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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】自動車及び歩容認識システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20241120BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G5/00 A
【請求項の数】 53
(21)【出願番号】P 2023066801
(22)【出願日】2023-04-17
(62)【分割の表示】P 2018246368の分割
【原出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2023086816
(43)【公開日】2023-06-22
【審査請求日】2023-05-08
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】514228217
【氏名又は名称】みこらった株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 將洋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真由美
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-152134(JP,A)
【文献】特開2018-097627(JP,A)
【文献】特開2017-151839(JP,A)
【文献】特開2016-057908(JP,A)
【文献】特開2018-163578(JP,A)
【文献】特開2008-186380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中を移動する空中モードを備える自動車であって、
自車の外部の斜め下方を撮影する1又は複数のカメラと、
歩容認識の対象とする対象人物を検出するための歩容情報を記憶する記憶部と、
前記空中モードにおいて、前記カメラで撮影された画像情報から自車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識すると共に、前記歩容を認識した人物の中に、前記記憶部に記憶されている前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したか否かを判別する歩容認識判別手段と、
前記歩容認識判別手段で、前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したと判別した場合に、所定の処理を行う処理手段と、
を備え
前記記憶部には、日中と夜間とで区分されて前記対象人物の歩容情報が記憶されている
ことを特徴とする自動車。
【請求項2】
前記夜間の前記歩容情報は、前記対象人物の歩行が赤外線カメラで撮影された撮影映像から検出される
ことを特徴とする請求項に記載の自動車。
【請求項3】
前記所定の処理は、前記対象人物を検出したことを運転者及び/又は乗車者に報知する報知処理である
である請求項1又は請求項に記載の自動車。
【請求項4】
前記記憶部には、前記歩容情報は、前記対象人物を特定するための情報に対応付けられて記憶されており、
前記報知手段による前記報知には、前記対象人物を特定するための情報が含まれる
ことを特徴とする請求項に記載の自動車。
【請求項5】
携帯通信端末と無線通信を行うための無線通信手段を備え、
前記処理手段は、前記歩容認識判別手段で、前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物が存在すると判別した場合には、前記無線通信手段において前記検出した前記対象人物が所持する前記携帯通信端末と無線通信を行って、自車への乗車の希望があるか否かを問い合わせる
ことを特徴とする請求項1~請求項のいずれかに記載の自動車。
【請求項6】
前記処理手段は、前記問い合わせ対して乗車の希望があるとの回答を得た場合には、前記検出した前記対象人物の近傍に着陸する
ことを特徴とする請求項に記載の自動車。
【請求項7】
前記処理手段は、前記問い合わせ対して乗車の希望はないとの回答を得た場合には、空中移動を継続する
ことを特徴とする請求項又は請求項に記載の自動車。
【請求項8】
携帯通信端末と無線通信を行うための無線通信手段を備え、
前記対象人物からの、当該対象人物の現在位置の情報を含む乗車希望要求を前記無線通信手段を通じて受信した場合には、前記対象人物の前記現在位置の情報に基づいて検知される位置近傍において、前記歩容認識判別手段で前記対象人物の歩容と合致する人物が存在するか否かを判別する
ことを特徴とする請求項1~請求項のいずれかに記載の自動車。
【請求項9】
前記乗車希望要求には、前記現在位置の情報に加えて、前記現在位置からどこに向かうかの情報が含まれており、前記現在位置の情報と、前記現在位置からどこに向かうかの情報から前記対象人物の移動経路を把握することで前記位置近傍を判断し、前記位置近傍において、前記歩容認識判別手段で前記対象人物の歩容と合致する人物が存在するか否かを判別する
ことを特徴とする請求項に記載の自動車。
【請求項10】
空中を移動する空中モードを備える自動車であって、
自車の外部の斜め下方を撮影する1又は複数のカメラと、
歩容認識の対象とする対象人物を検出するための歩容情報を記憶する記憶部と、
前記空中モードにおいて、前記カメラで撮影された画像情報から自車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識すると共に、前記歩容を認識した人物の中に、前記記憶部に記憶されている前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したか否かを判別する歩容認識判別手段と、
前記歩容認識判別手段で、前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したと判別した場合に、所定の処理を行う処理手段と、
を備え
前記所定の処理は、前記対象人物を検出したことを運転者及び/又は乗車者に報知する報知処理である
であることを特徴とする自動車。
【請求項11】
前記記憶部には、前記歩容情報は、前記対象人物を特定するための情報に対応付けられて記憶されており、
前記報知手段による前記報知には、前記対象人物を特定するための情報が含まれる
ことを特徴とする請求項10に記載の自動車。
【請求項12】
携帯通信端末と無線通信を行うための無線通信手段を備え、
前記処理手段は、前記歩容認識判別手段で、前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物が存在すると判別した場合には、前記無線通信手段において前記検出した前記対象人物が所持する前記携帯通信端末と無線通信を行って、自車への乗車の希望があるか否かを問い合わせる
ことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の自動車。
【請求項13】
前記処理手段は、前記問い合わせ対して乗車の希望があるとの回答を得た場合には、前記検出した前記対象人物の近傍に着陸する
ことを特徴とする請求項12に記載の自動車。
【請求項14】
前記処理手段は、前記問い合わせ対して乗車の希望はないとの回答を得た場合には、空中移動を継続する
ことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の自動車。
【請求項15】
携帯通信端末と無線通信を行うための無線通信手段を備え、
前記対象人物からの、当該対象人物の現在位置の情報を含む乗車希望要求を前記無線通信手段を通じて受信した場合には、前記対象人物の前記現在位置の情報に基づいて検知される位置近傍において、前記歩容認識判別手段で前記対象人物の歩容と合致する人物が存在するか否かを判別する
ことを特徴とする請求項10~請求項14のいずれかに記載の自動車。
【請求項16】
前記乗車希望要求には、前記現在位置の情報に加えて、前記現在位置からどこに向かうかの情報が含まれており、前記現在位置の情報と、前記現在位置からどこに向かうかの情報から前記対象人物の移動経路を把握することで前記位置近傍を判断し、前記位置近傍において、前記歩容認識判別手段で前記対象人物の歩容と合致する人物が存在するか否かを判別する
ことを特徴とする請求項15に記載の自動車。
【請求項17】
空中を移動する空中モードを備える自動車であって、
自車の外部の斜め下方を撮影する1又は複数のカメラと、
歩容認識の対象とする対象人物を検出するための歩容情報を記憶する記憶部と、
前記空中モードにおいて、前記カメラで撮影された画像情報から自車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識すると共に、前記歩容を認識した人物の中に、前記記憶部に記憶されている前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したか否かを判別する歩容認識判別手段と、
前記歩容認識判別手段で、前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したと判別した場合に、所定の処理を行う処理手段と、
携帯通信端末と無線通信を行うための無線通信手段と、
を備え
前記処理手段は、前記歩容認識判別手段で、前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物が存在すると判別した場合には、前記無線通信手段において前記検出した前記対象人物が所持する前記携帯通信端末と無線通信を行って、自車への乗車の希望があるか否かを問い合わせる
ことを特徴とする自動車。
【請求項18】
前記処理手段は、前記問い合わせ対して乗車の希望があるとの回答を得た場合には、前記検出した前記対象人物の近傍に着陸する
ことを特徴とする請求項17に記載の自動車。
【請求項19】
前記処理手段は、前記問い合わせ対して乗車の希望はないとの回答を得た場合には、空中移動を継続する
ことを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の自動車。
【請求項20】
携帯通信端末と無線通信を行うための無線通信手段を備え、
前記対象人物からの、当該対象人物の現在位置の情報を含む乗車希望要求を前記無線通信手段を通じて受信した場合には、前記対象人物の前記現在位置の情報に基づいて検知される位置近傍において、前記歩容認識判別手段で前記対象人物の歩容と合致する人物が存在するか否かを判別する
ことを特徴とする請求項17~請求項19のいずれかに記載の自動車。
【請求項21】
前記乗車希望要求には、前記現在位置の情報に加えて、前記現在位置からどこに向かうかの情報が含まれており、前記現在位置の情報と、前記現在位置からどこに向かうかの情報から前記対象人物の移動経路を把握することで前記位置近傍を判断し、前記位置近傍において、前記歩容認識判別手段で前記対象人物の歩容と合致する人物が存在するか否かを判別する
ことを特徴とする請求項20に記載の自動車。
【請求項22】
空中を移動する空中モードを備える自動車であって、
自車の外部の斜め下方を撮影する1又は複数のカメラと、
歩容認識の対象とする対象人物を検出するための歩容情報を記憶する記憶部と、
前記空中モードにおいて、前記カメラで撮影された画像情報から自車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識すると共に、前記歩容を認識した人物の中に、前記記憶部に記憶されている前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したか否かを判別する歩容認識判別手段と、
前記歩容認識判別手段で、前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したと判別した場合に、所定の処理を行う処理手段と、
携帯通信端末と無線通信を行うための無線通信手段と、
を備え
前記対象人物からの、当該対象人物の現在位置の情報を含む乗車希望要求を前記無線通信手段を通じて受信した場合には、前記対象人物の前記現在位置の情報に基づいて検知される位置近傍において、前記歩容認識判別手段で前記対象人物の歩容と合致する人物が存在するか否かを判別し、
前記乗車希望要求には、前記現在位置の情報に加えて、前記現在位置からどこに向かうかの情報が含まれており、前記現在位置の情報と、前記現在位置からどこに向かうかの情報から前記対象人物の移動経路を把握することで前記位置近傍を判断し、前記位置近傍において、前記歩容認識判別手段で前記対象人物の歩容と合致する人物が存在するか否かを判別する
ことを特徴とする自動車。
【請求項23】
前記対象人物の登録要求を受け付ける登録要求受付手段と、
前記登録要求受付手段で前記対象人物の登録要求を受け付けた場合に、前記カメラにより前記対象人物の歩行を撮影し、撮影した前記対象人物の撮影映像から、前記歩容情報を検出して、前記記憶部に記憶する登録手段と
を備えることを特徴とする請求項1~請求項22のいずれかに記載の自動車。
【請求項24】
前記対象人物の登録要求を受け付ける登録要求受付部と、
無線通信部と、
前記登録要求受付部で前記対象人物の登録要求を受け付けた場合に、前記カメラにより前記対象人物の歩行を撮影し、撮影した前記対象人物の撮影映像情報を、人物の撮影映像情報から当該人物の歩容情報を検出する歩容検出装置に前記無線通信部を通じて送信し、歩容情報の検出を依頼する依頼手段と、
前記歩容情報の検出の依頼に基づいて前記歩容検出装置から前記無線通信部を通じて送られてくる歩容情報を受信して前記記憶部に記憶する登録手段と、
を備えることを特徴とする請求項1~請求項22のいずれかに記載の自動車。
【請求項25】
前記所定の処理は、前記歩容認識判別手段で、前記対象人物を検出したと判別した場合に、前記検出した前記対象人物の近傍に着陸するようにする運転制御処理である
ことを特徴とする請求項1~請求項24のいずれかに記載の自動車。
【請求項26】
乗車中の人数が自車の乗車定員未満であるか否かを判定する乗車人数判定手段を備え、
前記乗車人数判定手段で乗車中の人数が前記乗車定員未満であると判定された場合に、前記検出した前記対象人物の近傍に着陸するようにする運転制御処理を行う
ことを特徴とする請求項25に記載の自動車。
【請求項27】
車外に音声を放音するためのスピーカを備え、
前記所定の処理は、前記対象人物の近傍への着陸の場合に、前記対象人物に対して前記スピーカを通じて呼び掛け音声を放音する処理を含む
ことを特徴とする請求項25又は請求項26に記載の自動車。
【請求項28】
前記記憶部には、前記対象人物が自分に対する呼び掛けであることを認識可能とするための情報が記憶されており、
前記呼び掛け音声には、前記認識可能とするための情報に基づく音声が含まれている
ことを特徴とする請求項27に記載の自動車。
【請求項29】
前記呼び掛け音声は、前記対象人物に対して自車への乗車を勧誘する音声メッセージを含む
ことを特徴とする請求項27又は請求項28に記載の自動車。
【請求項30】
前記所定の処理により、前記対象人物の近傍への着陸の場合に、前記対象人物を確認認証する確認認証手段を備える
ことを特徴とする請求項25~請求項29のいずれかに記載の自動車。
【請求項31】
前記対象人物の顔画像情報を記憶する顔画像記憶部を備え、
前記確認認証手段は、前記検出した前記対象人物の顔画像情報を前記カメラで撮影された画像情報から取得した前記対象人物の顔画像情報と、前記顔画像記憶部に記憶されている顔画像情報とから、前記顔画像記憶部に前記顔画像情報が記憶されている人物であるか否かにより、前記対象人物を確認するようにする
ことを特徴とする請求項30に記載の自動車。
【請求項32】
前記対象人物の音声情報を記憶する音声記憶部を備えると共に、自車の外部の音声を収音するマイクロフォンを備え、
前記確認認証手段は、前記マイクロフォンで収音した、前記検出した前記対象人物の音声情報と、前記音声記憶部に記憶されている音声情報とから、前記音声記憶部に前記音声情報が記憶されている人物であるか否かにより、前記対象人物を確認するようにする
ことを特徴とする請求項30に記載の自動車。
【請求項33】
前記確認認証手段により確認された前記対象人物が自車に乗車した場合には、前記乗車している前記対象人物は、前記歩容認識により検出すべき対象人物から除外する
ことを特徴とする請求項30~請求項32のいずれかに記載の自動車。
【請求項34】
自車から降車した前記対象人物は、前記歩容認識により検出すべき対象人物とされる
ことを特徴とする請求項33に記載の自動車。
【請求項35】
前記記憶部に記憶されている前記対象人物のリストを呈示する手段と、
前記呈示された前記リストの中からの前記対象人物の選択設定を受け付ける選択設定受付手段と、
を備え、
前記歩容認識判別手段は、前記歩容を認識した人物の中に、前記選択設定された対象人物の歩容と合致する歩容の人物が存在するか否かを判別する
ことを特徴とする請求項1~請求項34のいずれかに記載の自動車。
【請求項36】
前記選択設定受付手段は、前記対象人物を検出した場合に自車が実行すべき所定の処理の選択設定を受け付けることが可能であり、
前記処理手段は、前記処理設定受付手段で受け付けた前記所定の処理を行う
ことを特徴とする請求項35に記載の自動車。
【請求項37】
前記選択設定受付手段は、運転及び/又は乗車者が乗車する場合に起動される
ことを特徴とする請求項35又は請求項36に記載の自動車。
【請求項38】
前記対象人物を探すモードを有する
ことを特徴とする請求項1~請求項37のいずれかに記載の自動車。
【請求項39】
前記対象人物を探すモードにおいては、前記対象人物の帰宅時間又は退社時間において駅周辺を空中移動する
ことを特徴とする請求項38に記載の自動車。
【請求項40】
前記対象人物を探すモードにおいては、同一の場所を周回する
ことを特徴とする請求項38又は請求項39に記載の自動車。
【請求項41】
前記対象人物の行動予定表を登録しておき、前記対象人物を探すモードにおいては、前記行動予定表に基づいて前記対象人物を探す
ことを特徴とする請求項38~請求項40のいずれかに記載の自動車。
【請求項42】
前記空中モードに加えて、陸上を走行する陸上モードを備えると共に、自車の走行方向の前方を撮影する1又は複数のカメラを備え、
前記空中モードと前記陸上モードとで、歩容認識のために用いるカメラを切り替える
ことを特徴とする請求項1~請求項41のいずれかに記載の自動車。
【請求項43】
前記空中モードに加えて、陸上を走行する陸上モードを備え、
前記空中モードと前記陸上モードとで、前記歩容情報を異ならせる
ことを特徴とする請求項1~請求項42のいずれかに記載の自動車。
【請求項44】
前記空中モードに加えて、陸上を走行する陸上モードを備え、
前記空中モードと前記陸上モードとで、前記歩容認識判別手段における歩容認識判別処理が異なる
ことを特徴とする請求項1~請求項43のいずれかに記載の自動車。
【請求項45】
空中を移動する空中モードを備えると共に第1の無線通信手段を備える自動車と、前記第1の無線通信手段と無線通信する第2の無線通信手段を備える歩容認識判別装置とを備えるシステムであって、
前記自動車は、
自車の外部の斜め下方を撮影する1又は複数のカメラと、
前記第1の無線通信手段を通じて、自車の識別情報と前記カメラで撮影した画像情報とを、自車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識する機能を備える歩容認識判別装置に送信すると共に、歩容認識判別要求を送る歩容認識判別要求手段と、
前記歩容認識判別装置から、前記対象人物を検出したか否か判別結果を前記無線通信手段を通じて受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した判別結果が、前記対象人物を検出したとなっていた場合に、所定の処理を行う処理手段と、
を備え、
前記歩容認識判別装置は、
歩容認識の対象とする対象人物を検出するための歩容情報を、前記自動車の識別情報と対応付けて記憶する記憶部と、
前記自動車からの自車の識別情報と前記カメラで撮影された画像情報とを、前記第2の無線通信手段を通じて受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記カメラで撮影された前記画像情報から前記自動車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識すると共に、前記歩容を認識した人物の中に、前記記憶部に前記自動車の識別情報に対応付けられて記憶されている前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物が存在するか否かを判別する歩容認識判別手段と、
前記歩容認識判別手段の判別結果を、前記第2の無線通信手段を通じて前記歩容認識判別要求を送ってきた前記自動車に送信する送信手段と、
を備え
前記記憶部には、日中と夜間とで区分されて前記対象人物の歩容情報が記憶されている
ことを特徴とする歩容認識システム。
【請求項46】
空中を移動する空中モードを備えると共に第1の無線通信手段を備える自動車と、前記第1の無線通信手段と無線通信する第2の無線通信手段を備える歩容認識判別装置とを備えるシステムであって、
前記自動車は、
自車の外部の斜め下方を撮影する1又は複数のカメラと、
前記第1の無線通信手段を通じて、自車の識別情報と前記カメラで撮影した画像情報とを、自車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識する機能を備える歩容認識判別装置に送信すると共に、歩容認識判別要求を送る歩容認識判別要求手段と、
前記歩容認識判別装置から、前記対象人物を検出したか否か判別結果を前記無線通信手段を通じて受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した判別結果が、前記対象人物を検出したとなっていた場合に、所定の処理を行う処理手段と、
を備え、
前記歩容認識判別装置は、
歩容認識の対象とする対象人物を検出するための歩容情報を、前記自動車の識別情報と対応付けて記憶する記憶部と、
前記自動車からの自車の識別情報と前記カメラで撮影された画像情報とを、前記第2の無線通信手段を通じて受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記カメラで撮影された前記画像情報から前記自動車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識すると共に、前記歩容を認識した人物の中に、前記記憶部に前記自動車の識別情報に対応付けられて記憶されている前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物が存在するか否かを判別する歩容認識判別手段と、
前記歩容認識判別手段の判別結果を、前記第2の無線通信手段を通じて前記歩容認識判別要求を送ってきた前記自動車に送信する送信手段と、
を備え
前記所定の処理は、前記対象人物を検出したことを運転者及び/又は乗車者に報知する報知処理である
ことを特徴とする歩容認識システム。
【請求項47】
空中を移動する空中モードを備えると共に第1の無線通信手段を備える自動車と、前記第1の無線通信手段と無線通信する第2の無線通信手段を備える歩容認識判別装置とを備えるシステムであって、
前記自動車は、
自車の外部の斜め下方を撮影する1又は複数のカメラと、
前記第1の無線通信手段を通じて、自車の識別情報と前記カメラで撮影した画像情報とを、自車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識する機能を備える歩容認識判別装置に送信すると共に、歩容認識判別要求を送る歩容認識判別要求手段と、
前記歩容認識判別装置から、前記対象人物を検出したか否か判別結果を前記無線通信手段を通じて受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した判別結果が、前記対象人物を検出したとなっていた場合に、所定の処理を行う処理手段と、
携帯通信端末と無線通信を行うための第3の無線通信手段と、
を備え、
前記歩容認識判別装置は、
歩容認識の対象とする対象人物を検出するための歩容情報を、前記自動車の識別情報と対応付けて記憶する記憶部と、
前記自動車からの自車の識別情報と前記カメラで撮影された画像情報とを、前記第2の無線通信手段を通じて受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記カメラで撮影された前記画像情報から前記自動車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識すると共に、前記歩容を認識した人物の中に、前記記憶部に前記自動車の識別情報に対応付けられて記憶されている前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物が存在するか否かを判別する歩容認識判別手段と、
前記歩容認識判別手段の判別結果を、前記第2の無線通信手段を通じて前記歩容認識判別要求を送ってきた前記自動車に送信する送信手段と、
を備え
前記自動車の処理手段は、前記歩容認識判別装置の前記歩容認識判別手段で、前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物が存在すると判別した場合には、前記第3の無線通信手段において前記検出した前記対象人物が所持する前記携帯通信端末と無線通信を行って、自車への乗車の希望があるか否かを問い合わせる
ことを特徴とする歩容認識システム。
【請求項48】
空中を移動する空中モードを備えると共に第1の無線通信手段を備える自動車と、前記第1の無線通信手段と無線通信する第2の無線通信手段を備える歩容認識判別装置とを備えるシステムであって、
前記自動車は、
自車の外部の斜め下方を撮影する1又は複数のカメラと、
前記第1の無線通信手段を通じて、自車の識別情報と前記カメラで撮影した画像情報とを、自車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識する機能を備える歩容認識判別装置に送信すると共に、歩容認識判別要求を送る歩容認識判別要求手段と、
前記歩容認識判別装置から、前記対象人物を検出したか否か判別結果を前記無線通信手段を通じて受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した判別結果が、前記対象人物を検出したとなっていた場合に、所定の処理を行う処理手段と、
携帯通信端末と無線通信を行うための第3の無線通信手段と、
を備え、
前記歩容認識判別装置は、
歩容認識の対象とする対象人物を検出するための歩容情報を、前記自動車の識別情報と対応付けて記憶する記憶部と、
前記自動車からの自車の識別情報と前記カメラで撮影された画像情報とを、前記第2の無線通信手段を通じて受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記カメラで撮影された前記画像情報から前記自動車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識すると共に、前記歩容を認識した人物の中に、前記記憶部に前記自動車の識別情報に対応付けられて記憶されている前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物が存在するか否かを判別する歩容認識判別手段と、
前記歩容認識判別手段の判別結果を、前記第2の無線通信手段を通じて前記歩容認識判別要求を送ってきた前記自動車に送信する送信手段と、
を備え
前記自動車が前記前記対象人物からの、当該対象人物の現在位置の情報を含む乗車希望要求を前記第3の無線通信手段を通じて受信した場合には、前記歩容認識判別要求には、前記対象人物の現在位置の情報が含められており、
前記歩容認識判別装置の前記歩容認識判別手段は、前記対象人物の前記現在位置の情報に基づいて検知される位置近傍において、前記対象人物の歩容と合致する人物が存在するか否かを判別し、
前記乗車希望要求には、前記現在位置の情報に加えて、前記現在位置からどこに向かうかの情報が含まれており、前記現在位置の情報と、前記現在位置からどこに向かうかの情報から前記対象人物の移動経路を把握することで前記位置近傍を判断し、前記位置近傍において、前記歩容認識判別手段で前記対象人物の歩容と合致する人物が存在するか否かを判別する
ことを特徴とする歩容認識システム。
【請求項49】
前記自動車は、
前記歩容認識判別装置の前記記憶部に自車の識別情報と対応付けられて記憶されている前記対象人物のリストを記憶していると共に、前記リストを呈示する手段と、
前記呈示された前記リストの中からの前記対象人物の選択設定を受け付ける選択設定受付手段と、
を備え、
前記歩容認識判別要求は、自車の識別情報と前記カメラで撮影した画像情報とに加えて、前記選択設定された前記対象人物の識別情報を含んで、前記第1の無線通信手段を通じて前記歩容認識判別装置に送信され、
前記歩容認識判別装置の前記歩容認識判別手段は、前記歩容を認識した人物の中に、識別情報で特定される前記選択設定された対象人物の歩容と合致する歩容の人物が存在するか否かを判別する
ことを特徴とする請求項45~請求項48のいずれかに記載の歩容認識システム。
【請求項50】
空中を移動する空中モードを備えると共に、自車の外部の斜め下方を撮影する1又は複数のカメラと、歩容認識の対象とする対象人物を検出するための歩容情報を記憶する記憶部とを備える自動車が備えるコンピュータを、
前記空中モードにおいて、前記カメラで撮影された画像情報から自車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識すると共に、前記歩容を認識した人物の中に、前記記憶部に記憶されている前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したか否かを判別する歩容認識判別手段、
前記歩容認識判別手段で、前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したと判別した場合に、所定の処理を行う処理手段、
として機能させるための自動車用プログラムであって、
前記記憶部には、日中と夜間とで区分されて前記対象人物の歩容情報が記憶されている
ことを特徴とする自動車用プログラム
【請求項51】
空中を移動する空中モードを備えると共に、自車の外部の斜め下方を撮影する1又は複数のカメラと、歩容認識の対象とする対象人物を検出するための歩容情報を記憶する記憶部とを備える自動車が備えるコンピュータを、
前記空中モードにおいて、前記カメラで撮影された画像情報から自車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識すると共に、前記歩容を認識した人物の中に、前記記憶部に記憶されている前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したか否かを判別する歩容認識判別手段、
前記歩容認識判別手段で、前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したと判別した場合に、所定の処理を行う処理手段、
として機能させるための自動車用プログラムであって、
前記所定の処理は、前記対象人物を検出したことを運転者及び/又は乗車者に報知する報知処理である
ことを特徴とする自動車用プログラム
【請求項52】
空中を移動する空中モードを備えると共に、自車の外部の斜め下方を撮影する1又は複数のカメラと、歩容認識の対象とする対象人物を検出するための歩容情報を記憶する記憶部と、携帯通信端末と無線通信を行うための無線通信手段とを備える自動車が備えるコンピュータを、
前記空中モードにおいて、前記カメラで撮影された画像情報から自車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識すると共に、前記歩容を認識した人物の中に、前記記憶部に記憶されている前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したか否かを判別する歩容認識判別手段、
前記歩容認識判別手段で、前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したと判別した場合に、所定の処理を行う処理手段、
として機能させるための自動車用プログラムであって、
前記処理手段は、前記歩容認識判別手段で、前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物が存在すると判別した場合には、前記無線通信手段において前記検出した前記対象人物が所持する前記携帯通信端末と無線通信を行って、自車への乗車の希望があるか否かを問い合わせる
ことを特徴とする自動車用プログラム
【請求項53】
空中を移動する空中モードを備えると共に、自車の外部の斜め下方を撮影する1又は複数のカメラと、歩容認識の対象とする対象人物を検出するための歩容情報を記憶する記憶部と、携帯通信端末と無線通信を行うための無線通信手段とを備える自動車が備えるコンピュータを、
前記空中モードにおいて、前記カメラで撮影された画像情報から自車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識すると共に、前記歩容を認識した人物の中に、前記記憶部に記憶されている前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したか否かを判別する歩容認識判別手段、
前記歩容認識判別手段で、前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したと判別した場合に、所定の処理を行う処理手段、
として機能させるための自動車用プログラムであって、
前記対象人物からの、当該対象人物の現在位置の情報を含む乗車希望要求を前記無線通信手段を通じて受信した場合には、前記対象人物の前記現在位置の情報に基づいて検知される位置近傍において、前記歩容認識判別手段で前記対象人物の歩容と合致する人物が存在するか否かを判別し、
前記乗車希望要求には、前記現在位置の情報に加えて、前記現在位置からどこに向かうかの情報が含まれており、前記現在位置の情報と、前記現在位置からどこに向かうかの情報から前記対象人物の移動経路を把握することで前記位置近傍を判断し、前記位置近傍において、前記歩容認識判別手段で前記対象人物の歩容と合致する人物が存在するか否かを判別する
ことを特徴とする自動車用プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車及び歩容認識システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の利用の仕方としては、停車中の自動車に、自分の意思で乗降するのが一般的である。この他に、自動車がタクシーの場合には、手を上げるなどして運転者に合図をすることで、運転者に、乗車希望者の近くに自動車を停止してもらって乗降するような態様もある。
【0003】
また、最近は、運転者が乗車していなくても、自律走行をすることが可能な自動運転車も登場してきており、このような自動運転車の場合には、無線通信機能を搭載することで、携帯電話端末などの携帯端末から自動運転車に呼び寄せ要求をして、乗車希望者が希望する場所に呼び寄せて乗車することができるようにすることも提案されている(例えば特許文献1(特開2017-204867号公報)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-204867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動車の走行中に、運転者及び/又は乗車者、あるいは自動車自体が、偶然に、進行方向の先の歩道を家族や知人が歩行していることを検知することができた場合には、その家族や知人の脇に自動車を停止させて、乗車するか否か勧誘することができる。特に、その家族や知人が重い荷物を持って歩行している場合やお年寄りである場合に、自動車の運転者及び/又は乗車者、あるいは自動車自体から乗車を勧誘してもらうことができれば、非常に有益となる。
【0006】
しかしながら、運転者は、進行方向の前方の安全や後方の確認をしながら安全運転に心掛けるように運転をしているので、そのような歩行中の家族や知人を検知することが困難であり、見過ごす場合が多い。
【0007】
この発明は、以上の点に鑑み、歩行中の家族や知人などを走行中に確実に検知して、その検知した家族や知人に対して乗車するか否か勧誘する等の処理を可能にする自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、
空中を移動する空中モードを備える自動車であって、
自車の外部の斜め下方を撮影する1又は複数のカメラと、
歩容認識の対象とする対象人物を検出するための歩容情報を記憶する記憶部と、
前記空中モードにおいて、前記カメラで撮影された画像情報から自車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識すると共に、前記歩容を認識した人物の中に、前記記憶部に記憶されている前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したか否かを判別する歩容認識判別手段と、
前記歩容認識判別手段で、前記対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したと判別した場合に、所定の処理を行う処理手段と、
を備え
前記記憶部には、日中と夜間とで区分されて前記対象人物の歩容情報が記憶されている
ことを特徴とする自動車を提供する。
【0009】
歩容認識は、周知のように、約40~50メートル離れた距離から人間の認証をすることができる技術であり、遠方から個人を特定するバイオメトリクスとして注目を集めている。
【0010】
上述の構成の請求項1の発明の自動車は、歩容認識の対象とする対象人物を検出するための歩容情報が記憶されている記憶部を有している。この発明の自動車においては、空中モードでの空中移動中に、歩容認識判別手段により、カメラで撮影された画像情報から自車の外部の斜め下方に存在する人物の歩容を認識する。歩容認識判別手段は、さらに、歩容を認識した人物の中に、記憶部に記憶されている対象人物の歩容と合致する歩容の人物が存在するか否かを判別する。
【0011】
そして、歩容認識判別手段で、対象人物の歩容と合致する歩容の人物が存在すると判別したときには、例えば、着陸して乗車を勧誘する等の所定の処理を行う。
【発明の効果】
【0012】
この発明の自動車によれば、空中モードでの空中移動中に、歩容認識(歩容認証)の技術を用いることで、自車が備えているカメラの撮影画像から、予め登録して記憶している対象人物が自車の斜め下方を歩行しているときに、それを検出することができ、その検出結果に応じた所定の処理を行うことができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明による自動車の実施形態としての自動運転車の一例の電子制御回路部の構成例を示すブロック図である。
図2】実施形態の自動運転車に、歩容認識の対象とする対象人物を登録する手順の流れを説明するための図である。
図3】実施形態の自動運転車において、登録された対象人物情報の例を説明するための図である。
図4】実施形態の自動運転車において、対象人物の歩容認識の事前設定の処理ルーチンの例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図5】実施形態の自動運転車において、対象人物の歩容認識の事前設定の処理ルーチンの例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図6】実施形態の自動運転車において、対象人物を歩容認識により検出するための処理ルーチンの例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図7】実施形態の自動運転車において、対象人物を歩容認識により検出するための処理ルーチンの例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図8】実施形態の自動運転車において、対象人物を歩容認識により検出するための処理ルーチンの例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図9】実施形態の自動運転車において、対象人物を歩容認識により検出するための処理ルーチンの例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図10】実施形態の自動運転車において、対象人物を歩容認識により検出するための処理ルーチンの例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図11】実施形態の自動運転車において、対象人物を歩容認識により検出するための処理ルーチンの例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図12】実施形態の自動運転車において、対象人物を歩容認識により検出するための処理ルーチンの例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
図13】実施形態の自動運転車により対象人物を歩容認識により検出する態様の具体例を説明するための図である。
図14】この発明による自動車の他の実施形態としての自動運転車を含むシステムの構成例を説明するためのブロック図である。
図15】この発明による自動車の他の実施形態としての空陸両用車により対象人物を歩容認識により検出する態様の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明による自動車の実施形態を、図を参照しながら説明する。以下に説明する自動車の実施形態は、運転者による手動運転操作に応じて走行を行う手動運転モードと、運転者による運転操作によらずに、自律走行を行うようにする自動運転モードを備える自動運転車の場合である。
【0015】
なお、この発明による自動車は、この実施形態のような手動運転モードと自動運転モードとを備える自動運転車に限らず、運転者による手動運転操作がなく、自律走行を行うようにする自動運転モードのみを備える自動車(完全自動運転車)であっても、この発明は実施できる。また、自動運転モードを備えず、手動運転モードしか備えない自動車にも、この発明は適用できる。
【0016】
図1は、この実施形態の自動運転車1の電子制御回路部10のハードウエア構成例を示すブロック図である。なお、この実施形態の自動運転車1は、電気自動車の場合の例であり、駆動源としてのバッテリー(図示は省略)を搭載している。
【0017】
また、この実施形態の自動運転車1は、前述したように、手動運転モードと、この実施形態では自律走行を行う自動運転モードとを備えている。手動運転モードは、自動運転車ではない通常の自動車と同様に、運転者のアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作及びステアリング操作(ハンドル操作)に応じた走行ができるモードである。
【0018】
また、自動運転モードは、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作及びステアリング操作をしなくても、自動運転車1自身が自動的(自律的)に障害物を回避しながら自律走行するモードである。この自動運転モードにおいては、運転者による所定の所作により、手動運転モードに自動的に切り替えることが可能である。ここで、運転者による所定の所作とは、例えば運転者のアクセルペダル操作やブレーキペダル操作などの運転操作や、運転者の後述するタッチパネルを通じた操作入力や、運転者による音声入力による切替指示の所作を含むものである。
【0019】
例えば、自動運転車1の運転者による後述するタッチパネル112を通じた所定の操作により、手動運転モードで走行中の自動運転車1を自動運転モードに切り替えることができると共に、自動運転モードで走行中に、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作又はステアリング操作などの操作をすると、自動的に手動運転モードに戻るように構成されている。
【0020】
なお、この実施形態の自動運転車は、後述するように、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作又はステアリング操作などの手動運転モードに戻す操作をしたとしても、自動運転モードを維持する強制自動運転モードを備えている。そこで、以下の説明においては、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作又はステアリング操作などの手動運転モードに戻す操作をしたときに、手動運転モードに切り替えられる自動運転モードを、通常自動運転モードと称することとして、強制自動運転モードと区別するようにする。
【0021】
図1に示すように、電子制御回路部10は、コンピュータを搭載して構成されている制御部101に対して、システムバス100を通じて、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103、手動/自動運転モード切替制御部104、ブレーキ駆動制御部105、レーダー群106、カメラ群107、センサ群108、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、表示部111、タッチパネル112、カーナビゲーション(以下、カーナビと略称する)機能部113、対象人物情報登録部114、歩容認識判別部115、歩容認識判別結果対応処理部116、確認認証部117、ドア開閉駆動部118、音声入出力部119、音声メッセージ生成部120、のそれぞれが接続されている。なお、歩容認識は、歩容認証とも呼ばれるが、同義として用いる。
【0022】
モータ駆動制御部102には、モータ駆動部131が接続されている。ステアリング駆動制御部103には、ステアリング駆動部132が接続されている。また、手動/自動運転モード切替制御部104には、手動操作検知部133が接続され、ブレーキ駆動制御部105には、ブレーキ駆動部134が接続されている。また、カーナビ機能部113には、カーナビ用データベース135が接続されている。また、対象人物情報登録部114には、対象人物情報記憶部136が接続されている。
【0023】
さらに、音声入出力部119には、車内用スピーカ137、車外用スピーカ138及び車内用マイクロフォン139、車外用マイクロフォン140が接続されている。車内用スピーカ137は、自動運転車1の車内に対する音声の放音用であり、また、車外用スピーカ138は、自動運転車1の車外に対する音声の放音用である。また、車内用マイクロフォン139は、自動運転車1の車内の音声の収音用であり、車外用マイクロフォン140は、自動運転車1の車外の音声の収音用である。もちろん、車内用スピーカ137と車外用スピーカ138の音量や、車内用マイクロフォン139と車外用マイクロフォン140の感度は可変にできるし、車内外で異ならしめてもよい。例えば、対象人物を発見した場合など、車外用スピーカ138の音量を上げ、車外用マイクロフォン140の感度を上げるようにしてもよい。
【0024】
モータ駆動制御部102は、制御部101の制御の下に、この実施形態の電気自動車で構成される自動運転車1のモータ駆動部131への駆動信号の供給を制御して、自動運転車1の走行開始、走行速度制御(ブレーキ制御及びアクセル制御を含む)、走行停止などを制御するようにする。
【0025】
ステアリング駆動制御部103は、制御部101の制御の下に、この実施形態の自動運転車1のステアリング駆動部132への駆動制御信号の供給を制御して、自動運転車1の進路変更の制御をするようにする。
【0026】
手動/自動運転モード切替制御部104は、タッチパネル112を通じた運転モード選択操作入力に応じて、自動運転車1の運転モードを、手動運転モードと、通常自動運転モードとのいずれかに切り替える制御を行う。
【0027】
なお、手動/自動運転モード切替制御部104が、自動運転車1の運転モードを、手動運転モードと、通常自動運転モードとのいずれかに切り替える制御を行う契機となる入力としては、タッチパネル112を通じた選択操作入力に限らず、車内用マイクロフォン139を通じた切り替え指示の音声入力であってもよい。音声入力の場合には、車内用マイクロフォン139を通じた切り替え指示の音声入力が音声認識され、その認識結果が手動/自動運転モード切替制御部104に供給される。手動/自動運転モード切替制御部104は、受け取った音声認識結果に基づいて運転モードの切替を行うようにする。
【0028】
そして、手動操作検知部133は、運転者によるアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作さらにはステアリング操作の操作情報を受けて、その手動運転操作情報を手動/自動運転モード切替制御部104に供給する。手動/自動運転モード切替制御部104は、通常自動運転モードにおいて、手動操作検知部133で、運転者による手動運転操作が手動操作検知部134で検知された場合には、手動運転モードに切り替える制御を行う。
【0029】
ただし、この実施形態では、手動/自動運転モード切替制御部104は、強制自動運転モードにおいては、手動運転モードに戻すための所定の操作があっても、その操作指示は無効として、自動運転モード(通常自動運転モード)を維持する。そして、手動/自動運転モード切替制御部104は、制御部101から、強制自動運転モードの解除指示があったときには、この実施形態では、強制自動運転モードから通常自動運転モードに切り替えるようにする。
【0030】
手動/自動運転モード切替制御部104は、自動運転車1が手動運転モードのときには、手動操作検知部133からの手動運転操作情報を、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103に供給して、モータ駆動部131、ステアリング駆動部132を、運転者のペダル操作やシフトレバー操作、ステアリング操作(ハンドル操作)に応じて制御する。
【0031】
また、手動/自動運転モード切替制御部104は、自動運転車1が通常自動運転モード及び強制自動運転モードのときには、後述するようにして、レーダー群106、カメラ群107、センサ群108、周囲移動体把握部109の出力に基づいて制御部101で生成される自動運転操作情報を、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103に供給して、モータ駆動部131、ステアリング駆動部132を、自動運転操作情報により駆動制御し、自律走行を行うようにする。なお、通常自動運転モードにおいては、カーナビ機能部113において、運転者などにより設定された行先(目的地)に対する現在位置からの経路が探索され、その探索された経路に沿って走行するように制御される。また、強制自動運転モードのときには、後述するように、歩容認識により検出した対象人物に対して呼び掛けが可能な場所に自車を停止させる制御がなされる。
【0032】
なお、完全自動運転車の場合は、自動運転モードしかないため、手動運転モードと自動運転モードの切替制御は必要なく、手動/自動運転モード切替制御部104も手動操作検知部133も存在しない。また、完全自動運転車の場合は、常時自動運転であるため、強制自動運転モードという概念も不要となる。
【0033】
ブレーキ駆動制御部105は、制御部101の制御の下に、この実施形態の自動運転車1のブレーキ駆動部134への駆動制御信号の供給を制御して、自動運転車1の速度を低下させたり、停止させたりする制御をするようにする。
【0034】
レーダー群106は、自動運転車1の車両の周囲に存在する人や物との距離を測るためのもので、1~複数個のレーザー・レーダー(正式にはLIDAR(Light Detection and Ranging又はLaser Imaging Detection and Ranging;ライダー))やミリ波レーダーなどからなる。レーザー・レーダーは、例えば天井やバンパー付近に埋め込まれ、ミリ波レーダーは、例えば車両の前部及び後部に設けられている。レーザー・レーダーとミリ波レーダーの両方を備えてもよいし、一方のみであってもよい。また、マイクロ波レーダーなど、その他のレーダーを用いてもよい。さらに、レーダーと同様の目的でソナー(図示せず)を用いることができる。
【0035】
カメラ群107は、自動運転車1の車内を撮影する1~複数個のカメラと、自動運転車1の車外の周囲を撮影する1~複数個のカメラとを含む。車内を撮影するカメラは、例えば運転席と助手席の間に設置されたバックミラー(後写鏡、ルームミラー)やフロントウインドウの上部などに取り付けられ、運転席に座った人物(運転者)の所作を撮影するカメラの他、助手席や、後部座席に座った乗車者(同乗者)の所作を撮影するためのカメラを含む。
【0036】
また、自動運転車1の車外の周囲を撮影するカメラは、自車の外部の前方、側方、後方などにおける見通しエリアを撮影するためのもので、例えばバックミラーの左側方及び右側方に取り付けられて、自動運転車1の左前方及び右前方を主として撮影する2台のカメラ(ステレオカメラ)や、自動運転車1の例えばドアミラー又はフェンダーミラーに取り付けられて左右の側方を撮影するカメラ、自動運転車1の後方を撮影するカメラなどを含む。さらには、自動運転車1に、車外の周囲を撮影するカメラを装備したドローンなどの飛行体を設置し(図示せず)、自動運転車1と連携しながら、必要に応じて上空を飛翔し、上空で撮影した画像から歩容認識を行うようにしてもよい。この場合に、ドローンなどの飛行体と自動運転車1とは有線で、あるいは無線で接続することができるようにされており、装備したカメラで撮影した撮影画像は、有線で、あるいは無線で、自動運転車1に送信される。なお、これらのカメラは、夜間の歩容認識を行うため、暗視カメラや赤外線カメラを含んでいてもよい。
【0037】
センサ群108は、ドアの開閉や窓の開閉を検知する開閉検知センサ、シートベルト着用を検出するためのセンサ、運転席や助手席などの座席に乗車者が着座したことを検知する着座センサ(例えば重量センサ)、運転席のハンドルを人がタッチしたことを検知するタッチセンサ(例えば静電容量センサ)などの他、車外の近傍の人物を検知する人感センサ(例えば赤外線センサ)や自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサからなる。自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサとしては、例えば車両やタイヤの振動を検出するための振動センサ、タイヤの回転数を検出する回転数センサ、方位を検出するための地磁気センサ、加速度を検出するための加速度センサ、角度や角速度を検出するためのジャイロセンサ(ジャイロスコープ)、などが含まれる。また、この実施形態では、センサ群108には、右ウインカーや左ウインカー(方向指示器)やハザードランプ(非常点滅灯)の点灯を検知するセンサも含まれている。
【0038】
周囲移動体把握部109は、レーダー群106やセンサ群108、また、カメラ群107の撮像画像を用いて、自車の周囲の移動体(人物を含む)を把握するようにする。周囲移動体把握部109は、例えばベイズ理論やディープラーニングなどの機械学習に基づいた処理を行うことで、周囲の障害物や移動体を把握するようにする。
【0039】
現在位置検出部110は、GPS衛星からの電波を受信して、自車の現在位置を検出する。現在位置検出部110は、GPS衛星からの電波により検出された位置の精度は悪いので、GPS衛星からの電波の受信で検出された現在位置の情報のみではなく、センサ群108に含まれる1~複数個のセンサ及びレーダー群106、カメラ群107の撮像画像(ナビ機能を併用)などをも用いると共に、例えばベイズ理論やディープラーニングなどの機械学習に基づいた処理を行うことで、より精度の高い現在位置を検出確認するようにしている。
【0040】
自動運転車1は、自動運転モード(通常自動運転モードと強制自動運転モードとを含む)においては、現在位置検出部110や周囲移動体把握部109において、レーダー群106、カメラ群107、センサ群108、GPS衛星からの電波の受信で取得した位置情報などの各種情報、つまり、人間の目や耳から得る情報に対応する情報をベイズ理論やディープラーニングなどの機械学習により処理し、これに基づき、制御部101は、自車の進路変更や障害物の回避など知的な情報処理(人工知能)及び制御(人工知能)を行って、自動運転操作情報を生成する。
【0041】
表示部111は、例えばLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)からなる。タッチパネル112は、LCDからなる表示部111の表示画面の上に、指やタッチペン等によるタッチ入力が可能なタッチセンサが重畳されて配設されたものである。表示部111の表示画面には、制御部101の制御に基づき、ソフトウエアボタン(キーボードの文字入力用ボタンを含む)を含む表示画像が表示される。そして、タッチパネル112は、表示画面に表示されているソフトウエアボタン上の指やタッチペン等によるタッチを検出すると、そのタッチを制御部101に伝達する。これを受けた制御部101は、ソフトウエアボタンに対応する制御処理を実行するように構成されている。もちろん、表示部は複数あってもよく、さらに外部に向けての表示部と、自動運転車1の車体や窓ガラスに設置することは可能である。
【0042】
カーナビ機能部113に接続されているカーナビ用データベース135には、国内の地図及び経路案内データが、予め格納されている。カーナビ機能部113は、カーナビ用データベース135に記憶されている地図や、経路案内データに基づいて、自動運転車1が指定された目的地まで移動するのを補助するように案内するための機能部である。この実施形態では、カーナビ機能部113は、手動運転モードと、通常自動運転モードとで、若干異なる処理をするように構成されている。
【0043】
すなわち、手動運転モードにおいては、カーナビ機能部113は、表示部111の表示画面上において、目的地までの経路(ルート)を明示的に表示する地図上に、現在位置検出部110で検出確認されている自車位置を重畳表示した画像を表示すると共に、自車の移動に伴い、地図上の自車位置(現在位置)を移動させ、かつ、ルート上の交差点や分岐点など、経路案内が必要な箇所で音声案内をするようにする。これは、通常のカーナビ機能と同様である。
【0044】
一方、通常自動運転モードにおいては、カーナビ機能部113は、自車の現在位置が目的地までのルート上から離れているときには、その離間方向及び距離の情報を制御部101に通知すると共に、自車の現在位置が目的地までのルート上に在るときには、自車の移動に伴い、ルート上の交差点や分岐点などの手前で、ルートに沿った進路方向の変更指示情報を制御部101に通知するようにする。制御部101は、このカーナビ機能部113からの通知された情報と、現在位置検出部110の現在位置確認結果及び周囲移動体把握部109の把握結果とに基づいて、自車がルート上を指示された通りの進路をとって移動するように、モータ駆動制御部102を通じてモータ駆動部131を制御すると共に、ステアリング駆動制御部103を通じてステアリング駆動部132を制御するための自動運転操作情報を生成する。したがって、通常自動運転モードにおけるカーナビ機能部113及び制御部101による目的地までの経路案内により、乗車者が無人の状態においても、自動運転車1は、目的地まで移動することができる。
【0045】
対象人物情報登録部114は、この実施形態の自動運転車1の利用者、例えば家族構成員や、当該自動運転車1を共用するグループ構成員など、歩容認識をすべき対象人物の情報の登録入力を受け付けて、対象人物情報記憶部136に記憶して登録するようにする。対象人物情報としては、歩容認識判別に用いられる歩容認識用の情報の他、対象人物の識別情報及び呼び掛けられたときに対象人物が気付くようにするための情報などと、当該対象人物が自車に乗車しようとする際における確認認証用の情報も含まれる。
【0046】
歩容認識用の情報は、この実施形態では、対象人物の歩容情報と歩容認識補助情報とが含まれる。対象人物情報登録部114は、カメラによる撮影画像から対象人物の歩行シルエット画像を抽出し、当該歩行シルエット画像を解析することで、対象人物の歩幅、手足の振り、姿勢、歩行周期、動きの左右非対称性などを特徴量とした歩容情報を生成し、対象人物の識別情報に対応付けて対象人物情報記憶部136に記憶する。歩容認識補助情報は、例えば、対象人物の身長や、頭部や肌のテクスチャー情報などであり、歩容認識の認識率を向上させるための情報である。対象人物情報登録部114は、この歩容認識補助情報を、対象人物による入力により、あるいは、カメラの撮影画像情報から取得して、対象人物の識別情報に対応付けて対象人物情報記憶部136に記憶する。
【0047】
なお、歩容情報のみでの歩容認識(歩容認証)でも、個人を94~95%の確度で認証することができるが、歩容認識補助情報を用いれば、認証率を99%にすることができるという報告(例えば、日本科学未来館の新展示:顔認証より高精度!?「歩き方」で個人を特定できる「歩容認証」とは;http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/article/1507/17/news037.html参照)がある。この対象人物情報登録部114における登録処理及び対象人物情報については、後で詳述する。
【0048】
対象人物が自車に乗車しようとする際における確認認証用の情報としては、この実施形態では、対象人物の顔画像あるいは発声音声、指紋、静脈、虹彩などの生体情報が用いられる。確認認証用情報としては、顔画像や発声音声などの生体情報に限られる訳ではなく、電話番号やメールアドレス、パスワードや合言葉などであってもよい。また、自動運転車1の鍵を確認認証用情報としてもよいし、非接触ICカードを内蔵したスマートフォンを自動運転車1の所定の位置にかざし、自動運転車1がこの非接触ICカードに記録された確認認証用情報を用いるようにしてもよい。さらには、スマートフォンの代わりに、腕時計型端末であってもよい。
【0049】
歩容認識判別部115は、この実施形態では、歩容認識に先立ち、運転者及び/又は乗車者による検出すべき対象人物の選択設定を受け付ける機能を備える。すなわち、この実施形態の自動運転車1では、運転者及び/又は乗車者は、検出すべき対象人物を、登録されている対象人物の中の特定の1人又は複数人の人物を選択設定することができる。登録されている対象人物の全てを、検出すべき対象人物として選択設定することも勿論できる。なお、この実施形態の自動運転車1が、運転者及び/又は乗車者が存在せずに無人の状態で通常自動運転モードで自律走行するときには、対象人物情報記憶部136に記憶されて登録されている対象人物の全てが、検出すべき対象人物として自動的に設定される。
【0050】
なお、この実施形態の自動運転車1は、対象人物が乗車したときには、その人物を確認認証部117で認証するように構成されているので、既に乗車している対象人物は認識することができる。そこで、既に乗車している対象人物は、歩容認識により検出すべき対象人物から除外されるように構成されている。もちろん、対象人物が降車した場合、いったん、歩容認識により検出すべき対象人物から除外されても、降車と同時に、歩容認識により検出すべき対象人物となる。
【0051】
歩容認識判別部115は、この例では、カメラ群107の内の車外の見通しエリアを撮影する1又は複数のカメラからの撮影画像情報から、当該撮影画像に含まれる人物のそれぞれの歩幅、手足の振り、姿勢、歩行周期、動きの左右非対称性などを特徴量とした歩容情報を抽出し、対象人物情報記憶部136に記憶されている登録されている対象人物の内の、検出すべき対象人物として設定されている対象人物の歩容情報と比較して歩容認識をし、検出すべき対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したか否かを判別する。この場合に、この実施形態の歩容認識判別部115は、歩容認識補助情報をも用いて歩容認識を行うのは言うまでもない。また、歩行中の対象人物が自動運転車1に向かって歩いてくる場合には、顔認識を併用するようにしてもよい。
【0052】
歩容認識判別部115は、上述した歩容認識判別により、対象人物情報記憶部136に記憶されている登録されている対象人物の歩容と合致する歩容の人物を検出したときには、検出した人物の歩容と合致する歩容を有する対象人物の識別情報を含めて、検出対象人物を検出したとの判別結果を、システムバス100を通じて歩容認識判別結果対応処理部116に転送する。
【0053】
歩容認識判別結果対応処理部116は、歩容認識判別部115からの判別結果を受けて、所定の処理を行う。この実施形態では、歩容認識判別結果対応処理部116は、後述するように、運転者又は乗車者あるいは自車のオーナーなどによる検出対象とする対象人物の選択の設定入力と、所定の処理に関する設定入力を受け付ける機能を備えており、所定の処理としてどのような処理を行うのかは、その設定入力に基づいて決定する。
【0054】
歩容認識判別結果対応処理部116は、上記の設定入力を、自動運転車1の運転モードが手動運転モードの場合は勿論のこと、自律走行を行う通常自動運転モードであっても、運転者及び/又は乗車者が乗車している場合には、そのまま有効として取り扱う。
【0055】
ただし、歩容認識判別結果対応処理部116は、運転者及び/又は乗車者が存在せず、無人の状態で通常自動運転モードにより自律走行をしているときには、検出対象とする対象人物の選択の設定入力は有効とされるが、所定の処理は、無人の通常自動運転モードに適する処理を行うようにする。すなわち、この実施形態では、無人の通常自動運転モードにおいて歩容認識により対象人物を検出したときには、所定の処理として、検出した人物の近傍に停止し、検出した人物に対する呼び掛けを行って、乗車することを勧誘するメッセージを送出し、検出した人物から乗車するとの回答を得たときには、確認認証部117で当該人物が対象人物であることを確認認証した上で、ドア開閉駆動部118を駆動制御してドアを開閉し、当該人物の乗車を許可するようにする。
【0056】
なお、後述もするように、歩容認識判別結果対応処理部116は、検出した対象人物の近傍で自車を停止させると設定されている場合には、運転モードが手動運転モードであるか、通常自動運転モードであるかに関わらず、強制自動運転モードに切り替えて、自車を停止させるようにする。
【0057】
なお、強制自動運転モードとせずに、通常自動運転モードのまま検出した対象人物の近傍で、停止するように制御してもよい。ただし、その場合には、運転者が手動操作をして、手動運転モードに切り替えて、検出した対象人物の近傍で停止させずに、通過してしまうような態様を許すことになるが、そのように構成してもよい。そのように構成した場合には、例えば、病人を病院に運んでいる途中など、先を急ぐ場合などに便利である。なお、運転者及び/又は乗車者が存在するか、無人であるかは、カメラ群107の内の車内を撮影するカメラの撮影画像を監視することにより、容易に把握することができる。ドアの開閉と降車者、乗車者を監視することも併せて用いるようにしてもよい。
【0058】
この歩容認識判別結果対応処理部116に対する設定入力の処理及び歩容認識により対象人物を検出したときの所定の処理については後で詳述する。
【0059】
確認認証部117は、歩容認識判別部115で検出した対象人物が、自車に乗車しようとする際における確認認証を行う。この実施形態では、対象人物情報記憶部136には、この実施形態では、登録された対象人物の顔画像及び/又は発声音声が確認認証用の情報として記憶されている。確認認証部117は、この実施形態では、顔画像認証用の画像認識機能部と、発声音声認証用の音声認識機能部とを備えている。
【0060】
確認認証部117の画像認識機能部は、カメラ群107の内のカメラで撮影された乗車しようとしている歩容認識判別部115で検出された人物の顔画像と、対象人物情報記憶部136に記憶されている対象人物の顔画像との一致/不一致により確認認証を行う。また、確認認証部117の音声認識機能部は、マイクロフォン140で収音された乗車しようとしている歩容認識判別部115で検出された人物の発声音声と、対象人物情報記憶部136に記憶されている対象人物の発声音声との一致/不一致により確認認証を行う。
【0061】
前述したように、確認認証部117における認証結果は、歩容認識判別=結果対応処理部116に渡されて、歩容認識判別部115で検出された人物の乗車を許可するか否かの判断に用いられる。
【0062】
なお、乗車をしようとする者の指紋により確認認証を行うこともでき、その場合には、自動運転車1には、指紋読み取り装置が設けられると共に、対象人物情報記憶部136には、対象人物の指紋が記憶され、確認認証部117は、指紋認識機能を備えるものとして構成されて、記憶されていた指紋と、指紋読み取り装置により取得された指紋との一致/不一致を判定することで、確認認証が行われる。確認認証には、静脈、虹彩、声紋、その他の生体情報を用いることでき、それらの場合も、同様の構成の変更により可能となる。もちろん、これらの顔画像、音声、指紋などの生体情報を組み合わせて記憶し、確認認証に用いてもよい。
【0063】
さらには、乗車しようする者が自動運転車1の鍵を保持することにより確認認証を行うこともできる。また、前述したように、非接触ICカードを内蔵したスマートフォンを自動運転車1の所定の位置にかざすことにより確認認証を行うこともできる。さらには、スマートフォンの代わりに、腕時計型端末であってもよい。
【0064】
ドア開閉駆動部118は、自車のドアを自動で開閉するための駆動部である。タッチパネル112や、その他のボタン操作に応じて、制御部101からの開閉命令に応じて、ドア開閉駆動部118は駆動制御されるほか、前述したように、歩容認識判別結果対応処理部116からの開閉命令に応じて駆動制御される。ドアは、スライド式のものであってもよいし、旋回開閉式のものであってもよい。
【0065】
音声入出力部119は、車内用マイクロフォン139又は車外用マイクロフォン140で収音した音声を取り込んで、例えば音声認識処理のためにシステムバス100に送出するようにする。また、音声入出力部119は、車内や外部に放音する音声メッセージデータを、音声メッセージ生成部120から受け取り、アナログ音声信号に変換する音声合成器やD-A変換器を内蔵している。そして、音声入出力部119は、制御部101の制御により、変換されたアナログ音声信号を車内用スピーカ137又は車外用スピーカ138に供給して、音声として放音するようにする。
【0066】
音声メッセージ生成部120は、制御部101の制御により、運転者及び/又は乗車者に対して放音するための音声メッセージ情報を生成し、また、歩容認識により検出した対象人物に対して呼び掛けを行う呼び掛け音声メッセージを生成して、音声入出力部119に送出する。
【0067】
対象人物情報記憶部136には、対象人物が自分に対する呼び掛けであることを認識可能とするための情報として、例えば呼び掛け名称(愛称)が記憶されており、音声メッセージ生成部120は、この記憶されている対象人物の呼び掛け名称と雛形音声メッセージとを合成して、必要な音声メッセージを生成するようにする。もちろん、対象人物の呼び掛け名称は。愛称に限られるものではなく、本名やファーストネーム、イニシャルや番号であってもよい。
【0068】
例えば、運転者及び/又は乗車者に対して対象人物を検出したことを報知する音声メッセージの場合には、雛形音声メッセージとして「○○○○を検出しました。」というメッセージ情報を用意しておくと共に、対象人物情報記憶部136から、検出した対象人物の呼び掛け名称の情報を取得して、当該呼び掛け名称が「みこちゃん」であるときには、「○○○○」の部分に「みこちゃん」を挿入して、「みこちゃんを検出しました。」という音声メッセージを生成する。
【0069】
音声メッセージ生成部120は、その他の雛形音声メッセージとして、車内向けに「○○○○のところで停止して、乗車をさせますか?」などが、車外向けに「○○ー○!乗ってゆきますか?」などが、用意されている。例えば、検出した対象人物の呼び掛けが「みこちゃん」であるときには、車内向けとしては「みこちゃんのところで停止して、乗車をさせますか?」などとされ、車外向けとしては、「みこちゃーん!乗ってゆきますか?」などとされている。
【0070】
以上のように、自動運転車1の電子制御回路部10は構成される。なお、上述の説明では、図1に示した、モータ駆動制御部102、ステアリング駆動制御部103、手動/自動運転モード切替制御部104、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、カーナビ機能部113、対象人物情報登録部114、歩容認識判別部115、歩容認識判別結果対応処理部116、確認認証部117、音声メッセージ生成部120は、各部がそれぞれソフトウェアプログラムを用いる処理機能部の構成とすることができ、それぞれの機能を実行するプログラムを制御部101に設けることで、それぞれをソフトウエア処理として実現することができる。なお、上記の各部の全てをプログラムによる処理機能とするのではなく、一部は、ハードウエアの構成部として構成してもよいことは言うまでもない。
【0071】
[対象人物情報登録部114における対象人物情報登録手順の例]
図2は、対象人物情報登録部114における対象人物情報登録手順の流れの一例を示す図である。
【0072】
先ず、対象人物あるいは登録補助者は、表示部111に表示されている自動運転車1の機能メニューの中から、対象人物情報登録の項目を選択することで、対象人物情報の登録要求を自動運転車1に対して行う(手順S1)。
【0073】
この対象人物情報の登録要求に対しては、制御部101は、表示部111の表示画面に表示した指示メッセージにより、及び/または、スピーカ137,138からの放音メッセージにより、対象人物の歩容情報を検出するための所作を対象人物に対して指示する(手順S2)。この指示は、具体的には、カメラ群107の内の所定のカメラで対象人物の歩行状態を撮影するために、対象人物に歩行を行ってもらうようにする指示である。この場合に、対象人物に、自動運転車1の左側を、自車の後方から前方に向かって歩行してもらうシーンの他、自車の前方から後方に向かって逆向きに歩行してもらう、さらには、左斜め方向やその逆方向、右斜め方向やその逆方向、左から右に横切る方向、右から左に横切る方向など、複数の歩行態様を指示するようにするものとなる。対象人物に対する歩行態様の指示は、これらに限られるものではなく、多種多様な歩行態様を指示できることはもちろんである。なお、自車の前方から後方に向かって逆向きに歩行してもらう場合や斜め方向の歩行や左右に横切る歩行の場合は、対象人物の顔画像も同時に撮影できるため、歩容情報と共に顔画像も登録することができる。
【0074】
また、晴れの日、曇りの日、雨の日、雪の日と区分して登録することも可能で、日中と夜間とで区分して登録することも可能である。また、屋内と屋外とで区分して登録することも可能である。さらに拡張すれば、歩行のみならず走行状態を登録することもできる。なお、日中と夜間とで区分して登録する場合、日中は通常のカメラで撮影し、夜間は赤外線カメラで撮影するようにしてもよい。
【0075】
この手順S2の指示に従って対象人物が歩行をしたら、制御部101は、カメラ群107の所定のカメラにより対象人物の歩行を動画撮影して、その撮影画像情報を対象人物情報登録部114に送るようにする(手順S3)。そして、制御部101は、対象人物の歩容情報の検出が可能になるに十分な情報が取得できたか否かを判断する(手順S4)。そして、制御部101は、対象人物の歩容情報の検出が可能になるに十分な情報が取得できるまで、手順S2及び手順S3を繰り返すようにする。
【0076】
次に、手順S4で、対象人物の歩容情報の検出が可能になるに十分な情報が取得できたと判別したときには、制御部101は、対象人物情報登録部114に歩容情報の抽出処理開始指示を行い、当該対象人物の歩幅、手足の振り、姿勢、歩行周期、動きの左右非対称性などの特徴量を、当該対象人物の歩容情報として検出させ、保持させる(手順S5)。
【0077】
次に、制御部101は、対象人物に対して、歩容認識補助情報となる身長や性別などの入力を促して、その入力情報を取得すると共に、歩容認識補助情報としての対象人物の頭部や肌のテクスチャーをカメラの撮像画像から取得して、対象人物情報登録部114に保持させる(手順S6)。
【0078】
次に、制御部101は、対象人物に対して、確認認証用の情報の提供を促し、それに応じた対象人物の顔画像や発声音声の情報を取得し、対象人物情報登録部114に保持させる(手順S7)。
【0079】
さらに、制御部101は、対象人物に対して、自分に対する呼び掛けであることを認識可能とするための情報の例としての呼び掛け名称(愛称)の入力を促し、それに応じた対象人物により入力された呼び掛け名称(愛称)の情報を取得し、対象人物情報登録部114に保持させる(手順S8)。
【0080】
そして、最後に制御部101は、対象人物に対して識別情報を付与し、対象人物情報登録部114に、保持している対象人物の歩容情報と、歩容認識補助情報と、確認認証用情報と、呼び掛け名称(愛称)の情報とを、対象人物情報記憶部136に、当該対象人物の識別情報と対応付けて記憶するように指示し、記憶を実行させる(手順S9)。
【0081】
以上で、対象人物情報の登録が完了となる。この対象人物情報の登録は、例えば自動運転車1が、個人用の場合には、その家族構成員のそれぞれについて行われる。また、カーシェアリングなど、グループで自動運転車1が共同で使用されるような態様では、そのグループを構成するグループ構成員のそれぞれについて行われる。なお、対象人物情報の登録作業については、自動運転車1が行うだけに限らず、家族構成員やグループ構成員が、それぞれの歩行(あるいは走行)をスマートフォンやビデオカメラ等で撮影記録し、その記録情報を自動運転車1に送信するようにしてもよい。なお、撮影記録は、ドローン(無人飛行体)が、対象人物に追従して飛行移動ながら、自機に搭載したカメラで行ってもよい。
【0082】
このようにして対象人物情報が記憶された対象人物情報記憶部136の記憶情報内容の例を図3に示す。この図3の例は、家族構成員が対象人物として登録されている例であり、父親、母親、娘、兄の4人のそれぞれの対象人物情報が登録されて記憶されている様子を示している。
【0083】
[対象人物の歩容認識の事前設定について]
この実施形態の自動運転車1においては、対象人物の歩容認識の実行を開始するに先立ち、メニューから、運転者及び/又は乗車者による事前設定を受け付けることができるように構成されている。事前設定の項目は、
【0084】
(1)歩容認識により検出する対象人物の選択設定
【0085】
(2)対象人物を検出したときに実行する所定の処理の設定
である。
【0086】
(1)に関しては、検出対象を、対象人物情報記憶部136に記憶されている対象人物の全員とする設定、あるいは、全員ではなく1~複数人の選択した対象人物とするとの設定とが可能とされている。
【0087】
また、(2)に関しては、対象人物を検出したときに、自車を必ず停止するか否かの設定(無条件停止設定)、自車の乗車定員に余裕があるときだけ停止するとの設定、伝言等するために一時停止するとの設定、運転者及び/又は乗車者に問い合わせて停止する設定、あるいは、停止することなく運転者及び/又は乗車者に報知する設定、が可能とされている。また、対象者の身長など、歩容認識補助情報を設定することもできる。
【0088】
この事前設定の受付機能は、自動運転車1に運転者及び/又は乗車者が乗車する際に、運転者及び/又は乗車により設定メニューから選択されたり、事前設定受付ボタンの操作がなされることに起因して起動される。
【0089】
なお、自動運転車1が、運転車及び/又は乗車者が乗車したことを検知したときには、常に自動的に起動するように予め自動運転車1にデフォルトで事前設定されていてもよい。また、この事前設定の受付機能は、運転車及び/又は乗車者が乗車する際に起動される場合に限られるものではなく、手動運転モードから自動運転モードに切替ったときや、自動運転モードから手動運転モードに切り替わったときなど、走行モードが切替わったときに、事前設定をするか否かの問い合わせを運転車及び/又は乗車者にして、事前設定の受け付けをするように構成してもよい。さらに、走行モードが切り替わったときに事前設定を受け付ける場合に限らず、すでに事前設定されている場合に、設定変更を受け付けることができるようにしてもよい。なお、事前設定をするか否かや、設定変更するか否かの運転者及び/又は乗車者への問い合わせを行うことなく、事前設定を受け付けるように構成しても勿論よい。
【0090】
以下に、この実施形態における対象人物の歩容認識の事前設定の処理ルーチンの一例を、図4及び図5のフローチャートを参照して説明する。対象人物の歩容認識の事前設定の機能は、歩容認識判別部115に含まれるが、図4及び図5の例についての以下の説明においては、歩容認識判別部115が、制御部101が備えるソフトウェアプログラムによる機能ブロックとされる場合として、各ステップの動作は、制御部101が実行するものとして説明する。
【0091】
先ず、制御部101は、表示部111の表示画面に機能メニューをリスト表示する(ステップS11)。そして、制御部101は、この機能メニューのリスト表示から対象人物の歩容認識の事前設定の項目が選択されたか否か判別する(ステップS12)。
【0092】
このステップS12で、機能メニューのリスト表示から対象人物の歩容認識の事前設定の項目以外の他の項目が選択されたと判別したときには、制御部101は、当該選択された他のメニュー項目用の処理ルーチンへ移行し、その処理ルーチンを実行する。
【0093】
ステップS12で、機能メニューのリスト表示から対象人物の歩容認識の事前設定の項目が選択されたと判別したときには、制御部101は、対象人物情報記憶部136に記憶されている対象人物のリストを表示画面に表示し、歩容認識の検出対象とする対象人物の選択指定を促す(ステップS14)。この歩容認識の検出対象とする対象人物の選択指定の際に、対象人物情報記憶部136から対象人物の顔画像の情報を読み出して、表示部111の表示画面に当該対象人物の顔画像を表示して、対象人物の選択及び特定のために参照することができるようにしてもよい。
【0094】
そして、制御部101は、対象人物情報記憶部136に記憶されている対象人物の全員を歩容認識の検出対象とすることが選択されたか否か判別し(ステップS15)、全員を歩容認識の検出対象とすることが選択されたと判別したときには、全員を歩容認識の検出対象とするように設定をする(ステップS16)。
【0095】
また、ステップS15で、全員を歩容認識の検出対象とすることが選択されてはいないと判別したときには、制御部101は、歩容認識の検出対象とする対象人物の個別選択を受け付け(ステップS17)、選択された対象人物を歩容認識の検出対象とするように設定をする(ステップS18)。このときの選択人数は、一人に限らず複数人であってもよい。
【0096】
ステップS16での設定が終了したら、また、ステップS18での設定が終了したら、制御部101は、「歩容認識により対象人物を検出したら必ず停止する」との設定が選択されか否か判別し(ステップS19)、「歩容認識により対象人物を検出したら必ず停止する」との設定が選択されたと判別したときには、無条件停止を設定する(ステップS20)。
【0097】
このステップS20の次には、制御部101は、歩容認識の実行指示を受けたか否か判別し(図5のステップS39)、実行指示を受けたと判別したときには、歩容認識による対象人物の検出処理ルーチンを起動し(ステップS40)、この図4及び図5の処理ルーチンを終了する。
【0098】
ステップS39で実行指示を受けてはいないと判別したときには、制御部101は、この設定の処理ルーチンを中止するとの指示入力を受け付けたか否か判別し(ステップS41)、中止するとの指示入力を受け付けたと判別したときには、制御部101は、この処理ルーチンを終了する。そして、ステップS41で中止するとの指示入力は受け付けてはいないと判別したときには、制御部101は、処理を図4のステップS19に戻し、このステップS19以降の処理を繰り返す。
【0099】
そして、ステップS19で、「歩容認識により対象人物を検出したら必ず停止する」との設定は選択されていないと判別したときには、制御部101は、自車の乗車定員を考慮して停止するとの設定が選択されたか否か判別する(図5のステップS31)。このステップS31で、「自車の乗車定員を考慮して停止する」との設定が選択されたと判別したときには、制御部101は、更に、「運転者及び/又は乗車者への問い合わせは必要」との設定が選択されか否か判別する(ステップS32)。
【0100】
このステップS32で、「運転者及び/又は乗車者への問い合わせは必要」との設定が選択されたと判別したときには、制御部101は、「乗車定員条件付停止・問い合わせ要」を設定する(ステップS33)。また、ステップS32で、「運転者及び/又は乗車者への問い合わせは不要」との設定が選択されかと判別したときには、制御部101は、「乗車定員条件付停止・問い合わせ不要」を設定する(ステップS34)。そして、このステップS33の次には、また、ステップS34の次には、ステップS39に進んで、前述したこのステップS39以降の処理を繰り返す。
【0101】
また、ステップS31で、「自車の乗車定員を考慮して停止する」との設定が選択されてはいないと判別したときには、制御部101は、「運転者及び/又は乗車者に問い合わせて停止するか否かを決定する」という設定が選択されたか否か判別する(ステップS35)。このステップS35で、「運転者及び/又は乗車者に問い合わせて停止するか否かを決定する」という設定が選択されたと判別したときには、制御部101は、「問い合わせ条件付停止」を設定する(ステップS36)。そして、このステップS36の次には、処理をステップS39に進め、上述したステップS39以降の処理を実行する。
【0102】
そして、ステップS35で、「運転者及び/又は乗車者に問い合わせて停止するか否かを決定する」という設定が選択されなかったと判別したときには、制御部101は、「歩容認識により対象人物を検出したときには、その検出を報知だけする」という設定が選択されたか否か判別する(ステップS37)。
【0103】
そして、このステップS37で、「歩容認識により対象人物を検出したときには、その検出を報知だけする」という設定が選択されたと判別したときには、制御部101は、「対象人物の検知報知のみ」を設定する(ステップS38)。そして、このステップS38の次には、処理をステップS39に進め、上述したステップS39以降の処理を実行する。
【0104】
また、ステップS37で、「歩容認識により対象人物を検出したときには、その検出を報知だけする」という設定が選択されてはいないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS41に進めて、この設定の処理ルーチンを中止するとの指示入力を受け付けたか否か判別し(ステップS41)、中止するとの指示入力を受け付けたと判別したときには、この処理ルーチンを終了する。そして、ステップS41で中止するとの指示入力は受け付けてはいないと判別したときには、制御部101は、処理を図4のステップS19に戻し、このステップS19以降の処理を繰り返す。
【0105】
[歩容認識による対象人物の検出の処理]
次に、図5のステップS40において起動される歩容認識による対象人物の検知の処理の流れの例を、図6図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。この歩容認識による対象人物の検知の処理は、歩容認識判別部115で、上述の図4及び図5を用いて説明した設定に引き続いて実行されるが、以下の説明においては、歩容認識判別部115が、制御部101が備えるソフトウェアプログラムによる機能ブロックの構成とされる場合として、各ステップの動作は、制御部101が実行するものとして説明する。
【0106】
制御部101は、まず、検出対象は、対象人物情報記憶部136に記憶されている対象人物の全員であるか否か判別する(図6のステップS51)。このステップS51で、検出対象は、対象人物情報記憶部136に記憶されている対象人物の全員であると判別したときには、制御部101は、記憶されている対象人物の全員を検出対象として歩容認識による検出を開始する(ステップS52)。また、ステップS51で、検出対象は、対象人物情報記憶部136に記憶されている対象人物の全員ではないと判別したときには、選択指定された対象人物を認定し、その認定して対象人物のみを検出対象として歩容認識による対象人物の検出を開始する(ステップS53)。
【0107】
ステップS52の次には、また、ステップS53の次には、制御部101は、自車の現在の運転モードは、通常自動運転モードか、あるいは、手動運転モードかを判別する。このステップS54で、手動運転モードであると判別したときには、歩容認識による対象人物の検出を実行して、対象人物を検出したか否かを判別する(ステップS55)。このステップS55で、対象人物を検出してはいないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS54に戻し、このステップS54以降の処理を繰り返す。なお、このステップS55では、歩容情報とともに顔画像が登録されている場合は、対象人物の検出に顔画像認識を併用してもよい。
【0108】
ステップS55で、対象人物を検出したと判別したときには、制御部101は、運転モードが手動運転モードであるので運転者が存在していると認定し、検出した対象人物の呼び掛け名称(愛称)を対象人物情報記憶部136から取得して、検出した対象人物が誰であるかを運転者に報知する(ステップS56)。このときの報知は、音声による呼び掛け名称による報知に加えて、対象人物情報記憶部136から検出した対象人物の顔画像の情報を読み出して、表示部111の表示画面に、当該対象人物の顔画像を表示して報知するようにしてもよい。
【0109】
次に、制御部101は、事前設定により、無条件停止が設定されているか否か判別する(ステップS57)。このステップS57で、無条件停止が設定されていると判別したときには、制御部101は、強制自動運転モードに切り替えて停止することを運転者に報知し(ステップS58)、その後、手動運転モードから強制自動運転モードへの切り替え及び検出した対象人物の近傍で自車を停止させるようにする制御を実行する(ステップS59)。
【0110】
次に、制御部101は、自車が停止したか否かを判別し(ステップS60)、停止していないと判別したときには、処理をステップS59に戻し、停止制御を実行する。そして、ステップS60で、自車が停止したと判別したときには、制御部101は、強制自動運転モードを解除して、運転モードを通常自動運転モードに切り替える(図7のステップS71)。
【0111】
次に、制御部101は、音声メッセージ生成部120の機能により、前述したような検出した対象人物の呼び掛け名称(愛称)を含む呼び掛け音声メッセージを生成して、当該呼び掛け音声メッセージを音声入出力部119を通じて車外用スピーカ138に供給し、これにより、検出した検出した対象人物に対する呼び掛けを実行して、対象人物に対して注意喚起する(ステップS72)。
【0112】
そして、制御部101は、この実施形態では、運転者及び/又は乗車者と、外部の検出した対象人物との会話を可能にするように、音声入出力部119を制御する(ステップS73)。これにより、運転者及び/又は乗車者は、必要な伝言をしたり、乗車中の人数が乗車定員未満であるときには検出した対象人物に乗車を促したりする会話をすることができる。そして、当該乗車の促しに応じて検出された対象人物が乗車を希望した場合には、運転者はドアの開閉指示をして、その乗車を可能にする。また、検出した対象人物に対して単に伝言をしたいだけであったり、乗車中の人数が乗車定員と同数であった場合には、運転者は、検出した対象人物に対しては乗車を促すことなく、自車を発進させるようにする。
【0113】
そこで、制御部101は、ドアの開閉指示を受けたか否か判別し(ステップS74)、ドアの開閉指示を受けたと判別したときには、ドア開閉駆動部118を駆動制御してドアを開閉すると共に、対象人物の乗車をカメラ群107の内の車外及び/又は車内を撮影するカメラの撮影画像から確認する(ステップS75)。この乗車の確認のための画像認識は、確認認証部117が備えている画像認識機能を用いて行われる。
【0114】
そして、ステップS74でドアの開閉指示を受けてはいないと判別したとき、また、ステップS75の次には、制御部101は、運転者により自車の走行スタート操作、つまり、アクセル操作がなされたか否か判別する(ステップS76)。このステップS76で、運転者によりアクセル操作がなされたと判別したときには、制御部101は、運転モードを、通常自動運転モードの状態から手動運転モードに切り替えて、走行を開始する(ステップS77)。そして、このステップS77の次には、制御部101は、処理を図6のステップS55に戻し、歩容認識による対象人物の検出処理を再開させ、このステップS55以降の処理を繰り返す。
【0115】
なお、この実施形態では、ドアの開閉を自動運転車の制御部101が自動で行うことができるように構成したので、上述のようなドアの開閉制御を行うようにしたが、制御部101は、ドアの施錠制御のみを行うようにして、乗車しようとする者や乗車中の者によりドアを開閉させるようにしても勿論よい。その場合の、ドアの施錠解除は、運転者や乗車中の者の指示に基づいて制御部101が行うか、あるいは、後述するように、乗車しようとする人物についての対象人物であるかどうかの確認認証の結果に基づいて制御部101が行うようにする。
【0116】
また、ステップS76で、運転者によるアクセル操作はなされていないと判別したときには、制御部101は、通常自動運転モードにおける走行開始指示を受けたか否か判別する(ステップS78)。このステップS78で、通常自動運転モードにおける走行開始指示を受けてはいないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS76に戻し、このステップS76以降の処理を繰り返す。
【0117】
そして、ステップS78で、通常自動運転モードにおける走行開始指示を受けたと判別したときには、制御部101は、通常自動運転モードにより走行を開始するように制御する(ステップS79)。そして、制御部101は、このステップS79の次には、図10のステップS101に移行して、後述する通常自動運転モードでの歩容認識による対象人物の検出処理を行う。
【0118】
次に、図6のステップS57において、事前設定は、無条件停止ではないと判別したときには、制御部101は、「停止は乗車定員を考慮する」と事前設定されているか否か判別する(図8のステップS81)。このステップS81で、「停止は乗車定員を考慮する」と事前設定されていると判別したときには、制御部101は、乗車人数をカメラ群107の内の車内を撮影するカメラの撮影画像から確認し、乗車人数は定員未満であるか否か判別する(ステップS82)。
【0119】
このステップS82で、乗車人数は定員未満ではない(乗車人数は定員)と判別したときには、制御部101は、その後の処理は、運転者の操作に従うこととする(ステップS89)。この場合に、制御部101は、音声メッセージ生成部120において、「定員がオーバーしますので、検出した対象人物を乗車させることはできません。停止させる場合は、手動運転でお願いします」という音声メッセージを生成して、車内用スピーカ137を通じて放音するようにしてもよい。
【0120】
この音声メッセージを受けた運転者及び/又は乗車者は、検出した対象人物を乗車させることができないが、伝言をする等の必要がある場合には、手動運転モードにおける運転操作(ブレーキ操作)により自車を停止して、検出した対象人物に伝言をする等の必要な動作を行うことができる。また、運転者及び/又は乗車者は、伝言等がなくて、停止する必要はないと判断した場合には、手動運転モードにおける運転操作により、検出した対象人物の近傍で停止することなく、通過するようにすることもできる。なお、自動運転モードであっても、伝言等するために一時停止するとの事前設定をしておけば、乗車人数が定員か定員未満かにかかわらず、検出した対象人物の近傍で一時停止して、伝言等をし、自動運転を継続することができる。
【0121】
このステップS89の次には、制御部101は、処理を図6のステップS55に戻し、このステップS55以降の処理を繰り返す。
【0122】
そして、ステップS81で、「停止は乗車定員を考慮しない」と事前設定されていると判別したとき、また、ステップS82で、乗車人数は定員未満であると判別したときには、制御部101は、「運転者及び/又は乗車者に対して問い合わせて停止する」ことが事前設定されているか否か判別する(ステップS83)。このステップS83で、「運転者及び/又は乗車者に対して問い合わせて停止する」ことが事前設定されていると判別したときには、制御部101は、運転者及び/又は乗車者に対して検出した対象人物の近傍で停止する否かを問い合わせる音声メッセージを音声メッセージ生成部120で生成し、生成した音声メッセージを音声入出力部119を通じ、車内用スピーカ137を通じて放音して問い合わせを実行する(ステップS84)。
【0123】
次に、制御部101は、この問い合わせに対して停止するとの回答を得たか否か判別する(ステップS85)。この問い合わせに対する運転者及び/又は乗車者からの回答の判別は、確認認証部117の音声認識機能により車内用マイクロフォン139で収音した音声を音声認識したり、運転者及び/又は乗車者によるタッチパネル112を通じて操作入力を監視することでなされる。
【0124】
このステップS85で、運転者及び/又は乗車者から停止しないとの回答を得たときには、制御部101は、処理をステップS89に移行して、その後の処理は、運転者及び/又は乗車者の操作に従うこととする。この場合に、制御部101は、音声メッセージ生成部120において、「停止させる場合は、手動運転でお願いします」という音声メッセージを生成して、車内用スピーカ137を通じて放音するようにしてもよい。
【0125】
そして、ステップS83で、「運転者及び/又は乗車者に対して問い合わせて停止する」ことは事前設定されてはないと判別したとき、また、ステップS85で、運転者及び/又は乗車者から停止するとの回答を得たときには、制御部101は、運転モードを手動運転モードから強制自動運転モードに切り替えて停止することを運転者及び/又は乗車者に報知し(ステップS86)、その後、手動運転モードから強制自動運転モードへの切り替え及び検出した対象人物の近傍で自車を停止させるようにする制御を実行する(ステップS87)。
【0126】
次に、制御部101は、自車が停止したか否かを判別し(ステップS88)、停止していないと判別したときには、処理をステップS87に戻し、停止制御を実行する。そして、ステップS88で、自車が停止したと判別したときには、制御部101は、強制自動運転モードを解除して、運転モードを通常自動運転モードに切り替える(図9のステップS91)。
【0127】
次に、制御部101は、音声メッセージ生成部120で、前述したような検出した対象人物の呼び掛け名称(愛称)を含む呼び掛け音声メッセージを生成して、当該呼び掛け音声メッセージを音声入出力部119を通じ、車外用スピーカ138を通じて放音し、これにより、検出した検出した対象人物に対する呼び掛けを実行して、注意喚起する(ステップS92)。
【0128】
そして、制御部101は、乗車人数が定員未満であるか否か判別し(ステップS93)、乗車人数が定員であるときには、処理を図7のステップS76に移行し、このステップS76以降の処理を実行する。この際に、制御部101は、音声メッセージ生成部120で、例えば「定員がオーバーしますので、検出した対象人物を乗車させることはできません。用事が済んだ後には、発進操作あるいは発進合図をお願いします」という音声メッセージを生成して、車内用スピーカ137を通じて放音するようにしてもよい。なお、発進操作は、手動運転モードでの発進用であり、発進合図は通常自動運転モードでの発進用となる。
【0129】
ステップS93で、乗車人数は定員未満であると判別したときには、制御部101は、音声メッセージ生成部120で、自車の外部に居る検出した対象人物に対して乗車を希望するか否かの問い合わせの音声メッセージを生成して、生成した音声メッセージを音声入出力部119を通じ、スピーカ138を通じて放音し、これにより、検出した検出した対象人物に対して問い合わせを行う(ステップS94)。
【0130】
次に、制御部101は、この問い合わせに対する車外の対象人物からの回答を受けて、乗車希望であるか否かを判断する(ステップS95)。この問い合わせに対する対象人物からの回答の判別は、確認認証部117の音声認識機能により車外用マイクロフォン140で収音した音声を音声認識することでなされる。
【0131】
このステップS95で、対象人物は乗車希望ではないと判別したときには、制御部101は、処理を図7のステップS76に移行させ、前述したステップS76以降の処理を実行する。
【0132】
また、ステップS95で、対象人物は乗車希望していると判別したときには、制御部101は、対象人物から確認認証用の情報を取得して、確認認証を実行する(ステップS96)。すなわち、制御部101は、検出した対象人物についての確認認証用情報を、対象人物情報記憶部136から取得して、当該確認認証用情報が顔画像であれば、カメラ群107の内の車外カメラにより対象人物の顔画像を撮影して取得し、その取得した顔画像と、対象人物情報記憶部136から読み出した対象人物の顔画像とを比較参照して、対象人物の確認認証を行う。この際に、確認認証部117が備える画像認識機能が用いられる。また、制御部101は、確認認証用情報が発声音声であれば、車外用マイクロフォン140で対象人物の発声音声を収音し、その収音した発声音声と、対象人物情報記憶部136から読み出した対象人物の発声音声とを比較参照して、対象人物の確認認証を行う。この際に、確認認証部117が備える音声認識機能が用いられる。
【0133】
次に、制御部101は、この確認認証の結果、認証がOKであるか否か判別する(ステップS97)。そして、制御部101は、確認認証がOKであると判別したときには、ドア開閉駆動部118を駆動制御してドアを開閉すると共に、対象人物の乗車をカメラ群107の内の車外及び/又は車内を撮影するカメラの撮影画像から確認する(ステップS98)。この乗車の確認のための画像認識は、確認認証部117が備えている画像認識機能を用いて行われる。また、制御部101は、確認認証がOKではなくNGであると判別したときには、認証NGであるので、乗車を拒否する旨の音声メッセージを音声メッセージ生成部120で生成して、その生成した音声メッセージを音声入出力部119を通じ、車外用スピーカ138を通じて検出した人物に対して報知する(ステップS99)。
【0134】
そして、ステップS98の次には、また、ステップS99の次には、制御部101は、処理を図7のステップS76に移行させ、前述したステップS76以降の処理を実行する。
【0135】
次に、図6のステップS54で、運転モードが通常自動運転モードであると判別したとき、また、図7のステップS79で、通常自動運転モードにより走行を開始したときには、制御部101は、歩容認識による対象人物の検出を実行して、対象人物を検出したか否かを判別する(図10のステップS101)。このステップS101で、対象人物を検出してはいないと判別したときには、制御部101は、処理を図6のステップS54に戻し、このステップS54以降の処理を繰り返す。
【0136】
ステップS101で、対象人物を検出したと判別したときには、制御部101は、運転モードが通常自動運転モードであるので、運転者及び/又は乗車者が存在するか否か判別し(ステップS102)、運転者及び/又は乗車者が存在すると判別したときには、検出した対象人物の呼び掛け名称(愛称)を対象人物情報記憶部136から取得して、検出した対象人物が誰であるかを運転者及び/又は乗車者に報知する(ステップS103)。
【0137】
次に、制御部101は、事前設定により、無条件停止が設定されているか否か判別する(ステップS104)。このステップS104で、無条件停止が設定されていると判別したときには、制御部101は、強制自動運転モードに切り替えて停止することを運転者及び/又は乗車者に報知すると共に、手動運転モードから強制自動運転モードへの切り替え及び検出した対象人物の近傍で自車を停止させるようにする制御を実行する(ステップS105)。
【0138】
次に、制御部101は、自車が停止したか否かを判別し(ステップS106)、停止していないと判別したときには、処理をステップS105に戻し、停止制御を実行する。そして、ステップS106で、自車が停止したと判別したときには、制御部101は、処理を図9のステップS91に移行して、強制自動運転モードを解除して、運転モードを通常自動運転モードに切り替え、その後、ステップS91以降の処理を実行する。
【0139】
そして、ステップS104で、事前設定は、無条件停止ではないと判別したときには、制御部101は、「停止は乗車定員を考慮する」と事前設定されているか否か判別する(ステップS107)。このステップS107で、「停止は乗車定員を考慮する」と事前設定されていると判別したときには、制御部101は、乗車人数は定員未満であるか否か判別する(ステップS108)。このステップS108で、乗車人数は定員未満であると判別したとき、または、ステップS107で、「停止は乗車定員を考慮する」と事前設定されてないと判別したときには、には、制御部101は、処理を図8のステップS83に移行させ、このステップS83以降の処理を実行する。
【0140】
また、ステップS108で、乗車人数は定員未満ではない(乗車人数は定員)と判別したときには、制御部101は、音声メッセージ生成部120において、「定員がオーバーしますので、検出した対象人物を乗車させることはできません。停止させる場合は、手動運転でお願いします」という音声メッセージを生成して、車内用スピーカ137を通じて放音するようにすると共に、通常自動運転モードは継続するようにする(図11のステップS111)。
【0141】
この音声メッセージを受けた運転者及び/又は乗車者は、検出した対象人物を乗車させることができないが、伝言をする等の必要がある場合には、手動運転モードにおける運転操作(ブレーキ操作)により自車を停止して、検出した対象人物に伝言をする等の必要な動作を行うことができる。また、運転者及び/又は乗車者は、伝言等がなくて、停止する必要はないと判断した場合には、手動運転モードにおける運転操作により、検出した対象人物の近傍で停止することなく、通過することもできる。なお、自動運転モードであっても、伝言等するために一時停止するとの事前設定をしておけば、乗車人数が定員か定員未満かにかかわらず、検出した対象人物の近傍で一時停止して、伝言等をし、自動運転を継続することができる。
【0142】
次に、制御部101は、手動運転モードへの切替操作を検出したか否かを判別し(ステップS112)、手動運転モードへの切替操作を検出しないと判別したときには、処理を図10のステップS101に戻し、このステップS101以降の処理を繰り返す。また、ステップS112で、手動運転モードへの切替操作を検出したと判別したときには、制御部101は、運転モードを、通常自動運転モードから手動運転モードに切り替え(ステップS113)、その後は、運転者の操作に従う処理を行うようにする(ステップS114)。そして、このステップS114の次には、制御部101は、処理を図6のステップS55に戻し、このステップS55以降の処理を実行するようにする。
【0143】
次に、図10のステップS102で、運転者及び/又は乗車者は存在せず、無人運転中であると判別したときには、制御部101は、通常自動運転モードのままで、検出した対象人物の近傍で自車を停止させるようにする制御を実行する(図12のステップS121)。つまり、通常自動運転モードにおける無人運転中においては、無条件停止の設定がなされていない場合であっても、常に、検出した対象人物の近傍で停止するようにする。ただし、この場合は、強制自動運転モードに切り替えてもよいが、無人運転中であるので、強制自動運転モードに切り替える必要はなく、通常自動運転モードのままでも良い。
【0144】
次に、制御部101は、自車が停止したか否かを判別し(ステップS122)、停止していないと判別したときには、処理をステップS121に戻し、停止制御を実行する。そして、ステップS122で、自車が停止したと判別したときには、制御部101は、音声メッセージ生成部120で、前述したような検出した対象人物の呼び掛け名称(愛称)を含む呼び掛け音声メッセージを生成して、当該呼び掛け音声メッセージを音声入出力部119を通じ、車外用スピーカ138を通じて放音し、これにより、検出した検出した対象人物に対する呼び掛けを実行して、注意喚起する(ステップS123)。
【0145】
次に、制御部101は、音声メッセージ生成部120で、自車の外部に居る検出した対象人物に対して乗車を希望するか否かの問い合わせの音声メッセージを生成して、生成した音声メッセージを音声入出力部119を通じ、車外用スピーカ138を通じて放音し、これにより、検出した対象人物に対して乗車を希望するか否かの問い合わせを行う(ステップS124)。
【0146】
次に、制御部101は、この問い合わせに対する車外の対象人物からの回答を受けて、乗車希望であるか否かを判断する(ステップS125)。この問い合わせに対する対象人物からの回答の判別は、確認認証部117の音声認識機能により車外用マイクロフォン140で収音した音声を音声認識することでなされる。
【0147】
このステップS125で、対象人物は乗車希望ではないと判別したときには、制御部101は、通常自動運転モードで走行を開始し(ステップS130)、その後、処理を図10のステップS101に移行させて、このステップS101以降の処理を実行する。
【0148】
また、ステップS125で、対象人物は乗車希望していると判別したときには、制御部101は、対象人物から確認認証用の生体情報等の情報を取得して、確認認証を実行する(ステップS126)。すなわち、制御部101は、検出した対象人物についての確認認証用情報を、対象人物情報記憶部136から取得して、当該確認認証用情報が顔画像であれば、カメラ群107の内の車外カメラにより対象人物の顔画像を撮影して取得し、その取得した顔画像と、対象人物情報記憶部136から読み出した対象人物の顔画像とを比較参照して、対象人物の確認認証を行う。この際に、確認認証部117が備える画像認識機能が用いられる。また、制御部101は、確認認証用情報が発声音声であれば、車外用マイクロフォン140で対象人物の発声音声を収音し、その収音した発声音声と、対象人物情報記憶部136から読み出した対象人物の発声音声とを比較参照して、対象人物の確認認証を行う。この際に、確認認証部117が備える音声認識機能が用いられる。
【0149】
次に、制御部101は、この確認認証の結果、認証がOKであるか否か判別する(ステップS127)。そして、制御部101は、確認認証がOKであると判別したときには、ドア開閉駆動部118を駆動制御してドアを開閉すると共に、対象人物の乗車をカメラ群107の内の車外及び/又は車内を撮影するカメラの撮影画像から確認する(ステップS128)。この乗車の確認のための画像認識は、確認認証部117が備えている画像認識機能を用いて行われる。また、制御部101は、確認認証がOKではなくNGであると判別したときには、認証NGであるので、乗車を拒否する旨の音声メッセージを音声メッセージ生成部120で生成して、その生成した音声メッセージを音声入出力部119を通じ、車外用スピーカ138を通じて検出した人物に対して報知する(ステップS129)。
【0150】
そして、ステップS128の次には、また、ステップS129の次には、制御部101は、通常自動運転モードで走行を開始し(ステップS130)、その後、処理を図10のステップS101に移行させて、このステップS101以降の処理を実行する。
【0151】
[実施形態の自動運転車による歩容認識による対象人物の検出処理動作の一態様]
次に、この実施形態の自動運転車1による歩容認識による対象人物の検出処理動作態様の一例について、図13を参照して説明する。この例は、対象人物を発見したら、自動運転車1は、その近傍で停止して、乗車を問い合わせるとした場合である。
【0152】
図13(A)示すように、この実施形態の自動運転車1が走行しているときに、対象人物情報記憶部136に記憶されている対象人物としての一人である人物2が、自動運転車1の前方を歩いていたとする。このとき、自動運転車1において、当該人物2が歩容認識の検出対象として設定されていて、かつ、歩容認識による検出処理が実行されているとすると、自動運転車1が、図13(A)に示すように、人物2との距離Lが例えば40~50メートル程度に近づくと、自動運転車1の制御部101は、当該人物2を、歩容認識による検出対象の人物として検知する。もちろん、40~50メートル程度より長くてもよいし、短くてもよいし、自動運転車の走行速度により可変とすることもできる。つまり、走行速度が速い場合は、より遠方から歩容認識を開始する。
【0153】
このとき、自動運転車1に運転者及び/又は乗車者が存在している場合には、制御部101は、前述したように、当該人物2の検知を運転者及び/又は乗車者に報知する。そして、無条件停止が設定されているとき、あるいは、問い合わせにより運転者及び/又は乗車者により停止が指示されたときには、自動運転車1は、図13(A)の実線矢印で示すように、当該人物2の傍に近づいて、図13(B)に示すように停止する。
【0154】
そして、自動運転車1の制御部101は、人物2に対して呼び掛けを行って、停止中の自動運転車1の存在を注意喚起する。更に、自動運転車1の制御部101は、人物2に対して乗車するか否かの問い合わせを行い、その問い合わせに対して人物2から乗車するとの回答を得たときには、当該人物2を自動運転車1に乗車させるようにする。
【0155】
以上のようにして、この実施形態の自動運転車1によれば、歩容認識の技術を用いることで、自車が備えているカメラの撮影画像から、予め登録して記憶している対象人物が自車の走行方向の前方を歩行しているときに、それを検出することができ、その検出結果に応じて、自車を検出した対象人物の近傍に停止させ、乗車を促すことができ、非常に便利である。
【0156】
[他の実施形態]
上述の実施形態の自動運転車1は、歩容認識による対象人物の検出及び判別の機能を自車が備えるようにしたが、インターネットなどの通信ネットワークを通じたサーバ装置に歩容認識による対象人物の検出及び判別の機能を設けて、当該サーバ装置と協働することで、歩容認識による対象人物の検出及び判別を行うように構成してもよい。
【0157】
図14は、そのように構成した場合の自動運転車1Aとサーバ装置3とからなるシステムの構成の要部を説明するための図である。図14に示すように、この例では、自動運転車1Aとサーバ装置3とは、通信ネットワークの例としてのインターネット4を通じて互いに無線接続することができるように構成される。
【0158】
この例の自動運転車1Aの電子制御回路部10Aは、図14に示すように、制御部101Aに対して、システムバス100を通じて、サーバ装置3とインターネット4を通じて無線接続するための無線通信部121と、無線送信情報生成部122と、無線受信情報処理部123とが接続される。そして、図14では図示は省略するが、この例の自動運転車1Aの電子制御回路部10Aには、上述した実施形態の自動運転車1の電子制御回路部10における対象人物情報登録部114、歩容認識判別部115、確認認証部117及び対象人物情報記憶部136は設けられない。
【0159】
その代わりに、サーバ装置3においては、制御部31に対して、システムバス30を通じて、対象人物情報登録部32、歩容認識判別部33、確認認証部34が接続されると共に、対象人物情報記憶部35が、対象人物情報登録部32、歩容認識判別部33及び確認認証部34と接続されて設けられる。更に、システムバス30には、インターネット4を通じて自動運転車1Aと接続するための無線通信部36が接続されている。
【0160】
サーバ装置3の対象人物情報記憶部35には、図3に示した対象人物情報記憶部136に記憶される情報と同様の情報が記憶される。ただし、この例の場合には、自動運転車1Aのそれぞれには識別情報が付与されており、その自動運転車1Aの識別情報により、サーバ装置3の対象人物情報記憶部35においては、識別情報で区別される記憶エリアに、自動運転車1Aのそれぞれ毎の対象人物情報が記憶されている。
【0161】
すなわち、対象人物情報の登録に当たっては、この例の場合には、自動運転車1Aのカメラ群107のカメラで撮影された対象人物の撮影画像情報が、無線送信情報生成部122で自車の識別情報を含めた無線送信情報とされて、無線通信部121を通じ、インターネット4を通じてサーバ装置3に送られる。
【0162】
サーバ装置3では、無線通信部36で当該自動運転車1Aからの送信情報を受信し、対象人物情報登録部32で対象人物の歩容情報が抽出される。そして、抽出された歩容情報は、図3に示したものと同様にして、自動運転車1Aの識別情報に対応した記憶エリアに、対象人物情報として登録される。また、対象人物の確認認証用情報も、自動運転車1Aからサーバ装置3に無線送信され、対象人物情報登録部32により対象人物情報記憶部35の自動運転車1Aの識別情報に対応した記憶エリアに、図3に示したものと同様にして記憶される。
【0163】
そして、この例の場合には、自動運転車1Aは、走行中に歩容認識による対象人物の検出処理が実行するように指定されているときには、カメラ群107の外部撮影用カメラの撮影画像情報が、無線送信情報生成部122で自車の識別情報を含めた無線送信情報とされて、無線通信部121を通じ、インターネット4を通じてサーバ装置3に送られる。
【0164】
サーバ装置3では、無線通信部36で当該自動運転車1Aからの送信情報を受信し、歩容認識判別部33で歩容認識及び対象人物の判別を行い、その判別結果を無線通信部36を通じ、インターネット4を通じて自動運転車1Aに送信する。
【0165】
自動運転車1Aは、無線通信部121でサーバ装置3からの情報を受信し、無線受信情報処理部123で、歩容認識判別部33の判別結果を解析し、対象人物を検出したか否かを判断するようにする。そして、自動運転車1Aの歩容認識判別結果対応処理部116(制御部101A)は、無線受信情報処理部123の判断結果に応じて、上述の実施形態と同様の処理を実行するようにする。
【0166】
確認認証処理についても同様であり、自動運転車1Aから無線送信された確認認証用情報を用いて、サーバ装置3の確認認証部34で確認認証がなされる。そして、サーバ装置3gは、その認証結果を自動運転車1Aに送信する。自動運転車1Aでは、無線受信情報処理部123で、確認認証結果を解析し、その解析結果に基づいて、制御部101Aは、上述した確認認証結果に応じた処理を行う。その他の構成は、この例においても、上述の実施形態と同様の構成とされる。
【0167】
この例の場合の自動運転車1Aは、歩容認識に関する処理は、サーバ装置3で担う構成であるので、制御部101Aは、その分の負荷が少なくなり、自動運転などの運転制御に集中することができるという効果がある。
【0168】
[その他の実施形態又は変形例]
上述の実施形態では、検出した対象人物を乗車させるときに、当該対象人物について確認認証を行うようにしたが、歩容認識による認識精度は高く、しかも、この実施形態では、歩容認識補助情報をも用いるようにしており、認識率は99%となることが報告されているので、この確認認証は省略してもよい。
【0169】
また、上述の実施形態では、検出した対象人物に対して注意を喚起するときには、当該対処人物の呼び掛け名称(愛称)を含む呼びかけ音声を送出するようにした。しかし、呼びかけ音声ではなく、クラクションを鳴動させる、注意喚起音を放音するなどによる注意喚起であってもよい。また、呼びかけ音声を送出するのではなく、対象人物の携帯電話端末の電話番号やメールアドレスを記憶しておき、その電話番号に電話をして、「あなたを乗車させるべく、近くに停止しています」という音声メッセージを携帯電話により通知してもよいし、そのメールアドレスに「あなたを乗車させるべく、近くに停止しています」というメールを送ってもよいし、さらに停止位置のGPS情報も合わせて送ってもよい。もちろん、メールに限らずLINE等の通信アプリでもよい。これらの場合には、自動車には、携帯電話の機能を搭載しておくようにして、運転者及び/又は乗車者が携帯電話機能で通話することができるようにしてもよいし、自動車が例えばAI(Artificial Intelligence;人工知能)機能や、自動音声により検出した対象人物と通話をする機能を備えるように構成してもよい。このような構成の場合、家族構成員やグループ構成員等、車外にいる人物からの連絡で歩容認識の対象人物に設定することもできる。この場合、現在地もわかるため、その周辺に行った場合には念入りに歩容認識をすることもできる。
【0170】
なお、上述の実施形態では、自動車を走行中に、ついでに歩容認識することで対象人物を偶然に検出することを想定するようにしたが、対象人物を念入りに丁寧に探すモード(探索モードや注視モード)を、別途設けるようにしてもよい。この探索モードや注視モードを、例えば、家族の帰宅時間帯や退社時間帯において駅周辺を走行するときに設定すれば、当該家族を対象人物として検出することができる確率を上げることができる。この場合の探索モードや注視モードにおいては、駅周辺など、同一の場所を周回するなどの走行を行う。また、対象人物の行動予定表(スケジュール)を事前に登録しておき、自動運転車に予定時間に予定場所を周回させ、対象人物を見つけやすくしてもよい。例えば、対象人物の通勤時間帯や通学時間帯に最寄り駅周辺を自動運転車に周回させるようにする。
【0171】
また、上述の実施形態では、電気自動車の場合について説明したが、この発明の自動車は、電気自動車に限られるものではなく、例えば、ガソリンエンジン車、ジーゼルエンジン車などであってもよい。さらに、自動車に限らず、オートバイ等の自動2輪や電動自転車、電動車椅子にも適用可能である。
【0172】
また、上述の実施形態では自動運転車の場合について説明したが、この発明は、自動運転モードを有せず、手動運転モードしか有しない通常の自動車にも適用できる。また、自動運転モードしか有しない自動運転車であっても適用可能であることは言うまでもない。
【0173】
また、この発明による自動車は、陸上のみではなく空中の移動(航行)することができる空陸両用車(空飛ぶ自動車)にも適用できる。図15は、この発明による自動車の実施形態としての空陸両用車1ALの外観の一例と、この実施形態の空陸両用車1ALにより対象人物2を歩容認識により検出する態様の例を説明するための図であり、特に、実施形態の空陸両用車1ALが空中を移動(航行)しながら、対象人物2を歩容認識により検出する態様の一例である。
【0174】
この実施形態の空陸両用車1ALは、上述した実施形態の自動運転車1と同様に、自車の外部の見通しエリアを撮影する1又は複数のカメラを備えると共に、歩容認識の対象とする対象人物を登録する機能や、カメラの撮影画像に基づいて歩容認識を行い、対象人物を検出する歩容認識判別機能、及び歩容認識判別結果対象処理機能を備えている。
【0175】
そして、この実施形態の空陸両用車1ALは、陸上を走行する陸上モードと、空中を移動(航行)する空中モードとを備えており、モードの違いにより、歩容認識のための登録、歩容認識判別及び認識判別結果対応処理が異なるように構成されている。
【0176】
すなわち、陸上モードのための対象人物の歩容情報の登録は、前述の実施形態の自動運転車1の場合と同様に、自車の走行方向の前方を撮影するカメラで対象人物を撮影し、その撮影情報から対象人物の歩容情報を抽出して、記憶部に記憶することでなされる。一方、空中モードのための対象人物の歩容情報の登録は、空陸両用車1ALが空中に存在する状態で、対象人物の歩行を、斜め下方を撮影するカメラで撮影し、その撮影情報から対象人物の歩容情報を抽出して記憶するようにする。
【0177】
そして、この実施形態の空陸両用車1ALは、陸上モードのときには、上述の実施形態と同様に、自車の走行方向の前方のカメラを用いて撮影した撮影画像と、陸上モード用の歩容情報とから、対象人物の歩容認識判別を行う。また、空中モードのときには、空中に存在する空陸両用車1ALの斜め下方を撮影するカメラを用いて撮影した撮影画像と、空中航行モード用の歩容情報とから、対象人物の歩容認識を行う。
【0178】
そして、この実施形態の空陸両用車1ALは、陸上モードにおいては、対象人物を歩容認識により検出したときには、上述した実施形態の自動運転車1と同様の歩容認識判別結果対応処理を行う。これに対して、空中モードにおいては、着陸して陸上モードに切り替えて歩容認識判別結果対応処理を行うようにしてもよいが、検出した対象人物に問い合わせをして乗車を拒否された場合には、陸上モードへ切り替えて、当該陸上モードにおける歩容認識判別結果対応処理が無駄になり、非効率である。
【0179】
そこで、この例では、空中に居る空陸両用車1ALは、予め登録情報に含められて記憶されている対象人物の携帯電話番号を用いて、対象人物の携帯電話端末と無線通信路を生成して、乗車するか否かの問い合わせを行うようにし、その問い合わせの結果に基づいて、着陸して陸上モードに切り替えて当該対象人物を乗車させるか、あるいは、そのまま空中モードによる空中移動(航行)を継続するかを決定するようにする。
【0180】
すなわち、携帯電話での問い合わせの結果、対象人物が乗車するとの回答をしたときには、空陸両用車1ALは、自車を着陸させて陸上モードに切り替え、検出した対象人物の近傍で停止し、確認認証を行って、対象人物を乗車させるようにする。また、携帯電話での問い合わせにより、対象人物が乗車を拒否したり、対象人物を乗車させる必要ないときには、空陸両用車1ALは、自車を、そのまま空中モードを継続させて、空中移動(航行)を継続するようにする。
【0181】
なお、対象人物に対する問い合わせのための無線通信路は、携帯電話端末に限られるものではなく、その他の無線通信端末であってもよく、その場合には、その無線通信端末と空陸両用車1ALとの間で無線通信路を生成するための接続用情報が対象人物の登録情報に含められて記憶されるものである。
【0182】
無線通信路を介して対象人物が携帯する携帯電話端末や無線通信端末と、空陸両用車1ALとが通信可能となっている場合は、空陸両用車1ALからの問合せのみならず、対象人物が携帯電話端末や無線通信端末を用いて乗車希望要求を空陸両用車1ALに無線送信し、歩容認識を依頼することもできる。この場合に、空陸両用車1ALには、対象人物の識別情報に歩容情報が対応付けられて記憶されているのは、上述の実施形態と同様である。
【0183】
そして、この場合に、対象人物から無線送信される乗車希望要求には、対象人物の識別情報と、対象人物の現在位置の情報とが含められると共に、対象人物により入力指定される現在位置からどこに向かうかの情報(経由地や目的地の情報)が含められる。現在位置の情報は、対象人物が携帯する携帯電話端末や無線通信端末にGPS(Global Positioning System)機能が搭載されていれば、そのGPS情報を用いることができる。
【0184】
そして、乗車希望要求を受信した空陸両用車1ALは、乗車希望要求に含まれる識別情報から、対象人物を特定し、現在位置の情報と、現在位置からどこに向かうかの情報(経由地や目的地の情報)から対象人物の移動経路を考慮しつつ、自車が対象人物と遭遇するであろう位置を推定し、その推定する位置の近傍に到着したら、その位置近傍において歩容認識を重点的に行うようにする。なお、現在位置の情報と、現在位置からどこに向かうかの情報(経由地や目的地の情報)から対象人物の移動経路は、空陸両用車1ALが備えるカーナビ機能部の経路探索機能により検出して把握することができる。
【0185】
なお、この対象人物側から乗車希望要求を無線送信する態様は、空陸両用車1ALに限らず、上述の実施形態の自動運転車などの自動車や、自動2輪車、その他の自動車でも同様に構成できる。
【符号の説明】
【0186】
1…自動運転車、3…サーバ装置、4…インターネット、10…電子制御回路部、101…制御部、114…対象人物情報登録部、115…歩容認識判別部、116…歩容認識判別結果対応処理部、117…確認認証部、118…ドア開閉駆動部、119…音声入出力部、120…音声メッセージ生成部、121…無線通信部
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