(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】広告提示システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/42 20060101AFI20241120BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20241120BHJP
G06Q 30/0241 20230101ALI20241120BHJP
【FI】
H04M3/42 B
H04M11/00 302
G06Q30/0241
(21)【出願番号】P 2024034936
(22)【出願日】2024-03-07
【審査請求日】2024-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522460830
【氏名又は名称】福地 智
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】福地 智
【審査官】小松崎 里沙
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/218609(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0223465(US,A1)
【文献】特開平11-055408(JP,A)
【文献】特開2003-115011(JP,A)
【文献】特開2012-174017(JP,A)
【文献】特開2002-118691(JP,A)
【文献】特表2003-526284(JP,A)
【文献】特開2006-013626(JP,A)
【文献】特開2000-201229(JP,A)
【文献】特開2001-309045(JP,A)
【文献】特開2001-283079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
G06Q30/00-30/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信側端末の使用状態を判定する発信側状態判定手段と、
前記発信側端末が発信側ユーザから通話の発信操作を受け付けたことに応じて、前記発信側端末において広告情報の提示を開始する発信側広告制御手段と、
当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための発信処理を開始する発信制御手段と、
前記スキップ操作を受け付けずに所定時間の広告提示が行われたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を発信側ユーザに付与する処理を行う発信側報酬制御手段と、を備え、
前記発信側状態判定手段は、前記発信側端末の音声出力手段が発信側ユーザの耳又はその周辺に近接して使用されている近接状態であるか否かを判定し、
前記発信側広告制御手段は、
前記近接状態であると判定された場合、前記広告情報として音声を前記発信側端末に出力させ、
前記近接状態ではないと判定された場合、前記広告情報として映像を前記発信側端末に表示させる
広告提示システム。
【請求項2】
着信側端末が前記通話の着信を検知したことに応じて、前記着信側端末において広告情報の提示を開始する着信側広告制御手段と、
当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を着信側ユーザから前記着信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を着信側ユーザから前記着信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための着信応答を可能な状態にする着信制御手段と、をさらに備える
請求項
1に記載の広告提示システム。
【請求項3】
前記スキップ操作を着信側ユーザから受け付けずに所定時間の広告提示が行われ、且つ着信側ユーザから前記着信応答の操作を受け付けたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を着信側ユーザに付与する処理を行う着信側報酬制御手段をさらに備える
請求項
2に記載の広告提示システム。
【請求項4】
前記着信側報酬制御手段は、着信側ユーザから前記スキップ操作を受け付けて所定時間の広告提示が行われなかったことに応じて、当該広告提示に関する報酬を着信側ユーザに付与しないように制御する
請求項
3に記載の広告提示システム。
【請求項5】
発信側端末が発信側ユーザから通話の発信操作を受け付けたことに応じて、前記発信側端末において広告情報の提示を開始する発信側広告制御手段と、
当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための発信処理を開始する発信制御手段と、
前記スキップ操作を受け付けずに所定時間の広告提示が行われたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を発信側ユーザに付与する処理を行う発信側報酬制御手段と、
着信側端末が前記通話の着信を検知したことに応じて、前記着信側端末において広告情報の提示を開始する着信側広告制御手段と、
当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を着信側ユーザから前記着信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を着信側ユーザから前記着信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための着信応答を可能な状態にする着信制御手段と、
前記スキップ操作を着信側ユーザから受け付けずに所定時間の広告提示が行われ、且つ着信側ユーザから前記着信応答の操作を受け付けたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を着信側ユーザに付与する処理を行う着信側報酬制御手段と、を備え、
前記着信側報酬制御手段は、前記スキップ操作を着信側ユーザから受け付けずに所定時間の広告提示が行われても、着信側ユーザから前記着信応答の操作を受け付けなかった場合には、当該広告提示に関する報酬を着信側ユーザに付与しないように制御する
広告提示システム。
【請求項6】
前記着信側報酬制御手段は、前記スキップ操作を着信側ユーザから受け付けずに所定時間の広告提示が行われ、且つ着信側ユーザから応答拒否の操作を受け付けたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を着信側ユーザに付与する処理を行う
請求項
3に記載の広告提示システム。
【請求項7】
発信側端末が発信側ユーザから通話の発信操作を受け付けたことに応じて、前記発信側端末において広告情報の提示を開始する発信側広告制御手段と、
当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための発信処理を開始する発信制御手段と、
前記スキップ操作を受け付けずに所定時間の広告提示が行われたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を発信側ユーザに付与する処理を行う発信側報酬制御手段と、
着信側端末が前記通話の着信を検知したことに応じて、前記着信側端末において広告情報の提示を開始する着信側広告制御手段と、
当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を着信側ユーザから前記着信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を着信側ユーザから前記着信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための着信応答を可能な状態にする着信制御手段と、を備え、
前記着信側広告制御手段は、発信側ユーザが前記スキップ操作を行った場合、前記着信側端末における広告情報の提示を自動的にスキップする
広告提示システム。
【請求項8】
広告提示システムに、
発信側端末の使用状態を判定する発信側状態判定処理と、
前記発信側端末が発信側ユーザから通話の発信操作を受け付けたことに応じて、前記発信側端末において広告情報の提示を開始する発信側広告制御処理と、
当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための発信処理を開始する発信制御処理と、
前記スキップ操作を受け付けずに所定時間の広告提示が行われたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を発信側ユーザに付与する処理を行う発信側報酬制御処理と、を実行させ、
前記発信側状態判定処理では、前記発信側端末の音声出力手段が発信側ユーザの耳又はその周辺に近接して使用されている近接状態であるか否かを判定し、
前記発信側広告制御処理では、
前記近接状態であると判定された場合、前記広告情報として音声を前記発信側端末に出力させ、
前記近接状態ではないと判定された場合、前記広告情報として映像を前記発信側端末に表示させる
プログラム。
【請求項9】
広告提示システムに、
発信側端末が発信側ユーザから通話の発信操作を受け付けたことに応じて、前記発信側端末において広告情報の提示を開始する発信側広告制御処理と、
当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための発信処理を開始する発信制御処理と、
前記スキップ操作を受け付けずに所定時間の広告提示が行われたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を発信側ユーザに付与する処理を行う発信側報酬制御処理と、
着信側端末が前記通話の着信を検知したことに応じて、前記着信側端末において広告情報の提示を開始する着信側広告制御処理と、
当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を着信側ユーザから前記着信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を着信側ユーザから前記着信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための着信応答を可能な状態にする着信制御処理と、
前記スキップ操作を着信側ユーザから受け付けずに所定時間の広告提示が行われ、且つ着信側ユーザから前記着信応答の操作を受け付けたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を着信側ユーザに付与する処理を行う着信側報酬制御処理と、を実行させ、
前記着信側報酬制御処理では、前記スキップ操作を着信側ユーザから受け付けずに所定時間の広告提示が行われても、着信側ユーザから前記着信応答の操作を受け付けなかった場合には、当該広告提示に関する報酬を着信側ユーザに付与しないように制御する
プログラム。
【請求項10】
広告提示システムに、
発信側端末が発信側ユーザから通話の発信操作を受け付けたことに応じて、前記発信側端末において広告情報の提示を開始する発信側広告制御処理と、
当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための発信処理を開始する発信制御処理と、
前記スキップ操作を受け付けずに所定時間の広告提示が行われたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を発信側ユーザに付与する処理を行う発信側報酬制御処理と、
着信側端末が前記通話の着信を検知したことに応じて、前記着信側端末において広告情報の提示を開始する着信側広告制御処理と、
当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を着信側ユーザから前記着信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を着信側ユーザから前記着信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための着信応答を可能な状態にする着信制御処理と、を実行させ、
前記着信側広告制御処理では、発信側ユーザが前記スキップ操作を行った場合、前記着信側端末における広告情報の提示を自動的にスキップする
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告提示システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電話(通話)の着信時に着信側で出力する呼び出し音として広告情報を出力する広告提示システムが提案されている(特許文献1乃至3参照)。また、このような技術の中には、広告情報の提示に対する報酬をユーザに付与するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-300286号公報
【文献】特開2002-252727号公報
【文献】特開2016-102968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来提案されている広告提示システムは、着信側で出力する呼び出し音を主として対象としており、発信側で広告情報を適切に提示する技術の詳細については言及されておらず、通話に関わる多様なユーザに広告情報を提示可能とする点で改善の余地がある。
【0005】
また、実際のユーザの状況によっては、広告情報を視聴して報酬を得るよりも通話の早期開始を優先したい場合もあるが、従来提案されている広告提示システムには、広告情報の提示制御をユーザの状況に応じて適応的に行うことができず、ユーザの利便性が低いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、通話に関わる多様なユーザに広告情報を提示可能としつつ、ユーザの利便性が高められた広告提示システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る広告提示システムは、発信側端末が発信側ユーザから通話の発信操作を受け付けたことに応じて、前記発信側端末において広告情報の提示を開始する発信側広告制御手段と、当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための発信処理を開始する発信制御手段と、前記スキップ操作を受け付けずに所定時間の広告提示が行われたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を発信側ユーザに付与する処理を行う発信側報酬制御手段と、を備える。
【0008】
第2の態様に係るプログラムは、広告提示システムに、発信側端末が発信側ユーザから通話の発信操作を受け付けたことに応じて、前記発信側端末において広告情報の提示を開始する発信側広告制御ステップと、当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための発信処理を開始する発信制御ステップと、前記スキップ操作を受け付けずに所定時間の広告提示が行われたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を発信側ユーザに付与する処理を行う発信側報酬制御ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、通話に関わる多様なユーザに広告情報を提示可能としつつ、ユーザの利便性が高められた広告提示システム及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る広告提示システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係るサーバ装置の構成例を示す図である。
【
図3】実施形態に係るサーバ装置の記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る広告提示システムの動作フロー例を示す図である。
【
図5】変更例に係るサーバ装置の構成を示す図である。
【
図6】変更例に係る端末装置を正面から観た図である。
【
図7】変更例に係る広告提示システムの動作フロー例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しながら、実施形態に係る広告提示システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0012】
(1)システム構成例
図1は、本実施形態に係る広告提示システム1の構成例を示す図である。
【0013】
本実施形態に係る広告提示システム1は、サーバ装置100と、複数の端末装置200(200a,200b)とを有する。サーバ装置100及び各端末装置200は、ネットワーク5に接続されており、ネットワーク5を介して相互に通信可能である。ネットワーク5は、インターネットを含む。ネットワーク5は、LAN(Local Area Network)及び/又はWAN(Wide Area Network)を含んでもよい。
【0014】
サーバ装置100は、本実施形態に係る情報処理を実行する情報処理装置である。サーバ装置100は、例えばワークステーション又はPCのような汎用コンピュータとしてもよいし、クラウド・コンピューティング(分散コンピューティング)によって論理的に実現されてもよい。つまり、サーバ装置100は、1つのコンピュータで構成してもよいし、複数のコンピュータで構成してもよい。本実施形態では、サーバ装置100は、ユーザ間で通話を確立するための呼制御機能と、ユーザに対して広告情報を提示する広告提示機能とを有する。サーバ装置100は、呼制御機能を提供するサーバと、広告提示機能を提供するサーバとに機能分割されていてもよい。
【0015】
なお、本実施形態では、通話とは、インターネットプロトコル(IP)を利用した音声通話であるIP電話を主として想定する。通話は、映像を伴う通話であるビデオ通話であってもよいし、映像を伴わない通話である音声通話であってもよい。
【0016】
各端末装置200は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、又はノートPC等の携帯端末である。端末装置200は、デスクトップPC等の固定端末であってもよい。各端末装置200は、ユーザとのインターフェイスと、ネットワーク5とのインターフェイスとを有する。ユーザとのインターフェイスは、表示手段(ディスプレイ)、音声入力手段(マイク)、音声出力手段(スピーカ)、操作入力手段を含む。操作入力手段は、例えば、タッチパッド(タッチパネルディスプレイであってもよい)、マウス、キーボードのうち少なくとも1つを含んでもよい。ネットワーク5とのインターフェイスは、有線通信インターフェイス及び無線通信インターフェイスのうち少なくとも1つを含む。
【0017】
なお、本実施形態では、各端末装置200には、広告提示機能を有する通話サービス(「広告付き通話サービス」とも称する)のためのアプリケーション(ソフトウェア)がインストールされていてもよい。また、各端末装置200のユーザは、広告付き通話サービスのアカウントを有し、アカウント情報(ユーザ情報)がサーバ装置100に登録されているものとする。
【0018】
以下の実施形態の説明では、端末装置200aのユーザを発信側ユーザ、端末装置200bのユーザを着信側ユーザとして、IP電話による通話を行うシナリオを想定する。端末装置200aを発信側端末とも称し、端末装置200bを着信側端末とも称する。
【0019】
(2)サーバ装置の構成例
図2は、本実施形態に係るサーバ装置100の構成例を示す図である。
【0020】
サーバ装置100は、通信部110と、記憶部120と、処理部130とを有する。通信部110、記憶部120、及び処理部130は、図示を省略するバス等によって相互に接続されている。
【0021】
通信部110は、処理部130の制御下で、ネットワーク5を介して他装置(例えば、端末装置200)との通信を行う。通信部110による通信は、有線通信であってもよいし、無線通信を含んでもよい。記憶部120は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び補助記憶装置等の種々のメモリを含んで構成される。処理部130により実行されるプログラムは、例えば、記憶部120のROM及び/又は補助記憶装置に記憶されている。処理部130は、1つ又は複数のプロセッサにより構成される。
【0022】
本実施形態では、記憶部120は、
図3に示すように、各ユーザについての情報を記憶するユーザデータベース(DB)と、各広告についての情報を記憶する広告DBと、を有する。
【0023】
図3(a)に示すように、ユーザDBに記憶される各ユーザについての情報(アカウント情報)は、ユーザIDと、名前と、電話番号と、属性情報と、報酬情報と、を含む。各ユーザについての情報(アカウント情報)は、パスワードを含んでもよい。
【0024】
ユーザIDは、本実施形態に係る広告付き通話サービスにおいて各ユーザを一意に識別するIDである。
【0025】
名前は、必須の情報ではないが、広告付き通話サービス上で表示されるユーザ名である。名前は、ニックネームであってもよい。
【0026】
電話番号は、IP電話の場合は必須ではないが、携帯電話番号(又は固定電話番号)であってもよい。
【0027】
属性情報は、ユーザの属性、例えば、年齢(年代)及び性別等の情報である。属性情報は、ユーザに提示する広告の内容を決定する際に参照されてもよい。
【0028】
報酬情報は、広告情報の視聴によって付与される報酬を示す情報である。報酬情報は、所定期間(例えば1ヶ月)単位で積算され、所定期間単位でユーザに付与され、所定期間単位でリセットされてもよい。報酬は、金銭又はその代替物、すなわち、金銭的価値を有する報酬であってもよい。例えば、当該報酬は、ユーザのアカウントに紐付けられた銀行口座に振り込まれる金銭であってもよいし、決裁アプリケーション(バーコード、スタック型2次元コード又はマトリクス型2次元コード等で決済可能なアプリ)で使用可能な電子マネー、又はブロックチェーン技術を用いた仮想通貨等であってもよい。報酬は、クーポンや商品券等であってもよい。
【0029】
図3(b)に示すように、各広告についての情報は、広告IDと、属性情報と、広告タイプと、広告情報と、を含む。各広告についての情報は、広告主の情報を含んでもよい。
【0030】
広告IDは、各広告を一意に識別するIDである。
【0031】
属性情報は、ターゲットとなるユーザの属性を示す情報である。
【0032】
広告タイプは、必須の情報ではないが、例えば動画広告であるか又は音声広告であるかを示す情報である。動画広告とは、広告映像及び広告音声を含む広告である。音声広告とは、広告映像を含まずに広告音声を含む広告である。本実施形態では、広告が動画広告である一例について説明する。なお、このような広告タイプの使い分けについては、実施形態の変更例において説明する。
【0033】
広告情報は、広告として用いるコンテンツである。本実施形態では、当該コンテンツが、音声を含む動画コンテンツである場合を主として想定するが、当該コンテンツが音声コンテンツであってもよい。当該コンテンツは、所定時間(例えば5秒間)の再生時間長である。当該所定時間は、ユーザごとに可変設定できてもよい。再生時間長が長いコンテンツであるほど、多くの報酬が付与されてもよい。
【0034】
図2に示すように、処理部130は、記憶部120に記憶されているプログラム(ソフトウェア)を実行することにより、呼制御部131と、発信側広告制御部132と、発信制御部133と、発信側報酬制御部134と、着信側広告制御部135と、着信制御部136と、着信側報酬制御部137と、の各機能を実現する。これらの各部は、通信部110を介して端末装置200との通信を行いつつ、記憶部120に記憶された情報を用いた情報処理を行う。
【0035】
呼制御部131は、IP電話のアプリケーションで呼制御を実現するための所定のプロトコルに基づく呼制御を行う。所定のプロトコルは、H.323やSIP(Session Initiation Protocol)等を含む。
【0036】
発信側広告制御部132は、端末装置200a(発信側端末)が発信側ユーザから通話の発信操作を受け付けたことに応じて、端末装置200a(発信側端末)において広告情報の提示を開始する。例えば、発信側広告制御部132は、発信側ユーザの属性に合った広告情報を取得し、取得した広告情報を端末装置200a(発信側端末)に配信することで、当該広告情報を発信側ユーザに提示する。なお、提示するとは、映像の表示及び音声の出力のうち少なくとも一方を意味するが、本実施形態では、広告情報が動画コンテンツであるため、端末装置200aは映像の表示及び音声の出力の両方を行う。但し、端末装置200aがミュート(例えばマナーモード)設定されている場合、端末装置200a(発信側端末)は、音声の出力を行わずに映像の表示を行ってもよい。
【0037】
発信側広告制御部132は、発信側ユーザに広告情報を提示する際に、当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を受け付けるための操作オブジェクト(例えばスキップボタン)を端末装置200a(発信側端末)に表示させてもよい。例えば、発信側広告制御部132は、広告情報の提示の開始時、又は広告情報の提示の開始の直後に、スキップ操作を受け付けるための操作オブジェクトを端末装置200a(発信側端末)に表示させる。当該操作オブジェクトが発信側ユーザにより選択された場合、その旨を端末装置200a(発信側端末)からサーバ装置100に通知することで、サーバ装置100がスキップ操作を検知する。
【0038】
発信制御部133は、スキップ操作を発信側ユーザから端末装置200a(発信側端末)が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又はスキップ操作を発信側ユーザから端末装置200a(発信側端末)が受け付けたことに応じて、通話を確立するための発信処理を開始する。例えば、発信制御部133は、スキップ操作がなされることなく所定時間の広告提示が行われて広告提示が完了したことを検知すると、発信処理を開始する。或いは、発信制御部133は、スキップ操作がなされたことを検知すると、発信処理を開始する。なお、発信処理は、端末装置200a(発信側端末)に対して着信通知を送信することを含んでもよい。
【0039】
発信側報酬制御部134は、スキップ操作を受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと(すなわち、発信側ユーザに対する広告提示が完了したこと)に応じて、当該広告提示に関する報酬を発信側ユーザに付与する処理を行う。例えば、広告提示が行われる所定時間が5秒間であって、発信側報酬制御部134は、5秒間の広告視聴に対して0.5円分の報酬を発信側ユーザに付与してもよい。
【0040】
一方、発信側報酬制御部134は、スキップ操作を受け付けて所定時間の広告提示が行われなかったこと(すなわち、発信側ユーザがスキップ操作を行ったこと)に応じて、当該広告提示に関する報酬を発信側ユーザに付与しないように制御する。
【0041】
このように、本実施形態によれば、発信側で広告情報を提示することを可能とし、着信側だけではなく発信側ユーザにも広告情報を提示可能とする。発信側ユーザは、広告視聴を完了することによって報酬が得られるため、広告視聴を完了する意欲を高めて十分な広告効果を得ることができる。
【0042】
また、発信側ユーザの状況によっては、広告情報を視聴して報酬を得るよりも通話の早期開始を優先したい場合もある。例えば、急ぎの用件を着信側ユーザに伝えたいような場合、発信側ユーザは、通話の早期開始を優先したいことが想定される。そこで、本実施形態では、報酬が得られないものの、広告提示のスキップ操作を受け付け可能とすることで、発信側ユーザの利便性を高めることができる。
【0043】
よって、本実施形態によれば、多様なユーザに広告情報を提示可能としつつ、ユーザの利便性が高められた広告提示システム1を実現できる。
【0044】
本実施形態では、発信側広告制御部132は、発信処理が開始されてから通話が確立されるまでの間に、それまで提示していた広告情報と異なる広告情報を端末装置200a(発信側端末)において提示してもよい。当該異なる広告情報は、着信側ユーザが広告提示をスキップした場合は不十分な時間での広告提示になり得るため、報酬の対象外としてもよい。或いは、着信側ユーザが広告提示をスキップしない場合、当該異なる広告情報は、十分な時間での広告提示になり得るため、報酬の対象としてもよい。そのため、発信側報酬制御部134は、着信側ユーザが広告提示をスキップしない場合は当該異なる広告情報の視聴について発信側ユーザに報酬を付与し、着信側ユーザが広告提示をスキップした場合は当該異なる広告情報の視聴について発信側ユーザに報酬を付与しないように制御してもよい。
【0045】
着信側広告制御部135は、端末装置200b(着信側端末)が通話の着信を検知したことに応じて、端末装置200b(着信側端末)において広告情報の提示を開始する。例えば、着信側広告制御部135は、着信側ユーザの属性に合った広告情報を取得し、取得した広告情報を端末装置200b(着信側端末)に配信することで、当該広告情報を着信側ユーザに提示する。本実施形態では、広告情報が動画コンテンツであるため、端末装置200b(着信側端末)は映像の表示及び音声の出力の両方を行う。但し、端末装置200bがミュート(例えばマナーモード)設定されている場合、端末装置200b(着信側端末)は、音声の出力を行わずに映像の表示を行ってもよい(さらに、バイブレーションで着信を報知してもよい)。
【0046】
着信側広告制御部135は、着信側ユーザに広告情報を提示する際に、当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を受け付けるための操作オブジェクト(例えばスキップボタン)を端末装置200b(着信側端末)に表示させてもよい。例えば、着信側広告制御部135は、広告情報の提示の開始時、又は広告情報の提示の開始の直後に、スキップ操作を受け付けるための操作オブジェクトを端末装置200b(着信側端末)に表示させる。当該操作オブジェクトが着信側ユーザにより選択された場合、その旨を端末装置200b(着信側端末)からサーバ装置100に通知することで、サーバ装置100がスキップ操作を検知する。
【0047】
ここで、着信側広告制御部135は、着信側ユーザに広告情報を提示する際に、着信(応答)が保留されている旨の情報(例えば、テキスト又はアイコン)を端末装置200b(着信側端末)に表示させてもよい。さらに、着信側広告制御部135は、発信者を示す情報(例えば、発信者の名前)を端末装置200b(着信側端末)に表示させてもよい。例えば、着信側広告制御部135は、「~さんからの着信が保留されています」といったテキストを端末装置200b(着信側端末)に表示させてもよい。
【0048】
さらに、着信側広告制御部135は、着信側ユーザに広告情報を提示する際に、着信応答を拒否する応答拒否操作を受け付けるための操作オブジェクト(例えば応答拒否ボタン)を端末装置200b(着信側端末)に表示させてもよい。当該操作オブジェクトが選択された場合(すなわち、着信応答が拒否された場合)、着信側広告制御部135が広告情報の提示を終了し、それ以降の処理に進まずに動作を終了してもよい。
【0049】
着信制御部136は、スキップ操作を着信側ユーザから端末装置200b(着信側端末)が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと(すなわち、発信側ユーザに対する広告提示が完了したこと)、又はスキップ操作を着信側ユーザから端末装置200b(着信側端末)が受け付けたことに応じて、通話を確立するための着信応答を可能な状態にする。例えば、着信制御部136は、スキップ操作がなされることなく所定時間の広告提示が行われて広告提示が完了したことを検知すると、着信応答を可能な状態にする。或いは、着信制御部136は、スキップ操作がなされたことを検知すると、着信応答を可能な状態にする。着信応答を可能な状態にするとは、着信応答の操作を受け付けるための着信応答ボタンを端末装置200b(着信側端末)に表示させることであってもよいし、着信応答ボタンを無効状態から有効状態に遷移させることであってもよい。着信制御部136は、着信応答ボタンだけではなく、応答拒否ボタンも端末装置200b(着信側端末)に表示させてもよい。
【0050】
着信側報酬制御部137は、スキップ操作を着信側ユーザから受け付けずに所定時間の広告提示が行われ、且つ着信側ユーザから着信応答の操作を受け付けたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を着信側ユーザに付与する処理を行う。例えば、広告提示が行われる所定時間が5秒間であって、着信側報酬制御部137は、5秒間の広告視聴に対して0.5円分の報酬を発信側ユーザに付与してもよい。
【0051】
或いは、着信側報酬制御部137は、スキップ操作を着信側ユーザから受け付けずに所定時間の広告提示が行われ、且つ着信側ユーザから応答拒否の操作を受け付けたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を着信側ユーザに付与する処理を行ってもよい。
【0052】
一方、着信側報酬制御部137は、着信側ユーザからスキップ操作(又は拒否操作)を受け付けて所定時間の広告提示が行われなかったことに応じて、当該広告提示に関する報酬を着信側ユーザに付与しないように制御する。
【0053】
また、着信側報酬制御部137は、スキップ操作を着信側ユーザから受け付けずに所定時間の広告提示が行われても、着信側ユーザから着信応答の操作を受け付けなかった場合には、当該広告提示に関する報酬を着信側ユーザに付与しないように制御する。このような場合、着信側ユーザが着信応答の不可な状況、例えば、端末装置200b(着信側端末)が着信側ユーザのカバンの中にあったり、着信側ユーザが端末装置200b(着信側端末)から離れた位置に居たりすることが想定される。このような場合、着信側ユーザが広告視聴を行わなかったとみなし、報酬を着信側ユーザに付与しないこととしている。
【0054】
このように、本実施形態によれば、着信側でも広告情報を提示することを可能とする。着信側ユーザは、広告視聴を完了することによって報酬が得られるため、広告視聴を完了する意欲を高めて十分な広告効果を得ることができる。
【0055】
また、着信側ユーザの状況によっては、広告情報を視聴して報酬を得るよりも通話の早期開始を優先したい場合もある。そこで、本実施形態では、報酬が得られないものの、広告提示のスキップ操作を受け付け可能とすることで、着信側ユーザの利便性を高めることができる。
【0056】
よって、本実施形態によれば、多様なユーザに広告情報を提示可能としつつ、ユーザの利便性が高められた広告提示システム1を実現できる。
【0057】
なお、上述の実施形態では、発信側と着信側とでスキップ操作を別々に行う一例について説明したが、発信側と着信側とでスキップ操作を連動させてもよい。例えば、着信側広告制御部135は、発信側ユーザがスキップ操作を行った場合、端末装置200b(着信側端末)における広告情報の提示を自動的にスキップする。発信側ユーザがスキップ操作を行う場合としては、発信側ユーザが急ぎの用件を着信側ユーザに伝えたいような場合が想定される。そのため、着信側広告制御部135は、発信側ユーザがスキップ操作を行った場合には、端末装置200b(着信側端末)における広告情報の提示を自動的にスキップし、端末装置200b(着信側端末)が通常の着信動作を行うようにしてもよい。
【0058】
また、上述の実施形態では、発信側及び着信側のそれぞれで広告提示を行う一例について説明したが、広告提示を行うモードとするか又は広告提示を行わないモードとするかをユーザがアプリケーション上の事前設定で切り替え可能であってもよい。このような事前のモード設定は、発信時と受信時とのそれぞれについて個別に設定可能であってもよい。
【0059】
(3)動作フロー例
図4は、本実施形態に係る広告提示システム1の動作フロー例を示す図である。但し、呼制御で用いるシグナリングのうち従来のシグナリングについては説明を適宜省略する。
【0060】
ステップS1において、端末装置200a(発信側端末)は、広告付き通話アプリケーション上で、発信側ユーザからの発信操作を受け付ける。具体的には、端末装置200a(発信側端末)は、発信側ユーザが通話の相手(すなわち、着信側ユーザ)を選択する操作を受け付けるとともに、発信ボタン(通話ボタン)を選択する操作を受け付ける。
【0061】
ステップS2において、端末装置200a(発信側端末)は、選択された着信側ユーザを示す情報及び発信側ユーザを示す情報を含む発信通知をサーバ装置100に送信する。このような発信通知は、例えばSIPのINVITEメッセージであってもよい。
【0062】
ステップS3において、サーバ装置100は、ステップS2の発信通知に応じて、発信側ユーザの属性に合った広告情報を取得し、取得した広告情報を端末装置200a(発信側端末)に配信する。このような配信は、ストリーミング配信であってもよい。
【0063】
ステップS4において、端末装置200a(発信側端末)は、サーバ装置100から受信する広告情報の提示を開始する。本実施形態では、広告情報が動画コンテンツであるため、端末装置200aは映像の表示及び音声の出力の両方を行う。但し、端末装置200aがミュート(例えばマナーモード)設定されている場合、端末装置200a(発信側端末)は、音声の出力を行わずに映像の表示を行ってもよい。端末装置200a(発信側端末)は、広告情報の提示の開始時、又は広告情報の提示の開始の直後に、広告のスキップ操作を受け付けるための操作オブジェクト(例えばスキップボタン)を表示する。端末装置200a(発信側端末)は、広告情報を提示する際に、発信処理が保留されている旨の情報(例えば、テキスト又はアイコン)を表示してもよい。
【0064】
ステップS5において、端末装置200a(発信側端末)は、広告のスキップ操作を受け付けたか否かを確認する。広告のスキップ操作を受け付けた場合(ステップS5:YES)、ステップS6において、端末装置200a(発信側端末)は、スキップ操作を受け付けた旨のスキップ通知をサーバ装置100に送信する。サーバ装置100は、スキップ通知を受信した場合、発信側ユーザに対する報酬を付与しない(スキップS9の処理を行わない)。
【0065】
一方、広告のスキップ操作を受け付けない場合(ステップS5:NO)、ステップS7において、端末装置200a(発信側端末)は、所定時間の広告提示を完了する。この場合、ステップS8において、端末装置200a(発信側端末)は、広告提示の完了を示す通知をサーバ装置100に送信してもよい。ステップS9において、サーバ装置100は、所定時間の広告提示が完了したことに応じて、発信側ユーザに対して報酬を付与する処理を行う。また、端末装置200a(発信側端末)は、発信処理が実行中である旨の情報(例えば、テキスト又はアイコン)を表示してもよい。端末装置200a(発信側端末)は、発信処理が開始されてから通話が確立されるまでの間に、ステップS4から提示していた広告情報と異なる広告情報を提示してもよい。
【0066】
ステップS10において、サーバ装置100は、発信側ユーザを示す情報を含む着信通知を端末装置200b(着信側端末)に送信する。このような着信通知は、例えばSIPのINVITEメッセージであってもよい。
【0067】
ステップS11において、端末装置200b(着信側端末)は、着信を検知する。なお、端末装置200b(着信側端末)が電源オフ又は圏外等の場合、着信を検知することなく、本フローが終了する。
【0068】
ステップS12において、端末装置200b(着信側端末)は、着信を検知したことを示す通知をサーバ装置100に送信してもよい。
【0069】
ステップS13において、サーバ装置100は、着信側ユーザの属性に合った広告情報を取得し、取得した広告情報を端末装置200b(着信側端末)に配信する。このような配信は、ストリーミング配信であってもよい。
【0070】
ステップS14において、端末装置200b(着信側端末)は、サーバ装置100から受信する広告情報の提示を開始する。本実施形態では、広告情報が動画コンテンツであるため、端末装置200b(着信側端末)は映像の表示及び音声の出力の両方を行う。但し、端末装置200bがミュート(例えばマナーモード)設定されている場合、端末装置200b(着信側端末)は、音声の出力を行わずに映像の表示を行ってもよい(さらに、バイブレーションで着信を報知してもよい)。
【0071】
端末装置200b(着信側端末)は、広告情報の提示の開始時、又は広告情報の提示の開始の直後に、スキップ操作を受け付けるための操作オブジェクト(例えばスキップボタン)を表示する。また、端末装置200b(着信側端末)は、着信側ユーザに広告情報を提示する際に、着信(応答)が保留されている旨の情報(例えば、テキスト又はアイコン)を表示してもよい。さらに、端末装置200b(着信側端末)は、発信者を示す情報(例えば、発信者の名前)を表示してもよい。端末装置200b(着信側端末)は、着信側ユーザに広告情報を提示する際に、着信応答を拒否する応答拒否操作を受け付けるための操作オブジェクト(例えば応答拒否ボタン)を表示してもよい。
【0072】
ステップS15において、端末装置200b(着信側端末)は、広告のスキップ操作を受け付けたか否かを確認する。広告のスキップ操作を受け付けた場合(ステップS15:YES)、ステップS16において、端末装置200b(着信側端末)は、スキップ操作を受け付けた旨のスキップ通知をサーバ装置100に送信する。サーバ装置100は、スキップ通知を受信した場合、着信側ユーザに対する報酬を付与しない(スキップS20の処理を行わない)。
【0073】
一方、広告のスキップ操作(及び応答拒否操作)を受け付けない場合(ステップS15:NO)、ステップS17において、端末装置200b(着信側端末)は、所定時間の広告提示を完了する。この場合、端末装置200b(着信側端末)は、広告提示の完了を示す通知をサーバ装置100に送信してもよい。また、ステップS18において、端末装置200b(着信側端末)は、着信応答操作を受け付けたか否かを確認する。着信応答操作を受け付けることなくタイムアウトした場合(ステップS18:NO)、又は発信側ユーザが発信処理を終了した場合、着信側ユーザに対する報酬を付与せず(スキップS20の処理を行わない)、本フローが終了する。一方、着信応答操作を受け付けた場合(ステップS18:YES)、ステップS19において、端末装置200b(着信側端末)は、着信応答通知をサーバ装置100に送信する。ステップS20において、サーバ装置100は、着信応答通知の受信に応じて、着信側ユーザに対して報酬を付与する処理を行う。
【0074】
ステップS21において、サーバ装置100は、端末装置200a(発信側端末)と端末装置200b(着信側端末)との間の通話のセッションを確立し、当該セッションを用いた通話が開始される。
【0075】
(4)変更例
上述の実施形態の変更例について説明する。
図5は、本変更例に係るサーバ装置100の構成を示す図である。
【0076】
本変更例に係るサーバ装置100は、端末装置200a(発信側端末)の使用状態を判定する状態判定部138をさらに有する。本変更例では、発信側広告制御部132は、端末装置200a(発信側端末)の使用状態に応じて、発信側ユーザに提示する広告情報の内容を決定する。これにより、端末装置200a(発信側端末)の使用状態に応じて適切な内容の広告を適応的に提示できる。
【0077】
例えば、状態判定部138は、端末装置200a(発信側端末)の音声出力手段が発信側ユーザの耳又はその周辺に近接して使用されている近接状態であるか否かを判定する。発信側広告制御部132は、近接状態であると判定された場合、広告情報として音声(音声コンテンツ)を端末装置200a(発信側端末)に出力させる。一方、近接状態ではないと判定された場合、発信側広告制御部132は、広告情報として映像(動画コンテンツ)を端末装置200a(発信側端末)に表示させる。
【0078】
ここで、本変更例について説明するために、端末装置200の一例であるスマートフォンの構成例について説明する。
図6は、変更例に係る端末装置200を正面から観た図である。端末装置200は、ディスプレイ204(タッチパネルディスプレイ)の上部に、上部スピーカ201と、センサ202と、カメラ203とを有する。センサ202は、近接センサを含む。センサ202は、照度センサを含んでもよい。上部スピーカ201は、端末装置200をユーザの耳に当てた状態での通話時に音声を出力する際に用いられる。端末装置200は、ディスプレイ204の下部に、下部スピーカ206と、マイク205とを有する。下部スピーカ206は、ハンズフリー通話時に音声を出力する際に用いられる。
【0079】
端末装置200のセンサ202(近接センサ)を用いて、端末装置200の上部スピーカ201がユーザの身体へ近接した状態(近接状態)であるか否かを判定できる。或いは、カメラ203の撮像画像を用いた画像認識により、そのような判定を行ってもよい。或いは、ユーザがハンズフリー通話を選択したか否かに応じて、そのような判定を行ってもよい(すなわち、ハンズフリー通話の選択時には、近接状態ではないと判定してもよい)。
【0080】
近接状態の場合、ユーザは端末装置200のディスプレイ204を視認できないため、広告情報として音声広告を用いることが適切である。一方、近接状態ではない場合、ユーザは端末装置200のディスプレイ204を視認できるため、広告情報として動画広告を用いることで、より多くの情報量を有する広告をユーザに提示できる。
【0081】
図7は、本変更例に係る広告提示システム1の動作フロー例を示す図である。
【0082】
ステップS1は、上述の実施形態と同様である。但し、端末装置200a(発信側端末)は、センサ202(近接センサ)の検出情報、及び/又はハンズフリー通話の選択/非選択情報を取得する。
【0083】
ステップS101において、端末装置200a(発信側端末)は、発信通知をサーバ装置100に送信するとともに、センサ202(近接センサ)の検出情報、及び/又はハンズフリー通話の選択/非選択情報に基づく状態情報をサーバ装置100に送信する。状態情報は、近接状態であるか否かを端末装置200a(発信側端末)で判定した結果を示す情報であってもよいし、当該結果に基づく音声/動画の選択情報であってもよいし、センサ202(近接センサ)の検出情報、及び/又はハンズフリー通話の選択/非選択情報であってもよい。
【0084】
ステップS102において、サーバ装置100は、近接状態であると判定された場合、広告情報として音声(音声コンテンツ)を提示することを決定する。一方、近接状態ではないと判定された場合、サーバ装置100は、広告情報として映像(動画コンテンツ)を提示することを決定する。そして、サーバ装置100は、決定した広告タイプの広告情報の中から、発信側ユーザの属性に合った広告情報を取得し、取得した広告情報を端末装置200a(発信側端末)に配信する。その後の動作は、上述の実施形態と同様である。
【0085】
(5)他の実施形態
上述の実施形態では、通話がIP電話であって端末装置200が携帯端末である場合について主として説明したが、端末装置200が固定電話端末であってもよい。当該固定電話端末は、IP電話(パケット交換方式)の通話に対応した端末であってもよいし、従来の回線交換方式の通話に応した端末であってもよい。固定電話端末により回線交換方式の通話を行う場合、スキップ操作は、所定のボタン(例えば、「#」ボタン又は「0」ボタン)の押下によりなされてもよい。固定電話端末を用いる場合、広告情報は、音声のみの広告情報(音声コンテンツ)であってもよい。
【0086】
上述の実施形態では、呼制御部131、発信側広告制御部132、発信制御部133、発信側報酬制御部134、着信側広告制御部135、着信制御部136、及び着信側報酬制御部137が、サーバ装置100に設けられる一例について説明したが、これらの機能部の少なくとも1つがサーバ装置100側ではなく端末装置200側に設けられてもよい。例えば、発信側広告制御部132及び発信制御部133の少なくとも一方が端末装置200a(発信側端末)に設けられていてもよい。着信側広告制御部135及び着信制御部136の少なくとも一方が端末装置200b(着信側端末)に設けられていてもよい。
【0087】
上述の実施形態における動作フロー及び動作例は、必ずしもフロー図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、動作におけるステップは、フロー図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、動作におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。
【0088】
上述の実施形態に係る動作をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記憶媒体であってもよい。非一過性の記憶媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記憶媒体であってもよい。
【0089】
本開示で使用する「に基づいて」、「に応じて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」、「のみに応じて」を意味しない。「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」及び「に少なくとも部分的に基づいて」の両方を意味する。同様に、「に応じて」という記載は、「のみに応じて」及び「に少なくとも部分的に応じて」の両方を意味する。また、「含む(include)」、「備える(comprise)」、及びそれらの変形の用語は、列挙する項目のみを含むことを意味せず、列挙する項目のみを含んでもよいし、列挙する項目に加えてさらなる項目を含んでもよいことを意味する。また、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。本開示において、例えば、英語でのa,an,及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0090】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0091】
(6)付記
上述の実施形態に係る特徴について付記する。
【0092】
・付記1
発信側端末が発信側ユーザから通話の発信操作を受け付けたことに応じて、前記発信側端末において広告情報の提示を開始する発信側広告制御手段(132)と、
当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための発信処理を開始する発信制御手段(133)と、
前記スキップ操作を受け付けずに所定時間の広告提示が行われたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を発信側ユーザに付与する処理を行う発信側報酬制御手段(134)と、を備える
広告提示システム。
【0093】
・付記2
前記発信側報酬制御手段は、前記スキップ操作を受け付けて前記所定時間の広告提示が行われなかったことに応じて、当該広告提示に関する報酬を発信側ユーザに付与しないように制御する
付記1に記載の広告提示システム。
【0094】
・付記3
前記発信側広告制御手段は、前記発信処理が開始されてから前記通話が確立されるまでの間に、前記広告情報と異なる広告情報を前記発信側端末において提示する
付記1又は2に記載の広告提示システム。
【0095】
・付記4
前記発信側端末の使用状態を判定する発信側状態判定手段(138)をさらに備え、
前記発信側広告制御手段は、前記発信側端末の使用状態に応じて、発信側ユーザに提示する広告情報の内容を決定する
付記1乃至3のいずれかに記載の広告提示システム。
【0096】
・付記5
前記発信側状態判定手段は、前記発信側端末の音声出力手段が発信側ユーザの耳又はその周辺に近接して使用されている近接状態であるか否かを判定し、
前記発信側広告制御手段は、
前記近接状態であると判定された場合、前記広告情報として音声を前記発信側端末に出力させ、
前記近接状態ではないと判定された場合、前記広告情報として映像を前記発信側端末に表示させる
付記4に記載の広告提示システム。
【0097】
・付記6
着信側端末が前記通話の着信を検知したことに応じて、前記着信側端末において広告情報の提示を開始する着信側広告制御手段(135)と、
当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を着信側ユーザから前記着信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を着信側ユーザから前記着信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための着信応答を可能な状態にする着信制御手段(136)と、をさらに備える
付記1乃至5のいずれかに記載の広告提示システム。
【0098】
・付記7
前記スキップ操作を着信側ユーザから受け付けずに所定時間の広告提示が行われ、且つ着信側ユーザから前記着信応答の操作を受け付けたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を着信側ユーザに付与する処理を行う着信側報酬制御手段(137)をさらに備える
付記6に記載の広告提示システム。
【0099】
・付記8
前記着信側報酬制御手段は、着信側ユーザから前記スキップ操作を受け付けて所定時間の広告提示が行われなかったことに応じて、当該広告提示に関する報酬を着信側ユーザに付与しないように制御する
付記7に記載の広告提示システム。
【0100】
・付記9
前記着信側報酬制御手段は、前記スキップ操作を着信側ユーザから受け付けずに所定時間の広告提示が行われても、着信側ユーザから前記着信応答の操作を受け付けなかった場合には、当該広告提示に関する報酬を着信側ユーザに付与しないように制御する
付記7又は8に記載の広告提示システム。
【0101】
・付記10
前記着信側報酬制御手段は、前記スキップ操作を着信側ユーザから受け付けずに所定時間の広告提示が行われ、且つ着信側ユーザから応答拒否の操作を受け付けたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を着信側ユーザに付与する処理を行う
付記7乃至9のいずれかに記載の広告提示システム。
【0102】
・付記11
前記着信側広告制御手段は、発信側ユーザが前記スキップ操作を行った場合、前記着信側端末における広告情報の提示を自動的にスキップする
付記6乃至10のいずれかに記載の広告提示システム。
【0103】
・付記12
広告提示システムに、
発信側端末が発信側ユーザから通話の発信操作を受け付けたことに応じて、前記発信側端末において広告情報の提示を開始する発信側広告制御ステップと、
当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための発信処理を開始する発信制御ステップと、
前記スキップ操作を受け付けずに所定時間の広告提示が行われたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を発信側ユーザに付与する処理を行う発信側報酬制御ステップと、を実行させる
プログラム。
【符号の説明】
【0104】
1 :広告提示システム
5 :ネットワーク
100 :サーバ装置
110 :通信部
120 :記憶部
130 :処理部
131 :呼制御部
132 :発信側広告制御部
133 :発信制御部
134 :発信側報酬制御部
135 :着信側広告制御部
136 :着信制御部
137 :着信側報酬制御部
138 :状態判定部
200 :端末装置
200a :端末装置(発信側端末)
200b :端末装置(着信側端末)
201 :上部スピーカ
202 :センサ
203 :カメラ
204 :ディスプレイ
205 :マイク
206 :下部スピーカ
【要約】
【課題】通話に関わる多様なユーザに広告情報を提示可能としつつ、ユーザの利便性を高める。
【課題手段】広告提示システムは、発信側端末が発信側ユーザから通話の発信操作を受け付けたことに応じて、前記発信側端末において広告情報の提示を開始する発信側広告制御手段と、当該広告情報の提示をスキップするスキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けずに所定時間の広告提示が行われたこと、又は前記スキップ操作を発信側ユーザから前記発信側端末が受け付けたことに応じて、前記通話を確立するための発信処理を開始する発信制御手段と、前記スキップ操作を受け付けずに所定時間の広告提示が行われたことに応じて、当該広告提示に関する報酬を発信側ユーザに付与する処理を行う発信側報酬制御手段と、を備える。
【選択図】
図2