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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】伸縮棒
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/16 20060101AFI20241120BHJP
   B64F 1/16 20060101ALI20241120BHJP
   F15B 15/28 20060101ALI20241120BHJP
   F16M 11/00 20060101ALI20241120BHJP
   F16M 11/18 20060101ALI20241120BHJP
   F16M 11/24 20060101ALI20241120BHJP
   F16M 11/32 20060101ALI20241120BHJP
   F16M 13/00 20060101ALI20241120BHJP
   F16M 13/02 20060101ALI20241120BHJP
   G01B 11/26 20060101ALI20241120BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20241120BHJP
【FI】
F15B15/16
B64F1/16
F15B15/28 D
F16M11/00 Z
F16M11/18 Z
F16M11/24 C
F16M11/32 G
F16M13/00 S
F16M13/02 A
G01B11/26 H
G03B17/56 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019221894
(22)【出願日】2019-12-09
(62)【分割の表示】P 2019541472の分割
【原出願日】2018-10-01
(65)【公開番号】P2020056505
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-10-01
【審判番号】
【審判請求日】2024-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】517331376
【氏名又は名称】株式会社エアロネクスト
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽一
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】尾崎 和寛
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-133999(JP,A)
【文献】特開2017-52389(JP,A)
【文献】特開平8-189504(JP,A)
【文献】特開2017-67122(JP,A)
【文献】国際公開第2015/133500(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に圧送される気体により軸方向に伸長する伸長筒体と、
前記伸長筒体に設けられた吹き出し口から前記伸長筒体内部の前記圧送される気体を排出させることにより、前記伸長筒体の横断面方向の揺れを制御する姿勢制御手段と、
を備える、伸縮棒。
【請求項2】
請求項1に記載の伸縮棒であって、
前記吹き出し口は、前記伸筒体の周方向に沿って複数設けられる、伸縮棒。
【請求項3】
請求項1に記載の伸縮棒であって、
前記吹き出し口は、前記伸筒体の中央部よりも先端寄りに設けられる、伸縮棒。
【請求項4】
請求項1に記載の伸縮棒であって、
前記吹き出し口にはフラップを設け、当該フラップの開閉により吹き出し量が調整される、伸縮棒。
【請求項5】
請求項1に記載の伸縮棒であって、
前記吹き出し口からの流量を調整するバルブを設ける、伸縮棒。
【請求項6】
請求項5に記載の伸縮棒であって、
前記バルブを制御するコントロールユニットをさらに設ける、伸縮棒。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の伸縮棒を備える移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮棒に関する。
【背景技術】
【0002】
高所からの撮影などのために伸縮棒を用いることがある。たとえば特許文献1には、油圧により伸縮する伸縮ポールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-237893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の伸縮ポールでは油圧により伸長しており、圧油漏出のための機構等により重量が増えてしまう。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、容易に伸長可能な伸縮棒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、伸縮棒であって、内部に圧送される気体により軸方向に伸長し、姿勢制御手段を備えることとする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、伸縮棒を容易に伸長可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る伸縮棒2の一例を示す図である。
図2】姿勢制御手段として圧送空気の吹き出し口3を設けた伸縮棒2の一例を示す図である。
図3】姿勢制御手段の吹き出し口3を複数設けた伸縮棒2の一例を示す図である。
図4】姿勢制御手段として回転翼機4を設けた伸縮棒2の一例を示す図である。
図5】伸縮棒2の中央部に回転翼機4を配した例を示す図である。
図6】伸縮棒2に複数の回転翼機41および42を配した例を示す図である。
図7】姿勢制御手段としてカウンターウェイト6を用いた例を示す図である。
図8】伸縮棒2の先端に旗7を搭載した例を示す図である。
図9】伸縮棒2の先端にカメラ9を搭載した例を示す図である。
図10】伸縮棒2の先端部に回転翼機4を着脱可能に搭載した例を示す図である。
図11】伸縮棒2の先端部に回転翼機4を着脱可能に搭載した例を示す図である。
図12】回転翼機4を着脱可能に搭載した場合に、姿勢制御手段として圧送空気の吹き出し口3を設けた伸縮棒2の一例を示す図である。
図13】回転翼機4を着脱可能に搭載した場合に、姿勢制御手段の吹き出し口3を複数設けた伸縮棒2の一例を示す図である。
図14】回転翼機4を着脱可能に搭載した場合に、姿勢制御手段としてカウンターウェイト6を設けた伸縮棒2の一例を示す図である。
図15】伸縮棒2の両端に延伸棒11を接続した例を示す図である。
図16】伸縮棒2の端部に関節を配した関節構成を橋梁12の検査に適用する例を示す図である。
図17】伸縮棒2の端部に関節を配した場合に、姿勢制御手段としてカウンターウェイト6を用いた例を示す図である。
図18】伸縮棒2の端部に関節を配した場合に、姿勢制御手段として回転翼機4を用いた例を示す図である。
図19】伸縮棒2の端部に関節を配した場合に、回転翼機4を延伸棒11の先端に装着した場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による伸縮棒は、以下のような構成を備える。
【0011】
[項目1]
内部に圧送される気体により軸方向に伸長し、姿勢制御手段を備える伸縮棒。
[項目2]
項目1に記載の伸縮棒であって、
前記姿勢制御手段は、圧送された前記気体の排出機構、カウンターウェイト、および回転翼の少なくともいずれかを備えること、
を特徴とする伸縮棒。
[項目3]
項目1または2に記載の伸縮棒であって、
先端部に機器の取付具を備えること、
を特徴とする伸縮棒。
[項目4]
項目3に記載の伸縮棒であって、
前記機器は飛行体であり、前記取付具は前記飛行体を着脱可能に取り付け、
前記姿勢制御手段は、前記飛行体が前記伸縮棒から離脱した後も前記伸縮棒の姿勢を制御すること、
を特徴とする伸縮棒。
[項目5]
項目1ないし4のいずれか1項に記載の伸縮棒であって、
前記気体の吸引により収縮すること、
を特徴とする伸縮棒。
[項目6]
項目1ないし5のいずれか1項に記載の伸縮棒であって、
屈折可能な1つ以上の関節を備え、先端部と前記関節との間および前記関節間の少なくともいずれかにおいて延伸すること、
を特徴とする伸縮棒。
[項目7]
項目1ないし6のいずれか1項に記載の伸縮棒であって、
前記姿勢制御手段は、前記伸縮棒の傾きを検出する傾きセンサと、前記伸縮棒の前記傾きに応じて前記伸縮棒の姿勢を制御する制御機構と、を備えること、
を特徴とする伸縮棒。
[項目8]
項目7に記載の伸縮棒であって、
前記傾きセンサは、前記伸縮棒を撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像に基づいて前記伸縮棒の前記傾きを検出すること、
を特徴とする伸縮棒。
【0012】
図1は、本実施形態に係る伸縮棒2の一例を示す図である。本実施形態に係る伸縮棒2は、接地している圧送システム1に接続されて固定される。圧送システム1は圧縮気体を排出するエアーコンプレッサやボンベなどとすることができるが、本実施形態では、圧送システム1はエアーコンプレッサであることを想定している。圧送システム1から送出される圧縮空気は伸縮棒2の内部に向けて圧送され、この圧縮空気により伸縮棒2は伸長する。
【0013】
図1では、伸縮棒2は、筒状体21の内部に筒状体22が摺動可能に嵌合し、筒状体22の内部に筒状体23が摺動可能に嵌合し、筒状体23の内部に筒状体24が摺動可能に嵌合した例を示している。筒状体21の一端は圧送システム1に接続され、圧送システム1から圧縮空気が内部に圧送される。筒状体21の内部に圧送された空気は筒状体21の内部に配される筒状体22ないし24の内部にも圧送されることになる。筒状体24の端部のうち圧送システム1と反対側の端部は閉塞している。圧送空気が伸縮棒2の内部を筒状体24まで圧送されると、筒状態24は摺動し、伸縮棒2が伸長することになる。伸縮棒2の伸長時には、筒状体24の圧送システム1側(下側)の端部は、筒状態23の圧送システム1と反対側(上側)と係合し、同様に、筒状体23の下側端部は筒状体22の上側端部と、筒状体22の下側端部は筒状態21の上側端部とそれぞれ係合するように、筒状体22ないし24の下端部および筒状体21ないし23の上端部の少なくともいずれかにストッパ(不図示)が設けられる。図1の左図は収縮時の伸縮棒2の状態を示し、図1の右図は伸長時の伸縮棒2の状態を示す。
【0014】
本実施形態の伸縮棒2は姿勢制御手段を備える。図2は姿勢制御手段として圧送空気の吹き出し口3を設けた伸縮棒2の一例を示す図である。図2の例では、伸縮棒2の先端部を構成する筒状体24の端部に吹き出し口3が設けられており、吹き出し口3からは圧送空気31が排出されている。吹き出し口3は四方に設けられており、この吹き出し口3からの圧送空気の排出により伸縮棒2の姿勢が保たれる。吹き出し口3からの空気の吹き出し量は、伸縮棒2の姿勢に応じて自動的に制御される。本実施形態では、吹き出し口3からの吹き出し量の制御は、吹き出し口3のサイズ調整により行われることを想定する。なお、フラップを設けてフラップの開閉により調整するようにしてもよい。伸縮棒2の姿勢は、ジャイロセンサなどの傾きセンサ(不図示)により検出することができる。また、カメラやその他のセンサにより、外部から伸縮棒2の姿勢を検出するようにしてもよい。たとえば、カメラにより伸縮棒2を撮影し、撮影した画像を解析することにより伸縮棒2の傾きを検出することができる。
【0015】
図3には、姿勢制御手段の吹き出し口3を複数設けた例が示されている。図3の例では、筒状体24ないし22のそれぞれに吹き出し口3が設けられている。また、吹き出し口3は、筒状体24では先端寄りに設けることが好適であるが、他の筒状体22および23では先端部ではなく、中央部または下端部に設けるようにしてもよい。
【0016】
姿勢制御手段としては、回転翼を用いることもできる。図4は、姿勢制御手段として回転翼機4を設けた伸縮棒2の一例を示す図である。図4の例では、伸縮棒2の先端部に取付け具5を設け、取付け具5に回転翼機4が装着されている。回転翼機4は、複数の回転翼を備える飛行体であり、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)あるいはドローンなどとも呼ばれる。回転翼機4は、送受信機を用いたユーザの遠隔操作により回転翼の回転を制御することが可能である。回転翼機4の回転翼が回転し、これによる推力によって伸縮棒2の姿勢が制御される。
【0017】
なお、回転翼を直接伸縮棒2に設けるようにしてもよい。たとえば、伸縮棒2の各筒状体の圧送システム1とは反対の端部近傍にモータマウントを設け、回転翼およびモータを搭載させ、モータにより回転翼を回転させ、回転翼により発生する推力を用いて伸縮棒2の姿勢を制御することが可能となる。
【0018】
また、回転翼は伸縮棒2の先端に限らず、伸縮棒2の任意の位置に配置してよい。図5は、伸縮棒2の中央部に回転翼機4を配した例を示す図である。回転翼機4の中央には穴部(不図示)が設けられ、伸縮棒2は回転翼機4の穴部を貫通する。回転翼機4の飛行制御により、回転翼機4から伸縮棒2に応力を与える位置を調整することができる。なお、伸縮棒2の筒状体22にストッパを設け、回転翼機4が落下しないようにしてもよい。
【0019】
伸縮棒2には回転翼を複数設けるようにしてもよい。図6は、伸縮棒2に複数の回転翼機41および42を配した例を示す図である。図6の例では、穴部を有する回転翼機42を伸縮棒2が貫通するとともに、伸縮棒2の先端部に取付け具5が設けられ、取付け具5に回転翼機41が取り付けられている。
【0020】
図7は、姿勢制御手段としてカウンターウェイト6を用いた例を示す図である。図7の例では、伸縮棒2の先端に取付け具5を設け、取付け具5にカウンターウェイト6が回動可能に取り付けられている。図7の左図は伸縮棒2の軸方向延長上にカウンターウェイト6を配した状態を示し、図7の右図は伸縮棒2の軸方向から角度を付けてカウンターウェイト6を配した状態を示す。このように取付け具5において回動可能にカウンターウェイト6を設けることにより、伸縮棒2の伸長時における重心を調整し、姿勢を制御することができる。なお、取付け具5は、たとえば、ボールジョイントなどを用いた、任意の自由度の関節とすることができる。
【0021】
伸縮棒2の先端部には、各種の物体を装着することができる。図8は伸縮棒2の先端に旗7を搭載した例を示す図である。すなわち、伸縮棒2は旗7を掲揚させるためのポールとして使用することができる。また、伸縮棒2は収縮状態で旗7を装着させることができるので、プーリ等の器具を用いることなく旗を直接伸縮棒2に取り付けることができる。
【0022】
図9は、伸縮棒2の先端にカメラ9を搭載した例を示す図である。回転翼機にカメラを搭載させて空撮を行うような場合に比べ、落下等の危険をかなり低減することができる。また、圧送システム1は地上で給電を受けて運転することができるので、回転翼機での空撮に比べ、長時間の撮影を行うことができる。
【0023】
また、図9に示すように、圧送システム1は地上に配置せず、自動車8などの移動手段状に配置することもできる。これにより伸縮棒2を任意の位置に容易に移動することが可能となる。
【0024】
図10および図11は、伸縮棒2の先端部に回転翼機4を着脱可能に搭載した例を示す図である。図4に示した伸縮棒2の例と同様に、回転翼機4は、伸縮棒2が完全に伸長しきるまでは姿勢制御手段としても機能するが、図10および図11の例では、回転翼機4は取付け具5から着脱可能となっており、図11の右図に示すように、回転翼機4を伸縮棒2から離脱して飛行させることができる。このように、回転翼機4を上空までリフトした後に発進させることができるので、下層に乱流が発生しているような場合などにも、安全に回転翼機4を飛行開始させることが可能となる。
【0025】
回転翼機4を伸縮棒2の先端に着脱可能に搭載する場合には、回転翼機4の荷重が伸縮棒2にかかることから、姿勢制御手段を用いて伸縮棒2の姿勢を制御することが好適である。回転翼機4を着脱可能に搭載した場合に、姿勢制御手段として圧送空気の吹き出し口3を設けた伸縮棒2の一例を図12に、姿勢制御手段の吹き出し口3を複数設けた伸縮棒2の一例を図13に示す。図12および図13の例は、それぞれ図2および図3の例に対応し、圧送空気が吹き出し口3から排出されることにより伸縮棒2の姿勢が保たれる。図14は、姿勢制御手段としてカウンターウェイト6を設けた場合の例を示す図である。カウンターウェイト6により回転翼機4の荷重がかかった場合でも、伸縮棒2の姿勢が保たれる
【0026】
伸縮棒2の端部に関節を配した関節構成とすることもできる。図15は、伸縮棒2の両端に延伸棒11を接続した例を示す図である。延伸棒11と伸縮棒2とは、ボールジョイントなどを用いた任意の自由度の関節10により接続される。延伸棒11は、伸縮棒2と同様に管状であり、関節10の内部にも空洞が設けら、伸縮棒2と関節10と延伸棒11とは連通する。圧送システム1からの空気は延伸棒11(2)に入り、関節10を通じて伸縮棒2に入り、さらに関節10を通じて延伸棒11(1)に入る。これにより伸縮棒2が伸長する。なお、延伸棒11の少なくともいずれかを伸縮棒2としてもよい。また、伸縮棒2を伸縮しない延伸棒にして、3本の延伸棒を関節で接続した構成としてもよい。
【0027】
延伸棒11および伸縮棒2のいずれかには姿勢制御手段を設けてもよい。図15の例では、吹き出し口3が延伸棒11(1)の先端部に設けられている。これにより延伸棒11(1)の姿勢が安定され、延伸棒11と接続される伸縮部2についても姿勢が安定することになる。
【0028】
関節構成を橋梁12の検査に適用する例を図16に示す。圧送システム1には延伸棒111が接続され、延伸棒111には延伸棒112が屈折して接続される。延伸棒112と延伸棒113とは関節101により接続され、延伸棒113と伸縮棒2とは関節102により接続される。伸縮棒2と延伸棒114とは関節103により接続され、延伸棒114の端部にはカメラ9が装着される。延伸棒111、112および113、伸縮棒2、延伸棒114はそれぞれ連通しており、圧縮システム1からの圧縮空気が圧送される。伸縮棒2および延伸棒103には圧送空気の吹き出し口3がそれぞれ複数設けられ、吹き出し口3からの圧送空気の吹き出しにより伸縮棒2および延伸棒114の姿勢が制御される。これにより、カメラ9の姿勢が安定し、高精度の撮影を行うことが可能となり、カメラ9が撮影した高精細な画像を用いて橋梁12の点検を高精度に行うことができる。なお、伸縮棒2に代えて延伸棒を配してもよい。すなわち、複数の延伸棒を関節により接続する構成とすることもできる。
【0029】
関節構成の場合に設ける姿勢制御手段として、吹き出し口3以外にも、上述したカウンターウェイトや回転翼を用いることができる。関節構成における姿勢制御手段として、カウンターウェイト6を用いた例を図17に示し、回転翼機4を用いた例を図18に示す。
【0030】
図17の例では、カウンターウェイト6を延伸棒11(1)にアーム61を介して接続している。アーム61は略水平に設定され、これにより延伸棒11(1)の姿勢を安定させる。また、図18の例では延伸棒11(1)を貫通させた回転翼機4が延伸棒11(1)の中央部に配されている。回転翼機4の回転翼を回転させた推力を調整することで延伸棒11(1)の姿勢が制御される。なお、回転翼機4の本体には延伸棒11(1)を貫通可能に穴部(不図示)が設けられる。穴部の直径は延伸棒11(1)の太さよりも大きくし、延伸棒11(1)が傾けられている場合に、回転翼機4のプロペラの回転面と延伸棒11(1)とが直交せず、回転翼機4による推力がなるべく鉛直方向下向きとなるように回転翼機4に傾斜を付けて配することができるようにしている。なお図18の例では、回転翼機4は水平になっていないが、回転翼機4が水平になるように穴部を設けるようにしてもよい。また、ここでも伸縮棒2を延伸棒にしてもよいし、延伸棒11の少なくともいずれかを伸縮棒にしてもよい。
【0031】
図19は、関節構成の場合に、回転翼機4を延伸棒11の先端に装着した場合の例を示す図である。図19の例では、延伸棒11(1)の先端に取付け具5が設けられ、この取付け具5に回転翼機4が着脱可能に取り付けられている。取付け具5は関節としても機能し、延伸棒11(1)が伸縮棒2の軸方向から屈折して取り付けられている場合にも、回転翼機4を水平に取り付けることが可能であるものとする。この回転翼機4は姿勢制御手段としても動作するが、取付け具5から離脱して飛行することも可能である。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の伸縮棒2によれば、気体の圧送によって伸縮するように構成されていることから、伸縮棒2を軽い部材で作成することが可能となり、長く伸長させることが可能となる。油圧等を用いた場合には、内部の油が漏洩しないように密閉性を高める必要があり、また油圧に耐えうる強度が必要になることから、伸縮棒2の重量が増えてしまうところ、本実施形態のように気体を用いることにより、軽量化を容易に図ることが可能となる。これにより、10メートルを超える長さであっても、伸縮可能とすることができる。
【0033】
また、本実施形態の伸縮棒2によれば、撮影等を行う際に、伸縮棒2の先端または伸縮棒2に取り付けた延伸棒11の先端にカメラを装着することができる。したがって、回転翼機などの飛行体にカメラを取り付けて空撮を行う場合に比べて、落下の危険を低減し、長時間の連続運用を可能とし、撮影位置を安定させることができる。また、飛行体に比べて、接地されている伸縮棒2により安全な運用をイメージさせることができる。
【0034】
また、本実施形態の伸縮棒2は、棒が妥当する各種の状況に用いることができる。たとえば、伸縮棒2は、眺望撮影、監視カメラ、火の見櫓、橋梁検査、携帯電話の基地局、証明器具の配置、旗の掲揚、避雷針などに用いることができる。
【0035】
伸縮棒2の素材は用途に合わせて柔軟に選択することができる。たとえば、避雷針として動作させる場合には、金属等の導電性の高い材料を用いるが、旗や軽量のカメラを高所にリフトする場合には、炭素繊維強化プラスチックや竹材などの軽量の材料を用いることもできる。
【0036】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0037】
たとえば、本実施形態では、圧送システム1からは圧縮された空気が送出されるものとしたが、ガス等の任意の気体を排出するようにすることができる。
【0038】
また、本実施形態では、伸縮棒2は鉛直方向上方に向けて伸長するものとしたが、これに限らず、任意の方向(下方向も含む)に対して伸長させるように構成することも可能である。
【0039】
また、たとえば、本実施形態では、伸長時の説明のみを記載したが、収縮時には、圧送システム1が伸縮棒2から気体を吸引すればよい。これにより、たとえば下向きに伸長させた場合などでも、自動的に伸縮棒2を収縮させることができ、伸縮動作を利用して、建設現場における資材の運搬(簡易的なクレーン)として用いることもできる。
【0040】
また、本実施形態では、吹き出し口3は伸縮棒2の四方に向けて空気を排出するものとしたが、これに限らず、4未満の方向に向けて4つ未満の吹き出し口3を設けてもよいし、4つ以上の吹き出し口3を設けてもよい。4つ未満の吹き出し口3を設ける場合に、たとえばフラップを設け、フラップの角度により空気の排出方向および排出量の少なくともいずれかを調整して姿勢を制御するようにすることができる。また、吹き出し口3からの流量をコントロールするバルブを設けるようにしてもよい。さらに、このバルブを制御するコントロールユニットを設け、コントロールユニットを有線又は無線によりコントローラと接続して、ユーザが地上から流量をコントロールするようにしてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、圧送システム1は地面または自動車8の上に配置するものとしたが、任意の物体の上に配置することが可能である。たとえば、船舶や飛行体などの移動体に配置することもできる。
【符号の説明】
【0042】
1 圧送システム
2 伸縮棒
3 吹き出し口
4 回転翼機
5 取付け具
6 カウンターウェイト
7 旗
8 自動車
9 カメラ
10 関節
11 延伸棒
12 橋梁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19