(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】判定システム
(51)【国際特許分類】
G01J 3/46 20060101AFI20241120BHJP
G06T 7/90 20170101ALI20241120BHJP
【FI】
G01J3/46 Z
G06T7/90 D
(21)【出願番号】P 2020039089
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000229564
【氏名又は名称】株式会社バルカー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】油谷 康
(72)【発明者】
【氏名】藤原 隆寛
(72)【発明者】
【氏名】濱出 真人
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-158625(JP,U)
【文献】特開2017-110926(JP,A)
【文献】特開2008-123285(JP,A)
【文献】特開2000-314663(JP,A)
【文献】特開昭56-027493(JP,A)
【文献】特開2016-070690(JP,A)
【文献】特開2021-046938(JP,A)
【文献】特開2007-245586(JP,A)
【文献】特開2007-092775(JP,A)
【文献】特開2002-210417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00 - G01J 3/52
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
B07C 5/00 - B07C 5/38
B65D 53/00 - B65D 53/10
F16J 15/00 - F16J 15/56
G06T 1/00 - G06T 1/40
G06T 3/00 - G06T 3/60
G06T 5/00 - G06T 5/50
G06T 7/00 - G06T 7/90
G06T 9/00 - G06T 9/40
G06V 10/00 - G06V 10/98
G06V 20/00 - G06V 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象シール材の色値を取得する取得手段と、
互いに異なる種類の複数の候補シール材の各々の色値を記憶する記憶手段と、
各前記候補シール材の色値と前記対象シール材の色値とに基づいて、各前記候補シール材と前記対象シール材との色差を算出する色差算出手段と、
各前記候補シール材と前記対象シール材との色差に基づいて、各前記候補シール材と前記対象シール材との一致度を算出する一致度算出手段と、
算出された各前記一致度に基づいて、前記対象シール材の種類を判定する判定手段とを備え、
前記取得手段は、前記対象シール材の第1面および第2面の色値を取得し、
前記記憶手段は、各前記候補シール材の第3面および第4面の色値を記憶し、
前記色差算出手段は、前記第1面および前記第2面の色値と、各前記候補シール材の第3面および第4面の色値とに基づいて、前記第1面および前記第2面の各々について、当該面と各前記候補シール材の第3面および第4面の各々との色差を算出し、
前記一致度算出手段は、
前記複数の候補シール材の各々について、当該候補シール材の第3面および第4面の各々と前記第1面との色差に基づいて、当該候補シール材の第3面と前記第1面との第1の一致度および当該候補シール材の第4面と前記第1面との第2の一致度を算出し、
前記複数の候補シール材の各々について、当該候補シール材の第3面および第4面の各々と前記第2面との色差に基づいて、当該候補シール材の第3面と前記第2面との第3の一致度および当該候補シール材の第4面と前記第2面との第4の一致度を算出
し、
前記判定手段は、
各前記第1の一致度の最大値の方が各前記第2の一致度の最大値よりも大きく、かつ各前記第4の一致度の最大値の方が各前記第3の一致度の最大値よりも大きい場合、前記複数の候補シール材の各々について、当該候補シール材に対応する前記第1の一致度および前記第4の一致度の平均値を算出し、
前記対象シール材が、各前記平均値のうちの最大平均値に対応する候補シール材と同一種類であると判定する、判定システム。
【請求項2】
前記種類は、シール材の品番と、シール材の劣化の有無を示す劣化情報とに基づいて分類される、請求項1に記載の判定システム。
【請求項3】
前記判定手段は
、各前記第2の一致度の最大値の方が各前記第1の一致度の最大値よりも大きく、かつ各前記第3の一致度の最大値の方が各前記第4の一致度の最大値よりも大きい場合、各前記第2の一致度および各前記第3の一致度に基づいて、前記対象シール材の種類を判定する、請求項1または請求項2に記載の判定システム。
【請求項4】
前記判定手段の判定結果を出力する出力制御手段をさらに備える、請求項1~
3のいずれか1項に記載の判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気密性や水密性を確保した構造物のシール材の圧縮永久歪み率によりシール材の余寿命を診断するようにしたものがある。例えば、特開2012-173097号公報(特許文献1)は、JIS規格に定めた測定時間が経過した後においても、シール材の圧縮永久歪み率を規格に基づく評価指標としてシール材を診断する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、このシール材の受注やシール材に関するトラブル対応については、技術的知識および経験が必要とされる。例えば、知識や経験が乏しい者が、シール材を確認しても品番等を即時に把握できず、特定の熟練者に当該シール材を確認してもらう場合も多い。そのため、熟練者が不在等により対応が困難な場合には、当該シール材に関する効果的な対応を迅速に行なうことができない。したがって、個人の知識や経験に依存せずに、シール材の種類を容易に判定できるシステムが必要とされている。
【0005】
本開示のある局面における目的は、シール材の色情報を用いて、当該シール材の種類を容易に判定することが可能な判定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施の形態に従う判定システムは、対象シール材の色値を取得する取得手段と、互いに異なる種類の複数の候補シール材の各々の色値を記憶する記憶手段と、各候補シール材の色値と対象シール材の色値とに基づいて、各候補シール材と対象シール材との色差を算出する色差算出手段と、各候補シール材と対象シール材との色差に基づいて、各候補シール材と対象シール材との一致度を算出する一致度算出手段と、算出された各一致度に基づいて、対象シール材の種類を判定する判定手段とを備える。
【0007】
好ましくは、種類は、シール材の品番と、シール材の劣化の有無を示す劣化情報とに基づいて分類される。
【0008】
好ましくは、記憶手段は、複数の候補シール材の各々について、当該候補シール材同士間の最大色差をさらに記憶する。一致度算出手段は、複数の候補シール材の各々について、当該候補シール材と対象シール材との色差および当該候補シール材に対応する最大色差に基づいて、当該候補シール材と対象シール材との一致度を算出する。
【0009】
好ましくは、判定手段は、対象シール材が、各一致度のうちの最大一致度に対応する候補シール材と同一種類であると判定する。
【0010】
好ましくは、判定システムは、対象シール材の撮像画像を取得する撮像手段をさらに備える。記憶手段は、複数の候補シール材の撮像画像をさらに記憶する。各一致度のうち大きい方から所定数の一致度の最大値と最小値との差分が所定値未満である場合、判定手段は、対象シール材の撮像画像と、所定数の一致度に対応する所定数の候補シール材の撮像画像とに基づいて、対象シール材の種類を判定する。
【0011】
好ましくは、取得手段は、対象シール材の第1面および第2面の色値を取得する。記憶手段は、各候補シール材の第3面および第4面の色値を記憶する。色差算出手段は、第1面および第2面の色値と、各候補シール材の第3面および第4面の色値とに基づいて、第1面および第2面の各々について、当該面と各候補シール材の第3面および第4面の各々との色差を算出する。一致度算出手段は、複数の候補シール材の各々について、当該候補シール材の第3面および第4面の各々と第1面との色差に基づいて、当該候補シール材の第3面と第1面との第1の一致度および当該候補シール材の第4面と第1面との第2の一致度を算出し、複数の候補シール材の各々について、当該候補シール材の第3面および第4面の各々と第2面との色差に基づいて、当該候補シール材の第3面と第2面との第3の一致度および当該候補シール材の第4面と第2面との第4の一致度を算出する。
【0012】
好ましくは、判定手段は、各第1の一致度の最大値の方が各第2の一致度の最大値よりも大きく、かつ各第4の一致度の最大値の方が各第3の一致度の最大値よりも大きい場合、各第1の一致度および各第4の一致度に基づいて、対象シール材の種類を判定する。判定手段は、各第2の一致度の最大値の方が各第1の一致度の最大値よりも大きく、かつ各第3の一致度の最大値の方が各第4の一致度の最大値よりも大きい場合、各第2の一致度および各第3の一致度に基づいて、対象シール材の種類を判定する。
【0013】
好ましくは、判定手段は、各第1の一致度の最大値の方が各第2の一致度の最大値よりも大きく、かつ各第4の一致度の最大値の方が各第3の一致度の最大値よりも大きい場合、複数の候補シール材の各々について、当該候補シール材に対応する第1の一致度および第4の一致度の平均値を算出し、対象シール材が、各平均値のうちの最大平均値に対応する候補シール材と同一種類であると判定する。
【0014】
好ましくは、判定システムは、判定手段の判定結果を出力する出力制御手段をさらに備える。
【発明の効果】
【0015】
本開示によると、シール材の色情報を用いて、当該シール材の種類を容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態1に従う判定システムの全体構成を説明するための図である。
【
図2】実施の形態1に従う判定システムの動作概要の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図3】実施の形態1に従う解析装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態1に従う各種データベースの一例を示す図である。
【
図5】実施の形態1に従う画像照合処理の一例を示す図である。
【
図6】実施の形態1に従う結果レポートの表示例を示す図である。
【
図7】実施の形態1に従う解析装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】実施の形態2に従うテーブルを示す図である。
【
図9】実施の形態2に従うテーブルを示す図である。
【
図10】実施の形態2に従うテーブルを示す図である。
【
図11】
図10のテーブルのデータの一部を抽出したテーブルを示す図である。
【
図12】その他の実施の形態に従う各種データベースの一例を示す図である。
【
図13】その他の実施の形態に従う画像照合処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0018】
[実施の形態1]
<システム構成>
図1は、実施の形態1に従う判定システム1000の全体構成を説明するための図である。
図1を参照して、判定システム1000は、シール材23の種類を判定するためのシステムである。判定システム1000は、解析装置10と、色差計21と、カメラ22と、サーバ30と、端末装置40とを含む。
【0019】
シール材23は、ガスケットと称される固定用のシール材、または、パッキンと称される運動用のシール材であるとする。以下では、説明の容易化のため、シール材23はガスケットであるとして説明を行なう。
【0020】
色差計21は、シール材23の色情報を取得する。色差計21は、取得した色情報を解析装置10へ送信する。色情報は、例えば、色空間における色値であって、ここではL*、a*、b*色空間における値(以下、「Lab値」という。)であるとする。なお、実施の形態1では、シール材23であるガスケットの測定面は、印字がされていない面(非印字面)であるとする。
【0021】
撮像装置としてのカメラ22は、一例として、レンズなどの光学系に加えて、CCD(Coupled Charged Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサといった、複数の画素に区画された撮像素子を含んで構成される。カメラ22による撮像によって取得された撮像画像は、解析装置10へ伝送される。なお、シール材23に対して光を照射する照明機器(例えば、LED、蛍光灯、白熱灯等)を別途用意してもよい。
【0022】
本実施の形態では、解析装置10は、判定対象のシール材23の色値と、データベースに記憶された各種のシール材の色値とに基づいて、シール材23の種類を判定する。なお、解析装置10は、シール材23の種類を1つに特定できない場合には、カメラ22で取得された撮像画像をさらに用いて、シール材23の種類を判定してもよい。
【0023】
解析装置10は、典型的には、汎用的なコンピュータアーキテクチャに従う構造を有しており、予めインストールされたプログラムをプロセッサが実行することで、後述する各種の処理を実現する。解析装置10は、例えば、デスクトップPC(Personal Computer)である。ただし、解析装置10は、以下に説明する機能および処理を実行可能な装置であればよく、他の装置(例えば、ラップトップPC、タブレット端末装置)であってもよい。
【0024】
サーバ30は、解析装置10と通信可能に構成される。サーバ30は、解析装置10による各種処理結果を受信して、これらをデータベース化して記憶する。
【0025】
端末装置40は、サーバ30と通信可能に構成される。端末装置40は、サーバ30のデータベースにアクセスして、解析装置10による各種処理結果等をディスプレイに表示する。端末装置40は、典型的には、スマートフォンであるが、これに限られず、例えば、タブレット端末装置であってもよい。なお、端末装置40は、解析装置10と通信可能に構成されていてもよい。
【0026】
図2は、実施の形態1に従う判定システムの動作概要の一例を説明するためのフローチャートである。
図2を参照して、色差計21は、シール材23の色値を測定する(ステップS100)。解析装置10は、シール材23の色値を色差計21から取得して、内部メモリに記憶する(ステップS110)。なお、色差計21は、シール材23の測定面において複数個所(例えば、4箇所)の色値を測定し、解析装置10に出力してもよい。この場合、解析装置10は、複数個所の色値の平均値をシール材23の色値として、内部メモリに記憶する。
【0027】
カメラ22は、シール材23を撮像する(ステップS120)。解析装置10は、シール材23の撮像画像をカメラ22から取得して、内部メモリに記憶する(ステップS130)。なお、解析装置10は、シール材23が撮像されたときの撮像条件(例えば、撮像距離、解像度、光の照射角度、光源波長、輝度等)も記憶する。
【0028】
解析装置10は、シール材23の色値と、複数の候補シール材の色値との色差を算出する(ステップS140)。例えば、シール材23の色値がL1
*,a1
*,b1
*であり、候補シール材の色値がL2
*,a2
*,b2
*である場合、色差ΔEは、ΔE={(L2
*-L1
*)2+(a2
*-a1
*)2+(b2
*-b1
*)2}1/2で表される。シール材23は、複数の候補シール材のいずれかと同一種類であるものとする。各候補シール材の色値は、解析装置10の内部メモリにデータベースとして予め記憶されている。
【0029】
解析装置10は、算出した複数の色差ΔE(および撮像画像)を用いた判定処理を実行して、シール材23の種類を判定するための判定処理を実行する(ステップS150)。詳細は後述するが、解析装置10は、各色差ΔEを用いて、各候補シール材とシール材23との一致度を算出し、当該一致度に基づいてシール材23の種類を判定する。解析装置10は、判定結果をサーバ30に送信する。
【0030】
サーバ30は、解析装置10から受信した判定結果をデータベース化して記憶する(ステップS160)。端末装置40は、サーバ30に記憶されている判定結果を取得して、これらをディスプレイに表示する(ステップS170)。
【0031】
判定システム1000によると、シール材23の色値(および撮像画像)を用いて、当該シール材23の種類が判定される。そのため、熟練者でない人でもシール材23の種類を迅速に把握でき、シール材23の受注や使用に関するトラブル対応を効率的に行なうことができる。
【0032】
<ハードウェア構成>
(解析装置)
図3は、実施の形態1に従う解析装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3を参照して、解析装置10は、プロセッサ101と、メモリ103と、ディスプレイ105と、入力装置107と、入出力インターフェイス(I/F)109と、通信インターフェイス(I/F)111とを含む。これらの各部は、互いにデータ通信可能に接続される。
【0033】
プロセッサ101は、典型的には、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Multi Processing Unit)等といった演算処理部である。プロセッサ101は、メモリ103に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、解析装置10の各部の動作を制御する。より詳細にはプロセッサ101は、当該プログラムを実行することによって、解析装置10の各機能を実現する。
【0034】
メモリ103は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクなどによって実現される。メモリ103は、プロセッサ101によって実行されるプログラム、色差計21によって取得された色値、カメラ22によって取得された撮像画像等を記憶する。
【0035】
ディスプレイ105は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。ディスプレイ105は、解析装置10と一体的に構成されてもよいし、解析装置10とは別個に構成されてもよい。
【0036】
入力装置107は、解析装置10に対する操作入力を受け付ける。入力装置107は、例えば、キーボード、ボタン、マウスなどによって実現される。また、入力装置107は、タッチパネルとして実現されていてもよい。
【0037】
入出力インターフェイス109は、プロセッサ101と色差計21およびカメラ22との間のデータ伝送を仲介する。入出力インターフェイス109は、例えば、色差計21およびカメラ22と接続が可能である。プロセッサ101は、入出力インターフェイス109を介して、色差計21で測定された色値、およびカメラ22で撮像された撮像画像を取得する。
【0038】
通信インターフェイス111は、プロセッサ101とサーバ30等との間のデータ伝送を仲介する。通信方式としては、例えば、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等による無線通信方式が用いられる。なお、通信方式として、USB(Universal Serial Bus)等の有線通信方式を用いてもよい。なお、プロセッサ101は、通信インターフェイス111を介して、色差計21およびカメラ22と通信してもよい。
【0039】
(サーバ)
サーバ30は、後述するような情報処理を全体として提供できればよく、そのハードウェア構成については公知のものを採用することができる。例えば、サーバ30は、各種処理を実行するためのプロセッサと、プログラムやデータなどを格納するためのメモリと、解析装置10と各種データを送受信するための通信インターフェイスと、ユーザからの指示を受け付けるための入力装置とを含む。
【0040】
(端末装置)
端末装置40は、後述するような情報処理を全体として提供できればよく、そのハードウェア構成については公知のものを採用することができる。例えば、端末装置40は、プロセッサと、メモリと、解析装置10と各種データを送受信するための通信インターフェイスと、ユーザからの指示を受け付けるためのタッチパネルと、各種情報を表示するためのディスプレイとを含む。
【0041】
<判定方式>
図4は、実施の形態1に従う各種データベースの一例を示す図である。
図4(a)は、互いに種類(例えば、品番)が異なる複数の候補シール材間における色差をデータベース化したテーブル310を示している。
図4(b)は、同一種類の複数の候補シール材間における色差をデータベース化したテーブル320を示している。
図4(c)は、判定対象のシール材23(
図4(c)の「対象物」に対応)と、各候補シール材との間における色差を、テーブル310に追加したテーブル330を示している。なお、テーブル310,320は、解析装置10のメモリ103に予め記憶されている。
【0042】
解析装置10は、色差計21から取得したシール材23の色値と、複数の候補シール材(例えば、品番「♯600」,品番「♯700」,品番「♯300」のシール材)の色値とに基づいて、各色差ΔEを算出することにより、テーブル330を生成する。テーブル330によると、例えば、シール材23と品番「♯600」のシール材との色差ΔEは“4.2”であることがわかる。
【0043】
解析装置10は、テーブル320,330を用いて、シール材23と複数の候補シール材との一致度を算出する。例えば、シール材23と品番「♯600」のシール材との一致度の算出方式を説明する。まず、シール材23と品番「♯600」のシール材との色差ΔEである“4.2”から、品番「♯600」の複数のシール材間における色差の最大値(以下「最大色差」とも称する。)である“1.4”を減算する(すなわち、4.2-1.4=2.8)。同一種類間の色ズレを考慮した値“2.8”が、シール材23と品番「♯600」のシール材との真の色差を示している。
【0044】
次に、この値“2.8”を割合換算して百分率で示したものが一致度となる。すなわち、シール材23と品番「♯600」のシール材との一致度M1は、M1=(1/2.8)×100=35.7%と算出される。同様に、シール材23と品番「♯700」のシール材との一致度M2は、M2={1/(2.2-0.8)}×100=71.4%と算出される。シール材23と品番「♯300」のシール材との一致度M3は、M3={1/(18.2-1.1)}×100=5.8%と算出される。
【0045】
なお、シール材23と候補シール材との間の色差の値によっては、上記計算式により算出される一致度が100%を超える場合もある。この場合には、当該一致度から100%を減じた値を、シール材23と候補シール材との一致度として用いる。
【0046】
解析装置10は、算出した各一致度(例えば、35.7%,71.4%,5.8%)のうちの最大一致度(すなわち、71.4%)を抽出する。解析装置10は、シール材23が、最大一致度に対応する品番「♯700」のシール材と同一種類であると判定する。すなわち、解析装置10は、シール材23の品番が「♯700」であると判定する。
【0047】
典型的には、解析装置10は、上記のようにシール材23の色値を用いて、当該シール材23の種類を判定することができる。ただし、上記のように算出された各一致度(例えば、一致度M1~M3)が互いに近い値である場合には、シール材23の撮像画像を用いてシール材23の種類を判定してもよい。
【0048】
具体的には、各一致度のうち大きい方から所定数N(ただし、Nは2以上の整数)の一致度の最大値と最小値との差分が所定値K1未満であるとする。この場合、解析装置10は、シール材23の撮像画像と、所定数Nの一致度に対応する所定数Nの候補シール材の撮像画像との照合結果に基づいて、シール材23の種類を判定する。
【0049】
ここで、説明の容易化のため、仮に、一致度M1が70%、一致度M2が65%、一致度M3が20%、所定数Nが2、所定値K1が10%であるとする。この場合、各一致度M1~M3のうち大きい方から2つの一致度M1およびM2の最大値(70%)と最小値(65%)との差分(5%)は、10%未満となる。
【0050】
そのため、解析装置10は、シール材23の撮像画像と、一致度M1に対応する品番「#700」のシール材の撮像画像および一致度M2に対応する品番「#600」のシール材の撮像画像との照合処理を行ない、シール材23の種類を判定する。
【0051】
図5は、実施の形態1に従う画像照合処理の一例を示す図である。
図5を参照して、解析装置10は、品番「#700」のシール材の撮像画像350と、シール材23の撮像画像370とを照合するとともに、品番「#600」のシール材の撮像画像360と、シール材23の撮像画像370とを照合する。
【0052】
製法の差異により、品番「#600」のシール材の撮像画像360には直線性の模様362が含まれるが、品番「#700」のシール材の撮像画像350とシール材23の撮像画像370には、当該模様は含まれていない。そのため、解析装置10は、撮像画像350の方が撮像画像360よりも撮像画像370に類似すると判断し、シール材23が、撮像画像350に対応する品番「♯700」のシール材と同一種類であると判定する。
【0053】
なお、シール材23の画像と候補シール材(この場合、品番「#600」,「♯700」のシール材)の画像との照合は、公知の画像処理を適用し得る。例えば、シール材23の画像、および候補シール材の画像を複数の領域に分割し、領域ごとに特徴量を比較する処理が挙げられる。
【0054】
解析装置10は、上記のようにシール材23の種類の判定処理後、判定結果をサーバ30に送信する。サーバ30は、判定結果をメモリに記憶する。端末装置40は、サーバ30から取得した判定結果に基づいて、
図6に示すような結果レポートを表示する。
【0055】
図6は、実施の形態1に従う結果レポートの表示例を示す図である。
図6を参照して、端末装置40は、結果レポートを示すユーザインターフェイス画面150をディスプレイに表示する、ユーザインターフェイス画面150は、表示領域152,154,158と、シール材23の撮像画像156と、問い合わせリンク領域160と、技術資料リンク領域162とを含む。
【0056】
表示領域152は、シール材23がガスケットなのか、グランドパッキンなのかを示す領域である。
図6の例では、シール材23がガスケットであることを示している。表示領域154は、シール材23と各候補シール材との一致度を示す領域である。
図6の例では、一致度M1~M3が表示されている。表示領域158には、シール材23の品番の判定結果が表示される。
図6の例では、シール材23の品番が「#700」であるとの判定結果が表示されている。端末装置40のユーザは、この判定結果を確認して、問い合わせリンク領域160や技術資料リンク領域162を選択し、適切な対応をとることができる。
【0057】
<機能構成>
図7は、実施の形態1に従う解析装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図7を参照して、解析装置10は、主たる機能構成として、取得部202と、色差算出部204と、一致度算出部206と、判定部210と、出力制御部212とを含む。これらの各機能は、例えば、解析装置10のプロセッサ101がメモリ103に格納されたプログラムを実行することによって実現される。なお、これらの機能の一部または全部はハードウェアで実現されるように構成されていてもよい。
【0058】
取得部202は、判定対象のシール材23の色値を取得する。具体的には、取得部202は、入出力インターフェイス109(あるいは、通信インターフェイス111)を介して、色差計21からシール材23の色値を受信する。
【0059】
色差算出部204は、各候補シール材の色値とシール材23の色値とに基づいて、各候補シール材とシール材23との色差を算出する。メモリ103は、互いに異なる種類の複数の候補シール材(例えば、品番「♯600」,「♯700」,「#300」等)の各々の色値を記憶している。
【0060】
一致度算出部206は、各候補シール材とシール材23との色差に基づいて、各候補シール材とシール材23との一致度を算出する。より具体的には、一致度算出部206は、複数の候補シール材の各々について、当該候補シール材とシール材23との色差および当該候補シール材における最大色差に基づいて、当該候補シール材とシール材23との一致度を算出する。メモリ103は、複数の候補シール材の各々について、当該候補シール材同士間(例えば、品番「♯600」のシール材同士間)の最大色差を記憶(例えば、テーブル320を記憶)している。
【0061】
判定部210は、算出された各一致度に基づいて、シール材23の種類を判定する。ある局面では、判定部210は、シール材23が、各一致度のうちの最大一致度に対応する候補シール材と同一種類であると判定する。
【0062】
他の局面では、判定部210は、各一致度のうち大きい方から所定数Nの一致度の最大値と最小値との差分が所定値K1未満であるか否かを判断する。当該差分が所定値K1未満である場合、判定部210は、シール材23の撮像画像と、所定数Nの一致度に対応する所定数Nの候補シール材の撮像画像とに基づいて、シール材23の種類を判定する。具体的には、判定部210は、公知の画像処理を用いて、シール材23の画像と候補シール材の画像とを照合し、シール材23の画像と類似する候補シール材の画像を特定する。判定部210は、シール材23が、特定した画像に対応する候補シール材と同一種類であると判定する。なお、メモリ103は、複数の候補シール材の撮像画像を記憶している。
【0063】
出力制御部212は、判定部210の判定結果(例えば、
図6の結果レポート等)を出力する。具体的には、出力制御部212は、判定結果をサーバ30に送信する。また、出力制御部212は、判定結果をディスプレイ105に表示してもよい。
【0064】
<利点>
実施の形態1によると、シール材の色値を用いて、当該シール材の種類(品番)を容易に判定することができる。そのため、熟練者でない人でもシール材の種類を迅速に把握できる。したがって、シール材の受注や使用に関するトラブルに迅速に対応できる。
【0065】
[実施の形態2]
実施の形態1では、シール材23であるガスケットの片面(非印字面)のみを色差計21で測定する構成について説明した。ただし、シール材23のいずれの面にも印字がされていない場合等には、熟練者でない人では、どちらの面がシール材23の測定面であるかを即時に把握できない場合もある。そこで、実施の形態2では、シール材23であるガスケットの両面を色差計21で測定することにより、シール材23の種類を判定する構成について説明する。
【0066】
<判定方式>
図8~
図10は、実施の形態2に従うテーブルを示す図である。
図8を参照して、テーブル400は、6種類の候補シール材間における色差を、裏面および表面の各々についてデータベース化したテーブルである。実施の形態2では、候補シール材として、劣化品である品番「♯600」,「♯650」の2種類のシール材と、劣化していない未使用品である品番「♯600」,「♯650」,「♯700」,「♯300」の4種類のシール材とが挙げられている。このように、候補シール材の種類は、品番と劣化状態の有無とに基づいて分類されている。なお、「裏面」は候補シール材の非印字面であるとし、「表面」は候補シール材の印字面であるとする。テーブル400は、解析装置10のメモリ103に予め記憶されている。
【0067】
図9を参照して、テーブル410は、同一種類の複数の候補シール材間における最大色差を裏面および表面の各々についてデータベース化したものである。テーブル410は、解析装置10のメモリ103に予め記憶されている。
【0068】
図10を参照して、テーブル420は、判定対象のシール材23としてのシール材X,Yと、各候補シール材との一致度をデータベース化したテーブルである。シール材X,Yの一方の面を便宜上「面A」と記載し、他方の面を便宜上「面B」と記載する。
【0069】
テーブル420には、シール材Xの面Aと各候補シール材の裏面との各一致度Xauと、シール材Xの面Aと各候補シール材の表面との各一致度Xaoと、シール材Xの面Bと各候補シール材の裏面との各一致度Xbuと、シール材Xの面Bと各候補シール材の表面との各一致度Xboとが示されている。同様に、シール材Yの面Aと各候補シール材の裏面との各一致度Yauと、シール材Yの面Aと各候補シール材の表面との各一致度Yaoと、シール材Yの面Bと各候補シール材の裏面との各一致度Ybuと、シール材Yの面Bと各候補シール材の表面との各一致度Yboとが示されている。
【0070】
一致度の算出方式は、実施の形態1と同様である。メモリ103は、6種類の候補シール材の裏面および表面の色値を記憶している。解析装置10は、色差計21で測定されたシール材Xの面Aおよび面Bの色値を取得する。解析装置10は、シール材Xの面Aおよび面Bの色値と、各候補シール材の裏面および表面の色値とを用いて、各面A,Bと各候補シール材の裏面および表面の各々との色差を算出する。
【0071】
例えば、解析装置10は、シール材Xの面Aと、未使用かつ品番「♯600」のシール材の裏面との色差を算出する。解析装置10は、算出した色差、および未使用かつ品番「♯600」のシール材の裏面における最大色差(例えば、テーブル410における最大値「1.4」)に基づいて、未使用かつ品番「♯600」のシール材の裏面と、シール材Xの面Aとの一致度Xauを算出する。テーブル420によると、当該一致度Xauは“35.7”と算出されている。他の一致度についても同様に算出される。
【0072】
図11は、テーブル420のデータの一部を抽出したテーブルを示す図である。
図11(a)のテーブル450は、テーブル410から、候補シール材の裏面および表面の各々について、当該面とシール材Xの面Aとの一致度が高い種類のデータを抽出したものである。
図11(b)のテーブル460は、テーブル410から、候補シール材の裏面および表面の各々について、当該面とシール材Xの面Bとの一致度が高い種類のデータを抽出したものである。
図11(c)のテーブル470は、シール材Xの種類の有力候補となる種類のデータを抽出したものである。
【0073】
解析装置10は、各一致度Xauと各一致度Xaoとに基づいて、シール材Xの面Aが裏面か表面かを特定する。テーブル450によると、各一致度Xauの最大値は“71.4%”であり、各一致度Xaoの最大値は“13.0%”であるため、シール材Xの面Aは「裏面」である可能性が高い。そのため、解析装置10は、シール材Xの面Aが“裏面”であると特定する。
【0074】
同様に、解析装置10は、各一致度Xbuと各一致度Xboとに基づいて、シール材Xの面Bが裏面か表面かを特定する。テーブル460によると、各一致度Xbuの最大値は“13.3%”であり、各一致度Xboの最大値は“62.5%”であるため、シール材Xの面Bは「表面」である可能性が高い。そのため、解析装置10は、シール材Xの面Bが“表面”であると特定する。なお、解析装置10は、シール材Xの面Aが“裏面”であると特定した場合には、シール材Xの面Bが“表面”であると特定してもよい。
【0075】
解析装置10は、シール材Xの面Aとの一致度が高く(例えば、上位3番以内)、かつ面Bとの一致度も高い(例えば、上位3番以内)種類のデータを抽出して、テーブル470を生成する。
図11の例では、面Aおよび面Bに対する一致度が最上位である品番「♯700」の未使用品のデータと、面Aに対する一致度が3番目であり、面Bに対する一致度が2番目である品番「♯600H」の劣化品のデータとが抽出される。
【0076】
解析装置10は、品番「#700」において、面Aに対応する一致度“71.4%”と面Bに対応する一致度“62.5%”との平均値(67.0%)を算出する。解析装置10は、品番「#600」において、面Aに対応する一致度“31.3%”と面Bに対応する一致度“5.7%”との平均値(18.5%)を算出する。そして、解析装置10は、平均値が高い方の品番「#700」がシール材Xの品番であると判定する。
【0077】
なお、
図11に示す各テーブル450~470は、判定方式の説明のために用いたものであり、実際に生成する必要はない。
【0078】
例えば、シール材Xの種類を判定する場合を想定する。
図10のテーブル420を参照して、各一致度Xauの最大値(71.4%)の方が各一致度Xaoの最大値(13.0%)よりも大きく、かつ各一致度Xboの最大値(62.5%)の方が各一致度Xbuの最大値(13.3%)よりも大きい。この場合、解析装置10は、各一致度Xauおよび各一致度Xboに基づいてシール材Xの種類を判定する。具体的には、解析装置10は、6種類の候補シール材の各々について、当該候補シール材に対応する一致度Xauおよび一致度Xboの平均値を算出する。解析装置10は、シール材Xが、各平均値のうちの最大平均値(71.4%および62.5%の平均値である67.0%)に対応する候補シール材(品番「#700」のシール材の未使用品)と同一種類であると判定する。
【0079】
シール材Yの種類を判定する場合を想定する。
図10を参照して、各一致度Yauの最大値(75.0%)の方が各一致度Yaoの最大値(15.9%)よりも大きく、かつ各一致度Yboの最大値(88.9%)の方が各一致度Ybuの最大値(10.6%)よりも大きい。この場合、解析装置10は、各一致度Yauおよび各一致度Yboに基づいて、シール材Yの種類を判定する。具体的には、解析装置10は、6種類の候補シール材の各々について、当該候補シール材に対応する一致度Yauおよび一致度Yboの平均値を算出する。解析装置10は、シール材Yが、各平均値のうちの最大平均値(75.0%および88.9%の平均値である82.0%)に対応する候補シール材(品番「#600H」のシール材の劣化品)と同一種類であると判定する。
【0080】
なお、解析装置10は、上記のように算出された各平均値が互いに近い値である場合には、シール材23の撮像画像を用いてシール材23の種類を判定してもよい。具体的には、解析装置10は、各平均値のうち大きい方から所定数Nの平均値の最大値と最小値との差分が所定値K2未満である場合、シール材23の撮像画像と、所定数Nの平均値に対応する所定数Nの候補シール材の撮像画像との照合結果に基づいて、シール材23の種類を判定する。
【0081】
ここで、シール材23の面Aが“裏面”であり、面Bが“表面”と特定されたものとする。この場合、解析装置10は、シール材23の面Aの撮像画像と、上記所定数Nの候補シール材の裏面の撮像画像との照合処理、および、シール材23の面Bの撮像画像と、上記所定数Nの候補シール材の表面の撮像画像との照合処理を行ない、シール材23の種類を判定する。
【0082】
<機能構成>
図7を用いて実施の形態2に従う解析装置10の機能構成について説明する。実施の形態2に従う取得部202は、判定対象のシール材23の第1面(例えば、面A)および第2面(例えば、面B)の色値を取得する。
【0083】
色差算出部204は、シール材23の第1面および第2面の色値と、各候補シール材の裏面および表面の色値とに基づいて、当該第1面および第2面の各々について、当該面と各候補シール材の裏面および表面の各々との色差を算出する。メモリ103は、各候補シール材の裏面および表面の色値を記憶している。
【0084】
一致度算出部206は、複数の候補シール材の各々について、当該候補シール材の裏面および表面の各々とシール材23の第1面との色差に基づいて、当該候補シール材の裏面と当該第1面との第1の一致度(例えば、一致度Xau)、および当該候補シール材の表面と当該第1面との第2の一致度(例えば、一致度Xao)を算出する。具体的には、一致度算出部206は、複数の候補シール材の各々について、当該候補シール材の裏面とシール材23の第1面との色差と、当該候補シール材の裏面における最大色差とに基づいて、シール材23の第1面と当該候補シール材の裏面との一致度を算出する。シール材23の第1面と当該候補シール材の表面との一致度も同様に算出される。
【0085】
一致度算出部206は、複数の候補シール材の各々について、当該候補シール材の裏面および表面の各々とシール材23の第2面との色差に基づいて、当該候補シール材の裏面と当該第2面との第3の一致度(例えば、一致度Xbu)、および当該候補シール材の表面と当該第2面との第4の一致度(例えば、一致度Xbo)を算出する。
【0086】
判定部210は、各第1の一致度および各第4の一致度に基づいて、または、各第2の一致度および各第3の一致度に基づいて、シール材23の種類を判定する。
【0087】
具体的には、各第1の一致度の最大値の方が各第2の一致度の最大値よりも大きく、かつ各第4の一致度の最大値の方が各第3の一致度の最大値よりも大きい場合、判定部210は、各第1の一致度および各第4の一致度に基づいて、シール材23の種類を判定する。各第2の一致度の最大値の方が各第1の一致度の最大値よりも大きく、かつ各第3の一致度の最大値の方が各第4の一致度の最大値よりも大きい場合、判定部210は、各第2の一致度および各第3の一致度に基づいて、シール材23の種類を判定する。
【0088】
例えば、各第1の一致度の最大値の方が各第2の一致度の最大値よりも大きく、かつ各第4の一致度の最大値の方が各第3の一致度の最大値よりも大きい場合、判定部210は、複数の候補シール材の各々について、当該候補シール材に対応する第1の一致度および第4の一致度の平均値を算出する。判定部210は、シール材23が、各平均値のうちの最大平均値に対応する候補シール材と同一種類であると判定する。
【0089】
<利点>
実施の形態2によると、シール材の色値を用いて、当該シール材の種類(品番および劣化状態の有無)を容易に判定することができる。また、シール材の測定面を把握できない人でもシール材の種類を迅速に把握できる。
【0090】
<その他の実施の形態>
(1)上述した実施の形態における
図7の解析装置10の機能構成のうちの一部の構成をサーバ30が有していてもよい。例えば、解析装置10が取得部202および色差算出部204を有し、サーバ30が一致度算出部206、判定部210、および出力制御部212を有する構成であってもよい。この場合、解析装置10は、色差算出部204で算出された色差等をサーバ30に送信する。
【0091】
(2)上述した実施の形態2のように、実施の形態1でも、候補シール材の種類が、品番と劣化状態の有無とに基づいて分類されていてもよい。
【0092】
(3)上述した実施の形態では、シール材23がガスケットである構成について説明したが、シール材23はグランドパッキンであってもよい。
【0093】
図12は、その他の実施の形態に従う各種データベースの一例を示す図である。
図12(a)は、互いに種類(例えば、品番)が異なる複数の候補シール材間における色差をデータベース化したテーブル710を示している。
図12(b)は、同一種類の複数の候補シール材間における色差をデータベース化したテーブル720を示している。
図12(c)は、判定対象のシール材23(
図12(c)の「対象物」に対応)と、各候補シール材との間における色差を、テーブル710に追加したテーブル730を示している。なお、テーブル710,720は、解析装置10のメモリ103に予め記憶されている。
図12のテーブル710~730は、
図4のテーブル310~330に対応している。
【0094】
解析装置10は、これらのテーブル710~730を用いて、上記の判定方式に従って、グランドパッキンであるシール材23の種類を判定する。また、解析装置10は、上述したように、シール材23の撮像画像を用いてシール材23の種類を判定してもよい。
【0095】
図13は、その他の実施の形態に従う画像照合処理の一例を示す図である。
図13を参照して、解析装置10は、品番「#80」のシール材の撮像画像810とシール材23の撮像画像840との照合処理、品番「#81」のシール材の撮像画像820と撮像画像840との照合処理、および、品番「#70」のシール材の撮像画像830と撮像画像840との照合処理を実行する。解析装置10は、撮像画像820が撮像画像840と最も類似すると判断し、シール材23が、撮像画像820に対応する品番「♯81」のシール材と同一種類であると判定する。
【0096】
なお、実施の形態2のようにガスケットの2面の色値を測定する場合には、角材で構成されるグランドパッキンの長手方向の4面のうちの任意の2面の色値を測定することによって、グランドパッキンの種類を判定すればよい。
【0097】
(4)上述した実施の形態において、コンピュータを機能させて、上述のフローチャートで説明したような制御を実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、二次記憶装置、主記憶装置およびメモリカードなどの一時的でないコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0098】
プログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本実施の形態にかかるプログラムに含まれ得る。また、本実施の形態にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本実施の形態にかかるプログラムに含まれ得る。
【0099】
(5)上述の実施の形態として例示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。また、上述した実施の形態において、その他の実施の形態で説明した処理や構成を適宜採用して実施する場合であってもよい。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0101】
10 解析装置、21 色差計、22 カメラ、23 シール材、30 サーバ、40 端末装置、101 プロセッサ、103 メモリ、105 ディスプレイ、107 入力装置、109 入出力インターフェイス、111 通信インターフェイス、150 ユーザインターフェイス画面、202 取得部、204 色差算出部、206 一致度算出部、210 判定部、212 出力制御部、1000 判定システム。