(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】自動ドレン排出装置
(51)【国際特許分類】
F04B 41/02 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
F04B41/02 A
(21)【出願番号】P 2023116185
(22)【出願日】2023-07-14
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000154521
【氏名又は名称】株式会社フクハラ
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】福原 廣
(72)【発明者】
【氏名】福井 弘幸
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-097602(JP,A)
【文献】実開平04-014775(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気圧回路内のドレン水を排出する自動ドレン排出装置であって、
ドレン排出弁部と、水位センサ部と、制御部とから成り、
該ドレン水を該圧縮空気圧回路から該ドレン排出弁部に導くドレン排出管のうち、該圧縮空気圧回路の機器のドレン排出口と該ドレン排出弁部との中点よりも、機器の該ドレン排出口寄りに該水位センサ部があり、
該水位センサ部は、センサ素子を持つ円筒状のセンサホルダと2つのブッシング部とセンサ保護カバーとから成り、
該センサホルダを2つの該ブッシング部で挟み込み、該センサホルダと該ブッシング部との間にはOリングがあり、
該センサホルダは、該ブッシング部に対して、設置時に、該円筒の軸を中心として回転可能であり、
該センサホルダは、2つの該ブッシング部を跨ぐように配置される該センサ保護カバーで覆われ、該ブッシング部と該センサ保護カバーによって、該センサホルダは、外気から遮断されており、
該センサ保護カバーは、防水性、遮光性を持ち、
該制御部は、該水位センサ部での水位の検知に応じて、該ドレン排出弁部を開閉することを特徴とする自動ドレン排出装置。
【請求項2】
前記圧縮空気圧回路の機器は、エアタンクであり、前記ドレン排出口は、該エアタンクの下部にあり、
前記ドレン排出管はエルボ管を含み、前記水位センサ部は、該エルボ管の端部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の自動ドレン排出装置。
【請求項3】
前記圧縮空気圧回路の機器は、エアタンクであり、前記ドレン排出口は、該エアタンクの下部にあり、
前記ドレン排出管はエルボ管を含み、前記水位センサ部は、前記ドレン排出口と該エルボ管の端部との間にあり、
前記水位センサ部は上下方向に相通していることを特徴とする請求項1に記載の自動ドレン排出装置。
【請求項4】
前記水位センサ部の検知方法は、抵抗式又は静電容量式であることを特徴とする請求項1に記載の自動ドレン排出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記水位センサ部で水位を検知した後、水位を検知しなくなってから一定の期間、前記ドレン排出弁部の開放状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の自動ドレン排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドレン排出装置に関し、詳しくは、本体と分離した水位センサを持つ自動ドレン排出装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンプレッサに構成されたエアタンク等に溜まったドレンを処理するための方法の一つとして、ドレンを自動的に排出する自動ドレン排出装置を用いる方法がある。
しかし、自動ドレン排出装置の設置状態によっては、水量を検出する部分に空気が残留してしまうという、所謂、エアバイディングが発生してしまい、ドレン排出がうまくいかないこともあった。
【0003】
エアバイディングを回避する方法として、均圧管を設置する方法や水量検知とは別に、定期的に、一定の時間、弁を開放し、空気だまりを解消する方法がある。
しかしながら、均等管の設置は手間がかかるし、一定時間の弁の開放は、無用に圧縮空気を排出することとなり、圧縮空気の利用効率を下げる結果となっていた。
そこで、自動ドレン排出装置について、均等管を用いず、定期的な弁の開放を行うことなく、確実に、ドレンを排出する技術が求められていた。
【0004】
このような問題に対して、従来からも様々な技術が提案されている。例えば、自動的にドレンを排出する装置(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。より詳しくは、圧縮空気を作り出すエアコンプレッサと圧縮からドレンを発生させるエアタンクと圧縮空気によってドレンを送り出すドレン排出弁とドレンを清水にするドレン処理装置より構成されている自動ドレン排出装置において、発生したドレンをドレン排出弁から送り出すためのドレンセンサの情報を得られるように、エアタンクからドレン排出弁の間までの何れかの位置にドレンセンサを配設し、ドレンをドレン処理装置内で移動させるために一定の時間の間圧縮空気を引き続いて送り出す制御部を配設している。
しかしながら、ドレン排出のために、短時間ではあるが、定期的に、圧縮空気を排出しなければならず、圧縮空気の利用効率を下げるものとなっており、上記問題点の解決には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、圧縮空気圧回路において、均等管を用いず、定期的な弁の開放を行わずに、確実に、ドレンを自動的に排出することが可能な自動ドレン排出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、ドレン排出弁部と、水位センサ部と、制御部とから成り、ドレン水を圧縮空気圧回路からドレン排出弁に導くドレン排出管のうち、圧縮空気圧回路の機器のドレン排出口とドレン排出弁との中点よりも、機器のドレン排出口寄りに水位センサがあり、制御部は、水位センサでの水位の検知に応じて、ドレン排出弁部を開閉する手段を採る。
【0008】
また、本発明は、圧縮空気圧回路の機器が、エアタンクであり、ドレン排出口は、エアタンクの下部にあり、ドレン排出管は、エルボ管を含み、水位センサ部は、エルボ管の端部に接続されている手段を採る。
【0009】
さらに、本発明は、圧縮空気圧回路の機器が、エアタンクであり、ドレン排出口は、エアタンクの下部にあり、ドレン排出管は、エルボ管を含み、水位センサ部は、ドレン排出口からエルボ管の端部との間にあり、水位センサ部は上下方向に相通している手段を採る。
【0010】
またさらに、本発明は、ドレン水位センサが、抵抗式又は静電容量式である手段を採る。
【0011】
さらにまた、本発明は、制御部が、水位センサ部で水位を検知した後、水位を検知しなくなってから一定の期間、ドレン排出弁の開状態を維持する手段を採る。
【0012】
そしてまた、本発明は、水位センサ部が、水位検知部を持つ円筒状のセンサホルダ部と2つのブッシング部とセンサ保護カバーとから成り、センサホルダを2つのブッシング部で挟み込み。センサホルダとブッシング部の間にはOリングがあり、センサホルダは、ブッシング部に対して、設置時に、円筒の軸を中心として回転可能であり、センサホルダは、2つのブッシング部を跨ぐように配置されるセンサ保護カバーで覆われ、ブッシング部とセンサ保護カバーによって、センサホルダは、外気から遮断されており、センサ保護カバーは、遮光性を持つ手段を採る。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る自動ドレン排出装置によれば、圧縮空気圧回路のドレンを自動的に排出する自動ドレン排出装置において、均等管を用いず、定期的な弁の開放を行わずに、確実に、ドレンを排出することができるので、自動ドレン排出装置の性能向上に資するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る自動ドレン排出装置の実施形態を示すシステム図である。
【
図2】本発明に係る自動ドレン排出装置の実施形態を示す側面図である。
【
図3】本発明に係る自動ドレン排出装置の実施形態を示す側面拡大図である。
【
図4】本発明に係る自動ドレン排出装置における水位センサを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明にかかる自動ドレン排出装置は、均等管を用いず、定期的な弁の開放を行うことなく、確実に、ドレンを排出可能としたことを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかる自動ドレン排出装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0016】
なお、以下に示される自動ドレン排出装置の全体構成及び各部の構成は、下記に述べる実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、構造等の範囲内で適宜変更することができるものである。
【0017】
図1から
図4に従って、本発明を説明する。
図1は、本発明に係る自動ドレン排出装置の実施形態を示すシステム図である。
図2は、本発明に係る自動ドレン排出装置の実施形態を示す側面図であり、(a)はエアコンプレッサ付属のエアタンクの例、(b)は単独のエアタンクの例を示す。
図3は、本発明に係る自動ドレン排出装置の実施形態を示す側面拡大図であり、(a)はエルボ管の後段に水位センサを配置した場合、(b)はエアタンクのドレン排出口に直接水位センサを配置した場合を示している。
図4は、本発明に係る自動ドレン排出装置における水位センサを示す説明図であり、(a)は水位センサ部の斜視図、(b)は水位センサ部の側面図、(c)はA-A断面図、(d)はB-B断面図、(e)はセンサホルダとブッシングの角度を変えた例である。
【0018】
自動ドレン排出装置1は、圧縮空気圧回路内のドレン水を排出する装置である。
自動ドレン排出装置1は、ドレン排出弁部11と、水位センサ部30と、制御部20とから成る。ドレン排出弁部11と、制御部20とは、1つの筐体である自動ドレン排出装置本体10に内蔵されている。
大まかには、水位センサ部30で、ドレン3の水位を検知し、それに応じて、制御部20が、ドレン排出弁部11の電磁弁を開閉するものである。商用電源を用いる。
【0019】
ドレン排出弁部11は、ドレン12の滞留、排出を制御する部分である。
ドレン12を排出するための電磁弁を備える。ドレン排出管62に接続され、制御部20の指示をドレン排出弁制御線22経由で受け、電磁弁の開閉によって、ドレン排出を制御する。
ドレン排出弁部11から排出されたドレンは、ドレン処理装置80に送られる。ドレン12は、ドレン処理装置80で、処理され、清水となって自由に処分可能な状態となる。
【0020】
制御部20は、水位センサ部30での水位の検知に応じて、ドレン排出弁部11を開閉する。
詳しくは、水位センサ部30のセンサ素子A32、センサ素子B33からの信号を水位検出線21を介して、受け取り、2つの素子の抵抗値又は静電容量値を測定し、2つの素子の間が、空気か水かを判別する。
2つの素子の間が、水と判断された場合、つまり、水位がセンサを超えている場合は、ドレン排出弁制御線22を介して、ドレン排出弁部11に対して、弁の開放を指示する。
また、2つの素子の間が、空気と判断された場合、つまり、水位がセンサを超えてない場合は、ドレン排出弁制御線22を介して、ドレン排出弁部11に対して、弁の閉鎖を指示する。
【0021】
水位センサ部30とドレン排出弁部11との間には、比較的長いドレン排出管62がある。そのため、水位センサ部30において、水位が規定よりも下がったとしても、まだドレン排出管62内に多くのドレン12があると考えられるので、弁を閉鎖するタイミングを遅らせてもよい。
言い換えれば、制御部20は、水位センサ部30で水位を検知した後、水位を検知しなくなってから、一定の期間、ドレン排出弁部11の開放状態を維持してもよい。一定の期間は、ドレン排出管62の長さによるが、例えば1秒程度である。
【0022】
水位センサ部30は、センサ素子を持つ円筒状のセンサホルダ31と2つのブッシング部とセンサ保護カバー50とから成る。
水位センサ部30は、ドレン排出管62のいずれかの位置に取付、ドレン排出管62内のドレンの水位を検知するためのものである。横配置でも縦配置でも検知可能である。
但し、エアバイディングの影響を考慮し、ドレン排出管62のうち、圧縮空気圧回路の機器であるエアタンク60のドレン排出口61とドレン排出弁部11との中点よりも、ドレン排出口61寄りに水位センサ部30を配置する。
ドレン排出口に近い位置に、水位センサ部30を配置することで、エアバイディングの影響を少なくすることが出来る。
水位センサ部30の検知方法は、抵抗式又は静電容量式である。静電容量式は、測定物が導電体でなくても測定できるので、ドレン12の状態に寄らず検知できるので便利である。
【0023】
センサホルダ31は、センサ素子A32、センサ素子B33を保持する部分である。円筒状であり、材質は、ポリオキシメチレンが適当である。強度や耐疲労性があり、管内に挿入するセンサ素子を保持する部分として適当だからである。
側面の一部に平坦な窪みをつけ、センサ素子A32、センサ素子B33を固定している。センサ素子A32、センサ素子B33には、水位検出線21が接続され、自動ドレン排出装置本体10の制御部20まで伸びる。センサ素子A32、センサ素子B33は、ネジ状であり、ネジの先端をセンサホルダ31の内部に貫通させ、センサホルダ31の内側を流れるドレン12に接触する構造である。センサ素子A32、センサ素子B33の頭付近には、孔の隙間から、ドレン12、圧縮空気71が漏れ出ることを防ぐために、シールワッシャ34が挟んである。シールワッシャ34は、防水の意味で、通常鋼とニトリルゴムの組み合わせが好適である。
【0024】
センサ素子A32、センサ素子B33の材質は、ステンレス鋼が好適である。水に接触する部分の腐食が少ないからである。
センサホルダ31を2つのブッシング部であるブッシングA40とブッシングB41とで、挟み込み、センサホルダ31とブッシング部との間にはOリング35が配置され、密閉度を高めている。Oリングの材質はニトリルゴムが適している。
ブッシングA40、ブッシングB41は、水位センサ部30の流入側、流出側に配置され、センサホルダ31を挟む構造である。ドレン排出管62の内ねじ部にねじ込むネジ部分とフランジ42を持つ、ブッシングA40とブッシングB41のフランジ42部分でセンサホルダ31を挟む構造である。
ブッシングA40、ブッシングB41は、4つのボルト43によって、固定される。
【0025】
センサ保護カバー50は、ブッシングA40、ブッシングB41のフランジ42に沿って、周方向に配置され、水位センサ部30は、ブッシングA40、ブッシングB41とセンサ保護カバー50によって、密閉され、外部と遮断される。
水位センサ部30が外部と遮断されることによって、水位センサ部30の周囲に結露等の水分が着くことなく、センサ素子A32、センサ素子B33を誤動作することを防止することが出来る。また、水位センサ部30の材質がポリオキシメチレンであった場合、光、紫外線による劣化を防止するために、センサ保護カバー50は遮光性があると好適である。
言い換えると、センサホルダ31は、2つの該ブッシング部を跨ぐように配置されるセンサ保護カバー50で覆われ、ブッシング部とセンサ保護カバー50によって、センサホルダ31は、外気から遮断されており、センサ保護カバー50は、防水性、遮光性を持つ。
【0026】
センサホルダ31はブッシング部に対して、設置時に、センサホルダ31の円筒形状の軸を中心として回転可能である。
詳しくは、センサホルダ31は、ブッシングA40、ブッシングB41に対して、Oリングのみで固定されるので、水位センサ部30を設置する際、ブッシングA40、ブッシングB41とセンサホルダ31との取付角度を変えることが出来る。
そのため、例えば、設置時に、ドレン排出管62にブッシングA40を固定する際、ドレン排出管62へのブッシングA40のネジ部分のねじ込み量によって、ブッシングA40の上方の位置を変わってしまった場合でも、ブッシングA40に対する水位センサ部30の回転位置を変えることによって、水位センサ部30の上方位置を最適の位置にすることが出来る。
【0027】
図1に沿って、本実施形態のシステムを説明する。
エアコンプレッサ70は、圧縮空気を生成し、圧縮空気圧回路の各機器に圧縮空気を供給する。圧縮空気圧回路の機器の一つとして、エアタンク60がある。
エアコンプレッサ70で生成された圧縮空気71は、エアタンク60に貯蔵される。貯蔵された圧縮空気71は、適宜、他の機器に供給される。
エアコンプレッサ70が、空気を圧縮する際、水分もまとめられることから、圧縮空気内の水蒸気密度が上がる。そのため、外気温によっては、エアタンク60内の水蒸気が結露し、ドレン12となり、エアタンク60の下部に溜まる。ドレン12は、腐食の原因にもなるので、エアタンク60から早めに排出すべきである。
エアタンク60の下部には、ドレン排出口61があり、ドレン12はドレン排出口61から排出される。ドレン排出口61には、水位センサ部30、ドレン排出管62が接続され、ドレン排出管62の先に、自動ドレン排出装置本体10のドレン排出弁部11がある。
ドレン排出弁部11を常に開けてしまうと、エアタンク60内の圧縮空気71が排出されてしまうので、ドレン排出弁部11は、ドレン12が規定量よりも溜まった時点で開放され、ドレン12の排出が完了したら、閉鎖される。
【0028】
動作は以下の様になる。
ドレン排出弁部11が閉鎖されていると、ドレン12が水位センサ部30、ドレン排出管62に溜まり、ドレン12の水位が上昇し、水位センサ部30の水位検知レベルを超える。すると、水位センサ部30から水位検出線21を介して制御部20に水位が規定値を超えたという信号が送信される。制御部20は、受信した情報によって、ドレン排出弁部11に対して、ドレン排出弁制御線22を介して、弁を開放する指示を行う。
ドレン排出弁部11が、開放されると、ドレン排出管62に溜まったドレン12は、エアタンク60内の圧縮空気71の圧力にも助けられ、一気に排出される。排出の際、圧縮空気71の極く一部も排出される。
排出されたドレン12は、ドレン処理装置80によって、ドレン12内の異物が分離され、清水をして排出される。
ドレン12が排出されることで、ドレン12の水位が下降し、水位センサ部30の水位検知レベル未満になると水位センサ部30から水位検出線21を介して制御部20に水位が規定値未満であることを示す信号が送信される。ドレン排出弁制御線22は、ドレン排出弁部11に対して、ドレン排出弁制御線22を介して、弁を閉鎖する指示を行う。
ドレン排出弁部11は、閉鎖され、エアタンク60内の圧縮空気71が無用に排出されることを防ぐことが出来る。
【0029】
図2に沿って、エアタンク60と水位検出線21と自動ドレン排出装置本体10の位置関係を説明する。
まず、
図2(c)に沿って、従来の動作を説明する。
エアコンプレッサ70に構成されたエアタンク60や配管の途中に設置されたエアタンク60に溜まったドレン12を処理するため各種のドレン排出装置(ドレントラップともいう)が使用されているが、エアタンク60のドレン排出口61と床面までのスペースがない場合が多い。
その際、ドレン排出口61にエルボ管64を接続し、さらに直管63やチューブ等を接続し、エアタンク60から離れた位置で従来型自動ドレン排出装置90と接続している。従来型自動ドレン排出装置90は、水位センサが本体内に内蔵されたタイプである。
エアタンク60からのドレン12は、エルボ管64、直管63等を介して、従来型自動ドレン排出装置90に至る。内蔵された水位センサにより検知された水位応じて、ドレン排出弁を開閉する。ところが、エアタンク60のドレン排出口61から従来型自動ドレン排出装置90までの接続条件によっては、エアバイディングという現象が発生して、ドレン12が従来型自動ドレン排出装置90まで送られず、ドレン12があるにも関わらず、水位センサ部分で水位を検出できない場合があった。
エアバイディング(空気障害)とは、ドレン排出装置内の空気層がうまく抜けないために発生する。
図2(c)の例でいえば、A部分には、ドレン12は溜まっているが、B部分に空気はあり、空気の行き場が無いため、ドレン12が空気で押される形で、B部分に到達できない状態である。当然、水位センサ部分にもドレン12が到達しないので、排出弁を開ける制御も出来ない。
【0030】
次に、
図2(a)、(b)で、本発明でのエアタンク60と水位検出線21と自動ドレン排出装置本体10の位置関係を説明する。
図2(a)、(b)とも、エアタンク60のドレン排出口61と床面までのスペースが無い。
エアタンク60のドレン排出口61にエルボ管64を接続し、次に水位センサ部30を接続し、さらに、直管63またはホースで自動ドレン排出装置本体10と接続する。
水位センサ部30とエルボ管64の関係でいえば、圧縮空気圧回路の機器であるエアタンク60の下部にドレン排出口61があり、ドレン排出口61には、エルボ管64を含むドレン排出管61が接続され、水位センサ部30は、エルボ管64の端部に接続されている状態である。エルボ管64の端部とは、管の上流側、下流側いずれも含む。
水位センサ部30の水位検出線21は、自動ドレン排出装置本体10の制御部20に接続される。
自動ドレン排出装置本体10を配置した床面の高さは、エアコンプレッサ70等の床面と同じ場合(
図2(a))もあるし、エアコンプレッサ70、エアタンク60等の床面よりも高い場合(
図2(b))もある。
ドレン12はドレン排出口61から水位センサ部30、直管63に流入する。
図2(b)の場合を見ると、
図2(c)の従来と同様に、ドレン12が空気で押し戻され、自動ドレン排出装置本体10まで到達できなかったとしても、ドレン排出口61の直下付近にある水位センサ部30は、ドレン12の量を正確に把握できるので、ドレン12が水位センサ部30の検知量以上となった段階で、ドレン排出弁部11が開き、ドレン12を排出することが出来る。
図2(a)の場合も同様に、問題なく排出出来る。
【0031】
このように、水位センサ部30がエアタンク60の直下付近にあるため、エアバイディングが発生する箇所の前段でドレン12の水位を検知可能となるので後段でエアバイディングが発生しても水位センサ部30でドレン12有と検知されるので排出動作となり、正常はドレン排出が出来る。
【0032】
水位センサ部30の水平配置と垂直配置について説明する。
図2において、水位センサ部30は、ドレン12が水平方向に流れる部分に配置されている。これを水平配置とする。
図3(a)に拡大図を示す。
水平配置では、水位センサ部30は、エルボ管64と直管63の間に配置されることになる。センサホルダ31に設けられたセンサ素子A32、センサ素子B33間がドレン12でつながると、センサが水位を検知したことになる。
その際、
図3(a)に示すように、ドレン12の水位は、センサ素子A32のわずかに接触する状態である。管内に、ドレン12が8割程度満たされている。
ドレン12の水面13は、管の長手方向に延びているので、水面が波立つと、水面13とセンサ素子A32は容易に離れてしまう。
そのため、水位の検知は、多数回チェック等で行う必要がある。
また、水位を検知した状態で、管内の上側には、圧縮空気24が通る程度の隙間が出来ていることも多い。そうすると、ドレン排出弁部11を開放した際、ドレン12と共に、圧縮空気71も同時に排出されてしまうこともある。
すると、圧縮空気71を無駄に排出してしまうことがあり、圧縮空気の利用効率を下げる結果となる場合もあった。
【0033】
次に、
図3(b)に沿って、垂直配置の場合について説明する。
水平配置では、水位センサ部30は、ドレン排出口61とエルボ管64との間に配置されることになる。
より詳しくは、圧縮空気圧回路の機器であるエアタンク60の下部にドレン排出口61があり、ドレン排出管62はエルボ管64を含み、水位センサ部30は、ドレン排出口61とエルボ管64の端部との間にあり、水位センサ部30は上下方向に相通している状態である。
この構造では、水位センサ部30のセンサ素子A32、センサ素子B33は、水平方向に配置される。
ドレン12がドレン排出管62であるエルボ管64の内部をすべて満たし、水位センサ部30の中段付近まで到達して、初めて、センサが水位を検知する。
ドレン12の水面13は、水位センサ部30の管の太さの面積しかないことから、ほとんど波立たない。よって、検知の信頼性は水平配置よりも高い。そのため、検知の多数回チェックの必要性は小さくなる。
また、水位を検知した状態で、エルボ管64を含むドレン排出管の内部は、ほとんど、ドレン12で満たされていることから、ドレン排出弁部11を開放した際、ドレン12と共に、圧縮空気71も同時に排出されてしまう可能性は少ない。
よって、垂直配置のほうが、水平配置よりも圧縮空気の利用効率を高めることが出来る。
【0034】
このように、本発明に係る自動ドレン排出装置によれば、圧縮空気圧回路のドレンを自動的に排出する自動ドレン排出装置において、均等管を用いず、定期的な弁の開放を行わずに、確実に、ドレンを排出することができるので、自動ドレン排出装置の性能向上に資するものである。
【0035】
また、エルボ管の端部に水位センサを配置することによって、水位センサとドレン排出弁との距離を大きくとることが出来るので、エアバイディングの発生を抑えることが出来る。
【0036】
さらに、センサホルダが回転自在であることから、水位センサを配置する際、センサの位置を最適にすることが出来るので、水位センサの性能を確保することが出来る。
【0037】
そしてまた、センサ保護カバーでセンサ部分を覆うことで、センサの外部が結露等で濡れて精度が下がることを、防ぐことが出来る。また、センサ保護カバーが遮光性を持つことで、外光によるセンサホルダの劣化を防ぐことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る自動ドレン排出装置は、圧縮空気圧回路のドレンを排出するための自動ドレン排出装置の性能を向上させる技術として産業上の利用可能性は大きいと解する。
【符号の説明】
【0039】
1 自動ドレン排出装置
10 自動ドレン排出装置本体
11 ドレン排出弁部
12 ドレン
13 水面
20 制御部
21 水位検出線
22 ドレン排出弁制御線
30 水位センサ部
31 センサホルダ
32 センサ素子A
33 センサ素子B
34 シールワッシャ
35 Oリング
40 ブッシングA
41 ブッシングB
42 フランジ
43 ボルト
50 センサ保護カバー
60 エアタンク
61 ドレン排出口
62 ドレン排出管
63 直管
64 エルボ管
70 エアコンプレッサ
71 圧縮空気
80 ドレン処理装置
90 従来型自動ドレン排出装置
【要約】
【課題】圧縮空気圧回路において、均等管を用いず、定期的な弁の開放を行わずに、確実に、ドレンを自動的に排出することが可能な自動ドレン排出装置を提供する。
【解決手段】ドレン排出弁部と、水位センサ部と、制御部とから成り、ドレン水を圧縮空気圧回路からドレン排出弁に導くドレン排出管のうち、圧縮空気圧回路の機器のドレン排出口とドレン排出弁との中点よりも、機器のドレン排出口寄りに水位センサがあり、制御部は、水位センサでの水位の検知に応じて、ドレン排出弁部を開閉する手段を採用する。
【選択図】
図1