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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】がん治療用組み合わせ医薬
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/742 20150101AFI20241120BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20241120BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20241120BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20241120BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20241120BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20241120BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20241120BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241120BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241120BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241120BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241120BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
A61K35/742
A61K31/44
A61K31/407
A61K31/4402
A61K31/47
A61K31/506
A61K31/517
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61K45/00
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P37/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024529314
(86)(22)【出願日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 JP2023019078
【審査請求日】2024-05-16
【微生物の受託番号】IPOD  FERM BP-2789
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114282
【氏名又は名称】ミヤリサン製薬株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506286928
【氏名又は名称】地方独立行政法人 大阪府立病院機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三吉 範克
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 彩
(72)【発明者】
【氏名】東城 彩香
(72)【発明者】
【氏名】高橋 志達
(72)【発明者】
【氏名】岡 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】林 篤史
(72)【発明者】
【氏名】工藤 逸美
【審査官】西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/216618(WO,A1)
【文献】特開平08-252088(JP,A)
【文献】国際公開第2021/020554(WO,A1)
【文献】特開2009-269836(JP,A)
【文献】DE ALMEIDA LEITE, Rodrigo Moises et al.,Regorafenib - Five Years in Review,European Oncology & Haematology,2020年,Vol. 16, no. 1,p. 24-28
【文献】MEZA, L.A. et al.,A phase I trial to evaluate the biologic effect of CBM588 (Clostridium butyricum) in combination wit,Journal of Clinical Oncology,2022年06月02日,vol. 40, issue 16, suppl.,TPS4606,特に「background」欄,「method」欄
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチキナーゼ阻害薬と、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物とを含み、
前記マルチキナーゼ阻害薬は、レゴラフェニブおよびソラフェニブからなる群から選択される少なくとも1種である、大腸がん治療用組み合わせ医薬。
【請求項2】
前記クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588は、生菌である、請求項1に記載の大腸がん治療用組み合わせ医薬。
【請求項3】
前記マルチキナーゼ阻害薬は、レゴラフェニブである、請求項1に記載の大腸がん治療用組み合わせ医薬。
【請求項4】
免疫チェックポイント阻害薬をさらに含む、請求項1に記載の大腸がん治療用組み合わせ医薬。
【請求項5】
前記免疫チェックポイント阻害薬は、PD-1阻害薬、PD-L1阻害薬およびCTLA-4阻害薬からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項に記載の大腸がん治療用組み合わせ医薬。
【請求項6】
前記免疫チェックポイント阻害薬は、ニボルマブ、イピリムマブ、ペンブロリズマブ、セミピリマブ、デュルバルマブ、ダクリズマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項に記載の大腸がん治療用組み合わせ医薬。
【請求項7】
大腸がんの治療に用いるための、マルチキナーゼ阻害薬と、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物との組み合わせを含み、
前記マルチキナーゼ阻害薬は、レゴラフェニブおよびソラフェニブからなる群から選択される少なくとも1種である、医薬組成物。
【請求項8】
マルチキナーゼ阻害薬と組み合わせて投与されるクロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物を含み、
前記マルチキナーゼ阻害薬は、レゴラフェニブおよびソラフェニブからなる群から選択される少なくとも1種である、大腸がん治療用医薬組成物。
【請求項9】
クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物と組み合わせて投与されるマルチキナーゼ阻害薬を含み、
前記マルチキナーゼ阻害薬は、レゴラフェニブおよびソラフェニブからなる群から選択される少なくとも1種である、大腸がん治療用医薬組成物。
【請求項10】
マルチキナーゼ阻害薬と、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物とを含み、
前記マルチキナーゼ阻害薬は、レゴラフェニブおよびソラフェニブからなる群から選択される少なくとも1種である、大腸がん治療用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がん治療用組み合わせ医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
プロバイオティクスとは、「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」と定義され、医療現場においても実践的な臨床応用が積極的に試みられている。
【0003】
また、プロバイオティクスは、抗がん剤などの化学療法との併用により、がん患者における治療効果を高めることが期待されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、免疫チェックポイント阻害薬とクロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)とをがん患者に投与することにより、免疫チェックポイント阻害薬の治療効果を強化し得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2021/216618号
【発明の概要】
【0006】
本発明は、新規ながん治療用組み合わせ医薬を提供することを目的とする。
【0007】
本発明者らは、驚くべきことに、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)とチロシンキナーゼ阻害薬とを組み合わせることにより、抗腫瘍効果を向上し得ることを見出した。そして、この知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明の一形態によれば、チロシンキナーゼ阻害薬と、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物とを含む、がん治療用組み合わせ医薬が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】試験例1の各群における腫瘍体積の推移を示すグラフである。
図2】試験例1の各群における各観測時点(4日目、8日目、11日目、15日目および18日目)の腫瘍体積を示すグラフである。
図3】試験例1における腫瘍体積1000mmをイベントとしたカプラン・マイヤー曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一形態に係る実施の形態を説明する。本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
【0011】
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。
【0012】
本明細書において、「クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)」を単に「CBM588」とも称する。
【0013】
本発明の第1の態様は、チロシンキナーゼ阻害薬と、CBM588またはその培養物とを含む、がん治療用組み合わせ医薬である。
【0014】
本発明の第2の態様は、有効量のチロシンキナーゼ阻害薬と、有効量のCBM588またはその培養物とを対象に組み合わせて投与することを有する、がんの治療方法である。
【0015】
本発明の第3の態様は、がんの治療に用いるための、チロシンキナーゼ阻害薬と、CBM588またはその培養物との組み合わせを含む、医薬組成物である。
【0016】
本発明の第4の態様は、チロシンキナーゼ阻害薬と組み合わせて投与されるCBM588またはその培養物を含む、がん治療用医薬組成物である。
【0017】
本発明の第5の態様は、CBM588またはその培養物と組み合わせて投与されるチロシンキナーゼ阻害薬を含む、がん治療用医薬組成物である。
【0018】
本発明の第6の態様は、チロシンキナーゼ阻害薬と、CBM588またはその培養物とを含む、がん治療用キットである。
【0019】
本発明の第7の態様は、がんの治療方法において、チロシンキナーゼ阻害薬と共に、使用するためのクCBM588またはその培養物である。
【0020】
本発明の第8の態様は、がんの治療方法において、CBM588またはその培養物と共に、使用するためのチロシンキナーゼ阻害薬である。
【0021】
本発明の第9の態様は、対象にチロシンキナーゼ阻害薬と、CBM588またはその培養物とを投与することを含むがんの治療方法において使用するための医薬における、チロシンキナーゼ阻害薬および/またはCBM588もしくはその培養物の使用である。
【0022】
本発明では、チロシンキナーゼ阻害薬と、CBM588またはその培養物とを組み合わせて投与することにより、チロシンキナーゼ阻害薬を単独投与するよりも、抗腫瘍効果、特に腫瘍体積減少効果を向上させることができ、それによって対象の生存率を有意に高めることができる。
【0023】
本発明に係るチロシンキナーゼ阻害薬は、がんの治療のために、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物と組み合わせて用いられる。
【0024】
チロシンキナーゼ阻害薬とは、細胞シグナル伝達、成長、分裂などの多くの細胞機能に関与する酵素である細胞のチロシンキナーゼを阻害することで、抗腫瘍効果を示す薬剤である。
【0025】
本発明に係るチロシンキナーゼ阻害薬は、特に制限されず、従来公知のチロシンキナーゼ阻害薬を使用することができる。チロシンキナーゼ阻害薬は、好ましくはEGFRチロシンキナーゼ阻害薬、c-kit受容体チロシンキナーゼ阻害薬、BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬、およびマルチキナーゼ阻害薬からなる群から選択される少なくとも1種であり、より好ましくはマルチキナーゼ阻害薬である。
【0026】
本発明に係るチロシンキナーゼ阻害薬の具体例としては、特に制限されないが、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、アファチニブ、エルロチニブ、オシメルチニブ、ゲフィチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、およびレンバチニブからなる群から選択される少なくとも1種であり、より好ましくはアキシチニブ、カボザンチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブおよびレンバチニブからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0027】
本発明に係るクロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物は、がんの治療のために、チロシンキナーゼ阻害薬と組み合わせて用いられる。
【0028】
CBM588は、芽胞形成性であり、芽胞の状態にある際には、様々な外的環境に対して抵抗性を有する。このため、CBM588が芽胞の形態で人や動物に経口投与されると、胃酸、腸液や胆汁酸などの消化液と接しても、CBM588は完全には死滅せずに小腸下部から大腸に至るまでの発酵部位にも到達し増殖することが可能となる。
【0029】
さらに、CBM588は、生菌剤、飼料添加物や食品として広く市販されており、人や家畜などの哺乳動物に長期間にわたって投与しても全く副作用を認めず、高い安全性が保証されている。
【0030】
CBM588は、1981年5月1日付で通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所(現在の独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター)(〒292-0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室)にFERM BP-2789として寄託され、1990年3月6日付で、ブダペスト条約に基づく国際寄託機関に移管され、受託番号FERM BP-2789として寄託されている。
【0031】
CBM588は、生菌剤としてミヤリサン製薬株式会社から市販されており、人や動物に長期に投与しても全く副作用の無いものである。好ましい実施形態では、CBM588は、生菌である。
【0032】
本発明において、CBM588の培養物は、クロストリジウム・ブチリムを培養した培養液、前記培養液を遠心分離して得られる菌を含む残渣および前記残渣の乾燥物を意味する。
【0033】
CBM588の培養物は、既知の微生物の培養方法、例えば、特開平08-252088号に開示された方法により得られる。その一実施態様を下記に示す:CBM588を1.0(w/v)% ペプトン、1.0(w/v)% 酵母エキス、1.0(w/v)%コーンスターチおよび0.2(w/v)%沈降炭酸カルシウムを含む培地に10~10個/mLになるように接種し、37℃にて48時間静置培養することにより、「CBM588の培養液」を得る。次に、得られた培養液を遠心分離(2,000~6,000g×10~30分)して、「培養液を遠心分離して得られる菌を含む残渣」を分離し、この残渣を、0~80℃、好ましくは10~20℃で、1~24時間、好ましくは5~18時間風乾等による乾燥処理または0~80℃、好ましくは10~20℃、0.05~500Torr(7Pa~66.7kPa)、好ましくは1~100Torr(133Pa~13.3kPa)で、1~24時間、好ましくは2~15時間減圧乾燥処理することなどにより、「残渣の乾燥物」を得る。乾燥物を得るためには、スプレードライ、フリーズドライなどを用いてもよい。
【0034】
本発明に係るCBM588の培養に使用する培地は、CBM588が資化しうる炭素源、適量の窒素源、無機塩およびビタミン類などのその他の栄養素を含有する培地であれば、合成培地または天然培地のいずれでもよい。
【0035】
例えば、本発明による培地中で使用される炭素源の例として、CBM588が資化できる炭素源であれば特に制限されない。炭素源としては、必ずしも糖に制限されないが、菌体の増殖を考慮すると、CBM588が利用可能な糖または糖を含むものが好ましく使用される。使用できる炭素源の具体例としては、資化性を考慮して、セロビオース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、マンノース、メリビオース、ラフィノース、サリシン、スターチ、スクロース、トレハロース、キシロース、デキストリン、および糖蜜等が挙げられる。これらの炭素源のうち、スターチ、グルコース、フルクトース、スクロースおよび糖蜜が好ましく使用される。上記した炭素源を、CBM588を考慮して、1種または2種以上選択して使用してもよい。この際、炭素源の添加濃度は、使用する炭素源の種類および使用する培地の炭素源以外の培地組成等によっても異なるが、通常0.5~5(w/v)%、好ましくは2~4(w/v)%である。
【0036】
また、窒素源およびビタミン類としては、例えば、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、味液等の大豆および小麦の加水分解物、大豆粉末、ミルクカゼイン、カザミノ酸、各種アミノ酸、コーンスティープリカー、その他の動物、植物、微生物の加水分解物等の有機窒素化合物および硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩が挙げられる。これらの窒素源のうち、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、コーンスティープリカーおよび味液が好ましく使用される。上記した窒素源およびビタミン類を、CBM588の生育を向上させるために、1種または2種以上選択して使用してもよい。この際、上記窒素源の添加濃度は、使用する菌株や窒素源の種類および使用する培地の窒素源以外の培地組成等によっても異なるが、窒素源を多く含むペプトンを使用する際には、通常0.5~4(w/v)%、好ましくは1~3(w/v)%であり、窒素源およびビタミン類を多く含む味液やコーンスティープリカーを使用する際には、通常0.5~5(w/v)%、好ましくは1~4(w/v)%であり、さらに、ビタミン類を多く含む酵母エキスあるいは肉エキスを使用する際には、通常0.5~4(w/v)%、好ましくは1~3(w/v)%である。
【0037】
さらに、無機塩としては、マグネシウム、マンガン、カルシウム、ナトリウム、カリウム、モリブデン、ストロンチウム、ホウ素、銅、鉄、スズおよび亜鉛などのリン酸塩、塩酸塩、硫酸塩、酪酸塩、プロピオン酸塩および酢酸塩等から選ばれた1種または2種以上を使用することができる。また、培地中に、必要に応じて、消泡剤、植物油、界面活性剤、血液および血液成分、抗生物質などの薬剤、植物または動物ホルモンなどの生理活性物質等を適宜添加してもよい。
【0038】
本発明において行われる培養の条件は、CBM588が偏性嫌気性であるため、通気しない、または窒素もしくは炭酸ガスを通気しながら、または培地中に還元剤を加えることにより酸化還元電位を下げるなどによって嫌気的条件下培養されることが必要である。その際の培養条件は、使用される培地の組成や培養法によって適宜選択され、CBM588が増殖できる条件であれば特に制限されない。具体的には、培養温度は、通常20~42℃、好ましくは35~40℃である。
【0039】
また、本発明において、CBM588の培養は、培養中に産生される酸をアルカリで中和することにより増殖が促進されるため、予め培地に炭酸カルシウムを添加することが好ましい。この際、炭酸カルシウムの添加量は、通常0.1~4(w/v)%、好ましくは0.2~2.5(w/v)%である。または、上記中和工程を、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムおよび炭酸カリウム等のアルカリ水溶液によって培地のpHを設定pHの範囲内に抑えながら行うことも好ましい。なお、アルカリ水溶液を使用する場合には、「設定pH」とは、培養期間中に予め設定されている培地のpHを意味し、「設定pHの範囲」とは、培養期間中に許容されるpHの範囲であり、一般的には、設定pH±許容差で表わす。本発明によると、設定pHは、通常5.0~7.5、好ましくは5.5~6.5の範囲内で設定され、設定pHの範囲は、設定pH±0.5、望ましくは設定pH±0.2である。
【0040】
なお、本発明において、培養を行う間の培地のpHは、CBM588の接種時では中性付近、より好ましくは6.5~7.5とする。なお、アルカリ水溶液を使用する場合には、酸素が混入しないように緩やかに攪拌しながら設定pHの範囲内に入るよう維持することが好ましい。このようにCBM588の接種時およびCBM588の増殖時のpHを制御することによって、菌密度を飛躍的に増大させることができる。
【0041】
本発明による培養において、CBM588の初期培養濃度は、CBM588が生育できる範囲であれば特に制限されず、具体的には、通常10~10個/mL、好ましくは10~10個/mLである。
【0042】
このようにして得られたCBM588の培養物は、チロシンキナーゼ阻害薬と併用することにより、抗腫瘍効果を向上させることができる。
【0043】
本発明において、がんの治療のために、チロシンキナーゼ阻害薬とCBM588またはその培養物と共に、免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせて用いることができる。
【0044】
免疫チェックポイント阻害剤は、受容体またはリガンドの免疫チェックポイントの働きを阻害するものであり、例えば、抑制性の受容体に対するアンタゴニストや、共刺激性の免疫チェックポイント受容体に対するアゴニストが挙げられる。
【0045】
「アンタゴニスト」という語には、受容体とリガンドとの結合による受容体の活性化を妨害する各種の物質が包含される。例えば、受容体に結合して受容体-リガンド間の結合を妨害する物質、及びリガンドに結合して受容体-リガンド間の結合を妨害する物質を挙げることができる。
【0046】
抑制性の免疫チェックポイントに対するアンタゴニストとしては、抑制性の免疫チェックポイント分子(抑制性の受容体又は該受容体のリガンド)と結合するアンタゴニスト性抗体、抑制性の免疫チェックポイントリガンドに基づいて設計された、受容体を活性化しない可溶性のポリペプチド、又は該ポリペプチドを発現可能なベクター等が挙げられる。
【0047】
本発明に係る免疫チェックポイント阻害薬は、特に制限されず、従来公知の免疫チェックポイント阻害薬を使用することができる。免疫チェックポイント阻害薬は、好ましくはPD-1阻害薬、PD-L1阻害薬およびCTLA-4阻害薬からなる群から選択される少なくとも1種であり、より好ましくはPD-1阻害薬である。
【0048】
本発明に係る免疫チェックポイント阻害薬の具体例としては、特に制限されないが、ニボルマブ、イピリムマブ、ペンブロリズマブ、セミピリマブ、デュルバルマブ、ダクリズマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブからなる群から選択される少なくとも1種であり、より好ましくはニボルマブ、ペンブロリズマブおよびセミピリマブからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0049】
なお、本発明は、以下の実施形態を含む:
チロシンキナーゼ阻害薬と、CBM588と、免疫チェックポイント阻害薬とを含む、がん治療用組み合わせ医薬;
有効量のチロシンキナーゼ阻害薬と、有効量のCBM588またはその培養物と、有効量の免疫チェックポイント阻害薬とを対象に組み合わせて投与することを有する、がんの治療方法;
がんの治療に用いるための、チロシンキナーゼ阻害薬と、CBM588またはその培養物と、免疫チェックポイント阻害薬との組み合わせを含む、医薬組成物;
チロシンキナーゼ阻害薬および免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせて投与されるCBM588またはその培養物を含む、がん治療用医薬組成物;
CBM588またはその培養物および免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせて投与されるチロシンキナーゼ阻害薬を含む、がん治療用医薬組成物;
チロシンキナーゼ阻害薬と、CBM588またはその培養物と、免疫チェックポイント阻害薬とを含む、がん治療用キット;
がんの治療方法において、チロシンキナーゼ阻害薬および免疫チェックポイント阻害薬と共に、使用するためのCBM588またはその培養物;ならびに
がんの治療方法において、CBM588またはその培養物および免疫チェックポイント阻害薬と共に、使用するためのチロシンキナーゼ阻害薬。
【0050】
本発明において、治療の対象となる「がん」の種類は、特に制限されない。がんの例としては、口腔がん、咽頭がん、食道がん、胃がん、肝がん、胆嚢がん、胆道がん、脾臓がん、大腸がん、小腸がん、十二指腸がん、結腸がん、結腸腺がん、直腸がん、膵臓がん、肝臓がん、膀胱がん、腎細胞がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、悪性黒色腫(メラノーマ)、肉腫、リンパ腫、乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、精巣がん、前立腺がん、頭頸部がんおよびこれらの転移がんなどが挙げられる。がんは、好ましくは大腸がん、転移性腎細胞がん(mRCC)、非小細胞肺がん、メラノーマ、肉腫、リンパ腫、乳がん、膀胱がん、子宮頸がん、頭頸部がん、肝臓がん、胃がん、および直腸がんからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0051】
本発明において、「有効量」とは、がんの治療、特に抗腫瘍効果の向上といった所望の効果を発揮するうえで少なくとも必要とされる有効成分(すなわち、チロシンキナーゼ阻害薬、CBM588または免疫チェックポイント阻害薬)の量を意味する。
【0052】
本発明において、「対象」とは、特に制限するものではないが、哺乳動物や鳥類であり、好ましくはがんに罹患しているまたはその可能性がある哺乳動物や鳥類である。ここで、哺乳動物は、ヒト、サル、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン等の霊長類、ならびにマウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ラクダ、ヤギなどの非ヒト哺乳動物双方を包含する。鳥類としては、ニワトリ、ウズラ、ハトなどが挙げられる。これらのうち、好ましくはヒトである。
【0053】
本発明において、チロシンキナーゼ阻害薬、CBM588またはその培養物および必要に応じて免疫チェックポイント阻害薬は、対象に対して組み合わせて投与(併用投与)される。
【0054】
組み合わせて投与(併用投与)は、各成分を同時に投与すること、および治療期間にわたって各成分をそれぞれ所定の間隔で逐次投与すること(併用療法)を含む。組み合わせて投与される各成分の投与経路および投与手段は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0055】
チロシンキナーゼ阻害薬、CBM588またはその培養物および免疫チェックポイント阻害薬の投与量および投与方法は、がんの種類、対象の症状、年齢、性別、体重および状態などを考慮して、適宜決定することができる。
【0056】
チロシンキナーゼ阻害薬の投与量は、例えば有効成分として約1~約2400mg/kg体重/日である。チロシンキナーゼ阻害薬は、1日あたり1~6回に分けて、毎日、隔日または数日おきに投与することができる。チロシンキナーゼ阻害薬の投与方法としては、特に制限されず、経口投与、静脈内注射、動脈内注射、皮下注射、皮内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、髄腔内注射、経皮投与または経皮的吸収等の非経口的投与等が挙げられ、好ましくは経口投与である。後述の実施例において、チロシンキナーゼ阻害薬の投与量は、3mg/kg体重/日(週5回)であり、その投与方法は、経口投与である。
【0057】
CBM588またはその培養物の投与量は、例えば有効成分として0.1~1000mg/kg体重/日である。CBM588またはその培養物は、1日あたり1~6回に分けて、毎日、隔日または数日おきに投与することができる。CBM588またはその培養物の投与方法としては、特に制限されず、経口投与、静脈内注射、動脈内注射、皮下注射、皮内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、髄腔内注射、経皮投与または経皮的吸収等の非経口的投与等が挙げられ、好ましくは経口投与である。後述の実施例において、CBM588の投与量は、約43mg/kg体重/日(1×10cfu(約1.3mg)/100μL/匹)であり、その投与方法は、経口投与である。
【0058】
免疫チェックポイント阻害薬の投与量は、例えば有効成分として0.1~20mg/kg体重/日であり、好ましくは2~3mg/kg体重/日である。免疫チェックポイント阻害薬は、1日あたり1~6回に分けて、毎日、隔日または数日おきに投与することができる。免疫チェックポイント阻害薬の投与方法としては、特に制限されず、経口投与、静脈内注射、動脈内注射、皮下注射、皮内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、髄腔内注射、経皮投与または経皮的吸収等の非経口的投与等が挙げられ、好ましくは腹腔内投与または静脈内注射である。後述の実施例において、免疫チェックポイント阻害薬の投与量は、10mgkg体重/日(3日ごと5回)であり、その投与方法は、腹腔内投与である。
【0059】
本発明において、チロシンキナーゼ阻害薬、CBM588またはその培養物および免疫チェックポイント阻害薬は、組み合わせ医薬の形態であってもよく、それぞれ別々の医薬(または医薬組成物)の形態であってもよい。
【0060】
組み合せ医薬は、各成分を同一の組成物中に含む配合剤の形態であってもよく、各成分がそれぞれ別々に準備され、組み合わせ投与に適した単一のパッケージの形態(すなわち、キットの形態)であってもよい。
【0061】
本発明において、上記成分に加えて、製剤化のために許容されうる添加剤をさらに用いることができる。添加剤としては、例えば賦形剤、安定剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、滑沢剤、甘味料、着色料、香料、緩衝剤、酸化防止剤、pH調整剤、結合剤、増粘剤、分散剤、懸濁化剤、崩壊剤、制菌剤、界面活性剤などを挙げることができる。
【0062】
本発明において、組み合わせ医薬、医薬組成物、チロシンキナーゼ阻害薬、CBM588またはその培養物および免疫チェックポイント阻害薬の剤形は、特に制限されず、適宜設定すればよいが、例えば錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、徐放剤、溶液、懸濁液、乳濁液、ローション剤、注射剤、点滴剤、外用剤、坐剤、貼付剤などである。
【0063】
本発明の実施形態を以下に例示する。
[1]チロシンキナーゼ阻害薬と、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物とを含む、がん治療用組み合わせ医薬。
[2]前記クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588は、生菌である、[1]に記載のがん治療用組み合わせ医薬。
[3]前記チロシンキナーゼ阻害薬は、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬、c-kit受容体チロシンキナーゼ阻害薬、BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬、およびマルチキナーゼ阻害薬からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]または[2]に記載のがん治療用組み合わせ医薬。
[4]前記チロシンキナーゼ阻害薬は、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、アファチニブ、エルロチニブ、オシメルチニブ、ゲフィチニブ、アキシチニブ、カボザンチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、およびレンバチニブからなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[3]のいずれかに記載のがん治療用組み合わせ医薬。
[5]免疫チェックポイント阻害薬をさらに含む、[1]~[4]のいずれかに記載のがん治療用組み合わせ医薬。
[6]前記免疫チェックポイント阻害薬は、PD-1阻害薬、PD-L1阻害薬およびCTLA-4阻害薬からなる群から選択される少なくとも1種である、[5]に記載のがん治療用組み合わせ医薬。
[7]前記免疫チェックポイント阻害薬は、ニボルマブ、イピリムマブ、ペンブロリズマブ、セミピリマブ、デュルバルマブ、ダクリズマブ、アベルマブ、およびアテゾリズマブからなる群から選択される少なくとも1種である、[5]または[6]に記載のがん治療用組み合わせ医薬。
[8]前記がんは、大腸がん、転移性腎細胞がん(mRCC)、非小細胞肺がん、メラノーマ、肉腫、リンパ腫、乳がん、膀胱がん、子宮頸がん、頭頸部がん、肝臓がん、胃がん、および直腸がんからなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[7]のいずれかに記載のがん治療用組み合わせ医薬。
[9]有効量のチロシンキナーゼ阻害薬と、有効量のクロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物とを対象に組み合わせて投与することを有する、がんの治療方法。
[10]がんの治療に用いるための、チロシンキナーゼ阻害薬と、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物との組み合わせを含む、医薬組成物。
[11]チロシンキナーゼ阻害薬と組み合わせて投与されるクロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物を含む、がん治療用医薬組成物。
[12]クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物と組み合わせて投与されるチロシンキナーゼ阻害薬を含む、がん治療用医薬組成物。
[13]チロシンキナーゼ阻害薬と、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物とを含む、がん治療用キット。
[14]がんの治療方法において、チロシンキナーゼ阻害薬と共に、使用するためのクロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物。
[15]がんの治療方法において、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物と共に、使用するためのチロシンキナーゼ阻害薬。
[16]対象にチロシンキナーゼ阻害薬と、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物とを投与することを含むがんの治療方法において使用するための医薬における、チロシンキナーゼ阻害薬および/またはクロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)もしくはその培養物の使用。
【実施例
【0064】
以下に具体例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。なお、特記しない限り、作業は室温(25℃)で行った。
【0065】
マウスを用いた動物実験に関しては、大阪国際がんセンターの動物実験に関する動物実験委員会の承認(承認番号:23022121)を得て実施した。
【0066】
<試験例1>
BALB/cマウス(7週齢、雄/雌、日本クレア株式会社より購入、SPF)に対し、7日間の検疫・馴化期間を設け、全個体健康状態に異常がなく体重減少を認めないことを確認して、試験に供した。マウスには、12時間照明、温度20~26℃、湿度30~70%の飼育環境で、餌および水を自由摂取させた。
【0067】
マウス大腸がん細胞株(CT26)1×10個を採取し、高濃度Matrigel 80μLと混合し、マウスの皮下へ注入した。皮下注入後21日目または触診上腫瘍形成の確認のいずれか早い時点から、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)の投与を、TKI群、TKI+CBM群、ICI群、TKI+ICI群、およびTKI+ICI+CBM群の5群(n=7(TKI群、TKI+CBM群)およびn=6(ICI群、TKI+ICI群、TKI+ICI+CBM群))で行った。コントロール(Control)群(n=7)では、TKI、ICIおよびCBM588の投与を行わなかった。
【0068】
試験に供したマウスは、投与開始から28日目後、または腫瘍短径が10mmに到達もしくは腫瘍質量が体重の10%に到達した時点で人道的エンドポイントとして安楽死の処置を行った。また、投与開始後11日目までに腫瘍体積が1500mmを超えたマウスは除外した。
【0069】
使用薬剤および用法用量の詳細を以下に示す。
TKI:レゴラフェニブ(#R0142,東京化成工業株式会社)30μg/g、1日1回100μL(最大量1000μL)を9日間経口投与
ICI:抗CD279抗体(J43;BE-00332,岩井化学薬品株式会社)5μg/g、3日毎に100μL(最大量1600μL)を腹腔内投与(観察期間終了まで継続)
CBM:ミヤBMの原菌末(ミヤリサン製薬株式会社)1×10cfu/100μL、1回100μLを1週間に3回経口投与。
【0070】
投与開始後4日目、8日目、11日目、15日目および18日目において、腫瘍短径(mm)および腫瘍長径(mm)を測定し、以下の式から腫瘍体積を求めた:
腫瘍体積(mm)=1/2×腫瘍短径×腫瘍短径×腫瘍長径。
【0071】
結果を図1および2に示す。
【0072】
図1および2に示すように、チロシンキナーゼ阻害薬とCBM588とを組み合わせることにより、腫瘍体積の増加を抑制できることが分かる。
【0073】
また、腫瘍体積1000mmをイベントとしたカプラン・マイヤー曲線を図3に示す。図3に示すように、ログ・ランク検定にてTKI+CBM群は、コントロール群およびTKI群と比べて有意に高い無増悪率を示すことが分かる。
【要約】
【課題】新規ながん治療用組み合わせ医薬を提供する。
【解決手段】チロシンキナーゼ阻害薬と、クロストリジウム・ブチリカム・ミヤイリ 588(Clostridium butyricum MIYAIRI 588、FERM BP-2789)またはその培養物とを含む、がん治療用組み合わせ医薬。
【選択図】なし
図1
図2
図3