IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オラクル・インターナショナル・コーポレイションの特許一覧

特許7590868負荷形状分析に基づく、エネルギープログラム通信制御システムおよび方法
<>
  • 特許-負荷形状分析に基づく、エネルギープログラム通信制御システムおよび方法 図1
  • 特許-負荷形状分析に基づく、エネルギープログラム通信制御システムおよび方法 図2
  • 特許-負荷形状分析に基づく、エネルギープログラム通信制御システムおよび方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】負荷形状分析に基づく、エネルギープログラム通信制御システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241120BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/00 130
H02J3/00 170
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020542004
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 US2019015512
(87)【国際公開番号】W WO2019152337
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-08-23
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】15/886,083
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502303739
【氏名又は名称】オラクル・インターナショナル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン,オーレン
(72)【発明者】
【氏名】パッカー,ベン
(72)【発明者】
【氏名】クンズ,ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】シルツ,エリック
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】松田 直也
【審判官】月野 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0081384/(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0095794(US,A1)
【文献】照井 伸彦,ビッグデータ統計解析入門 経済学部で学ばない統計学,経済セミナー OCTOBER/NOVEMBER2016 No.692 THE KEIZAI SEMINAR,日本,株式会社日本評論社,2016年11月01日,第76-86頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実行可能な命令を格納するコンピュータ読み取り可能なプログラムであって、前記命令は、コンピューティングシステムの少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに以下の動作を行わせ、前記動作は、
エネルギー顧客に対する負荷データをデータベースから取得することを含み、前記負荷データは、異なる時間において前記エネルギー顧客により消費される電力を示し、
前記動作は、さらに、
前記取得された負荷データに基づいて前記エネルギー顧客に対する経験的な負荷形状を生成することを含み、前記経験的な負荷形状は、ある時間期間にわたって前記エネルギー顧客により消費される電力対時間の負荷曲線を表し、前記時間期間は、前記取得された負荷データにおける前記異なる時間を含み、
前記動作は、さらに、
記憶装置に格納される複数の確立された負荷形状の中から、前記エネルギー顧客に対する前記経験的な負荷形状に最も近くマッチする規定された負荷形状を選択することと、
前記規定された負荷形状と、前記エネルギー顧客がエネルギー効率プログラムの参加者であるか否かを示すバイナリラベルと、前記エネルギー顧客に関連付けられた人口統計的なデータと、前記エネルギー顧客に関連付けられた土地区画データとの組み合わせを含む第1データ構造を生成することとを含み、
前記人口統計的なデータは、前記エネルギー顧客が住居を所有しているか否かを示す情報を含み、前記土地区画データは、前記住居のサイズに関する指標を含み、
前記動作は、さらに、
複数の異なるエネルギー顧客の各々についての負荷形状を前記データベースから取得することと、
取得された前記複数の異なるエネルギー顧客の各々についての負荷形状に基づいて、前記複数の異なるエネルギー顧客の各々についての経験的な負荷形状を生成することと、
前記複数の異なるエネルギー顧客の各々に対して、前記複数の異なるエネルギー顧客の各々についての経験的な負荷形状と、前記複数の異なるエネルギー顧客の各々に関連付けられた人口統計的なデータと、前記複数の異なるエネルギー顧客の各々に関連付けられた土地区画データとの組み合わせを含む第2データ構造を生成することとを含み
予測的なモデルに、前記予測的なモデルの変数としての、前記規定された負荷形状が適用され、前記動作は、さらに、
記第2データ構造を前記予測的なモデル適用することによって、前記複数の異なるエネルギー顧客の各々が前記エネルギー効率プログラムに参加する傾向を決定することを含み、
前記予測的なモデルは、前記規定された負荷形状と、前記エネルギー顧客が前記エネルギー効率プログラムの参加者であるか否かとに少なくとも部分的に基づいて訓練されており、
前記動作は、さらに、
前記複数の異なるエネルギー顧客のうちの第1顧客が前記エネルギー効率プログラムに参加しそうであるとの決定に基づいて、前記第1顧客に対する第3データ構造を生成することを含み、前記第3データ構造は、前記エネルギー効率プログラムに関する情報を有する電子メッセージを含み、
前記動作は、さらに、
前記第1顧客に前記第3データ構造を送信することを含む、コンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項2】
前記予測的なモデルは、ロジスティック回帰モデルを含むバイナリ分類器であり、前記コンピュータ実行可能な命令は、前記コンピューティングシステムの前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記バイナリ分類器を用いて、
前記複数の異なるエネルギー顧客を、前記エネルギー効率プログラムに参加しそうな顧客のクラスに分類させ、または、
前記複数の異なるエネルギー顧客を、前記エネルギー効率プログラムに参加しそうでない顧客のクラスに分類させる、請求項1に記載のコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項3】
前記データベースから取得される前記負荷データは、複数の異なる日々の各々に対する前記エネルギー顧客および前記複数の異なるエネルギー顧客の各々による総電力消費を含み、前記経験的な負荷形状は、前記エネルギー顧客および前記複数の異なるエネルギー顧客の各々による1日当たりの総電力消費のパターンを表す、請求項1または2に記載のコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項4】
前記予測的なモデルは、前記エネルギー顧客に対する複数の確立された負荷形状を含むデータセットに基づいて訓練されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されると、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記複数の異なるエネルギー顧客のうちの前記エネルギー効率プログラムに参加しそうでない顧客への前記エネルギー効率プログラムに関する前記情報の伝達を防止させる命令をさらに含む、請求項2に記載のコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【請求項6】
コンピューティングシステムであって、前記コンピューティングシステムは、
少なくとも1つのメモリに接続される少なくとも1つのプロセッサと、
コンピュータ読み取り可能な媒体上に格納されて、命令を含むデータ管理モジュールとを備え、当該命令は、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されると、前記コンピューティングシステムに、エネルギー顧客に対する負荷データをデータベースから取得さ
せ、前記負荷データは、異なる時間において前記エネルギー顧客により消費される電力を示し、
前記コンピューティングシステムは、さらに、
前記コンピュータ読み取り可能な媒体上に格納されて、命令を含む分析モジュールを備え、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されると、前記コンピューティングシステムに以下の動作を行わせ、
前記動作は、
前記取得された負荷データに基づいて前記エネルギー顧客に対する経験的な負荷形状を生成することを含み、前記経験的な負荷形状は、ある時間期間にわたって前記エネルギー顧客により消費される電力対時間の負荷曲線を表し、
前記動作は、さらに、
記憶装置に格納される複数の確立された負荷形状の中から、前記エネルギー顧客に対する前記経験的な負荷形状に最も近くマッチする規定された負荷形状を選択することと、
前記規定された負荷形状と、前記エネルギー顧客がエネルギー効率プログラムの参加者であるか否かを示すバイナリラベルと、前記エネルギー顧客に関連付けられた人口統計的なデータと、前記エネルギー顧客に関連付けられた土地区画データとの組み合わせを含む第1データ構造を生成することとを含み、
前記人口統計的なデータは、前記エネルギー顧客が住居を所有しているか否かを示す情報を含み、前記土地区画データは、前記住居のサイズに関する指標を含み、
前記動作は、さらに、
複数の異なるエネルギー顧客の各々についての負荷形状を前記データベースから取得することと、
取得された前記複数の異なるエネルギー顧客の各々についての負荷形状に基づいて、前記複数の異なるエネルギー顧客の各々についての経験的な負荷形状を生成することと、
前記複数の異なるエネルギー顧客の各々に対して、前記複数の異なるエネルギー顧客の各々についての経験的な負荷形状と、前記複数の異なるエネルギー顧客の各々に関連付けられた人口統計的なデータと、前記複数の異なるエネルギー顧客の各々に関連付けられた土地区画データとの組み合わせを含む第2データ構造を生成することとを含み、
予測的なモデルに、前記予測的なモデルの変数としての、前記規定された負荷形状が適用され、前記動作は、さらに、
記第2データ構造を前記予測的なモデル適用することによって、前記複数の異なるエネルギー顧客の各々が前記エネルギー効率プログラムに参加する傾向を決定することを含み、
前記予測的なモデルは、前記規定された負荷形状と、前記エネルギー顧客が前記エネルギー効率プログラムの参加者であるか否かとに少なくとも部分的に基づいて訓練されており、
前記動作は、さらに、
前記複数の異なるエネルギー顧客のうちの第1顧客が前記エネルギー効率プログラムに参加しそうであるとの決定に基づいて、前記第1顧客に対する第3データ構造を生成することを含み、前記第3データ構造は、前記エネルギー効率プログラムについての情報を有する電子メッセージを含み、
前記動作は、さらに、
前記第1顧客に前記第3データ構造を送信することを含む、コンピューティングシステム。
【請求項7】
前記データベースは、通信ネットワークを通じて、前記エネルギー顧客に関連付けられ
た住居に対して前記取得された負荷データを測定するために設けられるメータと通信しており、前記通信ネットワークを通じて受信され、前記メータによって得られた測定値を格納する、請求項6に記載のコンピューティングシステム。
【請求項8】
前記予測的なモデルは、顧客の訓練セットに対する、負荷データ、人口統計的なデータおよび土地区画データのうちの1つまたは複数の組み合わせから導出される、経験的に導出されるアルゴリズムであり、顧客の前記訓練セットにおける当該顧客は、(i)前記エネルギー効率プログラムに参加した複数の参加顧客と、(ii)前記エネルギー効率プログラムに参加しなかった複数の非参加顧客とを含む、請求項6または7に記載のコンピューティングシステム。
【請求項9】
コンピュータで実施される方法であって、前記方法は、
エネルギー顧客に対する負荷データをデータベースから取得することを含み、前記負荷データは、異なる時間において前記エネルギー顧客により消費される電力を示し、
前記方法は、さらに、
前記取得された負荷データに基づいて前記エネルギー顧客に対する経験的な負荷形状を生成することを含み、前記経験的な負荷形状は、ある時間期間にわたって前記エネルギー顧客により消費される電力対時間の負荷曲線を表し、前記時間期間は、前記取得された負荷データにおける前記異なる時間を含み、
前記方法は、さらに、
記憶装置に格納される複数の確立された負荷形状の中から、前記エネルギー顧客に対する前記経験的な負荷形状に最も近くマッチする規定された負荷形状を選択することと、
前記規定された負荷形状と、前記エネルギー顧客がエネルギー効率プログラムの参加者であるか否かを示すバイナリラベルと、前記エネルギー顧客に関連付けられた人口統計的なデータと、前記エネルギー顧客に関連付けられた土地区画データとの組み合わせを含む第1データ構造を生成することとを含み、
前記人口統計的なデータは、前記エネルギー顧客が住居を所有しているか否かを示す情報を含み、前記土地区画データは、前記住居のサイズに関する指標を含み、
前記方法は、さらに、
複数の異なるエネルギー顧客の各々についての負荷形状を前記データベースから取得することと、
取得された前記複数の異なるエネルギー顧客の各々についての負荷形状に基づいて、前記複数の異なるエネルギー顧客の各々についての経験的な負荷形状を生成することと、
前記複数の異なるエネルギー顧客の各々に対して、前記複数の異なるエネルギー顧客の各々についての経験的な負荷形状と、前記複数の異なるエネルギー顧客の各々に関連付けられた人口統計的なデータと、前記複数の異なるエネルギー顧客の各々に関連付けられた土地区画データとの組み合わせを含む第2データ構造を生成することとを含み
予測的なモデルに、前記予測的なモデルの変数としての、前記規定された負荷形状が適用され、前記動作は、さらに、
記第2データ構造を前記予測的なモデル適用することによって、前記複数の異なるエネルギー顧客の各々が前記エネルギー効率プログラムに参加する傾向を決定することを含み、
前記予測的なモデルは、前記規定された負荷形状と、前記エネルギー顧客が前記エネルギー効率プログラムの参加者であるか否かとに少なくとも部分的に基づいて訓練されており、
前記方法は、さらに、
前記複数の異なるエネルギー顧客のうちの第1顧客が前記エネルギー効率プログラムに参加しそうであるとの決定に基づいて、前記第1顧客に対する第3データ構造を生成することを含み、前記第3データ構造は、前記エネルギー効率プログラムに関する情報を有する電子メッセージを含み、
前記方法は、さらに、
前記第1顧客に前記第3データ構造を送信することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
公益事業会社および他のエンティティは、エネルギーを効率的に消費するように顧客を動機付けることを目的とする様々なエネルギー効率プログラムを提供する。そのような各プログラムは、エネルギー顧客へのインセンティブとして提供される異なる方策を有する。例えば、金融のインセンティブまたは他の節約になる方策が、エネルギー効率の良い製品プログラムの下で、効率的な電化製品の購入者に提供され得る。より具体的には、電気公益事業会社は、エネルギー効率の良い製品に対して小売業者により典型的に課されるプレミアムの一部を差し引きするために、エネルギー効率の良い製品の消費者に直接的に払い戻しを提供し得る。電気公益事業会社は、そのようなエネルギー効率の良い製品を購入するエネルギー顧客が居住する住宅に供給される電気に対して課される割引率を提供し得る。政府の税額控除も、エネルギー効率の良い製品を購入する顧客に利用可能である。
【0002】
非常に多くのプログラムが利用可能であり、そのような様々な異なる方策がこれらのプログラムの下で提供されるので、公益事業会社は、利用可能なプログラムに関してエネルギー顧客に知らせるための実用的な方法を欠く。さらに、公益事業会社は、あるエネルギー効率のプログラムに参加しそうなそれらのエネルギー顧客を、参加しそうでないエネルギー顧客から従来区別することができなかった。コンピュータシステムは、エネルギー顧客に対するデータ記録が、エネルギー顧客に対する当該データ記録において識別される構造のタイプを識別する一般化されたデータに純粋に基づいて、ソートされるか、またはクラスにグループ化されることを可能にし得る。例えば、エネルギー顧客は、一戸建ての住宅に居住する顧客のサブグループと、集合住宅のアパートビルに居住する顧客のサブグループとにグループ化され得る。しかしながら、エネルギー効率プログラムに参加する、そのような各サブグループ内の顧客の傾向は、広く変わり得る。結果として、従来のコンピュータシステムは、そのようなプログラムについての通信を制御するために、エネルギー効率プログラムに参加しそうなエネルギー顧客に対する一般的な分類内のデータ記録を、参加しそうでない顧客のデータ記録からフィルタリングすることができなかった。代わりに、全ての利用可能なプログラムに関する情報は、慣習的に、電子的または物理的な通信チャネルを介して全てのエネルギー顧客に送信されてきた。全てのエネルギー顧客に全てのプログラムに関する情報を伝達することは、電子的に伝達される情報(例えば、電子メール、プッシュ通知など)に対する、計算的な資源とネットワーク資源とを浪費する。全てのエネルギー顧客に全てのプログラムに関する情報を伝達することは、(例えば、郵便サービスなどを介して)物理的に伝達される情報のための自然の資源および資金を浪費する。そして、伝達のモードに関わらず、無関係なエネルギー効率プログラムに関する情報をエネルギー顧客に浴びせかけることは、それらのエネルギー顧客をいらいらさせる可能性がある。それらのエネルギー顧客が適格となるプログラムに当該情報が関係する場合であっても、いらいらさせられたエネルギー顧客は、将来受信される全てのそのような情報を無視し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
ある実施形態において、コンピュータ実行可能な命令を格納する、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体が開示される。コンピュータ実行可能な命令は、コンピューティングシステムの少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、コンピューティングシステムに以下の動作を行わせる。当該動作は、データベースから、エネルギー顧客に対する負荷データを取得することを含み、負荷データは、異なる時間において当該エネルギー顧客により消費される電力を示し、当該動作は、さらに、取得された負荷データに基づいて当該エネルギー顧客に対する経験的な負荷形状を生成することを含み、経験的な負荷形状は、ある時間期間にわたって当該エネルギー顧客により消費される電力を表し、当該時間期間は、取得された負荷データにおける当該異なる時間を含み、当該動作は、さらに、記憶装置に格納される複数の確立された負荷形状の中から、当該エネルギー顧客に対して経験的な負荷形状に最も近くマッチする規定された負荷形状を選択することと、当該エネルギー顧客に対して、規定された負荷形状、人口統計的なデータ、土地区画データ、または規定された負荷形状と人口統計的なデータおよび土地区画データのうちの1つまたは複数との組み合わせを含むデータ構造を生成することと、当該データ構造に予測的なモデルを適用することによって、異なるエネルギー顧客よりも当該エネルギー顧客がエネルギー効率プログラムに参加しそうであることを決定することとを含み、予測的なモデルは、複数の異なるエネルギー顧客に対する規定された負荷形状に少なくとも部分的に基づいて訓練されており、当該動作は、さらに、当該エネルギー効率プログラムに関する情報の伝達を制御することを含み、当該情報の伝達を制御することは、当該異なるエネルギー顧客よりも当該エネルギー顧客が当該エネルギー効率プログラムに参加しそうであると決定することの結果として、当該エネルギー顧客への当該情報の伝達を、当該異なるエネルギー顧客への当該情報の第2の伝達よりも優先させることによって、当該情報の伝達を制御することを含む。
【0004】
非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体の別の実施形態において、予測的なモデルは、バイナリ分類器であり、コンピュータ実行可能な命令は、コンピューティングシステムの当該少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、当該少なくとも1つのプロセッサに、バイナリ分類器を用いて、当該エネルギー顧客を、当該エネルギー効率プログラムに参加しそうな顧客のクラスに分類させ、当該異なるエネルギー顧客を、エネルギー効率プログラムに参加しそうでない顧客のクラスに分類させる。
【0005】
非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体の別の実施形態において、バイナリ分類器は、当該エネルギー顧客と当該異なるエネルギー顧客とを分類するロジスティック回帰モデルである。
【0006】
非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体の別の実施形態において、データベースから取得される負荷データは、複数の異なる日々の各々に対する当該エネルギー顧客による総電力消費を含み、経験的な負荷形状は、当該エネルギー顧客による1日当たりの総電力消費のパターンを表す。
【0007】
非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体の別の実施形態において、予測的なモデルは、以下のデータうちの1つまたは複数の組み合わせから導出される、経験的に導出されるアルゴリズムである。当該データは、顧客の訓練セットに対する、負荷データ、人口統計的なデータおよび土地区画データであり、顧客の訓練セットにおける当該顧客は、(i)当該エネルギー効率プログラムに参加した複数の参加顧客と、(ii)当該エネルギー効率プログラムに参加しなかった複数の非参加顧客とを含む。
【0008】
非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体の別の実施形態において、予測的なモデルは、当該複数の異なるエネルギー顧客に対する複数の確立された負荷形状を含むデータセットに基づいて訓練されている。
【0009】
非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体の別の実施形態において、コンピュータ実行可能な命令は、コンピューティングシステムに、当該異なるエネルギー顧客への当該エネルギー効率プログラムに関する情報の第2の伝達を防止させるように実行される。
【0010】
別の実施形態において、コンピューティングシステムが開示される。コンピューティングシステムは、少なくとも1つのメモリに接続される少なくとも1つのプロセッサと、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体上に格納されて、命令を含むデータ管理モジュールとを備え、当該命令は、当該少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、コンピューティングシステムに、エネルギー顧客に対する負荷データをデータベースから取得させ、負荷データは、異なる時間において当該エネルギー顧客により消費される電力を示し、コンピューティングシステムは、さらに、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されて、命令を含む分析モジュールを備え、当該命令は、当該少なくとも1つのプロセッサにより実行されると、コンピューティングシステムに以下の動作を行わせ、当該動作は、取得された負荷データに基づいて、当該エネルギー顧客に対する経験的な負荷形状を生成することを含み、経験的な負荷形状は、ある時間期間にわたって当該エネルギー顧客により消費される電力を表し、当該動作は、さらに、記憶装置に格納される複数の確立された負荷形状の中から、当該エネルギー顧客に対する経験的な負荷形状に最も近くマッチする規定された負荷形状を選択することと、当該エネルギー顧客に対して、規定された負荷形状、人口統計的なデータ、土地区画データ、または規定された負荷形状と人口統計的なデータおよび土地区画データのうちの少なくとも1つとの組み合わせを含むデータ構造を生成することと、予測的なモデルを当該データ構造に適用することによって、異なるエネルギー顧客よりも当該エネルギー顧客がエネルギー効率プログラムに参加しそうであると決定することとを含み、コンピューティングシステムは、さらに、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体上に格納されて、命令を含む伝達制御モジュールを備え、当該命令は、当該少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、コンピューティングシステムに、当該エネルギー効率プログラムに関する情報の伝達を制御させ、当該情報の伝達を制御することは、当該異なるエネルギー顧客よりも当該エネルギー顧客が当該エネルギー効率プログラムに参加しそうであると決定することの結果として、当該エネルギー顧客への当該情報の伝達を、当該異なるエネルギー顧客への当該情報の第2の伝達よりも優先させることによって、当該情報の伝達を制御することを含む。
【0011】
コンピューティングシステムの別の実施形態において、予測的なモデルは、バイナリ分類器であり、分析モジュールは命令をさらに含み、当該命令は、当該少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、コンピューティングシステムに、当該エネルギー顧客を、当該エネルギー効率プログラムに参加しそうな顧客のクラスに分類させ、当該異なるエネルギー顧客を、エネルギー効率プログラムに参加しそうでない顧客のクラスに分類させる。
【0012】
コンピューティングシステムの別の実施形態において、バイナリ分類器は、当該エネルギー顧客と当該異なるエネルギー顧客とを分類するロジスティック回帰モデルである。
【0013】
コンピューティングシステムの別の実施形態において、データベースは、当該エネルギー顧客に関連付けられた住居に対して取得された負荷データを測定するために設けられるメータと通信ネットワークを通じて通信しており、通信ネットワークを通じて受信され、メータによって得られた測定値を格納する。
【0014】
コンピューティングシステムの別の実施形態において、データベースによって格納され、データ管理モジュールによって取得される負荷データは、異なる日々の間の当該エネルギー顧客の総電力消費を含み、分析モジュールの命令は、当該エネルギー顧客による1日当たりの総電力消費のパターンを表すための経験的な負荷形状を生成する。
【0015】
コンピューティングシステムの別の実施形態において、予測的なモデルは、以下のデータのうちの1つまたは複数の組み合わせから導出される、経験的に導出されるアルゴリズムである。当該データは、顧客の訓練セットに対する、負荷データ、人口統計的なデータ、および土地区画データであり、訓練セットにおける当該顧客は、(i)当該エネルギー効率プログラムに参加した複数の参加顧客と、(ii)当該エネルギー効率プログラムに参加しなかった複数の非参加顧客とを含む。
【0016】
コンピューティングシステムの別の実施形態において、予測的なモデルは、当該複数の異なるエネルギー顧客に対する複数の確立された負荷形状を含むデータセットに基づいて訓練されている。
【0017】
コンピューティングシステムの別の実施形態において、伝達制御モジュールは命令をさらに含み、当該命令は、当該少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、コンピューティングシステムに、当該異なるエネルギー顧客への当該エネルギー効率プログラムに関する情報の第2の伝達を防止させる。
【0018】
別の実施形態において、コンピュータで実施される方法が開示される。コンピュータで実施される方法は、エネルギー顧客に対する負荷データをデータベースから取得することを含み、負荷データは、異なる時間において当該エネルギー顧客により消費される電力を示し、当該方法は、さらに、取得された負荷データに基づいて、当該エネルギー顧客に対する経験的な負荷形状を生成することを含み、経験的な負荷形状は、ある時間期間にわたって当該エネルギー顧客により消費される電力を表し、当該時間期間は、取得された負荷データにおける当該異なる時間を含み、当該方法は、さらに、記憶装置に格納される複数の確立された負荷形状の中から、当該エネルギー顧客に対する経験的な負荷形状に最も近くマッチする規定された負荷形状を選択することと、当該エネルギー顧客に対して、規定された負荷形状、人口統計的なデータ、土地区画データ、または規定された負荷形状と人口統計的なデータおよび土地区画データのうちの少なくとも1つとの組み合わせを含むデータ構造を生成することと、予測的なモデルを当該データ構造に適用することによって、異なるエネルギー顧客よりも当該エネルギー顧客がエネルギー効率プログラムに参加しそうであると決定することと、当該エネルギー効率プログラムに関する情報の伝達を制御することとを含み、当該情報の伝達を制御することは、当該異なるエネルギー顧客よりも当該エネルギー顧客が当該エネルギー効率プログラムに参加しそうであると決定することの結果として、当該エネルギー顧客への当該情報の伝達を、当該異なるエネルギー顧客への当該情報の第2の伝達よりも優先させることによって、当該情報の伝達を制御することを含む。
【0019】
コンピュータで実施される方法の別の実施形態において、予測的なモデルは、バイナリ分類器であり、当該異なるエネルギー顧客よりも当該エネルギー顧客が当該エネルギー効率プログラムに参加しそうであると決定することは、当該エネルギー顧客を、当該エネルギー効率プログラムに参加しそうな顧客のクラスに分類することと、当該異なるエネルギー顧客を、エネルギー効率プログラムに参加しそうでない顧客のクラスに分類することとを含む。
【0020】
コンピュータで実施される方法の別の実施形態において、予測的なモデルは、当該複数の異なるエネルギー顧客に対する複数の確立された負荷形状を含むデータセットに基づいて訓練されている。
【0021】
コンピュータで実施される方法の別の実施形態において、データベースから取得される負荷データは、複数の異なる日々の各々に対する、当該エネルギー顧客による総電力消費を含み、当該エネルギー顧客に対する経験的な負荷形状を決定することは、当該エネルギー顧客による1日当たりの総電力消費のパターンを決定することを含む。
【0022】
コンピュータで実施される方法の別の実施形態は、当該異なるエネルギー顧客への当該エネルギー効率プログラムに関する情報の第2の伝達を防止することをさらに含む。
【0023】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の種々のシステム、方法、および他の実施形態を例示する。図において例示された要素の境界(例えば、ボックス、ボックスのグループ、または他の形状)は、当該境界の、ある実施形態を表すことが理解されるであろう。いくつかの実施形態において、1つの要素は、複数の要素として実現され得るか、または、その複数の要素は、1つの要素として実現され得る。いくつかの実施形態において、別の要素の内部の構成要素として示される要素は、外部の構成要素として実現されることができ、逆もまた同様である。さらに、要素は、正寸で描かれていないことがある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】エネルギー効率プログラムにおけるエネルギー顧客の参加を予測するためのコンピューティングシステムを含むエネルギー分配ネットワークの実施形態を概略的に例示する図である。
図2】コンピューティングシステムを用いて、エネルギー効率プログラムに参加する、あるエネルギー顧客の傾向を予測する方法の実施形態を概略的に示すフローダイアグラムを例示する図である。
図3】本明細書で説明される例示的なシステムおよび方法のうちの1つまたは複数に従って構成および/またはプログラムされている例示的なコンピューティング装置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
詳細な説明
本明細書において、エネルギー顧客に対するデータ記録を操作して、データ記録における、測定されたエネルギー消費パターンを表す負荷形状を識別するコンピュータ化されたシステムおよび方法が説明される。識別された負荷形状の各々は、それぞれのデータ記録におけるエネルギー消費パターンを最も正確に表す確立された負荷形状にマッチされる。エネルギー消費パターンを最も正確に表す確立された負荷形状に結び付けられた予測的なモデルは、データ記録における情報に適用される。予測的なモデルの適用は、エネルギー効率プログラムに参加しそうなエネルギー顧客に関連付けられるか、または、参加しそうでないエネルギー顧客に関連付けられるものとしてのデータ記録の指定という結果をもたらす。これらのデータ記録は、当該エネルギー顧客への当該エネルギー効率プログラムに関する情報の伝達を、参加する傾向の閾値を少なくとも用いて制限するためにフィルタリングされ得る。
【0026】
これまで、公益事業会社は、セールスポイントとしてエネルギー効率を用いて、省エネルギー製品の製造者および小売業者に依存してこれらの製造物をエネルギー顧客に提供してきた。そうでなければ、公益事業会社は、全てのエネルギー顧客に物理的な資料をまとめて送ることなどの慣習的なアプローチを用いて、それら自身の情報キャンペーンを設けてきた。しかしながら、そのようなアプローチは、限られた有効性を示してきた。
【0027】
上記の欠点のうちの少なくともいくつかに対処するための努力において、本開示は、予測的なモデルを「訓練」するための教師有り機械学習を含む、コンピュータで実施される技法およびアルゴリズムを伴う。訓練された予測的なモデルは、エネルギー効率プログラムに参加する傾向を有するエネルギー顧客に関連付けられたデータ記録と、参加しそうでないエネルギー顧客に関連付けられたデータ記録とを区別しようとする。予測的なモデルは、前の参加データ、利用可能な人口統計的なデータおよび土地区画データ、ならびに/または訓練セットにおける各エネルギー顧客に対してスマートメータもしくは他のメータを用いて測定されたエネルギー消費データなどの収集されたデータを含むデータの訓練セットを用いて訓練されている。訓練セットは、予測的なモデルが訓練されている特定のエネルギー効率プログラムにおいて、参加したことが分かっているエネルギー顧客と、参加しなかったことが分かっているエネルギー顧客との両方に対するデータ記録を含む。参加したことが分かっているエネルギー顧客と、参加しなかったことが分かっているエネルギー顧客とに対するデータ記録の相対的な割合は、基礎となるデータセットにおける割合とほぼ同じであり得る。このような手法において訓練されているので、予測的なモデルは、訓練セットにいないエネルギー顧客であって、当該エネルギー効率プログラムに参加する未知の傾向を有するエネルギー顧客に対するデータ記録に適用され得る。それゆえ、訓練された予測的なモデルは、そのようなプログラムに他の非参加エネルギー顧客が将来参加しそうであるか否かを予測できる。
【0028】
訓練は、エネルギー顧客に関連付けられた住居の経験的に決定された負荷形状と、平方フィートの面積、熱のタイプ(例えば、強制空気、温水、ヒートポンプなど)および住居の条件などの、住居に関する情報と、エネルギー顧客の人口統計的な情報と、エネルギー顧客の前の参加履歴とのうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づいて、エネルギー効率プログラムに参加しそうなエネルギー顧客に対するデータ記録と、当該プログラムに参加しそうでないエネルギー顧客に対するデータ記録とを区別するモデルを開発することを伴う。ある実施形態は、(i)エネルギー顧客に関連付けられた住居の経験的に決定された負荷形状と、(ii)平方フィートの面積、熱のタイプ(例えば、強制空気、温水、ヒートポンプなど)および住居の条件などの、住居に関する情報との組み合わせに少なくとも部分的に基づいて、参加しそうなエネルギー顧客に対するデータ記録と、参加しそうでないエネルギー顧客に対するデータ記録とを区別するモデルを開発することを伴う。経験的に決定された負荷形状は、複数の規定された負荷形状のうち最も近くマッチする負荷形状と、規定された負荷形状を用いて訓練される予測的なモデルとに類別され得る。予測的なモデルは、データの対応する訓練セットを用いることにより、住居のタイプ、人口統計的な情報、および前の参加履歴のうちの1つまたは複数に特有であるエネルギー効率プログラムに対して別個に訓練され得る。
【0029】
いったん訓練されると、予測的なモデルは、将来において当該エネルギー効率プログラムに参加する、非参加者の予測される傾向によって、非参加者のデータ記録をランク付けおよび/またはフィルタリングするために適用され得る。非参加者は、エネルギー効率プログラムに参加するのに適格であるが、現在参加していないエネルギー顧客である。予測的なモデルを適用するために、当該エネルギー顧客に対するデータ記録における日々のエネルギー使用パターンは、少数であるが1つより多い確立された負荷形状のうちの1つとして特徴付けられる。特徴付けは、経験的な負荷形状に最も近くマッチする確立された負荷形状を見つけることを伴う。確立された負荷形状は、データベースにおいて規定されることができ、最も一般的に生じるN個の負荷形状の一般的な表現を含むことができ、ここで、Nは、1より大きい任意の正の整数値であり得る(例えば、Nは、2,3,4,5,6,7,8などに等しくあり得る)。訓練された予測的なモデルは、次いで、予測的なモデルの変数としての、経験的な負荷形状に最も近くマッチする確立された負荷形状を用いて、非参加者に対するデータに適用される。それゆえ、予測的なモデルは、最も近くマッチする確立された負荷形状を1つの変数として用いる。住居に関する情報、熱のタイプ、住居の状態などの1つまたは複数の追加的な変数は、参加しそうな非参加者と、参加しそうでない非参加者とを弁別するために予測的なモデルにも入力される。
【0030】
予測的なモデルを訓練するための、エネルギー顧客の日々の負荷形状の使用は、他の特徴の能力を超える有意な予測的な能力を示してきた。エネルギー効率プログラムに関する情報を、エネルギー顧客のより小さいサブセット(例えば、全部未満)に向け、当該顧客は、当該サブセットの外側の顧客よりも参加しそうであると予測されるので、公益事業会社は、資源を節約できる。さらに、公益事業会社は、マーケティングコストと、無関係であるかまたは歓迎されていないマーケティングを受けることに由来する顧客満足に対するコストとを低減できる。
【0031】
図1を参照して、エネルギー効率プログラムにおけるエネルギー顧客の参加を予測するためのデータ記録を分析することに関連付けられたシステム100の例示的な実施形態が示されている。システム100は、本技術を明確に説明する目的のために、電力分配システム105を伴う使用のために本明細書に示され説明される。しかしながら、システム100は、例えば、天然ガス分配システムなどの、任意の他の公益事業者または消耗品の供給者に関連して活用され得る。
【0032】
電力分配システム105は、発電所、変電所、配電所、または電気公益事業会社により、もしくは電気公益事業会社に代わって運営される、任意の他の電気の供給者であり得る事業所110を含む。1つまたは複数のタワー120によって支持される伝送線路115を含むネットワークは、事業所110と、エネルギー顧客に関連付けられた住居125との間で電気を伝導する。当該ネットワークは、変圧器およびスイッチなどの他の伝送装置を含み得るが、そのような装置は、明確さのために図1から省略されている。さらに、住居125は、一戸建ての居住者用の住宅として示されているが、住居125の他の例は、任意の一戸建ての居住者用の住宅もしくは居住者用の集合住宅、分譲マンション、アパートなど、商業用のオフィスビル、小売店、産業プラント、庁舎、または、エネルギー顧客に関連付けられ、電気公益事業会社によって電気エネルギーが供給される任意の他の建造物を含む。
【0033】
住居125には、住居125により経時的に消費される電力の量を測定するメータ130が備え付けられる。メータ130の実施形態は、いわゆる「スマートメータ」であり得る。スマートメータは、随意で、毎月、四半期おきなどの規則的な間隔で時おり、通信ネットワーク135を通じてデータを伝達するネットワーク通信モジュール(図示しない)を含む。通信ネットワーク135は、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(「WAN」:wide area network)、ワイヤレスルータ、スイッチおよびモデムなどの住宅用のネットワーキング装置またはローカルネットワーキング装置を含むローカルエリアネットワーク(「LAN」:local area network)、またはWANとLANとの組み合わせを含み得る。
【0034】
伝達されるデータは、住居125において消費される電力の実際の量に対して住居125に関連付けられた当該エネルギー顧客に正確に請求書を送るために用いられるデータであり得る。伝達されたデータは、随意で、システム100により利用可能なデータベース140にも格納され得る。スマートメータにより伝達されるデータは、異なる時間に住居125において当該エネルギー顧客により消費される電力の量を示す負荷データ145の一部、および随意で全ての当該データを含むが、これらに制限されない。例えば、スマートメータにより伝達されるデータは、1週間、1日、1時間などの間に消費される総電力;1ヶ月、四半期などの、電力消費が報告される時間の長さ;キロワット時;およびその他同種のものを明白に識別するデータ、またはそれらを決定するために用いられ得るデータを含み得る。
【0035】
通信ネットワーク135を通じてデータを伝達する能力を欠き得るメータ130の実施形態に対して、スマートメータにより通信ネットワーク135を介して伝達されるであろうデータは、マニュアルで読み取られることができ、データベース140に記録され得る。当該データが通信ネットワーク135を通じて伝達されるか、またはデータベース140にマニュアルで記録されるかに関わらず、当該データは、異なるエネルギー顧客に対応するデータ記録に関連付けられ得る。
【0036】
ある実施形態において、システム100は、企業組織に対する、アプリケーションを含むか、または分散アプリケーションの集合を含むコンピューティングシステムである。当該アプリケーションおよびコンピューティングシステム100は、クラウドベースのネットワーキングシステム、サービスとしてのソフトウェア(SaaS:software as a service)アーキテクチャ、または他のタイプのネットワーク化されたコンピューティングソリューションを用いて動作するように、またはそれらとして実現されるように構成され得る。ある実施形態において、システム100は、本明細書に開示される機能を少なくとも提供して、コンピューティング装置/端末を介して多くのユーザにより利用される集中型のサーバサイドアプリケーションであり、当該装置/端末は、コンピュータ/通信ネットワーク135を通じて、(サーバとして機能して)システム100と通信する。
【0037】
ある実施形態において、本明細書で説明される構成要素のうちの1つまたは複数は、少なくとも1つの非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されるプログラムモジュールとして構成されている。当該プログラムモジュールは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、コンピューティング装置に、本明細書に記載される対応する機能(複数可)を行わせる、格納される命令を用いて構成されている。
【0038】
図1のシステム100は、本明細書に記載されるシステム100によって用いられるデータの少なくとも一部を格納するデータベース140を含む。データベース140は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体上に存在できるか、または複数の記憶装置から構成されている、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体のアレイにより格納されるデータを含むことができる。さらに他の実施形態によれば、例示された実施形態に関して説明されるデータベース145に含まれる情報は、複数の異なるデータベースから入手され得る。さらに、データベース140に含まれ、システム100により活用されるデータの任意の部分は、システム100の外部にあって、システム100の一部を形成しないリモートデータベースから随意で入手され得る。そのような外部のデータベースは、通信ネットワーク135またはローカルのデータ通信リンクを介して、システム100によって利用可能であり得る。簡潔さのために、図1に示されるデータベース140は、エネルギー効率プログラムに参加するエネルギー顧客の傾向を予測するためにシステム100により因子として活用されるデータを含むとして本明細書で説明される。そのような予測は、当該エネルギー顧客に関連付けられたデータ記録に訓練された予測的なモデルを適用することにより達成される。
【0039】
負荷データ145は、データベース140におけるデータ記録に含まれるデータの中にある。負荷データ145は、異なる時間において住居125で当該エネルギー顧客により消費される電力を示す。負荷データ145は、システム100により活用されることができ、住居125における当該エネルギー顧客による総電力消費を、例えば、ある時間期間(例えば、1ヶ月、3ヶ月にわたる期間など)内の複数の異なる日々の各々に対して、1日当たりキロワット時で決定できる。
【0040】
データベース140は、住居125に特有の顧客データ150、および/またはデータ記録に関連付けられた、当該エネルギー顧客に特有の顧客データ150も含む。例えば、ある実施形態において、顧客データ150は、住居125に対応するデータ記録の一部であり得る、以下のタイプのデータのうちの1つもしくは複数、またはそれらの組み合わせを含み得る。
・電気公益事業会社に対して利用可能な人口統計的なデータ。例えば、人口統計的なデータは、当該エネルギー顧客に関連付けられる住居125に住む成人の数、当該エネルギー顧客に関連付けられる住居125に住む子供の数、および、当該エネルギー顧客が住居125を所有しているか、または賃貸しているかなどを含み得る。
・土地区画データ、または住居125の特徴を説明する他のデータ。例えば、土地区画データは、平方フィートの面積、階の数、または当該エネルギー顧客に関連付けられた住居125のサイズに関する他の指標を含み得る。寒季の間に住居125を暖めるために用いられる熱のタイプ(例えば、電気、ガス、燃料油、木材など)、住居のタイプ(例えば、一戸建ての住宅、集合住宅の団地など)も、土地区画データに含まれ得る。
・エネルギー効率プログラムに参加するエネルギー顧客の傾向を予測する際に有用であり得る多方面にわたるデータも、顧客データ150に含まれ得る。例えば、当該エネルギー顧客が既に参加者である、他のプログラムおよび/または方策(興味のあるプログラムを除く)の数は、顧客データ150としてデータベース140に格納され得る。エネルギー効率プログラムおよび/もしくは方策における当該エネルギー顧客の過去の参加(またはその欠如)は、当該エネルギー顧客が一般にそのようなプログラムおよび/または方策を受け入れるか否かの有用な指標であり得る。
【0041】
複数の確立された負荷形状を含むライブラリ155も、データベース140に含まれる。電気的な負荷は、所与の時間に対して(例えば、リアルタイムで、特定の時間に対して、1日に対して等)住居125により用いられる総電力である。電気的な負荷は、照明、暖房、換気、空調設備、コンピュータおよびオフィス設備、暖房炉ならびにその他の産業設備などの電気装置の動作の変化に応答して時間とともに変化する。電気的な負荷は、グラフィカルな曲線、他の線グラフ、プロット、または他のグラフィカルな表現を時間の関数として規定する、測定されたデータにより表され得る。当該曲線は、負荷形状を表し、電力消費のパターンをグラフィカルに明らかにする。
【0042】
ライブラリ155における確立された負荷形状の各々は、1つまたは複数の特定のタイプの住居125によって表されると(例えば、以前に観察されたデータに基づいて)期待される負荷形状の一般化された表現を規定するデータ構造である。一般化された表現であるため、確立された負荷形状は、負荷データ145のような実際の電力消費データに基づいて作成された経験的な負荷形状を正確に反映しないことがある。代わりに、一般化された形状は、異なる建造物の電力消費パターンに独特の特性を表す平滑化されたパターンを有する理想的な負荷形状を示す形状であり得る。
【0043】
例えば、図1に示すような、等しく間隔が空けられた矩形ピークを有する、日々繰り返す規則的な負荷形状160は、週末に閉まっているオフィスビルを示し得る。電力消費は、一般に、就業日(例えば、月曜日-金曜日)の間、高い水準において均一であり、それゆえ、矩形ピークである。週末に、オフィスビルが閉まっているとき、電力消費は、一般に、低い水準において均一であり、矩形ピークの間に谷を形成する。そのため、負荷形状160は、週末に閉まっているが、週の間の通常の時間の間用いられる、例えばオフィスビルおよび学校などの住居125に関連付けられ得る。
【0044】
逆に、1日(例えば、8:00AM-4:30PM)の間に通常の就業時間に働く2人の成人が住む住宅用の家に対する確立された負荷形状は、負荷形状160の逆であり得る。就業日(月曜日-金曜日)の間において、家が空いている間、消費される電力は、一般に、低い水準において均一であり、仕事日に対して谷を生ずる結果となる。週末に、居住している成人が日中に、より長く家にいるとき、電力消費は、一般に、高い水準において均一であり、週末の日に対して谷の間に矩形のピークを形成する。異なる確立された負荷形状は、ライブラリ155に含まれ、他の共通の負荷形状を表すことができる。
【0045】
負荷形状160の実施形態は、週単位の負荷形状として説明されるが、本開示はそのように制限されない。負荷形状160の別の実施形態は、1日単位の負荷形状である。1週間の過程にわたる(例えば、1日単位の頻度でサンプリングされる)消費される電力対時間の曲線の代わりに、1日単位の負荷形状は、1日24時間の過程にわたる、消費される電力対時間の曲線である。それゆえ、1日単位の負荷曲線のサンプリング頻度は、毎日記録される1つのサンプルよりもはるかに高くなり得る。例えば、1日単位の負荷形状は、秒、分または時間のスケールで消費される電力として示され得る。さらに、1日単位の負荷形状は、確立された負荷形状と比較されることができ、確立された負荷形状は、就業日に特有のパターンを有し、週末に特有のパターンを有し、経験的な負荷形状が生成される日に応じた全体的な使用に基づいている。例えば、就業日に対する経験的な負荷形状は、就業日に特有の確立された負荷形状と比較され得る。同様に、週末の日の間に消費される電力に対する負荷形状は、週末の日に特有の確立された負荷形状と比較され得る。
【0046】
予測的なモデルを訓練するために用いられるデータの十分なサンプルサイズの利用可能性を保証するために、ライブラリ155における確立された負荷形状の数は、制限され得る。例えば、当該数は、全ての既知の負荷形状の数より少ない数に制限され得る。ある実施形態において、ライブラリ155は、最も一般的に生じる負荷形状のうちのN個を含むように制限されることができ、ここで、Nは、1より大きい任意の正の整数値であり得る(例えば、Nは、2,3,4,5,6,7,8などに等しくあり得る)。各確立された負荷形状は、日のタイプ(例えば、就業日、週末など)、週のカテゴリ(例えば、時節、祝日など)に関連付けられ得る。言い換えれば、経験的な負荷形状は、異なる時間期間に特有の異なる確立された負荷形状と、予測的なモデルに適宜入力された当該異なる確立された負荷形状と比較され得る。
【0047】
システム100は、データ管理モジュール165も含む。データ管理モジュール165は、データベース140とのインターフェースとして機能する。少なくとも、当該エネルギー顧客に対応する負荷データ145は、データ管理モジュール165によりデータベース140から取得され得る。しかしながら、顧客データ150および/またはライブラリ155における確立された負荷形状などの他の情報も、本明細書で説明されるようにデータ管理モジュールにより取得され得る。
【0048】
分析モジュール170は、当該エネルギー顧客に対する負荷データ145を含む、データ管理モジュール165によって取得されたデータを用いて、取得された負荷データ145に基づいて、当該エネルギー顧客に対する経験的な負荷形状175を決定して生成する。経験的な負荷形状175は、メータ130により測定される、ある時間期間にわたる当該エネルギー顧客による実際の電力消費のパターンを表す。一例として、経験的な負荷形状175は、1ヶ月の過程にわたる、当該エネルギー顧客に関連付けられた住居125における1日単位の電力消費を表すことができる。次いで、分析モジュール170は、経験的な負荷形状175に最も近くマッチする、ライブラリ155に格納される負荷形状、例えば、図1における負荷形状160等のセットから、確立された負荷形状を識別する。最も近くマッチするものである、この確立された負荷形状160は、分析モジュール170により、以下「規定された負荷形状160」と称されるものであるとして選択される。規定された負荷形状160は、当該エネルギー顧客に対応するデータ構造にシステム100により適用される適切な予測的なモデル180を決定するために、システム100により用いられる。当該エネルギー顧客のデータ構造に予測的なモデルを適用することの結果は、エネルギー効率プログラムに参加する、当該エネルギー顧客の傾向を決定する。
【0049】
予測的なモデルは、種々の異なる確立された負荷形状の各々に区分される、エネルギー顧客に対するデータの訓練セットを用いて訓練され得る。一例として、データの訓練セットに含まれるエネルギー顧客の全ての母集団は、複数のサブセットに分類される。各サブセットは、1日単位のまたは他の周期的な負荷形状が複数の確立された負荷形状のうち異なる1つに区分されるエネルギー顧客を含み得る。データの訓練セットにおけるエネルギー顧客の各々に対する負荷形状は、N個の異なる確立された負荷形状の中で、最も近くマッチする負荷形状に対応するサブセットに類別できる。各エネルギー顧客に対する特徴ベクトルなどのデータ構造は、当該エネルギー顧客に関連付けられた、住居、熱のタイプおよび住居条件などに関する情報などの他の情報とともに、最も近くマッチする確立された負荷形状を含むように作成され得る。
【0050】
各特徴ベクトルには、それぞれのエネルギー顧客が、関心のあるプログラムまたは方策における参加者であるか否かを示すバイナリラベルが割り当てられる。当該関心のあるプログラムまたは方策は、当該エネルギー顧客の参加の可能性が予測されているプログラムまたは方策である。サブセットの各々に対する特徴ベクトルを用いてロジスティック回帰分析が行われ、予測的なモデルとして、ロジスティック回帰モデルまたは他の好適なアルゴリズムを開発できる。例えば、訓練された予測的なモデルは、(i)当該エネルギー効率プログラムに参加しそうな顧客のクラス、または(ii)当該エネルギー効率プログラムに参加しそうでない顧客のクラスの2つのクラスのうちの1つに当該エネルギー顧客を分類するバイナリ分類器であり得る。予測的なモデルのタイプに関係なく、予測的なモデルの、任意のスカラー値、誤差定数および式構造などは、妥当な程度の正確さで異なるバイナリラベルを有する特徴ベクトルを区別すべきである。したがって、予測的なモデルは、確立された負荷形状と、当該エネルギー顧客に関連付けられた、住居、人口統計的なデータ、熱のタイプおよび住居条件などに関する情報などの少なくとも1つの他の入力変数との関数となるように訓練され得る。
【0051】
予測的なモデルの初期の訓練が完了した後、引き続きの改良が起こり得る。訓練された予測的なモデルを用いてエネルギー顧客に対して予測が行われるので、予測的なモデルの、スカラー値または誤差定数が、または構造さえもが、初期訓練の結果から修正され得る。予測的なモデルの使用から結果として生じる予測と、エネルギー顧客が最終的に当該エネルギー効率プログラムに参加することを選んだか否かを示すデータとが、予測的なモデルを更新するために用いられ得る。
【0052】
分析モジュール170は、当該エネルギー顧客に対するデータ構造を生成し、エネルギー効率プログラムに参加する、そのエネルギー顧客の傾向を予測する。生成されたデータ構造は、人口統計的なデータおよび/または、当該エネルギー顧客に対応するかもしくは当該エネルギー顧客に関連付けられた住居125に対応する土地区画データを少なくとも含むベクトルであり得る。データベース140から取得された、訓練された予測アルゴリズム180は、データ構造に適用され、エネルギー効率プログラムに参加する、当該エネルギー顧客の傾向を決定する。予測結果は、分析モジュール170により出力されるデータ構造において具現化され得る。
【0053】
システム100の伝達制御モジュール185は、予測結果を受信し、予測結果に基づいて、当該エネルギー効率プログラムに関する情報の伝達を制御する。当該情報の伝達を制御することは、当該エネルギー顧客に関連付けられたデータ記録に傾向の指定をタグ付けするためにデータベース140を更新すること、またはそうでなければ修正することを伴い得る。例えば、異なるエネルギー顧客よりも当該エネルギー顧客がエネルギー効率プログラムに参加しそうであることを予測結果が示す場合、伝達制御モジュール185は、当該エネルギー顧客を当該情報の受領者として指定できる。この指定を伴う更新された記録は、タグに対するデータ記録を検索することによって続いて識別でき、システム100とは別個のシステムによって利用され得る。タグを有する識別されたデータ記録は、それゆえ、当該エネルギー効率プログラムに関する情報を含む電子メッセージが伝達されるべき受領者として識別される。
【0054】
電子メッセージの電子的な伝達は、電子メールアドレスか、テキストが受信され得る番号か、または当該エネルギー顧客の他の電子的な連絡先の情報かにアドレス指定され得る。この電子的な伝達は、次いで、受領者としての当該エネルギー顧客の指定に基づいて通信ネットワーク35を介して伝達され得る。他の実施形態によれば、別個のシステムは、更新された記録を利用でき、更新された記録における指定に基づいて、エネルギー効率プログラムに関する情報を含む、レター、パンフレット、請求書、または他の物理的な通信文に対処できる。他の実施形態によれば、別個のシステムは、例えば、当該エネルギー顧客が公益事業会社についてのユーザアカウントにログインして請求書に対して支払いをするときに、更新された記録を利用でき、何のコンテンツが当該エネルギー顧客に提示されるかを制御できる。
【0055】
伝達の手法に関係なく、当該エネルギー顧客へのそのような情報の伝達は、異なるエネルギー顧客へのそのような情報の伝達よりも優先され得る。当該異なるエネルギー顧客は、閾値よりも低いか、または当該エネルギー顧客の予測される傾向よりも少なくとも低い、当該エネルギー効率プログラムに参加する予測される傾向を有していたことがある。そのような実施形態に対して、伝達制御モジュール185は、当該異なるエネルギー顧客への当該エネルギー効率プログラムに関する情報の伝達を防止するデータ構造を出力、修正、またはそうでなければ更新し得る。
【0056】
エネルギー効率プログラムに参加するエネルギー顧客の傾向を、システム100を用いて予測する方法200を示すフローダイアグラムが図2に例示される。当該エネルギー顧客の傾向を予測するための要求を受信するシステム100に応答して、データ管理モジュール165は、ステップ205において、データベース140を利用して当該エネルギー顧客に対応する住居125に対する負荷データ145を取得する。負荷データは、例えば1日当たりの経験的な負荷形状を識別するか、または、当該形状を決定するために用いられ得る。
【0057】
データ管理モジュール165により取得された負荷データ145を用いて、分析モジュール170は、ステップ210において、規定された期間(例えば、1日単位)に対する経験的な負荷形状を決定する。経験的な負荷形状は、当該期間にわたって住居125において消費される電力を表す。上述されたように、当該期間は、1日、1週間、2週間の期間、1ヶ月、または別の所望の期間であり得る。分析モジュール170は、ステップ215において、決定された経験的な負荷形状を、ライブラリ155での確立された負荷形状と比較する。分析モジュール170は、ステップ220において、経験的な負荷形状に最も近くマッチする確立された負荷形状を選択する。例えば、経験的な負荷形状からのデータ値は、確立された負荷形状のうちの1つからのデータ値と比較され(そして他の負荷形状に対して繰り返される)、マッチング関数は、ユークリッド距離などの任意の距離メトリックに基づいて、当該値の差の閾値に少なくとも基づく。選択された確立された負荷形状は、ステップ220において、規定された負荷形状として識別される。
【0058】
当該エネルギー顧客に対する特徴ベクトルなどのデータ構造が、ステップ225において生成される。生成されたデータ構造は、予測的なモデルへの入力を形成する、当該エネルギー顧客に関連付けられた経験的な負荷形状に最も近くマッチする確立された負荷形状、人口統計的なデータおよび/または土地区画データなどのパラメータに対する値を含む。ステップ230において分析モジュール170を用いて、訓練された予測的なモデルをデータ構造に適用することによって、異なるエネルギー顧客よりも当該エネルギー顧客がエネルギー効率プログラムに参加しそうであると決定する。当該エネルギー顧客と当該異なるエネルギー顧客との相対的な傾向を決定することは、当該エネルギー顧客と当該異なるエネルギー顧客とに対するそれぞれの傾向値を比較することを伴い得る。代替的な実施形態によれば、当該エネルギー顧客の決定された傾向は、見込みのない参加者から見込みのある参加者を分離する閾値と比較され得る。さらに他の実施形態によれば、当該傾向は、当該エネルギー顧客と当該異なるエネルギー顧客との各々に対して単純に決定され得る。これらの傾向値は、後にユーザに提示され、当該エネルギー顧客と当該異なるエネルギー顧客との相対的な傾向を決定するためにユーザによってマニュアルで比較され得る。
【0059】
分析モジュール170からの出力に基づいて、伝達制御モジュール185は、ステップ235において、当該エネルギー顧客への当該エネルギー効率プログラムに関する情報の伝達を制御するデータを伝達、修正または生成する。例えば、伝達制御モジュール185は、当該異なるエネルギー顧客への当該情報の伝達よりも、当該ネルギー顧客への当該情報の伝達を優先できる。代替的な実施形態によれば、伝達制御モジュールは、当該エネルギー効率プログラムに関する情報が、当該異なるエネルギー顧客ではなく、当該エネルギー顧客に伝達されるようにできる。
【0060】
図3は、本明細書で説明される例示的なシステムおよび方法、ならびに/もしくは均等のもののうちの1つもしくは複数を用いて構成ならびに/またはプログラムされているコンピューティング装置300の例を示す。コンピューティング装置300の例示的な例は、バス325により動作可能に接続される、プロセッサ320、メモリ335およびI/Oポート345を含むコンピュータ315であり得る。ある実施形態において、コンピュータ315は、図1および図2に関して説明されるシステム100および/または方法を容易にするように構成されている、データ管理モジュール165、分析モジュール170、および伝達制御モジュール185の論理回路を含む。異なる実施形態において、データ管理モジュール165、分析モジュール170、および伝達制御モジュール185の論理回路は、ハードウェア、格納される命令を有する非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体305、ファームウェア、および/またはそれらの組み合わせにおいて実現され得る。データ管理モジュール165、分析モジュール170、および伝達制御モジュール185の論理回路は、バス325に取り付けられるハードウェア構成要素として例示されている一方で、他の実施形態では、これらのモジュールのうちの1つまたは複数の論理回路は、プロセッサ320において実現され得るか、メモリ335に格納され得るか、またはディスク355に格納され得ることを理解されるべきである。
【0061】
ある実施形態において、データ管理モジュール165、分析モジュール170および伝達制御モジュール185の論理回路、またはコンピュータ315は、説明された動作を行うための手段(例えば、構造:ハードウェア、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体、ファームウェア)である。いくつかの実施形態では、コンピューティング装置300は、クラウドコンピューティングシステムにおいて動作するサーバ、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)アーキテクチャにおいて構成されているサーバ、スマートフォン、ラップトップ、およびタブレットコンピューティング装置などであり得る。
【0062】
当該手段は、例えば、割り当てに対するルールベースのソースシーケンシングを実現するようにプログラムされる特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)として実現され得る。当該手段は、メモリ335に一時的に格納されその後プロセッサ320によって実行される命令であって、データ310としてコンピュータ315に与えられる、格納されるコンピュータ実行可能な命令としても実現され得る。
【0063】
データ管理モジュール165、分析モジュール170、および伝達制御モジュール185の論理回路は、割り当てに対するルールベースのソースシーケンシングを行うための手段(例えば、ハードウェア、実行可能な命令を格納する非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体305およびファームウェア)も提供し得る。
【0064】
コンピュータ315の例示的な構成を一般的に説明すると、プロセッサ320は、デュアルマイクロプロセッサと他のマルチプロセッサアーキテクチャとを含む種々の様々な種々のプロセッサであり得る。メモリ335は、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリを含み得る。不揮発性メモリは、例えば、読み取り専用メモリ(ROM:read-only memory)、プログラム可能な読み取り専用メモリ(PROM:programmable read-only memory)などを含み得る。揮発性メモリは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM:static random-access memory)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM:dynamic random access memory)などを含み得る。
【0065】
ディスク355は、例えばI/Oインターフェース340(一例として、カード、装置)とI/Oポート345とを介して、コンピュータ315に動作可能に接続され得る。ディスク355は、例えば、磁気ディスクドライブ、ソリッドステートディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、テープドライブ、ジップ(Zip)ドライブ、フラッシュメモリカードおよびメモリスティックなどであり得る。さらに、ディスク355は、CD-ROMドライブ、CD-Rドライブ、CD-RWドライブおよびDVD ROMなどであり得る。メモリ335は、例えば、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体305内などのプロセス、および/またはデータ310を格納できる。ディスク355および/またはメモリ335は、コンピュータ315のリソースを制御して割り当てるオペレーティングシステムを格納できる。
【0066】
コンピュータ315は、I/Oインターフェース340とI/Oポート345とを介して入力/出力(I/O:input/output)装置と対話し得る。I/O装置は、例えば、キーボード、マイクロフォン、ポインティングおよび選択装置、カメラ、ビデオカード、ディスプレイ、ディスク355、ならびにネットワーク装置350などであり得る。I/Oポート345は、例えば、シリアルポートと、パラレルポートと、USBポートとを含み得る。I/Oコントローラ330は、I/Oインターフェース340をバス325に接続し得る。
【0067】
コンピュータ315は、ネットワーク環境において動作でき、それゆえ、I/Oインターフェース340および/またはI/Oポート345を介してネットワーク装置350に接続され得る。ネットワーク装置350を介して、コンピュータ315は、ネットワークと対話し得る。ネットワークを介して、コンピュータ315は、リモートコンピュータ(例えば、コンピュータ315は、クライアントが接続し得る分散コンピューティング環境内に存在し得る)に論理的に接続され得る。コンピュータ315が対話し得るネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN:local area network)と、新しいエリアネットワーク(WAN)と、他のネットワークとを含むが、これらに制限されない。
【0068】
別の実施形態において、説明される方法および/またはそれらの均等のものは、コンピュータ実行可能な命令を用いて実現され得る。それゆえ、ある実施形態において、非一時的なコンピュータ読み取り可能な/記憶媒体は、機械(複数可)により実行されると、当該機械(複数可)(および/または関連した構成要素)に当該方法を行わせるアルゴリズム/実行可能なアプリケーションの命令であって、格納されるコンピュータ実行可能な命令を用いて構成されている。例示的な機械は、プロセッサ、コンピュータ、クラウドコンピューティングシステムにおいて動作するサーバ、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)アーキテクチャにおいて構成されているサーバ、およびスマートフォン等を含むが、これらに制限されない。ある実施形態において、コンピューティング装置は、開示される方法のいずれかを行うように構成されている1つまたは複数の実行可能なアルゴリズムを用いて実現される。
【0069】
1つまたは複数の実施形態において、開示される方法またはそれらの均等のものは、当該方法を行うように構成されているコンピュータハードウェアか、または、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されるモジュールにおいて具現化されるコンピュータ命令であって、当該命令が、コンピューティング装置の少なくとも1つのプロセッサによって実行されると当該方法を行うように構成される実行可能なアルゴリズムとして構成されているコンピュータ命令かのいずれかにより行われる。
【0070】
説明の簡潔さの目的のために、図に例示される方法は、アルゴリズムの一連のブロックとして示され説明されるが、当該方法は、ブロックの順序によって制限されないことを理解されるべきである。いくつかのブロックは、示され説明された順序とは異なる順序で、および/または示され説明された他のブロックと同時に起こり得る。加えて、例示的な方法を実現するために、全ての例示されたブロックよりも少ないブロックが用いられ得る。ブロックは、組み合わされるか、または複数の動作/構成要素に分離され得る。さらに、追加的および/または代替的な方法は、ブロックに例示されていない追加的な動作を用いることができる。
【0071】
以下は、本明細書で用いられる選択された用語の定義を含む。当該定義は、構成要素の種々の例および/または形態を含み、当該例および/または形態は、用語の範囲内に入り、実現形態に対して用いられ得る。当該例は、制限的であることを意図されていない。用語の単数形および複数形の両方が、当該定義内であり得る。
【0072】
「ある実施形態(one embodiment)」、「ある実施形態(an embodiment)」、「一例(one example)」および「例(an example)」などへの言及は、そのように記載される実施形態(複数可)または例(複数可)が、特定の特徴、構造、特性、性質、要素または制限を含み得るが、いずれの実施形態または例が必ずしもその特定の特徴、構造、特性、性質、要素または制限を含むとは限らないことを示す。さらに、「ある実施形態において」という語句の度々の使用は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らないが、同じ実施形態を指し得る。
【0073】
「データ構造」または「データオブジェクト」は、本明細書で用いるとき、メモリ、記憶装置、または他のコンピュータ化されたシステムに格納される、コンピューティングシステムにおけるデータの体系である。データ構造は、例えば、データフィールド、データファイル、データアレイ、データ記録、データベース、データテーブル、グラフ、ツリーおよび連結リストなどのいずれか1つであり得る。データ構造は、多くの他のデータ構造から形成され、当該データ構造を含み得る(例えば、データベースは、多くのデータ記録を含む)。他の実施形態に従うと、データ構造の他の例も同様に可能である。
【0074】
「コンピュータ読み取り可能な媒体」または「コンピュータ記憶媒体」は、本明細書で用いられるとき、実行されると、開示される機能のうちの1つもしくは複数を行うように構成されている命令および/またはデータを格納する非一時的な媒体を指す。データは、いくつかの実施形態において、命令として機能し得る。コンピュータ読み取り可能な媒体は、不揮発性媒体および揮発性媒体を含むがこれらの媒体に制限されない形態を取り得る。不揮発性媒体は、例えば、光ディスクおよび磁気ディスクなどを含み得る。揮発性媒体は、例えば、半導体メモリおよびダイナミックメモリなどを含み得る。コンピュータ読み取り可能な媒体の一般的な形態は、フロッピー(登録商標)ディスクと、フレキシブルディスクと、ハードディスクと、磁気テープと、他の磁気媒体と、特定用途向け集積回路(ASIC)と、プログラマブル論理装置と、コンパクトディスク(CD:compact disk)と、他の光媒体と、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、読み取り専用メモリ(ROM)と、メモリチップまたはカードと、メモリスティックと、ソリッドステート記憶装置(SSD:solid state storage device)と、フラッシュドライブと、コンピュータ、プロセッサまたは他の電子装置が用いて機能できる他の媒体とを含み得るが、これらに制限されない。媒体の各タイプは、ある実施形態における実現のために選択される場合、開示および/もしくは請求される機能のうちの1つまたは複数を行うように構成されているアルゴリズムの格納される命令を含み得る。
【0075】
「論理回路(Logic)」は、本明細書で用いられるとき、コンピュータもしくは電気的なハードウェア、実行可能なアプリケーションもしくはプログラムモジュールの格納される命令を有する非一時的な媒体、ならびに/または、本明細書で開示される機能もしくは動作のいずれかを行うため、および/もしくは別の論理回路、方法および/もしくはシステムからの機能もしくは動作が、本明細書で開示したように行われるようにするためのこれらの組み合わせを用いて実現される構成要素を表す。均等な論理回路は、ファームウェア、アルゴリズムを用いてプログラムされるマイクロプロセッサ、ディスクリート論理回路(例えばASIC)、少なくとも1つの回路、アナログ回路、デジタル回路、プログラムされる論理装置、およびアルゴリズムの命令を含むメモリ装置などを含むことができ、これらのうちのいずれもが、開示される機能のうちの1つまたは複数を行うように構成され得る。ある実施形態において、論理回路は、1つもしくは複数のゲート、ゲートの組み合わせ、または開示された機能のうちの1つもしくは複数を行うように構成されている他の回路の構成要素を含み得る。複数の論理回路が説明される場合、複数の論理回路を1つの論理回路に組み込むことが可能であり得る。同様に、単一の論理回路が説明される場合、その単一の論理回路を複数の論理回路の間で分散させることが可能である。ある実施形態において、これらの論理回路のうちの1つまたは複数は、開示および/または請求される機能を行うことに関連付けられた、対応する構造である。いずれのタイプの論理回路を実現するかの選択は、システム条件または仕様に基づき得る。例えば、より高い速度が考慮事項である場合、そのときは、ハードウェアが選択されて機能を実現するだろう。より低いコストが考慮事項である場合、そのときは、格納される命令/実行可能なアプリケーションが選択されて機能を実現するだろう。
【0076】
「動作可能な接続」、またはエンティティが「動作可能に接続される」接続は、信号、物理的な通信および/または論理通信が送信および/または受信され得る接続である。動作可能な接続は、物理的なインターフェース、電気的なインターフェース、および/またはデータインターフェースを含み得る。動作可能な接続は、動作可能な制御を可能にするのに十分な、インターフェースおよび/または接続の異なる組み合わせを含み得る。例えば、2つのエンティティは、互いに直接的に信号を通信するように、または1つもしくは複数の中間のエンティティ(例えば、プロセッサ、オペレーティングシステム、論理回路、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体)を介して通信するように動作可能に接続され得る。論理通信チャネルおよび/または物理的な通信チャネルは、動作可能な接続を作成するために用いられ得る。
【0077】
「ユーザ」は、本明細書で用いられるとき、公益事業からのエネルギーを消費する1人もしくは複数の人、または、そのような人によって操作されるか、もしくはそのような人に代わって操作されるコンピュータもしくは他の装置、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに制限されない。
【0078】
開示された実施形態が、かなり詳細に例示され説明されてきたが、添付される特許請求の範囲を、そのような詳細に限定すること、またはいずれかの方法において制限することは、意図するところではない。もちろん、主題の種々の態様を説明する目的のために、構成要素または方法の考えられる、あらゆる組み合わせを説明することは可能でない。そのため、本開示は、示され説明される、特定の詳細または例示的な例に制限されない。それゆえ、本開示は、添付される特許請求の範囲内に入る代替、修正および変形を包含することを意図されている。
【0079】
「含む(includes)」または「含む(including)」という用語が、詳細な説明または特許請求の範囲において用いられる限り、「備える(comprising)」という用語が特許請求の範囲において遷移語として用いられるときに解釈されるように、「含む」という用語は、「備える」という用語と同様に包含的であることが意図される。
【0080】
「または(or)」という用語が、詳細な説明または特許請求の範囲において用いられる限り(例えば、AまたはB)、「または」という用語は、「AまたはBまたはその両方」を意味することが意図される。出願人が「AまたはBのみであるがその両方ではない」を示すことを意図するとき、そのときは、「AまたはBのみであるがその両方ではない」という語句が用いられる。それゆえ、本明細書における「または」という用語の使用は、包含的な使用であり、排他的な使用ではない。
図1
図2
図3