(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】制御システム、制御方法、および、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B62H 5/00 20060101AFI20241120BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20241120BHJP
B62J 45/411 20200101ALI20241120BHJP
B62J 45/413 20200101ALI20241120BHJP
B62J 45/421 20200101ALI20241120BHJP
B60R 25/102 20130101ALI20241120BHJP
B60R 25/32 20130101ALI20241120BHJP
B62J 1/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
B62H5/00 Z
B62J45/00
B62J45/411
B62J45/413
B62J45/421
B60R25/102
B60R25/32
B62J1/00 C
(21)【出願番号】P 2020217571
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】道川 慧太
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-097824(JP,A)
【文献】特開平08-318884(JP,A)
【文献】特開2018-046444(JP,A)
【文献】特開2011-116145(JP,A)
【文献】特開平11-157474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 5/00 - 5/20
B62J 1/00 - 99/00
B60R 25/102
B60R 25/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車に付与される人力駆動力に関する情報を取得する第1の取得部と、
前記人力駆動車の状態を取得する第2の取得部と、
前記第1の取得部が取得した前記人力駆動力に関する前記情報、および前記第2の取得部が取得した前記人力駆動車の前記状態に基づき、前記人力駆動車の盗難の有無を判定する判定部と
を備える、判定装置
、および
前記判定装置の判定結果に応じて、前記人力駆動車の搭乗者の姿勢変更に関する第2装置を含む前記人力駆動車のコンポーネントを制御する制御装置
を備える、制御システム。
【請求項2】
前記人力駆動力に関する情報は、前記人力駆動車のペダル、クランク、およびリアハブの少なくとも1つに付与される、トルク、回転速度、および角速度の少なくとも1つの計測値を含む、請求項1に記載の
制御システム。
【請求項3】
前記状態は、前記人力駆動車および前記人力駆動車に搭載されるコンポーネントの少なくとも1つの動作が制限される動作制限状態を含む、請求項2に記載の
制御システム。
【請求項4】
前記判定部は、前記計測値があらかじめ定められた閾値より大きく、かつ、前記第2の取得部が前記動作制限状態を取得した場合、前記人力駆動車が盗難されていると判定する、請求項3に記載の
制御システム。
【請求項5】
前記状態は、前記人力駆動車が走行中である場合の走行状態と、前記人力駆動車が駐車中である場合の駐車状態と、をさらに含み、
前記判定部は、前記人力駆動車が前記駐車状態にある場合、前記人力駆動車の盗難の有無を判定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の
制御システム。
【請求項6】
前記状態は、前記コンポーネントが作動しているウェーク状態と、前記コンポーネントが休止しているスリープ状態と、をさらに含み、
前記判定部は、前記人力駆動車が前記スリープ状態である場合、前記人力駆動車の盗難の有無を判定する、請求項1から4のいずれか一項に記載の
制御システム。
【請求項7】
前記コンポーネントは、前記人力駆動車の制動に関する第1装置
、前記人力駆動車の駆動に関する第3装置、および前記人力駆動車のロックに関する第4装置の少なくとも1つを
さらに含む、請求項
1から6のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記状態は、前記人力駆動車および前記人力駆動車に搭載されるコンポーネント
の少なくとも1つの動作が制限される動作制限状態を含み、
前記コンポーネントは、人手による操作に応じて、前記動作制限状態および前記動作制限が解除される非動作制限状態の一方から他方に前記状態を切り替える、請求項
1から7のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記人力駆動車の前記状態を記憶する記憶装置をさらに備える、請求項
1から
8のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項10】
前記判定装置が前記人力駆動車の盗難を判定した場合、前記状態として盗難状態が認定され、前記記憶装置は、前記盗難状態を記憶する、請求項
9に記載の制御システム。
【請求項11】
前記判定結果を報知する報知装置をさらに備える、請求項
1から10のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項12】
前記判定結果を外部装置へ通知する通信装置をさらに備える、請求項
1から11のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項13】
前記外部装置は、前記人力駆動車の正規ユーザが携帯する端末である、請求項
12に記載の制御システム。
【請求項14】
前記外部装置は、前記人力駆動車に関する情報を管理する管理装置である、請求項
12に記載の制御システム。
【請求項15】
前記人力駆動車のペダル、クランク、およびリアハブの少なくとも1つに付与される、トルク、回転速度、および角速度の少なくとも1つを計測するセンサをさらに備え、
前記センサは、前記人力駆動車の外表面に露出しないように設けられる、請求項
1から
14のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項16】
前記センサは、前記クランクの内部、クランク軸の外周面または内部、前記人力駆動車の駆動機構を構成するハウジングの内部、およびハブ軸の内部の少なくとも1つに設けられる、請求項
15に記載の制御システム。
【請求項17】
コンピュータ
が、
人力駆動車に付与される人力駆動力に関する情報を取得し、
前記人力駆動車の状態を取得し、
取得した前記人力駆動力に関する前記情報、および取得した前記人力駆動車の前記状態に基づき、前記人力駆動車の盗難の有無を判定
し、
判定結果に応じて、前記人力駆動車の搭乗者の姿勢変更に関する第2装置を含む前記人力駆動車のコンポーネントを制御する
制御方法。
【請求項18】
コンピュータに、
人力駆動車に付与される人力駆動力に関する情報を取得し、
前記人力駆動車の状態を取得し、
取得した前記人力駆動力に関する前記情報、および取得した前記人力駆動車の前記状態に基づき、前記人力駆動車の盗難の有無を判定
し、
判定結果に応じて、前記人力駆動車の搭乗者の姿勢変更に関する第2装置を含む前記人力駆動車のコンポーネントを制御する
処理を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、制御方法、および、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電動コンポーネントが装備されたロードバイク、マウンテンバイク、電動アシストバイク(e-bike)などの人力駆動車が流通している。人力駆動車の駐車スペースは、屋外に設けられていることが多く、不特定多数の者がアクセス可能である。このため、所有者は人力駆動車の盗難被害に遭う可能性がある。電動コンポーネントが装備された人力駆動車は高価であることが多く、盗難被害に遭った場合の所有者のダメージは大きい。
【0003】
特許文献1には、自転車に生じる振動を監視し、振動が検出された場合に所定の盗難防止動作を行う盗難防止機能が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術を適用する場合、盗難防止のために振動センサを新たに設ける必要がある。この結果、人力駆動車の製造コストや価格は押し上げられる。
【0006】
本発明は、人力駆動車の製造コストや価格を押し上げることなく、盗難の有無を判定できる制御システム、制御方法、および、コンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1側面に従う判定装置は、人力駆動車に付与される人力駆動力に関する情報を取得する第1の取得部と、前記人力駆動車の状態を取得する第2の取得部と、前記第1の取得部が取得した前記人力駆動力に関する前記情報、および前記第2の取得部が取得した前記人力駆動車の前記状態に基づき、前記人力駆動車の盗難の有無を判定する判定部とを備える。
【0008】
上記第1側面の判定装置によれば、人力駆動力に関する情報、および、人力駆動車の状態に基づき、人力駆動車の盗難の有無が判定される。例えば、人力駆動車または人力駆動車のコンポーネントの動作が制限されている状態において、人力駆動力が付与されている場合、盗難ありと判定される。人力駆動力に関する情報は、ペダル、クランク、およびリアハブの少なくとも1つに付与される、トルク、回転速度、および角速度の少なくとも1つを含む。これらの値は、電動コンポーネントが搭載されている人力駆動車に装備されていることが多いトルクセンサやケイデンスセンサによって計測される。人力駆動車の状態は、人力駆動車または人力駆動車のコンポーネントの動作を制御する制御装置において管理される情報である。上記第1側面の判定装置では、新たにセンサを設けることなく、盗難の有無を判定できる。
【0009】
前記第1側面に従う第2側面の判定装置において、前記人力駆動力に関する情報は、前記人力駆動車のペダル、クランク、およびリアハブの少なくとも1つに付与される、トルク、回転速度、および角速度の少なくとも1つの計測値を含む。
【0010】
上記第2側面の判定装置によれば、電動コンポーネントが搭載されている人力駆動車に装備されていることが多いトルクセンサやケイデンスセンサから、人力駆動力に関する情報が得られる。
【0011】
上記第2側面に従う第3側面の判定装置において、前記状態は、前記人力駆動車および前記人力駆動車に搭載されるコンポーネントの少なくとも1つの動作が制限される動作制限状態を含む。
【0012】
上記第3側面の判定装置によれば、人力駆動車の動作または人力駆動車のコンポーネントの動作を制御する制御装置から、人力駆動車の状態に関する情報が得られる。
【0013】
上記第3側面に従う第4側面の判定装置において、前記判定部は、前記計測値があらかじめ定められた閾値より大きく、かつ、前記第2の取得部が前記動作制限状態を取得した場合、前記人力駆動車が盗難されていると判定する。
【0014】
上記第4側面の判定装置によれば、人力駆動車の動作または人力駆動車のコンポーネントの動作が制限されている状態において、人力駆動力が付与された場合、盗難ありと判定される。
【0015】
上記第1側面から上記第4側面のいずれか1つに従う第5側面の判定装置において、前記状態は、前記人力駆動車が走行中である場合の走行状態と、前記人力駆動車が駐車中である場合の駐車状態と、をさらに含み、前記判定部は、前記人力駆動車が前記駐車状態にある場合、前記人力駆動車の盗難の有無を判定する。
【0016】
上記第5側面の判定装置によれば、盗難が発生し得る駐車状態において盗難の有無が判定される。
【0017】
上記第1側面から上記第4側面のいずれか1つに従う第6側面の判定装置において、前記状態は、前記コンポーネントが作動しているウェーク状態と、前記コンポーネントが休止しているスリープ状態と、をさらに含み、前記判定部は、前記人力駆動車が前記スリープ状態である場合、前記人力駆動車の盗難の有無を判定する。
【0018】
上記第6側面の判定装置によれば、盗難が発生し得るスリープ状態において盗難の有無が判定される。
【0019】
本発明の第7側面に従う制御システムは、上記第1側面から上記第6側面のいずれか1つの判定装置と、前記判定装置の判定結果に応じて、前記コンポーネントを制御する制御装置とを備える。
【0020】
上記第7側面の判定装置によれば、人力駆動車のコンポーネントは、判定装置の判定結果に応じて、制御装置によって制御される。
【0021】
上記第7側面に従う第8側面の制御システムにおいて、前記人力駆動車の制動に関する第1装置、前記人力駆動車の搭乗者の姿勢変更に関する第2装置、前記人力駆動車の駆動に関する第3装置、および前記人力駆動車のロックに関する第4装置の少なくとも1つを含む。
【0022】
上記第8側面の制御システムによれば、第1装置から第4装置の少なくとも1つ画含まれる。第1装置は、例えば、ブレーキレバー、ブレーキキャリパ、アンチロックブレーキ装置などを含む。第2装置は、例えば、サスペンション装置、アジャスタブルシートポストなどを含む。第3装置は、例えば、アシスト装置などを含む。第4装置は、人力駆動車またはコンポーネントのロック装置などを含む。
【0023】
上記第7側面または上記第8側面に従う第9側面の制御システムにおいて、前記状態は、前記人力駆動車および前記人力駆動車に搭載されるコンポーネント少なくとも1つの動作が制限される動作制限状態を含み、前記コンポーネントは、人手による操作に応じて、前記動作制限状態および前記動作制限が解除される非動作制限状態の一方から他方に前記状態を切り替える。
【0024】
上記第9側面の制御システムによれば、人力駆動車のコンポーネントは、人手による操作によって、動作制限状態または非動作制限状態に切り替えられる。
【0025】
上記第7側面から上記第9側面のいずれか1つに従う第10側面の制御システムにおいて、前記人力駆動車の前記状態を記憶する記憶装置をさらに備える。
【0026】
上記第10側面の制御システムによれば、人力駆動車の状態は記憶装置に記憶されている。判定装置は、記憶装置に記憶されている人力駆動車の状態を読み出し、読み出した人力駆動車の状態と、人力駆動力に関する情報とに基づき、人力駆動車の盗難の有無を判定する。
【0027】
上記第10側面に従う第11側面の制御システムにおいて、前記判定装置が前記人力駆動車の盗難を判定した場合、前記状態として盗難状態が認定され、前記記憶装置は、前記盗難状態を記憶する。
【0028】
上記第11側面の制御システムによれば、判定装置による判定結果は記憶装置に記憶される。
【0029】
上記第7側面に従う第12側面の制御システムにおいて、前記判定結果を報知する報知装置をさらに備える。
【0030】
上記第12側面の制御システムによれば、判定装置による判定結果は報知装置によって報知される。人力駆動車に搭載されている報知装置において人力駆動車の盗難を報知することによって、盗難者に警告できる。
【0031】
上記第7側面に従う第13側面の制御システムにおいて、前記判定結果を外部装置へ通知する通信装置をさらに備える。
【0032】
上記第13側面の制御システムによれば、判定装置による判定結果は通信装置から外部装置に通知される。
【0033】
上記第13側面に従う第14側面の制御システムにおいて、前記外部装置は、前記人力駆動車の正規ユーザが携帯する端末である。
【0034】
上記第14側面の制御システムによれば、判定装置による判定結果は正規ユーザに通知される。
【0035】
上記第13側面に従う第15側面の制御システムにおいて、前記外部装置は、前記人力駆動車に関する情報を管理する管理装置である。
【0036】
上記第15側面の制御システムによれば、判定装置による判定結果は管理者等に通知される。
【0037】
上記第7側面から上記第15側面のいずれか1つに従う第16側面の制御システムにおいて、前記人力駆動車のペダル、クランク、およびリアハブの少なくとも1つに付与される、トルク、回転速度、および角速度の少なくとも1つを計測するセンサをさらに備え、前記センサは、前記人力駆動車の外表面に露出しないように設けられる。
【0038】
上記第16側面の制御システムによれば、盗難判定に用いられ得るセンサを見つけ出すことが困難になり、盗難防止機能がより強固になる。
【0039】
上記第16側面に従う第17側面の制御システムにおいて、前記センサは、前記クランクの内部、クランク軸の外周面または内部、前記人力駆動車の駆動機構を構成するハウジングの内部、およびハブ軸の内部の少なくとも1つに設けられる。
【0040】
上記第17側面の制御システムによれば、盗難判定に用いられ得るセンサを取り外すことが困難になり、盗難防止機能がより強固になる。
【0041】
本発明の第18側面に従う判定方法は、コンピュータを用いて、人力駆動車に付与される人力駆動力に関する情報を取得し、前記人力駆動車の状態を取得し、取得した前記人力駆動力に関する前記情報、および取得した前記人力駆動車の前記状態に基づき、前記人力駆動車の盗難の有無を判定する。
【0042】
上記第18側面の判定方法によれば、コンピュータを用いて、人力駆動力に関する情報、および、人力駆動車の状態に基づき、人力駆動車の盗難の有無を判定できる。
【0043】
本発明の第19側面に従うコンピュータプログラムは、コンピュータに、人力駆動車に付与される人力駆動力に関する情報を取得し、前記人力駆動車の状態を取得し、取得した前記人力駆動力に関する前記情報、および取得した前記人力駆動車の前記状態に基づき、前記人力駆動車の盗難の有無を判定する処理を実行させる。
【0044】
上記第19側面のコンピュータプログラムによれば、コンピュータを用いることによって、人力駆動力に関する情報、および、人力駆動車の状態に基づき、人力駆動車の盗難の有無を判定する実行環境を実現できる。
【発明の効果】
【0045】
本願によれば、人力駆動車の製造コストや価格を押し上げることなく、盗難の有無を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】第1実施形態の判定装置を備える人力駆動車の側面図である。
【
図2】人力駆動車における制御システムの構成を説明するブロック図である。
【
図3】判定装置の構成を説明するブロック図である。
【
図4】判定装置が実行する盗難判定処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図5】第2実施形態における判定装置が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図6】第3実施形態における判定装置が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(第1実施形態)
図1は第1実施形態の判定装置100を備える人力駆動車1の側面図である。人力駆動車1は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両である。内燃機関または電動機のみを原動力に用いる車両は、本実施形態の人力駆動車1から除外される。人力駆動車1は、例えば、マウンテンバイク、ロードバイク、クロスバイク、シティサイクル、電動アシストバイク(e-bike)等を含む自転車である。
【0048】
人力駆動車1は、車両本体10、前輪12、後輪14、ハンドルバー16、シート18、および、駆動機構20を備える。以下の説明において、前後、左右、および、上下の各方向を表す用語は、ライダーが人力駆動車1のシート18に着座した状態における方向を基準として用いられる。
【0049】
車両本体10は、フレーム10Aおよびフロントフォーク10Bを備える。前輪12は、フロントフォーク10Bに回転可能に支持される。後輪14は、フレーム10Aに回転可能に支持される。ハンドルバー16は、前輪12の進行方向を変更できるように、フレーム10Aに支持される。
【0050】
駆動機構20は、人力駆動力を後輪14へ伝達する。駆動機構20は、クランク22、フロントスプロケットアセンブリ24A、リアスプロケットアセンブリ24B、チェーン26、および、一対のペダル28,28を含む。駆動機構20は、更に、チェーン26が外れることを抑制するためのチェーンデバイスを備えてもよい。
【0051】
クランク22は、右クランク22A、左クランク22B、および、クランク軸22Cを含む。クランク軸22Cは、フレーム10Aに回転可能に支持される。右クランク22Aおよび左クランク22Bは、それぞれクランク軸22Cに連結される。一対のペダル28,28の一方は右クランク22Aに回転可能に支持され、他方は左クランク22Bに回転可能に支持される。
【0052】
フロントスプロケットアセンブリ24Aは、クランク軸22Cに連結されており、クランク軸22Cと一体的に回転する。フロントスプロケットアセンブリ24Aは、一例では、外径が異なる複数のフロントスプロケットを含む。複数のフロントスプロケットの外径は、クランク軸22Cの回転軸心と平行な方向において、車両本体10の中心面から外側に向かって大きくなる。
【0053】
リアスプロケットアセンブリ24Bは、後輪14のリアハブ14Aに回転可能に支持される。リアスプロケットアセンブリ24Bは、一例では、外径が異なる複数のリアスプロケットを含む。複数のリアスプロケットの外径は、ハブアセンブリの回転軸心と平行な方向において、車両本体10の中心面から外側に向かって小さくなる。
【0054】
チェーン26は、フロントスプロケットアセンブリ24Aおよびリアスプロケットアセンブリ24Bに巻き掛けられる。ペダル28,28に加えられる人力駆動力によってクランク22が前転すると、フロントスプロケットアセンブリ24Aがクランク22と共に前転する。フロントスプロケットアセンブリ24Aの回転は、チェーン26を介してリアスプロケットアセンブリ24Bに伝達し、後輪14を回転させる。チェーン26の代わりに、ベルトまたはシャフトを用いてもよい。
【0055】
人力駆動車1は、バッテリユニット60から供給される電力によって動作し、制御装置200によって動作が制御されるコンポーネントを備える。制御装置200は
図2において示される。コンポーネントは、変速装置32、アシスト装置34、ブレーキ装置36、アンチロックブレーキ(ABS:Anti-lock Brake System)装置38、サスペンション装置40、および、アジャスタブルシートポスト42の少なくとも1を含む。コンポーネントは、例えば操作装置30によって制御状態が切り替えられる。
【0056】
操作装置30は、ハンドルバー16に設けられる。操作装置30は、例えば、ライダーの指によって操作される操作スイッチ30A,30Bを備える。操作スイッチ30A,30Bは、変速装置32、アシスト装置34、ブレーキ装置36、アンチロックブレーキ装置38、サスペンション装置40、および、アジャスタブルシートポスト42の少なくとも1つの制御状態を切り替えるためのスイッチである。操作装置30は、例えば、人力駆動車1に設けられるサイクルコンピュータであってもよいし、人力駆動車1のライダーが所持するスマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末などであってもよい。
【0057】
人力駆動車1に搭載される操作装置30の数は1つである必要はなく、複数であってもよい。
図1に示した例では、操作装置30が2つの操作スイッチ30A,30Bを備える構成としたが、1つまたは3つ以上の操作スイッチを備える構成であってもよい。操作装置30は、スイッチを備える構成に限定されず、操作レバーまたは操作ダイヤル等を備える構成であってもよい。
【0058】
操作装置30は、制御装置200に接続されており、操作スイッチ30Aまたは操作スイッチ30Bの操作に応じた操作信号を制御装置200へ与える。
【0059】
制御装置200は、例えば、操作装置30から与えられる操作信号に応じて、人力駆動車1が備えるコンポーネントの動作を制御するコンピュータである。制御装置200には、制御対象のコンポーネントが通信線を介して接続される。制御装置200に接続されるコンポーネントは、変速装置32、アシスト装置34、ブレーキ装置36、アンチロックブレーキ装置38、サスペンション装置40、および、アジャスタブルシートポスト42の少なくとも1つを含む。制御装置200は、操作装置30から与えられる操作信号に応じて制御信号を生成し、生成した制御信号を制御対象のコンポーネントへ送信することによって、コンポーネントの動作を制御する。
【0060】
制御装置200およびコンポーネントを接続する通信線は、PLC(Power Line Communication)において用いられる電力供給線であってもよい。制御装置200およびコンポーネントは有線接続に限らず、ANT(登録商標)、ANT+(登録商標)、Bluetooth(登録商標) 、WiFi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)などの無線によって接続されてもよい。
【0061】
変速装置32は、例えば、リアスプロケットアセンブリ24Bに設けられる。変速装置32は、駆動回路32A、電動アクチュエータ32B、および、チェーンガイド32Cを備える。駆動回路32Aおよび電動アクチュエータ32Bは
図2において示される。変速装置32の駆動回路32Aは、制御装置200からの制御信号によって、電動アクチュエータ32Bを駆動する。電動アクチュエータ32Bは、チェーンガイド32Cを駆動して、チェーン26が巻き掛けられるリアスプロケットを変更し、人力駆動車1の変速比を切り替える。変速装置32は、フロントスプロケットアセンブリ24Aに設けられてもよい。
【0062】
変速装置32は、一例では、外装変速機である。変速装置32が外装変速機である場合、リアスプロケットアセンブリ24Bは、外径が異なる複数のリアスプロケットを含む。シフトアップが指示された場合、駆動回路32Aは電動アクチュエータ32Bを駆動し、チェーン26が巻き掛けられるリアスプロケットを現在のリアスプロケットよりも外径が小さいリアスプロケットに変更する。シフトダウンが指示された場合、駆動回路32Aは電動アクチュエータ32Bを駆動し、チェーン26が巻き掛けられるリアスプロケットを現在のリアスプロケットよりも外径が大きいリアスプロケットに変更する。
【0063】
他の例では、変速装置32は内装変速機である。内装変速機は、例えばリアハブ14Aに設けられ、リアスプロケットアセンブリ24Bに入力された回転を変速して後輪14に伝達する。内装変速機のリアスプロケットアセンブリ24Bに含まれるリアスプロケットは単一である。変速装置32は、無段変速機であってもよい。
【0064】
アシスト装置34は、駆動機構20に対して設けられる。アシスト装置34は、駆動回路34Aおよび電動アクチュエータ34Bを備える。駆動回路34Aおよび電動アクチュエータ34Bは
図2において示される。アシスト装置34の駆動回路34Aは、制御装置200からの制御信号によって、電動アクチュエータ34Bを駆動する。電動アクチュエータ34Bの駆動力は、人力駆動車1の走行を補助する補助駆動力として出力される。アシスト装置34の制御状態は、補助駆動力が異なる複数の制御状態を含む。アシスト装置34における制御状態はアシストレベルともいう。アシスト装置34は、例えばクランク22に作用する人力駆動力に応じて、アシストレベルを変更する。アシストレベルは、たとえば4段階設けられる場合、強アシストレベル、中アシストレベル、弱アシストレベル、およびゼロアシストレベルを含む。ゼロアシストレベルでは、電動アクチュエータ34Bを駆動せず、アシストが行われない。アシスト装置34は、人力駆動車1を制動する回生ブレーキ装置としても機能するように構成されてもよい。
【0065】
ブレーキ装置36は、例えば、前輪12および後輪14に設けられるリムブレーキである。前輪12に設けられるブレーキ装置36は、駆動回路36A、電動アクチュエータ36B、および、前輪12のホイールに接触可能なブレーキパッドを含むキャリパ36Cを備える。駆動回路36Aおよび電動アクチュエータ36Bは
図2において示される。ブレーキ装置36は、ハンドルバー16に設けられるブレーキ操作装置36Dに接続されてもよい。ブレーキ装置36の駆動回路36Aは、制御装置200からの制御信号、または、ブレーキ操作装置36Dの操作に応じて、電動アクチュエータ36Bを駆動する。電動アクチュエータ36Bは、キャリパ36Cを駆動し、ブレーキパッドを前輪12のホイールに接触させることによって、前輪12の回転力を減衰させる。
【0066】
後輪14に設けられるブレーキ装置36は、駆動回路36A、電動アクチュエータ36B、および、後輪14のホイールに接触可能なブレーキパッドを含むキャリパ36Cを備える。駆動回路36Aおよび電動アクチュエータ36Bは
図2において示される。ブレーキ装置36は、ハンドルバー16に設けられるブレーキ操作装置36Dに接続されてもよい。ブレーキ装置36の駆動回路36Aは、制御装置200からの制御信号、または、ブレーキ操作装置36Dの操作に応じて、電動アクチュエータ36Bを駆動する。電動アクチュエータ36Bは、キャリパ36Cを駆動し、ブレーキパッドを後輪14のホイールに接触させることによって、後輪14の回転力を減衰させる。
【0067】
ブレーキ装置36は、前輪12のハブおよび後輪14のハブに取り付けられる回転体に接触可能なブレーキパッドを含むディスクブレーキであってもよい。ディスクブレーキでは、例えば、電動アクチュエータによって流体を制御してブレーキパッドを移動させ、ブレーキパッドを回転体(ディスクブレーキロータ)に押し当てることによって、前輪12または後輪14の回転力を減衰させる。または、ディスクブレーキは、電動アクチュエータによって直接的にブレーキパッドを移動させ、ブレーキパッドを回転体に押し当てることによって、前輪12または後輪14の回転力を減衰させる。
【0068】
アンチロックブレーキ装置38は、ブレーキ装置36に対して設けられる。アンチロックブレーキ装置38は、作動油を溜めるリザーバ、ブレーキ装置36のキャリパ36Cに作動油を供給して油圧を与えるポンプ、キャリパ36Cに与えられる油圧を調節するバルブ、および、バルブの開閉を制御する駆動回路38Aを備える。駆動回路38Aは
図2において示される。アンチロックブレーキ装置38の駆動回路38Aは、制御装置200からの制御信号によって、バルブの開閉を制御し、キャリパ36Cに与える油圧を調節して、ブレーキ装置36から前輪12または後輪14に与えられる制動力を制御する。アンチロックブレーキ装置38は、キャリパ36Cに与える油圧の大きさが異なる複数の制御状態にて動作できる。
【0069】
サスペンション装置40は、例えば、フロントフォーク10Bに設けられ、前輪12に加えられる衝撃を減衰するフロントサスペンションである。サスペンション装置40は、駆動回路40Aおよび電動アクチュエータ40Bを備える。駆動回路40Aおよび電動アクチュエータ40Bは
図2において示される。サスペンション装置40は、動作パラメータとして、例えば、減衰率、反発力、ストローク量、およびロックアウト状態を設定することによって制御される。サスペンション装置40の駆動回路40Aは、制御装置200からの制御信号によって、電動アクチュエータ40Bを駆動し、前輪12に加えられた衝撃を減衰させる。サスペンション装置40は、後輪14に加えられる衝撃を減衰するリアサスペンションであってもよい。
【0070】
アジャスタブルシートポスト42は、フレーム10Aに取り付けられる。アジャスタブルシートポスト42は、駆動回路42Aおよび電動アクチュエータ42Bを備える。駆動回路42Aおよび電動アクチュエータ42Bは
図2において示される。アジャスタブルシートポスト42の駆動回路42Aは、制御装置200からの制御信号によって、電動アクチュエータ42Bを駆動し、シート18をフレーム10Aに対して上昇および下降させる。
【0071】
人力駆動車1は、人力駆動車1の状態をロック状態およびロック解除状態の一方から他方に切り替えるロック装置50を備える。ロック状態は、人力駆動車1の動作、および、人力駆動車1に搭載されるコンポーネントの動作の少なくとも一方が制限される動作制限状態である。ロック解除状態は、人力駆動車1およびコンポーネントの動作制限が解除される非動作制限状態である。
【0072】
図1に一例として示すロック装置50は後輪14に対して設けられている。ロック装置50は、駆動回路50Aおよび電動アクチュエータ50Bを備える。駆動回路50Aおよび電動アクチュエータ50Bは
図2において示される。ロック装置50の駆動回路50Aは、ライダーのロック操作に応じて、電動アクチュエータ50Bを駆動し、後輪14の回転を物理的に規制する。ロック装置50は、後輪14の回転を物理的に規制することによって、人力駆動車1の状態をロック解除状態からロック状態に切り替える。ロック装置50の駆動回路50Aは、ライダーのロック解除操作に応じて、電動アクチュエータ50Bの駆動を解除し、後輪14の回転を許容する。ロック装置50は、後輪14の回転を許容することによって、人力駆動車1の状態をロック状態からロック解除状態に切り替える。ライダーによるロック操作およびロック解除操作は、物理的な鍵を用いた操作であってもよく、サイクルコンピュータやライダーが所持する携帯端末による電子的な鍵を用いた操作であってもよい。
【0073】
ロック装置50は、後輪14の回転を規制する構成に限らず、前輪12またはクランク22の回転を規制する構成であってもよい。この場合、ロック装置50は、ライダーによるロック操作に応じて、前輪12またはクランク22の回転を規制し、人力駆動車1の状態をロック状態に切り替える。また、ロック装置50は、ライダーによるロック解除操作に応じて、前輪12またはクランク22の回転を許容し、人力駆動車1の状態をロック解除状態に切り替える。
【0074】
ロック装置50は、人力駆動車1に搭載されるコンポーネントの動作を制限する構成であってもよい。例えば、ロック装置50が変速装置32の動作を制限する場合、ロック装置50は、ライダーのロック操作に応じて、駆動回路32Aを制御し、電動アクチュエータ32Bの動作を禁止すればよい。また、ロック装置50は、ライダーのロック解除操作に応じて、動作制限を解除し、電動アクチュエータ32Bの動作を許容すればよい。ロック装置50は、変速装置32に限らず、アシスト装置34、アンチロックブレーキ装置38、サスペンション装置40、アジャスタブルシートポスト42の動作を制限する構成としてもよい。
【0075】
バッテリユニット60は、バッテリ60Aおよびバッテリホルダ60Bを含む。バッテリ60Aは、1または複数のバッテリセルを含む蓄電池である。バッテリホルダ60Bは、人力駆動車1のフレーム10Aに固定される。バッテリ60Aは、バッテリホルダ60Bに、着脱可能に取り付けられる。バッテリ60Aは、変速装置32、アシスト装置34、ブレーキ装置36、アンチロックブレーキ装置38、サスペンション装置40、アジャスタブルシートポスト42、ロック装置50、制御装置200などにそれぞれ電気的に接続され、必要に応じて電力を供給する。
【0076】
人力駆動車1は、更に、車速センサS1、トルクセンサS2、および、ケイデンスセンサS3を備える。以下の説明において、それぞれを個別に説明する必要がない場合、センサS1~S3とも記載する。
【0077】
車速センサS1は、人力駆動車1の速度に応じた信号を出力するセンサである。車速センサS1は、フレーム10Aまたはフロントフォーク10Bに取り付けられる。車速センサS1は、例えばホール素子を含み、前輪12または後輪14に設けられる磁石(図示略)を検出することによって、前輪12または後輪14の回転速度を計測する。一例では、車速センサS1は、前輪12または後輪14の回転速度を示す信号を出力する。他の例では、車速センサS1は、計測した前輪12または後輪14の回転速度に基づき、人力駆動車1の速度を算出し、算出した速度を示す信号を出力する。
【0078】
トルクセンサS2は、一例では、クランク22に付与されるトルクに応じた信号を出力するセンサである。トルクセンサS2は、右クランク22A、左クランク22B、クランク軸22C、フロントスプロケットアセンブリ24A、または、クランク軸22Cからフロントスプロケットアセンブリ24Aまでの駆動経路の何れかに設けられる。特に、トルクセンサS2は、右クランク22Aまたは左クランク22Bの内部、クランク軸22Cの外周面もしくは内部、または駆動機構20がハウジングを有する場合はその内部に設けられることが好ましい。なぜなら、盗難判定に用いられ得るトルクセンサS2を取り外すことが困難になり、盗難防止機能がより強固になるためである。トルクセンサS2は、歪みセンサ、磁歪センサ、光センサ、または、圧力センサ等を含み、クランク22に加えられるトルクを検出する。他の例では、トルクセンサS2は、リアハブ14Aに付与されるトルクに応じた信号を出力するセンサであってもよい。この場合、トルクセンサS2は、ハブ軸内部に設けられることが好ましい。
【0079】
ケイデンスセンサS3は、ケイデンスを示す信号を出力するセンサである。ケイデンスセンサS3は、右クランク22A、左クランク22B、または、フレーム10Aに取り付けられる。特に、ケイデンスセンサS3は、右クランク22Aまたは左クランク22Bの内部、または駆動機構20がハウジングを有する場合はその内部に設けられることが好ましい。なぜなら、盗難判定に用いられ得るトルクセンサS2を取り外すことが困難になり、盗難防止機能がより強固になるためである。ケイデンスセンサS3は、例えばホール素子を含む。ケイデンスセンサS3は、一例では、右クランク22Aまたは左クランク22Bに設けられる磁石(図示略)を検出し、クランク軸22Cの単位時間当たりの回転数をカウントすることによって、クランク軸22Cの回転速度を計測する。ケイデンスセンサS3は、クランク軸22Cの回転速度に代えて、クランク軸22Cの角速度を計測してもよい。他の例では、ケイデンスセンサS3は、リアハブ14Aの回転速度または角速度を計測してもよい。この場合、ケイデンスセンサS3は、ハブ軸内部に設けられることが好ましい。
【0080】
人力駆動車1は、更に、判定装置100を備える。判定装置100は、コンピュータの一種である。一例では、判定装置100は、人力駆動車1に設けられるサイクルコンピュータなどの専用端末に搭載される。判定装置100は、他の例では、人力駆動車1のライダーが所持するスマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末などの汎用端末に搭載される。判定装置100は、さらに他の例では、駆動機構20がハウジングを有する場合、その内部にマイクロコンピュータとして搭載される。判定装置100は、人力駆動車1に付与される人力駆動力に関する情報と、人力駆動車1の状態とを取得し、取得した人力駆動力に関する情報と人力駆動車1の状態とに基づき、人力駆動車1の盗難の有無を判定する。判定装置100の構成については、
図3を用いて詳細に説明する。
【0081】
図2は人力駆動車1における制御システムの構成を説明するブロック図である。人力駆動車1の制御システムは、制御装置200、操作装置30、バッテリユニット60、および、制御装置200によって制御されるコンポーネントを含む。制御装置200によって制御されるコンポーネントは、変速装置32、アシスト装置34、ブレーキ装置36、アンチロックブレーキ装置38、サスペンション装置40、アジャスタブルシートポスト42、および、ロック装置50を含む。
図2では明示していないが、制御システムは、判定装置100および各種センサS1~S3を含んでもよい。
【0082】
制御装置200は、制御部202および記憶部204を備える。制御部202は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備える。制御部202が備えるROMには、コンポーネントの動作を制御するために必要な制御プログラムが記憶される。制御部202が備えるCPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して実行し、操作装置30を通じて入力されるライダーの操作に応じて、各コンポーネントの動作を制御する。制御部202が備えるRAMには、制御の実行中に生成される一時的なデータが記憶される。制御装置200は、各種センサS1~S3のセンサ出力を取得し、センサS1~S3によって計測される車速、トルク、ケイデンスの値に応じて、各コンポーネントの動作を制御してもよい。また、電子的な鍵を用いてロック操作およびロック解除操作が行われる場合、制御装置200は、ロック装置50の機能を兼ねる。すなわち、ロック操作が行われる場合、制御装置200はコンポーネントの少なくとも1つの動作を制限し、ロック解除操作が行われる場合、制御装置200は当該コンポーネントの動作制限を解除する。
【0083】
記憶部204は、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read Only Memory)などのメモリを備える。記憶部204には、例えば、人力駆動車1の状態が記憶される。記憶部204に記憶される人力駆動車1の状態は、人力駆動車1および人力駆動車1のコンポーネントの少なくとも1つの動作が制限されているロック状態、および、動作制限が解除されているロック解除状態を含む。制御部202は、ロック装置50を作動させた場合、人力駆動車1および人力駆動車1のコンポーネントの少なくとも1つがロック状態であると判別する。制御部202は、ロック装置50の作動を解除した場合、人力駆動車1および人力駆動車1のコンポーネントがロック解除状態であると判別する。制御部202は、判別したロック状態またはロック解除状態を、人力駆動車1の状態として記憶部204に記憶させる。
【0084】
記憶部204に記憶される人力駆動車1の状態は、人力駆動車1が走行中である場合の走行状態と、人力駆動車1が駐車中である場合の駐車状態とを含んでもよい。制御部202は、各種センサS1~S3による計測値を取得し、取得した計測値に基づき人力駆動車1の走行状態および駐車状態を判別する。制御部202は、車速センサS1によって計測される車速、トルクセンサS2によって計測されるトルク、および、ケイデンスセンサS3によって計測されるケイデンスが有限の値を示す場合、走行状態と判別し、ゼロまたはゼロに近い値を示す場合、駐車状態と判別すればよい。制御部202は、判別した走行状態または駐車状態を、人力駆動車1の状態として記憶部204に記憶させる。また、制御部202は、人力駆動車1の状態がロック解除状態からロック状態に遷移した場合、駐車状態と判別し、ロック状態からロック解除状態に遷移した場合、走行状態と判別してもよい。
【0085】
記憶部204に記憶される人力駆動車1の状態は、コンポーネントが作動しているウェーク状態と、コンポーネントが休止しているスリープ状態とを含んでもよい。制御部202は、操作装置30から入力される操作信号の値または各種センサS1~S3から入力される計測値が有限の値を示す場合、コンポーネントが作動しているウェーク状態であると判別する。このとき、各コンポーネントにはバッテリユニット60から動作に必要な電力が供給される。制御部202は、操作装置30から入力される操作信号の値または各種センサS1~S3から入力される計測値がゼロまたはゼロに近い値となり、所定時間が経過した場合、コンポーネントをウェーク状態からスリープ状態に移行させる。このとき、各コンポーネントにはバッテリユニット60から待機電力が供給される。待機電力は、ウェーク状態において供給される電力よりも小さな電力である。制御部202は、コンポーネントのウェーク状態およびスリープ状態を判別し、判別したウェーク状態またはスリープ状態を、人力駆動車1の状態として記憶部204に記憶させる。
【0086】
記憶部204に記憶される人力駆動車1の状態は、人力駆動車1の盗難状態を含んでもよい。判定装置100において人力駆動車1の盗難を判定した場合、人力駆動車1の状態として盗難状態が認定される。制御装置200の制御部202は、判定装置100において人力駆動車1の盗難が判定された場合、人力駆動車1の状態として盗難状態を記憶部204に記憶させる。
【0087】
また、制御部202は、判定装置100において人力駆動車1の盗難が判定された場合、コンポーネントの動作を制御してもよい。例えば、制御部202は、変速装置32、アシスト装置34、ブレーキ装置36、アンチロックブレーキ装置38、サスペンション装置40、および、アジャスタブルシートポスト42の少なくとも1つをロック解除状態からロック状態に遷移させるように制御してもよい。
【0088】
図3は判定装置100の構成を説明するブロック図である。判定装置100は、制御部102、記憶部104、入力部106、接続部108、および、出力部110を備える。
【0089】
制御部102は、CPU、ROM、RAMなどを備える。制御部102が備えるROMには、判定装置100が備えるハードウェア各部の動作を制御するための制御プログラム等が記憶される。制御部102が備えるCPUは、ROMに記憶される制御プログラム、および、後述する記憶部104に記憶される判定処理プログラムPGを実行し、ハードウェア各部の動作を制御することによって、判定装置100を人力駆動車1の盗難の有無を判定する装置として機能させる。制御部102が備えるRAMには、判定処理等の実行中に利用されるデータが記憶される。
【0090】
制御部102は、CPU、ROM、およびRAMを備える構成に限らず、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、量子プロセッサ、揮発性または不揮発性のメモリ等を備える1または複数の処理回路であってもよい。
【0091】
記憶部104は、EEPROMなどのメモリを備える。記憶部104は、制御部102によって実行される判定処理プログラムPG、および、判定処理の際に利用されるデータ等を記憶する。
【0092】
判定処理プログラムPGは、人力駆動車1に付与される人力駆動力に関する情報と、人力駆動車1の状態とを取得し、取得した人力駆動力に関する情報と、人力駆動車1の状態とに基づき、人力駆動車1の盗難の有無を判定する処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0093】
判定処理プログラムPGは、例えば記録媒体Mによって提供される。記録媒体Mは、CD-ROM、USBメモリ、SD(Secure Digital)カード、コンパクトフラッシュ(登録商標)などの可搬型メモリである。記録媒体Mは、判定処理プログラムPGを読み取り可能に記憶する非一時的な記録媒体である。制御部102は、図に示していない読取装置を用いて記録媒体Mから判定処理プログラムPGを読み取り、読み取った判定処理プログラムPGを記憶部104にインストールする。判定処理プログラムPGは、通信によって提供されてもよい。この場合、制御部102は、外部装置との通信によって判定処理プログラムPGを取得し、取得した判定処理プログラムPGを記憶部104にインストールすればよい。
【0094】
入力部106は、各種センサを接続するインタフェースを備える。入力部106に接続されるセンサは、車速センサS1、トルクセンサS2、および、ケイデンスセンサS3を含む。センサS1~S3は、一例では、信号線などによって有線接続される。他の例では、センサS1~S3は、ANT(登録商標)、ANT+(登録商標)、Bluetooth(登録商標) 、WiFi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、LTEなどの無線によって接続されてもよい。制御部102には、入力部106を通じて入力されるセンサS1~S3の計測値が与えられる。
【0095】
判定装置100の制御部102は、入力部106を通じて、人力駆動車1に付与される人力駆動力に関する情報を取得する。人力駆動力に関する情報は、人力駆動車1のペダル28、クランク22、およびリアハブ14Aの少なくとも1つに付与される、トルク、回転速度、および角速度の少なくとも1つの計測値を含む。制御部102は、入力部106を通じて、トルクセンサS2のセンサ出力を取得することによって、ペダル28、クランク22、およびリアハブ14Aの少なくとも1つに付与されるトルクの計測値を取得する。また、制御部102は、入力部106を通じて、ケイデンスセンサS3のセンサ出力を取得することによって、ペダル28、クランク22、およびリアハブ14Aの少なくとも1つの回転速度または角速度の計測値を取得する。
【0096】
接続部108は、制御装置200を接続するインタフェースを備える。制御部102は、接続部108を通じて、制御装置200から必要な情報を取得し、制御装置200に対して通知する情報を出力する。制御装置200から取得する情報は、例えば、人力駆動車1の状態を含む。制御装置200に対して通知する情報は、人力駆動車1の盗難の有無に関する判定結果を含む。
【0097】
判定装置100の制御部102は、接続部108を通じて、人力駆動車1の状態を取得する。人力駆動車1の状態は、人力駆動車1の動作および人力駆動車1に搭載されるコンポーネントの動作の少なくとも1つが制限されるロック状態を含む。制御部102は、接続部108を通じて、制御装置200の記憶部204に記憶されているロック状態を含む人力駆動車1の状態を取得する。
【0098】
出力部110は、出力装置を接続するインタフェースを備える。出力装置は、一例では、人力駆動車1に搭載される報知装置300である。報知装置300は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイを備えた表示デバイスである。判定装置100の制御部102は、人力駆動車1の盗難の有無を判定した場合、判定結果を出力部110から報知装置300へ出力する。報知装置300は、出力部110から出力される判定結果を文字情報または画像情報として表示する。報知装置300は、表示デバイスに限らず、音声などを出力する音声出力デバイスであってもよい。この場合、報知装置300は、出力部110から出力される判定結果を音声情報として出力すればよい。報知装置300は、例えば、人力駆動車1に設けられるサイクルコンピュータ、ブザー、ライト、または、バイブレーション機構であってもよい。
【0099】
他の例では、判定装置100の出力部110に接続される出力装置は、通信装置400である。通信装置400は、判定装置100に搭載されてもよく、判定装置100とは別体として人力駆動車1に搭載されてもよい。判定装置100の制御部102は、人力駆動車1の盗難の有無を判定した場合、判定結果を出力部110から通信装置400へ出力する。通信装置400は、出力部110を通じて取得した判定結果を外部装置へ送信する。送信先の外部装置は、例えば、人力駆動車1の正規ユーザが携帯する端末装置410である。送信先の外部装置は、正規ユーザの端末装置410に限らず、人力駆動車1に関する情報を管理する管理装置420であってもよい。管理装置420は、人力駆動車1に関する情報として、人力駆動車1の識別情報、人力駆動車1に搭載されているコンポーネントの識別情報、人力駆動車1の正規ユーザの情報、および、人力駆動車1の盗難の有無を関連付けて記憶する。
【0100】
以下、判定装置100による盗難判定処理について説明する。
図4は判定装置100が実行する盗難判定処理の手順を説明するフローチャートである。ステップS101において、判定装置100の制御部102は、人力駆動車1に付与される人力駆動力に関する情報を取得する。制御部102は、入力部106を通じて、トルクセンサS2のセンサ出力を取得することによって、ペダル28、クランク22、およびリアハブ14Aの少なくとも1つに付与されるトルクの計測値を取得する。また、制御部102は、入力部106を通じて、ケイデンスセンサS3のセンサ出力を取得することによって、ペダル28、クランク22、およびリアハブ14Aの少なくとも1つの回転速度または角速度の計測値を取得してもよい。
【0101】
ステップS102において、制御部102は、人力駆動車1の状態を取得する。制御部102は、接続部108を通じて、制御装置200の記憶部204に記憶されている人力駆動車1の状態を取得すればよい。人力駆動車1の状態は、人力駆動車1の動作および人力駆動車1に搭載されるコンポーネントの動作の少なくとも1つが制限されるロック状態を含む。
【0102】
ステップS103において、制御部102は、人力駆動力に関する情報として取得したトルクセンサS2またはケイデンスセンサS3の計測値が、予め設定された閾値より大きいか否かを判断する。比較対象の閾値は、事前に設定されて記憶部104に記憶される。トルクの閾値は、例えば、1~5Nmである。ケイデンスの閾値は、例えば、1~5rpmである。
【0103】
ステップS103において計測値が閾値より大きいと判断した場合、制御部102は、ステップS104において、人力駆動車1の状態がロック状態であるか否かを判断する。
【0104】
ステップS104において人力駆動車1の状態がロック状態であると判断した場合、制御部102は、ステップS105において、人力駆動車1は盗難されていると判定する。すなわち、制御部102は、人力駆動車1または人力駆動車1のコンポーネントがロックされているにも関わらず、不正に移動させようとして人力駆動車1に人力駆動力が付与された場合を検出して、盗難と判定すればよい。
【0105】
ステップS103において計測値が閾値以下であると判断した場合、または、ステップS104において人力駆動車1の状態がロック状態でないと判断した場合、制御部102は、ステップS106において、人力駆動車1は盗難されていないと判定する。ステップS103およびS104の順序は逆になっていてもよい。
【0106】
ステップS107において、制御部102は、判定結果を出力する。判定結果は、一例では、出力部110から報知装置300に出力される。報知装置300は、判定結果を文字情報、画像情報、または音声情報として報知する。他の例では、判定結果は、出力部110から通信装置400に出力される。通信装置400は、判定装置100から取得した判定結果を、人力駆動車1の正規ユーザが携帯する端末装置410、および、人力駆動車1の情報を管理する管理装置420の少なくとも一方へ送信する。制御部102は、人力駆動車1が盗難されていると判定した場合にのみ、ステップS107において判定結果を出力してもよい。
【0107】
以上のように、第1実施形態では、人力駆動車1がロック状態にあり、かつ、人力駆動車1のペダル28、クランク22、およびリアハブ14Aの少なくとも1つに人力駆動力が付与された場合、盗難と判定し、正規ユーザまたは管理者に通知できる。また、判定装置100は、人力駆動車1に搭載されている報知装置300から盗難発生の情報を報知することによって、人力駆動車1を不正に移動させようとしている者に対し警告できる。
【0108】
(第2実施形態)
第2実施形態では、人力駆動車1が駐車状態である場合に盗難判定処理を実行する構成について説明する。人力駆動車1の構成については第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0109】
図5は第2実施形態における判定装置100が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。ステップS201において、判定装置100の制御部102は、人力駆動車1が駐車状態であるか否かを判断する。制御部102は、接続部108を通じて、制御装置200の記憶部204に記憶されている人力駆動車1の状態を取得することによって、人力駆動車1が駐車状態であるか否かを判断する。ステップS201において駐車状態でないと判断した場合、制御部102は、本フローチャートによる処理を終了する。
【0110】
ステップS201において人力駆動車1が駐車状態であると判断した場合、制御部102は、ステップS202において盗難判定処理を実行する。盗難判定処理の手順は第1実施形態と同様である。すなわち、制御部102は、人力駆動車1に付与される人力駆動力に関する情報と、人力駆動車1の状態とを取得し、人力駆動車1がロック状態にあり、かつ、人力駆動車1に人力駆動力が付与された場合、盗難と判定すればよい。
【0111】
以上のように、第2実施形態では、人力駆動車1が駐車状態である場合にのみ盗難判定処理を実行するので、盗難が発生し得る状況下において判定し、盗難が発生し得ない状況下では盗難判定処理を回避できる。
【0112】
(第3実施形態)
第3実施形態では、人力駆動車1がスリープ状態である場合に盗難判定処理を実行する構成について説明する。人力駆動車1の構成については第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0113】
図6は第3実施形態における判定装置100が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。ステップS301において、判定装置100の制御部102は、人力駆動車1がスリープ状態であるか否かを判断する。制御部102は、接続部108を通じて、制御装置200の記憶部204に記憶されている人力駆動車1の状態を取得することによって、人力駆動車1がスリープ状態であるか否かを判断する。ステップS301においてスリープ状態でないと判断した場合、制御部102は、本フローチャートによる処理を終了する。
【0114】
ステップS301において人力駆動車1がスリープ状態であると判断した場合、制御部102は、ステップS302において盗難判定処理を実行する。盗難判定処理の手順は第1実施形態と同様である。すなわち、制御部102は、人力駆動車1に付与される人力駆動力に関する情報と、人力駆動車1の状態とを取得し、人力駆動車1がロック状態にあり、かつ、人力駆動車1に人力駆動力が付与された場合、盗難と判定すればよい。
【0115】
以上のように、第3実施形態では、人力駆動車1がスリープ状態である場合にのみ盗難判定処理を実行するので、盗難が発生し得る状況下において判定し、盗難が発生し得ない状況下では盗難判定処理を回避できる。
【0116】
第2実施形態では、人力駆動車1が駐車状態である場合に盗難の有無を判定する形態、第3実施形態では、人力駆動車1がスリープ状態である場合に盗難の有無を判定する形態を記載したが、両者を組み合わせてもよい。判定装置100は、人力駆動車1が駐車状態かつスリープ状態の場合に盗難の有無を判定し、それ以外の場合に盗難の有無を判定しない構成としてもよい。
【0117】
今回開示された実施形態は、全ての点において例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0118】
例えば、第1実施形態から第3実施形態では、人力駆動車1に搭載される判定装置100において盗難の有無を判定する構成としたが、人力駆動車1の管理装置420において盗難の有無を判定してもよい。この場合、通信装置400を用いて、人力駆動車1に付与される人力駆動力に関する情報と、人力駆動車1の状態とを管理装置420へ送信し、これらの情報に基づき管理装置420において人力駆動車1の盗難の有無を判定すればよい。
【符号の説明】
【0119】
1…人力駆動車、30…操作装置、32…変速装置、34…アシスト装置、36…ブレーキ装置、38…アンチロックブレーキ装置、40…サスペンション装置、42…アジャスタブルシートポスト、50…ロック装置、60…バッテリユニット、100…判定装置、102…制御部、104…記憶部、106…入力部、108…接続部、110…出力部、200…制御装置、202…制御部、204…記憶部、300…報知装置、400…通信装置、410…端末装置、420…管理装置、PG…判定処理プログラム、M…記録媒体