(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】介護補助システム、診療補助システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20241120BHJP
G06Q 50/22 20240101ALI20241120BHJP
【FI】
A61G12/00 Z
G06Q50/22
A61G12/00 E
(21)【出願番号】P 2020061350
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513302477
【氏名又は名称】エコナビスタ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513044784
【氏名又は名称】ユカイ工学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 勇気
(72)【発明者】
【氏名】川又 大祐
(72)【発明者】
【氏名】川田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 君人
(72)【発明者】
【氏名】安田 輝訓
(72)【発明者】
【氏名】野村 和弘
(72)【発明者】
【氏名】青木 俊介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕一郎
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-23671(JP,A)
【文献】特開2003-323491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介護者に対してサポートの必要なタイミングを把握する把握手段と、
前記把握手段により把握されたタイミングに応じて、前記被介護者の周辺装置を動作させることにより、必要なサポート処理を施すサポート処理手段と、
前記サポート処理手段により前記サポート処理が施された事実情報として、前記周辺装置が動作した事実情報を、前記被介護者との対話を行う対話装置から、当該被介護者に対して声掛けして伝える声掛け手段と
を備え、
前記サポート処理手段は、前記対話装置を用いて、前記周辺装置を動作させることを特徴とする介護補助システム。
【請求項2】
前記周辺装置の動作状態を感知するセンサを更に備え、
前記声掛け手段は、前記センサから得られたセンシング情報を用いて、前記周辺装置の動作の完了を認識することを特徴とする請求項1に記載の介護補助システム。
【請求項3】
コンピュータに、
被介護者に対してサポートの必要なタイミングを把握する機能と、
把握されたタイミングに応じて、前記被介護者の周辺装置を動作させることにより、必要なサポート処理を施す機能と、
前記サポート処理が施された事実情報として、前記周辺装置が動作した事実情報を、前記被介護者との対話を行う対話装置から、当該被介護者に対して声掛けして伝える機能とを実現させ、
前記サポート処理を施す機能は、前記対話装置を用いて、前記周辺装置を動作させる、プログラム。
【請求項4】
被診療者に対してサポートの必要なタイミングを把握する把握手段と、
前記把握手段により把握されたタイミングに応じて、前記被診療者の周辺装置を動作させることにより、必要なサポート処理を施すサポート処理手段と、
前記サポート処理手段により前記サポート処理が施された事実情報として、前記周辺装置が動作した事実情報を、前記被診療者との対話を行う対話装置から、当該被診療者に対して声掛けして伝える声掛け手段と
を備え、
前記サポート処理手段は、前記対話装置を用いて、前記周辺装置を動作させることを特徴とする診療補助システム。
【請求項5】
コンピュータに、
被診療者に対してサポートの必要なタイミングを把握する機能と、
把握されたタイミングに応じて、前記被診療者の周辺装置を動作させることにより、必要なサポート処理を施す機能と、
前記サポート処理が施された事実情報として、前記周辺装置が動作した事実情報を、前記被診療者との対話を行う対話装置から、当該被診療者に対して声掛けして伝える機能とを実現させ、
前記サポート処理を施す機能は、前記対話装置を用いて、前記周辺装置を動作させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護補助システム、介護補助方法、診療補助システム、診療補助方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、センサにより対象者の動作を検知した時に呼びかけ音声を再生し、呼びかけ音声に対する回答を考慮して対象者の動作を解析して、医療従事者が対象者のもとに急行する必要があるか否かの解析を行うことにより、歩行が禁止されている対象者に歩行をしないように促す等の行動抑制を一般通報として行い、さらに必要に応じて医療従事者が対象者のもとに急行することを促す緊急通報を行うことにより、医療従事者が急行すべきかどうかを見極めて医療従事者の処置を最小限に止めながら、対象者が禁止動作を行うことを抑制している。
【0003】
特許文献2では、対象者が寝るベッドの状況をセンサで検知し、ベッドの周辺に設けられたスピーカから、センサの検知情報に応じた呼びかけ音声を発している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-32500号公報
【文献】特開2016-32501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、被介護者が著しく増加する一方で、介護を施す介護者の数の急速な増加は見込めない状況にある。さらに、介護者は、多様化する被介護者に対する数々の介護や、被介護者との頻繁なコミュケーションの増加により、業務の量も増えており、介護者の負担を軽減することが強く望まれている。
【0006】
また、同様の課題は、介護分野だけでなく診療分野にも存在する。
【0007】
本発明は、介護者又は診療者の負担を、本技術を採用しない場合に比べて、より軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもと、本発明は、被介護者に対してサポートの必要なタイミングを把握する把握手段と、把握手段により把握されたタイミングに応じて、必要なサポート処理を施すサポート処理手段と、サポート処理手段によりサポート処理が施された事実情報を、被介護者との対話を行う対話装置から、被介護者に対して声掛けして伝える声掛け手段とを備えた介護補助システムを提供する。
【0009】
介護補助システムは、被介護者の行動もしくは状態又は被介護者の周囲の状態を感知するセンサを更に備え、把握手段は、センサから得られたセンシング情報を用いて、タイミングを把握する、ものであってよい。
【0010】
サポート処理手段は、被介護者の周辺装置を動作させることにより、サポート処理を施す、ものであってよい。その場合、サポート処理手段は、対話装置を用いて、周辺装置を動作させる、ものであってよい。更に、その場合、介護補助システムは、周辺装置の動作状態を感知するセンサを更に備え、声掛け手段は、センサから得られたセンシング情報を用いて、周辺装置の動作の完了を認識する、ものであってよい。
【0011】
また、本発明は、被介護者に対してサポートの必要なタイミングを把握するステップと、把握されたタイミングに応じて、必要なサポート処理を施すステップと、サポート処理が施された事実情報を、被介護者との対話を行う対話装置から、被介護者に対して声掛けして伝えるステップとを含む介護補助方法も提供する。
【0012】
更に、本発明は、コンピュータに、被介護者に対してサポートの必要なタイミングを把握する機能と、把握されたタイミングに応じて、必要なサポート処理を施す機能と、サポート処理が施された事実情報を、被介護者との対話を行う対話装置から、被介護者に対して声掛けして伝える機能とを実現させるためのプログラムも提供する。
【0013】
或いは、本発明は、被診療者に対してサポートの必要なタイミングを把握する把握手段と、把握手段により把握されたタイミングに応じて、必要なサポート処理を施すサポート処理手段と、サポート処理手段によりサポート処理が施された事実情報を、被診療者との対話を行う対話装置から、被診療者に対して声掛けして伝える声掛け手段とを備えた診療補助システムを提供する。
【0014】
また、本発明は、被診療者に対してサポートの必要なタイミングを把握するステップと、把握されたタイミングに応じて、必要なサポート処理を施すステップと、サポート処理が施された事実情報を、被診療者との対話を行う対話装置から、被診療者に対して声掛けして伝えるステップとを含む診療補助方法も提供する。
【0015】
更に、本発明は、コンピュータに、被診療者に対してサポートの必要なタイミングを把握する機能と、把握されたタイミングに応じて、必要なサポート処理を施す機能と、サポート処理が施された事実情報を、被診療者との対話を行う対話装置から、被診療者に対して声掛けして伝える機能とを実現させるためのプログラムも提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、介護者又は診療者の負担を、本技術を採用しない場合に比べて、より軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態における介護支援システムの全体構成例を示した図である。
【
図2】本発明の実施の形態におけるロボットのハードウェア構成例を示した図である。
【
図3】本発明の実施の形態における介護支援サーバのハードウェア構成例を示した図である。
【
図4】本発明の実施の形態における介護支援サーバの機能構成例を示したブロック図である。
【
図5】本発明の実施の形態における介護支援サーバの生成規則記憶部に記憶された生成規則の一例を示した図である。
【
図6】本発明の実施の形態における介護支援サーバの制御情報生成部の動作例を示したフローチャートである。
【
図7】本発明の実施の形態における介護支援サーバの制御情報生成部の動作例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
[介護支援システムの全体構成]
図1は、本実施の形態における介護支援システム1の全体構成例を示した図である。図示するように、この介護支援システム1は、センサ10a,10b,10cと、ロボット20と、端末装置30と、介護支援サーバ40とが通信回線80に接続されることにより構成されている。尚、図では、センサ10a,10b,10cを示したが、これらを区別しない場合はセンサ10と称することもある。センサ10は3つ示したが、2つ以下しか存在しなくても4つ以上存在してもよい。ロボット20及び端末装置30は、1つずつしか示していないが、複数存在してもよい。また、通信回線80は、例えばインターネットとすればよい。
【0020】
センサ10は、被介護者が入所している老人福祉施設や病院等の施設や、被介護者が訪問介護を受けている自宅に設置され、被介護者の行動又は状態を感知する。例えば、マイクセンサ、カメラセンサ、ベッドセンサ、ドアセンサ、人感センサ等がこれに該当する。また、センサ10は、被介護者の周囲の状態を感知するものであってもよい。例えば、温度センサ、湿度センサ等がこれに該当する。センサ10は、施設内や自宅内の複数の場所に設置されていてよい。また、センサ10のうち、マイクセンサ、カメラセンサ、温度センサ等は、ロボット20の中に設置されることもあるが、以下では、センサ10がロボット20の中に設置されているかロボット20の外に設置されているかを限定せずに説明する。センサ10は、被介護者の行動又は状態や被介護者の周囲の状態のセンシングの結果を示す情報(以下、「センシング情報」という)を、通信回線80を介して介護支援サーバ40へ送信する。以下では、こうすることにより介護支援サーバ40がセンシング情報を処理する場合を例にとって説明するが、センサ10内でセンシング情報を処理するエッジ処理を行うようにしてもよい。
【0021】
ロボット20は、被介護者が入所している老人福祉施設や病院等の施設や、被介護者が訪問介護を受けている自宅において、被介護者との対話を行う。具体的には、ロボット20は、被介護者又は介護支援サーバ40からの指示により発話を行ったり、周囲の状況に応じて自律的に発話を行ったりして、この発話に基づき被介護者との対話を行う。この意味で、ロボット20は、被介護者との対話を行う対話装置の一例である。また、ロボット20は、介護支援サーバ40からの指示により又は周囲の状況に応じて、被介護者の介護をサポートする動作を行ってもよい。尚、ロボット20は、例えば、ぬいぐるみのような外観を有していることが、被介護者にとって親しみがわくという観点からは好ましい。
【0022】
端末装置30は、介護従事者によって使用される。具体的には、端末装置30は、介護支援サーバ40から受信した情報を介護従事者に対して表示したり、介護従事者が入力した情報を介護支援サーバ40へ送信したりする。ここで、介護従事者とは、被介護者の状況に応じたケアプランを作成するケアマネージャや、被介護者に実際に接してケアプランに従い介護サービスを提供する介護職員である。介護職員とは、老人福祉施設等の施設で介護サービスを提供する福祉施設介護員や、被介護者の自宅等を訪問して介護サービスを提供する訪問介護員である。また、介護従事者には、被介護者の介護に従事する家族等を含めてもよい。本明細書では、介護従事者を介護者と表記することもある。尚、端末装置30は、例えば、PC(Personal Computer)であってよい。
【0023】
介護支援サーバ40は、センサ10から受信したセンシング情報に基づいて、介護従事者が被介護者に介護サービスを提供する際の様々な支援を行う。介護支援サーバ40の機能及び動作の詳細については、後述する。
【0024】
[ロボットのハードウェア構成]
図2は、ロボット20のハードウェア構成例を示した図である。図示するように、ロボット20は、装置全体の動作を制御する制御ユニット21と、データ等を記憶する外部記憶媒体装置22と、無線通信の規格に準拠する各種の通信インターフェース23と、音が入力される音入力デバイス24と、音が出力される音出力デバイス25とを備えている。
【0025】
制御ユニット21は、CPU(Central Processing Unit)211と、ファームウェアやBIOS(Basic Input Output System)等が記憶されたROM(Read Only Memory)212と、ワークエリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)213とを有している。CPU211はマルチコアでもよい。また、ROM212は、書き換え可能な不揮発性の半導体メモリでもよい。
【0026】
外部記憶媒体装置22は、円盤状の基板表面に磁性体を塗布した不揮発性の記憶媒体にデータを読み書きする装置である。不揮発性の記憶媒体は、半導体メモリ等でもよい。通信インターフェース23は、例えば介護支援サーバ40との接続に使用されるインターフェースである。音入力デバイス24は、例えばマイクロフォンであり、音出力デバイス25は、例えばスピーカである。
【0027】
制御ユニット21と、外部記憶媒体装置22と、通信インターフェース23と、音入力デバイス24と、音出力デバイス25とは、バス29や不図示の信号線を通じて接続されている。
【0028】
[介護支援サーバ及び端末装置のハードウェア構成]
図3は、介護支援サーバ40のハードウェア構成例を示した図である。図示するように、介護支援サーバ40は、装置全体の動作を制御する制御ユニット41と、データ等を記憶する外部記憶媒体装置42と、LAN(Local Area Network)ケーブル等を介した通信を実現する通信インターフェース43と、情報が入力される入力デバイス44と、情報が表示される表示デバイス45とを備えている。
【0029】
制御ユニット41は、CPU411と、基本ソフトウェアやBIOS等が記憶されたROM412と、ワークエリアとして用いられるRAM413とを有している。CPU411はマルチコアでもよい。また、ROM412は、書き換え可能な不揮発性の半導体メモリでもよい。制御ユニット41は、所謂コンピュータである。
【0030】
外部記憶媒体装置42は、円盤状の基板表面に磁性体を塗布した不揮発性の記憶媒体にデータを読み書きする装置である。不揮発性の記憶媒体は、半導体メモリ等でもよい。通信インターフェース43は、他の装置との接続に使用されるインターフェースである。入力デバイス44は、例えばキーボード、マウス、タッチパネルであり、表示デバイス45は、例えば液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。
【0031】
制御ユニット41と、外部記憶媒体装置42と、通信インターフェース43と、入力デバイス44と、表示デバイス45とは、バス49や不図示の信号線を通じて接続されている。
【0032】
また、
図3に示したハードウェア構成例は、端末装置30のハードウェア構成例として捉えることもできる。但し、端末装置30について述べるときは、
図3の制御ユニット41、CPU411、ROM412、ROM413、外部記憶媒体装置42、通信インターフェース43、入力デバイス44、表示デバイス45をそれぞれ、制御ユニット31、CPU311、ROM312、ROM313、外部記憶媒体装置32、通信インターフェース33、入力デバイス34、表示デバイス35と表記するものとする。
【0033】
[介護支援サーバの機能構成]
図4は、本実施の形態における介護補助システムの一例としての介護支援サーバ40の機能構成例を示したブロック図である。図示するように、本実施の形態における介護支援サーバ40は、センシング情報取得部51と、センシング情報記憶部52と、生成規則記憶部53と、制御情報生成部54と、送信部55とを備えている。
【0034】
センシング情報取得部51は、各センサ10から、センシング情報と、センシング情報が得られた時刻とを取得する。
【0035】
センシング情報取得部51は、センシング情報として、被介護者に対して何らかのサポートが必要なことを示す情報を取得する。本実施の形態では、被介護者に対してサポートの必要なタイミングを把握する把握手段の一例として、センシング情報取得部51を設けている。例えば、センサ10の1つであるカメラセンサから、被介護者が辛そうにしている表情を示す映像を取得したり、センサ10の1つである温度センサから、室温が高いことを示す温度を取得したりする。この場合、カメラセンサは、被介護者の行動又は状態を感知するセンサの一例であり、温度センサは、被介護者の周囲の状態を感知するセンサの一例であり、センシング情報取得部51は、センサから得られたセンシング情報を用いてタイミングを把握する把握手段の一例である。
【0036】
センシング情報取得部51は、センシング情報として、後述するように被介護者の周囲の機器の動作状態を示す情報も取得する。例えば、センサ10の1つであるカメラセンサから、被介護者の周囲の機器の動作状態を示す映像を取得する。この場合、被介護者の周囲の機器は、被介護者の周辺装置の一例であり、カメラセンサは、周辺装置の動作状態を感知するセンサの一例である。
【0037】
センシング情報記憶部52は、センシング情報取得部51が取得したセンシング情報と時刻とを記憶する。
【0038】
生成規則記憶部53は、センシング情報記憶部52に記憶されたセンシング情報を用いて、被介護者のサポートを行うために被介護者の周囲の機器を動作させるようロボット20を制御するための情報(以下、「サポート制御情報」という)や、機器が動作した後にその旨を被介護者に声掛けするようロボット20を制御するための情報(以下、「声掛け制御情報」という)を生成するための生成規則を記憶する。
【0039】
制御情報生成部54は、センシング情報記憶部52に記憶されたセンシング情報を、生成規則記憶部53に記憶された生成規則に基づいて、被介護者の周囲の機器の情報等に変換することにより、被介護者のサポートを行うために機器を動作させるようロボット20を制御するためのサポート制御情報を生成する。本実施の形態では、把握手段により把握されたタイミングに応じて、必要なサポート処理を施すサポート処理手段の一例として、また、対話装置を用いて被介護者の周辺装置を動作させることにより、サポート処理を施すサポート処理手段の一例として、制御情報生成部54のサポート制御情報を生成する機能を設けている。また、制御情報生成部54は、センシング情報記憶部52に記憶された映像に基づいて機器が動作したと判断すると、その旨を声掛けによって被介護者に報告するようロボット20を制御するための声掛け制御情報を生成する。本実施の形態では、サポート処理手段によりサポート処理が施された事実情報を、対話装置から被介護者に対して声掛けして伝える声掛け手段との一例として、また、センサから得られたセンシング情報を用いて、周辺装置の動作の完了を認識する声掛け手段の一例として、制御情報生成部54の声掛け制御情報を生成する機能を設けている。
【0040】
送信部55は、制御情報生成部54がサポート制御情報を生成すると、このサポート制御情報をロボット20へ送信する。また、制御情報生成部54が声掛け制御情報を生成すると、この声掛け制御情報をロボット20へ送信する。
【0041】
図5は、生成規則記憶部53に記憶された生成規則の一例を示した図である。図示するように、生成規則は、生成規則IDと、センサ特徴情報と、機器情報と、設定情報と、映像特徴情報と、声掛けワードとを対応付けたものとなっている。
【0042】
生成規則IDは、生成規則を一意に識別する情報である。図では、生成規則IDを数字としたが、アルファベット等の文字を含んでいてもよい。
【0043】
センサ特徴情報は、センサ10から得られるセンシング情報に関する特徴情報である。センサ特徴情報は、センサ10ごと又はセンサ10の組み合わせごとに設定している。具体的には、センサ10の1つであるマイクセンサをS1、センサ10の1つであるカメラセンサをS2と表記し、これらのセンサ10に対しては音声又は映像の特徴量を設定している。ここで、音声又は映像の特徴量とは、音声又は映像の特徴を顕著に示すデータ量のことである。そして、これらのセンサ10については、センシング情報がセンサ特徴情報を満足するかどうかは、センシング情報が音声又は映像の特徴量に類似するかどうかによって判定される。また、センサ10の1つである温度センサをS3と表記し、このセンサ10に対しては温度に関する条件を設定している。そして、このセンサ10については、センシング情報がセンサ特徴情報を満足するかどうかは、センシング情報が温度に関する条件を満たすかどうかによって判定される。但し、図のような設定方法は、あくまで一例であり、同じ意味を表すものであれば、如何なる設定方法を用いてもよい。
【0044】
機器情報は、センサ10から得られたセンシング情報が、対応するセンサ特徴情報を満足する場合に、被介護者のサポートを行うために動作させるべき、被介護者の周囲の機器に関する情報である。
【0045】
設定情報は、センサ10から得られたセンシング情報が、対応するセンサ特徴情報を満足する場合に、対応する機器情報で示される機器を動作させる際のその機器の設定に関する情報である。
【0046】
映像特徴情報は、センサ10の1つであるカメラセンサから得られる映像に関する特徴情報である。そして、映像が映像特徴情報を満足するかどうかは、映像が映像特徴情報に類似するかどうかによって判定される。
【0047】
声掛けワードは、センサ10の1つであるカメラセンサから得られた映像が、対応する映像特徴情報を満足する場合に、機器が動作したことを被介護者に報告するために声掛けすべきワードである。
【0048】
ここで、
図5に示した個々の生成規則の意味について説明する。
【0049】
生成規則ID「1」の生成規則は、温度センサから得られた温度がT1以上であった場合にエアコンを設定温度P1で動作させるべきことを示している。また、カメラセンサから得られた映像が、エアコンが動作していることを示す映像の特徴量M1に類似する場合に、「暑いから温度を下げておいたね」という声掛けをすべきことを示している。
【0050】
生成規則ID「2」の生成規則は、カメラセンサから得られた映像が、被介護者が辛そうにしていることを示す映像の特徴量V2に類似する場合に、電動ベッドの上半身部分を設定角度P2まで起こすべきことを示している。また、カメラセンサから得られた映像が、電動ベッドが動作したことを示す映像の特徴量M2に類似する場合に、「辛そうだったからベッドを起こしたよ」という声掛けをすべきことを示している。
【0051】
[介護支援サーバの動作]
介護支援サーバ40では、まず、センシング情報取得部51が各センサ10からセンシング情報を取得し、センシング情報とこれを取得した時刻とをセンシング情報記憶部52に記憶する。
【0052】
次に、制御情報生成部54は、センシング情報記憶部52に記憶されたセンシング情報を用いて、被介護者のサポートを行うために被介護者の周囲の機器を動作させるようにロボット20を制御するためのサポート制御情報を生成する。
【0053】
図6は、このときの制御情報生成部54の動作例を示したフローチャートである。
【0054】
図示するように、制御情報生成部54は、まず、センシング情報記憶部52からセンシング情報を読み出す(ステップ501)。例えば、制御情報生成部54は、センシング情報記憶部52に新たにセンシング情報が記憶されたかどうかを監視し、新たにセンシング情報が記憶されればそれを読み出すとよい。
【0055】
次に、制御情報生成部54は、生成規則記憶部53に記憶された生成規則におけるセンサ特徴情報の中に、ステップ501で読み出したセンシング情報が満足するセンサ特徴情報があるかどうかを判定する(ステップ502)。
【0056】
ステップ502でセンシング情報が満足するセンサ特徴情報があると判定しなければ、制御情報生成部54は、そのまま処理を終了する。
【0057】
一方、ステップ502でセンシング情報が満足するセンサ特徴情報があると判定すれば、制御情報生成部54は、そのセンサ特徴情報に対応する機器及び設定を特定する(ステップ503)。具体的には、センサ特徴情報に対して設定された機器情報及び設定情報を取得することにより、機器情報で示される機器及び設定情報で示される設定を特定する。
【0058】
次いで、制御情報生成部54は、ステップ503で特定された機器をステップ503で特定された設定で動作させて被介護者のサポートを行うようロボット20を制御するサポート制御情報を生成する(ステップ504)。
【0059】
その後、制御情報生成部54は、ステップ504で生成したサポート制御情報を送信部55に出力し(ステップ505)、処理を終了する。
【0060】
これにより、送信部55は、ステップ505で出力されたサポート制御情報を、被介護者との対話を行うロボット20へ送信する。すると、ロボット20は、ステップ503で特定された機器をステップ503で特定された設定で動作するよう指示する。例えば、機器がエアコンの場合は、ロボット20がエアコンのリモコンを操作することにより動作を指示するとよい。また、機器が電動ベッドの場合は、ロボット20が電動ベッドのスイッチを操作することにより動作を指示するとよい。
【0061】
その際、制御情報生成部54は、機器が動作したことが確認されるまで、ステップ502でセンシング情報が満足すると判定したセンサ特徴情報に対する生成規則IDと、ステップ504で生成したサポート制御情報とを、図示しないメモリに記憶しておくものとする。
【0062】
その後、センサ10の1つであるカメラセンサが、ステップ503で特定された機器が動作したかを確認するための映像をセンスする。すると、センシング情報取得部51が、カメラセンサからこの映像を取得し、センシング情報記憶部52に記憶する。
【0063】
次に、制御情報生成部54は、センシング情報記憶部52に記憶された映像を用いて、被介護者の周囲の機器が動作したことを声掛けによって報告するようにロボット20を制御するための声掛け制御情報を生成する。
【0064】
図7は、このときの制御情報生成部54の動作例を示したフローチャートである。
【0065】
図示するように、制御情報生成部54は、まず、センシング情報記憶部52に記憶された映像を読み出す(ステップ551)。例えば、制御情報生成部54は、送信部55がサポート制御情報を送信した後の一定時間内に取得された映像をこれに対応付けられた時刻に基づいて読み出すとよい。
【0066】
次に、制御情報生成部54は、
図6のフローチャートで示された動作例によりメモリに記憶された生成規則IDに対する映像特徴情報の中に、ステップ551で読み出した映像が満足する映像特徴情報があるかどうかを判定する(ステップ552)。
【0067】
ステップ552で映像が満足する映像特徴情報があると判定しなければ、制御情報生成部54は、
図6のフローチャートで示された動作例によりメモリに記憶されたサポート制御情報を、再度送信部55に出力し(ステップ553)、処理をステップ551へ戻す。
【0068】
これにより、送信部55は、ステップ553で出力されたサポート制御情報を、被介護者側にあるロボット20へ送信する。すると、ロボット20は、
図6のステップ503で特定された機器を
図6のステップ503で特定された設定で動作するよう指示する。
【0069】
一方、ステップ552で映像が満足する映像特徴情報があると判定すれば、制御情報生成部54は、その映像特徴情報に対して設定された声掛けワードを取得する(ステップ554)。
【0070】
次いで、制御情報生成部54は、ステップ554で取得された声掛けワードによって機器が動作したことを被介護者に報告するようロボット20を制御する声掛け制御情報を生成する(ステップ555)。
【0071】
その後、制御情報生成部54は、ステップ555で生成した声掛け制御情報を送信部55に出力する(ステップ556)。
【0072】
これにより、送信部55は、ステップ556で出力された声掛け制御情報を、被介護者側にあるロボット20へ送信する。すると、ロボット20は、ステップ554で取得された声掛けワードによって、被介護者に機器が動作した旨を報告する。
【0073】
[変形例]
上記では、ロボット20が、機器に動作を指示した後に、機器が動作したかどうかを確認したが、これには限らない。機器に動作を指示した場合に機器が動作することが保証されていれば、機器が動作したかどうかを確認しなくてもよい。
【0074】
また、上記では、ロボット20が機器に動作を指示したが、これには限らない。介護支援サーバ40と機器とを制御線で接続しておき、介護支援サーバ40がこの制御線を介して機器に動作を指示してもよい。具体的には、制御情報生成部54が、被介護者のサポートを行うために被介護者の周囲の機器を制御する機器制御情報を生成してこれを機器に送信してもよい。この場合、制御情報生成部54は、被介護者の周辺装置を動作させることにより、サポート処理を施すサポート処理手段の一例である。そして、このときも、機器が動作することは保証されているので、機器が動作したかどうかを確認しなくてもよい。
【0075】
更にまた、上記では、介護支援サーバ40が、機器を動作させて声掛けするようロボット20を制御したが、これには限らない。例えば、ロボット20が機器を動作させて声掛けするよう自身を制御してもよいし、端末装置30が機器を動作させて声掛けするようロボット20を制御してもよいし、ロボット20、端末装置30、介護支援サーバ40の少なくとも2つが分担して機器を動作させて声掛けするようロボット20を制御してもよい。
【0076】
[本実施の形態の効果]
以上述べたように、本実施の形態では、被介護者に対してサポートの必要なタイミングでサポート処理を行い、サポート処理が施された事実情報を後から被介護者に声掛けして伝えるようにした。例えば、被介護者が高齢の場合は、暑かったとしても、我慢したり、鈍っていて気付かなかったりすることが考えられる。そのため、「暑いから温度を下げましょうか?」などと話しかけても、「私は大丈夫」という返事が来る可能性がある。そこで、被介護者に対してサポートが必要かをロボット20が判断し、先んじて機器を動作させて、その後で「暑いから温度を下げておいたね」という結果だけを報告することにしたものである。こうすることにより、例えば暑い場合の被介護者の負担を小さくすることができる。また、ロボット20が機器を動作させることにより、介護者の負担も軽減される。
【0077】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、被介護者に対してサポート処理を行った後に声掛けをしたが、これには限らない。被介護者に対してサポート処理を行う前に声掛けをしてもよい。そして、この場合も、被介護者に対してサポートの必要なタイミングで声掛けするとよい。
【0078】
例えば、センサ10で被介護者の起床を検知し、そのタイミングでロボット20が被介護者に声掛けをすることが考えられる。これにより、被介護者が急な起き上がりで転倒するリスクを軽減できる。その結果、被介護者が転倒して怪我をすることを防止することができ、被介護者の怪我により介護職員の負担が増大することを防ぐこともできる。
【0079】
また、センサ10で被介護者の辛そうな表情を検知し、そのタイミングでロボット20が被介護者に声掛けをして、被介護者がナースコールボタンを押したり声でナースコールしたりする動作を補助してもよい。例えば、「もし辛かったらこのボタン押してね」や「もし辛かったら声で伝えてね」等の声掛けをするとよい。これにより、被介護者の辛い状態の見逃しを防ぐことができると共に、介護職員の巡回の負荷を低減することができる。
【0080】
更に、センサ10で被介護者がナースコールボタンを押したこと検知し、そのタイミングでロボット20が自動で「すぐ行くね」と応答してもよい。これにより、介護職員が声で応答していた時間を短縮して、すぐに被介護者の元へ向かうことができるようになる。
【0081】
尚、これらの例において、ナースコールボタンはロボット20に組み込まれていてもよい。
【0082】
また、被介護者が自身の苦痛をうまく伝えられない高齢者である場合、ロボット20が、センシング情報に基づいて、「辛くない?」、「暑くない?」等の声掛けをしてよい。そして、声掛けに対する応答により、自動で介護施設、介護職員、家族等に連絡してもよい。また、連携している機器等があれば、自動で機器を動作させてもよい。ここで、機器としては、上記実施の形態と同様、エアコンや電動ベッド等が考えられる。
【0083】
更に、ロボット20は、センシング情報に基づいて、被介護者に対して引き留めの声掛けを行うようにしてもよい。例えば、センシング情報が暗い中を移動する被介護者を検知して、「こんな時間にどうしたの?」等の声掛けをすることが考えられる。この声掛けに対する応答が「ちょっとおトイレに」であれば、ロボット20はそれを介護職員に伝えるとよい。これにより、介護職員が速やかに来てトイレの介助を行うことが可能となる。
【0084】
更にまた、被介護者がベッドの上でもぞもぞしている時間が多いことをセンサ10が検知した場合には、ロボット20が「おトイレかな?スタッフさん呼ぼうか?」といった声掛けをすることも考えられる。
【0085】
[他の適用例]
本発明は診療分野にも適用可能である。この場合、上記実施の形態において、介護者は診療者(医師等)、被介護者は被診療者(患者等)、介護記録は診療記録、介護支援は診療支援のように、介護を診療と読み替えればよい。
【符号の説明】
【0086】
1…介護支援システム、10…センサ、20…ロボット、30…端末装置、40…介護支援サーバ、51…センシング情報取得部、52…センシング情報記憶部、53…生成規則記憶部、54…制御情報生成部、55…送信部