(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】車両用電源装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241120BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20241120BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20241120BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241120BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20241120BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20241120BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20241120BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20241120BHJP
H01M 10/651 20140101ALI20241120BHJP
H01M 10/6571 20140101ALI20241120BHJP
B60R 16/04 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/04 L
H02J7/00 302C
H02J7/02 F
H02J7/02 J
H01M10/48 301
H01M10/44 Q
H01M10/615
H01M10/633
H01M10/625
H01M10/651
H01M10/6571
B60R16/04 S
(21)【出願番号】P 2020155184
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬田 至
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 広行
(72)【発明者】
【氏名】大伴 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】小室 正樹
(72)【発明者】
【氏名】河野 孝史
(72)【発明者】
【氏名】牧野 和輝
(72)【発明者】
【氏名】佐川 晋也
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-166357(JP,A)
【文献】特開平08-251714(JP,A)
【文献】特開2016-162492(JP,A)
【文献】特開2012-257394(JP,A)
【文献】特開2017-077158(JP,A)
【文献】特開2020-092509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/04
H02J 7/02
H01M 10/48
H01M 10/44
H01M 10/615
H01M 10/633
H01M 10/625
H01M 10/651
H01M 10/6571
B60R 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車両用電源装置であって、
第1蓄電体と、前記第1蓄電体よりも内部抵抗の大きな第2蓄電体と、を備える蓄電体群と、
前記蓄電体群に接続され、前記第1蓄電体と前記第2蓄電体との少なくとも何れか一方を充電する充電器と、
前記第1蓄電体と前記充電器との間に設けられ、オン状態とオフ状態とに制御される第1スイッチと、
前記第2蓄電体と前記充電器との間に設けられ、オン状態とオフ状態とに制御される第2スイッチと、
前記蓄電体群の温度に基づいて、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御するスイッチ制御部と、
を有
し、
前記スイッチ制御部は、充電時に前記蓄電体群の温度が所定の閾値を下回る場合に、前記第1スイッチをオフ状態に制御して前記充電器から前記第1蓄電体を切り離し、且つ前記第2スイッチをオン状態に制御して前記充電器に前記第2蓄電体を接続する、
車両用電源装置。
【請求項2】
車両に搭載される車両用電源装置であって、
第1蓄電体と、前記第1蓄電体よりも内部抵抗の大きな第2蓄電体と、を備える蓄電体群と、
前記蓄電体群に接続され、前記第1蓄電体と前記第2蓄電体との少なくとも何れか一方を充電する充電器と、
前記第1蓄電体と前記充電器との間に設けられ、オン状態とオフ状態とに制御される第1スイッチと、
前記第2蓄電体と前記充電器との間に設けられ、オン状態とオフ状態とに制御される第2スイッチと、
前記蓄電体群の温度に基づいて、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御するスイッチ制御部と、
を有
し、
前記スイッチ制御部は、前記蓄電体群の温度が所定の閾値を上回る場合に、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの双方をオン状態に制御し、前記充電器を介して前記第1蓄電体と前記第2蓄電体とを互いに並列接続する、
車両用電源装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の車両用電源装置において、
前記第1蓄電体と前記第2蓄電体とは、互いに隣接して配置される、
車両用電源装置。
【請求項4】
請求項
1に記載の車両用電源装置において、
前記スイッチ制御部は、充電時に前記蓄電体群の温度が前記閾値を上回る場合に、前記第1スイッチをオン状態に制御して前記充電器に前記第1蓄電体を接続し、且つ前記第2スイッチをオフ状態に制御して前記充電器から前記第2蓄電体を切り離す、
車両用電源装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の車両用電源装置において、
前記第1蓄電体にインバータを介して接続される走行用モータと、
前記第2蓄電体にコンバータを介して接続される電気機器群と、
を有し、
前記スイッチ制御部は、車両走行時における前記第1蓄電体の充放電によって前記蓄電体群の温度が所定の閾値を上回る場合に、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの双方をオン状態に制御し、前記充電器を介して前記第1蓄電体と前記第2蓄電体とを互いに並列接続する、
車両用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車両用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車両等の車両には、バッテリ等の蓄電体を備えた電源装置が搭載されている(特許文献1~3参照)。また、電気自動車等の車両には、蓄電体を充電するための車載充電器が搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/017786号
【文献】特開2017-77158号公報
【文献】特開2006-210244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蓄電体の温度が低下すると蓄電体の内部抵抗が高まることから、低温環境下において蓄電体の充電効率を高めるためには、蓄電体の温度を上昇させることが必要である。このように、低温時に蓄電体を効率良く充電するためには、蓄電体を暖めて充電することが求められている。
【0005】
本発明の目的は、蓄電体を暖めて充電することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態である車両用電源装置は、車両に搭載される車両用電源装置であって、第1蓄電体と、前記第1蓄電体よりも内部抵抗の大きな第2蓄電体と、を備える蓄電体群を有する。前記車両用電源装置は、前記蓄電体群に接続され、前記第1蓄電体と前記第2蓄電体との少なくとも何れか一方を充電する充電器を有する。前記車両用電源装置は、前記第1蓄電体と前記充電器との間に設けられ、オン状態とオフ状態とに制御される第1スイッチと、前記第2蓄電体と前記充電器との間に設けられ、オン状態とオフ状態とに制御される第2スイッチと、を有する。前記車両用電源装置は、前記蓄電体群の温度に基づいて、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御するスイッチ制御部を有する。前記スイッチ制御部は、充電時に前記蓄電体群の温度が所定の閾値を下回る場合に、前記第1スイッチをオフ状態に制御して前記充電器から前記第1蓄電体を切り離し、且つ前記第2スイッチをオン状態に制御して前記充電器に前記第2蓄電体を接続する。
本発明の他実施形態である車両用電源装置は、車両に搭載される車両用電源装置であって、第1蓄電体と、前記第1蓄電体よりも内部抵抗の大きな第2蓄電体と、を備える蓄電体群を有する。前記車両用電源装置は、前記蓄電体群に接続され、前記第1蓄電体と前記第2蓄電体との少なくとも何れか一方を充電する充電器を有する。前記車両用電源装置は、前記第1蓄電体と前記充電器との間に設けられ、オン状態とオフ状態とに制御される第1スイッチと、前記第2蓄電体と前記充電器との間に設けられ、オン状態とオフ状態とに制御される第2スイッチと、を有する。前記車両用電源装置は、前記蓄電体群の温度に基づいて、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを制御するスイッチ制御部を有する。前記スイッチ制御部は、前記蓄電体群の温度が所定の閾値を上回る場合に、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの双方をオン状態に制御し、前記充電器を介して前記第1蓄電体と前記第2蓄電体とを互いに並列接続する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、蓄電体群の温度に基づき第1スイッチおよび第2スイッチを制御するようにしたので、第2蓄電体によって第1蓄電体を暖めてから、第1蓄電体を充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態である車両用電源装置の構成例を示す概略図である。
【
図2】バッテリパック内におけるバッテリスタックの配置構造の一例を示す図である。
【
図3】車両用電源装置が備える制御系の一例を示す概略図である。
【
図4】基本動作モードにおけるバッテリパックの作動状況を示す図である。
【
図5】スタック切替制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】(A)および(B)は、スタック切替制御におけるバッテリパックの作動状態を示す図である。
【
図7】昇温抑制制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】(A)は基本動作モードにおけるバッテリパックの作動状態を示す図であり、(B)は昇温抑制モードにおけるバッテリパックの作動状態を示す図である。
【
図9】航続距離延長制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】(A)は基本動作モードにおけるバッテリパックの作動状態を示す図であり、(B)は距離延長モードにおけるバッテリパックの作動状態を示す図である。
【
図11】プラグイン充電制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】プラグイン充電制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【
図13】プラグイン充電制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】(A)および(B)は、外部電源によるスタック群の充電状況を示す図である。
【
図15】自動補充電制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【
図16】自動補充電制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【
図17】(A)は車両停止後におけるバッテリパックの作動状態を示す図であり、(B)は自動補充電モードにおけるバッテリパックの作動状態を示す図である。
【
図18】バッテリセルの配置構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
[バッテリパック]
図1は本発明の一実施の形態である車両用電源装置10の構成例を示す概略図である。
図1に示すように、車両に搭載される車両用電源装置10は、スタック群A1およびスタック群B1からなるバッテリパック(蓄電体群)11を有している。スタック群A1には、互いに並列接続される複数のバッテリスタック(第1蓄電体)A2が設けられており、各バッテリスタックA2は、互いに直列接続される複数のバッテリセルA3によって構成されている。このバッテリセルA3は、新品として製造されたバッテリセル、つまり他の装置に使用されていないバッテリセルである。また、第2スタック群B1には、互いに並列接続される複数のバッテリスタック(第2蓄電体)B2が設けられており、各バッテリスタックB2は、互いに直列接続される複数のバッテリセル(蓄電体セル)B3によって構成されている。このバッテリセルB3は、再利用品として製造されたバッテリセル、つまり他の装置に使用されていたバッテリセルである。なお、バッテリスタックA2,B2は、バッテリモジュールとも呼ばれている。
【0011】
・(メインスイッチ)
各バッテリスタックA2の正極側にはメインスイッチSW1aが設けられており、各バッテリスタックA2の負極側にはメインスイッチSW1bが設けられている。メインスイッチSW1a,SW1bをオン状態に制御することにより、スタック群A1の正極端子12aに対してバッテリスタックA2の正極端子13aを接続することができ、スタック群A1の負極端子12bに対してバッテリスタックA2の負極端子13bを接続することができる。つまり、メインスイッチSW1a,SW1bをオン状態に制御することにより、バッテリパック11内の電源回路14にバッテリスタックA2を接続することができる。一方、メインスイッチSW1a,SW1bをオフ状態に制御することにより、スタック群A1の正極端子12aからバッテリスタックA2の正極端子13aを切り離すことができ、スタック群A1の負極端子12bからバッテリスタックA2の負極端子13bを切り離すことができる。
【0012】
同様に、各バッテリスタックB2の正極側にはメインスイッチSW2aが設けられており、各バッテリスタックA2の負極側にはメインスイッチSW2bが設けられている。メインスイッチSW2a,SW2bをオン状態に制御することにより、スタック群B1の正極端子15aに対してバッテリスタックB2の正極端子16aを接続することができ、スタック群B1の負極端子15bに対してバッテリスタックB2の負極端子16bを接続することができる。つまり、メインスイッチSW2a,SW2bをオン状態に制御することにより、バッテリパック11内の電源回路14にバッテリスタックB2を接続することができる。一方、メインスイッチSW2a,SW2bをオフ状態に制御することにより、スタック群B1の正極端子16aからバッテリスタックB2の正極端子15aを切り離すことができ、スタック群B1の負極端子16bからバッテリスタックB2の負極端子15bを切り離すことができる。
【0013】
・(切替スイッチ)
バッテリパック11には、インバータ20を介してモータジェネレータ(走行用モータ)21が接続されている。このインバータ20は、複数のスイッチング素子等によって構成されており、モータジェネレータ21側の交流電力とバッテリパック11側の直流電力とを相互に変換する機能を有している。また、バッテリパック11には、コンバータ22を介してアクチュエータやコントローラ等の電気機器23からなる電気機器群24が接続されている。このコンバータ22は、複数のスイッチング素子等によって構成されるDCDCコンバータであり、バッテリパック11の直流電力を降圧して電気機器群24に出力する機能を有している。
【0014】
また、バッテリパック11に対するインバータ20やコンバータ22の接続状態を制御するため、車両用電源装置10には切替スイッチSW3a,SW3b,SW4a,SW4bが設けられている。切替スイッチSW3aは、スタック群A1の正極端子12aに接続される正極端子33a、インバータ20に接続されるインバータ端子33b、およびコンバータ22に接続されるコンバータ端子33cを有している。この切替スイッチSW3aは、正極端子33aとインバータ端子33bとを互いに接続するインバータ位置、正極端子33aとコンバータ端子33cとを互いに接続するコンバータ位置、および正極端子33aをインバータ端子33bとコンバータ端子33cとの双方から切り離す中立位置の何れかに動作する。
【0015】
切替スイッチSW3bは、スタック群A1の負極端子12bに接続される負極端子43a、インバータ20に接続されるインバータ端子43b、およびコンバータ22に接続されるコンバータ端子43cを有している。この切替スイッチSW3bは、負極端子43aとインバータ端子43bとを互いに接続するインバータ位置、負極端子43aとコンバータ端子43cとを互いに接続するコンバータ位置、および負極端子43aをインバータ端子43bとコンバータ端子43cとの双方から切り離す中立位置の何れかに動作する。
【0016】
これらの切替スイッチSW3a,SW3bをインバータ位置に制御することにより、切替スイッチSW3a,SW3bを介してスタック群A1はインバータ20に接続される。一方、切替スイッチSW3a,SW3bをコンバータ位置に制御することにより、切替スイッチSW3a,SW3bを介してスタック群A1はコンバータ22に接続される。また、
図1に示されるように、切替スイッチSW3a,SW3bを中立位置に制御することにより、スタック群A1はインバータ20とコンバータ22との双方から切り離される。
【0017】
また、切替スイッチSW4aは、スタック群B1の正極端子15aに接続される正極端子34a、インバータ20に接続されるインバータ端子34b、およびコンバータ22に接続されるコンバータ端子43cを有している。この切替スイッチSW4aは、正極端子34aとインバータ端子34bとを互いに接続するインバータ位置、正極端子34aとコンバータ端子43cとを互いに接続するコンバータ位置、および正極端子34aをインバータ端子34bとコンバータ端子43cとの双方から切り離す中立位置の何れかに動作する。
【0018】
切替スイッチSW4bは、スタック群B1の負極端子15bに接続される負極端子44a、インバータ20に接続されるインバータ端子44b、およびコンバータ22に接続されるコンバータ端子44cを有している。この切替スイッチSW4bは、負極端子44aとインバータ端子44bとを互いに接続するインバータ位置、負極端子44aとコンバータ端子44cとを互いに接続するコンバータ位置、および負極端子44aをインバータ端子44bとコンバータ端子44cとの双方から切り離す中立位置の何れかに動作する。
【0019】
これらの切替スイッチSW4a,SW4bをインバータ位置に制御することにより、切替スイッチSW4a,SW4bを介してスタック群B1はインバータ20に接続される。一方、切替スイッチSW4a,SW4bをコンバータ位置に制御することにより、切替スイッチSW4a,SW4bを介してスタック群B1はコンバータ22に接続される。また、
図1に示されるように、切替スイッチSW4a,SW4bを中立位置に制御することにより、スタック群B1はインバータ20とコンバータ22との双方から切り離される。
【0020】
・(充電スイッチ)
車両用電源装置10には、外部電源51を用いてバッテリパック11を充電するための車載充電器(充電器)50が設けられている。この車載充電器50は、複数のスイッチング素子等によって構成されており、外部電源51からの交流電力を直流電力に変換してバッテリパック11に出力する機能を有している。また、車載充電器50は、スタック群A1の直流電力を電圧調整してスタック群B1に出力する機能を有するとともに、スタック群B1の直流電力を電圧調整してスタック群A1に出力する機能を有している。
【0021】
外部電源51を用いてバッテリパック11を充電する際には、車載充電器50のインレット52に対して外部電源51の充電プラグ53が接続される。これにより、車載充電器50を介して外部電源51をバッテリパック11に接続することができ、外部電源51からの電力をバッテリパック11に供給することができる。また、バッテリパック11に対する車載充電器50の接続状態を制御するため、車両用電源装置10には充電スイッチ(第1スイッチ)SW5a,SW5bおよび充電スイッチ(第2スイッチ)SW6a,SW6bが設けられている。
【0022】
充電スイッチSW5aは、スタック群A1の正極端子12aに接続される正極端子55aと、車載充電器50に接続される充電端子55bと、を有している。また、充電スイッチSW5bは、スタック群A1の負極端子12bに接続される負極端子65aと、車載充電器50に接続される充電端子65bと、を有している。これらの充電スイッチSW5a,SW5bをオン状態に制御することにより、車載充電器50をバッテリパック11のスタック群A1に接続することができる。
【0023】
また、充電スイッチSW6aは、スタック群B1の正極端子15aに接続される正極端子56aと、車載充電器50に接続される充電端子56bと、を有している。また、充電スイッチSW6bは、スタック群B1の負極端子15bに接続される負極端子66aと、車載充電器50に接続される充電端子66bと、を有している。これらの充電スイッチSW6a,SW6bをオン状態に制御することにより、車載充電器50をバッテリパック11のスタック群B1に接続することができる。
【0024】
・(バッテリスタックA2,B2の配置)
図2はバッテリパック11内におけるバッテリスタックA2,B2の配置構造の一例を示す図である。なお、
図2において、ハッチングを付したバッテリスタックは、バッテリスタックB2である。
図2に示すように、バッテリスタックA2とバッテリスタックB2とは、互いに隣接するように交互に配置されている。前述したように、バッテリスタックA2を構成するバッテリセルA3は、新品として製造されたバッテリセルA3であるのに対し、バッテリスタックB2を構成するバッテリセルB3は、再利用品として製造されたバッテリセルB3である。このため、再利用品であるバッテリセルB3の内部抵抗は、新品のバッテリセルA3の内部抵抗よりも高くなっている。つまり、バッテリパック11においては、内部抵抗の低いバッテリスタックA2と、内部抵抗の高いバッテリスタックB2とが、互いに隣接して配置されている。
【0025】
[制御系]
図3は車両用電源装置10が備える制御系の一例を示す概略図である。
図3に示すように、車両用電源装置10は、マイコン等からなる複数のコントローラ70~74を有している。これらのコントローラ70~74として、バッテリパック11を制御するバッテリコントローラ70、車輪80に連結されたモータジェネレータ21を制御するモータコントローラ71、コンバータ22を制御するコンバータコントローラ72、車載充電器50を制御する充電コントローラ73、および各コントローラ70~73を統合制御するメインコントローラ74がある。これらのコントローラ70~74は、CAN等の車載ネットワーク75を介して互いに通信自在に接続されている。
【0026】
メインコントローラ74には、アクセルペダルの操作状況を検出するアクセルセンサ81、ブレーキペダルの操作状況を検出するブレーキセンサ82、および車両の走行速度を検出する車速センサ83等が接続されている。また、メインコントローラ74には、車両制御システムの起動時や停止時に運転者に操作される起動スイッチ84が接続されている。さらに、メインコントローラ74には、メインスイッチSW1a,SW1b,SW2a,SW2bの目標作動状態を設定するメインスイッチ動作設定部85と、切替スイッチSW3a,SW3b,SW4a,SW4bの目標作動位置を設定する切替スイッチ動作設定部86と、充電スイッチSW5a,SW5b,SW6a,SW6bの目標作動状態を設定する充電スイッチ動作設定部87と、が設けられている。
【0027】
メインコントローラ74のメインスイッチ動作設定部85は、メインスイッチSW1a,SW1b,SW2a,SW2bの目標作動状態に応じた制御信号をバッテリコントローラ70に出力し、バッテリコントローラ70を介してメインスイッチSW1a,SW1b,SW2a,SW2bを制御する。また、メインコントローラ74の切替スイッチ動作設定部86は、切替スイッチSW3a,SW3b,SW4a,SW4bの目標作動位置に応じた制御信号をバッテリコントローラ70に出力し、バッテリコントローラ70を介して切替スイッチSW3a,SW3b,SW4a,SW4bを制御する。さらに、メインコントローラ74の充電スイッチ動作設定部87は、充電スイッチSW5a,SW5b,SW6a,SW6bの目標作動状態に応じた制御信号をバッテリコントローラ70に出力し、バッテリコントローラ70を介して充電スイッチSW5a,SW5b,SW6a,SW6bを制御する。このように、メインスイッチ動作設定部85、切替スイッチ動作設定部86、充電スイッチ動作設定部87およびバッテリコントローラ70は、各種スイッチSW1a,SW1b,・・SW6a,SW6bを制御するスイッチ制御部として機能している。
【0028】
バッテリコントローラ70にはバッテリセンサ88,89が接続されている。なお、バッテリセンサ88は、各バッテリスタックA2の温度、充放電電流および端子電圧等を検出する機能を有しており、バッテリセンサ89は、各バッテリスタックB2の温度、充放電電流および端子電圧等を検出する機能を有している。また、バッテリコントローラ70には、バッテリスタックA2,B2のSOCを算出するSOC算出部90と、バッテリスタックA2,B2の劣化状態を示すSOHを算出するSOH算出部91と、が設けられている。
【0029】
バッテリスタックA2,B2のSOC(State of Charge)とは、バッテリスタックA2,B2の蓄電残量を示す比率であり、バッテリスタックA2,B2の満充電容量に対する蓄電量の比率である。つまり、バッテリスタックA2,B2の蓄電量が増加するほどにSOCは高く算出され、バッテリスタックA2,B2の蓄電量が減少するほどにSOCは低く算出される。なお、充電状態とも呼ばれるSOCは、バッテリスタックA2,B2の充放電電流や端子電圧等に基づき、バッテリコントローラ70のSOC算出部90によって定期的に算出される。
【0030】
また、バッテリスタックA2,B2のSOH(State of Health)とは、バッテリスタックA2,B2の劣化状態を示す指標である。この劣化状態を示すSOHは、例えば、バッテリスタックA2,B2の容量維持率として算出することができる。すなわち、バッテリスタックA2,B2の劣化が進行していない場合には、初期状態に対する現在の容量維持率が高くなるため、バッテリスタックA2,B2が良好であるほどにSOHは高く算出される。一方、バッテリスタックA2,B2の劣化が進行している場合には、初期状態に対する現在の容量維持率が低くなるため、バッテリスタックA2,B2が劣化するほどにSOHは低く算出される。
【0031】
なお、バッテリスタックA2,B2のSOHは、バッテリスタックA2,B2の充放電電流や端子電圧等に基づき、バッテリコントローラ70のSOH算出部91によって定期的に算出される。また、前述したように、バッテリスタックA2を構成するバッテリセルA3は、新品として製造されたバッテリセルA3であるのに対し、バッテリスタックB2を構成するバッテリセルB3は、再利用品として製造されたバッテリセルB3である。このため、車両製造時点において、バッテリスタックB2はバッテリスタックA2よりも劣化しており、バッテリスタックB2のSOHはバッテリスタックA2のSOHよりも低く算出される。
【0032】
[基本動作モード]
続いて、バッテリパック11の基本動作モードについて説明する。
図4は基本動作モードにおけるバッテリパック11の作動状況を示す図である。なお、基本動作モードとは、バッテリスタックA2が過度に劣化していない状況のもとで、運転者の起動操作によって車両制御システムが起動された場合に実行される動作モードである。
【0033】
図4に示すように、基本動作モードにおいては、メインスイッチSW1a,SW1b,SW2a,SW2bがオン状態に制御され、バッテリパック11内の電源回路14にバッテリスタックA2,B2が接続される。また、基本動作モードにおいては、切替スイッチSW3a,SW3bがインバータ位置に制御され、バッテリスタックA2からなるスタック群A1がインバータ20に接続される。さらに、基本動作モードにおいては、切替スイッチSW4a,SW4bはコンバータ位置に制御され、バッテリスタックB2からなるスタック群B1がインバータ20に接続される。このように、基本動作モードにおいては、消費電力や回生電力の大きなインバータ20にスタック群A1が接続される一方、消費電力の小さなコンバータ22にスタック群B1が接続される。
【0034】
前述したように、バッテリスタックA2を構成するバッテリセルA3は、新品として製造されたバッテリセルA3であるのに対し、バッテリスタックB2を構成するバッテリセルB3は、再利用品として製造されたバッテリセルB3である。この再利用品であるバッテリセルB3については、バッテリセルA3に比べて出力や容量が低下するものの、バッテリセルA3に比べて大幅にコストを削減することができる。すなわち、消費電力の少ないコンバータ22に対し、再利用品のバッテリスタックB2からなるスタック群B1を接続することにより、車両用電源装置10のコストを下げることができる。
【0035】
[スタック切替制御]
前述したように、基本動作モードにおいては、新品のバッテリセルA3を備えたスタック群A1をインバータ20に接続し、再利用品のバッテリセルB3を備えたスタック群B1をコンバータ22に接続しているが、バッテリセルA3,B3の劣化状況に応じてスタック群A1,B1の接続先が切り替えられる。以下、運転者による車両制御システムの起動後に実行され、バッテリセルA3,B3の劣化状況に応じてスタック群A1,B1の接続先を切り替えるスタック切替制御について説明する。
【0036】
図5はスタック切替制御の実行手順の一例を示すフローチャートであり、
図6(A)および(B)はスタック切替制御におけるバッテリパック11の作動状態を示す図である。なお、
図6においては矢印を用いて充放電状況を示している。
図5に示すように、ステップS10では、バッテリスタックA2,B2のSOC平均値(SOCa,SOCb)が読み込まれ、バッテリスタックA2,B2のSOH平均値(SOHa,SOHb)が読み込まれる。なお、SOC平均値(SOCa)は、各バッテリスタックA2のSOC合計値をスタック数で除した平均値であり、SOC平均値(SOCb)は、各バッテリスタックB2のSOC合計値をスタック数で除した平均値である。また、SOH平均値(SOHa)は、各バッテリスタックA2のSOH合計値をスタック数で除した平均値であり、SOH平均値(SOHb)は、各バッテリスタックB2のSOH合計値をスタック数で除した平均値である。
【0037】
以下の説明では、「SOC平均値(SOCa)」を「SOCa」と記載し、「SOC平均値(SOCb)」を「SOCb」と記載し、「SOH平均値(SOHa)」を「SOHa」と記載し、「SOH平均値(SOHb)」を「SOHb」と記載する。また、
図5以降の各フローチャートにおいては、「メインスイッチSW1a,SW1b」を「メインスイッチSW1」と記載し、「メインスイッチSW2a,SW2b」を「メインスイッチSW2」と記載する。さらに、
図5以降の各フローチャートにおいては、「切替スイッチSW3a,SW3b」を「切替スイッチSW3」と記載し、「切替スイッチSW4a,SW4b」を「切替スイッチSW4」と記載し、「充電スイッチSW5a,SW5b」を「充電スイッチSW5」と記載し、「充電スイッチSW6a,SW6b」を「充電スイッチSW6」と記載する。
【0038】
図5に示すように、ステップS11では、SOCaが所定の下限値Xaを上回り、且つSOCbが所定の下限値Xbを上回るか否かが判定される。ステップS11において、SOCaが下限値Xa以下であると判定された場合や、SOCbが下限値Xb以下であると判定された場合には、バッテリパック11のSOCが大きく低下した状況であることから、スタック切替制御を行うことなくルーチンを抜ける。なお、バッテリパック11のSOCが大きく低下していた場合には、後述するプラグイン充電等を促すメッセージが運転者に向けて表示される。
【0039】
ステップS11において、SOCaが下限値Xaを上回り、且つSOCbが下限値Xbを上回ると判定された場合には、ステップS12に進み、バッテリスタックA2,B2間の劣化指標差(SOHa-SOHb)が所定の閾値Xcを上回るか否かが判定される。ステップS12において、劣化指標差(SOHa-SOHb)が閾値Xcを上回ると判定された場合、つまりバッテリスタックB2がバッテリスタックA2よりも所定値を超えて劣化する場合には、ステップS13に進み、切替スイッチSW3a,SW3bがインバータ位置に制御され、バッテリスタックA2からなるスタック群A1がインバータ20に接続される。また、ステップS14に進み、切替スイッチSW4a,SW4bがコンバータ位置に制御され、バッテリスタックB2からなるスタック群B1がコンバータ22に接続される。そして、ステップS15に進み、メインスイッチSW1a,SW1b,SW2a,SW2bがオン状態に制御される。
【0040】
一方、ステップS12において、劣化指標差(SOHa-SOHb)が閾値Xc以下であると判定された場合には、ステップS16に進み、バッテリスタックB2,A2間の劣化指標差(SOHb-SOHa)が所定の閾値Xdを上回るか否かが判定される。ステップS16において、劣化指標差(SOHb-SOHa)が閾値Xdを上回ると判定された場合、つまりバッテリスタックA2がバッテリスタックB2よりも所定値を超えて劣化する場合には、ステップS17に進み、切替スイッチSW3a,SW3bがコンバータ位置に制御され、バッテリスタックA2からなるスタック群A1がコンバータ22に接続される。また、ステップS18に進み、切替スイッチSW4a,SW4bがインバータ位置に制御され、バッテリスタックB2からなるスタック群B1がインバータ20に接続される。そして、ステップS15に進み、メインスイッチSW1a,SW1b,SW2a,SW2bがオン状態に制御される。
【0041】
また、ステップS16において、劣化指標差(SOHb-SOHa)が閾値Xd以下であると判定された場合には、バッテリスタックA2,B2間の劣化状態が均衡している状況であることから、ステップS19に進み、切替スイッチSW3a,SW3b,SW4a,SW4bが直近の作動位置に制御される。つまり、前回の車両制御システム起動時において、決定されたスタック群A1,B1の接続先がそのまま維持される。
【0042】
このように、スタック切替制御においては、バッテリスタックA2,B2の劣化状態が比較判定され、劣化していない方のバッテリスタックつまり高出力のバッテリスタックA2(またはB)がインバータ20に接続され、劣化している方のバッテリスタックつまり低出力のバッテリスタックB2(またはA)がコンバータ22に接続される。
【0043】
前述したように、バッテリスタックA2を構成するバッテリセルA3は、新品として製造されたバッテリセルA3であるのに対し、バッテリスタックB2を構成するバッテリセルB3は、再利用品として製造されたバッテリセルB3である。つまり、車両製造時点において、バッテリスタックB2はバッテリスタックA2よりも劣化した状態となっている。このため、車両製造から所定期間(例えば数年)が経過していない場合には、バッテリスタックA2はバッテリスタックB2よりも劣化していないため、基本的には
図4および
図6(A)に示す基本動作モードが実行される。つまり、
図6(A)に示すように、バッテリスタックA2がバッテリスタックB2よりも劣化していない場合には、バッテリスタックA2からなるスタック群A1がインバータ20に接続され、バッテリスタックB2からなるスタック群B1がコンバータ22に接続される。
【0044】
これに対し、車両製造から所定期間(例えば数年)が経過していると、バッテリスタックA2の使用状況によっては、バッテリスタックA2がバッテリスタックB2よりも劣化する場合がある。このように、バッテリスタックA2がバッテリスタックB2よりも劣化していた場合には、
図6(B)に示す経年劣化モードが実行される。つまり、
図6(B)に示すように、バッテリスタックA2がバッテリスタックB2よりも劣化していた場合には、バッテリスタックA2からなるスタック群A1がコンバータ22に接続され、バッテリスタックB2からなるスタック群B1がインバータ20に接続される。このように、経年劣化によってバッテリスタックA2の出力が大きく低下していた場合であっても、劣化していない方のバッテリスタックB2がインバータ20に接続されるため、モータジェネレータ21を適切に動作させて最低限の走行性能を確保することができる。
【0045】
[昇温抑制制御]
続いて、前述した基本動作モードにおいて実行され、バッテリスタックA2の過度な温度上昇を抑制する昇温抑制制御について説明する。
図7は昇温抑制制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。また、
図8(A)は基本動作モードにおけるバッテリパック11の作動状態を示す図であり、
図8(B)は昇温抑制モードにおけるバッテリパック11の作動状態を示す図である。なお、
図8においては矢印を用いて充放電状況を示している。
【0046】
図7に示すように、ステップS20では、バッテリスタックA2の平均温度Taが読み込まれる。なお、平均温度Taとは、各バッテリスタックA2の温度合計値をスタック数で除した平均値である。続くステップS21では、平均温度Taが所定の閾値Xeを上回るか否かが判定される。ステップS21において、平均温度Taが閾値Xe以下であると判定された場合には、バッテリスタックA2の温度が適切であることから、後述する昇温抑制モードを実行することなくルーチンを抜ける。一方、ステップS21において、平均温度Taが閾値Xeを上回ると判定された場合には、バッテリスタックA2の温度が適正範囲を超えて上昇していることから、ステップS22に進み、バッテリスタックA2の温度を低下させる昇温抑制モードが開始される。
【0047】
ステップS22では、充電スイッチSW5a,SW5b,SW6a,SW6bがオン状態に制御され、続くステップS23では、車載充電器50を通電状態に制御することにより、車載充電器50を介してスタック群A1,B1が互いに電気的に接続される。つまり、
図8(B)に示すように、昇温抑制モードを実行することにより、インバータ20にはスタック群A1が電気的に接続されるだけでなく、インバータ20には車載充電器50を介してスタック群B1が電気的に接続される。これにより、インバータ20の消費電力や回生電力が増加した場合には、スタック群A1だけでなくスタック群B1を充放電させることができる。つまり、スタック群A1の充放電を抑制することができるため、スタック群A1を構成するバッテリスタックA2の温度を下げることができる。
【0048】
このように、昇温抑制モードが実行されると、ステップS24に進み、バッテリスタックA2の平均温度Taが読み込まれ、ステップS25に進み、平均温度Taが所定の閾値Xfを下回るか否かが判定される。ステップS25において、平均温度Taが閾値Xf以上であると判定された場合には、バッテリスタックA2の温度が十分に低下していないため、ステップS23に戻り、昇温抑制モードの実行が継続される。一方、ステップS25において、平均温度Taが閾値Xfを下回ると判定された場合には、バッテリスタックA2の温度が十分に低下しているため、ステップS26に進み、車載充電器50が停止状態に制御され、ステップS27に進み、充電スイッチSW5a,SW5b,SW6a,SW6bがオフ状態に制御される。
【0049】
[航続距離延長制御]
続いて、前述した基本動作モードにおいて実行され、バッテリスタックB2からバッテリスタックA2に電力を供給する航続距離延長制御について説明する。
図9は航続距離延長制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。また、
図10(A)は基本動作モードにおけるバッテリパック11の作動状態を示す図であり、
図10(B)は距離延長モードにおけるバッテリパック11の作動状態を示す図である。なお、
図10においては矢印を用いて充放電状況を示している。
【0050】
図9に示すように、ステップS30では、バッテリスタックA2,B2のSOCa,SOCbが読み込まれる。続くステップS31では、SOCaが所定の閾値Xgを下回るか否かが判定される。ステップS31において、SOCaが閾値Xg以上であると判定された場合、つまりバッテリスタックA2の蓄電量が十分に確保されている場合には、後述する距離延長モードが不要であることから、距離延長モードを実行することなくルーチンを抜ける。一方、ステップS31において、SOCaが閾値Xgを下回ると判定された場合には、ステップS32に進み、SOCbが所定の閾値Xhを上回るか否かが判定される。ステップS32において、SOCbが閾値Xh以下であると判定された場合、つまりバッテリスタックB2の蓄電量が十分に確保されていない場合には、距離延長モードの実行が困難であることから、距離延長モードを実行することなくルーチンを抜ける。
【0051】
一方、ステップS31からステップS31に進み、このステップS32において、SOCbが閾値Xhを上回ると判定された場合、つまりバッテリスタックA2の蓄電量が不足しており、且つバッテリスタックB2の蓄電量が十分に確保されている場合には、ステップS33に進み、バッテリスタックのSOCaを高める距離延長モードが開始される。ステップS33では、充電スイッチSW5a,SW5b,SW6a,SW6bがオン状態に制御され、続くステップS34では、車載充電器50を通電状態に制御することにより、スタック群B1から車載充電器50を介してスタック群A1に電力が供給される。つまり、
図10(B)に示すように、距離延長モードを実行することにより、スタック群B1からスタック群A1に電力を供給することができるため、スタック群A1を構成するバッテリスタックA2のSOCaを高めることができる。
【0052】
次いで、ステップS35では、バッテリスタックA2,B2のSOCa,SOCbが読み込まれ、続くステップS36では、SOCaが所定の閾値Xiを上回るか否かが判定される。ステップS36において、SOCaが閾値Xiを上回ると判定された場合には、バッテリスタックA2の蓄電量が十分に回復した状況であるため、ステップS37に進み、車載充電器50が停止状態に制御され、ステップS38に進み、充電スイッチSW5a,SW5b,SW6a,SW6bがオフ状態に制御される。このように、距離延長モードを実行することにより、バッテリスタックB2からバッテリスタックA2に電力を供給することができるため、バッテリパック11の蓄電量を有効活用してモータジェネレータ21に電力を供給することができ、車両の航続距離を延長することができる。
【0053】
一方、ステップS36において、SOCaが閾値Xi以下であると判定された場合には、ステップS39に進み、SOCbが所定の閾値Xjを下回るか否かが判定される。ステップS39において、SOCbが閾値Xjを下回ると判定された場合には、バッテリスタックB2の蓄電量が低下しており、距離延長モードの継続が困難であることから、ステップS37に進み、車載充電器50が停止状態に制御され、ステップS38に進み、充電スイッチSW5a,SW5b,SW6a,SW6bがオフ状態に制御される。一方、ステップS39において、SOCbが閾値Xj以上であると判定された場合には、バッテリスタックB2の蓄電量が確保されていることから、ステップS34に戻り、距離延長モードの実行が継続される。
【0054】
[プラグイン充電制御]
続いて、車載充電器50のインレット52に外部電源51の充電プラグ53を接続することにより、外部電源51を用いてバッテリパック11を充電(以下、プラグイン充電と記載する。)するプラグイン充電制御について説明する。
図11~
図13はプラグイン充電制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。この
図11~
図13においては、符号A,Bの箇所でフローチャートが互いに接続されている。また、
図14(A)は外部電源51によるスタック群B1の充電状況を示す図であり、
図14(B)は外部電源51によるスタック群A1の充電状況を示す図である。なお、
図14においては矢印を用いて充電状況が示されている。
【0055】
図11に示すように、ステップS40では、バッテリスタックA2の平均温度Taが読み込まれ、続くステップS41では、平均温度Taが所定の閾値Xkを下回るか否かが判定される。ステップS41において、平均温度Taが閾値Xkを下回ると判定された場合には、ステップS42に進み、バッテリスタックA2を暖めるため、バッテリスタックB2に対するプラグイン充電が開始される。なお、ステップS41において、平均温度Taが閾値Xk以上であると判定された場合には、バッテリスタックB2に対するプラグイン充電を開始せずに後述するステップS48に進む。
【0056】
バッテリスタックB2へのプラグイン充電を開始するため、ステップS42では、メインスイッチSW1a,SW1bがオフ状態に制御され、メインスイッチSW2a,SW2bがオン状態に制御される。続くステップS43では、充電スイッチSW5a,SW5bがオフ状態に制御され、充電スイッチSW6a,SW6bがオン状態に制御される。このように、車載充電器50に対してスタック群B1が接続されると、ステップS44に進み、車載充電器50がスタック群B1を充電する通電状態に制御され、外部電源51から車載充電器50を介してスタック群B1に電力が供給される。つまり、
図14(A)に示すように、バッテリスタックA2に対してプラグイン充電を行う前に、バッテリスタックB2に対してプラグイン充電を実施することにより、バッテリスタックB2を発熱させてバッテリスタックA2を暖めることができる。このように、バッテリスタックA2を暖めることにより、バッテリスタックA2の内部抵抗を下げて充電効率を高めることができる。
【0057】
前述したように、バッテリスタックA2を構成するバッテリセルA3は、新品として製造されたバッテリセルA3であるのに対し、バッテリスタックB2を構成するバッテリセルB3は、再利用品として製造されたバッテリセルB3である。このため、再利用品であるバッテリセルB3の内部抵抗は、新品のバッテリセルA3の内部抵抗よりも高くなっている。つまり、内部抵抗が高く発熱し易いバッテリセルB3に対してプラグイン充電を行うことにより、バッテリスタックA2を積極的に暖めることができる。しかも、バッテリスタックA2,B2は互いに隣接することから、バッテリスタックB2の熱によってバッテリスタックA2を積極的に暖めることができる。
【0058】
このように、バッテリスタックB2によってバッテリスタックA2が暖められると、ステップS45に進み、バッテリスタックA2の平均温度Taが読み込まれるとともに、バッテリスタックB2のSOCbが読み込まれる。続いて、ステップS46に進み、平均温度Taが所定の閾値Xmを上回るか否かが判定されるとともに、SOCbが所定の充電目標値Xoを上回るか否かが判定される。ステップS46において、平均温度Taが閾値Xm以下であると判定され、かつSOCbが充電目標値Xo以下であると判定された場合には、ステップS44に戻り、バッテリスタックB2に対するプラグイン充電が継続される。つまり、バッテリスタックA2が十分に暖まっていない状況であり、かつバッテリスタックB2に対するプラグイン充電が可能な状況である場合には、ステップS44に戻り、バッテリスタックB2に対するプラグイン充電が継続される。
【0059】
一方、ステップS46において、平均温度Taが閾値Xmを上回ると判定された場合、またはSOCbが充電目標値Xoを上回ると判定された場合には、ステップS47に進み、スタック群B1に対するプラグイン充電を停止させるため、車載充電器50が停止状態に制御される。つまり、バッテリスタックA2が十分に暖まっている状況であり、かつバッテリスタックB2に対するプラグイン充電が困難な状況である場合には、ステップS47に進み、スタック群B1に対するプラグイン充電を停止させるため、車載充電器50が停止状態に制御される。そして、スタック群A1に対するプラグイン充電を開始するため、
図12に示すように、ステップS48では、メインスイッチSW1a,SW1bがオン状態に制御され、メインスイッチSW2a,SW2bがオフ状態に制御される。続くステップS49では、充電スイッチSW5a,SW5bがオン状態に制御され、充電スイッチSW6a,SW6bがオフ状態に制御される。
【0060】
このように、車載充電器50に対してスタック群A1が接続されると、ステップS50に進み、車載充電器50がスタック群A1を充電する通電状態に制御され、外部電源51から車載充電器50を介してスタック群A1に電力が供給される。また、ステップS50においてスタック群A1をプラグイン充電する場合には、前述したステップS44においてスタック群B1をプラグイン充電する場合よりも、目標充電電力が大きく設定されている。つまり、
図14(B)に示すように、スタック群A1に対してプラグイン充電が行われる場合には、バッテリスタックA2が暖められた状態であり、バッテリスタックA2の内部抵抗が低く充電効率が高い状態であるため、充電電力を増加させてバッテリスタックA2を急速に充電する高レート充電が実行される。
【0061】
このように、スタック群A1に対するプラグイン充電が開始されると、ステップS51に進み、バッテリスタックA2のSOCaが読み込まれ、ステップS52に進み、SOCaが所定の充電目標値Xnを上回るか否かが判定される。ステップS52において、SOCaが充電目標値Xn以下であると判定された場合、つまりバッテリスタックA2に対するプラグイン充電が完了していない場合には、ステップS50に戻り、バッテリスタックA2に対するプラグイン充電が継続される。
【0062】
一方、ステップS52において、SOCaが充電目標値Xnを上回ると判定された場合には、ステップS53に進み、バッテリスタックA2に対するプラグイン充電を停止させるため、車載充電器50が停止状態に制御される。続いて、ステップS54に進み、メインスイッチSW1a,SW1b,SW2a,SW2bがオフ状態に制御され、ステップS55に進み、充電スイッチSW5a,SW5b,SW6a,SW6bがオフ状態に制御される。
【0063】
このように、車載充電器50からスタック群A1が切り離されると、
図13に示すように、ステップS56に進み、バッテリスタックB2のSOCbが読み込まれ、ステップS57に進み、SOCbが所定の充電目標値Xoを上回るか否かが判定される。ステップS57において、SOCbが充電目標値Xoを上回る場合には、バッテリスタックB2に対する更なるプラグイン充電が不要であるため、プラグイン充電を実行することなくルーチンを抜ける。
【0064】
一方、ステップS57において、SOCbが充電目標値Xo以下であると判定された場合、つまりバッテリスタックB2に対するプラグイン充電が完了していない場合には、ステップS58に進み、メインスイッチSW1a,SW1bがオフ状態に制御され、メインスイッチSW2a,SW2bがオン状態に制御される。続くステップS59では、充電スイッチSW5a,SW5bがオフ状態に制御され、充電スイッチSW6a,SW6bがオン状態に制御される。
【0065】
このように、車載充電器50に対してスタック群B1が接続されると、ステップS60に進み、車載充電器50がスタック群B1を充電する通電状態に制御され、車載充電器50を介して外部電源51からスタック群B1に電力が供給される。続いて、ステップS61に進み、バッテリスタックB2のSOCbが読み込まれ、ステップS62に進み、SOCbが充電目標値Xoを上回るか否かが判定される。ステップS62において、SOCbが充電目標値Xo以下であると判定された場合、つまりバッテリスタックB2に対するプラグイン充電が完了していない場合には、ステップS60に戻り、バッテリスタックB2のプラグイン充電が継続される。
【0066】
一方、ステップS62において、SOCbが充電目標値Xoを上回ると判定された場合、つまりバッテリスタックB2が十分に充電されている場合には、ステップS63に進み、バッテリスタックB2のプラグイン充電を停止させるため、車載充電器50が停止状態に制御される。続いて、ステップS64に進み、メインスイッチSW1a,SW1b,SW2a,SW2bがオフ状態に制御され、ステップS65に進み、充電スイッチSW5a,SW5b,SW6a,SW6bがオフ状態に制御される。
【0067】
[自動補充電制御]
続いて、車両停止時において、バッテリスタックB2によってバッテリスタックA2を充電する自動補充電制御について説明する。なお、自動補充電制御が実行される車両停止時とは、電源スイッチである起動スイッチ84がオフ操作される車両停止時である。つまり、自動補充電制御が実行される車両停止時とは、車両走行用の制御システムが停止した状況であり、再び起動スイッチ84がオン操作されるまで継続的に車両が停止する状況である。
【0068】
図15および
図16は自動補充電制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。なお、
図15および
図16においては、符号C,Dの箇所でフローチャートが互いに接続されている。また、
図17(A)は車両停止後におけるバッテリパック11の作動状態を示す図であり、
図17(B)は自動補充電モードにおけるバッテリパック11の作動状態を示す図である。なお、
図17においては矢印を用いて充放電状況を示している。
【0069】
図15に示すように、ステップS70では、バッテリスタックA2,B2のSOCa,SOCbが読み込まれる。続いて、ステップS71に進み、外部電源51を用いたプラグイン充電が未実施であるか否かが判定され、ステップS72に進み、SOCaが所定の閾値Xpを下回るか否かが判定され、ステップS73に進み、SOCbが所定の閾値Xqを上回るか否かが判定される。ステップS71においてプラグイン充電中であると判定された場合、ステップS72においてSOCaが閾値Xp以上であると判定された場合、ステップS73においてSOCbが閾値Xq以下であると判定された場合には、
図16に示すように、後述する自動補充電モードを実行することなくルーチンを抜ける。つまり、プラグイン充電中である場合、バッテリスタックA2の蓄電量が十分に確保されている場合、バッテリスタックB2の蓄電量が十分に確保されていない場合には、自動補充電モードを実行することなくルーチンを抜ける。
【0070】
図15に示すように、ステップS71~S73を経て、プラグイン充電が未実施であると判定され、且つSOCaが閾値Xpを下回ると判定され、且つSOCbが閾値Xqを上回ると判定された場合には、ステップS74に進み、自動補充電モードが開始される。ステップS74では、メインスイッチSW1a,SW1b,SW2a,SW2bがオン状態に制御され、続くステップS75では、充電スイッチSW5a,SW5b,SW6a,SW6bがオン状態に制御される。
【0071】
このように、車載充電器50に対してスタック群A1,B1が互いに接続されると、
図16に示すように、ステップS76に進み、車載充電器50が作動状態に制御され、スタック群B1から車載充電器50を介してスタック群A1に電力が供給される。つまり、
図17(B)に示すように、自動補充電モードを実行することにより、車両停止中にバッテリスタックB2を用いてバッテリスタックA2を充電することができ、バッテリスタックA2の蓄電量を高めることができるため、次回の乗車直後から最低限の走行性能を確保することができる。
【0072】
また、自動補充電モードによるスタック群A1の充電が開始されると、ステップS77に進み、バッテリスタックA2,B2のSOCa,SOCbが読み込まれる。続くステップS78では、SOCaが所定の補充電目標値Xrを上回るか否かが判定され、ステップS79では、SOCbが所定の補充電下限値Xsを下回るか否かが判定される。ステップS78,S79において、SOCaが補充電目標値Xr以下であると判定され、且つSOCbが補充電下限値Xs以上であると判定された場合には、ステップS76に戻り、自動補充電モードが継続される。
【0073】
一方、ステップS78において、SOCaが補充電目標値Xrを上回ると判定された場合や、ステップS79において、SOCbが補充電下限値Xsを下回ると判定された場合には、ステップS80に進み、自動補充電モードを停止させるため、車載充電器50が停止状態に制御される。そして、ステップS81に進み、メインスイッチSW1a,SW1b,SW2a,SW2bがオフ状態に制御され、ステップS82に進み、充電スイッチSW5a,SW5b,SW6a,SW6bがオフ状態に制御される。このように、自動補充電モードを実行することにより、バッテリスタックB2によってバッテリスタックA2を充電することができるため、次回の乗車直後から最低限の走行性能を確保することができる。
【0074】
[他の実施形態(バッテリセルA3,B3の配置)]
バッテリパック11内におけるバッテリセルA3,B3の配置構造の他の例について説明する。
図18はバッテリセルA3,B3の配置構造の一例を示す図である。なお、
図18において、ハッチングを付したバッテリセルは、バッテリセルB3である。
【0075】
前述の説明では、
図2に示したように、バッテリスタックA2とバッテリスタックB2とを交互に配置しているが、図示する例に限られることはない。例えば、
図18に示すように、バッテリスタックA2を構成するバッテリセルA3と、バッテリスタックB2を構成するバッテリセルB3とを、互いに隣接するように交互に配置しても良い。このように、バッテリセルA3とバッテリセルB3とを交互に配置した場合であっても、バッテリスタックA2とバッテリスタックB2とを隣接させることができるため、前述したプラグイン充電制御においては、バッテリスタックB2の熱によってバッテリスタックA2を効率良く暖めることができ、バッテリスタックA2を素早く暖めることができる。
【0076】
[まとめ]
本実施形態の車両用電源装置10は、バッテリスタック(第1蓄電体)A2と、バッテリスタックA2よりも内部抵抗の大きなバッテリスタック(第2蓄電体)B2と、を備えるバッテリパック(蓄電体群)11を有している。このバッテリパック11には、バッテリスタックA2とバッテリスタックB2との少なくとも何れか一方を充電する車載充電器(充電器)50が接続されている。また、車両用電源装置10は、バッテリスタックA2と車載充電器50との間に設けられる充電スイッチ(第1スイッチ)SW5a,SW5bと、バッテリスタックB2と車載充電器50との間に設けられる充電スイッチ(第2スイッチ)SW6a,SW6bと、を有している。さらに、車両用電源装置10は、バッテリパック11の温度に基づいて、充電スイッチSW5a,SW5b,SW6a,SW6bを制御している。
【0077】
このように、バッテリパック11の温度に基づいて、充電スイッチSW5a,SW5b,SW6a,SW6bを制御することにより、低温環境下であってもバッテリスタックB2を用いてバッテリスタックA2を暖めることができる。これにより、低温環境下であってもバッテリスタックA2を暖めることができ、バッテリスタックA2の充電効率を高めることができる。さらに、
図2に示すように、バッテリスタックA2,B2を互いに隣接させて配置するようにしたので、バッテリスタックB2を発熱させることにより、バッテリスタックA2を積極的に暖めることができる。
【0078】
また、
図11のステップS41,S43および
図14(A)を用いて説明したように、プラグイン充電時において、バッテリスタックA2の平均温度Taが閾値Xkを下回る場合には、充電スイッチSW5a,SW5bがオフ状態に制御されて車載充電器50からバッテリスタックA2が切り離され、且つ充電スイッチSW6a,SW6bがオン状態に制御されて車載充電器50にバッテリスタックB2が接続される。このように、プラグイン充電時にバッテリスタックA2の温度が低下している場合には、車載充電器50によってバッテリスタックB2が充電される。これにより、バッテリスタックB2を発熱させることができ、バッテリスタックB2によってバッテリスタックA2を暖めることができる。しかも、電気ヒータ等を用いることなくバッテリスタックA2を暖めることができ、車両のエネルギー効率を高めることができる。
【0079】
さらに、
図11のステップS41、
図12のステップS49および
図14(B)を用いて説明したように、プラグイン充電時において、バッテリスタックA2の平均温度Taが閾値Xkを上回る場合には、充電スイッチSW5a,SW5bがオン状態に制御されて車載充電器50にバッテリスタックA2が接続され、且つ充電スイッチSW6a,SW6bがオフ状態に制御されて車載充電器50からバッテリスタックB2が切り離される。このように、プラグイン充電時にバッテリスタックA2の温度が上昇している場合には、車載充電器50によってバッテリスタックA2が充電される。これにより、バッテリスタックA2を効率良く充電することができる。
【0080】
また、
図8(B)に示すように、車両用電源装置10には、バッテリスタックA2にインバータ20を介して接続されるモータジェネレータ(走行用モータ)21と、バッテリスタックB2にコンバータ22を介して接続される電気機器群24と、が設けられている。そして、
図7のステップS21,S22および
図8(B)を用いて説明したように、車両走行時において、バッテリスタックA2の平均温度Taが閾値Xeを上回る場合には、充電スイッチSW5a,SW5b,SW6a,SW6bがオン状態に制御され、車載充電器50を介してバッテリスタックA2とバッテリスタックB2とが互いに並列接続される。これにより、バッテリスタックA2の負荷を下げることができ、バッテリパック11の温度を下げることができる。
【0081】
なお、前述の説明では、低温環境下におけるプラグイン充電を例に挙げ、バッテリスタックB2の熱によってバッテリスタックA2を暖める制御を説明したが、この制御はプラグイン充電に限られることはない。例えば、発電用エンジンを備えたシリーズ型のハイブリッド車両においては、低温環境下でのシリーズ発電時にバッテリスタックB2の熱によってバッテリスタックA2を暖めても良い。また、前述の説明では、バッテリパック11の温度として、バッテリスタックA2の平均温度Taを使用し、昇温抑制制御やプラグイン充電制御を実行しているが、これに限られることはない。例えば、特定のバッテリスタックA2の温度に基づいて、昇温抑制制御やプラグイン充電制御を実行しても良く、バッテリパック11の温度に基づいて、昇温抑制制御やプラグイン充電制御を実行しても良い。
【0082】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。前述の説明では、車両用電源装置10が適用される車両として、動力源としてモータジェネレータ21のみを備えた電気自動車を例示しているが、これに限られることはなく、動力源としてモータジェネレータ21およびエンジンを備えたハイブリッド車両であっても良い。また、メインスイッチSW1a~SW2b、切替スイッチSW3a~SW4b、および充電スイッチSW5a~SW6bは、MOSFET等の半導体素子によって構成されるスイッチであっても良く、電磁力等を用いて接点を機械的に開閉させるスイッチであっても良い。なお、メインスイッチ等の各種スイッチは、リレーやコンタクタ等とも呼ばれている。
【0083】
また、バッテリスタックA2を構成するバッテリセルA3,B3として、リチウムイオンバッテリを採用することが可能であるが、これに限られることはなく、他の種類のバッテリやキャパシタを採用しても良い。さらに、バッテリセルA3,B3については、互いに同じ種類のバッテリやキャパシタを採用しても良く、互いに異なる種類のバッテリやキャパシタを採用しても良い。なお、
図2に示した例では、1つのバッテリスタックA2と1つのバッテリスタックB2とを交互に配置しているが、これに限られることはない。例えば、2つ以上のバッテリスタックA2をまとめてスタック群を形成するとともに、2つ以上のバッテリスタックB2をまとめてスタック群を形成し、これらのスタック群を互いに隣接するように交互に配置しても良い。
【0084】
前述の説明では、バッテリスタックA2,B2の劣化状態を示すSOHとして、製造時点の蓄電容量や端子電圧に対する現在の容量維持率を例示しているが、これに限られることはない。例えば、バッテリスタックA2,B2の劣化状態を示すSOHとして、製造時点の内部抵抗に対する現在の抵抗上昇率を用いても良い。このようにSOHとして抵抗上昇率を用いる場合には、バッテリスタックA2,B2が良好であるほどに、内部抵抗が低いことからSOHは低く算出される。また、バッテリスタックA2,B2の劣化状態を示すSOHとして、バッテリスタックA2,B2の充放電電流を積算した値を使用しても良く、バッテリスタックA2,B2の温度を積算した値を使用しても良い。
【符号の説明】
【0085】
10 車両用電源装置
11 バッテリパック(蓄電体群)
20 インバータ
21 モータジェネレータ(走行用モータ)
22 コンバータ
24 電気機器群
50 車載充電器(充電器)
70 バッテリコントローラ(スイッチ制御部)
87 充電スイッチ動作設定部(スイッチ制御部)
A2 バッテリスタック(第1蓄電体)
B2 バッテリスタック(第2蓄電体)
SW5a,SW5b 充電スイッチ(第1スイッチ)
SW6a,SW6b 充電スイッチ(第2スイッチ)
Ta 平均温度(温度)
Xk 閾値
Xe 閾値