(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】プラスチック容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/26 20060101AFI20241120BHJP
B65D 75/58 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
B65D1/26
B65D75/58
(21)【出願番号】P 2022195607
(22)【出願日】2022-12-07
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】502038989
【氏名又は名称】ベスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】原 信治
(72)【発明者】
【氏名】砂田 緑
【審査官】武井 健浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-123403(JP,A)
【文献】特開2019-189260(JP,A)
【文献】特開2001-315748(JP,A)
【文献】特開平03-176378(JP,A)
【文献】特開2016-164084(JP,A)
【文献】特開2018-131263(JP,A)
【文献】登録実用新案第3117695(JP,U)
【文献】特開平09-077005(JP,A)
【文献】特開2002-264904(JP,A)
【文献】実開昭61-180975(JP,U)
【文献】特開2009-040429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/26
B65D 75/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器であって、
上端が開口した箱型の容器本体と、
前記容器本体の上端から外周囲に張り出しているフランジ部と、
前記フランジ部に対して接合されることにより前記容器本体の上端の開口を塞いでいるフィルム蓋と、
を備え、
前記フランジ部は、前記容器本体の前記開口から外周囲に張り出している主面部を有し、
前記主面部の上面に対して前記フィルム蓋が接合され、
前記フランジ部の周方向における1箇所以上が摘まみ部を構成しており、
前記摘まみ部は
、前記主面部よりも水平方向における外方に向けて局所的に張り出しつつ下り傾斜しており、
前記摘まみ部の傾斜角度は、10度以上45度以下であり、
前記摘まみ部の縁部における各部位は、当該部位よりも当該摘まみ部における内側の部分に対して屈曲した屈曲部となっており、
前記屈曲部に接する鉛直面の法線方向を第1法線方向とすると、
前記屈曲部は、前記屈曲部の法線方向における前記第1法線方向の成分の割合が、前記内側の部分の法線方向における前記第1法線方向の成分の割合よりも小さくなる向きに前記内側の部分に対して屈曲しており、
前記屈曲部は、前記摘まみ部の先端に向けて下り傾斜している傾斜部を含むプラスチック容器。
【請求項2】
前記屈曲部の法線方向は、前記第1法線方向に対して直交している請求項1に記載のプラスチック容器。
【請求項3】
前記内側の部分の下面は、凹曲面形状に形成されている請求項1又は2に記載のプラスチック容器。
【請求項4】
前記フランジ部における前記摘まみ部以外の部分は、手指に対応する前記凹曲面形状を有していない請求項3に記載のプラスチック容器。
【請求項5】
前記摘まみ部は、当該摘まみ部の先端に向けて階段状に下り傾斜している請求項3に記載のプラスチック容器。
【請求項6】
圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器であって、
上端が開口した箱型の容器本体と、
前記容器本体の上端から外周囲に張り出しているフランジ部と、
前記フランジ部に対して接合されることにより前記容器本体の上端の開口を塞いでいるフィルム蓋と、
を備え、
前記フランジ部の周方向における1箇所以上が摘まみ部を構成しており、
前記摘まみ部は、10度以上45度以下の傾斜角度で外方に向けて下り傾斜しており、
前記フィルム蓋は前記摘まみ部に覆い被さっており、
前記摘まみ部の縁部における各部位は、当該部位よりも当該摘まみ部における内側の部分に対して屈曲した屈曲部となっており、
前記屈曲部に接する鉛直面の法線方向を第1法線方向とすると、
前記屈曲部は、前記屈曲部の法線方向における前記第1法線方向の成分の割合が、前記内側の部分の法線方向における前記第1法線方向の成分の割合よりも小さくなる向きに前記内側の部分に対して屈曲しており、
前記内側の部分の下面は、凹曲面形状に形成されており、
前記摘まみ部は、当該摘まみ部の先端に向けて階段状に下り傾斜しており、
前記摘まみ部は、前記先端に向けて下り傾斜している傾斜部と、水平に配置された水平部と、を前記先端に向けて交互に有し、
前記傾斜部の縁部が前記屈曲部であるプラスチック容器。
【請求項7】
前記摘まみ部には、補強リブが形成されている請求項3に記載のプラスチック容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器(同文献にはヒートシール容器と記載)であって、上端が開口した箱型の容器本体(同文献に多層容器本体と記載)と、容器本体の上端から外周囲に張り出しているフランジ部と、フランジ部に対して接合されることにより容器本体の上端の開口を塞いでいるフィルム蓋(同文献には蓋体と記載)と、を備え、フランジ部の4つの角部のうちの1つの角部は摘まみ部(同文献にはタブ部と記載)を構成しているプラスチック容器が記載されている。
特許文献1に記載のプラスチック容器では、フィルム蓋をフランジ部から剥離する際には、使用者は、片方の手の指で摘まみ部を摘まみつつ、もう片方の手の指でフィルム蓋のタブ部を摘まみフランジ部から引き剥がす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者の検討によれば、特許文献1のプラスチック容器では、容器本体の把持性と製造容易性とを両立するための構造について、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、容器本体の把持性と製造容易性とを両立することが可能な構造のプラスチック容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器であって、
上端が開口した箱型の容器本体と、
前記容器本体の上端から外周囲に張り出しているフランジ部と、
前記フランジ部に対して接合されることにより前記容器本体の上端の開口を塞いでいるフィルム蓋と、
を備え、
前記フランジ部は、前記容器本体の前記開口から外周囲に張り出している主面部を有し、
前記主面部の上面に対して前記フィルム蓋が接合され、
前記フランジ部の周方向における1箇所以上が摘まみ部を構成しており、
前記摘まみ部は、前記主面部よりも水平方向における外方に向けて局所的に張り出しつつ下り傾斜しており、
前記摘まみ部の傾斜角度は、10度以上45度以下であり、
前記摘まみ部の縁部における各部位は、当該部位よりも当該摘まみ部における内側の部分に対して屈曲した屈曲部となっており、
前記屈曲部に接する鉛直面の法線方向を第1法線方向とすると、
前記屈曲部は、前記屈曲部の法線方向における前記第1法線方向の成分の割合が、前記内側の部分の法線方向における前記第1法線方向の成分の割合よりも小さくなる向きに前記内側の部分に対して屈曲しており、
前記屈曲部は、前記摘まみ部の先端に向けて下り傾斜している傾斜部を含むプラスチック容器が提供される。
また、本発明によれば、圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器であって、
上端が開口した箱型の容器本体と、
前記容器本体の上端から外周囲に張り出しているフランジ部と、
前記フランジ部に対して接合されることにより前記容器本体の上端の開口を塞いでいるフィルム蓋と、
を備え、
前記フランジ部の周方向における1箇所以上が摘まみ部を構成しており、
前記摘まみ部は、10度以上45度以下の傾斜角度で外方に向けて下り傾斜しており、
前記フィルム蓋は前記摘まみ部に覆い被さっており、
前記摘まみ部の縁部における各部位は、当該部位よりも当該摘まみ部における内側の部分に対して屈曲した屈曲部となっており、
前記屈曲部に接する鉛直面の法線方向を第1法線方向とすると、
前記屈曲部は、前記屈曲部の法線方向における前記第1法線方向の成分の割合が、前記内側の部分の法線方向における前記第1法線方向の成分の割合よりも小さくなる向きに前記内側の部分に対して屈曲しており、
前記内側の部分の下面は、凹曲面形状に形成されており、
前記摘まみ部は、当該摘まみ部の先端に向けて階段状に下り傾斜しており、
前記摘まみ部は、前記先端に向けて下り傾斜している傾斜部と、水平に配置された水平部と、を前記先端に向けて交互に有し、
前記傾斜部の縁部が前記屈曲部であるプラスチック容器が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、容器本体の把持性と製造容易性とを両立することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るプラスチック容器の斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係るプラスチック容器の平面図である。
【
図3】第1実施形態に係るプラスチック容器の側面図である。
【
図4】
図4(a)は第1実施形態における摘まみ部及びその周辺構造を示す平面図であり、
図4(b)は
図2のA-A線に沿った断面図である。
【
図5】
図4(a)に示すB-B線に沿った断面図である。
【
図6】
図4(a)に示すC-C線に沿った断面図である。
【
図7】第1実施形態における摘まみ部及びその周辺構造を示す平面図であり、第1縁部及び第2縁部の領域を説明するための図である。
【
図8】第1実施形態における摘まみ部及びその周辺構造を示す斜視図である。
【
図9】第1実施形態に係るプラスチック容器のフィルム蓋をフランジ部から剥離する際の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図10】第1実施形態における容器本体の余白をトリミングする際の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図15】第4実施形態に係るプラスチック容器の平面図である。
【
図16】
図16(a)及び
図16(b)は第4実施形態における摘まみ部及びその周辺構造を示す図であり、このうち
図16(a)は斜視図、
図16(b)は
図15のA-A線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、
図1から
図16(b)を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0010】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1から
図10を用いて第1実施形態を説明する。なお、
図3、
図4(b)、
図5、
図6、
図8及び
図10においては、フィルム蓋50が接合される前の容器本体10を図示している。また、
図2、
図4(a)及び
図7においては、フィルム蓋50の図示を省略している。また、
図4(b)においては、摘まみ部70を撓ませて水平にした状態を二点鎖線220で示している。また、
図9は、プラスチック容器100を、
図2に示すA-A線に相当する線に沿った断面で図示している。また、
図10は、容器本体10を、
図4(a)に示すB-B線に相当する線に沿った断面で図示している。また、
図5においては、鉛直面121の位置を二点鎖線で示しており、
図6においては、鉛直面122の位置を二点鎖線で示している。
【0011】
本実施形態に係るプラスチック容器100は、圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器である。
図1から
図9に示すように、プラスチック容器100は、上端が開口した箱型の容器本体10と、容器本体10の上端から外周囲に張り出しているフランジ部12と、を備えている。
フランジ部12の周方向における1箇所以上が摘まみ部70を構成している。
摘まみ部70は、10度以上45度以下の傾斜角度で外方に向けて下り傾斜しており、フィルム蓋50は摘まみ部70に覆い被さっている。
摘まみ部70の縁部70aにおける各部位(本実施形態の場合、後述する傾斜起立部87)は、当該部位よりも当該摘まみ部70における内側の部分73に対して屈曲した屈曲部となっている。屈曲部に接する鉛直面(本実施形態の場合、鉛直面121(
図5参照)、鉛直面122(
図6参照))の法線方向を第1法線方向とすると、屈曲部は、当該屈曲部の法線方向における第1法線方向の成分の割合が、内側の部分73の法線方向における第1法線方向の成分の割合よりも小さくなる向きに内側の部分73に対して屈曲している。
なお、ここでいう「外方」とは、水平方向における、当該プラスチック容器100の中心側(内方)とは反対側の方向を意味している。すなわち、摘まみ部70は水平方向における外方に向けて下り傾斜している。
また、ここでいう「屈曲部に接する鉛直面」とは、平面視において屈曲部に対する接線となる鉛直面を意味している。
また、ここでいう「フィルム蓋50は摘まみ部70に覆い被さっている」とは、平面視において、フィルム蓋50が摘まみ部70の少なくとも一部分と重なっていることを意味している。なお、後述のように、本実施形態の場合、フィルム蓋50は、摘まみ部70に対して非接合となっている。
また、後述するように、容器本体10は1枚の樹脂シート400によって形成され、当該容器本体10の各部位は薄板状となっている。したがって、屈曲部は薄板状であり、屈曲部の法線方向とはこの板面の法線方向である。
そして、ここでいう「屈曲部の法線方向」とは、屈曲部の全体の平均的な法線方向であり、ここでいう「内側の部分73の法線方向」とは、内側の部分73の全体の平均的な法線方向である。
【0012】
プラスチック容器100は、内容物の充填後、フィルム蓋50が容器本体10の上端の開口13を塞いでいる状態で流通する。そして、フィルム蓋50をフランジ部12から剥離することによって、プラスチック容器100を開封し内容物を取り出すことができる。
図9に示すように、フィルム蓋50をフランジ部12から剥離する際には、使用者は、片方の手の指で摘まみ部70を摘まみつつ、もう片方の手の指で、例えば、摘まみ部70と対応するフィルム蓋50の角部(フィルム蓋角部51)を摘まみ水平方向の成分を含む方向に引っ張ることによって、フィルム蓋50をフランジ部12から引き剥がす。
【0013】
また、プラスチック容器100を製造する際には、
図10に示すように、圧空成形又は真空成形によって樹脂シート400を金型(不図示)の形状に賦形した後、当該賦形された樹脂シート400において容器本体10となる部分以外の余白450を一対の剪断刃410、411によって切断するトリミング工程を行う。これにより、
図1等に示す容器本体10が得られる。
トリミング工程では、樹脂シート400に対して一対の剪断刃410、411を鉛直に押し当てて余白450を剪断する。したがって、容器本体10の切断面(ひいてはプラスチック容器100の外縁100a)は、剪断刃410、411に沿った鉛直面となる。
一例として、樹脂シート400を金型の形状に賦形する工程では、1枚の樹脂シート400に対して、36個分の容器本体10を成形する。そして、トリミング工程では、6個ずつまとめて各容器本体10から余白450を剪断する。
【0014】
本実施形態によれば、プラスチック容器100は、10度以上45度以下の傾斜角度で外方に向けて下り傾斜している摘まみ部70を備えている。そして、摘まみ部70の内側の部分73の法線方向は、摘まみ部70の縁部70aにおける各部位(屈曲部)と比べて、鉛直面121、122の第1法線方向の成分の割合が大きい。すなわち、摘まみ部70の内側の部分73の法線方向は、当該摘まみ部70の縁部70aにおける各部位(同上)の法線方向とは異なる方向の成分を含む。
このような構成によれば、摘まみ部70の内側の部分73を手指300でより安定して摘まむことができる。また、水平方向の成分を含む方向にフィルム蓋50を引き剥がす際に、摘まみ部70を手指300で摘まむことによって、引き剥がす方向とは反対方向に抗力が生じるようにできる。よって、フィルム蓋50とともに容器本体10も移動してしまうことを良好に規制できる。
更には、摘まみ部70の縁部70aにおける各部位(屈曲部)の法線方向における第1法線方向の成分の割合は、内側の部分73の法線方向における第1法線方向の成分の割合よりも小さい。
これにより、上述のトリミング工程において、樹脂シート400の余白450を剪断する際に、摘まみ部70の縁部70aにおける各部位と余白450との境界部の板面が剪断刃410、411に対して平行ではなく交差して当たるようにできるので、より容易に摘まみ部70から周囲の余白450を剪断することができる。なお、摘まみ部70の縁部70aにおける各部位と余白450との境界部の板面は、例えば、剪断刃410、411に対して45度以上135度以下の傾斜角度で当たることが好ましく、後述のように直交して(90度の傾斜角度で)当たることがより好ましい。
このように、本実施形態によれば、容器本体10の把持性と製造容易性とを両立することができる。
【0015】
以下、プラスチック容器100について、より詳細に説明する。
なお、以下では、プラスチック容器100の各構成要素の位置関係などを説明するに際し、
図3における上側を、上側又は上方などと称し、その反対側を下側又は下方などと称する。しかし、これらの方向の規定は便宜的なものであり、プラスチック容器100の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
また、
図2における上下方向をX方向と称し、
図2における左右方向をY方向と称する。X方向及びY方向は、水平方向であり、プラスチック容器100の深さ方向に対して直交している。また、X方向及びY方向の双方に対して直交する方向をZ方向と称する。Z方向は、鉛直方向であり、プラスチック容器100の深さ方向に対して平行な方向である。また、水平方向において、プラスチック容器100の中心側を内方(内側)と称し、内方とは反対側を外方(外側)と称する。
【0016】
図2及び
図3に示すように、本実施形態の場合、プラスチック容器100の概略形状は、扁平な(上下の深さ寸法が浅い)箱型形状となっている。プラスチック容器100の平面形状は、特に限定されないが、例えば、角丸の矩形状となっている。より詳細には、プラスチック容器100の平面形状は、略長方形状となっており、互いに平行な一対の長辺と、互いに平行な一対の短辺と、を含む。そして、長辺と短辺との間に円弧状の曲線が配置されており、これにより丸みを帯びた角部15が構成されている。ただし、例えば、長辺と短辺とが直に交差して直角の角部15を構成していてもよい。また、プラスチック容器100は、プラスチック容器100の中心を基準として回転対称形状に形成されている。なお、
図2及び
図3においては、プラスチック容器100の中心を基準とした右半分を図示しており、左半分の図示は省略している。
また、平面視におけるプラスチック容器100の外縁100aは、例えば、摘まみ部70の先端71(角)を間に挟み且つ互いに交差する第1縁辺111と第2縁辺112とを含む。
第1縁辺111は、例えば、略長方形状のプラスチック容器100の短辺であり、第2縁辺112は、例えば、略長方形状のプラスチック容器100の長辺である。
本実施形態の場合、第1縁辺111の延在方向とは、当該第1縁辺111における、角部15の丸みを帯びた部分を除いた直線状の部分の延在方向である。同様に、第2縁辺112の延在方向とは、当該第2縁辺112における、角部15の丸みを帯びた部分を除いた直線状の部分の延在方向である。
より詳細には、第1縁辺111は、例えば、X方向に延在しており、第2縁辺112は、例えば、Y方向に延在している。
なお、本発明において、プラスチック容器100の平面形状は略長方形状に限定されず、例えば、正方形状などのその他の多角形状であってもよい。更には、プラスチック容器100の平面形状は、例えば、内方又は外方に向けて凸の円弧状の辺を含む形状であってもよく、正円形状や楕円形状(詳細後述)などであってもよい。
【0017】
本実施形態の場合、摘まみ部70は、平面視でフランジ部12に外接する矩形210に収まっている。
より詳細には、摘まみ部70の全体が、例えば、平面視において、プラスチック容器100の上記4つの辺(一対の長辺及び一対の短辺)を含む矩形210(
図2参照)の内側に収まっている。矩形210の横幅寸法(Y方向における寸法)は、プラスチック容器100の横幅寸法(Y方向における寸法)と同等であり、矩形210の縦幅寸法(X方向における寸法)は、プラスチック容器100の縦幅寸法(X方向における寸法)と同等である。ここで、「内側に収まっている」とは、摘まみ部70の外形線(又はその一部分)と矩形210の外形線とが互いに一致していてもよいし、摘まみ部70の外形線が矩形210の外形線よりも内側に位置していてもよい。
一方、
図4(b)に示すように、摘まみ部70を撓ませて水平にした状態では、当該摘まみ部70の先端71は矩形210の角211よりも外方に突出する。なお、
図4(b)においては、矩形210の角211の位置を二点鎖線で図示している。
より詳細には、摘まみ部70の中心軸が、自然状態よりも水平方向に近づくように撓ませた際に、当該摘まみ部70の先端71が矩形210の角211よりも外方に突出する。
なお、本実施形態の場合、フィルム蓋50がフランジ部12に接合される前の状態又は接合された状態の少なくともいずれか一方において、摘まみ部70は、平面視で矩形210に内包されており、且つ、撓ませて水平にした状態では矩形210から外方に突出していることが好ましく、より好ましくは、フィルム蓋50がフランジ部12に接合される前の状態と接合された状態との両方において、摘まみ部70はこれら2つの条件を満たしている。
【0018】
容器本体10の平面形状は、例えば、角丸の矩形状となっている。より詳細には、容器本体10の平面形状は、略長方形状となっている。
図1に示すように、容器本体10は、上端が開口している胴体部11と、胴体部11の下端を閉塞している底面部14と、を備える。
胴体部11の平面形状は、プラスチック容器100の長辺に対して平行な方向において長尺な略八角形状となっている。
図3に示すように、胴体部11において、上端部16の下側の部分(以下、胴体本体部11a)は、上方に向けて平面寸法が僅かに拡大するように2段階に傾斜している。胴体部11における胴体本体部11aの上縁と上端部16の下縁との間には段差部17が形成されている。段差部17は、胴体本体部11aの上縁から径方向外方に向けてフランジ状に張り出している略矩形環状の部分であり、段差部17の外周縁は、上端部16の下縁に連接されている。換言すれば、段差部17は、上端部16の下縁から径方向内側に向けて内フランジ状に張り出している。
【0019】
なお、
図2に示すように、段差部17における角部15の近傍に位置する部位は、当該段差部17におけるその他の部位よりも幅広な幅広部17aとなっている。
また、容器本体10の側周壁(胴体部11の側周壁)のうち、略長方形状の容器本体10の長辺にあたる部位の中央部は、当該長辺に当たる部位の両端部よりも、プラスチック容器100の内側にオフセットされている。このため、略長方形状の容器本体10の長辺にあたる部位の中央部と両端部との間には、それぞれ段差部が形成されている。
【0020】
底面部14の形状は、特に限定されないが、本実施形態の場合、底面部14の中央部14aの高さ位置が、底面部14の周縁部14bの高さ位置よりも高くなっている。
中央部14aの平面形状は、例えば、プラスチック容器100の長辺に対して平行な方向において長尺な略八角形状となっている。ただし、本発明において、中央部14aの平面形状は、長方形状、楕円形状ないしは長円形状であってもよい。
また、中央部14aには、例えば、複数の凹凸形状20が形成されている。ただし、本発明において、複数の凹凸形状20の形状は、
図1及び
図2に示す形状に限定されない。
【0021】
図1に示すように、フランジ部12は、容器本体10の上端から、360度周回状に外方に張り出している。フランジ部12は、平面視において、角丸の略矩形環状に形成されており、4つの角部15を有する。
より詳細には、フランジ部12は、例えば、容器本体10の上端の開口13から外周囲に張り出している主面部12aと、主面部12aから径方向外側に向けて階段状に下方に変位しているフランジ部段差部12bと、を含む。
主面部12aは、例えば、略平坦に形成されている。フィルム蓋50とフランジ部12との接合部55は、例えば、主面部12aの上面の略全域に形成されている。すなわち、フィルム蓋50は、主面部12aの上面に対して接合されている。
図9に示すように、フィルム蓋50が接合されている状態においては、主面部12aは、例えば、フィルム蓋50の張力によって略水平に延在している。一方、
図4(b)に示すように、フィルム蓋50が接合されていない状態においては、主面部12aは、例えば、径方向外側に僅かに傾斜している。
フィルム蓋50は、例えば、ヒートシールによって主面部12aの上面に対して接合される。ただし、フィルム蓋50は、例えば、接着剤によって主面部12aの上面に対して接合されてもよい。
なお、
図2及び
図4(a)においては、接合部55の形成領域を左上がりのハッチングで示している。
【0022】
ここで、本実施形態の場合、一例として、フランジ部12が有する角部15のうちの1つ以上の角部15は摘まみ部70を構成している。すなわち、フランジ部12の周方向における2箇所以上が摘まみ部を構成している。より詳細には、例えば、フランジ部12が有する4つの角部15のうち、
図2における左後側の角部15と、対角線方向における当該角部15とは反対側の角部15と、の2つの角部15がそれぞれ摘まみ部70を構成している。2つの摘まみ部70は、例えば、プラスチック容器100の中心を基準として、互いに回転対称形状に形成されている。
ただし、本発明において、プラスチック容器100が有する摘まみ部70の数は特に限定されず、フランジ部12の周方向における1箇所が摘まみ部70であってもよいし、3箇所が摘まみ部70であってもよい。また、プラスチック容器100が複数の摘まみ部70を有する場合、複数の摘まみ部70は互いに異なる形状に形成されていてもよい。
【0023】
摘まみ部70は、例えば、フランジ部段差部12bの外周縁から外方に向けて下り傾斜している。
図4(a)に示すように、フランジ部段差部12bにおいて、摘まみ部70の内周縁との境界部は、フランジ部段差部12bにおけるその他の部位よりも幅狭となっている。
より詳細には、
図2及び
図4(b)に示すように、本実施形態の場合、摘まみ部70は、平面視において摘まみ部70の先端71(角)を2等分する方向における外方に向けて、下り傾斜している。
図4(a)、
図4(b)及び
図8に示すように、摘まみ部70は、先端71に向けて下り傾斜している傾斜部(本実施形態の場合、傾斜湾曲部81及び後述する傾斜起立部87)と、水平に配置された水平部86と、を先端に向けて交互に有する。より詳細には、水平部86と傾斜湾曲部81とが外方且つ下方に向けて交互に一つずつ配置されており、これにより、摘まみ部70は、外方に向けて階段状に下り傾斜した形状に形成されている。
複数の傾斜湾曲部81の各々は、外方に向けて凸の曲面形状に形成されているとともに、外方に向けて下り傾斜している。また、平面視において、複数の傾斜湾曲部81の各々は、主面部12aの角部に沿う方向に延在した略円弧状に形成されている。複数の傾斜湾曲部81の下面(内周面)によって、摘まみ部70の内側の部分73の下面73aは、手指300に対応する凹曲面形状に形成されている。
複数の水平部86の各々は、平板状に形成されており、その面方向は、水平方向を主成分としている。
摘まみ部70は、一例として、複数の傾斜湾曲部81として、第1傾斜湾曲部81a、第2傾斜湾曲部81b及び第3傾斜湾曲部81cとを含み、内方且つ上方からこの順に配置されている。
同様に、摘まみ部70は、一例として、複数の水平部86として、第1水平部86b、第2水平部86c及び第3水平部86dとを含み、内方且つ上方からこの順に配置されている。
第1傾斜湾曲部81aの内周縁(容器本体10の中心側の縁)は、フランジ部段差部12bの外周縁と接続されており、第1傾斜湾曲部81aの外周縁(容器本体10の中心側とは反対側の縁)は、第1水平部86bの内周縁(容器本体10の中心側の縁)と接続されている。
第2傾斜湾曲部81bの内周縁(同上)は、第1水平部86bの外周縁(容器本体10の中心側とは反対側の縁)と接続されており、第2傾斜湾曲部81bの外周縁(同上)は、第2水平部86cの内周縁(同上)と接続されている。
第3傾斜湾曲部81cの内周縁(同上)は、第2水平部86cの外周縁(同上)と接続されており、第3傾斜湾曲部81cの外周縁(同上)は、第3水平部86dの内周縁(同上)と接続されている。
【0024】
図2等に示すように、摘まみ部70は、先端71に向けて徐々に先細りした形状に形成されている。本実施形態の場合と、摘まみ部70の角とは、当該摘まみ部70の突出方向における先端71である。
より詳細には、複数の傾斜湾曲部81のうち、より外方に位置する傾斜湾曲部81ほどその長さ寸法(延在方向における寸法)が小さくなっている。すなわち、第3傾斜湾曲部81c、第2傾斜湾曲部81b、第1傾斜湾曲部81aの順にその長さ寸法が小さい。
同様に、複数の水平部86のうち、より外方に位置する水平部86ほどその長さ寸法(延在方向における寸法)が小さくなっている。すなわち、第3水平部86d、第2水平部86c、第1水平部86bの順にその長さ寸法が小さい。
また、複数の傾斜湾曲部81の曲率半径は、互いに同等の寸法に設定されている。ただし、本発明において、複数の傾斜湾曲部81の曲率半径は、例えば、互いに異なる寸法に設定されていてもよい。
【0025】
ここで、本実施形態の場合、傾斜部の縁部が屈曲部である。
より詳細には、各傾斜部は、例えば、傾斜湾曲部81の両端(延在方向における両端)からそれぞれ外方に向けて起立している傾斜起立部87を含む。そして、各傾斜起立部87が、傾斜部の縁部であり、屈曲部を構成している。
なお、以下の説明において、傾斜湾曲部81の延在方向における一端側の傾斜起立部87を単に一端側の傾斜起立部87と称し、傾斜湾曲部81の延在方向における他端側の傾斜起立部87を単に他端側の傾斜起立部87と称する。
各傾斜起立部87は、外方に向けて下り傾斜した平板状に形成されている。
各傾斜起立部87の各々の横幅寸法は、下方に向けて徐々に小さくなっている(徐々に幅狭となっている)。
本実施形態の場合、摘まみ部70の傾斜部は、傾斜起立部87として、第1傾斜湾曲部81aの両端側にそれぞれ形成されている第1傾斜起立部87aと、第2傾斜湾曲部81bの両端側にそれぞれ形成されている第2傾斜起立部87bと、第3傾斜湾曲部81cの両端側にそれぞれ形成されている第3傾斜起立部87cと、を含む。
各第1傾斜起立部87aの上縁は、例えば、それぞれフランジ部12のフランジ部段差部12bの一部分と接続されている。フランジ部段差部12bにおいて、対応する第1傾斜起立部87aとの境界部は、当該第1傾斜起立部87aに向けて徐々に幅広となっている。
一端側の第1傾斜起立部87aの下端(下縁)は、例えば、第1水平部86bの内周縁の一端と接続されており、他端側の第1傾斜起立部87aの下端(下縁)は、例えば、第1水平部86bの内周縁の他端と接続されている。
一端側の第2傾斜起立部87bの上縁は、例えば、第1水平部86bの外周縁の一端部と接続されており、他端側の第2傾斜起立部87bの上縁は、例えば、第1水平部86bの外周縁の他端部と接続されている。
一端側の第2傾斜起立部87bの下端(下縁)は、例えば、第2水平部86cの内周縁の一端と接続されており、他端側の第2傾斜起立部87bの下端(下縁)は、例えば、第2水平部86cの内周縁の他端と接続されている。
一端側の第3傾斜起立部87cの上縁は、例えば、第2水平部86cの外周縁の一端部と接続されており、他端側の第3傾斜起立部87cの上縁は、例えば、第2水平部86cの外周縁の他端部と接続されている。
一端側の第3傾斜起立部87cの下端(下縁)は、例えば、第3水平部86dの内周縁の一端と接続されており、他端側の第3傾斜起立部87cの下端(下縁)は、例えば、第3水平部86dの内周縁の他端と接続されている。
ここで、一端側の第1傾斜起立部87aと第1傾斜湾曲部81aの一端の境界線と第1水平部86bの内周縁との交点と、一端側の第2傾斜起立部87bと第2傾斜湾曲部81bの一端の境界線と第1水平部86bの外周縁との交点と、を繋いだ直線251(
図7参照)を基準として、第1水平部86bの延在方向における一端側の部分を単に第1水平部86bの一端部と称する。また、他端側の第1傾斜起立部87aと第1傾斜湾曲部81aの他端の境界線と第1水平部86bの内周縁との交点と、他端側の第2傾斜起立部87bと第2傾斜湾曲部81bの他端の境界線と第1水平部86bの外周縁との交点と、を繋いだ直線261(
図7参照)を基準として、第1水平部86bの延在方向における他端側の部分を単に第1水平部86bの他端部と称する。後述するように、第1水平部86bの一端部は、第1縁部72aの一部分を構成しており、第1水平部86bの他端部は、第2縁部72bの一部分を構成している。
同様に、一端側の第2傾斜起立部87bと第2傾斜湾曲部81bの一端の境界線と第2水平部86cの内周縁との交点と、一端側の第3傾斜起立部87cと第3傾斜湾曲部81cの一端との境界線と第2水平部86cの外周縁との交点と、を繋いだ直線252(
図7参照)を基準として、第2水平部86cの延在方向における一端側の部分を単に第2水平部86cの一端部と称する。また、他端側の第2傾斜起立部87bと第2傾斜湾曲部81bの他端の境界線と第2水平部86cの内周縁との交点と、他端側の第3傾斜起立部87cと第3傾斜湾曲部81cの他端の境界線と第2水平部86cの外周縁との交点と、を繋いだ直線262(
図7参照)を基準として、第2水平部86cの延在方向における他端側の部分を単に第2水平部86cの他端部と称する。後述するように、第2水平部86cの一端部は、第1縁部72aの一部分を構成しており、第2水平部86cの他端部は、第2縁部72bの一部分を構成している。
図4(a)に示すように、第1水平部86bの一端部の幅寸法(Y方向における寸法)は、例えば、一端側の第2傾斜起立部87bに向けて徐々に大きくなっており、当該一端部の平面形状は、略直角三角形状となっている。第1水平部86bの他端部の幅寸法(X方向における寸法)は、例えば、他端側の第2傾斜起立部87bに向けて徐々に大きくなっており、当該他端部の平面形状は、略直角三角形状となっている。
同様に、第2水平部86cの一端部の幅寸法(Y方向における寸法)は、例えば、一端側の第3傾斜起立部87cに向けて徐々に大きくなっており、当該一端部の平面形状は、略台形形状となっている。第2水平部86cの他端部の幅寸法(X方向における寸法)は、例えば、他端側の第3傾斜起立部87cに向けて徐々に大きくなっており、当該他端部の平面形状は、略台形形状となっている。
また、第3水平部86dの平面形状は、外方に向けて凸の円弧状に形成されており、当該第3水平部86dの外周縁の中央(延在方向における中央)が、摘まみ部70の角(先端71)を構成している。
【0026】
ここで、本実施形態の場合、屈曲部の法線方向は、第1法線方向(鉛直面121、122の法線方向)に対して直交している。
これにより、上述のトリミング工程において、
図10に示すように、樹脂シート400の余白450を剪断する際に、摘まみ部70の縁部70aと余白450との境界部の板面が剪断刃410、411に対して平行ではなく直交して当たるようにできる。よって、より容易に摘まみ部70から周囲の余白450を剪断することができる。
ただし、本発明において、屈曲部の法線方向は、対応する鉛直面の第1法線方向に対して少なくとも交差していればよい。この場合、屈曲部の法線方向と対応する鉛直面の第1法線方向とがなす角度は、90度未満でもよいし90度を超えていてもよい。
【0027】
ここで、摘まみ部70の縁部70aにおいて、例えば、先端71を基準として2等分される領域のうちの一方を第1縁部72aとし、他方を第2縁部72bとする。
本実施形態の場合、摘まみ部70の第1縁部72aは、一端側の各傾斜起立部87と各水平部86の一端部とによって構成されており、第1縁部72aは、第1縁辺111の延在方向に沿って先端71に向けて階段状に下り傾斜している。平面視において、一端側の各傾斜起立部87の外側縁と各水平部86の一端部の外側縁とは、互いに略同一直線状に配置されている。ただし、第3水平部86dの一端部の外側縁(外周縁)は外方に向けて凸の円弧状となっている。
本実施形態の場合、第1縁部72aにおいて、一端側の各傾斜起立部87が屈曲部である。また、平面視において、鉛直面121は、一端側の各傾斜起立部87(屈曲部)に対する接線となる鉛直面であり、第1縁辺111に沿ったXZ平面である。そして、一端側の各傾斜起立部87の法線方向における、鉛直面121の第1法線方向(本実施形態の場合、Y方向)の成分の割合は、内側の部分73の法線方向における当該第1法線方向(Y方向)の成分の割合よりも小さい。
また、一端側の各傾斜起立部87を合わせた部位の平均的な法線方向における、鉛直面121の第1法線方向(Y方向)の成分の割合は、内側の部分73の法線方向における当該第1法線方向の成分の割合よりも小さい。
より詳細には、例えば、一端側の各傾斜起立部87の法線方向は、X、Y及びZ方向のうちY方向の成分がもっとも少なく、好ましくはY方向の成分が実質的に0である。
本実施形態の場合、一端側の各傾斜起立部87の法線方向はX方向とZ方向とを含んでおり、一例として、一端側の各傾斜起立部87の法線方向は、X方向の成分が約50%であり、Z方向の成分が約50%であり、Y方向の成分が約0%である。
なお、本発明において、一端側の各傾斜起立部87の法線方向は互いに異なる法線方向であってもよい。
同様に、摘まみ部70の第2縁部72bは、他端側の各傾斜起立部87と各水平部86の他端部とによって構成されており、第2縁部72bは、第2縁辺112の延在方向に沿って先端71に向けて階段状に下り傾斜している。平面視において、他端側の各傾斜起立部87の外側縁と各水平部86の他端部の外側縁とは、互いに略同一直線状に配置されている。ただし、第3水平部86dの他端部の外側縁(外周縁)は外方に向けて凸の円弧状となっている。
本実施形態の場合、第2縁部72bにおいて、他端側の各傾斜起立部87が屈曲部である。そして、鉛直面122は、平面視において、他端側の各傾斜起立部87(屈曲部)に対する接線となる鉛直面であり、第2縁辺112に沿ったYZ平面である。したがって、他端側の各傾斜起立部87の法線方向における、鉛直面122の法線方向(本実施形態の場合、X方向)の成分の割合は、内側の部分73の法線方向における当該第1法線方向(X方向)の成分の割合よりも小さい。
また、他端側の各傾斜起立部87を合わせた部位の平均的な法線方向における、鉛直面122の第1法線方向(X方向)の成分の割合は、内側の部分73の法線方向における当該第1法線方向の成分の割合よりも小さい。
より詳細には、例えば、他端側の各傾斜起立部87の平均的な法線方向は、X、Y及びZ方向のうちX方向の成分がもっとも少なく、好ましくはX方向の成分が実質的に0である。
より詳細には、他端側の各傾斜起立部87の法線方向はY方向とZ方向とを含んでおり、本実施形態の場合、一例として、他端の各傾斜起立部87(屈曲部)の法線方向は、Y方向の成分が約50%であり、Z方向の成分が約50%であり、X方向の成分が約0%である。
なお、本発明において、他端側の各傾斜起立部87の法線方向は互いに異なる法線方向であってもよい。
【0028】
また、摘まみ部70において、第1縁部72a及び第2縁部72b以外の部分が内側の部分73である。
本実施形態の場合、内側の部分73は、各水平部86の中間部(両端部を除く部分)と各傾斜湾曲部81とによって構成されている。
より詳細には、内側の部分73は、第1水平部86bにおける両端部(第1縁部72aに含まれる部分及び第2縁部72bに含まれる部分)以外の部分と、第2水平部86cにおける両端部(第1縁部72aに含まれる部分及び第2縁部72bに含まれる部分)以外の部分と、を含む。なお、第3水平部86dにおいては、先端71を基準として2等分される領域のうちの一方が第1縁部72aであり、他方が第2縁部72bである。
また、内側の部分73は、複数の傾斜湾曲部81の各々の全体を含んでいる。
内側の部分73の全体の平均的な法線方向は、一端側の各傾斜起立部87と比べて、鉛直面121の第1法線方向(Y方向)の成分の割合が大きく、且つ、他端側の各傾斜起立部87と比べて、鉛直面122の第1法線方向(X方向)の成分の割合が大きい。
より詳細には、各傾斜湾曲部81における平均的な法線方向は、一端側の隣接する傾斜起立部87の法線方向と比べて、鉛直面121の第1法線方向(Y方向)の成分の割合が大きく、且つ、他端側の隣接する傾斜起立部87と比べて、鉛直面122の第1法線方向(X方向)の成分の割合が大きい。
本実施形態の場合、一例として、各傾斜湾曲部81の平均的な法線方向は、Y方の成分が全体の1/3(約33%)であり、X方向の成分が全体の1/3(約33%)であり、Z方向の成分が全体の1/3(約33%)である。
また、本実施形態の場合、内側の部分73において、各傾斜湾曲部81の面積の合計値は、各水平部86の面積の合計値よりも大きい。
【0029】
このように、本実施形態の場合、内側の部分73は複数の傾斜湾曲部81を含み、当該内側の部分73の下面73a(
図9参照)は、手指300に対応する凹曲面形状に形成されている。
これにより、摘まみ部70を摘まむ際に、指が内側の部分73の下面73aに対して良好にフィットするようにできるので、摘まみ部70を手指300でより安定して摘まむことができる。
なお、ここで「手指300に対応する凹曲面形状」とは、その凹曲面に指の少なくとも一部分が入り込むことが可能な形状を意味している。より詳細には、内側の部分73の下面73a(凹曲面)には、指の腹が入り込んでもよいし、爪先が入り込んでもよい。
また、ここで「内側の部分73の下面73aは、手指300に対応する凹曲面形状に形成されている」とは、内側の部分73の下面73aの少なくとも一部分が、手指300に対応する凹曲面形状に形成されていればよく、必ずしも内側の部分73の下面73aの全面が、手指300に対応する凹曲面形状に形成されていなくてもよい。
【0030】
また、フランジ部12における摘まみ部70以外の部分(本実施形態の場合、主面部12a及びフランジ部段差部12b)は、手指300に対応する凹曲面形状を有していない。
【0031】
また、
図4(a)、
図4(b)及び
図8に示すように、摘まみ部70は、例えば、摘まみ部70の先端71に向けて外方に向けて階段状に下り傾斜している。
これにより、摘まみ部70を摘まむ際に、当該摘まみ部70の階段状の凹凸に対して手指300が適度に掛止されるので、摘まみ部70を手指300でより安定して摘まむことができる。
【0032】
また、摘まみ部70は、先端71に向けて下り傾斜している傾斜部(各傾斜湾曲部81及び各傾斜起立部87)と、水平に配置された水平部86と、を先端71に向けて交互に有し、傾斜部の縁部(各傾斜起立部87)が屈曲部である。
これにより、上述のトリミング工程において、樹脂シート400の余白450を剪断する際に、階段状の摘まみ部70の縁部70aにおける各部位と余白450との境界部の板面が剪断刃410、411に対して平行ではなく交差して当たるようにできるので、より容易に摘まみ部70から周囲の余白450を剪断することができる。
【0033】
図1に示すように、フィルム蓋50とフランジ部12との接合部55の外縁55aは、例えば、摘まみ部70よりも内側に位置している。
これにより、手指300でフィルム蓋50を摘まんで引き剥がす際に、摘まみ部70において、手指300で把持する部位を十分に確保することができる。
本実施形態の場合、上述のように、フィルム蓋50とフランジ部12との接合部55は、主面部12aの上面の略全域に形成されている。
図4(a)に示すように、接合部55の外縁55aは、例えば、主面部12aの上面の外周縁上又は当該外周縁よりも内側に形成されている。よって、フィルム蓋角部51の全体が、摘まみ部70に対して非接合となっている。
ただし、本発明において、少なくともフィルム蓋角部51の一部分が摘まみ部70に対して非接合となっていればよく、接合部55の外縁55aは、例えば、摘まみ部70の基端上に形成されていてもよい。
フィルム蓋50の平面形状は、略長方形状の容器本体10と略同一形状に形成されている。フィルム蓋50が有する4つのフィルム蓋角部51は、フランジ部12の各角部15に覆い被さっている。この4つのフィルム蓋角部51のうち、摘まみ部70と対応する位置に配置されているフィルム蓋角部51は、当該摘まみ部70に対して非接合となっている。後述するように、フィルム蓋50をフランジ部12から剥離する際には、摘まみ部70と対応するフィルム蓋角部51を片方の手の指で摘まんで引き剥がす。
【0034】
プラスチック容器100の内容物は、特に限定されないが、一例として、食品とすることができる。なお、プラスチック容器100の内容物は、特に限定されず、液体(流動体を含む)であってもよいし、固形物であってもよい。
【0035】
摘まみ部70の傾斜角度R1(
図9参照)は、上述のように、10度以上45度以下である。なお、ここでいう摘まみ部70の傾斜角度は、摘まみ部70の全体としての平均の傾斜角度を意味している。また、摘まみ部70の傾斜角度R1は、平面視において摘まみ部70の先端71(角)を2等分する線(例えば、
図2に示すA-A線)に沿った断面における、水平方向に延在する仮想線230に対する摘まみ部70の傾斜角度である。
摘まみ部70の先端71(角)及びその近傍の部位の外形線の曲率半径は、例えば、摘まみ部70を構成していない角部15の外形線の曲率半径よりも小さい。
より詳細には、摘まみ部70の先端71(角)及びその近傍の部位の外形線の曲率半径は、1mm以上30mm以下であることが好ましく、より好ましくは、3mm以上20mm以下である。
また、摘まみ部70を構成していない角部15の外形線の曲率半径は、5mm以上40mm以下であることが好ましく、より好ましくは、10mm以上30mm以下である。
摘まみ部70の上下寸法H1(
図4(b)参照)は、容器本体10の上下寸法の1/6以上1/2以下であることが好ましく、より好ましくは容器本体10の上下寸法の1/5以上1/3以下である。本実施形態の場合、一例として、摘まみ部70の上下寸法は、6mm以上15mm以下であることが好ましく、より好ましくは、7mm以上10mm以下である。
摘まみ部70の最大幅寸法W1(
図4(a)参照)は、ヒトの平均的な太さの指の幅と対応する寸法であることが好ましい。
より詳細には、摘まみ部70の最大幅寸法W1は、例えば、10mm以上35mm以下であることが好ましく、より好ましくは、10mm以上25mm以下である。
各傾斜湾曲部81の下面(内周面)の曲率半径は、例えば、ヒトの平均的な太さの指の腹の曲面と対応する寸法であることが好ましい。
より詳細には、各傾斜湾曲部81の下面(内周面)の曲率半径は、例えば、5mm以上40mm以下であることが好ましく、より好ましくは、10mm以上30mm以下である。
各傾斜湾曲部81の上下寸法は、例えば、1.5mm以上5mm以下であることが好ましく、より好ましくは、2mm以上3mm以下である。
水平部86に対する各傾斜起立部87の傾斜角度は、例えば、1度以上45度以下であることが好ましく、より好ましくは、5度以上30度以下である。
【0036】
以下、フィルム蓋50をフランジ部12から剥離する際の動作の一例を説明する。
フィルム蓋50をフランジ部12から剥離する際には、先ず、使用者は、片方の手の指で容器本体10の摘まみ部70を把持する。また、フィルム蓋50の4つのフィルム蓋角部51のうち、把持している摘まみ部70と対応するフィルム蓋角部51を、もう片方の手の指で摘まむ。
この際、
図9に示すように、例えば、親指310を摘まみ部70の上面に沿って配置するとともに、その他の指(例えば、人差し指320)を内側の部分73の下面73aに沿って配置し、少なくとも2本の指で上下に摘まみ部70を摘まむ。ただし、親指310と人差し指320との位置は互いに入れ替えてもよい。また、親指310及び人差し指320以外の手指で摘まみ部70を摘まんでもよい。
そして、摘まんでいるフィルム蓋角部51を、略長方形状の容器本体10の対角線方向を主成分とする方向(例えば、
図9の矢印で示す方向)に引っ張り、フィルム蓋50をフランジ部12から引き剥がす。
ここで、上述のように、摘まみ部70は、10度以上45度以下の傾斜角度で外方に向けて下り傾斜している。これにより、フィルム蓋50を
図9の矢印の方向に引き剥がす際に、摘まみ部70を手指300で摘まむことによって、当該矢印の方向とは反対方向に抗力が生じるようにできる。よって、フィルム蓋50とともに容器本体10も矢印の方向に移動してしまうことを良好に規制できる。
更には、内側の部分73の下面73aは、手指300に対応する凹曲面形状に形成されている。これにより、摘まみ部70を手指で摘まむ際に、指の腹が下面73aに対して良好にフィットするようにできるので、より確実に、フィルム蓋50とともに容器本体10も矢印の方向に移動してしまうことを良好に規制できる。
【0037】
〔第2実施形態〕
次に、
図11(a)、
図11(b)及び
図11(c)を用いて第2実施形態を説明する。なお、
図11(b)においては、接合部55の形成領域を左上がりのハッチングで示している。また、
図11(a)及び
図11(c)においては、フィルム蓋50が接合される前の容器本体10を図示している。また、
図11(b)においては、フィルム蓋50の図示を省略している。
本実施形態に係るプラスチック容器100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係るプラスチック容器100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係るプラスチック容器100と同様に構成されている。
【0038】
図11(a)~
図11(c)に示すように、本実施形態の場合、摘まみ部70は、外方且つ斜め上方に向けて凸の曲面形状に形成されているとともに、外方に向けて下り傾斜している曲面部76と、曲面部76の外周縁から外方に向けて起立している湾曲起立部79と、を含む。
図11(b)に示すように、曲面部76は平面視において、外方に向けて凸の円弧状に形成されている。
湾曲起立部79は、曲面部76の外周縁に沿って緩やかに湾曲した平板状に形成されている。
湾曲起立部79が、第1縁部72a及び第2縁部72bを含む摘まみ部70の縁部70aを構成しており、屈曲部となっている。また、曲面部76が、摘まみ部70の内側の部分73を構成している。
より詳細には、湾曲起立部79において、第1縁部72aを構成しており平面視直線状に延在している部分の平均的な法線方向は、内側の部分73の法線方向における鉛直面(図示省略)の第1法線方向の成分の割合よりも小さく、X、Y及びZ方向のうちY方向の成分がもっとも少ない。また、湾曲起立部79において、第2縁部72bを構成しており平面視直線状に延在している部分の平均的な法線方向は、内側の部分73の法線方向における鉛直面(同上)の第1法線方向の成分の割合よりも小さく、X、Y及びZ方向のうちX方向の成分がもっとも少ない。
また、湾曲起立部79において、先端71及びその近傍の部位は、平面視において円弧状に湾曲しているため、当該部位に接する鉛直面(図示省略)の第1法線方向は各部毎に漸次変化している。そして、湾曲起立部79における先端71及びその近傍の部位の法線方向は、内側の部分73の法線方向における対応する鉛直面の第1法線方向の成分の割合よりも小さくなるように各部毎に漸次変化している。
曲面部76の全体の平均的な法線方向は、湾曲起立部79における第1縁部72aを構成している部分(屈曲部)と比べて、鉛直面121の第1法線方向の成分の割合が大きく、且つ、湾曲起立部79における第2縁部72bを構成している部分(屈曲部)と比べて、鉛直面122の第1法線方向の成分の割合が大きい。
【0039】
曲面部76は、主面部12aの外周縁の角部から外方に向けて下り傾斜している。
そして、湾曲起立部79の両端部(延在方向における両端部)は、それぞれフランジ部段差部12bに連続して形成されている。すなわち、プラスチック容器100の外縁100aは、フランジ部段差部12bと湾曲起立部79とによって構成されている。
また、
図11(b)及び
図11(c)に示すように、胴体部11の上端部16において、角部15と対応する部分には、外方に向けて突出している胴体部凸部31が形成されている。胴体部凸部31は、例えば、フランジ部12の角部の内周縁に沿う方向に延在している。また、胴体部凸部31の突出量は、下方に向けて徐々に増加している。
【0040】
〔第3実施形態〕
次に、
図12(a)、
図12(b)及び
図12(c)を用いて第3実施形態を説明する。なお、
図12(b)においては、接合部55の形成領域を左上がりのハッチングで示している。また、
図12(a)及び
図12(c)においては、フィルム蓋50が接合される前の容器本体10を図示している。また、
図12(b)においては、フィルム蓋50の図示を省略している。
第3実施形態に係るプラスチック容器100は、以下に説明する点で、上記の第2実施形態に係るプラスチック容器100と相違しており、その他の点では、上記の第2実施形態に係るプラスチック容器100と同様に構成されている。
【0041】
図12(a)、
図12(b)及び
図12(c)に示すように、本実施形態の場合、摘まみ部70には、補強リブ91が形成されている。
より詳細には、曲面部76には、例えば、外方に向けて突出している補強リブ91が形成されている。補強リブ91は、例えば、曲面部76の中央部に形成されている。平面視において、補強リブ91は、X方向及びY方向の双方に対して交差する方向に延在する略直線状に形成されている。
補強リブ91の突出量は、下方に向けて徐々に減少している。また、補強リブ91の上縁部は、平坦な水平面92となっている。曲面部76の下面において、補強リブ91の形成領域と対応する部位は、補強リブ91の突出方向に向けて凹んでいる。
このような構成によれば、摘まみ部70の構造的強度を十分に確保することができる。また、摘まみ部70を手指300で摘まむ際に、摘まみ部70の上面に沿って配置する指を補強リブ91に対して良好に掛止することができる。よって、摘まみ部70を手指300で安定的に摘まむことができる。
【0042】
補強リブ91の長さ寸法(延在方向における寸法)は、例えば、2mm以上15mm以下であることが好ましく、より好ましくは、2mm以上12mm以下である。
補強リブ91の幅寸法(延在方向に対して直交する方向における寸法)は、例えば、0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.5mm以上8mm以下である。
【0043】
<第3実施形態の変形例1>
次に、
図13(a)から
図13(c)を用いて第3実施形態の変形例1を説明する。なお、
図13(b)においては、接合部55の形成領域を左上がりのハッチングで示している。また、
図13(a)及び
図13(c)においては、フィルム蓋50が接合される前の容器本体10を図示している。また、
図13(b)においては、フィルム蓋50の図示を省略している。
第3実施形態の変形例1に係るプラスチック容器100は、以下に説明する点で、上記の第3実施形態に係るプラスチック容器100と相違しており、その他の点では、上記の第3実施形態に係るプラスチック容器100と同様に構成されている。
【0044】
図13(a)、
図13(b)及び
図13(c)に示すように、本変形例の場合、曲面部76には、第3実施形態と同様に、外方に向けて突出している補強リブ91が形成されている。
【0045】
<第3実施形態の変形例2>
次に、
図14(a)から
図14(c)を用いて第3実施形態の変形例2を説明する。なお、
図14(b)においては、接合部55の形成領域を左上がりのハッチングで示している。また、
図14(a)及び
図14(c)においては、フィルム蓋50が接合される前の容器本体10を図示している。また、
図14(b)においては、フィルム蓋50の図示を省略している。
第3実施形態の変形例2に係るプラスチック容器100は、以下に説明する点で、上記の第3実施形態及び変形例1に係るプラスチック容器100と相違しており、その他の点では、上記の第3実施形態及び変形例1に係るプラスチック容器100と同様に構成されている。
【0046】
図14(a)、
図14(b)及び
図14(c)示すように、本変形例の場合、曲面部76には、第3実施形態及び変形例1と同様に、外方に向けて突出している補強リブ91が形成されている。ただし、変形例2の場合、補強リブ91は、外方に向けて凸の丸みを帯びた形状に形成されている。
【0047】
〔第4実施形態〕
次に、
図15、
図16(a)及び
図16(b)を用いて第4実施形態を説明する。なお、
図15においては、接合部55の形成領域を左上がりのハッチングで示している。また、
図15から
図16(b)においては、フィルム蓋50が接合される前の容器本体10を図示しており、当該フィルム蓋50の図示は省略している。
本実施形態に係るプラスチック容器100は、以下に説明する点で、上記の第1~3実施形態及びその各変形例に係るプラスチック容器100と相違しており、その他の点では、上記の第1~3実施形態及びその各変形例に係るプラスチック容器100と同様に構成されている。
【0048】
図16(a)及び
図16(b)に示すように、本実施形態の場合、第1実施形態と同様に、摘まみ部70は、先端71に向けて階段状に下り傾斜した形状に形成されている。より詳細には、摘まみ部70は、例えば、先端71に向けて下り傾斜している傾斜部(各傾斜湾曲部81及び各傾斜起立部87)と、水平に配置された水平部86と、を先端71に向けて交互に有する。そして、一端側の各傾斜起立部87と、他端側の各傾斜起立部87と、がそれぞれ屈曲部となっている。
ここで、本実施形態の場合、第1実施形態とは異なり、
図15に示すように、平面視において、摘まみ部70の外形線は、外方に向けて凸の円弧状に形成されている。このため、平面視において、屈曲部(各傾斜起立部87)に接する鉛直面(図示省略)の第1法線方向は各部毎に漸次変化している。
このような場合であっても、屈曲部(各傾斜起立部87)の法線方向において、各部毎に漸次変化する鉛直面の第1法線方向の成分の割合は、内側の部分73の法線方向における第1法線方向の成分の割合よりも小さい。
このため、上述のトリミング工程において、樹脂シート400の余白450を剪断する際に、摘まみ部70の縁部70aにおける各部位と余白450との境界部の板面が剪断刃410、411に対して平行ではなく交差して当たるようにできるので、より容易に摘まみ部70から周囲の余白450を剪断することができる。
また、本実施形態の場合も、複数の傾斜湾曲部81の下面(内周面)によって、摘まみ部70の下面70bは、手指300に対応する凹曲面形状に形成されている。
【0049】
また、
図15に示すように、本実施形態の場合、プラスチック容器100の平面形状は、略楕円形状となっている。より詳細には、プラスチック容器100の平面形状は、例えば、Y方向において長尺な略楕円形状に形成されている。
このような場合であっても、
図15に示すように、摘まみ部70の全体は、平面視でフランジ部12に外接する矩形210に収まっている。
これにより、プラスチック容器100を輸送する際や店頭に陳列する際に、複数のプラスチック容器100を隙間無く格子状に配置したとしても、隣り合うプラスチック容器100の摘まみ部70どうしが互いに干渉してしまうことを抑制できる。
一方、摘まみ部70を撓ませて水平にした状態では、当該摘まみ部70は、矩形210から外方に突出する。
このため、摘まみ部70の突出長(傾斜方向における寸法)を十分に確保し、当該摘まみ部70を手指で安定して摘まむことができる。
【0050】
より詳細には、
図15に示すように、本実施形態の場合、フランジ部12の平面形状は、略楕円環形状となっている。
図15に示すように、本実施形態の場合、フランジ部12の周方向における2箇所が摘まみ部70を構成している。2つの摘まみ部70は、それぞれフランジ部12におけるその他の部位よりも容器本体10の径方向外側に張り出している。
図15に示すように、2つの摘まみ部70は、例えば、プラスチック容器100の中心を基準として、互いに対称形状に形成されている。ただし、2つの摘まみ部70のうちの一方の摘まみ部70は、プラスチック容器100の長軸よりもX方向(プラスチック容器100の短軸方向)における一方側に僅かにオフセットした位置に配置されており、他方の摘まみ部70は、当該長軸よりもX方向(同上)における他方側に僅かにオフセットした位置に配置されている。
【0051】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0052】
例えば、上記の第1~第3実施形態及び第3実施形態の変形例1、2においては、各摘まみ部70が互いに同一形状に形成されている例を説明したが、本発明において、プラスチック容器100が複数の摘まみ部70を有している場合、各摘まみ部70は、互いに異なる形状に形成されていてもよい。この場合、プラスチック容器100は、第1~第3実施形態及び第3実施形態の変形例1、2における各摘まみ部70のうち、いずれか2つ以上の摘まみ部70を有していてもよい。
【0053】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器であって、
上端が開口した箱型の容器本体と、
前記容器本体の上端から外周囲に張り出しているフランジ部と、
前記フランジ部に対して接合されることにより前記容器本体の上端の開口を塞いでいるフィルム蓋と、
を備え、
前記フランジ部の周方向における1箇所以上が摘まみ部を構成しており、
前記摘まみ部は、10度以上45度以下の傾斜角度で外方に向けて下り傾斜しており、
前記フィルム蓋は前記摘まみ部に覆い被さっており、
前記摘まみ部の縁部における各部位は、当該部位よりも当該摘まみ部における内側の部分に対して屈曲した屈曲部となっており、
前記屈曲部に接する鉛直面の法線方向を第1法線方向とすると、
前記屈曲部は、前記屈曲部の法線方向における前記第1法線方向の成分の割合が、前記内側の部分の法線方向における前記第1法線方向の成分の割合よりも小さくなる向きに前記内側の部分に対して屈曲しているプラスチック容器。
(2)前記屈曲部の法線方向は、前記第1法線方向に対して直交している(1)に記載のプラスチック容器。
(3)前記内側の部分の下面は、手指に対応する凹曲面形状に形成されている(1)又は(2)に記載のプラスチック容器。
(4)前記フランジ部における前記摘まみ部以外の部分は、手指に対応する前記凹曲面形状を有していない(3)に記載のプラスチック容器。
(5)前記摘まみ部は、当該摘まみ部の先端に向けて階段状に下り傾斜している(3)に記載のプラスチック容器。
(6)前記摘まみ部は、前記先端に向けて下り傾斜している傾斜部と、水平に配置された水平部と、を前記先端に向けて交互に有し、
前記傾斜部の縁部が前記屈曲部である(5)に記載のプラスチック容器。
(7)前記摘まみ部には、補強リブが形成されている(3)から(6)のいずれか一項に記載のプラスチック容器。
【符号の説明】
【0054】
10 本体部
11 胴体部
11a 胴体本体部
12 フランジ部
12a 主面部
12b フランジ部段差部
12c 幅広部
13 開口
14 底面部
14a 中央部
14b 周縁部
15 角部
16 上端部
17 段差部
17a 幅広部
20 凹凸形状
31 胴体部凸部
46 リブ
50 フィルム蓋
51 フィルム蓋角部
55 接合部
55a 外縁
70 摘まみ部
70a 縁部
71 先端
72a 第1縁部
72b 第2縁部
73 内側の部分
73a 下面
76 曲面部
79 湾曲起立部
81 傾斜湾曲部
81a 第1傾斜湾曲部
81b 第2傾斜湾曲部
81c 第3傾斜湾曲部
86 水平部
86b 第1水平部
86c 第2水平部
86d 第3水平部
87 傾斜起立部(屈曲部)
87a 第1傾斜起立部
87b 第2傾斜起立部
87c 第3傾斜起立部
91 補強リブ
92 水平面
100 プラスチック容器
100a 外縁
111 第1縁辺
112 第2縁辺
121、122 鉛直面
210 矩形
211 角
230 仮想線
251、252,261、262 直線
300 手指
310 親指
320 人差し指
400 樹脂シート
410、411 剪断刃
450 余白