(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】屋外設置型の電子機器収納ケース及び屋外設置型の無線通信装置
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
H05K5/02 L
(21)【出願番号】P 2020213923
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】518212241
【氏名又は名称】公立大学法人公立諏訪東京理科大学
(73)【特許権者】
【識別番号】519372478
【氏名又は名称】株式会社みやま
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠司
(72)【発明者】
【氏名】姫野 聖也
(72)【発明者】
【氏名】三澤 剛史
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-113416(JP,A)
【文献】特開2005-249269(JP,A)
【文献】実開平02-089887(JP,U)
【文献】特開2017-092743(JP,A)
【文献】特開2004-235974(JP,A)
【文献】実開平03-123392(JP,U)
【文献】実開昭60-190074(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0021066(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00- 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に存在する設置対象物に設置され、電源としてのバッテリーを含む電子機器を収納する屋外設置型の電子機器収納ケースであって、
前記屋外設置型の電子機器収納ケースを前記設置対象物に設置した状態とした場合に、重力の方向とは反対方向に向く面を上面とし、前記設置対象物の側に向く面を後面、当該後面と反対側を向く面を前面とし、当該前面に対峙して見たときに左右方向を向く面を左右両側面としたとき、
上面、前面、下面及び左右両側面がそれぞれ閉塞されており、後面が開口となっている箱型をなし、内部に前記電子機器を収納するケース本体と、
前記設置対象物に固定され、上面、後面及び左右両側面がそれぞれ閉塞面となっており、前面及び下面がそれぞれ開口となっていて、それぞれの開口が繋がっており、前記下面から前記ケース本体を上下方向にスライドさせることにより、当該前記ケース本体の挿脱が可能で、前記ケース本体が挿入されることによって、当該ケース本体を保持するとともに前記ケース本体のカバーの役目をなすケース本体カバーと、
を備え、
前記ケース本体カバーの前記開口となっている前面には、当該ケース本体カバーの前記上面、前記左右両側面から当該ケース本体カバーの前面側に回り込む枠体が形成されており、
前記ケース本体が前記ケース本体カバーに保持された状態においては、前記ケース本体の前記前面には、前記ケース本体カバーの前記枠体によって三方が囲まれた露出部が形成され、当該ケース本体の前記開口となっている後面は、前記ケース本体カバーの前記後面の内壁面の側を向き、前記ケース本体の前記上面は、前記ケース本体カバーの前記上面の内壁面に対面し、前記ケース本体の前記左右両側面は、前記ケース本体カバーの前記左右両側面の内壁面に対面することを特徴とする屋外設置型の電子機器収納ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいて、
前記ケース本体の前記前面に形成される前記露出部は、前記ケース本体の外部に取り付ける必要のある機器の取り付けが可能となっていることを特徴とする屋外設置型の電子機器収納ケース。
【請求項3】
請求項2に記載の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいて、
前記ケース本体の外部に取り付ける必要のある機器には、太陽電池パネル及び監視用のカメラの少なくとも一方が含まれていることを特徴とする屋外設置型の電子機器収納ケース。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいて、
前記ケース本体カバーの前記枠体と前記ケース本体の前記前面との互いに対向する位置には、前記ケース本体を前記ケース本体カバーに挿脱させる際に、前記ケース本体の移動をガイドするガイド溝及びガイドレールが設けられていることを特徴とする屋外設置型の電子機器収納ケース。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいて、
前記ケース本体における前記左右両側面の前記開口となっている後面の側の縁部には、当該ケース本体の前記左右両側面から所定の出っ張り量を有して出っ張った肉厚の肉厚側面が、当該ケース本体の前記上面と前記下面との間において帯状に形成されており、
前記ケース本体が前記ケース本体カバーの前記開口となっている下面から挿脱される際には、前記ケース本体に形成されている前記肉厚側面の表面が前記ケース本体カバーの前記左右両側面の内壁面に摺動状態で挿脱され、前記ケース本体が前記ケース本体カバーに保持された状態においては、前記ケース本体の前記肉厚側面が前記ケース本体カバーの前記左右両側面の内壁面と接触した状態となることを特徴とする屋外設置型の電子機器収納ケース。
【請求項6】
請求項5に記載の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいて、
前記ケース本体の前記肉厚側面には、気体及び水分の流通が可能な細溝が、前記ケース本体の前記上面から前記下面までの間に形成されていることを特徴とする屋外設置型の電子機器収納ケース。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいて、
前記ケース本体の前記左右両側面には、当該ケース本体に形成されている前記肉厚側面と前記ケース本体の前記前面との間に、少なくとも
1筋の側面防水リブが、前記ケース本体に形成されている前記
肉厚側面と同じ出っ張り量で
前記ケース本体の前記左右両側面を前後方向に横切るように形成されており、前記少なくとも1筋の
側面防水リブは、前記ケース本体が前記ケース本体カバーに保持された状態においては、前記ケース本体カバーの前記左右両側面の内壁面に接触した状態となることを特徴とする屋外設置型の電子機器収納ケース。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいて、
ケース本体の前記上面には、当該ケース本体の前記上面を三方から囲むようにケース本体上面防水リブが設けられ、当該ケース本体上面防水リブは、前記ケース本体の前記上面における前記ケース本体の前記開口となっている後面の側の縁部付近及び前記左右両側面の側の縁部付近において上方向に突出しており、
前記ケース本体カバーの上面の内壁面には、当該ケース本体カバーの前記上面の内壁面を三方から囲むようにカバー上面内壁防水リブが設けられ、当該カバー上面内壁防水リブは、前記ケース本体カバーの前記上面の内壁面における前記後面の側の縁部付近及び前記左右両側面の側の縁部付近において下方向に突出しており、
前記ケース本体が前記ケース本体カバーに保持された状態においては、前記ケース本体上面防水リブが前記カバー上面内壁防水リブを外側から三方で囲むようにして前記ケース本体上面防水リブと前記カバー上面内壁防水リブとが接触した状態となることを特徴とする屋外設置型の電子機器収納ケース。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいて、
前記ケース本体の前記上面は、当該ケース本体の前記前面の側に向かう下り傾斜を有していることを特徴とする屋外設置型の電子機器収納ケース。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいて、
前記ケース本体の前記下面の内壁面は、当該ケース本体の前記開口となっている後面の側に向かう下り傾斜を有していることを特徴とする屋外設置型の電子機器収納ケース。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいて、
前記ケース本体カバーの前記後面には、当該ケース本体カバーを、前記設置対象物に固定するための固定金具を取り付けるための固定金具取り付け部が設けられていることを特徴とする屋外設置型の電子機器収納ケース。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいて、
前記ケース本体の前記下面には、当該ケース本体を前記ケース本体カバーに挿脱させる際に使用する把持部が設けられていることを特徴とする屋外設置型の電子機器収納ケース。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいて、
前記ケース本体の前記開口となっている後面には、当該開口となっている後面を覆う蓋体が設けられており、前記ケース本体が前記ケース本体カバーに保持された状態においては、前記ケース本体の前記開口となっている後面は、前記蓋体が設けられている状態で前記ケース本体カバーの前記後面の内壁面の側を向くことを特徴とする屋外設置型の電子機器収納ケース。
【請求項14】
屋外に存在する設置対象物に設置され、屋外設置型の電子機器収納ケースと、
当該屋外設置型の電子機器収納ケースに収納される電子機器と、を備え、前記電子機器は、電源としてのバッテリーと、演算機能及び通信機能を有するデータ処理部と、を有する屋外設置型の無線通信装置であって、
前記屋外設置型の電子機器収納ケースは、請求項1~12のいずれかに記載の屋外設置型の電子機器収納ケースが用いられていることを特徴とする屋外設置型の無線通信装置。
【請求項15】
請求項14に記載の屋外設置型の無線通信装置において、
当該屋外設置型の無線通信装置は、前記設置対象物の周辺の所定箇所の水位を計測して水位情報を出力する水位センサーを有する水位計測装置であって、
前記データ処理部は、時刻情報を取得する時刻情報取得部と、演算部と、無線通信部とを有し、前記演算部は、前記水位情報と前記時刻情報とを関連付けたデータを作成し、当該データを前記無線通信部により送信することを特徴とする屋外設置型の無線通信装置。
【請求項16】
請求項15に記載の屋外設置型の無線通信装置において、
前記電源としては、太陽電池パネルによって得られる電力を用い、当該太陽電池パネルは、前記屋外設置型の電子機器収納ケースにおける前記ケース本体の前記露出部に取り付けられることを特徴とする屋外設置型の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外設置型の電子機器収納ケース及び屋外設置型の無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外設置型の電子機器収納ケースとして種々の構造を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
図9は、特許文献1に記載の屋外設置型の電子機器収納ケース900を説明するために示す図である。なお、特許文献1においては、電子機器ケースの防水構造としているが、屋外に設置することを想定した電子機器収納ケースであると考えられるため、ここでは、屋外設置型の電子機器収納ケースとして説明する。
【0003】
特許文献1に記載の屋外設置型の電子機器収納ケース900は、
図9に示すように、電子機器910を収納したケース本体920と、当該ケース本体920を覆うように取り付けられるケース本体カバー930とを有している。
【0004】
このような屋外設置型の電子機器収納ケース900においては、電子機器910が収納されているケース本体920が屋外に存在する設置対象物(建物の外壁面など。)に固定されており、当該ケース本体920に対してケース本体カバー930が着脱自在となっている。ここで、ケース本体カバー930は、後面931及び下面932が開口となっていて、建物の外壁面などに固定されているケース本体920に上方から下方にスライドさせてケース本体920の開口となっている前面921、閉塞された上面922及び閉塞された左右両側面924,925を覆うように装着される。
【0005】
なお、ケース本体カバー930をケース本体920に装着した状態においては、ケース本体カバー930の閉塞された上面933、閉塞された左右両側面934、935、閉塞された前面939が、ケース本体920の閉塞された上面922、閉塞された左右両側面924,925、開口となっている前面921を覆い、ケース本体カバー930の開口となっている後面931に形成されている枠体(回り込み片)936,937,938がケース本体920の閉塞された後面の上側縁部付近、左右両側縁部付近を覆うことによって、防水性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、農業においてもIT(Information Technology)を使用して、例えば、田圃に水を引き込む際に、水位を遠隔で計測し、その計測結果を無線通信によって送信するといったことが行われつつある。また、農業だけでなく、河川の水位を計測して、その計測結果を無線通信によって送信し、送信されてきた監視結果に基づいて避難情報などを発令するといったことも行われている。
【0008】
このような水位の計測を行うには、水位計測装置を計測対象となる田圃、河川、溜池などに設置することとなるが、このような場所においては、商用電源が得られない場合が多い。このため、水位計測装置に収納されている電子機器を駆動するための電源としては、バッテリー(太陽電池も含む)が用いられることとなる。
【0009】
このことは水位計測装置に限られるものではなく、屋外に設置されてバッテリーで駆動される屋外設置型の無線通信装置の全般に共通であると言える。このような屋外設置型の無線通信装置においては、定期的又は不具合が生じた場合などに、内部に収納されている電子機器(バッテリーを含む)のメンテナンスを行う必要がある。この場合、屋外設置型の無線通信装置が設置されている状態でメンテナンスを行えればよいが、屋外設置型の無線通信装置が設置されている設置対象物としては、例えば、田圃や川沿いに立っている杭や樹木、又は橋脚やコンクリート壁といった構造物などである場合が多く、自然環境の中で足場が悪かったり高所であったり、危険な場所であることも多い。このため、屋外設置型の無線通信装置が設置されている場所でのメンテナンスは危険も伴うことから念入りなメンテナンスがしにくい場合も多い。特に、作動の不具合を修復したり、部品交換などを行ったりする場合においては、電子機器が収納された状態のケース本体そのものを、設置対象物(杭や樹木、又は橋脚やコンクリート壁などの構造物)から取り外して、安全な場所でメンテナンス作業を行うことが好ましい。
【0010】
このような観点から特許文献1に記載の屋外設置型の電子機器収納ケース900をみると、特許文献1に記載の屋外設置型の電子機器収納ケース900には課題が多い。すなわち、特許文献1に記載の屋外設置型の電子機器収納ケース900を、例えば、上述した屋外設置型の無線通信装置における電子機器収納ケースとして使用した場合、電子機器910が収納されているケース本体920が、例えば、杭や樹木、又は橋脚やコンクリート壁といった構造物などに固定され、当該ケース本体920に対してケース本体カバー930が着脱自在となる。
【0011】
このため、特許文献1に記載の屋外設置型の電子機器収納ケース900に収納されている電子機器910のメンテナンスを行う際に、電子機器910が収納された状態のケース本体920そのものを取り外す必要がある場合には、ケース本体920を設置対象物(例えば、杭や樹木、又は橋脚やコンクリート壁といった構造物など)から取り外す必要がある。また、メンテナンス終了後には、当該ケース本体920を屋外の上述した設置対象物に取り付けるための作業が必要となる。特に、ケース本体920が複数のネジやボルトなどで強固に取り付けられている場合には、取り外し作業及び取り付け作業が面倒であるとともに多くの時間を要し、また、設置対象物が、上述したように、例えば、杭や樹木、又は橋脚やコンクリート壁といった構造物である場合には、危険も伴うこととなる。
【0012】
また、ケース本体920に収納されている電子機器910の電源として、太陽電池を使用する場合においては、太陽電池パネルを取り付ける必要があるが、この場合、太陽電池パネルは、太陽光が照射されるケース本体カバー930に取り付けざるを得ない。このとき、ケース本体カバー930に取り付けられている太陽電池パネルと、ケース本体920に収納されている電子機器910との間の配線が必要となる。
【0013】
このため、電子機器が収納された状態のケース本体そのものを設置場所から取り外して、安全な場所でメンテナンス作業を行う場合においては、太陽電池パネルと電子機器との間の配線を切り離す作業が必要となり、メンテナンス終了後には、元通りに配線し直すといった作業が必要となる。このことは、太陽電池パネルだけではなく、ケース本体カバー930に監視カメラなどを取り付けた場合にも同様である。
【0014】
このように、特許文献1に記載の屋外設置型の電子機器収納ケース900は、メンテナンス性において課題があり、特に、商用電源の供給が困難な場所、足場の悪い場所、高所などに設置する場合のメンテナンス性においては課題がある。
【0015】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、屋外に設置され、電源としてのバッテリーを含む電子機器を収納する屋外設置型の電子機器収納ケースにおいて、電子機器をメンテナンスする際のメンテナンス性に優れるとともに、防水性にも優れた屋外設置型の電子機器収納ケースを提供するとともに、このような屋外設置型の電子機器収納ケースを使用することによって、収納されている電子機器のメンテナンスがし易くなるとともに、防水性にも優れることから高い信頼性を長期間維持できる屋外設置型の無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
[1]本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースは、屋外に存在する設置対象物に設置され、電源としてのバッテリーを含む電子機器を収納する屋外設置型の電子機器収納ケースであって、前記屋外設置型の電子機器収納ケースを前記設置対象物に設置した状態とした場合に、重力の方向とは反対方向に向く面を上面とし、前記設置対象物の側に向く面を後面、当該後面と反対側を向く面を前面とし、当該前面に対峙して見たときに左右方向を向く面を左右両側面としたとき、上面、前面、下面及び左右両側面がそれぞれ閉塞されており、後面が開口となっている箱型をなし、内部に前記電子機器を収納するケース本体と、前記設置対象物に固定され、上面、後面及び左右両側面がそれぞれ閉塞面となっており、前面及び下面がそれぞれ開口となっていて、それぞれの開口が繋がっており、前記下面から前記ケース本体を上下方向にスライドさせることにより、当該前記ケース本体の挿脱が可能で、前記ケース本体が挿入されることによって、当該ケース本体を保持するとともに前記ケース本体のカバーの役目をなすケース本体カバーと、を備え、前記ケース本体カバーの前記開口となっている前面には、当該ケース本体カバーの前記上面、前記左右両側面から当該ケース本体カバーの前面側に回り込む枠体が形成されており、前記ケース本体が前記ケース本体カバーに保持された状態においては、前記ケース本体の前記前面には、前記ケース本体カバーの前記枠体によって三方が囲まれた露出部が形成され、当該ケース本体の前記開口となっている後面は、前記ケース本体カバーの前記後面の内壁面の側を向き、前記ケース本体の前記上面は、前記ケース本体カバーの前記上面の内壁面に対面し、前記ケース本体の前記左右両側面は、前記ケース本体カバーの前記左右両側面の内壁面に対面することを特徴とする。
【0017】
[2]本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいては、前記ケース本体の前記前面に形成される前記露出部は、前記ケース本体の外部に取り付ける必要のある機器の取り付けが可能となっていることが好ましい。
【0018】
[3]本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいては、前記ケース本体の外部に取り付ける必要のある機器には、太陽電池パネル及び監視用のカメラの少なくとも一方が含まれていることが好ましい。
【0019】
[4]本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいては、前記ケース本体カバーの前記枠体及び前記ケース本体の互いに対向する位置には、前記ケース本体を前記ケース本体カバーに挿脱させる際に、前記ケース本体の移動をガイドするガイド溝及びガイドレールが設けられていることが好ましい。
【0020】
[5]本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいては、前記ケース本体における前記左右両側面の前記開口となっている後面の側の縁部には、当該ケース本体の前記左右両側面から所定の出っ張り量を有して出っ張った肉厚の肉厚側面が、当該ケース本体の前記上面と前記下面との間において帯状に形成されており、前記ケース本体が前記ケース本体カバーの前記開口となっている下面から挿脱される際には、前記ケース本体に形成されている前記肉厚側面の表面が前記ケース本体カバーの前記左右両側面の内壁面に摺動状態で挿脱され、前記ケース本体が前記ケース本体カバーに保持された状態においては、前記ケース本体の前記肉厚側面が前記ケース本体カバーの前記左右両側面の内壁面と接触した状態となることが好ましい。
【0021】
[6]本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいては、前記ケース本体の前記肉厚側面には、気体及び水分の流通が可能な細溝が、前記ケース本体の前記上面から前記下面までの間に形成されていることが好ましい。
【0022】
[7]本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいては、前記ケース本体の前記左右両側面には、当該ケース本体に形成されている前記肉厚側面と前記ケース本体の前記前面との間に、少なくとも1筋の側面防水リブが、前記ケース本体に形成されている前記肉厚側面と同じ出っ張り量で前記ケース本体の前記左右両側面を前後方向に横切るように形成されており、前記少なくとも1筋の側面防水リブは、前記ケース本体が前記ケース本体カバーに保持された状態においては、前記ケース本体カバーの前記左右両側面の内壁面に接触した状態となることが好ましい。
【0023】
[8]本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいては、ケース本体の前記上面には、当該ケース本体の前記上面を三方から囲むようにケース本体上面防水リブが設けられ、当該ケース本体上面防水リブは、前記ケース本体の前記上面における前記ケース本体の前記開口となっている後面の側の縁部付近及び前記左右両側面の側の縁部付近において上方向に突出しており、前記ケース本体カバーの上面の内壁面には、当該ケース本体カバーの前記上面の内壁面を三方から囲むようにカバー上面内壁防水リブが設けられ、当該カバー上面内壁防水リブは、前記ケース本体カバーの前記上面の内壁面における前記後面の側の縁部付近及び前記左右両側面の側の縁部付近において下方向に突出しており、前記ケース本体が前記ケース本体カバーに保持された状態においては、前記ケース本体上面防水リブが前記カバー上面内壁防水リブを外側から三方で囲むようにして前記ケース本体上面防水リブと前記カバー上面内壁防水リブとが接触した状態となることが好ましい。
【0024】
[9]本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいては、前記ケース本体の前記上面は、当該ケース本体の前記前面の側に向かう下り傾斜を有していることが好ましい。
【0025】
[10]本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいては、前記ケース本体の前記下面の内壁面は、当該ケース本体の前記開口となっている後面の側に向かう下り傾斜を有していることが好ましい。
【0026】
[11]本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいては、前記ケース本体カバーの前記後面には、当該ケース本体カバーを、前記設置対象物に固定するための固定金具を取り付けるための固定金具取り付け部が設けられていることが好ましい。
【0027】
[12]本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいては、前記ケース本体の前記下面には、当該ケース本体を前記ケース本体カバーに挿脱させる際に使用する把持部が設けられていることが好ましい。
【0028】
[13]本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいては、前記ケース本体の前記開口となっている後面には、当該開口となっている後面を覆う蓋体が設けられており、前記ケース本体が前記ケース本体カバーに保持された状態においては、前記ケース本体の前記開口となっている後面は、前記蓋体が設けられている状態で前記ケース本体カバーの前記後面の内壁面の側を向くように構成されていることも好ましい。
【0029】
[14]本発明の屋外設置型の無線通信装置は、屋外に存在する設置対象物に設置され、屋外設置型の電子機器収納ケースと、当該屋外設置型の電子機器収納ケースに収納される電子機器と、を備え、前記電子機器は、電源としてのバッテリーと、演算機能及び通
信機能を有するデータ処理部と、を有する屋外設置型の無線通信装置であって、前記屋外設置型の電子機器収納ケースは、[1]~[12]のいずれかに記載の屋外設置型の電子機器収納ケースが用いられていることを特徴とする。
【0030】
[15]本発明の屋外設置型の無線通信装置は、当該屋外設置型の無線通信装置は、前記設置対象物の周辺の所定箇所の水位を計測して水位情報を出力する水位センサーを有する水位計測装置であって、前記データ処理部は、時刻情報を取得する時刻取得部と、演算部と、無線通信部とを有し、前記演算部は、前記水位情報と前記時刻情報とを関連付けたデータを作成し、当該データを前記無線通信部により送信することが好ましい。
【0031】
[16]本発明の屋外設置型の無線通信装置においては、前記電源としては、太陽電池パネルによって得られる電力を用い、当該太陽電池パネルは、前記屋外設置型の電子機器収納ケースにおける前記ケース本体の前記露出部に取り付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいては、電子機器を収納するケース本体をケース本体カバーに対して着脱自在としている。このため、本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースによれば、ケース本体に収納されている電子機器のメンテナンスを行う際には、設置対象物に固定されているケース本体カバーはそのままとして、ケース本体側を着脱すればよいため、電子機器をメンテナンスする際のメンテナンス性に優れたものとなる。特に、本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースが、足場の悪い場所や高所に設置されている場合には、その効果はより大きなものとなる。
【0033】
また、本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいては、ケース本体がケース本体カバーに保持された状態においては、ケース本体の前面には、ケース本体カバーの枠体によって三方が囲まれた露出部が形成される構造となっている。このため、ケース本体の露出部には、太陽電池パネルや監視カメラなど、外部に取り付ける必要のある機器の取り付けが可能となる。このように、ケース本体に外部に取り付ける必要のある機器の取り付けが可能となることによって、ケース本体を取り外す際には、これらの機器と電子機器との間の配線を切り離すことなく、これらの機器が取り付けられた状態でケース本体を取り出すことができ、この点からもメンテナンスを容易なものとすることができる。
【0034】
また、本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースにおいては、ケース本体がケース本体カバーに保持された状態においては、ケース本体の開口となっている後面は、ケース本体カバーの閉塞された後面の内壁面の側を向き、ケース本体の閉塞された上面はケース本体カバーの閉塞された上面の内壁面の側を向き、ケース本体の閉塞された左右両側面はケース本体カバーの閉塞された左右両側面の内壁面の側を向くような構造となっているため、、防水性にも優れたものとなる。また、本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースは、後述する実施形態に記載されているように、防水のための工夫が様々施されており、それによっても高い防水性を有するものとなる。
【0035】
また、本発明の屋外設置型の無線通信装置においては、本発明の屋外設置型の無線通信装置に用いる電子機器収納ケースとして、前述の本発明の屋外設置型の電子機器収納ケースを使用することによって、収納されている電子機器のメンテナンスがし易くなるとともに、防水性にも優れることから高い信頼性を長期間維持できる屋外設置型の無線通信装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1を説明するために示す図である。
【
図2】実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1のケース本体100を説明するために示す図である。
【
図3】実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1のケース本体カバー200を説明するために示す図である。
【
図4】ケース本体100をケース本体カバー200に取り付けた状態としたときの部分断面図を示すである。
【
図5】本体上面防水リブ131,132,133とカバー上面内壁防水リブ231,232,233とが密接した状態を説明するために示す図である。
【
図6】実施形態に係る屋外設置型の無線通信装置2を説明するために示す図である。
【
図7】屋外設置型の電子機器収納ケース1のケース本体100に電子機器20が収納されている状態の一例を示す図である。
【
図8】屋外設置型の無線通信装置(水位計測装置)2の電気的な構成を説明する図である。
【
図9】特許文献1に記載の屋外設置型の電子機器収納ケースを説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0038】
[実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース]
図1は、実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1を説明するために示す図である。なお、
図1において、
図1(a)はケース本体100がケース本体カバー200に保持された状態を示しており、
図1(b)はケース本体100をケース本体カバー200から取り外した状態を示している。
【0039】
実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1は、電源としてのバッテリーを含む電子機器(
図1においては図示せず。)を収納する屋外設置型の電子機器収納ケースであり、
図1に示すように、電子機器を収納するケース本体100と、当該ケース本体100を保持するとともにカバーの役目をなすケース本体カバー200とを有する。また、
図1に示されている屋外設置型の電子機器収納ケース1は、当該屋外設置型の電子機器収納ケース1を屋外に存在する設置対象物に設置したときの姿勢である。
【0040】
ここで、屋外に存在する設置対象物としては、田圃や川沿いに立っている杭や樹木、又は橋脚やコンクリート壁といった構造物などを例示できる。また、実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1を設置対象物に設置した状態とした場合に、重力の方向とは反対方向(z方向)を向く面を上面とし、重力の方向(z’方向)を向く面を下面とし、設置対象物の側に向く面(y’方向に向く面)を後面、当該後面と反対側を向く面(y方向に向く面)を前面とし、当該前面に対峙して見たときに左右方向(x-x’方向)を向く面を左右両側面として説明する。また、前面から後面に向かう方向又は後面から前面に向かう方向を前後方向とする。
【0041】
従って、ケース本体100の前面は、
図1(a)及び
図1(b)において目視できる側を向いている面120が当該ケース本体100の前面120となり、ケース本体カバー200の前面は、同じく、
図1(a)及び
図1(b)において目視できる側を向いている面220が当該ケース本体カバー200の前面220となる。
【0042】
図2は、実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1のケース本体100を説明するために示す図である。ここで、
図2(a)はケース本体100を開口となっている後面110の側から見た斜視図であり、
図2(b)はケース本体100を閉塞された前面120の側から見た斜視図である。
【0043】
ケース本体100は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、開口となっている後面110、閉塞された前面120、閉塞された上面130、閉塞された下面140及び閉塞された左右両側面151,152(左側面151、右側面152と別々に表記する場合もある。)を有しており、角(かど)が丸みを帯びたほぼ直方体形状をなしている。また、ケース本体100の下面140には、ケース本体カバー200に対してケース本体100を挿脱する際に使用する把持部170が設けられている。このような把持部170が設けられていることにより、ケース本体カバー200に対するケース本体100の挿脱がしやすくなる。なお、以下の説明においては、開口となっている後面110は開口後面110と表記し、閉塞された上面130、閉塞された下面140及び閉塞された左右両側面151,152については、「閉塞された」を省略して、単に、上面130、下面140、左右両側面151,152と表記する場合もある。このようなケース本体100の詳細な構造については後述する。
【0044】
図3は、実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1のケース本体カバー200を説明するために示す図である。
図3(a)はケース本体カバー200を開口となっている前面220及び下面240の側から見た斜視図であり、
図3(b)はケース本体カバー200を閉塞された後面210の側から見た斜視図である。
【0045】
ケース本体カバー200は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、閉塞された後面210、開口となっている前面220、閉塞された上面230.開口となっている下面240及び閉塞された左右両側面251,252(左側面251、右側面252と別々に表記する場合もある。)を有しており、開口となっている前面220及び下面240は、それぞれの開口が繋がっている。当該ケース本体カバー200においても、以下の説明においては、開口となっている前面220を開口前面220、開口となっている下面240を開口下面240と表記し、閉塞された後面210、閉塞された上面230、閉塞された左右両側面251,252については、「閉塞された」を省略して、単に、後面210、上面230、左右両側面251,252と表記する場合もある。このようなケース本体カバー200の詳細な構成については後述する。
【0046】
続いて、
図1~
図3を参照して実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1について詳細に説明する。なお、
図1~
図3において、同一構成要素には同一符号が付されている。ケース本体100は、ケース本体カバー200に挿脱可能となっている。すなわち、ケース本体100をケース本体カバー200に挿入する際には、ケース本体100の把持部170を握ってケース本体100の上面130を先頭にしてケース本体カバー200の開口下面240からケース本体カバー200の上方に向かって押し込むようにスライドさせる(
図1(b)参照。)。
【0047】
これにより、ケース本体100がケース本体カバー200に取り付けられた状態(
図1(a)参照。)となり、この状態を、ケース本体100がケース本体カバー200に保持された状態とする。また、ケース本体100がケース本体カバー200に保持された状態(
図1(a)参照。)からケース本体100を取り出す際には、ケース本体の把持部170を握って、下方向に引き抜くようにスライドさせる。
【0048】
なお、ケース本体100がケース本体カバー200に保持された状態(
図1(a)参照)においては、ケース本体100は、一本のボルト(後述する)によってケース本体カバー200に固定されている。すなわち、ケース本体100の開口後面110(
図2(a)参照。)の下端側の縁部には、下方向に延出している延出片111(
図2(a)参照。)が設けられており、当該延出片111の左右方向の中央部には、カバー本体固定用のボルト(図示せず。)を通すためのボルト通し長孔112(
図2(a)参照。)が形成されている。一方、ケース本体カバー200の後面210(
図3(b)参照。)の下端近くの壁面には、カバー本体固定用のボルトに螺合する六角ナットが嵌め込まれる六角ナット嵌め込み孔211が形成されている。
【0049】
そして、ケース本体100をケース本体カバー200に保持した状態とすると、ボルト通し長孔112と六角ナット嵌め込み孔211とが対向する。従って、ケース本体カバー200の六角ナット嵌め込み孔211に、予め、六角ナットを嵌め込んでおけば、ケース本体100をケース本体カバー200に挿入したあとに、ケース本体100側のボルト通し長孔112からカバー本体固定用のボルトを差し込んで、当該カバー本体固定用のボルトと六角ナットとを螺合させてボルトの締め付けを行うことによって、ケース本体100をケース本体カバー200に固定することができる。それによって、ケース本体100はケース本体カバー200に確実に保持された状態となる。
【0050】
続いて、ケース本体100及びケース本体カバー200それぞれについて、さらに詳細な構造について説明する。ケース本体カバー200の後面210(
図3(b)参照。)には、固定金具(図示せず。)を取り付けるための固定金具取り付け部(タッピングビス穴)212が、当該後面210の上下2箇所に、それぞれ2個ずつ設けられている。このような固定金具取り付け部(タッピングビス穴)212が設けられていることにより、ケース本体カバー200に固定金具を容易に取り付けることができる。ここで、固定金具は、ケース本体カバー200を、設置対象物(杭、樹木、橋脚、コンクリート壁など)に固定するための固定金具であり、当該固定金具は、設置対象物(杭、樹木、橋脚、コンクリート壁など)に応じて種々のものを使用できる。
【0051】
また、ケース本体カバー200の開口前面220(
図3(a)参照。)には、当該ケース本体カバー200の上面230、左右両側面251,252からそれぞれ開口前面220側に回り込む枠体221~223が形成されている。枠体221~223のうち、枠体221は、ケース本体カバー200の開口前面220の上側に左右方向に沿って(x軸に沿って)形成されている枠体であり、枠体222及び枠体223は、ケース本体カバー200の開口前面220の左右両側に上下方向に沿って(z軸に沿って)形成されている枠体である。
【0052】
そして、ケース本体100がケース本体カバー200保持された状態(
図1(a)参照。)においては、ケース本体100の前面120には、枠体221~223から露出する露出部121が形成される。この露出部121は、枠体221~223から前面外方側に出っ張るように形成されており、ケース本体100の外部に取り付ける必要のある機器の取り付けが可能となっている。ここで、ケース本体100の外部に取り付ける必要のある機器としては、太陽電池パネル、監視カメラ、各種センサー(例えば、赤外線センサーなど)を例示できる。これら、太陽電池パネル、監視カメラ、各種センサーなどをすべて取り付けることも可能であるが、これらのうちから必要な機器を選択して取り付けることもできる。
【0053】
また、ケース本体100の下面140(
図2(b)参照。)には、ケーブル接続用コネクタの取り付けが可能となっているコネクタ取り付け孔141と、アンテナの取り付けが可能となっているアンテナ取り付け孔142が形成されている。これらコネクタ取り付け141孔及びアンテナ取り付け孔142は、必要に応じて設けられる。すなわち、電子機器から外部にケーブルを延出させる必要がない場合には、コネクタ取り付け孔141は防水性のキャップなどで塞ぐこともできる。また、アンテナ取り付け孔142も同様であり、例えば、アンテナ内蔵型(アンテナが電子機器の回路基板に設けられている場合など)には、アンテナ取り付け孔142を防水性のキャップなどで塞ぐこともできる。なお、コネクタ取り付け141孔及びアンテナ取り付け孔142が不要である場合には、初めから、コネクタ取り付け141孔及びアンテナ取り付け孔142は特に設ける必要はない。
【0054】
また、ケース本体100がケース本体カバー200に保持された状態(
図1(a)参照。)においては、当該ケース本体100の開口後面110(
図2(a)参照。)は、ケース本体カバー200の後面210の内壁面210a(
図3(a)参照。)の側を向き、ケース本体100の上面130(
図2(a)参照。)は、ケース本体カバー200の上面230の内壁面230aに対面し、ケース本体100の左右両側面151,152は、ケース本体カバー200の左右両側面251,252の内壁面251a,252aに対面する。また、ケース本体100の前面120の上側の縁部付近及び左右両側の縁部付近は、ケース本体カバー200の枠体221,222,223によってそれぞれ覆われる。
【0055】
ここで、ケース本体100がケース本体カバー200に保持された状態(
図1(a)参照。)においては、ケース本体100とケース本体カバー200とによって形成される内部空間は、前面、後面、上面、下面、左右両側面が閉塞された空間となる。なお、ケース本体100とケース本体カバー200とによって形成される内部空間は、電子機器を収納する空間部となるため、以下の説明においては、「電子機器収納空間」と表記する場合もある。
【0056】
また、ケース本体カバー200の枠体とケース本体100の前面120との互いに対向する位置には、ケース本体100をケース本体カバー200に挿脱させる際に、ケース本体100の移動をガイドするガイド溝161,162及びガイドレール261,262が上下方向(z軸に沿った方向)に沿って設けられている(
図2(b)、
図3(a)及び後述する
図4参照。)。これにより、ケース本体100をケース本体カバー200に挿脱させる際に、ケース本体100の挿脱をスムーズに行うことができる。
【0057】
具体的には、ガイド溝161,162は、ケース本体100の前面120の左右両側面151,152側の縁部に設けられている(
図2(b)参照。)。一方、ガイドレール261,262は、ケース本体カバー200の枠体222,223の先端縁部の内壁面に設けられている(
図3(b)参照。)。なお、ここでは、ケース本体100の側にガイド溝161,162を設け、ケース本体カバー200の側にガイドレール261,262を設けた場合を例示したが、ケース本体カバー200の側にガイド溝を設け、ケース本体100の側にガイドレールを設けるようにしてもよい。
【0058】
ところで、ケース本体100をケース本体カバー200に挿入する際には、ケース本体100に設けられているガイド溝161,162にケース本体カバー200に設けられているガイドレール261,262を入り込ませた状態で、ケース本体100をケース本体カバー200にスライドさせて行くが、このとき、ケース本体100のガイド溝161,162が、ケース本体カバー200のガイドレール261,262に対し、当該ガイドレール261,262を外方に押上げる力を与えながらケース本体100がケース本体カバー200に挿入されて行く。
【0059】
すなわち、ケース本体カバー200の枠体222,223は、多少の弾性を有しており、ケース本体100のガイド溝161,162にケース本体カバー200のガイドレール261,262を入り込ませた状態とすると、弾性を有する枠体222,223の弾性復帰力によってガイドレール261,262がガイド溝161,162を押圧する。このため、ケース本体100がケース本体カバー200に挿入されて行く際には、ケース本体100のガイド溝161,162が、ケース本体カバー200のガイドレール261,262に対し、当該ガイドレール261,262を外方に押上げる力を与えながらケース本体100がケース本体カバー200に挿入されて行く。
【0060】
このような構成となっていることにより、ケース本体100がケース本体カバー200に保持された状態においては、ケース本体100のケース本体カバー200に対する密接度を高めることができる。なお、ケース本体カバー200の枠体222,223が弾性を有するようにするためには、ケース本体カバー200そのものが弾性を有するような素材で作られていることが好ましい。
【0061】
また、ケース本体100における左右両側面151,152の開口後面110側の縁部には、肉厚側面153,154(
図2(a)、
図2(b)及び後述する
図4参照。)が帯状にそれぞれ形成されている。この肉厚側面153,154は、上面130と下面140との間において左右両側面151,152から出っ張り量tを有して出っ張っており、肉厚となっている。
【0062】
そして、ケース本体100がケース本体カバー200の開口下面240から挿脱される際には、ケース本体100に形成されている肉厚側面153.154の表面が、ケース本体カバー200の左右両側面251,252の内壁面251a,252aに摺動状態で挿脱される。ケース本体100がケース本体カバー200に保持された状態においては、ケース本体100の肉厚側面153,154が、ケース本体カバー200の左右両側面251,252の内壁面251a,252aと接触した状態となる(後述する
図4参照。)。
【0063】
なお、ケース本体カバー200における左右両側面251,252には、曲面253,254(
図3(a)、
図3(b)及び後述する
図4参照。)が形成されている。一方、ケース本体100の肉厚側面153,154は、当該肉厚側面153,154の表面がケース本体カバー200に形成されている曲面253.254とほぼ同じ曲率の曲面となっている(後述する
図4参照。)。そして、ケース本体100がケース本体カバー200に保持された状態においては、ケース本体100に形成されている肉厚側面153,154は、その先端縁部Peがケース本体カバー200の曲面253,254における内壁面のほぼ中途部に位置する(後述する
図4参照。)。
【0064】
このように、ケース本体カバー200においては、曲面253,254が形成されており、ケース本体100においては、肉厚側面153,154の表面が曲面253.254とほぼ同じ曲率の曲面となっているため、ケース本体100がケース本体カバー200の開口下面240から挿脱される際には、ケース本体100に形成されている肉厚側面153,154の表面(曲面となっている表面)がケース本体カバー200に形成されている曲面253,254に摺動状態で挿脱される。
【0065】
図4は、ケース本体100がケース本体カバー200に保持された状態となったときの断面図を示すである。なお、
図4は
図1(a)のa-a矢視断面を模式的に示す拡大図であり、主要な構成要素のみが示されている。また、
図4において、
図1~
図3と同一構成要素には同一符号が付されている。
【0066】
図4に示すように、ケース本体100がケース本体カバー200に保持された状態となると、ケース本体100の肉厚側面153,154の表面(曲面となっている表面)と、ケース本体カバー200に形成されている曲面253,254の内壁面とが接触した状態となる。また、ケース本体100に形成されているガイド溝161,162に、ケース本体カバー200に形成されているガイドレール261,262が入り込んだ状態となる。
【0067】
また、肉厚側面153,154には、ケース本体100の上面130から下面140までの間に細溝155,156が形成されている。この細溝155,156は、断面が半円状をなし、開口の幅wが0.2mm程度を有している。なお、幅wは0.2mm程度としたが、これに限定されるものではない。また、
図4においては、細溝155,156は、存在を明確にするためにやや誇張して描かれている。
【0068】
細溝155,156は、気体及び水の流通を可能とするものであり、当該細溝155,156の一方の端部は、ケース本体100がケース本体カバー200に保持された状態となったときに、電子機器収納空間300に通じており、細溝155,156の他方の端部は、ケース本体100の下面140に露出している。このため、細溝155,156は、電子機器収納空間300と外部との間の気体及び水の流通路の役目をなしている。
【0069】
このような細溝155,156が形成されていることにより、例えば、太陽光による熱及び/又は内部に収納されている電子機器により発生する熱によって、ケース本体100内が高温となって気圧が高くなった場合には、ベンチレータとしての役目をなし、電子機器収納空間300の気圧を大気圧と同等とする機能を有することとなる。
【0070】
なお、細溝155,156は、気体だけでなく、電子機器収納空間300において結露などによって生じた水滴の流通も可能となる。この場合、細溝155,156は、幅wが0・2mm程度という細溝であるため、水を重力方向(上から下)に流通させることは可能であるが、反対方向(下から上)へは流通し難いものとなる。従って、吹き上げられた雨水などが細溝155,156を流通して電子機器収納空間300に侵入することを確実に防ぐことができる。ここでは、細溝155,156は、断面が半円状としたが、これに限られるものではなく、断面がV字形、U字形などであってもよい。
【0071】
また、
図4において、灰色で塗りつぶされた部分157,158は、ケース本体100の左右両側面151,152に形成されている側面防水リブ(以下、側面防水リブ157,158とする。)である。この側面防水リブ157,158について説明する。
【0072】
側面防水リブ157,158は、ケース本体100に形成されている肉厚側面153,154とケース本体100の前面120(具体的には、ガイド溝161,162)との間に形成されている。当該側面防水リブ157,158は、左右両側面151,152それぞれにおいて少なくとも
1筋が形成されており、左右両側面151,152を前後方向(y軸に沿った方向)に横切るように形成されている。なお、実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1においては、当該側面防水リブ157,158の数は左右両側面151,152それぞれにおいて2筋ずつとしている(
図2(a)及び
図2(b)参照。)。
【0073】
側面防水リブ157,158は、その突出量(左右両側面151,152からの出っ張り量t)は肉厚側面153,154の出っ張り量tと同じである。このため、ケース本体100がケース本体カバー200に保持された状態においては、側面防水リブ157,158は、ケース本体カバー200の左右両側面251,252の内壁面251a,252aに接触した状態となる(
図4参照。)。なお、ケース本体100の左右両側面151,152にそれぞれ2筋ずつ形成されている側面防水リブ157,158は、それぞれの側面(左側面151及び右側面152)において、所定間隔をおいて離間した位置に形成されている。
【0074】
このような側面防水リブ157,158がケース本体100の左右両側面151,152に形成されていることによって、防止性を高めることができる。特に、下から吹き上がるような雨に対しての防水性を高めることできる。
【0075】
なお、ここでは、側面防水リブはケース本体100の左右両側面151,152にそれぞれ2筋ずつ形成した場合を例示したが、1筋であっても防水性は確保できる。また、側面防水リブはケース本体100の左右両側面151,152にそれぞれ3筋以上形成するようにしてもよいことは勿論である。
【0076】
なお、防水性の点で考えれば、ケース本体100の左右両側面151,152の全ての面がケース本体カバー200の左右両側面251,252の内壁面251a,252aに接触するようにしてもよいが、そうすると、ケース本体100の左右両側面151,152とケース本体カバー200の左右両側面251,252の内壁面251a,252aとの接触面積が大きくなる。
【0077】
ケース本体100の左右両側面151,152とケース本体カバー200の左右両側面251,252の内壁面251a,252aとの接触面積が大きくなると、ケース本体100をケース本体カバー200に挿脱させる際に、ケース本体100の左右両側面151,152とケース本体カバー200の左右両側面251,252の内壁面251a,252aとの摩擦が大きくなり、ケース本体100のケース本体カバー200に対する挿脱がスムーズに行えなくなる場合がある。この点、帯状の肉厚側面153,154及びリブ(側面防水リブ157,158)がケース本体カバー200の左右両側面251,252の内壁面251a,252aに接触する構造であれば、ケース本体100の左右両側面151,152とケース本体カバー200の左右両側面251,252の内壁面251a,252aとの接触面積を局所的とすることができるため、防水性を確保した上でケース本体100の挿脱をスムーズに行うことができる。
【0078】
続いて、
図2及び
図3に戻ってケース本体100及びケース本体カバー200についてさらに説明する。ケース本体100の上面130には、当該上面130を三方から囲むように本体上面防水リブ131,132,133(
図2(a)参照。)が設けられている。当該本体上面防水リブ131,132,133は、ケース本体100における上面130の開口後面110側の縁部付近及び左右両側面151,152側の縁部付近において上方向(z軸方向)に突出している。
【0079】
一方、ケース本体カバー200の上面230の内壁面230aには、上面230の内壁面230aを三方から囲むようにカバー上面内壁防水リブ231,232,233(
図3(a)参照。)が設けられている。当該カバー上面内壁防水リブ231,232,233は、ケース本体カバー200における上面230の内壁面230aの後面側の縁部付近及び左右両側面側の縁部付近において下方向に突出している。なお、カバー上面内壁防水リブ231,232,233のうちのカバー上面内壁防水リブ232は、
図3(a)においては、目視できない位置にあるので、
図3(a)においては、図示されていない。
【0080】
そして、ケース本体100がケース本体カバー200に保持された状態となると、本体上面防水リブ131,132,133とカバー上面内壁防水リブ231,232,233とが接触した状態となる。なお、このとき、本体上面防水リブ131,132,133がカバー上面内壁防水リブ231,232,233の外側、すなわち、本体上面防水リブ131,132,133がカバー上面内壁防水リブ231,232,233を外側から三方向で囲むように位置する。
【0081】
図5は、本体上面防水リブ131,132,133とカバー上面内壁防水リブ231,232,233とが接触している状態を示す図である。なお、
図5(a)は、
図1(a)におけるb-b矢視断面の主要部を模式的に示す拡大図であり、
図5(b)は、
図1(a)におけるc-c矢視断面の主要部を模式的に示す拡大図である。また、
図5においては、主要な構成要素のみが図示されている。また、
図5において、
図1~
図4と同一構成要素には同一符号が付されている。
【0082】
ケース本体100の上面130及びケース本体カバー200の上面230の内壁面230aに、このような防水リブ(本体上面防水リブ131,132,133及びカバー上面内壁防水リブ231,232,233)が設けられていることにより、例えば、何らかの原因でケース本体100の上面130に水が浸入した場合であっても、本体上面防水リブ131,132,133及びカバー上面内壁防水リブ231,232,233が防水壁の役目をなすことにより、電子機器収納空間部300に水が侵入することを確実に防止できる。
【0083】
また、ケース本体100の上面130は、当該ケース本体100の前面120の側に向かって下り傾斜(
図2(a)及び
図5において矢印Aで示す。)を有している。このように、ケース本体100の上面130が、前面120の側に向かって下り傾斜を有していることにより、ケース本体100の上面に水が入り込んだ場合であっても、その水を外部に排出し易くすることができる。また、ケース本体100の上面130がこのような下り傾斜を有していることにより、水が本体上面防水リブ131,132,133とカバー上面内壁防水リブ231,232,233を乗り超えにくくすることができる。
【0084】
また、ケース本体100の下面140の内壁面140a(
図2(a)参照。)は、当該ケース本体100の開口となっている後面110の側に向かう下り傾斜(
図2(a)の矢印Bで示す。)を有している。これにより、結露などによってケース本体100の内壁面などに付着した水滴を外部に排出し易くすることができる。
【0085】
また、ケース本体100には、上面130に形成されている本体上面防水リブ131,132,133のうちの本体上面防水リブ131と上面130の開口側縁部との間に鍔部134(
図2(a)参照。)が形成されている。そして、鍔部134には、当該鍔部134における左右方向(x軸に沿った方向)の中央部Poを頂点として左右方向(y軸の沿った方向)への下り傾斜(
図2(a)において矢印Cで示す。)が形成されている。これにより、例えば、結露によって鍔部134の表面に水滴が付着した場合であっても、付着した水滴を左右方向に流すことができる。左右方向に流れた水は、肉厚側面153,154に形成されている細溝155,156を通って下方向に流れて外部に排出できる。
【0086】
また、ケース本体100の内部には、電子機器をケース本体100の内壁面に対して離間した状態で支持するための電子機器支持部180(
図2(a)参照。)が形成されている。
図2(a)に示されている電子機器支持部180は、電源としてのバッテリー(
図1~
図5においては図示せず。)をケース本体100の内壁面に対して離間した状態で支持するためのバッテリー支持部であるが、必要に応じて、回路基板(
図1~
図5においては図示せず。)をケース本体100の内壁面に対して離間した状態で支持するための回路基板支持部を形成してもよい。なお、回路基板を支持するための回路基板支持部は、回路基板のサイズ、回路基板の取り付け位置などに応じて最適な電子機器支持部を設けることが可能である。
【0087】
ケース本体100及びケース本体カバー200が以上説明したような構造を有することによって、ケース本体100がケース本体カバー200に保持された状態においては、電子機器収納空間300(
図4参照。)はほぼ閉塞された空間となり、高い防水性が得られる。このため、例えば、台風などにおいて、雨が強風によって煽られたり、下から吹き上げられたりした場合であっても、高い防水性を確保できる。
【0088】
また、仮に、何らかの原因で、ケース本体100とケース本体カバー200との隙間から雨などが侵入したとしても、隙間から侵入した雨が電子機器収納空間300にまで達することを確実に防止できる。また、外部から侵入してくる可能性のある雨などだけでなく、電子機器収納空間300において結露によって水滴が付着した場合もあるが、このような場合であっても、付着した水滴を効率よく排出することができる。
【0089】
以上説明したように、実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1においては、ケース本体カバー200を設置対象物として、例えば、田圃や川沿いに立っている杭や樹木、建物の外壁、橋脚、コンクリート壁などに固定した場合に、電子機器を収納するケース本体100をケース本体カバー200に対して着脱自在としている。このため、実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1によれば、ケース本体100に収納されている電子機器のメンテナンスを行う際には、設置対象物に固定されているケース本体カバー200はそのままとして、ケース本体100の側を着脱すればよい。
【0090】
これにより、従来の屋外設置型の電子機器収納ケース(例えば、特許文献1に記載の屋外設置型の電子機器収納ケース900)のように、電子機器が収納されているケース本体が設置対象物に固定されていて、ケース本体カバーがケース本体に対して着脱自在となっているものに比べて、メンテナンスが容易となる。特に、屋外設置型の電子機器収納ケース1が、足場の悪い場所や高所に設置されている場合には、その効果はより大きなものとなる。
【0091】
また、実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1においては、ケース本体100の前面120に露出部121が設けられている。このため、露出部121には、ケース本体100の外部に取り付ける必要のある機器(例えば、太陽電池パネル、監視カメラなど)の取り付けが可能である。これらの機器は、ケース本体100内の電子機器に接続されているため、ケース本体100をケース本体カバー200から取り外す際には、これらの機器がケース本体100の露出部121に取り付けられた状態で、これらの機器と電子機器との間の配線を切り離すことなく、ケース本体100をケース本体カバー200から取り外すことができる。
【0092】
また、実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1においては、ケース本体100内部に雨などの水が入り込みにくい構造を有している。例えば、ケース本体100の左右両側面151,152には、側面防水リブ157、158が形成されており、また、ケース本体100の上面130の上面には、本体上面防水リブ131,132,133が形成されており、ケース本体カバー200には、カバー上面内壁防水リブ231,232,233が形成されている。また、ケース本体100の上面130、下面140の内壁面140a及び鍔部134がそれぞれ傾斜を有して形成されている。
【0093】
これにより、ケース本体100内には雨などの水が入り込みにくくなっているとともに、結露などによって生じた水滴が外部に排出し易くしなっているため、実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1は高い防水性を有するものとなる。また、ケース本体100には、水及び気体を流通させるための細溝155,156が電子機器収納空間とケース本体100の下面140との間において上下方向に沿って形成されているため、結露などによって生じた水滴を外部に排出することができるとともに、ケース本体100内の気圧を外気圧と同等に保持することができる。
【0094】
[実施形態に係る屋外設置型の無線通信装置]
図6は、実施形態に係る屋外設置型の無線通信装置2を説明するために示す図である。なお、
図6は実施形態に係る屋外設置型の無線通信装置2を屋外に設置した状態の一例を示す図である。実施形態に係る屋外設置型の無線通信装置2は、屋外設置型の電子機器収納ケース1と、当該屋外設置型の電子機器収納ケース1の内部に収納されている電子機器20とを有している。ここで、屋外設置型の電子機器収納ケース1は、前述した実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1であり、電子機器20は、屋外設置型の電子機器収納ケース1のケース本体100(
図4に示す電子機器収納空間300)に収納されている。
【0095】
なお、実施形態に係る屋外設置型の無線通信装置2は、田圃、河川、溜池、湖などの水位を計測するための水位計測装置であるとする。このため、実施形態に係る屋外設置型の無線通信装置2は、水位センサー10と、当該水位センサー10とケース本体100に収納されている電子機器20とを接続するケーブル30とが設けられており、屋外に存在する設置対象物(杭40とする。)に取り付けられている。
【0096】
なお、この場合、水位センサー10はケーブル30を介して電子機器20に接続されているため、電子機器収納ケース1のケース本体100の下面140には、
図2(b)に示すように、ケーブル30を接続するためのコネクタ31の取り付けが可能なコネクタ取り付け孔141が形成されている。そして、コネクタ取り付け孔141にはコネクタ31が取り付けられており、ケーブル30は当該コネクタ31に接続されている。
【0097】
なお、コネクタ31は、ケース本体100に収納されている電子機器20に電気的に接続されている。これにより、水位センサー10は、ケース本体100に収納されている電子機器20に電気的に接続されることとなる。なお、コネクタ31とケース本体100との接続部には防水シールによって封止されており、コネクタ31とケース本体100との接続部から水が浸入することを防止している。
【0098】
図7は、屋外設置型の無線通信装置(水位計測装置)2の電気的な構成を説明する図である。屋外設置型の無線通信装置(水位計測装置)2は、
図7に示すように、屋外設置型の電子機器収納ケース1のケース本体100に収納されている電子機器20と、水位を計測して水位情報を出力する水位センサー10とを有している。
【0099】
水位センサー10は、水位を計測すべき田圃や河川などに水没した状態で設置され、先端部に加わる水圧を計測して電気信号に変換することにより、田圃や河川などの水位を計測する。このような水位センサー10としては、例えばGE社のPDCR-1800シリーズを用いることができる。
【0100】
電子機器20は、水位センサー10から出力される水位情報に基づいてデータ処理を行うデータ処理部50と、電源としてのバッテリー60とを有している。データ処理部50は、
図7に示すように、時刻取得部としての機能を有するGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51、GNSSアンテナ52、演算部としてのCPU53、無線通信部としてのLPWA(Low Power Wide Area)無線通信部54、通信アンテナ55、プルアップ抵抗56を有している。
【0101】
GNSS受信機51は、地球を周回する複数のGNSS衛星(人工衛星)からの電波をGNSSアンテナ52で受信し、屋外設置型の無線通信装置(水位計測装置)2が設置された場所の緯度情報及び経度情報を算出して、CPU53に送る。
【0102】
GNSS(一般にはGPSと呼ばれる場合も多い)は、例えば、カーナビゲーションで広く使われている技術で、地球の周囲を飛び回っている複数の人工衛星からの電波を受信することにより、受信点の位置情報を知る技術である。また、GNSSを提供している人工衛星には原子時計が搭載されているので、GNSS受信機51からは極めて高精度の時刻情報を得ることができる。
【0103】
すなわち、GNSS受信機51から供給される時刻情報は、協定世界時(UTC:Coordinated Universal Time)に誤差1マイクロ秒以下の高精度で合致している。このため、GNSS受信機51は、協定世界時(UTC)に合致した時刻情報をCPU53に供給することができる。
【0104】
水位センサー10は、水位に応じたアナログ電圧を発生する。このアナログ電圧はケーブル30からコネクタ31を経由してCPU53に送信される。CPU53は、内蔵されたADコンバータ(図示せず。)により、水位計測値をデジタル信号に変換して内部のメモリ(図示せず。)に蓄積する。ここで、落石などの被害によりコネクタ31が外れた場合には、ケーブル30から送信される電圧は、プルアップ抵抗56により電源電圧(+Vcc)まで上昇する。つまり、コネクタ31が外れた場合、CPU53でAD変換された水位情報はフルスケール近くまで一挙に上昇する。そこでCPU53は、AD変換値がフルスケール近くまで上昇した場合には、「ケーブル30が外れた」と判断することができる。
【0105】
CPU53は、ステータス情報、水位情報、時刻情報、緯度、経度情報などを情報圧縮してペイロード(データ列)を作成し、LPWA無線送信部54に送信する。LPWA無線送信部54は、ペイロードを低消費電力の無線信号として通信アンテナ55から送信することにより、田圃などの水位情報を麓にある受信基地局(図示せず。)まで送信する。
【0106】
ところで、水位センサー10は、ケーブル30とコネクタ31とを介して電子機器20(データ処理部50のCPU53)に接続されており、コネクタ31の部分で水位センサー10及びケーブル30を、ケース本体100から切り離すことができる。このため、ケース本体100をケース本体カバー200から取り出す際は、水位センサー10及びケーブル30と、ケース本体100とをコネクタ31で切り離すことにより、ケース本体100のみを取り出すことができる。
【0107】
図8は、屋外設置型の電子機器収納ケース1のケース本体100に電子機器20が収納されている状態の一例を示す図である。ここで、電子機器20は、前述の
図7に示したように、水位センサー10からの水位情報に基づいてデータ処理を行うデータ処理部50と、当該データ処理部50に電力を供給する電源部としてのバッテリー60とを有する。なお、バッテリー60はバッテリーボックスBX1で覆われているため、
図8においては目視できない。また、データ処理部50を構成する各構成要素、すなわち、GNSS受信機51、GNSSアンテナ52、CPU53、LPWA無線通信部54、通信アンテナ55、プルアップ抵抗56などは回路基板70に搭載されており、これら各構成要素は部品ボックスBX2で覆われている。
【0108】
そして、バッテリー60は、電子機器支持部(バッテリー支持部)180に載置された状態でケース本体100に収納されている。このとき、バッテリー60はケース本体100の内壁面に対して離間した状態となっており、ケース本体100の内壁面には直接的には非接触となっている。一方、回路基板70は回路基板取り付け基台80に取り付けられ、当該回路基板取り付け基台80が、ケース本体100の内壁面に固定されている。このとき、回路基板70はバッテリー60と同様、ケース本体100の内壁面に対して離間した状態となっており、ケース本体100の内壁面には直接的には非接触となっている。
【0109】
このように、バッテリー60及び回路基板70は、それぞれが直接的にはケース本体100の内壁面に非接触となっているため、ケース本体100の内壁面に結露が生じても、結露が直接的にバッテリー60や回路基板70に触れないようにすることができる
【0110】
ところで、
図6に示すように、ケース本体100の前面120の露出部121(
図1及び
図6参照。)には、太陽電池パネル90を取り付けることもできる。そして、太陽電池パネル90で得られた電力を蓄電池に蓄えて、蓄えた電力を補助電力として用いることも可能であり、蓄えた電力のみを屋外設置型の無線通信装置(水位計測装置)2の電力として用いることも可能である。このように、ケース本体100の露出部121(
図1及び
図6参照。)に太陽電池パネル90を取り付けることにより、商用電源の使用ができない場所でも、屋外設置型の無線通信装置2を長期間に渡って稼働させることができる。
【0111】
また、ケース本体100の前面120の露出部121には太陽電池パネル90の他に、必要に応じて、監視カメラ(図示は省略する。)や赤外線センサー(図示は省略する。)などの各種センサーの機器を取り付けることもできる。監視カメラは、例えば、田圃や河川の様子やその周辺の様子を撮影して、撮影した画像データをCPU53に送る。CPU53では、監視カメラから送られてきた画像データを圧縮して圧縮画像データをLPWA無線送信部54によって受信基地局(図示せず。)まで送信する。例えば、監視カメラを取り付けた場合は、監視カメラから送信されてきた画像データから周辺の様子を目視で確認できる。
【0112】
以上説明したように、実施形態に係る屋外設置型の無線通信装置2(ここでは水位計測装置としている。)は、屋外設置型の電子機器収納ケース1と、当該屋外設置型の電子機器収納ケース1の内部に収納され、電池によって作動する電子機器20とを有している。そして、田圃や河川などの水位を計測して、計測した水位情報をデータ処理部50の演算部(CPU53)で水位情報と時刻情報とを関連付けたデータを作成し、当該データをLPWA無線通信部54により送信するものであり、電子機器収納ケース1としては、実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1が用いられている。
【0113】
このように、実施形態に係る屋外設置型の無線通信装置2は、電子機器収納ケース1として、実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1を用いていることによって、内部に収納されている電子機器20のメンテナンスがし易くなるとともに、防水性にも優れることから高い信頼性を長期間維持できる屋外設置型の無線通信装置とすることができる。
【0114】
特に、ケース本体100に収納されている電子機器20(データ処理部50、バッテリー60)のメンテナンスを行う際には、ケース本体100をケース本体カバー200に固定するためのカバー本体固定用のボルトを外して、ケース本体100そのものをケース本体カバー200から取り外すことができる。このため、実施形態に係る屋外設置型の無線通信装置2の設置場所が、自然環境の中で足場が悪かったり、高所であったりしても、メンテナンスを行う際には、ケース本体100そのものをケース本体カバー200から簡単に取り外すことができ、取り外したケース本体を安全な場所に持ってくることができる。
【0115】
これにより、メンテナンス作業を安全な場所で念入りに行うことができる。また、メンテナンス終了後にケース本体100をケース本体カバー200に取り付けるための取り付け作業も、ケース本体100をケース本体カバー200に差し込んで、カバー本体固定用のボルトを締め付けるだけでよいため、取り付け作業を短時間で終了させることができ、足場の悪い場所や高所に長時間留まる必要がない。
【0116】
また、前述したように、ケース本体100の前面120には露出部121が設けられており、当該露出部121に、ケース本体100の外部に取り付ける必要のある機器(例えば、太陽電池パネル、監視カメラなど)の取り付けが可能である。これらの機器は、ケース本体100内の電子機器に接続されているため、ケース本体100をケース本体カバー200から取り外す際には、これらの機器がケース本体100の露出部121に取り付けられた状態で、これらの機器と電子機器との間の配線を切り離すことなく、ケース本体100をケース本体カバー200から取り外すことができる。
【0117】
また、実施形態に係る屋外設置型の無線通信装置2は、電子機器収納ケース1として、実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1を用いているため、防水性が確保できることは勿論、電子機器収納空間300の気圧を大気圧と同程度に保持できる。これにより、電子機器収納ケース1が日照による熱や電子機器20が作動することによって生じる熱などによって、電子機器収納ケース1内の温度が上昇して電子機器収納ケース1内の気圧が高くなることによって生じる弊害を抑制できる。
【0118】
すなわち、実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1において説明したように、ケース本体100の左右両側面151,152に形成されている肉厚側面153,154には、細溝155,156が上下方向に沿って形成されており、この細溝155,156が気体(空気)の流通路の役目をなす。このため、電子機器収納空間300の気圧を外気圧とほぼ同程度に保持できる。これにより、電子機器収納空間300の気圧が高くなることによって生じる弊害を抑制できる。
【0119】
ここで、水位センサー10のケーブル30には、信号線の他に空気流通用の細いパイプ(図示せず。)がケーブル30の軸方向に沿って設けられているものがある。これは、水位センサー10は、水深による圧力の変化を電圧値として取り出して、それを水位情報として出力するいわゆる圧力センサーであることから、水位センサー10に内蔵されているセンサー部の気圧を大気圧と同程度とする必要があるためである。このため、ケーブル30のコネクタ31が接続されている箇所、すなわち、電子機器収納空間300内の気圧が大気圧と同程度となっていればよいが、電子機器収納ケース1が直射日光などによって熱せられた場合には、電子機器収納空間300の高い気圧が水位センサー10のセンサー部に付与されてしまい、正確な水位情報が得られないこととなる。
【0120】
これに対処するために、実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1は、前述したように、ケース本体100の左右両側面151,152に形成されている肉厚側面153,154には、細溝155,156が上下方向に沿って形成されている(
図4参照。)。この細溝155,156は、ベンチレータと同様の役目をなし、電子機器収納空間300の空気を外部に流通させることができるため、電子機器収納空間300の気圧を外気圧(大気圧)と同程度に保持することができる。これにより、電子機器収納空間300内の気圧が高くなることによって生じる弊害を抑制でき、水位センサー10からは高精度な水位情報を出力できる。
【0121】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
【0122】
(1)実施形態に係る屋外設置型の電子機器収納ケース1においては、ケース本体100の開口後面(開口となっている後面)110は、開口となっている状態でケース本体カバー200の後面210の内壁面210aの側に向く構造であったが、ケース本体100の開口後面110には、当該開口後面110を覆う蓋体(図示せず。)を設けるようにしてもよい。
【0123】
ケース本体100の開口後面110に蓋体(図示せず。)が設けられている場合には、ケース本体100がケース本体カバー100に保持された状態においては、ケース本体100の開口後面110は、蓋体(図示せず。)が設けられている状態でケース本体カバー200の後面210の内壁面210aの側を向くこととなる。
【0124】
このように、開口後面110に蓋体(図示せず。)が設けられていることにより、ケース本体100を修理交換する場合などにおいて、ケース本体100に収容している電子機器が外部に飛び出すことを防ぐことができる。さらに防水性をより高めることができるとともに、塵埃がケース本体100内に侵入することを防ぐ効果も得られる。これにより、ケース本体100内に収納されている電子機器を長期間に渡って、良好な状態に維持できる。
【0125】
(2)実施形態に係る屋外設置型の無線通信装置2においては、田圃、河川、溜池、湖などの水位を計測するための水位計測装置について説明したが、本発明の屋外設置型の無線通信装置2は、種々の無線通信装置として適用可能であり、特に、足場の悪い場所及び/又は高所など危険を伴う場所に設置される無線通信装置には広く適用できる。例えば、野生動物の生態を観測して、その観測データを無線送信する野生動物監視装置、土砂崩れや堤決壊の発生しやすい場所の状況を監視して、その監視データを無線送信する土砂崩れ監視装置、火山などの地震データなどを無線送信する火山監視装置など広い分野に適用できる。
【符号の説明】
【0126】
1・・・屋外設置型の電子機器収納ケース、2・・・屋外設置型の無線通信装置、10・・・水位センサー、20・・・電子機器、30・・・ケーブル、31・・・コネクタ、40・・・杭(屋外に存在する設置対象物)、50・・・データ処理部、51・・・GNSS受信機(時刻情報取得部)、53・・・CPU(演算部)、54・・・LPWA無線通信部(無線通信部)、60・・・バッテリー(電源)、70・・・回路基板、80・・・回路基板取り付け基台、90・・・太陽電池パネル、100・・・ケース本体、110・・・ケース本体100の開口となっている後面(開口後面)、111・・・延出片、112・・・ボルト通し長孔、120・・・ケース本体100の前面(閉塞された前面)、121・・・ケース本体100の露出部、130・・・ケース本体100の上面(閉塞された上面)、131,132,133・・・本体上面防水リブ、134・・・鍔部、140・・・ケース本体100の下面(閉塞された下面)、140a・・・ケース本体100の下面140の内壁面、151,152・・・ケース本体100の左右両側面(閉塞された左右両側面)、153.154・・・肉厚側面、155,156・・・細溝、157,158・・・側面防水リブ、161,162・・・ガイド溝、170・・・把持部、180・・・電子機器支持部(バッテリー支持部)、200・・・ケース本体カバー、210・・・ケース本体カバー200の後面(閉塞された後面)、210a・・・ケース本体カバー200の後面210の内壁面、211・・・六角ナット嵌め込み孔、212・・・固タッピングビス孔(固定金具取り付け部)、220・・・ケース本体カバー200の開口前面(開口となっている前面)、221,222,223・・・枠体、230・・・ケース本体カバーの上面(閉塞された上面)、230a・・・ケース本体カバーの上面の内壁面、231,232,233・・・カバー上面内壁防水リブ、240・・・ケース本体カバーの開口下面(開口となっている下面)、240a・・・ケース本体カバー200の下面240の内壁面、251,252・・・ケース本体カバー200の左右両側面(閉塞された左右両側面)、251a,252a・・・ケース本体カバー200の左右両側面251,252の内壁面、253,254・・・曲面、261,262・・・ガイドレール、A・・・ケース本体100の上面130の下り傾斜方向、300・・・電子機器収納空間、B・・・ケース本体100の下面140の下り傾斜方向、C・・・鍔部134の下り傾斜方向、Po・・・鍔部134の左右方向の中央部、Pe・・・肉厚側面153,154の先端縁部