:15~1:1000、1:15~1:100、1:15~1:50、1:15~1:25、1:25~1:1000、1:25~1:100、1:25~1:50、1:50~1:1000、1:50~1:100、又は1:100~1:1000である。いくつかの実施形態では、InPコア対亜鉛ジオレエートのモル比は1:2~1:50である。いくつかの実施形態では、InPコア対亜鉛ジオレエートのモル比は1:20~1:30である。
【0165】
[0165] いくつかの実施形態では、InPコア対硫黄源のモル比は、1:2~1:1000、1:2~1:100、1:2~1:50、1:2~1:25、1:2~1:15、1:2~1:10、1:2~1:5、1:5~1:1000、1:5~1:100、1:5~1:50、1:5~1:25、1:5~1:15、1:5~1:10、1:10~1:1000、1:10~1:100、1:10~1:50、1:10~1:25、1:10~1:15、1:15~1:1000、1:15~1:100、1:15~1:50、1:15~1:25、1:25~1:1000、1:25~1:100、1:25~1:50、1:50~1:1000、1:50~1:100、又は1:100~1:1000である。
【0166】
[0166] いくつかの実施形態では、(d)の反応混合物の温度は、200℃~310℃、200℃~280℃、200℃~250℃、200℃~220℃、220℃~310℃、220℃~280℃、220℃~250℃、250℃~310℃、250℃~280℃、又は280℃~310℃である。いくつかの実施形態では、(d)の反応混合物の温度は250℃~310℃である。
【0167】
[0167] いくつかの実施形態では、(d)でこの温度に達する時間は、2~240分間、2~200分間、2~100分間、2~60分間、2~40分間、5~240分間、5~200分間、5~100分間、5~60分間、5~40分間、10~240分間、10~200分間、10~100分間、10~60分間、10~40分間、40~240分間、40~200分間、40~100分間、40~60分間、60~240分間、60~200分間、60~100分間、100~240分間、100~200分間、又は200~240分間である。
【0168】
[0168] いくつかの実施形態では、(d)の温度は、2~240分間、2~200分間、2~100分間、2~60分間、2~40分間、5~240分間、5~200分間、5~100分間、5~60分間、5~40分間、10~240分間、10~200分間、10~100分間、10~60分間、10~40分間、40~240分間、40~200分間、40~100分間、40~60分間、60~240分間、60~200分間、60~100分間、100~240分間、100~200分間、又は200~240分間にわたり維持される。いくつかの実施形態では、コア又はコア/シェル及びシェル前駆体を混ぜた後、反応混合物の温度は、30~120分間にわたり維持される。
【0169】
[0169] いくつかの実施形態では、(f)の温度は、200℃~310℃、200℃~280℃、200℃~250℃、200℃~220℃、220℃~310℃、220℃~280℃、220℃~250℃、250℃~310℃、250℃~280℃、又は280℃~310℃である。いくつかの実施形態では、(f)の温度は250℃~100℃である。
【0170】
[0170] いくつかの実施形態では、(f)でこの温度に達する時間は、2~240分間、2~200分間、2~100分間、2~60分間、2~40分間、5~240分間、5~200分間、5~100分間、5~60分間、5~40分間、10~240分間、10~200分間、10~100分間、10~60分間、10~40分間、40~240分間、40~200分間、40~100分間、40~60分間、60~240分間、60~200分間、60~100分間、100~240分間、100~200分間、又は200~240分間である。
【0171】
[0171] いくつかの実施形態では、(f)の温度は、2~240分間、2~200分間、2~100分間、2~60分間、2~40分間、5~240分間、5~200分間、5~100分間、5~60分間、5~40分間、10~240分間、10~200分間、10~100分間、10~60分間、10~40分間、40~240分間、40~200分間、40~100分間、40~60分間、60~240分間、60~200分間、60~100分間、100~240分間、100~200分間、又は200~240分間にわたり維持される。
【0172】
コアの酸エッチング
[0172] いくつかの実施形態では、コアは、コア上に1つ以上のシェルを堆積する前に酸でエッチングされる。いくつかの実施形態では、InPを含むコアは、(a)でエッチングされる。
【0173】
[0173] いくつかの実施形態では、エッチングに使用される酸は有機酸である。いくつかの実施形態では、有機酸は、カルボン酸、ホスホン酸、又はスルホン酸である。
【0174】
[0174] いくつかの実施形態では、エッチングに使用される酸は、ラウリン酸、ヘキサン酸、オレイン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、オクチルホスホン酸、2-エチルヘキサン酸、ミリスチン酸、デカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、又はそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、エッチングに使用される酸はオレイン酸である。
【0175】
[0175] いくつかの実施形態では、エッチングに使用される酸の濃度は、0.1M~5M、0.1M~4M、0.1M~3M、0.1M~2M、0.1M~2M、0.5M~5M、0.5M~4M、0.5M~3M、0.5M~2M、0.5M~1M、1M~5M、1M~4M、1M~3M、1M~2M、2M~5M、2M~4M、2M~3M、3M~5M、3M~4M、又は4M~5Mである。
【0176】
[0176] いくつかの実施形態では、InPコア対酸のモル比は約1:1~約1:1000である。いくつかの実施形態では、InPコア対酸のモル比は、約1:1~約1:1000、約1:1~約1:500、約1:1~約1:250、約1:1~約1:100、約1:1~約1:50、約1:2~約1:1000、約1:2~約1:500、約1:2~約1:250、約1:2~約1:100、約1:2~約1:50、約1:5~約1:1000、約1:5~約1:500、約1:5~約1:250、約1:5~約1:100、約1:5~約1:50、約1:10~約1:1000、約1:10~約1:500、約1:10~約1:250、約1:10~約1:100、又は約1:10~約1:50である。いくつかの実施形態では、InPコア対酸のモル比は約1:5~約1:20である。
【0177】
亜鉛ジオレエートのin situ生成
[0177] いくつかの実施形態では、金属カルボキシレートは亜鉛カルボキシレートである。いくつかの実施形態では、亜鉛カルボキシレートは亜鉛ジオレエートである。いくつかの実施形態では、亜鉛カルボキシレートはin situ調製された亜鉛ジオレエートである。
【0178】
[0178] 亜鉛ジオレエートが亜鉛カルボキシレートとして使用されるとき、InP/ZnSe/ZnSコア/シェルナノ構造体の合成は、亜鉛ジオレエート前駆体の純度に大きく依拠する。特定的には、ナノ構造体の品質は、亜鉛ジオレエートの品質に密接に関連する。市販の亜鉛ジオレエートは、不十分な量子収率を有するナノ構造体を生成することが明らかにされている。また、市販の亜鉛ジオレエートは、貯蔵条件及び貯蔵時間に非常に敏感である。亜鉛ジオレエートは、明確に規定された結晶構造を有しておらず、湿分に非常に敏感である。
【0179】
[0179] 亜鉛ジオレエートは、比較的化学的に不安定である。水は、亜鉛ジオレエートに水和してオレイン酸を放出可能であるとともに、部分的にZn(OH)x(式中、0<x<2)を形成可能であると推定される。事実上、ZnOナノ結晶の生成のための古典的反応は、亜鉛カルボキシレートを水和させることである。この反応は周囲温度で実施され、非常に負のギブズ自由エネルギーを有する自発的プロセスであることが実証されている。これにより、なぜ亜鉛ジオレエートが湿分にそれほど敏感であるかを説明可能である。InP量子ドットのシェル化プロセスに湿分混入亜鉛ジオレエートを使用すると量子収率が劇的に減少することが見いだされた。したがって、亜鉛ジオレエートを用いて調製される少なくとも1つのシェルを含むInP量子ドットの量子収率を増加させるために湿分を回避することが重要である。
【0180】
金属ハロゲン化物
[0180] いくつかの実施形態では、少なくとも2つのシェルが亜鉛を含む、InPと少なくとも2つのシェルとを含むナノ構造体の生成方法は、少なくとも1種の金属ハロゲン化物を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、1、2、3、4、5、又は6種の金属ハロゲン化物を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのシェルが亜鉛を含む、InPと少なくとも2つのシェルとを含むナノ構造体の生成方法は、1種の金属ハロゲン化物を含む。
【0181】
[0181] いくつかの実施形態では、少なくとも1種の金属ハロゲン化物は、LiF、NaF、KF、CuF、AgF、AuF、CuCl、AgCl、LiCl、NaCl、KCl、LiBr、CuBr、AgBr、AuBr、NaBr、KBr、CuI、AgI、AuI、LiI、NaI、KI、BeF2、MgF2、CaF2、SrF2、SnF2、PbF2、ZnF2、HgF2、BeCl2、MgCl2、CaCl2、SrCl2、SnCl2、PbCl2、ZnCl2、HgCl2、BeBr2、MgBr2、CaBr2、SrBr2、ZnBr2、HgBr2、SnBr2、PbBr2、BeI2、MgI2、CaI2、SrI2、ZnI2、HgI2、SnI2、PbI2、AlF3、GaF3、InF3、YF3、AlCl3、GaCl3、InCl3、YCl3、AlBr3、GaBr3、InBr3、YBr3、AlI3、GaI3、InI3、YI3、ZrF4、TiF4、HfF4、ZrCl4、TiCl4、HfCl4、ZrBr4、TiBr4、HfBr4、ZrI4、TiI4、HfI4、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0182】
[0182] いくつかの実施形態では、少なくとも1種の金属ハロゲン化物は、ZnBr2、ZnCl2、GaCl3、ZrCl4、AlCl3、YCl3、又はMgBr2からなる群から選択される。
【0183】
[0183] いくつかの実施形態では、少なくとも1種の金属ハロゲン化物はZnCl2である。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の金属ハロゲン化物はGaCl3及びZnBr2である。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の金属ハロゲン化物はZrCl4である。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の金属ハロゲン化物はAlCl3及びZnBr2である。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の金属ハロゲン化物は、ZrCl4、YCl3、及びMgBr2である。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の金属ハロゲン化物はZrCl4及びYCl3である。
【0184】
金属ハロゲン化物の濃度
[0184] ナノ構造体中の少なくとも1種の金属ハロゲン化物の濃度は、光学濃度(OD)測定により決定可能である。ODは、1cm路長キュベットを用いて450nmで測定可能である。OD450=1.5を有する100μLナノ構造体では、少なくとも1種の金属ハロゲン化物の濃度は、約0.01mM~約40mM、約0.01mM~約20mM、約0.01mM~約10mM、約0.01mM~約5mM、約0.01mM~約2.5mM、約0.01mM~約1.5mM、約0.01mM~約1mM、約0.01mM~約0.5mM、約0.01mM~約0.25mM、約0.25mM~約40mM、約0.25mM~約20mM、約0.25mM~約10mM、約0.25mM~約5mM、約0.25mM~約2.5mM、約0.25mM~約1.5mM、約0.25mM~約1.5mM、約0.25mM~約1mM、約0.25mM~約0.5mM、約0.25mM~約0.25mM、約0.5mM~約40mM、約0.5mM~約20mM、約0.5mM~約10mM、約0.5mM~約5mM、約0.5mM~約2.5mM、約0.5mM~約1.5mM、約0.5mM~約1mM、約mM~約40mM、約1mM~約20mM、約1mM~約10mM、約1mM~約5mM、約1mM~約2.5mM、約1mM~約1.5mM、約1.5mM~約40mM、約1.5mM~約20mM、約1.5mM~約10mM、約1.5mM~約5mM、約1.5mM~約2.5mM、約2.5mM~約40mM、約2.5mM~約20mM、約2.5mM~約10mM、約2.5mM~約5mM、約5mM~約40mM、約5mM~約20mM、約5mM~約10mM、約10mM~約40mM、約10mM~約20mM、又は約20mM~約40mMである。OD450=1.5を有する100μLナノ構造体では、少なくとも1種の金属ハロゲン化物の濃度は約1mM~約2.5mMである。
【0185】
金属ハロゲン化物対InPを含むコアの比
[0185] いくつかの実施形態では、少なくとも1種の金属ハロゲン化物対InPコアのモル比は、約1:1~約1:8、約1:1~約1:7、1:1~約1:6、約1:1~約1:5、約1:1~約1:4、約1:1~約1:3、約1:1~約1:2、約1:2~約1:8、約1:2~約1:7、約1:2~約1:6、約1:2~約1:5、約1:2~約1:4、約1:2~約1:3、約1:3~約1:8、約1:3~約1:7、約1:3~約1:6、約1:3~約1:5、約1:3~約1:4、約1:4~約1:8、約1:4~約1:7、約1:4~約1:6、約1:4~約1:5、約1:5~約1:8、約1:5~約1:7、約1:5~約1:6、約1:6~約1:8、約1:6~約1:7、又は約1:7~約1:8である。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の金属ハロゲン化物対InPコアのモル比は約1:1~約1:3である。
【0186】
コア/シェルナノ構造体
[0186] いくつかの実施形態では、コア/シェルナノ構造体は、米国特許出願公開第2017/0306227号(その全体が参照により組み込まれる)の方法を用いて調製される。
【0187】
[0187] いくつかの実施形態では、コア/シェルナノ構造体はInP/ZnSe/ZnSナノ構造体である。
【0188】
溶媒
[0188] いくつかの実施形態では、少なくとも2つのシェルが亜鉛を含む、InPと少なくとも2つのシェルとを含むナノ構造体の生成方法は、溶媒をさらに含む。
【0189】
[0189] いくつかの実施形態では、溶媒は、クロロホルム、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、ブタノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、1,4-ブタンジオールジアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、グリセリルトリアセテート、ヘプチルアセテート、ヘキシルアセテート、ペンチルアセテート、ブチルアセテート、エチルアセテート、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、モノメチルエーテルグリコールエステル、γ-ブチロラクトン、メチル酢酸-3-エチルエーテル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、プロパンジオールモノメチルエーテル、プロパンジオールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール、及びそれらの組合せからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、溶媒は、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、又はクロロホルムである。
【0190】
ナノ構造体の改善された性質
[0190] いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を用いて調製されたコア/シェルナノ構造体は、高いフォトルミネッセンス量子収率を呈する。いくつかの実施形態では、コア/シェルナノ構造体は、60%~100%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~70%、70%~100%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、70%~80%、80%~100%、80%~95%、80%~90%、80%~85%、85%~100%、85%~95%、80%~85%、85%~100%、85%~90%、90%~100%、90%~95%、又は95%~100%のフォトルミネッセンス量子収率を有しうる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を用いて調製されたコア/シェルナノ構造体は、95%~98%のフォトルミネッセンス量子収率を有する。
【0191】
[0191] 本明細書に記載の方法を用いて調製されたコア/シェルナノ構造体のフォトルミネッセンススペクトルは、スペクトルの本質的にいずれの所望の部分もカバー可能である。いくつかの実施形態では、コア/シェルナノ構造体のフォトルミネッセンススペクトルは、300nm~750nm、300nm~650nm、300nm~550nm、300nm~450nm、450nm~750nm、450nm~650nm、450nm~550nm、450nm~750nm、450nm~650nm、450nm~550nm、550nm~750nm、550nm~650nm、又は650nm~750nmに放出極大を有する。いくつかの実施形態では、コア/シェルナノ構造体のフォトルミネッセンススペクトルは、500nm~550nmに放出極大を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を用いて調製されたコア/シェルナノ構造体のフォトルミネッセンススペクトルは、600nm~650nmに放出極大を有する。
【0192】
[0192] 本明細書に記載の方法を用いて調製されたコア/シェルナノ構造体のサイズ分布は、比較的狭いものでありうる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を用いて調製された集団又はコア/シェルナノ構造体のフォトルミネッセンススペクトルは、10nm~60nm、10nm~40nm、10nm~30nm、10nm~20nmで、20nm~60nm、20nm~40nm、20nm~30nm、30nm~60nm、30nm~40nm、又は40nm~60nmの半値全幅を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を用いて調製された集団又はコア/シェルのナノ構造体のフォトルミネッセンススペクトルは、35nm~45nmの半値全幅を有する。
【0193】
ナノ構造体フィルム
[0193] いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法により調製されたコア/シェルナノ構造体は、ナノ構造体フィルムに組み込まれる。いくつかの実施形態では、ナノ構造体フィルムは、量子ドット増強フィルム(QDEF)に組み込まれる。
【0194】
[0194] いくつかの実施形態では、本開示は、ナノ構造体の少なくとも1つの集団を含むナノ構造体フィルムであって、ナノ構造体がリン化インジウムを含むコア及び少なくとも2つのシェルであり、シェルの少なくとも1つが亜鉛を含み、ナノ構造体が約90%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈し、且つナノ構造体が45nm未満の半値全幅を有する、ナノ構造体フィルムを提供する。
【0195】
[0195] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0196】
[0196] いくつかの実施形態では、本開示は、
(a)ナノ構造体の少なくとも1つの集団であって、ナノ構造体がリン化インジウムを含むコアと少なくとも2つのシェルとを含み、シェルの少なくとも1つが亜鉛を含み、ナノ構造体が約90%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈し、且つナノ構造体が45nm未満の半値全幅を有する、ナノ構造体の少なくとも1つの集団と、
(b)少なくとも1種の有機樹脂と、
を含むナノ構造体フィルムを提供する。
【0197】
[0197] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は量子ドットである。
【0198】
[0198] いくつかの実施形態では、コア/シェルナノ構造体はマトリックスに埋め込まれる。本明細書で用いられる場合、「埋め込まれる」という用語は、マトリックスのマジョリティー成分を構成するマトリックス材料内にナノ構造体が包囲又は収容されることを意味するものとして用いられる。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、マトリックス材料全体にわたり一様分布する。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、特定用途向け一様分布関数に従って分布する。
【0199】
[0199] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、青色可視波長スペクトル、緑色可視波長スペクトル、又は赤色可視波長スペクトルで放出するサイズを有する均一な集団を含みうる。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、青色可視波長スペクトルで放出するサイズを有するナノ構造体の第1の集団と、緑色可視波長スペクトルで放出するサイズを有するナノ構造体の第2の集団と、赤色可視波長スペクトルで放出するサイズを有するナノ構造体の第3の集団と、を含みうる。
【0200】
[0200] マトリックス材料は、ナノ構造体を収容可能ないずれかの好適なホストマトリックス材料でありうる。好適なマトリックス材料は、ナノ構造体及びデバイスにナノ構造体フィルムを適用する際に使用されるいずれの周囲パッケージング材料又は層にも化学的且つ光学的に適合可能でありうる。好適なマトリックス材料は、一次光及び二次光の両方に対して透明な非黄変光学材料を含みうるので、一次光及び二次光の両方がマトリックス材料を透過するようにできる。マトリックス材料は、ポリマー並びに有機及び無機酸化物を含みうる。マトリックス材料に使用するのに好適なポリマーは、かかる目的に使用可能な当業者に公知のいずれかのポリマーでありうる。ポリマーは、実質的に半透明又は実質的に透明でありうる。マトリックス材料は、限定されるものではないが、エポキシ、アクリレート、ノルボルネン、ポリエチレン、ポリ(ビニールブチラール):ポリ(ビニルアセテート)、ポリウレア、ポリウレタン、シリコーン及びシリコーン誘導体、たとえば、限定されるものではないが、アミノシリコーン(AMS)、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリフェニルアルキルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、シルセスキオキサン、フッ素化シリコーン、並びにビニル及びハイドライド置換シリコーン、モノマー、たとえば、限定されるものではないが、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びラウリルメタクリレートから生成されるアクリル系ポリマー及びコポリマー、スチレン系ポリマー、たとえば、ポリスチレン、アミノポリスチレン(APS)、及びポリ(アクリロニトリルエチレンスチレン)(AES)、ジビニルベンゼンなどの二官能性モノマーで架橋されたポリマー、配位子材料を架橋するのに好適な架橋剤、配位子アミン(たとえば、APS又はポリエチレンイミン配位子アミン)と組み合わされてエポキシを形成するエポキシドなどを含みうる。
【0201】
[0201] いくつかの実施形態では、マトリックス材料は、ナノ構造体フィルムの光変換効率を改善可能なTiO2マイクロビーズ、ZnSマイクロビーズ、ガラスマイクロビーズなどの散乱性マイクロビーズを含む。いくつかの実施形態では、マトリックス材料は、遮光エレメントを含みうる。
【0202】
[0202] いくつかの実施形態では、マトリックス材料は、低い酸素及び湿分透過性を有し、高い光及び化学安定性を呈し、有利な屈折率を呈し、且つナノ構造体の外表面に接着してナノ構造体を保護する気密シールを提供することが可能である。他の一実施形態では、マトリックス材料は、UV又は熱硬化法により硬化可能であり、ロールツーロール処理を促進することが可能である。
【0203】
[0203] いくつかの実施形態では、ナノ構造体フィルムは、ナノ構造体をポリマー(たとえばフォトレジスト)中で混合してナノ構造体-ポリマー混合物を基材上にキャストすることにより、ナノ構造体とモノマーとを混合してそれらを重合一体化することにより、ゾル-ゲル中でナノ構造体を混合して酸化物を形成することにより、又は当業者に公知のいずれかの他の方法により、形成可能である。
【0204】
[0204] いくつかの実施形態では、ナノ構造体フィルムの形成は、フィルム押出しプロセスを含みうる。フィルム押出しプロセスは、マトリックス材料と、金属ハロゲン化物及び/又は金属カルボキシレートで官能基化されたナノ構造体などのバリア層被覆コア-シェルナノ構造体と、の均一混合物を形成することと、押出し機に供給するトップ取付けホッパーに均一混合物を導入することと、を含みうる。いくつかの実施形態では、均一混合物はペレットの形態でありうる。フィルム押出しプロセスは、ナノ構造体フィルムをスロットダイから押し出すことと、押し出されたナノ構造体フィルムをチルロールに通すことと、をさらに含みうる。いくつかの実施形態では、押し出されたナノ構造体フィルムは、約75μm未満、たとえば、約70μm~約40μm、約65μm~約40μm、約60μm~約40μm、又は約50μm~約40μmの範囲内の厚さを有しうる。いくつかの実施形態では、ナノ構造体フィルムは約10μm未満の厚さを有する。いくつかの実施形態では、ナノ構造体フィルムの形成は、フィルム押出しプロセスに続いて二次プロセスを任意選択的に含みうる。二次プロセスは、共押出し、サーモフォーミング、バキュームフォーミング、プラズマ処理、成形、及び/又はナノ構造体フィルム層のトップ表面にテクスチャーを提供するためのエンボス加工などのプロセスを含みうる。テクスチャートップ表面ナノ構造体フィルムは、たとえば、ナノ構造体フィルムの規定の光拡散性及び/又は規定の角度発光性の改善を助けることが可能である。
【0205】
ナノ構造体成形物品
[0205] いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物は、ナノ構造体成形物品を形成するために使用される。いくつかの実施形態では、ナノ構造体成形物品は、液晶ディスプレイ(LCD)又は発光ダイオード(LED)である。いくつかの実施形態では、ナノ構造体組成物は、照明デバイスの放出層を形成するために使用される。照明デバイスは、フレキシブル電子部品、タッチスクリーン、モニター、テレビ、セルフォン、いずれかの他の高解像度ディスプレイなどの多種多様な用途に使用可能である。いくつかの実施形態では、照明デバイスは、発光ダイオード又は液晶ディスプレイである。いくつかの実施形態では、照明デバイスは、量子ドット発光ダイオード(QLED)である。QLEDの例は、米国特許出願第15/824,701号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0206】
[0206] いくつかの実施形態では、本開示は、
(a)第1の伝導層と、
(b)第2の伝導層と、
(c)第1の伝導層と第2の伝導層との間の放出層であって、放出層が(i)ナノ構造体の少なくとも1つの集団を含み、ナノ構造体がリン化インジウムを含むコアと少なくとも2つのシェルとを含み、シェルの少なくとも1つが亜鉛を含み、ナノ構造体が約90%~約100%のフォトルミネッセンス量子収率を呈し、且つナノ構造体が45nm未満の半値全幅を有する、放出層と、
を含む発光ダイオードを提供する。
【0207】
[0207] いくつかの実施形態では、放出層はナノ構造体フィルムである。
【0208】
[0208] いくつかの実施形態では、発光ダイオードは、第1の伝導層と第2の伝導層と放出層とを含み、放出層は、第1の伝導層と第2の伝導層との間に配置される。いくつかの実施形態では、放出層は薄いフィルムである。
【0209】
[0209] いくつかの実施形態では、発光ダイオードは、第1の伝導層と第2の伝導層との間に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層などの追加の層を含む。いくつかの実施形態では、正孔注入層、正孔輸送層、及び電子輸送層は薄いフィルムである。いくつかの実施形態では、層は基材上でスタックされる。
【0210】
[0210] 第1の伝導層及び第2の伝導層に電圧が印加されたとき、第1の伝導層で注入された正孔は、正孔注入層及び/又は正孔輸送層を介して放出層に移動し、且つ第2の伝導層から注入された電子は、電子輸送層を介して放出層に移動する。正孔及び電子は、放出層で再び組み合わされて励起子を発生する。
【0211】
量子ドットオンガラスLCDディスプレイデバイス
[0211] いくつかの実施形態では、ナノ構造体フィルムは、量子ドットオンガラスLCDディスプレイデバイスに組み込まれる。LCDディスプレイデバイスは、中間基材やバリア層を必要とすることなく、ライトガイドプレート(LGP)上に直接形成されたナノ構造体フィルムを含みうる。いくつかの実施形態では、ナノ構造体フィルムは薄いフィルムでありうる。いくつかの実施形態では、ナノ構造体フィルムは、500μm以下、100μm以下、又は50μm以下の厚さを有しうる。いくつかの実施形態では、ナノ構造体フィルムは、約15μm以下の厚さを有する薄いフィルムである。
【0212】
[0212] LGPは、少なくともトップ面を含めて、ガラスを含む1つ以上の面を有する光学キャビティーを含みうる。ガラスは、湿分や空気をはじめとする不純物に対して優れた耐性を提供する。さらに、ガラスは、構造剛性を維持しつつ薄い基材として形成可能である。したがって、LGPは、十分なバリア性及び構造性を有する基材を提供するために少なくとも部分的にはガラス表面で形成可能である。
【0213】
[0213] いくつかの実施形態では、ナノ構造体フィルムは、LGP上に形成可能である。いくつかの実施形態では、ナノ構造体フィルムは、樹脂などのマトリックス材料に埋め込まれたナノ構造体の集団を含む。ナノ構造体フィルムは、湿式コーティング、ペインティング、スピンコーティング、スクリーンプリンティングなどの当技術分野で公知のいずれかの方法によりLGP上に形成可能である。堆積後、ナノ構造体フィルムの樹脂は、硬化可能である。いくつかの実施形態では、1つ以上のナノ構造体フィルムの樹脂は、部分硬化、さらなる処理、次いで最終硬化が可能である。ナノ構造体フィルムは、1つの層として又は個別の層として堆積可能であり、且つ個別の層は、さまざまな性質を含みうる。ナノ構造体フィルムの幅及び高さは、ディスプレイデバイスの目視パネルのサイズに依存して任意の所望の寸法でありうる。たとえば、ナノ構造体フィルムは、時計や電話などの小型ディスプレイデバイス実施形態で比較的小さな表面積を有しうるか、又はナノ構造体フィルムは、TVやコンピューターモニターなどの大型ディスプレイデバイス実施形態で大きな表面積を有しうる。
【0214】
[0214] いくつかの実施形態では、真空堆積、気相堆積などの当技術分野で公知のいずれかの方法により、ナノ構造体フィルム上に光学透明基材が生成される。光学透明基材は、ナノ構造体フィルムの下層及び/又は構造体に環境シーリングを提供するように構成可能である。いくつかの実施形態では、光学透明基材に遮光エレメントが含まれうる。いくつかの実施形態では、遮光エレメントは、基材とナノ構造体フィルムとの間に位置決め可能な第2の偏光フィルターに含まれうる。いくつかの実施形態では、遮光エレメントは、ダイクロイックフィルターでありうるとともに、それは、たとえば、二次光を透過しつつ一次光(たとえば、青色光、UV光、又はUV光と青色光との組合せ)を反射可能である。遮光エレメントは、赤色及び緑色サブピクセルからのいずれの未変換UV光も及び/又は青色サブピクセルからのUV光を除去するために、特定のUV光フィルターコンポーネントを含みうる。
【0215】
量子ドットのオンチップ及びニアチップ配置
[0215] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、「オンチップ」配置によりディスプレイデバイスに組み込まれる。本明細書で用いられる場合、「オンチップ」とは、LEDカップ内にナノ構造体を配置することを意味する。いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、LEDカップを満たす樹脂又は流体に溶解される。
【0216】
[0216] いくつかの実施形態では、ナノ構造体は、「ニアチップ」配置によりディスプレイデバイスに組み込まれる。本明細書で用いられる場合、「ニアチップ」とは、出射光がナノ構造体フィルムを通り抜けるように、LEDアセンブリーのトップ表面をナノ構造体で被覆することを意味する。
【0217】
ナノ構造体色変換層を有するディスプレイデバイス
[0217] いくつかの実施形態では、本発明は、
(a)第1の光を放出するディスプレイパネルと、
(b)第1の光をディスプレイパネルに提供するように構成されたバックライトユニットと、
(c)色変換層を含む少なくとも1つのピクセル領域を含むカラーフィルターと、
を含むディスプレイデバイスを提供する。
【0218】
[0218] いくつかの実施形態では、カラーフィルターは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のピクセル領域を含む。いくつかの実施形態では、青色光がカラーフィルターに入射するとき、赤色光、白色光、緑色光、及び/又は、青色光は、それぞれ、ピクセル領域を通って放出されうる。いくつかの実施形態では、カラーフィルターは、米国特許出願公開第2017/153366号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0219】
[0219] いくつかの実施形態では、各ピクセル領域は色変換層を含む。いくつかの実施形態では、色変換層は、入射光を第1の色の光に変換するように構成された本明細書に記載のナノ構造体を含む。いくつかの実施形態では、色変換層は、入射光を青色光に変換するように構成された本明細書に記載のナノ構造体を含む。
【0220】
[0220] いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイスは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10の色変換層を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイスは、本明細書に記載のナノ構造体を含む1つの色変換層を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイスは、本明細書に記載のナノ構造体を含む2つの色変換層を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイスは、本明細書に記載のナノ構造体を含む3つの色変換層を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイスは、本明細書に記載のナノ構造体を含む4つの色変換層を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイスは、少なくとも1つの赤色変換層と、少なくとも1つの縁色変換層と、少なくとも1つの青色変換層と、を含む。
【0221】
[0221] いくつかの実施形態では、色変換層は、約3μm~約10μm、約3μm~約8μm、約3μm~約6μm、約6μm~約10μm、約6μm~約8μm、又は約8μm~約10μmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、色変換層は、約3μm~約10μmの厚さを有する。
【0222】
[0222] ナノ構造体色変換層は、限定されるものではないが、ペインティング、スプレーコーティング、溶媒スプレーイング、湿式コーティング、接着コーティング、スピンコーティング、テープコーティング、ロールコーティング、フローコーティング、インクジェットプリンティング、フォトレジストパターニング、ドロップキャスティング、ブレードコーティング、ミスト堆積、それらの組合せなどの当技術分野で公知のいずれかの好適な方法により堆積可能である。いくつかの実施形態では、ナノ構造体色変換層は、フォトレジストパターニングにより堆積される。いくつかの実施形態では、ナノ構造体色変換層は、インクジェットプリンティングにより堆積される。
【0223】
インクジェットプリンティング
[0223] 有機溶媒中のナノ構造体のディスパージョンを用いる薄いフィルムの形成は、多くの場合、スピンコーティングなどのコーティング技術により達成される。しかしながら、こうしたコーティング技術は、大きな面積にわたる薄いフィルムの形成に一般に好適ではなく、しかも堆積層をパターニングする手段を提供しないので、使用が限られる。インクジェットプリンティングは、薄いフィルムの正確に光パターニングされた配置を低コストで大きなスケールで可能にする。インクジェットプリントはまた、ナノ構造体層の精密なパターニングを可能にし、ディスプレイのピクセルのプリンティングを可能にし、且つ光パターニングを不要にする。そのため、インクジェットプリンティングは、産業用途とくにディスプレイ用途に非常に魅力的である。
【0224】
[0224] インクジェットプリンティングに一般に使用される溶媒は、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(DPMA)、ポリグリシジルメタクリレート(PGMA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(EDGAC)、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)である。揮発性溶媒は、迅速乾燥を可能にするので、インクジェットプリントでも頻繁に使用される。揮発性溶媒としては、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルアセテート、及びテトラヒドロフランが挙げられる。従来のナノ構造体は、一般に、これらの溶媒に溶解することができない。しかしながら、ポリ(アルキレンオキサイド)配位子を含むナノ構造体の親水性の増加は、これらの溶媒への溶解性の増加を可能にする。
【0225】
[0225] いくつかの実施形態では、インクジェットプリンティングに使用される本明細書に記載のナノ構造体は、DPMA、PGMA、EDGAC、PGMEA、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルアセテート、テトラヒドロフラン、クロロホルム、クロロベンゼン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ヘキサデカン、ウンデカン、デカン、ドデカン、キシレン、トルエン、ベンゼン、オクタデカン、テトラデカン、ブチルエーテル、又はそれらの組合せから選択される溶媒中に分散される。いくつかの実施形態では、インクジェットプリンティングに使用される本明細書に記載のポリ(アルキレンオキサイド)配位子を含むナノ構造体は、DPMA、PGMA、EDGAC、PGMEA、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルアセテート、テトラヒドロフラン、又はそれらの組合せから選択される溶媒中に分散される。
【0226】
[0226] インクジェットプリンティング又はマイクロディスペンシングにより適用するために、ナノ構造体を含むインクジェット組成物は、好適な溶媒に溶解されるべきである。溶媒は、ナノ構造体組成物を分散できるものでなければならならず、且つ選ばれたプリントヘッドに対していかなる有害作用も有していてはならない。
【0227】
[0227] いくつかの実施形態では、インクジェット組成物は、界面活性化合物、滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水剤、接着剤、流動性向上剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、補助剤、着色剤、染料、顔料、増感剤、安定剤、抑制剤などの1つ以上の追加の成分をさらに含む。
【0228】
[0228] いくつかの実施形態では、本明細書に記載のナノ構造体組成物は、重量基準でインクジェット組成物の約0.01%~約20%を構成する。いくつかの実施形態では、ポリ(アルキレンオキサイド)配位子を含むナノ構造体は、重量基準でインクジェット組成物の約0.01%~約20%、約0.01%~約15%、約0.01%~約10%、約0.01%~約5%、約0.01%~約2%、約0.01%~約1%、約0.01%~約0.1%、約0.01%~約0.05%、約0.05%~約20%、約0.05%~約15%、約0.05%~約10%、約0.05%~約5%、約0.05%~約2%、約0.05%~約1%、約0.05%~約0.1%、約0.1%~約20%、約0.1%~約15%、約0.1%~約10%、約0.1%~約5%、約0.1%~約2%、約0.1%~約1%、約0.5%~約20%、約0.5%~約15%、約0.5%~約10%、約0.5%~約5%、約0.5%~約2%、約0.5%~約1%、約1%~約20%、約1%~約15%、約1%~約10%、約1%~約5%、約1%~約2%、約2%~約20%、約2%~約15%、約2%~約10%、約2%~約5%、約5%~約20%、約5%~約15%、約5%~約10%、約10%~約20%、約10%~約15%、又は約15%~20%を構成する。
【0229】
[0229] いくつかの実施形態では、本明細書に記載のナノ構造体又はナノ構造体組成物を含むインクジェット組成物は、電子デバイスの処方に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のナノ構造体又はナノ構造体組成物を含むインクジェット組成物は、ナノ構造体フィルム、ディスプレイデバイス、照明デバイス、バックライトユニット、カラーフィルター、表面発光デバイス、電極、磁気メモリーデバイス、及びバッテリーからなる群から選択される電子デバイスの処方に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のナノ構造体組成物を含むインクジェット組成物は、発光デバイスの処方に使用される。
【実施例】
【0230】
実施例
[0230] 下記の実施例は、本明細書に記載のプロダクト及び方法の例示的且つ非限定的な例である。当該分野で通常遭遇し且つ本開示に鑑みて当業者に自明なさまざまな条件、処方、及び他のパラメーターの好適な変更及び適合化は、本発明の趣旨及び範囲に含まれる。
【0231】
実施例1
in situ亜鉛ジオレエート(Zn(OA)2)の調製方法
[0231] Zn(OAc)2、対応するオレイン酸、及びシェル化プロセスに使用される試薬(1-オクタデセン及びラウリン酸)を反応器にロードした。100℃に混合物を加熱した。反応混合物が100℃に達したとき、亜鉛ジオレエート(Zn(OA)2)の形成が開始された。真空を用いて酢酸を連続的に除去することにより、このプロセスを促進した。小スケールで亜鉛アセテートを10分以内に完全に溶解した。溶解には5リットルスケールで60分間かかり、200ガロンスケールで約100分間かかった。
【0232】
[0232] in situ亜鉛ジオレエートの形成後、溶液は透明であった。一方、シェル化プロセス前に調製(及び貯蔵)された亜鉛ジオレエートは、溶解後、暗褐色~黄色であった。これはin situ亜鉛ジオレエートが高品質であることを意味する。
【0233】
[0233] in situ亜鉛ジオレエートの形成後、米国特許出願公開第2017/306227号に記載の方法を用いて、InP/ZnSe/ZnSナノ構造体を調製した。異なる溶解条件を用いて調製されたInP/ZnSe/ZnSナノ構造体のピーク吸収波長、ピーク放出波長、半値全幅(FWHM)、及び量子収率(QY)の比較は、表1に示される。
【0234】
【0235】
表1に示されるように、in situ生成Zn(OA)2を用いるZnSe及びZnSシェル層の追加は、ほぼ95%の量子収率のInP/ZnSe/ZnS量子ドットを提供した。また、このプロセスは、94.1%の量子収率のInP/ZnSe/ZnSナノ構造体を生成した200ガロン反応器での使用まで容易にスケールアップされた。
【0236】
実施例2
金属ハロゲン化物を用いるInP/ZnSe/ZnS量子ドットの典型的合成手順
[0234] 典型的手順では、亜鉛ジオレエート、ラウリン酸、及び1-オクタデセンを反応フラスコに添加して、温度を110℃に上昇させた。コア溶液を反応混合物に添加して、所望のサイズに達するまでコアをエッチングした。トリオクチルホスフィンセレニドを反応混合物に添加して、温度を270℃に増加させた。次いで、デカンチオールを270℃で反応混合物に添加した。反応混合物の温度を310℃に増加させて保持した。得られた量子ドットを精製して反応副生成物及び過剰の反応剤を除去した。
【0237】
[0235] シェル化プロセスのさまざまな段階で金属ハロゲン化物を導入することにより、97%を超える量子収率が得られることが見いだされた。たとえば、コアエッチング前にZnCl2を導入することにより、量子収率の3%増加が得られた。また、コアエッチング後にGaCl3/ZnBr2をさらに導入することにより、量子収率の追加の2%増加が得られた。最後に、精製量子ドットをZnCl2でさらに処理することにより、量子収率の追加の3%増加が得られた。
【0238】
[0236] 合成されたInP/ZnSe/ZnS量子ドットのピーク波長(PWL)、半値全幅(FWHM)、及び量子収率(QY)の詳細は、表2に示される。表2の実施例4~8は、緑色波長で放出される量子ドットの結果であり、実施例9及び10は、赤色波長で放出される量子ドットの結果である。
【0239】
【0240】
[0237] 金属ハロゲン化物の他の組合せをシェル化プロセスの各種段階で添加した。表3に示されるように、コアエッチング後、ZrCl4、AlCl3/ZnBr2、ZrCl4/YCl3/MgBr2、又はZrCl4/YCl3でGaCl3/ZnBr2を置き換えることにより、より高い量子収率が得られた。
【0241】
【0242】
実施例3
サンプル7のInP/ZnSe/ZnS量子ドットの調製
[0238] イナート雰囲気下で100mL反応フラスコに10.4g亜鉛ジオレエート、0.56gオレイン酸、50mg塩化亜鉛、及び10mL 1-オクタデセンを添加した。撹拌しながら真空下で150℃に混合物を加熱して15分間保持した。15分間の保持時間後、フラスコに窒素を再充填して、0.1g InPコアを反応混合物に注入した。15分後、50mgの塩化ガリウム及び50mgの臭化亜鉛を添加した。300℃に溶液を加熱した。4.8mLの2Mトリオクチルホスフィンセレニドを5分間にわたりフラスコに注入し、続いて、2.5mLのドデカンチオールを5分間にわたりフラスコに注入した。溶液を60分間保持した。次いで、溶液を室温に冷却した後、さらなる精製を行った。
【0243】
実施例4
サンプル8のInP/ZnSe/ZnS量子ドットの調製
[0239] イナート雰囲気下で100mL反応フラスコに10.4g亜鉛ジオレエート、0.56gオレイン酸、50mg塩化亜鉛、及び10mL 1-オクタデセンを添加した。撹拌しながら真空下で150℃に混合物を加熱して15分間保持した。15分間の保持時間後、フラスコに窒素を再充填して、0.1g InPコアを反応混合物に注入した。15分後、50mgの塩化ガリウム及び50mgの臭化亜鉛を添加した。300℃に溶液を加熱した。4.8mLの2Mトリオクチルホスフィンセレニドを5分間にわたりフラスコに注入し、続いて、2.5mLのドデカンチオールを5分間にわたりフラスコに注入した。溶液を60分間保持した。
【0244】
[0240] 量子ドットを1体積のトルエン及び2体積のエタノールで洗浄した。濁った溶液を4000rpmで5分間遠心分離した。上澄み液を廃棄し、そして5mLのトルエンを添加して得られたペレットを溶解した。0.1gの塩化亜鉛を溶液に添加した。
【0245】
実施例5
サンプル13のInP/ZnSe/ZnS量子ドットの調製
[0241] イナート雰囲気下で100mL反応フラスコに10.4g亜鉛ジオレエート、0.56gオレイン酸、50mg塩化亜鉛、及び10mL 1-オクタデセンを添加した。撹拌しながら真空下で150℃に混合物を加熱して15分間保持した。15分間の保持時間後、フラスコに窒素を再充填して、0.1g InPコアを反応混合物に注入した。15分後、0.25g塩化アルミニウム及び0.1g臭化亜鉛を添加した。300℃に溶液を加熱した。4.8mLの2Mトリオクチルホスフィンセレニドを5分間にわたりフラスコに注入し、続いて、2.5mLのドデカンチオールを5分間にわたりフラスコに注入した。溶液を60分間保持した。次いで、溶液を室温に冷却した後、さらなる精製を行った。
【0246】
実施例6
サンプル14のInP/ZnSe/ZnS量子ドットの調製
[0242] イナート雰囲気下で100mL反応フラスコに10.4g亜鉛ジオレエート、0.56gオレイン酸、50mg塩化亜鉛、及び10mL 1-オクタデセンを添加した。撹拌しながら真空下で150℃に混合物を加熱して15分間保持した。15分間の保持時間後、フラスコに窒素を再充填して、0.1g InPコアを反応混合物に注入した。15分後、50mg塩化ジルコニウム、50mg塩化イットリウム、及び50mg臭化マグネシウムを添加した。300℃に溶液を加熱した。4.8mLの2Mトリオクチルホスフィンセレニドを5分間にわたりフラスコに注入し、続いて、2.5mLのドデカンチオールを5分間にわたりフラスコに注入した。溶液を60分間保持した。次いで、溶液を室温に冷却した後、さらなる精製を行った。
【0247】
[0243] ここで本発明を十分に説明してきたが、本発明の範囲又はそのいずれの実施形態にも影響を及ぼすことなく、条件、処方、及び他のパラメーターの広範にわたる等価な範囲内で、同じことを実施可能であることは、当業者であれば理解されよう。本明細書で引用された特許、特許出願、及び刊行物はすべて、その全体が参照により本明細書に完全に組み込まれる。