(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】ロケーション監視システムおよびロケーション監視方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20241120BHJP
G06Q 50/163 20240101ALI20241120BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20241120BHJP
【FI】
G06Q10/00
G06Q50/163
G08B25/04 A
(21)【出願番号】P 2021000911
(22)【出願日】2021-01-06
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹島 由晃
(72)【発明者】
【氏名】吉内 英也
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-107930(JP,A)
【文献】特開2012-078995(JP,A)
【文献】特開2007-316821(JP,A)
【文献】特開2018-013995(JP,A)
【文献】国際公開第2014/132802(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0117917(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0136327(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08B 25/00-25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の監視エリアを有する施設内において資産を監視するロケーション監視システムであって、
前記資産が位置する前記監視エリアを検出するエリア検出部と、
前記施設外から前記エリア検出部によって検出された前記資産が位置する前記監視エリアに至るまでの経路に基づいて、前記資産に対して脅威が発生する可能性を表す脅威レベルを計算する脅威レベル計算部と、を有し、
前記脅威レベル計算部は、
前記施設内のエリアと、該エリアに隣接する隣接エリアと、該エリアと該隣接エリアとの間において前記脅威に対して実施されているセキュリティ種別と、を対応付けたエリア構成情報に基づいて、前記経路のエリア間において前記脅威に対して実施されている該セキュリティ種別を列挙したリストを作成し、
前記資産が存在する前記監視エリアの前記脅威レベルの初期値を、前記施設の外部に相当する値に設定し、
前記リストに含まれる前記セキュリティ種別に、前記脅威の種別毎に前記脅威に対して有効なセキュリティ種別が定義されている脅威対対策情報における該有効なセキュリティ種別に該当するセキュリティ種別が含まれている場合に、対応する該脅威の種別における前記脅威レベルを所定値だけ減算する処理を、全ての前記経路について行い、
全ての前記経路において前記脅威の種別毎に最も高い前記脅威レベルを、前記監視エリアの該脅威の種別毎の前記脅威レベルとして採用する
ことを特徴とするロケーション監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載のロケーション監視システムであって、
前記監視エリアの状態を解析する解析部と、
前記解析部によって解析された前記監視エリアの状態を時系列で保存する記憶部と、を有し、
前記脅威レベル計算部は、
前記解析部によって解析された前記資産が位置する前記監視エリアの現在の状態が、前記記憶部に保存されている前記監視エリアの過去の状態と比較して、前記資産に対して前記脅威が発生する可能性が異なる状態と判定できる場合に、該異なる状態に応じて前記脅威レベルを増減する補正を行う
ことを特徴とするロケーション監視システム。
【請求項3】
請求項1に記載のロケーション監視システムであって、
前記資産が位置する前記監視エリアと、該監視エリアにおける前記脅威の種別および前記脅威レベルと対応付けて出力部に出力するための情報を生成する生成部
を有することを特徴とするロケーション監視システム。
【請求項4】
請求項1に記載のロケーション監視システムであって、
前記脅威の種別毎に各前記監視エリアの前記脅威レベルを出力部に出力するための情報を生成する生成部
を有することを特徴とするロケーション監視システム。
【請求項5】
請求項1に記載のロケーション監視システムであって、
前記脅威レベル計算部は、
前記施設外から前記エリア検出部によって検出された前記資産が位置する前記監視エリアに至るまでの経路を特定し、特定した該経路に基づいて、前記資産に対して脅威が発生する可能性を表す脅威レベルを計算する
ことを特徴とするロケーション監視システム。
【請求項6】
複数の監視エリアを有する施設内において資産を監視するロケーション監視システムが行うロケーション監視方法であって、
前記資産が位置する前記監視エリアを検出し、
前記施設内のエリアと、該エリアに隣接する隣接エリアと、該エリアと該隣接エリアとの間において前記資産に対して発生しうる脅威に対して実施されているセキュリティ種別と、を対応付けたエリア構成情報に基づいて、前記
施設外から検出された前記資産が位置する前記監視エリアに至るまでの経路のエリア間において前記脅威に対して実施されている該セキュリティ種別を列挙したリストを作成し、
前記資産が存在する前記監視エリアの前記資産に対して前記脅威が発生する可能性を表す脅威レベルの初期値を、前記施設の外部に相当する値に設定し、
前記リストに含まれる前記セキュリティ種別に、前記脅威の種別毎に前記脅威に対して有効なセキュリティ種別が定義されている脅威対対策情報における該有効なセキュリティ対策に該当するセキュリティ種別が含まれている場合に、対応する該脅威の種別における前記脅威レベルを所定値だけ減算する処理を、全ての前記経路について行い、
全ての前記経路において前記脅威の種別毎に最も高い前記脅威レベルを、前記監視エリアの該脅威の種別毎の前記脅威レベルとして採用する
各処理を有することを特徴とするロケーション監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロケーション監視システムおよびロケーション監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスビルや商業施設などのエリア内に存在する機器や設備、ロボットなどの資産を守るために、それらの資産のセキュリティ監視が望まれる。セキュリティ監視では、保護すべき対象である資産が損なわれる要因となるリスクのレベルを評価し、相対評価可能なリスク度として算定するリスク分析を行うことが前提となる。
【0003】
リスク分析において、資産のリスク度を計算する際に、評価指標として資産の重要度や、脅威レベル、脆弱性レベルが用いられる。重要度は、その資産が損なわれた場合の被害の大きさを表す指標値である。脅威レベルは、その資産に対し、その資産が損なわれるような事象(脅威)が発生する可能性を表す指標値である。脆弱性レベルは、その資産が、発生した脅威によって棄損される可能性を表す指標値である。
【0004】
従来のリスク分析では、これらの評価指標は、設計資料の読み込みや、関係者へのヒアリング等で得られた情報を基に判断されていた。しかし、このような方法では、資産のリスク度をリアルタイムに把握することはできない。例えば、資産が脅威レベルの高い場所に設置または移動されているにもかかわらず、その発見が遅れてしまう、という危険性がある。
【0005】
そこで下記の特許文献1には、資産が保管または使用される空間が犯行に及びやすい環境であるかを評価するための評価テーブルを備え、評価テーブルには「複数の出入口があるか、外部に通じる開口部があるか、資産の取扱が見えるか、監視カメラがあるか、入退管理機器が運用されているか、入室者の特定ができるか」といった諸項目のそれぞれについて段階的なレベルが設定され、そのレベルに基づいてその空間を定量的に計算する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1には、資産が保管または使用される空間それ自体に関する項目が設定されているが、従業員などによる内部犯行のリスク分析を目的としており、施設の外部の人間による脅威のリスク分析を行うものではない。このため、施設の外部からその空間に至るまでの経路上にあるセキュリティ装置の存在を考慮してその空間を評価するといった技術は開示されていない。
【0008】
例えば、施設の外部から資産が存在する空間に至るまでの経路上にある空間の特性や状態を考慮して、資産が存在する空間における脅威のレベルをリアルタイムに計算するシステムが望まれている。このようにセキュリティ分析では、資産が存在する空間の脅威のレベルを、資産が存在する空間へ部外者が入域する状況を考慮して行うことが望ましいが、従来技術ではかかる状況を考慮していないという問題がある。
【0009】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、例えば、資産が存在する空間へ部外者が入域する状況を考慮して資産に対する脅威のレベルを計算することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様では、複数の監視エリアを有する施設内において資産を監視するロケーション監視システムであって、前記資産が位置する前記監視エリアを検出するエリア検出部と、前記施設外から前記エリア検出部によって検出された前記資産が位置する前記監視エリアに至るまでの経路に基づいて、前記資産に対して脅威が発生する可能性を表す脅威レベルを計算する脅威レベル計算部と、を有し、前記脅威レベル計算部は、前記施設内のエリアと、該エリアに隣接する隣接エリアと、該エリアと該隣接エリアとの間において前記脅威に対して実施されているセキュリティ種別と、を対応付けたエリア構成情報に基づいて、前記経路のエリア間において前記脅威に対して実施されている該セキュリティ種別を列挙したリストを作成し、前記資産が存在する前記監視エリアの前記脅威レベルの初期値を、前記施設の外部に相当する値に設定し、前記リストに含まれる前記セキュリティ種別に、前記脅威の種別毎に前記脅威に対して有効なセキュリティ種別が定義されている脅威対対策情報における該有効なセキュリティ種別に該当するセキュリティ種別が含まれている場合に、対応する該脅威の種別における前記脅威レベルを所定値だけ減算する処理を、全ての前記経路について行い、全ての前記経路において前記脅威の種別毎に最も高い前記脅威レベルを、前記監視エリアの該脅威の種別毎の前記脅威レベルとして採用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、資産が存在する空間へ部外者が入域する状況を考慮して資産に対する脅威のレベルを計算できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ロケーション監視システムの構成例を示す図である。
【
図2】ロケーション監視システムの位置監視装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【
図3】ロケーション監視システムの分析装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【
図4】ロケーション監視システムのエリア構成管理処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】エリア構成情報編集画面の表示例を示す図である。
【
図6】ロケーション監視システムの脅威レベル計算処理の一例を示すシーケンス図(1)である。
【
図7】ロケーション監視システムの脅威レベル計算処理の一例を示すシーケンス図(2)である。
【
図8】分析装置の脅威レベル計算部が行う脅威レベル計算のアルゴリズムの一例を示す図である。
【
図10】ロケーション監視システムの脅威レベル表示処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図11】脅威レベル評価結果画面の表示例を示す図である。
【
図12】ロケーション監視システムを構成する装置のコンピュータとしてのハードウェア構成の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。以下の実施形態は、本発明を限定するものではない。また以下の実施形態で説明されている要素およびその組合せの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。また以下の実施形態において同一の符号は同一あるいは類似の機能を備えた構成要素または処理を示し、後出の説明を省略する。また各実施形態および各変形例は、本発明の技術思想の範囲内かつ整合する範囲内で一部または全部を組合せることができる。
【0014】
以下の説明では、テーブルにて各種情報を説明することがあるが、各種情報は、テーブル以外のデータ構造で表現されていてもよい。各種情報は、記憶資源(例えばメモリやストレージ)に確保された記憶領域に保存される。
【0015】
また以下の説明では、同種の要素を区別して説明する場合に、本体部分に添え字を付加した参照符号を用いる。同種の要素を区別しないで説明する場合には、添え字を除いた本体部分のみの参照符号を用いる。
【0016】
以下の説明では、ロケーション監視システムは、建物内にある資産の位置(ロケーション)を監視し、資産が存在する空間へ部外者が入域する状況を考慮して資産が損なわれる事象が発生する可能性を計算する。しかし本発明は、建物に限らず、屋内、屋外、および半屋外を問わず、エリアを設定してエリア毎に人および物の監視が可能な施設一般に適用可能である。
【0017】
(ロケーション監視システム2の構成)
図1は、ロケーション監視システム2の構成例を示す図である。
図1は、ビルにおけるロケーション監視システム2に関するシステム構成図である。
【0018】
ロケーション監視システム2は、オフィスビルや商業施設などの建物(以下、ビルと総称する)のオーナーや管理会社、もしくは建物の一部を借用しているテナント企業、などが保有する機器や設備などの資産を、主にセキュリティの観点で監視するために運用される。
【0019】
ビルシステム1は、ロケーション監視システム2の監視対象であるビルの中で運用されるネットワークシステムである。ビルシステム1は、ビル内に存在する資産11、ネットワーク装置12、監視カメラ装置15、および資産管理装置17を含んで構成される。
【0020】
資産11は、ビル内に存在する機器や設備、ロボットなどである。資産11は、ネットワーク装置12を経由して、LAN(Local Area Network)などの通信ネットワークによって相互に接続される。
【0021】
ネットワーク装置12は、ネットワークスイッチや無線LANアクセスポイント(AP)などである。ネットワーク装置12の主な機能は、ビルシステム1に接続されている資産11や監視カメラ装置15、資産管理装置17などが相互にネットワーク通信を行う際に、通信データ(通信パケット)を中継することである。
【0022】
またネットワーク装置12は、自装置が設置されているエリアを識別するためのエリア識別情報1211を記憶し、要求(リクエスト)を受信するとエリア識別情報1211を応答する機能を備える。なおネットワーク装置12は、自装置を一意に識別するためのID情報を記憶しておき、当該ID情報とエリア識別情報1211との対応付けを記憶する他の装置によって当該ID情報から変換されたエリア識別情報1211を応答してもよい。
【0023】
監視カメラ装置15は、ビルシステム1が管理対象とするビルの監視エリア毎に設置されている。監視エリアは、資産11が位置することができるビル内の各エリア、およびビルの外部から資産が位置するエリアまで至る人の移動経路に含まれる各エリア、を含む。本実施形態では、エリアという表現を空間と同義として用いる。
【0024】
さらにネットワーク装置12は、資産11がネットワーク装置12に接続されている間、当該資産11を識別可能な資産識別情報1212を記憶する機能を備える。本実施形態では、資産識別情報1212として、資産11のMAC(Media Access Control)アドレスを用いる。またネットワーク装置12は、ネットワーク装置12および資産11が無線通信機能を備える場合に、資産11が定期的に送信するプローブ要求を受信すると、当該資産11のMACアドレスを資産識別情報1212として一定期間記憶する機能を備える。
【0025】
資産管理装置17は、資産識別情報と資産名の対応付けを管理し、分析装置22からの資産識別情報をキーにした問い合わせに対して、検索結果として資産名を応答する。
【0026】
ロケーション監視システム2は、位置監視装置21、分析装置22、および操作端末29を含んで構成される。
【0027】
位置監視装置21は、ビル内における資産11の位置(ロケーション)を監視する装置である。分析装置22は、資産11の位置における脅威レベルを計算する装置である。脅威レベルは、資産11に対して脅威が発生する可能性の度合いを脅威毎に示す。
【0028】
操作端末29は、ロケーション監視システム2で管理する各種DB情報の閲覧および編集や、ロケーション監視システム2での監視状況の確認などのユーザインタフェース(操作画面)を、ロケーション監視システムのオペレータに提供するための端末装置である。
【0029】
(位置監視装置21の構成)
図2は、ロケーション監視システム2の位置監視装置21の構成例を示す機能ブロック図である。位置監視装置21は、エリア検出部211と、監視映像解析部212と、を含んで構成される。
【0030】
エリア検出部211は、資産11を検出する機能を備える装置から、資産11の識別情報と所在エリアとを取得する処理を行う。監視映像解析部212は、監視カメラ装置15のよって撮影されたビル内の各監視エリアの監視映像を解析して、当該監視エリアの状態、例えば人の混雑具合などを判断する処理を行う。
【0031】
(分析装置22の構成)
図3は、ロケーション監視システム2の分析装置22の構成例を示す機能ブロック図である。分析装置22は、エリア構成管理部221と、脅威レベル計算部222と、操作画面生成部223、フロアマップデータ224と、フロアマップ/エリア対応表225と、エリア構成情報DB226と、資産評価結果DB227と、エリア状態情報DB228と、脅威対対策テーブル2221と、を含んで構成される。
【0032】
エリア構成管理部221は、ビル内のエリア構成と、エリアとエリアの間にあるセキュリティ装置の存在の情報とを簡易な表現にモデル化したエリア構成情報2261を生成し、そのデータをエリア構成情報DB226で管理する処理を行う。
【0033】
脅威レベル計算部222は、資産11の位置情報を取得し、資産11の移動を検知した場合に、当該資産11が存在するエリアの状態を判断し、当該資産11が存在するエリアの脅威レベルを計算する処理を行う。計算した結果は、資産評価結果2272として、資産評価結果DB227で管理される。
【0034】
操作画面生成部223は、ロケーション監視システム2で管理する各種DB情報の閲覧および編集や、ロケーション監視システム2での監視状況の確認などの操作画面データを生成し、オペレータが操作する操作端末29に対して操作画面データを送信する処理を行う。また操作画面生成部223は、操作端末29から送信されたデータを、その内容に応じて、エリア構成管理部221や脅威レベル計算部222などに渡す処理を行う。
【0035】
フロアマップデータ224は、ビル内に存在する各フロアの地図データの集合である。各フロアは一つ以上のエリアから構成される。
【0036】
フロアマップ/エリア対応表225は、フロアマップデータ224に対応するビル名およびフロアと、フロアを構成するエリアのエリア名とを、フロアマップに対応付けて管理するためのフロアマップ関連情報2251を記憶する情報テーブルである。
【0037】
フロアマップ/エリア対応表225は、フロアマップデータ224を識別して取得するためのフロアマップ情報を格納するフロアマップ情報22511と、ビル名およびフロア名を格納するビル/フロア名22512と、当該フロアに存在する全てのエリアのエリア名を格納するエリア名22513と、当該フロアに存在する各エリアがフロアマップデータのどの位置に相当するかを示すマップ内位置情報を格納するマップ内位置情報22514と、を含んで構成される。フロアマップ情報22511は、本実施形態では、フロアマップデータ224にWebブラウザなどからアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)とする。
【0038】
エリア構成情報DB226は、エリア構成管理部221で生成したエリア構成情報2261を管理するデータベースである。エリア構成情報2261は、エリア名22611と、隣接エリア名22612と、セキュリティ種別22613と、を含んで構成される。
【0039】
エリア名22611は、ビル内のフロアを構成するエリアの名称を記憶するフィールドである。このエリアは、監視カメラ装置15の監視エリアと必ずしも同一でなくてもよい。隣接エリア名22612は、エリア名22611と隣接しており、互いに行き来が可能なエリアの名称を記憶するフィールドである。セキュリティ種別22613は、エリア名22611で示されるエリアと、隣接エリア名22612で示されるエリアとの間で行き来ができる領域に設置された、物理的なセキュリティ装置またはシステムの種別を記憶するフィールドである。
【0040】
資産評価結果DB227は、脅威レベル計算部222で計算した結果データである資産評価結果2272を管理するデータベースである。資産評価結果2272は、資産識別情報22721と、資産名22722と、エリア名22723と、脅威種別22724と、脅威レベル22725と、を含んで構成される。脅威種別22724と脅威レベル22725はペアで構成されている。また、そのペアは1組以上存在する。
【0041】
資産識別情報22721は、資産11を一意に識別するための番号を記憶するフィールドである。資産名22722は、資産11の名称を記憶するフィールドである。エリア名22723は、資産11が現在存在するエリアの名称を記憶するフィールドである。脅威種別22724は、資産11が損なわれるような事象(脅威)の種別を記憶するフィールドである。脅威レベル22725は、脅威が発生する可能性を表す指標値を記憶するフィールドである。
【0042】
エリア状態情報DB228は、ビル内の各エリアのエリア状態情報2282(混雑度など)を管理するデータベースである。エリア状態情報2282は、エリア名22821と、エリア状態22822と、日時22823と、脅威種別22824と、脅威レベル22825とを含んで構成される。脅威種別22824と脅威レベル22825はペアで構成される。一つのエリア名22821に対して、脅威種別22824と脅威レベル22825のペアは1組以上存在する。エリア状態情報2282は、日時22823の時系列情報である。
【0043】
エリア名22821は、ビル内のエリアの名称を記憶するフィールドである。エリア状態22822は、エリア名22821に示されるエリアにおける状態を記憶するフィールドである。日時22823は、エリア状態22822を計測した日時を記憶するフィールドである。脅威種別22824は、エリア名22821に示されるエリアに存在する資産11が損なわれるような事象(脅威)の種別を記憶するフィールドである。脅威レベル22825は、エリア名22821に示されるエリアに存在する資産11に対して、脅威が発生する可能性を表す指標値を記憶するフィールドである。
【0044】
脅威対対策テーブル2221は、脅威の種別毎に、当該脅威に対して有効なセキュリティ対策の種別情報が定義されたテーブルである。脅威対対策テーブル2221は、脅威種別22211と、有効セキュリティ種別22212と、を含んで構成される。脅威種別22211は、脅威の種別を記憶するフィールドである。
【0045】
ここで脅威には、例えば不正アクセスやマルウェア感染といった論理的脅威や、侵入や機器不正接続といった物理的脅威がある。有効セキュリティ種別22212は、脅威種別22211で示される脅威の種別に対して有効なセキュリティ対策の種別情報を記憶するフィールドである。セキュリティ対策には、ファイアウオール設置やアンチウィルスソフト導入といった論理的脅威に対処するものや、入退室管理やデバイス接続制限といった物理的脅威に対処するものがある。
【0046】
(エリア構成管理処理)
図4は、ロケーション監視システム2のエリア構成管理処理の一例を示すシーケンス図である。エリア構成管理処理は、エリア構成情報の更新作業の際に実行される。
【0047】
まず、操作端末29は、エリア構成情報編集画面要求を、分析装置22に送信する(ステップS101)。次に、分析装置22の操作画面生成部223は、操作端末29からエリア構成情報編集画面要求を受信すると、エリア構成情報編集画面291のデータを応答する(ステップS102)。
【0048】
そして、操作端末29は、エリア構成情報編集画面291のデータを受信すると、操作端末29のディスプレイ(出力装置1006)にエリア構成情報編集画面291を表示する。
【0049】
次に、操作端末29は、オペレータによってエリア構成情報編集画面291からエリア構成情報2261の各項目(エリア名22611、隣接エリア名22612、およびセキュリティ種別22613)が入力され、送信ボタンが押下されると、エリア構成情報2261を含むデータを分析装置22に送信する(ステップS103)。
【0050】
次に、分析装置22の操作画面生成部223は、操作端末29からエリア構成情報2261を含むデータを受信すると、エリア構成管理部221に当該エリア構成情報2261を渡す(ステップS104)。
【0051】
そして、エリア構成管理部221は、操作画面生成部223から受け取ったエリア構成情報2261を、エリア構成情報DB226に格納する(ステップS105)。
【0052】
そして、操作画面生成部223は、エリア構成情報DB226から、エリア構成情報2261を取得し、エリア構成情報確認画面を送信する(ステップS106)。
【0053】
最後に、操作端末29は、分析装置22からエリア構成情報確認画面を受信すると、操作端末29のディスプレイにエリア構成情報確認画面を表示する(ステップS107)。
【0054】
(エリア構成情報編集画面291の表示内容)
図5を参照して、
図4のエリア構成管理処理において操作画面生成部223が生成するエリア構成情報2261の編集方法の一例について説明する。
図5は、操作端末29にて表示されるエリア構成情報編集画面291の表示例を示す図である。
【0055】
エリア構成情報編集画面291は、分析装置22の操作画面生成部223が、
図4のステップS102で生成および応答したエリア構成情報編集画面291のデータを、操作端末29が受信することで、操作端末29のディスプレイに表示される。または、ステップS106で生成および応答するエリア構成情報確認画面として、エリア構成情報編集画面291を用いた場合、エリア構成情報編集画面291のデータを、操作端末29が受信することで、操作端末29のディスプレイに表示される。
【0056】
エリア構成情報編集画面291の上部には、エリア構成情報2261を個別に入力および設定する領域(個別設定)と、定義ファイルに定義された複数のエリア構成情報を送信することで一括設定する領域(一括設定)とを備える。個別設定では、エリア構成情報2261を構成するエリア名22611、隣接エリア名22612、およびセキュリティ種別22613を入力する欄が備わっている。
【0057】
個別設定のエリア名22611、隣接エリア名22612、およびセキュリティ種別22613が入力され送信ボタンが押下されると、入力された情報が分析装置22へ送信され、エリア構成情報2261がエリア構成情報DB226に登録される。または、ファイルパスが入力され一括ファイル送信ボタンが押下されると、入力されたファイルパスのファイルが分析装置22へ送信され、エリア構成情報2261がエリア構成情報DB226に登録される。
【0058】
また、エリア構成情報編集画面291の下部には、エリア構成情報を一覧で確認するための領域(エリア構成情報一覧)を備える。エリア構成情報一覧では、エリア構成情報2261を構成するエリア名22611、隣接エリア名22612、およびセキュリティ種別22613を表示する欄が備わっている。このエリア構成情報一覧は、エリア構成情報2261(
図3)を一覧したものである。
【0059】
(脅威レベル計算の処理内容)
図6および
図7は、ロケーション監視システム2の脅威レベル計算処理の一例を示すシーケンス図である。脅威レベル計算処理は、定期的に実行されることで、時間の経過と共に変化し得るエリア構成情報2261および資産11の位置に応じて、監視エリアの最新の脅威レベルを得ることができる。
【0060】
まず、ネットワーク装置12は、ある資産11が当該ネットワーク装置12に接続されたことを検出すると、当該資産11のMACアドレスを、資産識別情報1212として記憶する。また、ネットワーク装置12および資産11が無線通信機能を有する場合、当該資産11が定期的に送信するプローブ要求を受信すると、当該資産11のMACアドレスを資産識別情報1212として一定期間記憶する(ステップS200)。
【0061】
次に、位置監視装置21のエリア検出部211は、定期的に、ネットワーク装置12に対して資産検出情報要求を送信する(ステップS201)。
【0062】
次に、ネットワーク装置12は、位置監視装置21から資産検出情報要求を受信すると、その時点で記憶している資産識別情報1212と、ネットワーク装置12に設定されているエリア識別情報1211とを組み合わせて、資産検出情報121を作成し、位置監視装置21に応答する(ステップS202)。
【0063】
次に、位置監視装置21のエリア検出部211は、ネットワーク装置12から資産検出情報121を受信すると、資産検出情報121のエリア識別情報1211からエリア名に変換し、エリア名2161および資産識別情報2162を基に資産位置情報216を生成して、分析装置22に送信する(ステップS203)。
【0064】
次に、分析装置22の脅威レベル計算部222は、位置監視装置21から資産位置情報216を受信すると、当該資産位置情報216のエリア名2161および資産識別情報2162に示される資産が、資産評価結果DB227に登録済みかどうかをチェックする(ステップS204)。
【0065】
ステップS204がYESであれば、脅威レベル計算部222は、ステップS205をスキップする。ステップS204がNOであれば、脅威レベル計算部222は、資産管理装置17に対して資産識別情報2162の内容で検索を依頼し、結果として資産名を取得する。そして脅威レベル計算部222は、資産識別情報2162、取得した資産名、およびエリア名2161をそれぞれ資産識別情報22721、資産名22722、およびエリア名22723とし、これらを対応付けたエントリを資産評価結果DB227に追加する(ステップS205)。ステップS200~S205が、定期的に繰り返されることで、資産11の新規の配置または移動が検知され、分析装置22に認識される。
【0066】
他方監視カメラ装置15は、自装置が設置されている付近のエリア監視映像1512を録画する(ステップS206)。そして監視カメラ装置15は、定期的に、エリア監視映像1512と、監視カメラ装置15が設置されている付近のエリアのエリア識別情報1511と、録画した日時1513とを対応付けたエリア監視データ151を位置監視装置21に送信する(ステップS207)。
【0067】
次に、位置監視装置21の監視映像解析部212は、監視カメラ装置15からエリア監視データ151を受信すると、エリア監視データ151に含まれているエリア監視映像1512を解析する。そして、監視映像解析部212は、エリア監視データ151に含まれているエリア識別情報1511に示されるエリアの状態を示すエリア状態21212を判定する。そして、監視映像解析部212は、エリア識別情報1511をエリア名21211に変換し、日時1513を日時21213として、エリア名21211、エリア状態21212、および日時21213を基にエリア状態通知2121を生成して、分析装置22に送信する(ステップS208)。
【0068】
本実施形態では、エリア状態21212として、当該エリアでの人の混雑度を用いる。なぜなら、人が多い場所ではトラブルや犯罪が発生し、資産11に対する脅威が発生する確率が高くなるためである。エリア状態21212の他の例として、騒音度合や、来客(ゲスト)の多さなどを採用してもよい。
【0069】
次に、分析装置22の脅威レベル計算部222は、位置監視装置21からエリア状態通知2121を受信すると、エリア状態通知2121に含まれるエリア名21211、エリア状態21212、および日時21213を用いて、エリア状態情報DB228を更新する(ステップS209)。
【0070】
具体的には、ステップS209では、脅威レベル計算部222は、受信したエリア状態通知2121と同一のエリア名のエントリがエリア状態情報DB228に存在する場合には、このエントリのエリア状態22822をエリア状態21212で更新する。一方脅威レベル計算部222は、受信したエリア状態通知2121と同一のエリア名のエントリがエリア状態情報DB228に存在しない場合には、エリア状態通知2121と同一のエリア名、エリア状態、および日時を持つエントリをエリア状態情報DB228に新規追加する。
【0071】
ステップS206~S209が、ステップS200~S205とは独立して定期的に繰り返されることで、最新の各監視対象エリアの状態が検知され、分析装置22に認識される。
【0072】
図7を参照し、説明を続ける。分析装置22の脅威レベル計算部222は、エリア構成情報DB226を参照して、ビルの外部から、脅威レベル算出対象の資産11が存在するエリアまでの全ての経路を走査(traverse)して特定し、それぞれの経路別にセキュリティ種別22613のリストを作成する(ステップS211)。セキュリティ種別22613のリストとは、例えば
図8に例示するように、ある経路が外部→Xビル→B棟→2F G事務所→2Fサーバ室→2F制限エリアである場合に、外部→Xビル→B棟→(カード認証装置)→2F G事務所→(カード認証装置)→2Fサーバ室→(指紋認証装置)→資産11のエリア、というように、経路と経路上のエリア間で実施されているセキュリティ種別を列挙した情報である。
【0073】
そして、脅威レベル計算部222は、以下の(a)から(e)の処理を行う(ステップS212)。
(a)脅威レベル算出対象の資産11が存在するエリア名2161のエリアの脅威レベルの初期値を、ビル外部に相当する値に設定する(例:レベル5)。
(b)脅威対対策テーブル2221を参照して、脅威種別22211毎に、有効セキュリティ種別22212を取得する。
(c)ステップS211で作成したセキュリティ種別22613のリストに、脅威対対策テーブル2221の有効セキュリティ種別22212に該当するセキュリティ種別が含まれている場合、対応する脅威種別22211における脅威レベルを下げる(例:-2する)。脅威レベルが予め設定された最低値(例:1)になった場合は、(d)に進む。なお、同一のセキュリティ種別22613が複数登場する場合は、最初の1つのみ有効とみなしてもよい。
(d)ステップS211で走査した全ての経路に対して(a)~(c)を繰り返す。
(e)全ての経路において、脅威レベルが最も高いものを、エリア名2161の脅威レベルとして採用する。
【0074】
そして、脅威レベル計算部222は、エリア状態情報DB228から、エリア名2161をキーとしてエリア名22821を検索し、エリア名2161における通常のエリア状態22822および日時22823を得る(ステップS213)。通常のエリア状態22822とは、当該エリア名2161の過去のエリア状態22822をいい、例えば当該エリア名2161の過去の所定期間にわたるエリア状態22822の平均である。そして、脅威レベル計算部222は、エリア名2161における最新のエリア状態22822が、通常のエリア状態22822と異なるかを判定する(ステップS214)。ステップS214がNOであれば、脅威レベル計算部222は、ステップS216に進む。ステップS214がYESであれば、脅威レベル計算部222は、エリア名2161の脅威レベルを補正する(ステップS215)。
【0075】
例えば、通常より人が多く混雑している場合や、通常より来客が多い場合などは、エリア外から資産11が存在するエリアへの人の入域があると推定され、トラブルや犯罪が発生する確率が高くなることから、脅威レベルを1レベルだけ高く補正してもよい。逆に、通常より人が少なく閑散としている場合や、通常より来客が少ない場合などは、エリア外から資産11が存在するエリアへの人の入域がないまたは少ないと推定され、トラブルや犯罪が発生する確率が低くなることから、脅威レベルを1レベルだけ低く補正してもよい。
【0076】
そして、脅威レベル計算部222は、ステップS212で計算あるいはステップS215で補正した脅威レベルに基づいて、資産評価結果DB227のエリア名22723における脅威レベル22725を更新する。さらに脅威レベル計算部222は、エリア状態情報DB228のエリア名22821における脅威レベル22825を更新する(ステップS216)。
【0077】
なお
図6および
図7のロケーション監視システム2の脅威レベル計算処理では、建物外部から資産11の現在位置のエリアまで至る経路の脅威レベルを、経路におけるセキュリティ装置の設置などの脅威に対する対策状況に基づいて計算するとしている。しかしこれに限らず、例えば経路長や経路の特性(例えば人の出入りが多いといったリスク要因が多いエリアを経由する等)などの経路に含まれるエリア毎の属性に基づいて経路の脅威レベルを計算してもよい。
【0078】
また
図6および
図7のロケーション監視システム2の脅威レベル計算処理では、建物外部から資産11の現在位置のエリアまで至る経路の脅威レベルを、資産11の現在位置のエリアの現在と過去の状態の比較結果に応じて補正するとしている。しかし経路に限らず、例えば資産11の現在位置のエリア(エリアの特性や状態等)に基づいて脅威レベルを計算し、計算した脅威レベルを資産11の現在位置のエリアの現在と過去の状態の比較結果に応じて補正してもよい。
【0079】
ここで、
図8を参照して、脅威レベル計算処理の過程の一例を説明する。
図8は、分析装置22の脅威レベル計算部222が行う脅威レベル計算のアルゴリズムの一例を示す図である。
図8は、
図7のステップS211およびS212における処理の過程を示す図である。本実施形態では、脅威レベルを、例えば1~5の5段階で表している。
【0080】
図8に示すエリア構成2262は、ステップS211で、外部から資産11が存在するエリア(ここでは「2F制限エリア」)までの全ての経路を走査した結果を示している。ビル外部から2F制限エリアまでの一つの経路の途中で、「カード認証装置A」「カード認証装置B」「指紋認証装置」の3つのセキュリティ装置があったとする。
【0081】
ここで、ステップS212の(a)から(c)を実行すると、まず、最初の「カード認証装置A」で脅威レベルが-2される。次の「カード認証装置B」は、「カード認証装置A」と同じセキュリティ種別であるため、脅威レベルは増減しない。最後の「指紋認証装置」は経路上で初めて登場するセキュリティ種別であるため、脅威レベルが-2される。ビル外部の脅威レベルを5とすると、結果として、2F制限エリアでの脅威レベルは、5(ビル外部)-2(カード認証A)-2(指紋認証)=1と計算され、レベル1となる。また、2F制限エリアに到達する経路が複数ある場合は、その中で最も高い脅威レベルが採用される。
【0082】
(資産評価結果画面292の表示内容)
図9を参照して、操作画面生成部223が生成する資産評価結果の表示方法の一例について説明する。
図9は、操作端末29にて表示される資産評価結果画面292を表す図である。資産評価結果画面292は、
図7および
図8の処理によって資産11に脅威レベルが対応付けられた資産評価結果DB227に格納される資産評価結果2272を参照するための画面である。
【0083】
資産評価結果画面292は、操作端末29が分析装置22の操作画面生成部223にアクセスして資産評価結果DB227の検索要求を送信し、操作画面生成部223から検索結果を表示する資産評価結果画面292のデータが応答され、そのデータを操作端末29が受信することで、操作端末29のディスプレイに表示される。
【0084】
資産評価結果画面292の上部には、資産評価結果2272を検索する条件を入力する領域(検索条件)を備える。検索条件では、資産評価結果2272を構成する資産名22722、資産識別情報22721、およびエリア名22723を入力する欄が備わっている。検索条件を入力後、検索ボタンが押下されると、入力された検索条件が分析装置22へ送信される。検索条件を入力後、クリアボタンが押下されると、入力された検索条件がクリアされる。
【0085】
また、資産評価結果画面292の下部には、入力された検索条件で検索して得られた資産評価結果2272を一覧で確認するための領域(検索結果)を備える。検索結果では、資産評価結果2272を構成する資産名22722、エリア名22723、脅威種別22724、および脅威レベル22725を表示する欄が備わっている。ファイル出力ボタンを押下することで、検索結果をファイル出力できる。
【0086】
(脅威レベル表示処理)
図10は、ロケーション監視システム2の脅威レベル表示処理の一例を示すシーケンス図である。
図10は、操作画面生成部223が脅威レベル評価結果画面293を生成し、操作端末29で表示させるためのシステム動作を示す。
【0087】
操作端末29は、オペレータによって脅威レベル評価結果画面293の上部領域から検索条件(ここではビル名およびフロア名)が入力され、検索ボタンが押下されると、入力された検索条件データを分析装置22に送信する(ステップS301)。
【0088】
分析装置22操作画面生成部223は、操作端末29から検索条件データを受信すると、受信した検索条件を検索キーとしてエリア状態情報DB228のエリア名22821を検索する。そして操作画面生成部223は、マッチしたエリア名22821における脅威種別22824に格納されている情報と、各脅威種別に対する脅威レベル22825に格納されている情報とを組とするデータを取得する(ステップS302)。
【0089】
次に、操作画面生成部223は、受信した検索条件を検索キーとしてフロアマップ/エリア対応表225のビル/フロア名22512を検索し、マッチしたフロアマップ関連情報2251から、フロアマップ情報22511、エリア名22513、およびエリアのマップ内位置情報22514を取得する(ステップS303)。
【0090】
次に、操作画面生成部223は、ステップS302およびS303で取得した情報を用いて、検索結果領域2931を操作端末29で表示するための脅威レベル評価結果画面データを生成し、操作端末29に送信する(ステップS304)。
【0091】
そして、操作端末29は、脅威レベル評価結果画面データを受信すると、脅威レベル評価結果画面293をディスプレイ等に表示する(ステップS305)。
【0092】
(脅威レベル評価結果画面293の表示内容)
図11は、脅威レベル評価結果画面293の表示例を示す図である。脅威レベル評価結果画面293は、操作端末29が分析装置22の操作画面生成部223に対してエリア状態情報DB228におけるエリア名22821および脅威レベル22825の確認要求を送信し、操作画面生成部223から脅威レベル評価結果画面293のデータ受信することで、操作端末29のディスプレイに表示される。
【0093】
脅威レベル評価結果画面293の上部には、エリア状態情報2282を検索する条件を入力する領域(検索条件)を備える。検索条件では、エリア状態情報2282を構成するエリア名22821を、ビル名とフロアに分けて入力する欄が備わっている。
【0094】
また、脅威レベル評価結果画面293の下部には、検索して得られたエリア名22821、脅威種別22824および脅威レベル22825を確認するための領域(検索結果領域2931)を備える。検索結果領域2931では、検索条件で与えられたビル名およびフロアに存在するエリア名22821の単位で、脅威種別22824に対する脅威レベル22825を、グラフィカルにヒートマップ形式で可視化して表示される。本実施形態では、ヒートマップは、例えば1~5の5段階の脅威レベル22825をそれぞれ区別できるように表示するとする。
【0095】
ここで、脅威種別22824は、脅威レベル評価結果画面293上でプルダウン形式により切り替えられる。そして、脅威種別22824が切り替えられた際に、脅威レベル22825のヒートマップ表示を、切り替えた先の脅威種別22824に対応する脅威レベル22825の値に変更して表示する。なお、ヒートマップ表示は、エリア毎かつ脅威種別22824毎ではなく、エリア毎に脅威レベル22825を表示してもよい。この場合、例えば同一エリアの全ての脅威種別22824の中の脅威レベルの最大値を、当該エリアの脅威レベル22825とする。
【0096】
(実施形態の効果)
上記実施形態では、ロケーション監視システム2において、オフィスビルや商業施設などの施設内に存在する資産の位置や移動をリアルタイムに把握し、資産が存在する空間に至るまでの経路を特定し、特定した経路上にある空間の特性や状態を考慮して、資産が存在する空間における脅威レベルをリアルタイムに計算する。よって上記実施形態によれば、資産が存在する空間へ部外者が入域する状況を考慮して資産に対する脅威のレベルを計算できる。
【0097】
また上記実施形態では、経路における脅威に対する対策状況に基づいて脅威レベルを計算することで、エリアにおける資産に対する脅威レベルを客観的な定量的指標によって表すことができる。
【0098】
また上記実施形態では、施設内のエリアと、このエリアに隣接する隣接エリアと、このエリアと隣接エリアとの間において脅威に対して実施されている対策と、を対応付けたエリア構成情報に基づいて経路を特定し、特定した経路のエリア間において脅威に対して実施されている対策に基づいて脅威レベルを計算する。よって上記実施形態によれば、編集が容易なエリア構成情報に対して、エリアの構成と対策状況の変化を速やかに反映させることができるので、経路の特定および脅威レベルの算出をより正確に行うことができる。
【0099】
また上記実施形態では、外部から資産が位置するエリアに至る複数の経路における脅威に対する対策状況に基づいて脅威レベルを計算し、脅威種別毎の複数の経路の脅威レベルのうちの最大値を、当該エリアにおいて各脅威種別の脅威が発生する可能性を表す脅威レベルとして採用する。よって上記実施形態によれば、脅威種別毎に最悪の脅威レベルを想定して対処することができる。
【0100】
また上記実施形態では、資産が位置するエリアの現在の状態が過去の状態と比較して、資産に脅威を与える可能性が低い状態(外部からの人の流入が少ないなど)の場合には脅威レベルを下げ、高い状態(外部からの人の流入が多いなど)の場合には脅威レベルを上げるように、脅威レベルを補正する。よって上記実施形態によれば、外部からの人の流入に伴うリスクを指標化して、脅威レベルに反映することができる。
【0101】
(コンピュータ1000のハードウェア)
図12は、ロケーション監視システム2を構成する装置のコンピュータ1000としてのハードウェア構成の一例を示す構成図である。ロケーション監視システム2を構成する装置とは、位置監視装置21、分析装置22、操作端末29などである。
【0102】
コンピュータ1000は、バスなどの内部通信線1009を介して相互に接続されたCPU1001、主記憶装置1002、補助記憶装置1003、ネットワークインタフェース装置1004、入力装置1005および出力装置1006を備える汎用コンピュータである。
【0103】
CPU1001は、コンピュータ1000全体の動作制御を司るプロセッサである。また主記憶装置1002は、例えば揮発性の半導体メモリから構成され、CPU1001のワークメモリとして利用される。補助記憶装置1003は、ハードディスク装置、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリなどの大容量の不揮発性の記憶装置から構成され、各種プログラムやデータを長期間保持するために利用される。補助記憶装置1003に格納された実行可能プログラム1100がコンピュータ1000の起動時や必要時に主記憶装置1002にロードされ、主記憶装置1002にロードされた実行可能プログラム1100をCPU1001が実行することにより、前述の装置としての各種処理が実行される。
【0104】
なお実行可能プログラム1100は、非一時的記録媒体に記録され、媒体読み取り装置によって非一時的記録媒体から読み出されて、主記憶装置1002にロードされてもよい。または実行可能プログラム1100は、ネットワークを介して外部のコンピュータから取得されて、主記憶装置1002にロードされてもよい。
【0105】
ネットワークインタフェース装置1004は、コンピュータ1000をシステム内の各ネットワークに接続するためのインタフェース装置である。ネットワークインタフェース装置1004は、例えば、有線LAN(Local Area Network)や無線LANなどのNIC(Network Interface Card)から構成される。
【0106】
入力装置1005は、キーボードや、マウス等のポインティングデバイスなどから構成され、ユーザがコンピュータ1000に各種指示や情報を入力するために利用される。出力装置1006は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示装置や、スピーカなどの音声出力装置から構成され、必要時に必要な情報をユーザに提示するために利用される。
【0107】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、かかる構成の削除に限らず、構成の置き換えや追加も可能である。また、上述の実施形態で説明した各構成の実装の分散および統合は、処理効率や実装効率に応じて変更可能である。
【0108】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した非一時的記録媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが非一時的記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、非一時的記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、およびそれを記憶した非一時的記録媒体は本発明を構成することになる。または、コンピュータは、ネットワークを介して他のコンピュータからプログラムコードを取得してもよい。
【符号の説明】
【0109】
1…ビルシステム、2…ロケーション監視システム、11…資産、21…位置監視装置、22…分析装置、29…操作端末、211…エリア検出部、212…監視映像解析部、221…エリア構成管理部、222…脅威レベル計算部、223…操作画面生成部、1000…コンピュータ