IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 アルマードの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】ジェル状クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/98 20060101AFI20241120BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
A61K8/98
A61Q19/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020168639
(22)【出願日】2020-10-05
(65)【公開番号】P2022060886
(43)【公開日】2022-04-15
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501303046
【氏名又は名称】株式会社 アルマード
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100206689
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 恵理子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 由紀夫
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-225273(JP,A)
【文献】特許第5253483(JP,B2)
【文献】特開2019-198260(JP,A)
【文献】特開昭48-040943(JP,A)
【文献】特開2019-137634(JP,A)
【文献】アルマード,CELLULA(チェルラー)パーフェクトクレンジングジェル,Cosmetic-Info.jp,2019年09月02日,http://www.cosmetic-info.jp//prod/detail.php?=75041
【文献】卵殻膜×特許取得の電解水!?『チェルラーパーフェクトクレンジングジェル』はダブル洗顔不要の大人気クレンジング♪,[online],2016年06月30日,[令和6年7月16日検索],インターネット<URL:https://fanblogs.jp/biyoumonitor/archive/382/0#more>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分としての3室型電解水と、加水分解卵殻膜成分とを含有し、3室型電解水がアルカリ性の3室型電解還元水と酸性の3室型電解酸化水の混合水である、ジェル状クレンジング化粧料。
【請求項2】
前記3室型電解水を40~90重量%、前記加水分解卵殻膜成分を0.0001~2重量%含有する、請求項1に記載のジェル状クレンジング化粧料。
【請求項3】
前記3室型電解還元水が、アノード電極を備えるアノード室と、カソード電極を備えるカソード室と、アノード室とカソード室との間に設けられた中間室と、アノード室と中間室との間に配置された隔膜と、カソード室と中間室との間に配置された隔膜を備える3室型電解水生成装置を使用して、そのアノード室およびカソード室のそれぞれに水を供給し、中間室に塩化ナトリウム水溶液を供給して電気分解を行うことによってカソード室に生成させた還元水である、請求項またはに記載のジェル状クレンジング化粧料。
【請求項4】
前記加水分解卵殻膜成分が酵素分解卵殻膜成分および/またはアルカリ分解卵殻膜成分である、請求項1ないしのいずれかに記載のジェル状クレンジング化粧料。
【請求項5】
さらに界面活性剤を2~10重量%含有する、請求項1ないしのいずれかに記載のジェル状クレンジング化粧料。
【請求項6】
鉱物油と1価アルコールを含有しない、請求項1ないしのいずれかに記載のジェル状クレンジング化粧料。
【請求項7】
pHが5~7である、請求項1ないしのいずれかに記載のジェル状クレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジェル状クレンジング化粧料に関する。より詳細には、水性のジェル状クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ化粧料や紫外線防止化粧料は、肌を美しく見せ外界の刺激から肌を保護する効果を有し、現代社会の生活においては欠かせないものである。しかし、これらの化粧料は油性成分や無機顔料を多量に含んでいるため、皮膚の毛穴を塞ぎ、新陳代謝を妨げ、また化粧料自体が徐々に酸化されることから、長時間の使用は肌トラブルの原因となる場合がある。このため、1日1回はクレンジング料を用いてこれらの化粧料を除去する必要がある。
【0003】
クレンジング化粧料として、近年はゲルの特性であるみずみずしい使用感が好まれ、クレンジング用ジェルが大きなシェアを占めている。水を主成分とする水性ジェル(特許文献1参照)と油性ジェルが知られている。水性ジェルには少量の油分を分散させて配合することもあるが、これらは、水で洗い流すことができ、ダブル洗顔を必要とせずさっぱりした使用感があるものの、洗浄効果に劣るものや洗顔後にべたつくものがある。
【0004】
油性ジェルは、メイクアップ化粧料との馴染みがよく、オイルジェルやW/O乳化型またはO/W乳化型の乳化タイプのものがある。オイルジェルやW/O乳化型のものは、クレンジング力が大きいが、油相を連続相とするために水洗できず、使用後にコットン等により拭き取り後、更に洗顔料などにより洗浄するダブル顔が必要である。O/W乳化型のもの(特許文献2参照)は水で洗い流すことが可能であるが、近年のメイクアップ化粧料の除去には必ずしも満足のいくものではなく、このため、近年のメイクアップ化粧料に適合したクレンジング化粧料の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-6862号公報
【文献】特開2000-26238号公報
【文献】特許第5253483号公報
【文献】特開2001-191076号公報
【文献】特開2015-16441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
美肌作りは洗顔からと言われている。美肌を保つためのクレンジング化粧料においては、化粧を落とす際にこすらないで、いかに肌のダメージを少なくするかが最も重要である。
本発明は、泡の立たない、即ち、こする必要がなく肌のダメージが少ないにもかかわらず、メイク除去効果に優れ、ダブル洗顔不要のジェル状クレンジング化粧料を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は種々検討を重ねた結果、水性のジェル状クレンジングの主原料となる水として、ジェル状クレンジングで従来広く用いられていた精製水の代わりに、3室型電解装置のカソード室に生成するアルカリ性の還元水を使用すると、オイルを添加しなくても、その還元力により酸化した化粧品を浮かして取り、泡が立たたずこすらずにメイクが落とせるために、肌へのダメージが少なく、しかもクレンジング後の保湿力に優れることを見出した。
併せて、加水分解卵殻膜成分を含有させると、電解還元水による保湿効果と相俟って洗顔後の保湿感がさらに高まり、洗顔後の乾燥が防止されて肌が潤うこと、そして、電解還元水が毛穴まで浸透して黒ずみがケアされた肌に、加水分解卵殻膜成分が保湿と同時に弾力とハリ、ツヤを与え美肌効果が増すことを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
また、3室型電解装置のカソード室に生成するアルカリ性の還元水に、3室型電解装置のアノード室に生成する酸性の酸化水を混合して用いることにより、pHを酸性方向に調整でき、しかも、酸化水による殺菌、除菌効果や肌再生効果も付加される。
【0009】
ジェル状クレンジング化粧料の全重量に基づいて、3室型電解水の割合を40~90重量%、加水分解卵殻膜成分の割合を0.0001~2重量%とすること、加水分解卵殻膜成分が酵素分解卵殻膜成分および/またはアルカリ分解卵殻膜成分であることが好ましいこと、さらに、界面活性剤の含有量が少量でも皮膚の殺菌性を向上させることができる。
【0010】
本発明は、以下の(1)~()のジェル状クレンジング化粧料に関する。
(1)主成分としての3室型電解水と、加水分解卵殻膜成分とを含有し、3室型電解水がアルカリ性の3室型電解還元水と酸性の3室型電解酸化水の混合水である、ジェル状クレンジング化粧料。
(2)前記3室型電解水を40~90重量%、前記加水分解卵殻膜成分を0.0001~2重量%含有する、上記(1)に記載のジェル状クレンジング化粧料。
(3)前記3室型電解還元水が、アノード電極を備えるアノード室と、カソード電極を備えるカソード室と、アノード室とカソード室との間に設けられた中間室と、アノード室と中間室との間に配置された隔膜と、カソード室と中間室との間に配置された隔膜を備える3室型電解水生成装置を使用して、そのアノード室およびカソード室のそれぞれに水を供給し、中間室に塩化ナトリウム水溶液を供給して電気分解を行うことによってカソード室に生成させた還元水である、上記()または()に記載のジェル状クレンジング化粧料。
【0011】
)前記加水分解卵殻膜成分が酵素分解卵殻膜成分および/またはアルカリ分解卵殻膜成分である、上記(1)ないし()のいずれかに記載のジェル状クレンジング化粧料。
)さらに界面活性剤を2~10重量%含有する、上記(1)ないし()のいずれかに記載のジェル状クレンジング化粧料。
)鉱物油と1価アルコールを含有しない、上記(1)ないし()のいずれかに記載のジェル状クレンジング化粧料。
)pHが5~7である、上記(1)ないし()のいずれかに記載のジェル状クレンジング化粧料。
【発明の効果】
【0012】
本発明のジェル状クレンジング化粧料は、主原料の水として、3室型電解水である3室型電解装置のカソード室に生成するアルカリ性の還元水を用いるため、その還元力によりオイルを含有しなくても化粧品を浮かせて取り、還元水が毛穴まで浸透して黒ずみをケアすることができる。
クレンジング化粧料が泡立つのはこするからであり、本発明のジェル状化粧料は、今までに存在しなかった泡が立たず、こすらずにメイクが落とせるノンオイルタイプであり、肌へのダメージが少ない。しかも洗浄力に優れ、油性、水性、ウオータプルーフ等の全てのタイブの化粧品がよく落ち、芸能人の使用するドーラン化粧品でもしっかり落とすことができる。
【0013】
また、水性ジェルであることからダブル洗顔が不要であり、敏感肌にも影響のない電解還元水の保湿力により、ジェル状クレンジングを拭き取り後、洗顔しなくても肌がしっとりする。また、洗顔すれば、すすぎ残しもなくさっぱりと仕上がる。さらに、電解水に加水分解卵殻膜成分を併用することで、保湿力が相乗的に高められるだけでなく、肌にハリとツヤを与え、弾力のあるみずみずしい肌に整えられる。
【0014】
さらに、主原料の水として、アルカリ性の電解還元水に、3室型電解装置のアノード室に生成する酸性の酸化水を混合して用いることにより、酸化水による殺菌、除菌効果や肌再生効果を付与することができ、界面活性剤の含有量が少量でも皮膚の殺菌性を向上させることができる。また、酸性の酸化水を混合することでpHを低下させることができるため、保存安定性が向上し、皮膚への刺激も少なくなる。
このように、本発明のジェル状クレンジング化粧料は、洗浄力と美容効果において画期的であり、鉱物油や1価アルコールを含有しないため、敏感肌にも悪影響を与えることがない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のジェル状クレンジング化粧料は、水性ジェルの主原料の水として、3室型電解水であるアルカリ性の3室型電解還元水を用い、加水分解卵殻膜成分を含有することを特徴とする。
本発明におけるアルカリ性の3室型電解還元水とは、3室型電解水生成装置のカソード室(陰極室)で生成するアルカリ性の還元水を意味する。
【0016】
3室型電解水生成装置は従来から知られており(例えば特許文献3~5を参照)、その基本的な構造は、精製水や純水である原水と、この原水に溶け込んだ塩化ナトリウム等の支持電解質が循環して流出入する中間室と、この中間室との間にイオン交換膜と陰極が仕切りとして配設され、中間室で電気分解を行うことにより、供給された原水にプラスイオンが溶け込み還元水が生成されるカソード室と、中間室との間にイオン交換膜と陽極が仕切りとして配設され、中間室に支持電解質を供給して電気分解を行うことにより、供給された原水にマイナスイオンが溶け込み酸化水が生成されるアノード室とから構成される。
【0017】
3室型電解水生成装置は、中間室に用途に応じたイオン種を含んだ電解質を添加し、中間室で電解されたイオンだけが、プラスイオンは陰極側のカソード室に、マイナスイオンは陽極側のアノード室に引き込まれる。カソード室とアノード室には純粋な水だけが供給され、中間室に添加された電解質の電解により生じたイオンがカソード室とアノード室で溶け込んで、それぞれで機能的電解水である還元水と酸化水が生成される。
3室型電解水生成装置では電解効率が高まることにより、水の結合が切れて表面張力が下がり浸透性が上がるため、電解質として塩化ナトリウムを添加した場合には、カソード側の還元水は高い洗浄効果をもたらし、アノード側の酸化水は低濃度で殺菌効果をもたらし、この効果は、pHやイオン種、水温などの条件により変わる。
【0018】
本発明のジェル状クレンジング化粧料では、水性ジェルの主原料の水として、アルカリ性の3室型電解還元水に、3室型電解装置のアノード室に生成するまたは酸性の酸化水を混合して用いることが好ましい。酸化水による殺菌、除菌効果や肌再生効果が付与されるだけでなく、全体のpHを低下させることでジェル状クレンジング化粧料の保存安定性が高くなり、皮膚への刺激も少なくなる。還元水に混合する酸化水の重量比は、還元水100重量部に対して0~30重量部であり、5~30重量部が好ましく、10~30重量部がより好ましく、20~30重量部がさらに好ましい。
【0019】
本発明のジェル状クレンジング化粧料に用いる3室型電解水の製造に当たっては、従来から知られている3室型電解水生成装置のいずれもが使用できる。限定されるものではないが、本発明では、特に使用可能な3室型電解水生成装置としては、例えば、株式会社レドックス製の3室型電解水生成システム、株式会社レドックス製の3室型ダブルイン電解システム[「kreski AQUA」(Type-α4000A,C,D)など]、株式会社レドックステクノロジー製「レドックスR25-15型」、株式会社ラシーヌ製の3室型電解水生成システムや3室型ダブルイン電解システム、株式会社アルマード社のマルチブル・ポールシステムなどが挙げられる。特に、株式会社アルマード社のマルチブル・ポールシステムでの3室型電解水が好ましい。
【0020】
3室型電解水生成装置の中間室に供給する支持電解質である塩化ナトリウムの濃度は、3室型電解水生成装置の規模、電解水生成能力、構造、機種の種類などに応じて、それぞれの3室型電解水生成装置において推奨されている濃度を採用することが好ましい。
アノード室とカソード室への水の供給量および中間室への塩化ナトリウム水溶液の供給量も、3室型電解水生成装置の規模、電解水生成能力、構造、機種の種類などに応じて、それぞれの3室型電解水生成装置において推奨されている供給量を採用することが好ましい。
【0021】
それぞれの機種において推奨されている塩化ナトリウム濃度、アノード室とカソード室への純水の供給量および中間室への塩化ナトリウム水溶液の供給量を採用して電解を行うことによって、アノード室にpHが3~7、特に4~6.5程度の酸性の酸化作用を有する酸化水が生成し、カソード室にpHが10~12、特に11~12程度のアルカリ性の還元作用を有する還元水が生成する。
【0022】
また、本発明のジェル状クレンジング化粧料に用いる電解還元水として、3室型電解水生成装置による還元水の生成時の酸化還元電位が-500mV以下、更には-600mV以下、特に-750mV以下の還元水が、還元力が大きくて、洗浄効果に優れるジェル状化粧料が得られる点から好ましく用いられる。
たとえば、3室型電解水生成装置のアノード室およびカソード室に、電気伝導度が0.3μS/cm(20℃)の超純水を供給し、中間質に塩化ナトリウム水溶液を供給して電気分解を行うと、カソード室にpHが11.0以上で、生成時の酸化還元電位が-600mV以下の還元水を生成させることができる。
【0023】
このpH10~12の還元水をpH調整することなくそのまま用いて、ジェル状クレンジング化粧料を製造してもよいが、本発明では、保存安定性に優れ、皮膚への刺激が少ないジェル状クレンジング化粧料が得られるなどの点から、還元水に酸性の酸化水を混合するか、および/またはpH調整剤を添加して、ジェル状クレンジング化粧料のpHを5~8にすることが好ましく、5~7にすることがより好ましく、5.5~6.5にすることが更に好ましい。
【0024】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸とクエン酸ナトリウムなどの有機酸とその塩、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウムなどを挙げることができ、本発明のジェル状クレンジング化粧料では必要に応じて、これらの1種または2種以上を用いることができる。特に、クエン酸とクエン酸ナトリウムが好ましく用いられる。
【0025】
本発明のジェル状クレンジング化粧料に用いる加水分解卵殻膜成分は、卵殻膜あるいは卵殻膜含有粉末を、酸水溶液、アルカリ水溶液、アルカリ性有機溶媒溶液、およびタンパク質分解酵素含有液などのタンパク質の分解作用を有する液中で加水分解することによって得られる。加水分解卵殻膜成分の製造に用いられる卵殻膜含有粉末は、少なくとも卵殻膜を含む粉末であれば特に制限はなく、粉末とは粒子サイズにかかわらず、あらゆる粉体をいう。剥離された卵殻膜または卵殻に卵殻膜が付着した状態の原料を使用して、公知のいずれの方法で粉末化してもよい。また、市販の卵殻膜含有粉末を用いてもよい。
【0026】
本発明で使用される加水分解卵殻膜成分は,いずれの方法によって製造された加水分解卵殻膜成分を用いることができるが、pHが中性付近の酵素分解卵殻膜成分やアルカリ性付近のアルカリ分解卵殻膜成分が好ましく、また、酵素分解卵殻膜成分とアルカリ分解卵殻膜成分を混合したものも好ましい。
【0027】
本発明のジェル状クレンジング化粧料は、化粧品を浮かせて取り、毛穴まで浸透して黒ずみをケアすることができる洗浄力と保湿力と、肌にハリとツヤを与える効果を高めるために、ジェル状クレンジング化粧料の全重量に基づいて、3室型電解水を40~90重量%、加水分解卵殻膜成分を0.0001~2重量%の割合で含有することが好ましく、より好ましくは3室型電解水を60~75重量%、加水分解卵殻膜成分を0.001~1重量%の割合で含有し、さらに好ましくは3室型電解水を70重量%前後の割合で含有させる。
【0028】
本発明のジェル状クレンジング化粧料は、上記した成分と共に、ジェル状クレンジング化粧料や美容液において従来から用いられている他の成分を必要に応じて含有することができる。必要に応じて含有し得る他の成分としては、保湿剤、粘結剤、界面活性剤、医薬美容成分、精油、果実エキス、果汁等を挙げることができる。
本発明のジェル状クレンジング化粧料は、敏感肌にも影響を与えないため、鉱物油や1価アルコールを含まないことが好ましく、殺菌性を有する界面活性剤も、最低限の2~10重量%とすることが好ましい。
【0029】
保湿剤、粘結剤としては、アラニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニンなどのアミノ酸及びその誘導体;コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン等のペプチド;グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコール-14ポリグリセリン-2エーテル、ペンチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール;ソルビトール、グリセリルグルコシドなどの糖アルコール;ヒアルロン酸プロピレングリコール、ヘパリン、コンドロイチン等のムコ多糖;乳酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ポリクオタニウム-51などの成分等が挙げられる。
【0030】
界面活性剤は、化粧料に通常用いられるものであれば特に制限されないが、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、PPG-14ジグリセリル、ベタイン、レシチン、水素添加レシチン等が好ましく、他医薬美容成分としては、例えば、ビタミンC、コラーゲン、スクワラン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸誘導体、ナイアシン、プラセンタエキス、キチン、キトサン、カンゾウ根エキス、アロエベラ液汁等の種々の植物抽出物が挙げられる。
【0031】
精油としては、果実油、果皮油、花油、葉油、たとえばカニナバラ果実油、レモン果皮油、グレープフルーツ果皮油、ユズ果皮油、バラ花油、サルビア油、カミツレ花油、ビャクシン油、マヨラナ葉油等が挙げられ、保湿とキメを整える効果がある。
果実エキス、果汁としては、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ライム、リンゴ、ナツメ、サンザシ等を原料とするもの挙げられ、角質ケアの効果がある。
【0032】
本発明のジェル状クレンジング化粧料の製造方法は特に制限されない。加水分解卵殻膜成分とそれと共に必要に応じて更に配合される上記した成分の1種または2種以上が、3室型電解水生成装置のカソード室で生成したアルカリ性の還元水を基材とするジェル化物中に均一に混合されたジェル状化粧料を製造し得る方法であれば、いずれの方法で製造してもよい。一般的には、電解水と加水分解卵殻膜成分、保湿剤、粘結剤および必要に応じてその他の成分を同時にまたは任意の順序で配合して水性組成物を調製し、当該水性組成物中の各成分が均一に混合され且つジェル化するまで十分に攪拌混合することによって製造することができる。
【実施例
【0033】
以下に本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されない。
〔実施例1〕
株式会社アルマード社製の3室型電解装置マルチブル・ポールシステムのカソード室で生成した還元水(温度25℃でpH11)にアノード室で生成した酸化水(温度25℃でpH5)を8:2の割合で混合した電解水73.5重量%に対して、酵素加水分解卵殻膜成分(株式会社アルマード社製)0.012重量%と、下記の表1に記載した成分を、表1に記載した量で配合し、温度25℃で均一になるまで混合して、還元水を基材とするpH6のジェル状クレンジング化粧料を製造した。
【0034】
[表1] ジェル状クレンジング化粧料の配合
成分 配合量(重量%)
電解水 73.5
加水分解卵殻膜成分 0.012
ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル 9.5
ジプロピレングリコール(DPG) 6.5
DPG-14ポリグリセリン-2エーテル 5.5
ペンチレングリコール 4.5
各種微量成分 計0.488
合計 100

(注:微量成分は、各種アミノ酸、果実エキス、果実油、植物抽出物、pH調整剤等であり、各種微量成分の全てが0.1重量%以下の配合である。)
【0035】
〔比較例1〕
実施例1において、電解水73.5重量%の代わりに精製水73.5重量%を用い、それ以外の配合は実施例1と同じに行って、加水分解卵殻膜成分を含有し精製水を基材とするジェル状クレンジング化粧料を製造した。
【0036】
〔評価方法1〕
メイクをした15名の女性をパネラーとし、実施例1と比較例1の各ジェル状クレンジング化粧料を、パネラーにはどちらのジェル状クレンジング化粧料であるかを知らせずに、パネラーの顔の左側と右側に別々に使用してもらった。下記の評価基準により、各ジェル状クレンジング化粧料を評価した。
下記の基準で評価した15名の合計点を求めて、結果を表2中に表示した。
【0037】
〔評価基準〕
(1)メイクとのなじみ
2点:メイクとのなじみが速い
1点:メイクとなじむまでやや時間がかかる
0点:メイクとなじむのが明らかに遅い
(2)メイクの浮き上がり
2点:メイクの浮き上がりがよい
1点:メイクが少し浮き上がる
0点:メイクが浮き上がる感じがしない
(3)洗浄効果
使用して30秒後にコットンで軽く拭き取り、メイクの落ちを評価した。
2点:メイクが十分に落ちた
1点:メイクが大体落ちた
0点:メイクの落ちが悪いと感じた
【0038】
(4)洗い流し時のべたつき
使用して30秒後に洗い流し、その時のべたつき感を評価した。
2点:べたつきを感じない
1点:べたつきをやや感じる
0点:かなりべたつきを感じる
(5)使用直後の保湿感
使用して30秒後に洗い流し、タオルドライをした時の保湿感を評価した。
2点:保湿感がある
1点:保湿感がややある
0点:保湿感がない
(6)毛穴の黒ずみ
使用して30秒後に洗い流した後の、毛穴の黒ずみを比較した。
2点:実施例1のクレンジングの方が黒ずみが薄い
1点:どちらも変わらない
0点:比較例1のクレンジングの方が黒ずみが薄い
(7)翌朝の肌の状態(ハリとキメ)
使用して30秒後に洗い流し、タオルドライをした。化粧水や乳液等を使用するスキンケアは行わずに、翌朝の肌の状態について比較した。
2点:実施例1のクレンジングの方が肌の状態が良い
1点:どちらも変わらない
0点:比較例1のクレンジングの方が肌の状態が良い
【0039】
【表2】
【0040】
表2の結果から、3室型電解還元水を主原料とする実施例1のジェル状クレンジング化粧料は、電解水による殺菌、除菌力、洗浄力により、全ての洗浄効果がアップすることがわかる。また、保湿効果のある還元水と加水分解卵殻膜成分の併用により、特に保湿力と肌の状態が相乗的に向上し、還元水が毛穴まで浸透して黒ずみをケアし、加水分解卵殻膜成分が毛穴まで作用して、肌の状態がより整えられることがわかった。
【0041】
〔比較例2〕
実施例1において、加水分解卵殻膜成分を配合せず、それ以外の配合は実施例1と同じに行って、加水分解卵殻膜成分を含有しない電解水を基材とするジェル状クレンジング化粧料を製造した。
〔評価方法2〕
評価方法1を行なった3日後に、メイクをした評価方法1と同じ15名の女性をパネラーとし、実施例1と比較例2の各ジェル状クレンジング化粧料を、パネラーにはどちらのジェル状クレンジング化粧料であるかを知らせずに、パネラーの顔の左側と右側に別々に使用してもらった。評価方法1と同じ上記の評価基準(5)と、下記の評価基準(6)、(7)により、各ジェル状クレンジング化粧料を評価して15名の合計点を求めた。結果を表3中に示す。
【0042】
(6)毛穴の黒ずみ
使用して30秒後に洗い流した後の、毛穴の黒ずみを比較した。
2点:実施例1のクレンジングの方が黒ずみが薄い
1点:どちらも変わらない
0点:比較例2のクレンジングの方が黒ずみが薄い
(7)翌朝の肌の状態(ハリとキメ)
使用して30秒後に洗い流し、タオルドライをした。化粧水や乳液等を使用するスキンケアは行わずに、翌朝の肌の状態について比較した。
2点:実施例1のクレンジングの方が肌の状態が良い
1点:どちらも変わらない
0点:比較例2のクレンジングの方が肌の状態が良い
【0043】
【表3】
【0044】
表2により、実施例1のジェル状クレンジング化粧料が、電解水による殺菌、除菌力、洗浄力によって全ての洗浄効果において、効果がアップすることが確認された。ここでは、電解水と加水分解卵殻膜成分の相乗効果について検討した。還元水が毛穴に浸透して黒ずみをケアすることから、黒ずみについては実施例1と比較例2で、それ程変化はなかった。一方、保湿感と肌の状態については、実施例1と比較例1、2の結果から、電解水と加水分解卵殻膜成分の相乗効果が確認された。特に肌の状態について実施例1が優れており、還元水が毛穴まで浸透し、加水分解卵殻膜成分が毛穴まで作用して、肌の状態がより整えられるためと説明される。