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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】太陽光パネルの保守装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/10 20140101AFI20241120BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20241120BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H02S40/10
B08B5/02 A
B08B3/02 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021033806
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134589
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】520029860
【氏名又は名称】株式会社ワールドスキャンプロジェクト
(74)【代理人】
【識別番号】110003018
【氏名又は名称】弁理士法人プロテクトスタンス
(72)【発明者】
【氏名】上瀧 良平
(72)【発明者】
【氏名】藤井 博一
【審査官】丸橋 凌
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-223564(JP,A)
【文献】特開2017-042693(JP,A)
【文献】特開2018-069223(JP,A)
【文献】国際公開第2017/150385(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/080549(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/145194(WO,A1)
【文献】特開2017-135962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 40/10-40/12
B08B 1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光パネルを複数並べた太陽光パネルユニットを保守する太陽光パネルの保守装置であって、
前記太陽光パネルユニットに対する保守作業を行う保守ユニットと、
第1方向伸びる第1フレームと前記第1方向と交差する第2方向に伸びる第2フレームを有し、該第1フレームに前記保守ユニットを載置するフレームユニットと、
前記フレームユニットに取り付けられ、前記第1方向に、前記フレームユニットとは別のフレームユニットとを位置決めさせる第1位置決め部材と、
前記フレームユニットに取り付けられ、前記第2方向に、前記別のフレームユニットとを位置決めさせる第2位置決め部材と、
前記フレームユニットに取り付けられ、前記第1フレームに対して折れることで前記別のフレームユニットを前記フレームユニットに折り畳むことが可能なヒンジ部と、
前記フレームユニットに対して前記ヒンジ部を0度に固定する固定部と、
を備え
前記第1位置決め部材はC型形状のフックであり、該フックは前記別のフレームユニットの前記第2フレームに引っ掛けられ、
前記別のフレームユニットの前記第1フレームは、前記第1方向に伸びるガイドレールを有し、
前記第2位置決め部材は、前記フレームユニットの前記第1フレームの前記ガイドレール及び前記別のフレームユニットの前記第1フレームの前記ガイドレールに沿ってスライドして、前記フレームユニットと前記別のフレームユニットとを位置決めする、
太陽光パネルの保守装置。
【請求項2】
前記フレームユニットの前記ヒンジ部は、前記第1方向に第1ヒンジ部と第2ヒンジ部とが2つ並んで配置され、前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部とがそれぞれ折れる請求項1に記載の太陽光パネルの保守装置。
【請求項3】
前記フレームユニットの前記第1フレームは、前記第1方向に伸びるガイドレールを有し、
前記フレームユニットの前記固定部は、前記第1フレームの前記ガイドレールに沿ってスライドして、前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部とを固定する請求項2に記載の太陽光パネルの保守装置。
【請求項4】
さらに、前記フレームユニットに取り付けられ、前記第2方向に前記フレームユニットを駆動する駆動ユニット、
を備えている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の太陽光パネルの保守装置。
【請求項5】
前記保守ユニットは、前記第1方向に移動するための駆動装置を有する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の太陽光パネルの保守装置。
【請求項6】
前記保守ユニットは、前記フレームユニットの前記第1フレームに平行に設けられた案内フレームに案内される請求項5に記載の太陽光パネルの保守装置。
【請求項7】
前記保守ユニットは、前記太陽光パネルユニットのパネル面に液体を噴出するノズルと前記太陽光パネルユニットのパネル面を清掃する清掃ブラシとを含む請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の太陽光パネルの保守装置。
【請求項8】
前記保守ユニットは、前記太陽光パネルユニットのパネル面にコーティング剤を噴出するノズルと前記コーティング剤を塗り込む塗り込み部とを含む請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の太陽光パネルの保守装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルの発電能力の低下を防ぎ、効率良く発電等するために太陽光パネルを保守する太陽光パネルの保守装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光パネルユニットの、各太陽光パネルの発電能力の低下を防ぐために、太陽光を受光する太陽光パネル面を清掃する清掃装置、及び太陽光パネル面をコーティングする太陽光パネルのコーティング装置が知られている。特許文献1の太陽光パネルの清掃装置は、太陽光パネルのパネル面に接触する車輪等の走行体と回転ブラシ等の清掃ユニットを有しており、太陽光パネルのパネル面上を走行体で走行しながら清掃ユニットで清掃する。大きな太陽光パネルを清掃ユニットが上下に移動して清掃するため、清掃ユニットが移動するガイド部材が2以上連結して上下の移動距離を確保している。1つのガイド部材と1つのガイド部材との連結部分を固定するために、連結固定部材がガイド部材の連結部分を挟持する構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2017/145194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、1つのガイド部材と1つのガイド部材とを連結する構造が複雑であり、また連結固定部材を用意することから、大型で重量のある清掃装置を運搬することは困難であり、また太陽光パネルに太陽光パネルの清掃装置を設置するために多大なる労力を必要としていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は、太陽光パネルの保守装置の運搬及び設置を容易に行うことができ、作業者の労力負担を軽減することができる太陽光パネルの保守装置を提供する。
【0006】
本実施形態の太陽光パネルの保守装置は、太陽光パネルを複数並べた太陽光パネルユニットを保守する太陽光パネルの保守装置である。そして保守装置は、太陽光パネルユニットに対する保守作業を行う保守ユニットと、第1方向の伸びる第1フレームと第1方向と交差する第2方向に伸びる第2フレームを有し、該第1フレームに保守ユニットを載置するフレームユニットと、フレームユニットに取り付けられ第1フレームに対して折れるヒンジ部と、フレームユニットに対してヒンジ部を0度に固定する固定部と、を備える。
【0007】
また保守装置のフレームユニットのヒンジ部は、第1方向に第1ヒンジ部と第2ヒンジ部とが2つ並んで配置され、第1ヒンジ部と第2ヒンジ部とがそれぞれ折れる。
またフレームユニットの第1フレームは、第1方向に伸びるガイドレールを有しており、フレームユニットの固定部は、第1フレームのガイドレールに沿ってスライドして、第1ヒンジ部と第2ヒンジ部とを固定することが好ましい。
【0008】
さらに保守装置は、フレームユニットに取り付けられ、第1方向に、フレームユニットと別のフレームユニットとを位置決めさせる第1位置決め部材と、フレームユニットに取り付けられ、第2方向に、フレームユニットと別のフレームユニットとを位置決めさせる第2位置決め部材と、を備えても良い。
この第1位置決め部材はC型形状のフックであり、該フックは別のフレームユニットの第2フレームに引っ掛けられ、別のフレームユニットの第1フレームは、第1方向に伸びるガイドレールを有している。そして、第2位置決め部材は、フレームユニットの第1フレームのガイドレール及び別のフレームユニットの第1フレームのガイドレールに沿ってスライドして、フレームユニットと別のフレームユニットとを位置決めすることができる。
【0009】
さらに保守装置は、フレームユニットに取り付けられ、第2方向にフレームユニットを駆動する駆動ユニット、を備えていることが好ましい。
保守ユニットは、第1方向に移動するための駆動装置を有することが好ましい。
また、保守ユニットは、フレームユニットの第1フレームに平行に設けられた案内フレームに案内されてもよい。
保守ユニットは、太陽光パネルユニットのパネル面に液体を噴出するノズルと太陽光パネルユニットのパネル面を清掃する清掃ブラシとを含むことが好ましい。
また保守ユニットは、太陽光パネルユニットのパネル面にコーティング剤を噴出するノズルとコーティング剤を塗り込む塗り込み部とを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の太陽光パネルの保守装置は、ヒンジ部を有しているのでフレームユニットを折り畳むことができるため、運搬及び設置を容易に行うことができ、作業者の労力負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】太陽光パネルユニットSPUに載った保守装置100の平面図である。
図2】フレームユニット20の全体構成図である。
図3】キャスターの斜視図である。
図4】フレームユニット20の連結部CNの周辺の平面図及び正面図である。
図5】ヒンジ部21で連結部CNが折れた状態を示した正面図である。
図6】フレームユニットが他のフレームユニットに対して折れた状態を示した全体図である。
図7】ヒンジ部の別実施形態である。
図8】駆動ユニット50の全体構成図である。
図9】保守ユニット60の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施の形態を、図を参照しながら詳しく説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また各図面では部材を強調するため実際の寸法通りに描かれていない。
【0013】
本実施形態では、太陽光パネルの保守装置として太陽光パネルを清掃する清掃処理を説明する。しかし、保守とは、太陽光パネルの清掃だけでなく、太陽光パネルの耐久性や防塵性を上げるため太陽光パネルにコーティング剤を塗布しコーティング層を形成するコーティング処理をも含む概念である。
【0014】
<太陽光パネルユニットの概要>
図1は、太陽光パネルユニットSPUに載った保守装置100の平面図である。図1に示されるにように、本実施形態の太陽光パネルの保守装置100は、太陽光パネルユニットSPUの表面を清掃する。この太陽光パネルユニットSPUは、複数の太陽光パネルSPを前後左右に並べて設置したものである。太陽光パネルユニットSPUは、例えば1.0m×1.5mの太陽光パネルSPを、Y軸方向に4枚、X軸方向に10枚(一部のみ図示)並べて設置されている。それぞれの太陽光パネルSPは、太陽光発電を行うために太陽光を取り込むパネル面(+Z軸側)とその裏面側(-Z軸側)に配置された発電装置(図示省略)とを有するパネル本体と、その周囲に設けられた縁部PPとを有している。このうち、パネル面3はガラスで構成されており、縁部PPはアルミニウム等の金属で構成されている。太陽光パネルユニットSPUは、一般にパネル面が傾斜した状態、すなわち図1の上側側面SP1が下側側面SP2よりも高く(+Z軸側)なるような状態で、設置される。図1において、X軸方向は略水平な横方向であり、Y軸方向は傾斜したパネル面と略平行でな方向である。
【0015】
<太陽光パネルの保守装置100の概要>
本実施形態の太陽光パネルの保守装置100について説明する。この太陽光パネルの保守装置100は、ヘッドユニット10と、フレームユニット20と、ボトムユニット40と、駆動ユニット50と、保守ユニット60とを備えている。図1に示される保守装置100は、太陽光パネルユニットSPUの縦方向(Y軸方向)に合わせて、4つのフレームユニット20(20a,20b,20c,20d)が連結されている。太陽光パネルユニットSPUが小さい場合には、保守装置100は、1つのヘッドユニット10と、1つのフレームユニット20と、1つの保守ユニット60とを備えていれば足りる。ボトムユニット40は、太陽光パネルユニットSPUが傾斜しているため必ずしも設けなくてもよい。
【0016】
ヘッドユニット10は、上側側面SP1に対向する車輪11が設けられており、これらの車輪11で傾斜したパネル面の上側側面SP1で、保守装置100を支えるようにするとともに、横方向(X軸方向)に移動できるようにしている。
【0017】
フレームユニット20は、保守ユニット60を載置する。そして保守ユニット60がフレームユニット20のY軸方向に移動可能である。フレームユニット20は、2本の横フレーム27と2本の縦フレーム28と案内フレーム29とを有する。さらにフレームユニット20は、隣り合うフレームユニット20に対してヘッドユニット10を折り畳むヒンジ部21を有する。ヘッドユニット10は、ヒンジ部21でフレームユニット20に対して180度折り畳むことができる。また隣り合うフレームユニット20(例えば20b)の一方は、ヒンジ部21で他方のフレームユニット20(例えば20c)に対して180度折り畳むことができる。
【0018】
ボトムユニット40は、フレームユニット20上で移動する保守ユニット60がフレームユニット20を越えて-Y軸方向に移動しないように停止させるユニットである。本実施形態のボトムユニット40は、ヘッドユニット10が有する車輪11を有していないが、ボトムユニット40が車輪11を有し、太陽光パネルユニットSPUの上側側面SP1及び下側側面SP2を両側から車輪11で挟持するようにしてもよい。図1に示されるボトムユニット40は、小型であるため折り畳むことを想定しておらず、ヒンジ部21が設けられていない。しかし、ボトムユニット40がヒンジ部21を有し、フレームユニット20に対して180度折り畳むことができるようにしてもよい。
【0019】
駆動ユニット50は、フレームユニット20の紙面奥側(-Z軸方向)に着脱自在に取り付けられている。本実施形態では、上側から2番目のフレームユニット20に取り付けられているが、どの位置のフレームユニット20に取り付けられても良く、太陽光パネルユニットSPUの縦方向(Y軸方向)の長さ、太陽光パネルユニットSPUの傾斜角度に応じて、適宜選択される。
【0020】
保守ユニット60は、フレームユニット20の紙面前側(+Z軸方向)に着脱自在に取り付けられている。保守ユニット60の車輪は2本の縦フレーム28に乗った状態で、Y軸方向に移動可能である。保守ユニット60は案内フレーム29で案内され、保守ユニット60の車輪が2本の縦フレーム28から外れないようになっている。保守ユニット60は、太陽光パネルユニットSPUの表面を清掃したり、太陽光パネルユニットSPUにコーティング処理を行ったりすることができる。
【0021】
<フレームユニット20の概要>
図2は、フレームユニット20の平面図、正面図及び右側面図である。フレームユニット20は大別して、延長部EXと連結部CNとからなる。フレームユニット20は、2本の縦フレーム28に対してその縦フレーム28の途中の位置で2本の横フレーム27が取り付けられ、縦フレーム28の両端側(±Y軸方向)は横フレーム27から飛び出している。横フレーム27及び縦フレーム28は、例えば金属製での断面が円形や八角形等であり、本実施形態では、他の部材とボルト等で結合できるように、フレームが伸びる方向にガイドレールが施されている。横フレーム27と縦フレーム28とは、ガイドレールに取り付けられる4つの三角形の補強板で固定され、矩形のフレーム構造を有している。縦フレーム28の一方の端(―Y軸側)には、X軸方向に回転するキャスター80が配置されている。なお、キャスター80は太陽光パネルSPの縁部PPを通る方が好ましいので、太陽光パネルSPの縁部PPの位置に応じてキャスター80のY軸方向の位置を調整することができる。つまりキャスター80は、縦フレーム28の端部ではなく、2本の横フレーム27の間の縦フレーム28に配置されることもある。キャスター80のY軸方向の位置を調整の構造について、図3を使って説明する。キャスター80の高さはZ1に設定されている。
【0022】
2本の横フレーム27を亘るように、且つ縦フレーム28に並行になるように案内フレーム29が設けられている。この案内フレーム29は保守ユニット60が縦フレーム28の上をY軸方向に移動する際の案内になる。後述するように保守ユニット60の4つの車輪は縦フレーム28の上に接しながら移動するため、車輪が縦フレーム28から外れないように、保守ユニット60が案内フレーム29で正確にY軸方向に案内される。なお、必ずしも案内フレーム29を設ける必要はない。例えば保守ユニット60に列車の車輪のようなフランジ付き車輪が取り付けられていれば、案内フレーム29が無くても保守ユニット60は縦フレーム28に沿ってY軸方向に移動することができる。
【0023】
縦フレーム28の他方の端(+Y軸側)には連結部CNが設けられている。連結部CNは、ヒンジ部21と、ヒンジ部21を載置する2本の連結フレーム26と、2本の連結フレーム26を支持する支持フレーム25と、Y軸方向を位置決めする第1位置決め部材24と、X軸方向を位置決めする第2位置決め部材23と、ヒンジ部21を固定する固定部22とを有している。Y軸方向の連結部CNの長さY1は、+Y軸側の横フレーム27から+Y軸側の縦フレーム28の端までの長さY2と-Y軸側の横フレーム27から-Y軸側の縦フレーム28の端までの長さY3とを合計した長さである。固定部22の長さと第2位置決め部材23の長さとを合わせたY軸方向の合計長さは、+Y軸側の横フレーム27から+Y軸側の縦フレーム28の端までの長さY2の長さにほぼ等しい。
【0024】
<<キャスターについて>>
キャスター80は、車輪81とその車輪を貫通するシャフト82とトッププレート83とを有している。トッププレート83にはX軸方向に位置をするため、X軸方向に伸びるX軸レール84が設けられている。このX軸レール84には、調整プレート86が載るようになっており、調整フレート86にはX軸方向に位置調整できるようメス型X軸案内86aが形成されている。メス型X軸案内86aに対応するように、調整プレート86のX方向の位置を固定する固定プレート87が配置される。不図示のボルトなどを締めることにより、固定プレート87及びメス型X軸案内86aでX軸レール84が締められることで、調整プレート86のX軸方向の位置が固定される。
【0025】
調整フレート86にはY軸方向に位置調整できるようメス型Y軸案内86bが形成されている。メス型Y軸案内86bに対応するように、調整プレート86のY方向の位置を固定する固定プレート89が配置される。メス型Y軸案内86bには、図2で示された縦フレーム28のガイドレールが入り込む。不図示のボルトなどを締めることにより、固定プレート89及びメス型Y軸案内86bでY軸方向に伸びる縦フレーム28のガイドレールが締められることで、調整プレート86のY軸方向の位置が固定される。このように、キャスター80が太陽光パネルSPの縁部PPを通り、太陽光パネルSPの表面を傷つけたりしないようにしている。
【0026】
<<連結部について>>
図4及び図5を使って、より詳細に連結部CNを説明する。図4は、フレームユニット20の連結部CNの周辺の平面図及び正面図である。図4ではフレームユニット20cとフレームユニット20dとの連結状態が理解できるように、フレームユニット20cの横フレーム27c及び縦フレーム28cが一点鎖線で描かれている。図4の平面図の下側および正面図では、第2位置決め部材23及びヒンジ部21を固定する固定部22が理解できるように、一本の縦フレーム28cが描かれていない。図5は、ヒンジ部21で連結部CNを180度折れた状態を示した正面図である。図5では、連結フレーム26の折れた状態が理解できるように、フレームユニット20cの縦フレーム28c及びフレームユニット20dの縦フレーム28dが一点鎖線で描かれている第2位置決め部材23及びヒンジ部21を固定する固定部22が理解できるように、縦フレーム28cが描かれていない。
【0027】
図4及び図5に示されるように、連結フレーム26は、第1連結フレーム26-1、第2連結フレーム26-2及び第3連結フレーム26-3から構成される。第1連結フレーム26-1と第2連結フレーム26-2とは、第1ヒンジ部21-1で互いに接続されている。また第2連結フレーム26-2と第3連結フレーム26-3とは、第2ヒンジ部21-2で互いに接続されている。第1ヒンジ部21-1及び第2ヒンジ部21-2は、回転軸RGを中心として90度以上折れる機能を有していればよく、本実施形態では回転軸RGを中心として180度以上折れる機能を有している。第2連結フレーム26-2のY軸方向の長さは、第1ヒンジ部21-1の回転軸RGから第2ヒンジ部21-2の回転軸RGまでの長さに等しい。
【0028】
第1ヒンジ部21-1及び第2ヒンジ部21-2が、回転軸RGを中心として90度折れ、さらに第2連結フレーム26-2の長さ(Y軸方向)があるため、案内フレーム29cと案内フレーム29dとが衝突することがない。また図4に示されるように、案内フレーム29cの一端から案内フレーム29dの一端までの空間距離(Y軸方向)は、第2連結フレーム26-2の長さ(Y軸方向)にほぼ等しい。
【0029】
図4に示されるように、固定部22及び第2位置決め部材23は、ほぼ同じ形状でY軸方向の長さが異なっている。固定部22及び第2位置決め部材23は、縦フレーム28dに形成されたガイドレールと連結フレーム26に形成されたガイドレールとに沿ってスライド可能である。図4の+X軸側の固定部22及び第2位置決め部材23は、第1ヒンジ部21-1及び第2ヒンジ部21-2が折られる際の配置位置である。図4の-X軸側の固定部22及び第2位置決め部材23は、第1ヒンジ部21-1及び第2ヒンジ部21-2が0度になる際の配置位置である。
【0030】
固定部22のY軸方向の長さは、第2連結フレーム26-2のY軸方向の長さより長い。このため、1つの固定部22が、第1ヒンジ部21-1の回転軸RG及び第2ヒンジ部21-2の回転軸RGを固定することができる。
【0031】
図6は、フレームユニット20cがフレームユニット20dに対して180度折れた状態を示した全体的な平面図である。案内フレーム29cと案内フレーム29dとがちょうどZ軸方向に重なるようになる。図1に示されたようにフレームユニット20aからフレームユニット20dの4つのフレームユニット20がある場合には、図6に示される2つの折り畳まれたフレームユニット20を二段積みすればよい。このため作業者は、保守装置100を自動車等に積載しやすく且つ取り扱いも簡単になる。
【0032】
次に図4-図6で説明した第1ヒンジ部21-1及び第2ヒンジ部21-2とは異なるヒンジ部について図7を使って説明する。図7は、1つの第3ヒンジ部21Bでフレームユニット20cがフレームユニット20dに対して180度折れた状態を示した平面図である。上述したように、保守ユニット60に列車の車輪のようなフランジ付き車輪が取り付けられていれば、案内フレーム29が無くてもよい。案内フレーム29がない場合には、ヒンジ部21で折れる際に、Z軸方向の距離(高さ)が低くてもよい。
【0033】
図7において、連結フレーム26は、第1連結フレーム26-1及び第3連結フレーム26-3から構成される。第1連結フレーム26-1と第3連結フレーム26-3とが第3ヒンジ部21Bで互いに接続されている。図4等に示し第1もしくは第2ヒンジ部21よりも直径が大きなヒンジであることが好ましい。このように、1つの第3ヒンジ部21Bで、フレームユニット20cをフレームユニット20dに対して折り畳むことも可能である。
【0034】
<駆動ユニット50の概要>
図8は、駆動ユニット50の平面図及び正面図である。駆動ユニット50は、例えば2本の縦フレーム58とその縦フレーム58に取り付けられた5本の横フレーム27とから構成されてもよい。横フレーム57及び縦フレーム58は、例えば金属製での断面が円形や八角形等であり、本実施形態では、他の部材とボルト等で結合できるように、フレームが伸びる方向にガイドレールが施されている。駆動ユニット50がフレームユニット20に取り付くため、縦フレーム58の4箇所以上に接続部52が設けられている。接続部52は、カシメ板とボルト等とからなり、上述したフレームユニット20の縦フレーム28に接続される。また、縦フレーム58及び横フレーム57に、電源BATと、電子制御ユニット51と、駆動部としての駆動モータ53と、駆動モータ53の動力を伝達する動力伝達系55と動力伝達系55に接続されたタイヤ59とが取り付けられている。
【0035】
電子制御ユニット51は、作業者が操作するリモートコントローラー(不図示)からの指示を受けて駆動モータ53に駆動信号を与える。駆動モータ53は、電子制御ユニット51からの駆動信号を受けて駆動力を発生する。その駆動力は、チェーンの伝達部材を有する動力伝達系55及びカップリング56を介して、タイヤ59に駆動力を伝達する。
【0036】
また動力伝達系55は、太陽光パネルユニットSPUの縦方向(Y軸方向)に沿って設けられており、動力伝達系55の所定位置にタイヤ59が固定されている。図2で示されたキャスター80の高さはZ1であり、図8に示されるタイヤ59の設置面から接続部52までの高さもZ1である。上述したように、これらのタイヤ59に動力伝達系55及びカップリング56が繋がれており、駆動モータ53からの駆動力が伝えられるようになっている。このような構成により、キャスター80及びタイヤ59が太陽光パネルSPに接した状態で、駆動ユニット50は、図1に示されたヘッドユニット10、フレームユニット20、ボトムユニット40及び保守ユニット60を、横方向(X軸方向)に移動させることができる。
【0037】
<保守ユニット60の概要>
図9は、保守ユニット60の平面図、正面図及び右側面図である。保守ユニット60は、例えば2本の縦フレーム68とその縦フレーム68に取り付けられた2本の横フレーム27に主装置MAIがあり、その両側に清掃ユニット65が取り付けられている。保守ユニット60はフレームユニット20の縦フレーム28に載ってY軸方向に移動できるように、縦フレーム68に4つのローラーRRが配置されている。また図9の右側面図に示されるように、保守ユニット60は案内カバー及び複数の案内輪からなる案内部69を有している。この案内部69の案内輪が案内フレーム29に接して、保守ユニット60がフレームユニット20の縦フレーム28に載った移動を案内する。なお保守ユニット60の部材ではないが、図9の右側面図に案内フレーム29を点線で示している。
【0038】
縦フレーム68及び横フレーム67で設けられた枠内に、電源BATと、電子制御ユニット61と、保守ユニット60を+Y軸方向に移動させる駆動装置としての巻き取り部62と、液体を供給するホースHSを収納するホースリールHRと、ソレノイドバルブSVとを備えている。
【0039】
電子制御ユニット61は、作業者が操作するリモートコントローラー(不図示)からの指示を受けて巻き取り部62に移動信号を与えたり、ソレノイドバルブSVのバルブを開けて洗浄液もしくは水を放出したりする。巻き取り部62は、ロープを巻くドラムとドラムを回転させるモータとを有している。ヘッドユニット10の一部にロープの一端を結ぶなどして固定し、例えばモータを正回転させてこのロープを巻き取ることで(ロープを短くすることで)保守ユニット60を+Y軸方向に移動させる。
【0040】
ホースリールHRは、水道口、タンク又は洗浄剤容器等から保守ユニット60までのホースHSを収納するドラムを有している。ホースリールHRのドラムは、ゼンマイ式のバネなど弾性力を生じる付勢部材を有しており、さらにラチェックを有していてもよい。ホースHSの一端は、-Y軸方向に伸びるようになっており、例えば水道口等に固定される。例えば水道口にホースHSの一端を固定した状態で、巻き取り部62の巻き取りを止めてロープを伸ばすようにすると、ゼンマイ式のバネなどの付勢部材で巻き取る力で、保守ユニット60を-Y軸方向に移動させる。なお、一般に太陽光パネルユニットSPUは傾斜していることが多いため、太陽光パネルユニットSPUが傾斜していれば、保守ユニット60の自重によっても保守ユニット60は-Y軸方向に移動することもできる。±Y軸方向の移動はこのような簡易な構造であるため、保守ユニット60を軽量化することができる。巻き取り部62及びホースHSをゼンマイ式のバネに代えて、上述した駆動ユニット50のように、駆動モータと動力伝達系とタイヤ等で駆動装置を構成してもよい。
【0041】
主装置MAIの両側に配置された清掃ユニット65は、縦フレーム68に取り付けられた回転ヒンジ63で、主装置MAIの上に載るように畳んだり図9に示されるように180度開いたりすることができる。清掃ユニット65は、ホースHSがつながった複数のノズル64と、太陽光パネルSPの表面をブラッシングする回転ブラシRBと、液体の飛散を防ぐブラシカバーBCと、高さ調整部66とを有している。ノズル64から洗浄液等が噴出されるとともに回転ブラシRBが回転して太陽光パネルSPの表面を清掃する。高さ調整部66は、スプリング及び高さ調整ネジ等を有しており、ノズル64、回転ブラシRB及びブラシカバーBCを、太陽光パネルSPの表面高さに合わせることができる。
【0042】
特に図示しないが、保守ユニット60は、清掃ユニット65を交換もしくは回転ブラシRBに代えてファイバークロスもしくはスポンジ等の塗り込み部を使い、コーティングすることができる。例えばホースHSから、洗浄液もしくは水の代わりにコーティング剤を供給し、ノズル64からコーティング剤を塗布し、塗り込み部でコーティング剤を太陽光パネルSPの表面に塗り込めばよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本開示の太陽光パネルの保守装置は、太陽光パネルを清掃する清掃機能に代えてコーティング機能を有していても良い。本実施形態では、駆動ユニット50に電源BATが設けられ、保守ユニット60にも電源BATが設けられているが、どちらか一方に統合してもよい。また、駆動ユニット50に電子制御ユニット51が設けられ、保守ユニット60にも電子制御ユニット61が設けられているが、どちらか一方に統合してもよい。
【符号の説明】
【0044】
100 … 保守装置、 10 … ヘッドユニット
20(20a,20b,20c,20d) … フレームユニット
21(21-1,21-2、21B) … ヒンジ部
22 … 固定部、 23 … 第2位置決め部材、 24 … 第1位置決め部材
26(26-1、26-2,26-3) … 連結フレーム
25 … 支持フレーム, 27 … 横フレーム、 28 … 縦フレーム
29 … 案内フレーム
40 … ボトムユニット
50 … 駆動ユニット、 51 … 電子制御ユニット、
52 … 接続部、 53 … 駆動モータ
55 … 動力伝達系、 56 … カップリング、
57 … 横フレーム、 58 … 縦フレーム、 59 … タイヤ
60 … 保守ユニット、 61 … 電子制御ユニット、
62 … 巻き取り部、 63 … 回転ヒンジ、 64 … ノズル
65 … 清掃ユニット、 66 … 高さ調整部
67 … 横フレーム、 68 … 縦フレーム、 69 … 案内部
80 … キャスター、 86 … 調整プレート
BAT … 電源、 BC … ブラシカバー
CN … 連結部、 EX … 延長部
HR … ホースリール、 HS … ホース
RB … 回転ブラシ
SPU … 太陽光パネル、 SPU … 太陽光パネルユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9