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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】筒状体取付治具
(51)【国際特許分類】
   B25B 27/06 20060101AFI20241120BHJP
   B65G 15/64 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
B25B27/06 A
B65G15/64
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020128679
(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公開番号】P2022025701
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000111085
【氏名又は名称】ニッタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 武士
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 佑紀
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-158826(JP,A)
【文献】実開平02-022909(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 27/06
B65G 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の棒状体が挿入される棒状体挿入路を有するベースと、
前記棒状体挿入路の中心軸上に配置されており、前記棒状体挿入路に連通する第1連通路を有し、前記第1連通路に筒状の筒状体が挿入され、前記筒状体に前記棒状体が挿入されることにより、前記中心軸に直交する平面において前記第1連通路が拡大するホルダと、
前記中心軸上において前記ベースと前記ホルダとの間に配置されており、前記棒状体挿入路と前記第1連通路とに連通する第2連通路と、前記第2連通路に設けられ、前記第1連通路に挿入された前記筒状体の端部を受ける段部とを有し、前記棒状体が前記段部を越えて挿入されることにより、前記平面において前記第2連通路が拡大するエンドプレッシャーと
を備える筒状体取付治具。
【請求項2】
前記第1連通路は、前記中心軸の周りに配置された複数の第1可動部と、前記平面において前記複数の第1可動部を移動可能に付勢する第1付勢部とを有し、
前記第2連通路は、前記中心軸の周りに配置された複数の第2可動部と、前記平面において前記複数の第2可動部を移動可能に付勢する第2付勢部とを有する請求項1に記載の筒状体取付治具。
【請求項3】
前記ホルダと前記エンドプレッシャーとを揺動可能に前記ベースに固定し、前記第1連通路及び前記第2連通路を介して、前記棒状体を前記棒状体挿入路へ案内するガイドリングを更に備える請求項1または2に記載の筒状体取付治具。
【請求項4】
前記ベースは、筒状体取付装置に接続する接続部を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の筒状体取付治具。
【請求項5】
前記ベースは、使用者が把持する把持部を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の筒状体取付治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状体に筒状体を取り付ける筒状体取付治具に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベアのベルトの蛇行を抑制する技術として、ローラの外径を部分的に大きくしたクラウンを形成するクラウン加工が知られている。クラウンは、例えば機械加工により形成することができる。クラウン加工は、ローラの表面に周速差を生じさせることで、ベルトが周速の早い部分へ寄る特性を利用し、ベルトの走行の安定性を図るものである。
【0003】
部分的にクラウンを形成する方法として、機械加工以外に、ストレートのローラにエラストマーのリングを装着する方法がある。この方法では、パイプの両端にプレスベアリングを取り付けてローラを形成し、このローラに対し、樹脂成型で形成したスリーブを取り付ける方法が多く採用されている。例えば、特許文献1-3には、スリーブを装着したローラが開示されている。
【0004】
スリーブは、ローラの外径より小さい内径で形成し、棒状の棒状体に筒状の筒状体を取り付けるための筒状体取付治具を用いて、ローラに圧入するのが一般的である。例えば、特許文献4には、ばねによって支持された3つのリング片によりリングをピストンに押し込むことで、ピストンにリングを取り付ける取付治具が開示されている。また、スリーブをローラに圧入する方法として、ローラよりわずかに外径の大きいパイプでスリーブの端部を押すといった方法もある。しかし、スリーブにローラを挿入する過程でスリーブの外径が変化するため、スリーブの変形段階に応じて治具を使い分ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-158826号公報
【文献】実開平2-022909号公報
【文献】実開昭52-122482号公報
【文献】特開平11-230343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スリーブは、肉厚が2mm以上であれば剛性が確保でき、ローラへの圧入に適しているが、ベルトの周速差や走行音が大きくなり、また、ベルトの摩耗も発生しやすくなるため、肉厚が1mm~1.5mm程度であることが好ましい。
【0007】
しかし、肉厚の薄い筒状体としてのスリーブは、剛性が低くなり、棒状体としてのローラに挿入する際に変形する。スリーブの挿入過程で、スリーブの変形に応じた治具を使い分ける必要があるが、治具を使い分けるには段取り替えが必要になり、工程数が多いという問題があった。
【0008】
本発明は、肉厚の薄い筒状体を棒状体に取り付ける作業の効率化が図れる筒状体取付治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る筒状体取付治具は、棒状の棒状体が挿入される棒状体挿入路を有するベースと、前記棒状体挿入路の中心軸上に配置されており、前記棒状体挿入路に連通する第1連通路を有し、前記第1連通路に筒状の筒状体が挿入され、前記筒状体に前記棒状体が挿入されることにより、前記中心軸に直交する平面において前記第1連通路が拡大するホルダと、前記中心軸上において前記ベースと前記ホルダとの間に配置されており、前記棒状体挿入路と前記第1連通路とに連通する第2連通路と、前記第2連通路に設けられ、前記第1連通路に挿入された前記筒状体の端部を受ける段部とを有し、前記棒状体が前記段部に挿入されることにより、前記平面において前記第2連通路が拡大するエンドプレッシャーとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、筒状体が挿入される第1連通路と、筒状体の端部を受ける段部が設けられた第2連通路とが、棒状体を筒状体に挿入する過程で筒状体の変形に追従して独立に拡大するので、筒状体の変形に応じた治具の使い分けを要せず、肉厚の薄い筒状体を棒状体に取り付ける作業の効率化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】筒状体取付治具の外観を示す斜視図である。
図2】筒状体取付治具の構成を示す断面図である。
図3】複数の第1可動部の平面図である。
図4】複数の第2可動部の平面図である。
図5A】筒状体取付方法を説明する説明図である。
図5B図5A中の符号Bで示した部分を拡大した部分拡大断面図である。
図6A】筒状体取付方法を説明する説明図である。
図6B図6A中の符号Bで示した部分を拡大した部分拡大断面図である。
図7A】筒状体取付方法を説明する説明図である。
図7B図7A中の符号Bで示した部分を拡大した部分拡大断面図である。
図8】変形例に係る筒状体取付治具の外観を示す斜視図である。
図9】変形例に係る筒状体取付治具の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。以下に示す実施形態及び変形例は、本発明の一例であり、本発明はこれに限られるものではない。各実施形態及び各変形例に関する以下の説明において、同様の構成については同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
(全体構成)
図1において、筒状体取付治具の一例としてのスリーブ取付治具10は、ベルトを搬送する棒状の棒状体としてのローラに、筒状の筒状体としてのスリーブを取り付けるために用いられる。本実施形態では、スリーブ取付治具10は、全体として中空の筒状に形成されている。スリーブ取付治具10の内部に円筒状のスリーブを挿入した後、スリーブの内部に円柱状のローラを挿入することにより、ローラの外周にスリーブを取り付けることができる。スリーブは、弾性を有する材料、例えばエラストマー等により形成される。スリーブの肉厚は、例えば1mm~1.5mm程度である。ローラは、硬質の材料、例えば金属等により形成される。ローラの端部の縁部は、R形状の曲面部であることが好ましい。ローラの端部の縁部が曲面部であることにより、スリーブにローラを挿入し易くなる。なお、ローラの端部の縁部が角形状の角部である場合は、R形状の曲面部を有するアダプターを別途準備し、当該アダプターをローラの端部に設けることが好ましい。
【0014】
図2に示すように、スリーブ取付治具10は、ベース11と、ホルダ12と、エンドプレッシャー13と、ガイドリング14とを備えている。スリーブ取付治具10において、ローラは、ガイドリング14、ホルダ12、エンドプレッシャー13、及びベース11の順に挿入される。ガイドリング14側を先端とし、ベース11側を基端とする。
【0015】
ベース11は、ローラ(棒状体)が挿入される棒状体挿入路としてのローラ挿入路16を有する。ローラ挿入路16は、中空の筒状に形成されており、本実施形態では円筒状に形成されている。ローラ挿入路16の中心軸は、X軸と平行に配される。中心軸に直交する平面は、X軸と直交するY軸及びZ軸により形成されるYZ平面と平行に配される。
【0016】
ローラ挿入路16は、中心軸に直交する平面において中心軸から離れる方向に突出するフランジ部16aと、フランジ部16aに設けられた複数のねじ穴16bとを有している。フランジ部16aの外形は、この例では円形である。各ねじ穴16bは、フランジ部16aを、中心軸と平行な方向に貫通している。本実施形態では、フランジ部16aに対し、4つのねじ穴16bが等間隔に設けられている。図2では、4つのねじ穴16bのうち、Z軸方向に配列された2つのねじ穴16bを図示しており、Y軸方向に配列された2つのねじ穴16bを図示していない。複数のねじ穴16bには、後述するアセンブリボルト26のねじ部26aが挿入される。
【0017】
ベース11は、本実施形態では、図示しない筒状体取付装置としてのスリーブ取付装置に接続する接続部17を更に有している。接続部17は、フランジ部16aの基端に設けられている。接続部17は、この例ではフランジ部16aと一体に形成されているが、フランジ部16aと別体に形成しても良い。接続部17の形状は、この例では円筒状であるが、スリーブ取付装置に適合するように所定の形状とすることができる。
【0018】
ホルダ12は、ローラ挿入路16の中心軸上に配置されている。ホルダ12は、ローラ挿入路16に連通する第1連通路21を有している。ホルダ12は、第1連通路21に筒状のスリーブが挿入され、当該スリーブにローラが挿入されることにより、ローラ挿入路16の中心軸に直交する平面において第1連通路21が拡大するように構成されている。
【0019】
第1連通路21は、中空の筒状に形成されており、本実施形態では円筒状に形成されている。第1連通路21の内径は、スリーブの外径と同じ、またはスリーブの外径より僅かに小さい。肉厚の薄いエラストマーのスリーブは、成形後、外力により楕円や繭型に変形するが、当該第1連通路21に挿入されることで、第1連通路21の内面に沿って円筒状に矯正され、形状が保持される。このように、第1連通路21は、スリーブの形状を矯正しかつ保持する機能を有する。第1連通路21によりスリーブの形状が円筒状に矯正されることで、スリーブにローラを挿入し易くなる。
【0020】
第1連通路21は、ローラ挿入路16の中心軸の周りに配置された複数の第1可動部21aと、中心軸に直交する平面において複数の第1可動部21aを移動可能に付勢する第1付勢部21bと、各第1可動部21aに設けられた第1貫通穴21cとを有している。第1連通路21は、本実施形態では、4つの第1可動部21aと、2つの第1付勢部21bと、4つの第1貫通穴21cとを有している。第1可動部21aの数と第1付勢部21bの数と第1貫通穴21cの数は、それぞれ適宜変更して良い。第1付勢部21bとしては、例えば、ガータスプリング、Oリング等が用いられる。
【0021】
図3は、複数(4つ)の第1可動部21aの平面図である。各第1可動部21aは、円筒を4分割した形状(環状扇形)を有している。各第1貫通穴21cは、楕円形状を有しており、長軸がローラ挿入路16の中心軸と交差するように配されている。各第1貫通穴21cには、後述するアセンブリボルト26の円筒部26bが挿入される。各第1可動部21aは、第1貫通穴21cに円筒部26bが挿入された状態で、第1貫通穴21cの長軸方向に沿って独立して移動可能である。
【0022】
各第1可動部21aは、第1連通路21にスリーブが挿入され、当該スリーブにローラが挿入される過程で、中心軸に直交する平面において中心軸から離れる方向に移動する。このように各第1可動部21aが移動することにより、第1連通路21がスリーブの外径の変化に追従するように拡大する。各第1可動部21aは、スリーブにローラが挿入されていない状態では、互いに接触し、一体化している(図1参照)。
【0023】
エンドプレッシャー13は、ローラ挿入路16の中心軸上においてベース11とホルダ12との間に配置されている(図2参照)。エンドプレッシャー13は、ローラ挿入路16と第1連通路21とに連通する第2連通路22と、第2連通路22に設けられ、第1連通路21に挿入されたスリーブの端部を受ける段部23とを有している。エンドプレッシャー13は、ローラが段部23に挿入されることにより、ローラ挿入路16の中心軸に直交する平面において第2連通路22が拡大するように構成されている。
【0024】
第2連通路22は、中空の筒状に形成されており、本実施形態では円筒状に形成されている。段部23は、ローラ挿入路16の中心軸と平行な側面と、中心軸に直交する底面とにより構成されている。段部23の側面は、第1連通路21の内面と接続する。図2において、段部23の側面と第1連通路21の内面とは、Z軸方向における位置が一致している。段部23の底面は、第1連通路21に挿入されたスリーブの端部と当接する。段部23は、底面がスリーブの端部と当接することにより、基端側へのスリーブの移動を制限する。段部23の底面の幅(図2におけるZ軸方向の長さ)は、スリーブの肉厚と同程度であることが好ましい。
【0025】
第2連通路22は、ローラ挿入路16の中心軸の周りに配置された複数の第2可動部22aと、中心軸に直交する平面において複数の第2可動部22aを移動可能に付勢する第2付勢部22bと、各第2可動部22aに設けられた第2貫通穴22cを有している。第2連通路22は、本実施形態では、4つの第2可動部22aと、2つの第2付勢部22bと、4つの第2貫通穴22cとを有している。第2可動部22aの数と第2付勢部22bの数と第2貫通穴22cの数とは、それぞれ適宜変更して良い。第2付勢部22bとしては、例えば、ガータスプリング、Oリング等が用いられる。
【0026】
図4は、複数(4つ)の第2可動部22aの平面図である。各第2可動部22aは、円筒を4分割した形状(環状扇形)を有している。各第2貫通穴22cは、楕円形状を有しており、長軸がローラ挿入路16の中心軸と交差するように配されている。各第2貫通穴22cには、後述するアセンブリボルト26の円筒部26bが挿入される。各第2可動部22aは、第2貫通穴22cに円筒部26bが挿入された状態で、第2貫通穴22cの長軸方向に沿って独立して移動可能である。
【0027】
各第2可動部22aは、ローラが段部23に挿入される過程で、中心軸に直交する平面において中心軸から離れる方向に移動する。このように各第2可動部22aが移動することにより、第2連通路22が拡大する。第2連通路22は、スリーブの端部に挿入圧を加えることができ、かつ、ローラのエッジが段部23に引っかかることがない。各第2可動部22aは、スリーブにローラが挿入されていない状態では、互いに接触し、一体化している(図1参照)。
【0028】
ガイドリング14は、ホルダ12とエンドプレッシャー13とを揺動可能にベース11に固定し、第1連通路21及び第2連通路22を介して、ローラをローラ挿入路16へ案内する(図2参照)。ガイドリング14は、中空の筒状に形成されており、本実施形態では円筒状に形成されている。ガイドリング14の内径は、ローラに挿入したスリーブの外径より僅かに大きい。
【0029】
ガイドリング14は、アセンブリボルト26を用いてベース11に固定される。アセンブリボルト26は、ローラ挿入路16のねじ穴16bに挿入されるねじ部26aと、第1連通路21の第1貫通穴21cと第2連通路22の第2貫通穴22cとに挿入される円筒部26bとを有している。ガイドリング14がベース11に固定され、ホルダ12とエンドプレッシャー13とが一体化されることにより、スリーブ取付治具10に対し、ローラを同軸に安定して挿入できる。
【0030】
(動作及び効果)
スリーブ取付治具10の動作及び効果について説明する。
【0031】
図5A及び図5Bに示すように、スリーブ取付治具10の先端側から、ガイドリング14を介して、ホルダ12の第1連通路21にスリーブ30を挿入する。スリーブ30の端部は、エンドプレッシャー13の段部23に当接させる。
【0032】
図6A及び図6Bに示すように、スリーブ取付治具10の先端側からスリーブ30の内部にローラ31を挿入する。スリーブ30の基端側の端部がエンドプレッシャー13の段部23に当接しており、スリーブ30が基端側へ移動しないので、スリーブ30にローラ31を挿入できる。スリーブ30は、ローラ31の挿入により、先端側の端部の外径が拡大する。各第1可動部21aは、スリーブ30の先端側の端部が拡大する過程で、中心軸から離れる方向に移動する。これにより第1連通路21全体が拡大する。一方、各第2可動部22aは移動しないので、スリーブ30の基端側の端部と段部23とが当接した状態が維持される。なお、この例では、ローラ31の端部にR形状の曲面部を有するアダプター32が設けられている。アダプター32が曲面部を有することにより、スリーブ30にローラ31が容易に挿入される。
【0033】
図7A及び図7Bに示すように、ローラ31をスリーブ取付治具10の基端側へ更に挿入する。ローラ31が段部23に挿入されることにより、スリーブ30の基端側の端部の外径が拡大する。各第2可動部22aは、スリーブ30の基端側の端部が拡大する過程で、中心軸から離れる方向に移動する。これにより第2連通路22全体が拡大する。第2連通路22の拡大後も、スリーブ30の基端側の端部と段部23とが当接した状態が維持される。このため、ローラ31を基端側へ更に移動することで、ローラ31の所定の位置にスリーブ30を配置できる。
【0034】
以上のように、スリーブ取付治具10は、スリーブ30が挿入される第1連通路21と、スリーブ30の端部を受ける段部23が設けられた第2連通路22とを備え、ローラ31をスリーブ30に挿入する過程で、スリーブ30の変形に追従して第1連通路21と第2連通路22とが独立して拡大するので、治具の交換を要せず、肉厚の薄いスリーブ30をローラ31に取り付ける作業の効率化が図れる。
【0035】
スリーブ取付治具10は、ホルダ12とエンドプレッシャー13とを一体化してベース11に固定するガイドリング14を備えることにより、ベース11の中心軸に沿ってローラ31を安定して挿入できる。
【0036】
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
【0037】
上記実施形態に係るスリーブ取付治具10は、ベース11が接続部17を有していることにより、図示しないスリーブ取付装置に接続し、スリーブ30をローラ31に取り付けているが、これに限定されない。
【0038】
図8及び図9において、スリーブ取付治具40は、スリーブ取付装置に接続せずに、使用者が手動でスリーブ30をローラ31に取り付けるために用いられる。スリーブ取付治具40は、ベース41と、ホルダ12と、エンドプレッシャー43と、ガイドリング14とを備えている。スリーブ取付治具40は、ベース41とエンドプレッシャー43とを備えること以外は、上記実施形態に係るスリーブ取付治具10と同じ構成を有している。上記実施形態と同じ構成については、上記実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
【0039】
ベース41は、ローラ挿入路16を有する他、使用者が把持する把持部45を更に有している。把持部45の形状は、この例では長方形の板状であるが、所定の形状とすることができる。把持部45は、ローラ挿入路16のフランジ部16aの外周部に設けられている。図8では、把持部45は、Y軸方向に突出して設けられている。把持部45は、この例ではフランジ部16aと一体に形成されているが、フランジ部16aと別体に形成しても良い。
【0040】
エンドプレッシャー43は、第2付勢部22bが1つであること以外は、上記実施形態に係るエンドプレッシャー13と同じ構成を有する。すなわち、エンドプレッシャー43は、ローラ挿入路16の中心軸上においてベース41とホルダ12との間に配置されており、ローラ挿入路16と第1連通路21とに連通する第2連通路22と、第2連通路22に設けられ、第1連通路21に挿入されたスリーブの端部を受ける段部23とを有し、ローラ31が段部23に挿入されることにより、ローラ挿入路16の中心軸に直交する平面において第2連通路22が拡大するように構成されている。
【0041】
スリーブ取付治具40は、上記実施形態に係るスリーブ取付治具10と同様に、スリーブ30が挿入される第1連通路21と、スリーブ30の端部を受ける段部23が設けられた第2連通路22とを備え、ローラ31をスリーブ30に挿入する過程で、スリーブ30の変形に追従して第1連通路21と第2連通路22とが独立して拡大する。したがって、スリーブ取付治具40は、治具の交換を要せず、肉厚の薄いスリーブ30をローラ31に取り付ける作業の効率化が図れる。
【0042】
筒状体取付治具は、ベルトコンベアのローラにスリーブを取り付けるスリーブ取付治具10,40に限られない。例えば、筒状体取付治具は、パイプ椅子において、床と接する部分のパイプに滑り止め用のキャップを取り付けるために用いても良い。パイプラックにおいて、床と接する部分のパイプや天板を置く部分のパイプに滑り止め用のキャップを取り付けるために用いても良い。ハンガーラックにおいて、ハンガーを掛けるパイプに、ハンガーの移動を防止するスリーブを取り付けるために用いても良い。階段等の手すりにスリーブを取り付けるために用いても良い。
【符号の説明】
【0043】
10,40 スリーブ取付治具(筒状体取付治具)
11,41 ベース
12 ホルダ
13,43 エンドプレッシャー
14 ガイドリング
16 ローラ挿入路(棒状体挿入路)
17 接続部
21 第1連通路
21a 第1可動部
21b 第1付勢部
22 第2連通路
22a 第2可動部
22b 第2付勢部
23 段部
30 スリーブ(筒状体)
31 ローラ(棒状体)
32 アダプター
45 把持部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9