(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】フィナステリドを含む徐放性注射用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/58 20060101AFI20241120BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20241120BHJP
A61K 9/66 20060101ALI20241120BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241120BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20241120BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241120BHJP
A61P 5/28 20060101ALI20241120BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20241120BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
A61K31/58
A61K9/10
A61K9/66
A61K47/26
A61K47/34
A61K47/38
A61P5/28
A61P13/08
A61P17/14
(21)【出願番号】P 2020213698
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2020-12-23
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2019-0172595
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519140246
【氏名又は名称】インベンテージ ラボ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INVENTAGE LAB INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム セヨン
【合議体】
【審判長】前田 佳与子
【審判官】石井 徹
【審判官】田中 耕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-534900(JP,A)
【文献】米国特許第6277391(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第102133180(CN,A)
【文献】特開平8-157370(JP,A)
【文献】International Journal of Molecular Medicine,2019年6月,Vol.43,pp.2409-2419
【文献】Journal of microencapsulation,2016年,Vol.33,pp.229-238
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
CAPLUS/REGISTRY/BIOSIS/EMBASE/MEDLINE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィナステリドを含む徐放性粒子を含有した徐放性注射用組成物であり、
前記徐放性粒子の平均径は35μm~55μmであり、前記平均径の標準偏差は3.0~5.5
μmであり、
体内に注入された徐放性注射用組成物はフィナステリドを持続的に放出し、
前記放出されたフィナステリドは、最大血中濃度(C
max)の最初血中濃度(C
int)に対する比が2~11であり、
前記徐放性注射用組成物は薬物の放出速度が調節され、初期過放出が発生することなく、
1ヶ月~3ヶ月間持続的な放出パターンを形成し、
DH
Tの生成を抑制する、
フィナステリドを含む徐放性粒子を含有した徐放性注射用組成物。
【請求項2】
前記フィナステリドの最大血中濃度(C
max)は、投与されたフィナステリド1mgに対して0.3μg/L~0.5μg/Lである、
請求項1に記載のフィナステリドを含む徐放性粒子を含有した徐放性注射用組成物。
【請求項3】
前記フィナステリドの薬物濃度曲線下面積(The area under the concentration、AUC
0-t)は、投与されたフィナステリド1mgに対して70(μg*h/L)~100(μg*h/L)である、
請求項1に記載のフィナステリドを含む徐放性粒子を含有した徐放性注射用組成物。
【請求項4】
前記注射用組成物は懸濁溶剤を含み、
前記懸濁溶剤は、等張剤、懸濁剤、および溶剤を含む、
請求項1に記載のフィナステリドを含む徐放性粒子を含有した徐放性注射用組成物。
【請求項5】
前記等張剤は、D-マンニトール(D-Mannitol)、マルチトール(Maltitol)、ソルビトール(Sorbitol)、ラクチトール(Lactitol)、キシリトール(Xylitol)、塩化ナトリウム(Sodium chloride)、およびその混合からなる群より選択される、
請求項4に記載のフィナステリドを含む徐放性粒子を含有した徐放性注射用組成物。
【請求項6】
前記懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Sodium Carboxymethylcellulose)、ポリソルベート80(Polysorbate 80)、でんぷん(starch)、でんぷん誘導体、多価アルコール類、キトサン(chitosan)、キトサン誘導体、セルロース(cellulose)、セルロース誘導体、コラーゲン(collagen)、ゼラチン(gelatin)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid、HA)、アルギン酸(alginic acid)、アルジン(algin)、ペクチン(pectin)、カラギーナン(carrageenan)、コンドロイチン(chondroitin)、コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate) 、デキストラン(dextran)、デキストラン硫酸(dextran sulfate)、ポリリジン(polylysine)、チチン(titin)、フィブリン(fibrin)、アガロース(agarose)、フルラン(fluran)、キサンタンガム(xanthan gum)、およびその混合からなる群より選択される、
請求項4に記載のフィナステリドを含む徐放性粒子を含有した徐放性注射用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィナステリドを含む徐放性注射用組成物に関するもので、より具体的には、注射剤形で体内に注入する際、長時間フィナステリドの薬物投与の効果が維持され得る、フィナステリドを含む徐放性注射用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、韓国内で使われている男性型脱毛治療剤には、経口用製剤としてフィナステリド(finasteride)とデュタステリド(dutasteride)がある。これらの脱毛治療剤は、テストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変換することに作用する5-α-還元酵素(reductase)阻害剤を遮断することにより、強力な男性ホルモンであるDHTの生成を抑制することとなり、これによって頭皮においてDHTによる毛根収縮現象を抑制して、アンドロゲン性脱毛を治療する。
【0003】
5-α-還元酵素阻害剤は、Type1とType2に分けられるが、Type1は頭皮と皮脂腺に分布しており、Type2は頭皮と前立腺に分布している。フィナステリドは、5-α-還元酵素阻害剤のType2のみを遮断するが、デュタステリドは、Type1、Type2の両方を遮断する。このような機序により、デュタステリドがフィナステリドに比べDHT抑制効果がより強力であると知られている。しかし、服用初期1年間を基準としたとき、デュタステリドの副作用発現率がより高かったこともあり、フィナステリドは現在、脱毛治療剤として最も広く使われており、唯一にFDAの承認を受けたことから、安全性の面でデュタステリドよりもメリットがある。
【0004】
特許文献1のように、従来の経口用脱毛治療剤は、3ヶ月以上毎日服用してこそ治療効果を見ることができ、服用を中止した際には、薬効が落ちて元の状態に戻ると言う問題がある。したがって、薬効を持続させて脱毛治療効果を維持するためには、毎日時間を守って継続的に服用せねばならない問題が存在した。
【0005】
デュタステリドおよびフィナステリドのような脱毛治療剤は、男性ホルモンとの関連性があるため、妊娠適齢期の女性や妊婦には禁忌薬として指定されており、脱毛治療剤を妊娠適齢期の女性や妊婦に露出すると、男性胎児の外部生殖器の異常を引き起こし得るため、奇形児出産の恐れがあるので、脱毛治療剤の保管や取り扱いに注意して服用せねばならない。また、薬物は皮膚からも吸収され、胎児に影響を与え得るので触れてはならず、周囲に妊娠適齢期の女性や妊婦と一緒に生活している服用者は特に注意して取り扱う必要があると言う問題が存在した。
【0006】
なお、従来のデュタステリドおよびフィナステリドのような脱毛治療剤は、経口服用のための剤形としてのみ提供されている。
【0007】
病院で当該薬物の処方を受け、使用者が薬物を家に持ち帰って保管し、毎日時間を守って継続的に服用してこそ脱毛治療効果が現れるものと言える。
【0008】
このような使い方は、妊娠適齢期の女性や妊婦への露出が禁忌視される脱毛治療剤の使用に不便をかける問題があった。
【0009】
そこで、脱毛治療剤としてより安定性が認められているフィナステリドを利用し、一回の投与により1ヶ月以上薬効を維持させることができ、経口服用ではない皮下注射形態で投与が可能な点から、保管および取り扱いが容易な脱毛治療剤の開発が急務なのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0002411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、フィナステリドを含む徐放性注射用組成物に関するものである。
【0012】
本発明の他の目的は、注射剤形で注入する際、初期過放出がなく一定の血中濃度を長時間維持し得るフィナステリドを含む注射用組成物を提供するものである。
【0013】
本発明のまた他の目的は、経口服用形態ではなく、皮下注射が可能な剤形で提供され、使用者が保管する必要がなく、病院で直接投与する方法により、フィナステリドによる脱毛治療効果および前立腺肥大症治療効果を示し得るので、保管および取り扱いの容易さに優れた注射用組成物を提供するものである。
【0014】
本発明のまた他の目的は、1ヶ月~3ヶ月の間、持続的に脱毛治療効果および前立腺肥大症治療効果を維持し得る皮下注射用組成物を提供するものである。
【0015】
本発明のまた他の目的は、フィナステリドを含む徐放性粒子であって、1ヶ月~3ヶ月間の長期薬物投与効果を維持するとともに、粒子の平均径を一定のマイクロ大きさのサイズで調製して、薬物の放出を調節して有効な薬物濃度が一定に保たれ、均一な大きさの粒子で構成された注射剤に適用され、患者に注射剤として投与する際の異物感および痛みを軽減し得る徐放性粒子を含有した注射用組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために、本発明の一実施例によるフィナステリドを含む徐放性注射用組成物は、フィナステリドを含む徐放性注射用組成物であって、体内に注入された徐放性注射用組成物はフィナステリドを持続的に放出し、前記放出されたフィナステリドは、最大血中濃度(Cmax)に対する最初血中濃度(Cint)の比が2~11である。
【0017】
前記フィナステリドの最大血中濃度(Cmax)は、投与されたフィナステリド1mgに対して0.3μg/L~0.5μg/Lであり得る。
【0018】
前記フィナステリドの薬物濃度曲線下面積(The area under the concentration、AUC0-t)は、投与されたフィナステリド1mgに対して70(μg*h/L)~100(μg*h/L)であり得る。
【0019】
前記徐放性注射用組成物は、薬物の放出速度が調節され初期過放出の問題がなく、1ヶ月~3ヶ月の間、持続的な放出パターンを形成し、DHTおよびテストステロン(Testosterone)の生成を抑制し得る。
【0020】
前記注射用組成物は懸濁溶剤を含み、前記懸濁溶剤は、等張剤、懸濁剤、および溶剤を含み得る。
【0021】
前記等張剤は、D-マンニトール(D-Mannitol)、マルチトール(Maltitol)、ソルビトール(Sorbitol)、ラクチトール(Lactitol)、キシリトール(Xylitol)、塩化ナトリウム(Sodium chloride)、およびその混合からなる群より選択され得る。
【0022】
前記懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Sodium Carboxymethylcellulose)、ポリソルベート80(Polysorbate 80)、でんぷん(starch)、でんぷん誘導体、多価アルコール類、キトサン(chitosan)、キトサン誘導体、セルロース(cellulose)、セルロース誘導体、コラーゲン(collagen)、ゼラチン(gelatin)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid、HA)、アルギン酸(alginic acid)、アルジン(algin)、ペクチン(pectin)、カラギーナン(carrageenan)、コンドロイチン(chondroitin)、コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate) 、デキストラン(dextran)、デキストラン硫酸(dextran sulfate)、ポリリジン(polylysine)、チチン(titin)、フィブリン(fibrin)、アガロース(agarose)、フルラン(fluran)、キサンタンガム(xanthan gum)、およびその混合からなる群より選択され得る。
【0023】
本発明において、用語「注射」とは、注射器を使用して薬液を皮内、皮下、筋肉内、静脈内、または動脈内などに注入することである。具体的には、本発明の薬学的組成物が脱毛防止または発毛促進効能を示す特性上、前記注射は皮下注射であり得るが、これに限定されるものではない。前記注射器は、針を介して薬液の投与が可能な一般的な注射器のみならず、本発明の組成物を皮下に投与するために使用される注射器であれば制限なく使用可能である。
【0024】
前記皮下組織は、真皮層の下方に筋肉と骨との間にある部分であり、多量の脂肪を含む脂肪細胞があって人体に柔軟さを与え、輪郭を持たせ、エネルギーとして使用され得る。また、動脈とリンパ液が循環されていることを意味する。
【0025】
本発明において、等張剤(isotonicity agent)は生理学的耐性があり、製剤と接触する細胞膜を横切る水の肝心な流れを妨害するために製剤に適当な張度(tonicity)を付与する化合物である。
【0026】
本発明において、投与とは、適切な方法により個体に所定の物質を導入することを意味する。本発明において、前記組成物は個体に注射して脱毛防止または発毛促進効果を示す特性上、前記投与は皮下組織への投与であり得る。
【発明の効果】
【0027】
本発明のフィナステリドを含む徐放性注射用組成物によると、注射剤形で注入する際、フィナステリドの放出程度において、初期過放出がなく一定の血中濃度を長時間維持することができ、皮下注射で投与すると1ヶ月~3ヶ月の間、持続的に脱毛治療効果を維持することができる。
【0028】
前記注射用組成物は、薬物の放出を制御して、有効な薬物濃度を一定に保つようにし、患者に注射剤として投与する際の異物感および痛みを減少させ得る。
【0029】
また、経口服用形態ではない、皮下注射が可能な剤形で提供され、使用者が保管する必要がなく、病院で直接投与する方法によってフィナステリドによる脱毛治療および前立腺肥大症の治療効果を示し得るので、保管および取り扱いの容易性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例による徐放性粒子のSEM写真である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例による徐放性粒子のSEM写真である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例による徐放性粒子のSEM写真である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例による、調製された徐放性粒子の分布測定結果である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例による比較例の粒子の分布測定結果である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施例による比較例のPKプロファイル測定結果である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施例による比較例の血中濃度推移に関するものである。
【
図8】
図8は、本発明の一実施例による比較例の28日繰り返し投与時のPKプロファイルに関するものである。
【
図9】
図9は、本発明の一実施例による徐放性粒子の平均血中濃度プロファイル測定結果である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施例による徐放性粒子の平均血中濃度プロファイル測定結果である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施例による徐放性粒子の平均血中濃度プロファイル測定結果である。
【
図12】
図12は、本発明の一実施例による注射剤組成物のフィナステリド含有量に関する平均血中濃度プロファイル測定結果である。
【
図13】
図13は、本発明の一実施例による注射剤組成物の投与後、フィナステリドの平均血中濃度プロファイルおよびDHT変化率に対する測定結果である。
【
図14】
図14は、本発明の一実施例による経口剤形の血中濃度プロファイルおよびDHT変化率に対する測定結果である。
【
図15】
図15は、本発明の一実施例による注射剤組成物の投与後、3ヶ月間のフィナステリドの平均血中濃度プロファイルおよびDHT変化率に対する測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で実現され得、ここに説明する実施例に限定されない。
【0032】
通常フィナステリドは経口服用のための固形経口剤形で構成されており、使用者はフィナステリド剤形を毎日一定の時間に服用せねばならず、服用のために自宅で当該薬品を保管せねばならない問題が存在した。
【0033】
前述のように、フィナステリドは男性ホルモンとの関連性があって、妊娠適齢期の女性や妊婦には禁忌薬物として指定されており、脱毛治療剤を妊娠適齢期の女性や妊婦に露出すると、男性胎児の外部生殖器の異常を引き起こし得るため奇形児出産の恐れがあるので、脱毛治療剤の保管や取り扱いに注意して服用せねばならない不便が存在した。
【0034】
また、固形経口剤形で服用する場合、毎日服用すると、フィナステリドの血中濃度が高い状態で維持される問題が発生し得る。
【0035】
つまり、経口剤形で服用するフィナステリドの場合、最大血中濃度(Cmax)が46.30μg/Lまで表れ、毎日服用すると、フィナステリドの高い血中濃度を持続的に維持することとなる。
【0036】
フィナステリドの服用による薬物効果を示すために、経口剤形と同等レベルの最大血中濃度値を持つ必要のない状況において、使用者にとって過度のフィナステリドの露出となる問題が発生し得る。
【0037】
そこで本発明は、経口剤形ではなく、注射剤形で利用が可能な、フィナステリドを含む徐放性粒子に関するものである。
【0038】
具体的に、前記徐放性粒子は、フィナステリドおよび生分解性高分子を含み、フィナステリドおよび生分解性高分子を均一に含む球状であり、その平均径は、35μm~55μmである。
【0039】
前記徐放性粒子は、生分解性高分子およびフィナステリドを含み、この際、カプセル状の剤形ではなく、生分解性高分子およびフィナステリドが均一に混合された組成物を完全な球状の徐放性粒子として調製したものであって、前記徐放性粒子内にフィナステリドが均一に分布することを特徴とする。
【0040】
また、本発明の皮下注射用組成物を体内に注入すると、徐放性粒子そのものが体内に投与され、前記徐放性粒子を構成する生分解性高分子が時間の経過により分解されることによって、均等に分布していたフィナステリドが体内に放出される。
【0041】
前記のように体内に放出されたフィナステリドによって脱毛防止または発毛促進効果を示し得る。
【0042】
また、注射剤形で利用可能なので、固形経口剤形で提供する際の保管および取扱い上の問題を解決し得る。
【0043】
前記徐放性粒子の平均径は、35μm~55μmであり、平均径の標準偏差は3.0~5.5である。
【0044】
本発明は、後述する徐放性粒子の調製方法により調製された徐放性粒子であり、前記説明したように、生分解性高分子およびフィナステリドが均等に分布されたことを特徴とし、調製された徐放性粒子の平均径は35μm~55μmであり、平均径に対する標準偏差は3.0~5.5で分布されたことを特徴とする。
【0045】
つまり、マイクロサイズの粒子を調製するにもかかわらず、標準偏差が3.0~5.5に過ぎないので、ほぼ同じサイズの粒子に調製し得る。
【0046】
通常、高分子を利用して徐放性粒子を調製する方法として知られている溶媒蒸発法の場合、調製された粒子の直径範囲が様々なので、本発明におけるような35μm~55μmの平均径を有する粒子を調製するためには、徐放性粒子を調製して小さすぎたり大きすぎたりする粒子を分類して除去した後使用する必要がある点から、生産収率が非常に落ちる問題がある。
【0047】
これに対して、本発明の徐放性粒子は、粒子の平均径が35μm~55μmであり、標準偏差は3.0~5.5に過ぎないため、ほぼ同じサイズの徐放性粒子を大量に生産可能なので、生産収率に優れている。
【0048】
前記粒子の平均径が35μm以下の場合、調製される徐放性粒子の直径が20μm以下の小さい徐放性粒子が調製され得るため、人体内に注入後大食細胞によって捕食される可能性が大きくなり、これによって有効な薬物の放出および生体内吸収に影響を与え得る。また、粒子の大きさが55μmを超える場合、注射剤を投与する際に異物感および痛みが増加され得、調製された粒子の粒度分布が大きくなって均一な粒度の徐放性粒子を調製するのが難しい。
【0049】
本発明の徐放性粒子は、比表面積が0.14m2/g~0.150m2/gであり、体内注入後、フィナステリドの最大血中濃度(Cmax)が0.9μg/L~10.0μg/Lである。
【0050】
また、前記最大血中濃度(Cmax)の標準偏差は0.5~5である。
【0051】
本発明の一実施例による徐放性粒子は完全な球状であり、球状の表面がむらなく形成されていることを特徴とし、この際、比表面積は0.14m2/g~0.150m2/gである。
【0052】
前記のような比表面積の値を有することにより、本発明の徐放性粒子を注入する際の最大血中濃度(Cmax)は0.9μg/L~10.0μg/Lを示し得る。
【0053】
一般に、経口剤形で服用するフィナステリドの場合、服用後1時間~2時間経過後に有効濃度に達し、薬物の半減期のため、一定の濃度を維持するためには健康な成人男性基準で3日の服用が必要であると案内している。
【0054】
つまり、経口剤形で服用するフィナステリドは、服用後1時間~2時間経過後に最大血中濃度を示すようになり、この際、最大血中濃度(Cmax)は42.87μg/Lと高い数値を示すのに対し、本発明の徐放性粒子は、体内注入後も相対的に非常に低い最大血中濃度値を示し得る。
【0055】
経口剤形は、服用によって最大血中濃度の高い数値を示すが、相対的に半減期が短いため、有効濃度を維持するためには毎日の服用が必要である上、経口剤形の服用後に高い血中濃度値を示すため、実際にフィナステリドの服用による治療効果が現れる血中濃度値以上に服用せねばならない問題がある。
【0056】
一方、本発明の徐放性粒子は、注射剤形で投与した後、最大血中濃度が0.9μg/L~10.0μg/Lと、フィナステリド投与による治療効果を示すとともに、経口剤形よりも低い血中濃度値によってフィナステリドの投与による副作用の発生を相対的に下げられる。
【0057】
ただ、最大血中濃度値は、投与されるフィナステリドの量によって変動可能な点から、相対的な数値的比較が難しい問題がある。
【0058】
そこで、経口剤形で服用するフィナステリドが通常1mgで服用することを考慮し、前記経口剤形の最大血中濃度は42.87μg/Lを示すことを確認した。
【0059】
一方、本発明の徐放性粒子は、投与量を基準にフィナステリド1mgに対して0.3μg/L~0.5μg/Lと、低い最大血中濃度値を示すことを確認した。
【0060】
これは、経口剤形に比べ、最大血中濃度値が非常に低いにもかかわらず、長時間持続的なフィナステリド放出効果により、DHTおよびテストステロンの生成を抑制して、脱毛防止効果および前立腺肥大症の治療効果を示し得ると言える。
【0061】
経口剤形の場合には、フィナステリドの半減期の影響のため毎日服用せねばならない問題があり、これにより、最大血中濃度値が持続的に高い状態を維持することとなり、これによって副作用の発生が問題となり得る。
【0062】
一方、本発明の場合、経口剤形と同じ1mgを投与すると言う条件下で、非常に低い最大血中濃度値を示すことを確認しており、これによって副作用の発生を最小限に抑えることができ、血中濃度値を下げることにより、フィナステリドの放出に伴う身体の負担を最小化し得る。
【0063】
また、経口剤形の場合、初期に最大血中濃度値を示した後、急激に血中濃度値が低くなるプロファイルを示すのに対し、本発明の注射用組成物は、徐放性粒子により薬物の放出速度が制御され、初期過放出の問題を防止することができ、1ヶ月~3ヶ月の間、持続的な放出パターンを示すことを特徴とする。
【0064】
このような持続放出パターンは、最大血中濃度(Cmax)に対する最初血中濃度(Cint)の比が2~11で示されることに基づいて確認可能である。
【0065】
最初血中濃度値が最大血中濃度値に比べて小さいのは、初期過放出が発生しないことを意味するものと言え、持続的な放出パターンのため、初期血中濃度値に対して最大血中濃度値がさほど大きく差を示さず、一定の範囲を維持するものと言える。
【0066】
本発明の徐放性粒子は、体内注入後の薬物濃度曲線下面積(The area under the concentration、AUC0-t)が280μg*h/L~2000μg*h/Lである。
【0067】
時間の経過による血中濃度曲線が確認されると、曲線下に面積が形成されるが、これを時間対薬物濃度曲線下面積と言い、略称してAUCと言う。
【0068】
AUCは、下記式のように、投与量およびクリアランス(清掃率)によって決められる。
AUC=投与量(dose)/クリアランス(clearance)
【0069】
前記クリアランス(CLs)は、モデル非依存的(model-independent)媒介変数であるが、消失速度定数(K)、分布容積(V)とは数学的に次のような関係を有する。
CLs=V×K
【0070】
この関係式から分かるように、クリアランスと分布容積とは、薬物消失速度を決定する。
【0071】
クリアランスが一定のとき、AUCは投与量に比例するので、薬物の容量が2倍になると、AUCは2倍に増加する。このような概念によると、一方ではクリアランスはAUCと容量とによって求められると言う意味にもなる。
【0072】
通常、投与量と時間による血中濃度が分かるのでAUCを求めることができ、従って、クリアランスを次の式により求め得る。
薬物の清掃率(drug clearance)=投与量(dose)/AUC
【0073】
1コンパートメント(One-compartment)モデルと仮定して、薬物の一定量を投与するとしたとき、AUCは以下のようにして簡単に求められる。
AUC=最初濃度(Co)/消失速度定数(K)
【0074】
しかし、時間による薬物濃度の自然対数(log)値が線形または非線形で減少する薬物の場合、別名「trapezoidal rule(台形公式)」という方法によりAUCを求められる。
【0075】
台形公式は、時間に対する血中濃度曲線を複数のはしごが連結されたものと見て、それぞれ隣接する測定済みの血中濃度を直線で繋げるものである。
【0076】
たとえ台形の上部は曲線であるが、時間間隔(台形の高さ)が小さければ、その曲線を直線と見なすことができ、これによる誤差は非常に小さくなるので無視できる。
【0077】
このような方法により、各台形の面積は容易に計算され、すべての台形面積の合計は、濃度曲線下の全面積となる。
【0078】
AUC計算は、薬物のクリアランス計算に非常に有用に使用され得る。
台形公式でAUCを求めるとき、血中濃度は自然対数の値で置換しない。
【0079】
クリアランス(Clearance)を計算するためには、時間0から無限大までのAUCを使用する。時間0から無限大までのAUCも台形公式により計算するが、これは時間0から最後の濃度を測定した時間までのAUCに、最後に測定した時間から無限大までの計算された面積を足す方法を利用する。
【0080】
AUC値が大きいと言うことは、相対的に高い生体利用率を示すことを意味すると言える。すなわち、本発明のフィナステリドを含む徐放性粒子を注入する場合、体内にどれ程度吸収されるかを示す吸収量の指標と言える。
【0081】
経口剤形の場合は、本発明の徐放性粒子とは異なり、体内吸収量が相対的に低下する。
【0082】
これは、経口剤形の服用により、血中濃度値は本発明の徐放性粒子に比べて高い値を示すが、生体吸収率の場合には薬物の半減期などの影響により、本発明の徐放性粒子に比べて低い数値を示す。
【0083】
つまり、体内投与後、高い血中濃度を示すのではあるが、体内に留まる時間が短いので吸収率が低いと言う問題がある。
【0084】
一方、本発明の徐放性粒子は、血中濃度値は相対的に低く維持しながらも、長時間の薬物放出効果を示し得るので、優れた生体利用率を示すことができ、このような結果により、経口剤形に比べてより優れたフィナステリド投与効果を示し得ると言える。
【0085】
前記フィナステリドの薬物濃度曲線下面積(The area under the concentration、AUC0-t)は、投与されたフィナステリド1mgに対して70(μg*h/L)~100(μg*h/L)であり得る。
【0086】
前述したように、フィナステリドの薬物濃度曲線下面積は、注射用組成物内に含まれるフィナステリドの含有量に応じて差が生じ得る点を考慮すると、フィナステリドの含有量に影響を受けず、徐放性粒子による影響を確認するために、フィナステリド1mgに対するAUC0-tの値を確認した。
【0087】
前記のように、投与されたフィナステリド1mgに対して70(μg*h/L)~100(μg*h/L)と、経口剤形に比べて、優れたフィナステリド投与効果を示すことが確認できる。
【0088】
本発明のフィナステリドを含む徐放性粒子は、体内注射によって1ヶ月~3ヶ月の間フィナステリドを持続的に放出し得る。
【0089】
本発明のフィナステリドを含む徐放性粒子の調製は、
1)第1混合物を調製する段階(S100)と、
2)第2混合物を調製する段階(S200)と、
3)第1混合物を直線方向のマイクロチャネルに注入する段階(S300)と、
4)第2混合物を両側面または一側面のマイクロチャネルに注入する段階(S400)と、
5)徐放性粒子を収集する段階(S500)と、
6)収集した徐放性粒子を撹拌する段階(S600)と、
7)徐放性粒子を洗浄および乾燥する段階(S700)との順に行われる。
【0090】
より具体的に、本発明の一実施例によるフィナステリドを含む徐放性粒子の調製方法について説明すると、下記の通りである。
【0091】
1)段階(S100)は、第1混合物を調製する段階として、生分解性高分子およびフィナステリドを有機溶媒に溶解させて第1混合物を調製する段階であり、前記生分解性高分子は、ポリ乳酸、ポリラクチド、ポリ乳酸-コ-グリコール酸、ポリ(ラクチド-コ-グリコライド)コポリマー(PLGA)、ポリホスファジン、ポリアミノカーボネート、ポリホスホエステル、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシバレート、ポリヒドロキシブチレート、ポリアミノ酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、好ましくは、ポリ(ラクチド-コ-グリコライド)コポリマー(PLGA)であるが、前記例示に限定されない。
【0092】
また、前記有機溶媒は水と混ざらないもので、例えば、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、およびこれらの混合物からなる群より選択されたいずれか一以上のものであり、好ましくはジクロロメタンであるが、例示に限定されるものではなく、生分解性高分子およびフィナステリドを溶解させ得る有機溶媒として、前記例示に限定されず、当業者が容易に選択し得る有機溶媒であれば、いずれも使用可能であると言える。
【0093】
前記1)段階(S100)は、生分解性高分子およびフィナステリドを溶解させた第1混合物を調製することであり、溶媒は前記に記載したように有機溶媒を使用する。これは、フィナステリドおよび生分解性高分子の溶解特性を利用し、有機溶媒を使用して完全に溶解させる。完全溶解後の第1混合物は、生分解性高分子およびフィナステリドを2:1~15:1の重量比で含む。
【0094】
生分解性高分子およびフィナステリドの重量比が2:1未満の場合、すなわち、生分解性高分子を前記重量比より未満で含む場合には、フィナステリドの重量に比べて生分解性高分子の重量比が少ないため、球状の生分解性高分子粒子にフィナステリドが均等に分布して含まれている形状の徐放性粒子の調製が難しい問題が発生し、生分解性高分子およびフィナステリドの重量比が15:1を超える場合、すなわち、生分解性高分子を前記重量比よりも超過して含む場合には、徐放性粒子内のフィナステリド含有量が少ないため、所望の濃度の薬物投与のために大量の徐放性粒子を投与せねばならない問題が発生し得る。
【0095】
より具体的に、前記第1混合物内の生分解性高分子は、10重量%~20重量%で含まれ、好ましくは15重量%であるが、前記例示に限定されない。
【0096】
前記2)段階(S200)は、第2混合物を調製する段階であり、界面活性剤を水に溶解して第2混合物を調製する。前記界面活性剤は、生分解性高分子溶液が安定したエマルジョン形成を助けられるものであれば制限なく使用可能である。具体的には、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、およびこれらの混合物からなる群より選択されたいずれか一以上のものであり、より具体的には、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、レシチン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、エステルアミン、リニアジアミン、パテアミン、およびこれらの混合物からなる群より選択されたいずれか一以上のものであり、好ましくはポリビニルアルコールであるが、例示に限定されない。
【0097】
前記3)段階(S300)および4)段階(S400)は、ウェーハ上に形成されたマイクロチャネルに第1混合物および第2混合物を注入して、流れるようにする段階である。
【0098】
より具体的に、マイクロチャネルは、シリコンウェーハ、または高分子フィルムからなる群より選択された素材に形成され得るが、前記材料の例示に限定されず、マイクロチャネルの形成が可能な素材はいずれも使用可能である。
【0099】
前記高分子フィルムは、ポリイミド(Polyimide)、ポリエチレン(Polyethylene)、フッ化エチレンプロピレン(Fluorinated ethylene propylene)、ポリプロピレン(Polypropylene)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(Polyethylene naphthalate)、ポリスルホン(Polysulfone)、およびこれらの混合からなる群より選択され得るが、前記例示に限定されない。
【0100】
一例として、シリコンウェーハに電子ビームエバポレーター(e-beamevaporator)を利用してアルミニウムを蒸着し、フォトリソグラフィ(photolithography)法によりフォトレジスト(photoresist)をアルミ上にパターニングする。その後、フォトレジストをマスクとしてアルミエッチングを行い、フォトレジストを除去した後、アルミニウムをマスクとしてシリコンをDRIE(deep ion reactive etching)によりエッチングし、アルミニウム除去後、ウェーハ上にガラスを陽極接合により密封して、前記マイクロチャネルを製造する。
【0101】
前記マイクロチャネルは、平均径が35μm~55μmであり、好ましくは50μmであるが、例示に限定されない。マイクロチャネルの平均径が35μm以下の場合、調製される徐放性粒子の直径が20μm以下の小さい徐放性粒子が調製される可能性があるため、人体内に注入後、大食細胞によって捕食される可能性が大きくなり、これによって有効な薬物の放出および生体内吸収に影響を与え得る。また、調製された徐放性粒子の大きさが55μmを超えると、注射剤として投与する際、異物感および痛みが増加され得、調製された粒子の粒度分布が大きくなり均一な粒度の徐放性粒子を調製するのは難しい。
【0102】
ただし、前記マイクロチャネルの平均径は、注入圧力の範囲に応じて変更可能である。一例として、チャンネルの直径が100μmの場合は、前記第2混合物を1000mbar~2000mbarの圧力で注入し、第1混合物は200mbar~400mbarの圧力で注入され得る。
【0103】
前記マイクロチャネルの平均径は、粒子の平均径と密接に関連するが、第1混合物および第2混合物の注入圧力とも密接に関連するので、前記例示に限定されず、調製される粒子の平均径または注入時の圧力条件に応じて変更され得る。
【0104】
また、前記マイクロチャネルの断面幅(w)および断面の高さ(d)は、調製される徐放性粒子の平均径(d’)と密接な関連がある。
図8のように、前記マイクロチャネル断面の幅(w)は、徐放性粒子の平均径(d’)に対して0.7~1.3の比率範囲であり、マイクロチャネル断面の高さ(d)は、徐放性粒子の平均径(d’)に対して0.7~1.3の比率範囲である。
【0105】
すなわち、調製しようとする徐放性粒子の平均径(d’)が定まると、それに応じてマイクロチャネル断面の幅(w)および高さ(d)は、d’の0.7~1.3の比率範囲に設定してこそ、所望のサイズの徐放性粒子の調製が可能である。
【0106】
前記3)段階(S300)は、第1混合物を直線方向のマイクロチャネルに注入して流れるようにするものであり、前記4)段階(S400)は、第2混合物を直線方向のマイクロチャネルと交差点を形成するように設けられた両側面または一側面のマイクロチャネルに注入して流れるようにするものである。
【0107】
すなわち、第1混合物は直線方向のマイクロチャネルに沿って流れ、第2混合物は前記直線方向のマイクロチャネルを基準に、両側面または一側面で直線方向のマイクロチャネルと交差点を形成するマイクロチャネルに沿って流れ、第1混合物の流れと合流することになる。
【0108】
この際、第1混合物を直線方向のマイクロチャネルに注入するとき、一定の圧力条件で注入して一定の流速で流れるようにし、この際の圧力条件は500mbar~1500mbarであり、好ましくは1100mbarであるが、例示に限定されない。
【0109】
また、第2混合物を両側面または一側面のマイクロチャネルに注入するとき、一定の圧力条件で注入して一定の流速で流れるようにし、この際の圧力条件は、1500mbar~2500mbarであり、好ましくは2200mbarであるが、例示に限定されない。
【0110】
つまり、直線方向のマイクロチャネルに注入される第1混合物よりも、第1混合物の流れと交差点を形成する第2混合物の流れをより速い流速で流すために、より高い圧力条件下で第2混合物を流す。
【0111】
前記のように、第1混合物および第2混合物の流速を異にし、第2混合物の流速を第1混合物の流速よりも速くすることにより、第1混合物の流れと第2混合物の流れとが合流する所で相対的により早い流速を有する第2混合物が第1混合物を圧縮することとなり、この際、第1混合物および第2混合物の反発力により、第1混合物内の生分解性高分子およびフィナステリドが球状の徐放性粒子を生成するようになり、より具体的には、球状の生分解性高分子にフィナステリドが均等に分布している形状の徐放性粒子を形成することとなる。
【0112】
前記5)段階(S500)は、徐放性粒子を収集する段階であり、第2混合物が入った水槽内で徐放性粒子を収集して、初期生成された徐放性粒子間の凝集現象(aggregation)を防止する。
【0113】
前記5)段階(S500)は、前記2)段階(S200)で調製した第2混合物、すなわち、界面活性剤および水の混合溶液を用いることであり、第2混合物を前記2)段階(S200)で調製した後、一部はマイクロチャネルに注入させ、他の一部は5)段階(S500)の水槽に移動させ、収集された徐放性粒子間の凝集現象を防止するために用いられる。
【0114】
前記6)段階(S600)は、水槽内で収集された徐放性粒子を撹拌する段階であり、徐放性粒子を一定の温度条件および撹拌速度で撹拌して、徐放性粒子の表面に存在する有機溶媒を蒸発させて除去する。この際、撹拌条件は、15℃~20℃にて0.5時間~1.5時間の間150rpm~650rpmの速度で1次撹拌する段階と、前記1次撹拌段階の後、35℃~45℃にて2.0時間~6.0時間の間200rpm~1000rpmの速度で2次撹拌する段階と、前記2次撹拌段階の後、15℃~25℃にて0.5時間~1.5時間の間200rpm~1000rpmの速度で3次撹拌する段階との順で行う。
【0115】
前記撹拌速度は、1次および2次撹拌段階において撹拌速度に差をもって撹拌を行い、1次撹拌工程よりも2次撹拌工程でより速い速度をもって撹拌工程を行う。
【0116】
撹拌速度だけでなく温度条件もまた、1次撹拌工程に比べて2次撹拌工程で温度を上昇させて撹拌することを特徴とし、温度を段階的に上昇させることによって、徐放性粒子の表面に存在する有機溶媒の蒸発速度を調節し得る。つまり、徐放性粒子の表面に存在する有機溶媒を徐々に蒸発させ、滑らかな表面を有する徐放性粒子を調製し得る。
【0117】
第1混合物および第2混合物がマイクロチャネルを流れるときの温度もまた15℃~20℃であり、好ましくは17℃である。つまり、マイクロチャネルを流れ、交差点を形成して徐放性粒子を生成した後、収集された徐放性粒子を1次撹拌するまでは、一定に15℃~20℃で低温を維持する。徐放性粒子の調製過程で低温を維持してこそ、球状の粒子の調製および維持が可能である。つまり、低温条件でないと、一定の球状の粒子を調製することが難しい問題が発生する。
【0118】
最後に、前記7)段階(S700)は、徐放性粒子を洗浄および乾燥する段階であり、撹拌して表面の有機溶媒をすべて除去した徐放性粒子を、除菌ろ過された精製水により数回洗浄して、徐放性粒子に残存する界面活性剤を除去し、その後凍結乾燥する。
【0119】
最終的に生成された徐放性粒子は、球状の生分解性高分子徐放性粒子にフィナステリド薬物が均等に分布している形状であり、生分解性高分子およびフィナステリドを2:1~15:1の重量比で含む。
【0120】
徐放性粒子内に含まれている生分解性高分子およびフィナステリドの重量比は、第1混合物における重量比と同じであるが、これは、徐放性粒子を調製し、有機溶媒をすべて蒸発させて除去することにより、第1混合物内における重量比と同じ比率で生分解性高分子およびフィナステリドを含有した徐放性粒子を調製し得る。
【0121】
本発明の他の一実施例によるフィナステリドを含む徐放性粒子を含有した注射用組成物は、フィナステリドを含む徐放性粒子と、懸濁溶剤とを含み得る。
【0122】
前記注射用組成物は、懸濁溶剤に徐放性粒子が均一に含まれている形態として、注射用組成物を投与する際、体内に徐放性粒子そのものを注入して、フィナステリドの長期投与効果を示し得る。
【0123】
より具体的に、体内に徐放性粒子が注入されると、生分解性高分子の分解によってフィナステリドが放出される効果が現れ、この際、本発明の徐放性粒子は、生分解性高分子およびフィナステリドが均一に混合された形状なので、長時間一定の濃度のフィナステリドの投与効果を示し得る。
【0124】
すなわち、本発明の注射用組成物を用いて1回注射すると、1ヶ月~3ヶ月の間、体内でフィナステリドが持続的に放出されることにより、毎日服用せねばならない問題を解決して、使用者の利便性を向上させ得る。
【0125】
前記懸濁溶剤は、等張剤、懸濁剤、および溶剤を含む。
【0126】
より具体的に、前記等張剤は、D-マンニトール(D-Mannitol)、マルチトール(Maltitol)、ソルビトール(Sorbitol)、ラクチトール(Lactitol)、キシリトール(Xylitol)、塩化ナトリウム(Sodium chloride)、およびその混合からなる群より選択され得、好ましくはD-マンニトールであるが、前記例示に限定されない。
【0127】
前記懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Sodium Carboxymethylcellulose)、ポリソルベート80(Polysorbate 80)、でんぷん(starch)、でんぷん誘導体、多価アルコール類、キトサン(chitosan)、キトサン誘導体、セルロース(cellulose)、セルロース誘導体、コラーゲン(collagen)、ゼラチン(gelatin)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid、HA)、アルギン酸(alginic acid)、アルジン(algin)、ペクチン(pectin)、カラギーナン(carrageenan)、コンドロイチン(chondroitin)、コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate)、デキストラン(dextran)、デキストラン硫酸(dextran sulfate)、ポリリジン(polylysine)、チチン(titin)、フィブリン(fibrin)、アガロース(agarose)、フルラン(fluran)、キサンタンガム(xanthan gum)、およびその混合からなる群より選択され、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびポリソルベート80であるが、前記例示に限定されない。
【0128】
前記溶剤は、注射用水(Injection water)を用いても良く、注射用水として使用可能な溶剤は、制限なくいずれも使用可能である。
【0129】
(調製例1)
[フィナステリドを含む徐放性粒子を含有した皮下注射用組成物の調製]
1.フィナステリドを含む徐放性粒子の調製
【0130】
(実施例1)
ポリ(ラクチド-コ-グリコライド)コポリマー(PLGA)およびフィナステリドをジクロロメタン(dichloromethane)に溶解して、第1混合物を調製した。この際、第1混合物内のポリ(ラクチド-コ-グリコライド)コポリマーは15重量%の比で含まれ、ポリ(ラクチド-コ-グリコライド)コポリマーおよびフィナステリドの重量比は2:1である。
【0131】
界面活性剤であるポリビニルアルコールを水に混合して、ポリビニルアルコールを0.25重量%含む第2混合物を調製した。
【0132】
前記第1混合物および第2混合物を、シリコンウェーハ上に形成されたマイクロチャネルに注入して流れるようにした。この際、第1混合物および第2混合物を一定の流速で流すために、第1混合物は1100mbarの圧力条件下で、第2混合物は2200mbarの圧力条件下で流れるようにした。温度条件は17℃に維持した。
【0133】
前記第1混合物の流れおよび第2混合物の流れが合流する交差点で生成された徐放性粒子を、第2混合物が入った水槽内で収集した。前記水槽内で収集された徐放性粒子を17℃にて1時間、200rpm~400rpmの速度で1次撹拌し、43℃に温度を上昇させ4時間、300rpm~800rpmの速度で2次撹拌し、20℃にて1時間200rpm~1000rpmの速度で3次撹拌した。
【0134】
撹拌が完了した徐放性粒子を除菌ろ過された精製水により数回洗浄し、凍結乾燥して徐放性粒子を調製した。
【0135】
(実施例2)
ポリ(ラクチド-コ-グリコライド)コポリマーおよびフィナステリドの重量比を9:1で含むことを除いて、実施例1と同様に調製した。
【0136】
(実施例3)
ポリ(ラクチド-コ-グリコライド)コポリマーおよびフィナステリドの重量比を12:1で含むことを除いて、実施例1と同様に調製した。
【0137】
2.皮下注射用組成物の調製
前記実施例1~3により調製された徐放性粒子は、1バイアルを基準に2.0mlの懸濁溶剤に加えた後、均一に懸濁させて皮下注射用組成物として調製した。
前記懸濁溶剤は、下記表1のような組成で構成した。
【0138】
【0139】
(実験例1)
[徐放性粒子の性状検討]
本発明の一実施例による徐放性粒子の性状を検討するために、調製済みの徐放性粒子の性状をSEM写真により確認した。
【0140】
図1~
図3は、本発明の一実施例による徐放性粒子のSEM写真に関するもので、完全球状の徐放性粒子が生成されることを確認し得る。
【0141】
比較例として、本発明の徐放性粒子の調製方法とは異なり、溶媒蒸発法を用いて徐放性粒子を調製した。調製例1と同様の構成でフィナステリドおよび生分解性高分子を混合し、シリンジに注入して粒子に調製した。
【0142】
この際、撹拌条件は、40℃、4hr、および1000rpmの条件で行って粒子に調製した。
【0143】
実施例1~3および比較例により調製された徐放性粒子の分布を測定した結果は、
図4および
図5の通りである。
実施例1~3の3回測定した結果は、下記表2の通りである。
【0144】
【0145】
粒子の直径測定結果は、前記表2の通りであり、測定結果による平均径の標準偏差は、それぞれ5.10、3.39、および4.65と確認された。
【0146】
前記測定結果によると、本発明の調製方法により調製された徐放性粒子が、
図4および表2の結果から、類似のサイズの粒子で調製されることを確認できる。
【0147】
また、粒子分析により測定された比表面積(m2/g)は、それぞれ1.43×10-1、1.46×10-1、および1.43×10-1と確認された。
【0148】
一方、比較例の場合、下記表3のような粒子分布を示すことを確認した。
【0149】
【0150】
前記実験結果のように、調製された粒子のサイズが様々に存在することを確認しており、標準偏差は28.76と、数値により粒子分布について確認した。
【0151】
また、調製された粒子の比表面積(m2/g)は、1.13×10-1と、本発明の一実施例による粒子に比べて小さい値を示すことを確認した。
【0152】
(実験例2)
[薬物動態特性評価]
本発明のフィナステリドを含む徐放性粒子およびこれを含有した注射剤形に対する薬物動態評価を確認した。
【0153】
評価は、比較例としてフィナステリド1mg経口剤形(プロペシア)と、本発明の実施例1~3の剤型とをビーグル犬に1回投与した後の血中フィナステリドの濃度をLC-MS/MSを用いて定量化した。
【0154】
薬物動態(Pharmacokinetics、PKs)分析は、WinNonlinソフトウェア(ver. 8.0、Pharsight(登録商標)、Certara(登録商標)社)を用いて行った。
【0155】
分析に使用された主な機器および装置は下記の通りである。
・マイクロ天秤(Micro balance):SI-234、DENVER INSTRUMENT社
・遠心機(Centrifuge):Centrifuge 5424、Eppendorf社
・ボルテックス・ミキサー(Vortex mixer):Model Genie-2、Scientific Industries社
・ピペット(Auto pipette):Research plus 20μL、100μL、200μL、1000μL、Eppendorf社
・ネジキャップ(Screw caps)、Microsolve社
・バイアル(Vials):Screw top 300μL、Microsolve社
・シリンジ式ディスペンサ(Syringe dispenser):PB-600、HAMILTON社
・超音波洗浄機(Ultrasonic cleaner):3510E-DTH、BRANSONIC(登録商標)
・HPLC:1290 InfinityII、Agilent Technologies社
・質量分析計(Mass spectrometer):6490 Triple Quad LC/MS、Agilent Technologies社
・データ処理システム(Data processing system):Masshunter Workstation Ver B.07(Agilent)
LC-MS/MS条件は下記の通りである。
【0156】
-クロマトグラフィー条件-
・HPLC:1290 InfinityII、Agilent Technologies社
・カラム:Phenomenex Kinetex C18、1.7μm(100mm×2.1mm、I.D.)
・カラム温度:40±0.5℃
・移動相(Mobile phase):(A)0.1%ギ酸-蒸留水(Formic acid in DW)
(B)100%メタノール
・アイソクラティック溶出移動相(Isocratic elution mobile phase):
A:B(40:60、v/v)
・流速:0.2mL/min
・注入量:5μl
・サンプルトレイ温度:10±5℃
・インジェクター洗浄液(強):70%メタノール
・インジェクター洗浄液(弱):30%メタノール
・捕捉時間(Acquisition time):8分
・オートサンプラの実行時間(Autosampler run time):8分
【0157】
-質量検出器の条件-
・質量分析計(Mass spectrometer):6490 Triple Quad LC/MS、Agilent Technologies社
・イオン化(Ionization):陽イオン電子スプレー(ESI+)
・モード:MRM
・ガス温度:200℃
・ガスフロー(Gas flow):14L/min
・吸入器(Nebulizer):20psi
・キャピラリー:3000V
【0158】
プロペシア単回経口服用群(ID01~03)のPKプロファイルは、
図5の通りである。また、プロペシア単回投与後の時間に応じるフィナステリドの血中濃度推移は
図6の通りである。
【0159】
対照薬投与群のPKパラメータは下記の表4の通りである。各試験個体の薬物動態パラメータは、「WinNonlinprogram(ver.8.0、Pharsight(登録商標)、Certara社)」を利用して血中濃度時間-曲線下面積(AUC∞)、最大血中濃度(Cmax)、最高血中濃度到達時間(Tmax)、消失半減期(t1/2)、クリアランス(CL)、見かけの分布容積(Vd)を算出した。
【0160】
AUC∞は、投与後の測定可能な最後の採血時点までの血漿濃度から算出したAUCtと、測定可能な最後の採血時点から無限大まで外挿して得られた血中濃度-時間曲線下面積とを足して計算した値から算出しており、Cmaxは各試験個体の血中濃度測定値のうちの最大値であり、t1/2は、最初に投与された薬物量が1/2になるまでかかる時間、すなわち、0.693/kで算出した。CLは薬物量/AUCの関係をもって計算し、VdはCL/kの関係をもって求めた。
【0161】
【0162】
本発明の注射剤形との比較のために、薬物動態研究(PK Study)中のプロペシア1mgQD繰り返し投与の結果をもとに、28日繰り返し投与のシナリオを設定してシミュレーションした結果は、
図7の通りである。
【0163】
また、本発明の実施例1~3の注射剤をビーグル犬に投与し、フィナステリドの血中濃度プロファイルを確認した結果は、
図8~
図10の通りである。
詳細なPKプロファイルは、下記の表5の通りである。
【0164】
【0165】
前記比較例および実施例1~3のPKプロファイルの測定結果によると、経口剤形の場合、フィナステリドの最大血中濃度値が実施例1~3に比べて大きいが、AUC0-tは小さい数値を示すことが確認できる。
【0166】
また、28日間の薬効持続の余否についても、比較例1は毎日服用してこそ薬効を維持し得る有効血中濃度を維持し得るのに対して、本発明の調製例1~3の場合には、有効血中濃度を維持したまま28日間薬効が持続することを確認できる。
【0167】
(調製例2)
[フィナステリドを含む徐放性粒子を含有した皮下注射用組成物の調製]
前記調製例1と同様の方法により徐放性粒子を調製した後、皮下注射用組成物として調製した。
【0168】
この際、1バイアルを基準にフィナステリドが、10%(実施例1)、20%(実施例2)、40%(実施例3)、60%(実施例4)、および100%(実施例5)で含まれるように徐放性粒子を調製した。
【0169】
(実験例3)
[調製例2で調製された徐放性粒子を用いた薬物動態特性評価]
調製例2で調製された実施例1~3は、先般の薬物動態評価実験と同じものであり、実施例4および5に対する結果が追加された結果は、下記表6の通りである。
【0170】
【0171】
前記結果は、AUC
0-tおよびC
maxに関する値であり、1ヶ月間の薬物持続放出効果は
図12の通りである。
【0172】
図12において、青色のグラフは実施例1であり、オレンジ色は実施例2、黄色は実施例3、ピンクは実施例4、および緑色は実施例5に対する血中薬物濃度の値である。
【0173】
図12に示すように、投与された注射剤組成物に含まれているフィナステリド含有量の差により、血中濃度値の差が生じるとはいえ、薬物濃度のプロファイルは、初期過放出の問題が発生しないことを確認できるとともに、1ヶ月間の持続的なフィナステリドの放出が表れることを確認できる。
【0174】
また、フィナステリドの放出による、脱毛防止および前立腺肥大症の治療効果は、DHTの生成抑制効果に基づいて確認が可能である。
【0175】
前記DHT生成抑制効果は、実験を行う前に、ビーグル犬の平均血中DHT濃度を100%基準として、濃度変化率(%)を測定したものである。
【0176】
当該実験の結果は
図13の通りであり、
図13は実施例5における1ヶ月間の血中薬物濃度とDHT生成抑制を示したもので、1ヶ月間の持続的フィナステリド放出により、DHTの生成抑制効果が表れることが確認できる。
【0177】
図14は、プロペシア1mgQD繰り返し投与による血中薬物濃度値とDHT生成抑制効果に関する測定結果である。
【0178】
前記実験結果によると、経口剤形は投与時の初期過放出が発生し、その後DHTの抑制効果が現れるが、時間の経過に応じて血中薬物濃度が急激に低下し、これによってDHT抑制効果も消えることを確認し得る。それ故、毎日繰り返し経口投薬をせねばならない煩わしさがある。
【0179】
図15は、本発明の徐放性粒子を投与した後、3ヶ月間の薬物持続放出が成されるか否かを確認したものであって、3ヶ月の間フィナステリドの過放出することなく一定の薬物が放出されることが確認でき、DHTの生成抑制効果も維持することを確認した。
【0180】
以上において、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、以下の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態もまた、本発明の権利範囲に属するものである。