(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-19
(45)【発行日】2024-11-27
(54)【発明の名称】室内機及び室内機用鏡
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20241120BHJP
【FI】
F24F1/0007 401B
F24F13/20
(21)【出願番号】P 2021008047
(22)【出願日】2021-01-21
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】文原 宏敏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 紀行
【審査官】塩田 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-228183(JP,A)
【文献】実開昭61-003331(JP,U)
【文献】特開2011-094838(JP,A)
【文献】特開平10-103757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機に用いられる壁掛け式の室内機であって、
本体部を備え、
前記本体部は、
側面の背面側に位置
し、鏡である第1領域と、
前記第1領域と隣接し、前記本体部の前面側に位置
し、前記第1領域より前記本体部の外側に膨らんでいる第2領域と
を有し、
前記第2領域のうち前記第1領域との境界を含む第3領域は、前記背面側に向かうほど前記本体部の内側に向かう、鏡でない領域である、室内機。
【請求項2】
前記第1領域は、前記本体部の背面から所定の距離までの領域である、請求項1に記載の室内機。
【請求項3】
前記第1領域は、前記本体部の上面から下面までの全ての領域で
ある、請求項2に記載の室内機。
【請求項4】
前
記第3領域が曲面である、請求項
1に記載の室内機。
【請求項5】
前記第1領域の一部が着脱可能である、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の室内機。
【請求項6】
前記第1領域の前記一部は、前記本体部の下面及び側面の少なくとも一方に位置する、請求項
5に記載の室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内機及び室内機用鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の空気調和機は、前面パネルに鏡を有し、前面パネルの鏡に室内環境を映すことで、空気調和機の前面の色彩及び柄を室内環境と調和させ、いかなる室内環境においても存在感、威圧感を低めようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の空気調和機が設置された室内環境によっては、かえって威圧感が増してしまうこともある。
【0005】
また、例えば、特許文献1の空気調和機を室内の壁面に取り付けて使用する場合、空気調和機の下面には、鏡が設けられていないため、威圧感を低減できない。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、室内の壁面に取り付けて使用する場合に、威圧感の低減が可能な室内機及び室内機用鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る室内機は、空気調和機に用いられる壁掛け式の室内機である。前記室内機は、本体部を備える。前記本体部は、第1領域と、第2領域とを有する。前記第1領域は、下面及び側面の背面側に位置する。前記第2領域は、前記第1領域と隣接し、前記本体部の前面側に位置する。前記本体部の下面及び側面の少なくとも1面において、前記第1領域が鏡である。
【0008】
本発明に係る室内機用鏡は、空気調和機に用いられる壁掛け式の室内機における下面及び側面の少なくとも1面の背面側に位置する第1領域に取り付けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、室内の壁面に取り付けて使用する場合に、威圧感の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5A】第1領域E1の両端部分のみが鏡である場合の右側面図である。
【
図5B】第1領域E1の両端部分のみが鏡である場合の下面図である。
【
図6A】第1領域E1の両端部分を残し、中央部分が鏡である場合の右側面図である。
【
図6B】第1領域E1の両端部分を残し、中央部分が鏡である場合の下面図である。
【
図7A】第1領域E1の両端部分のみが鏡である場合の右側面図である。
【
図7B】第1領域E1の全面が鏡である場合の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る室内機5の構成について説明する。室内機5は、空気調和機に用いられる室内機である。
図1は、室内機5を示す斜視図である。本実施形態では、図中に、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を示す。Z軸は鉛直方向に平行であり、X軸及びY軸は水平方向に平行である。以下、X軸を前後方向又は縦方向、Y軸を横方向、及びZ軸を上下方向とも呼ぶ。
【0013】
室内機5は、本体部50を備える。本体部50は、フィルター51と、カバー60と、キャビネット510と、キャビネットカバー520とを有する。キャビネットカバー520は、上面50Uと、下面50Dと、前面50Fと、右側面50Rと、左側面50Lとを有する。キャビネットカバー520は、上面50Uと、下面50Dと、前面50Fと、右側面50Rと、左側面50Lとが一体で形成されている。キャビネットカバー520は、キャビネット510の前面から取り付けられる。キャビネット510は、背面50Bは、吸気口53と、吹出口54とを有する。本体部50は、例えば、背面50Bと屋内の壁とが接するように屋内の壁に取り付けられる。
【0014】
カバー60は、本体部50に取り付けられ、本体部50の前面50Fと右側面50Rと左側面50Lとを一体で覆う。以下、本体部50に取り付けられたカバー60の表面を、前面50F、右側面50R及び左側面50Lと記載する。なお、カバー60は、例えば、本体部50の前面50Fのみを覆う形状でもよい。また、本体部50は、カバー60を有さない構成でもよい。
【0015】
本体部50は、前面50Fの上下方向の長さが背面50Bの上下方向の長さより短い形状である。上面50U、下面50D、右側面50R及び左側面50Lは、前面50F及び背面50Bを繋ぐように設けられる。
【0016】
具体的には、本体部50が屋内の壁に取り付けられた状態において、上面50U及び下面50Dは、背面50B側から前面50F側に向けて、なだらかに傾斜している。また、上面50U及び下面50Dは、それぞれ、前後方向及び上下方向において外側に膨らむように湾曲している。
【0017】
右側面50R及び左側面50Lは、前面50F、背面50B、上面50U及び下面50Dに沿う形状である。
【0018】
吸気口53は、上面50Uに形成される。吹出口54は、下面50Dに形成される。本実施形態において、吹出口54は、上下風向板(横ルーバー)541と図示しない左右風向板(縦ルーバー)とを有する。縦ルーバーは、吹出口54の奥に設けられる。横ルーバー541及び縦ルーバーは、吹出口54から外部に吹き出される空気の送風方向を調整する。
【0019】
本体部50の内部には、吸気口53から吹出口54に至る流通路が形成される。流通路には、空気が流通する。また、流通路には、熱交換器及びファン(例えば、クロスフローファン)が配置される。クロスフローファンは、例えば、略円筒体の羽根車である。
【0020】
流通路には、ファンによって空気が送風される。具体的には、空気調和機の運転時に、ファンによって、空気が外部から吸気口53を通して流通路に吸い込まれ、吹出口54を通して流通路から外部に吹き出される。
【0021】
熱交換器は、空気の性質を調整する。具体的には、熱交換器は、熱交換を行う。詳細には、熱交換器は、吸気口53から吸い込まれた空気と、熱交換器の内部を流通する冷媒との間で、熱エネルギーを伝達する。
【0022】
フィルター51は、吸気口53を覆い、屋内の空気中の塵埃を集塵する。具体的には、フィルター51は、吸気口53を通過する空気から塵埃を集塵する。
【0023】
屋内の壁に取り付けられた室内機5が、屋内に居る人に威圧感を感じさせることがある。本実施形態において、威圧感を軽減させるために、室内機5に鏡の領域が設けられる。
【0024】
次に、
図1~
図4を参照して、本発明の実施形態に係る室内機5の鏡の領域について説明する。
図2は、室内機5を示す上面図である。
図3は、室内機5を示す右側面図である。
図4は、室内機5を示す下面図である。なお、
図1には、室内機5の左側面50Lが示されている。
【0025】
室内機5の右側面50R、左側面50L及び下面50Dは、第1領域E1と、第2領域E2とを有する。第1領域E1は、右側面50R、左側面50L及び下面50Dにおいて、背面50B側に位置する領域である。
【0026】
例えば、左側面50Lにおける第1領域E1は、前後方向が左側面50Lの背面50B側の端から所定の距離まで、かつ上下方向が上面50Uから下面50Dまでの全部の領域である(
図1)。
【0027】
右側面50Rにおける第1領域E1は、前後方向が右側面50Rの背面50B側の端から所定の距離まで、かつ上下方向が上面50Uから下面50Dまでの全部の領域である(
図3)。
【0028】
下面50Dにおける第1領域E1は、前後方向が下面50Dの背面50B側の端から所定の距離まで、かつ横方向が左側面50Lから右側面50Rまでの全部の領域である(
図4)。
【0029】
室内機5において、右側面50R、左側面50L及び下面50Dにおける第1領域E1以外の前面50F側に位置する領域が第2領域E2になる。
【0030】
なお、室内機5の上面50Uは、第1領域E1及び第2領域E2の両方を有さない(
図1)。
【0031】
本実施形態において、第1領域E1が鏡である。例えば、右側面50R及び左側面50Lの第1領域E1には、鏡M1がそれぞれ取り付けられる。下面50Dの第1領域E1には、鏡M2が取り付けられる。
【0032】
鏡M1は、例えば、右側面50R及び左側面50Lの第1領域E1の大きさの、アルミニウムが裏面に真空蒸着されたポリカーボネートの板である。鏡M2は、例えば、下面50Dの第1領域E1の大きさの、アルミニウムが裏面に真空蒸着されたポリカーボネートの板である。
【0033】
右側面50R及び左側面50Lの第1領域E1には、鏡M1が接着剤により貼り付けられる。下面50Dの第1領域E1には、鏡M2が接着剤により貼り付けられる。
【0034】
室内機5の右側面50R、左側面50L及び下面50Dの壁に近い領域が鏡であると、鏡に壁が映る。これにより、室内機5を見た人からは、室内機5が壁から浮いて見え、威圧感が軽減される。
【0035】
次に、室内機5の第2領域E2について説明する。鏡領域を有する右側面50R、左側面50L及び下面50Dにおいて、第2領域E2は、第1領域E1より本体部50の外側に膨らんでいる。
【0036】
具体的には、
図2及び
図4に示すように、左側面50Lにおける第2領域E2(カバー60の左側面50L側)は、第1領域E1(キャビネット510の背面50B側)より外側に張り出し、右側面50Rにおける第2領域E2(カバー60の右側面50R側)は、第1領域E1より外側に張り出している。
【0037】
例えば、第2領域E2うち、第1領域E1との境界から内側の所定の距離までの第3領域E3は、曲面で構成される。なお、第3領域E3は、直線状であってもよい。例えば、第3領域E3は、第1領域E1と垂直に設けられてもよい。また、第3領域E3は、第1領域E1に対して垂直以外の一定の角度で設けられてもよい。
【0038】
このような形状により、第1領域E1と第2領域E2との境界付近が見えにくくなり、威圧感がより軽減される。第3領域E3が曲面である場合、更に効果的である。
【0039】
本実施形態において、右側面50R、左側面50L及び下面50Dの少なくとも1つに位置する第1領域E1の一部は、着脱可能である。
【0040】
例えば、
図3に示す右側面50Rの第1領域E1における下面50D側の領域R1に対応するキャビネット510の一部分が着脱可能である。この場合、鏡M1は、領域R1に対応する大きさと、領域R1以外に対応する大きさとに分割して作成される。領域R1に対応するキャビネット510の一部分には、本体部50から取り外された状態で、鏡M1が貼り付けられる。
【0041】
また、
図4に示す下面50Dの第1領域E1において、右側面50R側の領域R2Rに対応するキャビネット510の一部分、及び左側面50L側の領域R2Lに対応するキャビネット510の一部分の少なくとも一方が着脱可能である。この場合、鏡M2は、領域R2Rに対応する大きさと、領域R2Lに対応する大きさと、領域R2R及び領域R2L以外に対応する大きさとに分割して作成される。着脱可能な領域R2R及び領域R2Lに対応するキャビネット510の一部分には、本体部50から取り外された状態で、鏡M2が貼り付けられる。
【0042】
なお、
図1に示す左側面50Lには、着脱可能な一部分が図示されていないが、右側面50Rと同様に、着脱可能な一部分が設けられてもよい。また、領域R1、R2R、R2Lは、第1領域E1の端に位置しているが、これに限らず、例えば、第1領域E1の中央に位置してもよい。
【0043】
このように、第1領域E1に対応するキャビネット510の一部分が着脱可能であることで、室内機5からのドレンホース等を自由に配管できる。
【0044】
本実施形態において、鏡の領域は、鏡M1、M2が取り付けられる以外に、第1領域E1がメッキ処理された鏡であってもよい。
【0045】
本実施形態において、第1領域E1の全面を鏡としたが、これに限らず、第1領域E1の一部が鏡であってもよい。
【0046】
本実施形態において、第1領域E1は、背面50B側の端から所定の距離までの領域としたが、これに限らず、背面50B側の端から離れた位置から所定の距離までの領域であってもよい。また、第1領域E1は、上下方向又は横方向の全部の領域でなく、上下方向又は横方向の一部の領域であってもよい。
【0047】
次に、
図5A~
図7Bを参照して、第1領域E1の一部が鏡である場合の一例を説明する。
図5Aは、第1領域E1の両端部分のみが鏡である場合の右側面図である。
図5Bは、第1領域E1の両端部分のみが鏡である場合の下面図である。
図6Aは、第1領域E1の両端部分を残し、中央部分が鏡である場合の右側面図である。
図6Bは、第1領域E1の両端部分を残し、中央部分が鏡である場合の下面図である。
図7Aは、第1領域E1の両端部分のみが鏡である場合の右側面図である。
図7Bは、第1領域E1の全面が鏡である場合の下面図である。
【0048】
本実施形態において、第2領域E2は、第1領域E1より本体部50の外側に膨らんでいるとしたが、これに限らず、第1領域E1と第2領域E2との間に段差が生じない構成であってもよい。
【0049】
以上、図面(
図1~
図4)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、室内機の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
5 :室内機
50 :本体部
50B :背面
50D :下面
50F :前面
50L :左側面
50R :右側面
50U :上面
E1 :第1領域
E2 :第2領域
E3 :第3領域
M1、M2 :鏡
R1、R2L、R2R :領域